JP7257847B2 - リチウムイオン二次電池正極材料、リチウムイオン二次電池正極材料添加剤、リチウムイオン二次電池及びリチウムイオン二次電池正極材料の製造方法 - Google Patents
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Description
特許文献1には、Lix Co1-y Mey O2-a(Meは、V、Cu、Zr、Zn、Mg、Al又はFeから選ばれる1種又は2種以上の金属元素を表す。xは、0.9≦x≦1.1、yは0≦y≦0.01、aは-0.1≦a≦0.1の値をとる。)で表される複合酸化物の粒子表面に、Mg、Ti又はZrから選ばれる少なくとも1種以上の金属酸化物を乾式混合し、200~700℃で加熱処理して前記複合酸化物の粒子表面に前記金属酸化物を付着させることにより出力特性を向上させる技術が開示されているが、試験は1C(1時間で充電、放電を繰り返す試験モード)までで急速充電が必要とされる近年のリチウムイオン二次電池の技術要求にこたえていない。
この特許文献ではサイクル特性改善のみ示されており、出力特性については記載が無く、示唆も無い。
少なくともリチウムとニッケルとを含む層状の結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物をコア粒子とし、コア粒子の表面の少なくとも一部に、リチウムとイットリウムとジルコニウムとを含む複合酸化物から構成された被覆層が形成されており、25℃における電池抵抗を軽減する技術が開示されている。
当該技術では、リチウム遷移金属複合酸化物の結晶格子内にYまたはZrを存在させた場合、十分な効果を得ることができない。
当該技術は結晶構造の安定化は述べられているが、層間を調整することについては記述がない。
また、サイクル特性改善のみ示されており、出力特性については記載が無い。
当該技術は結晶構造の安定化は述べられているが、層間を調整することについては記述がない。
また、サイクル特性改善のみ示されており、出力特性については記載が無い。
(1)リチウムイオン二次電池に用いられる正極材料であって、層状の結晶構造を有する正極材料の層間に、リチウムイオンよりも大きなイオン半径であって且つ価数が2価以上であるカチオンBが存在していることを特徴とするリチウムイオン二次電池用正極材料。
ここで、リチウムイオンの半径とは、shanonのイオン半径として、「Shannon et al., Acta A 32(1976)751」で報告されているイオン半径の6配位の値である0.76Åをいう。以後も同じ。
ここで、MはAl,Mgから選ばれた1種又は2種の元素であり、
mは-0.05≦m≦0.10、
xは0≦x≦1.0、
yは0≦y≦1.0、
wは0≦w≦0.2、
0.4≦m+x+y+w≦1.0、
θは電荷中性条件を満たすように定まる値、の範囲を持つ、
層状の結晶構造を有する正極材料であることを特徴とする(5)記載のリチウムイオン二次電池正極材料。
前記カチオンAとBを含む複合酸化物を作製する工程、
層状の結晶構造を有する正極材料を作製する工程、
前記複合酸化物と前記正極材料を混合後、焼成することにより、
前記正極材料の層間にカチオンAとBをリチウムイオンと置換させる工程、
を含むことを特徴とするリチウムイオン二次電池正極材料の製造方法。
前記カチオンAとBを含む複合酸化物を作製する工程、
リチウム塩と、層状の結晶構造を有する正極材料の前駆体と、前記複合酸化物の混合体を調製する工程、
前記混合体を焼成することにより層状の結晶構造を有する正極材料の層間にカチオンAとBが挿入されていることを特徴とするリチウムイオン二次電池正極材料の製造方法。
また1価のカチオンを用いた場合、充放電に伴うリチウムイオンの挿入脱離と共に、1価のカチオンも
層状の結晶構造を有する正極材料から脱離する恐れがあるため、カチオンBの価数は2価以上であることが必要である。
ここで図のLi+はリチウムイオンを、
Mn+は層状の結晶構造を有する正極材料を構成する金属元素イオン(ニッケル,コバルト,マンガン,アルミニウム,マグネシウム)を、
O2-は層状の結晶構造を有する正極材料を構成する酸素イオンを、
Ag+はg価の価数を持つリチウムイオンよりも小さなイオン半径を持つカチオンAを、
Bh+はh価の価数を持つリチウムイオンよりも大きなイオン半径を持つカチオンBを示している。
その理由として、まずリチウムイオンよりも小さなイオン半径を持つカチオンAを同時に用いた場合、カチオンAのイオン半径はリチウムイオンのイオン半径よりも小さいために、比較的容易に層間のリチウムイオンと置換されると考えられる。
そして層間のカチオンAで置換された部位の隣接点は、リチウムイオンとの価数の差から正孔が生じると考えられる。
また、層状の結晶構造を持つリチウムイオン二次電池用正極材料では、リチウム層の上下面方向にそれぞれ負電荷を帯びた酸素イオンの層が存在している。
ここで、カチオンAの置換とリチウムイオンとの価数差から層間に生じた正孔の周囲では、この負電荷を帯びた酸素イオン層が近接する形となるため、酸素イオン層に由来する負電荷同士の反発により、層間が広がると考えられる。
すなわち、リチウムイオンが出入り可能であった層間の大きさよりも更に層間が広がることになるため、リチウムイオンよりも大きなイオン半径を持つカチオンBが、層間へより挿入しやすくなり、図2に示す状態が形成されると考えられる。
カチオンAとカチオンBを複合化した複合酸化物の合成方法としては特に指定はないが、
例えば、カチオンAとカチオンBを含む溶液、
または、カチオンAとカチオンBいずれか一方の粒子を含む分散液にもう一方のカチオンを含む溶液を
調整し、次いでその溶液に塩基を添加しカチオンAとBを含む水酸化物スラリーを得る段階と、
その水酸化物スラリーを固液分離後、洗浄、乾燥、焼成する段階と、
を順次行うことによって製造することができる。
ベース組成が一般式Li1+mNixCoyMn1-x-y-w-mMwO2+θで表され、
ここで、MはAl,Mgから選ばれた1種又は2種の元素であり、
mは-0.05≦m≦0.10、
xは0≦x≦1.0、
yは0≦y≦1.0、
wは0≦w≦0.2、
0.4≦m+x+y+w≦1.0、
θは電荷中性条件を満たすように定まる値、の範囲を持つ、
リチウム遷移金属複合酸化物である。
は、リチウム遷移金属複合酸化物を100質量%に対し、カチオンAとカチオンBを複合化した化合物を加える質量%をpとした時、0.1<p<2.3の範囲で、より好ましくは0.5≦p≦2.0の範囲である。
これは、カチオンAとカチオンBを含む複合酸化物を加える量が少なすぎると、出力特性を高める効果が確認できず、逆に多すぎると、リチウム遷移金属複合酸化物の放電容量を低下させてしまうためである。
BET比表面積が15m2/gを超える場合には充填密度の低下や電解液との反応性が増加するため好ましくない。
リチウム塩、
層状の結晶構造を有する正極材料の原料となる遷移金属化合物、
リチウムイオンよりも大きなイオン半径を持つカチオンBとリチウムイオンよりも小さなイオン半径を持つカチオンAを含む複合酸化物とを、混合、焼成、粒度調整することで得られる。
または、Co3O4やCo(OH)2のようなCo化合物、NiOやNi(OH)2のようなNi化合物、
MnO,MnO2,Mn3O4,MnOOH,Mn(OH)2のようなMn化合物、Al2O3やAl(OH)3のようなAl化合物を、個別の元素の化合物を目的とする正極材料の組成となるよう配合する方法などが考えられる。
なお、原料の混合及び焼成において、
リチウム塩、層状の結晶構造を有する正極材料の原料となる遷移金属化合物を混合、焼成、解砕し得られた正極材料に、リチウムイオンよりも大きなイオン半径を持つカチオンBとリチウムイオンよりも小さなイオン半径を持つカチオンAを含む複合酸化物を混合し焼成する方法と、
リチウム塩、層状の結晶構造を有する正極材料の原料となる遷移金属化合物、
リチウムイオンよりも大きなイオン半径を持つカチオンBとリチウムイオンよりも小さなイオン半径を持つカチオンAを含む複合酸化物を全て混合したのち焼成する方法がある。
または、
焼成温度が500℃以上700℃以下に保持される第一の焼成工程と、
前記第一の焼成工程から焼成温度を下げずに引き続き行われ、焼成温度が700℃以上1000℃以下に保持される第二の焼成工程、
または、
前記第一の焼成工程から焼成温度を一旦室温まで下げた後、焼成温度が700℃以上1000℃以下に保持される第二の焼成工程を行うなどが挙げられる。
第二の焼成工程では反応促進のため第一の焼成工程より高い700~1000℃で5~30時間焼成する。1000℃を超えると、一次粒子の成長や粒子同士の焼結が進み好ましくない。700℃未満では一次粒子が十分に成長せず、結晶性が低くなる。また目的の組成が得られなくなるため好ましくない。
好適な焼成時間は温度との組み合わせで一概には定まらないが第一の焼成工程では2~10時間が好ましく、第二の焼成工程では5~30時間が好ましい。
たとえばリチウム塩として六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を用い、非水系電解液としてエチレンカーボネートとジエチルカーボネートの混合溶液を用いる。
このほかにもリチウム塩としてはLiClO4、LiAsF6、LiBF4、LiSO3CF3、LiN(SO3CF3)2などやそれらの混合物が用いられる。
また、非水電解液としてはジエチルカーボネート、プロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート等やその混合物、及びポリエチレンイミン等を主鎖とした高いイオン伝導性を有する高分子固体電解質(樹脂)等を用いることが可能である。
化学式Li1.02Ni0.49Co0.20Mn0.29O2となるよう調整した炭酸リチウム、遷移金属複合化合物(化学式:Ni0.5Co0.2Mn0.3(OH)2)に、カチオンAとBを含む複合酸化物としてY0.28Zr0.72O1.86をリチウム遷移金属複合酸化物に対し0.5質量%の比率になるように加え、精密混合機で乾式混合、その後、大気雰囲気下において650℃で5時間、引き続き890℃で11時間焼成し、
解砕、整粒してカチオンAとBが含まれたリチウム遷移金属複合酸化物を合成した。
実施例2、実施例7~25、実施例28~41および比較例2、比較例3においては、Y0.28Zr0.72O1.86の代わりに、表1~3に記載の成分比率となるカチオンAとBを含む複合酸化物(ABOn、ここでnはカチオンAとBの価数に対し電荷中性条件を満たすように定まる値)を用いた他は、実施例1と同様に作製した。
実施例5、実施例6、比較例4、比較例5においては、カチオンAとBを含む複合酸化物(ABOn、ここでnはカチオンAとBの価数に対し電荷中性条件を満たすように定まる値)を、リチウム遷移金属複合酸化物に対し表1及び表3に記載の質量%の比率になるように加えた他は、実施例1と同様に作製した。
実施例26においては、Y0.28Zr0.72O1.86の代わりに、表2に記載の成分比率となるカチオンAとB、及びカチオンB’を含む複合酸化物(ABB’On、ここでnはカチオンAとBとB’の価数に対し電荷中性条件を満たすように定まる値)を用いた他は、実施例1と同様に作製した。
実施例27においては、Y0.28Zr0.72O1.86の代わりに、表2に記載の成分比率となるカチオンAとB、及びカチオンA’とカチオンB’とを含む複合酸化物(A A’B B’On、ここでnはカチオンAとA’とBとB’の価数に対し電荷中性条件を満たすように定まる値)を用いた他は、実施例1と同様に作製した。
化学式Li1.02Ni0.49Co0.20Mn0.29O2となるよう調整した炭酸リチウム、遷移金属複合化合物(化学式:Ni0.5Co0.2Mn0.3(OH)2)を、精密混合機で乾式混合、その後、650℃で5時間、引き続き890℃で11時間焼成し、解砕、整粒してリチウム遷移金属複合酸化物を合成した。
化学式Li1.02Ni0.49Co0.20Mn0.29O2となるよう調整した炭酸リチウム、遷移金属複合化合物(化学式:Ni0.5Co0.2Mn0.3(OH)2)を加え、精密混合機で乾式混合、その後、大気雰囲気下において850℃で10時間焼成し、解砕した。
続いてカチオンAとBを含む複合酸化物としてY0.28Zr0.72O1.86をリチウム遷移金属複合酸化物に対し、0.5質量%の比率になるように加え、精密混合機で乾式混合、
その後、大気雰囲気下において850℃で6時間焼成し、
解砕、整粒してカチオンAとBが含まれたリチウム遷移金属複合酸化物を合成した。
化学式Li1.00Ni 0.80 Co0.15Al0.05O2となるよう調整した水酸化リチウム、遷移金属複合化合物(化学式:Ni 0.80 Co0.15Al0.05(OH)2)に、カチオンAとBを含む複合酸化物としてY0.33Zr0.67O1.84をリチウム遷移金属複合酸化物に対し0.5質量%の比率になるように加え、精密混合機で乾式混合、その後、酸素ガスフローしながら600℃で5時間、引き続き800℃で20時間焼成し、解砕、整粒してカチオンAとBが含まれたリチウム遷移金属複合酸化物を合成した。
化学式Li1.00Ni 0.80 Co0.15Al0.05O2となるよう調整した水酸化リチウム、遷移金属複合化合物(化学式:Ni 0.80 Co0.15Al0.05(OH)2)を加え、精密混合機で乾式混合、その後、酸素ガスフローしながら600℃で5時間、引き続き800℃で15時間焼成し、解砕した。
続いて、カチオンAとBを含む複合酸化物としてY0.33Zr0.67O1.84をリチウム遷移金属複合酸化物に対し0.5質量%の比率になるように加え、精密混合機で乾式混合、
その後、酸素ガスフローしながら800℃で5時間焼成し、解砕、整粒してカチオンAとBが含まれたリチウム遷移金属複合酸化物を合成した。
実施例44においては、Y0.33Zr0.67O1.84の代わりに、表4に記載の成分比率となるカチオンAとB、及びカチオンB’を含む複合酸化物(ABB’On、ここでnはカチオンAとBとB’の価数に対し電荷中性条件を満たすように定まる値)を用いた他は、実施例42と同様に作製した。
化学式Li1.00Ni 0.80 Co0.15Al0.05O2となるよう調整した水酸化リチウム、遷移金属複合化合物(化学式:Ni 0.80 Co0.15Al0.05(OH)2)を、精密混合機で乾式混合、その後、
酸素ガスフローしながら600℃で5時間、引き続き800℃で20時間焼成し、解砕、整粒してリチウム遷移金属複合酸化物を合成した。
比較例7においては、Y0.33Zr0.67O1.84の代わりに、表4に記載の成分比率となるカチオンAとBを含む複合酸化物(ABOn、ここでnはカチオンAとBの価数に対し電荷中性条件を満たすように定まる値)を用いた他は、実施例42と同様に作製した。
比較例8、比較例9においては、表4に記載の成分比率となるカチオンAとBを含む複合酸化物(ABOn、ここでnはカチオンAとBの価数に対し電荷中性条件を満たすように定まる値)をリチウム遷移金属複合酸化物に対し表4の質量%比率になるように加えた他は、実施例42と同様に作製した。
上記、各実施例および比較例にて合成したリチウム遷移金属複合酸化物を正極活物質として、正極を作製した。
導電助剤にはティムカル社の商品名KS6とSuper-P、結着剤にクレハ社の商品名KFポリマー(PVdFをNメチルピロリドンに溶解させた溶液)を使用した。
重量比で、「正極活物質:KS6:Super-P:結着剤」を「94:1:2:3」の割合で秤量し、NMPを加えて混練し、正極スラリーを作製した。
得られたスラリーをアルミニウム製の集電体にドクターブレード法により塗布し、乾燥、直径13mmの円盤状に打ち抜き後、プレスして正極を作製した。
前記実施例及び比較例の正極と、負極、電解液およびセパレータには、それぞれ順に、金属リチウムを円板状に切り出したもの、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートを体積比で3:7の割合で混合した溶媒に溶質LiPF6を1mol/l溶かしたもの、ポリプロピレン製の微多孔膜を使用し、コイン型電池CR2032タイプ(直径20mm、高さ3.2mm)を組立てて電池評価測定を行った。
作製したコイン型リチウム二次電池を、まず25℃の恒温槽内にて、初期活性化を行った。
充電は、レート35mA/g、上限4.23V定電流定電圧で電流が2mA/gとなった時点で充電を終了した。
放電は、レート35mA/g、放電下限電圧3.0Vとした。
初期活性化はこの条件にて、充電と放電を3回繰り返した。
次に、初期活性化後のコイン型リチウム二次電池を45℃の恒温槽内にて、充電は、レート80mA/g、上限4.23V定電流定電圧で電流が7mA/gとなった時点で充電を終了し、放電は、レート80mA/g、放電下限電圧3.0Vとし、60回の繰返し充放電試験を行った。
初めに、充電は、レート35mA/g、上限4.23V定電流定電圧で電流が2mA/gとなった時点で充電を終了し、放電は、レート35mA/g、放電下限電圧3.0Vとして充電と放電を1回行った。
続けて、充電は、レート35mA/g、上限4.23V定電流定電圧で電流が2mA/gとなった時点で充電を終了し、放電は、レート350mA/g、放電下限電圧3.0Vとして充電と放電を1回行った。
つまり、
レート特性(%)=(放電をレート350mA/g、放電下限電圧3.0Vでの各実施例と比較例の放電容量)÷(放電をレート350mA/g、放電下限電圧3.0Vとしたときの、比較例2の放電容量)
である。
つまり、
レート特性(%)=(放電をレート350mA/g、放電下限電圧3.0Vでの各実施例と比較例の放電容量)÷(放電をレート350mA/g、放電下限電圧3.0Vとしたときの、比較例7の放電容量)
である。
比較例1に示すカチオンAとカチオンBのいずれも含まない層状の結晶構造を有する正極材料、及び、
比較例2に示すカチオンAを含む層状の結晶構造を有する正極材料に対し、
実施例1~実施例41のカチオンB、またはカチオンA(とカチオンA‘)とカチオンB(とカチオンB’)を含む複合酸化物を加えて合成した層状の結晶構造を有する正極材料では、いずれもレート特性が高くなっている。
比較例6に示すカチオンAとカチオンBのいずれも含まない層状の結晶構造を有する正極材料、及び、
比較例7に示すカチオンAを含む層状の結晶構造を有する正極材料に対し、
実施例42~実施例44のカチオンB、またはカチオンA(とカチオンA‘)とカチオンB(とカチオンB’)を含む複合酸化物を加えて合成した層状の結晶構造を有する正極材料では、いずれもレート特性が高くなっている。
実施例1に対し比較例4,比較例5、もしくは、実施例42に対し比較例8,比較例9より、リチウム遷移金属複合酸化物に対して、カチオンAとカチオンBを含む複合酸化物を加える質量%の比率は、好ましい量があることが確認できた。
Claims (6)
- リチウムイオン二次電池に用いられる正極材料であって、層状の結晶構造を有する正極材料の層間に、リチウムイオンよりも小さなイオン半径であって且つ価数が2価以上であるカチオンAとリチウムイオンよりも大きなイオン半径であって且つ価数が2価以上であるカチオンBが存在し、
前記カチオンAが、Mg 2+ ,Al 3+ ,Ga 3+ ,Sc 3+ ,Si 4+ ,Ge 4+ ,Ti 4+ , Zr 4+ ,Hf 4+ ,V 5+ ,Nb 5+ ,Ta 5+ ,Mo 4+ ,Mo 5+ ,Mo 6+ ,W 4+ ,W 5+ ,W 6+ から選ばれた1種又は2種以上であり、
前記カチオンBが、Ca 2+ ,Sr 2+ ,Ba 2+ ,In 3+ ,Y 3+ ,La 3+ ,Ce 3+ ,Ce 4+ ,Pr 3+ ,Nd 3+ ,Sm 3+ ,Eu 3+ ,Gd 3+ ,Tb 3+ ,Dy 3+ ,Ho 3+ ,Er 3+ ,Tm 3+ ,Yb 3+ ,Lu 3+ ,Bi 3+ から選ばれた1種又は2種以上であって、前記カチオンAと前記価カチオンBとの組み合わせがA=Ti 4+ とB=Sr 2+ の組み合わせ及びA=Ti 4+ とB=Ba 2+ を除くことを特徴とするリチウムイオン二次電池正極材料。 - 層状の結晶構造を有する正極材料の母相が、LiCoO2系、Li(Ni,Co,Al)O2系、Li(Ni,Co,Mn)O2系のいずれかであることを特徴とする請求項1記載のリチウムイオン二次電池正極材料。
- ベース組成が一般式Li1+mNixCoyMn1-x-y-w-mMwO2+θで表され、
ここで、MはAl,Mgから選ばれた1種又は2種の元素であり、
mは-0.05≦m≦0.10、
xは0≦x≦1.0、
yは0≦y≦1.0、
wは0≦w≦0.2、0.4≦m+x+y+w≦1.0、
θは電荷中性条件を満たすように定まる値、の範囲を持つ、
層状の結晶構造を有する正極材料であることを特徴とする請求項2記載のリチウムイオン二次電池正極材料。 - 請求項1~3のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池用正極材料を含むことを特徴とするリチウムイオン二次電池。
- 請求項1~4のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池用正極材料を製造する方法であって、
前記カチオンAとBを含む複合酸化物を作製する工程、
リチウム塩と、層状の結晶構造を有する正極材料の前駆体と、前記複合酸化物の混合体を調製する工程、
前記混合体を焼成することにより層状の結晶構造を有する正極材料の層間にカチオンAとBが挿入されている
ことを特徴とするリチウムイオン二次電池正極材料の製造方法。 - 請求項1記載のカチオンBと請求項1記載のカチオンAを含む複合酸化物(A=Ti 4+ とB=Sr 2+ の組み合わせ並びにA=Ti 4+ とB=Ca 2+ の組み合わせを除く)であり、層状の結晶構造を有する正極材料の層間にカチオンAとカチオンBを挿入するために用いることを特徴とするリチウムイオン二次電池正極材料添加剤。
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