JP7259204B2 - ポリイソシアネート組成物およびそれを用いた塗料組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリウレタン樹脂を得る場合などの硬化剤として有用なポリイソシアネート組成物とこれを硬化剤とした塗料組成物に関する。
従来、1,6-ヘキサメチレンジイソアネート(以下HDIという)などの脂肪族イソシアネートから誘導される無黄変ポリイソシアネートは、耐候性に優れることから、塗料・塗装及び接着剤分野等においてしばしば用いられている。その中でもイソシアヌレート結合を含有するポリイソシアネートタイプが化学的、熱的安定性が高く、特に耐候性、耐熱性、耐久性に優れているため、その用途に応じて幅広く使用されており、一層の用途展開が期待されている。
近年では、携帯電話筐体、パソコン筐体、オーディオ機器等のプラスチック製品、タッチパネル、液晶画面等の電子材料部品、冷蔵庫、電子レンジ、洗濯機等の家電製品、家具等の木工製品、ゴルフクラブ、テニスラケット等のスポーツ用品、床、シンク、ドアノブ等の建築内装、自動車の内外装など、様々な分野で、それら表面の更なる耐傷性が求められている。
上記要求に対し、二液硬化型ポリウレタン系塗料を用いて自己修復性能を有する塗膜とし、耐傷性を付与する方法が知られている(特許文献1から3)。特許文献1では、特定のポリエステルポリオールと、ポリイソシアネート及び錫系ウレタン化触媒を必須成分とする塗料組成物が提案されている。特許文献2では、特定のイソシアネート基当量をもつポリイソシアネート化合物と、特定範囲の平均Tg、平均官能基数、数平均分子量をもつポリエステルポリオールとを必須成分として含有する樹脂組成物により、さらに靭性を付与することが提案されている。特許文献3では、特定のポリエステルポリオールと、特定のジオール化合物及び有機ジイソシアネートを反応させて得られる、イソシアヌレート基を含有しないアロファネート変性ポリイソシアネートを主成分とする硬化剤からなる塗料組成物が提案されている。
しかしながら、耐候性の求められる分野で一般的に使用されるアクリルポリオール等を使用した場合には、上記提案を適用しても耐傷性に対し不十分な場合が多く、改良が求められていた。
特開昭63-86762号公報 特開2012-121984号公報 特開2006-124610号公報
本発明は、一般的なアクリルポリオールを用いた場合でも耐傷性を発現でき、また耐候性・密着性にも優れたポリウレタン樹脂組成物、及び塗料組成物を提供することである。
本発明者らは、検討を重ねた結果、特定のジオールとHDIとをウレタン化反応させて得られるポリイソシアネート、及びヌレート型ポリイソシアネートを含むポリイソシアネート組成物を用いることにより、前記課題が解決できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明は、以下の実施形態を含むものである。
[1]へキサメチレンジイソシアネートと、分子量が300以下の環状基を有するジオールとのウレタン反応生成物(A)と、へキサメチレンジイソシアネートをヌレート化したヌレート型ポリイソシアネート(B)とを、(A)/(B)=10/90~60/40(質量比)の範囲で含むことを特徴とするポリイソシアネート組成物。
[2]環状基を有するジオールが、シクロヘキサン環、又はベンゼン環を有するジオールであることを特徴とする、上記[1]に記載のポリイソシアネート組成物。
[3]環状基を有するジオールが、環状基を2つ以上有するジオールであることを特徴とする、上記[1]又は[2]に記載のポリイソシアネート組成物。
[4]上記[1]乃至[3]のいずれかに記載のポリイソシアネート組成物とポリオールとを含むポリウレタン樹脂組成物。
[5]上記[4]に記載のポリウレタン樹脂組成物を含む塗料組成物。
[6]上記[5]に記載の塗料組成物から得られる塗膜。
本発明によれば、一般的なアクリルポリオールを用いた場合でも耐傷性を発現し、また耐候性にも優れた塗膜を得ることができるポリイソシアネート組成物、およびこれを硬化剤とした塗料組成物を得ることができる。
以下に、本発明について詳しく説明する。
本発明のポリイソシアネート組成物は、HDIと分子量が300未満の環状基を有するジオールとのウレタン反応生成物(A)、及びヌレート型ポリイソシアネート(B)を含む混合物である。
本発明のポリイソシアネート組成物に用いるHDIは、脂肪族ジイソシアネートモノマー(以下、単に脂肪族ジイソシアネートとも言う。)の一種であり、その構造中にベンゼン環を含まないジイソシアネート化合物である。脂肪族ジイソシアネートとしては、HDIの他、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、2-メチル-ペンタン-1,5-ジイソシアネート、3-メチル-ペンタン-1,5-ジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリオキシエチレンジイソシアネート等を挙げることができる。HDIは単独で使用または他の脂肪族ジイソシアネートと併用してもよく、イソホロンジイソシアネートやノルボルネンジイソシアネートに代表される脂環族ジイソシアネートと併用してもよい。
本発明のポリイソシアネート組成物の構成成分の1つである、ウレタン反応生成物(A)とは、ジオールのヒドロキシル基と脂肪族ジイソシアネートのイソシアネート基とがウレタン化反応して得られるもので、次式に示される。
Figure 0007259204000001
[式中Rはヘキサメチレン基を表す。Rは環状基を含むジオール残基を表す。]。
本発明のウレタン反応生成物(A)に用いる環状基を有するジオールは、分子量が300未満である。また、分子骨格にシクロヘキシル環、ベンゼン環、ナフタレン環等の環状基を有する化合物が好ましい。
このような環状基を有する化合物としては、例えばシクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ビス(β-ヒドロキシエチル)ベンゼン、ナフタレンジメタノール等が挙げられ、環状構造を複数含むものとしては、例えば2,2’-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンやイソソルビド等が挙げられる。なかでも、耐候性の面から脂環族が好ましく、環状構造を複数含むものがより好ましい。
本発明のポリイソシアネート組成物のもう1つの構成成分であるヌレート型ポリイソシアネート(B)とは、ジイソシアネートモノマー同士が環化重合したイソシアヌレート基を含むものであり、次式で示される。これは3量化または5量化、多量化したイソシアヌレート基を有するポリイソシアネートとなる。
Figure 0007259204000002
[式中Rはヘキサメチレン基を表す。]。
また、本発明のポリイソシアネート組成物中に含有するウレタン反応生成物(A)とヌレート型ポリイソシアネート(B)の質量比は、(A)/(B)=10/90~60/40の範囲である。ウレタン反応生成物が下限値未満の場合には、十分な耐傷性を発現できない恐れがあり、上限値以上の場合には、耐候性が損なわれる恐れがある。
次に、ポリイソシアネート組成物の具体的な製造方法について説明する。
第1工程では、有機ジイソシアネートと環状基を含むジオールとを、水酸基に対してイソシアネート基が過剰になる量を仕込んで、有機溶剤の存在下または非存在下、ウレタン化反応させてイソシアネート基末端プレポリマーIを製造する。ここでウレタン化反応の目安としては、中和滴定法によるイソシアネート基含有量と屈折率上昇値により完結の有無を判断する。
第1工程は、窒素ガス、若しくは、乾燥空気気流下で反応を進行させる。
ここで、第1工程における「イソシアネート基が過剰になる量」とは、原料仕込みの際、有機ジイソシアネートのイソシアネート基とモノオールの水酸基とのモル比が、R=イソシアネート基/水酸基で3~70になるように仕込むことが好ましく、R=5~35になるように仕込むことがさらに好ましい。下限未満の場合には、ウレタン反応生成物の分子量が高くなり、高粘度化することによりハンドリングが悪化する恐れがある。上限を超える場合には、製品収率が下がり、生産性の低下を招く恐れがある。
また、本発明のウレタン化反応の反応温度は、20~150℃が好ましく、60~130℃がさらに好ましい。尚、ウレタン化反応の際、公知のウレタン化触媒を用いることができ、例えばジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート等の有機金属化合物や、トリエチレンジアミンやトリエチルアミン等の有機アミンやその塩等を挙げることができる。これらの触媒は、単独または2種以上併用することができる。
ウレタン化反応の反応時間は、触媒の有無、種類、および温度により異なるが、一般には10時間以内、好ましくは1~5時間で十分である。
また、ウレタン反応生成物の製造においては、有機溶媒等を含まずに反応を行う方法や有機溶媒の存在下で反応を行う方法が適宜選ばれる。
有機溶媒の存在下で反応を行う場合には、反応に影響を与えない有機溶媒を用いることができる。有機溶媒としては、例えばオクタン等の脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素類、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸ブチル、酢酸イソブチル等のエステル類、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、エチル-3-エトキシプロピオネート等のグリコールエーテルエステル類、ジオキサン等のエーテル類、ヨウ化メチレン、モノクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、N-メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホニルアミド等の極性非プロトン溶媒等が挙げられる。これらの溶媒は単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
反応で使用した有機溶媒は、次の第2工程における遊離の有機ジイソシアネートの除去時に同時に除去される。
第2工程の精製工程では、反応混合物中に存在している遊離の未反応の有機ジイソシアネートを、例えば、10~100Paの高真空下、120~150℃で薄膜蒸留による除去法や有機溶剤による抽出法により、遊離の未反応の有機ジイソシアネート残留含有率を1質量%以下にする。尚、有機ジイソシアネートの残留含有率が上限値を超える場合は、臭気の発生や貯蔵安定性の低下を招く恐れがある。
精製して得られたウレタン反応生成物(A)は、ポットライフの延長や塗料組成物の一液化を目的として、公知のブロック剤を用いてブロックイソシアネートとすることも可能である。これにより、ブロック化されたポリイソシアネートは、常温時は不活性であるが、加熱することでブロック剤が解離し、再びイソシアネート基が活性化することで、活性水素基と反応する潜在的な機能を付加することができる。
本発明に用いることができるブロック剤としては、活性水素を分子内に1個有する化合物であり、例えば、アルコール系、アルキルフェノール系、フェノール系、活性メチレン、メルカプタン系、酸アミド系、酸イミド系、イミダゾール系、尿素系、オキシム系、アミン系、イミド系、ピラゾール系化合物等がある。
このようにして得られたウレタン反応生成物は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定(以下GPC測定もしくは単にGPCという)から得られた数平均分子量は、400~2000が好ましく、500~1000がさらに好ましい。
一連の反応で得られたウレタン反応生成物(A)は、ヌレート型ポリイソシアネート(B)と混合することで、本発明のポリイソシアネート組成物とすることができる。ウレタン反応生成物(A)とヌレート型ポリイソシアネート(B)の質量比は、(A)/(B)=10/90~60/40であり、30/70~50/50が好ましい。
なお、ヌレート型ポリイソシアネート(B)としては、ヌレート型ポリイソシアネートを含む市販品を使用することができる。このような市販品としては、例えばコロネートHX、コロネートHXR、コロネートHXLV(いずれも東ソー社製)等を挙げることができる。
更に、上記で得られたポリイソシアネート組成物は、ポリオールを配合することによって、本発明の塗料組成物を得ることができる。
ここで、本発明の塗料組成物に使用されるポリオールとしては、特に限定されるものではないが、イソシアネート基との反応基として活性水素基を含有する化合物であり、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオール、シリコーンポリオール、ヒマシ油系ポリオール、フッ素系ポリオール、2種類以上のポリオールのエステル交換物、及びポリイソシアネートとウレタン化反応した水酸基末端プレポリマー等が好適に用いられ、これらは1種類又は2種類以上の混合物として使用することもできる。
<ポリエステルポリオール>
ポリエステルポリオールとしては、例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、コハク酸、酒石酸、シュウ酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、グルタコン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,4-シクロヘキシルジカルボン酸、α-ハイドロムコン酸、β-ハイドロムコン酸、α-ブチル-α-エチルグルタル酸、α,β-ジエチルサクシン酸、マレイン酸、フマル酸等のジカルボン酸またはこれらの無水物等の1種類以上と、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、3,3-ジメチロールヘプタン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサン-1,4-ジオール、シクロヘキサン-1,4-ジメタノール、ダイマー酸ジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイドやプロピレンオキサイド付加物、ビス(β-ヒドロキシエチル)ベンゼン、キシリレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の分子量500以下の低分子ポリオール類の1種類以上との縮重合反応から得られるものを挙げることができる。また、ε-カプロラクトン、アルキル置換ε-カプロラクトン、δ-バレロラクトン、アルキル置換δ-バレロラクトン等の環状エステル(いわゆるラクトン)モノマーの開環重合から得られるラクトン系ポリエステルポリオール等を挙げることができる。更に、低分子ポリオールの一部をヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、モノエタノールアミン等の低分子ポリアミンや低分子アミノアルコールに代えて得られるポリエステル-アミドポリオールを使用することもできる。
<ポリエーテルポリオール>
また、ポリエーテルポリオールとしては、例えばエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、3,3-ジメチロールヘプタン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサン-1,4-ジオール、シクロヘキサン-1,4-ジメタノール、ダイマー酸ジオール、ビスフェノールA、ビス(β-ヒドロキシエチル)ベンゼン、キシリレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の低分子ポリオール類、またはエチレンジアミン、プロピレンジアミン、トルエンジアミン、メタフェニレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、キシリレンジアミン等の低分子ポリアミン類等のような活性水素基を2個以上、好ましくは2~3個有する化合物を開始剤として、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のようなアルキレンオキサイド類を付加重合させることによって得られるポリエーテルポリオール、或いはメチルグリシジルエーテル等のアルキルグリシジルエーテル類、フェニルグリシジルエーテル等のアリールグリシジルエーテル類、テトラヒドロフラン等の環状エーテルモノマーを開環重合することで得られるポリエーテルポリオールを挙げることができる。
<ポリカーボネートポリオール>
また、ポリカーボネートポリオールとしては、例えばエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、3,3-ジメチロールヘプタン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサン-1,4-ジオール、シクロヘキサン-1,4-ジメタノール、ダイマー酸ジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイドやプロピレンオキサイド付加物、ビス(β-ヒドロキシエチル)ベンゼン、キシリレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の低分子ポリオールの1種類以上と、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネート類、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のアルキレンカーボネート類、ジフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ジアントリルカーボネート、ジフェナントリルカーボネート、ジインダニルカーボネート、テトラヒドロナフチルカーボネート等のジアリールカーボネート類との脱アルコール反応や脱フェノール反応から得られるものを挙げることができる。
また、ポリカーボネートポリオールとポリエステルポリオールと低分子ポリオールのエステル交換反応により得られたポリオールも好適に用いることができる。
<ポリオレフィンポリオール>
ポリオレフィンポリオールとしては、例えば水酸基を2個以上有するポリブタジエン、水素添加ポリブタジエン、ポリイソプレン、水素添加ポリイソプレン等を挙げることができる。
<アクリルポリオール>
アクリルポリオールとしては、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステル〔以下(メタ)アクリル酸エステルという〕と、反応点となりうる少なくとも分子内に1個以上の水酸基を有するアクリル酸ヒドロキシ化合物及び/又はメタクリル酸ヒドロキシ化合物〔以下(メタ)アクリル酸ヒドロキシ化合物という〕と、重合開始剤とを熱エネルギーや紫外線または電子線などの光エネルギー等を使用し、アクリルモノマーを共重合したものを挙げることができる。
<(メタ)アクリル酸エステル>
(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば炭素数1~20のアルキルエステルを挙げることができる。このような(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸-2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸の脂環属アルコールとのエステル;(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル等の(メタ)アクリル酸アリールエステル等を挙げることができる。このような(メタ)アクリル酸エステルは単独または2種類以上組み合わせて使用しても良い。
<(メタ)アクリル酸ヒドロキシ化合物>
(メタ)アクリル酸ヒドロキシ化合物としては、例えばポリイソシアネートとの反応点となりうる少なくとも分子内に1個以上の水酸基を有しており、具体的には、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロピルアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等のアクリル酸ヒドロキシ化合物等が挙げられる。また、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、4-ヒドロキシブチルメタクリレート、3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロピルメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート等のメタクリル酸ヒドロキシ化合物が挙げられる。これら(メタ)アクリル酸ヒドロキシ化合物は、単独または2種以上を組み合わせて使用しても良い。
<シリコーンポリオール>
シリコーンポリオールとしては、例えばγ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等を重合したビニル基含有シリコーン化合物、及び分子中に少なくとも1個の末端水酸基を有する、α,ω-ジヒドロキシポリジメチルシロキサン、α,ω-ジヒドロキシポリジフェニルシロキサン等のポリシロキサンを挙げることができる。
<ヒマシ油系ポリオール>
ヒマシ油系ポリオールとしては、例えばヒマシ油脂肪酸とポリオールとの反応により得られる線状または分岐状ポリエステルポリオールが挙げられる。また、脱水ヒマシ油、一部分を脱水した部分脱水ヒマシ油、水素を付加させた水添ヒマシ油も使用することができる。
<フッ素系ポリオール>
フッ素系ポリオールとしては、例えば必須成分として含フッ素モノマーとヒドロキシ基を有するモノマーとの共重合反応により得られる線状または分岐状のポリオールを挙げることができる。ここで、含フッ素モノマーとしては、フルオロオレフィンであることが好ましく、例えば、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、トリクロロフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル、トリフルオロメチルトリフルオロエチレンが挙げられる。また、ヒドロキシル基を有するモノマーとしては、例えば、ヒドロキシエチルビニルエーテル、4-ヒドロキシブチルビニルエーテル、シクロヘキサンジオールモノビニルエーテル等のヒドロキシアルキルビニルエーテル、2-ヒドロキシエチルアリルエーテル等のヒドロキシアルキルアリルエーテル、ヒドロキシアルキルクロトン酸ビニル等のヒドロキシル基含有カルボン酸ビニル又はアリルエステル等のヒドロキシル基を有するモノマーが挙げられる。
また、ポリオールは、1分子中の活性水素基数(平均官能基数)が1.9~6.0であることが好ましい。活性水素基数が下限値未満の場合には、塗膜物性が低下する恐れがある。また、上限値を超える場合には、密着性が低下する恐れがある。
また、ポリオールの数平均分子量は、750~50000の範囲にあることが好ましい。下限値未満の場合には、密着性低下の恐れがあり、上限値を超えると低極性有機溶剤に対する溶解性の低下や密着性低下を招く恐れがある。
また、二液型塗料組成物のポリイソシアネート組成物と、ポリオールとの配合の割合は、特に限定するものではないが、イソシアネート組成物中のイソシアネート基とポリオール中の水酸基のモル比が、R=イソシアネート基/水酸基で0.5~2.5となるように配合することが好ましい。下限値未満の場合には水酸基が過剰になり、密着性の低下を招く恐れがある。また、架橋密度が低下し耐久性の低下や塗膜の機械的強度が低下する恐れがある。上限値を超える場合にはイソシアネート基が過剰になり、空気中の水分と反応し、塗膜の膨れやこれに伴う密着性の低下を生じる恐れがある。
また、希釈溶剤として使用する有機溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸セロソルブ等のエステル類、ブタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、ミネラルスピリット、ナフサ等の炭化水素類等からなる群から、目的及び用途に応じて適宜選択して使用することができる。これらの溶剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、二液型塗料組成物は、ポットライフ、硬化条件、及び作業条件等を考慮し、適宜公知のウレタン化触媒を用いることができる。具体的には、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート等の有機金属化合物や、トリエチレンジアミンやトリエチルアミン等の有機アミンやその塩を選択して用いる。これらの触媒は、単独または2種以上併用することができる。
また、二液型塗料組成物の硬化条件としては、特に限定されるものではないが、硬化温度が-5~120℃、湿度が10~95%RH、養生時間が0.5~168時間であることが好ましい。
本発明によって得られた二液型塗料組成物には、必要に応じて、例えば、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール等の酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、染料、溶剤、難燃剤、加水分解抑制剤、潤滑剤、可塑剤、充填材、帯電防止剤、分散剤、触媒、貯蔵安定剤、界面活性剤、レベリング剤等の添加剤を適宜配合することができる。
また、本発明によって得られた二液型塗料組成物は、スプレー、刷毛、浸漬、コーター等の公知の方法により被着体の表面上に塗布され、塗膜を形成する。
ここで被着体は特に限定されるものではなく、ステンレス、リン酸処理鋼、亜鉛鋼、鉄、銅、アルミニウム、真鍮、ガラス、スレート、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリブチレンフタレート樹脂、ポリスチレン樹脂、AS樹脂、ABS樹脂、ポリカーボネート-ABS樹脂、6-ナイロン樹脂、6,6-ナイロン樹脂、MXD6ナイロン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリアセタール樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、NBR樹脂、クロロプレン樹脂、SBR樹脂、SEBS樹脂などの素材で成形された被着体、コロナ放電処理やその他表面処理を施されたポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン樹脂、または前記被着体表面に中間形成となりうる塗膜層が形成された被着体を用いることができる。
被着体表層に形成される塗膜の膜厚は、リコート性や耐久性に優れるため、被着体に少なくとも10μmの膜厚を形成すれば良い。膜厚が10μm未満である場合には耐久性が低下し、衝撃により塗膜の破れ等を生じる恐れがある。
本発明のポリイソシアネート組成物は、非常に低粘度であるため、二液型塗料組成物とした場合、高固形分化が可能となり、有機溶剤の削減ができる。
以上のように、本発明のポリイソシアネート組成物、及び二液型塗料組成物は自動車塗料用途へ好適に用いられる。
以下に、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
<ポリイソシアネート組成物の合成>
<実施例1>
攪拌機、温度計、冷却管、および窒素ガス導入管を備えた容量1リットルの四つ口フラスコに、HDI(東ソー社製、NCO含量:49.9質量%)875g、および水素化ビスフェノールA(丸善石油化学社製、以下HBPAという)125gを仕込み、これらを撹拌しながら100℃に加熱し、所定の反応転化率に達するまでウレタン化反応させた。ここで反応生成物から、薄膜蒸留(条件:140℃,0.04kPa)により過剰のHDIを除去し、ポリイソシアネートC-1を290g得た。
上記操作にて得られたポリイソシアネートC-1を100gと、コロネートHXLV(ポリイソシアヌレート、東ソー社製、NCO含量:23.1質量%、以下C-HXLVという)を900gの割合で混合し、ポリイソシアネート組成物P-1を1000g得た。
<実施例2~3>
表2に示す条件で、C-1とC-HXLVとの混合を行い、ポリイソシアネート組成物P-2、P-3を得た。
<比較例1~2>
表3に示す条件で、C-1とC-HXLVとの混合を行い、ポリイソシアネート組成物P-4、P-5を得た。
<比較例3>
攪拌機、温度計、冷却管、および窒素ガス導入管を備えた容量1リットルの四つ口フラスコに、HDI950g、および1,3-ブチレングリコール(KHネオケム社製、以下1,3-BGという)50gを仕込み、これらを撹拌しながら100℃に加熱し、所定の反応転化率に達するまでウレタン化反応させた。ここで反応生成物から、薄膜蒸留(条件:140℃,0.04kPa)により過剰のHDIを除去し、ポリイソシアネートC-2を230g得た。
上記操作にて得られたポリイソシアネートC-2を100gと、C-HXLVを900gの割合で混合し、ポリイソシアネート組成物P-6を1000g得た。
<比較例4~5>
表3に示す条件で、C-2とC-HXLVとの混合を行い、ポリイソシアネート組成物P-7、P-8を得た。
<比較例6>
攪拌機、温度計、冷却管、および窒素ガス導入管を備えた容量1リットルの四つ口フラスコに、HDI940g、および1,4-シクロヘキサンジメタノール(長瀬産業社製、以下CHDMという)60gを仕込み、これらを撹拌しながら40℃に加熱し、1時間ウレタン化反応を行った。その後60℃に昇温し、この反応液中にアロファネート化触媒であるオクチル酸ジルコニール(第一稀元素化学工業社製)0.1gを添加し、110℃にて所定の反応転化率に達するまで反応させた後、反応停止剤である酸性リン酸エステル(JP-508、城北化学工業社製)0.11gを添加し、60℃で1時間停止反応を行った。ここで、薄膜蒸留(条件:140℃,0.04kPa)により反応生成物から過剰のHDIを除去し、ポリイソシアネートC-3を320g得た。
上記操作にて得られたポリイソシアネートC-3を100gと、C-HXLVを900gの割合で混合し、ポリイソシアネート組成物P-9を1000g得た。
<比較例7~8>
表3に示す条件で、C-3とC-HXLVとの混合を行い、ポリイソシアネート組成物P-10、P-11を得た。
<比較例9>
市販の東ソー社製ポリイソシアヌレートC-HXLVを用いた。
Figure 0007259204000003
Figure 0007259204000004
Figure 0007259204000005
<二液塗料組成物の調製>
耐傷性評価用塗料配合液は表4、表5に示すように、ポリオールとポリイソシアネート組成物とをR(イソシアネート基/水酸基のモル比)=1.0になるように配合し、更に有機溶剤で固形分が50質量%になるように、二液塗料組成物(S-1~S-12)を調製した(配合量の単位はg)。ここでは、ポリオールには、アクリルポリオール(商品名:アクリディック49-394-IM、水酸基価:25mgKOH/g、固形分:50質量%、DIC社製)を使用し、有機溶剤には、酢酸ブチルを使用し、顔料には酸化チタンCR-90(石原産業製)を使用し、調製した。
Figure 0007259204000006
Figure 0007259204000007
<二液塗料組成物の調製(耐候性、密着性)>
耐候性、密着性評価用塗料配合液は表6、表7に示すように、ポリオールとポリイソシアネート組成物とをR(イソシアネート基/水酸基のモル比)=1.0になるように配合し、更に有機溶剤で固形分が50質量%になるように、二液塗料組成物(S-1~S-12)を調製した(配合量の単位はg)。ここでは、ポリオールには、アクリルポリオール(商品名:アクリディックA-801、水酸基価:50mgKOH/g、固形分:50質量%、DIC社製)を使用し、有機溶剤には、酢酸ブチルを使用し、顔料には酸化チタンCR-50(石原産業製)を使用し、調製した。
Figure 0007259204000008
Figure 0007259204000009
<塗装方法及び試験片の調製>
調製した二液塗料組成物を、それぞれメチルエチルケトンで脱脂した鋼板(JIS G3141、商品名:SPCC-SB、処理方法:PF-1077、パルテック社製)にアプリケーターを用い、任意の膜厚になるように塗布した。その後、温度60℃の乾燥機中で1時間加熱処理を行い、続いて温度23℃、相対湿度50%の環境下で7日間養生し、コーティング塗膜S-1~S-12を得た。
<耐傷性評価>
表4、表5に示す配合で得られた塗料から作製したコーティング塗膜(乾燥後膜厚約20μm)を、下記条件の耐傷性試験により押込み硬度を測定した。結果を表8、表9に示す。評価Aであれば良好と言える。
・試験装置:フィッシャースコープHM2000(フィッシャー・インストルメンツ社製)
・圧子:ビッカースダイヤモンド
・試験温度:25℃
<耐傷性評価基準>
押込み硬度の値を、下記基準にて分類した。
・125N/mm以上:(評価)A
・110N/mm以上~125N/mm未満:(評価)B
・110N/mm未満:(評価)C。
<耐候性評価>
表6、表7に示す配合で得られた塗料から作製したコーティング塗膜(乾燥後膜厚約20μm)を、下記の条件で耐候性の加速試験を行った。
・試験装置:QUV(Q-LAB社製)
・ランプ:EL-313
・照度:0.59w/m2
・λmax:313nm
・1サイクル:12時間〔UV照射:8時間(温度70℃)、結露:4時間(温度50℃)〕
・試験時間:576時間
<耐候性評価基準>
JIS Z8741に準じて、光沢度計(製品名:マイクロ-グロス、BYK社製)にて、60°における光沢度を測定し、光沢保持率を算出した。光沢保持率は次式により求めた。結果を表8、表9に示す。評価Aであれば良好と言える。
光沢保持率(%)=100×耐候試験後光沢度÷初期光沢度 (式)
・80%以上:(評価)A
・70%以上~80%未満:(評価)B
・70%未満:(評価)C。
<密着性評価用メタリックベース塗料の調製>
水性アクリルポリオール(製品名:バーノックWE-303、DIC社製)25.0gに、レオロジーコントロール剤(製品名:BYK-425、BYK社製)0.5g、消泡剤(製品名:BYK-012、BYK社製)0.5g、湿潤分散剤(製品名:DISPERBYK-192、BYK社製)1.0gを添加し、アルミニウムペースト(製品名:アルペーストWXM5660、東洋アルミニウム社製)2.0gを配合し、更にメタノールを15.0g加えることで粘度を調整した。
<密着性評価>
調製したメタリックベース塗料を、メチルエチルケトンで脱脂した鋼板(JIS G3141、商品名:SPCC-SB、処理方法:PF-1077、パルテック社製)に、乾燥後の膜厚約30μmになるようにスプレーで塗布した。その後、温度23℃、相対湿度50%の環境下で30分養生し、60℃の条件で30分加熱処理を行った。さらに、表4で調製した二液塗料組成物を、メタリックベースを塗布した鋼板の上からアプリケーターを用いて塗布し、常温にて10分予備乾燥後、90℃の乾燥機中で30分加熱処理を行った後、80℃の条件で10時間加熱処理を行い、コーティング塗膜を得た。
<密着性評価基準>
得られた塗膜をJIS K5600-5-6に準じて、クロスカット法による付着性試験を実施した。結果を表8、表9に示す。評価Aであれば良好と言える。
・分類0~1:A
・分類2~5:B
Figure 0007259204000010
Figure 0007259204000011

Claims (7)

  1. へキサメチレンジイソシアネートと、分子量が300以下の環状基を有するジオールとのウレタン反応生成物(A)と、へキサメチレンジイソシアネートをヌレート化したヌレート型ポリイソシアネート(B)とを、(A)/(B)=10/90~60/40(質量比)の範囲で含み、
    25℃における粘度が1940~21000mPa・sであり、
    NCO含量が、18.3~22.1質量%であることを特徴とするポリイソシアネート組成物。
  2. 環状基を有するジオールが、シクロヘキサン環、又はベンゼン環を有するジオールであることを特徴とする、請求項1に記載のポリイソシアネート組成物。
  3. 環状基を有するジオールが、環状基を2つ以上有するジオールであることを特徴とする、請求項1又は2に記載のポリイソシアネート組成物。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載のポリイソシアネート組成物とポリオールとを含むポリウレタン樹脂組成物。
  5. ポリイソシアネート組成物とポリオールとを含むポリウレタン樹脂組成物であって、
    前記ポリイソシアネート組成物が、へキサメチレンジイソシアネートと、分子量が300以下の環状基を有するジオールとのウレタン反応生成物(A)と、へキサメチレンジイソシアネートをヌレート化したヌレート型ポリイソシアネート(B)とを、(A)/(B)=10/90~60/40(質量比)の範囲で含み、
    25℃における粘度が1940~21000mPa・sであることを特徴とするポリウレタン樹脂組成物。
  6. 請求項4または5に記載のポリウレタン樹脂組成物を含む塗料組成物。
  7. 請求項6に記載の塗料組成物から得られる塗膜。
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