JP7259073B2 - ポリエチレンパウダー、成形体 - Google Patents
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Description
ポリエチレンの多孔質焼結体は、無数の細孔が連続的に繋がった構造を有しており、気孔率、細孔径、厚み等を制御することで、濾過精度、通気性、吸収性等の性能を制御することができる。
例えば、エレクトロニクス分野では、積層セラミックコンデンサ用のグリーンシート等、薄膜状の物を固定又は搬送するための手段のひとつに、減圧吸引により上記薄膜状の物等を吸着ステージ上に吸着固定又は吸着搬送する方法がある。その吸着ステージには、吸着面に吸着緩衝材として通気性を有するシート状の樹脂多孔質体が装着されており、極めて高い厚み精度や表面平滑性等が求められる(例えば、特許文献1参照)。また、医療関連分野では、採取した検体を濾過するのに適した緻密に制御された孔径を有する超高分子量ポリエチレン多孔質体が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
かかる問題を解決するために、いくつかの樹脂パウダーが提案されている。例えば、目開き37μmメッシュ篩を少なくとも95重量%以上が通過し、レーザー回折散乱法で測定したメジアン径(d50)が、3μm≦d50≦25μm、円形度係数が0.85以上であるエチレン系共重合体微粒子を用いることにより、孔径、いわゆるポアサイズが小さく、かつ均一な孔径を有する多孔質焼結体を製造できることが報告されている(例えば、特許文献3参照)。
さらに、例えば、メルトインデックス(MI)が0.02g/10分未満である超高分子量ポリプロピレンを主成分とする多孔質シートが開示されており、当該多孔質シートは機械的強度及び耐熱性に優れ、かつ気孔率のバラツキが少なくなるとされている(例えば、特許文献4参照)。
これら超高分子量ポリエチレンパウダーは、分子量が高く、溶融流動性が低いため、圧縮成形(プレス成形)、ラム押出、スクリュー押出等の成形機で加熱圧縮することによって、パウダー同士を融着させることにより、成形体が作製されている。超高分子量ポリエチレンパウダーから得られる成形体は、ポリエチレン以外の樹脂や汎用のポリエチレンと比較すると、極めて高い耐衝撃性を有しており、種々の耐衝撃性が求められる用途に使用されている(例えば、特許文献5参照)。
さらに、多孔質焼結体を吸引搬送に用いる吸着緩衝材として用いる場合は表面の平滑さが求められる。しかしながら、表面をより平滑にするためにプレス等の圧縮成形機を用いて強く加熱加圧をすると、通気度の低下を招くという問題点を有している。
パウダーを用いた成形体は、例えば、金型にパウダーを充填した後、加熱圧縮させた後、冷却する方法により製造することができる。しかしながら、溶融流動性の低い超高分子量ポリエチレンパウダーを用いた場合は、パウダー同士を融着させるためには長時間加熱圧縮する必要があり、短時間では成形体に十分な耐衝撃性を付与することが困難である等の問題がある。
特許文献5には、超高分子量パウダーの圧縮強度の制御に関する記載はなされておらず、成形体の耐衝撃性も超高分子量パウダー同士の融着不足により十分な値となっていない、という問題点を有している。
〔1〕
密度が、910kg/m3以上935kg/m3未満であり、平均粒子径が、50μm以上140μm未満である、ポリエチレンパウダーであって、
前記ポリエチレンパウダーが、粒子径60μmの粒子及び粒子径100μmの粒子を含み、
前記粒子径60μmの粒子の10%変位時の圧縮強度が、2.0MPa以上5.0MPa未満であり、
前記粒子径100μmの粒子の10%変位時の圧縮強度に対する、前記粒子径60μmの粒子の10%変位時の圧縮強度が、0.5倍以上1.3倍未満である、
ポリエチレンパウダー。
〔2〕
前記粒子径100μmの粒子における、10%変位時の圧縮強度に対する20%変位時の圧縮強度が、1.8倍以上2.4倍未満である、前記〔1〕に記載のポリエチレンパウダー。
〔3〕
示差走査熱量計(DSC)により測定されるTm1半値幅が、5.0℃以上10.0℃未満である、前記〔1〕又は〔2〕に記載のポリエチレンパウダー。
〔4〕
示差走査熱量計(DSC)により測定される融解熱量(ΔHm)と、結晶化熱量(ΔHc)との差(ΔHm-ΔHc)が、50J/g以上100J/g未満である、前記〔1〕~〔3〕のいずれか一に記載のポリエチレンパウダー。
〔5〕
レーザー粒度分計で測定したD90/D10が、2.0以上3.0未満である、前記〔1〕~〔4〕のいずれか一に記載のポリエチレンパウダー。
〔6〕
Al、Tiの総含有量が、1ppm以上10ppm以下である、前記〔1〕~〔5〕のいずれか一に記載のポリエチレンパウダー。
〔7〕
前記〔1〕~〔6〕のいずれか一に記載のポリエチレンパウダーの成形体。
〔8〕
多孔質焼結体である、前記〔7〕に記載の成形体。
本実施形態のポリエチレンパウダーは、
密度が910kg/m3以上935kg/m3未満であり、平均粒子径が50μm以上140μm未満である。
また、本実施形態のポリエチレンパウダーは、粒子径60μmの粒子及び粒子径100μmの粒子を含む。上記粒子径60μmの粒子の10%変位時の圧縮強度は、2.0MPa以上5.0MPa未満であり、上記粒子径100μmの粒子の10%変位時の圧縮強度に対する、上記粒子径60μmの粒子の10%変位時の圧縮強度(以下、「粒子径による圧縮強度比」ともいう)が0.5倍以上1.3倍未満である。
上記α-オレフィンとしては、特に限定されず、例えば、炭素数3~20のα-オレフィン等が挙げられる。炭素数3~20のα-オレフィンとしては、具体的には、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-トリデセン、1-テトラデセン等が挙げられる。
上記ビニル化合物としては、特に限定されず、例えば、ビニルシクロヘキサン、スチレン及びその誘導体等が挙げられる。
また、必要に応じて、他のコモノマーとして、1,5-ヘキサジエン、1,7-オクタジエン等の非共役ポリエンを使用することもできる。
他のコモノマーは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、ポリエチレンのコモノマー量は、赤外分析法、NMR法等で確認することができる。
前記ポリエチレンの密度を910kg/cm3以上935kg/cm3未満にすることにより、成形体の場所による特性のバラつきが抑えられて均一性に優れた成形体になる傾向にある。
ポリエチレンパウダーの密度は、具体的には実施例に記載の方法により測定することによって求めることができる。
本実施形態のポリエチレンパウダーの粘度平均分子量(Mv)は、特に限定されないが、好ましくは50×104以上1,000×104未満であり、より好ましくは100×104以上900×104未満であり、さらに好ましくは150×104以上800×104未満である。
粘度平均分子量(Mv)が50×104以上であることにより、パウダーの焼結時に樹脂の流動が少なくなり、そのパウダー形状を維持した状態で焼結が可能となるため、多孔質焼結体の孔径や気孔率、寸法等を制御しやすい傾向にある。さらに、粘度平均分子量(Mv)が50×104以上であることにより、多孔質焼結体の耐熱性が向上するため、高温環境下での使用も可能となる。粘度平均分子量(Mv)が1,000×104未満であることにより、パウダーの焼結時にパウダー同士の融着が進みやすくなり、多孔質焼結体の機械強度が向上する傾向にある。
本実施形態のポリエチレンパウダーの平均粒子径は、50μm以上140μm未満であり、好ましくは60μm以上130μm未満であり、より好ましくは70μm以上120μm未満である。
平均粒子径が50μm以上であることにより、金型へポリエチレンパウダーを充填した際に均一になりやすく、成形体の場所による特性のバラつきが抑えられた成形体になる傾向にある。また、平均粒子径が50μm以上であることにより、多孔質焼結体の孔径を大きくすることができ、吸水速度のバラつきを抑制できる傾向にある。平均粒子径が140μm未満であることにより、パウダー同士の接触面積が大きくなり、成形体の機械強度のバラつきが抑制できる傾向にある。
なお、ポリエチレンパウダーの平均粒子径は、後述する実施例に記載の方法により測定できる。
本実施形態のポリエチレンパウダーに含まれる粒子径60μmの粒子において、当該粒子の10%変位時の圧縮強度は、2.0MPa以上5.0MPa未満であり、好ましく2.2MPa以上4.8MPa未満であり、より好ましくは2.4MPa以上4.6MPa未満である。
なお、本実施形態における粒子径60μmの粒子とは、60μm±5μmの粒子をいう。また、10%変位時の圧縮強度とは、圧子でポリエチレン粒子1粒に負荷力(試験力)を与え、その変形量(圧縮変位)を計測し、10%変形したときの圧縮強度を測定した値である。
C(x)=2.48×P/(π×d×d)
C(x):10%変位時の圧縮強度(MPa)
P:粒子径の10%変位時の試験力(N)
d:粒子径(mm)
圧縮強度は、具体的には実施例に記載の方法により測定することによって求めることができる。
本実施形態において、粒子径100μmの粒子の10%変位時の圧縮強度に対する粒子径60μmの粒子の10%変位時の圧縮強度は、0.5倍以上1.3倍未満であり、好ましくは0.6倍以上1.2倍未満であり、より好ましくは0.7倍以上1.1倍未満である。なお、本実施形態における粒子径100μmの粒子とは、100μm±5μmの粒子をいう。
また、パウダーが加熱圧縮される際は、パウダーのサイズによらず全体が均等に変形するため、局所的な成形歪が生じにくい。そのため、冷却後に焼結体が収縮した際に、局所的な変形が生じにくく、場所による強度や吸水速度、通気度のバラつきのない均一な多孔質焼結体になる傾向にある。
さらに、加熱圧縮時の変形を多孔質焼結体全体で平均化することが可能となり、多孔質焼結体の表面のみが極度に変形することを抑制できる。そのため、焼結時やプレス時にパウダーが圧縮されてもパウダー自身の体積が減少し、多孔質焼結体の細孔の減少が抑制され、通気度の低下を最小限に抑制できる。
成形体においては、圧縮された際に、圧縮強度が低いパウダーの方が、隣接するパウダー間での混ざり合いが多く、その結果、パウダー間の分子鎖同士の絡み合いが増加し、共結晶が増加するため、機械物性が向上する傾向にある。特に、粒子径100μmの粒子の10%変位時の圧縮強度に対する粒子径60μmの粒子の10%変位時の圧縮強度が小さくなると、すなわち、比表面積が大きい微粉側(粒子径60μm)のパウダーの10%変位時の圧縮強度が小さいと、機械強度がより向上する傾向にある。
触媒は初期の反応活性が高いため、重合反応器に導入すると、急激な反応が起こり局所的に過加熱状態になりやすい。一方、触媒を低温として重合を行うと低温で重合反応が進行してしまう。したがって、圧縮強度及び圧縮強度比を所定の範囲に制御するためには、均一な条件で反応させることが有効である。
圧縮強度及び圧縮強度比を所定の範囲とする方法としては、具体的には、重合温度の調整のため、ジャケット冷却装置とコイル式冷却装置とを併用すること、活性Ti担持量が少ない触媒を使用すること、触媒を重合系へ添加する前に特定の温度で助触媒と混合すること、触媒の導入温度は、重合温度-5℃~-20℃の温度とすること、触媒を断続的に導入すること、スラリー濃度を35%以下とすること、重合系へのエチレンの導入箇所を3箇所以上とすること、乾燥温度を95℃未満とすること等の方法が挙げられる。
二段重合によりパウダーを製造する場合においては、一段目を上記方法で重合することが好ましく、例えば一段目のスラリー濃度を35%以下とすることにより、圧縮強度が小さい一段目の重合物が、パウダーの外側に配置され、スラリー濃度が高くなって比較的圧縮強度が大きくなった二段目の重合物がパウダーの内側に配置されやすくなる。さらに一般的に二段目の重合では触媒活性が低下する傾向にあることから、二段目の重合工程で十分に反応しなかったことにより得られるパウダーは、当該パウダーの内側の成分が少なくなるためパウダーとしては粒径が小さい微粉末になり、当該パウダーの外側の、一段目で重合された成分が主になり、すなわち一段目で重合された圧縮強度が小さい重合物が主となると考えられるため、圧縮強度及び圧縮強度比を所定の範囲に調整することができる傾向にある。
本実施形態において、粒子径100μmの粒子における、10%変位時の圧縮強度に対する20%変位時の圧縮強度は、好ましくは1.8倍以上2.4倍未満であり、より好ましくは1.9倍以上2.3倍未満であり、さらに好ましくは2.0倍以上2.2倍以下である。
粒子径100μmの粒子における、10%変位時の圧縮強度に対する20%変位時の圧縮強度の比が2.4倍未満であることにより、パウダー自身の体積が減少しやすく、パウダーの変形による多孔質焼結体の細孔の消失が抑制される傾向にある。
また、ポリエチレンパウダーを成形する場合、異なる性質の樹脂等のパウダーと混合してから使用することが想定され、その際に他のパウダーとポリエチレンパウダーとが衝突することにより破砕し、微粉が生じうる。このとき、粒子径100μmの粒子における、10%変位時の圧縮強度に対する20%変位時の圧縮強度の比が1.8倍以上2.4倍未満であることにより、内側に向かって緩やかに圧縮強度が上昇するパウダーとなるため、他のパウダーとの衝突による微粉の発生を抑制することができる傾向にある。
本実施形態のポリエチレンパウダーにおいて、示差走査熱量計(DSC)から求められる融解曲線の融解ピークTm1の半値幅(Tm1半値幅ともいう)は、好ましくは5.0℃以上10.0℃未満であり、より好ましくは5.5℃以上9.5℃未満であり、さらに好ましくは6.0℃以上9.0℃未満である。
パウダーを焼結する際、融解ピークTm1より低い温度でパウダーが膨潤し圧縮圧力がかかるが、Tm1半値幅が5.0℃以上であることにより、より低い温度でパウダー同士が融着しやすくなり機械強度がより向上する傾向にある。また、Tm1半値幅が5.0℃以上であることにより、冷却する工程での収縮による多孔質焼結体の歪をより抑制することができる。
通常、収縮を抑制するために、徐々に冷却を行うが、Tm1半値幅が5.0℃以上であることにより、冷却時間を短縮化することができ、経済的にも好ましい。さらに、Tm1半値幅が5.0℃以上であることにより、多孔質焼結体がポリマーの溶融が始まる高温環境下で使用される場合であっても、溶融流動が抑制され形状が維持されやすい傾向にある。
Tm1半値幅が10.0℃未満であることにより、均一に融解しやすい傾向にある。
Tm1半値幅は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
本実施形態のポリエチレンパウダーにおける、示差走査熱量計(DSC)から求められる融解熱量(ΔHm)と結晶化熱量(ΔHc)との差(ΔHm-ΔHc)は、好ましくは50J/g以上100J/g未満であり、より好ましくは55J/g以上95J/g未満であり、さらに好ましくは60J/g以上90J/g未満である。
耐熱性の観点から、ΔHmは大きいことが好ましく、加工性、特に結晶化するときの収縮抑制の観点から、ΔHcは小さいことが好ましい。
融解熱量(ΔHm)と結晶化熱量(ΔHc)との差が50J/g以上100J/g未満であることにより、耐熱性や高温での寸法安定性に優れ、且つ結晶化するときの収縮も抑制することができ、寸法精度や機械強度に優れる。
なお、融解熱量(ΔHm)と結晶化熱量(ΔHc)の差は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
本実施形態のポリエチレンパウダーにおける、レーザー式粒度分布計で測定したD90/D10は、好ましくは2.0以上3.0未満であり、より好ましくは2.1以上2.9未満であり、さらに好ましくは2.2以上2.8未満である。D90/D10は粒度分布を表す指標であり、D90/D10が大きいほど粒度分布は広くなる。
D90/D10が2.0以上であることにより、多孔質焼結体の機械強度が向上する傾向にある。D90/D10が3.0℃未満であることにより、パウダーの流動性に優れ、パウダーを金型に均一に充填しやすくなるため、多孔質焼結体の均一性の制御が容易になる傾向にある。
D90/D10は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
本実施形態のポリエチレンパウダーにおける、チタン(Ti)とアルミニウム(Al)の総含有量は、好ましくは1.0ppm以上10.0ppm以下であり、より好ましくは1.1ppm以上8.0ppm以下であり、さらに好ましくは1.2ppm以上6.0ppm以下である。TiとAlの総含有量とは、主に触媒残渣の量のことをいう。
本実施形態のポリエチレンパウダーにおいて、TiとAlの総含有量が1.0ppm以上であることにより、パウダー同士の凝集物や異形パウダーが少なくなり、流動性に優れるパウダーになる傾向にある。
一方、TiとAlの総含有量が10.0ppm以下であることにより、着色の少ないポリエチレンパウダーとなり、成形した場合には、ポリエチレンの劣化が抑制されて、脆化や変色、機械的物性の低下等が起こりにくくなり、長期安定性により優れるものとなる傾向にある。
使用する触媒としては、特に限定されず、一般的なチーグラー・ナッタ触媒やメタロセン触媒を使用することができるが、後述する触媒を使用することが好ましい。
さらに、ポリエチレンパウダーを水、又は弱酸性水溶液で洗浄すること等の方法によって、TiとAlをポリエチレンパウダーから除去することもできる。
ポリエチレンパウダーのTi、Alの総含有量は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
本実施形態のポリエチレンパウダーを構成するポリエチレンは、従来公知の重合法により製造することができる。重合法としては、以下に限定されないが、例えば、スラリー重合法、気相重合法、溶液重合法等により、エチレン単独、又はエチレンを含む単量体を(共)重合させる方法が挙げられる。特に、重合熱を効率的に除熱できるスラリー重合法が好ましい。スラリー重合法においては、媒体として不活性炭化水素媒体を用いることができ、さらにオレフィン自身を媒体として用いることもできる。
チーグラー・ナッタ触媒としては、特許第5767202号公報に記載のものを好適に使用することができ、メタロセン触媒としては、以下に限定されないが、例えば、特開2006-273977号公報、及び、特許第4868853号公報に記載のものを好適に使用することができる。また、本実施形態のポリエチレンパウダーの製造工程に使用される触媒成分には、トリイソブチルアルミニウム、Tebbe試薬等の助触媒が含まれていてもよい。
触媒の粒径分布は、デカンテーション、篩、遠心分離、サイクロンによって、微粉と粗粉を除去することにより制御することができる。特に、触媒の混合、沈降、溶媒の除去を繰り返すデカンテーション法において、沈降時間を短くすることにより、微粉をより効果的に除去することが可能となる。
スラリー濃度は、パウダー質量/(パウダー質量+溶剤質量)×100で定義される。
スラリー濃度は、パウダー生成量を調整することにより上記数値範囲に制御することができる。具体的には、固体触媒の添加量を少なくすること、エチレンの添加量を少なくすること等の方法が、制御方法として挙げられる。
乾燥温度は、好ましくは70℃以上95℃未満、より好ましくは75℃以上90℃以下が、さらに好ましくは80℃以上85℃以下である。
乾燥温度が70℃以上であることにより、効率的な乾燥ができる傾向にある。乾燥温度が105℃以下であることにより、ポリエチレンパウダーの凝集や熱劣化を抑制した状態で乾燥することができる傾向にある。
また、本実施形態のポリエチレンパウダーの製造工程においては、ロータリードライヤーを用いてポリマー温度が85℃以上90℃未満になるように乾燥することが好ましい。その場合、圧縮強度及び圧縮強度比を本実施形態における範囲に制御することができる傾向にある。
本実施形態のポリエチレンパウダーは、例えば、さらに、中和剤、酸化防止剤、及び耐光安定剤等の添加剤を含有してもよい。
中和剤の含有量は、特に限定されないが、ポリエチレンパウダー全量に対し、好ましくは5,000ppm以下、より好ましくは4,000ppm以下、さらに好ましくは3,000ppm以下であり、使用しなくてもよい。
酸化防止剤の含有量は、特に限定されないが、好ましくは5,000ppm以下、より好ましくは4,000ppm以下、さらに好ましくは3,000ppm以下であり、使用しなくてもよい。
耐光安定剤の含有量は、特に限定されないが、好ましくは5,000ppm以下、より好ましくは4,000ppm以下、さらに好ましくは3,000ppm以下であり、使用しなくてもよい。
また、本実施形態のポリエチレンパウダーは、パウダー状の他、ペレット状に加工しても好適に使用することができる。
本実施形態のポリエチレンパウダーは、種々の加工方法により、種々の用途に応用できる。
本実施形態の成形体は、本実施形態のポリエチレンパウダーを成形することにより製造することができ、当該成形体は、均一性に優れた成形体となることから、微多孔膜、繊維、シート状やブロック状の成形体又は多孔質焼結体として好適に用いることができる。
本実施形態の多孔質焼結体としては、例えば、吸着固定搬送用シート等の一般工業部材として利用可能であり、また、イムノクロマト法による迅速検査キットの支持体用シート、アフェレシス治療用のフィルター、人工透析等用のフィルター、各種インプラント、生体分析キット等のプレフィルター、剛性の低いフィルター等の支持体、イオン交換樹脂の支持体等のライフサイエンス分野や、プリンタヘッド用インク吸収体、固体電解質の支持体、燃料電池用部材、リチウムイオン二次電池や鉛蓄電池のセパレータ等のエレクトロニクス分野においても利用可能である。
各種の物性は下記に示す方法により測定した。
200mLの樹脂製のカップにポリエチレンパウダー100gを量り取り、カーボンブラック1gを加えて薬さじで十分に撹拌した。撹拌したポリエチレンパウダーを、JIS Z 8801規格に準拠した目開きが300μm、212μm、150μm、106μm、75μm、53μmのふるいにかけて分級した際、得られる各ふるいに残ったポリエチレンパウダーの質量を目開きの小さい側から積分した積分曲線において、50%質量となる粒子径を平均粒子径とした。
まず、20mLのデカリン(デカヒドロナフタレン)中にポリエチレンパウダー20mgを加え、150℃で2時間攪拌してポリエチレンパウダーを溶解させて溶液を得た。その溶液を135℃の恒温槽で、ウベローデタイプの粘度計を用いて、標線間の落下時間(ts)を測定した。同様に、ポリエチレンパウダーの重量を変えた3点の溶液を作製し、落下時間を測定した。ブランクとしてポリエチレンパウダーを入れていない、デカリンのみの落下時間(tb)を測定した。
以下の数式にしたがって求めたポリマーの還元粘度(ηsp/C)をそれぞれプロットして濃度(C)(単位:g/dL)とポリマーの還元粘度(ηsp/C)の直線式を導き、濃度0に外挿した極限粘度([η])を求めた。
ηsp/C=(ts/tb-1)/C (単位:dL/g)
次に、下記(式A)を用いて、上記極限粘度([η])の値を用い、粘度平均分子量(Mv)を算出した。
Mv=(5.34×104)×[η]1.49 ・・・(式A)
ポリエチレンパウダーの密度は、ポリエチレンパウダーのプレスシートから切り出した切片を120℃で1時間アニーリングし、その後25℃で1時間冷却したものを密度測定用サンプルとして用い、JIS K 7112に準じて測定することによって求めた。ポリエチレンパウダーのプレスシートは、縦60mm、横60mm、厚み2mmの金型を用い、ASTM D 1928 Procedure Cに準じて作製した。
実施例及び比較例で得られた各ポリエチレンパウダーのコモノマー含有量は、13C-NMRにより、以下の条件で測定した。
装置:AVANCEIII 500HD Prodigy(Bruker Biospin社)
観測周波数:125.77MHz(13C)
パルス幅:5.0μsec
パルス繰り返し時間:5sec
積算回数:10,000回
測定温度:120℃
基準:29.9ppm(PE:Sδδ)
溶媒:o-C6D4Cl2
試料濃度:0.1g/mL
試料管:5mmφ
なお、測定試料は60mgのポリエチレン系重合体パウダーにo-C6D4Cl2 0.6mLを入れて、130℃で加熱しながら溶解させた。
圧縮強度測定用の60μmの粒子径のポリエチレンパウダーは、JIS Z 8801規格に準拠した目開き63μmと53μmのふるいにかけて分級し、オリンパス(株)社製のシステム顕微鏡BX43で、長辺と短辺の平均値が約60μmになるポリエチレンパウダーを選別した。続いて、微小圧縮試験機の光学モニタで、長辺と短辺の平均値が、60μm±5μmとなるポリエチレン粒子を、選別されたポリエチレンパウダーの中からランダムに選択し、それを使用して圧縮強度の測定を行った。
また、圧縮強度測定用の100μmの粒子径のポリエチレンパウダーは、目開き106μmと90μmのふるいにかけて分級し、60μmの粒子径と同様の方法で、100μm±5μmとなるポリエチレン粒子を、選別されたポリエチレンパウダーの中からランダムに選択し、それを使用して圧縮強度の測定を行った。
圧縮強度は、JIS R 1639-5に準拠して、(株)島津製作所の微小圧縮試験機MCT-510を使用して測定した。具体的には、選択したポリエチレンパウダー1粒を下部試料台に乗せ、粒子径を測定し、平面φ200μmの上部加圧圧子、試験力490.0mN、負荷速度4.842mN/secの条件で測定した。
測定は5回(ランダムに選択された5粒について各々)実施し、5粒の測定値の平均値で評価した。
10%変位時と20%変位時の圧縮強度C(x)は、10%変位または20%変位した時の試験力から下記式で算出した。
C(x)=2.48×P/(π×d×d)
C(x):10%変位時または20%変位時の圧縮強度(MPa)
P:粒子径の10%変位時または20%変位時の試験力(N)
d:粒子径(mm)
なお、粒子径dは、パウダーの長辺と短辺の平均値とした。
上記により、粒子径60μmの粒子の10%変位時の圧縮強度、粒子径100μmの粒子の10%変位時の圧縮強度、粒子径100μmの粒子の20%変位時の圧縮強度を求め、「粒子径100μmの粒子の10%変位時の圧縮強度に対する、粒子径60μmの粒子の10%変位時の圧縮強度の比」と「粒子径100μmの粒子の10%変位時の圧縮強度に対する、20%変位時の圧縮強度の比」を算出した。
ポリエチレンパウダーのTm1半値幅、ΔHm(融解熱量)、ΔHc(結晶化熱量)の測定は、DSC(パーキンエルマー社製、商品名:DSC8000)を用いて行った。
ポリエチレンパウダーを8~10mg秤量し、アルミニウム試料パン中に入れた。このパンにアルミニウムカバーを取り付け、示差走査熱量計中に設置した。
流量20mL/分で窒素をパージしながら、試料及び基準試料を50℃で1分間保持した後、10℃/分の速度で180℃まで昇温し、180℃で5分間保持後、10℃/minの降温速度で50℃まで冷却した。昇温過程で得られる融解曲線の融解ピーク高さの半分の高さにおける温度幅をTm1半値幅とした。
融解ピーク面積から算出した総熱量をサンプル質量で割ることによって融解熱量(ΔHm)を求めた。また、降温過程で得られる結晶化曲線の結晶化ピーク面積から算出した総熱量をサンプル質量で割ることによって結晶化熱量(ΔHc)を求めた。この融解熱量(ΔHm)と結晶化熱量(ΔHc)から「融解熱量(ΔHm)と結晶化熱量(ΔHc)の差」を算出した。
ポリエチレンパウダーのD90/D10は、株式会社島津製作所製レーザー式粒度分布計(商品名SALD-2100)を用いて測定した。
メタノールを分散媒として測定することにより、小粒径側からの累積粒度分布を作成し、累積10%、90%となる粒子径をそれぞれD10、D90とした。
このD10、D90から「D90/D10」を算出した。
ポリエチレンパウダーをマイクロウェーブ分解装置(型式ETHOS TC、マイルストーンゼネラル社製)を用い加圧分解し、内部標準法にて、ICP-MS(誘導結合プラズマ質量分析装置、型式Xシリーズ X7、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)にて、ポリエチレンパウダー中の金属としてTiとAlの元素濃度を測定した。
TiとAlの総含有量は、TiとAlの元素濃度を足した値とした。
ポリエチレンパウダーの引張破断強度は、プレス後の400mm×400mm、厚さ2.0mmの多孔質焼結体を使用した。JIS K 7161-1に準拠して、(株)エイ・アンド・ディー製、テンシロンRTC-1310Aを使用して10回測定した平均値を引張破断強度とした。
◎は、引張破断強度が5.5MPa以上であったことを表す。
○は、引張破断強度が4.5MPa以上5.5MPa未満であったことを表す。
×は、引張破断強度が4.5MPa未満であったことを表す。
実施例及び比較例で得られたプレス後の400mm×400mm、厚さ2.0mmの多孔質焼結体を使用して、以下の方法で引張破断強度と吸水速度とを評価した。
引張破断強度は、JIS K 7161-1に準拠して、(株)エイ・アンド・ディー製、テンシロンRTC-1310Aを使用して10回測定した。
吸水速度は、1分間当たりの水の吸い上げ高さにより求めた。水の吸い上げ高さは、大気圧下、25℃にて、幅10mm、高さ100mmの多孔質焼結体の下部20mmを25℃の水中に垂直に浸漬し、浸漬してから1分後の毛管現象による水の吸い上げ距離を10回測定した。
上記、引張破断強度と吸水速度のバラつきをそれぞれ以下の式で算出し、以下のように評価した。
バラつき(%)={(最大値或いは最小値)-(平均値)}/(平均値)×100
◎は、引張破断強度のバラつきが10%未満であり、吸水速度のバラつきが5%未満であったことを表す。
○は、引張破断強度のバラつきが10%以上15%未満であり、吸水速度のバラつきが5%以上10%未満であったことを表す。
×は、引張破断強度のバラつきが15%以上であり、吸水速度のバラつきが10%以上であったことを表す。
実施例及び比較例で得られたプレス前及びプレス後の400mm×400mm、厚さ2.0mmの多孔質焼結体を50mm×50mmの区画に分割し、64箇所それぞれの表面粗さと通気度を測定し、プレス前後の表面粗さと通気度の変化率を以下の計算式にて算出した。
表面粗さ向上率(%)=プレス前表面粗さ/プレス後表面粗さ×100
通気度低下率(%)=プレス前通気度/プレス後通気度×100
上記、表面粗さ変化率及び通気度変化率のそれぞれの64箇所の平均値から以下のように評価した。
◎は、表面粗さ向上率が40%以上であり、通気度低下率が40%未満であったことを表す。
〇は、表面粗さ向上率が40%以上であり、通気度低下率が40%以上50%未満であったことを表す。
×は、表面粗さ向上率が40%未満であり、通気度低下率が50%以上であったことを表す。
なお、表面粗さ(Ra)の測定は、触針式表面粗さ計(株式会社東京精密社製「ハンディサーフE-35B」)を用い、先端径R:5μm、速度:0.6mm/s、測定長:12.5mm、カットオフ値λc:2.5mmの条件にて測定した。
通気度の測定は、通気度測定機(TEXTEST社製「FX3360PORTAIR」)を用い、測定範囲20cm2、測定差圧125Paの条件にて測定した。
実施例及び比較例で得られたプレス後の400mm×400mm、厚さ2.0mmの多孔質焼結体を50mm×50mmの区画に分割し、64箇所それぞれの通気度を測定し、以下のように評価した。
◎は、64箇所の通気度の平均値と、最大値との差及び最小値との差が、それぞれ10%未満であったことを表す。
○は、64箇所の通気度の平均値と、最大値との差及び最小値との差が、それぞれ10%以上15%未満であったことを表す。
×は、64箇所の通気度の平均値と、最大値との差及び最小値との差が、15%以上であったことを表す。
なお、通気度の測定は、通気度測定機(TEXTEST社製「FX3360PORTAIR」)を用い、測定範囲20cm2、測定差圧125Paの条件にて測定した。
得られたポリエチレンパウダー50質量部と比較対象とするポリエチレンパウダー(旭化成(株)製 K4750P)50質量部とを、10Lのヘンシェルミキサーを使用し、回転数150rpm/min(周速度21.6m/sec)で20分間攪拌した。
攪拌後のポリエチレンパウダーを平均粒子径の測定で記載した方法と同様にして、目開き75μm未満のポリエチレンパウダーの質量(53μm篩上のポリエチレンパウダーの質量と、53μm篩を通過したポリエチレンパウダーの質量の和)を求めた。攪拌前に対する攪拌後の目開き75μm未満のポリエチレンパウダーの質量の増加率を求め、以下のように評価した。
◎は、目開き75μm未満のポリエチレンパウダーの増加率が5%未満であったことを表す。
○は、目開き75μm未満のポリエチレンパウダーの増加率が5%以上10%未満であったことを表す。
×は、目開き75μm未満のポリエチレンパウダーの増加率が10%以上であったことを表す。
得られたポリエチレンパウダーをホッパーに投入し、バイブレータを用いて、3,000VPMで20分間振動させた。投入したポリエチレンパウダー100質量部に対してホッパー上部及び下部からそれぞれ10質量部のポリエチレンパウダーを採取して、高強度繊維の原料として使用した。
ポリエチレンパウダー7質量%に、デカリン(広島和光社製)93質量%を配合してスラリー状液体を調製した。このスラリー状液体を、温度260℃、溶融滞留時間15分に設定した押出機に投入して均一溶液を形成させた。この溶液を180℃に設定した孔径0.7mmの紡糸口金を用いて、単孔吐出量1.1g/分で紡糸した。吐出した溶媒を含む糸は3cmのエアギャップを介して10℃の水浴中に投入して、急冷しながら40m/分の速度で巻き取った。
ついで、該糸を40℃、24時間の条件で真空乾燥させ、溶媒を除去させた。得られた糸を糸温度が130℃になるように金属ヒータに接触させ、4倍の延伸比で一次延伸し延伸糸を巻き取った。ついで、当該延伸糸を延伸糸が155℃になるように金属ヒータに接触させ、さらに二次延伸し、糸が切れる直前の延伸倍率を限界延伸倍率とした。この限界延伸倍率を10回測定して、その平均値から以下のように評価した。
◎は、ホッパー上部サンプルとホッパー下部サンプルとの限界延伸倍率の差が2倍未満であったことを表す。
〇は、ホッパー上部サンプルとホッパー下部サンプルとの限界延伸倍率の差が2倍以上5倍未満であったことを表す。
×は、ホッパー上部サンプルとホッパー下部サンプルとの限界延伸倍率の差が5倍以上であったことを表す。
ポリエチレンパウダーを、ISO11542に準拠して圧縮成形(プレス成形)することにより成形体を得た。
試験片の切り出し、及びシャルピー衝撃試験をISO179-1に準拠して実施した。
このシャルピー衝撃試験を10回測定して、その平均値を求め、以下の式より算出した耐衝撃強度と比較し、成形体の耐衝撃性を以下のように評価した。
耐衝撃強度=0.0003×[粘度平均分子量(Mv)]2-0.293×[粘度平均分子量(Mv)]+192.52
◎は、平均値が上記式から求められる耐衝撃強度より10KJ/m2以上高いことを表す。
〇は、平均値が上記式から求められる耐衝撃強度以上、+10KJ/m2未満であることを表す。
×は、平均値が上記式から求められる耐衝撃強度未満であることを表す。
(固体触媒成分[A]の調製)
<(1)原料(a-1)の合成>
充分に窒素置換された8Lステンレス製オートクレーブに1mol/LのMg6(C4H9)12Al(C2H5)3のヘキサン溶液2,000mL(マグネシウムとアルミニウムで2000mmol相当)を仕込み、50℃で攪拌しながら、5.47mol/Lのn-ブタノールヘキサン溶液146mLを3時間かけて滴下し、終了後ラインを300mLのヘキサンで洗浄した。さらに、50℃で2時間かけて攪拌を継続した。
反応終了後、常温まで冷却したものを原料(a-1)とした。原料(a-1)はマグネシウムの濃度で0.704mol/Lであった。
<(2)原料(a-2)の合成>
充分に窒素置換された8Lステンレス製オートクレーブに1mol/LのMg6(C4H9)12Al(C2H5)3のヘキサン溶液2,000mL(マグネシウムとアルミニウムで2000mmol相当)を仕込み、80℃で攪拌しながら、8.33mol/Lのメチルハイドロジエンポリシロキサン(信越化学工業社製)のヘキサン溶液240mLを3時間かけて滴下し、終了後ラインは300mLのヘキサンで洗浄した。さらに80℃で2時間かけて攪拌を継続させた。
反応終了後、常温まで冷却したものを原料(b-2)とした。原料(a-2)はマグネシウムとアルミニウムの合計濃度で0.786mol/Lであった。
<(3)(A-1)担体の合成>
充分に窒素置換された8Lステンレス製オートクレーブに1mol/Lのヒドロキシトリクロロシランのヘキサン溶液1,000mLを仕込み、65℃で原料(a-1)の有機マグネシウム化合物のヘキサン溶液1340mL(マグネシウム943mmol相当)を3時間かけて滴下し、さらに65℃で1時間攪拌しながら反応を継続させた。
反応終了後、上澄み液を除去し、1,800mLのヘキサンで4回洗浄し、(A-1)担体を得た。この担体を分析した結果、固体1g当たりに含まれるマグネシウムは7.5ミリモルであった。
<(4)固体触媒成分[A]の調製>
上記(A-1)担体110gを含有するヘキサンスラリー1,970mLに25℃で攪拌しながら、0.8mol/Lの四塩化チタンのヘキサン溶液82mLと原料(a-2)105mLを同時に3時間かけて添加した。添加後、40℃に昇温して1時間反応を継続させた。
反応終了後、上澄み液を除去し、ヘキサンで6回洗浄することにより、未反応原料成分を除去し、固体触媒成分[A]を調製した。
上記(A-1)担体110gを含有するヘキサンスラリー1,970mLに10℃で攪拌しながら、1.0mol/Lの四塩化チタンのヘキサン溶液103mLと原料(a-2)131mLを同時に3時間かけて添加した。添加後、10℃に昇温して1時間反応を継続させた。反応終了後、上澄み液を除去し、ヘキサンで2回洗浄することにより、未反応原料成分を除去し、固体触媒成分[A]を調製した。
(ポリエチレンパウダーの製造)
ヘキサン、エチレン、触媒を、攪拌装置、ジャケット冷却装置、コイル式冷却装置が付いたベッセル型300L重合反応器に連続的に供給して、重合圧力0.45MPa、重合温度74℃でポリエチレンの重合を行った。溶媒として脱水ノルマルヘキサンを40L/時間で供給した。エチレンは重合器の底部より3箇所に分けて供給して重合圧力を0.45MPaに保った。触媒は、事前に50℃で1時間混合した固体触媒成分[A](Ti原子換算で1.1mmol/時間)と、助触媒のトリイソブチルアルミニウム(20mmol/時間)を、56℃に調整した後、固体触媒成分[A]が0.16g/hrとなる速度で重合系に添加した。触媒の添加は、3分間連続添加した後、1分間添加を停止する断続的な添加を行った。
触媒活性は68,000g-PE/g-固体触媒成分[A]で、ポリエチレンの製造速度は8kg/hrであり、スラリー濃度は33%であった。重合スラリーは、重合反応器のレベルが一定に保たれるように連続的に圧力0.04MPaのフラッシュドラムに抜き、未反応のエチレンを分離した。
次に、重合スラリーは、重合反応器のレベルが一定に保たれるように連続的に遠心分離機に送り、ポリマーとそれ以外の溶媒等を分離した。
分離されたポリエチレンパウダーは、乾燥機に導入した。乾燥は、90℃で窒素ブローしながら0.5時間乾燥した。なお、この乾燥工程で、重合後のパウダーに対し、スチームを噴霧して、触媒及び助触媒の失活を実施した。得られたポリエチレンパウダーに対し、ステアリン酸カルシウム(大日化学社製、C60)を500ppm添加し、ヘンシェルミキサーを用いて、均一混合した。続いて、ポリエチレンパウダーを目開き425μmの篩を通して、篩を通過しなかったものを除去することでポリエチレンパウダーを得た。粘度平均分子量は416×104g/molであった。得られたポリエチレンパウダーの特性を表1に示す。
(多孔質焼結体の製造方法)
ポリエチレンパウダー100質量部にポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート0.3質量部を高速ミキサーにて80℃に加温しつつ乾式混合した。得られた親水化されたポリエチレンパウダーを焼結体の原料として使用した。
金型は、内寸が厚さ2.15mm、400mm×400mm、金型の厚み2mmのアルミニウム製金型を使用した。金型の上蓋となるアルミニウム板を外し、上記ポリエチレンパウダーを、バイブレータで振動を与えながら30秒間で充填した。上蓋を元に戻した後、210℃のオーブンで20分間加熱し、室温で冷却することで厚み約2.0mmのポリエチレン多孔質焼結体を得た。得られた多孔質焼結体を2.0mmのスペーサーを使用してプレス成形を行った。余熱は、80℃で15分間、プレスは80℃、1.0MPaで3分間実施し、室温で冷却することで厚み2.0mmのポリエチレン多孔質焼結体を得た。多孔質焼結体の特性を表1に示す。
重合工程において、触媒添加温度50℃、重合温度58℃、重合圧力0.43MPaとしたこと以外は、実施例1と同様の操作により、粘度平均分子量650×104g/molのポリエチレンパウダーを得た。
実施例2の多孔質焼結体は、実施例1と同様の操作によって得た。
重合工程において、触媒添加温度50℃、重合温度57℃、重合圧力0.50MPa、1-ブテンをエチレンに対して6.6mol%導入し、水素を81.4mol%導入したこと以外は、実施例1と同様の操作により、粘度平均分子量429×104g/mol、コモノマー含有量0.34mol%のポリエチレンパウダーを得た。
実施例3の多孔質焼結体は、実施例1と同様の操作によって得た。
最初に1段目の重合で高分子量成分を製造するために、ヘキサン、エチレン、水素、触媒を、実施例1と同様のベッセル型300L重合反応器に連続的に供給して、重合圧力0.37MPa、重合温度50℃でポリエチレンの重合を行った。溶媒として脱水ノルマルヘキサンを40L/時間で供給した。触媒は、事前に50℃で混合した固体触媒成分[A](Ti原子換算で1.1mmol/時間)と、助触媒のトリイソブチルアルミニウム(20mmol/時間)を、45℃に調整した後、固体触媒成分[A]が0.08g/hrとなる速度で重合系に添加した。触媒の添加は、3分間連続添加した後、1分間添加を停止する断続的な添加を行った。分子量調節剤としては水素を用い、エチレンと水素との和に対する水素の気相モル濃度(水素/(エチレン+水素))が22.6mol%になるように供給した。重合器1で生成したポリエチレンの粘度平均分子量Mvは348×104であり、スラリー濃度は20%であった。
1段目の重合器反応器のポリマースラリー溶液を圧力0.04MPaの内容積300リットルのフラッシュドラムに導き、未反応のエチレン、水素を分離した後、実施例1と同様の2段目のベッセル型300L重合反応器にスラリーポンプで導入した。スラリーポンプにはヘキサンを95リットル/hの速度で導入した。2段目の重合反応器では、温度83℃、圧力0.58MPaの条件下に、トリエチルアルミニウムを47ミリモル/hを供給し、これにエチレンと1-ブテンをエチレンに対して5.2mol%導入し、を導入して、1段目の重合反応器で生成した高分子量成分の質量と2段目の重合反応器で生成した低分子量成分の質量との和に対する2段目の重合反応器で生成した高分子量成分の質量の比(2段目の重合反応器で生成した高分子量成分の質量/(1段目の重合反応器で生成した高分子量成分の質量+2段目の重合反応器で生成した低分子量成分の質量)が0.40となるように低分子量成分を重合した。また、2段目のスラリー濃度は32%であった。
次に、重合スラリーは、重合反応器のレベルが一定に保たれるように連続的に遠心分離機に送り、ポリマーとそれ以外の溶媒等を分離した。
分離されたポリエチレンパウダーは、乾燥機に導入され、実施例1と同様な方法で処理した。粘度平均分子量は125×104g/mol、コモノマー含有量0.44mol%のポリエチレンパウダーを得た。得られたポリエチレンパウダーの特性を表1に示す。なお、パウダー破砕性の評価は、比較対象を後述する比較例1とした。
実施例4の多孔質焼結体は、実施例1と同様の操作によって得た。
1段目の重合で、触媒添加温度58℃、重合温度78℃、重合圧力0.62MPa、1-ブテンをエチレンに対して6.6mol%導入し、水素を81.4mol%導入し、二段目の重合で、重合温度78℃、重合圧力0.29MPa、1-ブテンをエチレンに対して0.9mol%導入したこと以外は、実施例4と同様の操作により、粘度平均分子量150×104g/mol、コモノマー含有量0.10mol%の実施例5のポリエチレンパウダーを得た。
実施例5の多孔質焼結体は、実施例1と同様の操作によって得た。
重合工程において、エチレンを重合器の底部より1箇所から供給したこと以外は前記実施例1と同様の操作により、粘度平均分子量406×104g/molのポリエチレンパウダーを得た。
実施例6の多孔質焼結体は、実施例1と同様の操作によって得た。
重合工程において、固体触媒成分[B](Ti原子換算で1.4mmol/時間)を使用したこと以外は、実施例1と同様の操作により、粘度平均分子量432×104g/molのポリエチレンパウダーを得た。
実施例7の多孔質焼結体は、実施例1と同様の操作によって得た。
重合工程において、重合温度と同一の触媒添加温度で重合系に添加したこと以外は、実施例2と同様の操作により、粘度平均分子量654×104g/molのポリエチレンパウダーを得た。
実施例8の多孔質焼結体は、実施例1と同様の操作によって得た。
重合工程において、固体触媒成分[A]が0.10g/hrとなる速度で重合系に添加したこと以外は、実施例1と同様の操作により、粘度平均分子量654×104g/molのポリエチレンパウダーを得た。尚、スラリー濃度は18%であった。
実施例9の多孔質焼結体は、実施例1と同様の操作によって得た。
重合工程において、触媒添加温度63℃、重合温度83℃、重合圧力0.50MPa、水素20mol%としたこと以外は、実施例1と同様の操作により、粘度平均分子量30×104g/molのポリエチレンパウダーを得た。
比較例1の多孔質焼結体は、実施例1と同様の操作によって得た。
多孔質焼結体の特性を表2に示す。
重合工程において、触媒添加温度55℃、重合温度65℃、重合圧力0.26MPa、1-ブテンをエチレンに対して1.45mol%導入したこと以外は、実施例1と同様の操作により、粘度平均分子量100×104g/mol、コモノマー含有量0.73mol%のポリエチレンパウダーを得た。
比較例2の多孔質焼結体は、実施例1と同様の操作によって得た。
ヘキサン、エチレン、触媒を、攪拌装置、ジャケット冷却装置が付いたベッセル型300L重合反応器に連続的に供給して、重合圧力0.45MPa、重合温度74℃でエチレンの重合を行った。溶媒として脱水ノルマルヘキサンを40L/時間で供給した。エチレンは重合器の底部より1箇所から供給して重合圧力を0.45MPaに保った。触媒は、固体触媒成分[A](Ti原子換算で1.1mmol/時間)、助触媒のトリイソブチルアルミニウム(20mmol/時間)を、各々別配管から固体触媒成分[A]が0.20g/hrとなる速度で重合系に添加した。触媒の添加は、連続的な添加を行った。
触媒活性は69,000g-PE/g-固体触媒成分[A]で、ポリエチレンの製造速度は10kg/hrであった。重合スラリーは、重合反応器のレベルが一定に保たれるように連続的に圧力0.04MPaのフラッシュドラムに抜き、未反応のエチレンを分離した。
次に、重合スラリーは、重合反応器のレベルが一定に保たれるように連続的に遠心分離機に送り、ポリマーとそれ以外の溶媒等を分離した。
分離されたポリエチレンパウダーは、乾燥機に導入した。乾燥は、100℃で窒素ブローしながら0.5時間乾燥した。なお、この乾燥工程で、重合後のパウダーに対し、スチームを噴霧して、触媒及び助触媒の失活を実施した。得られたポリエチレンパウダーに対し、ステアリン酸カルシウム(大日化学社製、C60)を500ppm添加し、ヘンシェルミキサーを用いて、均一混合した。続いて、ポリエチレンパウダーを目開き425μmの篩を通して、篩を通過しなかったものを除去することでポリエチレンパウダーを得た。粘度平均分子量は419×104g/molであった。得られたポリエチレンパウダーの特性を表2に示す。
比較例3の多孔質焼結体は、実施例1と同様の操作によって得た。
重合工程において、固体触媒成分[B](Ti原子換算で1.4mmol/時間)を使用したこと以外は、比較例3と同様の操作により、粘度平均分子量410×104g/molのポリエチレンパウダーを得た。
比較例4の多孔質焼結体は、実施例1と同様の操作によって得た。
また、多孔質焼結体の場所による特性のバラつきが非常に少ない多孔質焼結体を得ることができた。
更に、成形体においては、パウダー同士の融着力が向上して、耐衝撃性に優れる成形体を得ることができた。
以上のように、本発明のポリエチレンパウダーは、特異な圧縮強度を有し、取り扱いが容易で、加工性に優れており、当該ポリエチレンパウダーを用いることにより、均一性、耐衝撃性に優れた成形体、多孔質焼結体を提供することができた。
Claims (6)
- 密度が、910kg/m3以上935kg/m3未満であり、平均粒子径が、50μm以上140μm未満である、ポリエチレンパウダーであって、
前記ポリエチレンパウダーが、粒子径60μmの粒子及び粒子径100μmの粒子を含み、
前記粒子径60μmの粒子の10%変位時の圧縮強度が、2.0MPa以上5.0MPa未満であり、
前記粒子径100μmの粒子の10%変位時の圧縮強度に対する、前記粒子径60μmの粒子の10%変位時の圧縮強度が、0.5倍以上1.3倍未満である、
ポリエチレンパウダー。 - 前記粒子径100μmの粒子における、10%変位時の圧縮強度に対する20%変位時の圧縮強度が、1.8倍以上2.4倍未満である、請求項1に記載のポリエチレンパウダー。
- 示差走査熱量計(DSC)により測定されるTm1半値幅が、5.0℃以上10.0℃未満である、請求項1又は2に記載のポリエチレンパウダー。
- 示差走査熱量計(DSC)により測定される融解熱量(ΔHm)と、結晶化熱量(ΔHc)との差(ΔHm-ΔHc)が、50J/g以上100J/g未満である、請求項1~3のいずれか一項に記載のポリエチレンパウダー。
- レーザー粒度分計で測定したD90/D10が、2.0以上3.0未満である、請求項1~4のいずれか一項に記載のポリエチレンパウダー。
- 請求項1~5のいずれか一項に記載のポリエチレンパウダーの多孔質焼結体。
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