JP7295299B2 - 感光性樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、被覆材料、例えば、フレキシブルプリント配線板等の配線板に形成された導体回路パターンを被覆するための被覆材料に適した感光性樹脂組成物、感光性樹脂組成物の光硬化膜を有する配線板に関するものである。
プリント配線板は、基板の上に導体回路パターンを形成し、そのパターンのはんだ付けランドに電子部品をはんだ付けにより搭載するために使用され、そのはんだ付けランドを除く回路部分は、絶縁保護膜(例えば、ソルダーレジスト膜)で被覆される。この絶縁保護膜は、例えば、感光性樹脂組成物をプリント配線板に塗工して塗膜を形成後、塗膜を光硬化させることで得ることができる。これにより、プリント配線板に電子部品をはんだ付けする際に、はんだが不必要な部分に付着するのを防止すると共に、回路が空気に直接曝されて酸化や湿度により腐食されるのを防止する。
また、近年、電子機器の小型化等から、柔軟性(折り曲げ性)に優れたフレキシブルプリント配線板が使用されることがある。フレキシブルプリント配線板に塗工される絶縁保護膜には、特に、柔軟性(折り曲げ性)が要求される。そこで、フレキシブルプリント配線板に塗工される絶縁保護膜に柔軟性(折り曲げ性)を付与するために、感光性樹脂組成物に、フィラーとして、硬質の無機フィラーではなく軟質フィラーであるウレタンビーズを配合することがある(特許文献1)。
フレキシブルプリント配線板に絶縁保護膜(例えば、ソルダーレジスト膜)の被覆を形成するにあたり、フレキシブルプリント配線板に絶縁保護膜の原料であるウレタンビーズを配合した感光性樹脂組成物を塗工して、予備乾燥後、露光処理をする前に、積み重ねて保管しておくことがある。その際には、フレキシブルプリント配線板と予備乾燥後の塗膜との間の貼り付きを防止するために、フレキシブルプリント配線板間に樹脂フィルムを介装させておく。
しかし、予備乾燥後のフレキシブルプリント配線板の保管期間が長くなることがあり、時間の経過とともに、樹脂フィルムが予備乾燥後の塗膜に貼り付いてしまうことがあった。樹脂フィルムが予備乾燥後の塗膜に貼り付いてしまうと、露光機への搬送が困難となるという問題があった。一方で、樹脂フィルムが予備乾燥後の塗膜に貼り付くのを防止するために、ウレタンビーズに代えて硬質の無機フィラーを配合すると、絶縁保護膜に柔軟性(折り曲げ性)を付与することができないという問題があった。
特開2017-201369号公報
上記事情に鑑み、本発明は、絶縁信頼性と耐熱性の基本特性を損なうことなく、フィルム貼り付き防止性と折り曲げ性に優れた光硬化物を得ることができる感光性樹脂組成物、前記感光性樹脂組成物の光硬化膜を有する配線板を提供することを目的とする。
本発明の構成の要旨は、以下の通りである。
[1](A)カルボキシル基含有感光性樹脂と、(B)光重合開始剤と、(C)反応性希釈剤と、(D)エポキシ化合物と、(E)ウレタンビーズと、(F)微粉状無機フィラーと、を含有する感光性樹脂組成物。
[2]前記(F)微粉状無機フィラーが、ヒュームドアルミナまたはヒュームドシリカを含む[1]に記載の感光性樹脂組成物。
[3]前記(F)微粉状無機フィラーが、有機シラン化合物で表面の少なくとも一部が被覆されている微粉状無機フィラーである[1]または[2]に記載の感光性樹脂組成物。
[4]前記(E)ウレタンビーズが、シリカで被覆されているウレタンビーズである[1]乃至[3]のいずれか1つに記載の感光性樹脂組成物。
[5]前記シリカが、疎水性シリカである[4]に記載の感光性樹脂組成物。
[6]前記(A)カルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して、前記(E)ウレタンビーズを2.0質量部以上100質量部以下含有する[1]乃至[5]のいずれか1つに記載の感光性樹脂組成物。
[7]前記(A)カルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して、前記(F)微粉状無機フィラーを1.0質量部以上100質量部以下含有する[1]乃至[6]のいずれか1つに記載の感光性樹脂組成物。
[8]前記(A)カルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して、前記(F)微粉状無機フィラーを20質量部以上50質量部以下含有する[1]乃至[6]のいずれか1つに記載の感光性樹脂組成物。
[9]前記(E)ウレタンビーズ100質量部に対して、前記(F)微粉状無機フィラーを20質量部以上200質量部以下含有する[1]乃至[8]のいずれか1つに記載の感光性樹脂組成物。
[10]ソルダーレジスト膜の形成用である[1]乃至[9]のいずれか1つに記載の感光性樹脂組成物。
[11][1]乃至[10]のいずれか1つに記載の感光性樹脂組成物の光硬化膜を有する配線板。
本発明の感光性樹脂組成物の態様によれば、(A)カルボキシル基含有感光性樹脂と、(B)光重合開始剤と、(C)反応性希釈剤と、(D)エポキシ化合物と、(E)ウレタンビーズと、(F)微粉状無機フィラーと、を含有することにより、絶縁信頼性と耐熱性の基本特性を損なうことなく、フィルム貼り付き防止性と折り曲げ性に優れた光硬化物を得ることができる。
本発明の感光性樹脂組成物の態様によれば、(F)微粉状無機フィラーがヒュームドアルミナまたはヒュームドシリカを含むことにより、フィルム貼り付き防止性と折り曲げ性をバランスよく向上させることができる。
本発明の感光性樹脂組成物の態様によれば、(F)微粉状無機フィラーが有機シラン化合物で表面の少なくとも一部が被覆されている微粉状無機フィラーであることにより、フィルム貼り付き防止性がさらに向上する。
本発明の感光性樹脂組成物の態様によれば、(E)ウレタンビーズがシリカで被覆されているウレタンビーズであることにより、折り曲げ性がさらに向上する。
本発明の感光性樹脂組成物の態様によれば、シリカが疎水性シリカであることにより、折り曲げ性と絶縁信頼性がさらに向上する。
本発明の感光性樹脂組成物の態様によれば、(A)カルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して(E)ウレタンビーズを2.0質量部以上100質量部以下含有することにより、折り曲げ性が確実に向上する。
本発明の感光性樹脂組成物の態様によれば、(A)カルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して(F)微粉状無機フィラーを1.0質量部以上100質量部以下含有することにより、フィルム貼り付き防止性が確実に向上する。
本発明の感光性樹脂組成物の態様によれば、(A)カルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して(F)微粉状無機フィラーを20質量部以上50質量部以下含有することにより、フィルム貼り付き防止性がさらに向上する。
本発明の感光性樹脂組成物の態様によれば、(E)ウレタンビーズ100質量部に対して(F)微粉状無機フィラーを20質量部以上200質量部以下含有することにより、フィルム貼り付き防止性と折り曲げ性がバランスよく向上する。
次に、本発明の感光性樹脂組成物について詳細を説明する。本発明の感光性樹脂組成物は、(A)カルボキシル基含有感光性樹脂と、(B)光重合開始剤と、(C)反応性希釈剤と、(D)エポキシ化合物と、(E)ウレタンビーズと、(F)微粉状無機フィラーと、を含有する。(A)カルボキシル基含有感光性樹脂と、(B)光重合開始剤と、(C)反応性希釈剤と、(D)エポキシ化合物と、(E)ウレタンビーズと、(F)微粉状無機フィラーと、を含有することにより、絶縁信頼性と耐熱性の基本特性を損なうことなく、フィルム貼り付き防止性と折り曲げ性に優れた光硬化物を得ることができる。
<(A)カルボキシル基含有感光性樹脂>
(A)成分であるカルボキシル基含有感光性樹脂は、感光性樹脂組成物のベース樹脂である。(A)成分であるカルボキシル基含有感光性樹脂の構造は、特に限定されず、例えば、感光性の不飽和二重結合を1個以上と遊離のカルボキシル基を有する樹脂が挙げられる。カルボキシル基含有感光性樹脂としては、例えば、(A-1)1分子中に2つ以上のエポキシ基を有する多官能エポキシ樹脂とカルボキシル基1つあたりの炭素数が8以上である少なくとも1種の直鎖状または分岐状脂肪族カルボン酸とラジカル重合性不飽和モノカルボン酸との反応生成物である不飽和カルボン酸化エポキシ樹脂に、多塩基酸及び/または多塩基酸無水物を付加させて得られる構造を有する酸変性長鎖炭化水素構造含有エポキシ樹脂(以下、「A-1樹脂」ということがある。)、(A-2)1分子中にエポキシ基を2個以上有する多官能性エポキシ樹脂のエポキシ基の少なくとも一部にラジカル重合性不飽和モノカルボン酸を反応させて不飽和モノカルボン酸化エポキシ樹脂を得て、生成した水酸基に多塩基酸及び/または多塩基酸無水物を反応させて得られる構造を有する多塩基酸変性不飽和モノカルボン酸化エポキシ樹脂(以下、「A-2樹脂」ということがある。)等を挙げることができる。
<A-1樹脂>
多官能エポキシ樹脂
多官能エポキシ樹脂のエポキシ当量は、特に限定されず、例えば、その上限値は、3000g/eqが好ましく、2000g/eqがより好ましく、1000g/eqがさらに好ましく、500g/eqが特に好ましい。一方で、その下限値は、100g/eqが好ましく、200g/eqが特に好ましい。多官能エポキシ樹脂としては、特に限定されず、例えば、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、フェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂等のゴム変性エポキシ樹脂、ε-カプロラクトン変性エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のフェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルト-クレゾールノボラック型等のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、環状脂肪族多官能エポキシ樹脂、グリシジルエステル型多官能エポキシ樹脂、グリシジルアミン型多官能エポキシ樹脂、複素環式多官能エポキシ樹脂、ビスフェノール変性ノボラック型エポキシ樹脂、多官能変性ノボラック型エポキシ樹脂等を挙げることができる。これらは、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらのうち、感光性樹脂組成物の硬化物の感光性、折り曲げ性及び絶縁信頼性の点から、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂が好ましい。
カルボキシル基1つあたりの炭素数が8以上である直鎖状または分岐状脂肪族カルボン酸
カルボキシル基1つあたりの炭素数が8以上である直鎖状または分岐状脂肪族カルボン酸は、多官能エポキシ樹脂のエポキシ基に反応して、多官能エポキシ樹脂に上記脂肪族カルボン酸由来の長鎖炭化水素構造が導入されることで、感光性樹脂を含む感光性樹脂組成物の硬化物の折り曲げ性、絶縁信頼性を向上させることができる。カルボキシル基1つあたりの炭素数が8以上である直鎖状または分岐状脂肪族カルボン酸は、特に限定されず、飽和、不飽和のいずれも使用可能である。上記脂肪族カルボン酸には、例えば、炭素数が8以上の一塩基酸、炭素数16以上の二塩基酸が挙げられ、折り曲げ性と指触乾燥性を得る点から、上記一塩基酸及び二塩基酸は、直鎖状または炭素数2以下の側鎖を2本以下有する分岐状が好ましい。
また、二塩基酸の上記脂肪族カルボン酸は、二塩基酸の上記脂肪族カルボン酸由来の長鎖炭化水素構造を多官能エポキシ樹脂に導入しつつ、上記多官能エポキシ樹脂の異なるエポキシ基が長鎖炭化水素構造を有する二塩基酸の上記脂肪族カルボン酸を介して相互に結合する。従って、二塩基酸の上記脂肪族カルボン酸は、多官能エポキシ樹脂が有する比較的剛直な骨格を、上記脂肪族カルボン酸由来の折り曲げ性の高い長鎖炭化水素骨格にて共有結合により架橋した化学構造とすることができる。結果として、二塩基酸の上記脂肪族カルボン酸は、硬化物の折り曲げ性、耐熱性及び耐薬品性をさらに向上させることができるエポキシ樹脂誘導体とすることができる。さらに、本発明では、上記脂肪族カルボン酸に由来する折り曲げ性の高い長鎖炭化水素骨格を多く導入することで硬化物の折り曲げ性をさらに向上させることができるところ、上記したカルボキシル基1つあたりの炭素数が8以上である二塩基酸に加えて、カルボキシル基1つあたりの炭素数が8以上である一塩基酸を併用することにより、上記脂肪族カルボン酸と多官能エポキシ樹脂とエチレン性不飽和基含有カルボン酸との反応生成物の分子量を、上記脂肪族カルボン酸に由来する成分の組成比率を向上させながら適度に制御することができる。反応生成物の分子量を適度に調整することで、乾燥後の塗膜の指触乾燥性と弱アルカリ現像液への溶解性(すなわち、アルカリ現像性)と硬化物の折り曲げ性とがさらにバランスよく向上する。
カルボキシル基1つあたりの炭素数が8以上であるカルボン酸は、特に限定されないが、例えば、一塩基酸としては、カプリル酸(C8)、カプリン酸(デカン酸:C10)、ウンデシル酸(C11)、ラウリン酸(ドデカン酸:C12)、トリデシル酸(C13)、ミリスチン酸(C14)、ペンタデシル酸(C15)、パルミチン酸(ヘキサデカン酸:C16)、マルガリン酸(ヘプタデカン酸:C17)、ステアリン酸(C18)、ツベルクロスステアリン酸(C19)、アラキジン酸(C20)、ベヘニン酸(C22),トリコシル酸(C23)、テトラコサン酸(C24)、ヘキサコサン酸(C26)、オクタコサン酸(C28)、トリアコンタン酸(C30)等が挙げられる。
二塩基酸としては、例えば、ヘキサデカン二酸(C16)、エイコサン二酸(C20)、エチルオクタデカン二酸(C20)、エイコサジエン二酸(C20)、ビニルオクタデカエン二酸(C20)、ジメチルエイコサジエン二酸(C22)、ジメチルエイコサン二酸(C22)、ジフェニルヘキサデカン二酸(C28)、オレイン酸(C18)等の不飽和脂肪酸の二量体化反応によるC36ダイマー酸等を挙げることができる。上記したカルボキシル基1つあたりの炭素数が8以上であるカルボン酸は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、必要に応じて、カルボキシル基1つあたりの炭素数が8以上であるカルボン酸と、カルボキシル基1つあたりの炭素数が7以下である一塩基酸及び/または二塩基酸と、を併用してもよい。
カルボキシル基含有感光性樹脂中における、カルボキシル基1つあたりの炭素数が8以上である直鎖状または分岐状脂肪族カルボン酸の割合(仕込み割合)は、特に限定されないが、その下限値は、折り曲げ性と絶縁信頼性をより向上させ、また、多塩基酸及び/または多塩基酸無水物の導入量を調整して固形分酸価を調整する点から15質量%が好ましく、18質量%が特に好ましい。一方で、その上限値は、ラジカル重合性不飽和モノカルボン酸の導入量(すなわち、感光性)を維持し、また、多塩基酸及び/または多塩基酸無水物の導入量を調整して固形分酸価を調整する点から25質量%が好ましく、20質量%が特に好ましい。
ラジカル重合性不飽和モノカルボン酸
ラジカル重合性不飽和モノカルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸(アクリル酸及び/またはメタクリル酸を「(メタ)アクリル酸」ということがある。)、クロトン酸、チグリン酸、アンゲリカ酸、桂皮酸などを挙げることができる。これらのラジカル重合性不飽和モノカルボン酸は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。カルボキシル基含有感光性樹脂中における、ラジカル重合性不飽和モノカルボン酸の割合(仕込み割合)は、特に限定されないが、その下限値は、感度をより向上させ、また、多塩基酸及び/または多塩基酸無水物の導入量と固形分酸価を調整する点から2.0質量%が好ましく、3.0質量%が特に好ましい。一方で、ラジカル重合性不飽和モノカルボン酸の割合の上限値は、カルボキシル基1つあたりの炭素数が8以上であるカルボン酸の導入量を維持し、また、多塩基酸及び/または多塩基酸無水物の導入量を調整して固形分酸価を調整する点から10質量%が好ましく、5.0質量%が特に好ましい。
多塩基酸及び/または多塩基酸無水物
多塩基酸及び/または多塩基酸無水物が、不飽和カルボン酸化エポキシ樹脂に生成した水酸基に付加反応することで、遊離のカルボキシル基が導入される。多塩基酸及び/または多塩基酸無水物は、特に限定されず、飽和、不飽和のいずれも使用可能である。多塩基酸には、例えば、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、クエン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、3-メチルテトラヒドロフタル酸、4-メチルテトラヒドロフタル酸、3-エチルテトラヒドロフタル酸、4-エチルテトラヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸等のテトラヒドロフタル酸類、ヘキサヒドロフタル酸、3-メチルヘキサヒドロフタル酸、4-メチルヘキサヒドロフタル酸、3-エチルヘキサヒドロフタル酸、4-エチルヘキサヒドロフタル酸等のヘキサヒドロフタル酸類、トリメリット酸、ピロメリット酸及びジグリコール酸等が挙げられる。多塩基酸無水物としては、上記した多塩基酸の無水物が挙げられる。これらの化合物は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。カルボキシル基含有感光性樹脂中における、多塩基酸及び/または多塩基酸無水物の割合(仕込み割合)は、特に限定されないが、その下限値は、良好なアルカリ現像性と固形分酸価を調整する点から7.0質量%が好ましく、9.0質量%が特に好ましい。一方で、多塩基酸及び/または多塩基酸無水物の割合の上限値は、絶縁信頼性の低下を確実に防止し、固形分酸価を調整する点から16質量%が好ましく、14質量%が特に好ましい。
<A-2樹脂>
多官能エポキシ樹脂
多官能エポキシ樹脂のエポキシ当量は、特に限定されず、例えば、その上限値は、3000g/eqが好ましく、2000g/eqがより好ましく、1000g/eqがさらに好ましく、500g/eqが特に好ましい。一方で、その下限値は、100g/eqが好ましく、200g/eqが特に好ましい。多官能エポキシ樹脂としては、特に限定されず、例えば、A-1樹脂と同じく、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、フェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂等のゴム変性エポキシ樹脂、ε-カプロラクトン変性エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のフェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルト-クレゾールノボラック型等のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、環状脂肪族多官能エポキシ樹脂、グリシジルエステル型多官能エポキシ樹脂、グリシジルアミン型多官能エポキシ樹脂、複素環式多官能エポキシ樹脂、ビスフェノール変性ノボラック型エポキシ樹脂、多官能変性ノボラック型エポキシ樹脂等を挙げることができる。これらは、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
ラジカル重合性不飽和モノカルボン酸
ラジカル重合性不飽和モノカルボン酸としては、例えば、A-1樹脂と同じく、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、チグリン酸、アンゲリカ酸、桂皮酸などを挙げることができる。これらのラジカル重合性不飽和モノカルボン酸は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
多塩基酸及び/または多塩基酸無水物
多塩基酸及び/または多塩基酸無水物は、特に限定されず、飽和、不飽和のいずれも使用可能である。多塩基酸には、例えば、A-1樹脂と同じく、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、クエン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、3-メチルテトラヒドロフタル酸、4-メチルテトラヒドロフタル酸、3-エチルテトラヒドロフタル酸、4-エチルテトラヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸等のテトラヒドロフタル酸類、ヘキサヒドロフタル酸、3-メチルヘキサヒドロフタル酸、4-メチルヘキサヒドロフタル酸、3-エチルヘキサヒドロフタル酸、4-エチルヘキサヒドロフタル酸等のヘキサヒドロフタル酸類、トリメリット酸、ピロメリット酸及びジグリコール酸等が挙げられる。多塩基酸無水物としては、上記した多塩基酸の無水物が挙げられる。これらの化合物は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
多塩基酸変性不飽和モノカルボン酸化エポキシ樹脂(すなわち、A-2樹脂)もカルボキシル基含有感光性樹脂として使用できるが、上記のようにして得られた多塩基酸変性不飽和モノカルボン酸化エポキシ樹脂のカルボキシル基の一部に、1つ以上のラジカル重合性不飽和基とエポキシ基とを有する化合物を付加反応させて得られる、ラジカル重合性不飽和基をさらに導入した多塩基酸変性ラジカル重合性不飽和モノカルボン酸化エポキシ樹脂(以下、「A-3樹脂」ということがある。)を使用してもよい。ラジカル重合性不飽和基をさらに導入した多塩基酸変性ラジカル重合性不飽和モノカルボン酸化エポキシ樹脂は、多塩基酸変性不飽和モノカルボン酸化エポキシ樹脂の側鎖にラジカル重合性不飽和基がさらに導入されている化学構造を有しているので、多塩基酸変性不飽和モノカルボン酸化エポキシ樹脂よりも、感光性がさらに向上したカルボキシル基含有感光性樹脂である。
1つ以上のラジカル重合性不飽和基とエポキシ基とを有する化合物としては、例えば、グリシジル化合物を挙げることができる。グリシジル化合物としては、例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールトリアクリレートモノグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールトリメタクリレートモノグリシジルエーテル等が挙げられる。グリシジル基は1分子中に1つでもよく、複数有していてもよい。また、上記した1つ以上のラジカル重合性不飽和基とエポキシ基とを有する化合物は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
(A)カルボキシル基含有感光性樹脂として、A-1樹脂、A-2樹脂、A-3樹脂を単独で使用してもよく、併用してもよい。
カルボキシル基含有感光性樹脂の酸価は、特に限定されず、例えば、その下限値は、確実にアルカリ現像性を付与する点から30mgKOH/gが好ましく、40mgKOH/gが特に好ましい。一方で、カルボキシル基含有感光性樹脂の酸価の上限値は、アルカリ現像液による露光部(光硬化部)の溶解防止の点から200mgKOH/gが好ましく、光硬化物の絶縁信頼性の低下を確実に防止する点から150mgKOH/gが特に好ましい。
カルボキシル基含有感光性樹脂の質量平均分子量は、特に限定されず、例えば、その下限値は、光硬化物の強靭性及び指触乾燥性を確実に向上させる点から6000が好ましく、7000がより好ましく、8000が特に好ましい。一方で、カルボキシル基含有感光性樹脂の質量平均分子量の上限値は、良好なアルカリ現像性を確実に得る点から200000が好ましく、100000がより好ましく、50000が特に好ましい。なお、「質量平均分子量」とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、常温で測定し、ポリスチレン換算にて算出される質量平均分子量を意味する。
カルボキシル基含有感光性樹脂は、上記各成分を用いて上記反応工程にて調製してもよく、上市されているカルボキシル基含有感光性樹脂を使用してもよい。上市されているカルボキシル基含有感光性樹脂として、例えば、A-2樹脂としては、「SP-4621」(昭和電工株式会社)、「KAYARAD ZAR-2000」、「KAYARAD ZFR-1122」、「KAYARAD ZFR-1887」、「KAYARAD FLX-2089」、「KAYARAD ZCR-1569H」(以上、日本化薬株式会社)、「サイクロマーP(ACA)Z-250」(株式会社ダイセル)を挙げることができる。
<(B)光重合開始剤>
(B)成分である光重合開始剤は、特に限定されず、例えば、1,2-オクタンジオン,1-〔4-(フェニルチオ)-2-(O-ベンゾイルオキシム)〕、エタノン1-〔9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-1-(0-アセチルオキシム)、2-(アセチルオキシイミノメチル)チオキサンテン-9-オン、1,8-オクタンジオン,1,8-ビス[9-エチル-6-ニトロ-9H-カルバゾール-3-イル]-,1,8-ビス(O-アセチルオキシム)、1,8-オクタンジオン,1,8-ビス[9-(2-エチルヘキシル)-6-ニトロ-9H-カルバゾール-3-イル]-,1,8-ビス(O-アセチルオキシム)、(Z) -(9-エチル-6-ニトロ-9H-カルバゾール-3-イル)(4-((1-メトキシプロパン-2-イル)オキシ) -2-メチルフェニル)メタノン O-アセチルオキシム等のオキシムエステル系光重合開始剤を挙げることができる。市販品としては、IRGACURE-OXE01(BASF社)、IRGACURE-OXE02(BASF社)、アデカアークルズNCI-831(ADEKA株式会社)、O-アシルオキシム化合物であるアデカアークルズNCI-930(ADEKA株式会社)を挙げることができる。
また、光重合開始剤として、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン等のα-アミノアルキルフェノン系光重合開始剤を挙げることができる。
また、オキシムエステル系光重合開始剤及びα-アミノアルキルフェノン系光重合開始剤以外の光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン-n-ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン系;アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,2-ジエトキシ-2-フェニルアセトフェノン等のアセトフェノン系;ベンゾフェノン、p-フェニルベンゾフェノン、4,4′-ジエチルアミノベンゾフェノン、ジクロルベンゾフェノン等のベンゾフェノン系;2-メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、2-ターシャリーブチルアントラキノン、2-アミノアントラキノン等のアントラキノン系;2-メチルチオキサントン、2-エチルチオキサントン、2-クロルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系;ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタール、P-ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルホスフィンオキサイド、(2,4,6‐トリメチルベンゾイル)エトキシフェニルフォスフィンオキサイド、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル-2-(ヒドロキシ‐2‐プロピル)ケトン等を挙げることができる。これらの光重合開始剤は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
光重合開始剤の含有量は、特に限定されないが、カルボキシル基含有感光性樹脂100質量部(固形分、以下同じ。)に対して、0.5質量部以上20質量部以下が好ましく、1.0質量部以上10質量部以下が特に好ましい。
<(C)反応性希釈剤>
(C)成分である反応性希釈剤は、例えば、光重合性モノマーであり、1分子当たり少なくとも1つ、好ましくは1分子当たり2つ以上の重合性二重結合を有する化合物である。反応性希釈剤は、感光性樹脂組成物の光硬化を補強して、感光性樹脂組成物の硬化物に十分な耐熱性、耐酸性、耐アルカリ性などを付与することに寄与する。
反応性希釈剤としては、例えば、単官能の(メタ)アクリレート化合物、2官能の(メタ)アクリレート化合物、3官能の(メタ)アクリレート化合物、4官能以上の(メタ)アクリレート化合物を挙げることができる。(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ジエチレングルコールモノ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリルレート等の単官能(メタ)アクリレート化合物;1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールアジペートジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性燐酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート等の2官能(メタ)アクリレート化合物;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート等の3官能(メタ)アクリレート化合物;ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の4官能以上の(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
反応性希釈剤の含有量は、特に限定されないが、カルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して、5.0質量部以上50質量部以下が好ましく、10質量部以上40質量部以下が特に好ましい。
<(D)エポキシ化合物>
(D)成分であるエポキシ化合物は、感光性樹脂組成物の硬化物の架橋密度を上げて十分な強度を硬化物に付与するためのものである。エポキシ化合物としては、例えば、エポキシ樹脂が挙げられる。エポキシ樹脂としては、例えば、上記したカルボキシル基含有感光性樹脂の調製に使用する多官能エポキシ樹脂と同じエポキシ樹脂を挙げることができる。具体的には、例えば、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、フェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂等のゴム変性エポキシ樹脂、ε-カプロラクトン変性エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のフェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルト-クレゾールノボラック型等のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、環状脂肪族多官能エポキシ樹脂、グリシジルエステル型多官能エポキシ樹脂、グリシジルアミン型多官能エポキシ樹脂、複素環式多官能エポキシ樹脂、ビスフェノール変性ノボラック型エポキシ樹脂、多官能変性ノボラック型エポキシ樹脂等を挙げることができる。これらは、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
エポキシ化合物の含有量は、特に限定されないが、例えば、感光性樹脂組成物の硬化後に十分な強度の塗膜を得る点から、カルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して、10質量部以上100質量部以下が好ましく、10質量部以上50質量部以下が特に好ましい。
<(E)ウレタンビーズ>
(E)成分であるウレタンビーズは、粒子状のウレタンであり、ウレタンビーズが配合されていることにより、絶縁信頼性と耐熱性の基本特性を損なうことなく、フィルム貼り付き防止性と折り曲げ性に優れた光硬化物を得ることに寄与する。
ウレタンビーズは、その外表面の少なくとも一部領域がシリカで被覆されているウレタンビーズ、すなわち、表面処理されたウレタンビーズでも、表面処理されていない未処理のウレタンビーズでもよいが、折り曲げ性がさらに向上する点から、外表面の少なくとも一部領域がシリカで被覆されているウレタンビーズが好ましく、折り曲げ性と絶縁信頼性がさらに向上する点から、外表面の少なくとも一部領域が疎水性シリカで被覆されているウレタンビーズが特に好ましい。
疎水性シリカとしては、疎水性の置換基を有するシリカであれば、特に限定されないが、例えば、より確実に、折り曲げ性と絶縁信頼性に優れた硬化物を形成できる感光性樹脂組成物を得ることができる点から、モノアルキルシリル基で表面改質されているモノアルキルシロキシル化シリカ、ジアルキルシリル基で表面改質されているジアルキルシロキシル化シリカ、トリアルキルシリル基で表面改質されているトリアルキルシロキシル化シリカ、(メタ)アクリルシリル基で表面改質されている(メタ)アクリルシロキシル化シリカ、ジアルキルシロキサン基で表面改質されているシリカ及びジアルキルポリシロキサン基で表面改質されているシリカ等が好ましい。このうち、さらに確実に、折り曲げ性と絶縁信頼性に優れた硬化物を形成できる感光性樹脂組成物を得ることができる点から、モノアルキルシリル基で表面改質されているモノアルキルシロキシル化シリカ、ジアルキルシリル基で表面改質されているジアルキルシロキシル化シリカ、(メタ)アクリルシリル基で表面改質されている(メタ)アクリルシロキシル化シリカが特に好ましい。
また、上記したジアルキル及びトリアルキルにおける各アルキルの炭素数は、特に限定されないが、1以上10以下の炭素数が好ましく、1以上5以下の炭素数がより好ましく、1以上3以下の炭素数が特に好ましい。また、上記したモノアルキルの炭素数は、特に限定されないが、1以上20以下の炭素数が好ましく、3以上15以下の炭素数がより好ましく、5以上10以下の炭素数が特に好ましい。上記した疎水性シリカは、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
ウレタンビーズを被覆するシリカに使用できる、疎水性シリカ以外のシリカとしては、表面処理されていない未処理シリカ、すなわち親水性シリカを挙げることができる。
シリカで被覆されているウレタンビーズの、疎水性シリカを含めた全シリカの被覆率は、特に限定されないが、より確実に折り曲げ性と絶縁信頼性を得ることができる点から、その下限値は、1.0質量%が好ましく、5.0質量%がより好ましく、8.0質量%がさらに好ましく、12質量%が特に好ましい。一方で、シリカで被覆されているウレタンビーズの全シリカの被覆率の上限値は、折り曲げ性と絶縁信頼性をバランス良く向上させる点から、40質量%が好ましく、30質量%がより好ましく、25質量%がさらに好ましく、18質量%が特に好ましい。
ウレタンビーズの含有量(シリカで被覆されているウレタンビーズでは、シリカで被覆されているウレタンビーズの含有量)は、特に限定されないが、その下限値は、折り曲げ性が確実に向上する点から、カルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して2.0質量部が好ましく、5.0質量部がより好ましく、10質量部が特に好ましい。一方で、ウレタンビーズの含有量の上限値は、優れた塗工性を得る点から、カルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して100質量部が好ましく、50質量部がより好ましく、30質量部が特に好ましい。
ウレタンビーズの平均粒子径(シリカで被覆されているウレタンビーズでは、シリカで被覆されているウレタンビーズの平均粒子径)は、特に限定されないが、例えば、折り曲げ性と絶縁信頼性を確実に得る点、及びウレタンビーズを感光性樹脂組成物中に均一分散させる点から、1.0μm以上10μm以下が好ましく、2.0μm以上7.0μm以下がより好ましく、3.0μm以上5.0μm以下が特に好ましい。
<(F)微粉状無機フィラー>
(F)成分である微粉状無機フィラーは、粉体状の無機化合物であり、微粉状無機フィラーが配合されていることにより、絶縁信頼性と耐熱性の基本特性を損なうことなく、フィルム貼り付き防止性と折り曲げ性に優れた光硬化物を得ることに寄与する。
微粉状無機フィラーとしては、例えば、フィルム貼り付き防止性と折り曲げ性をバランスよく向上させることができる点から、ヒュームドアルミナ、ヒュームドシリカが好ましい。ヒュームドアルミナとは、気化させたアルミニウム塩化物を高温の水素炎中にて気相反応させる、熱分解法で製造した乾式アルミナであり、ヒュームドシリカとは、気化させたケイ素塩化物を高温の水素炎中にて気相反応させる、熱分解法で製造した乾式シリカである。
また、微粉状無機フィラーは、その表面の少なくとも一部が、シランカップリング剤等の有機シラン化合物である表面処理剤で被覆されることで疎水化された微粉状無機フィラー、すなわち、シランカップリング剤等の有機シラン化合物で表面処理された微粉状無機フィラーでもよく、表面処理がされていない親水性の微粉状無機フィラーでもよい。このうち、フィルム貼り付き防止性がさらに向上する点から、有機シラン化合物で表面の少なくとも一部が被覆されている微粉状無機フィラーが好ましい。
微粉状無機フィラーの平均一次粒子径(有機シラン化合物で被覆されている微粉状無機フィラーでは、有機シラン化合物で被覆されている微粉状無機フィラーの平均一次粒子径)は、特に限定されないが、その下限値は、感光性樹脂組成物中の分散を均一化させる点から、5.0nmが好ましく、7.0nmがより好ましく、10nmが特に好ましい。一方で、微粉状無機フィラーの平均一次粒子径の上限値は、フィルム貼り付き防止性を確実に向上させる点から、20nmが好ましく、17nmがより好ましく、15nmが特に好ましい。また、微粉状無機フィラーの平均二次粒子径(有機シラン化合物で被覆されている微粉状無機フィラーでは、有機シラン化合物で被覆されている微粉状無機フィラーの平均二次粒子径)は、特に限定されないが、その下限値は、感光性樹脂組成物中の分散を均一化させる点から、70nmが好ましく、100nmがより好ましく、150nmが特に好ましい。一方で、微粉状無機フィラーの平均二次粒子径の上限値は、フィルム貼り付き防止性を確実に向上させる点から、300nmが好ましく、250nmがより好ましく、220nmが特に好ましい。
微粉状無機フィラーの含有量(有機シラン化合物で被覆されている微粉状無機フィラーでは、有機シラン化合物で被覆されている微粉状無機フィラーの含有量)は、特に限定されないが、その下限値は、カルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して、フィルム貼り付き防止性が確実に向上する点から、1.0質量部が好ましく、5.0質量部がより好ましく、フィルム貼り付き防止性がさらに向上する点から、20質量部が特に好ましい。一方で、微粉状無機フィラーの含有量の上限値は、優れた塗工性を得る点から、100質量部が好ましく、70質量部がより好ましく、50質量部が特に好ましい。
(E)成分であるウレタンビーズと(F)成分である微粉状無機フィラーの配合割合は、特に限定されないが、フィルム貼り付き防止性と折り曲げ性がバランスよく向上する点から、ウレタンビーズ100質量部に対して、微粉状無機フィラーを20質量部以上200質量部以下含有するのが好ましく、微粉状無機フィラーを40質量部以上170質量部以下含有するのがより好ましく、微粉状無機フィラーを70質量部以上150質量部以下含有するのが特に好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物には、上記した(A)~(F)成分の他に、必要に応じて、さらに、他の成分、例えば、体質顔料、難燃剤、硬化促進剤、添加剤、着色剤、非反応性希釈剤等を、任意に配合することができる。
体質顔料としては、例えば、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム等が挙げられる。硬化促進剤としては、例えば、メルカプトベンゾオキサザール及びその誘導体、ジシアンジアミド(DICY)及びその誘導体、メラミン及びその誘導体、三フッ化ホウ素-アミンコンプレックス、有機酸ヒドラジド、ジアミノマレオニトリル(DAMN)及びその誘導体、グアナミン及びその誘導体、アミンイミド(AI)並びにポリアミン等が挙げられる。添加剤としては、例えば、シリコーン系、炭化水素系及びアクリル系等の消泡剤、(メタ)アクリル系ポリマー等の分散剤等が挙げられる。
着色剤としては、顔料、色素等、特に限定されず、また、白色着色剤、黒色着色剤、青色着色剤、緑色着色剤、黄色着色剤、紫色着色剤、橙色着色剤、赤色着色剤等、所望の色彩に応じて、いずれの着色剤も使用可能である。着色剤には、例えば、白色着色剤である二酸化チタン、黒色着色剤であるカーボンブラック等の無機系着色剤や、緑色着色剤であるフタロシアニングリーン及び青色着色剤であるフタロシアニンブルーやリオノールブルー等のフタロシアニン系、橙色着色剤であるクロモフタルオレンジ等のジケトピロロピロール系等の有機系着色剤を挙げることができる。
プリント配線板には、高発熱量の電子部品や光源が搭載されることがあるところ、難燃剤は、感光性樹脂組成物の硬化物に難燃性を付与するためのものである。難燃剤としては、例えば、リン含有難燃剤を挙げることができる。リン系の難燃剤としては、例えば、トリス(クロロエチル)ホスフェート、トリス(2,3-ジクロロプロピル)ホスフェート、トリス(2-クロロプロピル)ホスフェート、トリス(2,3-ブロモプロピル)ホスフェート、トリス(ブロモクロロプロピル)ホスフェート、2,3-ジブロモプロピル-2,3-クロロプロピルホスフェート、トリス(トリブロモフェニル)ホスフェート、トリス(ジブロモフェニル)ホスフェート、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェートなどの含ハロゲン系リン酸エステル;トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェートなどのノンハロゲン系脂肪族リン酸エステル;トリフェニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、ジクレジルフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、イソプロピルフェニルジフェニルホスフェート、ジイソプロピルフェニルフェニルホスフェート、トリス(トリメチルフェニル)ホスフェート、トリス(t-ブチルフェニル)ホスフェート、ヒドロキシフェニルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェートなどのノンハロゲン系芳香族リン酸エステル;トリスジエチルホスフィン酸アルミニウム、トリスメチルエチルホスフィン酸アルミニウム、トリスジフェニルホスフィン酸アルミニウム、ビスジエチルホスフィン酸亜鉛、ビスメチルエチルホスフィン酸亜鉛、ビスジフェニルホスフィン酸亜鉛、ビスジエチルホスフィン酸チタニル、テトラキスジエチルホスフィン酸チタン、ビスメチルエチルホスフィン酸チタニル、テトラキスメチルエチルホスフィン酸チタン、ビスジフェニルホスフィン酸チタニル、テトラキスジフェニルホスフィン酸チタンなどのホスフィン酸の金属塩、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキサイド、ジフェニルビニルホスフィンオキサイド、トリフェニルホスフィンオキサイド、トリアルキルホスフィンオキサイド、トリス(ヒドロキシアルキル)ホスフィンオキサイドなどのホスフィンオキサイド系化合物等が挙げられる。このうち、有機リン酸塩(有機系ホスフェート)の難燃剤が好ましい。
非反応性希釈剤は、感光性樹脂組成物の、粘度、塗工性及び乾燥性を調節するための成分である。非反応性希釈剤としては、例えば、感光性樹脂組成物の各成分に対して不活性である有機溶剤を挙げることができる。有機溶剤には、例えば、メチルエチルケトン等のケトン類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、シクロヘキサノール等のアルコール類、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素類、石油エーテル、石油ナフサ等の石油系溶剤、セロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類、カルビトール、ブチルカルビトール等のカルビトール類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、エチレングリコールアセテート、エチルジグリコールアセテート等のエステル類等を挙げることができる。これらは、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の感光性樹脂組成物の製造方法は、特定の方法に限定されず、例えば、上記各成分を所定割合で配合後、常温(例えば、25℃)にて、三本ロール、ボールミル、サンドミル、ビーズミル、ニーダー等の混練手段、またはスーパーミキサー、プラネタリーミキサー、トリミックス等の攪拌、混合手段により、混練または混合して製造することができる。また、前記混練または混合の前に、必要に応じて、予備混練または予備混合を実施してもよい。
次に、本発明の感光性樹脂組成物の使用方法例について説明する。ここでは、本発明の感光性樹脂組成物をプリント配線板に塗工して、絶縁保護膜(例えば、ソルダーレジスト膜等)を形成する方法を説明する。
本発明の感光性樹脂組成物を、フレキシブルプリント配線板等のプリント配線板上に、スクリーン印刷法、バーコータ法、アプリケータ法、ブレードコータ法、ナイフコータ法、ロールコータ法、グラビアコータ法、スプレーコータ法等、公知の方法にて、所望の厚さに塗布して塗膜を形成する。その後、必要に応じて、感光性樹脂組成物中の非反応性希釈剤(有機溶剤)を揮散させるために60℃~100℃程度の温度で10分間~30分間程度加熱する予備乾燥を行い、塗膜をタックフリーの状態にする。次に、塗膜上に回路パターンのランド以外を透光性にしたパターンを有するネガフィルム(フォトマスク)を密着させ、その上から紫外線(例えば、波長300~400nmの範囲)を照射させて塗膜を光硬化させる(露光処理)。露光量としては、例えば、50mJ/cm~2000mJ/cmが挙げられる。露光処理後、前記ランドに対応する非露光領域を希アルカリ水溶液で除去して塗膜を現像する。現像方法には、スプレー法、シャワー法等が用いられ、使用する希アルカリ水溶液としては、例えば、0.5質量%~5質量%の炭酸ナトリウム水溶液が挙げられる。アルカリ現像後、130℃~170℃の熱風循環式の乾燥機等で、20分間~80分間、熱硬化処理(ポストキュア)することにより、プリント配線板上に、光硬化膜であるソルダーレジスト膜を形成させて、感光性樹脂組成物の光硬化膜を有するプリント配線板を得ることができる。
次に、本発明の実施例を説明するが、本発明はその趣旨を超えない限り、これらの例に限定されるものではない。
実施例1~9、比較例1~3
下記表1に示す各成分を下記表1に示す割合にて配合し、3本ロールを用いて室温にて混合させて、実施例1~9、比較例1~3にて使用する感光性樹脂組成物を調製した。その後、調製した感光性樹脂組成物を以下のように基板に塗工して試験体を作製した。下記表1に示す各成分の配合量は、特に断りのない限り質量部を示す。なお、下記表1中の配合量の空欄部は、配合なしを意味する。
下記表1中の各成分についての詳細は、以下の通りである。
(A)カルボキシル基含有感光性樹脂
・合成樹脂A(A-1樹脂)
撹拌機、還流冷却管を備えた500mLセパラブルフラスコに、窒素・空気(2:1)雰囲気下でジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(以下「EDGAC」)86.45g、8-エチルオクタデカン二酸(岡村製油株式会社、SB-20)26.54g(6.3質量部)、ベヘニン酸45.35g(10.7質量部)、ステアリン酸9.71g(2.3質量部)、アクリル酸14.36g(3.4質量部)、トリフェニルホスフィン(TPP)0.65g(0.1質量部)、メトキシハイドロキノン(MEHQ)0.43g(0.1質量部)を仕込み、反応容器内に窒素・空気(2:1)を0.3mL/sec吹き込みながら、110℃で溶解するまで加熱撹拌した。別途、EDGAC溶媒59.8g中にビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬株式会社、NC-3000、エポキシ当量265~285g/eq)137.65g(32.6質量部)を80℃まで加熱して均一に溶解して上記フラスコ内に投入し、115℃にて15~17時間、加熱撹拌させ、反応溶液の酸価が6mgKOH/g以下になるまで反応させた。この反応物に、さらに水素添加トリメリット酸無水物(三菱ガス化学株式会社、HTMAn)を42.23g(9.9質量部)加え空気雰囲気下100℃で2~3時間撹拌した。酸無水物が消失したことを、FT-IR(赤外分光光度計)により確認した。これにより、下記表1に示す固形分(樹脂分)65質量%、酸価85mgKOH/gの合成樹脂Aを得た。
・FLX-2089:A-2樹脂、固形分(樹脂分)65質量%、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート35質量%、日本化薬株式会社
・ZFR-1887:A-2樹脂、固形分(樹脂分)65質量%、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート35質量%、日本化薬株式会社
(B)光重合開始剤
・NCI-930:ジフェニルスルフィド骨格を有するオキシムエステル系光重合開始剤、ADEKA株式会社
・Irugacure 369:α-アミノアルキルフェノン系光重合開始剤、BASF社
(C)反応性希釈剤
・DPCA-120:日本化薬株式会社
(D)エポキシ化合物
・YX-4000HK:ビフェニル型エポキシ樹脂、三菱ケミカル株式会社
・VG3101L:下記化学式(1)を有する高耐熱3官能エポキシ樹脂、株式会社プリンテック
Figure 0007295299000001
(E)ウレタンビーズ
・RHC-730クリヤー:大日精化工業株式会社
・ウレタンビーズA:疎水性シリカとして、ジメチルシロキシル化シリカ(商品名「アエロジルR974」、日本アエロジル株式会社、平均一次粒子径0.012μm)10gを均一に溶媒100gに分散後、イソシアネート化合物20gとアルコール類20gを反応させて得られたポリウレタン球体を含む乳化液を、ホモジナイザーにて均一に分散後、乾燥させることで、シリカの被覆率10質量%のウレタンビーズA(平均粒子径3μm)を調製した。なお、シリカの被覆率は、600℃2時間の完全燃焼後の灰分より求めた。
(F)微粉状無機フィラー
・Aeroxide Alu-C 805:オルガノシラン(シランカップリング剤)で表面処理された疎水性のヒュームド酸化アルミニウム(ヒュームドアルミナ)、平均一次粒子径は12nm~14nm、平均二次粒子径は170nm~190nm、日本アエロジル株式会社
・Aeroxide Alu-C:親水性のヒュームド酸化アルミニウム(ヒュームドアルミナ)、平均一次粒子径は12nm~14nm、平均二次粒子径は170nm~190nm、日本アエロジル株式会社
・Aerosil R805:オルガノシラン(シランカップリング剤)で表面処理された疎水性のヒュームドシリカ、平均一次粒子径は12nm~14nm、平均二次粒子径は170nm~190nm、日本アエロジル株式会社
体質顔料
・ハイジライトH-42STV:昭和電工株式会社
難燃剤
・エクソリット OP-935:クラリアントジャパン社
硬化促進剤
・メラミン:日産化学工業株式会社
・DICY-7:三菱ケミカル株式会社
添加剤
・KS-66:消泡剤、信越化学工業株式会社
着色剤
・クロモフタルDPPオレンジ TR:BASF社
非反応性希釈剤
・EDGAC:三洋化成品株式会社
試験体作製工程
基板:フレキシブルプリント配線板(ポリイミドフィルム、パナソニック株式会社、フィルム厚25μm、導体(Cu箔)厚12.5μm)
表面処理:5質量%硫酸水溶液
塗工:スクリーン印刷
予備乾燥:BOX炉にて80℃、20分
露光:感光性樹脂組成物上100mJ/cm(メイン波長365nm、株式会社オークの直描(DI)紫外線露光装置「Mns60」(光源:高圧水銀灯)
アルカリ現像:1質量%のNa2CO3水溶液、液温30℃、スプレー圧0.2MPa、現像時間60秒
ポストキュア(本硬化の加熱処理):BOX炉にて150℃、60分
ポストキュア後の膜厚:20μm~23μm
評価項目
(1)フィルム貼り付き防止性
試験体作製工程の予備乾燥後にポリプロピレンフィルム(厚さ30μm)を塗膜面に接触させ、さらにポリプロピレンフィルム上に重り(200g、5cmφ)を載せ、室温23℃にて、24時間放置した後、ポリプロピレンフィルムを塗膜面から引き剥がした際の状態を以下のように評価した。
◎:塗膜面にフィルムの貼り付き跡なし
○:塗膜面に若干フィルムの貼り付き跡が残存
△:塗膜面にフィルムの貼り付き跡が残存
×:フィルム引き剥がし後、フィルムに塗膜が付着
(2)折り曲げ性
上記試験体作製工程にて作製した試験体について、はぜ折りにより、導体パターンのラインの長手方向に対して直交方向に180°折り曲げを1回行い、その際の硬化塗膜における微小クラック発生状況を×500の光学顕微鏡で観察し、微小クラックの発生の有無を測定した。微小クラックとは、クラックの長さが100μm未満のクラックを意味する。測定結果については、以下の基準で評価した。
◎:微小クラックの発生が無い。
○:微小クラックの発生が1~3箇所。
△:微小クラックの発生が3箇所より多く、導体パターンのライン周辺部のみに発生。
×:硬化塗膜全体に微小クラックが発生。
(3)絶縁信頼性(塗膜の厚さ方向(Z軸方向)の絶縁信頼性)
上記試験体作製工程にて作製した試験体について、硬化塗膜の上に電磁波シールドフィルム(タツタ電線株式会社、「SF-PC5000」)を貼った上面を陽極に、上記試験体の導体である銅を陰極に、それぞれ、接続した。次いで、85℃、湿度85%の恒温恒湿槽の中で、50V印加を行い、イオンマイグレーションテスター(IMV社、「MIG-8600B/128」)を用いて抵抗値の連続測定を行った。50V印加時を測定開始時間とし、抵抗値が1.0E+6(1.0×10)Ω未満に低下するまでの時間を計測し、これを絶縁破壊時間とし、以下の基準に従って、厚さ方向(Z軸方向)の絶縁信頼性を評価した。
◎:絶縁破壊時間1500時間以上
○:絶縁破壊時間1000時間以上1500時間未満
△:絶縁破壊時間500時間以上1000時間未満
×:絶縁破壊時間500時間未満
(4)はんだ耐熱性
上記試験体作製工程にて作製した試験体の硬化塗膜を、JIS C-6481の試験方法に従って、260℃のはんだ槽に10秒間浸せき後、セロハンテープによるピーリング試験を1サイクルとし、これを1~3回繰り返した後の塗膜状態を目視により観察し、以下の基準に従って評価した。
◎:4サイクル繰り返し後も塗膜に変化が認められない。
○:4サイクル繰り返し後の塗膜にほんの僅か変化が認められる。
△:3サイクル繰り返し後の塗膜にほんの僅か変化が認められる。
×:2サイクル繰り返し後の塗膜に変化が認められる。
上記評価の結果を下記表1に示す。
Figure 0007295299000002
上記表1に示すように、ウレタンビーズと微粉状無機フィラーを配合した実施例1~9の感光性樹脂組成物では、絶縁信頼性と耐熱性(はんだ耐熱性)の基本特性を損なうことなく、フィルム貼り付き防止性と折り曲げ性に優れた光硬化物を得ることができた。特に、実施例1と実施例6から、ウレタンビーズとして疎水性シリカで被覆されているウレタンビーズを使用すると、折り曲げ性と絶縁信頼性がさらに向上した。また、実施例1と実施例7から、微粉状無機フィラーとしてシランカップリング剤で表面処理された疎水性の微粉状無機フィラーを使用すると、フィルム貼り付き防止性がさらに向上した。また、実施例1と実施例8から、シランカップリング剤で表面処理された疎水性のヒュームドアルミナは、シランカップリング剤で表面処理された疎水性のヒュームドシリカと比較してフィルム貼り付き防止性とはんだ耐熱性がさらに向上した。
また、実施例1、2と実施例3、6から、カルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して微粉状無機フィラーを約24質量部配合すると、約8質量部~約16質量部配合した場合と比較してフィルム貼り付き防止性がさらに向上した。また、実施例1と実施例9から、上記化学式(1)を有する高耐熱3官能エポキシ樹脂を配合すると、ビフェニル型エポキシ樹脂を配合した場合と比較してはんだ耐熱性がさらに向上した。
一方で、上記表1に示すように、ウレタンビーズと微粉状無機フィラーを配合しなかった比較例1では、フィルム貼り付き防止性と折り曲げ性を得ることができなかった。また、ウレタンビーズを配合したが微粉状無機フィラーを配合しなかった比較例2では、フィルム貼り付き防止性を得ることができなかった。また、微粉状無機フィラーを配合したがウレタンビーズを配合しなかった比較例3では、折り曲げ性を得ることができなかった。
本発明の感光性樹脂組成物は、(A)カルボキシル基含有感光性樹脂と、(B)光重合開始剤と、(C)反応性希釈剤と、(D)エポキシ化合物と、(E)ウレタンビーズと、(F)微粉状無機フィラーと、を含有することにより、絶縁信頼性と耐熱性の基本特性を損なうことなく、フィルム貼り付き防止性と折り曲げ性に優れた光硬化物を得ることができるので、例えば、フレキシブルプリント配線板に設ける絶縁保護膜の分野で利用価値が高い。

Claims (10)

  1. (A)カルボキシル基含有感光性樹脂と、(B)光重合開始剤と、(C)反応性希釈剤と、(D)エポキシ化合物と、(E)ウレタンビーズと、(F)微粉状無機フィラーと、を含有し、
    前記(F)微粉状無機フィラーが、有機シラン化合物で表面の少なくとも一部が被覆されているヒュームドアルミナを含み、
    前記有機シラン化合物で表面の少なくとも一部が被覆されているヒュームドアルミナが、平均一次粒子径5.0nm以上20nm以下、平均二次粒子径70nm以上300nm以下である感光性樹脂組成物。
  2. 前記有機シラン化合物で表面の少なくとも一部が被覆されているヒュームドアルミナが、平均一次粒子径10nm以上15nm以下、平均二次粒子径150nm以上220nm以下である請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
  3. 前記(E)ウレタンビーズが、シリカで被覆されているウレタンビーズである請求項1または2に記載の感光性樹脂組成物。
  4. 前記シリカが、疎水性シリカである請求項に記載の感光性樹脂組成物。
  5. 前記(A)カルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して、前記(E)ウレタンビーズを2.0質量部以上100質量部以下含有する請求項1乃至のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  6. 前記(A)カルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して、前記(F)微粉状無機フィラーを1.0質量部以上100質量部以下含有する請求項1乃至のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  7. 前記(A)カルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して、前記(F)微粉状無機フィラーを20質量部以上50質量部以下含有する請求項1乃至のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  8. 前記(E)ウレタンビーズ100質量部に対して、前記(F)微粉状無機フィラーを20質量部以上200質量部以下含有する請求項1乃至のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  9. ソルダーレジスト膜の形成用である請求項1乃至のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  10. 請求項1乃至のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物の光硬化膜を有する配線板。
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