JP7259564B2 - ベーパーチャンバ、電子機器、及び、ベーパーチャンバ用金属シート - Google Patents
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Description
まず、図1~図8を用いて、本発明の第1の実施の形態におけるベーパーチャンバ、電子機器、及び、ベーパーチャンバ用金属シートについて説明する。本実施形態におけるベーパーチャンバ1は、電子機器Eに収容された発熱体としての電子部品Dを冷却するために、電子機器Eに搭載される装置である。電子部品Dの例としては、携帯端末やタブレット端末といったモバイル端末等で使用される中央演算処理装置(CPU)、発光ダイオード(LED)、パワー半導体等の発熱を伴う電子デバイス(被冷却装置)が挙げられる。
図1は、本発明の第1の実施の形態による電子機器の一例を説明する模式斜視図である。
ここではまず、本実施の形態によるベーパーチャンバ1が搭載される電子機器Eについて、タブレット端末を例にとって説明する。図1に示すように、電子機器E(タブレット端末)は、筐体Hと、筐体Hの内側に配置された電子部品Dと、電子部品Dに配置されたベーパーチャンバ1と、を備えている。図1に示す電子機器Eでは、筐体Hの前面にタッチパネルディスプレイTDが設けられている。ベーパーチャンバ1は、筐体H内に収容されて、電子部品Dおよび筐体Hの一部を構成する筐体部材Haに熱的に接触するように配置される(図3参照)。
このことにより、電子機器Eの使用時に電子部品Dで発生する熱をベーパーチャンバ1が受けることができる。ベーパーチャンバ1が受けた熱は、筐体部材Haを介してベーパーチャンバ1の外部に放出される。このようにして、電子部品Dは効果的に冷却される。電子機器Eがタブレット端末である場合には、電子部品Dは、中央演算処理装置等に相当する。
次に、本実施の形態によるベーパーチャンバ1について説明する。ベーパーチャンバ1は、作動流体2が封入された密封空間3を有しており、密封空間3内の作動流体2が相変化を繰り返すことにより、上述した電子機器Eの電子部品Dを効果的に冷却するようになっている。作動流体2の例としては、純水、エタノール、メタノール、アセトン等、およびそれらの混合液が挙げられる。
ベーパーチャンバ1は、概略的に薄い平板状に形成されている。ベーパーチャンバ1の平面形状は任意であるが、図2に示すような矩形状であってもよい。この場合、ベーパーチャンバ1は、平面外輪郭をなす4つの直線状の外縁1a、1bを有する。このうち2つの外縁1aが、後述する第1方向(図中のX方向)に沿うように形成され、残り2つの外縁1bが、第1方向に直交する方向(図中のY方向)に沿うように形成される。
なお、理解を容易とするために、図2においては、ベーパーチャンバ1の要部となる内部構造を破線で示す。
本実施形態では、密封空間3は、作動流体2の蒸気が流れる蒸気流路である複数の第1流路40と、作動流体2の凝縮液が流れる凝縮液流路である第2流路51を有する複数の液流路部50と、を有している。
図2に示す例において、複数の第1流路40と複数の液流路部50とは、交互配置されて、第1方向(図中のX方向)に延びている。複数の第1流路40は外縁1bに沿って互いにつながっているが、複数の液流路部50は、互いに独立している。
なお、複数の第1流路40の幅が各々で同じであり、複数の液流路部50の幅も各々で同じである場合は、同じ幅の液流路部50が等間隔に配置されることになるため、ベーパーチャンバ1の各位置における機械的強度を均等化させることができる。
ここで蒸発部4は、ベーパーチャンバ1の上面側の任意の場所に設けることができるが、その位置は、電子機器Eにおける電子部品Dとの位置関係等の制約によって決まる場合が多い。図2においては、ベーパーチャンバ1の上面の中央部に設けられている例が示されている。
この輸送中、作動流体2の蒸気の熱は、ベーパーチャンバ1と熱的に接合されている筐体部材Haを介して外部に放出され(図3参照)、外縁1bに向かうにつれて作動流体2の蒸気が冷却される。
蒸発部4に戻った作動流体2は、再び電子部品Dから熱を受けて蒸発し、第1流路40を通って蒸発部4から離れる方向に拡散して、蒸気の多くは、比較的温度の低い外縁1bに向かって輸送される。
このように、密封空間3内の作動流体2が相変化を繰り返すことにより、ベーパーチャンバ1は、電子機器Eの電子部品Dを効果的に冷却する。
図3は、図2に示すベーパーチャンバのA-A線断面図である。なお、後述するように、本実施形態のベーパーチャンバ1の第1流路40および液流路部50は、通常、エッチング液を用いて金属材料シートをハーフエッチングすることにより形成される。
それゆえ、ベーパーチャンバ1が有する実際の第1流路40および液流路部50の断面形状は、丸みを帯びた形態となる。しかしながら、図3においては、煩雑となるのを避けるために、第1流路40および液流路部50の断面形状は、模式的な矩形状の形態で示す。
上記の接合は、拡散接合ではなく、恒久的に接合できれば、ろう付け等の他の方式で接合されていてもよい。なお、「恒久的に接合」という用語は、厳密な意味に縛られることはなく、ベーパーチャンバ1の動作時に、密封空間3の密封性を維持可能な程度に、各金属シート間の接合を維持できる程度に接合されていることを意味する用語として用いている。
このことにより、第2金属シート20と第3金属シート30との間に、作動流体2を密封した密封空間が形成されている。
すなわち、第1金属シート10の液流路部50の上面(第1面10a)と、第2金属シート20の下面20bとが当接して、第1金属シート10と第2金属シート20とが互いに接合されており、第1金属シート10の液流路部50の下面(第2面10b)と、第3金属シート30の上面30aとが当接して、第1金属シート10と第3金属シート30とが互いに接合されている。
このことにより、ベーパーチャンバ1の機械的強度を向上させている。とりわけ、同じ幅の液流路部50を等間隔に配置することで、ベーパーチャンバ1の各位置における機械的強度を均等化させることができる。
また、ハーフエッチングで第1金属シート10を一部残す場合に比べて、製造工程も制御が容易になる。
そして、上記のように、第2金属シート20および第3金属シート30は、機械的強度が高い材料とすることができることから、第1流路40の幅も大きくできる。
それゆえ、ベーパーチャンバ1の薄型化の要求を満たしつつ、熱輸送能力を高めることができる。
なお、第2金属シート20と第3金属シート30とに用いられる材料は、同じ材料であってもよく、異なる材料であってもよい。
第2金属シート20の厚さT2と第3金属シート30の厚さT3とは、同じ厚さであってもよく、異なる厚さであってもよい。
第2流路51は、第1方向(図中のX方向)に延びる主流溝61(61A、61B、61C)、各主流溝61のそれぞれに応じて隣接する主流凸部列71(71A、71B)、及び、第2流路51の第1方向に延びる外縁側に設けられた分流凸部列81(81A、81B)を有している。
また、第2流路51の第1方向(図中のX方向)に延びる2つの外縁のうち、図4の左側(図中のY方向)の外縁側には、分流凸部列81Aが設けられており、図4の右側の外縁側には、分流凸部列81Bが設けられている。
また、この矢印Pで示す区間において、分流連絡溝83Bの数は3つであるのに対し、主流連絡溝73Bの数は1つである。すなわち、分流連絡溝83Bの数は、主流連絡溝73Bの数より多い。
それゆえ、図4に示す例においては、分流連絡溝83(83A、83B)のそれぞれが有する第1方向(図中のX方向)の幅を合計した値(分流連絡溝83の数×W2)は、前記主流連絡溝のそれぞれが有する前記第1方向の幅を合計した値(主流連絡溝73の数×W2))より大きいことになる。
それゆえ、作動流体2の蒸気が第2流路51内に滞留してしまう不具合を解消して、作動流体2の蒸発を促進することができる。すなわち、上記のような構成の第2流路51を有するベーパーチャンバ1においては、熱輸送能力を高めることができる。
このような作動流体2の蒸発促進の効果は、蒸発部4、及び、その近傍において、特に有効である。
そして、冷却により第1流路40の流路壁面に生じた作動流体2の凝縮液は、第1流路40の流路壁面を濡れ広がり、毛細管作用によって第2流路51の分流連絡溝83(83A、83B)から第2流路51内に引き入れられる。
この際、上記のような構成の第2流路51を有するベーパーチャンバ1においては、分流連絡溝83(83A、83B)の数が多いため、作動流体2の凝縮液を第2流路51内に引き入れることが、より促進される。
このような作動流体2の凝縮液引き入れの効果は、蒸発部4から離れた位置、特に、図2に示すベーパーチャンバ1の外縁1b近傍において、有効である。
主流溝61A、61B、61Cに入り込んだ作動流体2の凝縮液は、各主流溝を流れて蒸発部4に向かって輸送される。
そして、輸送された作動流体2の凝縮液は、再び蒸発部4で熱を受けて蒸発する。
次に第2の効果として、蒸発部4から離れた位置においては、第1流路40の流路壁面に生じた作動流体2の凝縮液を、より効果的に第2流路51内に引き入れることができる。
さらに第3の効果として、第2流路51内に引き入れた作動流体2の凝縮液を効果的に蒸発部4に向かって輸送することができる。
それゆえ、ベーパーチャンバ1においては熱輸送能力を高めることができる。
換言すれば、主流連絡溝73Aの第1方向(図中のX方向)と直行する方向(図中のY方向と反対の方向)には、主流連絡溝73Bは配置されておらず、同様に、主流連絡溝73Bの第1方向(図中のX方向)と直行する方向(図中のY方向)には、主流連絡溝73Aは配置されていない。
同様に、主流溝61Bにおいては、主流連絡溝73Bから入り込んだ作動流体2の凝縮液が、そのまま第1方向(図中のX方向)と直行する方向(図中のY方向)に進んで、主流連絡溝73Aから排出されてしまうことを抑制できる。
例えば、主流溝61Aの流路断面積は、第1流路40の流路断面積より小さくされている。同様に、主流溝61Bの流路断面積も、第1流路40の流路断面積より小さくされており、主流溝61Cの流路断面積も、第1流路40の流路断面積より小さくされている。
また、主流連絡溝73Aの流路断面積は、第1流路40の流路断面積より小さくされており、主流連絡溝73Bの流路断面積も、第1流路40の流路断面積より小さくされている。
また、分流連絡溝83Aの流路断面積は、第1流路40の流路断面積より小さくされており、分流連絡溝83Bの流路断面積も、第1流路40の流路断面積より小さくされている。
すなわち、ベーパーチャンバ1が有する複数の第1流路40の平均の流路断面積をAgとし、ベーパーチャンバ1が有する複数の第2流路51に設けられている各液流路(主流溝61、主流連絡溝73、分流連絡溝83)の平均の流路断面積をAlとしたとき、AlがAgの0.5倍以下の関係にあるものとし、好ましくは0.25倍以下である。これにより作動流体2はその相態様(気相、液相)によって第1流路40と第2流路51とを選択的に通り易くなる。
この関係はベーパーチャンバ1のうち少なくとも一部において満たせばよく、ベーパーチャンバ1の全部でこれを満たせばさらに好ましい。
図5は、図4に示すベーパーチャンバの第2流路51の他の例を説明する図である。換言すれば、図5は、図4に示す第2流路51の変形例について示す図である。
ここで、図5に示す変形例1は、図4に示す主流凸部列71(71A、71B)と分流凸部列81(81A、81B)との、第1方向(図中のX方向)における相対位置が異なるもの(図4に示すW2の大きさだけ、分流凸部列81A、81Bが第1方向にシフトした形態)に相当する。それゆえ、図5においては、煩雑となるのを避けるため、要部以外の符号や引き出し線を省略している。
また、図4に示す例においては、主流連絡溝73Bの第1方向(図中のX方向)と直行する方向(図中のY方向と反対の方向)には、分流連絡溝83Bが配置されていた。
換言すれば、図5に示す例においては、図中の第2流路の左側(図中のY方向側)において破線の囲みで示すように、主流連絡溝73Aの第1方向(図中のX方向)と直行する方向(図中のY方向)には、分流連絡溝83Aは設けられておらず、分流凸部82Aが配置されている。
換言すれば、図5に示す例においては、図中の第2流路の右側(図中のY方向と反対側)において破線の囲みで示すように、主流連絡溝73Bの第1方向(図中のX方向)と直行する方向(図中のY方向と反対の方向)には、分流連絡溝83Bは設けられておらず、分流凸部82Bが配置されている。
それゆえ、例え、第1流路40を流れる作動流体2の蒸気が、分流連絡溝83Aから主流溝61Aに混入した場合でも、その蒸気の流れは主流凸部72Aに遮られて、主流溝61Bには混入しにくい。
それゆえ、例え、第1流路40を流れる作動流体2の蒸気が、分流連絡溝83Bから主流溝61Cに混入した場合でも、その蒸気の流れは主流凸部72Bに遮られて、主流溝61Bには混入しにくい。
それゆえ、より作動流体2の凝縮液を効果的に蒸発部4に輸送でき、ベーパーチャンバの熱輸送能力をより高めることができる。
図6は、図5に示すベーパーチャンバの第2流路の他の例を説明する図である。換言すれば、図6は、図5に示す第2流路の変形例について示す図である。
ここで、図5に示す変形例1と比較した、図6に示す変形例2における主たる特徴は、図6に示す分流連絡溝183(183A、183B)の第1方向に直交する方向(図中のY方向)の長さ(L1)が、主流連絡溝173(173A、173B)の第1方向に直交する方向の長さ(L2)よりも長い、という点である。
しかしながら、図6に示すように、分流連絡溝183Aの第1方向に直交する方向(図中のY方向)の長さ(L1)が長いため、抵抗が増加する作用により、作動流体2の蒸気は主流溝161Aに到達しにくいことになる。
しかしながら、図6に示すように、分流連絡溝183Bの第1方向に直交する方向(図中のY方向)の長さ(L1)が長いため、抵抗が増加する作用により、作動流体2の蒸気は主流溝161Cに到達しにくいことになる。
なお、第2流路151の外縁側の主流溝161A、161Cに対して、作動流体2の蒸気が混入することを抑制されることから、第2流路151の内側にある主流溝161Bに対しては、さらに混入しにくいことになる。
それゆえ、図6に示す変形例2においては、各主流溝161に作動流体2の蒸気が混入することを抑制して、より作動流体2の凝縮液を効果的に蒸発部4に輸送でき、ベーパーチャンバの熱輸送能力をより高めることができる。
分流連絡溝183Aの第1方向に直交する方向(図中のY方向)の長さと、分流連絡溝183Bの第1方向に直交する方向(図中のY方向)の長さは、同じ長さであってもよく、異なる長さであってもよい。
次に、ベーパーチャンバ1の製造方法について、図7および図8を用いて説明する。
ここで、図7は、図3に示すベーパーチャンバ1の製造方法の一例を示す工程図である。また、図8は、図7に続くベーパーチャンバ1の製造方法の一例を示す工程図である。
まず、図7(a)に示すように、準備工程として、平板状の金属材料シートMを準備する。
ここで、第1面側レジストパターン91は、第2流路51の主流凸部列71(71A、71B)、及び、分流凸部列81(81A、81B)の形態に応じたレジストパターンであり、第2面側レジストパターン92は、第1金属シート10において第2面10b側の面となる液流路部50の面の形態に応じたレジストパターンである。いずれもフォトリソグラフィー技術により形成される。
エッチング液には、例えば、塩化第二鉄水溶液等の塩化鉄系エッチング液、または塩化銅水溶液等の塩化銅系エッチング液を用いることができる。
それゆえ、両面からハーフエッチングを行うことで、所定の部位には材料を貫通しないような凹部を形成しつつ、他の所定の部位には材料を貫通した貫通部を形成することができる。
次に、図8(e)に示すように、第2金属シート20および第3金属シート30を準備し、次いで、図8(f)に示すように、仮止めとして、ハーフエッチングを施した第1金属シート10の第1面10aの側に第2金属シート20を固定し、第1金属シート10の第2面10bの側に第3金属シート30を固定する。
拡散接合は、接合する各金属シートを融点に近い温度まで加熱するが、融点よりは低いため、各金属シートが溶融して変形することを回避できる。
図示はしないが、上記の恒久的な接合の後、封入工程として、注入部5(図2参照)から密封空間3に作動流体2が注入される。
この際、まず、密封空間3が真空引きされて減圧され(例えば、5Pa以下、好ましくは1Pa以下)、その後に、作動流体2が密封空間3に注入される。作動流体2の封入量は、ベーパーチャンバ1内部の液流路部50の構成にもよるが、例えば、密封空間3の全容積に対して10%~40%とすることができる。
以上のようにして、ベーパーチャンバ1が得られる。
次に、図9~図11を用いて、本発明の第2の実施形態によるベーパーチャンバについて説明する。
上述した図3に例示するベーパーチャンバ1においては、作動流体2の凝縮液が流れる凝縮液流路である第2流路51が、第1金属シート10の片面側(より詳しくは、第1面10a側)にのみ形成されていた。
なお、図9に例示するベーパーチャンバ200においては、第2流路51が第1金属シート210の第2面210b側にも形成されていること以外のその他の構成については、図3に例示するベーパーチャンバ1と同様とすることができる。
例えば、図9に示すベーパーチャンバ200においては、第1金属シート210の第1面210a側および第2面210b側に、上述の図4に例示した第2流路51を有する構成とすることができる。
それゆえ、図9に示すベーパーチャンバ200においては、まず第1の効果として、上述の図4に例示した形態の効果を奏することができる。さらに、第2の効果として、図3に例示したような第1金属シート10の片面にのみ第2流路51が設けられているベーパーチャンバ1に比べて、液状の作動流体2の輸送能力を、より向上させることができる。
同様に、第2面210b側に設けた第2流路51の分流連絡溝83(83A、83B)から液流路部50の側面に流れ出た液状の作動流体2を、第1面210a側に設けた第2流路51の分流連絡溝83(83A、83B)から第2流路51内に取り込むことができる。
その一方、蒸発部4から離れた部位では、この液流路部50の側面を流れる作動流体2の凝縮液は、第1流路40(作動流体2の蒸気が流れる蒸気流路)に接しているため、この作動流体2の凝縮液の液面で作動流体2の蒸気が凝結しやすくなり、液流路部50が保持する作動流体2の凝縮液の量をより増やすことができ、これに伴い液流路部50の表裏(第1面210a側と第2面210b側)に設けられた各第2流路51を流れる作動流体2の凝縮液の量をより増やすことができる。
それゆえ、ベーパーチャンバ200の熱輸送能力をより高めることができる。
例えば、第1金属シート210の第1面210a側および第2面210b側に形成される第2流路51において、主流溝61Aの流路断面積は、第1流路40の流路断面積より小さくされている。同様に、主流溝61Bの流路断面積も、第1流路40の流路断面積より小さくされており、主流溝61Cの流路断面積も、第1流路40の流路断面積より小さくされている。
また、第1金属シート210の第1面210a側および第2面210b側に形成される第2流路51において、主流連絡溝73Aの流路断面積は、第1流路40の流路断面積より小さくされており、主流連絡溝73Bの流路断面積も、第1流路40の流路断面積より小さくされている。
また、第1金属シート210の第1面210a側および第2面210b側に形成される第2流路51において、分流連絡溝83Aの流路断面積は、第1流路40の流路断面積より小さくされており、分流連絡溝83Bの流路断面積も、第1流路40の流路断面積より小さくされている。
すなわち、ベーパーチャンバ200が有する複数の第1流路40の平均の流路断面積をAgとし、ベーパーチャンバ200が有する複数の第2流路51に設けられている各液流路(主流溝61、主流連絡溝73、分流連絡溝83)の平均の流路断面積をAlとしたとき、AlがAgの0.5倍以下の関係にあるものとし、好ましくは0.25倍以下である。これにより作動流体2はその相態様(気相、液相)によって第1流路40と第2流路51とを選択的に通り易くなる。
この関係はベーパーチャンバ200のうち少なくとも一部において満たせばよく、ベーパーチャンバ200の全部でこれを満たせばさらに好ましい。
それゆえ、上述の図4に例示した形態の効果の他に、図5に例示した形態の効果や、図6に例示した形態の効果も奏することができる。
第1金属シート210の第1面210a側に形成される第2流路(凝縮液流路)と、第1金属シート210の第2面210b側に形成される第2流路(凝縮液流路)とは、同じ形態を有するものであってもよく、異なる形態を有するものであってもよい。
例えば、第1金属シート210の第1面210a側に形成される第2流路(凝縮液流路)を図4に例示した第2流路51とし、第1金属シート210の第2面210b側に形成される第2流路(凝縮液流路)を図5に例示した第2流路51としてもよい。
次に、ベーパーチャンバ200の製造方法について、図10および図11を用いて説明する。
ここで、図10は、図9に示すベーパーチャンバ200の製造方法の一例を示す工程図である。また、図11は、図10に続くベーパーチャンバ200の製造方法の一例を示す工程図である。
まず、図10(a)に示すように、準備工程として、平板状の金属材料シートMを準備する。
ここで、図9に示すベーパーチャンバ200においては、第2流路51が、第1金属シート210の第1面210a側および第2面210b側の両方に形成されている。
それゆえ、この図10(b)に示す第1面側レジストパターン91は、第2流路51の主流凸部列71(71A、71B)、及び、分流凸部列81(81A、81B)の形態に応じたレジストパターンであり、第2面側レジストパターン92も、第2流路51の主流凸部列71(71A、71B)、及び、分流凸部列81(81A、81B)の形態に応じたレジストパターンである。いずれもフォトリソグラフィー技術により形成される。
エッチング液には、例えば、塩化第二鉄水溶液等の塩化鉄系エッチング液、または塩化銅水溶液等の塩化銅系エッチング液を用いることができる。
次に、図11(e)に示すように、第2金属シート20および第3金属シート30を準備し、次いで、図11(f)に示すように、仮止めとして、ハーフエッチングを施した第1金属シート210の第1面210aの側に第2金属シート20を固定し、第1金属シート210の第2面210bの側に第3金属シート30を固定する。
図示はしないが、上記の恒久的な接合の後、封入工程として、注入部5(図2参照)から密封空間に作動流体2が注入される。
この際、まず、密封空間3が真空引きされて減圧され(例えば、5Pa以下、好ましくは1Pa以下)、その後に、作動流体2が密封空間3に注入される。作動流体2の封入量は、ベーパーチャンバ1内部の液流路部50の構成にもよるが、例えば、密封空間3の全容積に対して10%~40%とすることができる。
以上のようにして、ベーパーチャンバ200が得られる。
2 作動流体
3 密封空間
4 蒸発部
5 注入部
6 周縁壁
10、210 第1金属シート
10a、210a 第1面
10b、210b 第2面
20 第2金属シート
30 第3金属シート
40 第1流路
50 液流路部
51 第2流路
61、61A、61B、61C 主流溝
71、71A、71B 主流凸部列
72、72A、72B 主流凸部
73、73A、73B 主流連絡溝
81、81A、81B 分流凸部列
82、82A、82B 分流凸部
83、83A、83B 分流連絡溝
91 第1面側レジストパターン
92 第2面側レジストパターン
110 第1金属シート
110a 第1面
140 第1流路
150 液流路部
151 第2流路
161、161A、161B、161C 主流溝
171、171A、171B 主流凸部列
172、172A、172B 主流凸部
173、173A、173B 主流連絡溝
181、181A、181B 分流凸部列
182、182A、182B 分流凸部
183、183A、183B 分流連絡溝
D 電子部品
E 電子機器
H 筐体
M 金属材料シート
Ma 第1面
Mb 第2面
Claims (13)
- 密封空間に作動流体が封入されたベーパーチャンバであって、
第1面と、前記第1面とは反対側の第2面と、を有する第1金属シートと、
前記第1金属シートの前記第1面側に積層された第2金属シートと、
前記第1金属シートの前記第2面側に積層された第3金属シートと、
を備え、
前記第1金属シートの前記第1面の法線方向に沿って見た場合に、複数の第1流路と複数の液流路部とが、交互配置されて第1方向に延びており、
前記第1面から前記第2面を貫通して、前記第1流路が形成されており、
前記液流路部においては、
前記第1金属シートの前記第1面側または前記第2面側の少なくともいずれか一方に、第2流路が形成されており、
前記第2流路は、
前記第1方向に延びる主流溝と、
前記主流溝に隣接する主流凸部列と、
前記第2流路の前記第1方向に延びる外縁側に設けられた分流凸部列と、
を有し、
前記主流凸部列は、前記第1方向に配列された複数の主流凸部から構成され、複数の前記主流凸部の間に、主流連絡溝が設けられており、
前記分流凸部列は、前記第1方向に配列された複数の分流凸部から構成され、複数の前記分流凸部の間に、分流連絡溝が設けられており、
前記分流連絡溝の数が前記主流連絡溝の数より多く、
前記第1金属シートの前記第1面の法線方向に沿って見た場合に、
一の前記分流凸部列を構成する複数の前記分流凸部の間に設けられた前記分流連絡溝の前記第1方向の配置位置が、
一の前記分流凸部列に最も近い前記主流凸部列を構成する複数の前記主流凸部の間に設けられた前記主流連絡溝の前記第1方向の配置位置と異なる、ベーパーチャンバ。 - 密封空間に作動流体が封入されたベーパーチャンバであって、
第1面と、前記第1面とは反対側の第2面と、を有する第1金属シートと、
前記第1金属シートの前記第1面側に積層された第2金属シートと、
前記第1金属シートの前記第2面側に積層された第3金属シートと、
を備え、
前記第1金属シートの前記第1面の法線方向に沿って見た場合に、複数の第1流路と複数の液流路部とが、交互配置されて第1方向に延びており、
前記第1面から前記第2面を貫通して、前記第1流路が形成されており、
前記液流路部においては、
前記第1金属シートの前記第1面側または前記第2面側の少なくともいずれか一方に、第2流路が形成されており、
前記第2流路は、
前記第1方向に延びる主流溝と、
前記主流溝に隣接する主流凸部列と、
前記第2流路の前記第1方向に延びる外縁側に設けられた分流凸部列と、
を有し、
前記主流凸部列は、前記第1方向に配列された複数の主流凸部から構成され、複数の前記主流凸部の間に、主流連絡溝が設けられており、
前記分流凸部列は、前記第1方向に配列された複数の分流凸部から構成され、複数の前記分流凸部の間に、分流連絡溝が設けられており、
前記分流連絡溝の数が前記主流連絡溝の数より多く、
前記第1金属シートの前記第1面の法線方向に沿って見た場合に、
前記分流連絡溝の前記第1方向に直交する方向の長さが、前記主流連絡溝の前記第1方向に直交する方向の長さよりも長い、ベーパーチャンバ。 - 前記液流路部において、
前記第1金属シートの前記第1面側および前記第2面側の両方に、前記第2流路が形成されている、請求項1または請求項2に記載のベーパーチャンバ。 - 前記第1流路は前記作動流体の蒸気が流れる蒸気流路であり、
前記第2流路は前記第1流路より流路断面積が小さく、前記作動流体の凝縮液が流れる凝縮液流路である、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のベーパーチャンバ。 - 前記分流連絡溝のそれぞれが有する前記第1方向の幅を合計した値が、
前記主流連絡溝のそれぞれが有する前記第1方向の幅を合計した値より大きい、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のベーパーチャンバ。 - 前記第1金属シートの前記第1面の法線方向に沿って見た場合に、
前記主流溝を介して隣り合う一対の前記主流凸部列において、
一方の前記主流凸部列を構成する複数の前記主流凸部の間に設けられた前記主流連絡溝の前記第1方向の配置位置が、
他方の前記主流凸部列を構成する複数の前記主流凸部の間に設けられた前記主流連絡溝の前記第1方向の配置位置と異なる、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のベーパーチャンバ。 - 筐体と、
前記筐体の内側に配置された電子部品と、
前記電子部品に配置された請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載されたベーパーチャンバと、
を備える、電子機器。 - 第1面と、前記第1面とは反対側の第2面と、を有するベーパーチャンバ用金属シート
であって、
前記第1面の法線方向に沿って見た場合に、複数の第1流路と複数の液流路部とが、交
互配置されて第1方向に延びており、
前記第1面から前記第2面を貫通して、前記第1流路が形成されており、
前記液流路部においては、
前記第1面側または前記第2面側の少なくともいずれか一方に、第2流路が形成されて
おり、
前記第2流路は、
前記第1方向に延びる主流溝と、
前記主流溝に隣接する主流凸部列と、
前記第2流路の前記第1方向に延びる外縁側に設けられた分流凸部列と、
を有し、
前記主流凸部列は、前記第1方向に配列された複数の主流凸部から構成され、複数の前
記主流凸部の間に、主流連絡溝が設けられており、
前記分流凸部列は、前記第1方向に配列された複数の分流凸部から構成され、複数の前
記分流凸部の間に、分流連絡溝が設けられており、
前記分流連絡溝の数が前記主流連絡溝の数より多く、
前記第1面の法線方向に沿って見た場合に、
一の前記分流凸部列を構成する複数の前記分流凸部の間に設けられた前記分流連絡溝の前記第1方向の配置位置が、
一の前記分流凸部列に最も近い前記主流凸部列を構成する複数の前記主流凸部の間に設けられた前記主流連絡溝の前記第1方向の配置位置と異なる、ベーパーチャンバ用金属シート。 - 第1面と、前記第1面とは反対側の第2面と、を有するベーパーチャンバ用金属シート
であって、
前記第1面の法線方向に沿って見た場合に、複数の第1流路と複数の液流路部とが、交
互配置されて第1方向に延びており、
前記第1面から前記第2面を貫通して、前記第1流路が形成されており、
前記液流路部においては、
前記第1面側または前記第2面側の少なくともいずれか一方に、第2流路が形成されて
おり、
前記第2流路は、
前記第1方向に延びる主流溝と、
前記主流溝に隣接する主流凸部列と、
前記第2流路の前記第1方向に延びる外縁側に設けられた分流凸部列と、
を有し、
前記主流凸部列は、前記第1方向に配列された複数の主流凸部から構成され、複数の前
記主流凸部の間に、主流連絡溝が設けられており、
前記分流凸部列は、前記第1方向に配列された複数の分流凸部から構成され、複数の前
記分流凸部の間に、分流連絡溝が設けられており、
前記分流連絡溝の数が前記主流連絡溝の数より多く、
前記第1面の法線方向に沿って見た場合に、
前記分流連絡溝の前記第1方向に直交する方向の長さが、前記主流連絡溝の前記第1方向に直交する方向の長さよりも長い、ベーパーチャンバ用金属シート。 - 前記液流路部において、
前記第1面側および前記第2面側の両方に、前記第2流路が形成されている、請求項8または請求項9に記載のベーパーチャンバ用金属シート。 - 前記第1流路は作動流体の蒸気が流れるべき蒸気流路であり、
前記第2流路は前記第1流路より流路断面積が小さく、前記作動流体の凝縮液が流れるべき凝縮液流路である、請求項8乃至請求項10のいずれか一項に記載のベーパーチャンバ用金属シート。 - 前記分流連絡溝のそれぞれが有する前記第1方向の幅を合計した値が、
前記主流連絡溝のそれぞれが有する前記第1方向の幅を合計した値より大きい、請求項8乃至請求項11のいずれか一項に記載のベーパーチャンバ用金属シート。 - 前記第1面の法線方向に沿って見た場合に、
前記主流溝を介して隣り合う一対の前記主流凸部列において、
一方の前記主流凸部列を構成する複数の前記主流凸部の間に設けられた前記主流連絡溝の前記第1方向の配置位置が、
他方の前記主流凸部列を構成する複数の前記主流凸部の間に設けられた前記主流連絡溝の前記第1方向の配置位置と異なる、請求項8乃至請求項12のいずれか一項に記載のベーパーチャンバ用金属シート。
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