JPH11354121A - リチウム二次電池正極材の製造方法 - Google Patents
リチウム二次電池正極材の製造方法Info
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- JPH11354121A JPH11354121A JP10176595A JP17659598A JPH11354121A JP H11354121 A JPH11354121 A JP H11354121A JP 10176595 A JP10176595 A JP 10176595A JP 17659598 A JP17659598 A JP 17659598A JP H11354121 A JPH11354121 A JP H11354121A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】理論放電容量として知られている値よりも高い
放電容量を有するリチウム二次電池正極材の製造方法を
提供する。 【解決手段】LiMO 2(MはLi以外の任意の金属元
素)で表され、金属元素Mの1モルに対して0.000
5〜0.1モルの第3金属元素を含有するα−NaFe
O2型結晶構造のリチウム金属酸化物から成るリチウム
二次電池正極材の製造方法であって、第3金属元素を含
有しない原料混合物からα−NaFeO2型結晶構造を
形成する第1段目加熱処理工程と、第3金属元素を含有
する原料混合物の第2段目加熱処理工程とを含む製造方
法。
放電容量を有するリチウム二次電池正極材の製造方法を
提供する。 【解決手段】LiMO 2(MはLi以外の任意の金属元
素)で表され、金属元素Mの1モルに対して0.000
5〜0.1モルの第3金属元素を含有するα−NaFe
O2型結晶構造のリチウム金属酸化物から成るリチウム
二次電池正極材の製造方法であって、第3金属元素を含
有しない原料混合物からα−NaFeO2型結晶構造を
形成する第1段目加熱処理工程と、第3金属元素を含有
する原料混合物の第2段目加熱処理工程とを含む製造方
法。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リチウム二次電池
正極材の製造方法に関するものであり、詳しくは、Li
MO2(MはLi以外の任意の金属元素)で表され、α
−NaFeO2型結晶構造のリチウム金属酸化物から成
り、高い放電容量を有するリチウム二次電池正極材の製
造方法に関するものである。
正極材の製造方法に関するものであり、詳しくは、Li
MO2(MはLi以外の任意の金属元素)で表され、α
−NaFeO2型結晶構造のリチウム金属酸化物から成
り、高い放電容量を有するリチウム二次電池正極材の製
造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】周知の通り、リチウム二次電池は、主と
して正極および負極とセパレーター及び非水性電解液と
を構成要素とした電池である。そして、正極材として、
LiCoO2、LiNiO2、LiNia-xCoxO2、L
iMnO2等のLiMO2(MはLi以外の任意の金属元
素)で表されるリチウム金属酸化物が知られている。こ
れらは、何れも、α−NaFeO2型結晶構造を有す
る。
して正極および負極とセパレーター及び非水性電解液と
を構成要素とした電池である。そして、正極材として、
LiCoO2、LiNiO2、LiNia-xCoxO2、L
iMnO2等のLiMO2(MはLi以外の任意の金属元
素)で表されるリチウム金属酸化物が知られている。こ
れらは、何れも、α−NaFeO2型結晶構造を有す
る。
【0003】高エネルギーリチウム二次電池の開発にお
いては、リチウム金属酸化物の固体マトリックスの骨格
を変えることなく、電子とリチウムイオンとを効率良く
可逆的に出し入れさせるかが重要である。
いては、リチウム金属酸化物の固体マトリックスの骨格
を変えることなく、電子とリチウムイオンとを効率良く
可逆的に出し入れさせるかが重要である。
【0004】リチウム二次電池正極材の特性改良のた
め、微量の第3金属元素を含有するリチウム金属酸化物
が提案されている。例えば、特開平6−150929号
公報には、第3金属元素としてNa又はKが提案されて
いる。すなわち、Na又はKでLiの一部を置換するこ
とにより、α−NaFeO2型結晶構造に由来する層状
構造を維持する提案がなされている。また、特開平7−
176302号公報には、Al、In、Snが提案さ
れ、特開平8−138669号公報には、アルカリ金属
またはアルカリ土類金属と遷移金属元素の組み合わせが
提案されている。
め、微量の第3金属元素を含有するリチウム金属酸化物
が提案されている。例えば、特開平6−150929号
公報には、第3金属元素としてNa又はKが提案されて
いる。すなわち、Na又はKでLiの一部を置換するこ
とにより、α−NaFeO2型結晶構造に由来する層状
構造を維持する提案がなされている。また、特開平7−
176302号公報には、Al、In、Snが提案さ
れ、特開平8−138669号公報には、アルカリ金属
またはアルカリ土類金属と遷移金属元素の組み合わせが
提案されている。
【0005】一方、リチウム二次電池正極材の理論放電
容量(mAh/g)は、例えば、LiCoO2及びLi
NiO2の場合は約140であることが知られている
(「高性能二次電池材料の最新技術動向」 ’97年3月
2日東レ・リサーチセンター社発行、第37頁、表2.
2.1−3)。
容量(mAh/g)は、例えば、LiCoO2及びLi
NiO2の場合は約140であることが知られている
(「高性能二次電池材料の最新技術動向」 ’97年3月
2日東レ・リサーチセンター社発行、第37頁、表2.
2.1−3)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、理論
放電容量として知られている値よりも高い放電容量を有
するリチウム二次電池正極材の製造方法を提供すること
にある。
放電容量として知られている値よりも高い放電容量を有
するリチウム二次電池正極材の製造方法を提供すること
にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成すべく種々検討を重ねた結果、微量の第3金属
元素を含有するリチウム金属酸化物の製造において、従
来公知の方法とは異なる特殊な方法を採用するならば、
理論放電容量として知られている値よりも高い放電容量
を有するリチウム金属酸化物が得られるとの驚くべき知
見を得た。
的を達成すべく種々検討を重ねた結果、微量の第3金属
元素を含有するリチウム金属酸化物の製造において、従
来公知の方法とは異なる特殊な方法を採用するならば、
理論放電容量として知られている値よりも高い放電容量
を有するリチウム金属酸化物が得られるとの驚くべき知
見を得た。
【0008】本発明は、上記の知見に基づき完成された
ものであり、その要旨はLiMO2(MはLi以外の任
意の金属元素)で表され、金属元素Mの1モルに対して
0.0005〜0.1モルの第3金属元素を含有するα
−NaFeO2型結晶構造のリチウム金属酸化物から成
るリチウム二次電池正極材の製造方法であって、第3金
属元素を含有しない原料混合物からα−NaFeO2型
結晶構造を形成する第1段目加熱処理工程と、第3金属
元素を含有する原料混合物の第2段目加熱処理工程とを
含むことを特徴とするリチウム二次電池正極材の製造方
法に存する。
ものであり、その要旨はLiMO2(MはLi以外の任
意の金属元素)で表され、金属元素Mの1モルに対して
0.0005〜0.1モルの第3金属元素を含有するα
−NaFeO2型結晶構造のリチウム金属酸化物から成
るリチウム二次電池正極材の製造方法であって、第3金
属元素を含有しない原料混合物からα−NaFeO2型
結晶構造を形成する第1段目加熱処理工程と、第3金属
元素を含有する原料混合物の第2段目加熱処理工程とを
含むことを特徴とするリチウム二次電池正極材の製造方
法に存する。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係るリチウム二次電池正極材は、基本的には、
従来公知の正極材と同様に、LiMO2(MはLi以外
の任意の金属元素)で表され、金属元素Mの1モルに対
して0.0005〜0.1モルの第3金属元素を含有す
るα−NaFeO2型結晶構造のリチウム金属酸化物か
ら成る。
本発明に係るリチウム二次電池正極材は、基本的には、
従来公知の正極材と同様に、LiMO2(MはLi以外
の任意の金属元素)で表され、金属元素Mの1モルに対
して0.0005〜0.1モルの第3金属元素を含有す
るα−NaFeO2型結晶構造のリチウム金属酸化物か
ら成る。
【0010】従って、本発明において、金属元素Mとし
ては、従来公知の正極材用リチウム金属酸化物に使用さ
れている全ての任意の金属元素を使用することが出来
る。LiMO2の式によって示される代表的な金属元素
Mとしては、LiCoO2、LiNiO2、LiNi1-x
CoxO2、LiMnO2等が挙げられる。また、本発明
において、第3金属元素としては、従来公知の正極材用
リチウム金属酸化物に使用されている全ての第3金属元
素を使用することが出来る。
ては、従来公知の正極材用リチウム金属酸化物に使用さ
れている全ての任意の金属元素を使用することが出来
る。LiMO2の式によって示される代表的な金属元素
Mとしては、LiCoO2、LiNiO2、LiNi1-x
CoxO2、LiMnO2等が挙げられる。また、本発明
において、第3金属元素としては、従来公知の正極材用
リチウム金属酸化物に使用されている全ての第3金属元
素を使用することが出来る。
【0011】しかしながら、本発明においては、第3金
属元素としては、イオン半径がリチウムと同等以上の金
属元素が好適に使用される。斯かる金属元素は、アルカ
リ金属(Na、K、Rb、Cs等)、アルカリ土類金属
(Mg、Ca、Sr、Ba等)又は希土類元素(La、
Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、E
r、Tm、Yb等)から選択することが出来る。加え
て、リチウムより価数の高い金属元素が更に好ましい。
これらの理由はLiCoO2を例に挙げて説明すれば次
の通りである。
属元素としては、イオン半径がリチウムと同等以上の金
属元素が好適に使用される。斯かる金属元素は、アルカ
リ金属(Na、K、Rb、Cs等)、アルカリ土類金属
(Mg、Ca、Sr、Ba等)又は希土類元素(La、
Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、E
r、Tm、Yb等)から選択することが出来る。加え
て、リチウムより価数の高い金属元素が更に好ましい。
これらの理由はLiCoO2を例に挙げて説明すれば次
の通りである。
【0012】LiCoO2の理論容量、すなわち、Li
層中のLi+が全て抜け、そして、Li層の全サイトが
Li+で埋められる迄の充電・放電の電気容量は、28
0mAh/gと言われている。しかしながら、充電に従
って、LiCoO2からLi+が抜け各O層のO-2の電荷
の反発により層間距離が大きくなり、正極材の体積が膨
張する(原子配置模式図(A)参照)。そして、Li/
Co=0.5、すなわち、50%程度Li+が抜けたと
きに相変化(六方晶→単斜晶)を起こり、Li+の取出
抵抗が急激に増大して出力低下を来す。従って、従来の
理論において、実際に使用できるLiCoO2の理論容
量は、280mAh/gの50%、すなわち、前述の通
りの140mAh/gとされている。
層中のLi+が全て抜け、そして、Li層の全サイトが
Li+で埋められる迄の充電・放電の電気容量は、28
0mAh/gと言われている。しかしながら、充電に従
って、LiCoO2からLi+が抜け各O層のO-2の電荷
の反発により層間距離が大きくなり、正極材の体積が膨
張する(原子配置模式図(A)参照)。そして、Li/
Co=0.5、すなわち、50%程度Li+が抜けたと
きに相変化(六方晶→単斜晶)を起こり、Li+の取出
抵抗が急激に増大して出力低下を来す。従って、従来の
理論において、実際に使用できるLiCoO2の理論容
量は、280mAh/gの50%、すなわち、前述の通
りの140mAh/gとされている。
【0013】そこで、本発明においては、Li層中に確
実に第3金属元素(例えばK+)を挿入し、マトリック
ス骨格を維持する柱として機能させる(原子配置模式図
(B)参照)。すなわち、本発明においては、Li層中
に挿入された第3金属元素により、各O層の層間距離が
大きくなるのが防止され相変化が防止される。従って、
本発明においては、電子とリチウムイオンとを効率良く
可逆的に出し入れさせる観点から、イオン半径がリチウ
ムと同等以上の第3金属元素が好ましく、また、第3金
属元素自体の結合力を高める観点から、リチウムより価
数の高い第3金属元素が好ましい。
実に第3金属元素(例えばK+)を挿入し、マトリック
ス骨格を維持する柱として機能させる(原子配置模式図
(B)参照)。すなわち、本発明においては、Li層中
に挿入された第3金属元素により、各O層の層間距離が
大きくなるのが防止され相変化が防止される。従って、
本発明においては、電子とリチウムイオンとを効率良く
可逆的に出し入れさせる観点から、イオン半径がリチウ
ムと同等以上の第3金属元素が好ましく、また、第3金
属元素自体の結合力を高める観点から、リチウムより価
数の高い第3金属元素が好ましい。
【0014】
【表1】
【0015】本発明の製造方法は、基本的には、従来公
知の方法と同様にリチウム及びMの原料混合物の加熱処
理による酸化工程から成る。リチウム及びMの原料なら
びに前述の第3金属元素の原料としては、従来公知の方
法で使用されている各種の原料を制限なく使用すること
が出来る。何れにしても、加熱処理により容易に複合酸
化物に変換し得る原料が使用され、例えば、酸化物、炭
酸塩、水酸化物、硝酸塩などから適宜選択される。
知の方法と同様にリチウム及びMの原料混合物の加熱処
理による酸化工程から成る。リチウム及びMの原料なら
びに前述の第3金属元素の原料としては、従来公知の方
法で使用されている各種の原料を制限なく使用すること
が出来る。何れにしても、加熱処理により容易に複合酸
化物に変換し得る原料が使用され、例えば、酸化物、炭
酸塩、水酸化物、硝酸塩などから適宜選択される。
【0016】本発明において、上記の酸化工程は、第3
金属元素を含有しない原料混合物からα−NaFeO2
型結晶構造を形成する第1段目加熱処理工程と、第3金
属元素を含有する原料混合物の第2段目加熱処理工程と
から成り、ここに本発明の最大の特徴が存する。
金属元素を含有しない原料混合物からα−NaFeO2
型結晶構造を形成する第1段目加熱処理工程と、第3金
属元素を含有する原料混合物の第2段目加熱処理工程と
から成り、ここに本発明の最大の特徴が存する。
【0017】すなわち、微量の第3金属元素を含有する
リチウム金属酸化物から成るリチウム二次電池正極材の
従来の製造方法は、何れも、必要な原料混合物を調製
し、1段の加熱処理により、目的とするリチウム金属酸
化物を製造する方法である。ところが、斯かる方法で
は、後述の比較例によって明らかにされている通り、第
3金属元素による放電容量の改良効果は十分に発現され
ない。その理由は、α−NaFeO2型結晶構造の形成
前から第3金属元素が存在するため、Li層に第3金属
元素が選択的に挿入されないことによるものと推定され
る。
リチウム金属酸化物から成るリチウム二次電池正極材の
従来の製造方法は、何れも、必要な原料混合物を調製
し、1段の加熱処理により、目的とするリチウム金属酸
化物を製造する方法である。ところが、斯かる方法で
は、後述の比較例によって明らかにされている通り、第
3金属元素による放電容量の改良効果は十分に発現され
ない。その理由は、α−NaFeO2型結晶構造の形成
前から第3金属元素が存在するため、Li層に第3金属
元素が選択的に挿入されないことによるものと推定され
る。
【0018】そこで、本発明においては、先ず、第1段
目加熱処理により、第3金属元素を含有しない原料混合
物からα−NaFeO2型結晶構造を形成し、次いで、
第2段目加熱処理により、Li層に選択的に第3金属元
素を挿入された目的物を得る。その結果、本発明の製造
方法で得られるリチウム金属酸化物は、後述の実施例に
よって明らかにされている通り高い放電容量を示す。こ
れは、従来とは異なる相当量の第3金属元素がLi層に
挿入されていることに基づくものであり、本発明の製造
方法で得られるリチウム金属酸化物は、物理的に新規な
物質であると判断される。
目加熱処理により、第3金属元素を含有しない原料混合
物からα−NaFeO2型結晶構造を形成し、次いで、
第2段目加熱処理により、Li層に選択的に第3金属元
素を挿入された目的物を得る。その結果、本発明の製造
方法で得られるリチウム金属酸化物は、後述の実施例に
よって明らかにされている通り高い放電容量を示す。こ
れは、従来とは異なる相当量の第3金属元素がLi層に
挿入されていることに基づくものであり、本発明の製造
方法で得られるリチウム金属酸化物は、物理的に新規な
物質であると判断される。
【0019】第1段目加熱処理工程におけるLi原料/
M原料(金属元素基準のモル比)は、α−NaFeO2
型結晶構造のリチウム金属酸化物(LiMO2)が形成
される限り特に制限されないが、通常0.10〜0.9
5、好ましくは0.20〜0.80である。また、第1
段目加熱処理工程の温度は、上記の結晶構造を形成し得
る限り特に制限されないが、好ましくは400〜100
0℃、更に好ましくは600〜1000℃である。ま
た、加熱処理時間は、通常1〜10時間であり、処理温
度に応じて適宜選択することが出来る。
M原料(金属元素基準のモル比)は、α−NaFeO2
型結晶構造のリチウム金属酸化物(LiMO2)が形成
される限り特に制限されないが、通常0.10〜0.9
5、好ましくは0.20〜0.80である。また、第1
段目加熱処理工程の温度は、上記の結晶構造を形成し得
る限り特に制限されないが、好ましくは400〜100
0℃、更に好ましくは600〜1000℃である。ま
た、加熱処理時間は、通常1〜10時間であり、処理温
度に応じて適宜選択することが出来る。
【0020】第2段目加熱処理工程においては、目的の
リチウム金属酸化物(LiMO2)の形成に必要な残余
のLi原料および/またはM原料と第3金属元素の原料
とが配合される。(Li+第3金属元素)/M(金属元
素基準のモル比)は、通常0.80〜1.20、好まし
くは0.90〜1.10である。そして、第3金属元素
の割合は、目的のリチウム金属酸化物(LiMO2)に
おける割合として、金属元素Mの1モルに対して0.0
001〜0.1モルの範囲となる様に調整する必要があ
る。第3金属元素の割合が上記範囲より少ない場合は、
それによる放電容量の改良効果が不十分となり、上記範
囲より多い場合は、電子とリチウムイオンとを可逆的に
出し入れし得る能力が低下する。金属元素Mの1モルに
対する第3金属元素の割合は、好ましくは0.0005
〜0.05モルである。
リチウム金属酸化物(LiMO2)の形成に必要な残余
のLi原料および/またはM原料と第3金属元素の原料
とが配合される。(Li+第3金属元素)/M(金属元
素基準のモル比)は、通常0.80〜1.20、好まし
くは0.90〜1.10である。そして、第3金属元素
の割合は、目的のリチウム金属酸化物(LiMO2)に
おける割合として、金属元素Mの1モルに対して0.0
001〜0.1モルの範囲となる様に調整する必要があ
る。第3金属元素の割合が上記範囲より少ない場合は、
それによる放電容量の改良効果が不十分となり、上記範
囲より多い場合は、電子とリチウムイオンとを可逆的に
出し入れし得る能力が低下する。金属元素Mの1モルに
対する第3金属元素の割合は、好ましくは0.0005
〜0.05モルである。
【0021】上記の第2段目加熱処理工程の温度は、既
に形成されたα−NaFeO2型結晶構造のリチウム金
属酸化物(LiMO2)のLi層中に第3金属元素を拡
散させてL+の一部と置換させるために、第1段目加熱
処理温度より高い温度にすることが好ましい。そして、
第2段目加熱処理工程の温度は、第1段目加熱処理温度
より、通常10℃以上、好ましくは50℃以上高くされ
る。斯かる条件を満足する限り、第2段目加熱処理工程
の温度は、特に制限されないが、好ましくは700〜1
100℃、更に好ましくは800〜1000℃である。
に形成されたα−NaFeO2型結晶構造のリチウム金
属酸化物(LiMO2)のLi層中に第3金属元素を拡
散させてL+の一部と置換させるために、第1段目加熱
処理温度より高い温度にすることが好ましい。そして、
第2段目加熱処理工程の温度は、第1段目加熱処理温度
より、通常10℃以上、好ましくは50℃以上高くされ
る。斯かる条件を満足する限り、第2段目加熱処理工程
の温度は、特に制限されないが、好ましくは700〜1
100℃、更に好ましくは800〜1000℃である。
【0022】上記の各加熱処理工程は酸化条件下に行わ
れる。通常は空気中の加熱処理で十分である。加熱処理
時間は、通常1〜15時間、好ましくは3〜10時間で
ある。α−NaFeO2型結晶構造の形成や第3金属元
素のLi層中の挿入などは、X線回折などを利用して判
断することが出来る。
れる。通常は空気中の加熱処理で十分である。加熱処理
時間は、通常1〜15時間、好ましくは3〜10時間で
ある。α−NaFeO2型結晶構造の形成や第3金属元
素のLi層中の挿入などは、X線回折などを利用して判
断することが出来る。
【0023】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実
施例に限定されるものではない。
するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実
施例に限定されるものではない。
【0024】実施例1 先ず、炭酸リチウム(Li2CO3)0.450モルと四
三酸化コバルト(Co3O4)0.500モルとの粉末混
合物(Li/Co:0.60モル比)をルツボに入れ空
気中で900℃5時間加熱処理した。そして、上記の加
熱処理物を乳鉢で解砕し、炭酸リチウム(Li2CO3)
粉末0.330モルと硝酸カリウム(KNO3)粉末
0.015モルを添加して混合した(Li/Co:0.
44モル比、K/Co:0.01モル比)。次いで、上
記の混合物を篩分処理し、500メッシュアンダーの混
合物をルツボに入れ空気中で950℃5時間加熱処理し
た。その後、乳鉢で解砕し、平均粒径10μm以下のK
含有コバルト酸リチウム(LiCoO2)を得た。
三酸化コバルト(Co3O4)0.500モルとの粉末混
合物(Li/Co:0.60モル比)をルツボに入れ空
気中で900℃5時間加熱処理した。そして、上記の加
熱処理物を乳鉢で解砕し、炭酸リチウム(Li2CO3)
粉末0.330モルと硝酸カリウム(KNO3)粉末
0.015モルを添加して混合した(Li/Co:0.
44モル比、K/Co:0.01モル比)。次いで、上
記の混合物を篩分処理し、500メッシュアンダーの混
合物をルツボに入れ空気中で950℃5時間加熱処理し
た。その後、乳鉢で解砕し、平均粒径10μm以下のK
含有コバルト酸リチウム(LiCoO2)を得た。
【0025】次いで、上記のコバルト酸リチウム83重
量部に、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PV
DF)7重量部、導電材としてアセチレンブラック10
重量部、溶剤としてn−メチルピロリドン130重量部
を添加して乳鉢にて混練し、リチウムイオン電池用正極
塗料を調製した。そして、アルミ箔に正極塗料を塗布し
て乾燥し、所定の大きさにポンチで打ち抜き、正極を得
た。
量部に、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PV
DF)7重量部、導電材としてアセチレンブラック10
重量部、溶剤としてn−メチルピロリドン130重量部
を添加して乳鉢にて混練し、リチウムイオン電池用正極
塗料を調製した。そして、アルミ箔に正極塗料を塗布し
て乾燥し、所定の大きさにポンチで打ち抜き、正極を得
た。
【0026】次いで、上記の正極と、ポンチで所定大き
さに打ち抜いたリチウム箔の負極と、所定形状に切り抜
いた多孔質ポリエチレンのセパレーターと、エチレンカ
ーボネートを主成分とする非水性電解液とを使用し、ボ
タン電池を組み立て、正極材の充放電容量を測定した。
この測定は、充放電電圧の上限4.2v、下限3.5
v、定電流値0.25Cの条件下で定電流・充放電方式
で行った。そして、2サイクル目以降の放電容量を測定
した。その結果、160mAh/gの値が得られた。
さに打ち抜いたリチウム箔の負極と、所定形状に切り抜
いた多孔質ポリエチレンのセパレーターと、エチレンカ
ーボネートを主成分とする非水性電解液とを使用し、ボ
タン電池を組み立て、正極材の充放電容量を測定した。
この測定は、充放電電圧の上限4.2v、下限3.5
v、定電流値0.25Cの条件下で定電流・充放電方式
で行った。そして、2サイクル目以降の放電容量を測定
した。その結果、160mAh/gの値が得られた。
【0027】実施例2 実施例1において、硝酸カリウム(KNO3)粉末の代
りに硝酸マグネシウム(MgNO3・6H2O)粉末を使
用した以外は、実施例1と同様に、Mg含有コバルト酸
リチウム(LiCoO2:Mg/Co=0.005モル
比)を製造し、ボタン電池を組み立て、正極材の充放電
容量を測定した。2サイクル目以降の放電容量は、16
3mAh/gであった。
りに硝酸マグネシウム(MgNO3・6H2O)粉末を使
用した以外は、実施例1と同様に、Mg含有コバルト酸
リチウム(LiCoO2:Mg/Co=0.005モル
比)を製造し、ボタン電池を組み立て、正極材の充放電
容量を測定した。2サイクル目以降の放電容量は、16
3mAh/gであった。
【0028】比較例1 先ず、四三酸化コバルト(Co3O4)0.500モルと
炭酸リチウム(Li2CO3)0.788モルとの粉末混
合物(Li/Co:1.05モル比)を乳鉢で良く混合
し、篩分処理し、500メッシュアンダーの混合物をル
ツボに入れ、空気中で900℃5時間加熱処理した。そ
して、上記の加熱処理物を乳鉢で解砕し、ルツボに入
れ、空気中で950℃5時間加熱処理した。その後、乳
鉢で解砕し、第3金属成分が実質的に含まれていない平
均粒径10μm以下のコバルト酸リチウム(LiCoO
2)を得た。次いで、このコバルト酸リチウムを使用
し、実施例1と同様にボタン電池を組み立て、正極材の
充放電容量を測定した。2サイクル目以降の放電容量
は、132mAh/gであった。
炭酸リチウム(Li2CO3)0.788モルとの粉末混
合物(Li/Co:1.05モル比)を乳鉢で良く混合
し、篩分処理し、500メッシュアンダーの混合物をル
ツボに入れ、空気中で900℃5時間加熱処理した。そ
して、上記の加熱処理物を乳鉢で解砕し、ルツボに入
れ、空気中で950℃5時間加熱処理した。その後、乳
鉢で解砕し、第3金属成分が実質的に含まれていない平
均粒径10μm以下のコバルト酸リチウム(LiCoO
2)を得た。次いで、このコバルト酸リチウムを使用
し、実施例1と同様にボタン電池を組み立て、正極材の
充放電容量を測定した。2サイクル目以降の放電容量
は、132mAh/gであった。
【0029】比較例2 先ず、炭酸リチウム(Li2CO3)0.780モルと四
三酸化コバルト(Co3O4)0.500モルと硝酸カリ
ウム(KNO3)0.015モルの粉末混合物(Li/
Co:1.04モル比、K/Co:0.01モル比)を
乳鉢で良く混合し、篩分処理し、500メッシュアンダ
ーの混合物をルツボに入れ、空気中で900℃5時間加
熱処理した。そして、上記の加熱処理物を乳鉢で解砕
し、ルツボに入れ、空気中で950℃5時間加熱処理し
た。その後、乳鉢で解砕し、平均粒径10μm以下のK
含有コバルト酸リチウム(LiCoO2)を得た。次い
で、このコバルト酸リチウムを使用し、実施例1と同様
にボタン電池を組み立て、正極材の充放電容量を測定し
た。2サイクル目以降の放電容量は、132mAh/g
であった。
三酸化コバルト(Co3O4)0.500モルと硝酸カリ
ウム(KNO3)0.015モルの粉末混合物(Li/
Co:1.04モル比、K/Co:0.01モル比)を
乳鉢で良く混合し、篩分処理し、500メッシュアンダ
ーの混合物をルツボに入れ、空気中で900℃5時間加
熱処理した。そして、上記の加熱処理物を乳鉢で解砕
し、ルツボに入れ、空気中で950℃5時間加熱処理し
た。その後、乳鉢で解砕し、平均粒径10μm以下のK
含有コバルト酸リチウム(LiCoO2)を得た。次い
で、このコバルト酸リチウムを使用し、実施例1と同様
にボタン電池を組み立て、正極材の充放電容量を測定し
た。2サイクル目以降の放電容量は、132mAh/g
であった。
【0030】
【発明の効果】以上説明した本発明によれば、理論放電
容量として知られている値よりも高い放電容量を有する
リチウム二次電池正極材の製造方法が提供され、本発明
は、リチウム二次電池の分野に寄与するところが大であ
る。
容量として知られている値よりも高い放電容量を有する
リチウム二次電池正極材の製造方法が提供され、本発明
は、リチウム二次電池の分野に寄与するところが大であ
る。
Claims (5)
- 【請求項1】 LiMO2(MはLi以外の任意の金属
元素)で表され、金属元素Mの1モルに対して0.00
05〜0.1モルの第3金属元素を含有するα−NaF
eO2型結晶構造のリチウム金属酸化物から成るリチウ
ム二次電池正極材の製造方法であって、第3金属元素を
含有しない原料混合物からα−NaFeO2型結晶構造
を形成する第1段目加熱処理工程と、第3金属元素を含
有する原料混合物の第2段目加熱処理工程とを含むこと
を特徴とするリチウム二次電池正極材の製造方法。 - 【請求項2】 第3金属元素がリチウムと同等以上のイ
オン半径を有する金属元素である請求項1に記載の製造
方法。 - 【請求項3】 第1段目加熱処理工程におけるLi原料
/M原料(金属元素基準のモル比)が0.1〜0.9で
あり、第2段目加熱処理工程における(Li+第3金属
元素)/M(金属元素基準のモル比)が0.8〜1.2
である請求項1又は2に記載の製造方法。 - 【請求項4】 金属元素Mの1モルに対する第3金属元
素の割合が0.001〜0.05モルである請求項1〜
3の何れかに記載の製造方法。 - 【請求項5】 第1段目加熱処理工程の温度が400〜
1000℃であり、第2段目加熱処理工程が700〜1
200℃である請求項1〜4の何れかに記載の製造方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10176595A JPH11354121A (ja) | 1998-06-09 | 1998-06-09 | リチウム二次電池正極材の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10176595A JPH11354121A (ja) | 1998-06-09 | 1998-06-09 | リチウム二次電池正極材の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11354121A true JPH11354121A (ja) | 1999-12-24 |
Family
ID=16016324
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10176595A Withdrawn JPH11354121A (ja) | 1998-06-09 | 1998-06-09 | リチウム二次電池正極材の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11354121A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014026959A (ja) * | 2012-06-20 | 2014-02-06 | Gs Yuasa Corp | リチウム二次電池用正極活物質、その正極活物質の前駆体、リチウム二次電池用電極、リチウム二次電池 |
JP2020167014A (ja) * | 2019-03-29 | 2020-10-08 | 新日本電工株式会社 | リチウムイオン二次電池正極材料、リチウムイオン二次電池正極材料添加剤、リチウムイオン二次電池及びリチウムイオン二次電池正極材料の製造方法 |
-
1998
- 1998-06-09 JP JP10176595A patent/JPH11354121A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014026959A (ja) * | 2012-06-20 | 2014-02-06 | Gs Yuasa Corp | リチウム二次電池用正極活物質、その正極活物質の前駆体、リチウム二次電池用電極、リチウム二次電池 |
JP2020167014A (ja) * | 2019-03-29 | 2020-10-08 | 新日本電工株式会社 | リチウムイオン二次電池正極材料、リチウムイオン二次電池正極材料添加剤、リチウムイオン二次電池及びリチウムイオン二次電池正極材料の製造方法 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20050906 |