JP7260362B2 - 海島型複合繊維およびそれからなる多孔中空繊維 - Google Patents

海島型複合繊維およびそれからなる多孔中空繊維 Download PDF

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Description

本発明は、布帛にした際、ソフトな風合いで、高い吸水速度と染め斑が少ないといった特徴を有する多孔中空繊維及びその製造方法に関する。
ポリエステルやポリアミド等の合成繊維は、その優れた物理的及び化学的特性によって衣料用のみならず、産業用にも広く使用されており、工業的に重要な価値を有している。しかしながら、これらの合成繊維は、その単糸繊度が大きいこと、その横断面形状が単純であること、その表面の内部構造が均一かつ単純であること等からプラスチック的な冷たさを有する。また吸水性に乏しく、夏季の衣料とした場合、気温および湿度の高い環境下では着用時にムレ易く、快適性に劣る欠点を有する。
そこで合成繊維の上記のような欠点を改良するために、合成繊維の横断面形状を異形化したり、繊維を中空化することが広く行われている。通常、異形紡糸ノズルまたは中空紡糸ノズルを用いて製造される異形断面繊維や中空繊維は、紡出後、固化するまでの間に溶融状態にある樹脂の表面張力や紡糸時の引き取り張力等によって異形断面が崩れたり、中空部が潰れやすいという課題があり、特に多孔中空形状を発現させようとすると、紡出直後は繊維に多孔状の中空構造が付与されても、多孔状中空部が潰れて消滅したり、該中空部の割合が減少し易く、かかる手法で多孔状の中空部を有する繊維を得ることは実質的に不可能であった。
このような製糸段階での困難性を解決するために、特許文献1、2にはアルカリ易分解性ポリマーを島成分とし、海成分としてはポリアミドやエチレン-ビニルアルコール系共重合体等の吸水率が3%以上の耐アルカリ性ポリマーを用いて複合繊維とした後、該易分解性ポリマーを熱アルカリ水溶液処理することにより分解除去して多孔中空繊維とする技術が提案されている。しかしながら、従来では多孔中空とした際に中空部ポリマーが均一に減量できないことや多孔中空とした際、中空部がつぶれやすい、染色した際に糸の繊維径のばらつきから染め斑が生じるという欠点があり、安定した生産が困難であった。また海成分にポリビニルアルコール系ポリマーを用いた場合は長期ランニングの際ポリマーの熱劣化によって、安定した紡糸ができなかった。
特開平7-316977号公報 特開2002-161438号公報
本発明の目的は、布帛にした際、多孔中空部の潰れが少ないため、軽量かつソフトな風合いで、高い吸水速度と染め斑が少ないといった特徴を有する多孔中空繊維及びその製造方法を提供することにある。
上記の問題を解決するために鋭意検討した結果、本発明に達した。すなわち、本発明によれば、
1.海島型複合繊維において、海成分に難溶解性ポリマーとして公定水分率3%以上であるポリマーを用い、島成分に易溶解性ポリマーとしてポリエチレングリコール系化合物と5-ナトリウムスルホイソフタル酸の共重合ポリエステルからなる易溶解性ポリマーを用いた海島型複合繊維であって、複合繊維の断面において、海成分中に複数の島成分が配置された海島領域と、海成分のみで形成され、海島領域によってはさまれている、互いに交差する3以上の海成分領域を有し、前記海成分領域の幅(H)が、前記海島領域内に存在しかつ隣接する島成分同士の距離(W)の最大値よりも大きく、海島型複合繊維の島成分直径をrとすると、海島型複合繊維の外周と最外層の島成分の間隔Dが0.2r~1.0rの関係を満たし、ウースター斑の平均偏差率(U%)が1.0%未満となる海島型複合繊維、
2.海成分領域(H)で囲われた領域において島成分数が10島以上、100島未満である前記1記載の海島型複合繊維、である。
本発明によれば、布帛にした際、多孔中空部の潰れが少ないため、軽量かつソフトな風合いを有し、高い吸水速度と染め斑が少ないといった特徴を有する多孔中空繊維及びそれを用いた、軽量性、ソフト性、吸水性、染色性に優れた繊維製品を提供することができる。
本発明に用いられる口金1の島成分導入部分の位置関係の一例を示す図である。 本発明に用いられる口金2の島成分導入部分の位置関係の別の形態を示す図である。 図1の口金を用いて紡糸して得られる海島型複合繊維の断面を示す図である。 比較例としての従来技術の口金3の島成分導入部分の位置関係を示す図である。 比較例としての口金4の島成分導入部分の位置関係を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の海島型複合繊維は、アルカリ水溶液に対する溶解性の異なる2種類のポリマーからなり、繊維横断面において易溶解性ポリマーを島成分、難溶解性ポリマーを海成分として複合化した海島型複合繊維からなる。以下、島成分を構成する易溶解性ポリマーを島成分ポリマー、海成分を構成する難溶解性ポリマーを海成分ポリマーと称することがある。
上記の海成分ポリマーについて、公定水分率が3%以上のポリマ-であることが重要である。ここで「公定水分率」とは、JIS L 0105:2006で定義された通常の状態で繊維が有する繊維質量と絶乾時の繊維質量の差を通常の状態で繊維が有する繊維質量で割った値である。公定水分率が3%未満のポリマ-である場合、海島型複合繊維をアルカリ水溶液処理して多孔中空繊維を製造する際に、繊維中心付近の島成分である易溶解性共重合ポリエステルを完全に溶解除去して多孔中空部を形成することが困難である。また、海成分ポリマ-はアルカリ水溶液処理時の劣化、損傷を回避するために、耐アルカリ性であることも重要である。
耐アルカリ性のポリマ-とは、100℃、濃度40g/l、処理時間1時間の条件での水酸化ナトリウム水溶液による減量率が10%以下であるポリマ-を示す。このような公定水分率が3%以上である耐アルカリ性、かつ耐水解性のポリマ-としては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610等の脂肪族ポリアミド、ビニロン、エチレンビニルアルコ-ル系共重合体等が好適である。これらのポリマーを難溶解性ポリマー(海成分)として用いることにより、海島型複合繊維の中心付近まで完全に易溶解性ポリエステル(島成分)を除去できる根拠は明確ではないが、恐らく海成分の公定水分率が高いとアルカリ水溶液中の水酸化イオンの海成分中の拡散性が高く、耐アルカリ性が高いことと相俟って、比較的高濃度のアルカリ性や長時間のアルカリ減量時間にも海成分が耐えることが要因として考えられる。また、海島型複合繊維の中心部分付近まで3以上の海成分のみからなる領域を有することも、海島型複合繊維の中心までアルカリ水溶液中の水酸化イオンの拡散を助長していることも影響していると推察される。
これらのポリマーの重合度は一般衣料用に用いられる範囲内であり、繊維形成が可能な範囲であればよい。なお、これらのポリマーには酸化チタン等の艶消剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等の通常の繊維用添加剤を加えて用いてもよい。
島成分ポリマーはアルカリ水溶液への溶解性および良好な成型性を有する必要がある。ポリエチレングリコール系化合物と5-ナトリウムスルホイソフタル酸の共重合ポリエステルが最も好ましい。具体的には、5-ナトリウムスルホイソフタル酸6~12モル%と分子量4000~12000のポリエチレングリコールを2~10質量%共重合させた固有粘度が0.3~0.6dL/gのポリエチレンテレフタレート系共重合ポリエステルが好ましい。ここで、5-ナトリウムスルホイソフタル酸は易アルカリ分解性と溶融粘度向上に寄与し、ポリエチレングリコール(PEG)は親水性を向上させ、かつ樹脂粘度を低下する作用がある。5-ナトリウムスルホイソフタル酸が6モル%未満であると島成分ポリマーの溶解速度が遅くなるため好ましくない。また一方12モル%超であると、固有粘度が低下し、紡糸性が悪くなるので好ましくない。また、PEG共重合量が2質量%未満であると島海成分ポリマーの溶解速度が遅くなりかつポリマーの粘度が高くなり海島型複合繊維の形成ができなくなるため、好ましくない。10質量%超であると、溶融粘度低下作用が著しく繊維成型が困難となるので、好ましくない。以上のことから上記の範囲が適切であると考えられる。
海成分と島成分の質量比率において、海成分の割合は30~80%が好ましい。海成分の割合が30%未満では、海成分を溶解後に中空部がつぶれてしまい、吸水性が失われることから好ましくない。一方、海成分の割合が80%超の場合は、中空部が小さく、望ましい吸水性が得られない。
前記の島成分ポリマーと海成分ポリマーを用いた海島型複合繊維作製時、溶融紡糸時における海成分の溶融粘度が島成分ポリマーの溶融粘度よりも大きいことが好ましい。かかる関係にある場合には、海成分の複合質量比率が30%以上となっても、島同士が接合したり、島成分の大部分が接合して海島型複合繊維とは異なるものになり難い。
好ましい溶融粘度比(海/島)は、0.1~6.0、より好ましくは0.2~4.0の範囲である。この比が0.1倍未満の場合にも6.0倍を越える場合にも、粘度差が大きすぎるために溶融紡糸時に海と島の形成が不安定になるので、紡糸調子が低下しやすい。
次に島数は、70以上、2000以下、より好ましくは90~1000であることが好ましい。島数が70未満である場合、吐出する島ポリマーの均一性が損なわれ、海島複合繊維の繊維径斑を示すウースター斑の平均偏差率(U%)が1.0%を超え、染色性が悪くなるため好ましくない。また島数が2000を超える場合、海島型複合繊維を紡糸する口金の製造コストが高くなるだけでなく加工性自体も低下するため望ましくない。
また、島径は好ましくは0.1~5μm、より好ましくは0.2~1μmである。島径が0.1μm未満の場合には繊維構造が不安定で物性や繊維形態が不安定で好ましくなく、一方5μmを超える場合には海島型複合繊維を減量加工しても十分なソフトな風合いや吸水性が得られない。
前述の海成分と島成分の質量比率において、海成分の割合は30~80%である海島型複合繊維をアルカリ水溶液で島成分を減量することで、繊維外周部からなる円の面積を分母とし、多孔中空部分が占める総断面積を分子としたときの総中空率が30~80%である多孔中空繊維を得ることが好ましい。総中空率が30%未満では、海成分の厚みが厚くなりすぎ、中空部が小さく、望ましい軽量性、ソフト性、吸水性が得られない。一方、総中空率が80%超の場合は、中空部がつぶれやすくなり、軽量感、吸水性に欠けるものとなる。また、複合繊維の断面観察において、海成分中に複数の島成分が配置された海島領域と、海成分のみで形成され、海島領域によってはさまれている、互いに交差する3以上の海成分領域を有し、前記海成分領域の幅(H)が、前記海島領域内に存在し、かつ隣接する島成分同士の距離(W)の最大値よりも大きい領域を有することが望ましい。また、複合繊維内の海成分の領域幅(H)の形状は任意の形状を有するが、図1~3に複合繊維製造のための口金の例及び図4に海島型複合繊維断面図を示す。これにより、島成分を溶解した際、均一に島成分を溶解でき、なおかつ中空部を多孔化した際に中空部がつぶれにくく、安定した多孔中空繊維束を提供できる。なお、該海成分のみ領域が配位される形状は特に限定されるわけではないが、中心から外周にかけて放射状となっている梁を形成するとより安定する。また、三角型や井型や菱形など、該海成分のみの領域が複数の交差を有する形状であっても同様の効果を呈する。互いに交差する海成分領域が2以下であると、海成分溶解除去後に海成分からなる梁に圧縮力が集中して多孔中空繊維の外径が扁平方向に変形しやすくなるだけでなく、前述のように、海島型複合繊維および海島領域の中心までアルカリ水溶液中の水酸化イオンの拡散が悪くなり、海成分が溶解除去されない部分が残りやすい。
本発明では、海島型複合繊維の島成分直径をrとすると、海島型複合繊維の外周と最外層の島成分の間隔Dが0.2r~1.0rの範囲にあることが必要である。Dが0.2r未満である場合は、アルカリ水溶液による島溶解除去後に海成分の外周が破れてしまい、外観の変化や染め斑が発生しやすくなる。一方、Dが1.0r超であると、ソフト性に劣るものとなる。Dの好ましい範囲は0.25r~0.5r、更に好ましい範囲は0.3r~0.45rである。
さらに、染色斑を小さくするために、ウースター斑の平均偏差率(U%)が1.0%未満となることが必要である。ウースター斑の平均偏差率(U%)が1.0%以上の場合、染め斑が発生しやすくなる。
次に、海成分領域(H)で囲われた領域において、島成分数が10島以上、100島未満であることが好ましい。島成分数が10島未満の場合、海島複合繊維中の島成分数が少なくなり海島型複合繊維を減量加工しても十分なソフトな風合いや吸水性が得られない。また100島以上の場合、海島型複合繊維を減量加工しても中心部分まで均一な減量加工ができず、好ましくない。
加えて、海島型複合繊維の単糸繊度は0.3~5dtexとすることが望ましい。0.3dtexより小さい単糸繊度の海島型複合繊維は糸切れせず巻き取ることが難しく安定した生産が難しく困難である。また、海島型複合繊維の単糸繊度が5dtexを超える場合、アルカリ減量をして中空繊維束を作製しても、ソフトな風合いを有する布帛とならず、好ましくない。
上記のようにして作製した多孔中空繊維束は柔らかな風合いを有し、かつ優れた吸水性を有することから、JISL1096:2010 8.21 A法(45°カンチレバー法)による剛軟度は50mm以下となり、JIS L1907:2010 7.1.1滴下法で測定した吸水速度は1秒以下を満足した、ソフト性、吸水性ともに優れた繊維となる。
また、上記のような多孔中空繊維束を10%以上含む繊維製品を作製することで多孔中空繊維束は、軽量でソフトな風合いを有し、高い吸水速度と染め斑が少ないといった特徴を有する繊維製品を提供することができる。10%未満の場合、繊維製品に多孔中空繊維束を含んでいても上記のような性質が顕著に得られない。
以下、実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明する。各評価項目は下記の方法で測
定した。
(1) 公定水分率
JIS L 0105:2006に従い、通常の状態で繊維が有する繊維質量と絶乾時の繊維質量の差を通常の状態で繊維が有する繊維質量で割った値から算出した。
(2) 剛軟度
海島型複合繊維の繊度を50~100dtexになるように束ね、その後度目50~80となるように丸編みを作成し、その後減量加工することで多孔中空繊維束からなる布帛を作製した。またこの布帛をJIS L1096:2010 8.21 A法(45°カンチレバー法)に従い、測定行った。
(3) 吸水速度
上記と同様に布帛を作製し、その後減量加工することで多孔中空繊維束からなる布帛を作製した。またこの布帛をJIS L1907:2010 7.1.1滴下法により吸水速度を測定し、1秒以下であれば良好であると判断した。
(4) 中空孔孔径、海島型複合繊維の島径(r)
海島型複合繊維をアルカリ溶液で減量加工した後に得られた多孔中空繊維を繊維長方向と垂直の方向に繊維断面を切断し、繊維断面を30,000倍でTEM観察により、1本の複合繊維内の中空孔直径を測定し、その30点平均から島成分径を測定した。
(5) ウースター斑(U%)
ツェルベガーウースター社製 ウースターテスターUT-5を用い、ハーフInertモードで、海島型複合繊維の平均偏差率(U%)を測定した。
給糸速度:400m/分
測定糸長:2000m
U%の値が1.0未満であれば、糸斑の少ない海島型複合繊維であると判断した。
(6) 海島型複合繊維の外周と最外層の島成分の間隔(D)
海島型複合繊維を繊維長方向と垂直の方向に繊維断面を切断し、繊維断面を30,000倍でTEM観察により、1本の複合繊維内の繊維外周と最外層島成分の間隔を測定し、その30点平均から島成分径を測定した。この時Dが0.2r~1.0rとなる場合が良好であると判断した。
(7) 海島型複合繊維断面における海成分領域の幅(H)および島成分同士の距離(W)
海島型複合繊維を繊維長方向と垂直の方向に繊維断面を切断し、繊維断面を30,000倍でTEM観察により、海成分領域の幅(H)および島成分同士の距離(W)を測定し、その30点平均から島成分径を測定した。この時H>Wとなる場合が良好とした。
(8) 多孔中空繊維束の形成
中空潰れが発生する場合、海島型複合繊維単糸の中空部の島の溶解除去が不十分である場合、島部連結や中空部の破れが生じている場合、海島型複合繊維の紡糸断糸が多かったり、曵糸性不足で複合繊維が得られなかった場合を×、問題がなかった場合を〇として表現した。
[実施例1]
海成分に公定水分率4.5%、Tg47℃のポリアミド6(Ny6)を用い、島成分に平均分子量4000のポリエチレングリコール(PEG)を3質量%、5-ナトリウムスルホイソフタル酸(SIP)を9mol%共重合したポリエチレンテレフタレート(共重合PET1)を用いて、島数90/1フィラメント、24フィラメントとなる海島合流部の形態が図1に示すものである海島型紡糸口金を用いて溶融紡糸し、1000m/minで巻取行い3倍に延伸行って、単糸繊度4.0dtexなる海島型複合繊維を得た。この時、島成分と海成分ポリマーの質量吐出比は50:50であった。また得られた海島型複合繊維の外周と最外層の島成分の間隔は0.56μm、海成分領域の幅(H)および島成分同士の距離(W)はそれぞれH=1.20μm、W=0.80μmであった。加えてU%は0.6%であり染色斑がすくなかった。その後3.5質量%、80℃の水酸化ナトリウム水溶液へ40分間浸漬し、島成分ポリマーを溶解した。得られた多孔中空繊維は図3に示す多孔中空断面を呈しており、中空孔の直径は1.4μm、孔数90、中空率44%であった。海島型複合繊維の島成分直径をr(1.4μm)、海島型複合繊維の外周と最外層の島成分の間隔D(0.56μm)としたとき、D=0.4rであった。他結果は表1に示す。
[比較例1]
島成分に5-ナトリウムスルホイソフタル酸(SIP)を9mol%のみを共重合したポリエチレンテレフタレート(共重合PET2)を用いた以外は実施例1と同様の方法で海島型複合繊維を作製し、減量加工行った。結果、海ポリマーの粘度が高く海島形成ができなかった。他結果は表1に示す。
[比較例2]
海成分に公定水分率が0.4%のポリエチレンテレフタレートを用いた以外は実施例1と同様の方法で海島型複合繊維を作製した。アルカリ減量を行った結果、溶解除去できない島成分が中心部分に残っており、均一な多孔中空繊維を形成することはできなかった。他結果は表1に示す。
[比較例3]
海島型複合繊維の口金は特開2002-161438号公報の図1に記載のものを参考に海島複合繊維において均一に島成分が分布するように図4記載の口金4を用いた以外は実施例1と同様の方法で海島型複合繊維を作製し、減量加工行った。結果、アルカリ減量行ったが中心部分は減量できず均一な多孔中空繊維を作ることはできなかった。加えて、形成された中空部もすぐにつぶれてしまった。他結果は表1に示す。
[比較例4]
海島型複合繊維の口金を図5に記載の口金5を用いた以外は実施例1と同様の方法で海島型複合繊維を作製し、減量加工行った。結果、アルカリ減量行ったが中心部分は減量できたものの、梁となる海成分が変形し、形成された中空部がつぶれてしまい、楕円に近い繊維外形断面となった。他結果は表1に示す。
[実施例2]
海島型複合繊維の口金を、島数80/1フィラメント、24フィラメントとなる海島合流部の形態が図2に示すものである海島型紡糸口金を用いて溶融紡糸し、1000m/minで巻取行い3倍に延伸行って、単糸繊度4.0dtexなる海島型複合繊維を得た。この時、島成分と海成分ポリマーの質量吐出比は50:50であった。また得られた海島型複合繊維の外周と最外層の島成分の間隔は0.40μm、海成分領域の幅(H)および島成分同士の距離(W)はそれぞれH=1.40μm、W=0.90μmであった。加えてU%は0.6%であり染色斑がすくなかった。その後3.5質量%、80℃の水酸化ナトリウム水溶液へ40分間浸漬し、島成分ポリマーを溶解した。得られた多孔中空繊維の中空孔の直径は1.5μm、孔数80、中空率44%であった。海島型複合繊維の島成分直径をr(1.5μm)、海島型複合繊維の外周と最外層の島成分の間隔D(0.40μm)としたとき、D=0.3rであった。他結果は表1に示す通り、多孔中空繊維形成性、品質ともに良好な結果を得た。
[比較例5]
繊維外周と最外層島成分の間隔Dを1.7μmとなるような口金1のタイプの口金を用いた以外は、実施例1と同様の要領で実施した。海島型複合繊維の島直径はr(1.4μm)であり、D=1.2rの関係となった。島成分のアルカリ水溶液による溶解除去性は問題なく、中央部分まで完全な多孔中空を形成したが、海繊維表面から一番近い中空部までの厚みが大きいために繊維が硬くなり、剛軟度が高く、風合いの硬い方向となった。他の結果を含めて、結果は表1に示す通りであった。
[実施例3]
海領域Hに覆われた部分の島数が90であるような口金2のタイプの口金を用いた以外は、実施例2と同様の要領で実施した。海島型複合繊維の総島数は720、島直径rは0.17μmであり、Dは0.4μmであって、D=0.4rの関係となった。島成分のアルカリ水溶液による溶解除去性は問題なく、中央部分まで完全な多孔中空を形成し、複合繊維形成性、風合い、吸水性ともに良好なものが得られた。結果は表1に示す通りであった。
[実施例4]
海成分ポリマーと島成分ポリマーの吐出量比を変更して、島成分比率を70質量%に変更した以外は実施例1と同様の要領で実施した。島成分のアルカリ水溶液による溶解除去性は問題なく、中央部分まで完全な多孔中空を形成し、複合繊維形成性、風合い、吸水性ともに良好なものが得られた。結果は表1に示す通りであった。
[実施例5]
海成分ポリマーと島成分ポリマーの吐出量比を変更して、島成分比率を30質量%に変更した以外は実施例1と同様の要領で実施した。島成分のアルカリ水溶液による溶解除去性は問題なく、中央部分まで完全な多孔中空を形成し、複合繊維形成性、風合い、吸水性ともに問題のないものが得られた。結果は表1に示す通りであった。
[比較例6]
海成分ポリマーと島成分ポリマーの吐出量比を変更して、島成分比率を20質量%に変更した以外は実施例1と同様の要領で実施した。島成分のアルカリ水溶液による溶解除去性は問題なく、中央部分まで完全な多孔中空を形成したが、総中空率が小さいためか、風合いと吸水性にやや劣るものとなった。結果は表1に示す通りであった。
[実施例6]
海成分ポリマーと島成分ポリマーの吐出量比を変更して、島成分比率を80質量%に変更した以外は実施例3と同様の要領で実施した。島成分のアルカリ水溶液による溶解除去性は問題なく、中央部分まで完全な多孔中空を形成し、複合繊維形成性、風合い、吸水性ともに優れたものが得られた。結果は表1に示す通りであった。
[比較例7]
海成分ポリマーと島成分ポリマーの吐出量比を変更して、島成分比率を85質量%に変更した以外は実施例1と同様の要領で実施した。島成分比率が多すぎるため、島同士が密着し、吐出不良発生により原糸を得ることができなかった。結果は表1に示す通りであった。
Figure 0007260362000001
Figure 0007260362000002
本発明の海島型複合繊維束の易溶解ポリマーからなる島成分をアルカリ水溶液によって溶解除去して得られる多孔中空繊維を含んだ布帛にした際、軽量性、ソフト性、吸水性、染色性に優れた繊維製品を提供することができる。
r:海島型複合繊維の島成分直径を
D:海島型複合繊維の外周と最外層の島成分の間隔
W:海島領域内に存在しかつ隣接する島成分同士の距離
H:海成分領域の幅

Claims (2)

  1. 海島型複合繊維において、海成分に難溶解性ポリマーとして公定水分率3%以上であるポリマーを用い、島成分に易溶解性ポリマーとしてポリエチレングリコール系化合物と5-ナトリウムスルホイソフタル酸の共重合ポリエステルからなる易溶解性ポリマーを用いた海島型複合繊維であって、複合繊維の断面において、海成分中に複数の島成分が配置された複数の海島領域と、海成分のみで形成され、海島領域によってはさまれている、互いに交差する3以上の海成分領域を有し、前記海成分領域の幅(H)が、前記海島領域内に存在しかつ隣接する島成分同士の距離(W)の最大値よりも大きく、海島型複合繊維の島成分直径をrとすると、海島型複合繊維の外周と最外層の島成分の間隔Dが0.2r~1.0rの関係を満たし、ウースター斑の平均偏差率(U%)が1.0%未満となる海島型複合繊維。
  2. 海成分領域(H)で囲われた領域において島成分数が10島以上、100島未満である請求項1記載の海島型複合繊維。
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