以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。また、以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに必ずしも限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
(積層フィルムの切断方法)
本発明を適用した積層フィルムの切断方法は、材質の異なる複数の樹脂層が積層された積層フィルムを切断ラインに沿って切断する際に、積層フィルムの切断ラインを波長の異なる複数のレーザー光で走査することによって、複数の樹脂層を切断することを特徴とする。
そこで、本実施形態では、本発明を適用した積層フィルムの切断方法の一具体例として、例えば図1に示す偏光板(積層フィルム)FXを切断する場合を例に挙げて説明する。
偏光板FXは、図1に示すように、その最上層が表面保護フィルムS2により保護されている。なお、この表面保護フィルムS2は、切断工程により偏光板FXと共に、所定の大きさのシート片とし、液晶パネルへ貼合した後に、偏光板FX上から剥離除去される。かかる表面保護フィルムS2としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用いることができる。
偏光板FXは、一対の保護層S3,S4の間に偏光子層S5が挟み込まれた積層構造を有している。具体的に、本実施形態の偏光板FXは、下層側の保護層S3としてシクロオレフィンポリマー(COP)層と、偏光子層S5としてポリビニルアルコール(PVA)層と、上層側の保護層S4としてトリアセチルセルロース(TAC)層とが、この順で積層された積層フィルムを構成している。
なお、図1に示す偏光板FXの積層構造は、ほんの一例であり、このような積層構造に必ずしも限定されるものではなく、材質の異なる複数の樹脂層(フィルム)が積層された積層フィルムとして、各樹脂層(フィルム)に用いる材料や厚み等を適宜変更して実施することが可能である。
(フレキシブル画像表示装置)
本発明を適用した積層フィルムの製造方法は、フレキシブル画像表示装置に適用される積層フィルム(フレキシブル画像表示装置用積層フィルム)を製造する際に好適に用いることができる。
フレキシブル画像表示装置は、フレキシブル画像表示装置用積層フィルムと、有機EL表示パネルとからなり、有機EL表示パネルに対して視認側にフレキシブル画像表示装置用積層体が配置され、折り曲げ自在に構成されている。
フレキシブル画像表示装置用積層体としては、ウィンドウフィルム(以下、「ウィンドウ」と略称することがある。)と、円偏光板と、タッチセンサとの中から選ばれる少なくとも2つ以上を含むものであればよい。なお、ウィンドウ、円偏光板及びタッチセンサは、何れも可撓性(フレキシブル性)を有するものである。
また、ウィンドウ、円偏光板及びタッチセンサの積層順序については、任意であるが、視認側からウィンドウ、円偏光板及びタッチセンサの順で積層した構成、又は、視認側からウィンドウ、タッチセンサ及び円偏光板の順で積層し構成とすることが好ましい。タッチセンサの視認側に円偏光板が存在すると、タッチセンサのパターンが視認されにくくなり、表示画像の視認性が良くなるので好ましい。
また、ウィンドウ、円偏光板及びタッチセンサは、接着剤や粘着剤などを用いて貼り合わせることで積層することができる。また、ウィンドウと、円偏光板と、タッチセンサとの何れかの層の少なくとも一面に、遮光パターンを形成することができる。
(ウィンドウ)
ウィンドウは、フレキシブル画像表示装置の視認側に配置され、その他の構成要素を外部からの衝撃又は温湿度などの環境変化から保護する保護層としての役割を担っている。従来、このような保護層としては、ガラスが使用されてきたが、フレキシブル画像表示装置におけるウィンドウは、ガラスのように剛直で堅いものではなく、上述したフレキシブル性を有する透明基材からなる。この透明基材は、少なくとも一面にハードコート層を含んでいてもよい。
(透明基材)
ウィンドウに用いる透明基材の透明性は、可視光線の透過率が70%以上であることが好ましく、より好ましくは80%以上である。透明基材は、透明性のある高分子フィルムであれば特に限定はなく、どのようなものでも使用することが可能である。
具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ノルボルネン又はシクロオレフィンを含む単量体の単位を有するシクロオレフィン系誘導体などのポリオレフィン類;ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、プロピオニルセルロースなどの(変性)セルロース類;メチルメタクリレート(共)重合体などのアクリル類;スチレン(共)重合体などのポリスチレン類;アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体類;アクリロニトリル・スチレン共重合体類;エチレン-酢酸ビニル共重合体類;ポリ塩化ビニル類、ポリ塩化ビニリデン類などのハロゲン含有重合体;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレートなどのポリエステル類;ナイロンなどのポリアミド類;ポリイミド類、ポリアミドイミド類、ポリエーテルイミド類などのポリイミド類;ポリエーテルスルホン類、ポリスルホン類などのポリスルホン類;ポリビニルアルコール類;ポリビニルアセタール類;ポリウレタン類;エポキシ樹脂類などの高分子からなるフィルムを用いることができる。また、これらの高分子からなる未延伸フィルムや、1軸又は2軸延伸フィルムを使用することができる。
さらに、これらの高分子は、それぞれ単独又は2種以上を混合して使用することができる。その中でも、透明性及び耐熱性に優れたポリアミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム又はポリイミドフィルム、ポリエステル系フィルム、オレフィン系フィルム、アクリルフィルム、セルロース系フィルムを用いることが好ましい。
透明基材の中には、シリカなどの無機粒子、有機微粒子、ゴム粒子などを分散させることが好ましい。さらに、透明基材の中には、顔料や染料のような着色剤、蛍光増白剤、分散剤、可塑剤、熱安定剤、光安定剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、酸化防止剤、滑剤、溶剤などの配合剤を含有させてもよい。透明基材の厚みは、5~200μmであることが好ましく、より好ましくは20~100μmである。
(ハードコート)
ウィンドウには、透明基材の表面における傷付きを防止するため(耐擦傷性の向上のため)、少なくとも一面にハードコート層が設けられていてもよい。ハードコート層の厚みは、特に限定されないが、例えば2~100μmであればよい。ハードコート層の厚みが2μm未満になると、十分な耐擦傷性を確保することが難しなる。一方、ハードコート層の厚みが100μmを超えると、フレキシブル性が低下し、硬化収縮によるカール発生の問題が発生することがある。
ハードコート層は、活性エネルギー線又は熱エネルギーを照射して架橋構造を形成する反応性材料を含むハードコート組成物の硬化により形成することができる。その中でも、活性エネルギー線を照射して架橋構造を形成するもの、すなわち、活性エネルギー線硬化によるものが好ましい。活性エネルギー線とは、活性種を発生する化合物を分解して活性種を発生させることができるエネルギー線と定義される。活性エネルギー線としては、例えば、可視光線、紫外線、赤外線、X線、α線、β線、γ線及び電子線などが挙げられる。その中でも、紫外線を用いることが特に好ましい。
ハードコート組成物は、ラジカル重合性化合物及びカチオン重合性化合物の少なくとも1種の重合物を含有する。ラジカル重合性化合物とは、ラジカル重合性基を有する化合物である。ラジカル重合性基としては、ラジカル重合反応を生じ得る官能基であればよく、炭素-炭素不飽和二重結合を含む基などが挙げられる。具体的には、ビニル基、(メタ)アクリロイル基などが挙げられる。なお、ラジカル重合性化合物が2個以上のラジカル重合性基を有する場合、これらのラジカル重合性基は、それぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。
ラジカル重合性化合物が1分子中に有するラジカル重合性基の数は、ハードコート層の硬度を向上する点から、2つ以上であることが好ましい。ラジカル重合性化合物としては、反応性の高さの点から、(メタ)アクリロイル基を有する化合物であることが好ましく、1分子中に2~6個の(メタ)アクリロイル基を有する多官能アクリレートモノマーと称される化合物やエポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートと称される分子内に数個の(メタ)アクリロイル基を有する分子量が数百から数千のオリゴマーを使用することが好ましい。また、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートの中から選択された1種以上を含むことが好ましい。
カチオン重合性化合物とは、エポキシ基、オキセタニル基、ビニルエーテル基などのカチオン重合性基を有する化合物である。カチオン重合性化合物が1分子中に有するカチオン重合性基の数は、ハードコート層の耐擦傷性を向上する点から、2つ以上であることが好ましく、3つ以上であることが更に好ましい。
また、カチオン重合性化合物としては、カチオン重合性基としてエポキシ基とオキセタニル基との少なくとも1種の環状エーテル基を有する化合物であることが好ましい。環状エーテル基は、重合反応に伴う収縮が小さいという点から好ましい。また、環状エーテル基のうちエポキシ基を有する化合物は、多様な構造の化合物が市場から入手し易く、得られたハードコート層の耐擦傷性や耐久性に悪影響を与えない。
また、ハードコート組成物として、ラジカル重合性化合物とカチオン重合性化合物とを含む場合、ラジカル重合性化合物との相溶性もコントロールし易いという利点がある。環状エーテル基のうちオキセタニル基は、エポキシ基と比較して重合度が高くなり易く、低毒性であり、得られたハードコート層のカチオン重合性化合物から得られるネットワーク形成速度を早め、ラジカル重合性化合物と混在する領域でも未反応のモノマーを膜中に残さないという効果がある。さらに、独立したネットワークを形成するなどの利点がある。
エポキシ基を有するカチオン重合性化合物としては、例えば、脂環を有する多価アルコールのポリグリシジルエーテル;シクロヘキセン環やシクロペンテン環含有化合物を、過酸化水素、過酸などの適当な酸化剤でエポキシ化することによって得られる脂環族エポキシ樹脂;脂肪族多価アルコール、又はそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル、脂肪族長鎖多塩基酸のポリグリシジルエステル、グリシジル(メタ)アクリレートのホモポリマー、コポリマーなどの脂肪族エポキシ樹脂;ビスフェノールA、ビスフェノールFや水添ビスフェノールAなどのビスフェノール類、又はそれらのアルキレンオキサイド付加体;カプロラクトン付加体などの誘導体と、エピクロルヒドリンとの反応によって製造されるグリシジルエーテル及びノボラックエポキシ樹脂など;ビスフェノール類から誘導されるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂などが挙げられる。
ハードコート組成物は、更に重合開始剤を含んでいてもよい。重合開始剤としては、例えば、ラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤、ラジカル及びカチオン重合開始剤などが挙げられる。その中から使用する重合性化合物の種類に応じて適宜選択して用いることができる。これらの重合開始剤は、活性エネルギー線照射及び加熱の少なくとも一種により分解されて、ラジカル又はカチオンを発生してラジカル重合とカチオン重合を進行させるものである。
ラジカル重合開始剤は、活性エネルギー線照射及び加熱の少なくとも何れかによりラジカル重合を開始させる物質を放出することが可能であればよい。例えば、熱ラジカル重合開始剤としては、過酸化水素、過安息香酸などの有機過酸化物、アゾビスブチロニトリルなどのアゾ化合物などが挙げられる。
活性エネルギー線ラジカル重合開始剤としては、分子の分解でラジカルが生成されるType1型ラジカル重合開始剤と、3級アミンと共存して水素引き抜き型反応でラジカルを生成するType2型ラジカル重合開始剤とがあり、それぞれ単独で又は併用して使用することができる。
カチオン重合開始剤は、活性エネルギー線照射及び加熱の少なくとも何れかによりカチオン重合を開始させる物質を放出することが可能であればよい。カチオン重合開始剤としては、例えば、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩、シクロペンタジエニル鉄(II)錯体などが使用できる。これらは、構造の違いによって活性エネルギー線照射又は加熱の何れか又は何れでもカチオン重合を開始することができる。
重合開始剤は、ハードコート組成物の全体100重量%に対して0.1~10重量%を含むことができる。重合開始剤の含量が0.1重量%未満の場合、硬化を十分に進行させにくくなり、最終的に得られた塗膜の機械的物性や密着力を具現することが難しくなる。一方、重合開始剤の含量が10重量%を超える場合、硬化収縮による接着力不良や割れ現象及びカール現象が発生することがある。
ハードコート組成物は、更に溶剤と添加剤との中から選択される一つ以上を含んでいてもよい。溶剤は、重合性化合物及び重合開始剤を溶解又は分散させることができるものであればよく、本技術分野のハードコート組成物の溶剤として従来より知られているものならば制限なく使用することができる。添加剤としては、例えば、無機粒子、レベリング剤、安定剤、界面活性剤、帯電防止剤、潤滑剤、防汚剤などを挙げられる。
[円偏光板]
円偏光板は、右円偏光成分又は左円偏光成分のみを透過させる機能を有する機能層である。例えば、表示装置に入射した外光を右円偏光に変換し、この右円偏光が、有機ELパネルで反射されて左円偏光となることで、当該左円偏光を円偏光板で遮断することができる。この結果、反射光の影響を抑制して、有機ELの発光成分のみを透過させることで、画像を見易くするために、円偏光板が用いられる。
円偏光としての機能を達成するためには、直線偏光板及びλ/4位相差板を積層して組み合わせ、当該直線偏光板の吸収軸と、当該λ/4位相差板の遅相軸との角度を理論上45°とする必要があるが、実用的には45°±10°であればよい。
直線偏光板とλ/4位相差板とは、必ずしも隣接して積層される必要はなく、吸収軸と遅相軸の関係が上記の範囲を満足していればよい。全波長において完全な円偏光を達成することが好ましいが、実用上は、必ずしもその必要はないので、フレキシブル画像表示装置に用いる円偏光板は、楕円偏光板を包含してもよい。さらに、直線偏光板の視認側にλ/4位相差フィルムを積層して、出射光を円偏光とすることで、偏光サングラスをかけた状態での視認性を向上させることも可能である。
直線偏光板は、透過軸方向に振動している光は通すが、それとは垂直な振動成分の偏光を遮断する機能を有する機能層である。また、直線偏光板は、直線偏光子単独又は直線偏光子及びその少なくとも一面に貼り付けられた保護フィルムを備えた構成であってもよい。直線偏光板の厚みは、200μm下であればよく、好ましくは0.5~100μmである。直線偏光板の厚みが200μmを超えると、フレキシブル性が低下することがある。
直線偏光子は、直線偏光板において、偏光子層として機能するものであり、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)系フィルムを染色、延伸することで製造されるフィルム型偏光子などが挙げられる。また、延伸によって配向したPVA系フィルムに、ヨウ素などの二色性色素が吸着、又はPVA系フィルムのPVA分子に吸着した状態で延伸されることで二色性色素が配向し、偏光性能を発揮する。
フィルム型偏光子の製造においては、その他にも、膨潤、ホウ酸による架橋、水溶液による洗浄、乾燥などの各工程を有していてもよい。延伸工程や染色工程は、PVA系フィルム単独で行ってもよく、ポリエチレンテレフタレートのような他のフィルムと積層された状態で行うこともできる。使用するPVA系フィルムとしては、厚みが10~100μm、延伸倍率が2~10倍であることが好ましい。
以上、フィルム型偏光子を直線偏光子として有する直線偏光板、及び当該直線偏光板を有する円偏光板について説明したが、この円偏光板のフレキシブル性を向上させるためには、当該円偏光板の厚みを更に薄くし、より薄膜の偏光子(薄膜偏光子)を用いることが好ましい。
このような薄膜偏光子の一例としては、液晶偏光組成物を塗布して形成する液晶塗布型偏光子を挙げることができる。液晶偏光組成物は、液晶性化合物及び二色性色素化合物を含むものが挙げられる。
液晶性化合物としては、液晶状態を示す性質を有していればよく、特にスメクチック相などの高次の配向状態を有していることが、高い偏光性能を発揮することができるため好ましい。また、重合性官能基を有していることが好ましい。
二色性色素化合物は、液晶化合物と共に配向して二色性を示す色素であって、二色性色素自身が液晶性を有していてもよく、重合性官能基を有していてもよい。典型的な液晶偏光組成物に含まれる何れかの化合物は、重合性官能基を有している。
さらに、液晶偏光組成物は、開始剤や溶剤を含むことが好ましく、さらに、分散剤やレベリング剤、安定剤、界面活性剤、架橋剤、シランカップリング剤などの添加剤を含んでいてもよい。
液晶偏光層は、配向膜上に液晶偏光組成物を塗布して液晶偏光層を形成することで製造することができる。このような液晶偏光層は、フィルム型偏光子に比べて厚みを薄くできるという利点がある。その場合、液晶偏光層の厚みは、0.5~10μmであることが好ましく、より好ましくは1~5μmである。
配向膜は、例えば、適当な基材を用い、当該基材上に配向膜形成組成物を塗布し、ラビングや、偏光照射などにより配向性を付与することで、基材上に製造することができる。配向膜形成組成物は、配向剤の他に、溶剤や、架橋剤、開始剤、分散剤、レベリング剤、シランカップリング剤などを含んでいてもよい。
配向剤としては、例えば、ポリビニルアルコール類、ポリアクリレート類、ポリアミック酸類、ポリイミド類を使用することができる。光配向を適用する場合(偏光照射)には、シンナメート基を含む配向剤を使用することが好ましい。配向剤として使用される高分子は、重量平均分子量が10,000~1000,000程度であってもよい。配向膜の厚みは、5~10000nmであることが好ましく、特に10~500nmであれば、配向規制力が十分に発現されるため、更に好ましい。
配向膜を備えた基材上に形成した液晶偏光層は、基材から剥離することもでき、基材、配向膜及び液晶偏光層が積層した積層体に第2の基材を貼合し、この第2の基材に液晶偏光層を転写することもできる。第2の基材に液晶偏光層を転写する場合、この第2の基材を保護フィルムや位相差板、ウィンドウの透明基材としての役割を担うことができる。
保護フィルムとしては、透明な高分子フィルムであればよく、透明基材として例示した材料、並びに添加剤が使用できる。その中でも、セルロース系フィルム、オレフィン系フィルム、アクリルフィルム、ポリエステル系フィルムを用いることが好ましい。また、エポキシ樹脂などのカチオン硬化組成物やアクリレートなどのラジカル硬化組成物を塗布して硬化して得られるコーティング型の保護フィルムであってもよい。
さらに、必要により、可塑剤や、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、顔料や染料のような着色剤、蛍光増白剤、分散剤、熱安定剤、光安定剤、帯電防止剤、酸化防止剤、滑剤、溶剤などを含んでいてもよい。保護フィルムの厚みは、200μm以下であればよく、好ましくは、1~100μmである。保護フィルムの厚みが200μmを超えると、フレキシブル性が低下することがある。また、保護フィルムは、ウィンドウの役割を兼ねることもできる。
λ/4位相差板は、入射光の進行方向に直行する方向(フィルムの面内方向)にλ/4の位相差を与えるフィルムである。λ/4位相差板は、例えば、セルロース系フィルム、オレフィン系フィルム、ポリカーボネート系フィルムなどの高分子フィルムを延伸することで製造される延伸型位相差板であってもよい。また、必要により、位相差調整剤や、可塑剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、顔料や染料のような着色剤、蛍光増白剤、分散剤、熱安定剤、光安定剤、帯電防止剤、酸化防止剤、滑剤、溶剤などを含んでいてもよい。延伸型位相差板の厚みは、200μm以下であればよく、好ましくは1~100μmである。延伸型位相差板の厚みが200μmを超えると、柔軟性が低下することがある。
さらに、このようなλ/4位相差板としては、液晶組成物を塗布して形成することで形成される液晶塗布型位相差板であってもよい。液晶塗布型位相差板を形成するための液晶組成物は、例えば、ネマチック、コレステリック、スメクチックなどの液晶状態を示す性質を有する液晶性化合物を含む。液晶組成物に含まれる液晶性化合物の何れかは、重合性官能基を有している。
さらに、液晶組成物は、開始剤や、溶剤、分散剤、レベリング剤、安定剤、界面活性剤、架橋剤、シランカップリング剤などを含んでいてもよい。液晶塗布型位相差板は、上記液晶偏光層で記載したものと同様に、配向膜上に液晶組成物を塗布硬化して液晶位相差層を形成することで製造することができる。
液晶塗布型位相差板は、延伸型位相差板に比べて厚みを薄く形成することができる。具体的に、液晶偏光層の厚みは、0.5~10μmであることが好ましく、より好ましくは1~5μmである。液晶塗布型位相差板は、基材から剥離して転写して積層することもでき、基材をそのまま積層することもできる。基材は、保護フィルムや、位相差板、ウィンドウの透明基材としての役割を担うこともできる。
位相差板は、一般的には短波長ほど複屈折が大きく、長波長になるほど小さな複屈折を示すことが多い。この場合、全可視光領域でλ/4の位相差を与えることはできないので、視感度の高い560nm付近に対してλ/4となるように設計されることが多い。また、位相差板の面内位相差は、100~180nmであることが好ましく、より好ましくは130~150nmである。
通常とは逆の複屈折率波長分散特性を有する材料を用いた逆分散λ/4位相差板を円偏光板に用いることは、視認性を良くすることができるので好ましい。このような材料を延伸型位相差板とした場合、例えば、特開2007‐232873号公報などに記載されているものを用いることができる。また、液晶塗布型位相差板の場合には、特開2010‐30979号公報に記載されているものを用いることができる。
また、他の方法としては、λ/4位相差板とλ/2位相差板と組み合わせることで広帯域λ/4位相差板を得る技術も知られている(例えば、特開平10-90521号公報を参照。)。λ/2位相差板は、λ/4位相差板と同様の材料や方法で製造される。その場合、延伸型位相差板と液晶塗布型位相差板との組み合わせは任意であるが、どちらも液晶塗布型位相差板を用いて膜厚を薄くできるので好ましい。
円偏光板は、斜め方向の視認性を高めるために、正のCプレートを積層する方法も知られている(例えば、特開2014‐224837号公報を参照。)。正のCプレートは、液晶塗布型位相差板であってもよく、延伸型位相差板であってもよい。厚み方向の位相差は、-200~-20nmであることが好ましく、より好ましくは-140~-40nmである。
(タッチセンサ)
タッチセンサは、フレキシブル画像表示装置の入力手段として用いられる典型的な部材である。タッチセンサとしては、例えば、抵抗膜方式、表面弾性波方式、赤外線方式、電磁誘導方式、静電容量方式など、様々な方式のものを用いることができ、その中でも静電容量方式を用いることが好ましい。
静電容量方式タッチセンサは、活性領域及び当該活性領域の外郭部に位置する非活性領域に区分される。活性領域は、表示パネルで画面が表示される領域(表示部)に対応する領域であって、使用者のタッチが感知される領域である。一方、非活性領域は、画像表示装置で画面が表示されない領域(非表示部)に対応する領域である。
タッチセンサは、フレキシブルな特性を有する基板と、基板の活性領域に形成された感知パターンと、基板の非活性領域に形成され、感知パターンとパッド部とを介して外部の駆動回路と接続するための各センシングラインとを含むことができる。
フレキシブルな特性を有する基板としては、ウィンドウの透明基板と同様の材料が使用できる。タッチセンサの基板は、靱性が2,000MPa%以上のものがタッチセンサのクラック抑制の面から好ましい。より好ましくは、靱性が2,000MPa%~30,000MPa%である。ここで、「靭性」とは、高分子材料の引張試験で求められる応力(MPa)-ひずみ(%)曲線(Stress-strain curve)から求められる性質である。すなわち、引張試験を実施して、応力付加開始から試験高分子材料の破壊点までの応力(MPa)-ひずみ(%)曲線を求め、得られた曲線の面積で定義されるものである。
感知パターンは、第1方向に形成された第1パターン及び第2方向に形成された第2パターンを備えることができる。第1パターン及び第2パターンは、互いに異なる方向に配置される。第1パターン及び第2パターンは、同一層に形成され、タッチされる地点を感知するためには、それぞれのパターンが電気的に接続されなければならない。第1パターンは、各単位パターンが継ぎ手を介して互いに接続された形態である。一方、第2パターンは、各単位パターンがアイランド形態に互いに分離された構造になっている。したがって、第2パターンを電気的に接続するためには、別途のブリッジ電極が必要である。
感知パターンは、周知の透明電極素材を用いることができる。例えば、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、亜鉛酸化物(ZnO)、インジウム亜鉛スズ酸化物(IZTO)、カドミウムスズ酸化物(CTO)、PEDOT(poly(3,4―ethylenedioxythiophene))、炭素ナノチューブ(CNT)、グラフェン、金属ワイヤなどを挙げることができ、これらは単独又は2種以上混合して使用することができる。その中でも、ITOを使用することが好ましい。
金属ワイヤに使用される金属は、特に限定されないが、例えば、銀、金、アルミニウム、銅、鉄、ニッケル、チタン、テレニウム、クロムなどを挙げることができる。これらは単独又は2種以上混合して使用することができる。
ブリッジ電極は、感知パターンの上部に絶縁層を介して形成することができる。ブリッジ電極は、基板上に形成されており、その上に絶縁層及び感知パターンを形成することができる。ブリッジ電極は、感知パターンと同じ素材で形成することもでき、例えば、モリブデン、銀、アルミニウム、銅、パラジウム、金、白金、亜鉛、スズ、チタン又はこれらのうちの2種以上の合金などの金属で形成することができる。
第1パターンと第2パターンとは電気的に絶縁されなければならないので、感知パターンとブリッジ電極との間には、絶縁層が形成される。絶縁層は、第1パターンの継ぎ手とブリッジ電極の間にのみ形成することができる。また、感知パターンを覆う層の構造に形成することもできる。後者の場合、ブリッジ電極は、絶縁層に形成されたコンタクトホールを介して第2パターンと接続することができる。
タッチセンサは、パターンが形成されたパターン領域と 、パターンが形成されていない非パターン領域と間の透過率の差、具体的には、これらの領域における屈折率の差によって誘発される光透過率の差を適切に補償するための手段として、基板と電極との間に光学調節層を更に含むことができる。
光学調節層は、無機絶縁物質又は有機絶縁物質を含むことができる。光学調節層は、光硬化性有機バインダー及び溶剤を含む光硬化組成物を基板上にコーティングして形成することができる。さらに、光硬化組成物は、無機粒子を含むことができる。この無機粒子によって、光学調節層の屈折率が上昇する。
光硬化組成物に含まれる光硬化性有機バインダーとしては、例えば、アクリレート系単量体、スチレン系単量体、カルボン酸系単量体などの各単量体の共重合体を用いることができる。光硬化性有機バインダーは、例えば、エポキシ基含有繰り返し単位、アクリレート繰り返し単位、カルボン酸繰り返し単位などの互いに異なる各繰り返し単位を含む共重合体であってもよい。
光硬化組成物に含まれる無機粒子としては、例えば、ジルコニア粒子や、チタニア粒子、アルミナ粒子などが挙げられる。さらに、光硬化組成物は、例えば、光重合開始剤や、重合性モノマー、硬化補助剤などの各添加剤を含むことができる。
(接着層)
フレキシブル画像表示装置用積層体を形成する各層(ウィンドウ、円偏光板、タッチセンサ)、並びに各層を構成するフィルム部材(直線偏光板、λ/4位相差板など)は、接着剤から形成される接着層を介して貼合することができる。
接着剤としては、例えば、水系接着剤や、有機溶剤系、無溶剤系接着剤、固体接着剤、溶剤揮散型接着剤、湿気硬化型接着剤、加熱硬化型接着剤、嫌気硬化型、活性エネルギー線硬化型接着剤、硬化剤混合型接着剤、熱溶融型接着剤、感圧型接着剤(粘着剤)、再湿型接着剤など、汎用のものが使用できる。その中でも、水系接着剤、溶剤揮散型接着剤、活性エネルギー線硬化型接着剤、粘着剤がよく用いられる。
接着剤層の厚みは、求められる接着力などに応じて適宜調節することができ、好ましくは0.01~500μm、より好ましくは0.1~300μmである。フレキシブル画像表示装置用積層体が複数の接着層を有する場合、各接着層の厚みや種類は、同じであっても、異なっていてもよい。
水系接着剤とは、水を主として含むものであり、ポリビニルアルコール系ポリマー、でんぷんなどの水溶性ポリマー、エチレン-酢酸ビニル系エマルジョン、スチレン-ブタジエン系エマルジョンなど水分散状態のポリマーを主剤ポリマーとして使用することができる。また、水、主剤ポリマーに加えて、架橋剤、シラン系化合物、イオン性化合物、架橋触媒、酸化防止剤、染料、顔料、無機フィラー、有機溶剤などを配合してもよい。
水系水系溶剤揮散型接着剤によって接着する場合、水系水系溶剤揮散型接着剤を被接着層間に注入して被着層を貼合した後、乾燥させることで接着性を付与することができる。水系接着剤を用いる場合の接着層の厚みは、0.01~10μmであることが好ましく、より好ましくは0.1~1μmである。水系接着剤を複数の接着層に用いる場合、各接着層の厚みや種類は、同じであっても、異なっていてもよい。
活性エネルギー線硬化型接着剤は、活性エネルギー線を照射して接着剤層を形成する反応性材料を含む活性エネルギー線硬化組成物の硬化により形成することができる。活性エネルギー線硬化組成物は、ラジカル重合性化合物及びカチオン重合性化合物の少なくとも1種の重合物を含有することができる。
ここでいうラジカル重合性化合物及びカチオン重合性化合物の具体例は、上述したハードコート組成物に含まれるラジカル重合性化合物及びカチオン重合性化合物と同様である。その中でも、ラジカル重合性化合物を用いることが好ましい。特に、接着層形成に用いられる活性エネルギー線硬化型接着剤に含まれるラジカル重合性化合物としては、アクリロイル基を有する化合物を用いることが好ましい。また、活性エネルギー線硬化型接着剤自体の粘度を下げるために、ラジカル重合性化合物として単官能の化合物を含むことが好ましい。
カチオン重合性化合物は、上述したハードコート組成物で説明したものと同様である。その中でも、活性エネルギー線硬化接着剤に用いられるカチオン重合性化合物としては、エポキシ化合物を用いることが好ましい。また、接着剤組成物としての粘度を下げるために、単官能の化合物を反応性希釈剤として含むことが好ましい。
活性エネルギー線硬化型接着剤は、更に重合開始剤を含むことができる。重合開始剤としては、例えば、ラジカル重合開始剤や、カチオン重合開始剤、ラジカル及びカチオン重合開始剤などであり、重合性化合物の種類に応じて適宜選択して用いることができる。これらラジカル重合開始剤や、カチオン重合開始剤、ラジカル及びカチオン重合開始剤の具体例は、上述したハードコート組成物に含まれる重合開始剤で説明したものと同じものが挙げられる。
さらに、活性エネルギー線硬化組成物は、イオン捕捉剤や、酸化防止剤、連鎖移動剤、密着付与剤、熱可塑性樹脂、充填剤、流動粘度調整剤、可塑剤、消泡剤溶剤、添加剤、溶剤などを含むことができる。活性エネルギー線硬化型接着剤を用いる場合、活性エネルギー線硬化組成物を被接着層の何れか又は両方に塗布した後に貼合し、何れかの被着層又は両方の被着層を通して活性エネルギー線を照射して硬化させることで接着できる。活性エネルギー線硬化型接着剤を用いる場合、接着層の厚みは、0.01~20μmであることが好ましく、より好ましくは0.1~10μmである。活性エネルギー線硬化型接着剤を複数層用いる場合、各層の厚みや種類は、同じであっても、異なっていてもよい。
粘着剤としては、主剤ポリマーの種類に応じて、例えば、アクリル系粘着剤や、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤などに分類される。また、フレキシブル画像表示装置用積層体の各層の貼合に使用することもできる。粘着剤は、主剤ポリマーに加えて、架橋剤や、シラン系化合物、イオン性化合物、架橋触媒、酸化防止剤、粘着付与剤、可塑剤、染料、顔料、無機フィラーなどを配合してもよい。
粘着剤を構成する各成分を溶剤に溶解・分散させて粘着剤組成物を得て、該粘着剤組成物を基材上に塗布した後に乾燥させることで、粘着剤層接着層が形成される。粘着剤組成物から形成される粘着層は、被接着体に当該粘着剤組成物を直接塗布してもよく、別途基材に形成したものを転写してもよい。
また、接着前の粘着面をカバーするために、離型フィルムを使用することが好ましい。活性エネルギー線硬化型接着剤を用いる場合、接着層の厚みは、0.1~500μmであることが好ましく、より好ましくは1~300μmである。粘着剤を複数層用いる場合、各層の厚みや種類は、同じであっても、異なっていてもよい。
(遮光パターン)
遮光パターンは、フレキシブル画像表示装置のベゼル又はハウジングの少なくとも一部として適用することができる。遮光パターンによってフレキシブル画像表示装置の辺縁部に配置される配線が隠されて視認されにくくすることで、画像の視認性が向上する。
遮光パターンは、単層又は複層の形態であってもよい。遮光パターンのカラーは、特に制限されることはなく、黒色、白色、金属色などの多様なカラーを有する。遮光パターンは、カラーを具現するための顔料と、アクリル系樹脂、エステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリウレタン、シリコーンなどの高分子とで形成することができる。また、これらを単独又は2種類以上の混合物として使用してもよい。
遮光パターンは、例えば、印刷や、リソグラフィ、インクジェットなど各種の方法にて形成することができる。遮光パターンの厚みは、1~100μmであることが好ましく、より好ましくは2~50μmである。また、遮光パターンは、その厚み方向に傾斜などの形状を付与することも可能である。
<レーザー加工装置>
図2は、本実施形態の切断工程で用いられるレーザー加工装置30の一例を示す斜視図である。
図2に示すレーザー加工装置30は、偏光板FXに対して、レーザー光Lを照射するレーザー照射装置(照射手段)31と、偏光板FXの切断ラインCに沿ってレーザー光Lを走査するレーザー走査装置(走査手段)32と、各部の駆動を制御する駆動制御装置(駆動制御手段)33とを概略備えている。
また、図3は、レーザー照射装置31の具体的な構成を示す斜視図である。
図3に示すレーザー照射装置31は、第1のレーザー光L1を出射する第1のレーザー光源34Aと、第2のレーザー光L2を出射する第2のレーザー光源34Bと、第1のレーザー光L1と第2のレーザー光L2とを同一方向に向けて透過又は反射させるダイクロイックミラー(光路変換手段)35と、第1及び第2のレーザー光L1,L2を偏光板FXに向かって集光させる集光レンズ(集光光学系)36と、ダイクロイックミラー35と集光レンズ36との間の光路中に配置されて、偏光板FXに照射される第1及び第2のレーザー光L1,L2の照射位置を調整する第1及び第2の位置調整機構37A,37B(位置調整手段)とを概略備えている。
なお、上記図2に示すレーザー加工装置30では、波長の異なる第1のレーザー光L1と第2のレーザー光L2とを区別することなく、まとめてレーザー光Lとして説明している。また、以下の説明において、第1のレーザー光L1と第2のレーザー光L2とを特に区別する必要がない場合には、レーザー光Lとしてまとめて扱うものとする。
第1及び第2のレーザー光源34A,34Bは、波長の異なる第1及び第2のレーザー光L1,L2をパルス発振するものである。具体的に、本実施形態では、第1のレーザー光源34Aとして、炭酸ガス(CO2)レーザー発振機を用い、第2のレーザー光源34Bとして、YAGレーザー発振機を用いている。この場合、第1のレーザー光L1は、波長9.4μmの赤外線レーザー光であり、第2のレーザー光L2は、波長266nmの紫外線レーザー光である。
また、第2のレーザー光源34Bとしては、エキシマレーザー発振機(波長157~351nmの紫外線レーザー光)や、半導体レーザー(LD:Laser Diode)励起固体パルスレーザー発振機(波長2940nmの赤外線レーザー光)、パルスファイバーレーザー発振機(波長3μmの赤外線レーザー光)、COパルスレーザー発振機(波長5.5μmの赤外線レーザー光)などを用いることもできる。
ダイクロイックミラー35は、波長の異なる第1のレーザー光L1と第2のレーザー光L2とのうち、何れか一方のレーザー光(本実施形態では第1のレーザー光L1)を透過し、他方のレーザー光(本実施形態では第2のレーザー光L2)を反射する。
なお、第1のレーザー光源34Aと第2のレーザー光源34Bとの配置を逆転させた場合は、ダイクロイックミラー35として、第1のレーザー光L1(一方のレーザー光)を反射し、第2のレーザー光L2(他方のレーザー光)を透過するものを用いればよい。また、ダイクロイックミラー35の代わりに、ダイクロイックプリズムを用いることも可能である。
集光レンズ36は、例えばfθレンズからなり、このfθレンズは、レーザー光L(L1,L2)の走査速度を一定に補正する機能を有する。
第1及び第2の位置調整機構37A,37Bは、例えばガルバノミラーからなり、レーザー光L(L1,L2)を偏光板FXと平行な平面内で二軸走査することが可能なスキャナー(走査手段)としての機能を有している。
具体的に、第1の位置調整機構37Aは、レーザー光L(L1,L2)を第2の位置調整機構37Bに向かって反射するミラー38aと、このミラー38aの角度を調整するアクチュエータ39aとを有し、このアクチュエータ39aのZ軸回りに回転可能な回転軸40aにミラー38aが取り付けられた構造を有している。
一方、第2の位置調整機構37Bは、第1の位置調整機構37Aのミラー38aで反射されたレーザー光L(L1,L2)を集光レンズ36に向かって反射するミラー38bと、このミラー38bの角度を調整するアクチュエータ39bとを有し、このアクチュエータ39bのY軸回りに回転可能な回転軸40bにミラー38bが取り付けられた構造を有している。
そして、第1及び第2の位置調整装置37A,37Bでは、後述する駆動制御装置33により各アクチュエータ39a,39bの駆動を制御しながら、各ミラー38a,38bの角度を調整し、偏光板FXに照射されるレーザー光L(L1,L2)の照射位置を二軸走査で調整することが可能となっている。
例えば、第1及び第2の位置調整機構37A,37Bでは、偏光板FXに照射されるレーザー光L(L1,L2)の照射位置を調整することによって、図3中の実線で示すレーザー光L(L1,L2)を偏光板FX上の集光点Qaに集光させたり、図3中の一点鎖線で示すレーザー光L(L1,L2)を偏光板FX上の集光点Qbに集光させたり、図3中の二点鎖線で示すレーザー光L(L1,L2)を偏光板FX上の集光点Qcに集光させたりすることが可能である。
レーザー走査装置32は、図2に示すように、例えばリニアモータ等を用いたスライダ機構(図示せず。)からなり、後述する駆動制御装置33の制御により、上記レーザー照射装置31を偏光板FXの幅方向(X軸方向)V1と、偏光板FXの長さ方向(Y軸方向)V2と、偏光板FXの厚み方向(Z軸方向)V3との各方向に移動操作することが可能となっている。
なお、レーザー走査装置32は、上記レーザー照射装置31を移動操作するものに必ずしも限定されるものではなく、偏光板FX自体を移動操作するものであってもよい。この場合も、上記レーザー照射装置31からのレーザー光L(L1,L2)を偏光板FXの切断ラインCに沿って走査(トレース)することが可能である。また、これら両方を移動操作するものであってもよい。
駆動制御装置33は、上記レーザー照射装置31が備える第1及び第2のレーザー光源34A,34Bと電気的に接続されて、これら第1及び第2のレーザー光源34A,34Bの駆動を制御する。具体的に、この駆動制御装置33は、第1のレーザー光源34Aと第2のレーザー光源34Bとの駆動(ON/OFF)を切り替える。また、第1及び第2のレーザー光源34A,34Bから出射されるレーザー光L(L1,L2)の出力やパルス発振数を制御する。
これにより、偏光板FXに対して第1のレーザー光L1と第2のレーザー光L2とを選択的に照射することができる。また、偏光板FXに照射されるレーザー光L(L1,L2)の単位面積当たりのエネルギー量を可変に調整することが可能となっている。
また、駆動制御装置33は、上記レーザー走査装置32と電気的に接続されて、このレーザー走査装置32の移動速度を制御する。これにより、レーザー光L(L1,L2)の走査速度を可変に調整しながら、偏光板FXに照射されるレーザー光L(L1,L2)の単位面積当たりのエネルギー量を可変に調整することが可能となっている。
また、駆動制御装置33は、上記レーザー照射装置31が備える第1及び第2の位置調整機構37A,37Bと電気的に接続されて、これら第1及び第2の位置調整機構37A,37Bの駆動を制御する。これにより、偏光板FXに照射されるレーザー光L(L1,L2)の照射位置を二軸走査で調整することが可能となっている。
<偏光板の切断工程>
本発明の切断方法により切断される積層フィルムは、少なくともCOP層のようなシクロオレフィンポリマーからなる層を含むことが、本発明の効果を発現する上で特に好ましい。
COP層は、例えば炭酸ガスレーザーのようなフィルム切断に通常用いられる切断方法を用いた場合、上述したような仕上がりのよい切断面を得ることができない。これに対して、COP層を含む積層フィルム、特にCOP層を含む偏光板に対して、本発明を適用した切断方法を用いた場合、著しい効果を奏することが可能である。
具体的に、本発明を適用した積層フィルムの切断方法として、上記レーザー加工装置30を用いた偏光板FXの切断工程について、図4(a),(b)を参照して説明する。なお、図4(a),(b)は、偏光板FXの切断工程を順に示す断面図である。
また、本実施形態では、偏光板FXとして、TAC層、PVA層(フィルム型偏光子=偏光子層)及びCOP層が、この順で積層された偏光板(積層フィルム)の切断工程を例に挙げて説明する。
上記レーザー加工装置30を用いて偏光板FXを切断する際は、先ず、図4(a)に示すように、偏光板FXに対して第1のレーザー光L1を照射しながら、偏光板FXの切断ラインCに沿って第1のレーザー光L1を走査する(1回目の走査という。)。なお、切断ラインCは、切断後、所望するサイズの枚葉シート片が得られるように偏光板FX上で設定されていればよい。
このとき、偏光板FXを構成する各層S3,S5,S4のうち、第1のレーザー光L1の吸収により光分解反応を示す上層側の保護層(TAC層)S4及び偏光子層(PVA層)S5を第1のレーザー光L1で切断する。また、第1のレーザー光L1による1回目の走査では、第1のレーザー光L1の焦点位置U1を偏光子層(PVA層)S5よりも深い位置に設定することが好ましい。
これにより、偏光板FXには、切断ラインCに沿った切断溝Vが形成される。また、切断溝Vは、上層側の保護層(TAC層)S4及び偏光子層(PVA層)S5を分断する深さで形成される。
次に、図4(b)に示すように、偏光板FXに対して第2のレーザー光L2を照射しながら、偏光板FXの切断ラインCに沿って第2のレーザー光L2を走査する(2回目の走査という。)。
このとき、偏光板FXを構成する各層S3,S5,S4のうち、第2のレーザー光L2の吸収により光分解反応を示す下層側の保護層(COP層)S3を第2のレーザー光L2で切断する。また、第2のレーザー光L2による2回目の走査では、第2のレーザー光L2の焦点位置U2を下層側の保護層(COP層)S3よりも深い位置に設定することが好ましい。
これにより、切断溝Vは、偏光子層(PVA層)S5を分断する位置から更に深さ方向に、下層側の保護層(COP層)S3を分断する深さで形成される。したがって、本切断工程では、2回目の走査で偏光板FXを切断ラインCに沿って切断することが可能である。
ここで、下層側の保護層S3と、偏光子層S5と、上層側の保護層S4と、表面保護フィルムS2との構成材料である「COP」、「PVA」、「TAC」、「PET」について、波長2.0~14.0μmの光に対する透過率を図5に示す。また、「COP」について、波長200~500μmの光に対する透過率を図6に示す。
図5に示すように、波長9.4μmの第1のレーザー光L1(炭酸ガスレーザー)に対して、COPは、ほとんど光吸収性を示さず(透過率がほぼ100%)、COP以外のPVA、TAC、PETは、ある程度の光吸収性を示すことがわかる。一方、図6に示すように、波長266nmの第2のレーザー光L2(YAGレーザー、第四高調波)に対して、COPは、ある程度の光吸収性を示すことがわかる。
したがって、第1のレーザー光L1だけで偏光板FXを切断しようとした場合、上側の保護層(TAC層)S4及び偏光子層(PVA層)S5は、比較的切断しやすい層(第1のレーザー光L1の吸収率が高い層)であるため、熱の発生が少ない光分解加工となるものの、下層側の保護層(COP層)S3は、比較的切断しにくい層(第1のレーザー光L1の吸収率が低い層)であるため、分子の振動による熱加工となり、断面品位が悪化することになる。
これに対して、本発明を適用した切断方法では、上側の保護層(TAC層)S4及び偏光子層(PVA層)S5を第1のレーザー光L1で切断し、下層側の保護層(COP層)S3を第2のレーザー光L2で切断する。この場合、何れの層S3,S5,S4も熱の発生が少ない光分解加工により切断されるため、切断後の偏光板FXにおいて、仕上がりの良い切断面を得ることが可能である。
なお、第2のレーザー光L2だけで偏光板FXを切断しようとした場合は、熱の発生が少ない光分解加工となるものの、レーザー出力が弱いために、加工速度が著しく遅くなる。したがって、工業的に非効率なものとなってしまう。
以上のように、本実施形態の切断方法では、波長の異なる第1及び第2のレーザー光L1,L2を用いて、偏光板FXを熱の発生が少ない光分解加工により切断することで、偏光板FXを切断ラインCに沿って精度良く切断することを可能である。また、偏光板FXにダメージを与えることなく、偏光板FXの切断面の仕上がりも良好なことから、光学表示デバイスにおける表示領域の更なる狭額縁化にも対応可能である。
(その他の実施形態)
なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
具体的に、上記切断工程では、上記図2に示すレーザー加工装置30を用いる代わりに、例えば図7に示すようなレーザー加工装置30Aを用いて、偏光板FXを切断することも可能である。なお、図7は、レーザー加工装置30Aの構成を示す斜視図である。また、以下の説明では、上記レーザー加工装置30と同等の部位については、説明を省略すると共に、図面において同じ符号を付すものとする。
<レーザー加工装置>
図7に示すレーザー加工装置30Aは、上記レーザー照射装置31の代わりに、第1のレーザー光L1を照射する第1のレーザー照射装置31Aと、第2のレーザー光L2を照射する第2のレーザー照射装置31Bとを備えた構成である。すなわち、このレーザー加工装置30Aは、第1のレーザー光源34Aを有する第1のレーザー照射装置31Aと、第2のレーザー光源34Bを有する第2のレーザー照射装置31Bとを別々に備えている。
第1のレーザー照射装置31Aと第2のレーザー照射装置31Bとを別々に備える場合、第1及び第2のレーザー照射装置31A,31Bは、上記レーザー照射装置31の構成から、ダイクロイックミラー35を省略し、第1又は第2のレーザー光源34A,34Bから第1の位置調整機構37Aに向けて、第1又は第2のレーザー光L1,L2を出射する構成とすればよい。
また、第1のレーザー照射装置31Aと第2のレーザー照射装置31Bとは、レーザー走査装置32により別々に移動操作されると共に、駆動制御装置33により別々に駆動制御される。
図7に示すレーザー加工装置30Aを用いて偏光板FXを切断する際は、先ず、第1のレーザー照射装置31Aが偏光板FXに対して第1のレーザー光L1を照射しながら、偏光板FXの切断ラインCに沿って第1のレーザー光L1を走査する。
これにより、偏光板FXを構成する各層S3,S5,S4のうち、上層側の保護層(TAC層)S4及び偏光子層(PVA層)S5を第1のレーザー光L1で切断する。
次に、第2のレーザー照射装置31Bが偏光板FXに対して第2のレーザー光L2を照射しながら、偏光板FXの切断ラインCに沿って第2のレーザー光L2を走査する。
これにより、偏光板FXを構成する各層S3,S5,S4のうち、下層側の保護層(COP層)S3を第2のレーザー光L2で切断する。したがって、本切断工程では、上記図2に示すレーザー加工装置30を用いた場合と同様に、2回目の走査で偏光板FXを切断ラインCに沿って切断することが可能である。
図7に示すレーザー加工装置30Aを用いた場合は、第1のレーザー照射装置31Aによる第1のレーザー光L1の走査に追従しながら、第2のレーザー照射装置31Bによる第2のレーザー光L2の走査を行うことができる。したがって、図7に示すレーザー加工装置30Aを用いた場合は、上記図2に示すレーザー加工装置30を用いた場合よりも、偏光板FXの切断を高速で行うことが可能である。
また、本発明の実施形態により偏光板FXから切り出されたシート片に対し、下層側の保護層(COP層)S3に粘着剤を塗布することにより粘着層を新たに設け、この粘着層を介して液晶パネルに貼合してもよく、更に位相差フィルムや輝度向上フィルムなどを貼合してもよい。
例えば図8に示す偏光板FX’は、偏光子層(PVA層)S5を挟み込む下層側の保護層(COP層)S3と上層側の保護層(TAC層)S4との両面に、それぞれ表面保護フィルム(PETフィルム)S2が剥離自在に貼合された構成を有している。
<偏光板の切断工程>
上記レーザー加工装置30を用いた偏光板FX’の切断工程について、図9(a)~(c)を参照して説明する。なお、図9(a)~(c)は、偏光板FX’の切断工程を順に示す断面図である。
レーザー加工装置30を用いて偏光板FX’を切断する際は、先ず、図9(a)に示すように、偏光板FXに対して第1のレーザー光L1を照射しながら、偏光板FXの切断ラインCに沿って第1のレーザー光L1を走査する(1回目の走査という。)。
このとき、偏光板FX’を構成する各層(フィルム)S2,S3,S5,S4,S2のうち、第1のレーザー光L1の吸収により光分解反応を示す上層側の表面保護フィルム(PET層)S2、上層側の保護層(TAC層)S4及び偏光子層(PVA層)S5を第1のレーザー光L1で切断する。また、第1のレーザー光L1による1回目の走査では、第1のレーザー光L1の焦点位置U1を偏光子層(PVA層)S5よりも深い位置に設定することが好ましい。
これにより、偏光板FX’には、切断ラインCに沿った切断溝V’が形成される。また、切断溝V’は、上層側の表面保護フィルム(PETフィルム)S2、上層側の保護層(TAC層)S4及び偏光子層(PVA層)S5を分断する深さで形成される。
次に、図9(b)に示すように、偏光板FX’に対して第2のレーザー光L2を照射しながら、偏光板FX’の切断ラインCに沿って第2のレーザー光L2を走査する(2回目の走査という。)。
このとき、偏光板FX’を構成する各層(フィルム)S2,S3,S5,S4,S2のうち、第2のレーザー光L2の吸収により光分解反応を示す下層側の保護層(COP層)S3を第2のレーザー光L2で切断する。また、第2のレーザー光L2による2回目の走査では、第2のレーザー光L2の焦点位置U2を下層側の保護層(COP層)S3よりも深い位置に設定することが好ましい。
これにより、切断溝V’は、偏光子層(PVA層)S5を分断する位置から更に深さ方向に、下層側の保護層(COP層)S3を分断する深さで形成される。
次に、図9(c)に示すように、偏光板FX’に対して第1のレーザー光L1を照射しながら、偏光板FX’の切断ラインCに沿って第1のレーザー光L1を走査する(3回目の走査という。)。
このとき、偏光板FX’を構成する各層(フィルム)S2,S3,S5,S4,S2のうち、第1のレーザー光L1の吸収により光分解反応を示す下層側の表面保護フィルム(PETフィルム)S2を第1のレーザー光L1で切断する。また、第1のレーザー光L1による3回目の走査では、第1のレーザー光L1の焦点位置U3を下層側の表面保護フィルム(PETフィルム)S2よりも深い位置に設定することが好ましい。
これにより、切断溝V’は、下層側の保護層(COP層)S3を分断する位置から更に深さ方向に、下層側の表面保護フィルム(PETフィルム)S2を分断する深さで形成される。したがって、本切断工程では、3回目の走査で偏光板FX’を切断ラインCに沿って切断することが可能である。
以上のように、本実施形態の切断方法では、波長の異なる第1及び第2のレーザー光L1,L2を用いて、偏光板FX’を熱の発生が少ない光分解加工により切断することで、偏光板FX’を切断ラインCに沿って精度良く切断することを可能である。また、切断された偏光板FX’の断面品位を良好に保つことが可能である。
なお、本実施形態では、3回目の走査で用いるレーザー光を第3のレーザー光とした場合、第3のレーザー光については、上述した第1のレーザー光L1を用いているが、下層側の表面保護フィルム(PETフィルム)S2を光分解反応により切断できるレーザー光であれば、第1及び第2のレーザー光L1,L2とは異なる波長のレーザー光を用いることも可能である。また、4回目以降の走査においても同様である。
すなわち、本発明を適用した積層フィルムの切断方法では、積層フィルムを構成する複数の樹脂層のうち、切断する樹脂層に合わせて、光分解反応により切断できる波長のレーザー光を適宜選択して用いるようにすればよい。
なお、本発明を適用した積層フィルムの切断方法は、上述した偏光板FX,FX’を切断する場合に限らず、材質の異なる複数の樹脂層が積層された積層フィルムを切断する切断工程において、本発明を幅広く適用することが可能である。
また、本発明を適用した積層フィルムの製造方法は、材質の異なる複数の樹脂層が積層された積層フィルムを製造する際に、上述した切断工程を含むものに対して、本発明を幅広く適用することが可能である。
本発明を適用して製造される積層フィルムについては、上述した偏光板FX,FX’以外にも、例えば位相差フィルムや輝度向上フィルム等の光学フィルムを挙げることができる。また、これらの光学フィルムを積層した積層フィルムを切断する場合にも、本発明の切断方法を適用することが可能である。また、これら積層フィルムを貼り付ける光学表示パネルとしては、液晶パネル以外にも、例えば有機ELパネル等であってもよい。
なお、積層フィルムの材質や厚み、積層数等によっては、レーザー光の走査回数を増やしたり、レーザー光の出力や走査速度を調整したりすることも可能である。また、切断ラインに対するレーザー光の走査方法としては、切断ラインに沿ってレーザー光を繰り返し一方向に走査させる方法や、切断ラインの始点と終点との間でレーザー光を繰り返し往復走査させる方法などを挙げることができる。さらに、複数のレーザー光Lを同時に切断ラインに沿って走査させる方法などを挙げることができる。