JP2020200952A - ベーパーチャンバ、電子機器、及び、ベーパーチャンバ用金属シート - Google Patents

ベーパーチャンバ、電子機器、及び、ベーパーチャンバ用金属シート Download PDF

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Abstract

【課題】 熱輸送能力を高めることができるベーパーチャンバを提供する。【解決手段】 本発明によるベーパーチャンバは、第2流路に、第1方向に延びる主流溝と、主流溝に隣接する主流凸部列と、第2流路の第1方向に延びる外縁側に設けられた分流凸部列と、を有し、主流凸部列は、第1方向に配列された複数の主流凸部から構成され、複数の主流凸部の間に、主流連絡溝が設けられており、分流凸部列は、第1方向に配列された複数の分流凸部から構成され、複数の分流凸部の間に、分流連絡溝が設けられており、分流連絡溝の数が主流連絡溝の数より多い構成を有している。【選択図】 図4

Description

本発明は、作動流体が密封された密封空間を有するベーパーチャンバ、電子機器、及び、ベーパーチャンバ用金属シートに関する。
携帯端末やタブレット端末といったモバイル端末等で使用される中央演算処理装置(CPU)や発光ダイオード(LED)、パワー半導体等の発熱を伴う電子部品は、ヒートパイプ等の放熱用部材によって冷却されている(例えば、特許文献1〜4)。近年では、モバイル端末等の薄型化のために、放熱用部材の薄型化も求められており、ヒートパイプよりも薄型化を図ることができるベーパーチャンバの開発が進められている。ベーパーチャンバ内には、作動流体が封入されており、この作動流体が電子部品の熱を吸収して外部に放出することで、電子部品の冷却を行っている(例えば、特許文献5)。
より具体的には、ベーパーチャンバ内の作動流体は、電子部品に近接した部分(蒸発部)で電子部品から熱を受けて蒸発して蒸気になり、その蒸気が蒸気流路を流れて蒸発部から離れた位置に移動して冷却され、凝縮して液状になる。ベーパーチャンバ内には、毛細管構造(ウィック)としての凝縮液流路が設けられており、凝縮して液状になった作動流体は、蒸気流路から凝縮液流路に入り込み、凝縮液流路を流れて蒸発部に向かって輸送される。そして、作動流体は、再び蒸発部で熱を受けて蒸発する。このようにして、作動流体が、相変化、すなわち蒸発と凝縮とを繰り返しながらベーパーチャンバ内を還流することにより電子部品の熱を移動させ、放熱効率を高めている。
特開2015−88882号公報 特開2016−17702号公報 特開2016−50682号公報 特開2016−205693号公報 特開2018−179388号公報
本発明は、熱輸送能力を高めることができるベーパーチャンバを提供することを課題とする。また、このベーパーチャンバを備える電子機器、及び、このベーパーチャンバを構成するベーパーチャンバ用金属シートを提供する。
本発明は、密封空間に作動流体が封入されたベーパーチャンバであって、第1面と、前記第1面とは反対側の第2面と、を有する第1金属シートと、前記第1金属シートの前記第1面側に積層された第2金属シートと、前記第1金属シートの前記第2面側に積層された第3金属シートと、を備え、前記第1金属シートの前記第1面の法線方向に沿って見た場合に、複数の第1流路と複数の液流路部とが、交互配置されて第1方向に延びており、前記第1面から前記第2面を貫通して、前記第1流路が形成されており、前記液流路部においては、前記第1金属シートの前記第1面側または前記第2面側の少なくともいずれか一方に、第2流路が形成されており、前記第2流路は、前記第1方向に延びる主流溝と、前記主流溝に隣接する主流凸部列と、前記第2流路の前記第1方向に延びる外縁側に設けられた分流凸部列と、を有し、前記主流凸部列は、前記第1方向に配列された複数の主流凸部から構成され、複数の前記主流凸部の間に、主流連絡溝が設けられており、前記分流凸部列は、前記第1方向に配列された複数の分流凸部から構成され、複数の前記分流凸部の間に、分流連絡溝が設けられており、前記分流連絡溝の数が前記主流連絡溝の数より多い、ベーパーチャンバである。
上述したベーパーチャンバは、前記液流路部において、前記第1金属シートの前記第1面側および前記第2面側の両方に、前記第2流路が形成されていてもよい。
上述したベーパーチャンバにおいて、前記第1流路は前記作動流体の蒸気が流れる蒸気流路であり、前記第2流路は前記第1流路より流路断面積が小さく、前記作動流体の凝縮液が流れる凝縮液流路であってもよい。
上述したベーパーチャンバにおいて、前記分流連絡溝のそれぞれが有する前記第1方向の幅を合計した値が、前記主流連絡溝のそれぞれが有する前記第1方向の幅を合計した値より大きくてもよい。
上述したベーパーチャンバは、前記第1金属シートの前記第1面の法線方向に沿って見た場合に、前記主流溝を介して隣り合う一対の前記主流凸部列において、一方の前記主流凸部列を構成する複数の前記主流凸部の間に設けられた前記主流連絡溝の前記第1方向の配置位置が、他方の前記主流凸部列を構成する複数の前記主流凸部の間に設けられた前記主流連絡溝の前記第1方向の配置位置と異なっていてもよい。
上述したベーパーチャンバにおいて、前記第1金属シートの前記第1面の法線方向に沿って見た場合に、一の前記分流凸部列を構成する複数の前記分流凸部の間に設けられた前記分流連絡溝の前記第1方向の配置位置が、一の前記分流凸部列に最も近い前記主流凸部列を構成する複数の前記主流凸部の間に設けられた前記主流連絡溝の前記第1方向の配置位置と異なっていてもよい。
上述したベーパーチャンバにおいて、前記第1金属シートの前記第1面の法線方向に沿って見た場合に、前記分流連絡溝の前記第1方向に直交する方向の長さが、前記主流連絡溝の前記第1方向に直交する方向の長さよりも長くてもよい。
また、本発明は、筐体と、前記筐体の内側に配置された電子部品と、前記電子部品に配置された請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載されたベーパーチャンバと、を備える、電子機器である。
また、本発明は、第1面と、前記第1面とは反対側の第2面と、を有するベーパーチャンバ用金属シートであって、前記第1面の法線方向に沿って見た場合に、複数の第1流路と複数の液流路部とが、交互配置されて第1方向に延びており、前記第1面から前記第2面を貫通して、前記第1流路が形成されており、前記液流路部においては、前記第1面側または前記第2面側の少なくともいずれか一方に、第2流路が形成されており、前記第2流路は、前記第1方向に延びる主流溝と、前記主流溝に隣接する主流凸部列と、前記第2流路の前記第1方向に延びる外縁側に設けられた分流凸部列と、を有し、前記主流凸部列は、前記第1方向に配列された複数の主流凸部から構成され、複数の前記主流凸部の間に、主流連絡溝が設けられており、前記分流凸部列は、前記第1方向に配列された複数の分流凸部から構成され、複数の前記分流凸部の間に、分流連絡溝が設けられており、前記分流連絡溝の数が前記主流連絡溝の数より多い、ベーパーチャンバ用金属シートである。
上述したベーパーチャンバ用金属シートは、前記液流路部において、前記第1面側および前記第2面側の両方に、前記第2流路が形成されていてもよい。
上述したベーパーチャンバ用金属シートにおいて、前記第1流路は作動流体の蒸気が流れるべき蒸気流路であり、前記第2流路は前記第1流路より流路断面積が小さく、前記作動流体の凝縮液が流れるべき凝縮液流路であってもよい。
上述したベーパーチャンバ用金属シートにおいて、前記分流連絡溝のそれぞれが有する前記第1方向の幅を合計した値が、前記主流連絡溝のそれぞれが有する前記第1方向の幅を合計した値より大きくてもよい。
上述したベーパーチャンバ用金属シートは、前記第1面の法線方向に沿って見た場合に、前記主流溝を介して隣り合う一対の前記主流凸部列において、一方の前記主流凸部列を構成する複数の前記主流凸部の間に設けられた前記主流連絡溝の前記第1方向の配置位置が、他方の前記主流凸部列を構成する複数の前記主流凸部の間に設けられた前記主流連絡溝の前記第1方向の配置位置と異なっていてもよい。
上述したベーパーチャンバ用金属シートにおいて、前記第1面の法線方向に沿って見た場合に、一の前記分流凸部列を構成する複数の前記分流凸部の間に設けられた前記分流連絡溝の前記第1方向の配置位置が、一の前記分流凸部列に最も近い前記主流凸部列を構成する複数の前記主流凸部の間に設けられた前記主流連絡溝の前記第1方向の配置位置と異なっていてもよい。
上述したベーパーチャンバ用金属シートにおいて、前記第1面の法線方向に沿って見た場合に、前記分流連絡溝の前記第1方向に直交する方向の長さが、前記主流連絡溝の前記第1方向に直交する方向の長さよりも長くてもよい。
本発明によれば、ベーパーチャンバの熱輸送能力を高めることができる。
本発明の第1の実施形態による電子機器の一例を説明する模式斜視図 本発明の第1の実施形態によるベーパーチャンバの一例を示す上面図 図2に示すベーパーチャンバのA−A線断面図 図3に示すベーパーチャンバの第2流路の一例を説明する図 図4に示すベーパーチャンバの第2流路の他の例を説明する図 図5に示すベーパーチャンバの第2流路の他の例を説明する図 図3に示すベーパーチャンバの製造方法の一例を示す工程図 図7に続くベーパーチャンバの製造方法の一例を示す工程図 本発明の第2の実施形態によるベーパーチャンバの一例を示す断面図 図9に示すベーパーチャンバの製造方法の一例を示す工程図 図10に続くベーパーチャンバの製造方法の一例を示す工程図
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
また、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件および物理的特性並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度並びに物理的特性の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。さらに、図面においては、明瞭にするために、同様の機能を期待し得る複数の部分の形状を、規則的に記載しているが、厳密な意味に縛られることなく、当該機能を期待することができる範囲内で、当該部分の形状は互いに異なっていてもよい。また、図面においては、部材同士の接合面などを示す境界線を、便宜上、単なる直線で示しているが、厳密な直線であることに縛られることはなく、所望の接合性能を期待することができる範囲内で、当該境界線の形状は任意である。
<第1の実施形態>
まず、図1〜図8を用いて、本発明の第1の実施の形態におけるベーパーチャンバ、電子機器、及び、ベーパーチャンバ用金属シートについて説明する。本実施形態におけるベーパーチャンバ1は、電子機器Eに収容された発熱体としての電子部品Dを冷却するために、電子機器Eに搭載される装置である。電子部品Dの例としては、携帯端末やタブレット端末といったモバイル端末等で使用される中央演算処理装置(CPU)、発光ダイオード(LED)、パワー半導体等の発熱を伴う電子デバイス(被冷却装置)が挙げられる。
(電子機器)
図1は、本発明の第1の実施の形態による電子機器の一例を説明する模式斜視図である。
ここではまず、本実施の形態によるベーパーチャンバ1が搭載される電子機器Eについて、タブレット端末を例にとって説明する。図1に示すように、電子機器E(タブレット端末)は、筐体Hと、筐体Hの内側に配置された電子部品Dと、電子部品Dに配置されたベーパーチャンバ1と、を備えている。図1に示す電子機器Eでは、筐体Hの前面にタッチパネルディスプレイTDが設けられている。ベーパーチャンバ1は、筐体H内に収容されて、電子部品Dおよび筐体Hの一部を構成する筐体部材Haに熱的に接触するように配置される(図3参照)。
このことにより、電子機器Eの使用時に電子部品Dで発生する熱をベーパーチャンバ1が受けることができる。ベーパーチャンバ1が受けた熱は、筐体部材Haを介してベーパーチャンバ1の外部に放出される。このようにして、電子部品Dは効果的に冷却される。電子機器Eがタブレット端末である場合には、電子部品Dは、中央演算処理装置等に相当する。
(ベーパーチャンバ)
次に、本実施の形態によるベーパーチャンバ1について説明する。ベーパーチャンバ1は、作動流体2が封入された密封空間3を有しており、密封空間3内の作動流体2が相変化を繰り返すことにより、上述した電子機器Eの電子部品Dを効果的に冷却するようになっている。作動流体2の例としては、純水、エタノール、メタノール、アセトン等、およびそれらの混合液が挙げられる。
図2は、本発明の第1の実施の形態によるベーパーチャンバの一例を示す上面図である。
ベーパーチャンバ1は、概略的に薄い平板状に形成されている。ベーパーチャンバ1の平面形状は任意であるが、図2に示すような矩形状であってもよい。この場合、ベーパーチャンバ1は、平面外輪郭をなす4つの直線状の外縁1a、1bを有する。このうち2つの外縁1aが、後述する第1方向(図中のX方向)に沿うように形成され、残り2つの外縁1bが、第1方向に直交する方向(図中のY方向)に沿うように形成される。
ベーパーチャンバ1の平面形状は、例えば、1辺が1cmで他の辺が3cmの長方形であってもよく、1辺が2cmの正方形であってもよく、ベーパーチャンバ1の平面寸法は任意である。また、ベーパーチャンバ1の平面形状は、矩形状に限られることはなく、円形状、楕円形状、L字形状、T字形状など、任意の形状とすることができる。
ベーパーチャンバ1の内部には、作動流体2が封入された密封空間3が形成されている。
なお、理解を容易とするために、図2においては、ベーパーチャンバ1の要部となる内部構造を破線で示す。
本実施形態では、密封空間3は、作動流体2の蒸気が流れる蒸気流路である複数の第1流路40と、作動流体2の凝縮液が流れる凝縮液流路である第2流路51を有する複数の液流路部50と、を有している。
図2に示す例において、複数の第1流路40と複数の液流路部50とは、交互配置されて、第1方向(図中のX方向)に延びている。複数の第1流路40は外縁1bに沿って互いにつながっているが、複数の液流路部50は、互いに独立している。
なお、図2に示す例においては、図中A−A線で横切られる第1流路40と液流路部50の数を、それぞれ3個と2個で示しているが、これは煩雑となるのを避けるためであり、実際のベーパーチャンバの内部には、より多くの第1流路40と液流路部50が設けられている。
第1流路40の幅W1は、例えば、0.1mm〜3.0mm、好ましくは0.1mm〜2.0mmとすることができる。なお、複数の第1流路40の幅は、各々で同じ幅であってもよく、異なる幅であってもよい。液流路部50の幅も、第1流路40の幅W1と同様の寸法とすることができる。
なお、複数の第1流路40の幅が各々で同じであり、複数の液流路部50の幅も各々で同じである場合は、同じ幅の液流路部50が等間隔に配置されることになるため、ベーパーチャンバ1の各位置における機械的強度を均等化させることができる。
蒸発部4は、ベーパーチャンバ1に取り付けられる電子部品Dから熱を受けて、密封空間3内の作動流体2が蒸発する部分である。このため、蒸発部4という用語は、電子部品Dに重なっている部分に限られる概念ではなく、電子部品Dに重なっていなくても作動流体2が蒸発可能な部分をも含む概念として用いている。なお、便宜上、本実施の形態においては、ベーパーチャンバ1の上面側に電子部品Dが取り付けられるものとする。
ここで蒸発部4は、ベーパーチャンバ1の上面側の任意の場所に設けることができるが、その位置は、電子機器Eにおける電子部品Dとの位置関係等の制約によって決まる場合が多い。図2においては、ベーパーチャンバ1の上面の中央部に設けられている例が示されている。
蒸発部4で生成された作動流体2の蒸気は、複数の第1流路40を通って蒸発部4から離れる方向に拡散して、蒸気の多くは、図中破線の矢印で示すように、比較的温度の低い外縁1bに向かって輸送される。
この輸送中、作動流体2の蒸気の熱は、ベーパーチャンバ1と熱的に接合されている筐体部材Haを介して外部に放出され(図3参照)、外縁1bに向かうにつれて作動流体2の蒸気が冷却される。
そして、冷却により第1流路40の壁面に凝縮した作動流体2は、第1流路40と隣り合う液流路部50の第2流路51(図3参照)に入り込み、図中実線の矢印で示すように、毛細管作用によって液流路部50の第2流路51を通って蒸発部4に向けて輸送される。
蒸発部4に戻った作動流体2は、再び電子部品Dから熱を受けて蒸発し、第1流路40を通って蒸発部4から離れる方向に拡散して、蒸気の多くは、比較的温度の低い外縁1bに向かって輸送される。
このように、密封空間3内の作動流体2が相変化を繰り返すことにより、ベーパーチャンバ1は、電子機器Eの電子部品Dを効果的に冷却する。
また、図2に示すように、ベーパーチャンバ1は、第1方向(図中のX方向)における一対の端部のうちの一方の端部に、密封空間3に作動流体2を注入する注入部5を備えている。なお、密封空間3に作動流体2を注入した後のベーパーチャンバ1においては、この注入部5は封じられている。
図2に示す例においては、注入部5は、ベーパーチャンバ1の第1方向(図中のX方向)における一対の端部のうちの一方の端部に設けられている例が示されているが、これに限られることはなく、任意の位置に設けることができる。また、2つ以上の注入部5が設けられるようにしてもよい。
また、ベーパーチャンバ1の周縁部には、周縁壁6が設けられている。周縁壁6は、密封空間3を囲むように形成されており、密封空間3を画定している。
次に、ベーパーチャンバ1の断面構成について説明する。
図3は、図2に示すベーパーチャンバのA−A線断面図である。なお、後述するように、本実施形態のベーパーチャンバ1の第1流路40および液流路部50は、通常、エッチング液を用いて金属材料シートをハーフエッチングすることにより形成される。
それゆえ、ベーパーチャンバ1が有する実際の第1流路40および液流路部50の断面形状は、丸みを帯びた形態となる。しかしながら、図3においては、煩雑となるのを避けるために、第1流路40および液流路部50の断面形状は、模式的な矩形状の形態で示す。
図3に示すように、ベーパーチャンバ1は、ベーパーチャンバ用金属シートとして、第1面10aと第1面10aとは反対側の第2面10bとを有する第1金属シート10と、第1金属シート10の第1面10aの側に積層された第2金属シート20と、第1金属シート10の前記第2面10bの側に積層された第3金属シート30と、を備えている。
第1金属シート10と第2金属シート20、および、第1金属シート10と第3金属シート30は、それぞれ、拡散接合によって接合されている。
上記の接合は、拡散接合ではなく、恒久的に接合できれば、ろう付け等の他の方式で接合されていてもよい。なお、「恒久的に接合」という用語は、厳密な意味に縛られることはなく、ベーパーチャンバ1の動作時に、密封空間3の密封性を維持可能な程度に、各金属シート間の接合を維持できる程度に接合されていることを意味する用語として用いている。
なお、図3に示すベーパーチャンバ1においては、電子部品Dから熱を受ける金属シートが第2金属シート20であり、受けた熱を筐体部材Haを介して外部に放出する金属シートが第3金属シート30である。
図3に示すように、第1金属シート10の周縁壁6の上面(第1面10a)と、第2金属シート20の下面20bとが当接し、第1金属シート10と第2金属シート20とが互いに接合されている。また、第1金属シート10の周縁壁6の下面(第2面10b)と、第3金属シート30の上面30aとが当接し、第1金属シート10と第3金属シート30とが互いに接合されている。
このことにより、第2金属シート20と第3金属シート30との間に、作動流体2を密封した密封空間が形成されている。
なお、図示はしないが、図3における第1流路40を構成する各金属シートの表面および液流路部50を構成する各金属シートの表面には、凝縮して液状になった作動流体2の凝縮液が存在する。
また、図3に示すベーパーチャンバ1においては、第1金属シート10の周縁壁6のみならず、第1金属シート10の液流路部50においても、第2金属シート20および第3金属シート30と接合されている。
すなわち、第1金属シート10の液流路部50の上面(第1面10a)と、第2金属シート20の下面20bとが当接して、第1金属シート10と第2金属シート20とが互いに接合されており、第1金属シート10の液流路部50の下面(第2面10b)と、第3金属シート30の上面30aとが当接して、第1金属シート10と第3金属シート30とが互いに接合されている。
このことにより、ベーパーチャンバ1の機械的強度を向上させている。とりわけ、同じ幅の液流路部50を等間隔に配置することで、ベーパーチャンバ1の各位置における機械的強度を均等化させることができる。
また、図3に示すベーパーチャンバ1においては、第1金属シート10を介して、第2金属シート20および第3金属シート30を積層した3層構造を有しているため、以下のような利点がある。
まず、複数の第1流路40や複数の液流路部50の形成のために加工されるのは、第1金属シート10のみであることから、第2金属シート20および第3金属シート30は、熱伝導性の他には、主に機械的強度を有してさえいればよく、それぞれの厚さ(T2、T3)を薄くすることができる。また、第2金属シート20および第3金属シート30は、第1金属シート10とは、別の材料とすることができ、第1金属シート10よりも機械的強度が高い材料とすることができる。
また、第1金属シート10の第1面10aから第2面10bを貫通して、第1流路40が形成されているため、第1流路40の高さ方向(図中のZ方向)の大きさは、第1金属シート10の厚さ(T1)と同じとすることができるため、換言すれば、第1流路40の形成において、第1金属シート10を両面側からのハーフエッチングで厚さ方向に貫通するため、ハーフエッチングで第1金属シート10を一部残す場合に比べて、第1流路40の高さ方向(図中のZ方向)の大きさを大きくすることができる。これは、別の言い方をすれば、第1流路40の高さ方向(図中のZ方向)の大きさを保ちながら、ベーパーチャンバ1の厚さを、より薄くすることができることになる。
また、ハーフエッチングで第1金属シート10を一部残す場合に比べて、製造工程も制御が容易になる。
そして、上記のように、第2金属シート20および第3金属シート30は、機械的強度が高い材料とすることができることから、第1流路40の幅も大きくできる。
すなわち、ベーパーチャンバ1の厚さ(T1+T2+T3)を薄くしつつ、第1流路40の流路断面積を大きくすることができ、第1流路40の容量を大きくすることができる。
それゆえ、ベーパーチャンバ1の薄型化の要求を満たしつつ、熱輸送能力を高めることができる。
第1金属シート10、第2金属シート20、第3金属シート30の各金属シートに用いる材料には、熱伝導率が良好な材料が用いられる。例えば、銅を含む材料が好適に用いられるが、所望の放熱効率を得ることができれば、アルミニウム等の他の金属材料や、ステンレスなどの他の金属合金材料を用いることもできる。
例えば、第1金属シート10に用いられる材料には、銅(無酸素銅)または銅合金を用いることが好ましい。第1金属シート10を構成する材料に無酸素銅を用いる場合、熱伝導率が良好な点に加えて、ベーパーチャンバ1の密封空間3に、酸素等の異物が混入することを避けることができる。
また、第2金属シート20および第3金属シート30に用いられる材料には、電解銅箔や銅合金、若しくは、SUSやニッケル箔等に銅をめっきしたクラッド材を用いることが好ましい。熱伝導率を良好に保ちつつ、厚さが薄くても機械的強度を保つことができるためである。また、無酸素銅よりもコストが低いため、経済的な効果もある。
なお、第2金属シート20と第3金属シート30とに用いられる材料は、同じ材料であってもよく、異なる材料であってもよい。
第1金属シート10の厚さT1は0.03mm以上0.8mm以下とすることができる。また、第2金属シート20の厚さT2は、0.01mm以上0.3mm以下とすることができる。また、第3金属シート30の厚さT3は、0.01mm以上0.3mm以下とすることができる。
第2金属シート20の厚さT2と第3金属シート30の厚さT3とは、同じ厚さであってもよく、異なる厚さであってもよい。
次に、ベーパーチャンバ1の液流路部50が有する第2流路51について、図4〜図6を用いてより詳細に説明する。
図4は、図3に示すベーパーチャンバ1の第2流路51の一例を説明する図である。換言すれば、図4は、第1金属シート10の第1面10aの法線方向に沿って見た場合の第2流路51について示す図である。
図4に示すように、第1金属シート10の第1面10a側の液流路部50には、第2流路51が形成されている。
第2流路51は、第1方向(図中のX方向)に延びる主流溝61(61A、61B、61C)、各主流溝61のそれぞれに応じて隣接する主流凸部列71(71A、71B)、及び、第2流路51の第1方向に延びる外縁側に設けられた分流凸部列81(81A、81B)を有している。
より詳しくは、図4の左側(図中のY方向)から右側に向かって、第2流路51には、第1方向(図中のX方向)に延びるように、主流溝61A、61B、61Cが設けられており、主流溝61A、61Bの間に、主流溝61A、61Bに隣接する主流凸部列71Aがあり、主流溝61B、61Cの間に、主流溝61B、61Cに隣接する主流凸部列71Bがある。
また、第2流路51の第1方向(図中のX方向)に延びる2つの外縁のうち、図4の左側(図中のY方向)の外縁側には、分流凸部列81Aが設けられており、図4の右側の外縁側には、分流凸部列81Bが設けられている。
そして、主流凸部列71(71A、71B)は、それぞれ、第1方向に配列された複数の主流凸部72(72A、72B)から構成され、複数の主流凸部72(72A、72B)の間に、それぞれ、主流連絡溝73(73A、73B)が設けられている。
より詳しくは、主流凸部列71Aは第1方向(図中のX方向)に沿って配列された複数の主流凸部72Aから構成され、複数の主流凸部72Aの間に主流連絡溝73Aが設けられている。同様に、主流凸部列71Bは第1方向(図中のX方向)に沿って配列された複数の主流凸部72Bから構成され、複数の主流凸部72Bの間に主流連絡溝73Bが設けられている。
また、分流凸部列81(81A、81B)は、それぞれ、第1方向に配列された複数の分流凸部82(82A、82B)から構成され、複数の分流凸部82(82A、82B)の間に、それぞれ、分流連絡溝83(83A、83B)が設けられている。
より詳しくは、分流凸部列81Aは第1方向(図中のX方向)に沿って配列された複数の分流凸部82Aから構成され、複数の分流凸部82Aの間に分流連絡溝83Aが設けられている。同様に、分流凸部列81Bは第1方向(図中のX方向)に沿って配列された複数の分流凸部82Bから構成され、複数の分流凸部82Bの間に分流連絡溝83Bが設けられている。
そして、分流連絡溝83(83A、83B)の数は、主流連絡溝73(73A、73B)の数より多い。より詳しくは、分流連絡溝83Aの数は、主流連絡溝73Aの数より多く、分流連絡溝83Bの数は、主流連絡溝73Bの数より多い。
例えば、図4に示す例において、第2流路51が有する主流凸部72(72A、72B)、分流凸部82(82A、82B)、主流連絡溝73(73A、73B)、及び、分流連絡溝83(83A、83B)の形態は、図中の矢印Pで示す区間における形態が第1方向(図中のX方向)に沿って繰り返されているものに相当する。
そして、この矢印Pで示す区間において、分流連絡溝83Aの数は3つであるのに対し、主流連絡溝73Aの数は1つである。すなわち、分流連絡溝83Aの数は、主流連絡溝73Aの数より多い。
また、この矢印Pで示す区間において、分流連絡溝83Bの数は3つであるのに対し、主流連絡溝73Bの数は1つである。すなわち、分流連絡溝83Bの数は、主流連絡溝73Bの数より多い。
なお、図4に示す例においては、分流連絡溝83(83A、83B)のそれぞれが有する第1方向(図中のX方向)の幅は、いずれも同じ大きさ(W2)であり、主流連絡溝73(73A、73B)のそれぞれが有する前記第1方向の幅についても、いずれも同じ大きさ(W2)である。
それゆえ、図4に示す例においては、分流連絡溝83(83A、83B)のそれぞれが有する第1方向(図中のX方向)の幅を合計した値(分流連絡溝83の数×W2)は、前記主流連絡溝のそれぞれが有する前記第1方向の幅を合計した値(主流連絡溝73の数×W2))より大きいことになる。
上記のような構成の第2流路51を有するベーパーチャンバ1においては、分流連絡溝83(83A、83B)の数が多いため、蒸発部4において、電子部品Dから熱を受けて、第2流路51内の液状の作動流体2が蒸発する際に、この蒸発により発生した蒸気が、第2流路51の分流連絡溝83(83A、83B)から、蒸気流路である第1流路40へ、より排出されやすくなる。
それゆえ、作動流体2の蒸気が第2流路51内に滞留してしまう不具合を解消して、作動流体2の蒸発を促進することができる。すなわち、上記のような構成の第2流路51を有するベーパーチャンバ1においては、熱輸送能力を高めることができる。
このような作動流体2の蒸発促進の効果は、蒸発部4、及び、その近傍において、特に有効である。
また、上記のような構成の第2流路51を有するベーパーチャンバ1においては、分流連絡溝83(83A、83B)の数が多いため、より多量の作動流体2の凝縮液を第2流路51内に引き入れることにも効果的である。
より詳しくは、上述したように、作動流体2の蒸気は、蒸気流路である第1流路40を流れて蒸発部4から離れた位置に移動して冷却され、凝縮液になる。
そして、冷却により第1流路40の流路壁面に生じた作動流体2の凝縮液は、第1流路40の流路壁面を濡れ広がり、毛細管作用によって第2流路51の分流連絡溝83(83A、83B)から第2流路51内に引き入れられる。
この際、上記のような構成の第2流路51を有するベーパーチャンバ1においては、分流連絡溝83(83A、83B)の数が多いため、作動流体2の凝縮液を第2流路51内に引き入れることが、より促進される。
このような作動流体2の凝縮液引き入れの効果は、蒸発部4から離れた位置、特に、図2に示すベーパーチャンバ1の外縁1b近傍において、有効である。
そして、分流連絡溝83(83A、83B)から引き入れられた作動流体2の凝縮液は、まず、第2流路51の外縁側にある主流溝61A、61Cに入り込み、さらに、主流連絡溝73(73A、73B)を通って、第2流路51の内側にある主流溝61Bに入り込む。
主流溝61A、61B、61Cに入り込んだ作動流体2の凝縮液は、各主流溝を流れて蒸発部4に向かって輸送される。
ここで、第2流路51の内側にある主流溝61Bにおいては、主流連絡溝73(73A、73B)の数が分流連絡溝83(83A、83B)の数より少ないため、すなわち、第1方向(図中のX方向)以外の方向に作動流体2の凝縮液が流れることを抑制できる。それゆえ、主流溝61Bにおいては、第2流路51の外縁側にある主流溝61A、61Cよりも、作動流体2の凝縮液を効果的に蒸発部4に輸送できる。
そして、輸送された作動流体2の凝縮液は、再び蒸発部4で熱を受けて蒸発する。
つまり、上記のような構成の第2流路51を有するベーパーチャンバ1は、まず第1の効果として、蒸発部4、及び、その近傍においては、第2流路51内に発生した作動流体2の蒸気を、より効果的に排出して蒸発促進の効果を奏する。
次に第2の効果として、蒸発部4から離れた位置においては、第1流路40の流路壁面に生じた作動流体2の凝縮液を、より効果的に第2流路51内に引き入れることができる。
さらに第3の効果として、第2流路51内に引き入れた作動流体2の凝縮液を効果的に蒸発部4に向かって輸送することができる。
それゆえ、ベーパーチャンバ1においては熱輸送能力を高めることができる。
また、図4に示す例においては、主流溝61Bを介して隣り合う一対の主流凸部列71A、71Bにおいて、一方の主流凸部列(ここでは主流凸部列71Aとする)を構成する複数の主流凸部72Aの間に設けられた主流連絡溝73Aの第1方向(図中のX方向)の配置位置が、他方の主流凸部列(主流凸部列71B)を構成する複数の主流凸部72Bの間に設けられた主流連絡溝73Bの第1方向の配置位置と異なっている。
換言すれば、主流連絡溝73Aの第1方向(図中のX方向)と直行する方向(図中のY方向と反対の方向)には、主流連絡溝73Bは配置されておらず、同様に、主流連絡溝73Bの第1方向(図中のX方向)と直行する方向(図中のY方向)には、主流連絡溝73Aは配置されていない。
それゆえ、主流溝61Bにおいては、主流連絡溝73Aから入り込んだ作動流体2の凝縮液が、そのまま第1方向(図中のX方向)と直行する方向(図中のY方向と反対の方向)に進んで、主流連絡溝73Bから排出されてしまうことを抑制できる。
同様に、主流溝61Bにおいては、主流連絡溝73Bから入り込んだ作動流体2の凝縮液が、そのまま第1方向(図中のX方向)と直行する方向(図中のY方向)に進んで、主流連絡溝73Aから排出されてしまうことを抑制できる。
上記のような効果を奏するため、主流溝61Bにおいては、主流連絡溝73A、73Bから入り込んだ作動流体2の凝縮液を、より効果的に第1方向に向けて輸送することができる。すなわち、作動流体2の凝縮液を効果的に蒸発部4に輸送できる。
第2流路51に設けられている各液流路(主流溝61、主流連絡溝73、分流連絡溝83)の流路断面積は、第1流路40の流路断面積より小さくされている。
例えば、主流溝61Aの流路断面積は、第1流路40の流路断面積より小さくされている。同様に、主流溝61Bの流路断面積も、第1流路40の流路断面積より小さくされており、主流溝61Cの流路断面積も、第1流路40の流路断面積より小さくされている。
また、主流連絡溝73Aの流路断面積は、第1流路40の流路断面積より小さくされており、主流連絡溝73Bの流路断面積も、第1流路40の流路断面積より小さくされている。
また、分流連絡溝83Aの流路断面積は、第1流路40の流路断面積より小さくされており、分流連絡溝83Bの流路断面積も、第1流路40の流路断面積より小さくされている。
上記の関係は以下のように表現してもよい。
すなわち、ベーパーチャンバ1が有する複数の第1流路40の平均の流路断面積をAgとし、ベーパーチャンバ1が有する複数の第2流路51に設けられている各液流路(主流溝61、主流連絡溝73、分流連絡溝83)の平均の流路断面積をAlとしたとき、AlがAgの0.5倍以下の関係にあるものとし、好ましくは0.25倍以下である。これにより作動流体2はその相態様(気相、液相)によって第1流路40と第2流路51とを選択的に通り易くなる。
この関係はベーパーチャンバ1のうち少なくとも一部において満たせばよく、ベーパーチャンバ1の全部でこれを満たせばさらに好ましい。
(変形例1)
図5は、図4に示すベーパーチャンバの第2流路51の他の例を説明する図である。換言すれば、図5は、図4に示す第2流路51の変形例について示す図である。
ここで、図5に示す変形例1は、図4に示す主流凸部列71(71A、71B)と分流凸部列81(81A、81B)との、第1方向(図中のX方向)における相対位置が異なるもの(図4に示すW2の大きさだけ、分流凸部列81A、81Bが第1方向にシフトした形態)に相当する。それゆえ、図5においては、煩雑となるのを避けるため、要部以外の符号や引き出し線を省略している。
上述した図4に示す例においては、一の分流凸部列81を構成する複数の分流凸部82の間に設けられた分流連絡溝83の第1方向(図中のX方向)の配置位置が、一の分流凸部列81に最も近い主流凸部列71を構成する複数の主流凸部72の間に設けられた主流連絡溝73の第1方向の配置位置と一致するものがあった。
例えば、図4に示す例においては、主流連絡溝73Aの第1方向(図中のX方向)と直行する方向(図中のY方向)には、分流連絡溝83Aが配置されていた。
また、図4に示す例においては、主流連絡溝73Bの第1方向(図中のX方向)と直行する方向(図中のY方向と反対の方向)には、分流連絡溝83Bが配置されていた。
一方、図5に示す例においては、一の前記分流凸部列81を構成する複数の分流凸部82の間に設けられた分流連絡溝83の第1方向(図中のX方向)の配置位置は、一の分流凸部列81に最も近い主流凸部列71を構成する複数の主流凸部72の間に設けられた主流連絡溝73の第1方向の配置位置と異なっている。
より詳しくは、図5に示す例においては、分流凸部列81Aを構成する複数の分流凸部82Aの間に設けられた分流連絡溝83Aの第1方向(図中のX方向)の配置位置は、分流凸部列81Aに最も近い主流凸部列71Aを構成する複数の主流凸部72Aの間に設けられた主流連絡溝73Aの第1方向の配置位置と異なっている。
換言すれば、図5に示す例においては、図中の第2流路の左側(図中のY方向側)において破線の囲みで示すように、主流連絡溝73Aの第1方向(図中のX方向)と直行する方向(図中のY方向)には、分流連絡溝83Aは設けられておらず、分流凸部82Aが配置されている。
同様に、図5に示す例においては、分流凸部列81Bを構成する複数の分流凸部82Bの間に設けられた分流連絡溝83Bの第1方向(図中のX方向)の配置位置は、分流凸部列81Bに最も近い主流凸部列71Bを構成する複数の主流凸部72Bの間に設けられた主流連絡溝73Bの第1方向の配置位置と異なっている。
換言すれば、図5に示す例においては、図中の第2流路の右側(図中のY方向と反対側)において破線の囲みで示すように、主流連絡溝73Bの第1方向(図中のX方向)と直行する方向(図中のY方向と反対の方向)には、分流連絡溝83Bは設けられておらず、分流凸部82Bが配置されている。
このような構成を有するため、図5に示す第2流路51を有するベーパーチャンバにおいては、上述した図4に示す第2流路51を有するベーパーチャンバの効果に加えて、第1流路40を流れる作動流体2の蒸気が、第2流路51の内側の主流溝61Bに混入することを抑制できるという効果を奏する。
例えば、図5に示すように、この変形例1においては、複数ある分流連絡溝83Aの全てに対し、分流連絡溝83Aの第1方向(図中のX方向)と直行する方向(図中のY方向と反対の方向)には、主流連絡溝73Aは設けられておらず、主流凸部72Aが配置されていることになる。
それゆえ、例え、第1流路40を流れる作動流体2の蒸気が、分流連絡溝83Aから主流溝61Aに混入した場合でも、その蒸気の流れは主流凸部72Aに遮られて、主流溝61Bには混入しにくい。
同様に、この変形例1においては、複数ある分流連絡溝83Bの全てに対し、分流連絡溝83Bの第1方向(図中のX方向)と直行する方向(図中のY方向)には、主流連絡溝73Bは設けられておらず、主流凸部72Bが配置されていることになる。
それゆえ、例え、第1流路40を流れる作動流体2の蒸気が、分流連絡溝83Bから主流溝61Cに混入した場合でも、その蒸気の流れは主流凸部72Bに遮られて、主流溝61Bには混入しにくい。
上記のように、この変形例1においては、上述した図4に示す第2流路51を有するベーパーチャンバの効果に加えて、第1流路40を流れる作動流体2の蒸気が、第2流路51の内側の主流溝61Bに混入することを抑制できるという効果を奏する。
それゆえ、より作動流体2の凝縮液を効果的に蒸発部4に輸送でき、ベーパーチャンバの熱輸送能力をより高めることができる。
(変形例2)
図6は、図5に示すベーパーチャンバの第2流路の他の例を説明する図である。換言すれば、図6は、図5に示す第2流路の変形例について示す図である。
ここで、図5に示す変形例1と比較した、図6に示す変形例2における主たる特徴は、図6に示す分流連絡溝183(183A、183B)の第1方向に直交する方向(図中のY方向)の長さ(L1)が、主流連絡溝173(173A、173B)の第1方向に直交する方向の長さ(L2)よりも長い、という点である。
例えば、蒸気流路である第1流路140を流れる作動流体2の蒸気が、分流連絡溝183Aから液流路部150内に混入しようとする場合、主流溝161Aに到達するためには、分流連絡溝183Aを通過する必要がある。
しかしながら、図6に示すように、分流連絡溝183Aの第1方向に直交する方向(図中のY方向)の長さ(L1)が長いため、抵抗が増加する作用により、作動流体2の蒸気は主流溝161Aに到達しにくいことになる。
同様に、第1流路140を流れる作動流体2の蒸気が、分流連絡溝183Bから液流路部150内に混入しようとする場合、主流溝161Cに到達するためには、分流連絡溝183Bを通過する必要がある。
しかしながら、図6に示すように、分流連絡溝183Bの第1方向に直交する方向(図中のY方向)の長さ(L1)が長いため、抵抗が増加する作用により、作動流体2の蒸気は主流溝161Cに到達しにくいことになる。
上記のように、図6に示す変形例2においては、上述した図5に示す変形例1の効果に加えて、第1流路140を流れる作動流体2の蒸気が、第2流路151の外縁側の主流溝161A、161Cに混入することを抑制できるという効果を奏する。
なお、第2流路151の外縁側の主流溝161A、161Cに対して、作動流体2の蒸気が混入することを抑制されることから、第2流路151の内側にある主流溝161Bに対しては、さらに混入しにくいことになる。
それゆえ、図6に示す変形例2においては、各主流溝161に作動流体2の蒸気が混入することを抑制して、より作動流体2の凝縮液を効果的に蒸発部4に輸送でき、ベーパーチャンバの熱輸送能力をより高めることができる。
なお、図6に示す例においては、分流連絡溝183Aの第1方向に直交する方向(図中のY方向)の長さと、分流連絡溝183Bの第1方向に直交する方向(図中のY方向)の長さとが、同じ長さ(L1)の例を示したが、本実施形態は、これに限定されない。
分流連絡溝183Aの第1方向に直交する方向(図中のY方向)の長さと、分流連絡溝183Bの第1方向に直交する方向(図中のY方向)の長さは、同じ長さであってもよく、異なる長さであってもよい。
(ベーパーチャンバの製造方法)
次に、ベーパーチャンバ1の製造方法について、図7および図8を用いて説明する。
ここで、図7は、図3に示すベーパーチャンバ1の製造方法の一例を示す工程図である。また、図8は、図7に続くベーパーチャンバ1の製造方法の一例を示す工程図である。
本実施形態のベーパーチャンバ1の製造方法は、第1金属シート10となる金属材料シートMにハーフエッチングを施して第1流路40および液流路部50を形成する第1金属シート加工工程と、前記ハーフエッチングを施した第1金属シート10に第2金属シート20および第3金属シート30を接合して密封空間3を形成する接合工程と、密封空間3に作動流体2を封入する封入工程と、を備える。
[第1金属シート加工工程]
まず、図7(a)に示すように、準備工程として、平板状の金属材料シートMを準備する。
次に、図7(b)に示すように、金属材料シートMの第1面Ma側に第1面側レジストパターン91を形成し、第2面Mb側に第2面側レジストパターン92を形成する。
ここで、第1面側レジストパターン91は、第2流路51の主流凸部列71(71A、71B)、及び、分流凸部列81(81A、81B)の形態に応じたレジストパターンであり、第2面側レジストパターン92は、第1金属シート10において第2面10b側の面となる液流路部50の面の形態に応じたレジストパターンである。いずれもフォトリソグラフィー技術により形成される。
次に、図7(c)に示すように、金属材料シートMの第1面Ma側および第2面Mb側の両面側から、それぞれエッチング液を用いたハーフエッチングを行い、その後、図7(d)に示すように、第1面側レジストパターン91および第2面側レジストパターン92を除去して、第1流路40および液流路部50が形成された第1金属シート10を得る。
エッチング液には、例えば、塩化第二鉄水溶液等の塩化鉄系エッチング液、または塩化銅水溶液等の塩化銅系エッチング液を用いることができる。
なお、上記の「ハーフエッチング」とは、材料を貫通しないような凹部を形成するためのエッチングを意味している。このハーフエッチングにより形成される凹部の深さは、金属材料シートMの厚さの半分であることには限られない。この深さを含む凹部の形状は、用いるエッチング液の成分や、各種エッチング条件(温度、スプレー圧力等)により、調整することが可能である。
それゆえ、両面からハーフエッチングを行うことで、所定の部位には材料を貫通しないような凹部を形成しつつ、他の所定の部位には材料を貫通した貫通部を形成することができる。
[接合工程]
次に、図8(e)に示すように、第2金属シート20および第3金属シート30を準備し、次いで、図8(f)に示すように、仮止めとして、ハーフエッチングを施した第1金属シート10の第1面10aの側に第2金属シート20を固定し、第1金属シート10の第2面10bの側に第3金属シート30を固定する。
固定の方法としては、特に限られることはないが、例えば、スポット的に抵抗溶接を行うことが好適である。抵抗溶接の代わりにレーザ溶接を行ってもよい。あるいは、超音波を照射して超音波接合してもよい。さらには、接着剤を用いてもよいが、有機成分を有しないか、若しくは有機成分が少ない接着剤を用いることが好適である。
仮止めの後、図8(g)に示すように、第2金属シート20と第3金属シート30とが、第1金属シート10のそれぞれの面に、拡散接合によって恒久的に接合される。これにより、第2金属シート20と第3金属シート30との間に密封空間3が形成される。
なお、拡散接合とは、接合する各金属シートを密着させ、真空や不活性ガス中などの制御された雰囲気中で、各金属シートを密着させる方向に加圧するとともに加熱して、接合面に生じる原子の拡散を利用して接合する方法である。
拡散接合は、接合する各金属シートを融点に近い温度まで加熱するが、融点よりは低いため、各金属シートが溶融して変形することを回避できる。
[封入工程]
図示はしないが、上記の恒久的な接合の後、封入工程として、注入部5(図2参照)から密封空間3に作動流体2が注入される。
この際、まず、密封空間3が真空引きされて減圧され(例えば、5Pa以下、好ましくは1Pa以下)、その後に、作動流体2が密封空間3に注入される。作動流体2の封入量は、ベーパーチャンバ1内部の液流路部50の構成にもよるが、例えば、密封空間3の全容積に対して10%〜40%とすることができる。
作動流体2の注入の後、注入部5が封止される。例えば、注入部5にレーザを照射し、注入部5を部分的に溶融させて封止する。なお、この封止の方法は、注入部5をかしめてもよく(押圧して塑性変形させてもよく)、またはろう付けしてもよい。
以上のようにして、ベーパーチャンバ1が得られる。
<第2の実施形態>
次に、図9〜図11を用いて、本発明の第2の実施形態によるベーパーチャンバについて説明する。
図9は本発明の第2の実施形態によるベーパーチャンバの一例を示す断面図である。
上述した図3に例示するベーパーチャンバ1においては、作動流体2の凝縮液が流れる凝縮液流路である第2流路51が、第1金属シート10の片面側(より詳しくは、第1面10a側)にのみ形成されていた。
一方、図9に例示するベーパーチャンバ200においては、作動流体2の凝縮液が流れる凝縮液流路である第2流路51は、第1金属シート210の両面側(より詳しくは、第1面210a側および第2面210b側の両方)に形成されている。
なお、図9に例示するベーパーチャンバ200においては、第2流路51が第1金属シート210の第2面210b側にも形成されていること以外のその他の構成については、図3に例示するベーパーチャンバ1と同様とすることができる。
図9に示すように、ベーパーチャンバ200の液流路部50においては、第1金属シート210の両面側に作動流体2の凝縮液が流れる第2流路51が設けられている。
例えば、図9に示すベーパーチャンバ200においては、第1金属シート210の第1面210a側および第2面210b側に、上述の図4に例示した第2流路51を有する構成とすることができる。
それゆえ、図9に示すベーパーチャンバ200においては、まず第1の効果として、上述の図4に例示した形態の効果を奏することができる。さらに、第2の効果として、図3に例示したような第1金属シート10の片面にのみ第2流路51が設けられているベーパーチャンバ1に比べて、液状の作動流体2の輸送能力を、より向上させることができる。
より詳しくは、ベーパーチャンバ200の液流路部50においては、第1金属シート210の第1面210a側および第2面210b側に第2流路51が形成されているため、第1金属シート10の片面側にのみ第2流路51が形成されているベーパーチャンバ1に比べて、平面占有率を変えることなく作動流体2の凝縮液の質量流量(単位例:グラム毎秒)を増加(例えば2倍に増加)できる。それゆえ、液状の作動流体2の輸送能力を、より向上させることができる。
さらに、第1金属シートの前記第1面の法線方向に沿って見た場合に、第1金属シート210の第1面210a側に設けた第2流路51の分流連絡溝83(83A、83B)の配置位置と、第1金属シート210の第2面210b側に設けた第2流路51の分流連絡溝83(83A、83B)の配置位置とが、互いに重なり合う、若しくは少なくとも一部が重なり合う場合は、第2流路51の外縁(第1流路40との境界)において、第1面210a側、または第2面210b側の一方の分流連絡溝83(83A、83B)から液流路部50の側面に流れ出た液状の作動流体2を、他方の側の分流連絡溝83(83A、83B)から第2流路51内に取り込むことができる。
例えば、第1面210a側に設けた第2流路51の分流連絡溝83(83A、83B)から液流路部50の側面に流れ出た液状の作動流体2を、第2面210b側に設けた第2流路51の分流連絡溝83(83A、83B)から第2流路51内に取り込むことができる。
同様に、第2面210b側に設けた第2流路51の分流連絡溝83(83A、83B)から液流路部50の側面に流れ出た液状の作動流体2を、第1面210a側に設けた第2流路51の分流連絡溝83(83A、83B)から第2流路51内に取り込むことができる。
すなわち、一方の面側の流路において作動流体2の凝縮液が不足する場合にも、他の面側の流路から作動流体2の凝縮液が供給されるため、両方の面側において、作動流体2の凝縮液の不足を補い合うことができる。それゆえ、液状の作動流体2の輸送能力を、さらに向上させることができる。
また、上記のように、液流路部50の側面に、第1面210a側に設けた第2流路51と第2面210b側に設けた第2流路51との間で、作動流体2の凝縮液の流れができ、この液流路部50の側面を流れる作動流体2の凝縮液は、第1流路40(作動流体2の蒸気が流れる蒸気流路)に接しているため、その分、蒸発部4近傍では作動流体2の蒸発が効率良く促進され、放熱効率を高めることができる。
その一方、蒸発部4から離れた部位では、この液流路部50の側面を流れる作動流体2の凝縮液は、第1流路40(作動流体2の蒸気が流れる蒸気流路)に接しているため、この作動流体2の凝縮液の液面で作動流体2の蒸気が凝結しやすくなり、液流路部50が保持する作動流体2の凝縮液の量をより増やすことができ、これに伴い液流路部50の表裏(第1面210a側と第2面210b側)に設けられた各第2流路51を流れる作動流体2の凝縮液の量をより増やすことができる。
それゆえ、ベーパーチャンバ200の熱輸送能力をより高めることができる。
ここで、図9に示す例においても、第1金属シート210の第1面210a側および第2面210b側に形成される第2流路51に設けられている各液流路(主流溝61、主流連絡溝73、分流連絡溝83)の流路断面積は、第1流路40の流路断面積より小さくされている。
例えば、第1金属シート210の第1面210a側および第2面210b側に形成される第2流路51において、主流溝61Aの流路断面積は、第1流路40の流路断面積より小さくされている。同様に、主流溝61Bの流路断面積も、第1流路40の流路断面積より小さくされており、主流溝61Cの流路断面積も、第1流路40の流路断面積より小さくされている。
また、第1金属シート210の第1面210a側および第2面210b側に形成される第2流路51において、主流連絡溝73Aの流路断面積は、第1流路40の流路断面積より小さくされており、主流連絡溝73Bの流路断面積も、第1流路40の流路断面積より小さくされている。
また、第1金属シート210の第1面210a側および第2面210b側に形成される第2流路51において、分流連絡溝83Aの流路断面積は、第1流路40の流路断面積より小さくされており、分流連絡溝83Bの流路断面積も、第1流路40の流路断面積より小さくされている。
上記の関係は以下のように表現してもよい。
すなわち、ベーパーチャンバ200が有する複数の第1流路40の平均の流路断面積をAgとし、ベーパーチャンバ200が有する複数の第2流路51に設けられている各液流路(主流溝61、主流連絡溝73、分流連絡溝83)の平均の流路断面積をAlとしたとき、AlがAgの0.5倍以下の関係にあるものとし、好ましくは0.25倍以下である。これにより作動流体2はその相態様(気相、液相)によって第1流路40と第2流路51とを選択的に通り易くなる。
この関係はベーパーチャンバ200のうち少なくとも一部において満たせばよく、ベーパーチャンバ200の全部でこれを満たせばさらに好ましい。
また、ベーパーチャンバ200においては、第1金属シート210の第1面210a側および第2面210b側に形成される第2流路を、上述の図4に例示した第2流路51の他に、図5に例示した第2流路51や、図6に例示した第2流路151とすることもできる。
それゆえ、上述の図4に例示した形態の効果の他に、図5に例示した形態の効果や、図6に例示した形態の効果も奏することができる。
なお、図9に示す例においては、第1金属シート210の第1面210a側および第2面210b側に、同じ形態の第2流路(第2流路51)が形成されている例を示したが、本実施形態は、これに限定されない。
第1金属シート210の第1面210a側に形成される第2流路(凝縮液流路)と、第1金属シート210の第2面210b側に形成される第2流路(凝縮液流路)とは、同じ形態を有するものであってもよく、異なる形態を有するものであってもよい。
例えば、第1金属シート210の第1面210a側に形成される第2流路(凝縮液流路)を図4に例示した第2流路51とし、第1金属シート210の第2面210b側に形成される第2流路(凝縮液流路)を図5に例示した第2流路51としてもよい。
(ベーパーチャンバの製造方法)
次に、ベーパーチャンバ200の製造方法について、図10および図11を用いて説明する。
ここで、図10は、図9に示すベーパーチャンバ200の製造方法の一例を示す工程図である。また、図11は、図10に続くベーパーチャンバ200の製造方法の一例を示す工程図である。
本実施形態のベーパーチャンバ200の製造方法も、上述した第1の実施形態におけるベーパーチャンバ1の製造方法と同様に、第1金属シート210となる金属材料シートMにハーフエッチングを施して第1流路40および液流路部50を形成する第1金属シート加工工程と、前記ハーフエッチングを施した第1金属シート10に第2金属シート20および第3金属シート30を接合して密封空間3を形成する接合工程と、密封空間3に作動流体2を封入する封入工程と、を備える。
[第1金属シート加工工程]
まず、図10(a)に示すように、準備工程として、平板状の金属材料シートMを準備する。
次に、図10(b)に示すように、金属材料シートMの第1面Ma側に第1面側レジストパターン91を形成し、第2面Mb側に第2面側レジストパターン92を形成する。
ここで、図9に示すベーパーチャンバ200においては、第2流路51が、第1金属シート210の第1面210a側および第2面210b側の両方に形成されている。
それゆえ、この図10(b)に示す第1面側レジストパターン91は、第2流路51の主流凸部列71(71A、71B)、及び、分流凸部列81(81A、81B)の形態に応じたレジストパターンであり、第2面側レジストパターン92も、第2流路51の主流凸部列71(71A、71B)、及び、分流凸部列81(81A、81B)の形態に応じたレジストパターンである。いずれもフォトリソグラフィー技術により形成される。
次に、図10(c)に示すように、金属材料シートMの第1面Ma側および第2面Mb側の両面側から、それぞれエッチング液を用いたハーフエッチングを行い、その後、図10(d)に示すように、第1面側レジストパターン91および第2面側レジストパターン92を除去して、第1流路40および液流路部50が形成された第1金属シート210を得る。
エッチング液には、例えば、塩化第二鉄水溶液等の塩化鉄系エッチング液、または塩化銅水溶液等の塩化銅系エッチング液を用いることができる。
[接合工程]
次に、図11(e)に示すように、第2金属シート20および第3金属シート30を準備し、次いで、図11(f)に示すように、仮止めとして、ハーフエッチングを施した第1金属シート210の第1面210aの側に第2金属シート20を固定し、第1金属シート210の第2面210bの側に第3金属シート30を固定する。
仮止めの後、図11(g)に示すように、第2金属シート20と第3金属シート30とが、第1金属シート10のそれぞれの面に、拡散接合によって恒久的に接合される。これにより、第2金属シート20と第3金属シート30との間に密封空間3が形成される。
[封入工程]
図示はしないが、上記の恒久的な接合の後、封入工程として、注入部5(図2参照)から密封空間に作動流体2が注入される。
この際、まず、密封空間3が真空引きされて減圧され(例えば、5Pa以下、好ましくは1Pa以下)、その後に、作動流体2が密封空間3に注入される。作動流体2の封入量は、ベーパーチャンバ1内部の液流路部50の構成にもよるが、例えば、密封空間3の全容積に対して10%〜40%とすることができる。
作動流体2の注入の後、注入部5が封止される。例えば、注入部5にレーザを照射し、注入部5を部分的に溶融させて封止する。なお、この封止の方法は、注入部5をかしめてもよく(押圧して塑性変形させてもよく)、またはろう付けしてもよい。
以上のようにして、ベーパーチャンバ200が得られる。
以上、本発明に係るベーパーチャンバ、電子機器、及び、ベーパーチャンバ用金属シートについて、それぞれの実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一の構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなる場合であっても本発明の技術的範囲に包含される。
1、200 ベーパーチャンバ
2 作動流体
3 密封空間
4 蒸発部
5 注入部
6 周縁壁
10、210 第1金属シート
10a、210a 第1面
10b、210b 第2面
20 第2金属シート
30 第3金属シート
40 第1流路
50 液流路部
51 第2流路
61、61A、61B、61C 主流溝
71、71A、71B 主流凸部列
72、72A、72B 主流凸部
73、73A、73B 主流連絡溝
81、81A、81B 分流凸部列
82、82A、82B 分流凸部
83、83A、83B 分流連絡溝
91 第1面側レジストパターン
92 第2面側レジストパターン
110 第1金属シート
110a 第1面
140 第1流路
150 液流路部
151 第2流路
161、161A、161B、161C 主流溝
171、171A、171B 主流凸部列
172、172A、172B 主流凸部
173、173A、173B 主流連絡溝
181、181A、181B 分流凸部列
182、182A、182B 分流凸部
183、183A、183B 分流連絡溝
D 電子部品
E 電子機器
H 筐体
M 金属材料シート
Ma 第1面
Mb 第2面

Claims (15)

  1. 密封空間に作動流体が封入されたベーパーチャンバであって、
    第1面と、前記第1面とは反対側の第2面と、を有する第1金属シートと、
    前記第1金属シートの前記第1面側に積層された第2金属シートと、
    前記第1金属シートの前記第2面側に積層された第3金属シートと、
    を備え、
    前記第1金属シートの前記第1面の法線方向に沿って見た場合に、複数の第1流路と複数の液流路部とが、交互配置されて第1方向に延びており、
    前記第1面から前記第2面を貫通して、前記第1流路が形成されており、
    前記液流路部においては、
    前記第1金属シートの前記第1面側または前記第2面側の少なくともいずれか一方に、第2流路が形成されており、
    前記第2流路は、
    前記第1方向に延びる主流溝と、
    前記主流溝に隣接する主流凸部列と、
    前記第2流路の前記第1方向に延びる外縁側に設けられた分流凸部列と、
    を有し、
    前記主流凸部列は、前記第1方向に配列された複数の主流凸部から構成され、複数の前記主流凸部の間に、主流連絡溝が設けられており、
    前記分流凸部列は、前記第1方向に配列された複数の分流凸部から構成され、複数の前記分流凸部の間に、分流連絡溝が設けられており、
    前記分流連絡溝の数が前記主流連絡溝の数より多い、ベーパーチャンバ。
  2. 前記液流路部において、
    前記第1金属シートの前記第1面側および前記第2面側の両方に、前記第2流路が形成されている、請求項1に記載のベーパーチャンバ。
  3. 前記第1流路は前記作動流体の蒸気が流れる蒸気流路であり、
    前記第2流路は前記第1流路より流路断面積が小さく、前記作動流体の凝縮液が流れる凝縮液流路である、請求項1または請求項2に記載のベーパーチャンバ。
  4. 前記分流連絡溝のそれぞれが有する前記第1方向の幅を合計した値が、
    前記主流連絡溝のそれぞれが有する前記第1方向の幅を合計した値より大きい、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のベーパーチャンバ。
  5. 前記第1金属シートの前記第1面の法線方向に沿って見た場合に、
    前記主流溝を介して隣り合う一対の前記主流凸部列において、
    一方の前記主流凸部列を構成する複数の前記主流凸部の間に設けられた前記主流連絡溝の前記第1方向の配置位置が、
    他方の前記主流凸部列を構成する複数の前記主流凸部の間に設けられた前記主流連絡溝の前記第1方向の配置位置と異なる、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のベーパーチャンバ。
  6. 前記第1金属シートの前記第1面の法線方向に沿って見た場合に、
    一の前記分流凸部列を構成する複数の前記分流凸部の間に設けられた前記分流連絡溝の前記第1方向の配置位置が、
    一の前記分流凸部列に最も近い前記主流凸部列を構成する複数の前記主流凸部の間に設けられた前記主流連絡溝の前記第1方向の配置位置と異なる、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のベーパーチャンバ。
  7. 前記第1金属シートの前記第1面の法線方向に沿って見た場合に、
    前記分流連絡溝の前記第1方向に直交する方向の長さが、前記主流連絡溝の前記第1方向に直交する方向の長さよりも長い、請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載のベーパーチャンバ。
  8. 筐体と、
    前記筐体の内側に配置された電子部品と、
    前記電子部品に配置された請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載されたベーパーチャンバと、
    を備える、電子機器。
  9. 第1面と、前記第1面とは反対側の第2面と、を有するベーパーチャンバ用金属シートであって、
    前記第1面の法線方向に沿って見た場合に、複数の第1流路と複数の液流路部とが、交互配置されて第1方向に延びており、
    前記第1面から前記第2面を貫通して、前記第1流路が形成されており、
    前記液流路部においては、
    前記第1面側または前記第2面側の少なくともいずれか一方に、第2流路が形成されており、
    前記第2流路は、
    前記第1方向に延びる主流溝と、
    前記主流溝に隣接する主流凸部列と、
    前記第2流路の前記第1方向に延びる外縁側に設けられた分流凸部列と、
    を有し、
    前記主流凸部列は、前記第1方向に配列された複数の主流凸部から構成され、複数の前記主流凸部の間に、主流連絡溝が設けられており、
    前記分流凸部列は、前記第1方向に配列された複数の分流凸部から構成され、複数の前記分流凸部の間に、分流連絡溝が設けられており、
    前記分流連絡溝の数が前記主流連絡溝の数より多い、ベーパーチャンバ用金属シート。
  10. 前記液流路部において、
    前記第1面側および前記第2面側の両方に、前記第2流路が形成されている、請求項9に記載のベーパーチャンバ用金属シート。
  11. 前記第1流路は作動流体の蒸気が流れるべき蒸気流路であり、
    前記第2流路は前記第1流路より流路断面積が小さく、前記作動流体の凝縮液が流れるべき凝縮液流路である、請求項9または請求項10に記載のベーパーチャンバ用金属シート。
  12. 前記分流連絡溝のそれぞれが有する前記第1方向の幅を合計した値が、
    前記主流連絡溝のそれぞれが有する前記第1方向の幅を合計した値より大きい、請求項9乃至請求項11のいずれか一項に記載のベーパーチャンバ用金属シート。
  13. 前記第1面の法線方向に沿って見た場合に、
    前記主流溝を介して隣り合う一対の前記主流凸部列において、
    一方の前記主流凸部列を構成する複数の前記主流凸部の間に設けられた前記主流連絡溝の前記第1方向の配置位置が、
    他方の前記主流凸部列を構成する複数の前記主流凸部の間に設けられた前記主流連絡溝の前記第1方向の配置位置と異なる、請求項9乃至請求項12のいずれか一項に記載のベーパーチャンバ用金属シート。
  14. 前記第1面の法線方向に沿って見た場合に、
    一の前記分流凸部列を構成する複数の前記分流凸部の間に設けられた前記分流連絡溝の前記第1方向の配置位置が、
    一の前記分流凸部列に最も近い前記主流凸部列を構成する複数の前記主流凸部の間に設けられた前記主流連絡溝の前記第1方向の配置位置と異なる、請求項9乃至請求項13のいずれか一項に記載のベーパーチャンバ用金属シート。
  15. 前記第1面の法線方向に沿って見た場合に、
    前記分流連絡溝の前記第1方向に直交する方向の長さが、前記主流連絡溝の前記第1方向に直交する方向の長さよりも長い、請求項9乃至請求項14のいずれか一項に記載のベーパーチャンバ用金属シート。

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