以下、図面を参照して、本開示の実施の形態について説明する。なお、本明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。また、一部の図において示された構成等が、他の図において省略されていることもある。
本明細書において用いる、幾何学的条件と、物理的特性と、幾何学的条件または物理的特性の程度を特定する用語と、幾何学的条件または物理的特性を示す数値等については、厳密な意味に縛られることなく解釈してもよい。そして、これらの幾何学的条件、物理的特性、用語、および数値などについては、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈してもよい。幾何学的条件を特定する用語の例としては、「長さ」、「角度」、「形状」および「配置」等が挙げられる。幾何学的条件を特定する用語の例としては、「平行」、「直交」および「同一」等が挙げられる。さらに、図面を明瞭にするために、同様の機能を期待し得る複数の部分の形状を、規則的に記載している。しかしながら、厳密な意味に縛られることなく、当該機能を期待できる範囲内で、当該部分の形状は互いに異なっていてもよい。図面においては、部材同士の接合面などを示す境界線を、便宜上、単なる直線で示しているが、厳密な直線であることに縛られることはなく、所望の接合性能を期待できる範囲内で、当該境界線の形状は任意である。
(第1の実施の形態)
図1~図29を用いて、本開示の第1の実施の形態によるベーパーチャンバ、電子機器およびベーパーチャンバの製造方法について説明する。本実施の形態によるベーパーチャンバ1は、発熱を伴う電子デバイスDとともに電子機器EのハウジングHに収容されており、電子デバイスDを冷却するための装置である。電子機器Eの例としては、携帯端末およびタブレット端末等のモバイル端末等が挙げられる。電子デバイスDの例としては、中央演算処理装置(CPU)、発光ダイオード(LED)およびパワー半導体等が挙げられる。電子デバイスDは、被冷却装置と称する場合もある。
ここではまず、本実施の形態によるベーパーチャンバ1が搭載される電子機器Eについて、タブレット端末を例にとって説明する。図1に示すように、電子機器Eは、ハウジングHと、ハウジングH内に収容された電子デバイスDと、ベーパーチャンバ1と、を備えていてもよい。図1に示す電子機器Eでは、ハウジングHの前面にタッチパネルディスプレイTDが設けられている。ベーパーチャンバ1は、ハウジングH内に収容されて、電子デバイスDに熱的に接触するように配置される。ベーパーチャンバ1は、電子機器Eの使用時に電子デバイスDで発生する熱を受ける。ベーパーチャンバ1が受けた熱は、後述する作動流体2a、2bを介してベーパーチャンバ1の外部に放出し、電子デバイスDは効果的に冷却される。電子機器Eがタブレット端末である場合、電子デバイスDは、中央演算処理装置等に相当する。
次に、本実施の形態によるベーパーチャンバ1について説明する。本実施の形態によるベーパーチャンバ1は、図2および図3に示すように、屈曲されている。ベーパーチャンバ1は、電子機器Eの内部構造に応じて屈曲される。発熱を伴う電子機器Eと、熱を放出するハウジング部材Haとの位置関係によって、ベーパーチャンバ1が屈曲される場合がある。ハウジング部材Haは、ハウジングHを構成する部材である。
一例として、図2に示すように電子デバイスDとハウジング部材Haとが配置されている場合が挙げられる。この場合、電子デバイスDとハウジング部材Haに接触するようにベーパーチャンバ1は直角状に屈曲される。電子デバイスDは、基板Sに実装されている。他の例として、図3に示すように電子デバイスDとハウジング部材Haとが配置されている場合が挙げられる。この場合、電子デバイスDとハウジング部材Haに接触するようにベーパーチャンバ1は180°屈曲される。図2および図3には、1つの屈曲線8(図4および図5参照)で屈曲されているベーパーチャンバ1の例が示されているが、これに限られることはない。ベーパーチャンバ1は、2つ以上の屈曲線8で異なる位置で屈曲されていてもよい。
本実施の形態においては、図4に示すように、1つの屈曲線8で直角状に屈曲されているベーパーチャンバ1を例にとって説明する。図4に示すベーパーチャンバ1は、第1領域5と、第2領域6と、第1領域5と第2領域6との間に位置する屈曲領域7とに区分けされている。屈曲領域7において、ベーパーチャンバ1が、直角状に屈曲されている。第1領域5および第2領域6は、実質的に平坦状に形成されている。第1領域5に、電子デバイスDが接触してもよく、第2領域6に、ハウジング部材Ha(図2参照)が接触してもよい。
ここでは、まず、屈曲される前のベーパーチャンバ1を示す図5~図11を用いて、ベーパーチャンバ1の構成を説明する。図5に示す平板状のベーパーチャンバ1が屈曲されることにより、図4に示すベーパーチャンバ1が得られる。
図5および図6に示すように、ベーパーチャンバ1は、作動流体2a、2bが封入された密封空間3を有している。密封空間3内の作動流体2a、2bが相変化を繰り返すことにより、上述した電子デバイスDが冷却される。作動流体2a、2bの例としては、純水、エタノール、メタノールおよびアセトン等、並びにそれらの混合液が挙げられる。
図5および図6に示すように、ベーパーチャンバ1は、第1シート10と、第2シート20と、ウィックシート30と、蒸気流路部50と、第1液流路部60と、を備えている。第2シート20は、ウィックシート30に対して第1シート10とは反対側に設けられている。ウィックシート30は、本体シートの一例であり、第1シート10と第2シート20との間に介在されている。本実施の形態によるベーパーチャンバ1は、第1シート10、ウィックシート30および第2シート20が、この順番で重ねられている。なお、ここでは、1つのウィックシート30が重ねられている例について説明するが、2つ以上のウィックシート30が重ねられていてもよい。
図5に示すベーパーチャンバ1は、概略的に薄い平板状に形成されている。屈曲前のベーパーチャンバ1の平面形状は任意であるが、図5に示すような矩形形状であってもよい。ベーパーチャンバ1の平面形状は、例えば、1辺が1cmで他の辺が3cmの長方形であってもよく、1辺が15cmの正方形であってもよい。屈曲前のベーパーチャンバ1の平面寸法は任意である。本実施の形態では、屈曲前のベーパーチャンバ1の平面形状が、後述するX方向を長手方向とする矩形形状である例について説明する。この場合、図7~図10に示すように、第1シート10、第2シート20およびウィックシート30は、ベーパーチャンバ1と同様の平面形状を有していてもよい。屈曲前のベーパーチャンバ1の平面形状は、矩形形状に限られることはなく、円形形状、楕円形形状、L字形状またはT字形状等、任意の形状であってもよい。
図4および図5に示すように、ベーパーチャンバ1は、作動液2bが蒸発する蒸発領域SRと、作動蒸気2aが凝縮する凝縮領域CRと、を有している。作動蒸気2aは、気体状態の作動流体であり、作動液2bは、液体状態の作動流体である。
蒸発領域SRは、平面視において電子デバイスDと重なる領域であり、電子デバイスDと接触する領域である。蒸発領域SRは、第1領域5内に位置しているが、蒸発領域SRの位置は任意である。本実施の形態においては、ベーパーチャンバ1のX方向における一側(図5における左側)に、蒸発領域SRが形成されている。蒸発領域SRに電子デバイスDからの熱が伝わり、この熱によって作動液2bが蒸発して、作動蒸気2aが生成される。電子デバイスDからの熱は、平面視において電子デバイスDに重なる領域だけではなく、電子デバイスDが重なる領域の周辺にも伝わり得る。このため、蒸発領域SRは、平面視において、電子デバイスDに重なっている領域とその周辺の領域とを含んでいてもよい。
凝縮領域CRは、平面視において電子デバイスDと重ならない領域であって、主として作動蒸気2aが熱を放出して凝縮する領域である。凝縮領域CRは、第2領域6内に位置していてもよい。凝縮領域CRは、第2領域6を含む蒸発領域SRの周囲の領域であってもよい。凝縮領域CRにおいて作動蒸気2aからの熱が放出される。作動蒸気2aは冷却されて凝縮し、作動液2bが生成される。
ここで平面視とは、ベーパーチャンバ1が電子デバイスDから熱を受ける面および受けた熱を放出する面に直交する方向から見た状態である。熱を受ける面とは、第2シート20の後述する第2シート外面20bに相当する。熱を放出する面とは、第1シート10の後述する第1シート外面10aに相当する。例えば、図4に示すように、屈曲されたベーパーチャンバ1の第1領域5においては、矢印V1で示す方向で見た状態が平面視に相当する。第2領域6においては、矢印V2で示す方向で見た状態が平面視に相当する。図5に示すように、屈曲前のベーパーチャンバ1では、ベーパーチャンバ1を上方から見た状態、または下方から見た状態が、平面視に相当している。
図6に示すように、第1シート10は、ウィックシート30とは反対側に位置する第1シート外面10aと、ウィックシート30に対向する第1シート内面10bと、を含んでいる。上述した第2領域6において、第1シート外面10aに、上述したハウジング部材Haが接する。第1シート内面10bに、ウィックシート30の後述する第1本体面30aが接している。図6および図7に示すように、第1シート10は、実質的に平坦状に形成されていてもよい。第1シート10は、実質的に一定の厚さを有していてもよい。
図7に示すように、第1シート10の四隅に、アライメント孔12が形成されていてもよい。図7には、アライメント孔12の平面形状が円形である例が示されているが、これに限られることはない。アライメント孔12は、第1シート10を貫通していてもよい。
図6に示すように、第2シート20は、ウィックシート30に対向する第2シート内面20aと、ウィックシート30とは反対側に位置する第2シート外面20bと、を含んでいる。上述した第1領域5において、第2シート外面20bに、上述した電子デバイスDが接する。第2シート内面20aに、ウィックシート30の後述する第2本体面30bが接している。図6および図8に示すように、第2シート20は、実質的に平坦状に形成されていてもよい。第2シート20は、実質的に一定の厚さを有していてもよい。
図8に示すように、第2シート20の四隅に、アライメント孔22が形成されていてもよい。図8には、アライメント孔22の平面形状が円形である例が示されているが、これに限られることはない。アライメント孔22は、第2シート20を貫通していてもよい。
図5に示すように、ウィックシート30は、第1本体面30aと、第1本体面30aとは反対側に位置する第2本体面30bと、を有している。第1本体面30aに、第1シート10の第1シート内面10bが接している。第2本体面30bに、第2シート20の第2シート内面20aが接している。
第1シート10の第1シート内面10bとウィックシート30の第1本体面30aとは、拡散接合されていてもよい。第1シート内面10bと第1本体面30aとは、互いに恒久的に接合されていてもよい。
同様に、第2シート20の第2シート内面20aとウィックシート30の第2本体面30bとは、拡散接合されていてもよい。第2シート内面20aと第2本体面30bとは、互いに恒久的に接合されていてもよい。
なお、「恒久的に接合」という用語は、厳密な意味に縛られることはなく、ベーパーチャンバ1の動作時に、密封空間3の密封性を維持可能な程度に接合されていることを意味する用語として用いている。
図5、図9および図10に示すように、本実施の形態によるウィックシート30は、枠体部32と、複数の第1ランド部33と、を含んでいる。枠体部32は、蒸気流路部50を画定しており、平面視においてX方向およびY方向に沿って矩形枠形状に形成されている。第1ランド部33は、蒸気流路部50内に位置しており、平面視において枠体部32の内側に位置している。枠体部32および第1ランド部33は、後述するエッチング工程においてエッチングされることなく、ウィックシート30の材料が残る部分である。枠体部32と隣り合う第1ランド部33との間に、作動蒸気2aが流れる後述の第1蒸気通路51が形成されている。互いに隣り合う第1ランド部33の間に、作動蒸気2aが流れる後述の第2蒸気通路52が形成されている。
第1ランド部33は、平面視において、X方向を長手方向として細長状に延びていてもよい。第1ランド部33の平面形状は、細長の矩形形状になっていてもよい。X方向は、第1方向の一例であり、図9および図10における左右方向に相当する。また、各第1ランド部33は、Y方向において等間隔に離間して配置されていてもよい。Y方向は、第2方向の一例であり、平面視でX方向に直交する方向である。Y方向は、図9および図10における上下方向に相当する。各第1ランド部33は、互いに平行に位置していてもよい。X方向およびY方向のそれぞれに直交する方向をZ方向とする。Z方向は、図6および図11における上下方向に相当しており、厚さ方向に相当している。
図11に示すように、第1ランド部33の幅w1は、例えば、100μm~1500μmであってもよい。ここで、第1ランド部33の幅w1は、Y方向における第1ランド部33の寸法である。幅w1は、ウィックシート30のZ方向において、後述する貫通部34が存在する位置における寸法を意味している。
ここで、図4に示すベーパーチャンバ1の第1領域5および第2領域6におけるX方向は、第1ランド部33の長手方向に沿う方向に相当する。第1領域5におけるX方向は、図4の上下方向に相当する。図4に示すベーパーチャンバ1の第1領域5および第2領域6におけるY方向は、第1ランド部33が並んでいる方向に相当する。Z方向は、図4に示すベーパーチャンバ1の第1領域5および第2領域6において、ベーパーチャンバ1に直交する方向に相当する。第2領域6におけるZ方向は、図4の上下方向に相当する。
枠体部32および各第1ランド部33は、第1シート10に拡散接合されるとともに、第2シート20に拡散接合されている。このことにより、ベーパーチャンバ1の機械的強度を向上させている。後述する第1蒸気流路凹部53の壁面53aおよび第2蒸気流路凹部54の壁面54aは、第1ランド部33の側壁を構成している。ウィックシート30の第1本体面30aおよび第2本体面30bは、枠体部32および各第1ランド部33にわたって、平坦状に形成されていてもよい。
図9および図10に示すように、ウィックシート30の四隅に、アライメント孔35が形成されていてもよい。図9および図10には、アライメント孔35の平面形状が円形である例が示されているが、これに限られることはない。また、アライメント孔35は、ウィックシート30を貫通していてもよい。
図6に示すように、蒸気流路部50は、ウィックシート30の第1本体面30aに設けられていてもよい。蒸気流路部50は、空間部の一例である。蒸気流路部50は、主として、作動蒸気2aが通る流路であってもよい。蒸気流路部50に、作動液2bも通ってもよい。本実施の形態においては、蒸気流路部50は、第1本体面30aから第2本体面30bに延びていてもよく、ウィックシート30を貫通していてもよい。蒸気流路部50は、第1本体面30aにおいて第1シート10で覆われていてもよく、第2本体面30bにおいて第2シート20で覆われていてもよい。
図9および図10に示すように、本実施の形態による蒸気流路部50は、第1蒸気通路51と複数の第2蒸気通路52とを含んでいてもよい。第1蒸気通路51は、枠体部32と第1ランド部33との間に形成されている。第1蒸気通路51は、空間周縁部の一例である。第1蒸気通路51は、枠体部32の内側であって第1ランド部33の外側に連続状に形成されている。第1蒸気通路51の平面形状は、X方向およびY方向に沿って矩形枠形状になっていてもよい。第2蒸気通路52は、互いに隣り合う第1ランド部33の間に形成されている。第2蒸気通路52の平面形状は、細長の矩形形状になっていてもよい。複数の第1ランド部33によって、蒸気流路部50は、第1蒸気通路51と複数の第2蒸気通路52とに区画されている。
図6に示すように、第1蒸気通路51および第2蒸気通路52は、ウィックシート30の第1本体面30aから第2本体面30bに延びていてもよい。第1蒸気通路51および第2蒸気通路52は、第1本体面30aに設けられた第1蒸気流路凹部53と、第2本体面30bに設けられた第2蒸気流路凹部54と、を含んでいる。第1蒸気流路凹部53と第2蒸気流路凹部54とが連通している。
第1蒸気流路凹部53は、後述するエッチング工程において、ウィックシート30の第1本体面30aからエッチングされることによって形成されていてもよい。第1蒸気流路凹部53は、第1本体面30aに凹状に形成されている。第1蒸気流路凹部53は、図11に示すように、湾曲状に形成された壁面53aを有していてもよい。図11は、X方向に直交する断面を示している。この壁面53aは、第1蒸気流路凹部53を画定し、第2本体面30bに近づくにつれて、対向する壁面53aに近づくように湾曲していてもよい。第1蒸気流路凹部53は、第1蒸気通路51のうち第1シート10に比較的近い部分および第2蒸気通路52のうち第1シート10に比較的近い部分を構成している。
第1蒸気流路凹部53の幅w2は、例えば、100μm~5000μmであってもよい。第1蒸気流路凹部53の幅w2は、Y方向の寸法であって、第1本体面30aにおける第1蒸気流路凹部53の寸法である。幅w2は、第1蒸気通路51のうちX方向に延びる部分のY方向の寸法および第2蒸気通路52のY方向の寸法に相当している。幅w2は、第1蒸気通路51のうちY方向に延びる部分のX方向寸法にも相当している。
第2蒸気流路凹部54は、後述するエッチング工程において、ウィックシート30の第2本体面30bからエッチングされることによって形成されていてもよい。第2蒸気流路凹部54は、第2本体面30bに凹状に形成されている。第2蒸気流路凹部54は、図11に示すように、湾曲状に形成された壁面54aを有していてもよい。この壁面54aは、第2蒸気流路凹部54を画定し、第1本体面30aに近づくにつれて、対向する壁面54aに近づくように湾曲していてもよい。第2蒸気流路凹部54は、第1蒸気通路51のうち第2シート20に比較的近い部分および第2蒸気通路52のうち第2シート20に比較的近い部分を構成している。
第2蒸気流路凹部54の幅w3は、上述した第1蒸気流路凹部53の幅w2と同様に、例えば、100μm~5000μmであってもよい。第2蒸気流路凹部54の幅w3は、Y方向の寸法であって、第2本体面30bにおける第2蒸気流路凹部54の寸法である。幅w3は、第1蒸気通路51のうちX方向に延びる部分のY方向の寸法および第2蒸気通路52のY方向の寸法に相当している。幅w3は、第1蒸気通路51のうちY方向に延びる部分のX方向寸法にも相当している。第2蒸気流路凹部54の幅w3は、第1蒸気流路凹部53の幅w2と等しくてもよいが、異なっていてもよい。
図11に示すように、第1蒸気流路凹部53の壁面53aと、第2蒸気流路凹部54の壁面54aとが接続されて貫通部34が形成されていてもよい。本実施の形態では、第1蒸気通路51における貫通部34の平面形状は、矩形枠形状になっていてもよい。第2蒸気通路52における貫通部34の平面形状は、細長の矩形形状になっていてもよい。貫通部34は、第1蒸気流路凹部53の壁面53aと第2蒸気流路凹部54の壁面54aとが合流し、稜線によって画定されていてもよい。当該稜線は、図11に示すように、蒸気通路51、52の内側に張り出すように形成されていてもよい。この貫通部34における第1蒸気通路51の平面面積が最小になっていてもよく、貫通部34における第2蒸気通路52の平面面積が最小になっていてもよい。各蒸気通路51、52の貫通部34の幅w4は、例えば、400μm~5000μmであってもよい。ここで、貫通部34の幅w4は、Y方向において互いに隣り合う第1ランド部33の間のギャップに相当する。
Z方向における貫通部34の位置は、第1本体面30aと第2本体面30bとの中間位置であってもよい。あるいは、貫通部34の位置は、中間位置よりも第1シート10に近い位置でもよく、または中間位置よりも第2シート20に近い位置でもよい。Z方向における貫通部34の位置は任意である。
本実施の形態では、上述したように、第1蒸気通路51および第2蒸気通路52の断面形状が、内側に張り出すように形成された稜線によって画定された貫通部34を含むように形成されているが、これに限られることはない。例えば、第1蒸気通路51の断面形状および第2蒸気通路52の断面形状は、台形形状や平行四辺形形状であってもよく、あるいは樽形形状になっていてもよい。
このように構成された第1蒸気通路51および第2蒸気通路52を含む蒸気流路部50は、上述した密封空間3の一部を構成している。各蒸気通路51、52は、作動蒸気2aが通るように比較的大きな流路断面積を有している。
ここで、図11は、図面を明瞭にするために、第1蒸気通路51および第2蒸気通路52を拡大して示している。蒸気通路51、52などの個数や位置は、図5、図9および図10とは異なっている。
図示しないが、各蒸気通路51、52内に、第1ランド部33を枠体部32に支持する支持部が複数設けられていてもよい。また、互いに隣り合う第1ランド部33同士を支持する支持部が設けられていてもよい。これらの支持部は、X方向において第1ランド部33の両側に設けられていてもよく、Y方向における第1ランド部33の両側に設けられていてもよい。支持部は、蒸気流路部50を拡散する作動蒸気2aの流れを妨げないように形成されていることが好ましい。例えば、支持部は、ウィックシート30の第1本体面30aおよび第2本体面30bのうちの一方に近い位置に位置して、他方に近い位置には、蒸気流路部50をなす空間が形成されてもよい。このことにより、支持部の厚さをウィックシート30の厚さよりも薄くでき、第1蒸気通路51および第2蒸気通路52が、X方向およびY方向において分断されることを防止できる。
図5に示すように、ベーパーチャンバ1は、密封空間3に作動液2bを注入する注入部4を備えていてもよい。注入部4は、第1蒸気通路51に連通した注入流路36を含んでいる。注入部4の位置は、任意である。図9および図10に示すように、注入流路36は、第2本体面30bに凹状に形成されていてもよい。あるいは、注入流路36は、第1本体面30aに凹状に形成されていてもよい。なお、第1液流路部60の構成によっては、注入流路36は第1液流路部60に連通していてもよい。
図6、図10および図11に示すように、第1液流路部60は、第1シート10とウィックシート30との間に形成されていてもよい。本実施の形態においては、第1液流路部60は、第1ランド部33の第1本体面30aに形成されている。第1液流路部60は、主として作動液2bが通る流路であってもよい。第1液流路部60には、上述した作動蒸気2aが通ってもよい。第1液流路部60は、上述した密封空間3の一部を構成しており、蒸気流路部50に連通している。第1液流路部60は、作動液2bを蒸発領域SRに輸送するための毛細管構造として構成されている。第1液流路部60は、ウィックと称する場合もある。第1液流路部60は、各第1ランド部33の第1本体面30aの全体にわたって形成されていてもよい。図9等では図示していないが、枠体部32の第1本体面30aのうち内側部分に、第1液流路部60が形成されていてもよい。本実施の形態においては、第1ランド部33の第2本体面30bおよび枠体部32の第2本体面30bには、第1液流路部60は形成されていない。
図12に示すように、第1液流路部60は、複数の溝を含む第1溝集合体の一例である。より具体的には、第1液流路部60は、複数の主流溝61と、複数の連絡溝65と、を含んでいる。主流溝61および連絡溝65は、作動液2bが通る溝である。連絡溝65は、主流溝61と連通している。
各主流溝61は、図12に示すように、X方向に延びている。主流溝61は、主として、作動液2bが毛細管作用によって流れるように小さな流路断面積を有している。主流溝61の流路断面積は、蒸気通路51、52の流路断面積よりも小さい。主流溝61は、作動蒸気2aから凝縮した作動液2bを蒸発領域SRに輸送するように構成されている。各主流溝61は、X方向に直交するY方向に沿って、等間隔に離間していてもよい。各主流溝61は、互いに平行に位置していてもよい。
主流溝61は、後述するエッチング工程において、ウィックシート30の第1本体面30aからエッチングされることによって形成される。このことにより、主流溝61は、図11に示すように、湾曲状に形成された壁面62を有していてもよい。この壁面62は、主流溝61を画定し、第2本体面30bに向かって膨らむような形状で湾曲していてもよい。
図11および図12に示すように、主流溝61の幅w5は、第1蒸気流路凹部53の幅w2よりも小さくてもよい。主流溝61の幅w5は、第1ランド部33の幅w1よりも小さくてもよい。主流溝61の幅w5は、例えば、5μm~400μmであってもよい。幅w5は、第1本体面30aにおける主流溝61の寸法を意味している。図11および図12においては、幅w5は、主流溝61のY方向寸法に相当している。主流溝61の深さh1は、例えば、3μm~300μmであってもよい。深さh1は、主流溝61のZ方向寸法に相当している。
図12に示すように、各連絡溝65は、X方向とは異なる方向に延びている。本実施の形態においては、各連絡溝65は、Y方向に延びており、主流溝61に垂直に形成されている。いくつかの連絡溝65は、互いに隣り合う主流溝61同士を連通している。他の連絡溝65は、第1蒸気通路51または第2蒸気通路52と主流溝61とを連通している。すなわち、当該連絡溝65は、Y方向における第1ランド部33の側縁33aから当該側縁33aに隣り合う主流溝61に延びている。このようにして、第1蒸気通路51が主流溝61に連通しているとともに、第2蒸気通路52が主流溝61に連通している。
連絡溝65は、主として、作動液2bが毛細管作用によって流れるように、小さな流路断面積を有している。連絡溝65の流路断面積は、蒸気通路51、52の流路断面積よりも小さい。連絡溝65は、X方向に沿って、等間隔に離間している。各連絡溝65は、互いに平行に位置していてもよい。
連絡溝65も、主流溝61と同様に、後述するエッチングによって形成される。このことにより、連絡溝65は、主流溝61と同様の湾曲状に形成された壁面(図示せず)を有していてもよい。連絡溝65の幅w6は、第1蒸気流路凹部53の幅w2よりも小さくてもよい。連絡溝65の幅w6は、第1ランド部33の幅w1よりも小さくてもよい。図12に示すように、連絡溝65の幅w6は、主流溝61の幅w5と等しくてもよい。しかしながら、幅w6は、幅w5よりも大きくてもよく、あるいは小さくてもよい。幅w6は、第1本体面30aにおける連絡溝65の寸法を意味している。図12においては、幅w6は、連絡溝65のX方向寸法に相当している。連絡溝65の深さは、主流溝61の深さh1と等しくてもよい。しかしながら、連絡溝65の深さは、深さh1よりも深くてもよく、あるいは浅くてもよい。
図12に示すように、第1液流路部60は、凸部列63を有している。凸部列63は、ウィックシート30の第1本体面30aに設けられている。凸部列63は、互いに隣り合う主流溝61の間に設けられている。各凸部列63は、X方向に配列された複数の凸部64を含んでいる。凸部64は、第1シート10に当接している。各凸部64は、図12に示すように、平面視において、X方向が長手方向となるように矩形形状に形成されている。Y方向において互いに隣り合う凸部64の間に、主流溝61が介在されている。X方向において互いに隣り合う凸部64の間に、連絡溝65が介在されている。
凸部64は、後述するエッチング工程においてエッチングされることなく、ウィックシート30の材料が残る部分である。本実施の形態では、図12に示すように、凸部64の平面形状が、矩形形状になっている。より具体的には、凸部64の平面形状とは、第1本体面30aの位置における平面形状に相当している。
本実施の形態においては、凸部64は、千鳥状に位置している。より具体的には、Y方向において互いに隣り合う凸部列63の凸部64が、X方向において互いにずれた位置に位置している。このずれ量は、X方向における凸部64の配列ピッチの半分であってもよい。凸部64の幅w7は、例えば、5μm~500μmであってもよい。幅w7は、第1本体面30aにおける凸部64の寸法を意味している。図12においては、幅w7は、凸部64のY方向寸法に相当している。なお、凸部64の位置は、千鳥状であることに限られることはなく、並列配列されていてもよい。この場合、Y方向において互いに隣り合う凸部列63の各凸部64が、X方向に同じ位置に位置する。
ところで、第1シート10、第2シート20およびウィックシート30を構成する材料は、ベーパーチャンバ1としての放熱効率を確保できる程度に熱伝導率が良好な材料であれば、特に限られることはない。例えば、各シート10、20、30は、金属材料で構成されていてもよい。例えば、各シート10、20、30は、銅または銅合金を含んでいてもよい。銅および銅合金は、良好な熱伝導率と、作動流体として純水を使用する場合の耐腐食性と、を有している。銅の例としては、純銅および無酸素銅(C1020)等が挙げられる。銅合金の例としては、錫を含む銅合金、チタンを含む銅合金(C1990等)、並びに、ニッケル、シリコンおよびマグネシウムを含む銅合金であるコルソン系銅合金(C7025等)などが挙げられる。錫を含む銅合金は、例えば、りん青銅(C5210等)である。
第1シート10、第2シート20およびウィックシート30を構成する材料は、熱伝導率が良好な材料であれば特に限られることはない。各シート10、20、30は、例えば、銅または銅合金を含んでいてもよい。この場合、各シート10、20、30の熱伝導率を高めることができ、ベーパーチャンバ1の放熱効率を高めることができる。また、作動流体2a、2bとして純水を使用する場合には、腐食することを防止できる。なお、所望の放熱効率を得るとともに腐食を防止できれば、これらのシート10、20、30には、アルミニウムまたはチタン等の他の金属材料や、ステンレスなどの他の金属合金材料を用いてもよい。
図5に示すベーパーチャンバ1の厚さt1は、例えば、100μm~500μmであってもよい。ベーパーチャンバ1の厚さt1を100μm以上にすることにより、蒸気流路部50を適切に確保できる。このため、ベーパーチャンバ1は、適切に機能できる。一方、厚さt1を500μm以下にすることにより、ベーパーチャンバ1の厚さt1が厚くなることを抑制できる。このため、ベーパーチャンバ1を薄くできる。
ウィックシート30の厚さは、第1シート10の厚さよりも厚くてもよい。同様に、ウィックシート30の厚さは、第2シート20の厚さよりも厚くてもよい。本実施の形態においては、第1シート10の厚さと第2シート20の厚さが等しい例を示している。しかしながら、このことに限られることはなく、第1シート10の厚さと第2シート20の厚さは、異なっていてもよい。
第1シート10の厚さt2は、例えば、6μm~100μmであってもよい。第1シート10の厚さt2を6μm以上にすることにより、第1シート10の機械的強度および長期信頼性を確保できる。一方、第1シート10の厚さt2を100μm以下にすることにより、ベーパーチャンバ1の厚さt1が厚くなることを抑制できる。第2シート20の厚さt3は、第1シート10の厚さt2と同様に設定されていてもよい。
ウィックシート30の厚さt4は、例えば、50μm~400μmであってもよい。ウィックシート30の厚さt4を50μm以上にすることにより、蒸気流路部50を適切に確保できる。このため、ベーパーチャンバ1は、適切に機能できる。一方、400μm以下にすることにより、ベーパーチャンバ1の厚さt1が厚くなることを抑制できる。このため、ベーパーチャンバ1を薄くできる。なお、ウィックシート30の厚さt4は、第1本体面30aと第2本体面30bとの距離であってもよい。
上述したように、本実施の形態によるベーパーチャンバ1は、第1領域5と、第2領域6と、屈曲領域7と、に区分けされている。屈曲領域7において、ベーパーチャンバ1は、平面視でX方向に交差する方向に延びる屈曲線8に沿って屈曲している。図4および図5に示すように、本実施の形態による屈曲線8は、平面視でY方向に延びている。Y方向は、平面視でX方向に直交する方向である。屈曲線8は、枠体部32、第1ランド部33、第1蒸気通路51および第2蒸気通路52を横切っている。このことにより、第1シート10が各蒸気通路51、52に入り込むような変形を抑制できるとともに、第2シート20が各蒸気通路51、52に入り込むような変形を抑制できる。第1蒸気通路51および第2蒸気通路52の流路断面積を確保できる。
第1領域5、第2領域6および屈曲領域7は、屈曲線8に沿った境界線で区分けされてもよい。図4および図5に示すように、各領域5、6、7は、平面視でY方向に延びる境界線で区分けされてもよい。屈曲領域7は、屈曲線8を含む、一定の幅を持った領域である。屈曲領域7は、屈曲によってベーパーチャンバ1に変形が生じる部分で構成される。第1領域5および第2領域6は、屈曲領域7以外の他の領域に相当する。すなわち、第1領域5および第2領域6は、屈曲されていない領域である。図4および図5に示すように、第1領域5および第2領域6は、屈曲されることなく、XY平面上に広がる領域であってもよい。第1領域5および第2領域6は、屈曲したベーパーチャンバ1の変形が生じていない部分で構成されてもよい。
第1領域5および第2領域6は、屈曲領域7によって隔てられた2つの領域であってもよい。第1領域5は、屈曲線8に直交する方向(図示された例においてはX方向)において屈曲領域7よりも一側(図5における左側)に位置する領域であってもよい。第1領域5は、屈曲領域7の一側において屈曲領域7と隣り合う領域であってもよい。第2領域6は、屈曲線8に直交する方向において屈曲領域7よりも他側(図5における右側)に位置する領域であってもよい。第2領域6は、屈曲領域7の他側において屈曲領域7と隣り合う領域であってもよい。
図示された例においては、第1領域5は、屈曲領域7との境界線からベーパーチャンバ1のX方向における一側(図5における左側)の端部まで広がっており、第2領域6は、屈曲領域7との境界線からベーパーチャンバ1のX方向における他側(図5における右側)の端部まで広がっているが、これに限られることはない。例えば、第1領域5は、ベーパーチャンバ1のX方向における一側の端部まで広がっていなくてもよく、第2領域6も、ベーパーチャンバ1のX方向における他側の端部まで広がっていなくてもよい。
ベーパーチャンバ1は、図13に示すように屈曲している。屈曲領域7において、第1シート10は、屈曲の中心Oに対して、ウィックシート30よりも外側に位置している。第2シート20は、屈曲の中心Oに対して、ウィックシート30よりも内側に位置している。
各蒸気通路51、52は、図13に示すように、屈曲領域7に位置する通路屈曲部57を含んでいてもよい。図13には、通路屈曲部57の一例が示されている。図13では、Y方向に沿って見たときの通路屈曲部57の形状が、1/4の円弧をなしているが、これに限られることはない。通路屈曲部57は、上述した第1蒸気流路凹部53および第2蒸気流路凹部54を含んでいてもよい。
図11、図13および図14に示すように、上述した第1シート10の第1シート外面10aは、複数の第1接合領域13と、第1蒸気流路領域14と、を含んでいてもよい。第1接合領域13の各々は、平面視で、対応する第1ランド部33に重なる領域である。第1接合領域13は、ウィックシート30の第1ランド部33に接合された部分である。第1蒸気流路領域14は、第1空間領域の一例である。第1蒸気流路領域14は、平面視で、蒸気流路部50に重なる領域である。第1蒸気流路領域14は、ウィックシート30に接合されていない部分である。第1蒸気流路領域14の流路断面は、蒸気流路部50に向かって内側に凹むように凹状に形成されていてもよい。第1蒸気流路領域14は、湾曲状に形成されていてもよい。
第1シート外面10aの第1蒸気流路領域14は、第1領域5、第2領域6および屈曲領域7のそれぞれにおいて、凹状に形成されていてもよい。より具体的には、第1領域5および第2領域6のそれぞれにおいて、図11に示すように、第1蒸気流路領域14が、凹状に形成されていてもよい。図11は、図13のB-B線断面図である。屈曲領域7において、図14に示すように、第1蒸気流路領域14が、凹状に形成されていてもよい。図14は、図13のC-C線断面図である。第1シート外面10aの全域にわたって、第1蒸気流路領域14は、凹状に形成されていてもよい。
図11および図14に示すように、第1シート10は、平面視で第1蒸気流路領域14に重なる第1シート凹部15を含んでいてもよい。第1シート凹部15は、第1蒸気流路凹部53に入り込んでいる。
屈曲時、第1シート10のうち第1接合領域13の部分は、第1ランド部33に接合されているため、当該部分は第1ランド部33に沿って変形する。一方、第1シート10のうち第1蒸気流路領域14の部分は、蒸気流路部50の各蒸気通路51、52を覆っているため、第1接合領域13の部分より伸び難い。このため、第1蒸気流路領域14の部分の伸びは少ない。図14に示すように、第1シート凹部15が内側に変位して、第1蒸気流路凹部53に入り込む。
屈曲領域7における第1蒸気流路領域14の凹み寸法は、第1領域5および第2領域6における第1蒸気流路領域14の凹み寸法よりも大きくなっている。図13に示すように、屈曲線8に平行な方向に沿って見たときに、屈曲領域7における最大寸法d2は、第1領域5および第2領域6における最大寸法d1よりも大きい。最大寸法d1は、第1領域5および第2領域6における第1接合領域13と第1蒸気流路領域14との間で画定される寸法であって、第1シート10の厚さ方向の寸法である。第1シート10の厚さ方向は、Z方向に相当する。最大寸法d2は、屈曲領域7における第1接合領域13と第1蒸気流路領域14との間で画定される寸法であって、第1シート10の厚さ方向の寸法である。図13は、屈曲線8に平行な方向に、言い換えるとY方向に沿って見た図である。第1接合領域13と第1蒸気流路領域14との間で画定される最大寸法d1、d2であって、第1シート10の厚さ方向の最大寸法d1、d2を、第1最大寸法d3、d4とも称する。なお、屈曲領域7における最大寸法d2が第1領域5および第2領域6における最大寸法d1よりも大きいとは、屈曲領域7のある一の位置における最大寸法d2が第1領域5および第2領域6のある一の位置における最大寸法d1よりも大きければよく、屈曲領域7のすべての位置における最大寸法d2が第1領域5および第2領域6のすべての位置における最大寸法d1よりも大きいことまでは要さない。
図11に、第1領域5および第2領域6におけるX方向に直交するベーパーチャンバ1の断面が示されている。本実施の形態においては、第1領域5および第2領域6のそれぞれにおいて、第1蒸気流路領域14は凹んでいる。第1接合領域13は、X方向およびY方向のそれぞれにおいて平坦状に形成されている。上述した寸法d1は、凹みの深さ寸法であってもよい。寸法d1は、第1蒸気流路領域14のうち最も凹んでいる位置と、当該位置の法線方向で見たときに当該位置と重なってY方向に延びる第1接合領域13上の直線との間の距離であってもよい。すなわち、寸法d1は、第1蒸気流路領域14のうち最も凹んでいる位置と、第1接合領域13の平坦な部分の位置との間のZ方向における距離であってもよい。寸法d1は、第1領域5および第2領域6のそれぞれから得られてもよい。第1領域5における寸法d1と、第2領域6における寸法d1は、等しくてもよいが、異なっていてもよい。
図14に、屈曲領域7におけるX方向に直交するベーパーチャンバ1の断面が示されている。本実施の形態においては、屈曲領域7における第1蒸気流路領域14は凹んでいる。屈曲領域7における第1接合領域13は、Y方向において平坦状に形成されている。上述した寸法d2は、凹みの深さ寸法であってもよい。寸法d2は、第1蒸気流路領域14のうち最も凹んでいる位置と、当該位置の法線方向で見たときに当該位置と重なってY方向に延びる第1接合領域13上の直線との間の距離であってもよい。すなわち、寸法d2は、第1蒸気流路領域14のうち最も凹んでいる位置と、第1接合領域13の平坦な部分の位置との間のZ方向における距離であってもよい。図14は、図13のC-C線断面図であり、第1蒸気流路領域14が最も凹んでいる位置における断面図である。図14は、第1領域5と屈曲領域7との境界から屈曲の中心Oに対して45°回転変位した位置における断面を示している。しかしながら、第1蒸気流路領域14が最も凹む位置は、これに限られることはない。
図14に示す第1蒸気流路領域14は、図11に示す第1蒸気流路領域14よりも大きく凹んでいる。このため、寸法d2は、寸法d1よりも大きくなっている。屈曲領域7における第1シート凹部15は、第1蒸気流路凹部53に、第1領域5および第2領域6における第1シート凹部15よりも深く入り込んでいる。
図11および図14に示すように、第1シート凹部15における第1シート内面10bと第1蒸気流路凹部53の壁面53aとにより、蒸気流路断面の一部を構成する流路角部55が画定されている。流路角部55は、楔状に形成されていてもよい。
図11に示すように、第1領域5および第2領域6のそれぞれにおいて、第1シート内面10bと壁面53aとがなす角度をα1としてもよい。α1は、鋭角になっていてもよい。角度α1は、第1シート内面10bと壁面53aとの交点において第1シート内面10bの接線と壁面53aの接線とにより画定されてもよい。
図14に示すように、屈曲領域7において、第1シート内面10bと壁面53aとがなす角度をα2としてもよい。α2は、α1と同様に画定されてもよい。
図14に示す角度α2は、図11に示す角度α1よりも小さくなっていてもよい。図14に示す第1蒸気流路領域14が、図11に示す第1蒸気流路領域14よりも大きく凹んでいるためである。この場合、図14に示す流路角部55の毛細管作用は、図11に示す流路角部55の毛細管作用よりも、強くなっていてもよい。
第1蒸気流路領域14は、第1領域5、第2領域6および屈曲領域7のそれぞれにおいて、第1ランド部33と同様にX方向に延びていてもよい。第1シート凹部15および流路角部55も、同様にX方向に延びていてもよい。
図11、図13および図14に示すように、上述した第2シート20の第2シート外面20bは、複数の第2接合領域23と、第2蒸気流路領域24と、を含んでいてもよい。第2接合領域23の各々は、平面視で、対応する第1ランド部33に重なる領域である。第2接合領域23は、ウィックシート30の第1ランド部33に接合された部分である。第2蒸気流路領域24は、第2空間領域の一例である。第2蒸気流路領域24は、平面視で、蒸気流路部50に重なる領域である。第2蒸気流路領域24は、ウィックシート30に接合されていない部分である。第2蒸気流路領域24の流路断面は、蒸気流路部50に向かって内側に凹むように凹状に形成されていてもよい。第2蒸気流路領域24は、湾曲状に形成されていてもよい。
第2シート外面20bの第2蒸気流路領域24は、第1領域5、第2領域6および屈曲領域7のそれぞれにおいて、凹状に形成されていてもよい。より具体的には、第1領域5および第2領域6のそれぞれにおいて、図11に示すように、第2蒸気流路領域24が、凹状に形成されていてもよい。屈曲領域7において、図14に示すように、第2蒸気流路領域24が、凹状に形成されていてもよい。第2シート外面20bの全域にわたって、第2蒸気流路領域24は、凹状に形成されていてもよい。
図11および図14に示すように、第2シート20は、平面視で第2蒸気流路領域24に重なる第2シート凹部25を含んでいてもよい。第2シート凹部25は、第2蒸気流路凹部54に入り込んでいる。
屈曲時、第2シート20のうち第2接合領域23の部分は、第1ランド部33に接合されているため、当該部分は第1ランド部33に沿って変形する。一方、第2蒸気流路領域24の部分は、蒸気流路部50の各蒸気通路51、52を覆っているため、縮みやすい。第2シート20は内側に位置するため、第2シート20の第2シート外面20bに、図示しない治具が当接する。このため、第2蒸気流路領域24は、内側への変位が規制される。図13に示すように、第2シート凹部25が外側に変位して、第2蒸気流路凹部54に入り込む。
屈曲領域7における第2蒸気流路領域24の凹み寸法は、第1領域5および第2領域6における第2蒸気流路領域24の凹み寸法よりも大きくなっている。図13に示すように、屈曲線8に平行な方向に沿って見たときに、屈曲領域7における最大寸法d4は、第1領域5および第2領域6における最大寸法d3よりも大きい。最大寸法d3は、第1領域5および第2領域6における第2接合領域23と第2蒸気流路領域24との間で画定される寸法であって、第2シート20の厚さ方向の寸法である。第2シート20の厚さ方向は、Z方向に相当する。最大寸法d4は、屈曲領域7における第2接合領域23と第2蒸気流路領域24との間で画定される寸法であって、第2シート20の厚さ方向の寸法である。第2接合領域23と第2蒸気流路領域24との間で画定される最大寸法d3、d4であって、第2シート20の厚さ方向の最大寸法d3、d4を、第2最大寸法d3、d4とも称する。なお、屈曲領域7における最大寸法d4が第1領域5および第2領域6における最大寸法d3よりも大きいとは、屈曲領域7のある一の位置における最大寸法d4が第1領域5および第2領域6のある一の位置における最大寸法d3よりも大きければよく、屈曲領域7のすべての位置における最大寸法d4が第1領域5および第2領域6のすべての位置における最大寸法d3よりも大きいことまでは要さない。
本実施の形態においては、第1領域5および第2領域6のそれぞれにおいて、第2蒸気流路領域24は凹んでいる。第2接合領域23は、X方向およびY方向のそれぞれにおいて平坦状に形成されている。上述した寸法d3は、凹みの深さ寸法であってもよい。寸法d3は、第2蒸気流路領域24のうち最も凹んでいる位置と、当該位置の法線方向で見たときに当該位置と重なってY方向に延びる第2接合領域23上の直線との間の距離であってもよい。すなわち、寸法d3は、第2蒸気流路領域24のうち最も凹んでいる位置と、第2接合領域23の平坦な部分の位置との間のZ方向における距離であってもよい。寸法d3は、第1領域5および第2領域6のそれぞれから得られてもよい。第1領域5における寸法d3と、第2領域6における寸法d3は、等しくてもよいが、異なっていてもよい。
本実施の形態においては、屈曲領域7における第2蒸気流路領域24は凹んでいる。屈曲領域7における第2接合領域23は、Y方向において平坦状に形成されている。上述した寸法d4は、凹みの深さ寸法であってもよい。寸法d4は、第2蒸気流路領域24のうち最も凹んでいる位置と、当該位置の法線方向で見たときに当該位置と重なってY方向に延びる第2接合領域23上の直線との間の距離であってもよい。すなわち、寸法d4は、第2蒸気流路領域24のうち最も凹んでいる位置と、第2接合領域23の平坦な部分の位置との間のZ方向における距離であってもよい。図14は、第2蒸気流路領域24が最も凹んでいる位置における断面図であるが、第2蒸気流路領域24が最も凹む位置は、第1蒸気流路領域14と同様に、これに限られることはない。
図14に示す第2蒸気流路領域24は、図11に示す第2蒸気流路領域24よりも大きく凹んでいる。このため、寸法d4は、寸法d3よりも大きくなっている。屈曲領域7における第2シート凹部25は、第2蒸気流路凹部54に、第1領域5および第2領域6における第2シート凹部25よりも深く入り込んでいる。
図11および図14に示すように、第2シート凹部25における第2シート内面20aと第2蒸気流路凹部54の壁面54aとにより、蒸気流路断面の一部を構成する流路角部56が画定されている。流路角部56は、楔状に形成されていてもよい。
図11に示すように、第1領域5および第2領域6のそれぞれにおいて、第2シート内面20aと壁面54aとがなす角度をβ1としてもよい。β1は、鋭角になっていてもよい。角度β1は、第2シート内面20aと壁面54aとの交点において第2シート内面20aの接線と壁面54aの接線とにより画定されてもよい。
図14に示すように、屈曲領域7において、第2シート内面20aと壁面53aとがなす角度をβ2としてもよい。β2は、β1と同様に画定されてもよい。
図14に示す角度β2は、図11に示す角度β1よりも小さくなっていてもよい。図14に示す第2蒸気流路領域24が、図11に示す第2蒸気流路領域24よりも大きく凹んでいるためである。この場合、図14に示す流路角部56の毛細管作用は、図11に示す流路角部56の毛細管作用よりも、強くなっていてもよい。
第2蒸気流路領域24は、第1領域5、第2領域6および屈曲領域7のそれぞれにおいて、第1ランド部33と同様にX方向に延びていてもよい。第2シート凹部25および流路角部56も、同様にX方向に延びていてもよい。
上述したように、第1シート10および第2シート20は、ウィックシート30よりも薄くてもよい。この場合、第1シート10のうち蒸気流路部50に重なる部分に応力を与えることにより歪を残すことができるとともに、第2シート20のうち蒸気流路部50に重なる部分に応力を与えることにより歪みを残すことができる。このような歪により、屈曲前であっても、第1領域5、第2領域6および屈曲領域7において、第1蒸気流路領域14および第2蒸気流路領域24を凹状に形成できる。例えば、第1シート10および第2シート20は、加熱して軟化している間に応力を与えることにより歪みをより一層残しやすく、または加熱して軟化した後に応力を与えることにより歪みをより一層残しやすい。このことにより、第1蒸気流路領域14および第2蒸気流路領域24を凹状に形成できる。しかしながら、後述するように、屈曲前の第1蒸気流路領域14は、第1領域5、第2領域6および屈曲領域7において、平坦状に形成されていてもよい。同様に、屈曲前の第2蒸気流路領域24は、第1領域5、第2領域6および屈曲領域7において、平坦状に形成されていてもよい。
次に、このような構成からなる本実施の形態のベーパーチャンバ1の製造方法について説明する。
まず、準備工程として、第1シート10、第2シート20およびウィックシート30を準備する。準備工程は、ウィックシート30をエッチングにより形成するエッチング工程を含んでいてもよい。エッチング工程において、ウィックシート30は、フォトリソグラフィー技術によるパターン状のレジスト膜(図示せず)を用いて、エッチングによって形成されてもよい。
仮止め工程として、第1シート10、ウィックシート30および第2シート20が仮止めされる。例えば、各シート10、20、30は、スポット溶接またはレーザ溶接で仮止めされてもよい。この際、上述したアライメント孔12、22、35を用いて、各シート10、20、30が位置合わせされてもよい。
次に、接合工程として、第1シート10と、ウィックシート30と、第2シート20とが、恒久的に接合される。各シート10、20、30は、拡散接合によって接合されてもよい。
接合工程の後、注入工程として、密封空間3が真空引きされるとともに、注入部4(図5参照)から密封空間3に作動液2bが注入される。
注入工程の後、封止工程として、上述した注入流路36が封止される。このことにより、密封空間3と外部との連通が遮断され、密封空間3が密封される。作動液2bが封入された密封空間3が得られ、密封空間3内の作動液2bが外部に漏洩することが防止される。
封止工程の後、屈曲工程として、第1シート10、第2シート20およびウィックシート30が屈曲されてもよい。例えば、図5に示すようなY方向に延びる屈曲線8に沿って、各シート10、20、30が屈曲される。この際、屈曲の内側となる第2シート20の第2シート外面20bに、図示しない治具を当接する。X方向における各シート10、20、30のX方向における両端部が把持されて、各シート10、20、30が所望の角度で屈曲される。このことにより、図4に示す屈曲されたベーパーチャンバ1が得られ、ベーパーチャンバ1が第1領域5と第2領域6と屈曲領域7とに区分けされる。なお、屈曲工程は、接合工程と注入工程との間に行ってもよい。
以上のようにして、本実施の形態によるベーパーチャンバ1が得られる。
次に、ベーパーチャンバ1の作動方法、すなわち、電子デバイスDの冷却方法について説明する。
上述のようにして得られたベーパーチャンバ1は、モバイル端末等のハウジングH内に設置される。そして、第1領域5において、第1シート10の第1シート外面10aが、ハウジング部材Haと接する。第2領域6において、第2シート20の第2シート外面20bが、電子デバイスDと接する。密封空間3内の作動液2bは、その表面張力によって、密封空間3の壁面に付着する。より具体的には、作動液2bは、第1蒸気流路凹部53の壁面53a、第2蒸気流路凹部54の壁面54a、第1液流路部60の主流溝61の壁面62および連絡溝65の壁面に付着する。また、作動液2bは、第1シート10の第1シート内面10bのうち第1蒸気流路凹部53に露出した部分にも付着し得る。さらに、作動液2bは、第2シート20の第2シート内面20aのうち第2蒸気流路凹部54、主流溝61および連絡溝65に露出した部分にも付着し得る。
この状態で電子デバイスDが発熱すると、蒸発領域SRに存在する作動液2bが、電子デバイスDから熱を受ける。受けた熱は潜熱として吸収されて作動液2bが蒸発し、作動蒸気2aが生成される。生成された作動蒸気2aは、密封空間3を構成する第1蒸気通路51および第2蒸気通路52内で拡散する(図9の実線矢印参照)。より具体的には、蒸気流路部50の第1蒸気通路51のうちX方向に延びる部分と、第2蒸気通路52とにおいて、作動蒸気2aは、主としてX方向に拡散する。この場合、作動蒸気2aの一部は、通路屈曲部57を通って拡散する。一方、第1蒸気通路51のうちY方向に延びる部分においては、作動蒸気2aは、主としてY方向に拡散する。
そして、各蒸気通路51、52内の作動蒸気2aは、蒸発領域SRから離れ、比較的温度の低い凝縮領域CRに輸送される。凝縮領域CRにおいて、作動蒸気2aは、主として第1シート10に放熱して冷却される。第1シート10が作動蒸気2aから受けた熱は、ハウジング部材Ha(図6参照)を介して外気に伝達される。
作動蒸気2aは、凝縮領域CRにおいて第1シート10に放熱することにより、蒸発領域SRにおいて吸収した潜熱を失う。このことにより、作動蒸気2aは凝縮し、作動液2bが生成される。生成された作動液2bは、各蒸気流路凹部53、54の壁面53a、54aおよび第1シート10の第1シート内面10bおよび第2シート20の第2シート内面20aに付着する。ここで、蒸発領域SRでは作動液2bが蒸発し続けている。このため、第1液流路部60のうち凝縮領域CRにおける作動液2bは、各主流溝61の毛細管作用により、蒸発領域SRに向かって輸送される(図9の破線矢印参照)。このことにより、各壁面53a、54a、第1シート内面10bおよび第2シート内面20aに付着した作動液2bは、第1液流路部60に移動し、連絡溝65を通って主流溝61に入り込む。このようにして、各主流溝61および各連絡溝65に、作動液2bが充填される。充填された作動液2bは、各主流溝61の毛細管作用により、蒸発領域SRに向かう推進力を得て、蒸発領域SRに向かってスムースに輸送される。図4に示すように、蒸発領域SRが、ベーパーチャンバ1の上部に位置する場合であっても、作動液2bは、毛細管作用によって輸送される。
第1液流路部60においては、各主流溝61が、対応する連絡溝65を介して、隣り合う他の主流溝61と連通している。このことにより、互いに隣り合う主流溝61同士で、作動液2bが往来し、主流溝61でドライアウトが発生することが抑制されている。このため、各主流溝61内の作動液2bに毛細管作用が付与されて、作動液2bは、蒸発領域SRに向かってスムースに輸送される。
蒸発領域SRに達した作動液2bは、電子デバイスDから再び熱を受けて蒸発する。作動液2bから蒸発した作動蒸気2aは、蒸発領域SR内の連絡溝65を通って、流路断面積が大きい第1蒸気流路凹部53および第2蒸気流路凹部54に移動する。そして、作動蒸気2aは、各蒸気流路凹部53、54内で拡散し、作動蒸気2aの一部は、通路屈曲部57を通って拡散できる。このようにして、作動流体2a、2bが、相変化、すなわち蒸発と凝縮とを繰り返しながら密封空間3内を還流する。このことにより、電子デバイスDの熱が拡散されて、放出される。この結果、電子デバイスDが冷却される。
ここで、図11および図14に示すように、第1領域5、第2領域6および屈曲領域7において、第1シート外面10aのうち第1蒸気流路領域14が凹状に形成されている。第1蒸気流路凹部53内に毛細管作用を有する上述した流路角部55が画定されている。このため、流路角部55の存在によって、蒸気流路部50内で凝縮した作動液2bが蒸発領域SRに向かって輸送される。
より詳細には、図13に示すように、屈曲線8に平行な方向に沿って見たときに、屈曲領域7における最大寸法d2(第1最大寸法d2)が、第1領域5および第2領域6における最大寸法d1(第1最大寸法d1)よりも大きくなっている。このことにより、屈曲領域7における流路角部55の毛細管作用が、第1領域5および第2領域6における流路角部55の毛細管作用よりも強くなっている。
同様に、第1領域5、第2領域6および屈曲領域7において、第2シート外面20bのうち第2蒸気流路領域24が凹状に形成されている。第2蒸気流路凹部54内に毛細管作用を有する上述した流路角部56が画定されている。このため、流路角部56の存在によって、蒸気流路部50内で凝縮した作動液2bが蒸発領域SRに向かって輸送される。
より詳細には、屈曲線8に平行な方向に沿って見たときに、屈曲領域7における最大寸法d4(第2最大寸法d4)が、第1領域5および第2領域6における最大寸法d3(第2最大寸法d3)よりも大きくなっている。このことにより、屈曲領域7における流路角部56の毛細管作用が、第1領域5および第2領域6における流路角部55の毛細管作用よりも強くなっている。
通路屈曲部57の外側においては、作動蒸気2aは、第1シート内面10bに衝突しやすくなる。衝突した作動蒸気2aは、凝縮されて作動液2bになり、第1シート内面10bに付着する。付着した作動液2bの一部は、上述した流路角部55の毛細管作用により、蒸発領域SRに向かって流路角部55を輸送される。また、第1シート内面10bに付着した作動液2bの他の一部は、第1液流路部60の連絡溝65を通って主流溝61に入り込む。そして、作動液2bは、各主流溝61の毛細管作用により、蒸発領域SRに向かって輸送される。このようにして、屈曲領域7における第1シート内面10bに付着した作動液2bが滞留することが抑制される。
通路屈曲部57の内側においては、作動蒸気2aの流れが、第2シート内面20aから剥離し得る。より具体的には、通路屈曲部57の出口付近において渦が形成され、作動蒸気2aが凝縮して第2シート内面20aに付着する。通路屈曲部57の出口付近は、通路屈曲部57のうち第2領域6に比較的近い部分に相当する。付着した作動液2bの一部は、上述した流路角部56の毛細管作用により、蒸発領域SRに向かって流路角部55を輸送される。このようにして、屈曲領域7における第2シート内面20aに付着した作動液2bが滞留することが抑制される。
このように本実施の形態によれば、ウィックシート30の複数の第1ランド部33が、X方向に直交するY方向に離間して配置され、屈曲領域7において、平面視でX方向に交差する方向に延びる屈曲線8に沿ってベーパーチャンバ1が屈曲されている。屈曲線8に平行な方向に沿って見たときに、屈曲領域7における最大寸法d2(第1最大寸法d2)は、屈曲領域7以外の他の領域(第1領域5および第2領域6)における最大寸法d1(第1最大寸法d1)よりも大きくなっている。このことにより、屈曲領域7において、第1シート10を、第1蒸気通路51および第2蒸気通路52に入り込ませることができ、各蒸気通路51、52に、毛細管作用を高めた流路角部55を形成できる。このため、屈曲領域7において作動蒸気2aから凝縮された作動液2bを、流路角部55の毛細管作用によって、蒸発領域SRに輸送できる。また、凝縮された作動液2bを、各蒸気通路51、52に連通した第1液流路部60に効率良く移動させることができる。このため、屈曲領域7における各蒸気通路51、52に、作動液2bが滞留することを抑制でき、作動蒸気2aの流れが作動液2bによって阻害されることを抑制できる。この結果、屈曲された場合であっても、ベーパーチャンバ1の放熱効率を向上できる。
また、最大寸法d2が大きいことにより、屈曲領域7において、第1シート10の表面積を増大させることができる。このため、ハウジング部材Haを介した外部への放熱効率を向上でき、ベーパーチャンバ1の冷却能力を高めることができる。また、屈曲領域7において作動蒸気2aの蒸気圧の増大を抑制でき、屈曲領域7と第1領域5および第2領域6との間における作動蒸気2aの蒸気圧の差を小さくすることができる。このため、作動蒸気2aをスムースに輸送できる。また、第1シート10の表面積の増大により、屈曲領域7において、粘着テープ等を介したハウジング部材Haとの密着力を増大させることができる。このため、ベーパーチャンバ1の信頼性を向上できる。
また、本実施の形態によれば、第1シート外面10aの第1蒸気流路領域14は、凹状に形成されている。このことにより、第1領域5、第2領域6および屈曲領域7のそれぞれにおいて、第1蒸気通路51および第2蒸気通路52に、毛細管作用を高めた流路角部55を形成できる。このため、作動蒸気2aから凝縮された作動液2bを、流路角部55の毛細管作用によって、蒸発領域SRに輸送できる。
また、第1蒸気流路領域14が凹状に形成されていることにより、第1シート10の表面積を増大させることができる。このため、ハウジング部材Haを介した外部への放熱効率を向上でき、ベーパーチャンバ1の冷却能力を高めることができる。また、屈曲領域7において作動蒸気2aの蒸気圧の増大を抑制でき、屈曲領域7と第1領域5および第2領域6との間における作動蒸気2aの蒸気圧の差を小さくすることができる。このため、作動蒸気2aをスムースに輸送できる。また、第1シート10の表面積の増大により、粘着テープ等を介したハウジング部材Haとの密着力を増大させることができる。このため、ベーパーチャンバ1の信頼性を向上できる。
また、本実施の形態によれば、屈曲領域7において、ベーパーチャンバ1が、Y方向に延びる屈曲線8に沿って屈曲されている。このことにより、ベーパーチャンバ1を、第1ランド部33が延びるX方向に直交する方向に沿って屈曲できる。このため、第1領域5、第2領域6および屈曲領域7において、第1接合領域13と第1蒸気流路領域14との間の最大寸法が過大になることを抑制できる。この結果、屈曲領域7における第1蒸気通路51および第2蒸気通路52の流路断面積を確保でき、屈曲領域7における作動蒸気2aの流れが阻害されることを抑制できる。
また、本実施の形態によれば、第1ランド部33の第1本体面30aに、第1液流路部60が形成されている。屈曲領域7において、第1シート10は、ウィックシート30よりも外側に位置している。このことにより、通路屈曲部57を流れる作動蒸気2aが第1シート内面10bに衝突することにより凝縮した作動液2bを、第1液流路部60に容易に誘導できる。このため、作動液2bを、蒸発領域SRに向かってスムースに輸送できる。この結果、屈曲領域7における各蒸気通路51、52に、作動液2bが滞留することを抑制でき、作動蒸気2aの流れが阻害されることを抑制できる。
また、本実施の形態によれば、屈曲線8に平行な方向に沿って見たときに、屈曲領域7における最大寸法d4(第2最大寸法d4)は、屈曲領域以外の他の領域(第1領域5および第2領域6)における最大寸法d3(第2最大寸法d3)よりも大きくなっている。このことにより、屈曲領域7において、第2シート20を、第1蒸気通路51および第2蒸気通路52に入り込ませることができ、各蒸気通路51、52に、毛細管作用を高めた流路角部56を形成できる。このため、屈曲領域7において作動蒸気2aから凝縮された作動液2bを、流路角部56の毛細管作用によって、蒸発領域SRに輸送できる。また、凝縮された作動液2bを、各蒸気通路51、52に連通した第1液流路部60に効率良く移動させることができる。この結果、屈曲領域7における各蒸気通路51、52に、作動液2bが滞留することを抑制でき、作動蒸気2aの流れが阻害されることを抑制できる。
また、屈曲領域7においては、作動蒸気2aの蒸気圧が低い屈曲の内側に作動液2bが溜まりやすくなる。このため、屈曲の内側で作動液2bを第1液流路部60に効率良く移動させることで、屈曲領域7における作動蒸気2aの流路抵抗の増大を効果的に抑制することができる。また、最大寸法d4が大きいことにより、第2シート20の内壁に沿って流れる作動蒸気2aの向きを、屈曲形状に沿って曲がりやすくすることができる。このため、作動蒸気2aをスムースに輸送できる。
なお、上述した本実施の形態においては、第1領域5、第2領域6および屈曲領域7における第1シート外面10aの第1蒸気流路領域14が、凹状に形成されている例について説明した。しかしながら、屈曲領域7における第1蒸気流路領域14が凹状に形成されるとともに、上述した最大寸法d2が、上述した最大寸法d1よりも大きければ、このことに限られることはない。
例えば、第1領域5および第2領域6の一方における第1シート外面10aの第1蒸気流路領域14は、Y方向に平坦状に形成されていてもよい。第1領域5および第2領域6の両方における第1シート外面10aの第1蒸気流路領域14は、Y方向に平坦状に形成されていてもよい。この場合、上述した最大寸法d1は、ゼロであってもよい。例えば、図11に示す第1蒸気流路領域14が平坦状に形成されている場合には、図11に示す流路角部55の毛細管力と、図14に示す流路角部55の毛細管力との差を大きくすることができる。屈曲領域7における流路角部55の毛細管作用を相対的に強めることができる。また、屈曲領域7における第1シート10の表面積を相対的に増大させることができる。このため、ハウジング部材Haを介した外部への放熱効率を向上でき、ベーパーチャンバ1の冷却能力を高めることができる。また、屈曲領域7において作動蒸気2aの蒸気圧の増大を抑制でき、屈曲領域7と第1領域5および第2領域6との間における作動蒸気2aの蒸気圧の差を小さくすることができる。このため、作動蒸気2aをスムースに輸送できる。また、第1蒸気流路領域14が平坦状に形成されていることにより、ハウジング部材Haとの間に隙間ができることを抑制でき、ハウジング部材Haと十分に密着することができる。このため、ハウジング部材Haを介した外部への放熱効率を向上できる。
同様に、第1領域5および第2領域6の一方における第2シート外面20bの第2蒸気流路領域24は、Y方向に平坦状に形成されていてもよい。第1領域5および第2領域6の両方における第2シート外面20bの第2蒸気流路領域24は、Y方向に平坦状に形成されていてもよい。この場合、上述した最大寸法d3は、ゼロであってもよい。例えば、図11に示す第2蒸気流路領域24が平坦状に形成されている場合には、図11に示す流路角部56の毛細管力と、図14に示す流路角部56の毛細管力との差を大きくすることができる。このため、屈曲領域7における流路角部56の毛細管作用を相対的に強めることができる。また、屈曲領域7における第2シート20の表面積を相対的に増大させることができる。このため、ハウジング部材Haを介した外部への放熱効率を向上でき、ベーパーチャンバ1の冷却能力を高めることができる。また、屈曲領域7において作動蒸気2aの蒸気圧の増大を抑制でき、屈曲領域7と第1領域5および第2領域6との間における作動蒸気2aの蒸気圧の差を小さくすることができる。このため、作動蒸気2aをスムースに輸送できる。また、第2蒸気流路領域24が平坦状に形成されていることにより、電子デバイスDとの間に隙間ができることを抑制でき、電子デバイスDと十分に密着することができる。このため、電子デバイスDを効率的に冷却することができる。
また、上述した本実施の形態において、屈曲領域7において、屈曲の内側に位置する第2シート20の第2蒸気流路領域24の凹み量は、屈曲の外側に位置する第1シート10の第1蒸気流路領域14の凹み量よりも小さくてもよい。すなわち、上述した最大寸法d4は、上述した最大寸法d2よりも小さくてもよい。この場合、第2蒸気流路凹部54の流路断面積の減少を抑制でき、作動蒸気2aの流路抵抗の増大を抑制できる。このため、作動蒸気2aをスムースに輸送できる。
また、上述した本実施の形態において、屈曲領域7において、屈曲の外側に位置する第1シート10の第1蒸気流路領域14の凹み量は、屈曲の内側に位置する第2シート20の第2蒸気流路領域24の凹み量よりも小さくてもよい。すなわち、上述した最大寸法d2は、上述した最大寸法d4よりも小さくてもよい。上述した最大寸法d2は、ゼロであってもよい。この場合、第1蒸気流路凹部53の流路断面積の減少を抑制でき、作動蒸気2aの流路抵抗の増大を抑制できる。このため、作動蒸気2aをスムースに輸送できる。
また、上述した本実施の形態において、屈曲領域7において、第1液流路部60が位置する側の第1シート10の第1蒸気流路領域14の凹み量は、第1液流路部60が位置しない側の第2シート20の第2蒸気流路領域24の凹み量よりも大きくてもよい。この場合、各蒸気通路51、52と第1液流路部60との間に、毛細管作用を高めた流路角部55を形成できる。このため、屈曲領域7において作動蒸気2aから凝縮された作動液2bを、第1液流路部60に効率良く移動させることができる。
また、上述した本実施の形態において、屈曲領域7において、蒸気流路部50の幅方向端部における各シート10、20の蒸気流路領域14、24の凹み量は、蒸気流路部50の幅方向中央部における各シート10、20の蒸気流路領域14、24の凹み量よりも小さくてもよい。例えば、図5に示すベーパーチャンバ1のY方向中央部の第2蒸気通路52においては、図14に示すように、第1シート10は、屈曲領域7における最大寸法d2を有し、第2シート20は、屈曲領域7における最大寸法d4を有していてもよい。また、図5に示すベーパーチャンバ1のY方向端部の第1蒸気通路51においては、図15に示すように、第1シート10は、屈曲領域7における最大寸法d2’を有し、第2シート20は、屈曲領域7における最大寸法d4’を有していてもよい。ここで、最大寸法d2’は、最大寸法d2よりも小さくてもよい。また、最大寸法d4’は、最大寸法d4よりも小さくてもよい。この場合、蒸気流路部50の幅方向端部において、作動蒸気2aの流路抵抗の増大を抑制でき、作動蒸気2aをスムースに輸送できる。また、蒸気流路部50の幅方向端部で熱を移動させやすくするため、蒸気流路部50の幅方向端部と幅方向中央部との間の温度差を小さくすることができ、ベーパーチャンバ1を均熱化できる。
また、上述した本実施の形態において、屈曲領域7において、蒸気流路部50の幅方向端部における各シート10、20の蒸気流路領域14、24の凹み量は、蒸気流路部50の幅方向中央部における各シート10、20の蒸気流路領域14、24の凹み量よりも大きくてもよい。例えば、上述した最大寸法d2’は、最大寸法d2よりも大きくてもよい。また、上述した最大寸法d4’は、最大寸法d4よりも大きくてもよい。この場合、蒸気流路部50の幅方向端部において、凝縮された作動液2bを、第1液流路部60に効率良く移動させることができる。このため、凝縮された作動液2bで蒸気通路51、52が閉塞することを抑制でき、作動蒸気2aをスムースに輸送できる。また、蒸気流路部50の幅方向端部で熱を移動させやすくするため、蒸気流路部50の幅方向端部と幅方向中央部との間の温度差を小さくすることができ、ベーパーチャンバ1を均熱化できる。
また、上述した本実施の形態においては、第1ランド部33の第1本体面30aに第1液流路部60が形成され、第1ランド部33の第2本体面30bに液流路部は形成されていない例について説明した。しかしながら、このことに限られることはない。例えば、図16に示すように、第1ランド部33の第1本体面30aに液流路部は形成されず、第1ランド部33の第2本体面30bに第1液流路部60が形成されていてもよい。
また、上述した本実施の形態においては、第1ランド部33の第1本体面30aに第1液流路部60が形成され、第1ランド部33の第2本体面30bに液流路部は形成されていない例について説明した。しかしながら、このことに限られることはない。例えば、図17に示すように、第1ランド部33の第2本体面30bに、第2液流路部70が形成されていてもよい。第2本体面30bに形成された第2液流路部70は、第2溝集合体の一例である。第2液流路部70は、上述した第1液流路部60と同様にして、複数の主流溝61と、複数の連絡溝65と、を含んでいてもよい。
屈曲領域7において、第2シート20は、ウィックシート30よりも内側に位置している。通路屈曲部57の内側においては、作動蒸気2aの流れが第2シート内面20aから剥離し得る。より具体的には、通路屈曲部57の出口付近において渦が形成され、作動蒸気2aが凝縮する。凝縮した作動液2bは、第2液流路部70に誘導できる。このことにより、作動液2bを、蒸発領域SRに向かって輸送できる。このため、屈曲領域7における各蒸気通路51、52に、作動液2bが滞留することを抑制でき、作動蒸気2aの流れが阻害されることを抑制できる。
図17に示す例において、第2液流路部70は、第1液流路部60と同様に構成されている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはない。例えば、図18に示すように、第2液流路部70の主流溝61の流路断面積が、第1液流路部60の主流溝61の流路断面積よりも大きくてもよい。第2液流路部70の連絡溝65の流路断面積が、第1液流路部60の連絡溝65の流路断面積よりも大きくてもよい。図18に示す第2液流路部70は、液貯蔵部とも称される。
図18に示す変形例によれば、電子デバイスDが発熱を停止している間、作動液2bを、第1液流路部60だけでなく、第2液流路部70に分散して貯蔵できる。このため、作動液2bの凝固点より低い温度環境下において、第1液流路部60内の作動液2bが凍結して膨張した場合であっても、第1シート10に作用する膨張力を低減できる。この場合、第1シート10が変形することを抑制できる。また、第2液流路部70内の作動液2bが凍結して膨張した場合であっても、第2シート20に作用する膨張力を低減できる。この場合、第2シート20が変形することを抑制できる。この結果、ベーパーチャンバ1の変形を抑制でき、ベーパーチャンバ1の性能低下を抑制できる。また、電子デバイスDが発熱している間では、電子デバイスDからの熱を受けて、第2液流路部70内の作動液2bが蒸発できる。
また、図18に示す変形例によれば、第2液流路部70の主流溝61内の作動液2bに作用する毛細管力を、第1液流路部60の主流溝61内の作動液2bに作用する毛細管力よりも小さくできる。電子デバイスDが発熱している間に、第2液流路部70への作動液2bの移動量を低減できる。このため、作動液2bの蒸発領域SRへの輸送機能の低下を抑制でき、熱輸送効率の低下を抑制できる。また、上述したように、第2液流路部70の主流溝61の流路断面積を、第1液流路部60の主流溝61の流路断面積よりも大きくすることにより、第2液流路部70の主流溝61で構成される空間の合計体積を増大できる。このため、電子デバイスDが発熱を停止している間、第2液流路部70による作動液2bの貯蔵量を増大できる。
また、上述した本実施の形態においては、第1領域5、第2領域6および屈曲領域7における第2蒸気流路領域24が、凹状に形成されている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはない。例えば、図19に示すように、第1領域5、第2領域6および屈曲領域7における第2蒸気流路領域24は、Y方向に平坦状に形成されていてもよい。この場合においても、流路角部55の毛細管作用を高めることができ、第1シート内面10bに付着した作動液2bを輸送できる。また、屈曲領域7において、第1シート10の表面積を増大させることができる。このため、ハウジング部材Haを介した外部への放熱効率を向上でき、ベーパーチャンバ1の冷却能力を高めることができる。また、屈曲領域7において作動蒸気2aの蒸気圧の増大を抑制でき、屈曲領域7と第1領域5および第2領域6との間における作動蒸気2aの蒸気圧の差を小さくすることができる。このため、作動蒸気2aをスムースに輸送できる。また、第2蒸気流路領域24が平坦状に形成されていることにより、電子デバイスDとの間に隙間ができることを抑制でき、電子デバイスDと十分に密着することができる。このため、電子デバイスDを効率的に冷却することができる。
また、上述した本実施の形態においては、屈曲領域7において、第1シート10が、ウィックシート30よりも外側に位置している例について説明した。しかしながら、このことに限られることはない。例えば、第1シート10は、ウィックシート30よりも内側に位置していてもよい。この場合においても、流路角部55において、毛細管作用を高めることができ、第1シート内面10bに付着した作動液2bを輸送できる。この場合、ウィックシート30よりも外側に位置する第2シート20の第2蒸気流路領域24は、第1領域5、第2領域6および屈曲領域7において、Y方向に平坦状に形成されていてもよい。
また、上述した本実施の形態においては、第1蒸気流路領域14の幅方向全域に、1つの第1シート凹部15が形成されている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはない。例えば、図20に示すように、屈曲領域7における第1蒸気流路領域14の一部は凹状に形成され、他の一部は、Y方向に平坦状に形成されていてもよい。このことにより、凹状に形成された部分の毛細管作用を、平坦状に形成された部分の毛細管作用よりも強めることができる。このため、作動液2bの流れをコントロールでき、毛細管作用を意図的に強める箇所を、任意に設定できる。例えば、第1蒸気流路領域14の幅方向の一部の領域において、1つの第1シート凹部15が形成されていてもよい。この場合、他の領域においては、第1蒸気流路領域14は、Y方向に平坦状に形成されていてもよい。例えば、屈曲領域7における第1蒸気流路領域14のうち、蒸気の流れ方向の一部の領域が凹状に形成されていてもよく、他の領域が、Y方向に平坦状に形成されていてもよい。第2蒸気流路領域24も同様に、一部が凹状に形成され、他の一部がY方向に平坦状に形成されていてもよい。
また、上述した本実施の形態においては、第1シート10は、平面視で第1蒸気流路領域14に重なる1つの第1シート凹部15を含んでいる例について説明した。しかしながら、このことに限られることはない。例えば、図21に示すように、第1シート10は、平面視で第1蒸気流路領域14に重なる複数の第1シート凹部15を含んでいてもよい。例えば、複数の第1シート凹部15が、第1蒸気流路領域14に形成されるようにしてもよい。複数の第1シート凹部15は、Y方向において異なる位置に形成されていてもよい。複数の第1シート凹部15は、X方向において異なる位置に形成されていてもよい。図21には、第1蒸気流路領域14に、Y方向に並ぶ2つの第1シート凹部15が形成されている例が示されている。同様に、第2シート20も、複数の第2シート凹部25を含んでいてもよい。
また、上述した本実施の形態において、図22に示すように、第1ランド部33の第2本体面30bに第1液流路部60が形成されている場合、図22に示す屈曲領域7における第1液流路部60の主流溝61の幅w5’は、第1領域5および第2領域6における第1液流路部60の主流溝61の幅w5よりも小さくてもよい。連絡溝65の幅w6についても同様である。図22に示す例において、屈曲の内側に第2シート20が位置していてもよい。この場合、屈曲領域7において、第1液流路部60の毛細管作用を高めることができる。このため、凝縮された作動液2bを、各蒸気通路51、52から第1液流路部60に効率良く移動させることができる。また、第2シート20が外部から押圧された際に、第1液流路部60の主流溝61および連絡溝65が潰れることを抑制できる。
また、図22に示すように、屈曲領域7において、第2シート20は、第1液流路部60に向かって凹んでいてもよい。この屈曲領域7における第2シート20の凹み量は、第1領域5および第2領域6における第2シート20の凹み量よりも大きくてもよい。第1領域5および第2領域6における第2シート20の凹み量はゼロであってもよい。すなわち、第1領域5および第2領域6において、第2シート20は、第1液流路部60に向かって凹んでいなくてもよい。この場合、屈曲領域7において、第2シート内面20aと主流溝61の壁面62とがなす角度を小さくすることができる。また、第2シート内面20aと連絡溝65の壁面とがなす角度を小さくすることができる。このことにより、第1液流路部60の毛細管作用を高めることができる。このため、凝縮された作動液2bを、蒸発領域SRに向かってスムースに輸送できる。
また、上述した本実施の形態において、図23に示すように、第1ランド部33の第1本体面30aに第1液流路部60が形成されている場合、図23に示す屈曲領域7における第1液流路部60の主流溝61の幅w5’’は、第1領域5および第2領域6における第1液流路部60の主流溝61の幅w5よりも大きくてもよい。連絡溝65の幅w6についても同様である。また、図23に示す屈曲領域7における第1液流路部60の主流溝61の深さh1’は、第1領域5および第2領域6における第1液流路部60の主流溝61の深さh1よりも浅くてもよい。連絡溝65の深さについても同様である。図23に示す例において、屈曲の内側に第2シート20が位置していてもよい。この場合、屈曲領域7において、第1シート内面10bと主流溝61の壁面62とがなす角度を小さくすることができる。また、第1シート内面10bと連絡溝65の壁面とがなす角度を小さくすることができる。このことにより、第1液流路部60の毛細管作用を高めることができる。このため、凝縮された作動液2bを、蒸発領域SRに向かってスムースに輸送できる。
また、図23に示すように、屈曲領域7において、第1シート10は、第1液流路部60に向かって凹んでいてもよい。この屈曲領域7における第1シート10の凹み量は、第1領域5および第2領域6における第1シート10の凹み量よりも大きくてもよい。第1領域5および第2領域6における第1シート10の凹み量はゼロであってもよい。すなわち、第1領域5および第2領域6において、第1シート10は、第1液流路部60に向かって凹んでいなくてもよい。この場合、屈曲領域7において、第1シート内面10bと主流溝61の壁面62とがなす角度を更に小さくすることができる。また、第1シート内面10bと連絡溝65の壁面とがなす角度を更に小さくすることができる。このことにより、第1液流路部60の毛細管作用を高めることができる。このため、凝縮された作動液2bを、蒸発領域SRに向かってより一層スムースに輸送できる。
また、図22および図23に示す例において、屈曲領域7における主流溝61の流路断面積は、第1領域5および第2領域6における主流溝61の流路断面積よりも小さくてもよい。また、屈曲領域7における連絡溝65の流路断面積は、第1領域5および第2領域6における連絡溝65の流路断面積よりも小さくてもよい。この場合、屈曲領域7において、第1液流路部60の毛細管作用を高めることができる。このため、凝縮された作動液2bを、蒸発領域SRに向かってスムースに輸送できる。
また、上述した本実施の形態において、図24~図26に示すように、第1ランド部33の第1本体面30aに第1液流路部60が形成されるとともに、第1ランド部33の第2本体面30bに第2液流路部70が形成されている場合、第1液流路部60と第2液流路部70とを連通させる連通路80が設けられていてもよい。図25および図26に示すように、連通路80は、Z方向に真っ直ぐ延びて、第1ランド部33を貫通していてもよい。連通路80は、第1ランド部33の任意の位置に設けられていてもよい。連通路80は、平面視で第1液流路部60の主流溝61および第2液流路部70の主流溝61と重なる位置に設けられていてもよい。この場合、連通路80は、第1液流路部60の主流溝61と第2液流路部70の主流溝61とを接続していてもよい。また、図24に示すように、連通路80は、平面視で第1液流路部60の連絡溝65および第2液流路部70の連絡溝65と重なる位置に設けられていてもよい。この場合、連通路80は、第1液流路部60の連絡溝65と第2液流路部70の連絡溝65とを接続していてもよい。このように第1液流路部60と第2液流路部70とを連通させる連通路80が設けられていることにより、例えば、屈曲によって、第1液流路部60および第2液流路部70のうちの一方の液流路部で作動液2bが流れにくくなった場合でも、作動液2bは、連通路80を通って他方の液流路部を流れることができる。このため、作動液2bを、蒸発領域SRに向かってスムースに輸送することができ、ベーパーチャンバ1の冷却能力を高めることができる。
また、図26に示す屈曲領域7における連通路80の長さL2は、図25に示す第1領域5および第2領域6における連通路80の長さL1よりも小さくてもよい。ここで、連通路80の長さL1、L2は、連通路80に沿った距離を意味し、図25および図26に示すように連通路80がZ方向に真っ直ぐ延びている場合、Z方向における長さである。この場合、屈曲領域7における連通路80の液流路抵抗を低下させることができる。このため、凝縮された作動液2bを、連通路80を介して流路角の毛細管作用が高い液流路部から流路角の毛細管作用が低い液流路部へ効率的に移動させることができ、ベーパーチャンバ1の冷却能力を高めることができる。
また、上述した本実施の形態において、第1ランド部33の第1液流路部60が設けられていない位置に、本体面凹部82が形成されていてもよい。例えば、第1ランド部33の第1本体面30aに第1液流路部60が形成されている場合、第1ランド部33の第2本体面30bに本体面凹部82が形成されていてもよい。また例えば、第1ランド部33の第2本体面30bに第1液流路部60が形成されている場合、第1ランド部33の第1本体面30aに本体面凹部82が形成されていてもよい。また例えば、第1ランド部33の第1本体面30aに第1液流路部60が形成されるとともに、第1ランド部33の第2本体面30bに第2液流路部70が形成されている場合、第1ランド部33の第1本体面30aまたは第2本体面30bの液流路部60、70が形成されていない任意の位置に本体面凹部82が形成されていてもよい。図27および図28に示す例においては、本体面凹部82は、第1ランド部33の第2本体面30bに形成されている。
本体面凹部82は、第1ランド部33の第2本体面30bに凹状に形成されていてもよい。本体面凹部82は、任意の平面形状を有していてもよい。例えば、図27に示すように、本体面凹部82は、円形(真円形、楕円形等)の平面形状を有する細孔状に形成されていてもよい。また例えば、図28に示すように、本体面凹部82は、Y方向に延びる溝状に形成されていてもよい。また、図27および図28に示すように、複数の本体面凹部82が、Y方向に沿って並んでいてもよい。図27および図28に示すように、複数の本体面凹部82は、平面視で屈曲線8に重なっている。すなわち、複数の本体面凹部82は、屈曲線BLに沿って配置されている。換言すると、各本体面凹部82は、平面視で屈曲線8と重なる位置に形成される。
本体面凹部82は、上述したベーパーチャンバ1の製造方法のエッチング工程において、ウィックシート30をエッチングすることにより形成されてもよい。本体面凹部82は、ベーパーチャンバ1を平面視で見たときに、第1シート10または第2シート20を介して外部からも視認可能である。このため、本体面凹部82は、上述したベーパーチャンバ1の製造方法の屈曲工程において、ベーパーチャンバ1の屈曲位置の目印として機能する。すなわち、屈曲工程において、ベーパーチャンバ1を本体面凹部82に沿って屈曲させることで、屈曲線8に沿って屈曲したベーパーチャンバ1を得ることができる。このように本体面凹部82を形成することにより、屈曲作業性を向上できる。また、本体面凹部82が細孔状または溝状に形成されていることにより、ベーパーチャンバ1を容易に屈曲させることができる。このため、屈曲したベーパーチャンバ1の製造を容易化できる。
また、上述した本実施の形態においては、第1領域5と第2領域6とが直交するようにベーパーチャンバ1が直角状に屈曲している例について説明した。しかしながら、このことに限られることはない。例えば、図29に示すように、第1領域5と第2領域6とが対向するようにベーパーチャンバ1がU字状に屈曲していてもよい。図29に示す例においては、ベーパーチャンバ1の屈曲領域7は、半円弧状に形成されている。この場合、ハウジングH内においてベーパーチャンバ1の配置の自由度を向上できる。このため、例えば、発熱を伴う電子機器Eが、熱を放出するハウジング部材Haから離れて位置している場合でも、ベーパーチャンバ1を介して電子機器Eの熱をハウジング部材Haに伝熱できる。
また、この場合、図29に示すように、屈曲線8に平行な方向に沿って見たときに、屈曲領域7における第1接合領域13と第1蒸気流路領域14との間で画定される第1シート10の厚さ方向の寸法は、屈曲領域7内において変化していてもよい。ここで、屈曲領域7の第1領域5の側の端部を第1屈曲端部7a、屈曲領域7の第2領域6の側の端部を第2屈曲端部7c、屈曲領域7の第1屈曲端部7aと第2屈曲端部7cとの中間部を屈曲中間部7bと称する。この場合、例えば、第1屈曲端部7aから屈曲中間部7bに向かうにつれて、この寸法が大きくなってもよい。この寸法は、屈曲中間部7bで最大寸法d2になってもよい。また、屈曲中間部7bから第2屈曲端部7cに向かうにつれて、この寸法が小さくなってもよい。同様に、屈曲線8に平行な方向に沿って見たときに、屈曲領域7における第2接合領域23と第2蒸気流路領域24との間で画定される第2シート20の厚さ方向の寸法は、屈曲領域7内において変化していてもよい。例えば、第1屈曲端部7aから屈曲中間部7bに向かうにつれて、この寸法が大きくなってもよい。この寸法は、屈曲中間部7bで最大寸法d4になってもよい。また、屈曲中間部7bから第2屈曲端部7cに向かうにつれて、この寸法が小さくなってもよい。
図29に示す変形例によれば、とりわけ屈曲が大きい屈曲領域7の屈曲中間部7bにおいて、流路角部55の毛細管作用を高めることができ、凝縮された作動液2bを、蒸発領域SRに向かってスムースに輸送できる。また、屈曲領域7において、第1シート10および第2シート20の表面積を増大させることができ、ベーパーチャンバ1の放熱効率を向上できる。また、屈曲領域7において作動蒸気2aの蒸気圧の増大を抑制でき、屈曲領域7と第1領域5および第2領域6との間における作動蒸気2aの蒸気圧の差を小さくすることができる。このため、とりわけ屈曲が大きい屈曲中間部7bにおいても、作動蒸気2aをスムースに輸送できる。
なお、図13に示すように、第1領域5と第2領域6とが直交するようにベーパーチャンバ1が直角状に屈曲されている場合においても、図29に示す例と同様に、屈曲線8に平行な方向に沿って見たときに、屈曲領域7における第1接合領域13と第1蒸気流路領域14との間で画定される第1シート10の厚さ方向の寸法が、屈曲領域7内において変化していてもよい。例えば、第1屈曲端部7aから屈曲中間部7bに向かうにつれて、この寸法が大きくなってもよい。この寸法は、屈曲中間部で最大寸法d2になってもよい。また、屈曲中間部7bから第2屈曲端部7cに向かうにつれて、この寸法が小さくなってもよい。同様に、屈曲線8に平行な方向に沿って見たときに、屈曲領域7における第2接合領域23と第2蒸気流路領域24との間で画定される第2シート20の厚さ方向の寸法は、屈曲領域7内において変化していてもよい。例えば、第1屈曲端部7aから屈曲中間部7bに向かうにつれて、この寸法が大きくなってもよい。この寸法は、屈曲中間部7bで最大寸法d4になってもよい。また、屈曲中間部7bから第2屈曲端部7cに向かうにつれて、この寸法が小さくなってもよい。この場合においても、図29に示す変形例と同様の効果を得ることができる。
(第2の実施の形態)
次に、図30~図33を用いて、本開示の第2の実施の形態によるベーパーチャンバ、電子機器およびベーパーチャンバの製造方法について説明する。
図30~図33に示す第2の実施の形態においては、第1方向に傾斜した屈曲線に沿ってベーパーチャンバが屈曲されている点が主に異なる。他の構成は、図1~図29に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図30~図33において、図1~図29に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
本実施の形態によるベーパーチャンバ1は、図30に示すように、平面視でX方向に傾斜した屈曲線8に沿って屈曲されている。図30に示す屈曲線8は、X方向に傾斜するとともにY方向に傾斜している。図30に示す屈曲線8も、平面視でX方向に交差する方向に延びている。本実施の形態においては、第1領域5、第2領域6および屈曲領域7は、平面視でX方向に傾斜する、屈曲線8に沿った境界線で区分けされてもよい。
図31および図32を用いて、屈曲領域7における1つの蒸気通路51、52内の蒸気の流れについて説明する。図31は、屈曲領域7を平面展開した蒸気通路51、52を示す平面図である。図32は、図31のD-D線、E-E線およびF-F線に沿った蒸気通路51、52をそれぞれ示す概略断面図である。D-D線は、E-E線およびF-F線は、Y方向に互いに異なる位置で定義されている。
図32に示されているように、D-D線上の位置P1において、第1蒸気流路領域14および第2蒸気流路領域24が最も凹んでいる。E-E線上の位置P2において、第1蒸気流路領域14および第2蒸気流路領域24が最も凹んでいる。F-F線上の位置P3において、第1蒸気流路領域14および第2蒸気流路領域24が最も凹んでいる。
位置P1、P2、P3は、図31に示すように、平面視で屈曲線8に重なっており、蒸気通路51、52の延びるX方向において互いに異なる位置である。このことにより、各断面において、蒸気通路51、52のうち最も流路断面積が小さくなる位置P1、P2、P3を、X方向にずらすことができる。このため、作動蒸気2aの流路抵抗が高くなる位置を、作動蒸気2aの流れ方向に分散でき、通路屈曲部57における作動蒸気2aの流れが阻害されることを抑制できる。
このように本実施の形態によれば、ベーパーチャンバ1は、X方向に傾斜した屈曲線8に沿って屈曲されている。このことにより、屈曲領域7における作動蒸気2aの流れが阻害されることを抑制できる。このため、屈曲された場合であっても、ベーパーチャンバ1の放熱効率を向上できる。
なお、上述した本実施の形態においては、枠体部32が、X方向およびY方向に沿って矩形枠形状に形成されている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはない。例えば、図33に示すように、枠体部32が、X方向に延びる第1ランド部33に対して傾斜していてもよい。枠体部32は、X方向に傾斜するとともにY方向に傾斜した矩形枠形状に形成されている。屈曲線8は、枠体部32に沿っている。屈曲線8は、図33の上下方向に延びている。この場合においても、屈曲線8は、平面視でX方向に交差する方向に延びている。図33に示す例においても、図30~図32に示す例と同様にして、各蒸気通路51、52において、作動蒸気2aの流路抵抗が高くなる位置を、作動蒸気2aの流れ方向に分散できる。このため、屈曲領域7における作動蒸気2aの流れが阻害されることを抑制できる。
(第3の実施の形態)
次に、図34~図37を用いて、本開示の第3の実施の形態によるベーパーチャンバ、電子機器およびベーパーチャンバの製造方法について説明する。
図34~図37に示す第3の実施の形態においては、本体シートは、第2方向に延びる複数の第2ランド部を含み、屈曲領域以外の他の領域に、第2ランド部が位置している点が主に異なる。他の構成は、図1~図29に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図34~図37において、図1~図29に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
本実施の形態においては、図34に示すように、ウィックシート30は、Y方向に延びる複数の第2ランド部37を含んでいる。第1領域5および第2領域6のそれぞれに、第2ランド部37が位置している。第1領域5および第2領域6のそれぞれに、複数の第2ランド部37が位置していてもよい。第2ランド部37は、第1ランド部33と同様に構成できる。
第1ランド部33は、屈曲領域7に位置している。第1ランド部33は、第1領域5から屈曲領域7を介して第2領域6にわたって形成されていてもよい。第1ランド部33の各々は、第1領域5に位置する第2ランド部37に接続されている。図34に示す例においては、複数の第1ランド部33が、第1領域5に位置する1つの第2ランド部37に接続されている。第1ランド部33の各々は、第2領域6に位置する第2ランド部37に接続されている。図34に示す例においては、各々の第1ランド部33が、対応する第2ランド部37に接続されている。言い換えると、1つの第1ランド部33に、第2領域6に位置する1つの第2ランド部37が接続されている。
本実施の形態においては、図34に示すように、蒸気流路部50は、第3蒸気通路58を含んでいてもよい。第3蒸気通路58は、第1領域5に位置する第2ランド部37の間に形成されている。第3蒸気通路58は、Y方向に延びている。第2領域6に位置する第2ランド部37の間にも、Y方向に延びる第3蒸気通路58が形成されている。第2領域6に位置する第3蒸気通路58は、第1ランド部33の間に位置する第2蒸気通路52に連通している。図34に示す例においては、屈曲領域7にも、Y方向に延びる第3蒸気通路58が形成されている。第3蒸気通路58は、第2蒸気通路52と同様に構成できる。
第1蒸気通路51は、枠体部32の内側であって、第1ランド部33および第2ランド部37の外側に連続状に形成されている。
本実施の形態においては、第1液流路部60は、第1ランド部33の第1本体面30aに形成された第1ランド液流路部71と、第2ランド部37の第1本体面30aに形成された第2ランド液流路部72と、を含んでいる。第1ランド液流路部71および第2ランド液流路部72はそれぞれ、複数の主流溝61および複数の連絡溝65を含んでいる。第1ランド液流路部71の主流溝61は、X方向に延びている。第1ランド液流路部71の連絡溝65は、Y方向に延びていてもよい。第2ランド液流路部72の主流溝61は、Y方向に延びている。第2ランド液流路部72の連絡溝65は、X方向に延びていてもよい。第1ランド液流路部71と第2ランド液流路部72とは作動液2bが往来可能となるように連通している。このようにして、第1領域5と第2領域6との間で作動液2bが往来可能になっている。
本実施の形態においては、電子デバイスDと重なる蒸発領域SRは、第1領域5および第2領域6のそれぞれに位置している。凝縮領域CRは、第1領域5に位置している。第1領域5と第2領域6との間に、屈曲領域7が形成されている。屈曲線8は、平面視でX方向に交差する方向に延びている。図34においては、屈曲線8はY方向に延びている。屈曲領域7において、第1蒸気通路51、第2蒸気通路52および第3蒸気通路58を作動蒸気2aが通過可能になっており、第1領域5と第2領域6との間で、作動蒸気2aが往来可能になっている。図34に示す例においては、屈曲線8は、平面視で、屈曲領域7に位置するとともにY方向に延びる第3蒸気通路58にも重なっている。
作動蒸気2aは、第1領域5に位置する蒸発領域SRから凝縮領域CRに輸送されるとともに、第2領域6に位置する蒸発領域SRから屈曲領域7を通って、凝縮領域CRに輸送される。凝縮領域CRにおいて凝縮した作動液2bの一部は、第1領域5に位置する第2ランド液流路部72の毛細管作用によって蒸発領域SRに向かって輸送される。作動液2bの他の一部は、第1領域5に位置する第2ランド液流路部72から、第1ランド液流路部71および第2領域6に位置する第2ランド液流路部72を介して、第2領域6に位置する蒸発領域SRに輸送される。
図34に示すように、第1領域5に電子デバイスDを配置するとともに、第2領域6に電子デバイスDを配置している。このことにより、第1領域5の電子デバイスDと、第2領域6の電子デバイスDとの間で、熱が伝わることを抑制できる。このため、一方の電子デバイスDの発熱によって他方の電子デバイスDが熱的損傷を受けることを抑制できる。
このように本実施の形態によれば、第1ランド部33の各々は、第2ランド部37に接続されている。より具体的には、第1ランド部33の各々が、第1領域5における第2ランド部37に接続されるとともに、第2領域6における第2ランド部37に接続される。このことにより、第1領域5と第2領域6との間で、作動液2bが往来できる。また、第1領域5と第2領域6それぞれに、電子デバイスDが重なる蒸発領域SRを位置づけることができる。このことにより、複数の電子デバイスDの発熱を1つのベーパーチャンバ1で放熱できる。
なお、上述した本実施の形態においては、屈曲線8は、平面視で、屈曲領域7に位置するとともにY方向に延びる第3蒸気通路58に重なっている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはない。例えば、図35に示すように、屈曲線8は、平面視で、屈曲領域7に位置する第2ランド部37に重なっていてもよい。あるいは、図36に示すように、枠体部32に重なっていてもよい。図36に示す例においては、枠体部32が、Y方向に延びる内側突出部32aを含んでいる。この内側突出部32aに屈曲線8が重なっていてもよい。あるいは、図37に示すように、屈曲線8は、第1領域5と第2領域6との間に形成されたスリット73に重なっていてもよい。スリット73は、第1領域5と第2領域6との間に位置しており、第1シート10、第2シート20およびウィックシート30が存在していない空間であってもよい。
(第4の実施の形態)
次に、図38~図46を用いて、本開示の第4の実施の形態によるベーパーチャンバおよび電子機器について説明する。
本実施の形態において、電子機器Eは、複数のデバイスDを備えていてもよい。例えば、複数のデバイスDは、第1のデバイスD1と、第2のデバイスD2と、を含んでいてもよい。第1のデバイスD1は、後述するベーパーチャンバ101の第1領域RR1と熱的に接触してもよく、第2のデバイスD2は、後述するベーパーチャンバ101の第2領域RR2と熱的に接触してもよい(図38~図40参照)。
本実施の形態によるベーパーチャンバ101について説明する。ベーパーチャンバ101は、作動流体102a、102bが封入された密封空間103を有しており、密封空間103内の作動流体102a、102bが相変化を繰り返すことにより、上述した電子機器EのデバイスDを効果的に冷却するように構成されている。作動流体102a、102bの例としては、純水、エタノール、メタノール、アセトン等、およびそれらの混合液が挙げられる。
図38および図39に示すように、本実施の形態によるベーパーチャンバ101は、屈曲したベーパーチャンバ101である。このようなベーパーチャンバ101は、例えば、図40に示すような薄い平板状のベーパーチャンバ101を、屈曲線BLに沿って屈曲させることにより作製することができる。この屈曲したベーパーチャンバ101は、屈曲部BPと、第1領域RR1と、第2領域RR2と、を備えている。なお、本明細書において、「屈曲」とは「折り曲げ」と同義であり、例えば、ベーパーチャンバ101を屈曲させるとは、ベーパーチャンバ101を折り曲げることを意味する。
屈曲部BPは、ベーパーチャンバ101を構成する後述する第1シート110、第2シート120および本体シート130が屈曲した部分である。屈曲部BPは、ベーパーチャンバ101を屈曲線BLに沿って屈曲させることにより形成される。屈曲部BPは、屈曲線BLを含む、一定の幅を持った領域である。屈曲部BPにおける屈曲角度は任意である。図示された例においては、屈曲角度は90°(直角)である。このため、図39に示すように、ベーパーチャンバ101の断面形状は、略L字形状になっている。しかしながら、このことに限られることはなく、例えば、ベーパーチャンバ101を湾曲するように屈曲させて、ベーパーチャンバ101の断面形状がU字形状になるようにしてもよい。また例えば、ベーパーチャンバ101を複数回屈曲させて、ベーパーチャンバ101の断面形状がコの字形状等になるようにしてもよい。
第1領域RR1および第2領域RR2は、屈曲部BPを介して隔てられた領域である。図38に示す例においては、第1領域RR1は、屈曲部BPよりもY方向正側(図38における手前側)に位置するベーパーチャンバ101上の領域であり、第2領域RR2は、屈曲部BPよりもZ方向正側(図38における上側)に位置するベーパーチャンバ101上の領域である。図示された例においては、第1領域RR1は、XY平面上に広がり、第2領域RR2は、XZ平面上に広がっている。第1領域RR1がなす平面と第2領域RR2がなす平面は、互いに直交している。
ここで、X方向は、図40に示すような、屈曲していない状態のベーパーチャンバ101の長手方向に沿う方向を示し、Y方向は、当該ベーパーチャンバ101の短手方向に沿う方向を示し、Z方向は、当該ベーパーチャンバ101の厚さ方向に沿う方向を示している。X方向、Y方向およびZ方向は、互いに直交している。
以下、本実施の形態によるベーパーチャンバ101の説明において、屈曲していない状態のベーパーチャンバ101の図である図40~図46を用いる。なお、図40~図46においても、屈曲させた際に上述した第1領域RR1となるベーパーチャンバ101上の領域を、同様に第1領域RR1と称し、屈曲させた際に上述した第2領域RR2となるベーパーチャンバ101上の領域を、同様に第2領域RR2と称する。
図39~図41に示すように、ベーパーチャンバ101は、第1シート110と、第2シート120と、第1シート110と第2シート120との間に介在された本体シート130(ウィックシート)と、を備えている。本実施の形態によるベーパーチャンバ101においては、第1シート110、本体シート130および第2シート120が、この順番で積層されている。
図40に示すベーパーチャンバ101は、薄い平板状に形成されている。ベーパーチャンバ101の平面形状は任意であるが、図40に示すような矩形形状であってもよい。このベーパーチャンバ101の平面形状は、例えば、1辺が10mm以上200mm以下で他の辺が50mm以上600mm以下の長方形であってもよく、1辺が40mm以上300mm以下の正方形であってもよく、その平面寸法は任意である。本実施の形態においては、一例として、このベーパーチャンバ101の平面形状が、長手方向および短手方向を有する矩形形状である例について説明する。この場合、図42~図44に示すように、屈曲していない状態の第1シート110、第2シート120および本体シート130も、図40に示すベーパーチャンバ101と同様の平面形状を有していてもよい。なお、このベーパーチャンバ101の平面形状は、矩形形状に限られることはなく、円形状、楕円形状、L字形状、T字形状、U字形状等、任意の形状とすることができる。
図39および図40に示すように、ベーパーチャンバ101は、作動流体102a、102bが蒸発する蒸発領域SR1、SR2と、作動流体102a、102bが凝縮する凝縮領域CR1、CR2と、を有している。本実施の形態においては、ベーパーチャンバ101の第1領域RR1に、第1の蒸発領域SR1および第1の凝縮領域CR1が設けられ、ベーパーチャンバ101の第2領域RR2に、第2の蒸発領域SR2および第2の凝縮領域CR2が設けられている。
第1の蒸発領域SR1は、ベーパーチャンバ101の厚み方向(図39におけるZ方向)で見たときに(平面視において)第1のデバイスD1と重なる領域であり、第1のデバイスD1が取り付けられる領域である。第1の蒸発領域SR1は、ベーパーチャンバ101の第1領域RR1の任意の位置に設けることができる。図示された例においては、ベーパーチャンバ101の第1領域RR1のX方向正側(図40における右側)に、第1の蒸発領域SR1が形成されている。第1の蒸発領域SR1に第1のデバイスD1からの熱が伝わり、この熱によって作動流体の液体(適宜、作動液102bと記す)が第1の蒸発領域SR1において蒸発する。第1のデバイスD1からの熱は、第1のデバイスD1と重なる領域だけではなく、当該領域の周辺にも伝わり得る。このため、第1の蒸発領域SR1は、第1のデバイスD1に重なっている領域とその周辺の領域とを含むことができる。
第1の凝縮領域CR1は、ベーパーチャンバ101の厚み方向(図39におけるZ方向)で見たときに(平面視において)第1のデバイスD1と重ならない領域であって、主として作動流体の気体(適宜、作動蒸気102aと記す)が熱を放出して凝縮する領域である。第1の凝縮領域CR1は、第1領域RR1における第1の蒸発領域SR1の周囲の領域と言うこともできる。図示された例においては、ベーパーチャンバ101の第1領域RR1のX方向負側(図40における左側)に、第1の凝縮領域CR1が形成されている。第1の凝縮領域CR1において第1の蒸発領域SR1からの作動蒸気102aの熱が第1シート110に放出され、作動蒸気102aが第1の凝縮領域CR1において冷却されて凝縮する。
第2の蒸発領域SR2は、ベーパーチャンバ101の厚み方向(図39におけるY方向)で見たときに(平面視において)第2のデバイスD2と重なる領域であり、第2のデバイスD2が取り付けられる領域である。第2の蒸発領域SR2は、ベーパーチャンバ101の第2領域RR2の任意の位置に設けることができる。図示された例においては、ベーパーチャンバ101の第2領域RR2のX方向正側(図40における右側)に、第2の蒸発領域SR2が形成されている。第2の蒸発領域SR2に第2のデバイスD2からの熱が伝わり、この熱によって作動液102bが第2の蒸発領域SR2において蒸発する。第2のデバイスD2からの熱は、第2のデバイスD2と重なる領域だけではなく、当該領域の周辺にも伝わり得る。このため、第2の蒸発領域SR2は、第2のデバイスD2に重なっている領域とその周辺の領域とを含むことができる。
第2の凝縮領域CR2は、ベーパーチャンバ101の厚み方向(図39におけるY方向)で見たときに(平面視において)第2のデバイスD2と重ならない領域であって、主として作動蒸気102aが熱を放出して凝縮する領域である。第2の凝縮領域CR2は、第2領域RR2における第2の蒸発領域SR2の周囲の領域と言うこともできる。図示された例においては、ベーパーチャンバ101の第2領域RR2のX方向負側(図40における左側)に、第2の凝縮領域CR2が形成されている。第2の凝縮領域CR2において第2の蒸発領域SR2からの作動蒸気102aの熱が第1シート110に放出され、作動蒸気2aが第2の凝縮領域CR1において冷却されて凝縮する。
ここで平面視とは、ベーパーチャンバ101が電子デバイスDから熱を受ける面および受けた熱を放出する面に直交する方向から見た状態である。すなわち、ベーパーチャンバ101の第1シート110の後述する第1シート外面110aおよび第2シート120の後述する第2シート外面120bに直交する方向から見た状態である。例えば、図38および図39に示すように、屈曲されたベーパーチャンバ101の第1領域RR1においては、Z方向から見た状態が平面視に相当する。また、第2領域RR2においては、Y方向から見た状態が平面視に相当する。
図41に示すように、第1シート110は、本体シート130とは反対側に設けられた第1シート外面110aと、第1シート外面110aとは反対側(すなわち本体シート130の側)に設けられた第1シート内面110bと、を有している。第1シート110は、全体的に平坦状に形成されていてもよく、第1シート110は全体的に一定の厚さを有していてもよい。第1シート外面110aに、モバイル端末等のハウジングHの一部を構成するハウジング部材Haが取り付けられる(図38および図39参照)。第1シート外面110aの全体が、ハウジング部材Haで覆われてもよい。図42に示すように、第1シート110の四隅に、アライメント孔112が設けられていてもよい。
図41に示すように、第2シート120は、本体シート130の側に設けられた第2シート内面120aと、第2シート内面120aとは反対側に設けられた第2シート外面120bと、を有している。第2シート120は、全体的に平坦状に形成されていてもよく、第2シート120は全体的に一定の厚さを有していてもよい。第2シート外面120bに、上述のデバイスD1、D2が取り付けられる。図43に示すように、第2シート120の四隅に、アライメント孔122が設けられていてもよい。
なお、上述の例では、第1シート110の第1シート外面110aにハウジング部材Haが取り付けられ、第2シート120の第2シート外面120bにデバイスD1、D2が取り付けられているが、このことに限られることはなく、第1シート110の第1シート外面110aにデバイスD1、D2が取り付けられ、第2シート120の第2シート外面120bにハウジング部材Haが取り付けられてもよい。また、第1シート110の第1シート外面110aにハウジング部材HaおよびデバイスD1、D2が取り付けられてもよく、第2シート120の第2シート外面120bにハウジング部材HaおよびデバイスD1、D2が取り付けられてもよい。
図41に示すように、本体シート130は、シート本体131と、シート本体131に設けられた蒸気流路部150と、を備えている。シート本体131は、第1本体面131aと、第1本体面131aとは反対側に設けられた第2本体面131bと、を有している。第1本体面131aは、第1シート110の側に設けられており、第2本体面131bは、第2シート120の側に設けられている。
第1シート110の第1シート内面110bとシート本体131の第1本体面131aとは、熱圧着により互いに恒久的に接合されていてもよい。同様に、第2シート120の第2シート内面120aとシート本体131の第2本体面131bとは、熱圧着により互いに恒久的に接合されていてもよい。熱圧着による接合の例としては、例えば、拡散接合を挙げることができる。しかしながら、第1シート110、第2シート120および本体シート130は、拡散接合ではなく、恒久的に接合できれば、ろう付け等の他の方式で接合されていてもよい。なお、「恒久的に接合」という用語は、厳密な意味に縛られることはなく、ベーパーチャンバ101の動作時に、密封空間103の密封性を維持可能な程度に、第1シート110と本体シート130との接合を維持できるとともに、第2シート120と本体シート130との接合を維持できる程度に接合されていることを意味する用語として用いている。
図40および図44に示すように、シート本体131は、枠体部132と、枠体部132内に設けられた複数のランド部133と、を有している。枠体部132およびランド部133は、後述するエッチング工程においてエッチングされることなく、本体シート130の材料が残る部分である。
図示された例においては、枠体部132は、本体シート130の厚み方向(図44におけるZ方向)で見たときに、矩形枠状に形成されている。この枠体部132の内側に、蒸気流路部150が設けられている。蒸気流路部150は、作動流体102a、102bを収容している。各ランド部133は、蒸気流路部150に設けられており、各ランド部133の周囲を作動蒸気102aが流れるようになっている。すなわち、蒸気流路部150は、上述した複数のランド部133と、各ランド部133の周囲に設けられた、作動蒸気102aが流れる通路である後述する蒸気通路151、152と、を含んでいる。
図示された例においては、ランド部133は、X方向(図44における左右方向)に延びており、ランド部133の平面形状は、細長の矩形形状になっている。また、各ランド部133は、Y方向(図44における上下方向)において離間して、互いに平行に配置されている。ランド部133の幅ww1(図45参照)は、例えば、100μm~3000μmであってもよい。ここで、ランド部133の幅ww1は、Y方向におけるランド部133の寸法であって、Z方向において後述する貫通部134が存在する位置における寸法を意味している。
枠体部132および各ランド部133は、第1シート110に接合されるとともに、第2シート120に接合されている。後述する第1蒸気流路凹部153の壁面153aおよび第2蒸気流路凹部154の壁面154aは、ランド部133の側壁を構成している。シート本体131の第1本体面131aおよび第2本体面131bは、枠体部132および各ランド部133にわたって、平坦状に形成されていてもよい。
蒸気流路部150は、主として、作動蒸気102aが通る流路である。蒸気流路部150には、作動液102bも通ってもよい。図41および図45に示すように、蒸気流路部150は、第1本体面131aから第2本体面131bに貫通していてもよい。すなわち、本体シート130のシート本体131を貫通していてもよい。蒸気流路部150は、第1本体面131aにおいて第1シート110で覆われていてもよく、第2本体面131bにおいて第2シート120で覆われていてもよい。
図44に示すように、蒸気流路部150は、第1蒸気通路151と、複数の第2蒸気通路152と、を有している。複数のランド部133によって、蒸気流路部150は、第1蒸気通路151と複数の第2蒸気通路152とに区画されている。第1蒸気通路151は、枠体部132とランド部133との間に形成されている。第1蒸気通路151は、枠体部132の内側であってランド部133の外側に連続状に形成されている。第1蒸気通路151の平面形状は、矩形枠状になっている。第2蒸気通路152は、互いに隣り合うランド部133の間に設けられている。第2蒸気通路152は、第1方向に延びる複数の蒸気通路152aを含んでいる。図示された例においては、第1方向はX方向である。すなわち、各蒸気通路152aは、X方向に延びている。各蒸気通路152aの平面形状は、細長の矩形形状になっている。各蒸気通路152aは、並列配置されている。
なお、本実施の形態においては、蒸気流路部150が第1蒸気通路151を有しているが、蒸気流路部150は第1蒸気通路151を有していなくてもよい。すなわち、枠体部132とランド部133とが隣接するように配置され、枠体部132とランド部133との間に蒸気通路が設けられていなくてもよい。
図41に示すように、第1蒸気通路151および第2蒸気通路152は、シート本体131の第1本体面131aから第2本体面131bに貫通していてもよい。すなわち、本体シート130のシート本体131を貫通していてもよい。第1蒸気通路151および第2蒸気通路152は、第1本体面131aに設けられた第1蒸気流路凹部153と、第2本体面131bに設けられた第2蒸気流路凹部154とによってそれぞれ構成されている。第1蒸気流路凹部153と第2蒸気流路凹部154とが連通して、蒸気流路部150の第1蒸気通路151および第2蒸気通路152が、第1本体面131aから第2本体面131bにわたって延びるように形成されている。
第1蒸気流路凹部153は、後述するエッチング工程において、本体シート130の第1本体面131aからエッチングされることによって、第1本体面131aに凹状に形成される。このことにより、第1蒸気流路凹部153は、図45に示すように、湾曲状に形成された壁面153aを有している。この壁面153aは、第1蒸気流路凹部153を画定し、図45に示す断面において、第2本体面131bに向かって進むにつれて、対向する壁面153aに近づくように湾曲している。このような第1蒸気流路凹部153は、第1蒸気通路151の一部(下半分)および第2蒸気通路152の一部(下半分)を構成している。
第2蒸気流路凹部154は、後述するエッチング工程において、本体シート130の第2本体面131bからエッチングされることによって、第2本体面131bに凹状に形成される。このことにより、第2蒸気流路凹部154は、図45に示すように、湾曲状に形成された壁面154aを有している。この壁面154aは、第2蒸気流路凹部154を画定し、図45に示す断面において、第1本体面131aに向かって進むにつれて、対向する壁面154aに近づくように湾曲している。このような第2蒸気流路凹部154は、第1蒸気通路151の一部(上半分)および第2蒸気通路152の一部(上半分)を構成している。
図45に示すように、第1蒸気流路凹部153の壁面153aと、第2蒸気流路凹部154の壁面154aとが連接して貫通部134が形成されている。壁面153aと壁面154aはそれぞれ貫通部134に向かって湾曲している。このことにより、第1蒸気流路凹部153と第2蒸気流路凹部154とが互いに連通している。第1蒸気通路151における貫通部134の平面形状は、第1蒸気通路151と同様に矩形枠状になっていてもよく、第2蒸気通路152における貫通部134の平面形状は、第2蒸気通路152と同様に細長の矩形形状になっていてもよい。貫通部134は、第1蒸気流路凹部153の壁面153aと第2蒸気流路凹部54の壁面154aとが合流し、内側に張り出すように形成された稜線によって画定されていてもよい。この貫通部134において蒸気流路部150の平面面積が最小になっている。このような貫通部134の幅ww2,ww2’(図45参照)は、例えば、100μm~3000μmであってもよい。ここで、貫通部134の幅ww2は、Y方向において互いに隣り合うランド部133の間のギャップに相当する。また、貫通部134の幅ww2’は、Y方向(またはX方向)における枠体部132とランド部133との間のギャップに相当する。
Z方向における貫通部134の位置は、第1本体面131aと第2本体面131bとの中間位置でもよく、中間位置から下側または上側にずれた位置でもよい。第1蒸気流路凹部153と第2蒸気流路凹部154とが連通すれば、貫通部134の位置は任意である。
また、図示された例においては、第1蒸気通路151および第2蒸気通路152の断面形状が、内側に張り出すように形成された稜線によって画定された貫通部134を含むように形成されているが、これに限られることはない。例えば、第1蒸気通路151の断面形状および第2蒸気通路152の断面形状は、台形形状や矩形形状であってもよく、あるいは樽形の形状になっていてもよい。
このように構成された第1蒸気通路151および第2蒸気通路152を含む蒸気流路部150は、上述した密封空間103の一部を構成している。図41に示すように、第1蒸気通路151および第2蒸気通路152は、主として、第1シート110と、第2シート120と、上述したシート本体131の枠体部132およびランド部133と、によって画定されている。各蒸気通路151、152は、作動蒸気102aが通るように比較的大きな流路断面積を有している。
ここで、図41は、図面を明瞭にするために、第1蒸気通路151および第2蒸気通路152等を拡大して示しており、これらの蒸気通路151、152等の個数や配置は、図38~図40、図44とは異なっている。
ところで、図示しないが、蒸気流路部150内に、ランド部133を枠体部132に支持する支持部が複数設けられていてもよい。また、互いに隣り合うランド部133同士を支持する支持部が設けられていてもよい。これらの支持部は、X方向においてランド部133の両側に設けられていてもよく、Y方向におけるランド部133の両側に設けられていてもよい。支持部は、蒸気流路部150を拡散する作動蒸気102aの流れを妨げないように形成されていてもよい。例えば、本体シート130のシート本体131の第1本体面131aおよび第2本体面131bのうちの一方の側に配置されて、他方の側には、蒸気流路凹部をなす空間が形成されるようにしてもよい。このことにより、支持部の厚さをシート本体131の厚さよりも薄くすることができ、第1蒸気通路151および第2蒸気通路152が、X方向およびY方向において分断されることを防止することができる。
図41、図44および図45に示すように、本体シート130のシート本体131の第2本体面131bに、主として作動液102bが通る液流路部160が設けられている。より具体的には、液流路部160は、本体シート130の各ランド部133における第2本体面131bに設けられている。液流路部160には、作動蒸気102aも通ってもよい。この液流路部160は、上述した密封空間103の一部を構成しており、蒸気流路部150に連通している。液流路部160は、作動液102bを蒸発領域SR1、SR2に輸送するための毛細管構造(ウィック)として構成されている。液流路部160は、各ランド部133の第2本体面131bの全体にわたって形成されていてもよい。液流路部160は、第1方向、すなわち、X方向に延びるように配置されている。図示された例においては、シート本体131の各ランド部133における第1本体面131aには、液流路部160は設けられていないが、シート本体131のランド部133における第2本体面131bに、液流路部160が設けられていてもよい。
図46に示すように、液流路部160は、第2本体面131bに設けられた複数の溝で構成されている。より具体的には、液流路部160は、作動液102bが通る複数の液流路主流溝161と、液流路主流溝161に連通する複数の液流路連絡溝165と、を有している。
各液流路主流溝161は、図46に示すように、X方向に延びるように形成されている。液流路主流溝161は、主として、作動液102bが毛細管作用によって流れるように、蒸気流路部150の第1蒸気通路151または第2蒸気通路152よりも小さな流路断面積を有している。このことにより、液流路主流溝161は、作動蒸気102aから凝縮した作動液102bを蒸発領域SR1、SR2に輸送するように構成されている。各液流路主流溝161は、Y方向において離間して配置されていてもよい。
液流路主流溝161は、後述するエッチング工程において、本体シート130のシート本体131の第2本体面131bからエッチングされることによって形成される。このことにより、液流路主流溝161は、図45に示すように、湾曲状に形成された壁面162を有している。この壁面162は、液流路主流溝161を画定し、第1本体面131aに向かって凹状に湾曲している。
図45および図46に示す液流路主流溝161の幅ww3(Y方向における寸法)は、例えば、5μm~150μmであってもよい。なお、液流路主流溝161の幅ww3は、第2本体面131bにおける寸法を意味している。また、図45に示す液流路主流溝161の深さhh1(Z方向における寸法)は、例えば、3μm~150μmであってもよい。
図46に示すように、各液流路連絡溝165は、X方向とは異なる方向に延びている。図示された例においては、各液流路連絡溝165は、Y方向に延びるように形成されており、液流路主流溝161に垂直に形成されている。いくつかの液流路連絡溝165は、互いに隣り合う液流路主流溝161同士を連通するように配置されている。他の液流路連絡溝165は、蒸気流路部150(第1蒸気通路151または第2蒸気通路152)と液流路主流溝161とを連通するように配置されている。すなわち、当該液流路連絡溝165は、Y方向におけるランド部133の端縁から当該端縁に隣り合う液流路主流溝161に延びている。このようにして、蒸気流路部150の第1蒸気通路151または第2蒸気通路152と液流路主流溝161とが連通している。
液流路連絡溝165は、主として、作動液102bが毛細管作用によって流れるように、蒸気流路部150の第1蒸気通路151または第2蒸気通路152よりも小さな流路断面積を有している。各液流路連絡溝165は、X方向において離間して配置されていてもよい。
液流路連絡溝165も、液流路主流溝161と同様に、エッチングによって形成され、液流路主流溝161と同様の湾曲状に形成された壁面(図示せず)を有している。図46に示す液流路連絡溝165の幅ww4(X方向における寸法)は、液流路主流溝161の幅ww3と等しくてもよいが、幅ww3よりも大きくてもよいし、小さくてもよい。液流路連絡溝165の深さは、液流路主流溝161の深さhh1と等しくてもよいが、深さhh1よりも深くてもよいし、浅くてもよい。
図46に示すように、液流路部160は、シート本体131の第2本体面131bに設けられた液流路凸部列163を有している。液流路凸部列163は、互いに隣り合う液流路主流溝161の間に設けられている。各液流路凸部列163は、X方向に配列された複数の液流路凸部164を含んでいる。液流路凸部164は、液流路部160内に設けられており、第2シート120に当接している。各液流路凸部164は、平面視で、X方向が長手方向となるように矩形形状に形成されている。Y方向において互いに隣り合う液流路凸部164の間に、液流路主流溝161が介在され、X方向において互いに隣り合う液流路凸部164の間に、液流路連絡溝165が介在されている。液流路連絡溝165は、Y方向に延びるように形成され、Y方向において互いに隣り合う液流路主流溝161同士を連通している。このことにより、これらの液流路主流溝161の間で作動液102bが往来可能になっている。
液流路凸部164は、後述するエッチング工程においてエッチングされることなく、本体シート130の材料が残る部分である。図46に示す例においては、液流路凸部164の平面形状(本体シート130のシート本体131の第2本体面131bの位置における形状)が、矩形形状になっている。
図46に示す例においては、液流路凸部164は、千鳥状に配置されている。より具体的には、Y方向において互いに隣り合う液流路凸部列163の液流路凸部164が、X方向において互いにずれて配置されている。このずれ量は、X方向における液流路凸部164の配列ピッチの半分であってもよい。液流路凸部164の幅ww5(Y方向における寸法)は、例えば、5μm~500μmであってもよい。なお、液流路凸部164の幅ww5は、第2本体面131bにおける寸法を意味している。なお、液流路凸部164の配置は、千鳥状であることに限られることはなく、並列配列されていてもよい。この場合、Y方向において互いに隣り合う液流路凸部列163の液流路凸部164が、X方向においても整列される。
液流路主流溝161は、液流路連絡溝165に連通する液流路交差部166を含んでいる。液流路交差部166において、液流路主流溝161と液流路連絡溝165とがT字状に連通している。このことにより、一の液流路主流溝161と、一方の側(例えば、図46における上側)の液流路連絡溝165とが連通している液流路交差部166において、他方の側(例えば、図46における下側)の液流路連絡溝165が当該液流路主流溝161に連通することを回避することができる。このことにより、当該液流路交差部166において、液流路主流溝161の壁面162が両側(図46における上側および下側)で切り欠かれることを防止し、壁面162の一方の側を残存させることができる。このため、液流路交差部166においても、液流路主流溝161内の作動液に毛細管作用を付与させることができ、蒸発領域SRに向かう作動液102bの推進力が液流路交差部166で低下することを抑制することができる。
図44に示すように、本体シート130のシート本体131の四隅に、アライメント孔135が設けられていてもよい。図44に示す例においては、アライメント孔135の平面形状は円形であるが、これに限られることはない。アライメント孔135は、本体シート130のシート本体131を貫通していてもよい。
また、図40に示すように、ベーパーチャンバ101は、X方向負側(図40における左側)の端縁に設けられた、密封空間103に作動液102bを注入するための注入部104を備えていてもよい。図40に示す例においては、注入部104は、凝縮領域CR1、CR2の側に配置されている。注入部104は、本体シート130に形成された注入流路137を有していてもよい。作動液102bが注入された後、注入流路137は封止されてもよい。
ところで、上述したように、本実施の形態によるベーパーチャンバ101は、屈曲線BLに沿って屈曲している(図38および図39参照)。この屈曲線BLは、上述した蒸気通路152aが延びる方向である第1方向と平行な方向に延びている。このため、ベーパーチャンバ101は、第1方向と平行な方向に沿って屈曲している。上述したように、本実施の形態においては、第1方向はX方向である。図39に示すように、ベーパーチャンバ101は、第1シート110が屈曲の外側に位置し、第2シート120が屈曲の内側に位置するように屈曲していてもよい。
また、ベーパーチャンバ101は、蒸気通路152aが配置された位置で屈曲していてもよい。すなわち、ベーパーチャンバ101は、蒸気通路152aに沿うように屈曲していてもよい。
屈曲部BPにおいて、蒸気通路152aの流路断面積は狭くなり得る。例えば、図39に示すように、屈曲部BPにおいて、第1シート110の第1シート内面110bと第2シート120の第2シート内面120aとが接触することにより、蒸気通路152aの流路断面積が狭くなり得る。このことにより、第1領域RR1と第2領域RR2との間での作動蒸気102aの往来が抑制される。
ベーパーチャンバ101を屈曲させた際、第1シート110は、屈曲部BPにおいて引っ張り応力を受けて内側(第2シート120の側)に向かって窪むように変形する。また、第2シート120は、屈曲部BPにおいて圧縮応力を受けて内側(第1シート110の側)に向かって窪むように変形する。このことにより、ベーパーチャンバ1を屈曲させた際に、図39に示すように、第1シート110の第1シート内面110bと第2シート120の第2シート内面120aとが接触し、蒸気通路152aの流路断面積が狭くなり得る。
なお、図示された例においては、第1シート110の第1シート内面110bと第2シート120の第2シート内面120aとが接触しているが、このことに限られることはなく、屈曲部BPにおいて、第1シート110の第1シート内面110bと第2シート120の第2シート内面120aとが接触せず、第1シート内面110bと第2シート内面120aとの間に隙間が設けられていてもよい。このような場合であっても、屈曲部BPにおいて蒸気通路152aの流路断面積が狭くなるため、第1領域RR1と第2領域RR2との間での作動蒸気102aの往来が抑制される。
第1シート110、第2シート120および本体シート130を構成する材料は、熱伝導率が良好な材料であれば特に限られることはないが、第1シート110、第2シート120および本体シート130は、例えば、銅または銅合金を含んでいてもよい。この場合、各シート110、120、130の熱伝導率を高めることができ、ベーパーチャンバ101の放熱効率を高めることができる。また、作動流体102a、102bとして純水を使用する場合には、腐食することを防止することができる。なお、所望の放熱効率を得るとともに腐食を防止することができれば、これらのシート110、120、130には、アルミニウムやチタン等の他の金属材料や、ステンレス等の他の金属合金材料を用いることもできる。
図41に示すベーパーチャンバ101の厚さtt1は、例えば、100μm~1000μmであってもよい。ベーパーチャンバ101の厚さtt1を100μm以上にすることにより、蒸気流路部150を適切に確保することができ、ベーパーチャンバ101として適切に機能させることができる。一方、ベーパーチャンバ101の厚さtt1を1000μm以下にすることにより、ベーパーチャンバ101が厚くなることを抑制することができる。
図41に示す第1シート110の厚さtt2は、例えば、6μm~100μmであってもよい。第1シート110の厚さtt2を6μm以上にすることにより、第1シート110の機械的強度を確保することができる。一方、第1シート110の厚さtt2を100μm以下にすることにより、ベーパーチャンバ101の厚さtt1が厚くなることを抑制することができる。同様に、図41に示す第2シート120の厚さtt3は、第1シート110の厚さtt2と同様に設定されていてもよい。第2シート120の厚さtt3と第1シート110の厚さtt2とは、異なっていてもよい。
図41に示す本体シート130の厚さtt4は、例えば、50μm~400μmであってもよい。本体シート130の厚さtt4を50μm以上にすることにより、蒸気流路部150を適切に確保することができ、ベーパーチャンバ101として適切に動作させることができる。一方、本体シート130の厚さtt4を400μm以下にすることにより、ベーパーチャンバ101の厚さtt1が厚くなることを抑制することができる。
次に、このような構成からなるベーパーチャンバ101の製造方法について、図47~図50を用いて説明する。
ここでは、初めに、各シート110、120、130を準備するシート準備工程について説明する。このシート準備工程は、第1シート110を準備する第1シート準備工程と、第2シート120を準備する第2シート準備工程と、本体シート130を準備する本体シート準備工程と、を含んでいる。
第1シート準備工程においては、まず、所望の厚さを有する第1シート母材を準備する。第1シート母材は、圧延材であってもよい。続いて、第1シート母材をエッチングすることにより、所望の平面形状を有する第1シート110を形成する。あるいは、第1シート母材をプレス加工することにより、所望の平面形状を有する第1シート110を形成してもよい。このようにして、図42に示すような外形輪郭形状を有する第1シート110を準備することができる。
第2シート準備工程においても、第1シート準備工程と同様に、まず、所望の厚さを有する第2シート母材を準備する。第2シート母材は、圧延材であってもよい。続いて、第2シート母材をエッチングすることにより、所望の平面形状を有する第2シート120を形成する。あるいは、第2シート母材をプレス加工することにより、所望の平面形状を有する第2シート120を形成してもよい。このようにして、図43に示すような外形輪郭形状を有する第2シート120を準備することができる。
本体シート準備工程は、金属材料シートMを準備する材料シート準備工程と、金属材料シートMをエッチングするエッチング工程と、を含んでいる。
まず、材料シート準備工程において、図47に示すように、第1材料面Maと第2材料面Mbとを含む、平板状の金属材料シートMを準備する。金属材料シートMは、所望の厚さを有する圧延材であってもよい。
次に、エッチング工程において、図48に示すように、金属材料シートMを、第1材料面Maおよび第2材料面Mbからエッチングして、蒸気流路部150および液流路部160を形成する。
より具体的には、金属材料シートMの第1材料面Maおよび第2材料面Mbに、フォトリソフィー技術によって、パターン状のレジスト膜(図示せず)が形成される。このレジスト膜のパターンは、上述した蒸気流路部150や液流路部160のパターンを含んでいる。続いて、パターン状のレジスト膜の開口を介して、金属材料シートMの第1材料面Maおよび第2材料面Mbがエッチングされる。このことにより、金属材料シートMの第1材料面Maおよび第2材料面Mbがパターン状にエッチングされて、図48に示すような蒸気流路部150および液流路部160が形成される。なお、エッチング液には、例えば、塩化第二鉄水溶液等の塩化鉄系エッチング液、または塩化銅水溶液等の塩化銅系エッチング液を用いてもよい。
エッチング工程において、金属材料シートMの第1材料面Maおよび第2材料面Mbを同時にエッチングしてもよい。しかしながら、このことに限られることはなく、第1材料面Maと第2材料面Mbのエッチングは別々の工程として行われてもよい。また、蒸気流路部150および液流路部160が同時にエッチングで形成されてもよく、別々の工程で形成されてもよい。
また、エッチング工程においては、金属材料シートMの第1材料面Maおよび第2材料面Mbをエッチングすることにより、図44に示すような所定の外形輪郭形状を得ることができる。すなわち、図44に示すような外周縁を有する本体シート130を得ることができる。
このようにして、図44に示すような本体シート130を準備することができる。
準備工程の後、接合工程として、図49に示すように、第1シート110、第2シート120および本体シート130を接合する。
より具体的には、まず、第1シート110、第2シート120および本体シート130をこの順番で積層する。この場合、第1シート110の第1シート内面110bに本体シート130の第1本体面131aが重ね合わされ、本体シート130の第2本体面131bに、第2シート120の第2シート内面120aが重ね合わされる。この際、第1シート110のアライメント孔112と、本体シート130のアライメント孔135と、第2シート120のアライメント孔122とを利用して、各シート110、120、130が位置合わせされてもよい。
続いて、第1シート110、第2シート120および本体シート130を仮止めする。例えば、スポット的に抵抗溶接を行って、これらのシート110、120、130を仮止めしてもよく、あるいはレーザ溶接でこれらのシート110、120、130を仮止めしてもよい。
次に、第1シート110、第2シート120および本体シート130を、熱圧着によって恒久的に接合する。例えば、拡散接合によって、これらのシート110、120、130を恒久的に接合してもよい。このことにより、第1シート110と第2シート120との間に、蒸気流路部150と液流路部160とを有する密封空間103が形成される。この段階では、密封空間103は、上述した注入流路137が封止されておらず、注入流路137を介して外部に連通している。
接合工程の後、注入工程として、注入部104の注入流路137から密封空間103に作動液102bを注入する。
注入工程の後、封止工程として、注入流路137を封止する。このことにより、密封空間103と外部との連通が遮断され、密封空間103が密封される。このため、作動液102bが封入された密封空間103を得ることができ、密封空間103内の作動液102bが外部に漏洩することを防止することができる。
このようにして、図40に示すような、作動液102bが封入された、薄い平板状のベーパーチャンバ101を得ることができる。
封止工程の後、屈曲工程として、図50に示すように、第1シート110、第2シート120および本体シート130を屈曲線BLに沿って、すなわち、蒸気通路152aが延びる方向である第1方向と平行な方向に沿って屈曲させる。このことにより、ベーパーチャンバ101に、屈曲部BPを介して隔てられた第1領域RR1および第2領域RR2が形成される。ベーパーチャンバ101は、蒸気通路152aが配置された位置で屈曲される。このことにより、ベーパーチャンバ101を屈曲させた際、第1シート110は、屈曲部BPにおいて引っ張り応力を受けて内側に向かって窪むように変形し、第2シート120は、屈曲部BPにおいて圧縮応力を受けて内側に向かって窪むように変形する。このため、屈曲部BPにおいて、第1シート110の第1シート内面110bと第2シート120の第2シート内面120aとが接触し、第2蒸気通路152の流路断面積が狭くなる。この結果、第1領域RR1と第2領域RR2との間での作動蒸気102aの往来が抑制されるようになる。
以上のようにして、図38および図39に示すような、屈曲したベーパーチャンバ101を得ることができる。
次に、ベーパーチャンバ101の作動方法、すなわち、デバイスDの冷却方法について説明する。
上述のようにして得られたベーパーチャンバ101は、モバイル端末等のハウジングH内に設置される。ここで、第1シート110の第1シート外面110aがハウジング部材Haで覆われるとともに、第2シート120の第2シート外面120bに、被冷却装置であるCPU等のデバイスD1、D2が取り付けられる。第1のデバイスD1は、ベーパーチャンバ101の第1領域RR1に取り付けられ、第2のデバイスD2は、ベーパーチャンバ101の第2領域RR2に取り付けられる。密封空間103内の作動液102bは、その表面張力によって、密封空間103の壁面、すなわち、第1蒸気流路凹部153の壁面153a、第2蒸気流路凹部154の壁面154a、液流路部160の液流路主流溝161の壁面162および液流路連絡溝165の壁面に付着する。また、作動液102bは、第1シート110の第1シート内面110bのうち第1蒸気流路凹部153に露出した部分にも付着し得る。さらに、作動液102bは、第2シート120の第2シート内面120aのうち第2蒸気流路凹部154、液流路主流溝161および液流路連絡溝165に露出した部分にも付着し得る。
この状態で第1のデバイスD1が発熱すると、第1の蒸発領域SR1(図44参照)に存在する作動液102bが、第1のデバイスD1から熱を受ける。受けた熱は潜熱として吸収されて作動液102bが蒸発(気化)し、作動蒸気102aが生成される。生成された作動蒸気102aの多くは、密封空間103を構成する第1蒸気流路凹部153および第2蒸気流路凹部154内で拡散する(図44の実線矢印参照)。各蒸気流路凹部153、154内の作動蒸気102aは、第1の蒸発領域SR1から離れ、作動蒸気102aの多くは、比較的温度の低い第1の凝縮領域CR1(図44における左側の部分)に輸送される。第1の凝縮領域CR1において、作動蒸気102aは、主として第1シート110に放熱して冷却される。第1シート110が作動蒸気102aから受けた熱は、ハウジング部材Ha(図39参照)を介して外気に伝達される。
作動蒸気102aは、第1の凝縮領域CR1において第1シート110に放熱することにより、第1の蒸発領域SR1において吸収した潜熱を失って凝縮し、作動液102bが生成される。生成された作動液102bは、各蒸気流路凹部153、154の壁面153a、154aおよび第1シート110の第1シート内面110bおよび第2シート120の第2シート内面120aに付着する。ここで、第1の蒸発領域SR1では作動液102bが蒸発し続けているため、第1の凝縮領域CR1における作動液102bは、各液流路主流溝161の毛細管作用により、第1の蒸発領域SR1に向かって輸送される(図44の破線矢印参照)。このことにより、各壁面153a、154a、第1シート内面110bおよび第2シート内面120aに付着した作動液102bは、液流路部160に移動し、液流路連絡溝165を通過して液流路主流溝161に入り込む。このようにして、各液流路主流溝161および各液流路連絡溝165に、作動液102bが充填される。このため、充填された作動液102bは、各液流路主流溝161の毛細管作用により、第1の蒸発領域SR1に向かう推進力を得て、第1の蒸発領域SR1に向かってスムースに輸送される。
液流路部160においては、各液流路主流溝161が、対応する液流路連絡溝165を介して、隣り合う他の液流路主流溝161に連通している。このことにより、互いに隣り合う液流路主流溝161同士で、作動液102bが往来し、液流路主流溝161でドライアウトが発生することが抑制されている。このため、各液流路主流溝161内の作動液102bに毛細管作用が付与されて、作動液102bは、第1の蒸発領域SR1に向かってスムースに輸送される。
第1の蒸発領域SR1に達した作動液102bは、第1のデバイスD1から再び熱を受けて蒸発する。作動液102bから蒸発した作動蒸気102aは、第1の蒸発領域SR1内の液流路連絡溝165を通って、流路断面積が大きい第1蒸気流路凹部153および第2蒸気流路凹部154に移動し、各蒸気流路凹部153、154内で拡散する。このようにして、作動流体102a、102bが、相変化、すなわち蒸発と凝縮とを繰り返しながら密封空間103内を還流して第1のデバイスD1の熱を輸送して放出する。この結果、第1のデバイスD1が冷却される。
また同様に、第2のデバイスD2が発熱すると、第2の蒸発領域SR2(図44参照)に存在する作動液102bが、第2のデバイスD2から熱を受ける。受けた熱は潜熱として吸収されて作動液102bが蒸発(気化)し、作動蒸気102aが生成される。生成された作動蒸気102aの多くは、密封空間103を構成する第1蒸気流路凹部153および第2蒸気流路凹部154内で拡散する(図44の実線矢印参照)。各蒸気流路凹部153、154内の作動蒸気102aは、第2の蒸発領域SR2から離れ、作動蒸気102aの多くは、比較的温度の低い第2の凝縮領域CR2(図44における左側の部分)に輸送される。第1の凝縮領域CR2において、作動蒸気102aは、主として第1シート110に放熱して冷却される。第1シート110が作動蒸気102aから受けた熱は、ハウジング部材Ha(図39参照)を介して外気に伝達される。
作動蒸気102aは、第2の凝縮領域CR2において第1シート110に放熱することにより、第2の蒸発領域SR2において吸収した潜熱を失って凝縮し、作動液102bが生成される。生成された作動液102bは、各蒸気流路凹部153、154の壁面153a、154aおよび第1シート110の第1シート内面110bおよび第2シート120の第2シート内面120aに付着する。ここで、第2の蒸発領域SR2では作動液102bが蒸発し続けているため、第2の凝縮領域CR2における作動液102bは、各液流路主流溝161の毛細管作用により、第2の蒸発領域SR2に向かって輸送される(図44の破線矢印参照)。このことにより、各壁面153a、154a、第1シート内面110bおよび第2シート内面120aに付着した作動液102bは、液流路部160に移動し、液流路連絡溝165を通過して液流路主流溝161に入り込む。このようにして、各液流路主流溝161および各液流路連絡溝165に、作動液102bが充填される。このため、充填された作動液102bは、各液流路主流溝161の毛細管作用により、第2の蒸発領域SR2に向かう推進力を得て、第2の蒸発領域SR2に向かってスムースに輸送される。
液流路部160においては、各液流路主流溝161が、対応する液流路連絡溝165を介して、隣り合う他の液流路主流溝161に連通している。このことにより、互いに隣り合う液流路主流溝161同士で、作動液102bが往来し、液流路主流溝161でドライアウトが発生することが抑制されている。このため、各液流路主流溝161内の作動液102bに毛細管作用が付与されて、作動液102bは、第2の蒸発領域SR2に向かってスムースに輸送される。
第2の蒸発領域SR2に達した作動液102bは、第2のデバイスD2から再び熱を受けて蒸発する。作動液102bから蒸発した作動蒸気102aは、第2の蒸発領域SR2内の液流路連絡溝165を通って、流路断面積が大きい第1蒸気流路凹部153および第2蒸気流路凹部154に移動し、各蒸気流路凹部153、154内で拡散する。このようにして、作動流体102a、102bが、相変化、すなわち蒸発と凝縮とを繰り返しながら密封空間103内を還流して第2のデバイスD2の熱を輸送して放出する。この結果、第2のデバイスD2が冷却される。
ここで、本実施の形態においては、ベーパーチャンバ101は、蒸気通路152aが延びる方向である第1方向と平行な方向に沿って屈曲している。上述したように、屈曲部BPにおいては、第1領域RR1と第2領域RR2との間での作動蒸気102aの往来が抑制される。このため、屈曲したベーパーチャンバ101において、屈曲部BPを介した伝熱を抑制することができる。この結果、一つのベーパーチャンバ101に、複数のベーパーチャンバ(本実施の形態においては二つのベーパーチャンバ)の機能を持たせることができる。
例えば、第1のデバイスD1が動作し発熱しており、第2のデバイスD2が動作しておらず発熱していない場合、第1のデバイスD1からの熱を受けた作動蒸気102aが、第1領域RR1から第2領域RR2に移動し、第2のデバイスD2に熱を伝達することを抑制することができる。また例えば、第1のデバイスD1の発熱量が多く、第2のデバイスD2の発熱量が少ない場合、第1のデバイスD1からの熱を受けた作動蒸気102aが、第1領域RR1から第2領域RR2に移動し、第2のデバイスD2に熱を伝達することを抑制することができる。デバイスDは、その種類によってその耐熱温度が異なる。このため、例えば、第2のデバイスD2の耐熱温度が第1のデバイスD1の耐熱温度よりも低い場合に、第1のデバイスD1の熱が第2のデバイスD2に伝達されて、第2のデバイスD2が熱的に損傷することを防止することができる。
このように本実施の形態によれば、ベーパーチャンバ101は、第1方向と平行な方向に沿って屈曲している。このことにより、屈曲部BPにおいて、第1領域RR1と第2領域RR2との間での作動蒸気102aの往来を抑制することができる。このため、屈曲したベーパーチャンバ101において、屈曲部BPを介した伝熱を抑制することができる。
また、本実施の形態によれば、一つのベーパーチャンバ101に、複数のベーパーチャンバ101の機能を持たせることができる。このため、複数のベーパーチャンバ101を製造する場合よりも、ベーパーチャンバ101の製造コストを低減することができる。
また、本実施の形態によれば、ベーパーチャンバ101が第1方向と平行な方向に沿って屈曲していることにより、屈曲部BPが蒸気通路152aと交差することを回避することができる。このことにより、各領域RR1、RR2内において、蒸気通路152aにおける作動蒸気102aの圧力損失の増大を抑制することができる。このため、ベーパーチャンバ101の熱輸送能力の低下を抑制することができる。
また、本実施の形態によれば、ベーパーチャンバ101は、蒸気通路152aが配置された位置で屈曲している。このことにより、屈曲部BPでの蒸気通路152aにおける作動蒸気102aの圧力損失を増大させることができる。このため、屈曲部BPにおいて、第1領域RR1と第2領域RR2との間での作動蒸気102aの往来をより一層抑制することができる。この結果、屈曲部BPを介した伝熱をより一層抑制することができる。
また、本実施の形態によれば、ベーパーチャンバ101が、蒸気通路152aが配置された位置で屈曲していることにより、ベーパーチャンバ101の屈曲工程において、ベーパーチャンバ101を容易に屈曲させることができる。このため、屈曲したベーパーチャンバ101の製造を容易化することができる。
なお、上述した第4の実施の形態においては、ランド部133の第2本体面131bに液流路部160が設けられ、ランド部133の第1本体面131aに液流路部160が設けられていない例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、図51に示すように、ランド部133の第2本体面131bに液流路部160が設けられず、ランド部133の第1本体面131aに液流路部160が設けられていてもよい。
また、図52に示すように、ランド部133の第2本体面131bに液流路部160が設けられるとともに、ランド部133の第1本体面131aにも液流路部160が設けられていてもよい。この場合、第1本体面131aに設けられた液流路部160と第2本体面131bに設けられた液流路部160は、同様に構成されていてもよいが、互いに異なるように構成されていてもよい。例えば、図52に示すように、第1本体面131aに設けられた液流路部160の流路断面積が、第2本体面131bに設けられた液流路部160の流路断面積よりも大きくてもよい。第1本体面131aに設けられた液流路部160は、電子デバイスDが発熱を停止している間に、液貯蔵部として機能してもよい。
また、上述した第4の実施の形態において、図53に示すように、屈曲部BPにおいて、蒸気通路152aの高さhh2は、ランド部133の幅ww1よりも小さくてもよい。ここで、蒸気通路152aの高さhh2は、Z方向における蒸気通路152aの最小寸法を意味し、Z方向における第1シート内面110bと第2シート内面120aとの間の最小距離に相当する。ランド部133の幅ww1は、Y方向におけるランド部133の寸法であって、Z方向において貫通部134が存在する位置における寸法を意味している。この場合、ベーパーチャンバ101を屈曲線BLに沿って屈曲させた際に、屈曲部BPにおいて、第1シート内面110bと第2シート内面120aとの間の隙間をより小さくすることができ、蒸気通路152aの流路断面積をより狭くすることができる。このことにより、屈曲部BPでの蒸気通路152aにおける作動蒸気102aの圧力損失を更に増大させることができる。このため、屈曲部BPにおいて、第1領域RR1と第2領域RR2との間での作動蒸気102aの往来をより一層抑制することができ、屈曲部BPを介した伝熱をより一層抑制することができる。
また、上述した第4の実施の形態において、図54に示すように、屈曲線BLが位置する蒸気通路152aの幅ww2aは、屈曲線BLが位置しない蒸気通路152aの幅ww2bよりも大きくてもよい。ここで、蒸気通路152aの幅ww2a、ww2bは、Y方向における蒸気通路152aの寸法であって、Z方向において貫通部134が存在する位置における寸法を意味している。蒸気通路152aの幅ww2a、ww2bは、Y方向において互いに隣り合うランド部133の間のギャップに相当する。この場合も、ベーパーチャンバ101を屈曲線BLに沿って屈曲させた際に、屈曲部BPにおいて、第1シート内面110bと第2シート内面120aとの間の隙間をより小さくすることができ、蒸気通路152aの流路断面積をより狭くすることができる。このことにより、屈曲部BPでの蒸気通路152aにおける作動蒸気102aの圧力損失を更に増大させることができる。このため、屈曲部BPにおいて、第1領域RR1と第2領域RR2との間での作動蒸気102aの往来をより一層抑制することができ、屈曲部BPを介した伝熱をより一層抑制することができる。
また、上述した第4の実施の形態において、図55に示すように、屈曲線BLが位置する蒸気通路152aと隣り合うランド部133に、屈曲線BLが位置する蒸気通路152aと屈曲線BLが位置しない蒸気通路152aとを連通する連通溝136が設けられていてもよい。この場合、屈曲していない蒸気通路152aから屈曲した蒸気通路152aに作動蒸気102aを拡散することができ、屈曲した蒸気通路152aを蒸気通路として有効に活用することができる。また、電子デバイスDが発熱を停止している間には、連通溝136は、毛細管力によって、作動液102bを貯蔵することができる。また、連通溝136は、X方向に連続的に設けられていてもよいが、X方向に離散して部分的に設けられていてもよい。この場合、ベーパーチャンバ101の機械的強度の低下を抑制しつつ、上記効果を得ることができる。
また、上述した第4の実施の形態において、図56に示すように、屈曲線BLが位置する蒸気通路152aの開口部の幅ww6aは、屈曲線BLが位置しない蒸気通路152aの幅ww6bよりも大きくてもよい。ここで、蒸気通路152aの開口部の幅ww6a、ww6bは、Y方向における蒸気通路152aの開口部の寸法であって、第1本体面131aまたは第2本体面131bにおける寸法を意味している。図56に示すように、屈曲線BLが位置する蒸気通路152aの第1蒸気流路凹部153の開口部の幅ww6aが、屈曲線BLが位置しない蒸気通路152aの第1蒸気流路凹部153の開口部の幅ww6bよりも大きくてもよい。図示しないが、屈曲線BLが位置する蒸気通路152aの第2蒸気流路凹部154の開口部の幅が、屈曲線BLが位置しない蒸気通路152aの第2蒸気流路凹部154の開口部の幅よりも大きくてもよい。この場合、屈曲部BPを介した伝熱を抑制しつつも、屈曲部BPでの蒸気通路152aの流路断面積を確保することができ、蒸気通路152aにおける作動蒸気102aの圧力損失の増大を抑制することができる。このため、ベーパーチャンバ101の熱輸送能力の低下を抑制することができる。
また、上述した第4の実施の形態においては、ベーパーチャンバ101が、蒸気通路152aが配置された位置で屈曲している例について説明した(図44参照)。しかしながら、このことに限られることはなく、図57に示すように、ベーパーチャンバ101は、液流路部160が配置された位置で屈曲していてもよい。
図57に示す例においては、屈曲線BLが、複数のランド部133のうちの一つのランド部133に重なっている。このため、ベーパーチャンバ101は、液流路部160が配置された位置で屈曲している。
この場合、屈曲部BPにおいて、ランド部133に設けられた液流路部160が押し潰され、液流路部160の流路断面積が狭くなり得る。このことにより、第1領域RR1と第2領域RR2との間での作動液102bの往来が抑制される。
ベーパーチャンバ101のその他の構成は、上述した第4の実施の形態と同様である。
図57に示す変形例によれば、ベーパーチャンバ101は、液流路部160が配置された位置で屈曲している。このことにより、屈曲部BPにおいて、液流路部160の毛細管力を増大させることができる。とりわけ、屈曲した液流路部160では、断面の変形により、屈曲していない他の部位に比べて薄い部位や断面積が小さい部位が生じるため、これらの部位において毛細管力を増大させることができる。このため、屈曲部BPで凝縮された作動液102bを速やかに回収することができる。
また、屈曲した液流路部160は、屈曲していない他の部位よりも作動液102bが集まりやすい。このため、屈曲した液流路部160を介して作動液102bが不足しやすい領域に作動液102bを分配することができる。このことにより、各領域RR1、RR2での作動液102bの偏在を抑制することができる。このため、ベーパーチャンバ101を各領域RR1、RR2で均熱化することができる。
また、図57に示す変形例によれば、ベーパーチャンバ101が、液流路部160が配置された位置で屈曲していることにより、蒸気通路152aにおける作動蒸気102aの圧力損失の増大を抑制することができる。このため、屈曲部BPを介した伝熱を抑制しつつ、ベーパーチャンバ101全体としての熱輸送能力の低下を抑制することができる。ベーパーチャンバ101は、限られたスペース内に、より多くの流路を配置することが重要である。とりわけ、蒸気通路152aは、作動蒸気102aが流れる、すなわち熱を輸送するための通路であるため、少しでも多く配置されることが望ましい。図57に示す変形例によれば、限られたスペース内に、より多くの蒸気通路152aを確保することができる。また、ベーパーチャンバ101の領域を有効に活用することができ、ベーパーチャンバ101の省スペース化を図ることができる。
また、図57に示す変形例において、図58に示すように、屈曲の内側に位置する第2シート120の側に液流路部160が設けられている場合、すなわち、ランド部133の第2本体面131bに液流路部160が設けられている場合、屈曲線BLが位置するランド部133に設けられた液流路主流溝161の幅ww3aは、屈曲線BLが位置しないランド部133に設けられた液流路主流溝161の幅ww3bよりも小さくてもよい。すなわち、屈曲部BPにおける液流路主流溝161の幅ww3aは、第1領域RR1および第2領域RR2における液流路主流溝161の幅ww3bよりも小さくてもよい。液流路連絡溝165の幅についても同様である。この場合、屈曲部BPにおいて、液流路部160の毛細管力を増大させることができる。このため、凝縮された作動液102bを、蒸気通路152aから液流路部160に効率良く移動させることができる。また、第2シート120が外部から押圧された際に、液流路主流溝161および液流路連絡溝165が潰れることを抑制することができる。
また、図58に示すように、屈曲部BPにおいて、第2シート120は、液流路部160に向かって凹んでいてもよい。この屈曲部BPにおける第2シート120の凹み量は、第1領域RR1および第2領域RR2における第2シート120の凹み量よりも大きくてもよい。第1領域RR1および第2領域RR2における第2シート120の凹み量はゼロであってもよい。すなわち、第1領域RR1および第2領域RR2においては、第2シート120は、液流路部160に向かって凹んでいなくてもよい。この場合、屈曲部BPにおいて、第2シート内面120aと液流路主流溝161の壁面162とがなす角度を小さくすることができる。また、第2シート内面120aと液流路連絡溝165の壁面とがなす角度を小さくすることができる。このことにより、液流路部160の毛細管力を増大させることができる。このため、凝縮された作動液102bを、蒸発領域SRに向かってスムースに輸送することができる。
また、図57に示す変形例において、図59に示すように、屈曲の外側に位置する第1シート110の側に液流路部160が設けられていてもよい。すなわち、ランド部133の第1本体面131aに液流路部160が設けられていてもよい。この場合において、図59に示すように、屈曲線BLが位置するランド部133に設けられた液流路主流溝161の幅ww3cは、屈曲線BLが位置しないランド部133に設けられた液流路主流溝161の幅ww3dよりも大きくてもよい。すなわち、屈曲部BPにおける液流路主流溝161の幅ww3cは、第1領域RR1および第2領域RR2における液流路主流溝161の幅ww3dよりも大きくてもよい。液流路連絡溝165の幅についても同様である。また、屈曲線BLが位置するランド部133に設けられた液流路主流溝161の深さhh3cは、屈曲線BLが位置しないランド部133に設けられた液流路主流溝161の深さhh3dよりも浅くてもよい。すなわち、屈曲部BPにおける液流路主流溝161の深さhh3cは、第1領域RR1および第2領域RR2における液流路主流溝161の深さhh3dよりも大きくてもよい。液流路連絡溝165の深さについても同様である。この場合、屈曲部BPにおいて、第1シート内面110bと液流路主流溝161の壁面162とがなす角度を小さくすることができる。また、第1シート内面110bと液流路連絡溝165の壁面とがなす角度を小さくすることができる。このことにより、液流路部160の毛細管力を増大させることができる。このため、凝縮された作動液102bを、蒸発領域SRに向かってスムースに輸送することができる。
また、図59に示すように、屈曲部BPにおいて、第1シート110は、液流路部160に向かって凹んでいてもよい。この屈曲部BPにおける第1シート110の凹み量は、第1領域RR1および第2領域RR2における第1シート110の凹み量よりも大きくてもよい。第1領域RR1および第2領域RR2における第1シート110の凹み量はゼロであってもよい。すなわち、第1領域RR1および第2領域RR2においては、第1シート110は、液流路部160に向かって凹んでいなくてもよい。この場合、屈曲部BPにおいて、第1シート内面110bと液流路主流溝161の壁面162とがなす角度を小さくすることができる。また、第1シート内面110bと液流路連絡溝165の壁面とがなす角度を小さくすることができる。このことにより、液流路部160の毛細管力を増大させることができる。このため、凝縮された作動液102bを、蒸発領域SRに向かってスムースに輸送することができる。
また、図57に示す変形例において、図60に示すように、ランド部133の第2本体面131bに液流路部160が設けられるとともに、ランド部133の第1本体面131aに液流路部160が設けられていてもよい。この場合において、図60に示すように、図58に示す例と同様に、液流路主流溝161の幅ww3aは、液流路主流溝161の幅ww3bよりも小さくてもよい。液流路連絡溝165の幅についても同様である。また、屈曲部BPにおいて、第2シート120は、液流路部160に向かって凹んでいてもよい。また、図59に示す例と同様に、液流路主流溝161の幅ww3cは、液流路主流溝161の幅ww3dよりも大きくてもよい。液流路連絡溝165の幅についても同様である。液流路主流溝161の深さhh3cは、液流路主流溝161の深さhh3dよりも浅くてもよい。液流路連絡溝165の深さについても同様である。また、屈曲部BPにおいて、第1シート110は、液流路部160に向かって凹んでいてもよい。この場合、図58に示す例の効果と図59に示す例の効果の両方を得ることができる。なお、図60に示す例において、第1本体面131aに設けられた液流路部160の流路断面積が、第2本体面131bに設けられた液流路部160の流路断面積よりも大きくてもよい。第1本体面131aに設けられた液流路部160は、電子デバイスDが発熱を停止している間に、液貯蔵部として機能してもよい。この場合、液流路部160の毛細管力が増大されるため、液貯蔵部となる第1本体面131aに設けられた液流路部160に、作動液102bを容易に引き込むことができる。
また、図61および図62に示すように、ランド部133の第2本体面131bに液流路部160が設けられるとともに、ランド部133の第1本体面131aに液流路部160が設けられている場合、第2本体面131bに設けられた液流路部160と第2本体面131bに設けられた液流路部160とを連通する連通路180が設けられていてもよい。図62に示すように、連通路180は、Z方向に真っ直ぐ延びて、ランド部133を貫通していてもよい。連通路180は、ランド部133の任意の位置に設けられていてもよい。図61に示すように、連通路180は、平面視で液流路主流溝161と重なる位置に設けられていてもよい。連通路180は、第2本体面131bの液流路主流溝161と第2本体面131bの液流路主流溝161とを接続していてもよい。また、図示しないが、連通路180は、平面視で液流路連絡溝165と重なる位置に設けられていてもよい。連通路180は、第2本体面131bの液流路連絡溝165と第2本体面131bの液流路連絡溝165とを接続していてもよい。連通路180が設けられていることにより、例えば、一方の液流路部160の屈曲線BL以外の位置で作動液102bが流れにくくなった場合でも、作動液102bは、連通路180を通って他方の液流路部160を流れることができる。このため、作動液102bを、蒸発領域SRに向かってスムースに輸送することができる。また、屈曲部BPにおける作動液102bの滞留を抑制することができ、屈曲部BPの温度上昇を抑制することができる。このため、屈曲部BPを介した伝熱抑制効果の低下を抑制することができる。
また、上述した第4の実施の形態においては、ベーパーチャンバ101の平面形状が矩形形状である例について説明した(図40および図44参照)。しかしながら、このことに限られることはなく、ベーパーチャンバ101の平面形状は任意である。例えば、図63に示すように、ベーパーチャンバ101の平面形状は、二つの矩形形状を合わせたような形状であってもよい。
図63に示す例においては、ベーパーチャンバ101は、矩形形状を有する第1部分101aおよび第2部分101bを有している。第2部分101bの平面面積は、第1部分101aの平面面積よりも小さくなっている。第2部分101bは、第1部分101aのX方向正側(図63における右側)の一部(右半分)から、Y方向正側(図63における上側)に向かって突出するように設けられている。枠体部132は、第1部分101aおよび第2部分101bからなる領域の周縁に設けられている。枠体部132内には、複数のランド部133が設けられている。
複数のランド部133は、複数の第1のランド部133aと、複数の第2のランド部133bと、複数の第3のランド部133cと、を含んでいる。
各第1のランド部133aは、第1部分101aに位置している。各第1のランド部133aは、X方向に延びており、Y方向において離間して、互いに平行に配置されている。図63に示す例においては、5つの第1のランド部133aが設けられている。
各第2のランド部133bは、第2部分101bに位置している。各第2のランド部133bは、X方向に延びており、Y方向において離間して、互いに平行に配置されている。図63に示す例においては、3つの第2のランド部133bが設けられている。X方向における第2のランド部133bの寸法は、X方向における第1のランド部133aの寸法よりも小さくなっている。また、図63に示すように、X方向における各第2のランド部133bの寸法は、互いに異なっていてもよい。
各第3のランド部133cは、第1のランド部133aと第2のランド部133bとを接続している。各第3のランド部133cは、Y方向に延びており、X方向において離間して、互いに平行に配置されている。図63に示す例においては、3つの第3のランド部133cが設けられている。図63に示すように、各第3のランド部133cは、対応する第2のランド部133bのX方向負側(図63における左側)の端縁に接続されていてもよい。また、各第3のランド部133cは、複数の第1のランド部133aのうち最もY方向正側(図63における上側)に位置する第1のランド部133aに接続されていてもよい。
第1のランド部133a、第2のランド部133bおよび第3のランド部133cには、それぞれ液流路部160が設けられている。第1のランド部133aの液流路部160は、第3のランド部133cの液流路部160に連通し、第3のランド部133cの液流路部160は、第2のランド部133bの液流路部160に連通している。
第2蒸気通路152は、第1方向に延びる蒸気通路152aと、第1方向に直交する第2方向に延びる蒸気通路152bと、を含んでいる。図示された例においては、第1方向はX方向である。すなわち、蒸気通路152aはX方向に延び、蒸気通路152bはY方向に延びている。蒸気通路152aは、各第1のランド部133aの間、各第2のランド部133bの間、および第1のランド部133aと第2のランド部133bとの間に設けられている。蒸気通路152bは、各第3のランド部133cの間に設けられている。
図63に示す例においては、屈曲線BLは、ベーパーチャンバ101の第1部分101aと第2部分101bとの境界部に設けられている。このため、第1領域RR1は、ベーパーチャンバ101の第1部分101aに位置し、第2領域RR2は、ベーパーチャンバ101の第2部分101bに位置するようになる。
また、図63に示す例においては、ベーパーチャンバ101の第1領域RR1に第1の蒸発領域SR1が設けられるとともに、ベーパーチャンバ101の第2領域RR2に第2の蒸発領域SR2が設けられている。より具体的には、ベーパーチャンバ101の第1領域RR1のX方向正側(図63における右側)に、第1の蒸発領域SR1が形成されている。すなわち、第1領域RR1のX方向正側に、第1のデバイスD1が取り付けられる。また、ベーパーチャンバ101の第2領域RR2のX方向正側に、第2の蒸発領域SR2が形成されている。すなわち、第2領域RR2のX方向正側に、第2のデバイスD2が取り付けられる。また、ベーパーチャンバ101の第1領域RR1のX方向負側(図63における左側)に、第1の凝縮領域CR1が形成されている。また、ベーパーチャンバ101の第2領域RR2のX方向負側に、第2の凝縮領域CR2が形成されている。
また、図63に示す例においては、屈曲線BLは、蒸気通路152aが延びる方向である第1方向と平行な方向に延びている。このため、ベーパーチャンバ101は、第1方向と平行な方向に沿って屈曲している。
また、図63に示す例においては、ベーパーチャンバ101は、蒸気通路152aが配置された位置で屈曲している。すなわち、ベーパーチャンバ101は、蒸気通路152aに沿うように屈曲している。
ベーパーチャンバ101のその他の構成は、上述した第4の実施の形態と同様である。
図63に示す変形例によれば、ベーパーチャンバ101は、蒸気通路152aが配置された位置で屈曲している。このことにより、屈曲部BPでの蒸気通路152aにおける作動蒸気102aの圧力損失を増大させることができる。このことにより、屈曲部BPにおいて、第1領域RR1と第2領域RR2との間での作動蒸気102aの往来を抑制することができる。このため、屈曲部BPを介した伝熱をより一層抑制することができる。
また、図63に示す変形例によれば、第1領域RR1と第2領域RR2との間での作動蒸気102aの往来を抑制しつつも、第1領域RR1と第2領域RR2との間での作動蒸気102aの往来を可能にすることができる。このことにより、例えば、第2のデバイスD2の熱を第1領域RR1にも伝達することができ、第1の凝縮領域CR1を、第2の蒸発領域SR2からの作動蒸気102aの凝縮領域として利用することができる。このため、効率的な放熱設計を可能にし、ベーパーチャンバ101の省スペース化を図ることができる。
また、図63に示す変形例においては、ベーパーチャンバ101が、蒸気通路152aが配置された位置で屈曲している例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、図64に示すように、ベーパーチャンバ101は、液流路部160が配置された位置で屈曲していてもよい。
図64に示す例においては、複数のランド部133のうちの一つのランド部133が、第1部分101aと第2部分101bとの境界部に設けられている。そして、このランド部133は、屈曲線BL上に位置している。このため、ベーパーチャンバ101は、液流路部160が配置された位置で屈曲している。
この場合、屈曲部BPにおいて、ランド部133に設けられた液流路部160が押し潰され、液流路部160の流路断面積が狭くなり得る。このことにより、第1領域RR1と第2領域RR2との間での作動液102bの往来が抑制される。
ベーパーチャンバ101のその他の構成は、図63に示す変形例と同様である。
図64に示す変形例によれば、ベーパーチャンバ101は、液流路部160が配置された位置で屈曲している。このことにより、屈曲部BPにおいて、液流路部160の毛細管力を増大させることができる。とりわけ、屈曲した液流路部160では、断面の変形により、屈曲していない他の部位に比べて薄い部位や断面積が小さい部位が生じるため、これらの部位において毛細管力を高めることができる。このため、屈曲部BPで凝縮された作動液102bを速やかに回収することができる。
また、屈曲した液流路部160は、屈曲していない他の部位よりも作動液102bが集まりやすい。このため、屈曲した液流路部160を介して作動液102bが不足しやすい領域に作動液102bを分配することができる。このことにより、各領域RR1、RR2での作動液102bの偏在を抑制することができる。このため、ベーパーチャンバ101を各領域RR1、RR2で均熱化することができる。
また、図64に示す変形例によれば、ベーパーチャンバ101が、液流路部160が配置された位置で屈曲していることにより、蒸気通路152aにおける作動蒸気102aの圧力損失の増大を抑制することができる。このため、屈曲部BPを介した伝熱を抑制しつつ、ベーパーチャンバ101全体としての熱輸送能力の低下を抑制することができる。ベーパーチャンバ101は、限られたスペース内に、より多くの流路を配置することが重要である。とりわけ、蒸気通路152aは、作動蒸気102aが流れる、すなわち熱を輸送するための通路であるため、少しでも多く配置されることが望ましい。図64に示す変形例によれば、限られたスペース内に、より多くの蒸気通路152aを確保することができる。また、ベーパーチャンバ101の領域を有効に活用することができ、ベーパーチャンバ101の省スペース化を図ることができる。
また、図64に示す変形例によれば、第1領域RR1と第2領域RR2との間での作動蒸気102aの往来を抑制しつつも、第1領域RR1と第2領域RR2との間での作動蒸気102aの往来を可能にすることができる。このことにより、例えば、第2のデバイスD2の熱を第1領域RR1にも伝達することができ、第1の凝縮領域CR1を、第2の蒸発領域SR2からの作動蒸気102aの凝縮領域として利用することができる。このため、効率的な放熱設計を可能にし、ベーパーチャンバ101の省スペース化を図ることができる。
また、図63に示す変形例においては、ベーパーチャンバ101が、蒸気通路152aが配置された位置で屈曲している例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、図65に示すように、ベーパーチャンバ101は、補強部138が配置された位置で屈曲していてもよい。
図65に示す例においては、本体シート130は、枠体部132から内側に延びる補強部138を有している。補強部138には、蒸気流路部150や液流路部160は配置されていない。補強部138は、エッチング工程においてエッチングされることなく、本体シート130の材料が残る部分である。枠体部132と補強部138とは、連続状に形成されていてもよい。本体シート130の枠体部132における第1本体面131aと本体シート130の補強部138における第1本体面131aとは、同一平面上に位置していてもよい。また、本体シート130の枠体部132における第2本体面131bと本体シート130の補強部138における第2本体面131bとは、同一平面上に位置していてもよい。図65に示すように、補強部138の平面形状は、X方向に延びる細長の矩形形状であってもよい。補強部138は、枠体部132のX方向正側(図65における右側)に位置する部分からX方向負側(図65における左側)に向かって突出するように設けられていてもよい。また、補強部138は、上述した第1のランド部133aと上述した第2のランド部133bとの間に設けられていてもよい。
また、図65に示す例においては、屈曲線BLが、補強部138に重なっている。このため、ベーパーチャンバ101は、補強部138が配置された位置で屈曲している。
ベーパーチャンバ101のその他の構成は、図63に示す変形例と同様である。
図65に示す変形例によれば、ベーパーチャンバ101は、補強部138が配置された位置で屈曲している。このことにより、屈曲部BPにおいて、補強部138の存在により、第1領域RR1と第2領域RR2との間での作動蒸気102aおよび作動液102bの往来をより一層抑制することができる。補強部138での伝熱は、本体シート130の材料の伝熱によって行われる。例えば、本体シート130の材料が銅である場合、その熱伝導率は400W/(m・K)程度であり、ベーパーチャンバ101ではその10倍以上の等価熱伝導率が期待できるため、補強部138の熱伝導率は相対的に小さくなる。このため、屈曲したベーパーチャンバ101において、屈曲部BPを介した伝熱をより一層抑制することができる。
また、図65に示す変形例によれば、補強部138の存在により、屈曲部BPにおけるベーパーチャンバ101の機械的強度を向上させることができる。また、ベーパーチャンバ101の内部は空洞であるが、このような補強部138の存在により、ベーパーチャンバ101の内部にバルクの部分を多く残すことができ、ベーパーチャンバ101の機械的強度を向上させることができる。
また、図65に示す変形例によれば、ベーパーチャンバ101が、補強部138が配置された位置で屈曲していることにより、蒸気通路152aや液流路部160の変形を抑制することができる。このため、屈曲部BPを介した伝熱を抑制しつつ、ベーパーチャンバ101の熱輸送能力の低下を抑制することができる。
また、図65に示す変形例によれば、第1領域RR1と第2領域RR2との間での作動蒸気102aの往来を抑制しつつも、第1領域RR1と第2領域RR2との間での作動蒸気102aの往来を可能にすることができる。このことにより、例えば、第2のデバイスD2の熱を第1領域RR1にも伝達することができ、第1の凝縮領域CR1を、第2の蒸発領域SR2からの作動蒸気102aの凝縮領域として利用することができる。このため、効率的な放熱設計を可能にし、ベーパーチャンバ101の省スペース化を図ることができる。
また、図65に示す変形例においては、ベーパーチャンバ101の平面形状が二つの矩形形状を合わせたような形状である例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、ベーパーチャンバ101の平面形状は任意である。例えば、図66に示すように、ベーパーチャンバ101の平面形状は、矩形形状であってもよい。また、この場合において、図66に示すように、本体シート130は、補強部138を有していてもよく、屈曲線BLは、補強部138に重なっていてもよい。すなわち、ベーパーチャンバ101は、補強部138が配置された位置で屈曲していてもよい。
図66に示す例においては、補強部138は、第1領域RR1と第2領域RR2との間に位置している。図66に示すように、補強部138の平面形状は、X方向に延びる細長の矩形形状であってもよい。補強部138は、枠体部132のX方向正側(図65における右側)に位置する部分からX方向負側(図65における左側)に位置する部分まで延びていてもよい。図66に示す例においては、第1領域RR1と第2領域RR2とは、補強部138によって分断されている。すなわち、補強部138の存在により、第1領域RR1と第2領域RR2との間で、作動蒸気102aおよび作動液102bが往来しないようになっている。各領域RR1、RR2は、それぞれが独立したベーパーチャンバのように機能することができる。
図66に示す変形例によれば、第1領域RR1と第2領域RR2とが補強部138によって分断されているため、屈曲部BPを介した伝熱をより一層抑制することができる。また、このような屈曲部BPの存在により、ベーパーチャンバ101の機械的強度をより一層向上させることができる。また、一つのベーパーチャンバ101に、複数のベーパーチャンバ101の機能を持たせることができるため、複数のベーパーチャンバ101を製造する場合よりも、ベーパーチャンバ101の製造コストを低減することができる。
また、図65および図66に示す変形例において、屈曲部BPにおいて、補強部138の第1本体面131aまたは第2本体面131bに、本体面凹部182が形成されていてもよい。図67および図68に示す例においては、本体面凹部182は、補強部138の第2本体面131bに形成されている。
本体面凹部182は、補強部138の第2本体面131bに凹状に形成されていてもよい。本体面凹部182は、任意の平面形状を有していてもよい。例えば、図67に示すように、本体面凹部182は、円形(真円形、楕円形等)の平面形状を有する細孔状に形成されていてもよい。また例えば、図68に示すように、本体面凹部182は、X方向に延びる溝状に形成されていてもよい。また、図67および図68に示すように、複数の本体面凹部182が、X方向に沿って並んでいてもよい。図67および図68に示すように、複数の本体面凹部182は、平面視で屈曲線BLに重なっている。すなわち、複数の本体面凹部182は、屈曲線BLに沿って配置されている。換言すると、各本体面凹部182は、平面視で屈曲線BLと重なる位置に形成される。
本体面凹部182は、上述したベーパーチャンバ101の製造方法のエッチング工程において、本体シート130をエッチングすることにより形成されてもよい。本体面凹部182は、ベーパーチャンバ101を平面視で見たときに、第1シート110または第2シート120を介して外部からも視認可能である。このため、本体面凹部182は、上述したベーパーチャンバ101の製造方法の屈曲工程において、ベーパーチャンバ101の屈曲位置の目印として機能する。すなわち、屈曲工程において、ベーパーチャンバ101を本体面凹部182に沿って屈曲させることで、屈曲線BLに沿って屈曲したベーパーチャンバ101を得ることができる。
図67および図68に示す変形例によれば、ベーパーチャンバ101を本体面凹部182に沿って屈曲させることで、屈曲線BLに沿って屈曲したベーパーチャンバ101を得ることができる。このことにより、屈曲作業性を向上することができる。また、本体面凹部182が細孔状または溝状に形成されていることにより、ベーパーチャンバ1を容易に屈曲させることができる。このため、屈曲したベーパーチャンバ101の製造を容易化することができる。とりわけ、本体面凹部182が補強部138の第2本体面131bに形成されている場合、ベーパーチャンバ101を第2シート120が屈曲の内側に位置するように屈曲させることが容易化される。
なお、本体面凹部182は、補強部138の第1本体面131aに形成されていてもよい。この場合、ベーパーチャンバ101を第1シート110が屈曲の内側に位置するように屈曲させることが容易化される。また、本体面凹部182は、補強部138の第1本体面131aおよび第2本体面131bの両方に形成されていてもよい。この場合、ベーパーチャンバ101をいずれの側にも屈曲させることが容易化される。
また、図65に示す変形例において、屈曲部BPにおいて、ランド部133の液流路部160が設けられていない位置に、本体面凹部182が形成されていてもよい。例えば、ランド部133の第2本体面131bに液流路部160が設けられている場合、ランド部133の第1本体面131aに本体面凹部182が形成されていてもよい。また例えば、ランド部133の第1本体面131aに液流路部160が設けられている場合、ランド部133の第2本体面131bに本体面凹部182が形成されていてもよい。また例えば、ランド部133の第1本体面131aおよび第2本体面131bの両方に液流路部160が設けられている場合、ランド部133の第1本体面131aまたは第2本体面131bの液流路部160が設けられていない任意の位置に本体面凹部182が形成されていてもよい。また、本体面凹部182は、ランド部133の第1本体面131aおよび第2本体面131bの両方に形成されていてもよい。図69に示すように、補強部138に本体面凹部182が形成されるとともに、ランド部133にも本体面凹部182が形成されていてもよい。複数の本体面凹部182は、X方向に沿って並んでいてもよく、各本体面凹部182は、平面視で屈曲線BLに重なっていてもよい。
図69に示す変形例によれば、ランド部133にも本体面凹部182が形成されていることにより、屈曲作業性を更に向上することができる。また、ベーパーチャンバ101をより一層容易に屈曲させることができる。このため、屈曲したベーパーチャンバ101の製造をより一層容易化することができる。
なお、ベーパーチャンバ101が補強部138を有していない場合でも、ランド部133に本体面凹部182が形成されていてもよい。図57に示す変形例のように、ベーパーチャンバ101が液流路部160が配置された位置で屈曲している場合であって、ランド部133の第2本体面131bに液流路部160が設けられている場合、図70に示すように、ランド部133の第1本体面131aに本体面凹部182が形成されていてもよい。図70に示すように、複数の本体面凹部182がX方向に沿って並んでいてもよく、各本体面凹部182は平面視で屈曲線BLに重なっていてもよい。
図70に示す変形例においても、ランド部133に本体面凹部182が形成されていることにより、屈曲作業性を向上することができる。また、ベーパーチャンバ101を容易に屈曲させることができる。このため、屈曲したベーパーチャンバ101の製造を容易化することができる。
また、図63に示す変形例においては、ベーパーチャンバ101が、蒸気通路152aが配置された位置で屈曲している例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、図71に示すように、ベーパーチャンバ101は、空間部139が配置された位置で屈曲していてもよい。
図71に示す例においては、本体シート130は、第1領域RR1および第2領域RR2の間に設けられた空間部139を有している。空間部139には、蒸気流路部150や液流路部160は配置されていない。空間部139は、ベーパーチャンバ101の外側の空間と連続しており、ベーパーチャンバ101の外側の空間の一部を構成している。図71に示すように、空間部139の平面形状は、X方向に延びる細長の矩形形状であってもよい。空間部139は、上述した第1のランド部133aと上述した第2のランド部133bとの間に設けられていてもよい。換言すると、空間部139は、第1のランド部133aと第2のランド部133bとの間において、枠体部132のX方向正側(図71における右側)に位置する部分がX方向負側(図71における左側)に窪むことにより形成されていてもよい。
また、図71に示す例においては、屈曲線BL(またはその延長線)が、空間部139に重なっている。このため、ベーパーチャンバ101は、空間部139が配置された位置で屈曲している。
ベーパーチャンバ101のその他の構成は、図63に示す変形例と同様である。
図71に示す変形例によれば、ベーパーチャンバ101は、空間部139が配置された位置で屈曲している。このことにより、屈曲部BPにおいて、空間部139の存在により、第1領域RR1と第2領域RR2との間での作動蒸気102aおよび作動液102bの往来をより一層抑制することができる。このため、屈曲したベーパーチャンバ101において、屈曲部BPを介した伝熱をより一層抑制することができる。
また、図71に示す変形例によれば、ベーパーチャンバ101が、空間部139が配置された位置で屈曲していることにより、ベーパーチャンバ101の屈曲工程において、ベーパーチャンバ101を容易に屈曲させることができる。このため、屈曲したベーパーチャンバ101の製造を容易化することができる。
また、図71に示す変形例によれば、ベーパーチャンバ101が、空間部139が配置された位置で屈曲していることにより、蒸気通路152aや液流路部160の変形を抑制することができる。このため、屈曲部BPを介した伝熱を抑制しつつ、ベーパーチャンバ101の熱輸送能力の低下を抑制することができる。
また、図71に示す変形例によれば、空間部139に別の部材を配置することができ、ハウジングH内の領域を有効に活用することができる。例えば、空間部139にベーパーチャンバ101の位置決めのための突起を配置することができる。この場合、ベーパーチャンバ101をハウジングH内に配置する際の位置決めを容易に行うことができる。また例えば、空間部139にデバイス等の配線を通すことができる。この場合、その配線の長さを短くすることができ、信号のロスを低減することができる。
また、図71に示す変形例によれば、第1領域RR1と第2領域RR2との間での作動蒸気102aの往来を抑制しつつも、第1領域RR1と第2領域RR2との間での作動蒸気102aの往来を可能にすることができる。このことにより、例えば、第2のデバイスD2の熱を第1領域RR1にも伝達することができ、第1の凝縮領域CR1を、第2の蒸発領域SR2からの作動蒸気102aの凝縮領域として利用することができる。このため、効率的な放熱設計を可能にし、ベーパーチャンバ101の省スペース化を図ることができる。
また、上述した第4の実施の形態においては、ベーパーチャンバ101の第1領域RR1に第1の蒸発領域SR1が設けられるとともに、ベーパーチャンバ101の第2領域RR2に第2の蒸発領域SR2が設けられる例について説明した(図40および図44参照)。しかしながら、このことに限られることはなく、第1領域RR1および第2領域RR2のいずれかに蒸発領域SRが設けられていてもよい。
図72に示す例においては、第1領域RR1に蒸発領域SRが設けられ、第2領域RR2には蒸発領域SRが設けられていない。より具体的には、ベーパーチャンバ101の第1領域RR1のX方向正側(図72における右側)に、蒸発領域SRが形成されている。すなわち、第1領域RR1のX方向正側に、デバイスDが取り付けられる。また、蒸発領域SRの周囲には、凝縮領域CRが形成されている。より具体的には、ベーパーチャンバ101の第1領域RR1のX方向負側(図72における左側)に、凝縮領域CRが形成されている。また、ベーパーチャンバ101の第2領域RR2に、凝縮領域CRが形成されている。
ベーパーチャンバ101のその他の構成は、上述した第4の実施の形態と同様である。
図72に示す変形例によれば、第1領域RR1に蒸発領域SRが設けられ、第2領域RR2には蒸発領域SRが設けられていない。このような場合であっても、屈曲部BPにおいて、第1領域RR1と第2領域RR2との間での作動蒸気2aの往来を抑制することができる。このため、屈曲したベーパーチャンバ101において、屈曲部BPを介した伝熱を抑制することができる。
また、図72に示す変形例によれば、第1領域RR1から第2領域RR2への熱の伝達を抑制することができ、第2領域RR2が高温化することを抑制することができる。このため、例えば、第2領域RR2に取り付けられたハウジング部材Haがモバイル端末等の把持部に近い位置にある場合に、当該ハウジング部材HaにデバイスDの熱が伝達されて、把持部が高温化することを抑制することができる。
また、図63に示す変形例においては、ベーパーチャンバ101の第1領域RR1に第1の蒸発領域SR1が設けられるとともに、ベーパーチャンバ101の第2領域RR2に第2の蒸発領域SR2が設けられる例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、図72に示す変形例と同様に、第1領域RR1および第2領域RR2のいずれかに蒸発領域SRが設けられていてもよい。
図73に示す例においては、第1領域RR1に蒸発領域SRが設けられ、第2領域RR2には蒸発領域SRが設けられていない。より具体的には、ベーパーチャンバ101の第1領域RR1のX方向負側(図73における左側)に、蒸発領域SRが形成されている。すなわち、第1領域RR1のX方向負側に、デバイスDが取り付けられる。また、蒸発領域SRの周囲には、凝縮領域CRが形成されている。より具体的には、ベーパーチャンバ101の第1領域RR1のX方向正側(図73における右側)に、凝縮領域CRが形成されている。また、ベーパーチャンバ101の第2領域RR2に、凝縮領域CRが形成されている。
ベーパーチャンバ101のその他の構成は、図63に示す変形例と同様である。
図73に示す変形例によれば、第1領域RR1に蒸発領域SRが設けられ、第2領域RR2には蒸発領域SRが設けられていない。このような場合であっても、屈曲部BPにおいて、第1領域RR1と第2領域RR2との間での作動蒸気102aの往来を抑制することができる。このため、屈曲したベーパーチャンバ101において、屈曲部BPを介した伝熱を抑制することができる。
また、図73に示す変形例によれば、第1領域RR1から第2領域RR2への熱の伝達を抑制することができ、第2領域RR2が高温化することを抑制することができる。このため、例えば、第2領域RR2に取り付けられたハウジング部材Haがモバイル端末等の把持部に近い位置にある場合に、当該ハウジング部材HaにデバイスDの熱が伝達されて、把持部が高温化することを抑制することができる。
また、図73に示す変形例においては、複数のランド部133が、X方向に延びる複数の第1のランド部133aおよび複数の第2のランド部133bと、Y方向に延びる複数の第3のランド部133cと、を含んでいる例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、複数のランド部133の形態および配置は任意である。例えば、図74に示すように、複数のランド部133は、X方向に延びる複数の第1のランド部133aと、Y方向に延びる複数の第2のランド部133bと、を含んでいてもよい。
図74に示す例においては、複数のランド部133は、複数の第1のランド部133aと、複数の第2のランド部133bと、を含んでいる。
各第1のランド部133aは、第1部分101aに位置している。各第1のランド部133aは、X方向に延びている。各第1のランド部133aは、第1部分101aのX方向負側(図74における左側)の位置からX方向正側(図74における右側)に向かって延びている。各第1のランド部133aは、Y方向において離間して、互いに平行に配置されている。図74に示す例においては、5つの第1のランド部133aが設けられている。図74に示すように、X方向における各第1のランド部133aの寸法は、互いに異なっていてもよい。
各第2のランド部133bは、主に第2部分101bに位置しているが、第1部分101aにも跨るように位置している。各第2のランド部133bは、Y方向に延びている。各第2のランド部133bは、第2部分101bのY方向正側(図74における上側)の位置からY方向負側(図74における下側)に向かって延びている。各第2のランド部133bは、X方向において離間して、互いに平行に配置されている。図74に示す例においては、5つの第2のランド部133bが設けられている。図74に示すように、Y方向における各第2のランド部133bの寸法は、互いに異なっていてもよい。
図74に示す例においては、各第2のランド部133bは、対応する第1のランド部133aに接続されている。より具体的には、各第2のランド部133bのY方向負側(図74における下側)の端縁が、対応する第1のランド部133aのX方向正側(図74における右側)の端縁に接続されている。このことにより、第1のランド部133aと第2のランド部133bとにより、L字状の平面形状を有するランド部133が形成されている。
第1のランド部133aおよび第2のランド部133bには、それぞれ液流路部160が設けられている。第1のランド部133aの液流路部160は、第2のランド部133bの液流路部160に連通している。
第2蒸気通路152は、第1方向に延びる蒸気通路152aと、第1方向に直交する第2方向に延びる蒸気通路152bと、を含んでいる。図示された例においては、第1方向はY方向である。すなわち、蒸気通路152aはY方向に延び、蒸気通路152bはX方向に延びている。蒸気通路152aは、各第2のランド部133bの間に設けられている。蒸気通路152bは、各第1のランド部133aの間に設けられている。
図74に示す例においては、屈曲線BLは、第1部分101aおよび第2部分101bに跨って設けられている。屈曲線BLは、蒸気通路152aが延びる方向である第1方向と平行な方向に延びている。このため、ベーパーチャンバ101は、第1方向と平行な方向に沿って屈曲している。
また、図74に示す例においては、屈曲線BLが、隣り合う第2のランド部133bの間に設けられた蒸気通路152aに重なっている。このため、ベーパーチャンバ101は、蒸気通路152aが配置された位置で屈曲している。すなわち、ベーパーチャンバ101は、蒸気通路152aに沿うように屈曲している。
ベーパーチャンバ101のその他の構成は、図73に示す変形例と同様である。
図74に示す変形例においても、ベーパーチャンバ101が、蒸気通路152aが配置された位置で屈曲していることにより、屈曲部BPでの蒸気通路152aにおける作動蒸気102aの圧力損失を増大させることができる。このことにより、屈曲部BPにおいて、第1領域RR1と第2領域RR2との間での作動蒸気102aの往来をより一層抑制することができる。このため、屈曲部BPを介した伝熱をより一層抑制することができる。
また、上述した第4の実施の形態においては、複数のランド部133がX方向に延びている例について説明した(図44参照)。しかしながら、このことに限られることはなく、複数のランド部133の形態および配置は任意である。例えば、図75に示すように、複数のランド部133は、X方向に延びる複数の第1のランド部133aと、Y方向に延びる複数の第2のランド部133bと、放射状に延びる複数の第3のランド部133cと、を含んでいてもよい。
図75に示す例においては、ベーパーチャンバ101の平面形状は矩形形状である。ベーパーチャンバ101のX方向負側(図75における左側)に第1領域RR1が設けられ、ベーパーチャンバ101のX方向正側(図75における右側)に第2領域RR2が設けられている。この第1領域RR1に、蒸発領域SRが設けられている。より具体的には、第1領域RR1のY方向正側(図75における上側)に、蒸発領域SRが形成されている。また、蒸発領域SRの周囲には、凝縮領域CRが形成されている。より具体的には、ベーパーチャンバ101の第1領域RR1のX方向負側(図75における下側)に、凝縮領域CRが形成されている。また、ベーパーチャンバ101の第2領域RR2に、凝縮領域CRが形成されている。
また、図75に示す例においては、複数のランド部133は、複数の第1のランド部133aと、複数の第2のランド部133bと、複数の第3のランド部133cと、を含んでいる。
各第1のランド部133aは、ベーパーチャンバ101のY方向正側(図75における上側)に位置している。各第1のランド部133aは、X方向に延びている。各第1のランド部133aは、ベーパーチャンバ101のX方向負側(図75における左側)の位置からX方向正側(図75における右側)に向かって延びている。各第1のランド部133aは、Y方向において離間して、互いに平行に配置されている。図75に示す例においては、4つの第1のランド部133aが設けられている。図75に示すように、X方向における各第1のランド部133aの寸法は、互いに異なっていてもよい。
各第2のランド部133bは、ベーパーチャンバ101のY方向負側(図75における下側)に位置している。各第2のランド部133bは、Y方向に延びている。各第2のランド部133bは、最もY方向負側に位置する第1のランド部133aから分岐するようにY方向負側に延びている。各第2のランド部133bは、Y方向において離間して、互いに平行に配置されている。図75に示す例においては、4つの第2のランド部133bが設けられている。
各第3のランド部133cは、ベーパーチャンバ101のX方向正側(図75における右側)に位置している。各第3のランド部133cは、放射状に延びている。各第3のランド部133cは、対応する第1のランド部133aのX方向正側の端縁または任意の位置から広がるように延びている。各第3のランド部133cは、各第3のランド部133c間の間隔が蒸発領域SRから離れるにつれて広がるように配置されている。図75に示す例においては、5つの第3のランド部133cが設けられている。
第1のランド部133a、第2のランド部133bおよび第3のランド部133cには、それぞれ液流路部160が設けられている。第1のランド部133aの液流路部160は、第2のランド部133bの液流路部160および第3のランド部133cの液流路部160にそれぞれ連通している。
第2蒸気通路152は、第1方向に延びる蒸気通路152aと、第1方向に直交する第2方向に延びる蒸気通路152bと、放射状に延びる蒸気通路152cと、を含んでいる。図示された例においては、第1方向はY方向である。すなわち、蒸気通路152aはY方向に延び、蒸気通路152bはX方向に延びている。蒸気通路152cは、その幅が蒸発領域SRから離れるにつれて広がるように延びている。蒸気通路152aは、各第2のランド部133bの間に設けられている。蒸気通路152bは、各第1のランド部133aの間に設けられている。蒸気通路152cは、各第3のランド部133cの間に設けられている。
図75に示す例においては、屈曲線BLは、蒸気通路152aが延びる方向である第1方向と平行な方向に延びている。このため、ベーパーチャンバ101は、第1方向と平行な方向に沿って屈曲している。
また、図75に示す例においては、屈曲線BLが、隣り合う第2のランド部133bの間に設けられた蒸気通路152aに重なっている。このため、ベーパーチャンバ101は、蒸気通路152aが配置された位置で屈曲している。すなわち、ベーパーチャンバ101は、蒸気通路152aに沿うように屈曲している。
ベーパーチャンバ101のその他の構成は、上述した第4の実施の形態と同様である。
図75に示す変形例においても、ベーパーチャンバ101が、蒸気通路152aが配置された位置で屈曲していることにより、屈曲部BPでの蒸気通路152aにおける作動蒸気102aの圧力損失を増大させることができる。このことにより、屈曲部BPにおいて、第1領域RR1と第2領域RR2との間での作動蒸気102aの往来をより一層抑制することができる。このため、屈曲部BPを介した伝熱をより一層抑制することができる。
また、図75に示す変形例によれば、第2蒸気通路152は、放射状に延びる蒸気通路152cを含んでいる。このことにより、ベーパーチャンバ101のXY平面内において、作動蒸気102aを均一に輸送することができ、熱を均一に広げることができる。このため、ベーパーチャンバ101の放熱効率を向上させることができる。
また、上述した第4の実施の形態においては、第1領域RR1と第2領域RR2とが直交するようにベーパーチャンバ101がL字状に屈曲している例について説明した(図39参照)。しかしながら、このことに限られることはなく、例えば、図76に示すように、第1領域RR1と第2領域RR2とが対向するようにベーパーチャンバ101がU字状に屈曲していてもよい。図76に示す例においては、ベーパーチャンバ101の屈曲部BPは、半円弧状に形成されている。この場合、ハウジングH内においてベーパーチャンバ101の配置の自由度を向上できる。このため、例えば、第1のデバイスD1と第2のデバイスD2とが離れて位置している場合でも、第1のデバイスD1をベーパーチャンバ101の第1領域RR1と熱的に接触させることができるとともに、第2のデバイスD2をベーパーチャンバ101の第2領域RR2と熱的に接触させることができる。このことにより、複数のベーパーチャンバ101を用意することを不要にすることができる。このため、複数のベーパーチャンバ101を製造する場合よりも、ベーパーチャンバ101の製造コストを低減することができる。
また、この場合、図76に示すように、屈曲部BPにおいて、第1シート110は、蒸気通路152aに向かって凹んでいてもよい。この屈曲部BPにおける第1シート110の凹み量は、第1領域RR1および第2領域RR2における第1シート110の凹み量よりも大きくてもよい。第1領域RR1および第2領域RR2における第1シート110の凹み量はゼロであってもよい。すなわち、第1領域RR1および第2領域RR2においては、第1シート110は、蒸気通路152aに向かって凹んでいなくてもよい。この場合、屈曲部BPにおいて、第1シート内面110bと第1蒸気流路凹部153の壁面153aとの間に、毛細管作用を高めた流路角部を形成することができる。このことにより、屈曲部BPで凝縮された作動液102bを速やかに回収することができる。このため、屈曲部BPを介した伝熱を抑制しつつ、ベーパーチャンバ101の熱輸送能力の低下を抑制することができる。
また、図76に示すように、屈曲部BPにおいて、第2シート120は、蒸気通路152aに向かって凹んでいてもよい。この屈曲部BPにおける第2シート120の凹み量は、第1領域RR1および第2領域RR2における第2シート120の凹み量よりも大きくてもよい。第1領域RR1および第2領域RR2における第2シート120の凹み量はゼロであってもよい。すなわち、第1領域RR1および第2領域RR2においては、第2シート120は、蒸気通路152aに向かって凹んでいなくてもよい。この場合、屈曲部BPにおいて、第2シート内面120aと第2蒸気流路凹部154の壁面154aとの間に、毛細管作用を高めた流路角部を形成することができる。このことにより、屈曲部BPで凝縮された作動液102bを速やかに回収することができる。このため、屈曲部BPを介した伝熱を抑制しつつ、ベーパーチャンバ101の熱輸送能力の低下を抑制することができる。
また、この場合、図76および図77に示すように、屈曲部BPにおける蒸気通路152aの高さhh2aは、第1領域RR1および第2領域RR2における液流路主流溝161の高さhh2bよりも小さくてもよい。ここで、蒸気通路152aの高さhh2a、hh2bは、Z方向における蒸気通路152aの最小寸法を意味し、Z方向における第1シート内面110bと第2シート内面120aとの間の最小距離に相当する。この場合、屈曲部BPにおいて、蒸気通路152aの流路断面積を狭くすることができる。このため、屈曲部BPにおいて作動蒸気2aの流路抵抗を増大することができ、屈曲部BPを介した伝熱をより一層抑制することができる。
なお、屈曲部BPにおける蒸気通路152aの高さhh2aは、ゼロであってもよいが、ゼロでなくてもよい。すなわち、第1シート内面110bと第2シート内面120aとの間に隙間が設けられていてもよい。この場合、第1シート内面110bと第2シート内面120aとの間の毛細管力を増大させることができる。このことにより、毛細管力によって、凝縮された作動液102bを蒸気通路152aに留めることができる。この場合、図77に示すように、蒸気通路152aに凝縮された作動液102bの壁LWが形成され得る。このことにより、屈曲部BPにおいて、蒸気通路152aの流路断面積が狭くなり、作動蒸気2aの流路抵抗が増大し得る。このため、屈曲部BPを介した伝熱を抑制することができる。
また、図76に示すように、屈曲部BP内に複数の蒸気通路152aが位置している場合、屈曲部BPにおける各蒸気通路152aの高さhh2aは、互いに異なっていてもよい。ここで、屈曲部BPの第1領域RR1の側の端部を第1屈曲端部BE1、屈曲部BPの第2領域RR2の側の端部を第2屈曲端部BE2、屈曲部BPの第1屈曲端部BE1と第2屈曲端部BE2との中間部を屈曲中間部BMと称する。この場合、例えば、屈曲部BP内において、屈曲中間部BMの近くに位置する蒸気通路152aの高さhh2aは、第1屈曲端部BE1の近くに位置する蒸気通路152aの高さhh2aおよび第2屈曲端部BE2の近くに位置する蒸気通路152aの高さhh2aよりも小さくてもよい。すなわち、屈曲部BP内において、各蒸気通路152aの高さhh2aは、第1屈曲端部BE1から屈曲中間部BMに向かうにつれて小さくなり、屈曲中間部BMから第2屈曲端部BE2に向かうにつれて大きくなっていてもよい。この場合、屈曲中間部BMにおける作動蒸気2aの流路抵抗を増大させることができ、屈曲部BPが広い範囲に渡っている場合であっても、屈曲部BPを介した伝熱を抑制することができる。また、屈曲中間部BMにおいて、第1シート内面110bと第2シート内面120aとの間の毛細管力を増大させることができる。このことにより、毛細管力によって、凝縮された作動液102bを蒸気通路152aに留めることができる。この場合、図77に示すように、蒸気通路152aに凝縮された作動液102bの壁LWが形成され得る。このことにより、屈曲部BPにおいて、蒸気通路152aの流路断面積が狭くなり、作動蒸気2aの流路抵抗が増大し得る。このため、屈曲部BPを介した伝熱をより一層抑制することができる。
なお、図78に示すように、第1領域RR1と第2領域RR2とが直交するようにベーパーチャンバ101がL字状に屈曲している場合でも、ベーパーチャンバ101は、図76に示す変形例と同様の構成を有していてもよい。すなわち、屈曲部BPにおいて、第1シート110は、蒸気通路152aに向かって凹んでいてもよく、第2シート120は、蒸気通路152aに向かって凹んでいてもよい。また、屈曲部BPにおける蒸気通路152aの高さhh2aは、第1領域RR1および第2領域RR2における液流路主流溝161の高さhh2aよりも小さくてもよい。また、屈曲部BP内において、各蒸気通路152aの高さhh2aは、第1屈曲端部BE1から屈曲中間部BMに向かうにつれて小さくなり、屈曲中間部BMから第2屈曲端部BE2に向かうにつれて大きくなっていてもよい。このような場合でも、図76に示す変形例と同様の効果を得ることができる。
また、上述した第4の実施の形態においては、ベーパーチャンバ101が、第1シート110と、第2シート120と、本体シート130とで構成されている例について説明した(図41参照)。しかしながら、このことに限られることになく、図79に示すように、ベーパーチャンバ101は、第1シート110と、本体シート130とで構成されていてもよい。
図79に示す例においては、ベーパーチャンバ101は、第1シート110と、本体シート130と、を備えているが、第2シート120を備えていない。図79に示す例においては、本体シート130および第1シート110が、この順番で積層されている。デバイスDは、第1シート110の第1シート外面110aに取り付けられてもよい。ハウジング部材Haは、本体シート130の第2本体面131bに取り付けられてもよい。作動蒸気102aの熱は、本体シート130からハウジング部材Haに伝わる。
図79に示す例においては、蒸気流路部150は、第1本体面131aに設けられているが、第2本体面131bに達しておらず、本体シート130のシート本体131を貫通していない。すなわち、蒸気流路部150の第1蒸気通路151および第2蒸気通路152は、第1蒸気流路凹部153で構成されており、本体シート130に第2蒸気流路凹部154は設けられていない。
図79に示すベーパーチャンバ101の厚さtt5は、例えば、100μm~1000μmであってもよい。図79に示す第1シート110の厚さtt6は、例えば、6μm~200μmであってもよい。図79に示す本体シート130の厚さtt7は、例えば、50μm~800μmであってもよい。
なお、図79に示す例に限られることはなく、図80に示すように、第1シート110の第1シート内面110bに、蒸気流路部150’が設けられていてもよい。図80に示すように、第1シート110の蒸気流路部150’は、本体シート130の蒸気流路部150に対向する位置に設けられていてもよい。すなわち、第1シート110の蒸気流路部150’は、本体シート130の第1蒸気通路151に対向する第1蒸気通路151’と、本体シート130の第2蒸気通路152に対向する第2蒸気通路152’と、を有していてもよい。第1シート110の蒸気流路部150’の各寸法は、本体シート130の蒸気流路部150の各寸法と同程度であってもよい。図80に示す第1シート110の厚さtt7’は、本体シート130の厚さtt7と同程度であってもよい。なお、図80に示す例においては、第1シート110に、液流路部160は設けられていないが、このことに限られることはなく、第1シート110に、液流路部160が設けられていてもよい。
図79および図80に示す変形例によれば、ベーパーチャンバ101は、第1シート110と本体シート130とで構成されている。このような場合であっても、ベーパーチャンバ101が、第1方向と平行な方向に沿って屈曲していることにより、屈曲部BPにおいて、第1領域RR1と第2領域RR2との間での作動蒸気102aの往来を抑制することができる。このため、屈曲したベーパーチャンバ101において、屈曲部BPを介した伝熱を抑制することができる。
また、図79および図80に示す変形例によれば、ベーパーチャンバ101が第1シート110と本体シート130とで構成されていることにより、ベーパーチャンバ101をより一層薄型化することができる。
以上述べた実施の形態によれば、屈曲された場合であっても性能を向上できる。
本発明は上記各実施の形態および各変形例そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施の形態および各変形例に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。上記各実施の形態および各変形例に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。