JP7258004B2 - 感光性組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、被覆材料、例えば、フレキシブルプリント配線板等の配線板に形成された導体回路パターンを被覆するための被覆材料に適した感光性組成物、感光性組成物の光硬化物、感光性組成物の光硬化物を備えたプリント配線板に関するものである。
プリント配線板は、基板の上に導体回路パターンを形成し、そのパターンのはんだ付けランドに電子部品をはんだ付けにより搭載するために使用され、そのはんだ付けランドを除く回路部分は、絶縁保護膜(例えば、ソルダーレジスト膜)で被覆される。この絶縁保護膜は、例えば、感光性樹脂組成物をプリント配線板に塗工して塗膜を形成後、塗膜を光硬化させることで得ることができる。これにより、プリント配線板に電子部品をはんだ付けする際に、はんだが不必要な部分に付着するのを防止すると共に、導体回路パターンが空気に直接曝されて酸化や湿度により腐食されるのを防止する。
また、近年、電子機器の小型化等から、プリント配線板として、折り曲げ性に優れたフレキシブルプリント配線板が使用されることがある。フレキシブルプリント配線板に形成される絶縁保護膜には、特に、柔軟性(折り曲げ性)が要求される。そこで、フレキシブルプリント配線板に形成される絶縁保護膜に柔軟性(折り曲げ性)を付与するために、感光性樹脂組成物に有機フィラーとしてウレタンビーズを配合することがある(特許文献1)。
しかし、感光性樹脂組成物にウレタンビーズ等のウレタン構造を有する成分を配合すると、感光性樹脂組成物から形成される絶縁保護膜の耐熱性が低下してしまう場合があった。絶縁保護膜の耐熱性が低下すると、電子部品を導体回路にはんだ付けする際に、絶縁保護膜に膨れや剥がれ等の欠陥が生じる場合があった。
さらに、電子機器の高性能化に伴い、フレキシブルプリント配線板に搭載される電子部品の搭載密度が高くなっている。従って、絶縁保護膜には高解像性が要求されていることから、感光性樹脂組成物には、優れたアルカリ現像性も必要とされている。
特開2017-201369号公報
上記事情に鑑み、本発明は、アルカリ現像性に優れ、耐熱性及び折り曲げ性に優れた光硬化膜を形成できる感光性組成物、前記感光性組成物の光硬化物を備えたプリント配線板を提供することを目的とする。
本発明の構成の要旨は、以下の通りである。
[1](A)イミド基とカルボキシル基とイソシアヌレート環構造とを有する、アルカリ可溶性イミド化合物と、(B)光重合開始剤と、(C)反応性希釈剤と、を含む感光性組成物。
[2]前記(A)アルカリ可溶性イミド化合物が、(a1)イソシアネート基とイソシアヌレート環構造を有するイソシアネート化合物に、(a2)1つ以上の酸無水物基と1つ以上のカルボキシル基を有する化合物及び(a3)2つ以上の酸無水物基を有する化合物からなる群から選択された少なくとも1種のポリカルボン酸誘導体を反応させて得られる化学構造を有する[1]に記載の感光性組成物。
[3]前記(a1)イソシアネート基とイソシアヌレート環構造を有するイソシアネート化合物が、下記一般式(1)
Figure 0007258004000001
(式中、R、R、Rは、それぞれ独立して、炭素数1~15個の炭化水素基を表す。)で表される化合物である[2]に記載の感光性組成物。
[4]前記(a1)イソシアネート基とイソシアヌレート環構造を有するイソシアネート化合物が、1,5-ペンタメチレンジイソシアネート三量体のイソシアヌレート体及び/または1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート三量体のイソシアヌレート体である[2]または[3]に記載の感光性組成物。
[5]前記(a2)1つ以上の酸無水物基と1つ以上のカルボキシル基を有する化合物が、三塩基酸無水物である[2]乃至[4]のいずれか1つに記載の感光性組成物。
[6]前記(a3)2つ以上の酸無水物基を有する化合物が、四塩基酸無水物である[2]乃至[5]のいずれか1つに記載の感光性組成物。
[7]前記(a2)1つ以上の酸無水物基と1つ以上のカルボキシル基を有する化合物が、トリメリット酸無水物及び核水添トリメリット酸無水物からなる群から選択された少なくとも1種である[2]乃至[6]のいずれか1つに記載の感光性組成物。
[8]前記(A)アルカリ可溶性イミド化合物の固形分酸価が、50mgKOH/g以上200mgKOH/g以下である[1]乃至[7]のいずれか1つに記載の感光性組成物。
[9]前記(C)反応性希釈剤100質量部に対して、前記(A)アルカリ可溶性イミド化合物を50質量部以上200質量部以下含む[1]乃至[8]のいずれか1つに記載の感光性組成物。
[10]前記(C)反応性希釈剤が、2官能以上の(メタ)アクリレート化合物を含む[1]乃至[9]のいずれか1つに記載の感光性組成物。
[11]さらに、(D)熱硬化性樹脂として、エポキシ化合物を含む[1]乃至[10]のいずれか1つに記載の感光性組成物。
[12]さらに、(E)有機フィラーとして、ウレタンビーズを含む[1]乃至[11]のいずれか1つに記載の感光性組成物。
[13]さらに、(F)難燃剤として、リン含有化合物を含む[1]乃至[12]のいずれか1つに記載の感光性組成物。
[14][1]乃至[13]のいずれか1つに記載の感光性組成物の光硬化物。
[15][1]乃至[13]のいずれか1つに記載の感光性組成物の光硬化物を備えたプリント配線板。
[2]の態様における、(a1)イソシアネート基とイソシアヌレート環構造を有するイソシアネート化合物と(a2)1つ以上の酸無水物基と1つ以上のカルボキシル基を有する化合物及び(a3)2つ以上の酸無水物基を有する化合物からなる群から選択された少なくとも1種のポリカルボン酸誘導体との反応とは、イソシアネート化合物のイソシアネート基がポリカルボン酸誘導体の酸無水物基に付加し、脱炭酸反応を経ることでイミド基が導入される反応のことである。従って、[2]の態様では、(A)アルカリ可溶性イミド化合物は、上記脱炭酸反応を経てイミド基が導入されることで得られるイミド化合物である。
本発明の感光性組成物の態様によれば、(A)イミド基とカルボキシル基とイソシアヌレート環構造とを有する、アルカリ可溶性イミド化合物と、(B)光重合開始剤と、(C)反応性希釈剤と、を含むことにより、アルカリ現像性に優れ、耐熱性及び折り曲げ性に優れた光硬化膜を形成できる。
本発明の感光性組成物の態様によれば、(A)アルカリ可溶性イミド化合物が、(a1)イソシアネート基とイソシアヌレート環構造を有するイソシアネート化合物に、(a2)1つ以上の酸無水物基と1つ以上のカルボキシル基を有する化合物及び(a3)2つ以上の酸無水物基を有する化合物からなる群から選択された少なくとも1種のポリカルボン酸誘導体を反応させて得られる化学構造を有することにより、アルカリ現像性、耐熱性及び折り曲げ性が確実に向上する。
本発明の感光性組成物の態様によれば、(a1)イソシアネート基とイソシアヌレート環構造を有するイソシアネート化合物が、下記一般式(1)
Figure 0007258004000002
(式中、R、R、Rは、それぞれ独立して、炭素数1~15個の炭化水素基を表す。)で表される化合物であることにより、アルカリ現像性、耐熱性及び折り曲げ性がより確実に向上する。
本発明の感光性組成物の態様によれば、(a1)イソシアネート基とイソシアヌレート環構造を有するイソシアネート化合物が、1,5-ペンタメチレンジイソシアネート三量体のイソシアヌレート体及び/または1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート三量体のイソシアヌレート体であることにより、アルカリ現像性、耐熱性及び折り曲げ性がさらに確実に向上する。
本発明の感光性組成物の態様によれば、(a2)1つ以上の酸無水物基と1つ以上のカルボキシル基を有する化合物が三塩基酸無水物であり、(a3)2つ以上の酸無水物基を有する化合物が四塩基酸無水物であることにより、アルカリ現像性、耐熱性及び折り曲げ性がさらに確実に向上する。
本発明の感光性組成物の態様によれば、(a2)1つ以上の酸無水物基と1つ以上のカルボキシル基を有する化合物がトリメリット酸無水物及び核水添トリメリット酸無水物からなる群から選択された少なくとも1種であることにより、さらに優れた耐熱性と折り曲げ性を得ることができる。
本発明の感光性組成物の態様によれば、(C)反応性希釈剤100質量部に対して前記(A)アルカリ可溶性イミド化合物を50質量部以上200質量部以下含むことにより、アルカリ現像性、耐熱性及び折り曲げ性が確実に向上する。
本発明の感光性組成物の態様によれば、(C)反応性希釈剤が2官能以上の(メタ)アクリレート化合物を含むことにより、感光性組成物の光硬化膜により確実に耐熱性が付与される。
次に、本発明の感光性組成物について詳細を説明する。本発明の感光性組成物は、(A)イミド基とカルボキシル基とイソシアヌレート環構造とを有する、アルカリ可溶性イミド化合物(以下、単に「アルカリ可溶性イミド化合物」または「(A)アルカリ可溶性イミド化合物」ということがある。)と、(B)光重合開始剤と、(C)反応性希釈剤と、を含む。(A)アルカリ可溶性イミド化合物と、(B)光重合開始剤と、(C)反応性希釈剤と、を含むことにより、アルカリ現像性に優れ、耐熱性及び折り曲げ性に優れた光硬化膜を形成できる。
<(A)アルカリ可溶性イミド化合物>
(A)成分のアルカリ可溶性イミド化合物は、イミド基とカルボキシル基とイソシアヌレート環構造とを有する化学構造の化合物である。アルカリ可溶性イミド化合物は、イミド基とカルボキシル基とイソシアヌレート環構造とを有する化学構造の化合物であれば、特に限定されないが、アルカリ現像性、耐熱性及び折り曲げ性が確実に向上する点から、(a1)イソシアネート基とイソシアヌレート環構造を有するイソシアネート化合物に、(a2)1つ以上の酸無水物基と1つ以上のカルボキシル基を有する化合物及び(a3)2つ以上の酸無水物基を有する化合物からなる群から選択された少なくとも1種のポリカルボン酸誘導体を反応させて得られる化学構造を有するアルカリ可溶性イミド化合物が好ましい。すなわち、アルカリ可溶性イミド化合物の化学構造中に、(a1)イソシアネート基とイソシアヌレート環構造を有するイソシアネート化合物に、(a2)1つ以上の酸無水物基と1つ以上のカルボキシル基を有する化合物及び(a3)2つ以上の酸無水物基を有する化合物からなる群から選択された少なくとも1種のポリカルボン酸誘導体を反応させて得られる化学構造の部位を有すること、または、アルカリ可溶性イミド化合物が、(a1)イソシアネート基とイソシアヌレート環構造を有するイソシアネート化合物に、(a2)1つ以上の酸無水物基と1つ以上のカルボキシル基を有する化合物及び(a3)2つ以上の酸無水物基を有する化合物からなる群から選択された少なくとも1種のポリカルボン酸誘導体を反応させて得られる化学構造であることが好ましい。この場合、アルカリ可溶性イミド化合物は、(a1)イソシアネート基とイソシアヌレート環構造を有するイソシアネート化合物のイソシアネート基が上記のポリカルボン酸誘導体の酸無水物基に付加し、脱炭酸反応を経ることでイミド基が導入された化学構造を有する。
(a1)イソシアネート基とイソシアヌレート環構造を有するイソシアネート化合物に、(a2)1つ以上の酸無水物基と1つ以上のカルボキシル基を有する化合物及び(a3)2つ以上の酸無水物基を有する化合物からなる群から選択された少なくとも1種のポリカルボン酸誘導体を反応させて得られる化学構造を有するアルカリ可溶性イミド化合物としては、イミド基とイソシアヌレート環構造とを有する部分の構造について、下記式(2)で表されるイミド環を有する部分構造を有することが好ましい。
Figure 0007258004000003
このうち、A、A、Aの構造は、それぞれ独立して、鎖状炭化水素基を表し、B、B、Bの構造は、それぞれ独立して、単結合若しくは二重結合、または鎖状炭化水素基、環状炭化水素基若しくは鎖状炭化水素基を置換基として有する環状炭化水素基を含む構造が好ましい。
カルボキシル基の位置は、特に限定されないが、上記イミド環または上記イミド環と結合する基の置換基としてカルボキシル基が存在することが好ましい。
(a1)イソシアネート基とイソシアヌレート環構造を有するイソシアネート化合物
(a1)イソシアネート基とイソシアヌレート環構造を有するイソシアネート化合物(以下、単に「イソシアネート化合物」ということがある。)としては、イソシアネート基とイソシアヌレート環構造を有する化合物であれば、特に限定されないが、アルカリ現像性、耐熱性及び折り曲げ性がより確実に向上する点から、下記一般式(1)
Figure 0007258004000004
(式中、R、R、Rは、それぞれ独立して、炭素数1~15個の炭化水素基を表す。)で表される化合物が好ましい。このうち、R、R、Rは、それぞれ独立して、炭素数3~10個の炭化水素基がより好ましく、炭素数5~9個の炭化水素基がさらに好ましく、折り曲げ性がさらに向上する点から、R、R、Rは、それぞれ独立して、炭素数6~8個の炭化水素基が特に好ましい。
このうち、(a1)イソシアネート化合物としては、アルカリ現像性、耐熱性及び折り曲げ性がさらに確実に向上する点から、1,5-ペンタメチレンジイソシアネート三量体のイソシアヌレート体(R、R、Rは、いずれも、炭素数5個の直鎖状炭化水素基である一般式(1)の化合物)、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート三量体のイソシアヌレート体(R、R、Rは、いずれも、炭素数6個の直鎖状炭化水素基である一般式(1)の化合物)が好ましく、折り曲げ性がさらに向上する点から、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート三量体のイソシアヌレート体が特に好ましい。
(a2)1つ以上の酸無水物基と1つ以上のカルボキシル基を有する化合物
ポリカルボン酸誘導体である(a2)1つ以上の酸無水物基と1つ以上のカルボキシル基を有する化合物(以下、単に「(a2)酸無水物基含有化合物」ということがある。)としては、1つ以上の酸無水物基と1つ以上の遊離のカルボキシル基を有するカルボン酸誘導体であれば、特に限定されないが、(a2)酸無水物基含有化合物としては、アルカリ現像性、耐熱性及び折り曲げ性がさらに確実に向上する点から、三塩基酸無水物(トリカルボン酸無水物)、すなわち、1つの酸無水物基と1つのカルボキシル基を有する化合物が好ましい。三塩基酸無水物としては、さらに優れた耐熱性と折り曲げ性を得ることができる点から、トリメリット酸無水物、核水添トリメリット酸無水物が特に好ましい。これらの化合物は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
(a3)2つ以上の酸無水物基を有する化合物
ポリカルボン酸誘導体である(a3)2つ以上の酸無水物基を有する化合物(以下、単に「(a3)酸無水物基含有化合物」ということがある。)としては、遊離のカルボキシル基を有さず、2つ以上の酸無水物基を有するカルボン酸誘導体であれば、特に限定されないが、(a3)酸無水物基含有化合物としては、アルカリ現像性、耐熱性及び折り曲げ性がさらに確実に向上する点から、四塩基酸無水物(テトラカルボン酸無水物)が好ましく、2つの酸無水物基を有し、遊離のカルボキシル基を有さない四塩基酸無水物が特に好ましい。
2つの酸無水物基を有する四塩基酸無水物としては、例えば、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフリル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物、オキシジフタル酸二無水物等のジフタル酸二無水物誘導体、ピロメリット酸二無水物、ピロメリット酸二無水物誘導体、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物誘導体、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物誘導体、ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、ペリレンテトラカルボン酸二無水物、アントラセンテトラカルボン酸二無水物、フェナントレンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。これらの化合物は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、ポリカルボン酸誘導体として、(a3)酸無水物基含有化合物を使用する場合には、遊離のカルボキシル基をアルカリ可溶性イミド化合物に導入するために、イソシアネート化合物に(a3)酸無水物基含有化合物を反応させた後に、(a3)酸無水物基含有化合物由来の残存した酸無水物基に、さらに、水酸基またはエポキシ基を有する化合物を付加反応させた化学構造を有していてもよい。(a3)酸無水物基含有化合物由来の残存した酸無水物基に、さらに、水酸基またはエポキシ基を有する化合物を付加反応させることで、酸無水物基が開環してエステル結合が生成するとともに、遊離のカルボキシル基が生成する。
水酸基またはエポキシ基を有する化合物は、さらにエチレン性の二重結合を有する化合物でもよい。水酸基またはエポキシ基を有する化合物が、さらにエチレン性の二重結合を有する化合物であることにより、アルカリ可溶性イミド化合物にエチレン性の二重結合が導入されて、アルカリ可溶性イミド化合物の用途に応じて、さらなる改質が容易化される。エチレン性の二重結合と水酸基を有する化合物としては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリルレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレグリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチル-2-ヒドロキシエチルフタレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等のヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレートが挙げられる。エチレン性の二重結合とエポキシ基を有する化合物としては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル(メタ)アクリレート等のエポキシ基を有する(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの化合物は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
(a2)酸無水物基含有化合物と(a3)酸無水物基含有化合物は、それぞれ、単独で使用してもよく、(a2)酸無水物基含有化合物と(a3)酸無水物基含有化合物を併用してもよい。
また、(a2)酸無水物基含有化合物及び/または(a3)酸無水物基含有化合物に加えて、ジカルボン酸無水物(二塩基酸無水物)も併用してもよい。すなわち、アルカリ可溶性イミド化合物の化学構造中に、イソシアネート化合物に、(a2)酸無水物基含有化合物及び(a3)酸無水物基含有化合物からなる群から選択された少なくとも1種のポリカルボン酸誘導体とジカルボン酸無水物を反応させて得られる化学構造の部位を有するアルカリ可溶性イミド化合物、または、イソシアネート化合物に、(a2)酸無水物基含有化合物及び(a3)酸無水物基含有化合物からなる群から選択された少なくとも1種のポリカルボン酸誘導体とジカルボン酸無水物を反応させて得られる化学構造であるアルカリ可溶性イミド化合物でもよい。
ジカルボン酸無水物としては、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、無水コハク酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水フマル酸、無水シトラコン酸等が挙げられる。これらの化合物は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
アルカリ可溶性イミド化合物の固形分酸価は、特に限定されず、その下限値は、確実にアルカリ現像性を付与する点から、50mgKOH/gが好ましく、70mgKOH/gが特に好ましい。一方で、アルカリ可溶性イミド化合物の固形分酸価の上限値は、アルカリ現像液による露光部(光硬化部)の溶解防止の点から、200mgKOH/gが好ましく、180mgKOH/gが特に好ましい。
アルカリ可溶性イミド化合物の配合量は、特に限定されないが、その下限値は、アルカリ現像性、耐熱性及び折り曲げ性が確実に向上する点から、後述する(C)反応性希釈剤100質量部に対して、50質量部が好ましく、70質量部がより好ましく、80質量部が特に好ましい。一方で、アルカリ可溶性イミド化合物の配合量の上限値は、光硬化性をより確実に得る点から、(C)反応性希釈剤100質量部に対して、200質量部が好ましく、150質量部がより好ましく、120質量部が特に好ましい。
<(B)光重合開始剤>
(B)成分の光重合開始剤は、特に限定されず、例えば、1,2-オクタンジオン,1-〔4-(フェニルチオ)-2-(O-ベンゾイルオキシム)〕、エタノン1-〔9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-1-(0-アセチルオキシム)、2-(アセチルオキシイミノメチル)チオキサンテン-9-オン、1,8-オクタンジオン,1,8-ビス[9-エチル-6-ニトロ-9H-カルバゾール-3-イル]-,1,8-ビス(O-アセチルオキシム)、1,8-オクタンジオン,1,8-ビス[9-(2-エチルヘキシル)-6-ニトロ-9H-カルバゾール-3-イル]-,1,8-ビス(O-アセチルオキシム)、(Z) -(9-エチル-6-ニトロ-9H-カルバゾール-3-イル)(4-((1-メトキシプロパン-2-イル)オキシ) -2-メチルフェニル)メタノン O-アセチルオキシム等のオキシムエステル系光重合開始剤を挙げることができ、また、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン等のα-アミノアルキルフェノン系光重合開始剤を挙げることができる。
また、(B)成分の光重合開始剤は、オキシムエステル系光重合開始剤及びα-アミノアルキルフェノン系光重合開始剤以外の光重合開始剤でもよく、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン-n-ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン系;アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,2-ジエトキシ-2-フェニルアセトフェノン等のアセトフェノン系;ベンゾフェノン、p-フェニルベンゾフェノン、4,4′-ジエチルアミノベンゾフェノン、ジクロルベンゾフェノン等のベンゾフェノン系;2-メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、2-ターシャリーブチルアントラキノン、2-アミノアントラキノン等のアントラキノン系;2-メチルチオキサントン、2-エチルチオキサントン、2-クロルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系;ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタール、P-ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルホスフィンオキサイド、(2,4,6‐トリメチルベンゾイル)エトキシフェニルフォスフィンオキサイド、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル-2-(ヒドロキシ‐2‐プロピル)ケトン等を挙げることができる。これらの光重合開始剤は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
光重合開始剤の配合量は、特に限定されず、例えば、後述する(C)反応性希釈剤100質量部に対して、0.2質量部以上20質量部以下が好ましく、0.5質量部以上10質量部以下が特に好ましい。
<(C)反応性希釈剤>
(C)成分である反応性希釈剤は、例えば、光重合性モノマーであり、1分子当たり少なくとも1つの重合性二重結合を有する化合物である。反応性希釈剤は、感光性組成物の光硬化を補強して、感光性組成物の硬化物に十分な耐熱性、耐酸性、耐アルカリ性などを付与することに寄与する。
反応性希釈剤としては、例えば、単官能の(メタ)アクリレート化合物、2官能の(メタ)アクリレート化合物、3官能の(メタ)アクリレート化合物、4官能以上の(メタ)アクリレート化合物等の(メタ)アクリレート化合物を挙げることができる。(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ジエチレングルコールモノ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリルレート等の単官能(メタ)アクリレート化合物;1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールアジペートジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性燐酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート等の2官能(メタ)アクリレート化合物;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート等の3官能(メタ)アクリレート化合物;ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の4官能以上の(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。また、単官能または2官能以上のウレタン(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
このうち、感光性組成物の光硬化膜により確実に耐熱性が付与される点から、2官能以上の(メタ)アクリレート化合物を含むことが好ましく、4官能以上の(メタ)アクリレート化合物を含むことが特に好ましい。
本発明の感光性組成物では、上記した(A)成分~(C)成分に加えて、必要に応じて、(D)熱硬化性樹脂を含んでいてもよい。
(D)成分である熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ化合物であるエポキシ樹脂が挙げられる。感光性組成物にエポキシ樹脂が配合されることで、感光性組成物の光硬化物の架橋密度を上げて十分な強度を光硬化物に付与することができる。エポキシ樹脂としては、例えば、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、フェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂等のゴム変性エポキシ樹脂、ε-カプロラクトン変性エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のフェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルト-クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、環状脂肪族多官能エポキシ樹脂、グリシジルエステル型多官能エポキシ樹脂、グリシジルアミン型多官能エポキシ樹脂、複素環式多官能エポキシ樹脂、ビスフェノール変性ノボラック型エポキシ樹脂、多官能変性ノボラック型エポキシ樹脂等を挙げることができる。これらは、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
エポキシ樹脂の含有量は、特に限定されないが、例えば、感光性組成物の硬化後に十分な強度の塗膜を得る点から、反応性希釈剤100質量部に対して、50質量部以上200質量部以下が好ましく、70質量部以上150質量部以下が特に好ましい。
また、本発明の感光性組成物では、上記した(A)成分~(C)成分に加えて、必要に応じて、さらに、(E)有機フィラーを含んでいてもよい。
(E)成分である有機フィラーとしては、例えば、ウレタンビーズが挙げられる。感光性組成物にウレタンビーズが配合されることで、感光性組成物の光硬化物の柔軟性の向上に寄与できる。ウレタンビーズの平均粒子径は、特に限定されないが、感光性組成物中における均一な分散性を得る点から、1.0μm以上10μm以下が好ましく、2.0μm以上7.0μm以下が特に好ましい。
ウレタンビーズの配合量は、特に限定されないが、例えば、感光性組成物の塗工性の低下を確実に防止しつつ、感光性組成物の硬化後に十分な柔軟性を有する光硬化膜を得る点から、反応性希釈剤100質量部に対して、10質量部以上100質量部以下が好ましく、30質量部以上70質量部以下が特に好ましい。
また、本発明の感光性組成物では、上記した(A)成分~(C)成分に加えて、必要に応じて、さらに、(F)難燃剤を含んでいてもよい。(F)成分である難燃剤としては、例えば、リン系の難燃剤(リン含有化合物である難燃剤)を挙げることができる。リン系の難燃剤としては、例えば、トリス(クロロエチル)ホスフェート、トリス(2,3-ジクロロプロピル)ホスフェート、トリス(2-クロロプロピル)ホスフェート、トリス(2,3-ブロモプロピル)ホスフェート、トリス(ブロモクロロプロピル)ホスフェート、2,3-ジブロモプロピル-2,3-クロロプロピルホスフェート、トリス(トリブロモフェニル)ホスフェート、トリス(ジブロモフェニル)ホスフェート、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェートなどの含ハロゲン系リン酸エステル;トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェートなどのノンハロゲン系脂肪族リン酸エステル;トリフェニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、ジクレジルフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、イソプロピルフェニルジフェニルホスフェート、ジイソプロピルフェニルフェニルホスフェート、トリス(トリメチルフェニル)ホスフェート、トリス(t-ブチルフェニル)ホスフェート、ヒドロキシフェニルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェートなどのノンハロゲン系芳香族リン酸エステル;トリスジエチルホスフィン酸アルミニウム、トリスメチルエチルホスフィン酸アルミニウム、トリスジフェニルホスフィン酸アルミニウム、ビスジエチルホスフィン酸亜鉛、ビスメチルエチルホスフィン酸亜鉛、ビスジフェニルホスフィン酸亜鉛、ビスジエチルホスフィン酸チタニル、テトラキスジエチルホスフィン酸チタン、ビスメチルエチルホスフィン酸チタニル、テトラキスメチルエチルホスフィン酸チタン、ビスジフェニルホスフィン酸チタニル、テトラキスジフェニルホスフィン酸チタンなどのホスフィン酸の金属塩、ジフェニルビニルホスフィンオキサイド、トリフェニルホスフィンオキサイド、トリアルキルホスフィンオキサイド、トリス(ヒドロキシアルキル)ホスフィンオキサイド等のホスフィンオキサイド系化合物等が挙げられる。このうち、有機リン酸塩系の難燃剤が好ましい。
難燃剤の配合量は、特に限定されないが、例えば、感光性組成物の光硬化膜に難燃性を付与しつつ、光硬化膜の柔軟性の低下を防止する点から、反応性希釈剤100質量部に対して、10質量部以上50質量部以下が好ましく、15質量部以上35質量部以下が特に好ましい。
また、本発明の感光性組成物では、上記各成分に加えて、必要に応じて、種々の成分、例えば、着色剤、非反応性希釈剤、添加剤、消泡剤等を配合することができる。
着色剤は、顔料、色素等、特に限定されない。また、着色剤の色彩は、白色着色剤、青色着色剤、緑色着色剤、黄色着色剤、橙色着色剤、赤色着色剤、紫色着色剤、黒色着色剤等、いずれの色彩の着色剤も使用可能である。上記着色剤には、無機系着色剤としては、例えば、白色着色剤である酸化チタン、黒色着色剤であるカーボンブラック、アセチレンブラック等を挙げることができる。また、有機系着色剤としては、例えば、緑色着色剤であるフタロシアニングリーン、青色着色剤であるフタロシアニンブルーやリオノールブルー等のフタロシアニン化合物、黄色着色剤であるクロモフタルイエロー等のアントラキノン化合物、橙色着色剤であるクロモフタルオレンジ等のジケトピロロピロール化合物等を挙げることができる。
非反応性希釈剤は、感光性組成物の粘度、塗工性、乾燥性等を調節するための成分である。非反応性希釈剤として、例えば、有機溶剤を挙げることができる。有機溶剤には、例えば、メチルエチルケトン等のケトン類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、メタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、シクロヘキサノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール類、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素類、セロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類、カルビトール、ブチルカルビトール等のカルビトール類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルジグリコールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類等を挙げることができる。
添加剤としては、例えば、三フッ化ホウ素-アミンコンプレックス、ジシアンジアミド(DICY)及びその誘導体、有機酸ヒドラジド、ジアミノマレオニトリル(DAMN)及びその誘導体、グアナミン及びその誘導体、メラミン及びその誘導体、アミンイミド(AI)並びにポリアミン等の硬化促進剤、タルク、硫酸バリウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、マイカ等の体質顔料、ポリカルボン酸アマイド等のチキソ性付与剤等が挙げられる。
消泡剤としては、シリコーン系、炭化水素系、アクリル系等を挙げることができる。
本発明の感光性組成物の製造方法は、特定の方法に限定されず、公知の方法を使用することができる。具体的には、例えば、上記各成分を所定割合で配合後、常温(例えば、25℃)にて、三本ロール、ボールミル、サンドミル、ビーズミル、ニーダー等の混練手段、またはスーパーミキサー、プラネタリーミキサー、トリミックス等の攪拌手段により混練または混合して製造することができる。また、前記混練または混合の前に、必要に応じて、予備混練または予備混合を実施してもよい。
次に、本発明の感光性樹脂組成物の使用方法例について説明する。ここでは、本発明の感光性組成物をプリント配線板に塗工して、絶縁保護膜(例えば、ソルダーレジスト膜等)を形成する方法を例にとって説明する。
本発明の感光性組成物を、フレキシブルプリント配線板等のプリント配線板上に、スクリーン印刷法、バーコータ法、アプリケータ法、ブレードコータ法、ナイフコータ法、ロールコータ法、グラビアコータ法、スプレーコータ法等、公知の方法にて、所望の厚さに塗布して塗膜を形成する。その後、必要に応じて、感光性組成物中の非反応性希釈剤(有機溶剤)を揮散させるために60~100℃程度の温度で10~30分間程度加熱する予備乾燥を行い、塗膜をタックフリーの状態にする。次に、塗膜上に回路パターンのランド以外を透光性にしたパターンを有するネガフィルム(フォトマスク)を密着させ、その上から紫外線(例えば、波長300~400nmの範囲)を照射させて塗膜を光硬化させる。そして、前記ランドに対応する非露光領域を希アルカリ水溶液で除去して光硬化物(光硬化膜)を現像する。現像方法には、スプレー法、シャワー法等が用いられ、使用する希アルカリ水溶液としては、例えば、0.5~5質量%の炭酸ナトリウム水溶液が挙げられる。アルカリ現像後、130~170℃の熱風循環式の乾燥機等で、20~80分間、熱硬化処理(ポストキュア)をすることにより、プリント配線板上に、光硬化物であるソルダーレジスト膜を形成させることができる。
次に、本発明の実施例を説明するが、本発明はその趣旨を超えない限り、これらの例に限定されるものではない。
実施例1~7、比較例1~2
下記表1に示す各成分を下記表1に示す割合にて配合し、3本ロールを用いて室温にて混合させて、実施例1~7、比較例1~2にて使用する感光性組成物を調製した。その後、調製した感光性組成物を以下のように基板に塗工して試験体を作製した。下記表1に示す各成分の配合量は、特に断りのない限り質量部を示す。なお、下記表1中の配合量の空欄部は、配合なしを意味する。また、各成分は以下の通りである。
(A)成分であるアルカリ可溶性イミド化合物の合成方法は以下の通りである。
(A-1)アルカリ可溶性イミド化合物
攪拌機、還流冷却管、温度計を備えた1Lの四つ口セパラブルフラスコに、γーブチロラクトンを120g、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート三量体のイソシアヌレート体(三井化学株式会社、タケネートD-170N)101.5g、水添トリメリット酸無水物(三菱ガス化学株式会社、H-TMAn-S)99.0gを仕込み、反応容器内に窒素を0.1mL/secで吹き込みながら、100℃で溶解するまで加熱撹拌した。3時間ほど加熱攪拌した後、150℃でさらに加熱撹拌を3時間行い、その後さらに180℃で1時間加熱撹拌して反応を終了した。反応終了後、赤外吸収スペクトルを測定し、原料イソシアネート由来の2260cm-1のピークが消失し、新たにイミド基由来の1770cm-1にピークが確認できたことからアルカリ可溶性イミド化合物の合成を確認した。得られた(A-1)アルカリ可溶性イミド化合物溶液の酸価が94mgKOH/g、(A-1)アルカリ可溶性イミド化合物の固形分酸価は157.2mgKOH/gであった。
上記(A-1)アルカリ可溶性イミド化合物の合成のスキームを以下に示す。
Figure 0007258004000005
(A-2)アルカリ可溶性イミド化合物
攪拌機、還流冷却管、温度計を備えた1Lの四つ口セパラブルフラスコに、γーブチロラクトンを110g、1,5-ペンタメチレンジイソシアネート三量体のイソシアヌレート体(三井化学株式会社、スタビオD-370N)84.0g、水添トリメリット酸無水物(三菱ガス化学株式会社、H-TMAn-S)99.0gを仕込み、反応容器内に窒素を0.1mL/secで吹き込みながら、100℃で溶解するまで加熱撹拌した。3時間ほど加熱攪拌した後、150℃でさらに加熱撹拌を3時間行い、その後さらに180℃で1時間加熱撹拌して反応を終了した。反応終了後、赤外吸収スペクトルを測定し、原料イソシアネート由来の2260cm-1のピークが消失し、新たにイミド基由来の1770cm-1にピークが確認できたことからアルカリ可溶性イミド化合物の合成を確認した。得られた(A-2)アルカリ可溶性イミド化合物溶液の酸価が104mgKOH/g、(A-2)アルカリ可溶性イミド化合物の固形分酸価は174.2mgKOH/gであった。
(A-3)アルカリ可溶性イミド化合物
攪拌機、還流冷却管、温度計を備えた1Lの四つ口セパラブルフラスコに、γーブチロラクトンを110g、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート三量体のイソシアヌレート体(三井化学株式会社、タケネートD-170N)101.5g、水添トリメリット酸無水物(三菱ガス化学株式会社、H-TMAn-S)67.3g、無水マレイン酸15.7g、N,N-ジメチルベンジルアミン1.4g、メトキシハイドロキノン0.1gを仕込み、反応容器内に窒素/空気(1:1)を0.1mL/secで吹き込みながら、100℃で溶解するまで加熱撹拌した。6時間ほど加熱攪拌した後、150℃でさらに加熱撹拌を3時間行い反応を終了した。反応終了後、赤外吸収スペクトルを測定し、原料イソシアネート由来の2260cm-1のピークが消失し、新たにイミド基由来の1770cm-1にピークが確認できたことからアルカリ可溶性イミド化合物の合成を確認した。得られた(A-3)アルカリ可溶性イミド化合物溶液の酸価が70mgKOH/g、(A-3)アルカリ可溶性イミド化合物の固形分酸価は117.4mgKOH/gであった。
(A-4)アルカリ可溶性イミド化合物
攪拌機、還流冷却管、温度計を備えた1Lの四つ口セパラブルフラスコに、γーブチロラクトンを120g、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート三量体のイソシアヌレート体(三井化学株式会社、タケネートD-170N)101.5g、水添トリメリット酸無水物(三菱ガス化学株式会社、H-TMAn-S)67.3g、無水イタコン酸17.9g、N,N-ジメチルベンジルアミン1.4g、メトキシハイドロキノン0.1gを仕込み、反応容器内に窒素/空気(1:1)を0.1mL/secで吹き込みながら、100℃で溶解するまで加熱撹拌した。6時間ほど加熱攪拌した後、150℃でさらに加熱撹拌を3時間行い反応を終了した。反応終了後、赤外吸収スペクトルを測定し、原料イソシアネート由来の2260cm-1のピークが消失し、新たにイミド基由来の1770cm-1にピークが確認できたことからアルカリ可溶性イミド化合物の合成を確認した。得られた(A-4)アルカリ可溶性イミド化合物溶液の酸価が70mgKOH/g、(A-4)アルカリ可溶性イミド化合物の固形分酸価は115.8mgKOH/gであった。
(A-5)アルカリ可溶性イミド化合物
攪拌機、還流冷却管、温度計を備えた1Lの四つ口セパラブルフラスコに、γーブチロラクトンを150g、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート三量体のイソシアヌレート体(三井化学株式会社、タケネートD-170N)101.5g、水添トリメリット酸無水物(三菱ガス化学株式会社、H-TMAn-S)99.0gを仕込み、反応容器内に窒素を0.1mL/secで吹き込みながら、100℃で溶解するまで加熱撹拌した。3時間ほど加熱攪拌した後、150℃でさらに加熱撹拌を3時間行い、その後さらに180℃で1時間加熱撹拌した。その後、系内の温度を110℃に下げ、反応容器内に窒素/空気(1:1)を0.1mL/secで吹き込みながら、4-ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル40.0g、トリフェニルフォスフィン0.4g、メトキシハイドロキノン0.1gを加え、110℃で8時間反応した。反応終了後、赤外吸収スペクトルを測定し、原料イソシアネート由来の2260cm-1のピークが消失し、新たにイミド基由来の1770cm-1にピークが確認できたことからアルカリ可溶性イミド化合物の合成を確認した。得られた(A-5)アルカリ可溶性イミド化合物溶液の酸価が46mgKOH/g、(A-5)アルカリ可溶性イミド化合物の固形分酸価は77.0mgKOH/gであった。
(A-6)アルカリ可溶性イミド化合物
攪拌機、還流冷却管、温度計を備えた1Lの四つ口セパラブルフラスコに、γーブチロラクトンを190g、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート三量体のイソシアヌレート体(三井化学株式会社、タケネートD-170N)101.5g、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフリル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物(DIC社、EPICLON B4500)132.0gを仕込み、反応容器内に窒素を0.1mL/secで吹き込みながら、100℃で溶解するまで加熱撹拌した。3時間ほど加熱攪拌した後、150℃でさらに加熱撹拌を3時間行い、その後さらに180℃で1時間加熱撹拌した。その後、系内の温度を110℃に下げ、反応容器内に窒素/空気(1:1)を0.1mL/secで吹き込みながら、4-ヒドロキシブチルアクリレート72.0g、トリフェニルフォスフィン0.4g、メトキシハイドロキノン0.1gを加え、110℃で8時間反応した。反応終了後、赤外吸収スペクトルを測定し、原料イソシアネート由来の2260cm-1のピークが消失し、新たにイミド基由来の1770cm-1にピークが確認できたことからアルカリ可溶性イミド化合物の合成を確認した。得られた(A-6)アルカリ可溶性イミド化合物溶液の酸価が60mgKOH/g、(A-6)アルカリ可溶性イミド化合物の固形分酸価は99.0mgKOH/gであった。なお、B4500の化学構造は以下の通りである。
Figure 0007258004000006
(A-7)アルカリ可溶性イミド化合物
攪拌機、還流冷却管、温度計を備えた1Lの四つ口セパラブルフラスコに、γーブチロラクトンを90g、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート三量体のイソシアヌレート体(三井化学株式会社、タケネートD-170N)60.9g、水添トリメリット酸無水物(三菱ガス化学株式会社、H-TMAn-S)39.6gを仕込み、反応容器内に窒素を0.1mL/secで吹き込みながら、100℃で溶解するまで加熱撹拌した。3時間ほど加熱攪拌した後、さらに4,4'-オキシジフタル酸無水物(マナック、ODPA-M)31.0gを仕込み、100℃で溶解するまで加熱撹拌した。3時間ほど加熱攪拌した後、150℃でさらに加熱撹拌を3時間行い、その後さらに180℃で1時間加熱撹拌した。その後、系内の温度を110℃に下げ、反応容器内に窒素/空気(1:1)を0.1mL/secで吹き込みながら、4-ヒドロキシブチルアクリレート14.4g、トリフェニルフォスフィン0.3g、メトキシハイドロキノン0.1gを加え、110℃で8時間反応した。反応終了後、赤外吸収スペクトルを測定し、原料イソシアネート由来の2260cm-1のピークが消失し、新たにイミド基由来の1770cm-1にピークが確認できたことからアルカリ可溶性イミド化合物の合成を確認した。得られた(A-7)アルカリ可溶性イミド化合物溶液の酸価が76mgKOH/g、(A-7)アルカリ可溶性イミド化合物の固形分酸価は126.9mgKOH/gであった。なお、ODPA-Mの化学構造は、以下の通りである。
Figure 0007258004000007
(X-1)アルカリ可溶性酸変性エポキシアクリレート化合物の合成
攪拌機、還流冷却管、温度計を備えた500mLの四つ口セパラブルフラスコに、エチルジグリコールアセテート(EDGAC)を136.1g、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬株式会社、NC-3000、エポキシ当量227)を138.5g(エポキシ基:0.5mol)、を仕込み、反応容器内に窒素・空気(2:1)を0.1mL/secで吹き込みながら、100℃で溶解するまで加熱撹拌した。溶解後、アクリル酸を36.0g(0.5mol)、トリフェニルホスフィン0.4g、メトキシハイドロキノン0.1gを加えて、115℃で10時間加熱撹拌し、酸価が3mgKOH/gとなったところで、水添トリメリット酸無水物(三菱ガス化学株式会社、H-TMAn-S)を29.7g(0.15mol)を加えて100℃で4時間加熱撹拌した。得られた(X-1)アルカリ可溶性酸変性エポキシアクリレート化合物溶液の酸価が50mgKOH/g、(X-1)アルカリ可溶性酸変性エポキシアクリレート化合物の固形分酸価は82.4mgKOH/gであった。
(X-2)イソシアヌレート環構造を有しないアルカリ可溶性イミド化合物の合成
攪拌機、還流冷却管、温度計を備えた1Lの四つ口セパラブルフラスコに、γーブチロラクトンを140g、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(三井化学株式会社、HDI)42.0g、水添トリメリット酸無水物(三菱ガス化学株式会社、H-TMAn-S)99.0gを仕込み、反応容器内に窒素を0.1mL/secで吹き込みながら、100℃で溶解するまで加熱撹拌した。3時間ほど加熱攪拌した後、150℃でさらに加熱撹拌を3時間行い、その後さらに180℃で1時間加熱撹拌して反応を終了した。その後、系内の温度を110℃に下げ、反応容器内に窒素/空気(1:1)を0.1mL/secで吹き込みながら、4-ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル60.0g、トリフェニルフォスフィン0.4g、メトキシハイドロキノン0.1gを加え、110℃で8時間反応した。反応終了後、赤外吸収スペクトルを測定し、原料イソシアネート由来の2260cm-1が消失し、新たにイミド基由来の1770cm-1にピークが確認できたことからイソシアヌレート環構造を有しないアルカリ可溶性イミド化合物の合成を確認した。得られた(X-2)イソシアヌレート環構造を有しないアルカリ可溶性イミド化合物溶液の酸価が33mgKOH/g、(X-2)イソシアヌレート環構造を有しないアルカリ可溶性イミド化合物の固形分酸価は93.1mgKOH/gであった。
(B)光重合開始剤
・chemcure DETX:日本シイベルヘグナー株式会社
・イルガキュア907:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社
(C)反応性希釈剤
・KAYARAD DPCA-60:日本化薬株式会社
(D)熱硬化性樹脂
・EPICRON 860:DIC社
(E)有機フィラー
・RHC-730:大日精化工業株式会社
(F)難燃剤
・OP-935:クラリアントジャパン社
着色剤
・LIONOL BLUE FG7351:東洋インキ製造株式会社
・クロモフタルイエロー AGR:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社
非反応性希釈剤
・EDGAC:三洋化成品株式会社
添加剤
・メラミン:日産化学工業株式会社
・DICY-7:三菱化学株式会社
消泡剤
・KS-66:信越化学工業株式会社
試験体作製工程
厚さ25μmのポリイミドフィルム基板(東レ・デュポン株式会社、カプトン100H)に、上記のように調製した感光性組成物を、DRY膜厚が20μmとなるようにスクリーン印刷法にて塗布し、BOX炉内にて80℃、20分の予備乾燥を行った。予備乾燥後、塗布した感光性組成物上に、露光装置(株式会社オーク製作所、HMW-680GW)にて400mJ/cmの紫外線(波長300~400nm)を照射して感光性組成物の光硬化膜を形成した。その後、BOX炉内にて、150℃、60分のポストキュア(本熱硬化処理)を行って熱硬化させることにより、硬化塗膜を得て試験体を作製した。
評価項目は、以下の通りである。
(1)現像性
上記試験体作製工程おける予備乾燥後の基板を、液温30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液を用いて、60秒、0.2MPaのスプレー法にてアルカリ現像した。アルカリ現像後の基板を目視により観察し、以下の基準に従って評価し、○評価を合格とした。
○:基板上に残渣無し
△:基板上に白色の残渣あり
×:基板上に緑色の残渣あり
(2)耐熱性
ポリイミドフィルム基板に代えて、銅基板(30mm×30mm×厚み0.5mm)に上記試験体作製工程に準じて感光性組成物を塗工して得られた試験体について、硬化塗膜に0.5mm×0.5mm×0.1mmでフラックスを塗布し、ホットプレートを用いて280℃で加熱した。加熱開始から硬化塗膜に膨れが生じるなどの異常が見られるまでの時間を目視で観察し、以下の基準にて評価し、○評価以上を合格とした。
◎:60秒以上、硬化塗膜に異常が認められない。
○:30秒以上60秒未満の間に硬化塗膜の異常が発生。
△:15秒以上30秒未満の間に硬化塗膜の異常が発生。
×:15秒未満で硬化塗膜の異常が発生。
(3)折り曲げ性
試験体作製工程で得られた試験体について、はぜ折りにより180°折り曲げを数回繰り返して行い、その際の硬化塗膜におけるクラックの発生状況を、目視及び×200の光学顕微鏡で観察し、クラックの発生しなかった回数を測定し、以下の基準に従って評価し、○評価以上を合格とした。
◎:折り曲げを5回以上繰り返してもクラック発生無し。
○:折り曲げを2~4回繰り返してもクラック発生無し。
△:折り曲げを1回行ってもクラック発生無し。
×:折り曲げを1回行ってクラック発生。
上記評価の結果を下記表1に示す。
Figure 0007258004000008
上記表1に示すように、(A)イミド基とカルボキシル基とイソシアヌレート環構造とを有する、アルカリ可溶性イミド化合物と、(B)光重合開始剤と、(C)反応性希釈剤と、を含む感光性組成物である実施例1~7では、アルカリ現像性に優れ、耐熱性及び折り曲げ性に優れた光硬化膜を形成できる感光性組成物を得ることができた。特に、イソシアネート化合物として1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート三量体のイソシアヌレート体を使用して(A)成分のアルカリ可溶性イミド化合物を調製した実施例1は、イソシアネート化合物として1,5-ペンタメチレンジイソシアネート三量体のイソシアヌレート体を使用して(A)成分のアルカリ可溶性イミド化合物を調製した実施例2と比較して、折り曲げ性がさらに向上した。
また、水添トリメリット酸無水物からなるポリカルボン酸誘導体を使用して(A)成分のアルカリ可溶性イミド化合物を調製した実施例1は、水添トリメリット酸無水物からなるポリカルボン酸誘導体とジカルボン酸無水物とを使用して(A)成分のアルカリ可溶性イミド化合物を調製した実施例3、4と比較して、耐熱性と折り曲げ性がさらに向上した。
一方で、(A)成分のアルカリ可溶性イミド化合物に代えて、アルカリ可溶性酸変性エポキシアクリレート化合物を使用した比較例1では、耐熱性と折り曲げ性が得られなかった。また、(A)成分のアルカリ可溶性イミド化合物に代えて、イソシアヌレート環構造を有しないアルカリ可溶性イミド化合物を使用した比較例2では、耐熱性と折り曲げ性が十分には得られず、アルカリ現像性も得られなかった。
本発明では、アルカリ現像性に優れ、耐熱性及び折り曲げ性に優れた光硬化膜を形成できる感光性組成物を得ることができるので、例えば、フレキシブルプリント配線板にソルダーレジスト膜等の絶縁保護膜を設ける分野で利用価値が高い。

Claims (12)

  1. (A)イミド基とカルボキシル基とイソシアヌレート環構造とを有する、アルカリ可溶性イミド化合物と、(B)光重合開始剤と、(C)反応性希釈剤と、を含み、
    前記(A)アルカリ可溶性イミド化合物が、(a1)イソシアネート基とイソシアヌレート環構造を有するイソシアネート化合物と(a2)1つ以上の酸無水物基と1つ以上のカルボキシル基を有する化合物及び(a3)2つ以上の酸無水物基を有する化合物からなる群から選択された少なくとも1種のポリカルボン酸誘導体とからなる化合物の反応生成物であり、
    前記(a1)イソシアネート基とイソシアヌレート環構造を有するイソシアネート化合物が、下記一般式(1)
    Figure 0007258004000009
    (式中、R 、R 、R は、それぞれ独立して、炭素数5~9個の直鎖状炭化水素基を表す。)で表される化合物であり、
    前記(C)反応性希釈剤100質量部に対して、前記(A)アルカリ可溶性イミド化合物を50質量部以上150質量部以下含む感光性組成物。
  2. 前記(a1)イソシアネート基とイソシアヌレート環構造を有するイソシアネート化合物が、1,5-ペンタメチレンジイソシアネート三量体のイソシアヌレート体及び/または1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート三量体のイソシアヌレート体である請求項に記載の感光性組成物。
  3. 前記(a2)1つ以上の酸無水物基と1つ以上のカルボキシル基を有する化合物が、三塩基酸無水物である請求項1または2に記載の感光性組成物。
  4. 前記(a3)2つ以上の酸無水物基を有する化合物が、四塩基酸無水物である請求項乃至のいずれか1項に記載の感光性組成物。
  5. 前記(a2)1つ以上の酸無水物基と1つ以上のカルボキシル基を有する化合物が、トリメリット酸無水物及び核水添トリメリット酸無水物からなる群から選択された少なくとも1種である請求項乃至のいずれか1項に記載の感光性組成物。
  6. 前記(A)アルカリ可溶性イミド化合物の固形分酸価が、50mgKOH/g以上200mgKOH/g以下である請求項1乃至のいずれか1項に記載の感光性組成物。
  7. 前記(C)反応性希釈剤が、2官能以上の(メタ)アクリレート化合物を含む請求項1乃至のいずれか1項に記載の感光性組成物。
  8. さらに、(D)熱硬化性樹脂として、エポキシ化合物を含む請求項1乃至のいずれか1項に記載の感光性組成物。
  9. さらに、(E)有機フィラーとして、ウレタンビーズを含む請求項1乃至のいずれか1項に記載の感光性組成物。
  10. さらに、(F)難燃剤として、リン含有化合物を含む請求項1乃至のいずれか1項に記載の感光性組成物。
  11. 請求項1乃至10のいずれか1項に記載の感光性組成物の光硬化物。
  12. 請求項1乃至10のいずれか1項に記載の感光性組成物の光硬化物を備えたプリント配線板。
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