JP7265723B2 - 硬化性樹脂組成物、無機基板積層体、及び、その製造方法 - Google Patents

硬化性樹脂組成物、無機基板積層体、及び、その製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、複数の機能素子が形成された無機基板の機能素子形成面に、上面が平坦な絶縁層を形成するために使用される硬化性樹脂組成物、これを用いた無機基板積層体、及び、その製造方法に関する。
従来、半導体産業、MEMS産業、ディスプレイ産業等の業界では、ウエハベースまたはガラス基板ベース等のリジッドな平面基板を対象としたプロセス技術が構築されてきた。また、近年、半導体素子、MEMS素子、ディスプレイ素子など機能素子の軽量化、小型・薄型化、フレキシビリティ化を目的として、高分子フィルム上にこれらの素子を形成するための技術開発が行われている。
一方、各種デバイスにおける機能素子の高密度化のために、複数の機能素子を多層にわたって形成する技術も重要となっている。例えば、半導体産業では複数のチップを積層して多層化した半導体パッケージが製造されたり、また、多層配線基板の内部に複数のデバイスが内蔵されたりしている。
このような多層化技術において、複数のチップ等を一括して、接着・封止するだけであれば、接着剤等に高い耐熱性は要求されないが、各層を順次積層しながら、各層ごとに機能素子を形成する場合には、高い耐熱性等が要求される。つまり、各層に所望の機能素子を形成するプロセスにおいては、積層体が高温に曝されることが多く、例えば、ポリシリコンや酸化物半導体などの機能素子の形成においては200℃~600℃程度の温度域での工程が必要となる場合がある。
ところで、このように高い耐熱性が要求される製造プロセスとして、特許文献1において、ガラス基板と補強板とを積層したガラス積層体のガラス基板上に、表示装置などの電子デバイス用部材を形成した後、ガラス基板から補強板を分離する方法が提案されている。この補強板は、支持板上に固定されたシリコーン樹脂層を有し、シリコーン樹脂層とガラス基板とが剥離可能に密着される。そして、シリコーン樹脂層を形成する際、無溶剤付加反応型剥離紙用シリコーンと白金系触媒などが使用されている。
国際公開2007/018028号公報
しかしながら、特許文献1におけるシリコーン樹脂層は、平坦な支持板上に形成されるものであり、また、電子デバイス用部材を形成した後にガラス基板から剥離されるため、加熱後の剥離性が要求されるものである。
これに対して、前述した多層化技術において、各層ごとに機能素子を形成する場合には、下層の表面には機能素子による凹凸が存在し、これに樹脂層を充填して表面を平坦化することが望ましい。このため、樹脂層には無機基板との密着性や凹凸への充填性が要求されると共に、シリコーン樹脂層の硬化収縮率を小さくして表面うねりを小さくすることが要求されるが、特許文献1において使用される剥離紙用シリコーンでは、このような要求を満たすことが困難である。
本発明は上述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、高い耐熱性を有すると共に、無機基板との密着性や凹凸への充填性が良好で、硬化収縮による表面うねりが小さい、硬化性樹脂組成物、これを用いた無機基板積層体、及び、その製造方法を提供することにある。
本発明者らは、硬化後に耐熱性を有する硬化性樹脂組成物について鋭意検討を行った結果、特定構造のシリコーン化合物とビニル基を有する化合物とを含有させることにより、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の硬化性樹脂組成物は、複数の機能素子が形成された無機基板の機能素子形成面に、上面が平坦な絶縁層を形成するために使用される硬化性樹脂組成物であって、全シロキサン単位のうち、Si-H結合を有するシロキサン単位を10%以上有し、T単位(RSiO3/2、Rは1価の置換基(Hを含む))を10%以上有するシリコーン化合物、及びビニル基を有する化合物を含むことを特徴とする。
本発明の硬化性樹脂組成物によると、絶縁層を形成する際に、高い耐熱性を有すると共に、無機基板との密着性や凹凸への充填性が良好で、硬化収縮による表面うねりが小さいものとなる。その理由の詳細は明らかではないが、次のように考えられる。つまり、シリコーン化合物がT単位を10%以上有することで、高い耐熱性を有すると共に硬化時の収縮量を低減することができる。また、Si-H結合を有するシロキサン単位とビニル基を有する化合物とが付加型の硬化反応に寄与することで、十分な密着性(初期剥離強度)が得られると共に、硬化時の収縮量を少なくすることができ、表面うねりを低減できると考えられる。更に、ビニル基を有する化合物を用いることで、金属触媒を使用する必要がなくなり、凹凸への充填性を高めることができると考えられる。
上記において、前記ビニル基を有する化合物が、ビニル基を複数有する架橋剤、又はビニル基を有するシランカップリング剤であることが好ましい。これらの化合物を用いることで、硬化後の架橋密度をより高めたり、無機基板との密着性をより高めたりすることができると考えられる。
また、前記シリコーン化合物が、更にビニル基を有するシロキサン単位を有するものであることが好ましい。シリコーン化合物がこのような構造を有することで、Si-H結合を有するシロキサン単位との付加反応が生じ易くなり、付加型の硬化反応が進むことで、より高い耐熱性やより低い収縮量を実現し易くなると考えられる。
一方、本発明の無機基板積層体は、複数の機能素子が形成された無機基板と、上記いずれかに記載の硬化性樹脂組成物が硬化してなる絶縁層と、を含み、前記絶縁層は、前記機能素子の間の凹部にも充填されると共に、上面が平坦に形成されていることを特徴とする。
本発明の無機基板積層体によると、本発明の硬化性樹脂組成物が硬化してなる絶縁層を含むため、上記の如き作用効果により、高い耐熱性を有すると共に、無機基板との密着性や凹凸への充填性が良好で、硬化収縮による表面うねりが小さい絶縁層を有するようになる。
上記において、前記絶縁層の上面には、更に耐熱高分子フィルムを含むことが好ましい。耐熱高分子フィルムを含むことで、絶縁層の上面により平坦な表面を形成し易くなり、耐熱高分子フィルム上に機能素子を形成したり、更に無機基板を積層する上でも有利となる。
また、前記絶縁層の上面、又は、前記耐熱高分子フィルムの上面には、複数の機能素子が形成されていることが好ましい。このような構造とすることで、各種デバイスの高密度化、小型化等が行ない易くなる。
他方、本発明の無機基板積層体の製造方法は、複数の機能素子が形成された無機基板の機能素子形成面に、上記いずれかに記載の硬化性樹脂組成物を塗布する塗布工程と、前記硬化性樹脂組成物の上面が平坦な状態で前記硬化性樹脂組成物を硬化させる硬化工程と、を含むことを特徴とする。
本発明の無機基板積層体の製造方法によると、本発明の硬化性樹脂組成物を塗布・硬化させる工程を含むため、上記の如き作用効果により、高い耐熱性を有すると共に、無機基板との密着性や凹凸への充填性が良好で、硬化収縮による表面うねりが小さい絶縁層を有する無機基板積層体を得ることができる。
上記において、前記塗布工程の後に、耐熱高分子フィルムを積層する工程を含み、前記硬化工程が、前記耐熱高分子フィルムを積層した状態で前記硬化性樹脂組成物を硬化させるものであることが好ましい。このように耐熱高分子フィルムを積層して、その状態で硬化させることで、上面がより平坦な絶縁層を形成することができる。更に、前記耐熱高分子フィルムを剥離する剥離工程を含むことが可能である。
上記において、更に、前記絶縁層の上面、又は、前記耐熱高分子フィルムの上面に、複数の機能素子を形成する素子形成工程を含むことが好ましい。このような素子形成工程を含むことで、各種デバイスの高密度化、小型化等が行ない易くなる。
本発明の硬化性樹脂組成物によると、絶縁層を形成する際に、高い耐熱性を有すると共に、無機基板との密着性や凹凸への充填性が良好で、硬化収縮による表面うねりが小さいものとなる。また、本発明の無機基板積層体によると、高い耐熱性を有すると共に、無機基板との密着性や凹凸への充填性が良好で、硬化収縮による表面うねりが小さい絶縁層を有するようになる。また、本発明の無機基板積層体の製造方法によると、高い耐熱性を有すると共に、無機基板との密着性や凹凸への充填性が良好で、硬化収縮による表面うねりが小さい絶縁層を有する無機基板積層体を得ることができる。
本発明の無機基板積層体の製造方法の各工程の一例を示す断面図である。 本発明の無機基板積層体の製造方法の各工程の一例を示す断面図である。 本発明の無機基板積層体の製造方法の各工程の一例を示す断面図である。 本発明の無機基板積層体の製造方法の各工程の一例を示す断面図である。 本発明の無機基板積層体の製造方法の各工程の一例を示す断面図である。 本発明の無機基板積層体の製造方法の各工程の一例を示す断面図である。 本発明の無機基板積層体の製造方法の各工程の一例を示す断面図である。 本発明の無機基板積層体の製造方法の各工程の一例を示す断面図である。 本発明の無機基板積層体の他の例を示す断面図である。 本発明の無機基板積層体の他の例を示す断面図である。 本発明の無機基板積層体の他の例を示す断面図である。 無機基板の製造例2で得られた段差確認用の無機基板の正面図である。 無機基板の製造例3で得られた段差確認用の無機基板の正面図である。
[硬化性樹脂組成物]
本発明の硬化性樹脂組成物は、複数の機能素子が形成された無機基板の機能素子形成面に、上面が平坦な絶縁層を形成するために使用されるものである。本発明において絶縁層の「上面が平坦」とは、絶縁層の無機基板とは反対側の表面において、表面凹凸の最大高さが、機能素子により生じる無機基板における凹凸の最大高さ(最大深さ)より減少している状態を指し、好ましくは、絶縁層の表面凹凸の最大高さが、5μm以下であり、より好ましくは1μm以下である。
<無機基板>
無機基板としては無機物からなる基板として用いることのできる板状のものであればよく、例えば、ガラス板、セラミック板、半導体ウエハ、金属等を主体としているもの、および、これらガラス板、セラミック板、半導体ウエハ、金属の複合体として、これらを積層したもの、これらが分散されているもの、これらの繊維が含有されているものなどが挙げられる。
前記ガラス板としては、石英ガラス、高ケイ酸ガラス(96%シリカ)、ソーダ石灰ガラス、鉛ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス(パイレックス(登録商標))、ホウケイ酸ガラス(無アルカリ)、ホウケイ酸ガラス(マイクロシート)、アルミノケイ酸塩ガラス等が含まれる。
セラミック板としては、アルミナ、ジルコニア、ムライト、コディライト、ステアタイト、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、窒化アルミニウム、炭化珪素、窒化珪素等のセラミックからなるものが挙げられる。
前記半導体ウエハとしては、特に限定されないが、シリコンウエハ、ゲルマニウム、シリコン-ゲルマニウム、ガリウム-ヒ素、アルミニウム-ガリウム-インジウム、窒素-リン-ヒ素-アンチモン、SiC、InP(インジウム燐)、InGaAs、GaInNAs、LT、LN、ZnO(酸化亜鉛)やCdTe(カドミウムテルル)、ZnSe(セレン化亜鉛)などのウエハが挙げられる。なかでも、好ましく用いられるウエハはシリコンウエハであり、特に好ましくは8インチ以上のサイズの鏡面研磨シリコンウエハである。
前記金属としては、W、Mo、Pt、Fe、Ni、Auといった単一元素金属や、インコネル、モネル、ニモニック、炭素銅、Fe-Ni系インバー合金、スーパーインバー合金、といった合金等が含まれる。また、これら金属に、他の金属層、セラミック層を付加してなる多層金属板も含まれる。
<機能素子>
本発明では、上記の無機基板に複数の機能素子が形成されたものを使用する。機能素子はウエハ等の無機基板にウエハプロセス等によって直接形成されていてもよく、また、別途作成された機能素子や機能素子が形成されたウエハチップ等を、ウエハ等の無機基板に実装することで形成されていてもよい。
機能素子としては、トランジスタ、ダイオードなどの能動素子や、抵抗、キャパシタ、インダクタなどの受動素子、圧力、温度、光、湿度などをセンシングするセンサー素子、バイオセンサー素子、発光素子、液晶表示、電気泳動表示、自発光表示などの画像表示素子、無線、有線による通信素子、演算素子、記憶素子、MEMS素子、太陽電池等の発電素子、蓄電素子、薄膜トランジスタなどが挙げられる。
複数の機能素子は、同じ種類であってもよいが、通常、複数種の機能素子が組み合わされて、無機基板上で配線されることにより、電子回路等を形成している。例えば、ガラス基板には、画像表示装置のTFT液晶駆動回路などが形成されている。また、例えば、ウエハプロセスによって、ウエハ上に演算素子、記憶素子などが形成されている。
一方、複数の機能素子が形成されたチップ等も、本発明における「機能素子」に含まれ、このようなチップ等が複数形成された無機基板も、本発明において使用可能である。
このような機能素子により生じる無機基板における凹凸の最大高さ(最大深さ)は、例えば10~200μmであり、1~20μmが好ましく、本発明はこのような凹凸に対しても、十分に上面が平坦な絶縁層を形成することができる。なお、機能素子が無機基板に直接形成されている場合と比較して、無機基板上にウエハチップ等が実装されている場合には、凹凸の最大高さ(最大深さ)がより大きくなる。
<シリコーン化合物>
本発明の硬化性樹脂組成物は、シリコーン化合物、及びビニル基を有する化合物(前記シリコーン化合物を除く)を含むものである。シリコーン化合物は、一般的に、1官能のM単位(RSiO1/2、Rは1価の置換基(Hを含む))、2官能のD単位(RSiO2/2、Rは1価の置換基(Hを含む))、3官能のT単位(RSiO3/2、Rは1価の置換基(Hを含む))、4官能のQ単位(SiO4/2)の全部又は一部を含んでいる。なお、「1価の置換基」は、シリコーン化合物のSi原子に結合し得る1価の置換基であり、炭化水素基、酸素含有炭化水素基、ヒドロキシ基、ヒドロジェン基などが挙げられる。
本発明で用いるシリコーン化合物は、全シロキサン単位のうち、T単位を10%以上有するものである。耐熱性を高めるための適度な架橋構造を形成する観点から、好ましくはT単位を15~23%有するものであり、より好ましくは、T単位を18~22%有するものである。本発明において、各シロキサン単位の比率は、モル基準によるものである。T単位における1価の置換基Rとしては、例えばメチル基、又はフェニル基、ビニル基、ヒドロキシ基、ヒドロジェン基等が挙げられる。
また、シリコーン化合物は、凹凸への充填性を確保しながら適度な架橋構造を維持する観点から、全シロキサン単位のうち、D単位を10~25%有することが好ましく、D単位を15~20%有することがより好ましい。同様の理由から、シリコーン化合物は、全シロキサン単位のうち、Q単位が3%以下であることが好ましく、Q単位を含まないことがより好ましい。
本発明で用いるシリコーン化合物は、全シロキサン単位のうち、Si-H結合を有するシロキサン単位を10%以上有し、耐熱性を高めるための架橋構造や付加反応の容易性の観点から、好ましくは、Si-H結合を有するシロキサン単位を10~25%有し、より好ましくは、Si-H結合を有するシロキサン単位を15~22%有するものである。なお、Si-H結合を有するシロキサン単位は、D単位、T単位又はM単位に分類され、D単位ではRHSiO2/2(Rはメチル基、又はフェニル基)で示されるシロキサン単位が好ましい。
また、シリコーン化合物は、更にビニル基を有するシロキサン単位を有することが好ましい。ビニル基を有するシロキサン単位は、D単位、T単位又はM単位に分類され、D単位ではRR’SiO2/2(Rはメチル基、又はフェニル基、R’はビニル基)で示されるシロキサン単位が好ましい。ビニル基を有するシロキサン単位の含有量は、耐熱性を高めるための架橋構造や付加反応の容易性の観点から、より好ましくは15~30%であり、更に好ましくは20~27%である。
本発明においては、上記の如きシリコーン化合物の同一種又は複数種を混合して使用することができる。複数種を混合する場合、各々のシロキサン単位を平均値で上記含有量の範囲を満たすことが好ましい。
シリコーン化合物は、主たる硬化樹脂成分として機能を発揮する観点から、硬化性樹脂組成物中に50~100質量%含有されることが好ましく、80~100質量%含有されることがより好ましい。
<ビニル基を有する化合物>
ビニル基を有する化合物としては、ビニル基を複数有する架橋剤(シランカップリング剤を除く)、又はビニル基を有するシランカップリング剤であることが好ましい。ビニル基を複数有する架橋剤としては、ビニル基を分子内に2つ有する架橋剤が好ましく、ジビニル化合物、ジ(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。
ジビニルあるいはビニルフェニル化合物としては、o--ジビニルベンゼン、m-ジビニルベンゼン、p-ジビニルベンゼン、4-アセトキシスチレン、3-アセトキシスチレン、2-アセトキシスチレン、4-イソプロペニルトルエン、3-イソプロペニルトルエン、2-イソプロペニルトルエン、4-メチルスチレン、3-メチルスチレン、2-メチルスチレン、1,4-ジイソプロペニルベンゼン、4-エチルスチレン、1-アリル-4-ビニルベンゼン、3-ビニル-4-メチルフェノール、3,4-ジビニルフェノール、3,5-ジビニルフェノール、2,4-ジビニルフェノール、2,6-ジビニルフェノール、3-ビニル-5-メチルフェノール、2-ビニルフェノール、3-ビニルフェノール、4-ビニルフェノール、4-ビニル安息香酸、3-ビニル安息香酸、2-ビニル安息香酸、2,6-ジビニル安息香酸、2,5-ジビニル安息香酸、2,4-ジビニル安息香酸、2,3-ジビニル安息香酸、2-ビニル-5-メチル安息香酸、2-ビニル-4-メチル安息香酸、2-ビニル-3-メチル安息香酸、2-メチル-5-ビニル安息香酸、2-メチル-4-ビニル安息香酸、2-メチル-3-ビニル安息香酸、2-メチル-2-ビニル安息香酸、3-メチル-5-ビニル安息香酸、3-メチル-4-ビニル安息香酸、4-トリフルオロメチルスチレン、3-トリフルオロメチルスチレン、2-トリフルオロメチルスチレン、4-ビニルベンズアルデヒド、3-ビニルベンズアルデヒド、2-ビニルベンズアルデヒド、2,5-ジビニルベンズアルデヒド、2-ビニル-5-メチルベンズアルデヒド、2-ビニル-4-メチルベンズアルデヒド、2-ビニル-3-メチルベンズアルデヒド、2-メチル-5-ビニルベンズアルデヒド、2-メチル-4-ビニルベンズアルデヒド、2-メチル-3-ビニルベンズアルデヒド、2-メチル-2-ビニルベンズアルデヒド、3-メチル-5-ビニルベンズアルデヒド、3-メチル-4-ビニルベンズアルデヒド、2,6-ジビニルベンズアルデヒド、2,5-ジビニルベンズアルデヒド、2,4-ジビニルベンズアルデヒド、2,3-ジビニルベンズアルデヒド、4-ビニルベンゾニトリル、3-ビニルベンゾニトリル、2-ビニルベンゾニトリル、2,6-ジビニルベンゾニトリル、2,5-ジビニルベンゾニトリル、2,4-ジビニルベンゾニトリル、2,3-ジビニルベンゾニトリル、2-ビニル-5-メチルベンゾニトリル、2-ビニル-4-メチルベンゾニトリル、2-ビニル-3-メチルベンゾニトリル、2-メチル-5-ビニルベンゾニトリル、2-メチル-4-ビニルベンゾニトリル、2-メチル-3-ビニルベンゾニトリル、2-メチル-2-ビニルベンゾニトリル、3-メチル-5-ビニルベンゾニトリル、3-メチル-4-ビニルベンゾニトリル、4-アミノスチレン、3-アミノスチレン、2-アミノスチレン、2,6-ジビニルアニリン、2,5-ジビニルアニリン、2,4-ジビニルアニリン、2,3-ジビニルアニリン、ビニルシクロヘキサン、o-ジビニルシクロヘキサン、m-ジビニルシクロヘキサン、p-ジビニルシクロヘキサン、ビニルシクロペンタン、1,2-ジビニルシクロペンタン、1,3-ジビニルシクロペンタン、1-ビニルナフタレン、2-ビニルナフタレン、1-アリルナフタレン、2-アリルナフタレン、1-エチニルナフタレン、2-エチニルナフタレン、2-ビニルピリジン、3-ビニルピリジン、4-ビニルピリジン、2,5-ジビニルピリジン、2,3-ジビニルピリジン、2,4-ジビニルピリジン、2,5-ジビニルピリジン、2,6-ジビニルピリジン、4,4’-ジビニル-1,1’-ビフェニルなどが挙げられる。
ビニル基を有するシランカップリング剤としては、本発明ではビニル基、スチリル基、メタクリル基、アクリル基等を有するシランカップリング剤が挙げられる。
ビニル基を有するものとしては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリアセトキシシランなどが挙げられる。スチリル基を有するものとしては、スチリルトリメトキシシランなどが挙げられる。メタクリル基を有するものとしては、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、アクリル基を有するものとしては、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
ビニル基を有する化合物の含有量としては、ビニル基を複数有する架橋剤を使用する場合、耐熱性を高めるための架橋構造や付加反応の容易性の観点から、硬化性樹脂組成物中に20~0.1質量%含有されることが好ましく、10~1質量%含有されることがより好ましい。また、ビニル基を有するシランカップリング剤を使用する場合、無機基板の反応性を高める観点から、硬化性樹脂組成物中に20~0.1質量%含有されることが好ましく、10~1質量%含有されることがより好ましい。
なお、ビニル基を有する化合物は、同一種又は複数種を混合して使用することができる。
<その他の成分>
本発明の硬化性樹脂組成物は、ビニル基を有するシランカップリング剤を含有する場合、シランカップリング剤と無機基板の反応性を高める観点から、水を含有させることが好ましい。その場合、水の含有量としては、シランカップリング剤のアルコキシ基に対して、例えば5モル倍~0.05モル倍、好ましくは2モル倍~0.1モル倍、より好ましくは1.2モル倍~0.2モル倍である。
更に、本発明の硬化性樹脂組成物は、溶剤、界面活性剤、フィラー、消泡剤、硬化剤、触媒などのその他の成分を含むことができる。これらの成分の含有量は、本発明の効果を損なわない範囲であればよい。
[無機基板積層体]
図1A~図1Hは、本発明の無機基板積層体の製造方法の各工程の一例を示す断面図であるが、そのうち図1Cには、本発明の無機基板積層体の一例が示されている。また、図2~図4は本発明の無機基板積層体の他の例を示す断面図である。以下、図面に基づいて、本発明を詳細に説明する。
図1C等に示すように、本発明の無機基板積層体は、複数の機能素子12が形成された無機基板10と、以上で説明した本発明の硬化性樹脂組成物21が硬化してなる絶縁層22と、を含むものである。また、本発明において、前記絶縁層22は、前記機能素子12の間の凹部にも充填されると共に、上面22aが平坦に形成されている。
<複数の機能素子が形成された無機基板>
本実施形態では、図1Aに示すように、機能素子層11aと配線層11bとを有するウエハ11に、複数の半導体チップが実装されることで、複数の機能素子12が形成された無機基板10を用いる例を示す。この例では、ウエハ11の上部に電子回路を構成する機能素子層11aと、これを外部に接続するための配線層11bとが形成されており、配線層11bに対して、バンプ13による接続によって半導体チップが複数実装されている。つまり、無機基板10において、ウエハ11の機能素子層11aとして複数の機能素子12が形成されると共に、実装された半導体チップとして複数の機能素子12が形成されている例が示されている。
なお、ウエハ11の機能素子層11aと配線層11bとは、通常多層に形成されているが、本願の図面ではこれを簡略化して単層として記載している。また、ウエハ11の機能素子層11aは、ウエハ11面内の広範な範囲に形成されるのが通常であるのに対して、本願の図面では、2つの隣接する機能素子層11aが形成された部分のウエハ11のみを記載しており、左右方向にウエハ11は連続している。
図1Cに示す例では、ウエハ11に対して、半導体チップが複数実装されているが、本発明では、半導体チップ以外の各種のチップ部品、抵抗素子、キャパシタ素子、コイル素子、発光素子、受光素子、スイッチング素子、センサー素子等を実装することも可能である。
また、バンプ13による接続に代えて、ソルダ、ワイヤボンディング等で接続することも可能である。
<絶縁層>
絶縁層22は、本発明の硬化性樹脂組成物21が硬化してなるものである。硬化の条件等については、後に詳述する。絶縁層22の上面22aは、平坦に形成されているが、図1Cに示す工程による場合、上面22aの平坦な状態は、積層している耐熱高分子フィルム31の表面粗さ等に応じて決定される。これは、本発明の硬化性樹脂組成物21が硬化収縮しにくい性質を有しているためであり、硬化収縮が大きい場合には、耐熱高分子フィルム31を用いて絶縁層22を形成しても、表面にうねりが生じやすくなる。
<耐熱高分子フィルム>
図1Cに示すように、本発明の無機基板積層体の絶縁層22の上面には、更に耐熱高分子フィルム31を含むものであってもよい。耐熱高分子フィルム31を使用することにより、耐熱高分子フィルム31上に機能素子を形成する際の熱に耐えることができる。
本明細書において、耐熱高分子とは、融点が400℃以上、好ましくは500℃以上であり、ガラス転移温度が250℃以上、好ましくは320℃以上、さらに好ましくは380℃以上の高分子である。以下、煩雑さを避けるために単に高分子とも称する。本明細書において、融点、及び、ガラス転移温度は、示差熱分析(DSC)により求めるものである。なお、融点が500℃を越える場合には、該当温度にて加熱した際の熱変形挙動を目し観察することで融点に達しているか否かを判断して良い。
前記耐熱高分子フィルム(以下、単に高分子フィルムとも称する)としては、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、フッ素化ポリイミドといったポリイミド系樹脂(例えば、芳香族ポリイミド樹脂、脂環族ポリイミド樹脂);ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン-2,6-ナフタレートといった共重合ポリエステル(例えば、全芳香族ポリエステル、半芳香族ポリエステル);ポリメチルメタクリレートに代表される共重合(メタ)アクリレート;ポリカーボネート;ポリアミド;ポリスルフォン;ポリエーテルスルフォン;ポリエーテルケトン;酢酸セルロース;硝酸セルロース;芳香族ポリアミド;ポリ塩化ビニル;ポリフェノール;ポリアリレート;ポリフェニレンスルフィド;ポリフェニレンオキシド;ポリスチレン等のフィルムを例示できる。
ただし、前記高分子フィルムは、450℃以上の熱処理を伴うプロセスに用いられることが多い。前記高分子フィルムのなかでも好ましくは、所謂スーパーエンジニアリングプラスチックを用いたフィルムであり、より具体的には、芳香族ポリイミドフィルム、芳香族アミドフィルム、芳香族アミドイミドフィルム、芳香族ベンゾオキサゾールフィルム、芳香族ベンゾチアゾールフィルム、芳香族ベンゾイミダゾールフィルム等が挙げられる。
前記高分子フィルムの厚さは3μm以上が好ましく、より好ましくは11μm以上であり、さらに好ましくは24μm以上であり、より一層好ましくは45μm以上である。前記高分子フィルムの厚さの上限は特に制限されないが、フレキシブル電子デバイスとして用いるためには250μm以下であることが好ましく、より好ましくは150μm以下であり、さらに好ましくは90μm以下である。
<アンカー層>
本発明では、無機基板積層体の絶縁層22と、無機基板10又は耐熱高分子フィルム31との密着性を高めるために、両者の層の間にアンカー層を設けてもよい(図示省略)。アンカー層としては、特に限定されないが、シランカップリング剤を含むことが好ましい。
シランカップリング剤の詳細については、例えば、特開2010-283262号公報、特開2011-011455号公報、特開2011-245675号公報等に開示されているから、ここでの詳細な説明は省略する。前記シランカップリング剤は、無機基板と樹脂層との間に物理的ないし化学的に介在し、両者間の接着力(前記90°初期剥離強度)を高める作用を有する。
<機能素子>
図1H又は図3~図4に示すように、本発明では、前記絶縁層22の上面22a、又は、前記耐熱高分子フィルム31の上面には、複数の機能素子43が更に形成されていてもよい。更に、耐熱高分子フィルム31の上面に密着した無機基板を介して、その上面に複数の機能素子43を更に形成してもよい。
本実施形態では、半導体チップを多層に形成した例を示すが、図1Hに示すように、絶縁層22と耐熱高分子フィルム31とを貫通して、ウエハ11の配線層11bと耐熱高分子フィルム31上に設けた配線層42とを接続する第1層間接続体41と、その配線層42とランド46とを接続する第2層間接続体45とを備えている。
本発明において、複数の機能素子43を更に形成しない場合、図1Eに示すような、ウエハ11の配線層11bと耐熱高分子フィルム31上に設けた配線層42(又はランド)とを接続する第1層間接続体41を設けることにより、内部の電子回路と外部とを接続可能な構造とすることができる。
[無機基板積層体の製造方法]
本発明の無機基板積層体の製造方法は、図1A~図1Cに示すように、複数の機能素子12が形成された無機基板10の機能素子形成面に、前述した硬化性樹脂組成物21を塗布する塗布工程と、前記硬化性樹脂組成物21の上面が平坦な状態で前記硬化性樹脂組成物21を硬化させる硬化工程と、を含むことを特徴とする。以下、各工程について説明する。
<塗布工程>
塗布工程は、図1Bに示すように、複数の機能素子12が形成された無機基板10の機能素子形成面に、本発明の硬化性樹脂組成物21を塗布するものである。本実施形態では、前述のように、機能素子層11aと配線層11bとを有するウエハ11に、複数の半導体チップが実装されることで、複数の機能素子12が形成された無機基板10を用いる例を示す。
塗布工程は、スピンコート法、カーテンコート法、ディップコート法、スリットダイコート法、グラビアコート法、バーコート法、コンマコート法、アプリケーター法、モールド法、スクリーン印刷法、スプレーコート法等の従来公知の溶液の塗布手段を用いることができるが、塗布後の硬化性樹脂組成物21の上面をより平坦な状態とする上で、バーコート法、コンマコート法、アプリケーター法、モールド法が好ましい。
塗布厚みとしては、より平坦な絶縁層を得る観点から、硬化後の厚みとして、無機基板における凹凸の最大高さよりも0.5~10μm厚いことが好ましく、凹凸の最大高さよりも1~3μm厚いことがより好ましい。
なお、図1Aに示すように、半導体チップとウエハ11との間に空隙を有する場合、加熱による膨張を抑制する観点から、空隙にも硬化性樹脂組成物21を充填することが好ましい。その場合、真空雰囲気下で、前記塗布工程を行なう方法や塗工真空中脱泡する方法、塗工真空中脱泡して、さらに塗工する方法、樹脂に圧力を加えて、樹脂を注入する方法、塗工する外側に型を設けて、その中に樹脂を注入していく方法などを採用することが好ましい。
本発明では、図1Cに示すように、前記塗布工程の後に、耐熱高分子フィルム31を積層する工程を含むことが好ましい。これにより、硬化後により平坦な絶縁層22を形成することができる。耐熱高分子フィルム31を積層する際、真空プレスによる積層、ラミネータを用いた積層、大気雰囲気下でのプレスなどが好ましい。
また、硬化性樹脂組成物21が溶剤を含有する場合、耐熱高分子フィルム31を積層する工程に先立って、溶剤の乾燥工程を実施することが好ましい。乾燥工程を実施する場合、溶剤の種類に応じて、適宜乾燥温度が設定される。
<硬化工程>
硬化工程は、図1Cに示すように、前記硬化性樹脂組成物21の上面が平坦な状態で前記硬化性樹脂組成物21を硬化させるものである。本発明では、耐熱高分子フィルム31を積層せずに、塗布後の硬化性樹脂組成物21の上面が平坦な状態で硬化させることも可能であるが、図1Cに示すように、この硬化工程が、前記耐熱高分子フィルム31を積層した状態で硬化性樹脂組成物21を硬化させるものであることが好ましい。
硬化温度としては、十分な硬化状態を得る観点から、250~550℃が好ましく、350~500℃がより好ましい。また、硬化時間としては、硬化温度にもよるが、3~60分が好ましく、10~30分がより好ましい。
本発明では、硬化工程の後に、耐熱高分子フィルム31を剥離する工程を実施してもよい。その場合、図2に示すように、耐熱高分子フィルム31を備えていない積層体を得ることができる。また、耐熱高分子フィルム31の上に更に別の無機基板を積層することも可能である。
<素子形成工程>
本発明の製造方法は、図1D~図1Hに示すように、更に、前記絶縁層22の上面、又は、前記耐熱高分子フィルム31の上面に、複数の機能素子43を形成する素子形成工程を含むことが好ましい。本実施形態では、機能素子43として半導体チップを実装しつつ第1層間接続体41を設けた例を示す。
この実施形態では、まず図1Dに示すように、絶縁層22と耐熱高分子フィルム31とを貫通して、ウエハ11の配線層11bを露出させるビアホールVHを形成する。ビアホールVHの形成は、レーザ照射、ドリリング、エッチング等により行うことができる。
次いで、図1Eに示すように、ビアホールVH内にウエハ11の配線層11bと接続するための第1層間接続体41を設けると共に、耐熱高分子フィルム31の上面に第1層間接続体41と接続する配線層42を設ける。第1層間接続体41は、ビアホールVH内に、金属ポスト、導電性ペースト、金属メッキ等を充填することで形成することができる。また、配線層42は、金属メッキとエッチングの組合せなどで形成することができる。
次いで、図1Fに示すように、機能素子43として複数の半導体チップを実装する。図示した例では、半導体チップがバンプにより配線層42に接続されているが、バンプに代えて、ソルダ、ワイヤボンディング等で接続することも可能である。
次いで、図1Gに示すように、機能素子43である半導体チップが実装された面を封止材44で封止する。封止材44としては、一般的な半導体パッケージに使用されるエポキシ樹脂、フェノール系樹脂、シリコーン樹脂およびこれらの樹脂とシリカ粒子の混合物などの各種封止材を使用することができるが、本発明の硬化性樹脂組成物21を使用することも可能である。これらは各種封止材に応じて、適当な条件で硬化される。
次いで、図1Hに示すように、外部回路と接続するための配線層42とランド46とを接続する第2層間接続体45及びランド46が設けられ、切断により個別のパッケージを得る。
第2層間接続体45及びランド46の形成は、第1層間接続体41及び配線層42の形成と同様にして行なわれる。個別のパッケージへの切断には、ダイサー、レーザ、等が使用される。
[他の実施形態]
(1)先の実施形態では、耐熱高分子フィルム31を剥離することなく、耐熱高分子フィルム31の上面に、複数の機能素子43を形成する例を示したが、本発明の無機基板積層体としては、図2に示すように、耐熱高分子フィルム31を剥離するなどし、耐熱高分子フィルム31のない状態の無機基板積層体としてもよい。
(2)本発明では、更に、図3に示すように、耐熱高分子フィルム31のない状態で、絶縁層22の上面に複数の機能素子43を形成してもよい。その場合、図2に示す無機基板積層体に対して、図1D~図1Hに示すように、ビアホールVHを形成した後に、第1層間接続体41と配線層42を設け、機能素子43として複数の半導体チップを実装し、封止材44で封止し、第2層間接続体45及びランド46を設けて、切断により個別のパッケージを得ることができる。
(3)先の実施形態では、機能素子層11aと配線層11bとを有するウエハ11を用いる例を示したが、図3に示すように、ガラス14aの上面に配線層14bを有するガラス基板14を用いて、これに複数の半導体チップが実装されることで、複数の機能素子12が形成された無機基板10としてもよい。また、機能素子層11aと配線層11bとを有するウエハ11を用いて、半導体チップを実装することなく、本発明の硬化性樹脂組成物21を塗布して硬化させることも可能である(図示省略)。
(4)先の実施形態では、ウエハに複数の半導体チップが実装されることで、複数の機能素子が形成された無機基板を用いて、硬化性樹脂組成物が硬化してなる絶縁層を形成した後、更に複数の機能素子を形成する例を示したが、形成される機能素子と無機基板の組合せはこれらに限定されない。
本発明の適用範囲としては、例えば、1)絶縁層を形成した後にさらに上下の配線を伴う3次元TFTによる、プロセッサー作製、2)各種センサーチップと駆動TFTの積層による複合センサー素子の作製、3)分光特性を持つ透明な受光素子と駆動TFTを積層することによる、カラー受光素子の作製、4)受光したのちに、各TFTレイヤーで演算を行うことによる、高速な画像処理層付きの受光素子の作製、5)別の色を発光をするチップ型発光素子とその駆動TFTの組み合わせを積層することによるカラー発光ディスプレイの作製(この場合にチップ面積は発光ドットあたり、ごくわずかであるため、他の部分が透明であれば、積層することが可能となる)など様々な用途が考えられる。
以下、実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。なお、以下の実施例における物性等の評価方法は以下の通りである。
(1)ポリアミド酸の還元粘度(ηsp/C)
ポリマー濃度が0.2g/dlとなるようにN-メチル-2-ピロリドン(又は、N,N-ジメチルアセトアミド)に溶解した溶液をウベローデ型の粘度管により30℃で測定した。ポリアミド酸溶液の調製に使用した溶媒がN,N-ジメチルアセトアミドの場合は、N,N-ジメチルアセトアミドを使用してポリマーを溶解し、測定した。
(2)ポリイミドフィルムなどの厚さ
マイクロメーター(ファインリューフ社製、ミリトロン1245D)を用いてフィルムの厚さをランダムな場所(n=10)で測定し平均値を求めた。また、厚さ斑については、ランダムな場所(n=10)で厚さを測定した際の(最大値-最小値)÷平均値で計算することにより求めた。
(3)ポリイミドフィルムの引張弾性率、引張破断強度および引張破断伸度
測定対象のポリイミドフィルムを、流れ方向(MD方向)および幅方向(TD方向)にそれぞれ100mm×10mmの短冊状に切り出したものを試験片とした。引張試験機(島津製作所製、オートグラフ(R)、機種名AG-5000A)を用い、引張速度50mm/分、チャック間距離40mmの条件で、MD方向、TD方向それぞれについて、引張弾性率、引張破断強度及び引張破断伸度を測定した。
(4)初期剥離強度(90度剥離強度)
JIS C6471 の180度剥離法に従って、試料の剥離強度は下記条件で90度剥離試験を行うことで求めた。
装置名 ; 島津製作所社製 オートグラフAG-IS
測定温度 ; 室温
剥離速度 ; 100mm/min
雰囲気 ; 大気
測定サンプル幅 ; 2.5cm
その際、初期剥離強度として、積層体作製後に室内保管したものを測定した。
(5)重量減測定法
熱重量測定は島津製作所製のTGA-50を使っておこなった。Nフロー下での測定で、Alパンに10mg程度のサンプルを入れて行った。測定条件は、昇温を10℃/minで、400℃にしたのちに90min保持してこの高温保持中の重量減を測った。
(6)段差充填性の測定方法
段差測定用の基板に硬化性樹脂組成物を塗布して、サンプルを作製したのちに、硬化性樹脂組成物を剥がして、剥離面両面の凹凸をキーエンス製のレーザ顕微鏡VK-9700/9710によって測定した。視野を250μm以上として、段差の低い部分、高い部分共に2つを観察できるようにして両剥離面について、この高低差(μm)を求めた。この高低差から次の式により段差充填率を算出した。
段差充填率=(フィルム側剥離面の高低差)/(無機基板側剥離面の高低差)X100(%)
この値が90%以下になる部分が10%以下の場合に段差充填性の判定を○とし、10%を超える場合に段差充填性の判定を×とした。
(7)表面うねりの測定方法
段差測定用の基板に硬化性樹脂組成物を塗布して、サンプルを作製したのちに、サンプル表面の凹凸をキーエンス製のレーザ顕微鏡VK-9700/9710によって測定した。この時視野を250μm程度として、高低差(μm)を求め、これをうねりとした。
(8)NMR測定
以下の測定条件にて実施した。
1)H-NMR
装置:フーリエ変換核磁気共鳴装置(ブルカー・バイオスピン製 AVANCE NEO)
測定溶液:試料50mg程度を0.6mlの重水素化クロロホルムに溶解した。
H共鳴周波数:600.134MHz
検出パルスのフリップ角:30°
データ取り込み時間:2.75秒
遅延時間:1.0秒
積算回数:128回
測定温度:25℃。
2)29Si-NMR
装置:フーリエ変換核磁気共鳴装置(ブルカー・バイオスピン製AVANCE NEO)
測定溶液:試料100~300mg程度を重水素化クロロホルムに溶解し、トリス(2,4-ペンタンジオナト)クロム(III)を溶液に対し約1wt%添加した。
29Si共鳴周波数:119.22MHz
検出パルスのフリップ角:90°
データ取り込み時間:1.8秒
遅延時間:7.0秒
プロトンデカップリング:インバースゲートデカップル。
積算回数:室温
積算回数:1000~2000回程度。
〔耐熱高分子フィルムの製造例1〕
(ポリアミド酸溶液の調製)
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後、5-アミノ-2-(p-アミノフェニル)ベンゾオキサゾール(DAMBO)223質量部と、N,N-ジメチルアセトアミド4416質量部とを加えて完全に溶解させ、次いで、ピロメリット酸二無水物(PMDA)217質量部とともに、滑材として前記コロイダルシリカ分散体をシリカ(滑材)がポリアミド酸溶液中のポリマー固形分総量に対して0.12質量%になるように加え、25℃の反応温度で24時間攪拌して、還元粘度3.5ηsp/cを有する褐色で粘調なポリアミド酸溶液V1を得た。
(ポリイミドフィルムの作製)
前記で得られたポリアミド酸溶液V1を、スリットダイを用いて幅1050mmの長尺ポリエステルフィルム(東洋紡社製「A-4100」)の平滑面(無滑材面)上に、最終膜厚(イミド化後の膜厚)が25μmとなるように塗布し、105℃にて20分間乾燥した後、ポリエステルフィルムから剥離して、幅920mmの自己支持性のポリアミド酸フィルムを得た。
次いで、得られた自己支持性ポリアミド酸フィルムをピンテンターによって、150℃~420℃の温度領域で段階的に昇温させて(1段目180℃×5分、2段目270℃×10分、3段目420℃×5分間)熱処理を施してイミド化させ、両端のピン把持部分をスリットにて落とし、幅850mmの長尺ポリイミドフィルムF1(1000m巻き)を得た。得られたフィルムF1の特性を表1に示す。
Figure 0007265723000001
〔耐熱高分子フィルムの製造例2〕
フィルム製造例1で得られたフィルムF1を250mm幅にスリットした。次に、スリットした250mm幅のロールを真空下で、巻き出した後、再び巻き取ることにより、ガス出しを行った。次に、3×10-6Torr以下になるまで待って、以下の条件でスパッタリング工程を実施し、このポリイミドフィルムF1上に厚さ15nmのITO層を形成させた。
<スパッタリング時の条件>
DCマグネトロンスパッタリング法
ガス圧:2×10-3Torr
Ar流量:50SCCM
流量:3SCCM
ターゲットのITOの組成:ITOターゲット全体に対して酸化スズ20wt%、(三井金属社製、製品名:ITOターゲット)
ターゲットへの投入電力密度:ITOターゲットに対して2W/cm
処理時間:フィルム送り速度0.1m/min
ITO層作成時の真空度:2×10-3Torr
このフィルムをF2とする。
〔無機基板の製造例1〕(ガラス)
剥離強度測定用の無機基板のうち、ガラスについては、100mm×100mmサイズに切断した、厚さ0.7mmのOA10Gガラス(NEG社製)を使用した。剥離強度測定用の無機基板は、純水洗浄、乾燥後にUV/O照射機(ランテクニカルサービス社製SKR1102N-03)で1min照射によって光洗浄後に使用した。
また、段差確認用の無機基板については、同じガラス(100mm×100mmサイズ)に、スパッタとめっきとエッチングを行うことで、これを製造した。まず、周波数13.56MHz、出力400W、ガス圧0.8Paの条件、ニッケル-クロム(3質量%)合金のターゲットを用い、アルゴンガス雰囲気下にてRFスパッタ法により、10Å/秒のレートで厚さ50Åのニッケル-クロム合金被膜(下地層)を形成し、次いで、基板の温度を100℃にあげ、100Å/秒のレートで銅をスパッタ蒸着し、厚さ0.5μmの銅薄膜を形成させた。
得られた銅薄膜形成ガラスをプラスチック製の枠に固定し、硫酸銅めっき浴をもちいて、厚さ10μmの厚付け銅めっき層(厚付け層)を形成し、その後にストライプ状に100μmの縞状にレジストを感光させて、その後に第2塩化鉄水溶液にてエッチングを行い、100μm幅の銅と100μm幅の銅のない部分が交互になったパターンを作った。
〔無機基板の製造例2〕(Siウエハ)
剥離強度測定用の無機基板のうち、Siウエハとしては、ダミーグレードの4インチウエハを使用した。剥離強度測定用の無機基板は、純水洗浄、乾燥後にUV/O照射機(ランテクニカルサービス社製SKR1102N-03)で1min照射によって光洗浄後に使用した。
また、段差確認用の無機基板として、無機基板の製造例1と同様にして、得られたSiウエハを用いて、同じ条件でスパッタとめっきとエッチングを行うことで、段差確認用の無機基板を製造した。得られた段差確認用の無機基板の平面図を図5Aに示す。
〔無機基板の製造例3〕(SiO系薄膜付きSiウエハ)
剥離強度測定用の無機基板のうち、SiO系薄膜付きSiウエハについては、無機基板の製造例2と同じSiウエハを、上記無機基板の洗浄法にて洗浄後にスパッタ装置に入れて、SiO系薄膜を堆積させて製造した。スパッタ条件は以下の通りとした。周波数13.56MHz、出力400W、ガス圧0.8Paの条件、SiOのターゲットを用い、アルゴンガス雰囲気下にてRFスパッタ法により、3Å/秒のレートで厚さ60ÅのSiO系被膜を形成した。
また、段差確認用の無機基板として、無機基板の製造例1と同様にして、得られたSiウエハを用いて、同じ条件でスパッタとめっきとエッチングを行うことで、段差確認用の無機基板を製造した。得られた段差確認用の無機基板の平面図を図5Bに示す。
〔硬化性樹脂組成物の調製例1〕(硬化性樹脂組成物A)
ビニル基含有フェニルメチルシリコーンレジン(商品名X-40-2667A、信越シリコーン社製)100重量部に対してジビニルベンゼン5重量部を加えて、撹拌して硬化性樹脂組成物Aを調製した。なお、NMR測定の結果から、このシリコーン化合物は、全シロキサン単位のうち、Si-H結合を有するシロキサン単位を11%有し、T単位を21%有することが確認できた。数値を追記下さい。
〔硬化性樹脂組成物の調製例2〕(硬化性樹脂組成物B)
ビニル基含有フェニルメチルシリコーンレジン(商品名X-40-2667A、信越シリコーン社製)100重量部に対してスチリルトリメトキシシラン(信越化学工業社製「KBM-1003」)を0.15重量部、水5重量部を加えて、撹拌して硬化性樹脂組成物Bを調製した。
〔硬化性樹脂組成物の調製例3〕(硬化性樹脂組成物C)
ビニル基含有フェニルメチルシリコーンレジン(商品名X-40-2667A、信越シリコーン社製)100重量部に対してビニルトリメトキシシラン(信越化学工業社製「KBM-1403」)を0.2重量部、水5重量部を加えて、撹拌して硬化性樹脂組成物Cを調製した。
〔硬化性樹脂組成物の調製例4〕(硬化性樹脂組成物D)
ビニル基含有フェニルメチルシリコーンレジン(商品名X-40-2667A、信越シリコーン社製)100重量部のみを硬化性樹脂組成物Dとした。
〔硬化性樹脂組成物の調製例5〕(硬化性樹脂組成物E)
ビニル基含有フェニルメチルシリコーンレジン(商品名X-40-2667A、信越シリコーン社製)100重量部に対して白金触媒含有シリコーンレジン(商品名X-40-2667B、信越シリコーン社製)3重量部を加えて、撹拌して硬化性樹脂組成物Eを調製した。
〔硬化性樹脂組成物の調製例6〕(硬化性樹脂組成物F)
ビニル基含有フェニルメチルシリコーンレジン(商品名X-40-2667A、信越シリコーン社製)100重量部に対してシリカフィラー(トクヤマ製レオロシール)5重量部を加えて、撹拌して硬化性樹脂組成物Fを調製した。
〔硬化性樹脂組成物の調製例7〕(硬化性樹脂組成物G)
ビニル基含有フェニルメチルシリコーンレジン(商品名X-40-2667A、信越シリコーン社製)100重量部に対して、白金触媒入りビニル基含有フェニルメチルシリコーンレジン(商品名X-40-2667B、信越シリコーン社製)100重量部を加えて、撹拌して硬化性樹脂組成物Gを調製した。なお、NMR測定の結果から、このシリコーン化合物は、全シロキサン単位のうち、Si-H結合を有するシロキサン単位を7%有し、T単位を8%有することが確認できた。
〔硬化性樹脂組成物の調製例8〕(硬化性樹脂組成物H)
ビニル基含有フェニルメチルシリコーンレジン(商品名X-40-2667A、信越シリコーン社製)100重量部に対して、白金触媒入りビニル基含有フェニルメチルシリコーンレジン(商品名X-40-2667B、信越シリコーン社製)40重量部と、シリコーンオイル(商品名KR-105、信越シリコーン社製)50重量部を加えて撹拌して硬化性樹脂組成物Hを調製した。なお、NMR測定の結果から、このシリコーン化合物は、全シロキサン単位のうち、Si-H結合を有するシロキサン単位を12%有し、T単位を8%有することが確認できた。
〔アンカー層材料調製例1〕(SCA1)
シランカップリング剤としてビニルトリメトキシシラン(信越化学工業社製「KBM-1003」)をイソプロピルアルコールによって0.5質量%に希釈したシランカップリング剤希釈液SCA1を調製した。
〔アンカー層材料調製例2〕(SCA2)
アンカー層材料調製例1において、シランカップリング剤をスチリルトリメトキシシラン(信越化学工業社製「KBM-1403」)に代えること以外は、同じ条件でSCA2を調製した。
〔アンカー層材料調製例3〕(SCA3)
アンカー層材料調製例1において、シランカップリング剤をメタクリロキシトリメトキシシラン(信越化学工業社製「KBM-503」)に代えること以外は、同じ条件でSCA3を調製した。
〔アンカー層材料調製例4〕(SCA4)
アンカー層材料調製例1において、シランカップリング剤をアミノメトキシシラン(信越化学工業社製「KBM-903」)に代えること以外は、同じ条件でSCA4を調製した。
〔アンカー層1の形成例〕
アンカー層1の形成はスピンコーターによって行った。アンカー層1はアンカー層材料を無機基板へ塗布して形成されたアンカー層を指す。スピンコーター(ジャパンクリエイト社製MSC-500S)に無機基板をセットした後に、イソプロピルアルコールを滴下させてから、1000rpmにて無機基板を回転させると無機基板全面に広がった後に乾燥するので、これを最終洗浄とした。この後に一旦、アンカー層材料を滴下させてから、500rpmにて無機基板を回転させることで無機基板全面に広げた後、2000回転させることで、アンカー層材料の振り切りと乾燥を行った。その後、ホットプレート上で100℃×1minの加熱を行なった。
〔アンカー層2の形成例〕
アンカー層2はアンカー層材料を耐熱高分子フィルムへ塗布して形成されたアンカー層を指す。フィルムに塗布する場合は、フィルムより50mm程度各辺が長いガラスに、テープで留めて、このガラスをスピンコーターにセットして、アンカー層1の形成例と同様に塗布を行った。
〔硬化性樹脂組成物の塗布例1〕(アプリケーターによる塗布)
アプリケーターとして(商品名ベーカーフィルムアプリケーター、コーテック社製)を使い、A3サイズ厚さ10mmのガラスに、塗工する無機基板をセロテープ(登録商標)で固定してから、ギャップ15μmで塗工した。アプリケーターの両端にもサンプルと同じ厚さの無機基板を置き、若干の厚さ調整をこの両端の無機基板に薄いフィルムを敷くことで行い、サンプル上に一定の膜厚となるようにした。
〔硬化性樹脂組成物の塗布例2〕(バーコーターによる塗布)
バーコーターは、ワイヤバーコーター#3を使い、A3サイズ厚さ10mmのガラスに、塗工する無機基板をセロテープ(登録商標)で固定してから、塗工した。
〔積層体の製造例1〕(プレス法)
真空プレスは、プレス装置(井元製作所社製、IMC-1123型)を使い、硬化性樹脂組成物を塗布した無機基板上に120×120mmサイズの耐熱高分子フィルムを重ねてチャンバー内に設置した後、ロータリーポンプにて真空に引き、10+2Pa以下の真空度にて、3MPaの圧力で、150℃で30分、その後に200℃で30分、400℃で60分でのプレスを行なった。昇温時間は機械の昇温速度で、プログラム的には時間を取らずに行った。
〔積層体の製造例2〕(ラミネート法)
ラミネート装置(MCK社製、MRK-1000)を使用して、硬化性樹脂組成物を塗布した無機基板上に120×120mmサイズの耐熱高分子フィルムを重ねて、大気圧雰囲気、室温にて、エアシリンダーによってローラー圧力をかけて、ラミネートを行なった。このときエアー元圧力を0.7MPaの圧力まで昇圧し、雰囲気はクリーンルーム内で、22℃、55%RHであった。ラミネート速度は50mm/secであった。
《実施例1》
表2のように、無機基板の製造例1で得られた剥離強度測定用と段差確認用のガラス基板を無機基板として、硬化性樹脂組成物として硬化性樹脂組成物Aを、耐熱高分子フィルムとしてフィルムF1を使用した。これらを用いて硬化性樹脂組成物の塗布例2(バーコーターによる塗布)に従って無機基板に硬化性樹脂組成物を塗布した後、積層体の製造例1(プレス法)に従って無機基板積層体を製造した。得られた無機基板積層体について、前記の方法で、初期剥離強度、重量減、段差充填性、表面うねりを測定した。その結果を表2に併せて示す。
《実施例2~12》
表2~3に示す無機基板、硬化性樹脂組成物、耐熱高分子フィルムを用いて、硬化性樹脂組成物の塗布例1又は2に従って無機基板に硬化性樹脂組成物を塗布した後、積層体の製造例1又は2に従って無機基板積層体を製造した。その際、一部の実施例については、表2~3に示すアンカー層材料を用いて、アンカー層の形成例に従ってアンカー層を形成した。得られた無機基板積層体について、前記の方法で、初期剥離強度、重量減、段差充填性、表面うねりを測定した。その結果を表2~3に併せて示す。
《比較例1》
表4に示すように、実施例1において、硬化性樹脂組成物Aを塗布する代わりに、アンカー層1の形成例に従ってアンカー層材料(SCA4)によるアンカー層1を形成したこと以外は、全て実施例1と同じ条件で、無機基板積層体を製造した。得られた無機基板積層体について、前記の方法で、初期剥離強度、重量減、段差充填性、表面うねりを測定した。その結果を表4に併せて示す。
《比較例2》
表4に示すように、実施例1において、硬化性樹脂組成物Aを用いる代わりに、硬化性樹脂組成物Dを用いたこと以外は、全て実施例1と同じ条件で、無機基板積層体を製造した。得られた無機基板積層体について、前記の方法で、初期剥離強度、重量減、段差充填性、表面うねりを測定した。その結果を表4に併せて示す。
《比較例3》
表4に示すように、実施例1において、硬化性樹脂組成物Aを用いる代わりに、硬化性樹脂組成物Eを用いると共に、アンカー層1の形成例に従ってアンカー層材料(SCA1)によるアンカー層1を形成したこと以外は、全て実施例1と同じ条件で、無機基板積層体を製造した。得られた無機基板積層体について、前記の方法で、初期剥離強度、重量減、段差充填性、表面うねりを測定した。その結果を表4に併せて示す。
《比較例4》
表4に示すように、実施例1において、硬化性樹脂組成物Aを用いる代わりに、硬化性樹脂組成物Fを用いると共に、アンカー層1の形成例に従ってアンカー層材料(SCA1)によるアンカー層1を形成したこと以外は、全て実施例1と同じ条件で、無機基板積層体を製造した。得られた無機基板積層体について、前記の方法で、初期剥離強度、重量減、段差充填性、表面うねりを測定した。その結果を表4に併せて示す。
《比較例5》
表4に示すように、実施例1において、硬化性樹脂組成物Aを用いる代わりに、硬化性樹脂組成物Gを用いると共に、アンカー層1の形成例に従ってアンカー層材料(SCA1)によるアンカー層1を形成したこと以外は、全て実施例1と同じ条件で、無機基板積層体を製造した。得られた無機基板積層体について、前記の方法で、初期剥離強度、重量減、段差充填性、表面うねりを測定した。その結果を表4に併せて示す。
《比較例6》
表4に示すように、実施例1において、硬化性樹脂組成物Aを用いる代わりに、硬化性樹脂組成物Hを用いると共に、アンカー層1の形成例に従ってアンカー層材料(SCA1)によるアンカー層1を形成したこと以外は、全て実施例1と同じ条件で、無機基板積層体を製造した。得られた無機基板積層体について、前記の方法で、初期剥離強度、重量減、段差充填性、表面うねりを測定した。その結果を表4に併せて示す。
Figure 0007265723000002
Figure 0007265723000003
Figure 0007265723000004
表2~4の結果が示すように、本発明の実施例では、高い耐熱性を有すると共に、無機基板との密着性や凹凸への充填性が良好で、硬化収縮による表面うねりが小さい、硬化性樹脂組成物が実現できた。
これに対して、硬化性樹脂組成物を使用しない比較例1では全く段差充填を行なうことができず、また、硬化性樹脂組成物の種類が異なる比較例2,3,4の場合には、高い耐熱性を有しておらず、無機基板との密着性が低く、凹凸への充填性も不十分となる場合があり、気泡の発生による表面うねりが生じた。また、シリコーン化合物の種類が異なる比較例5~6の場合には、高い耐熱性を有しておらず、無機基板との密着性が悪く、凹凸への充填性も良くない場合があり、気泡の発生による表面うねりが生じた。
10 無機基板
11 ウエハ
12 機能素子(半導体チップ)
21 硬化性樹脂組成物
22 絶縁層(硬化性樹脂組成物の硬化物)
31 耐熱高分子フィルム
43 機能素子(半導体チップ)

Claims (8)

  1. 複数の機能素子が形成された無機基板の機能素子形成面に、上面が平坦な絶縁層を形成するために使用される硬化性樹脂組成物であって、
    一種又は複数種のシリコーン化合物であり、ビニル基を有するシロキサン単位を有し、全シロキサン単位のうち、Si-H結合を有するシロキサン単位を10~25%有し、T単位(RSiO3/2、Rは1価の置換基(Hを含む))を10~23%有するシリコーン化合物、及び
    ビニル基を複数有する架橋剤、又はビニル基を有するシランカップリング剤(但し、前記シリコーン化合物を除く)
    を含むことを特徴とする硬化性樹脂組成物。
  2. 複数の機能素子が形成された無機基板と、請求項1に記載の硬化性樹脂組成物が硬化してなる絶縁層と、を含み、
    前記絶縁層は、前記機能素子の間の凹部にも充填されると共に、上面が平坦に形成されていることを特徴とする無機基板積層体。
  3. 前記絶縁層の上面には、更に耐熱高分子フィルムを含む請求項2に記載の無機基板積層体。
  4. 前記絶縁層の上面、又は、前記耐熱高分子フィルムの上面には、複数の機能素子が形成されている請求項2又は3に記載の無機基板積層体。
  5. 複数の機能素子が形成された無機基板の機能素子形成面に、請求項1に記載の硬化性樹脂組成物を塗布する塗布工程と、
    前記硬化性樹脂組成物の上面が平坦な状態で前記硬化性樹脂組成物を硬化させる硬化工程と、を含むことを特徴とする無機基板積層体の製造方法。
  6. 前記塗布工程の後に、耐熱高分子フィルムを積層する工程を含み、
    前記硬化工程が、前記耐熱高分子フィルムを積層した状態で前記硬化性樹脂組成物を硬化させるものである請求項5に記載の無機基板積層体の製造方法。
  7. 更に、前記耐熱高分子フィルムを剥離する剥離工程を含む請求項6に記載の無機基板積層体の製造方法。
  8. 更に、前記絶縁層の上面、又は、前記耐熱高分子フィルムの上面に、複数の機能素子を形成する素子形成工程を含む請求項6又は7に記載の無機基板積層体の製造方法。
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