JP2023122144A - 円偏光板及び画像表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】新たな構成を有する円偏光板、及びそれを含む画像表示装置を提供する。【解決手段】保護コーティング層と、偏光子と、位相差層と、がこの順に配置された円偏光板であって、前記偏光子はポリビニルアルコール系樹脂フィルムからなり、前記偏光子は片面に前記保護コーティング層が直接積層され、前記保護コーティング層は水系接着剤の硬化層であり、前記水系接着剤は紫外線吸収剤を含む、円偏光板が提供される。【選択図】図1

Description

本発明は、円偏光板及び画像表示装置に関する。
有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置に代表される表示装置では、可撓性を有する材料を用いて表示装置の屈曲等を可能にしたフレキシブルディスプレイが知られている。有機EL表示装置では、外光の反射による視認性の低下を抑制するために、円偏光板等を用いて反射防止性能を向上させることが知られている〔例えば、特開2020-134934号公報(特許文献1)〕。円偏光板は、直線偏光板及び位相差層を積層して得ることができ、位相差層として重合性液晶化合物の硬化物層を用いることがある。
特開2020-134934号公報
本発明の目的は、新たな構成を有する円偏光板、及びそれを含む画像表示装置を提供することである。
本発明は、以下に例示する項目に関する。
[1] 保護コーティング層と、偏光子と、位相差層と、がこの順に配置された円偏光板であって、
前記偏光子はポリビニルアルコール系樹脂フィルムからなり、
前記偏光子は片面に前記保護コーティング層が直接積層され、
前記保護コーティング層は水系接着剤の硬化層であり、
前記水系接着剤は紫外線吸収剤を含む、円偏光板。
[2] 前記紫外線吸収剤は水溶性紫外線吸収剤である、[1]に記載の円偏光板。
[3] 前記水溶性紫外線吸収剤は、ポルフィリン、ポルフィリン錯体及びポルフィリン誘導体からなる群より選択される少なくとも1つを含む、[2]に記載の円偏光板。
[4] 前記水系接着剤の硬化層に対する前記水溶性紫外線吸収剤の含有量は、100ppm以上50000ppm以下である、[2]又は[3]のいずれかに記載の円偏光板。
[5] 前記水系接着剤はポリビニルアルコール系樹脂を含む、[1]~[4]のいずれかに記載の円偏光板。
[6] 前記水系接着剤は架橋剤を含まない、[1]~[5]のいずれかに記載の円偏光板。
[7] 前記保護コーティング層の厚みは、1μm以上15μm以下である、[1]~[6]のいずれかに記載の円偏光板。
[8] 前記偏光子の前記保護コーティング層とは反対側に積層された保護フィルムをさらに有する、[1]~[7]のいずれかに記載の円偏光板。
[9] 異形加工された、[1]~[8]のいずれかに記載の円偏光板。
[10] [1]~[9]のいずれかに記載の円偏光板を備えた画像表示装置。
新たな構成を有する円偏光板、及びそれを含む画像表示装置を提供することができる。
本発明に係る円偏光板の層構成の一例を示す概略断面図である。 本発明に係る円偏光板の層構成の他の一例を示す概略断面図である。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下のすべての図面は、本発明の理解を助けるために示すものであり、図面に示される各構成要素のサイズや形状は、実際の構成要素のサイズや形状とは必ずしも一致しない。
<円偏光板>
図1を参照して、本発明に係る円偏光板について説明する。円偏光板100は、保護コーティング層11と、偏光子10と、位相差層20と、がこの順に配置されている。偏光子10は片面に保護コーティング層11が直接積層されている。円偏光板100は、偏光子の保護コーティング層とは反対側に積層された保護フィルム12をさらに有してもよい。位相差層20は、貼合層30を介して保護フィルム12に貼合されてよい。本明細書において、円偏光板は楕円偏光板を含む。
図2に例示される円偏光板200は、図1の円偏光板100の保護コーティング層11とは反対側の表面に貼合層31及びセパレートフィルム40を有する。
偏光子と位相差層とが積層された円偏光板は、耐候性を向上させるために偏光子側の表面に粘着剤層を介して保護フィルムが貼合されたり、偏光子を保護するハードコート層が設けられる。しかしながら、円偏光板において偏光子の表面(位相差層とは反対側)に接して粘着剤層が備えられているとき、円偏光板の加工性が低下しやすいという問題があった。本発明においては、円偏光板の偏光子の表面(位相差層とは反対側)に保護コーティング層が直接接しているため、円偏光板の加工性が良好である。さらに、保護コーティング層は、紫外線吸収剤を含む水系接着剤の硬化層であるため、円偏光板に耐候性を付与することができる。本発明によれば、耐候性と加工性とが両立した円偏光板を得ることができる。
円偏光板100は屈曲可能であってもよい。屈曲可能であるとは、円偏光板を構成する層にクラックを生じさせることなく屈曲させ得ることを意味する。このような円偏光板はフレキシブル画像表示装置に適用される。円偏光板は良好な屈曲耐性(フレキシブル性)のために、より薄膜であることが求められる。そのため、当該円偏光板に含まれる直線偏光板は、偏光子の片面にのみ保護フィルムを有する、いわゆる「片保護偏光板」が有効である。
本明細書において、屈曲には、曲げ部分に曲面が形成される折り曲げの形態が含まれる。折り曲げの形態において、折り曲げた内面の屈曲半径は特に限定されない。また、屈曲には、内面の屈折角が0°より大きく180°未満である屈折の形態、及び内面の屈曲半径がゼロに近似、又は内面の屈折角が0°である折り畳みの形態が含まれる。
円偏光板100は、平面視において、例えば方形形状であってよく、好ましくは長辺と短辺とを有する方形形状であり、より好ましくは長方形である。円偏光板100の平面視における形状が長方形である場合、長辺の長さは、例えば10mm以上1400mm以下であってよく、好ましくは50mm以上600mm以下である。短辺の長さは、例えば5mm以上800mm以下であり、好ましくは30mm以上500mm以下であり、より好ましくは50mm以上300mm以下である。円偏光板100を構成する各層は、角部がR加工されたり、端部が切り欠き加工されたり、穴あき加工されたりしていてもよい。本明細書において、平面視とは層の厚み方向から見ることを意味する。円偏光板100は、円偏光板の外縁部に凹状部を設けたり、又は面内に貫通孔を設ける異形加工がされていることが好ましい。円偏光板の異形加工は、円偏光板100の表面から順に保護コーティング層11、偏光子10及び保護フィルム12まで行われていることが好ましく、貼合層30及び位相差層20は異形加工が行われていなくてもよい。
円偏光板100の厚みは円偏光板に求められる機能及び円偏光板の用途等に応じて異なるため特に限定されないが、例えば20μm以上500μm以下であり、好ましくは50μm以上300μm以下、より好ましくは70μm以上200μm以下である。
円偏光板100は、例えば画像表示装置等に用いることができる。画像表示装置は特に限定されず、例えば有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)表示装置、無機エレクトロルミネッセンス(無機EL)表示装置、液晶表示装置、電界発光表示装置等が挙げられる。本発明に係る円偏光板100は、フレキシブルディスプレイ(スライド式画面拡張ディスプレイを含む。)に好適である。
以下、円偏光板を構成する又は構成し得る要素について詳細に説明する。
(1)偏光子
偏光子(直線偏光子)10は、無偏光の光を入射させたとき、吸収軸に直交する振動面をもつ直線偏光を透過させる性質を有する光学フィルムである。偏光子10は、保護フィルム12が積層された偏光板(直線偏光板)を構成してもよい。偏光板は、偏光子及び保護フィルムに加えて、保護コーティング層、基材フィルム、樹脂フィルム及び配向膜のいずれか1以上をさらに含んでいてもよい。偏光子10は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムからなる。以下、好ましい偏光子10である、ヨウ素が吸着配向しているポリビニルアルコール系樹脂フィルムについて説明する。
偏光子10は、例えば、ポリビニルアルコールフィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコールフィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等のポリビニルアルコール系樹脂フィルムに、ヨウ素による染色処理、及び一軸延伸処理が施されたもの等が挙げられる。好ましくは、染色処理によりヨウ素が吸着配向したポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液で処理し、その後に、ホウ酸水溶液を洗い落とす洗浄工程が実施される。各工程には公知の方法を採用できる。
ポリビニルアルコール系樹脂は、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化することにより製造できる。ポリ酢酸ビニル系樹脂は、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニルと酢酸ビニルに共重合可能な他の単量体との共重合体であることもできる。酢酸ビニルに共重合可能な他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類、アンモニウム基を有する(メタ)アクリルアミド類等が挙げられる。なお、本明細書において「(メタ)アクリル」とは、アクリル又はメタクリルのいずれでもよいことを意味する。(メタ)アクリレート等の「(メタ)」も同様の意味である。
ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、通常85モル%以上100モル%以下であり、好ましくは98モル%以上である。ポリビニルアルコール系樹脂は変性されていてもよく、例えば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマールやポリビニルアセタール等も使用可能である。ポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、通常1000以上10000以下であり、好ましくは1500以上5000以下である。ポリビニルアルコール系樹脂の平均重合度は、JIS K 6726(1994)に準拠して求めることができる。ポリビニルアルコール系樹脂の平均重合度が1000以上であるとき、好ましい偏光性能を得やすく、10000以下であるときフィルム加工性が良好である。
フレキシブル画像表示装置に適用するための円偏光板を構成する各部材の厚みは薄い方が好ましい。偏光子10の厚みは、通常30μm以下であり、好ましくは15μm以下であり、より好ましくは13μm以下であり、さらに好ましくは10μm以下である。偏光子10の厚みは、通常2μm以上であり、3μm以上であることが好ましく、例えば5μm以上であってよい。
好ましい厚みの偏光子10を得るには、厚み15μm~40μm程度のポリビニルアルコール系樹脂フィルムを出発原料として用い、このフィルムに染色処理、一軸延伸処理を行って、偏光子10を得る製造方法が挙げられる。予め、薄膜のポリビニルアルコール系樹脂フィルムを用いることで、得られる偏光子10の厚みを薄くすることができる(第1製法)。
出発原料として好ましいフィルムとしては、適当な基材フィルム上に、ポリビニルアルコール系樹脂からなる層を形成したフィルムを使用することもできる(第2製法)。この場合のフィルムの製造方法は、基材フィルムを用意し、基材フィルム上にポリビニルアルコール系樹脂の溶液を塗布し、溶媒を除去する乾燥等を行って基材フィルム上に樹脂層を形成する工程を含むものであってよい。基材フィルムの樹脂層が形成される面には、予めプライマー層を形成することができる。基材フィルムとしては、後述する保護フィルム12に用いることができる熱可塑性樹脂を用いたフィルムを使用できる。
第1製法又は第2製法における出発原料である薄膜フィルムは、上述のとおり、染色処理及び一軸延伸処理を行うことで、偏光子10へと誘導できる。第2製法においては、基材フィルム上にポリビニルアルコール系樹脂溶液を塗布し、次いで、必要に応じて樹脂層の水分等の溶媒量を調整し、その後、基材フィルム及び樹脂層を一軸延伸し、続いて、樹脂層を二色性色であるヨウ素で染色してヨウ素を樹脂層に吸着配向させる。
染色処理(ヨウ素の吸着配向)及び一軸延伸処理を行ったポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、次いで、ホウ酸による架橋処理を行うことが好ましい。第1製法においては、例えばポリビニルアルコール系樹脂フィルムに、染色処理及び一軸延伸処理を行った後に、そのフィルムを、ホウ酸を含有する溶液(ホウ酸含有溶液)に接触させればよい。このような架橋処理の後のフィルムの表面に付着しているホウ酸含有溶液を洗い落とすための洗浄処理を行うこともできる。
第2製法においても、第1製法と同様に、染色処理及び一軸延伸処理を行った樹脂層が備えられた基材フィルムは例えば、そのまま(基材フィルムを剥離することなく)の形で、ホウ酸含有溶液と接触させることで、架橋処理を行うことができる。架橋処理後の樹脂層が備えられた基材フィルムは必要に応じて、洗浄処理を行うことができる。
ヨウ素が吸着配向したポリビニルアルコール系樹脂フィルム又は樹脂層を架橋処理するためのホウ酸含有溶液は、ホウ酸含有水溶液が好ましく、ホウ酸含有水溶液におけるホウ酸の量は、通常、水100質量部あたり2質量部~15質量部程度であり、好ましくは5質量部~12質量部である。このホウ酸含有水溶液は、好ましくは、ヨウ化カリウムを含有する。ホウ酸含有水溶液におけるヨウ化カリウムの量は、通常、水100質量部あたり0.1質量部~15質量部程度であり、好ましくは5質量部~12質量部程度である。ホウ酸含有水溶液への浸漬時間は、通常60秒~1200秒程度であり、好ましくは150秒~600秒程度であり、より好ましくは200秒~400秒程度である。ホウ酸含有水溶液の温度は、通常50℃以上であり、好ましくは50℃~85℃であり、より好ましくは60℃~80℃である。
ポリビニルアルコール系樹脂フィルム、又は、基材フィルム及び樹脂層の一軸延伸は、染色の前に行ってもよいし、染色中に行ってもよいし、染色後のホウ酸処理中に行ってもよく、これら複数の段階においてそれぞれ一軸延伸を行ってもよい。総延伸倍率は、通常3倍以上であり、好ましくは3.5倍以上であり、さらに好ましくは4倍以上である。延伸倍率の上限は特にないが、破断等を抑制する観点から8倍以下が好ましく、6倍以下がさらに好ましい。
偏光子10は、ホウ素含有量が好ましくは0.5質量%以上であり、より好ましくは1.5質量%以上であり、さらに好ましくは2.5質量%以上であり、3.5質量%以上であってもよい。ホウ素含有量が0.5質量%以上であることにより、ヨウ素を安定的に保持することができ、偏光子10の偏光度低下抑制効果、ひいては円偏光板の耐久性向上効果を期待できる。偏光子10のホウ素含有量は、好ましくは5.5質量%以下であり、より好ましくは5.0質量%以下であり、さらに好ましくは4.5質量%以下である。ホウ素含有量が4.5質量%以下であることにより、加熱により生じる偏光子10の収縮を抑制することができる。偏光子10におけるホウ素含有量は、例えば、所定質量の偏光子10を例えばマンニトール水溶液に溶解し、NaOH水溶液で滴定することで求めることができる。偏光子10のホウ素含有量は、上記ホウ酸処理に用いるホウ酸水溶液のホウ酸濃度を調整することや、上記洗浄工程におけるホウ酸水溶液の洗い落としの程度等によって制御できる。
偏光子10の視感度補正偏光度Pyは、通常95%以上であり、好ましくは97%以上、より好ましくは98%以上、さらに好ましくは98.7%以上、なおさらに好ましくは99.0%以上、特に好ましくは99.4%以上であり、99.9%以上であってもよい。偏光子10の視感度補正偏光度Pyは、99.99%以下であってもよい。視感度補正偏光度Pyは、積分球付き分光光度計(日本分光株式会社製の「V7100」)を用いて、得られた偏光度に対して「JIS Z 8701」の2度視野(C光源)により視感度補正を行うことで算出することができる。
偏光子10の視感度補正偏光度Pyを高くすることは、円偏光板の反射防止膜としての機能及び円偏光板の耐久性を高めるうえで有利である。偏光子10の視感度補正偏光度Pyが95%以上であるとき、反射防止膜としての高い効果が期待される。
偏光子10の視感度補正単体透過率Tyは、通常41%以上であり、好ましくは41.1%以上、より好ましくは41.2%以上であり、42%以上であってもよく、42.5%以上であってもよい。偏光子10の視感度補正単体透過率Tyは、通常50%以下であり、48%以下であってもよく、46%以下であってもよく、44%以下であってもよく、43%以下であってもよい。視感度補正単体透過率Tyが50%以下であるとき、視感度補正偏光度Pyが低くなりすぎず、円偏光板が反射防止膜としての機能を良好に果たすことができる。視感度補正単体透過率Tyは、積分球付き分光光度計(日本分光株式会社製の「V7100」)を用いて、得られた透過率に対して「JIS Z 8701」の2度視野(C光源)により視感度補正を行うことで算出することができる。
(2)保護コーティング層
保護コーティング層11は、偏光子10の片面に直接積層されている。保護コーティング層11は、偏光子の表面を保護する。保護コーティング層11は水系接着剤の硬化層である。保護コーティング層11は、水系接着剤の硬化層であるため、円偏光板の加工性が低下しにくい。保護コーティング層11は、円偏光板の最表面を構成する層であってよい。
水系接着剤としては、例えばポリビニルアルコール系樹脂水溶液、水系二液型ウレタン系エマルジョン接着剤等を挙げることができる。水系接着剤は好ましくはポリビニルアルコール系樹脂を含む。水系接着剤に含まれるポリビニルアルコール系樹脂は、部分ケン化ポリビニルアルコールや完全ケン化ポリビニルアルコールのほか、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール、メチロール基変性ポリビニルアルコール、アミノ基変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコール系樹脂を含んでもよい。水系接着剤に含まれるポリビニルアルコール系樹脂は、偏光子の劣化を抑制する観点からはアセトアセチル基変性ポリビニルアルコールを含むことが好ましい。水系接着剤に含まれるポリビニルアルコール系樹脂は、市販のポリビニルアルコール系樹脂を用いてもよい。市販品としては、例えば株式会社クラレから販売されている部分ケン化ポリビニルアルコールである「PVA-403」、カルボキシル基変性部分ケン化ポリビニルアルコールである「KL-506」及び「KL-318」、三菱ケミカル株式会社から販売されているアセトアセチル基変性部分ケン化ポリビニルアルコール「Z-100」、「Z-200」、「Z-300」等が挙げられる。
水系接着剤に含まれるポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、通常85モル%以上100モル%以下程度であり、好ましくは90モル%以上であり、95モル%以上であってもよく、98モル%以上であってもよい。
水系接着剤に含まれるポリビニルアルコール系樹脂の平均重合度は、通常1000以上5000以下であり、好ましくは3000以下であり、2000以下であってもよく、1500以下であってもよい。平均重合度がこの範囲にあるとき、偏光子の劣化を良好に抑制することができる。
水系接着剤に含まれるポリビニルアルコール系樹脂の含有量は、水系接着剤の固形分の質量に対して、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上である。水系接着剤の固形分とは、水系接着剤に溶媒が含まれる場合、ポリビニルアルコール系樹脂組成物から溶媒を除いた成分の合計量を意味する。
水系接着剤の硬化層を作製する際の塗布性及び取扱性が良好となることから、水系接着剤は溶媒を含むことが好ましい。水系接着剤における溶媒としては、水又は水と親水性有機溶媒(例えばアルコール溶媒、エーテル溶媒、エステル溶媒等)との混合溶媒が挙げられる。水系接着剤が溶媒を含む場合、その固形分は、好ましくは1質量%以上30質量%以下であり、より好ましくは2質量%以上10質量%以下である。
保護コーティング層11を構成する水系接着剤は紫外線吸収剤を含む。保護コーティング層が紫外線吸収剤を含むことにより、保護コーティング層は紫外線吸収能を有し、円偏光板の耐候性を向上させることができる。水系接着剤に含まれる紫外線吸収剤としては、例えば380nm~500nmの光の少なくとも15%、好適には少なくとも20%、より好適には少なくとも25%を遮断する紫外線吸収剤を使用できる。X%が遮断されるとは、特定波長範囲内の入射光の平均X%が透過されないことを意味する。水系接着剤に含まれる紫外線吸収剤は、好ましくは400~500nmの範囲内、例えば400~460nm、400~455nm又は400~450nmの範囲内で選択された波長範囲内の光を少なくとも部分的に遮断し、この範囲外の波長の透過に対してはほとんど影響を与えない。選択範囲の帯域は、好適には10~70nmであり、より好適には10~60nmの範囲であり得る。
好ましい紫外線吸収剤は、410~440nm波長範囲内で選択された波長を中心とする吸収ピーク(選択波長範囲に関連する最小の透過率に対応する)を有し、40nm以下、好適には30nm以下、より好適には25nm未満、特に好ましくは20nm未満、好適には5nm以上、より好適には10nm以上の半値幅(FWHM:full width at half maximum)を呈示する。FWHMの定義はFWHM=λhigh-λlowである。ここで、λhighとλlowは吸ピーク波長の両側に発生する。この両側では吸収は近似的に(ピーク吸収-基準吸収)/2である。
FWHMはまた、紫外線吸収剤の吸光度スペクトル上で計算され得る。この場合のFWHMの定義はFWHM=λhigh-λlowである。ここで、λhighとλlowは吸光度ピーク波長の両側に発生する。この両側では吸収度は近似的に(ピーク吸収度-基準吸収度)/2である。当業者により知られているように、透過率値Tと吸収度値Aとの関係はA=2-log10%T(各波長において)である。紫外線吸収剤の吸光度スペクトルのFWHM値は、吸収に関して上に定義したものと同じ範囲内で選択される。
紫外線吸収剤は好ましくは水溶性紫外線吸収剤である。水溶性紫外線吸収剤は、水系接着剤に容易に混和することができる。水溶性紫外線吸収剤は、好ましくはポルフィリン、ポルフィリン錯体及びポルフィリン誘導体からなる群より選択される少なくとも1つを含む。ポルフィリンは、4つのピロール環がα位置で4つのメチン基と交互に結合した形の大環状化合物である。
ポルフィリン、ポルフィリン錯体又はポルフィリン誘導体は、クロロフィルa、クロロフィルb、5,10,15,20-テトラキス(4-スルホナトフェニル)ポルフィリンナトリウム塩錯体、5,10,15,20-テトラキス(N-アルキル-4-ピリジル)ポルフィリン錯体、5,10,15,20-テトラキス(N-アルキル-3-ピリジル)ポルフィリン錯体、及び5,10,15,20-テトラキス(N-アルキル-2-ピリジル)ポルフィリン錯体からなる群から選択されてよい。アルキルは、好ましくは各鎖に1~4個の炭素原子を含む直鎖又は分岐アルキル鎖である。アルキルは、メチル、エチル、ブチル及びプロピルからなる群から選択されてもよい。
錯体は、通常、金属錯体であり、金属は、Cr(III)、Ag(II)、In(III)、Mn(III)、Sn(IV)、Fe(III)、Co(II)、Mg(II)及びZn(II)からなる群から選択される。Cr(III)、Ag(II)、In(III)、Mn(III)、Sn(IV)、Fe(III)、Co(II)、Zn(II)及びCuカチオンは、425nm~448nmの範囲において鋭い吸収ピークを有する水中の吸収性を呈する。これらが提供する錯体は安定であり、且つ酸に敏感でない。Cr(III)、Ag(II)、In(III)、Sn(IV)、Fe(III)は、特に、室温において蛍光を示さない。
ポルフィリン、ポルフィリン錯体又はポルフィリン誘導体は、マグネシウムメソ-テトラ(4-スルホナトフェニル)ポルフィンテトラナトリウム塩、マグネシウムオクタエチルポルフィリン、マグネシウムテトラメシチルポルフィリン、オクタエチルポルフィリン、テトラキス(2,6-ジクロロフェニル)ポルフィリン、テトラキス(o-アミノフェニル)ポルフィリン、テトラメシチルポルフィリン、テトラフェニルポルフィリン、亜鉛オクタエチルポルフィリン、亜鉛テトラメシチルポルフィリン、亜鉛テトラフェニルポルフィリン、及び非プロトン化-テトラフェニルポルフィリンからなる群から選択されてよい。
本明細書において、「誘導体」は、少なくとも1つの置換基が親化合物又はそれの類似物内に存在する化学的に修飾された親化合物又はその類似物を指す。一例は共有結合的に修飾された親化合物である。典型的修飾は、アミド、炭水化物、アルキル基、アシル基、エステル、PEG化物等が挙げられる。
本明細書において、化合物を指す場合の「類似物」は、1つ又は複数の原子が他の原子により置換された、又は1つ又は複数の原子が化合物から削除された、又は1つ又は複数の原子が化合物へ添加された修飾化合物、又はこのような修飾化合物の任意の組み合わせを指す。原子のこのような添加、削除又は置換は、化合物を含む一次構造に沿った任意の点又は多数の点において発生し得る。
水系接着剤の硬化層に対する水溶性紫外線吸収剤の含有量は、例えば100ppm~50000ppmであってよく、好ましくは500ppm~40000ppm又は1000ppm~30000ppmであってよい。
紫外線吸収剤は、2つ以上を併用してもよい。水系接着剤は、上述の水溶性紫外線吸収剤に加えて、後述する波長350nmの光に対する紫外線吸収剤、波長410nmの光に対する紫外線吸収剤等を含んでよい。
波長350nmの光に対する紫外線吸収剤として、市場から種々の紫外線吸収剤を容易に入手できる。このような紫外線吸収剤としては例えば、オキシベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリチル酸エステル系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤等の有機系紫外線吸収剤が挙げられる。より具体的には、5-クロロ-2-(3,5-ジ-sec-ブチル-2-ヒドロキシルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、(2-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-(直鎖及び側鎖ドデシル)-4-メチルフェノール、2-ヒドロキシ-4-ベンジルオキシベンゾフェノン、2,4-ベンジルオキシベンゾフェノン等が挙げられる。
波長350nmの光に対する紫外線吸収剤は、市販品をそのまま用いてもよい。このような市販品としては例えば、トリアジン系紫外線吸収剤として、ケミプロ化成株式会社製の「Kemisorb 102」、株式会社ADEKA製の「アデカスタブ LA46」、「アデカスタブ LAF70」、BASFジャパン社製の「チヌビン109」、「チヌビン171」、「チヌビン234」、「チヌビン326」、「チヌビン327」、「チヌビン328」、「チヌビン928」、「チヌビン400」、「チヌビン460」、「チヌビン405」、「チヌビン477」(いずれも商品名)等が挙げられる。ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、株式会社ADEKA製の「アデカスタブ LA31」及び「アデカスタブ LA36」(いずれも商品名)、住化ケムテックス株式会社製の「スミソーブ 200」、「スミソーブ 250」、「スミソーブ 300」、「スミソーブ 340」及び「スミソーブ 350」(いずれも商品名)、ケミプロ化成株式会社製の「Kemisorb 74」、「Kemisorb 79」及び「Kemisorb 279」(いずれも商品名)、BASF社製の「TINUVIN 99-2」、「TINUVIN 900」及び「TINUVIN 928」(いずれも商品名)などが挙げられる。
波長350nmの光に対する紫外線吸収剤は無機系紫外線吸収剤であってもよい。無機系紫外線吸収剤としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化錫、タルク、カオリン、炭酸カルシウム、酸化チタン系複合酸化物、酸化亜鉛系複合酸化物、ITO(錫ドープ酸化インジウム)、ATO(アンチモンドープ酸化錫)等が挙げられる。酸化チタン系複合酸化物としては、例えば、シリカ、アルミナをドープした酸化亜鉛等が挙げられる。これらの無機系紫外線吸収剤も、2種類以上併用してもよく、上記に例示した、例えば、市販の光吸収剤(有機系紫外線吸収剤)と併用してもかまわない。
波長410nmの光に対する紫外線吸収剤としては、360~430nmの波長帯域に極大吸収波長を有する化合物を公知の方法で合成して用いることができる。このような紫外線吸収剤は、例えば、特開2017-120430号公報に記載の光選択吸収性化合物として知られている化合物を用いることができる。波長360nm~420nmに少なくとも1つの吸収極大を有する化合物を含むことが好ましく、380nm~410nmに吸収極大を有する化合物を含むことがより好ましい。
水系接着剤は、必要に応じて、安定化剤、酸化防止剤、帯電防止剤、表面調整剤等の添加剤を含んでよい。添加剤は単独又は2種以上を組み合わせて使用できる。添加剤の含有量は、水系接着剤の固形分の質量に対して、好ましくは0.1質量%以上10質量%以下程度である。水系接着剤は好ましくは架橋剤を含まない。架橋剤の例を挙げると、アミン化合物、アルデヒド化合物、メチロール化合物、水溶性エポキシ樹脂、イソシアネート化合物、多価金属塩等がある。
水系接着剤は、ポリビニルアルコール系樹脂、及び必要に応じて添加剤等を溶媒に溶解することにより調製することができる。水系接着剤を偏光子の一方の表面上に塗布し、溶媒を乾燥除去することにより水系接着剤の硬化層である保護コーティング層11を形成することができる。水系接着剤が塗布される前に、偏光子の表面に、予めコロナ処理、プラズマ処理、火炎処理等が行われてもよく、プライマー層等を有していてもよい。
保護コーティング層11の厚みは、好ましくは1μm以上15μm以下であり、より好ましくは1μm以上10μm以下である。保護コーティング層11の厚みが上記範囲内であると、円偏光板の薄型化が可能となると同時に円偏光板を好適に保護することができる。
(3)保護フィルム
偏光子10の片面に積層される保護フィルム12は、偏光子保護用のフィルムであり、例えば、熱可塑性樹脂から形成される透光性(好ましくは光学的に透明な)フィルムを用いることができる。
熱可塑性樹脂としては、トリアセチルセルロース等のセルロース樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂;ポリエーテルスルホン樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリカーボネート樹脂;ナイロンや芳香族ポリアミド等のポリアミド樹脂;ポリイミド樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体等のポリオレフィン樹脂;シクロ系及びノルボルネン構造を有する環状ポリオレフィン樹脂(ノルボルネン系樹脂ともいう);(メタ)アクリル樹脂;ポリアリレート樹脂;ポリスチレン樹脂;ポリビニルアルコール樹脂、並びにこれらの混合物が挙げられる。
保護フィルム12は、好ましくは、環状ポリオレフィン系樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルムであり、より好ましくは環状ポリオレフィン系樹脂フィルムである。
保護フィルム12は、位相差特性を有しないか、位相差値が小さいフィルムであることが好ましい。具体的には、保護フィルム12の波長550nmにおける面内位相差値は、0nm~10nmであることが好ましく、波長550nmにおける厚み方向の位相差値は、-10nm~+10nmであることが好ましい。本発明に係る円偏光板がハードコート層を有する場合は、保護フィルム12とハードコート層の積層体が、上記のような位相差値が小さいフィルムであると好ましい。
保護フィルム12の厚みは、好ましくは3μm以上、より好ましくは5μm以上であり、10μm以上であってもよい。保護フィルム12の厚みは、好ましくは50μm以下であり、より好ましくは40μm以下であり、さらに好ましくは30μm以下である。
保護フィルム12の可視光線に対する光線透過率は、偏光板の技術分野で通常のものが求められる。例えば、可視光線に対する光線透過率は、85%以上であると好ましく、90%以上であるとさらに好ましい。本発明に係る円偏光板がハードコート層を有する場合は、保護フィルム12とハードコート層の積層体として、上記のような光線透過率であると好ましい。
保護フィルム12又は保護フィルム12及びハードコート層の積層体が、位相差値が小さく、光線透過率が高いものである場合、偏光子10の視感度補正偏光度Pyや視感度補正単体透過率Tyのそれぞれは、当該偏光子10と、保護フィルム12とが積層された偏光板、あるいは、当該偏光子10と、保護フィルム12と、ハードコート層とが積層された偏光板の視感度補正偏光度Pyや視感度補正単体透過率Tyに置き換えてみることができる。
偏光子10の位相差層20側表面から位相差層20の偏光板側表面までの距離は、好ましくは4μm以上であり、より好ましくは5μm以上であり、さらに好ましくは10μm以上である。該距離は、円偏光板の薄型化の観点から、好ましくは40μm以下であり、より好ましくは30μm以下である。
本発明の円偏光板において、偏光子10と位相差層20との間の層(例えば保護フィルム12、ハードコート層、及び貼合層30)は、光選択吸収性を有していてもよい。本明細書において「光選択吸収性を有する」とは、好ましくは波長350nm等の紫外線に対する吸収性を有することをいい、より好ましくは波長350nm等の紫外線及び波長410nm付近の短波長の可視光に対する吸収性を有することをいう。
保護フィルム12が光選択吸収性を有すること、好ましくは波長350nm等の紫外線対する吸収性を有すること、より好ましくは波長350nm等の紫外線及び波長410nm付近の短波長の可視光に対する吸収性を有することは、以下の点で有利である。
I)円偏光板を画像表示装置に適用した際、画像表示素子を紫外線や短波長の可視光から保護することができる。
II)紫外線や短波長の可視光による位相差層20の位相差値の変化を抑制することができる。
III)短波長の可視光吸収により円偏光板の反射色相を調整することができる。
保護フィルム12への光選択吸収性の付与は、保護フィルム12を構成する熱可塑性樹脂として光選択吸収性を有するものを用いることによって行われてもよいし、光選択吸収性を有する添加剤(光吸収剤)を保護フィルム12に含有させることによって行われてもよいし、両者によって行われてもよい。保護フィルム12への光選択吸収性の付与は、少なくとも、光吸収剤を保護フィルム12に含有させることによって行われることが好ましい。好ましい光吸収剤としては、上述の波長350nmの光に対する紫外線吸収剤及び波長410nmの光に対する紫外線吸収剤が挙げられる。光吸収剤は、2種以上併用してもよく、本発明の円偏光板を構成する複数の層に、異なる光吸収剤を用いてもよい。
光吸収剤の使用量は、当該光吸収剤を含有する層の可視光線に対する光線透過性を著しく損なわないようにして選ばれるが例えば、当該層の質量を100質量部としたとき、当該層に含まれる光吸収剤が通常0.01~20質量部であり、好ましくは0.05~15質量部であり、より好ましくは0.1~10質量部である。
本発明の円偏光板においては、偏光子と位相差層間の積層体において、波長350nmにおける吸光度が好ましくは0.5以上であり、より好ましくは1.0以上であり、波長410nmにおける吸光度が好ましくは0.2以上であり、より好ましくは0.5以上である。
保護フィルム12は、接着剤層を介して偏光子10に積層することができる。該接着剤層を形成する接着剤としては、水系接着剤又は後述する活性エネルギー線硬化型接着剤を用いることができる。水系接着剤は、上述の水系接着剤と同じであってもよく、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂を水に溶解、又は分散させた接着剤が挙げられる。なお、保護フィルム12と、偏光子10との間の接着剤層の厚みは、接着性を確保し易い点で通常0.01μm以上であり、通常は10μm以下である。上述のとおり、本発明の円偏光板をフレキシブル画像表示装置に適用する場合、当該円偏光板を構成する各部材の厚みは薄いほど好ましいが、接着剤層の厚みが極端に薄くなると、所望の接着性が損なわれるおそれがある。そのため、接着剤層の厚みは、本発明の円偏光板をフレキシブル画像表示装置に適用する場合の屈曲性と、偏光子10と保護フィルム12との接着性を考慮して、最適化することが好ましい。
(4)ハードコート層
円偏光板は、保護フィルム12と位相差層20(液晶硬化層)との間にハードコート層をさらに有することができる。ハードコート層は、保護フィルム12の位相差層20側表面に積層されることが好ましく、該表面に直接積層されることがより好ましい。
ハードコート層は、活性エネルギー線又は熱エネルギーを照射して架橋構造を形成する反応性材料を含むハードコート組成物の硬化により形成することができる。ハードコート組成物は、活性エネルギー線の照射により硬化するものであることが好ましい。本明細書において「活性エネルギー線」としては、可視光、紫外線、赤外線、X線、α線、β線、γ線、電子線等が挙げられ、好ましくは紫外線である。
ハードコート組成物は、ラジカル重合性化合物及びカチオン重合性化合物の少なくとも1種の重合物を含有する。ラジカル重合性化合物とは、ラジカル重合性基を有する化合物である。ラジカル重合性化合物が有するラジカル重合性基としては、ラジカル重合反応を生じ得る官能基であればよく、炭素-炭素不飽和二重結合を含む基などが挙げられる。具体的には、ビニル基、(メタ)アクリロイル基等が挙げられる。
ラジカル重合性化合物としては、反応性の高さの点から、(メタ)アクリロイル基を有する化合物が好ましく、1分子中に2~6個の(メタ)アクリロイル基を有する多官能アクリレートモノマーと称される化合物やエポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートと称される分子内に数個の(メタ)アクリロイル基を有する分子量が数百から数千のオリゴマーを好ましく使用できる。エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート及びポリエステル(メタ)アクリレートから選択された1種以上を含むことが好ましい。
カチオン重合性化合物とは、エポキシ基、オキセタニル基、ビニルエーテル基等のカチオン重合性基を有する化合物である。カチオン重合性化合物としては、カチオン重合性基としてエポキシ基及びオキセタニル基の少なくとも1種を有する化合物が好ましい。
エポキシ基を有するカチオン重合性化合物としては、例えば、脂環族環を有する多価アルコールのポリグリシジルエーテル又は、シクロヘキセン環、シクロペンテン環含有化合物を、過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化することによって得られる脂環族エポキシ樹脂;脂肪族多価アルコール、又はそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル、脂肪族長鎖多塩基酸のポリグリシジルエステル、グリシジル(メタ)アクリレートのホモポリマー、コポリマー等の脂肪族エポキシ樹脂;ビスフェノールA、ビスフェノールFや水添ビスフェノールA等のビスフェノール類、又はそれらのアルキレンオキサイド付加体、カプロラクトン付加体等の誘導体と、エピクロルヒドリンとの反応によって製造されるグリシジルエーテル、及びノボラックエポキシ樹脂等であり、ビスフェノール類から誘導されるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂等が挙げられる。
ハードコート組成物は、重合開始剤をさらに含むことができる。重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤及びそれらの組み合わせが挙げられる。これらの重合開始剤は、活性エネルギー線照射及び加熱の少なくとも一種により分解されて、ラジカル又はカチオンを発生してラジカル重合とカチオン重合を進行させるものである。
活性エネルギー線ラジカル重合開始剤としては、分子の分解でラジカルが生成されるType1型ラジカル重合開始剤と、3級アミンと共存して水素引き抜き型反応でラジカルを生成するType2型ラジカル重合開始剤があり、それぞれ単独で又は併用して使用することができる。熱ラジカル重合開始剤としては、過酸化水素、過安息香酸等の有機過酸化物、アゾビスブチロニトリル等のアゾ化合物等が挙げられる。カチオン重合開始剤としては、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩、シクロペンタジエニル鉄(II)錯体等が挙げられる。
重合開始剤の含有量は、ハードコート組成物の全体(100質量%)に対して、例えば0.1~10質量%である。重合開始剤の含量が0.1質量%未満であると、硬化を十分に進行させることができず、最終的に得られたハードコート層の機械的物性や密着力が不十分となる可能性がある。
ハードコート組成物は、溶剤、添加剤等をさらに含むことができる。添加剤としては、無機粒子、レベリング剤、安定剤、界面活性剤、帯電防止剤、潤滑剤、防汚剤等が挙げられる。
ハードコート層の厚みは、本発明の円偏光板を搬送する際や、当該円偏光板の加工の際に生じ得るキズを抑制する観点から、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上、さらに好ましくは3μm以上であり、5μm以上であってもよい。ハードコート層の厚みは、屈曲耐性(フレキシブル性)や生産効率の観点から、好ましくは30μm以下であり、より好ましくは20μm以下であり、さらに好ましくは10μm以下である。
ハードコート層は、光選択吸収性を有していてもよい。保護フィルム12及びハードコート層の少なくともいずれか一方は、光選択吸収性を有することが好ましく、両者が光選択吸収性を有していてもよい。ハードコート層が光選択吸収性を有することの有利性は、保護フィルム12が光選択吸収性を有する場合と同様である。ハードコート層への光選択吸収性の付与は、上述の光吸収剤をハードコート層に含有させることによって行うことができる。
光吸収剤を含むハードコート層を備えた保護フィルム12(ハードコート層付保護フィルム)を市場から購入し、当該ハードコート層付保護フィルムをそのまま、本発明の円偏光板の部材として用いることもできる。同様に、ハードコート層103を備えていないが、光吸収剤を含む保護フィルム12も入手できる。このような保護フィルムやハードコート層付保護フィルムに含まれる光吸収剤の含有量は不明であることもあるが、その場合は、保護フィルムやハードコート層付保護フィルムの可視光に対する光線透過性を考慮して、最適なものを選択することができる。
(5)位相差層
位相差層20は、少なくとも1層の液晶硬化層(重合性液晶化合物が重合硬化した硬化物層)を含む。図2、図3に示されるように、位相差層構造体20は、好ましくは、第1液晶硬化層及び第2液晶硬化層を含み、円偏光板は、好ましくは、視認側から保護コーティング層11、偏光子10、保護フィルム12、第1液晶硬化層及び第2液晶硬化層をこの順に含む。
液晶硬化層は、位相差特性を有する層(位相差層)であり、重合性液晶化合物が配向状態で重合硬化し、位相差特性を発現する硬化物層である。位相差層20は、少なくとも1層の液晶硬化層を含み、2層以上の液晶硬化層を含んでいてもよい。2層以上の液晶硬化層を含む場合、位相差層20は、これらの液晶硬化層を互いに貼合するための貼合層を含んでいてもよい。
液晶硬化層は、1/2波長位相差層、1/4波長位相差層、又はポジティブCプレートであることができる。1/4波長位相差層は逆波長分散性であってもよい。位相差層構造体20が2以上の液晶硬化層を含む場合、液晶硬化層は互いに同じ位相差特性を有していてもよく、互いに異なる位相差特性を有していてもよい。
第1液晶硬化層及び第2液晶硬化層は、例えば、それぞれ1/2波長位相差層、1/4波長位相差層である。あるいは、第1液晶硬化層及び第2液晶硬化層のうちの一方が逆波長分散性の1/4波長位相差層であり、他方がポジティブCプレートである。例えば、第1液晶硬化層及び第2液晶硬化層は、それぞれ逆波長分散性の1/4波長位相差層、ポジティブCプレートである。
重合性液晶化合物としては、棒状の重合性液晶化合物及び円盤状の重合性液晶化合物が挙げられ、これらのうちの一方を用いてもよく、これらの両方を含む混合物を用いてもよい。棒状の重合性液晶化合物が基材層に対して水平配向又は垂直配向した場合は、該重合性液晶化合物の光軸は、該重合性液晶化合物の長軸方向と一致する。円盤状の重合性液晶化合物が配向した場合は、該重合性液晶化合物の光軸は、該重合性液晶化合物の円盤面に対して直交する方向に存在する。棒状の重合性液晶化合物としては、例えば、特表平11-513019号公報(請求項1等)に記載のものを好適に用いることができる。円盤状の重合性液晶化合物としては、特開2007-108732号公報(段落[0020]~[0067]等)、特開2010-244038号公報(段落[0013]~[0108]等)に記載のものを好適に用いることができる。
重合性液晶化合物を重合することによって形成される液晶硬化層が面内位相差を発現するためには、重合性液晶化合物を適した方向に配向させればよい。重合性液晶化合物が棒状の場合は、該重合性液晶化合物の光軸を基材層平面に対して水平に配向させることで面内位相差が発現し、この場合、光軸方向と遅相軸方向とは一致する。重合性液晶化合物が円盤状の場合は、該重合性液晶化合物の光軸を基材層平面に対して水平に配向させることで面内位相差が発現し、この場合、光軸と遅相軸とは直交する。重合性液晶化合物の配向状態は、配向層と重合性液晶化合物との組み合わせによって調整することができる。
重合性液晶化合物は、少なくとも1つの重合性基を有し、かつ、液晶性を有する化合物である。重合性液晶化合物を2種類以上を併用する場合、少なくとも1種類が分子内に2以上の重合性基を有することが好ましい。重合性基とは、重合反応に関与する基を意味し、光重合性基であることが好ましい。ここで、光重合性基とは、後述する光重合開始剤から発生した活性ラジカルや酸等によって重合反応に関与し得る基のことをいう。重合性基としては、ビニル基、ビニルオキシ基、1-クロロビニル基、イソプロペニル基、4-ビニルフェニル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、オキシラニル基、オキセタニル基、スチリル基、アリル基等が挙げられる。中でも、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニルオキシ基、オキシラニル基及びオキセタニル基が好ましく、アクリロイルオキシ基がより好ましい。重合性液晶化合物が有する液晶性はサーモトロピック性液晶でもリオトロピック液晶でもよく、サーモトロピック液晶を秩序度で分類すると、ネマチック液晶でもスメクチック液晶でもよい。
位相差層20は配向層を含んでいてもよい。配向層は、重合性液晶化合物を所望の方向に配向させる配向規制力を有する。配向層は、重合性液晶化合物の分子軸を基材層に対して垂直配向した垂直配向層であってもよく、重合性液晶化合物の分子軸を基材層に対して水平配向した水平配向層であってもよく、重合性液晶化合物の分子軸を基材層に対して傾斜配向させる傾斜配向層であってもよい。位相差層20が2以上の配向層を含む場合、配向層は互いに同じであってもよく、互いに異なっていてもよい。
配向層としては、重合性液晶化合物を含む液晶層形成用組成物の塗工等により溶解しない溶媒耐性を有し、溶媒の除去や重合性液晶化合物の配向のための加熱処理に対する耐熱性を有するものが好ましい。配向層としては、配向性ポリマーで形成された配向性ポリマー層、光配向ポリマーで形成された光配向性ポリマー層、層表面に凹凸パターンや複数のグルブ(溝)を有するグルブ配向層を挙げることができる。
液晶硬化層(第1、第2液晶硬化層)の厚みは、0.1μm以上であってもよく、0.5μm以上であってもよく、1μm以上であってもよく、2μm以上であってもよく、また、10μm以下であることが好ましく、8μm以下であってもよく、5μm以下であってもよい。
液晶硬化層は、基材層上に、重合性液晶化合物を含む液晶層形成用組成物を塗布、乾燥し、重合性液晶化合物を重合させることによって形成することができる。液晶層形成用組成物は、基材層上に形成された配向層上に塗布してもよい。
基材層としては、樹脂材料で形成されたフィルムを用いることができ、例えば上記した保護フィルム12を形成するために用いる熱可塑性樹脂として説明した樹脂材料を用いたフィルムを挙げることができる。基材層の厚みは特に限定されないが、一般には強度や取扱い性等の作業性の点から1μm~300μmであることが好ましく、20μm~200μmであることがより好ましい。基材層は、液晶硬化層とともに円偏光板に組み込まれてもよく、基材層を剥離して、液晶硬化層のみ、又は、当該液晶硬化層及び配向層が円偏光板に組み込まれてもよい。
液晶硬化層を互いに貼合するための貼合層は、粘着剤層又は接着剤層であってよく、接着剤層であることが好ましく、活性エネルギー線硬化型接着剤を硬化した接着剤層であることがより好ましく、紫外線硬化型接着剤を硬化した接着剤層であることがさらに好ましい。当該貼合層を接着剤層とすることにより、円偏光板の折り曲げ又は折り畳みを行ったときに液晶硬化層にシワが発生することを抑制することができる。粘着剤層としては、後述するものを用いることができる。
活性エネルギー線硬化型接着剤としては、例えば、活性エネルギー線の照射によって硬化する硬化性化合物を含む無溶剤型の活性エネルギー線硬化型接着剤が挙げられる。
活性エネルギー線硬化型接着剤としては、良好な接着性を示すことから、カチオン重合性の硬化性化合物、ラジカル重合性の硬化性化合物のいずれか一方又は両方を含むことが好ましい。活性エネルギー線硬化型接着剤は、上記硬化性化合物の硬化反応を開始させるための光カチオン重合開始剤等のカチオン重合開始剤、又はラジカル重合開始剤をさらに含むことができる。
カチオン重合性の硬化性化合物としては、例えば、脂環式環に結合したエポキシ基を有する脂環式エポキシ化合物、2個以上のエポキシ基を有し芳香環を有さない多官能脂肪族エポキシ化合物、エポキシ基を1つ有する単官能エポキシ基(但し、脂環式エポキシ化合物に含まれるものを除く)、2個以上のエポキシ基を有し芳香環を有する多官能芳香族エポキシ化合物等のエポキシ系化合物;分子内に1個又は2個以上のオキセタン環を有するオキセタン化合物;これらの組み合わせを挙げることができる。
ラジカル重合性の硬化性化合物としては、例えば、(メタ)アクリル系化合物(分子内に1個又は2個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物)、ラジカル重合性の二重結合を有するその他のビニル系化合物、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。
液晶硬化層を互いに貼合するための貼合層の厚みは特に限定されない。例えば2μm以上30μm以下であってよく、好ましくは3μm以上20μm以下である。例えば10μm以上であってもよいが、更なる薄型化の点では15μm以下、好ましくは10μm以下、とりわけ7μm以下が好ましい。当該貼合層が接着剤層である場合の厚みは、0.1μm以上であることが好ましく、0.5μm以上であってもよく、また10μm以下であることが好ましく、5μm以下であってもよい。
(6)貼合層
貼合層30は、粘着剤層又は接着剤層であり、好ましくは粘着剤層である。貼合層30は、直線偏光板と位相差層20とを接合する。円偏光板100は、位相差層20の外側(偏光板とは反対側表面)に貼合層31を有していてもよく、この貼合層31は通常、粘着剤層である。貼合層31は、円偏光板を画像表示素子に貼合するために用いることができる。円偏光板は、保護コーティング層11、偏光子10、保護フィルム12、粘着剤層、液晶硬化層(第1液晶硬化層及び第2液晶硬化層)及び粘着剤層をこの順に含むことが好ましい。円偏光板は、保護コーティング層11、偏光子10、保護フィルム12、ハードコート層、粘着剤層、液晶硬化層(第1液晶硬化層及び第2液晶硬化層)及び粘着剤層をこの順に含んでもよい。
直線偏光板と位相差層20とを接合する貼合層30である粘着剤層の厚みは、例えば2μm以上30μm以下であってよく、好ましくは3μm以上20μm以下である。例えば10μm以上であってもよいが、更なる薄型化の点では15μm以下、好ましくは10μm以下、とりわけ7μm以下が好ましい。貼合層30が接着剤層である場合の厚みは、0.1μm以上であることが好ましく、0.5μm以上であってもよく、また10μm以下であることが好ましく、5μm以下であってもよい。
貼合層30は、光選択吸収性を有していてもよい。保護フィルム12、ハードコート層及び貼合層30の少なくとも1層が、光選択吸収性を有することが好ましく、これらのうちの複数の層が光選択吸収性を有していてもよい。貼合層30が光選択吸収性を有することの有利な点は、保護フィルム12が光選択吸収性を有する場合と同様である。貼合層30への光選択吸収性の付与は、上述の光吸収剤を貼合層30に含有させることによって行うことができる。
貼合層31である粘着剤層の厚みは、特に限定されるものではなく、その用途に応じて適宜設定することができるが、例えば250μm以下であってよく、薄型化の観点から好ましくは100μm以下であり、より好ましくは50μm以下であり、さらに好ましくは40μm以下、特に好ましくは30μm以下、より特に好ましくは20μm以下である。該粘着剤層の厚みの下限値は、特に限定されるものではないが、耐久性の観点からは、例えば1μm以上であってよく、好ましくは5μm以上であり、より好ましくは10μm以上であり、さらに好ましくは14μm以上である。
粘着剤としては、従来公知の光学的な透明性に優れる粘着剤を用いることができ、例えば、(メタ)アクリル系、ウレタン系、シリコーン系、ポリビニルエーテル系等のベースポリマーを有する粘着剤を用いることができる。また、活性エネルギー線硬化型粘着剤、熱硬化型粘着剤等であってもよい。これらの中でも、透明性、粘着力、再剥離性(以下、リワーク性ともいう。)、耐候性、耐熱性等に優れる(メタ)アクリル系樹脂をベースポリマーとした粘着剤が好適である。粘着剤層は、(メタ)アクリル系樹脂、架橋剤、シラン化合物を含む粘着剤の反応生成物から構成されることが好ましく、その他の成分を含んでいてもよい。
粘着剤層は、活性エネルギー線硬化型粘着剤を用いて形成してもよい。活性エネルギー線硬化型粘着剤は、上記した粘着剤に、多官能性(メタ)アクリレート等の紫外線硬化性化合物を配合し、粘着剤層を形成した後に紫外線を照射して硬化させることにより、より硬い粘着剤層を形成することができる。活性エネルギー線硬化型粘着剤は、紫外線や電子線等のエネルギー線の照射を受けて硬化する性質を有している。活性エネルギー線硬化型粘着剤は、エネルギー線照射前においても粘着性を有しているため、被着体に密着し、エネルギー線の照射により硬化して密着力を調整することができる性質を有する粘着剤である。
活性エネルギー線硬化型粘着剤は、一般には(メタ)アクリル系粘着剤と、エネルギー線重合性化合物とを主成分として含む。通常はさらに架橋剤が配合されており、また必要に応じて、光重合開始剤や光増感剤等を配合することもできる。
(7)セパレートフィルム
円偏光板は、貼合層31の外表面を保護するためのセパレートフィルム40を備えることができる。セパレートフィルム40としては、基材フィルムの貼合層側の表面にシリコーン処理等の離型処理が施されたフィルムを挙げることができる。基材フィルムは、例えば、ポリエチレン等のポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン等のポリプロピレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂等からなるフィルムである。
<円偏光板の製造方法>
本発明の円偏光板は、円偏光板を構成する各層を貼合する工程を含む方法によって製造することができる。円偏光板は、例えば直線偏光板と位相差層とを粘着剤等の貼合層により貼合して得ることができる。偏光板は次のように作成できる。まず、偏光子を準備し、偏光子の片面に水系接着剤を介して保護フィルムを、もう一方の面に純水を介して剥離性フィルムを、ロール貼合機を用いて貼合する。この積層体を乾燥させた後、剥離性フィルムを剥離し、紫外線吸収剤と水系接着剤とを含む保護コーティング層形成用組成物を塗布する。これを乾燥させて、保護コーティング層、偏光子及び保護フィルムを含む直線偏光板を得ることができる。
上記円偏光板は、偏光子、保護フィルム及び位相差層をこの順に有する積層体の偏光子側の面に、紫外線吸収剤と水系接着剤とを含む保護コーティング層形成用組成物を塗布し、これを乾燥させることにより得ることもできる。
保護コーティング層形成用組成物の塗布は、バーコータ等の従来の手段により行うことができる。貼合層を介して層同士を貼合する場合には、密着力を調整する目的で貼合面の一方又は両方に対して、コロナ処理等の表面活性化処理を施してもよい。コロナ処理の条件は適宜設定することができ、貼合面の一方の面と他の面とで条件が異なっていてもよい。
長尺の円偏光板又は長尺の円偏光板を枚葉状に切り出した円偏光板は異形加工してもよく、外縁部に凹状部を設けるか、又は面内に貫通孔を設けてもよい。加工方法は打ち抜き加工、切断加工又は切削加工であってよい。加工は切断刃、切削刃又は打ち抜き刃を用いたり、レーザー光を照射することにより行うことができる、レーザー光は、COレーザーであってよい。加工を行う際、枚葉状偏光板は単独であってもよいし、複数枚摘み重ねた積層体としてもよい。円偏光板の異形加工は、円偏光板を構成する層のうち、偏光板、例えば保護コーティング層11から偏光子10、接着剤層、保護フィルム12までが行われていてもよい。異形加工は偏光板と位相差層との積層前に、偏光板に対して行われてもよい。偏光子と位相差層とを含む本発明に係る円偏光板は、加工される層に粘着剤層を含まないため、加工の際に粘着剤が飛び散ることがなく、円偏光板が汚染されにくい。
<光学積層体>
本発明に係る光学積層体(以下、単に「光学積層体」ともいう。)は、上記本発明に係る円偏光板と他の構成要素とを備えるものである。他の構成要素としては、例えば、画像表示素子、前面板、プロテクトフィルム等が挙げられる。画像表示素子は、円偏光板における液晶硬化層側、すなわち、円偏光板の視認側とは反対側に配置され得る。前面板は、円偏光板における偏光子側、より具体的には、円偏光板の最表面である保護コーティング層11の表面上に配置され得る。プロテクトフィルム(「表面保護フィルム」とも呼ばれる。)は、円偏光板の最表面である保護コーティング層11の表面を仮保護する。光学積層体は、上記他の構成要素として、前面板及び画像表示素子からなる群より選択される1種以上を含むことが好ましい。
<画像表示装置>
本発明に係る円偏光板は、画像表示素子の前面(視認側)に配置されて、画像表示装置の構成要素として用いることができる。円偏光板は、画像表示装置において反射防止機能を付与する反射防止用偏光板として用いることもできる。画像表示装置は特に限定されず、例えば有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)表示装置、無機エレクトロルミネッセンス(無機EL)表示装置、液晶表示装置、電界発光表示装置等の画像表示装置が挙げられる。以下、本発明の円偏光板を画像表示装置に適用する態様の要部について簡単に説明する。
画像表示装置は、フレキシブル画像表示装置であってもよい。フレキシブル画像表示装置は、後述するフレキシブル画像表示装置用光学積層体と、有機EL表示素子とからなり、有機EL表示素子に対して視認側にフレキシブル画像表示装置用光学積層体が配置され、折り曲げ可能に構成されている。
<フレキシブル画像表示装置用光学積層体>
フレキシブル画像表示装置用光学積層体は、本発明の円偏光板と、屈曲耐性のある画像表示素子である有機EL表示素子とからなる。また、フレキシブル画像表示装置用光学積層体は、屈曲耐性のある前面板を有する。さらに、タッチセンサパネルを入力手段として備えることがある。この場合の円偏光板、前面板及びタッチセンサパネルの積層順は、例えば視認側から前面板、円偏光板、タッチセンサパネルの順であってもよい。積層順は、前面板、タッチセンサパネル、円偏光板の順であることが好ましい。タッチセンサパネルよりも視認側に円偏光板が存在すると、タッチセンサパネルの配線パターンが視認されにくくなり表示画像の視認性が良くなるので好ましい。それぞれの部材は接着剤、粘着剤等を用いて積層することができる。また、フレキシブル画像表示装置用光学積層体は、前面板、偏光板、タッチセンサのパネルいずれかの層の少なくとも一面に形成された遮光パターンを具備することができる。
<前面板>
画像表示装置において、円偏光板の視認側には、前面板を配置することができる。前面板は通常、粘着剤層又は接着剤層を介して、本発明の円偏光板の保護コーティング層11に積層することができる。
前面板としては、ガラス又は樹脂フィルムからなるものが挙げられ、これらの少なくとも一面にハードコート層を含んでいてもよい。ガラスとしては、例えば、高透過ガラスや、強化ガラスを用いることができる。特に薄い透明面材を使用する場合には、化学強化を施したガラスが好ましい。ガラスの厚みは、例えば100μm~5mmとすることができる。
本発明の円偏光板をフレキシブル画像表示装置に適用する場合、用いられる前面板は可撓性(フレキシブルな特性)が求められる。この点から、当該前面板は樹脂フィルムからなるものが好ましく、上述のとおり、その少なくとも一面にハードコート層を含んでいてもよい。ハードコート層を含み、樹脂フィルムからなる前面板は、既存のガラスのように硬直ではなく、フレキシブルな特性を有することができる。この場合のハードコート層の厚さはフレキシブルな特性を損なわない範囲であれば特に限定されず、例えば、5μm~100μmであってもよい。
前面板として用いられる樹脂フィルムの材質としては、保護フィルム12の材質として例示したものと同じものが挙げられる。もちろん、2種以上の材質であっても、実用的な光線透過率のフィルムであればよい。かかる材質の樹脂フィルムから、光線透過率、フレキシブルな特性や耐久性等を考慮して、厚み等を最適化できる。前面板としては、位相差特性を有さないもの(未延伸フィルム)が好ましいが、許容できる位相差値であれば、1軸又は2軸延伸フィルムであってもよい。中でも、前面板に用いる樹脂フィルムとしては、透明性及び耐熱性に優れたポリアミドイミドフィルム又はポリイミドフィルム、1軸又は2軸延伸ポリエステルフィルム、透明性及び耐熱性に優れるとともに、フィルムの大型化に対応できるシクロオレフィン系誘導体フィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム及び透明性と光学的に異方性のないトリアセチルセルロース及びイソブチルエステルセルロースフィルムが好ましい。この場合の樹脂フィルムの厚さは5μm~200μm、好ましくは、20μm~100μmであってもよい。
<遮光パターン>
遮光パターンは、ベゼルと呼ばれる画像表示装置の画像表示面の周囲の一部に、例えば、画像表示面側から視認者が画像をみたとき、配線が視認されないため等の理由で配設される。かかる遮光パターンは、画像表示装置用光学積層体を構成する前面板、円偏光板のいずれかの少なくとも一面に形成される。当該画像表示装置用光学積層体に入力手段としてタッチセンサパネルを取り付ける場合には、当該タッチセンサパネルに遮光パターンを設けることもある。遮光パターンは上述のように、表示装置の各配線を隠し使用者に視認されないようにすることができる。遮光パターンの色や材質は特に制限されることはなく、黒色、白色、金色等の多様な色を有する樹脂物質で形成することができる。一実施形態において、遮光パターンの厚さは2μm~50μmであってもよく、好ましくは4μm~30μmであってもよく、より好ましくは6μm~15μmの範囲であってもよい。また、遮光パターンと表示部の間の段差による気泡混入及び境界部の視認を抑制するために、遮光パターンに形状を付与することができる。
<タッチセンサパネル>
本発明の円偏光板を備えた画像表示装置は、さらにタッチセンサを入力手段として備えることができ、この場合は通常、タッチセンサパネルを組み込むことで実現できる。タッチセンサの方式としては、抵抗膜方式、表面弾性波方式、赤外線方式、電磁誘導方式、静電容量方式等様々な様式が提案されており、いずれの方式でも構わない。中でも静電容量方式が好ましい。静電容量方式タッチセンサは、活性領域及び前記活性領域の外郭部に位置する非活性領域に区分される。活性領域は表示パネルで画面が表示される領域(表示部)に対応する領域であって、使用者のタッチが感知される領域であり、非活性領域は表示装置で画面が表示されない領域(非表示部)に対応する領域である。タッチセンサパネルは、フレキシブルな特性を有する基板と;前記基板の活性領域に形成された感知パターンと;前記基板の非活性領域に形成され、前記感知パターンとパッド部を介して外部の駆動回路と接続するための各センシングラインを含むことができる。フレキシブルな特性を有する基板としては、前面板の透明基板と同様の材料が使用できる。タッチセンサパネルの基板は、靱性が2000MPa%以上のものがタッチセンサパネルに生じ得るクラックを抑制する観点から好ましい。より好ましくは靱性が2000MPa%~30000MPa%である。ここで、靭性は、高分子材料の引張試験を通じて得られる応力(MPa)-ひずみ(%)曲線(Stress-Strain Curve)において、破壊点までの曲線の下部面積として定義される。
前面板と円偏光板の最表面である保護コーティング層11とは貼合層によって点号することができる。貼合層は好ましくは粘着剤層であり、上述の粘着剤層の記載が引用される。
光学積層体は、偏光子101の表面を仮着保護するためのプロテクトフィルムを含むことができる。プロテクトフィルムは、基材フィルムとその上に積層される粘着剤層とで構成される。粘着剤層については上述の記述が引用される。基材フィルムを構成する樹脂は、例えば、ポリエチレンのようなポリエチレン系樹脂、ポリプロピレンのようなポリプロピレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートのようなポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等の熱可塑性樹脂であることができる。好ましくは、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂である。
本発明に係る光学積層体及び円偏光板は、画像表示装置、とりわけ有機EL画像表示装置に好適に適用することができる。
100 円偏光板、10 偏光子、11 保護コーティング層、12 保護フィルム、20 位相差層、30,31 貼合層、40 セパレートフィルム。

Claims (10)

  1. 保護コーティング層と、偏光子と、位相差層と、がこの順に配置された円偏光板であって、
    前記偏光子はポリビニルアルコール系樹脂フィルムからなり、
    前記偏光子は片面に前記保護コーティング層が直接積層され、
    前記保護コーティング層は水系接着剤の硬化層であり、
    前記水系接着剤は紫外線吸収剤を含む、円偏光板。
  2. 前記紫外線吸収剤は水溶性紫外線吸収剤である、請求項1に記載の円偏光板。
  3. 前記水溶性紫外線吸収剤は、ポルフィリン、ポルフィリン錯体及びポルフィリン誘導体からなる群より選択される少なくとも1つを含む、請求項2に記載の円偏光板。
  4. 前記水系接着剤の硬化層に対する前記水溶性紫外線吸収剤の含有量は、100ppm以上50000ppm以下である、請求項2又は3のいずれか1項に記載の円偏光板。
  5. 前記水系接着剤はポリビニルアルコール系樹脂を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の円偏光板。
  6. 前記水系接着剤は架橋剤を含まない、請求項1~5のいずれか1項に記載の円偏光板。
  7. 前記保護コーティング層の厚みは、1μm以上15μm以下である、請求項1~6のいずれか1項に記載の円偏光板。
  8. 前記偏光子の前記保護コーティング層とは反対側に積層された保護フィルムをさらに有する、請求項1~7のいずれか1項に記載の円偏光板。
  9. 異形加工された、請求項1~8のいずれか1項に記載の円偏光板。
  10. 請求項1~9のいずれか1項に記載の円偏光板を備えた画像表示装置。
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