JP7256851B2 - キット及び半導体チップの製造方法 - Google Patents

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本発明は、キット及び半導体チップの製造方法に関する。更に詳述すると、本発明は、半導体チップに硬化樹脂膜を形成するための硬化性樹脂フィルムを含むキット、及び当該キットを利用した半導体チップの製造方法に関する。
近年、いわゆるフェースダウン方式と呼ばれる実装法を用いた半導体装置の製造が行われている。フェースダウン方式においては、回路面にバンプを備える半導体チップと、当該半導体チップ搭載用の基板とを、当該半導体チップの回路面と当該基板とが対向するように積層することによって、当該半導体チップを当該基板上に搭載する。
なお、当該半導体チップは、通常、回路面にバンプを備える半導体ウエハを個片化して得られる。
バンプを備える半導体ウエハには、バンプと半導体ウエハとの接合部分(以下、「バンプネック」ともいう)を保護する目的で、保護膜が設けられることがある。
例えば、特許文献1及び特許文献2では、支持基材と、粘着剤層と、熱硬化性樹脂層とがこの順で積層された積層体を、熱硬化性樹脂層を貼り合わせ面にして、バンプを備える半導体ウエハのバンプ形成面に押圧して貼付した後、当該熱硬化性樹脂層を加熱して硬化させることで保護膜を形成している。
特開2015-092594号公報 特開2012-169484号公報
近年、電子機器などのIC組込み製品の小型化及び薄型化が進むにつれ、半導体チップの薄型化もさらに要求されつつある。しかしながら、半導体チップが薄くなると、半導体チップの強度が低下してしまう。そのため、例えば、半導体チップを搬送したり、半導体チップをパッケージ化する後工程を実施したりする際に、半導体チップが破損しやすくなるという問題がある。
そこで、半導体ウエハのバンプ形成面に保護膜を形成し、バンプネックを保護するとともに、半導体チップの強度の向上を図ることが考えられる。しかし、半導体ウエハのバンプ形成面に保護膜を形成するだけでは、半導体チップの強度の向上は不十分である。また、当該保護膜は、膜剥がれを起こすことがある。
そこで、本発明者らは、バンプネックを保護する目的で設けられる保護膜を、半導体チップのバンプ形成面だけでなく側面、さらにはパンプ形成面とは反対側の面(裏面)にも設け、半導体チップ全面を保護膜で覆うことによって、半導体チップの強度を向上させることができると共に、保護膜の剥がれを抑制することができ、極めて合理的な構成を構築できることを着想した。
本発明は、かかる着想に基づいてなされたものであって、半導体チップの強度を向上させることができると共に、保護膜の剥がれを抑制することができる硬化性樹脂フィルムを含むキット、及び当該キットを利用した半導体チップの製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、上記課題を解決し得る発明の構成を見出した。
すなわち、本発明は、下記[1]~[13]に関する。
[1] バンプを備えるバンプ形成面を有する半導体チップの前記バンプ形成面及び側面の双方に保護膜としての第一硬化樹脂膜(r1)を形成するための第一硬化性樹脂フィルム(x1)と、前記半導体チップの前記バンプ形成面とは反対側の面に保護膜としての第二硬化樹脂膜(r2)を形成するための第二硬化性樹脂フィルム(x2)と、を含み、
前記第一硬化性樹脂フィルム(x1)の層(X1)が、第一支持シート(Y1)に積層された第一複合シート(α1)として含まれる、キット。
[2] 前記第一硬化性樹脂フィルム(x1)が、下記要件(I)を満たす、上記[1]に記載のキット。
<要件(I)>
温度90℃、周波数1Hzの条件で、直径25mm、厚さ1mmの前記樹脂フィルムの試験片にひずみを発生させて、前記試験片の貯蔵弾性率を測定し、前記試験片のひずみが1%のときの、前記試験片の貯蔵弾性率をGc1とし、前記試験片のひずみが300%のときの、前記試験片の貯蔵弾性率をGc300としたとき、下記式(i)により算出されるX値が、19以上10,000未満である。
X=Gc1/Gc300・・・・(i
[3] 前記第二硬化性樹脂フィルム(x2)の層(X2)が、第二支持シート(Y2)に積層された第二複合シート(α2)として含まれる、上記[1]又は[2]に記載のキット。
] 上記[1]~[]のいずれかに記載のキットの使用方法であって、
前記キットの第一複合シート(α1)の第一硬化性樹脂フィルム(x1)を、バンプを備えるバンプ形成面を有する半導体チップの前記バンプ形成面および側面の双方に保護膜としての第一硬化樹脂膜(r1)を形成するために使用し、かつ
前記キットの第二硬化性樹脂フィルム(x2)を、前記半導体チップの前記バンプ形成面とは反対側の面に保護膜としての第二硬化樹脂膜(r2)を形成するために使用する、使用方法。
] 上記[1]~[]のいずれかに記載のキットを使用する半導体チップの製造方法であって、
下記工程(S)及び下記工程(T)を含む、製造方法。
・工程(S):前記キットの第一複合シート(α1)の第一硬化性樹脂フィルム(x1)を用いて、バンプを備えるバンプ形成面を有する半導体チップの前記バンプ形成面および側面の双方に保護膜としての第一硬化樹脂膜(r1)を形成する工程
・工程(T):前記キットの第二硬化性樹脂フィルム(x2)を用いて、前記半導体チップの前記バンプ形成面とは反対側の面に保護膜としての第二硬化樹脂膜(r2)を形成する工程
] 上記[]に記載の半導体チップの製造方法であって、
前記工程(S)は、下記工程(S1)~(S4)をこの順で含み、
・工程(S1):バンプを備えるバンプ形成面を有する半導体ウエハの前記バンプ形成面に、分割予定ラインとしての溝部が裏面に到達することなく形成されている半導体チップ作製用ウエハを準備する工程
・工程(S2):前記半導体チップ作製用ウエハの前記バンプ形成面に、前記キットの前記第一複合シート(α1)を、前記第一硬化性樹脂(x1)の層(X1)貼付面として押圧して貼付し、前記半導体チップ作製用ウエハの前記バンプ形成面を前記第一硬化性樹脂(x1)で被覆すると共に、前記半導体チップ作製用ウエハに形成されている前記溝部に前記第一硬化性樹脂(x1)を埋め込む工程
・工程(S3):前記第一硬化性樹脂(x1)を硬化させて、第一硬化樹脂膜(r1)付き半導体チップ作製用ウエハを得る工程
・工程(S4):前記第一硬化樹脂膜(r1)付き半導体チップ作製用ウエハを前記分割予定ラインに沿って個片化する工程
さらに、前記工程(S)は、前記工程(S2)の後で且つ前記工程(S3)の前、前記工程(S3)の後で且つ前記工程(S4)の前、又は前記工程(S4)において、下記工程(S-BG)を含む、半導体チップの製造方法。
・工程(S-BG):前記半導体チップ作製用ウエハの前記裏面を研削する工
[7] 前記工程(S-BG)を、前記工程(S2)の後で且つ前記工程(S3)の前に含み、
前記工程(S-BG)は、前記第一複合シート(α1)を貼付した状態で前記半導体チップ作製用ウエハの前記裏面を研削した後に、前記第一複合シート(α1)から前記第一支持シート(Y1)を剥離することにより実施され、
前記工程(S4)は、前記第一硬化樹脂膜(r1)付き半導体チップ作製用ウエハの前記第一硬化樹脂膜(r1)のうち前記溝部に形成されている部分を、前記分割予定ラインに沿って切断することにより実施される、上記[]に記載の半導体チップの製造方法。
] 前記工程(S-BG)を、前記工程(S3)の後で且つ前記工程(S4)の前に含み、
前記工程(S3)を、前記第一複合シート(α1)から前記第一支持シート(Y1)を剥離することなく実施し、
前記工程(S-BG)は、前記第一複合シート(α1)を貼付した状態で前記半導体チップ作製用ウエハの前記裏面を研削した後に、前記第一複合シート(α1)から前記第一支持シート(Y1)を剥離することにより実施され、
前記工程(S4)は、前記第一硬化樹脂膜(r1)付き半導体チップ作製用ウエハの前記第一硬化樹脂膜(r1)のうち前記溝部に形成されている部分を、前記分割予定ラインに沿って切断することにより実施される、上記[]に記載の半導体チップの製造方法。
] 前記工程(S-BG)を、前記工程(S3)の後で且つ前記工程(S4)の前に含み、
前記工程(S2)の後で且つ前記工程(S3)の前に、前記第一複合シート(α1)から前記第一支持シート(Y1)を剥離し、
前記工程(S-BG)は、前記第一硬化樹脂膜(r1)付き半導体チップ作製用ウエハの前記第一硬化樹脂膜(r1)の表面にバックグラインドシート(b-BG)を貼付し、前記バックグラインドシート(b-BG)を貼付した状態で前記半導体チップ作製用ウエハの前記裏面を研削した後、前記第一硬化樹脂膜(r1)付き半導体チップ作製用ウエハから前記バックグラインドシート(b-BG)を剥離することにより実施され、
前記工程(S4)は、前記第一硬化樹脂膜(r1)付き半導体チップ作製用ウエハの前記第一硬化樹脂膜(r1)のうち前記溝部に形成されている部分を、前記分割予定ラインに沿って切断することにより実施される、上記[]に記載の半導体チップの製造方法。
10] 前記工程(S-BG)を、前記工程(S4)において含み、
前記工程(S2)の後で且つ前記工程(S3)の前に、前記第一複合シート(α1)から前記第一支持シート(Y1)を剥離し、
前記工程(S4)は、前記第一硬化樹脂膜(r1)付き半導体チップ作製用ウエハの前記第一硬化樹脂膜(r1)のうち前記溝部に形成されている部分に、前記分割予定ラインに沿って切り込みを入れるか、又は前記分割予定ラインに沿って改質領域を形成した後、前記工程(S-BG)として、前記第一硬化樹脂膜(r1)付き半導体チップ作製用ウエハの前記第一硬化樹脂膜(r1)の表面にバックグラインドシート(b-BG)を貼付して、前記バックグラインドシート(b-BG)を貼付した状態で前記半導体チップ作製用ウエハの前記裏面を研削することにより実施される、上記[]に記載の半導体チップの製造方法。
11] 上記[]~[]のいずれかに記載の半導体チップの製造方法において、
前記工程(T)は、下記工程(T1-1)及び下記工程(T1-2)をこの順で含み、
・工程(T1-1):前記工程(S-BG)の後で且つ前記工程(S4)の前において、前記半導体チップ作製用ウエハの前記裏面に、前記キットの前記第二硬化性樹脂(x2)を貼付する工程
・工程(T1-2):前記工程(S4)の前または後において、前記第二硬化性樹脂(x2)を硬化させて、前記第二硬化樹脂膜(r2)を形成する工程
前記工程(S4)において、前記第一硬化樹脂膜(r1)付き半導体チップ作製用ウエハの前記第一硬化樹脂膜(r1)のうち前記溝部に形成されている部分を、前記分割予定ラインに沿って切断する際、前記第二硬化性樹脂(x2)又は前記第二硬化樹脂膜(r2)も一括して切断する、半導体チップの製造方法。
12] 上記[10]に記載の半導体チップの製造方法において、
前記工程(T)は、下記工程(T2-1)及び下記工程(T2-2)をこの順で含み、
・工程(T2-1):前記工程(S-BG)の後で且つ前記工程(S4)の後において、前記バックグラインドシート(b-BG)を貼付した状態のまま、前記半導体チップ作製用ウエハの前記裏面に、前記キットの前記第二硬化性樹脂(x2)を貼付する工程
・工程(T2-2):前記第二硬化性樹脂(x2)を硬化して、前記第二硬化樹脂膜(r2)を形成する工程
さらに、前記工程(T)は、前記工程(T2-2)の前又は後において、下記工程(T2-3)を含む、製造方法。
・工程(T2-3):カーフに沿って前記第二硬化性樹脂層(x2)又は前記第二硬化樹脂膜(r2)を分割する工程
13] 前記工程(T)は、前記半導体チップ作製用ウエハの前記裏面に、第二支持シート(Y2)と前記第二硬化性樹脂(x2)の層(X2)とが積層された積層構造を有する第二複合シート(α2)を、前記層(X2)を貼付面として押圧して貼付することで実施される、上記[]~[12]のいずれかに記載の半導体チップの製造方法。
本発明によれば、半導体チップの強度を向上させることができると共に、保護膜の剥がれを抑制することができる硬化性樹脂フィルムを含むキット、及び当該キットを利用した半導体チップの製造方法を提供することが可能となる。
本発明のキットの一態様を示す断面模式図である。 樹脂フィルムの平面形状が円形である場合の、樹脂フィルムのはみ出し量を模式的に説明するための平面図である。 本発明の製造方法に用いる第一複合シート(α1)の構成を示す概略断面図である。 第一複合シート(α1)の具体的構成の一例を示す概略断面図である。 第一複合シート(α1)の具体的構成の他の例を示す概略断面図である。 第一複合シート(α1)の具体的構成のさらに他の例を示す概略断面図である。 本発明の一態様の半導体チップの製造方法の工程概略図である。 工程(S1)にて準備する半導体チップ作製用ウエハの一例を示す上面図である。 工程(S1)にて準備する半導体チップ作製用ウエハの一例を示す概略断面図である。 工程(S2)の概略を示す図である。 第一実施形態に係る製造方法の概略を示す図である。 第二実施形態に係る製造方法の概略を示す図である。 第三実施形態に係る製造方法の概略を示す図である。 第四実施形態に係る製造方法の概略を示す図である。 第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)のはみ出し量の測定時に作製した、第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)を含む積層物を、模式的に示す平面図である。 第一硬化性樹脂フィルム(x1-1a)及び第二硬化性樹脂フィルム(x1-1b)の溝部の埋め込み性を示す断面観察結果を示す図面代用写真である。
本明細書において、「有効成分」とは、対象となる組成物に含まれる成分のうち、水や有機溶媒等の希釈溶媒を除いた成分を指す。
また、本明細書において、重量平均分子量及び数平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により測定されるポリスチレン換算値である。
また、本明細書において、好ましい数値範囲(例えば、含有量等の範囲)について、段階的に記載された下限値及び上限値は、それぞれ独立して組み合わせることができる。例えば、「好ましくは10~90、より好ましくは30~60」という記載から、「好ましい下限値(10)」と「より好ましい上限値(60)」とを組み合わせて、「10~60」とすることもできる。
[キット]
本発明のキットは、バンプを備えるバンプ形成面を有する半導体チップの前記バンプ形成面及び側面の双方に保護膜としての第一硬化樹脂膜(r1)を形成するための第一硬化性樹脂フィルム(x1)と、前記半導体チップの前記バンプ形成面とは反対側の面に保護膜としての第二硬化樹脂膜(r2)を形成するための第二硬化性樹脂フィルム(x2)と、を含むキットである。
図1に、本発明の一態様のキットの断面模式図を示す。
本発明のキット1は、第一硬化性樹脂フィルム(x1)と、第二硬化性樹脂フィルム(x2)と、を含む。
なお、以下の説明で用いる図は、本発明の特徴を分かり易くするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。
図1に示す第一硬化性樹脂フィルム(x1)は、その一方の面x1a(本明細書においては、「第1面x1a」と称することがある)上に第1剥離フィルム151を備え、前記第1面x1aとは反対側の他方の面x1b(本明細書においては、「第2面x1a」と称することがある)上に第2剥離フィルム152を備えている。
かかる構成を備える第一硬化性樹脂フィルム(x1)は、例えば、ロール状として保存するのに好適である。
また、図1に示す第二硬化性樹脂フィルム(x2)は、その一方の面x2a(本明細書においては、「第1面x2a」と称することがある)上に第1剥離フィルム251を備え、前記第1面x2aとは反対側の他方の面x2b(本明細書においては、「第2面x2b」と称することがある)上に第2剥離フィルム252を備えている。
かかる構成を備える第二硬化性樹脂フィルム(x2)もまた、例えば、ロール状として保存するのに好適である。
第1剥離フィルム151、251及び第2剥離フィルム152、252は、いずれも公知のものでよい。
第1剥離フィルム151及び第2剥離フィルム152は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。第1剥離フィルム151及び第2剥離フィルム152が異なる場合の例としては、第一硬化性樹脂フィルム(x1)から剥離させるときに必要な剥離力が異なること等が挙げられる。
第1剥離フィルム251及び第2剥離フィルム252についても、同様に、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
図1に示す第一硬化性樹脂フィルム(x1)は、第1剥離フィルム151及び第2剥離フィルム152のいずれか一方が取り除かれ、生じた露出面が、貼付対象物への貼付面となる。そして、第1剥離フィルム151及び第2剥離フィルム152の残りの他方が取り除かれ、生じた露出面が、後述する第一複合シート(α1)を構成するための第一支持シート(Y1)の貼付面となる。
なお、図1おいては、剥離フィルムが第一硬化性樹脂フィルム(x1)の両面(第1面x1a、第2面x1b)に設けられている例を示しているが、剥離フィルムは、第一硬化性樹脂フィルム(x1)のいずれか一方の面のみ、すなわち、第1面x1aのみ、又は第2面x1bのみに、設けられていてもよい。
図1に示す第二硬化性樹脂フィルム(x2)ついても、同様に、第1剥離フィルム251及び第2剥離フィルム252のいずれか一方が取り除かれ、生じた露出面が、貼付対象物への貼付面となる。そして、第1剥離フィルム251及び第2剥離フィルム252の残りの他方が取り除かれ、生じた露出面が、後述する第二複合シート(α2)を構成するための第二支持シート(Y2)の貼付面となる。
なお、図1おいては、剥離フィルムが第二硬化性樹脂フィルム(x2)の両面(第1面x2a、第2面x2b)に設けられている例を示しているが、剥離フィルムは、第二硬化性樹脂フィルム(x2)のいずれか一方の面のみ、すなわち、第1面x2aのみ、又は第2面x2bのみに、設けられていてもよい。
以下、本発明のキットを構成する、第一硬化性樹脂フィルム(x1)及び第二硬化性樹脂フィルム(x2)について、詳細に説明する。
<第一硬化性樹脂フィルム(x1)>
本発明のキットは、第一硬化性樹脂フィルム(x1)を含む。
第一硬化性樹脂フィルム(x1)は、バンプを備えるバンプ形成面を有する半導体チップの前記バンプ形成面及び側面の双方に保護膜としての第一硬化樹脂膜(r1)を形成するために用いられる。
ここで、本発明の一態様のキットにおいて、第一硬化性樹脂フィルム(x1)は、下記要件(I)を満たすことが好ましい。
<要件(I)>
温度90℃、周波数1Hzの条件で、直径25mm、厚さ1mmの前記硬化性樹脂フィルムの試験片にひずみを発生させて、前記試験片の貯蔵弾性率を測定し、前記試験片のひずみが1%のときの前記試験片の貯蔵弾性率をGc1とし、前記試験片のひずみが300%のときの前記試験片の貯蔵弾性率をGc300としたときに、下記式(i)により算出されるX値が、19以上10,000未満である。
X=Gc1/Gc300・・・・(i)
貯蔵弾性率の測定を行う前記試験片は、フィルム状であり、その平面形状は円形である。
前記試験片は、厚さ1mmの単層の第一硬化性樹脂フィルム(x1)であってもよいが、作製が容易である点では、厚さ1mm未満の単層の第一硬化性樹脂フィルム(x1)が複数枚積層されて構成された積層フィルムであることが好ましい。
前記積層フィルムを構成する複数枚の単層の第一硬化性樹脂フィルム(x1)の厚さは、すべて同じであってもよいし、すべて異なっていてもよいし、一部のみ同じであってもよいが、作製が容易である点では、すべて同じであることが好ましい。
なお、本明細書においては、前記Gc1及びGc300に限らず、「試験片の貯蔵弾性率」とは、「温度90℃、周波数1Hzの条件で、直径25mm、厚さ1mmの樹脂フィルムの試験片にひずみを発生させたときの、このひずみに対応した試験片の貯蔵弾性率」を意味する。
第一硬化性樹脂フィルム(x1)は、例えば、第一支持シート(Y1)と第一硬化性樹脂フィルム(x1)とが積層された積層構造を有する複合シート(第一複合シート(α1))を構成することができる。
第一硬化性樹脂フィルム(x1)は、熱硬化性及びエネルギー線硬化性のいずれであってもよく、熱硬化性及びエネルギー線硬化性の両方の特性を有していてもよい。
本明細書において、「エネルギー線」とは、電磁波又は荷電粒子線の中でエネルギー量子を有するものを意味する。エネルギー線の例としては、紫外線、放射線、電子線等が挙げられる。紫外線は、例えば、紫外線源として高圧水銀ランプ、ヒュージョンランプ、キセノンランプ、ブラックライト又はLEDランプ等を用いることで照射できる。電子線は、電子線加速器等によって発生させたものを照射できる。
また、本明細書において、「エネルギー線硬化性」とは、エネルギー線を照射することにより硬化する性質を意味し、「非エネルギー線硬化性」とは、エネルギー線を照射しても硬化しない性質を意味する。
第一硬化性樹脂フィルム(x1)は、樹脂成分を含有する。
また、第一硬化性樹脂フィルム(x1)は、樹脂成分と共に、樹脂成分以外の成分を含有していてもよいし、含有していなくてもよい。
第一硬化性樹脂フィルム(x1)の好ましい態様として上述したように、第一硬化性樹脂フィルム(x1)が要件(I)を満たしやすくする観点からは、第一硬化性樹脂フィルム(x1)は、例えば、樹脂成分と、充填材と、これら(樹脂成分と充填材)のいずれにも該当せず、かつ第一硬化性樹脂フィルム(x1)の貯蔵弾性率の調節効果を有する各種添加剤と、を含有することが好ましい。
第一硬化性樹脂フィルム(x1)の貯蔵弾性率の調節効果を有する前記添加剤としては、例えば、レオロジーコントロール剤(チキソトロピック剤)、界面活性剤、シリコーンオイル等が挙げられる。
第一硬化性樹脂フィルム(x1)は、軟質であり、バンプを備えるバンプ形成面及び分割予定ラインとしての溝部を有する半導体チップ作製用ウエハのように、凹凸面を有する貼付対象物への貼付用として好適である。
なお、以降の説明では、バンプを備えるバンプ形成面及び分割予定ラインとしての溝部を有する半導体チップ作製用ウエハのことを、単に「半導体チップ作製用ウエハ」ともいう。
ここで、上記要件(I)において規定されるX値が、19以上10,000未満である第一硬化性樹脂フィルム(x1)を用いると、以下の効果がより奏されやすくなる。
すなわち、第一硬化性樹脂フィルム(x1)は、半導体チップ作製用ウエハのバンプ形成面に対して押圧して貼付することで、第一硬化性樹脂フィルム(x1)が良好な埋め込み性をもって溝部に充填されやすくなる。
また、第一硬化性樹脂フィルム(x1)は、半導体チップ作製用ウエハのバンプ形成面に対して押圧して貼付することで、バンプが第一硬化性樹脂フィルム(x1)を貫通し、バンプの頭頂部が第一硬化性樹脂フィルム(x1)から突出する。そして、軟化した第一硬化性樹脂フィルム(x1)は、バンプを覆うようにしてバンプ間に広がり、バンプ形成面と密着するとともに、バンプの表面、特にバンプ形成面の近傍部位の表面を覆って、バンプの基部を埋め込む。この状態で、バンプの頭頂部をはじめとする上部においては、第一硬化性樹脂フィルム(x1)の残存が抑制されやすくなる。したがって、第一硬化性樹脂フィルム(x1)の硬化物である第一硬化樹脂膜(r1)も、バンプの上部においては、その付着が当然に抑制されやすくなる。さらに、第一硬化性樹脂フィルム(x1)は、貼付対象物に貼付した後においても、当初(貼付前)の第一硬化性樹脂フィルム(x1)の面積が維持されやすく、当初(貼付前)の第一硬化性樹脂フィルム(x1)の面積よりも貼付後の面積が拡がる現象(以下、「はみ出し」ともいう)が抑制されやすくなる。したがって、半導体チップ作製用ウエハのバンプ形成面に対して第一硬化性樹脂フィルム(x1)を貼付する際、溝部やパンプの基部への埋め込み不良等も抑制されやすくなる。
さらに、第一硬化性樹脂フィルム(x1)を用いた場合には、第一硬化性樹脂フィルム(x1)及びその硬化物である第一硬化樹脂膜(r1)がバンプ形成面に設けられた状態で、バンプの上部以外の領域、又は、バンプ形成面のバンプ近傍の領域が、意図せずに露出してしまうこと(以下、「ハジキ」ともいう)が抑制されやすくなる。
なお、バンプの上部における、第一硬化性樹脂フィルム(x1)又は第一硬化樹脂膜(r1)の残存の有無は、例えば、バンプの上部について、光学顕微鏡又はSEM(走査型電子顕微鏡)による観察や撮像データの取得を行うことにより、確認できる。
また、第一硬化性樹脂フィルム(x1)のはみ出しの有無と、第一硬化性樹脂フィルム(x1)又は第一硬化樹脂膜(r1)のハジキの有無は、例えば、バンプ形成面について、光学顕微鏡又はSEM(走査型電子顕微鏡)による観察や撮像データの取得を行うことにより、確認できる。
なお、第一硬化性樹脂フィルム(x1)等の樹脂フィルムを貼付対象物へ貼付したときに、はみ出しが生じた場合には、以下の方法によりはみ出し量を算出できる。
すなわち、はみ出しが生じている状態の樹脂フィルムを、その上方から見下ろして平面視し、このときの前記樹脂フィルムの外周上の異なる二点間を結ぶ線分の長さの最大値を求める。さらに、この最大値を示す前記線分と重なる位置での、当初(すなわち、はみ出しが生じる前)の前記樹脂フィルムの幅の値を求める。そして、前記線分の長さの最大値から、前記樹脂フィルムの幅の値を減じることにより、前記樹脂フィルムのはみ出し量を算出できる。
図2は、樹脂フィルムの平面形状が円形である場合の、前記樹脂フィルムのはみ出し量を模式的に説明するための平面図である。
図2に示す樹脂フィルム101は、貼付対象物102に貼付された状態で、当初の大きさからはみ出した状態となっている。符号101’で示しているのは、当初の大きさの樹脂フィルムであり、はみ出し量を理解し易くするために、便宜的に示している。当初の樹脂フィルム101’の平面形状は、ここでは円形であるが、はみ出した状態となっている樹脂フィルム101の平面形状は、非円形である。ただし、これは一例であり、はみ出した状態となっている樹脂フィルム101の平面形状は、ここに示すものに限定されない。
樹脂フィルム101のはみ出し量を求めるためには、樹脂フィルム101の外周1010上のうちの一点1010aと、これとは異なる他の一点1010bと、の間を結ぶ線分の長さDの最大値を求め、さらに、この最大値を示す前記線分と重なる位置での、当初(すなわち、染み出す前)の樹脂フィルム101’の幅の値Dを求めればよい。DとDとの差(D-D)が、前記はみ出し量となる。
樹脂フィルム101における、最大値を示す前記線分は、平面視にて、当初の樹脂フィルム101’における円の中心を通ることがあり、その場合、この最大値を示す前記線分と重なる位置での、当初の樹脂フィルム101’の幅の値は、樹脂フィルム101’の直径となる。
なお、ここでは、図面を参照して、樹脂フィルムの平面形状が円形である場合の、樹脂フィルムのはみ出し量について説明したが、平面形状が円形以外である場合にも、同様の方法で樹脂フィルムのはみ出し量を算出できる。
第一硬化性樹脂フィルム(x1)を、半導体チップ作製用ウエハのバンプ形成面に貼付するときには、バンプ上部が第一硬化性樹脂フィルム(x1)を貫通して突出するとともに、第一硬化性樹脂フィルム(x1)が溝部に侵入し始める中盤段階と、第一硬化性樹脂フィルム(x1)がバンプの基部を埋め込むとともに、溝部を埋め込む終盤段階とでは、硬化性樹脂フィルムのひずみの程度は、大きく異なる。より具体的には、前記中盤段階での第一硬化性樹脂フィルム(x1)のひずみは小さく、前記終盤段階での第一硬化性樹脂フィルム(x1)のひずみは大きい。
したがって、第一硬化性樹脂フィルム(x1)は、そのひずみが小さいときの貯蔵弾性率としてGc1を採用し、そのひずみが大きいときの貯蔵弾性率としてGc300を採用して、Gc1が高く、Gc300が低くなるようにして、上記要件(I)において規定されるX値(=Gc1/Gc300)を19以上10,000未満に規定することが好ましい。これにより、先に説明した優れた効果を奏しやすくできる。
第一硬化性樹脂フィルム(x1)は、先に説明した優れた効果をより発揮させやすくする観点から、上記要件(I)において規定されるX値の上限は、好ましくは5000以下、より好ましくは2000以下、更に好ましくは1000以下、より更に好ましくは500以下、更になお好ましくは300以下、一層好ましくは100以下、より一層好ましくは70以下である。
また、本発明の効果の中でも、半導体チップ作製用ウエハの溝部への埋め込み性をより良好なものとする観点から、上記要件(I)において規定されるX値は、より好ましくは25以上、更に好ましくは30以上、より更に好ましくは40以上、更になお好ましくは50以上、一層好ましくは60以上である。
第一硬化性樹脂フィルム(x1)において、Gc1は、先に説明した優れた効果をより発揮させやすくする観点から、Gc1は、1×10~1×10Paであることが好ましく、3×10~7×10Paであることがより好ましく、5×10~5×10Paであることが更に好ましい。
第一硬化性樹脂フィルム(x1)において、Gc300は、先に説明した優れた効果のなかでも、半導体チップ作製用ウエハの溝部への埋め込み性をより良好なものとする観点から、15,000Pa未満であることが好ましく、10,000Pa以下であることがより好ましく、5,000Pa以下であることが更に好ましく、4,000Pa以下であることがより更に好ましく、3,500Pa以下であることが更になお好ましい。また、第一硬化性樹脂フィルム(x1)のハジキを抑制する観点から、Gc300は、100Pa以上であることが好ましく、500Pa以上であることがより好ましく、1,000Pa以上であることが更に好ましい。
第一硬化性樹脂フィルム(x1)においては、先に説明した優れた効果をより発揮させやすくする観点から、上記要件(I)で規定するX値を満たすことが好ましく、上記要件(I)で規定するX値とともに、Gc1及びGc300のいずれか一方又は双方が、上記範囲を満たすことがより好ましい。
なお、上記要件(I)で規定するX値を調節する場合、第一硬化性樹脂フィルム(x1)の貯蔵弾性率を調節することが必要であるが、第一硬化性樹脂フィルム(x1)の貯蔵弾性率は、Gc1及びGc300の場合に限らず、第一硬化性樹脂フィルム(x1)の含有成分の種類及び含有量の一方又は双方を調節することで、容易に調節できる。そのためには、第一硬化性樹脂フィルム(x1)を形成するための組成物中の含有成分の種類及び含有量の一方又は双方を調節すればよい。例えば、後述する第一熱硬化性樹脂フィルム形成用組成物(x1-1-1)を用いる場合には、この組成物中の重合体成分(A)、充填材(D)等の、主たる含有成分の種類及び含有量の一方又は双方を調節し、レオロジーコントロール剤、界面活性剤、及びシリコーンオイル等から選択される1種以上の添加剤(I)の種類及び含有量の一方又は双方を調節することで、第一硬化性樹脂フィルム(x1)の貯蔵弾性率を容易に調節できる。
例えば、第一硬化性樹脂フィルム(x1)及び第一硬化性樹脂フィルム形成用組成物の前記充填材(D)及び添加剤(I)の一方又は双方の含有量を増大させると、Gc1を大きな値に調節しやすく、その結果としてX値を大きな値に調節しやすい。
第一硬化性樹脂フィルム(x1)は、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。第一硬化性樹脂フィルム(x1)が複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは特に限定されない。
本明細書においては、第一硬化性樹脂フィルム(x1)の場合に限らず、「複数層が互いに同一でも異なっていてもよい」とは、「すべての層が同一であってもよいし、すべての層が異なっていてもよいし、一部の層のみが同一であってもよい」ことを意味し、さらに「複数層が互いに異なる」とは、「各層の構成材料及び厚さの少なくとも一方が互いに異なる」ことを意味する。
第一硬化性樹脂フィルム(x1)の厚さは、半導体チップ作製用半導体ウエハのバンプ形成面に対する被覆性の向上の観点、半導体チップ作製用半導体ウエハの溝部への埋め込み性を更に良好なものとする観点から好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上、更に好ましくは30μm以上、より更に好ましくは30μm超である。また、好ましくは200μm以下、より好ましくは150μm以下、更に好ましくは130μm以下、より更に好ましくは100μm以下、更になお好ましくは80μm以下である。
ここで、「第一硬化性樹脂フィルム(x1)の厚さ」とは、第一硬化性樹脂フィルム(x1)全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる第一硬化性樹脂フィルム(x1)の厚さとは、第一硬化性樹脂フィルム(x1)を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
<第一硬化性樹脂フィルム形成用組成物>
第一硬化性樹脂フィルム(x1)は、その構成材料を含有する第一硬化性樹脂フィルム形成用組成物を用いて形成できる。例えば、第一硬化性樹脂フィルム(x1)は、その形成対象面に第一硬化性樹脂フィルム形成用組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させることで、形成できる。第一硬化性樹脂フィルム形成用組成物における、常温で気化しない成分同士の含有量の比率は、通常、第一硬化性樹脂フィルム(x1)における前記成分同士の含有量の比率と同じとなる。本明細書において、「常温」とは、特に冷やしたり、熱したりしない温度、すなわち平常の温度を意味し、例えば、15~25℃の温度等が挙げられる。
第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)は、第一熱硬化性樹脂フィルム形成用組成物(x1-1-1)を用いて形成でき、第一エネルギー線硬化性樹脂フィルム(x1-2)は、第一エネルギー線硬化性樹脂フィルム形成用組成物(x1-2-1)を用いて形成できる。なお、本明細書においては、第一硬化性樹脂フィルム(x1)が、熱硬化性及びエネルギー線硬化性の両方の特性を有する場合、その硬化により形成される第一硬化樹脂膜(r1)に対して、第一硬化性樹脂フィルム(x1)の熱硬化の寄与が、エネルギー線硬化の寄与よりも大きい場合には、第一硬化性樹脂フィルム(x1)を熱硬化性のものとして取り扱う。反対に、その硬化に対して、第一硬化性樹脂フィルム(x1)のエネルギー線硬化の寄与が、熱硬化の寄与よりも大きい場合には、第一硬化性樹脂フィルム(x1)をエネルギー線硬化性のものとして取り扱う。
第一硬化性樹脂フィルム形成用組成物の塗工は、公知の方法で行えばよく、例えば、スピンコーター、スプレーコーター、エアーナイフコーター、ブレードコーター、バーコーター、グラビアコーター、ロールコーター、ロールナイフコーター、カーテンコーター、ダイコーター、ナイフコーター、スクリーンコーター、マイヤーバーコーター、キスコーター等の各種コーターを用いる方法が挙げられる。
第一硬化性樹脂フィルム(x1)が熱硬化性及びエネルギー線硬化性のいずれであるかによらず、硬化性樹脂フィルム形成用組成物の乾燥条件は、特に限定されない。ただし、第一硬化性樹脂フィルム形成用組成物は、後述する溶媒を含有している場合、加熱乾燥させることが好ましい。そして、溶媒を含有する硬化性樹脂フィルム形成用組成物は、例えば、70~130℃で10秒~5分の条件で、加熱乾燥させることが好ましい。ただし、第一熱硬化性樹脂フィルム形成用組成物(x1-1-1)は、この組成物自体と、この組成物から形成された第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)と、が熱硬化しないように、加熱乾燥させることが好ましい。
以下、第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)及び第一エネルギー線硬化性樹脂フィルム(x1-2)について、さらに詳細に説明する。
<第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)>
第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)を硬化させて、その硬化物である第一硬化樹脂膜(r1)を形成するとき、その硬化条件は、硬化物が十分にその機能を発揮する程度の硬化度となる限り、特に限定されず、第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)の種類、前記硬化物の用途等に応じて、適宜選択すればよい。
第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)の硬化時の加熱温度は、100~200℃であることが好ましく、110~170℃であることがより好ましく、120~150℃であることが特に好ましい。そして、前記熱硬化時の加熱時間は、0.5~5時間であることが好ましく、0.5~4時間であることがより好ましく、1~3時間であることが特に好ましい。
<第一硬化性樹脂フィルム形成用組成物(x1-1-1)>
第一熱硬化性樹脂フィルム形成用組成物(x1-1-1)としては、例えば、重合体成分(A)と、熱硬化性成分(B)と、充填材(D)と、添加剤(I)と、を含有する第一熱硬化性樹脂フィルム形成用組成物(x1-1-1)(本明細書においては、単に「組成物(x1-1-1)」と称することがある)等が挙げられる。
(重合体成分(A))
重合体成分(A)は、第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)に造膜性や可撓性等を付与するための重合体化合物である。重合体成分(A)は、熱可塑性を有し、熱硬化性を有しない。なお、本明細書において重合体化合物には、重縮合反応の生成物も含まれる。
組成物(x1-1-1)及び第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)が含有する重合体成分(A)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
重合体成分(A)としては、例えば、ポリビニルアセタール、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコーン樹脂、飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、重合体成分(A)は、ポリビニルアセタールであることが好ましい。重合体成分(A)が、ポリビニルアセタールであることで、半導体チップ作製用ウエハのバンプ形成面に第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)を貼付したときに、バンプの上部での第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)の残存を抑制する効果、第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)のはみ出しを抑制する効果、バンプ形成面上での第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)及びその硬化物のハジキを抑制する効果、並びに溝部への第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)の埋め込み性の向上効果が、より高くなる。
重合体成分(A)における前記ポリビニルアセタールとしては、公知のものが挙げられる。
なかでも、好ましいポリビニルアセタールとしては、例えば、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール等が挙げられ、ポリビニルブチラールがより好ましい。
ポリビニルブチラールとしては、下記式(i)-1、(i)-2及び(i)-3で表される構成単位を有するものが挙げられる。
Figure 0007256851000001

(式中、l、m及びnは、それぞれ独立に1以上の整数である。)
ポリビニルアセタールの重量平均分子量(Mw)は、5,000~200,000であることが好ましく、8,000~100,000であることがより好ましい。ポリビニルアセタールの重量平均分子量がこのような範囲であることで、半導体チップ作製用ウエハのバンプ形成面に第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)を貼付したときに、バンプの上部での第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)の残存を抑制する効果、第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)のはみ出しを抑制する効果、バンプ形成面上での第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)及びその硬化物のハジキを抑制する効果、並びに溝部への第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)の埋め込み性の向上効果が、より高くなる。
ポリビニルアセタールのガラス転移温度(Tg)は、40~80℃であることが好ましく、50~70℃であることがより好ましい。ポリビニルアセタールのTgがこのような範囲であることで、半導体チップ作製用ウエハのバンプ形成面に第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)を貼付したときに、バンプの上部での第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)の残存を抑制する効果、第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)のはみ出しを抑制する効果、バンプ形成面上での第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)及びその硬化物のハジキを抑制する効果、並びに溝部への第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)の埋め込み性の向上効果が、より高くなる。
ポリビニルアセタールを構成する3種以上のモノマーの比率は任意に選択できる。
重合体成分(A)における前記アクリル樹脂としては、公知のアクリル重合体が挙げられる。
アクリル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、5,000~1,000,000であることが好ましく、8,000~800,000であることがより好ましい。アクリル樹脂の重量平均分子量がこのような範囲であることで、半導体チップ作製用ウエハのバンプ形成面に第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)を貼付したときに、バンプの上部での第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)の残存を抑制する効果、第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)のはみ出しを抑制する効果、バンプ形成面上での第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)及びその硬化物のハジキを抑制する効果、並びに溝部への第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)の埋め込み性の向上効果が、より高くなる。
アクリル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、-50~70℃であることが好ましく、-30~60℃であることがより好ましい。アクリル樹脂のTgがこのような範囲であることで、半導体チップ作製用ウエハのバンプ形成面に第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)を貼付したときに、バンプの上部での第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)の残存を抑制する効果、第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)のはみ出しを抑制する効果、バンプ形成面上での第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)及びその硬化物のハジキを抑制する効果、並びに溝部への第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)の埋め込み性の向上効果が、より高くなる。
アクリル樹脂が2種以上の構成単位を有する場合には、そのアクリル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、Foxの式を用いて算出できる。このとき用いる、前記構成単位を誘導するモノマーのTgとしては、高分子データ・ハンドブック又は粘着ハンドブックに記載されている値を使用できる。
アクリル樹脂を構成するモノマーは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
アクリル樹脂としては、例えば、1種又は2種以上の(メタ)アクリル酸エステルの重合体;
(メタ)アクリル酸、イタコン酸、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン及びN-メチロールアクリルアミド等から選択される2種以上のモノマーの共重合体;
1種又は2種以上の(メタ)アクリル酸エステルと、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン及びN-メチロールアクリルアミド等から選択される1種又は2種以上のモノマーと、の共重合体等が挙げられる。
本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」及び「メタクリル酸」の両方を包含する概念とする。(メタ)アクリル酸と類似の用語につても同様であり、例えば、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及び「メタクリレート」の両方を包含する概念であり、「(メタ)アクリロイル基」とは、「アクリロイル基」及び「メタクリロイル基」の両方を包含する概念である。
アクリル樹脂を構成する前記(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec-ブチル、(メタ)アクリル酸tert-ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n-オクチル、(メタ)アクリル酸n-ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル((メタ)アクリル酸ラウリル)、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル((メタ)アクリル酸ミリスチル)、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル((メタ)アクリル酸パルミチル)、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル((メタ)アクリル酸ステアリル)等の、アルキルエステルを構成するアルキル基が、炭素数が1~18の鎖状構造である(メタ)アクリル酸アルキルエステル;
(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル等の(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル;
(メタ)アクリル酸ベンジル等の(メタ)アクリル酸アラルキルエステル;
(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルエステル等の(メタ)アクリル酸シクロアルケニルエステル;
(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチルエステル等の(メタ)アクリル酸シクロアルケニルオキシアルキルエステル;
(メタ)アクリル酸イミド;
(メタ)アクリル酸グリシジル等のグリシジル基含有(メタ)アクリル酸エステル;
(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル等の水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル;
(メタ)アクリル酸N-メチルアミノエチル等の置換アミノ基含有(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。ここで、「置換アミノ基」とは、アミノ基の1個又は2個の水素原子が水素原子以外の基で置換されてなる基を意味する。
アクリル樹脂は、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、アミノ基、水酸基、カルボキシ基、イソシアネート基等の他の化合物と結合可能な官能基を有していてもよい。アクリル樹脂の前記官能基は、後述する架橋剤(F)を介して他の化合物と結合してもよいし、架橋剤(F)を介さずに他の化合物と直接結合していてもよい。アクリル樹脂が前記官能基により他の化合物と結合することで、例えば、第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)を用いて得られたパッケージの信頼性が向上する傾向がある。
組成物(x1-1-1)において、溶媒以外の全ての成分の総含有量に対する重合体成分(A)の含有量の割合(すなわち、第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)における、第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)の総質量に対する、重合体成分(A)の含有量の割合)は、重合体成分(A)の種類によらず、5~25質量%であることが好ましく、5~15質量%であることがより好ましい。
(熱硬化性成分(B))
熱硬化性成分(B)は、熱硬化性を有し、第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)を熱硬化させて、硬質の硬化物を形成するための成分である。
組成物(x1-1-1)及び第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)が含有する熱硬化性成分(B)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
熱硬化性成分(B)としては、例えば、エポキシ系熱硬化性樹脂、ポリイミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、熱硬化性成分(B)は、エポキシ系熱硬化性樹脂であることが好ましい。
・エポキシ系熱硬化性樹脂
エポキシ系熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂(B1)及び熱硬化剤(B2)からなる。
組成物(x1-1-1)及び第一熱硬化性樹脂フィルムが含有するエポキシ系熱硬化性樹脂は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
・エポキシ樹脂(B1)
エポキシ樹脂(B1)としては、公知のものが挙げられ、例えば、多官能系エポキシ樹脂、ビフェニル化合物、ビスフェノールAジグリシジルエーテル及びその水添物、オルソクレゾールノボラックエポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェニレン骨格型エポキシ樹脂等、2官能以上のエポキシ化合物が挙げられる。
エポキシ樹脂(B1)は、不飽和炭化水素基を有するエポキシ樹脂であってもよい。不飽和炭化水素基を有するエポキシ樹脂は、不飽和炭化水素基を有しないエポキシ樹脂よりもアクリル樹脂との相溶性が高い。そのため、不飽和炭化水素基を有するエポキシ樹脂を用いることで、例えば、第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)を用いて得られたパッケージの信頼性が向上する傾向がある。
不飽和炭化水素基を有するエポキシ樹脂としては、例えば、多官能系エポキシ樹脂のエポキシ基の一部が不飽和炭化水素基を有する基に変換されてなる化合物が挙げられる。このような化合物は、例えば、エポキシ基へ(メタ)アクリル酸又はその誘導体を付加反応させることにより得られる。
また、不飽和炭化水素基を有するエポキシ樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂を構成する芳香環等に、不飽和炭化水素基を有する基が直接結合した化合物等が挙げられる。
不飽和炭化水素基は、重合性を有する不飽和基であり、その具体的な例としては、エテニル基(ビニル基)、2-プロペニル基(アリル基)、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリルアミド基等が挙げられ、アクリロイル基が好ましい。
エポキシ樹脂(B1)の数平均分子量は、特に限定されないが、第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)の硬化性、並びに、第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)の硬化物の強度及び耐熱性の点から、300~30,000であることが好ましく、400~10,000であることがより好ましく、500~3,000であることが特に好ましい。
エポキシ樹脂(B1)のエポキシ当量は、100~1,000g/eqであることが好ましく、200~800g/eqであることがより好ましい。
エポキシ樹脂(B1)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
・熱硬化剤(B2)
熱硬化剤(B2)は、エポキシ樹脂(B1)に対する硬化剤として機能する。
熱硬化剤(B2)としては、例えば、1分子中にエポキシ基と反応し得る官能基を2個以上有する化合物が挙げられる。前記官能基としては、例えば、フェノール性水酸基、アルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシ基、酸基が無水物化された基等が挙げられ、フェノール性水酸基、アミノ基、又は酸基が無水物化された基であることが好ましく、フェノール性水酸基又はアミノ基であることがより好ましい。
熱硬化剤(B2)のうち、フェノール性水酸基を有するフェノール系硬化剤としては、例えば、多官能フェノール樹脂、ビフェノール、ノボラック型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン系フェノール樹脂、アラルキルフェノール樹脂等が挙げられる。
熱硬化剤(B2)のうち、アミノ基を有するアミン系硬化剤としては、例えば、ジシアンジアミド(以下、「DICY」と略記することがある)等が挙げられる。
熱硬化剤(B2)は、不飽和炭化水素基を有していてもよい。
不飽和炭化水素基を有する熱硬化剤(B2)としては、例えば、フェノール樹脂の水酸基の一部が、不飽和炭化水素基を有する基で置換されてなる化合物、フェノール樹脂の芳香環に、不飽和炭化水素基を有する基が直接結合してなる化合物等が挙げられる。
熱硬化剤(B2)における前記不飽和炭化水素基は、上述の不飽和炭化水素基を有するエポキシ樹脂における不飽和炭化水素基と同様のものである。
熱硬化剤(B2)のうち、例えば、多官能フェノール樹脂、ノボラック型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、アラルキル型フェノール樹脂等の樹脂成分の数平均分子量は、300~30,000であることが好ましく、400~10,000であることがより好ましく、500~3,000であることが特に好ましい。
熱硬化剤(B2)のうち、例えば、ビフェノール、ジシアンジアミド等の非樹脂成分の分子量は、特に限定されないが、例えば、60~500であることが好ましい。
熱硬化剤(B2)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
組成物(x1-1-1)及び第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)において、熱硬化剤(B2)の含有量は、エポキシ樹脂(B1)の含有量100質量部に対して、0.1~500質量部であることが好ましく、1~200質量部であることがより好ましく、例えば、5~150質量部、10~100質量部、及び15~75質量部のいずれかであってもよい。熱硬化剤(B2)の前記含有量が前記下限値以上であることで、第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)の硬化がより進行し易くなる。熱硬化剤(B2)の前記含有量が前記上限値以下であることで、第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)の吸湿率が低減されて、例えば、第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)を用いて得られたパッケージの信頼性がより向上する。
組成物(x1-1-1)及び第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)において、熱硬化性成分(B)の含有量(例えば、エポキシ樹脂(B1)及び熱硬化剤(B2)の総含有量)は、重合体成分(A)の含有量100質量部に対して、600~1000質量部であることが好ましい。熱硬化性成分(B)の前記含有量がこのような範囲であることで、半導体チップ作製用ウエハのバンプ形成面に第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)を貼付したときに、バンプの上部での第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)の残存を抑制する効果、第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)のはみ出しを抑制する効果、バンプ形成面上での第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)及びその硬化物のハジキを抑制する効果、並びに溝部への第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)の埋め込み性の向上効果が、より高くなり、かつ硬質な硬化物を形成できる。
さらに、このような効果がより顕著に得られる点から、熱硬化性成分(B)の含有量は、重合体成分(A)の種類に応じて、適宜調節してもよい。
例えば、重合体成分(A)が前記ポリビニルアセタールである場合、組成物(x1-1-1)及び第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)において、熱硬化性成分(B)の含有量は、重合体成分(A)の含有量100質量部に対して、600~1,000質量部であることが好ましく、650~1,000質量部であることがより好ましく、650~950質量部であることが特に好ましい。
(充填材(D))
前記X値を調節して上記要件(I)を満たす第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)を形成する場合、組成物(x1-1-1)及び第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)中の充填材(D)の量を調節することで、前記X値をより容易に調節できる。また、組成物(x1-1-1)及び第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)中の充填材(D)の量を調節することで、第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)の硬化物の熱膨張係数を、より容易に調節でき、例えば、第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)の硬化物の熱膨張係数を当該硬化物の形成対象物に対して最適化することで、第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)を用いて得られたパッケージの信頼性がより向上する。また、充填材(D)を含有する第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)を用いることにより、第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)の硬化物の吸湿率を低減したり、放熱性を向上させたりすることもできる。
充填材(D)は、有機充填材及び無機充填材のいずれであってもよいが、無機充填材であることが好ましい。
好ましい無機充填材としては、例えば、シリカ、アルミナ、タルク、炭酸カルシウム、チタンホワイト、ベンガラ、炭化ケイ素、窒化ホウ素等の粉末;これら無機充填材を球形化したビーズ;これら無機充填材の表面改質品;これら無機充填材の単結晶繊維;ガラス繊維等が挙げられる。
これらの中でも、無機充填材は、シリカ又はアルミナであることが好ましい。
組成物(x1-1-1)及び第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)が含有する充填材(D)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
組成物(x1-1-1)において、溶媒以外の全ての成分の総含有量に対する充填材(D)の含有量の割合(すなわち、第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)における、第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)の総質量に対する、充填材(D)の含有量の割合)は、5~45質量%であることが好ましく、5~40質量%であることがより好ましく、5~30質量%であることがさらに好ましい。前記割合がこのような範囲であることで、半導体チップ作製用ウエハのバンプ形成面に第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)を貼付したときに、バンプの上部での第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)の残存を抑制する効果、第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)のはみ出しを抑制する効果、バンプ形成面上での第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)及びその硬化物のハジキを抑制する効果、並びに溝部への第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)の埋め込み性の向上効果が、より高くなるとともに、上記の熱膨張係数を、さらに容易に調節できる。
(添加剤(I))
前記X値を調節して上記要件(I)を満たす第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)を形成する場合、組成物(x1-1-1)及び第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)中の添加剤(I)の種類又は量を調節することで、Gc1を適切に調節して、前記X値をより容易に調節できる。
なかでも、前記X値をより容易に調節できる点で好ましい添加剤(I)としては、例えば、レオロジーコントロール剤、界面活性剤、シリコーンオイル等が挙げられる。
より具体的には、前記レオロジーコントロール剤としては、例えば、ポリヒドロキシカルボン酸エステル、多価カルボン酸、ポリアミド樹脂等が挙げられる。
前記界面活性剤としては、例えば、変性シロキサン、アクリル重合体等が挙げられる。
前記シリコーンオイルとしては、例えば、アラルキル変性シリコーンオイル、変性ポリジメチルシロキサン等が挙げられ、変性基としては、アラルキル基;ヒドロキシ基等の極性基;ビニル基、フェニル基等の不飽和結合を有する基が挙げられる。
添加剤(I)としては、上記以外のものとして、例えば、可塑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、ゲッタリング剤、紫外線吸収剤、粘着付与剤等の、他の各種汎用添加剤も挙げられる。
組成物(x1-1-1)及び第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)が含有する添加剤(I)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
組成物(x1-1-1)及び第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)の添加剤(I)の含有量は、特に限定されず、その種類や目的に応じて、適宜調節できる。
例えば、前記X値の調節が目的である場合には、組成物(x1-1-1)において、溶媒以外の全ての成分の総含有量に対する添加剤(I)の含有量の割合(すなわち、第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)における、第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)の総質量に対する、添加剤(I)の含有量の割合)は、0.5~10質量%であることが好ましく、0.5~7質量%であることがより好ましく、0.5~5質量%であることがさらに好ましい。
(硬化促進剤(C))
組成物(x1-1-1)及び第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)は、硬化促進剤(C)を含有していてもよい。硬化促進剤(C)は、組成物(x1-1-1)の硬化速度を調整するための成分である。
好ましい硬化促進剤(C)としては、例えば、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の第3級アミン;2-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール等のイミダゾール類(1個以上の水素原子が水素原子以外の基で置換されたイミダゾール);トリブチルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン等の有機ホスフィン類(1個以上の水素原子が有機基で置換されたホスフィン);テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィンテトラフェニルボレート等のテトラフェニルボロン塩等が挙げられる。
組成物(x1-1-1)及び第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)が含有する硬化促進剤(C)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
硬化促進剤(C)を用いる場合、組成物(x1-1-1)及び第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)において、硬化促進剤(C)の含有量は、熱硬化性成分(B)の含有量100質量部に対して、0.01~10質量部であることが好ましく、0.1~5質量部であることがより好ましい。硬化促進剤(C)の前記含有量が前記下限値以上であることで、硬化促進剤(C)を用いたことによる効果がより顕著に得られる。硬化促進剤(C)の前記含有量が前記上限値以下であることで、例えば、高極性の硬化促進剤(C)が、高温・高湿度条件下で第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)中において被着体との接着界面側に移動して偏析することを抑制する効果が高くなり、例えば、第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)を用いて得られたパッケージの信頼性がより向上する。
(カップリング剤(E))
組成物(x1-1-1)及び第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)は、カップリング剤(E)を含有していてもよい。カップリング剤(E)として、無機化合物又は有機化合物と反応可能な官能基を有するものを用いることにより、第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)の被着体に対する接着性及び密着性を向上させることができる。また、カップリング剤(E)を用いることで、第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)の硬化物は、耐熱性を損なうことなく、耐水性が向上する。
カップリング剤(E)は、重合体成分(A)、熱硬化性成分(B)等が有する官能基と反応可能な官能基を有する化合物であることが好ましく、シランカップリング剤であることがより好ましい。
好ましい前記シランカップリング剤としては、例えば、3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシジルオキシメチルジエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-(2-アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3-(2-アミノエチルアミノ)プロピルメチルジエトキシシラン、3-(フェニルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3-アニリノプロピルトリメトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、イミダゾールシラン等が挙げられる。
組成物(x1-1-1)及び第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)が含有するカップリング剤(E)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
カップリング剤(E)を用いる場合、組成物(x1-1-1)及び第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)において、カップリング剤(E)の含有量は、重合体成分(A)及び熱硬化性成分(B)の総含有量100質量部に対して、0.03~20質量部であることが好ましく、0.05~10質量部であることがより好ましく、0.1~5質量部であることが特に好ましい。カップリング剤(E)の前記含有量が前記下限値以上であることで、充填材(D)の樹脂への分散性の向上や、第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)の貼付対象物との接着性の向上など、カップリング剤(E)を用いたことによる効果がより顕著に得られる。カップリング剤(E)の前記含有量が前記上限値以下であることで、アウトガスの発生がより抑制される。
(架橋剤(F))
重合体成分(A)として、他の化合物と結合可能なビニル基、(メタ)アクリロイル基、アミノ基、水酸基、カルボキシ基、イソシアネート基等の官能基を有するものを用いる場合、組成物(X1-1-1)及び第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)は、架橋剤(F)を含有していてもよい。架橋剤(F)は、重合体成分(A)中の前記官能基を他の化合物と結合させて架橋するための成分であり、このように架橋することにより、第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)の初期接着力及び凝集力を調節できる。
架橋剤(F)としては、例えば、有機多価イソシアネート化合物、有機多価イミン化合物、金属キレート系架橋剤(金属キレート構造を有する架橋剤)、アジリジン系架橋剤(アジリジニル基を有する架橋剤)等が挙げられる。
前記有機多価イソシアネート化合物としては、例えば、芳香族多価イソシアネート化合物、脂肪族多価イソシアネート化合物及び脂環族多価イソシアネート化合物(以下、これら化合物をまとめて「芳香族多価イソシアネート化合物等」と略記することがある);前記芳香族多価イソシアネート化合物等の三量体、イソシアヌレート体及びアダクト体;前記芳香族多価イソシアネート化合物等とポリオール化合物とを反応させて得られる末端イソシアネートウレタンプレポリマー等が挙げられる。前記「アダクト体」は、前記芳香族多価イソシアネート化合物、脂肪族多価イソシアネート化合物又は脂環族多価イソシアネート化合物と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン又はヒマシ油等の低分子活性水素含有化合物との反応物を意味する。前記アダクト体の例としては、後述するようなトリメチロールプロパンのキシリレンジイソシアネート付加物等が挙げられる。また、「末端イソシアネートウレタンプレポリマー」とは、ウレタン結合を有するとともに、分子の末端部にイソシアネート基を有するプレポリマーを意味する。
前記有機多価イソシアネート化合物として、より具体的には、例えば、2,4-トリレンジイソシアネート;2,6-トリレンジイソシアネート;1,3-キシリレンジイソシアネート;1,4-キシレンジイソシアネート;ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート;ジフェニルメタン-2,4’-ジイソシアネート;3-メチルジフェニルメタンジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート;ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート;ジシクロヘキシルメタン-2,4’-ジイソシアネート;トリメチロールプロパン等のポリオールのすべて又は一部の水酸基に、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート及びキシリレンジイソシアネートのいずれか1種又は2種以上が付加した化合物;リジンジイソシアネート等が挙げられる。
前記有機多価イミン化合物としては、例えば、N,N’-ジフェニルメタン-4,4’-ビス(1-アジリジンカルボキシアミド)、トリメチロールプロパン-トリ-β-アジリジニルプロピオネート、テトラメチロールメタン-トリ-β-アジリジニルプロピオネート、N,N’-トルエン-2,4-ビス(1-アジリジンカルボキシアミド)トリエチレンメラミン等が挙げられる。
架橋剤(F)として有機多価イソシアネート化合物を用いる場合、重合体成分(A)としては、水酸基含有重合体を用いることが好ましい。架橋剤(F)がイソシアネート基を有し、重合体成分(A)が水酸基を有する場合、架橋剤(F)と重合体成分(A)との反応によって、第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)に架橋構造を簡便に導入できる。
組成物(x1-1-1)及び第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)が含有する架橋剤(F)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
架橋剤(F)を用いる場合、組成物(x1-1-1)において、架橋剤(F)の含有量は、重合体成分(A)の含有量100質量部に対して、0.01~20質量部であることが好ましく、0.1~10質量部であることがより好ましく、0.5~5質量部であることが特に好ましい。架橋剤(F)の前記含有量が前記下限値以上であることで、架橋剤(F)を用いたことによる効果がより顕著に得られる。架橋剤(F)の前記含有量が前記上限値以下であることで、架橋剤(F)の過剰使用が抑制される。
(エネルギー線硬化性樹脂(G))
組成物(x1-1-1)及び第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)は、エネルギー線硬化性樹脂(G)を含有していてもよい。
第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)が、エネルギー線硬化性樹脂(G)を含有していることにより、エネルギー線の照射によって特性を変化させることができる。
エネルギー線硬化性樹脂(G)は、エネルギー線硬化性化合物を重合(硬化)して得られたものである。エネルギー線硬化性化合物としては、例えば、分子内に少なくとも1個の重合性二重結合を有する化合物が挙げられ、(メタ)アクリロイル基を有するアクリレート系化合物が好ましい。
アクリレート系化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,4-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等の鎖状脂肪族骨格含有(メタ)アクリレート;ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート等の環状脂肪族骨格含有(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート;オリゴエステル(メタ)アクリレート;ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー;エポキシ変性(メタ)アクリレート;前記ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート以外のポリエーテル(メタ)アクリレート;イタコン酸オリゴマー等が挙げられる。
エネルギー線硬化性化合物の重量平均分子量は、100~30,000であることが好ましく、300~10,000であることがより好ましい。
重合に用いるエネルギー線硬化性化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。重合に用いるエネルギー線硬化性化合物が2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
エネルギー線硬化性樹脂(G)を用いる場合の、エネルギー線硬化性樹脂(G)の含有量は、組成物(x1-1-1)の有効成分の全量基準で、1~95質量%であることが好ましく、5~90質量%であることがより好ましく、10~85質量%であることが更に好ましい。
(光重合開始剤(H))
組成物(x1-1-1)及び第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)が、エネルギー線硬化性樹脂(G)を含有する場合、エネルギー線硬化性樹脂(G)の重合反応を効率よく進めるために、組成物(x1-1-1)及び第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)は、光重合開始剤(H)を含有していてもよい。
光重合開始剤(H)としては、例えば、ベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン安息香酸、ベンゾイン安息香酸メチル、ベンゾインジメチルケタール、2,4-ジエチルチオキサントン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンジルジフェニルスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンジル、ジベンジル、ジアセチル、1,2-ジフェニルメタン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[4-(1-メチルビニル)フェニル]プロパノン、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、及び2-クロロアントラキノン等が挙げられる。
光重合開始剤(H)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。光重合開始剤(H)が2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
組成物(x1-1-1)において、光重合開始剤(H)の含有量は、エネルギー線硬化性樹脂(G)の含有量100質量部に対して、0.1~20質量部であることが好ましく、1~10質量部であることがより好ましく、2~5質量部であることが更に好ましい。
(他の成分)
組成物(x1-1-1)及び第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)は、本発明の効果を損なわない範囲内において、上述の重合体成分(A)と、熱硬化性成分(B)と、硬化促進剤(C)と、充填材(D)と、カップリング剤(E)と、架橋剤(F)と、エネルギー線硬化性樹脂(G)と、光重合開始剤(H)と、添加剤(I)と、のいずれにも該当しない、他の成分を含有していてもよい。
組成物(x1-1-1)及び第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)が含有する前記他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
組成物(x1-1-1)及び第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)の前記他の成分の含有量は、特に限定されず、目的に応じて適宜選択すればよい。
(溶媒)
組成物(x1-1-1)は、さらに溶媒を含有することが好ましい。溶媒を含有する組成物(x1-1-1)は、取り扱い性が良好となる。
前記溶媒は特に限定されないが、好ましいものとしては、例えば、トルエン、キシレン等の炭化水素;メタノール、エタノール、2-プロパノール、イソブチルアルコール(2-メチルプロパン-1-オール)、1-ブタノール等のアルコール;酢酸エチル等のエステル;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン;テトラヒドロフラン等のエーテル;ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン等のアミド(アミド結合を有する化合物)等が挙げられる。
組成物(x1-1-1)が含有する溶媒は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
組成物(x1-1-1)が含有する溶媒で、より好ましいものとしては、例えば、組成物(x1-1-1)中の含有成分をより均一に混合できる点から、メチルエチルケトン等が挙げられる。
組成物(x1-1-1)の溶媒の含有量は、特に限定されず、例えば、溶媒以外の成分の種類に応じて適宜選択すればよい。
<第一熱硬化性樹脂フィルム形成用組成物(x1-1-1)の製造方法>
第一熱硬化性樹脂フィルム形成用組成物(x1-1-1)は、これを構成するための各成分を配合することで得られる。
各成分の配合時における添加順序は特に限定されず、2種以上の成分を同時に添加してもよい。
配合時に各成分を混合する方法は特に限定されず、撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合する方法;ミキサーを用いて混合する方法;超音波を加えて混合する方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。
各成分の添加及び混合時の温度並びに時間は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されず、適宜調節すればよいが、温度は15~30℃であることが好ましい。
<第一エネルギー線硬化性樹脂フィルム(x1-2)>
第一エネルギー線硬化性樹脂フィルム(x1-2)を硬化させて、その硬化物である第一硬化樹脂膜(r1)を形成するときの硬化条件は、硬化物が十分にその機能を発揮する程度の硬化度となる限り、特に限定されず、第一エネルギー線硬化性樹脂フィルム(x1-2)の種類、前記硬化物の用途等に応じて、適宜選択すればよい。
例えば、第一エネルギー線硬化性樹脂フィルム(x1-2)の硬化時における、エネルギー線の照度は、180~280mW/cmであることが好ましい。そして、前記硬化時における、エネルギー線の光量は、450~1000mJ/cmであることが好ましい。
<第一エネルギー線硬化性樹脂フィルム形成用組成物(x1-2-1)>
第一エネルギー線硬化性樹脂フィルム形成用組成物(x1-2-1)としては、例えば、エネルギー線硬化性成分(a)と、充填材と、添加剤と、を含有する第一エネルギー線硬化性樹脂フィルム形成用組成物(x1-2-1)(本明細書においては、単に「組成物(x1-2-1)」と称することがある)等が挙げられる。
(エネルギー線硬化性成分(a))
エネルギー線硬化性成分(a)は、エネルギー線の照射によって硬化する成分であり、第一エネルギー線硬化性樹脂フィルム(x1-2)に造膜性や、可撓性等を付与するための成分でもある。
エネルギー線硬化性成分(a)は、未硬化であることが好ましく、粘着性を有することが好ましく、未硬化でかつ粘着性を有することがより好ましい。
エネルギー線硬化性成分(a)としては、例えば、エネルギー線硬化性基を有する、重量平均分子量が80,000~2,000,000の重合体(a1)、及びエネルギー線硬化性基を有する、分子量が100~80,000の化合物(a2)が挙げられる。前記重合体(a1)は、その少なくとも一部が架橋剤によって架橋されたものであってもよいし、架橋されていないものであってもよい。
・エネルギー線硬化性基を有する、重量平均分子量が80,000~2,000,000の重合体(a1)
エネルギー線硬化性基を有する、重量平均分子量が80,000~2,000,000の重合体(a1)としては、例えば、他の化合物が有する基と反応可能な官能基を有するアクリル重合体(a11)と、前記官能基と反応する基、及びエネルギー線硬化性二重結合等のエネルギー線硬化性基を有するエネルギー線硬化性化合物(a12)と、が重合してなるアクリル樹脂(a1-1)が挙げられる。
他の化合物が有する基と反応可能な前記官能基としては、例えば、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、置換アミノ基(アミノ基の1個又は2個の水素原子が水素原子以外の基で置換されてなる基)、エポキシ基等が挙げられる。ただし、半導体ウエハや半導体チップ等の回路の腐食を防止するという点では、前記官能基はカルボキシ基以外の基であることが好ましい。
これらの中でも、前記官能基は、水酸基であることが好ましい。
・官能基を有するアクリル重合体(a11)
前記官能基を有するアクリル重合体(a11)としては、例えば、前記官能基を有するアクリルモノマーと、前記官能基を有しないアクリルモノマーと、が共重合してなるものが挙げられ、これらモノマー以外に、さらにアクリルモノマー以外のモノマー(非アクリルモノマー)が共重合したものであってもよい。
また、前記アクリル重合体(a11)は、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよい。
前記官能基を有するアクリルモノマーとしては、例えば、水酸基含有モノマー、カルボキシ基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、置換アミノ基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー等が挙げられる。
前記水酸基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル;ビニルアルコール、アリルアルコール等の非(メタ)アクリル不飽和アルコール((メタ)アクリロイル骨格を有しない不飽和アルコール)等が挙げられる。
前記カルボキシ基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸等のエチレン性不飽和モノカルボン酸(エチレン性不飽和結合を有するモノカルボン酸);フマル酸、イタコン酸、マレイン酸、シトラコン酸等のエチレン性不飽和ジカルボン酸(エチレン性不飽和結合を有するジカルボン酸);前記エチレン性不飽和ジカルボン酸の無水物;2-カルボキシエチルメタクリレート等の(メタ)アクリル酸カルボキシアルキルエステル等が挙げられる。
前記官能基を有するアクリルモノマーは、水酸基含有モノマー、カルボキシ基含有モノマーが好ましく、水酸基含有モノマーがより好ましい。
前記アクリル重合体(a11)を構成する、前記官能基を有するアクリルモノマーは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
前記官能基を有しないアクリルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec-ブチル、(メタ)アクリル酸tert-ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n-オクチル、(メタ)アクリル酸n-ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル((メタ)アクリル酸ラウリル)、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル((メタ)アクリル酸ミリスチル)、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル((メタ)アクリル酸パルミチル)、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル((メタ)アクリル酸ステアリル)等の、アルキルエステルを構成するアルキル基が、炭素数が1~18の鎖状構造である(メタ)アクリル酸アルキルエステル等が挙げられる。
前記官能基を有しないアクリルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メトキシメチル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシメチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル等のアルコキシアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸フェニル等の(メタ)アクリル酸アリールエステル等を含む、芳香族基を有する(メタ)アクリル酸エステル;非架橋性の(メタ)アクリルアミド及びその誘導体;(メタ)アクリル酸N,N-ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N-ジメチルアミノプロピル等の非架橋性の3級アミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル等も挙げられる。
前記アクリル重合体(a11)を構成する、前記官能基を有しないアクリルモノマーは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
前記非アクリルモノマーとしては、例えば、エチレン、ノルボルネン等のオレフィン;酢酸ビニル;スチレン等が挙げられる。
前記アクリル重合体(a11)を構成する前記非アクリルモノマーは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
前記アクリル重合体(a11)において、これを構成する構成単位の全量に対する、前記官能基を有するアクリルモノマーから誘導された構成単位の量の割合(含有量)は、0.1~50質量%であることが好ましく、1~40質量%であることがより好ましく、3~30質量%であることが特に好ましい。前記割合がこのような範囲であることで、前記アクリル重合体(a11)と前記エネルギー線硬化性化合物(a12)との共重合によって得られた前記アクリル樹脂(a1-1)において、エネルギー線硬化性基の含有量は、第一エネルギー線硬化性樹脂フィルム(x1-2)の硬化物の硬化の程度を好ましい範囲に容易に調節可能となる。
前記アクリル樹脂(a1-1)を構成する前記アクリル重合体(a11)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
組成物(x1-2-1)において、溶媒以外の成分の総含有量に対する、アクリル樹脂(a1-1)の含有量の割合(すなわち、第一エネルギー線硬化性樹脂フィルム(x1-2)における、前記フィルムの総質量に対する、アクリル樹脂(a1-1)の含有量の割合)は、1~40質量%であることが好ましく、2~30質量%であることがより好ましく、3~20質量%であることが特に好ましい。
・エネルギー線硬化性化合物(a12)
前記エネルギー線硬化性化合物(a12)は、前記アクリル重合体(a11)が有する官能基と反応可能な基として、イソシアネート基、エポキシ基及びカルボキシ基からなる群より選択される1種又は2種以上を有するものが好ましく、前記基としてイソシアネート基を有するものがより好ましい。前記エネルギー線硬化性化合物(a12)は、例えば、前記基としてイソシアネート基を有する場合、このイソシアネート基が、前記官能基として水酸基を有するアクリル重合体(a11)のこの水酸基と容易に反応する。
前記エネルギー線硬化性化合物(a12)は、1分子中に前記エネルギー線硬化性基を1~5個有することが好ましく、1~2個有することがより好ましい。
前記エネルギー線硬化性化合物(a12)としては、例えば、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、メタ-イソプロペニル-α,α-ジメチルベンジルイソシアネート、メタクリロイルイソシアネート、アリルイソシアネート、1,1-(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート;
ジイソシアネート化合物又はポリイソシアネート化合物と、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応により得られるアクリロイルモノイソシアネート化合物;
ジイソシアネート化合物又はポリイソシアネート化合物と、ポリオール化合物と、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応により得られるアクリロイルモノイソシアネート化合物等が挙げられる。
これらの中でも、前記エネルギー線硬化性化合物(a12)は、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネートであることが好ましい。
前記アクリル樹脂(a1-1)を構成する前記エネルギー線硬化性化合物(a12)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
前記アクリル樹脂(a1-1)において、前記アクリル重合体(a11)に由来する前記官能基の含有量に対する、前記エネルギー線硬化性化合物(a12)に由来するエネルギー線硬化性基の含有量の割合は、20~120モル%であることが好ましく、35~100モル%であることがより好ましく、50~100モル%であることが特に好ましい。前記含有量の割合がこのような範囲であることで、エネルギー線硬化性樹脂フィルム(x1-2)の硬化物の接着力がより大きくなる。なお、前記エネルギー線硬化性化合物(a12)が一官能(前記基を1分子中に1個有する)化合物である場合には、前記含有量の割合の上限値は100モル%となるが、前記エネルギー線硬化性化合物(a12)が多官能(前記基を1分子中に2個以上有する)化合物である場合には、前記含有量の割合の上限値は100モル%を超えることがある。
前記重合体(a1)の重量平均分子量(Mw)は、100,000~2,000,000であることが好ましく、300,000~1,500,000であることがより好ましい。
前記重合体(a1)が、その少なくとも一部が架橋剤によって架橋されたものである場合、前記重合体(a1)は、前記アクリル重合体(a11)を構成するものとして説明した、上述のモノマーのいずれにも該当せず、かつ架橋剤と反応する基を有するモノマーが重合して、前記架橋剤と反応する基において架橋されたものであってもよいし、前記エネルギー線硬化性化合物(a12)に由来する、前記官能基と反応する基において、架橋されたものであってもよい。
組成物(x1-2-1)及び第一エネルギー線硬化性樹脂フィルム(x1-2)が含有する前記重合体(a1)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
エネルギー線硬化性基を有する、分子量が100~80,000の化合物(a2)
エネルギー線硬化性基を有する、分子量が100~80,000の化合物(a2)中の前記エネルギー線硬化性基としては、エネルギー線硬化性二重結合を含む基が挙げられ、好ましいものとしては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基等が挙げられる。
前記化合物(a2)は、上記の条件を満たすものであれば、特に限定されないが、エネルギー線硬化性基を有する低分子量化合物、エネルギー線硬化性基を有するエポキシ樹脂、エネルギー線硬化性基を有するフェノール樹脂等が挙げられる。
前記化合物(a2)のうち、エネルギー線硬化性基を有する低分子量化合物としては、例えば、多官能のモノマー又はオリゴマー等が挙げられ、(メタ)アクリロイル基を有するアクリレート系化合物が好ましい。
前記アクリレート系化合物としては、例えば、2-ヒドロキシ-3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルメタクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、2,2-ビス[4-((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパン、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、2,2-ビス[4-((メタ)アクリロキシジエトキシ)フェニル]プロパン、9,9-ビス[4-(2-(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、2,2-ビス[4-((メタ)アクリロキシポリプロポキシ)フェニル]プロパン、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2-ビス[4-((メタ)アクリロキシエトキシ)フェニル]プロパン、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-1,3-ジ(メタ)アクリロキシプロパン等の2官能(メタ)アクリレート;
トリス(2-(メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ε-カプロラクトン変性トリス-(2-(メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート、エトキシ化グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート;
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー等の多官能(メタ)アクリレートオリゴマー等が挙げられる。
前記化合物(a2)のうち、エネルギー線硬化性基を有するエポキシ樹脂、エネルギー線硬化性基を有するフェノール樹脂としては、例えば、「特開2013-194102号公報」の段落0043等に記載されているものを用いることができる。このような樹脂は、後述する熱硬化性成分を構成する樹脂にも該当するが、本発明においては前記化合物(a2)として取り扱う。
前記化合物(a2)の重量平均分子量は、100~30,000であることが好ましく、300~10,000であることがより好ましい。
組成物(x1-2-1)及び第一エネルギー線硬化性樹脂フィルム(x1-2)が含有する前記化合物(a2)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
(エネルギー線硬化性基を有しない重合体(b))
組成物(x1-2-1)及び第一エネルギー線硬化性樹脂フィルム(x1-2)は、前記エネルギー線硬化性成分(a)として前記化合物(a2)を含有する場合、さらにエネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)も含有することが好ましい。
前記重合体(b)は、その少なくとも一部が架橋剤によって架橋されたものであってもよいし、架橋されていないものであってもよい。
エネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)としては、例えば、アクリル重合体、フェノキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル、ゴム系樹脂、アクリルウレタン樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、前記重合体(b)は、アクリル重合体(以下、「アクリル重合体(b-1)」と略記することがある)であることが好ましい。
アクリル重合体(b-1)は、公知のものでよく、例えば、1種のアクリルモノマーの単独重合体であってもよいし、2種以上のアクリルモノマーの共重合体であってもよいし、1種又は2種以上のアクリルモノマーと、1種又は2種以上のアクリルモノマー以外のモノマー(非アクリルモノマー)と、の共重合体であってもよい。
アクリル重合体(b-1)を構成する前記アクリルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、環状骨格を有する(メタ)アクリル酸エステル、グリシジル基含有(メタ)アクリル酸エステル、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル、置換アミノ基含有(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。ここで、「置換アミノ基」とは、先に説明したとおりである。
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、先に説明した、アクリル重合体(a11)を構成する、前記官能基を有しないアクリルモノマー(アルキルエステルを構成するアルキル基が、炭素数が1~18の鎖状構造である、(メタ)アクリル酸アルキルエステル等)と同じものが挙げられる。
前記環状骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル等の(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル;
(メタ)アクリル酸ベンジル等の(メタ)アクリル酸アラルキルエステル;
(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルエステル等の(メタ)アクリル酸シクロアルケニルエステル;
(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチルエステル等の(メタ)アクリル酸シクロアルケニルオキシアルキルエステル等が挙げられる。
前記グリシジル基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル等が挙げられる。
前記水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル等が挙げられる。
前記置換アミノ基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸N-メチルアミノエチル等が挙げられる。
アクリル重合体(b-1)を構成する前記非アクリルモノマーとしては、例えば、エチレン、ノルボルネン等のオレフィン;酢酸ビニル;スチレン等が挙げられる。
少なくとも一部が架橋剤によって架橋された、前記エネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)としては、例えば、前記重合体(b)中の反応性官能基が架橋剤と反応したものが挙げられる。
前記反応性官能基は、架橋剤の種類等に応じて適宜選択すればよく、特に限定されない。例えば、架橋剤がポリイソシアネート化合物である場合には、前記反応性官能基としては、水酸基、カルボキシ基、アミノ基等が挙げられ、これらの中でも、イソシアネート基との反応性が高い水酸基が好ましい。また、架橋剤がエポキシ系化合物である場合には、前記反応性官能基としては、カルボキシ基、アミノ基、アミド基等が挙げられ、これらの中でもエポキシ基との反応性が高いカルボキシ基が好ましい。ただし、半導体ウエハや半導体チップの回路の腐食を防止するという点では、前記反応性官能基はカルボキシ基以外の基であることが好ましい。
前記反応性官能基を有する、エネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)としては、例えば、少なくとも前記反応性官能基を有するモノマーを重合させて得られたものが挙げられる。アクリル重合体(b-1)の場合であれば、これを構成するモノマーとして挙げた、前記アクリルモノマー及び非アクリルモノマーのいずれか一方又は両方として、前記反応性官能基を有するものを用いればよい。反応性官能基として水酸基を有する前記重合体(b)としては、例えば、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルを重合して得られたものが挙げられ、これ以外にも、先に挙げた前記アクリルモノマー又は非アクリルモノマーにおいて、1個又は2個以上の水素原子が前記反応性官能基で置換されてなるモノマーを重合して得られたものが挙げられる。
反応性官能基を有する前記重合体(b)において、これを構成する構成単位の全量に対する、反応性官能基を有するモノマーから誘導された構成単位の量の割合(含有量)は、1~20質量%であることが好ましく、2~10質量%であることがより好ましい。前記割合がこのような範囲であることで、前記重合体(b)において、架橋の程度がより好ましい範囲となる。
エネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)の重量平均分子量(Mw)は、組成物(IV)の造膜性がより良好となる点から、10,000~2,000,000であることが好ましく、100,000~1,500,000であることがより好ましい。
組成物(x1-2-1)及び第一エネルギー線硬化性樹脂フィルム(x1-2)が含有する、エネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
組成物(x1-2-1)としては、前記重合体(a1)及び前記化合物(a2)のいずれか一方又は両方を含有するものが挙げられる。そして、組成物(x1-2-1)は、前記化合物(a2)を含有する場合、さらにエネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)も含有することが好ましく、この場合、さらに前記(a1)を含有することも好ましい。また、組成物(x1-2-1)は、前記化合物(a2)を含有せず、前記重合体(a1)、及びエネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)をともに含有していてもよい。
組成物(x1-2-1)が、前記重合体(a1)、前記化合物(a2)及びエネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)を含有する場合、組成物(x1-2-1)において、前記化合物(a2)の含有量は、前記重合体(a1)及びエネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)の総含有量100質量部に対して、10~400質量部であることが好ましく、30~350質量部であることがより好ましい。
組成物(x1-2-1)において、溶媒以外の成分の総含有量に対する、前記エネルギー線硬化性成分(a)及びエネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)の合計含有量の割合(すなわち、第一エネルギー線硬化性樹脂フィルム(x1-2)における、前記フィルムの総質量に対する、前記エネルギー線硬化性成分(a)及びエネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)の合計含有量の割合)は、5~90質量%であることが好ましく、10~80質量%であることがより好ましく、20~70質量%であることが特に好ましい。前記割合がこのような範囲であることで、第一エネルギー線硬化性樹脂フィルム(x1-2)のエネルギー線硬化性がより良好となる。
(充填材)
組成物(x1-2-1)及び第一エネルギー線硬化性樹脂フィルム(x1-2)中の充填材の量を調節することで、前記X値をより容易に調節できる。また、組成物(x1-2-1)及び第一エネルギー線硬化性樹脂フィルム(x1-2)中の充填材の量を調節することで、第一エネルギー線硬化性樹脂フィルム(x1-2)の硬化物の熱膨張係数を、より容易に調節でき、例えば、第一エネルギー線硬化性樹脂フィルム(x1-2)の硬化物の熱膨張係数を保護膜の形成対象物に対して最適化することで、第一エネルギー線硬化性樹脂フィルム(x1-2)を用いて得られたパッケージの信頼性がより向上する。また、充填材を含有する第一エネルギー線硬化性樹脂フィルム(x1-2)を用いることにより、第一エネルギー線硬化性樹脂フィルム(x1-2)の硬化物の吸湿率を低減したり、放熱性を向上させたりすることもできる。
組成物(x1-2-1)及び第一エネルギー線硬化性樹脂フィルム(x1-2)が含有する前記充填材は、先に説明した組成物(x1-1-1)及び第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)が含有する充填材(D)と同じである。
組成物(x1-2-1)及び第一エネルギー線硬化性樹脂フィルム(x1-2)の充填材の含有の態様は、組成物(x1-1-1)及び第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)の充填材(D)の含有の態様と同様であってよい。
組成物(x1-2-1)及び第一エネルギー線硬化性樹脂フィルム(x1-2)が含有する充填材は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
組成物(x1-2-1)において、溶媒以外の全ての成分の総含有量に対する充填材の含有量の割合(すなわち、第一エネルギー線硬化性樹脂フィルム(x1-2)における、第一エネルギー線硬化性樹脂フィルム(x1-2)の総質量に対する、充填材の含有量の割合)は、例えば、5~45質量%であってよい。前記割合がこのような範囲であることで、半導体チップ作製用ウエハのバンプ形成面に第一エネルギー硬化性樹脂フィルム(x1-2)を貼付したときに、バンプの上部での第一エネルギー硬化性樹脂フィルム(x1-2)の残存を抑制する効果、第一エネルギー硬化性樹脂フィルム(x1-2)のはみ出しを抑制する効果、バンプ形成面上での第一エネルギー硬化性樹脂フィルム(x1-2)及びその硬化物のハジキを抑制する効果、並びに溝部への第一エネルギー硬化性樹脂フィルム(x1-2)の埋め込み性の向上効果が、より高くなるとともに、上記の熱膨張係数を、さらに容易に調節できる。
(添加剤)
組成物(x1-2-1)及び第一エネルギー線硬化性樹脂フィルム(x1-2)中の添加剤の種類又は量を調節することで、前記X値をより容易に調節できる。
組成物(x1-2-1)及び第一エネルギー線硬化性樹脂フィルム(x1-2)が含有する前記添加剤は、先に説明した組成物(x1-1-1)及び第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-2)が含有する添加剤(I)と同じである。
例えば、前記X値をより容易に調節できる点で好ましい添加剤としては、レオロジーコントロール剤、界面活性剤、シリコーンオイル等が挙げられる。
組成物(x1-2-1)及び第一エネルギー線硬化性樹脂フィルム(x1-2)の添加剤の含有の態様は、組成物(X1-1-1)及び第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)の添加剤(I)の含有の態様と同様であってよい。
組成物(x1-2-1)及び第一エネルギー線硬化性樹脂フィルム(x1-2)が含有する添加剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
組成物(x1-2-1)及び第一エネルギー線硬化性樹脂フィルム(x1-2)の添加剤の含有量は、特に限定されず、その種類や目的に応じて、適宜調節できる。
例えば、前記X値の調節が目的である場合には、組成物(x1-2-1)において、溶媒以外の全ての成分の総含有量に対する添加剤の含有量の割合(すなわち、第一エネルギー線硬化性樹脂フィルム(x1-2)における、第一エネルギー線硬化性樹脂フィルム(x1-2)の総質量に対する、添加剤の含有量の割合)は、例えば、0.5~10質量%であってもよい。
(他の成分)
組成物(x1-2-1)及び第一エネルギー線硬化性樹脂フィルム(x1-2)は、本発明の効果を損なわない範囲内において、エネルギー線硬化性成分(a)と、前記充填材と、前記添加剤と、のいずれにも該当しない、他の成分を含有していてもよい。
前記他の成分としては、例えば、熱硬化性成分、光重合開始剤、カップリング剤、架橋剤等が挙げられる。例えば、前記エネルギー線硬化性成分(a)及び熱硬化性成分を含有する組成物(x1-2-1)を用いることにより、第一エネルギー線硬化性樹脂フィルム(x1-2)は、その加熱によって被着体に対する接着力が向上し、この第一エネルギー線硬化性樹脂フィルム(x1-2)の硬化物の強度も向上する。
組成物(x1-2-1)における前記熱硬化性成分、光重合開始剤、カップリング剤、及び架橋剤としては、それぞれ、組成物(x1-1-1)における熱硬化性成分(B)、光重合開始剤、カップリング剤(E)、及び架橋剤(F)と同じものが挙げられる。
組成物(x1-2-1)及び第一エネルギー線硬化性樹脂フィルム(x1-2)が含有する前記他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
組成物(x1-2-1)及び第一エネルギー線硬化性樹脂フィルム(x1-2)の前記他の成分の含有量は、特に限定されず、目的に応じて適宜選択すればよい。
(溶媒)
組成物(x1-2-1)は、さらに溶媒を含有することが好ましい。溶媒を含有する組成物(x1-2-1)は、取り扱い性が良好となる。
組成物(x1-2-1)が含有する溶媒としては、例えば、先に説明した組成物(x1-1-1)が含有する溶媒と同じものが挙げられる。
組成物(x1-2-1)が含有する溶媒は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
組成物(x1-2-1)の溶媒の含有量は、特に限定されず、例えば、溶媒以外の成分の種類に応じて適宜選択すればよい。
<第一エネルギー線硬化性保護膜形成用組成物(x1-2-1)の製造方法>
第一エネルギー線硬化性樹脂フィルム形成用組成物(x1-2-1)は、これを構成するための各成分を配合することで得られる。
第一エネルギー線硬化性樹脂フィルム形成用組成物(x1-2-1)は、例えば、配合成分の種類が異なる点を除けば、先に説明した第一熱硬化性樹脂フィルム形成用組成物(x1-1-1)の場合と同じ方法で製造できる。
[第一複合シート(α1)]
第一硬化性樹脂フィルム(x1)は、既述のように、第一支持シート(Y1)と積層することで、第一複合シート(α1)を構成することができる。
なお、以下の説明では、「第一硬化性樹脂フィルム(x1)」を、単に「第一硬化性樹脂(x1)」ともいう
第一複合シート(α1)の構成例を図3に示す。
第一複合シート(α1)は、図3に示す第一複合シート(α1)のように、第一支持シート(Y1)の一方の面に第一硬化性樹脂(x1)の層(X1)が備えられている。第一支持シート(Y1)の一方の面に第一硬化性樹脂(x1)の層(X1)が備えられることで、製品パッケージとして第一硬化性樹脂(x1)の層(X1)を運搬したり、工程内において第一硬化性樹脂(x1)の層(X1)を搬送したりする際に、第一硬化性樹脂(x1)の層(X1)が安定的に支持・保護される。
また、第一複合シート(α1)の具体的な構成例を図4~図6に示す。
第一複合シート(α1)は、図4に示す第一複合シート(α1a)のように、第一支持シート(Y1)は基材51であり、基材51の一方の面に第一硬化性樹脂(x1)の層(X1)が備えられている。
また、第一複合シート(α1)は、図5に示す第一複合シート(α1b)のように、第一支持シート(Y1)は基材51と粘着剤層61とを積層した粘着シートであり、当該粘着シートの粘着剤層61と第一硬化性樹脂(x1)の層(X1)とが貼合されていてもよい。
さらに、第一複合シート(α1)は、図6に示す第一複合シート(α1c)のように、第一支持シート(Y1)は基材51と中間層71と粘着剤層61とをこの順で積層した粘着シートであり、当該粘着シートの粘着剤層61と第一硬化性樹脂(x1)の層(X1)とが貼合されていてもよい。基材51と中間層71と粘着剤層61とをこの順で積層した粘着シートは、バックグラインドテープとして好適に用いることができる。すなわち、図6に示す第一複合シート(α1c)は、第一支持シート(Y1)としてバックグラインドテープを有するため、第一複合シート(α1c)の第一硬化性樹脂(x1)の層(X1)と、半導体チップ作製用ウエハのバンプ形成面とを貼合した後、半導体チップ作製用ウエハの裏面を研削して薄化処理する際に、好適に用いることができる。
以下、第一複合シート(α1)に用いられる第一硬化性樹脂(x1)及び、第一支持シート(Y1)について説明する。
<第一支持シート(Y1)>
第一支持シート(Y1)は、第一硬化性樹脂(x1)を支持するための支持体として機能する。
第一支持シート(Y1)は、図4に示すように、基材51のみから構成されていてもよく、図5に示すように、基材51と粘着剤層61との積層体であってもよく、図6に示すように、基材51と中間層71と粘着剤層61とがこの順で積層された積層体であってもよい。基材51と中間層71と粘着剤層61とがこの順で積層された積層体は、バックグラインドシート(b-BG)としての使用に好適である。
以下、第一支持シート(Y1)が有する基材、第一支持シート(Y1)が有していてもよい粘着剤層及び中間層について説明する。
(基材)
基材は、シート状又はフィルム状のものであり、その構成材料としては、例えば、以下の各種樹脂が挙げられる。
基材を構成する樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等のポリエチレン;ポリプロピレン、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン、ノルボルネン樹脂等のポリエチレン以外のポリオレフィン;エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン-ノルボルネン共重合体等のエチレン系共重合体(モノマーとしてエチレンを用いて得られた共重合体);ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂(モノマーとして塩化ビニルを用いて得られた樹脂);ポリスチレン;ポリシクロオレフィン;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレン-2,6-ナフタレンジカルボキシレート、すべての構成単位が芳香族環式基を有する全芳香族ポリエステル等のポリエステル;2種以上の前記ポリエステルの共重合体;ポリ(メタ)アクリル酸エステル;ポリウレタン;ポリウレタンアクリレート;ポリイミド;ポリアミド;ポリカーボネート;フッ素樹脂;ポリアセタール;変性ポリフェニレンオキシド;ポリフェニレンスルフィド;ポリスルホン;ポリエーテルケトン等が挙げられる。
また、基材を構成する樹脂としては、例えば、前記ポリエステルとそれ以外の樹脂との混合物等のポリマーアロイも挙げられる。前記ポリエステルとそれ以外の樹脂とのポリマーアロイは、ポリエステル以外の樹脂の量が比較的少量であるものが好ましい。
また、基材を構成する樹脂としては、例えば、ここまでに例示した前記樹脂のうちの1種又は2種以上が架橋した架橋樹脂;ここまでに例示した前記樹脂のうちの1種又は2種以上を用いたアイオノマー等の変性樹脂も挙げられる。
基材を構成する樹脂は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。基材を構成する樹脂が2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
基材は1層(単層)のみでもよいし、2層以上の複数層でもよい。基材が複数層である場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは特に限定されない。
基材の厚さは、5μm~1,000μmであることが好ましく、10μm~500μmであることがより好ましく、15μm~300μmであることが更に好ましく、20μm~150μmであることがより更に好ましい。
ここで、「基材の厚さ」とは、基材全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる基材の厚さとは、基材を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
基材は、厚さの精度が高いもの、即ち、部位によらず厚さのばらつきが抑制されたものが好ましい。上述の構成材料のうち、このような、基材を構成するのに使用可能な厚さの精度が高い材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリエチレン以外のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、エチレン-酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。
基材は、前記樹脂等の主たる構成材料以外に、充填材、着色剤、帯電防止剤、酸化防止剤、有機滑剤、触媒、軟化剤(可塑剤)等の公知の各種添加剤を含有していてもよい。
基材は、透明であってもよいし、不透明であってもよく、目的に応じて着色されていてもよいし、あるいは、他の層が蒸着されていてもよい。また、第一硬化性樹脂フィルム(x1)が第一エネルギー線硬化性樹脂フィルム(x1-2)である場合、及び粘着剤層がエネルギー性硬化性の粘着剤層である場合、基材はエネルギー線を透過させるものであることが好ましい。
基材は、公知の方法で製造できる。例えば、樹脂を含有する基材は、前記樹脂を含有する樹脂組成物を成形することで製造できる。
(粘着剤層)
粘着剤層は、シート状又はフィルム状であり、粘着剤を含有する。
粘着剤としては、例えば、アクリル系樹脂((メタ)アクリロイル基を有する樹脂からなる粘着剤)、ウレタン系樹脂(ウレタン結合を有する樹脂からなる粘着剤)、ゴム系樹脂(ゴム構造を有する樹脂からなる粘着剤)、シリコーン系樹脂(シロキサン結合を有する樹脂からなる粘着剤)、エポキシ系樹脂(エポキシ基を有する樹脂からなる粘着剤)、ポリビニルエーテル、ポリカーボネート等の粘着性樹脂が挙げられる。これらの中でも、アクリル系樹脂が好ましい。
なお、本発明において、「粘着性樹脂」とは、粘着性を有する樹脂と、接着性を有する樹脂と、の両方を含む概念であり、例えば、樹脂自体が粘着性を有するものだけでなく、添加剤等の他の成分との併用によって粘着性を示す樹脂や、熱又は水等のトリガーの存在によって接着性を示す樹脂等も含む。
粘着剤層は1層(単層)のみでもよいし、2層以上の複数層でもよい。粘着剤層が複数層である場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは特に限定されない。
粘着剤層の厚さは1μm~1000μmであることが好ましく、5μm~500μmであることがより好ましく、10μm~100μmであることが更に好ましい。ここで、「粘着剤層の厚さ」とは、粘着剤層全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる粘着剤層の厚さとは、粘着剤層を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
粘着剤層は、エネルギー線硬化性粘着剤を用いて形成されたものでもよいし、非エネルギー線硬化性粘着剤を用いて形成されたものでもよい。エネルギー線硬化性の粘着剤を用いて形成された粘着剤層は、硬化前及び硬化後での物性を容易に調節できる。
(中間層)
中間層は、シート状又はフィルム状であり、その構成材料は目的に応じて適宜選択すればよく、特に限定されない。例えば、半導体表面を覆う保護膜に、半導体表面に存在するバンプの形状が反映されることによって、保護膜(X)が変形してしまうのを抑制することを目的とする場合、中間層の好ましい構成材料としては、凹凸追従性が高く、中間層の貼付性がより向上する点から、ウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
中間層は1層(単層)のみでもよいし、2層以上の複数層でもよい。中間層が複数層である場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは特に限定されない。
中間層の厚さは、保護対象となる半導体表面のバンプの高さに応じて適宜調節できるが、比較的高さが高いバンプの影響も容易に吸収できる点から、50μm~600μmであることが好ましく、70μm~500μmであることがより好ましく、80μm~400μmであることが更に好ましい。ここで、「中間層の厚さ」とは、中間層全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる中間層の厚さとは、中間層を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
次に、第一複合シート(α1)の製造方法について説明する。
[第一複合シート(α1)の製造方法]
第一複合シート(α1)は、上記の各層を対応する位置関係となるように順次積層することで製造することができる。
例えば、第一支持シート(Y1)を製造する際に、基材上に粘着剤層又は中間層を積層する場合には、基材上に粘着剤組成物又は中間層形成用組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させるか、又はエネルギー線を照射することで、粘着剤層又は中間層を積層できる。
塗工方法としては、例えば、スピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ロールナイフコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法等が挙げられる。
一方、例えば、基材上に積層済みの粘着剤層の上に、さらに第一硬化性樹脂フィルム(x1)を積層する場合には、粘着剤層上に第一熱硬化性樹脂組成物(x1-1-1)又は第一エネルギー線硬化性樹脂組成物(x1-2-1)を塗工して、第一硬化性樹脂(x1)の層(X1)を直接形成することが可能である。
同様に、基材上に積層済みの中間層の上に、さらに粘着剤層を積層する場合には、中間層上に粘着剤組成物を塗工して、粘着剤層を直接形成することが可能である。
このように、いずれかの組成物を用いて、連続する2層の積層構造を形成する場合には、前記組成物から形成された層の上に、さらに組成物を塗工して新たに層を形成することが可能である。ただし、これら2層のうちの後から積層する層は、別の剥離フィルム上に前記組成物を用いてあらかじめ形成しておき、この形成済みの層の前記剥離フィルムと接触している側とは反対側の露出面を、既に形成済みの残りの層の露出面と貼り合わせることで、連続する2層の積層構造を形成することが好ましい。このとき、前記組成物は、剥離フィルムの剥離処理面に塗工することが好ましい。剥離フィルムは、積層構造の形成後、必要に応じて取り除けばよい。
<第二硬化性樹脂フィルム(x2)>
本発明のキットは、第二硬化性樹脂フィルム(x2)を含む。
第二硬化性樹脂フィルム(x2)は、バンプを備えるバンプ形成面を有する半導体チップの前記バンプ形成面とは反対側の面(裏面)に保護膜としての第二硬化樹脂膜(r2)を形成するために用いられる。
第二硬化性樹脂フィルム(x2)(以下、単に「第二硬化性樹脂(x2)」ともいう)は、半導体チップの裏面保護膜を形成するために用いられる一般的な硬化性樹脂フィルムを適宜用いることができ、例えば、上記の第一硬化性樹脂フィルム(x1)と同様の材質及び構成であってもよい。
但し、一般に半導体ウエハの裏面にはバンプや溝部は存在せず平滑であるため、第一硬化性樹脂フィルム(x1)における好ましい条件である要件(I)を満たすことは、第二硬化性樹脂フィルム(x2)に対しては求められない。したがって、第二硬化性樹脂(x2)において、X値は、18以下であってもよく、また、10,000以上であってもよい。
(着色剤(J))
ここで、レーザーマーキングにより形成される印字の視認性の向上の観点、半導体チップ裏面の研削痕を見えにくくして半導体チップの意匠性を向上させる観点等から、第二硬化性樹脂(x2)及び第二硬化性樹脂(x2)を形成するための硬化性樹脂フィルム形成用組成物は、着色剤(J)を含有することが好ましい。
着色剤(J)としては、例えば、無機系顔料、有機系顔料、有機系染料等、公知のものが挙げられる。
前記有機系顔料及び有機系染料としては、例えば、アミニウム系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、クロコニウム系色素、スクアリウム系色素、アズレニウム系色素、ポリメチン系色素、ナフトキノン系色素、ピリリウム系色素、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素、ナフトラクタム系色素、アゾ系色素、縮合アゾ系色素、インジゴ系色素、ペリノン系色素、ペリレン系色素、ジオキサジン系色素、キナクリドン系色素、イソインドリノン系色素、キノフタロン系色素、ピロール系色素、チオインジゴ系色素、金属錯体系色素(金属錯塩染料)、ジチオール金属錯体系色素、インドールフェノール系色素、トリアリルメタン系色素、アントラキノン系色素、ナフトール系色素、アゾメチン系色素、ベンズイミダゾロン系色素、ピランスロン系色素及びスレン系色等が挙げられる。
前記無機系顔料としては、例えば、カーボンブラック、コバルト系色素、鉄系色素、クロム系色素、チタン系色素、バナジウム系色素、ジルコニウム系色素、モリブデン系色素、ルテニウム系色素、白金系色素、ITO(インジウムスズオキサイド)系色素、ATO(アンチモンスズオキサイド)系色素等が挙げられる。
第二硬化性樹脂(x2)及び第二硬化性樹脂(x2)を形成するための硬化性樹脂フィルム形成用組成物が含有する着色剤(J)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。着色剤(J)が、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
着色剤(J)を用いる場合、第二硬化性樹脂(x2)の着色剤(J)の含有量は、目的に応じて適宜調節すればよい。例えば、既述のように、第二硬化性樹脂(x2)を硬化することで形成される硬化物である第二硬化樹脂膜(r2)はレーザー照射により印字が施される場合があり、第二硬化性樹脂(x2)の着色剤(J)の含有量を調節し、保護膜の光透過性を調節することにより、印字視認性を調節できる。また、熱硬化性保護膜形成用フィルムの着色剤(J)の含有量を調節することで、保護膜の意匠性を向上させ、半導体ウエハの裏面の研削痕を見えにくくすることもできる。これらの点を考慮すると、第二硬化性樹脂(x2)を形成するための硬化性樹脂フィルム形成用組成物において、溶媒以外の全ての成分の総含有量(保護膜形成用組成物(III-1)の固形分の総質量ともいう)に対する着色剤(J)の含有量の割合(すなわち、熱硬化性保護膜形成用フィルムの着色剤(J)の含有量)は、0.1~10質量%であることが好ましく、0.1~7.5質量%であることがより好ましく、0.1~5質量%であることが特に好ましい。着色剤(J)の前記含有量が前記下限値以上であることで、着色剤(J)を用いたことによる効果がより顕著に得られる。また、着色剤(J)の前記含有量が前記上限値以下であることで、第二硬化性樹脂(x2)の光透過性の過度な低下が抑制される。
(第二硬化性樹脂フィルム(x2)の好適な物性)
第二硬化性樹脂フィルム(x2)は、第一硬化樹脂膜(r1)との密着性が高いことが好ましい。これにより、後述する第二複合シート(α2)の第二硬化性樹脂フィルム(x2)をウエハの裏面に貼付する後、第二支持シート(Y2)を第二硬化性樹脂フィルム(x2)から剥離する際に、第二硬化性樹脂フィルム(x2)が第一硬化樹脂膜(r1)及びウエハの裏面から剥離することなくしっかりと密着する。
また、第二硬化性樹脂フィルム(x2)をウエハの裏面に貼付する際に、貼付位置等に誤りがあった場合にこれを修正する観点から、第二硬化性樹脂フィルム(x2)は、ウエハの裏面から剥離しやすい(換言すれば、リワーク性の高い)フィルムであることが好ましい。
具体的には、第二硬化性樹脂フィルム(x2)と第一硬化樹脂膜(r1)との密着性の観点から、第一硬化樹脂膜(r1)と第二硬化性樹脂フィルム(x2)との間の剥離力は、25mN/25mm以上であることが好ましく、28mN/25mm以上であることがより好ましく、30mN/25mm以上であることが更に好ましい。
また、第二硬化性樹脂フィルム(x2)のリワーク性を向上させる観点から、第一硬化樹脂膜(r1)と第二硬化性樹脂フィルム(x2)との間の剥離力は、700mN/25mm未満であることが好ましく、600N/25mm以下であることがより好ましく、500mN/25mm以下であることが更に好ましく、400mN/25mm以上であることがより更に好ましく、300mN/25mm以下であることが更に好ましい。
なお、第一硬化樹脂膜(r1)と第二硬化性樹脂フィルム(x2)との間の剥離力は、例えば、第二硬化性樹脂フィルム(x2)中の充填剤の径の大小によって調整することが可能である。
なお、第一硬化樹脂膜(r1)と第二硬化性樹脂フィルム(x2)との間の剥離力は、温度23℃、相対湿度50%の環境下において、万能型引張試験機(株式会社オリエンテック製、型番:テンシロンRTC-1210A)を用いて、JIS Z0237:2009の剥離力の測定法に準拠して、剥離角度180°、剥離速度300mm/minの条件で測定することができる。
また、第2硬化性樹脂フィルム(x2)のシリコンウエハ(鏡面)に対する剥離力は、リワーク性を向上させる観点から、3,000mN/25mm以下が好ましく、1,000mN/25mm以下がより好ましく、700mN/25mm以下が特に好ましい。
なお、第2硬化性樹脂フィルム(x2)のシリコンウエハ(鏡面)に対する剥離力は、温度23℃、相対湿度50%の環境下において、万能型引張試験機(株式会社オリエンテック製、型番:テンシロンRTC-1210A)を用いて、JIS Z0237:2009の剥離力の測定法に準拠して、剥離角度180°、剥離速度300mm/minの条件で測定することができる。
さらに、第二硬化性樹脂フィルム(x2)を硬化して第二硬化樹脂膜(r2)を形成した際、当該第二硬化性樹脂膜(r2)が第一硬化樹脂膜(r1)及びウエハの裏面から剥離することなくしっかりと密着することが好ましい。
[第二複合シート(α2)]
第二複合シート(α2)は、半導体ウエハの裏面に保護膜を形成することが可能な構成であれば特に限定されず、例えば、第一複合シート(α1)と同様の構成を採用することができる。
また、第二複合シート(α2)が有する第二支持シート(Y2)は、上記の第一支持シート(Y1)と同様の構成であってもよい。具体的には、第二支持シート(Y2)は、第一支持シート(Y1)と同様、図4に示すような基材51のみからなるものであってもよく、図5に示すような基材51と粘着剤層61とが積層された粘着シートであってもよく、図6に示すような基材51と中間層71と粘着剤層61とが積層された粘着シートであってもよい。
第二支持シート(Y2)が有する基材、中間層、及び粘着剤層は、第一支持シート(Y1)が有する基材、中間層、及び粘着剤層と同様の構成及び材質であってもよい。
なお、第二硬化性樹脂フィルム(x2)が熱硬化性である場合、第二支持シート(Y2)は、熱硬化工程での収縮や溶融を抑制する観点から、耐熱性に優れることが好ましい。また、第二硬化性樹脂フィルム(x2)がエネルギー線硬化性である場合、第二支持シート(Y2)は、エネルギー線透過性を有することが好ましい。
[キットの使用方法]
本発明のキットは、第一硬化性樹脂フィルム(x1)を、バンプを備えるバンプ形成面を有する半導体チップの前記バンプ形成面および側面の双方に保護膜としての第一硬化樹脂膜(r1)を形成するために使用し、かつ第二硬化性樹脂フィルム(x2)を、前記半導体チップの前記バンプ形成面とは反対側の面に保護膜としての第二硬化樹脂膜(r2)を形成するために使用する。
より詳細には、本発明のキットは、バンプを備えるバンプ形成面及び分割予定ラインとしての溝部を有する半導体チップ作製用ウエハを用いた、後述する半導体チップの製造方法により、第一硬化性樹脂フィルム(x1)を、バンプを備えるバンプ形成面を有する半導体チップの前記バンプ形成面および側面の双方に保護膜としての第一硬化樹脂膜(r1)を形成するために使用し、かつ第二硬化性樹脂フィルム(x2)を、前記半導体チップの前記バンプ形成面とは反対側の面に保護膜としての第二硬化樹脂膜(r2)を形成するために使用する。
[本発明の半導体チップの製造方法]
本発明の半導体チップの製造方法は、下記工程(S)及び下記工程(T)を含む。
・工程(S):前記キットの第一硬化性樹脂フィルム(x1)を用いて、バンプを備えるバンプ形成面を有する半導体チップの前記バンプ形成面および側面の双方に保護膜としての第一硬化樹脂膜(r1)を形成する工程
・工程(T):前記キットの第二硬化性樹脂フィルム(x2)を用いて、前記半導体チップの前記バンプ形成面とは反対側の面に保護膜としての第二硬化樹脂膜(r2)を形成する工程
本発明の半導体チップの製造方法の一態様において、工程(S)は、工程(S1)~工程(S4)、さらには工程(S-BG)を含む。
ここで、本発明の一態様の半導体チップの製造方法の工程概略図を図7に示す。
本発明の一態様の半導体チップの製造方法において、工程(S)は、大まかには、半導体チップ作製用ウエハを準備する工程(S1)、第一硬化性樹脂フィルム(x1)を貼付する工程(S2)、第一硬化性樹脂(x1)を硬化する工程(S3)、及び個片化する工程(S4)を含み、さらに半導体チップ作製用ウエハの裏面を研削する工程(S-BG)を含む。
本発明の半導体チップの製造方法は、上記のとおり、本発明のキットを用いて実施される。
詳細には、本発明の一態様の半導体チップの製造方法において、工程(S)は、下記工程(S1)~(S4)をこの順で含む。
・工程(S1):バンプを備えるバンプ形成面を有する半導体ウエハの前記バンプ形成面に、分割予定ラインとしての溝部が裏面に到達することなく形成されている半導体チップ作製用ウエハを準備する工程
・工程(S2):前記半導体チップ作製用ウエハの前記バンプ形成面に、本発明のキットの第一硬化性樹脂(x1)を押圧して貼付し、前記半導体チップ作製用ウエハの前記バンプ形成面を第一硬化性樹脂(x1)で被覆すると共に、前記半導体チップ作製用ウエハに形成されている前記溝部に前記第一硬化性樹脂(x1)を埋め込む工程
・工程(S3):前記第一硬化性樹脂(x1)を硬化させて、第一硬化樹脂膜(r1)付き半導体チップ作製用ウエハを得る工程
・工程(S4):前記第一硬化樹脂膜(r1)付き半導体チップ作製用ウエハを前記分割予定ラインに沿って個片化する工程
さらに、前記工程(S2)の後で且つ前記工程(S3)の前、前記工程(S3)の後で且つ前記工程(S4)の前、又は前記工程(S4)において、下記工程(S-BG)を含み、
・工程(S-BG):前記半導体チップ作製用ウエハの前記裏面を研削する工程
本発明のキットを用いた、工程(S)及び工程(T)を含む製造方法により、半導体チップのバンプ形成面だけでなく、側面も第一硬化樹脂膜(r1)で被覆され、更に半導体チップの裏面も第二硬化樹脂膜(r2)で被覆される。したがって、強度に優れると共に、保護膜としての第一硬化樹脂膜(r1)の剥がれも起こりにくい半導体チップが得られる。
なお、ここでいう「被覆された」とは、1つの半導体チップのバンプ形成面と側面とに、半導体チップの形状に沿って第一硬化樹脂膜(r1)を形成し、半導体チップの裏面に第二硬化樹脂膜(r2)を形成したことを意味する。すなわち、本発明は、複数の半導体チップを樹脂中の閉じ込める封止技術とは明確に相違する。
以下、本発明の半導体チップの製造方法について、工程毎に詳述する。
なお、以降の説明では、「半導体チップ」を単に「チップ」ともいい、「半導体ウエハ」を単に「ウエハ」ともいう。
[工程(S1)]
工程(S1)で準備する半導体ウエハの一例について、上面図を図8に示し、概略断面図を図9に示す。
工程(S1)では、バンプ12を備えるバンプ形成面11aを有する半導体ウエハ11のバンプ形成面11aに、分割予定ラインとしての溝部13が裏面11bに到達することなく形成されている、半導体チップ作製用ウエハ10を準備する。
なお、図8中、バンプは図示省略している。
バンプ12の形状は、特に限定されず、チップ搭載用の基板上の電極等に接触させて固定させることが可能であれば、いかなる形状であってもよい。
例えば、図9では、バンプ12を球状としているが、バンプ12は回転楕円体であってもよい。当該回転楕円体は、例えば、ウエハ11のバンプ形成面11aに対して垂直方向に引き延ばされた回転楕円体であってもよいし、ウエハ11のバンプ形成面11aに対して水平方向に引き延ばされた回転楕円体であってもよい。また、バンプ12はピラー(柱)形状であってもよい。
バンプ12の高さは、特に限定されず、設計上の要求に応じて適宜変更される。
例示すると、30μm~300μmであり、好ましくは60μm~250μm、より好ましくは80μm~200μmである。
なお、「バンプ12の高さ」とは、1つのバンプに着目したときに、バンプ形成面11aから最も高い位置に存在する部位での高さを意味する。
バンプ12の個数についても、特に限定されず、設計上の要求に応じて適宜変更される。
ウエハ11は、例えば、配線、キャパシタ、ダイオード、及びトランジスタ等の回路が表面に形成された半導体ウエハである。当該ウエハの材質は特に限定されず、例えば、シリコンウエハ、シリコンカーバイドウエハ、化合物半導体ウエハ、ガラスウエハ、及びサファイアウエハ等が挙げられる。
ウエハ11のサイズは、特に限定されないが、バッチ処理効率を高める観点から、通常8インチ(直径200mm)以上であり、好ましくは12インチ(直径300mm)以上である。なお、ウエハの形状は、円形には限定されず、例えば正方形や長方形等の角型であってもよい。角型のウエハの場合、ウエハ11のサイズは、バッチ処理効率を高める観点から、最も長い辺の長さが、上記サイズ(直径)以上であることが好ましい。
ウエハ11の厚みは、特に限定されないが、第一硬化性樹脂(x1)を硬化する際の収縮に伴う反りを抑制しやすくする観点、後の工程においてウエハ11の裏面11bの研削量を抑えて裏面研削に要する時間を短くする観点から、好ましくは100μm~1,000μm、より好ましくは200μm~900μm、更に好ましくは300μm~800μmである。
工程(S1)で準備する半導体チップ作製用ウエハ10のバンプ形成面11aには、半導体チップ作製用ウエハ10を個片化する際の分割予定ラインとして、複数の溝部13が格子状に形成されている。複数の溝部13は、ブレード先ダイシング法(Dicing Before Grinding)を適用する際に形成される切り込み溝であり、ウエハ11の厚さよりも浅い深さで形成され、溝部13の最深部がウエハ11の裏面11bに到達しないようにしている。複数の溝部13は、従来公知の、ダイシングブレードを備えるウエハダイシング装置等を用いたダイシングによって形成することができる。なお、複数の溝部13は、ブレードではなく、レーザー等を用いたダイシングによって形成することもできる。
なお、複数の溝部13は、製造する半導体チップが所望のサイズ及び形状になるように形成すればよく、必ずしも図8に示すような格子状に溝部13を形成せずともよい。また、半導体チップのサイズは、通常、0.5mm×0.5mm~1.0mm×1.0mm程度であるが、このサイズには限定されない。
溝部13の幅は、第一硬化性樹脂(x1)の埋め込み性を良好にする観点から、好ましくは10μm~2,000μmであり、より好ましくは30μm~1,000μm、更に好ましくは40μm~500μm、より更に好ましくは50μm~300μmである。
溝部13の深さは、使用するウエハの厚さと要求されるチップ厚さとに応じて調整され、好ましくは30μm~700μm、より好ましくは60μm~600μm、更に好ましくは100μm~500μmである。
溝13のアスペクト比は、2~6であってもよく、2.5~5であってもよく、3~5であってもよい。
工程(S1)で準備した半導体チップ作製用ウエハ10は、工程(S2)に供される。
[工程(S2)]
工程(S2)の概略を図10に示す。
工程(S2)では、半導体チップ作製用ウエハ10のバンプ形成面11aに、本発明のキットの第一硬化性樹脂(x1)を押圧して貼付する。
ここで、本発明のキットに含まれる第一硬化性樹脂(x1)は、その取扱性の観点から、支持シートに積層されて用いられることが好ましい。
したがって、工程(S2)では、半導体チップ作製用ウエハ10のバンプ形成面11aに、第一支持シート(Y1)と第一硬化性樹脂(x1)の層(X1)とが積層された積層構造を有する第一複合シート(α1)を、前記層(X1)を貼付面として押圧して貼付することが好ましい。
工程(S2)により、図4に示すように、半導体チップ作製用ウエハ10のバンプ形成面11aを第一硬化性樹脂(x1)で被覆すると共に、半導体チップ作製用ウエハ10に形成されている溝部13に第一硬化性樹脂(x1)が埋め込まれる。
半導体チップ作製用ウエハ10に形成されている溝部13に第一硬化性樹脂(x1)を埋め込むことにより、工程(S4)において半導体チップ作製用ウエハ10を個片化する際に半導体チップの側面となる部分を第一硬化性樹脂(x1)で被覆することができる。つまり、半導体チップの強度を優れたものにすると共に、保護膜としての第一硬化樹脂膜(r1)の剥がれを抑制するために必要となる、半導体チップ側面を被覆する第一硬化樹脂膜(r1)の前駆体となる被覆物を、工程(S2)により形成することができる。
なお、第一複合シート(α1)を半導体チップ作製用ウエハ10に貼付する際の押圧力は、第一硬化性樹脂(x1)の溝部13への埋め込み性を良好なものとする観点から、好ましくは1kPa~200kPa、より好ましくは5kPa~150kPa、更に好ましくは10kPa~100kPaである。
なお、第一複合シート(α1)を半導体チップ作製用ウエハ10に貼付する際の押圧力は、貼付初期から終期にかけて適宜変動させてもよい。例えば、溝部13への第一硬化性樹脂(x1)の埋め込み性をより良好なものとする観点から、押圧力を、貼付初期には低くし、徐々に押圧力を高めることが好ましい。
また、第一複合シート(α1)を半導体チップ作製用ウエハ10に貼付する際、第一硬化性樹脂(x1)が熱硬化性樹脂である場合には、第一硬化性樹脂(x1)の溝部13への埋め込み性をより良好なものとする観点から、加熱を行うことが好ましい。第一硬化性樹脂(x1)が熱硬化性樹脂である場合、第一硬化性樹脂(x1)は、加熱することで流動性が一時的に高まり、加熱を続けることで硬化する。そこで、第一硬化性樹脂(x1)の流動性が向上する範囲内で加熱を行うことにより、第一硬化性樹脂(x1)が溝部13全体に行き渡りやすくなり、第一硬化性樹脂(x1)の溝部13への埋め込み性がより向上し得る。
具体的な加熱温度(貼付温度)としては、好ましくは50℃~150℃、より好ましくは60℃~130℃、更に好ましくは70℃~110℃である。
なお、第一硬化性樹脂(x1)に対して行う当該加熱処理は、第一硬化性樹脂(x1)の硬化処理には含まれない。
さらに、第一複合シート(α1)を半導体チップ作製用ウエハ10に貼付する際、減圧環境下で行うことが好ましい。これにより、溝部13が負圧となり、第一硬化性樹脂(x1)が溝部13全体に行き渡りやすくなる。その結果、第一硬化性樹脂(x1)の溝部13への埋め込み性がより良好なものとなる。減圧環境の具体的な圧力としては、好ましくは0.001kPa~50kPa、より好ましくは0.01kPa~5kPa、更に好ましいくは0.05kPa~1kPaである。
また、第一複合シート(α1)における第一硬化性樹脂(x1)の層(X1)の厚さは、第一硬化性樹脂(x1)の溝部13への埋め込み性を更に良好なものとする観点から、好ましくは30μm超200μm以下、より好ましくは60μm~150μm、更に好ましくは80μm~130μmである。
さらに、第一硬化性樹脂(x1)の層(X1)は、第一複合シート(α1)を半導体チップ作製用ウエハ10のバンプ形成面11aに貼付したときに、バンプ12上部での第一硬化性樹脂(x1)の残存を抑制しやすくする観点、第一硬化性樹脂(x1)の層(X1)のはみ出しを抑制しやすくする観点、バンプ形成面11a上での第一硬化性樹脂(x1)及びその硬化物である第一硬化樹脂膜(r1)のハジキを抑制しやすくする観点、並びに溝部13への第一硬化性樹脂(x1)の埋め込み性を良好なものとする観点から、上記要件(I)を満たすことが好ましい。
ここで、第一複合シート(α1)が有する第一支持シート(Y1)は、第一硬化性樹脂(x1)を支持すると共に、バックグラインドシートとしての機能を兼ね備えていることが好ましい。
この場合、第一複合シート(α1)を貼付した状態で、ウエハ11の裏面11bの研削を行う際に、第一支持シート(Y1)がバックグラインドシートとしての機能し、バックグラインド工程を実施しやすいものとできる。
[工程(S3)、工程(S4)、工程(S-BG)、及び工程(T)]
上記の工程(S2)までの工程により、半導体チップ作製用ウエハ10に第一複合シート(α1)を貼付して積層した積層体が形成される。当該積層体は、工程(S-BG)及び工程(T)の実施のタイミングに応じて、以下に説明する第一実施形態~第三実施形態のいずれかにかかる工程に供されることが好ましい。
以下、第一実施形態~第四実施形態について、工程(S-BG)及び工程(T)を実施するタイミングに関する説明を交えながら、工程(S3)及び工程(S4)について説明する。
<第一実施形態>
第一実施形態では、図7に示すように、工程(S2)の後で且つ工程(S3)の前に、工程(S-BG)が行われる。
図11に、第一実施形態に関する概略図を示す。
(第一実施形態:工程(S-BG))
第一実施形態では、まず、工程(S-BG)を実施する。具体的には、図11の(1-a)に示すように、第一複合シート(α1)を貼付した状態で半導体チップ作製用ウエハ10の裏面11bを研削する。図11中の「BG」は、バックグラインドを意味し、以降の図面においても同様である。次いで、図11の(1-b)に示すように、第一複合シート(α1)から第一支持シート(Y1)を剥離する。
半導体チップ作製用ウエハ10の裏面11bを研削する際の研削量は、少なくとも半導体チップ作製用ウエハ10の溝部13の底部が露出する量であればよいが、更に研削を行って、半導体チップ作製用ウエハ10と共に、溝部13に埋め込まれた第一硬化性樹脂(x1)も研削するようにしてもよい。
第一実施形態では、工程(S3)を実施する前に第一支持シート(Y1)を剥離するため、第一硬化性樹脂(x1)が熱硬化性樹脂であり、工程(S3)において硬化のための加熱処理が実施される場合であっても、第一支持シート(Y1)には耐熱性が要求されない。したがって、第一支持シート(Y1)の設計の自由度が向上する。
(第一実施形態:工程(S3))
工程(S-BG)を実施した後、工程(S3)を実施する。具体的には、図11の(1-c)に示すように、第一硬化性樹脂(x1)を硬化させて、第一硬化樹脂膜(r1)付きの半導体チップ作製用ウエハ10を得る。
第一硬化性樹脂(x1)を硬化することにより形成される第一硬化樹脂膜(r1)は、常温において、第一硬化性樹脂(x1)よりも強固になる。そのため、第一硬化樹脂膜(r1)を形成することによって、バンプネックが良好に保護される。また、図11の(1-d)に示す工程(S4)において、第一硬化樹脂膜(r1)付きの半導体チップ作製用ウエハ10を個片化することで、側面も第一硬化樹脂膜(r1)で被覆された半導体チップを得ることができ、強度に優れる半導体チップが得られる。しかも、保護膜としての第一硬化樹脂膜(r1)が剥がれることも抑制される。
(第一実施形態:硬化方法)
第一硬化性樹脂(x1)の硬化は、第一硬化性樹脂(x1)に含まれている硬化性成分の種類に応じて、熱硬化及びエネルギー線の照射による硬化のいずれかにより行うことができる。
熱硬化を行う場合の条件としては、硬化温度が100~200℃であることが好ましく、110~170℃であることがより好ましく、120~150℃であることが特に好ましい。そして、前記熱硬化時の加熱時間は、0.5~5時間であることが好ましく、0.5~4時間であることがより好ましく、1~3時間であることが特に好ましい。
エネルギー線照射による硬化を行う場合の条件としては、使用するエネルギー線の種類により適宜設定される、例えば、紫外線を用いる場合、照度は好ましくは180~280mW/cmであり、光量は好ましくは450~1000mJ/cmである。
ここで、第一硬化性樹脂(x1)を硬化させて第一硬化樹脂膜(r1)を形成する過程において、工程(S2)において第一硬化性樹脂(x1)で溝部13を埋め込む際に入り込むことのある気泡等を除去する観点から、第一硬化性樹脂(x1)は、熱硬化性樹脂であることが好ましい。すなわち、第一硬化性樹脂(x1)が熱硬化性樹脂である場合、第一硬化性樹脂(x1)は、加熱することで流動性が一時的に高まり、加熱を続けることで硬化する。この現象を利用することで、第一硬化性樹脂(x1)の流動性が高まった際に、第一硬化性樹脂(x1)で溝部13を埋め込む際に入り込むことのある気泡等が除去され、第一硬化性樹脂(x1)の溝部13への埋め込み性をより良好な状態とした上で、第一硬化性樹脂(x1)を硬化することができる。
また、硬化時間の短縮の観点から、第一硬化性樹脂(x1)は、エネルギー線硬化性樹脂であることが好ましい。
(第一実施形態:工程(T))
工程(S3)を実施した後、工程(T)を実施する。具体的には、図11の(1-d)、(1-f)に示すように、工程(T)は、下記工程(T1-1)及び(T1-2)をこの順で含む。
・工程(T1-1):工程(S-BG)の後で且つ工程(S4)の前において、前記半導体チップ作製用ウエハの前記裏面に、前記キットの前記第二硬化性樹脂(x2)を貼付する工程
・工程(T1-2):工程(S4)の前または後において、前記第二硬化性樹脂(x2)を硬化させて、前記第二硬化樹脂膜(r2)を形成する工程
なお、図11では、工程(T1-2)を、工程(S4)の前において実施する場合を例に挙げて説明したが、工程(T1-2)は、工程(S4)の後に実施してもよい。
なお、工程(T1-1)の実施のタイミングは、工程(S-BG)の後で且つ工程(S4)の前であればよく、工程(S3)の後には必ずしも限定されない。このことは、工程(T1-2)を工程(S4)の前に実施する際も同様である。
例えば、工程(T1-1)を工程(S3)の前の実施し、工程(S3)と工程(T1-2)を同時に実施してもよい。この場合、第一硬化性樹脂(x1)と第二硬化性樹脂(x2)の双方が熱硬化性樹脂であれば、工程(S3)と工程(T1-2)を同時に実施することで、第一硬化性樹脂(x1)と第二硬化性樹脂(x2)を一括して熱硬化させて、第一硬化樹脂膜(r1)と第二硬化樹脂膜(r2)を同時に形成することができる。
なお、工程(T1-2)において、熱硬化を行う場合の条件としては、硬化温度が100~200℃であることが好ましく、110~170℃であることがより好ましく、120~150℃であることが特に好ましい。そして、前記熱硬化時の加熱時間は、0.5~5時間であることが好ましく、0.5~4時間であることがより好ましく、1~3時間であることが特に好ましい。
エネルギー線照射による硬化を行う場合の条件としては、使用するエネルギー線の種類により適宜設定される、例えば、紫外線を用いる場合、照度は好ましくは180~280mW/cmであり、光量は好ましくは450~1000mJ/cmである。
ここで、工程(T)では、第二支持シート(Y2)と第二硬化性樹脂(x2)の層(X2)とが積層された積層構造を有する第二複合シート(α2)を用いることが好ましい。詳細には、工程(T1)は、半導体チップ作製用ウエハの裏面に、第二支持シート(Y2)と第二硬化性樹脂(x2)の層(X2)とが積層された積層構造を有する第二複合シート(α2)を、前記層(X2)を貼付面として貼付する工程とすることが好ましい。
この場合、第二複合シート(α2)から第二支持シート(Y2)を剥離するタイミングは、工程(T1-1)と工程(T1-2)の間であってもよく、工程(T1-2)の後であってもよい。
なお、工程(T1-1)において第二複合シート(α2)を用いる場合、第二複合シート(α2)が有する第二支持シート(Y2)は、第二硬化性樹脂(x2)を支持すると共に、ダイシングシートとしての機能を兼ね備えていることが好ましい。
第一実施形態にかかる製造方法の場合、工程(S4)において第二複合シート(α2)が第一硬化樹脂膜(r1)付きの半導体ウエハ10の裏面11bに貼付されていることで、ダイシングによる個片化を行う際に、第二支持シート(Y2)がダイシングシートとしての機能し、ダイシングを実施しやすいものとできる。
(第一実施形態:工程(S4))
工程(S4)では、第一硬化樹脂膜(r1)付き半導体チップ作製用ウエハの第一硬化樹脂膜(r1)のうち前記溝部に形成されている部分を、前記分割予定ラインに沿って切断する。この際、第二硬化性樹脂(x2)又は第二硬化樹脂膜(r2)も一括して切断する。
具体的には、図11の(1-f)に示すように、第一硬化樹脂膜(r1)付き半導体チップ作製用ウエハ10の第一硬化樹脂膜(r1)のうち溝部に形成されている部分を、分割予定ラインに沿って切断し、この際、第二硬化性樹脂(x2)又は第二硬化樹脂膜(r2)も一括して切断する。第二硬化性樹脂(x2)が未硬化である場合、工程(S4)実施後に硬化処理を行い、第二硬化樹脂膜(r2)を形成する(工程(T1-2))。
切断は、ブレードダイシングやレーザーダイシング等、従来公知の方法を採用して適宜実施することができる。
これにより、バンプ形成面11a及び側面が第一硬化樹脂膜(r1)で切れ目なく連続して被覆され、且つ裏面11bが第二硬化樹脂膜(r2)で被覆されている半導体チップ40を得ることができる。
半導体チップ40は、バンプ形成面11a及び側面が第一硬化樹脂膜(r1)で被覆され、且つ裏面11bが第二硬化樹脂膜(r2)で被覆されているため、優れた強度を有する。また、バンプ形成面11a及び側面が第一硬化樹脂膜(r1)で被覆されているため、バンプ形成面11aと第一硬化樹脂膜(r1)との接合面(界面)が、半導体チップ40の側面において露出していない。バンプ形成面11aと第一硬化樹脂膜(r1)との接合面(界面)のうち、半導体チップ40の側面において露出している露出部は、膜剥がれの起点となりやすい。本発明の半導体チップ40は、当該露出部が存在しないため、当該露出部からの膜剥がれが、半導体チップ作製用ウエハ10を切断して半導体チップ40を製造する過程や、製造後において生じにくい。したがって、保護膜としての第一硬化樹脂膜(r1)の剥がれが抑制された、半導体チップ40が得られる。また、第一硬化樹脂膜(r1)と第二硬化樹脂膜(r2)との密着性も良好であり、剥離は生じにくい。
なお、工程(S4)において、第一硬化樹脂膜(r1)付き半導体チップ作製用ウエハ10の第一硬化樹脂膜(r1)のうち溝部に形成されている部分を、分割予定ラインに沿って切断する場合、第一硬化樹脂膜(r1)が透明であることが好ましい。第一硬化樹脂膜(r1)が透明であることにより、半導体ウエハ11が透けて見えるため、分割予定ラインの視認性が確保される。そのため、分割予定ラインに沿って切断しやすくなる。
<第二実施形態>
第二実施形態では、図4に示すように、工程(S3)の後で且つ工程(S4)の前に、工程(S-BG)が行われる。
図6に、第二実施形態に関する概略図を示す。
(第二実施形態:工程(S3))
第二実施形態では、まず、工程(S3)を実施する。具体的には、図12の(2-a)に示すように、第一複合シート(α1)を貼付した状態で第一硬化性樹脂(x1)を硬化させて、第一硬化樹脂膜(r1)付きの半導体チップ作製用ウエハ10を得る。
第一硬化性樹脂(x1)を硬化することにより形成される第一硬化樹脂膜(r1)は、常温において、第一硬化性樹脂(x1)よりも強固になる。そのため、第一硬化樹脂膜(r1)を形成することによって、バンプネックが良好に保護される。また、また、工程(S4)において、第一硬化樹脂膜(r1)付きの半導体チップ作製用ウエハ10を個片化することで、側面も第一硬化樹脂膜(r1)で被覆された半導体チップを得ることができ、強度に優れる半導体チップが得られる。しかも、保護膜としての第一硬化樹脂膜(r1)が剥がれることも抑制される。
硬化方法は、第一実施形態で説明した硬化方法と同様の方法が挙げられる。
第一支持シート(Y1)を剥離することなく熱硬化処理を行うことで、熱硬化時に第一支持シート(Y1)によって第一硬化性樹脂(x1)を硬化する際に一時的に生じる第一硬化性樹脂(x1)の表面における流動を抑えることができ、バンプ形成面における第一硬化樹脂膜(r1)の平坦性を向上させることができる。また、半導体チップ作製用ウエハ10の裏面11bを研削する前に、第一硬化性樹脂(x1)を硬化させることで、半導体チップ作製用ウエハ10の反りが抑制される。
(第二実施形態:工程(S―BG))
工程(S3)を実施した後、工程(S-BG)を実施する。図12の(2-b)に示すように、第一複合シート(α1)を貼付した状態で半導体チップ作製用ウエハ10の裏面11bを研削する。
なお、半導体チップ作製用ウエハ10の裏面11bを研削する際の研削量は、少なくとも半導体チップ作製用ウエハ10の溝部13の底部が露出する量であればよいが、更に研削を行って、半導体チップ作製用ウエハ10と共に、溝部13に埋め込まれた第一硬化樹脂膜(r1)も研削するようにしてもよい。
次いで、図12の(2-c)に示すように、第一複合シート(α1)から第一支持シート(Y1)を剥離する。
(第二実施形態:工程(T))
工程(S3)を実施した後、工程(T)を実施する。具体的には、図12の(2-d)、(2-e)に示すように、工程(T)は、下記工程(T1-1)及び(T1-2)をこの順で含む。
・工程(T1-1):工程(S-BG)の後で且つ工程(S4)の前において、前記半導体チップ作製用ウエハの前記裏面に、前記キットの前記第二硬化性樹脂(x2)を貼付する工程
・工程(T1-2):工程(S4)の前または後において、前記第二硬化性樹脂(x2)を硬化させて、前記第二硬化樹脂膜(r2)を形成する工程
なお、図12では、工程(T1-2)を、工程(S4)の前において実施する場合を例に挙げて説明したが、工程(T1-2)は、工程(S4)の後に実施してもよい。
なお、工程(T1-1)の実施のタイミングは、工程(S-BG)の後で且つ工程(S4)の前であればよく、第一実施形態と同様、工程(S3)の後には必ずしも限定されない。このことは、工程(T1-2)を工程(S4)の前に実施する際も同様である。
例えば、工程(T1-1)を工程(S3)の前の実施し、工程(S3)と工程(T1-2)を同時に実施してもよい。
また、第一実施形態において説明したように、工程(T)では、第二支持シート(Y2)と第二硬化性樹脂(x2)の層(X2)とが積層された積層構造を有する第二複合シート(α2)を用いることが好ましい。
(第二実施形態:工程(S4))
工程(T)を実施した後、第一実施形態と同様、工程(S4)を実施する。具体的には、図12の(2-f)に示すように、第一硬化樹脂膜(r1)付き半導体チップ作製用ウエハの第一硬化樹脂膜(r1)のうち前記溝部に形成されている部分を、前記分割予定ラインに沿って切断する。この際、第二硬化性樹脂(x2)又は第二硬化樹脂膜(r2)も一括して切断する。第二硬化性樹脂(x2)が未硬化である場合、工程(S4)実施後に硬化処理を行い、第二硬化樹脂膜(r2)を形成する(工程(T1-2))。
切断は、ブレードダイシングやレーザーダイシング等、従来公知の方法を採用して適宜実施することができる。
これにより、バンプ形成面11a及び側面が第一硬化樹脂膜(r1)で被覆され、且つ裏面11bが第二硬化樹脂膜(r2)で被覆されている半導体チップ40を得ることができる。
半導体チップ40は、バンプ形成面11a及び側面が第一硬化樹脂膜(r1)で被覆されているため、優れた強度を有する。また、既述した理由により、保護膜としての第一硬化樹脂膜(r1)の剥がれが抑制された、半導体チップ40が得られる。また、第一硬化樹脂膜(r1)と第二硬化樹脂膜(r2)との密着性も良好であり、剥離は生じにくい。
<第三実施形態>
第三実施形態では、図4に示すように、工程(S3)の後で且つ工程(S4)の前に、工程(S-BG)が行われる点で、第二実施形態と共通する。但し、バックグラインドシート(b-BG)を別途用いる点において、第二実施形態とは異なる。
図13に、第三実施形態に関する概略図を示す。
(第三実施形態:工程(S3))
第三実施形態では、まず、工程(S3)が行われるが、その前に、図13の(3-a)に示すように、第一複合シート(α1)から第一支持シート(Y1)を剥離する。その上で、工程(S3)を実施する。具体的には、図13の(3-b)に示すように、第一硬化性樹脂(x1)を硬化させて、第一硬化樹脂膜(r1)付きの半導体チップ作製用ウエハ10を得る。
硬化方法は、第一実施形態で説明した硬化方法と同様の方法が挙げられる。
工程(S3)を実施する前に第一支持シート(Y1)を剥離するため、第一硬化性樹脂(x1)が熱硬化性樹脂であり、工程(S3)において硬化のための加熱処理が実施される場合であっても、第一支持シート(Y1)には耐熱性が要求されない。したがって、第一支持シート(Y1)の設計の自由度が向上する。
また、半導体チップ作製用ウエハ10の裏面11bを研削する前に、第一硬化性樹脂(x1)を硬化させることで、半導体チップ作製用ウエハ10の反りが抑制される。
(第三実施形態:工程(S-BG))
工程(S3)を実施した後、工程(S-BG)を実施する。具体的には、図13の(3-c)に示すように、第一硬化樹脂膜(r1)付き半導体チップ作製用ウエハ10の第一硬化樹脂膜(r1)の表面にバックグラインドシート(b-BG)を貼付する。次いで、図13の(3-d)に示すように、バックグラインドシート(b-BG)を貼付した状態で半導体チップ作製用ウエハ10の裏面11bを研削した後、第一硬化樹脂膜(r1)付き半導体チップ作製用ウエハ10からバックグラインドシート(b-BG)を剥離する。
バックグラインドシート(b-BG)は工程(S3)では用いられないため、第一硬化性樹脂(x1)が熱硬化性樹脂であり、工程(S3)において硬化のための加熱処理が実施される場合であっても、バックグラインドシート(b-BG)には耐熱性が要求されない。したがって、バックグラインドシート(b-BG)の設計の自由度が向上する。
なお、半導体チップ作製用ウエハ10の裏面11bを研削する際の研削量は、少なくとも半導体チップ作製用ウエハ10の溝部13の底部が露出する量であればよいが、更に研削を行って、半導体チップ作製用ウエハ10と共に、溝部13に埋め込まれた第一硬化樹脂膜(r1)も研削するようにしてもよい。
(第三実施形態:工程(T))
工程(S3)を実施した後、工程(T)を実施する。具体的には、図13の(3-e)、(3-f)に示すように、工程(T)は、下記工程(T1-1)及び(T1-2)をこの順で含む。
・工程(T1-1):工程(S-BG)の後で且つ工程(S4)の前において、前記半導体チップ作製用ウエハの前記裏面に、前記キットの前記第二硬化性樹脂(x2)を貼付する工程
・工程(T1-2):工程(S4)の前または後において、前記第二硬化性樹脂(x2)を硬化させて、前記第二硬化樹脂膜(r2)を形成する工程
なお、図13では、工程(T1-2)を、工程(S4)の前において実施する場合を例に挙げて説明したが、工程(T1-2)は、工程(S4)の後に実施してもよい。
なお、工程(T1-1)の実施のタイミングは、工程(S-BG)の後で且つ工程(S4)の前であればよく、工程(S3)の後には必ずしも限定されない。このことは、工程(T1-2)を工程(S4)の前に実施する際も同様である。
例えば、工程(T1-1)を工程(S3)の前の実施し、工程(S3)と工程(T1-2)を同時に実施してもよい。
また、第一実施形態において説明したように、工程(T)では、第二支持シート(Y2)と第二硬化性樹脂(x2)の層(X2)とが積層された積層構造を有する第二複合シート(α2)を用いることが好ましい。
(第三実施形態:工程(S4))
工程(T)を実施した後、第一実施形態及び第二実施形態と同様、工程(S4)を実施する。具体的には、図13の(3-g)に示すように、第一硬化樹脂膜(r1)付き半導体チップ作製用ウエハの第一硬化樹脂膜(r1)のうち前記溝部に形成されている部分を、前記分割予定ラインに沿って切断する。この際、第二硬化性樹脂(x2)又は第二硬化樹脂膜(r2)も一括して切断する。第二硬化性樹脂(x2)が未硬化である場合、工程(S4)実施後に硬化処理を行い、第二硬化樹脂膜(r2)を形成する(工程(T1-2))。
切断は、ブレードダイシングやレーザーダイシング等、従来公知の方法を採用して適宜実施することができる。
これにより、バンプ形成面11a及び側面が第一硬化樹脂膜(r1)で被覆され、且つ裏面11bが第二硬化樹脂膜(r2)で被覆されている半導体チップ40を得ることができる。
半導体チップ40は、バンプ形成面11a及び側面が第一硬化樹脂膜(r1)で被覆されているため、優れた強度を有する。また、既述した理由により、保護膜としての第一硬化樹脂膜(r1)の剥がれが抑制された、半導体チップ40が得られる。また、第一硬化樹脂膜(r1)と第二硬化樹脂膜(r2)との密着性も良好であり、剥離は生じにくい。
<第四実施形態>
第四実施形態では、図4に示すように、工程(S-BG)が、工程(S4)において行われる。
図14に、第四実施形態に関する概略図を示す。
(第四実施形態:工程(S3))
第三実施形態では、まず、工程(S3)が行われるが、その前に、図14の(4-a)に示すように、第一複合シート(α1)から第一支持シート(Y1)を剥離する。その上で、工程(S3)を実施する。具体的には、図14の(4-b)に示すように、第一硬化性樹脂(x1)を硬化させて、第一硬化樹脂膜(r1)付きの半導体チップ作製用ウエハ10を得る。
硬化方法は、第一実施形態で説明した硬化方法と同様の方法が挙げられる。
工程(S3)を実施する前に第一支持シート(Y1)を剥離するため、第一硬化性樹脂(x1)が熱硬化性樹脂であり、工程(S3)において硬化のための加熱処理が実施される場合であっても、第一支持シート(Y1)には耐熱性が要求されない。したがって、第一支持シート(Y1)の設計の自由度が向上する。
また、半導体チップ作製用ウエハ10の裏面11bを研削する前に、第一硬化性樹脂(x1)を硬化させることで、半導体チップ作製用ウエハ10の反りが抑制される。
(第四実施形態:工程(S-BG)を含む工程(S4))
工程(S3)を実施した後、図14の(4-c)に示すように、第一硬化樹脂膜(r1)付き半導体チップ作製用ウエハ10の第一硬化樹脂膜(r1)のうち溝部13に形成されている部分に、分割予定ラインに沿って切り込みを入れる。切り込みの深さは、個片化しやすくする観点から、溝部13の最深部に到達する深さとすることが好ましい。これにより、後述する工程(S-BG)において、当該切込みに沿って第一硬化樹脂膜(r1)付き半導体チップ作製用ウエハ10が個片化される。
あるいは、図示省略するが、第一硬化樹脂膜(r1)付き半導体チップ作製用ウエハ10の第一硬化樹脂膜(r1)のうち溝部13に形成されている部分に、分割予定ラインに沿って改質領域を形成してもよい。改質領域は、レーザー又はプラズマ処理等により形成することができる。これにより、後述する工程(S-BG)において、当該改質領域を起点として亀裂が生じ、当該改質領域に沿って第一硬化樹脂膜(r1)付き半導体チップ作製用ウエハ10が個片化される。
次に、工程(S-BG)を実施する。具体的には、図14の(4-d)に示すように、第一硬化樹脂膜(r1)付き半導体チップ作製用ウエハ10の第一硬化樹脂膜(r1)の表面にバックグラインドシート(b-BG)を貼付する。次いで、図14の(4-e)に示すように、バックグラインドシート(b-BG)を貼付した状態で半導体チップ作製用ウエハ10の裏面11bを研削する。
これにより、少なくともバンプ形成面11a及び側面が第一硬化樹脂膜(r1)で被覆されている半導体チップ40を得ることができる。
なお、半導体チップ作製用ウエハ10の裏面11bを研削する際の研削量は、少なくとも半導体チップ作製用ウエハ10の溝部13の底部が露出する量であればよいが、更に研削を行って、半導体チップ作製用ウエハ10と共に、溝部13に埋め込まれた第一硬化樹脂膜(r1)も研削するようにしてもよい。
半導体チップ40は、バンプ形成面11a及び側面が第一硬化樹脂膜(r1)で被覆されているため、優れた強度を有する。
なお、バックグラインドシート(b-BG)は工程(S3)では用いられないため、第一硬化性樹脂(x1)が熱硬化性樹脂であり、工程(S3)において硬化のための加熱処理が実施される場合であっても、バックグラインドシート(b-BG)には耐熱性が要求されない。したがって、バックグラインドシート(b-BG)の設計の自由度が向上する。
(第四実施形態:工程(T))
工程(S-BG)を含む工程(S4)を実施した後、工程(T)を実施する。具体的には、図14の(4-f)に示すように、工程(T)は、下記工程(T2-1)及び下記工程(T2-2)をこの順で含む。なお、図14中、工程(T2-2)は図示省略している。
・工程(T2-1):前記工程(S-BG)の後で且つ前記工程(S4)の後において、前記バックグラインドシート(b-BG)を貼付した状態のまま、前記半導体チップ作製用ウエハの前記裏面に、前記キットの前記第二硬化性樹脂(x2)を貼付する工程
・工程(T2-2):前記第二硬化性樹脂(x2)を硬化して、前記第二硬化樹脂膜(r2)を形成する工程
さらに、図14の(4-e)に示すように、工程(T)は、前記工程(T2-2)の前又は後において、下記工程(T2-3)を含む。
・工程(T2-3):カーフに沿って前記第二硬化性樹脂層(x2)又は前記第二硬化樹脂膜(r2)を分割する工程
工程(T2-3)を実施する方法は、特に制限されず、公知の手法を適宜採用することができる。具体的には、ブレードやレーザーを利用した割断方法、レーザーやプラズマによって第二硬化性樹脂層(x2)又は第二硬化樹脂膜(r2)の内部に改質領域を形成した後、エキスパンドして割断する方法等が挙げられる。
以上の工程により、バンプ形成面11a及び側面が第一硬化樹脂膜(r1)で被覆され、且つ裏面11bが第二硬化樹脂膜(r2)で被覆されている半導体チップ40を得ることができる。
半導体チップ40は、バンプ形成面11a及び側面が第一硬化樹脂膜(r1)で被覆されているため、優れた強度を有する。また、既述した理由により、保護膜としての第一硬化樹脂膜(r1)の剥がれが抑制された、半導体チップ40が得られる。また、第一硬化樹脂膜(r1)と第二硬化樹脂膜(r2)との密着性も良好であり、剥離は生じにくい。
ここで、第一実施形態ないし第四実施形態では、工程(S-BG)において、第一支持シート(Y1)又はバックグラインドシート(b-BG)が使用される態様を挙げて説明したが、本発明の一態様では、第一支持シート(Y1)又はバックグラインドシート(b-BG)に代えて、バックグラインド用の樹脂層(Z1)を形成するようにしてもよい。
具体的には、流動性のある樹脂(z1)を用いて、第一硬化樹脂膜(r1)の表面を被覆するとともに、第一硬化樹脂膜(r1)から露出しているバンプも被覆した後、樹脂(z1)を硬化させて、バックグラインド用の樹脂層(Z1)を形成することで、バックグラインドシートの代用として研削工程を行うこともできる。
なお、第一硬化樹脂膜(r1)の表面と第一硬化樹脂膜(r1)から露出しているバンプとを樹脂(z1)で被覆する際、バンプの凹凸に追従可能な柔軟性のある樹脂フィルム(z2)を介して被覆することで、工程(S-BG)後に不要となったバックグラインド用の樹脂層(Z1)を剥離しやすくすることができる。
[その他の工程]
本発明の半導体チップの製造方法の一態様では、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で、他の工程を含んでいてもよい。
このような処理としては、例えば保護膜(第一硬化樹脂膜(r1))形成後のバンプ形成面に対するウエットエッチング処理やドライエッチング処理等が挙げられる。
本発明について、以下の実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
1.第一硬化性樹脂フィルム(x1)の製造
1-1.第一熱硬化性樹脂フィルム形成用組成物(x1-1-1)の製造原料
第一熱硬化性樹脂フィルム形成用組成物(x1-1-1)の製造に用いた原料を以下に示す。
(1) 重合体成分(A)
下記式(i)-1、(i)-2及び(i)-3で表される構成単位を有するポリビニルブチラール(積水化学工業社製「エスレックBL-10」、重量平均分子量25000、ガラス転移温度59℃)。
Figure 0007256851000002

(式中、lは約28であり、mは1~3であり、nは68~74の整数である。)
(2) エポキシ樹脂(B1)
(B1)-1:液状変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「エピクロンEXA-4850-150」、分子量900、エポキシ当量450g/eq)
(B1)-2:ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「エピクロンHP-7200HH」、エポキシ当量254~264g/eq)
(3) 熱硬化剤(B2)
O-クレゾール型ノボラック樹脂(DIC株式会社製「フェノライトKA-1160」)
(4) 硬化促進剤(C)
2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール(四国化成工業社製「キュアゾール2PHZ-PW」)
(5) 充填剤(D)
エポキシ基で修飾された球状シリカ(アドマテックス社製「アドマナノ YA050C-MKK」、平均粒子径50nm)
(6) 添加剤(I)
(I)-1:界面活性剤(アクリル重合体、BYK社製「BYK-361N」)
(I)-2:シリコーンオイル(アラルキル変性シリコーンオイル、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製「XF42-334」)
(I)-3:レオロジーコントロール剤(ポリヒドロキシカルボン酸エステル、BYK社製「BYK-R606」)
1-2.熱硬化性樹脂フィルム形成用組成物(x1-1-1)の製造
(1)熱硬化性樹脂フィルム形成用組成物(x1-1-1a)の製造
重合体成分(A)(100質量部)、エポキシ樹脂(B1)-1(350質量部)、エポキシ樹脂(B1)-2(270質量部)、熱硬化剤(B2)(190質量部)、硬化促進剤(C)(2質量部)、充填剤(D)(90質量部)、及び添加剤(I)-3(9質量部)を、メチルエチルケトンに溶解又は分散させて、23℃で撹拌することで、溶媒以外のすべての成分の合計濃度が45質量%である熱硬化樹脂フィルム形成用組成物(x1-1-1a)を得た。なお、ここに示す溶媒以外の成分の配合量はすべて、溶媒を含まない目的物の配合量である。
(2)熱硬化性樹脂フィルム形成用組成物(x1-1-1b)の製造
重合体成分(A)(100質量部)、エポキシ樹脂(B1)-1(290質量部)、エポキシ樹脂(B1)-2(220質量部)、熱硬化剤(B2)(160質量部)、硬化促進剤(C)(2質量部)、充填剤(D)(200質量部)、添加剤(I)-1(25質量部)、及び添加剤(I)-2(3質量部)を、メチルエチルケトンに溶解又は分散させて、23℃で撹拌することで、溶媒以外のすべての成分の合計濃度が45質量%である熱硬化樹脂フィルム形成用組成物(x1-1-1b)を得た。ここに示す溶媒以外の成分の配合量はすべて、溶媒を含まない目的物の配合量である。
(3)第一硬化性樹脂フィルム(x1-1a)及び(x1-1b)の製造
ポリエチレンテレフタレート製フィルムの片面がシリコーン処理により剥離処理された剥離フィルム(リンテック社製「SP-PET381031」、厚さ38μm)を用い、その前記剥離処理面に、上記で得られた組成物(x1-1-1a)及び組成物(x1-1-1b)をそれぞれ塗工し、120℃で2分加熱乾燥させることにより、厚さ45μmの第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1a)及び第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1b)を形成した。
2.第二硬化性樹脂フィルム(x2)の製造
2-1.第二熱硬化性樹脂フィルム形成用組成物(x2-1-1)の製造原料
第二熱硬化性樹脂フィルム形成用組成物(x2-1-1)の製造に用いた原料を以下に示す。
(1)重合体成分(a)
アクリル酸ブチル(55質量部)、アクリル酸メチル(10質量部)、メタクリル酸グリシジル(20質量部)、及びアクリル酸-2-ヒドロキシエチル(15質量部)を共重合して得られたアクリル樹脂(重量平均分子量800,000、ガラス転移温度-28℃)。
(2)エポキシ樹脂(b)
(b1)-1:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学社製jER828、エポキシ当量184~194g/eq)
(b1)-2:ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(DIC社製エピクロンHP-7200HH、エポキシ当量255~260g/eq)
(3)硬化剤(b2)
ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂(明和化成社製、MEHC-7851-H、水酸基当量218g/eq)
(4)硬化促進剤(c)
2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール(四国化成工業社製「キュアゾール2PHZ-PW」)
(5)充填剤(d)
エポキシ基で修飾された球状シリカ(アドマテックス社製5SE-CH1、平均粒子径500nm)
(6)カップリング剤(e)
3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製KBM403)
(7)着色剤(j)
黒色顔料(東洋インキ社製 マルチラックA903ブラック)
2-2.第二熱硬化性樹脂フィルム形成用組成物(x2-1-1)の製造
(1)第二熱硬化性樹脂フィルム形成用組成物(x2-1-1a)及びの第二熱硬化性樹脂フィルム(x2-1a)の製造
重合体成分(a)、エポキシ樹脂(b1)-1、エポキシ樹脂(b1)-2、硬化剤(b2)、硬化促進剤(c)、充填材(d)、カップリング剤(e)、及び着色剤(J)を、これらの含有量(固形分量、質量部)が150/70/30/5/2/320/2/18(固形重量比)となるようにメチルエチルケトンに溶解又は分散させて、23℃で撹拌することで、固形分濃度が52質量%である第二熱硬化性樹脂フィルム形成用組成物(x2-1-1a)を調製した。
ポリエチレンテレフタレート製フィルムの片面がシリコーン処理により剥離処理された剥離フィルム(リンテック社製「SP-PET381031」、厚さ38μm)を用い、その前記剥離処理面に、上記で得られた組成物(x2-1-1a)を塗工し、露出面に別の剥離フィルム(リンテック社製「SP-PET382150」)を貼付した後、120℃で2分加熱乾燥させることにより、剥離フィルムで挟持された厚さ25μmの第二熱硬化性樹脂フィルム(x2-1a)を形成した。各種試験時には、これをロール状にして使用した。
(2)第二熱硬化性樹脂フィルム形成用組成物(x2-1-1b)及び第二熱硬化性樹脂フィルム(x2-1b)の製造
充填材(d)をシリカフィラー(株式会社龍森製「SV-10」、平均粒径8μm)に変更したこと以外は、「(1)第二熱硬化性樹脂フィルム形成用組成物(x2-1-1a)及びの第二熱硬化性樹脂フィルム(x2-1a)の製造」と同様の方法で、厚さ25μmの第二熱硬化性樹脂フィルム(x2-1b)を形成した。
(3)第二熱硬化性樹脂フィルム形成用組成物(x1-1-1b)及び第二熱硬化性樹脂フィルム(x1-1b)の製造
「1-2.熱硬化性樹脂フィルム形成用組成物(x1-1-1)の製造」の「(2)熱硬化性樹脂フィルム形成用組成物(x1-1-1b)の製造」で説明した熱硬化性樹脂フィルム形成用組成物(x1-1-1b)の組成に、着色剤(j)(黒色顔料(東洋インキ社製 マルチラックA903ブラック))を3質量部添加したこと以外は、同様の方法で、厚さ25μmの第二熱硬化性樹脂フィルム(x1-1b)を製造した。
3.第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)の評価
3-1.第一複合シート(α1)の製造
第一支持シート(Y1)としてバックグラインドテープ(リンテック株式会社製「E-8510HR」)を用い、このバックグラインドテープと、上記で得られた、剥離フィルム上の第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1a)と第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1b)とを、をそれぞれ貼り合わせた。これにより、第一支持シート(Y1)と第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)とを積層した第一複合シート(α1)を得た。
3-2.第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)のGc1及びGc300の測定、X値の算出
組成物(x1-1-1a)及び組成物(x1-1-1b)の塗工量を変更した点以外は、上記と同様の方法で、厚さ50μmの第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1a)及び第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1b)をそれぞれ20枚作製した。次いで、これら第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1a)及び第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1b)をそれぞれ積層し、得られた積層フィルムを直径25mmの円板状に裁断することにより、厚さ1mmの第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1a)及び第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1b)の試験片を作製した。
粘弾性測定装置(アントンパール社製「MCR301」)における、試験片の設置箇所を、あらかじめ90℃で保温しておき、この設置箇所へ、上記で得られた第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1a)及び第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1b)の試験片を載置し、この試験片の上面に測定治具を押し当てることで、試験片を前記設置箇所に固定した。
次いで、温度90℃、測定周波数1Hzの条件で、試験片に発生させるひずみを0.01%~1000%の範囲で段階的に上昇させ、試験片の貯蔵弾性率Gcを測定した。そして、Gc1及びGc300の測定値から、X値を算出した。結果を表1に示す。
3-3.第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)のはみ出し量の測定
ポリエチレンテレフタレート製フィルムの片面がシリコーン処理により剥離処理された剥離フィルム(リンテック社製「SP-PET381031」、厚さ38μm)を用い、その前記剥離処理面に、上記で得られた組成物(x1-1-1a)及び組成物(x1-1-1b)をそれぞれ塗工し、120℃で2分加熱乾燥させることにより、厚さ30μmの第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1a)及び第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1b)を形成した。
次いで、第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1a)及び第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1b)を、前記剥離フィルムとともに、直径170mmの円形状に加工することにより、剥離フィルム付きの試験片を作製した。
得られた試験片の露出面(換言すると、剥離フィルムを備えている側とは反対側の面)全面を、透明な帯状のバックグラインドテープ(リンテック社製「E-8180」)の表面と貼り合わせることにより、図15に示す積層物を得た。図15は、得られた積層物を、その中のバックグラインドテープ側の上方から見下ろしたときの状態を、模式的に示す平面図である。
ここに示すように、得られた積層物101は、バックグラインドテープ107と、試験片120(第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1))と、剥離フィルムと、がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて、構成されている。
次いで、得られた積層物から前記剥離フィルムを取り除き、新たに生じた前記試験片の露出面(換言すると、前記試験片の、前記バックグラインドテープを備えている側とは反対側の面)を、直径12インチのシリコンウエハの一方の表面に圧着させることで、シリコンウエハの表面に前記試験片を貼付した。このとき、試験片の貼付は、貼付装置(ローラー式ラミネータ、リンテック社製「RAD-3510 F/12」)を用いて、テーブル温度:90℃、貼付速度:2mm/sec、貼付圧力:0.5MPa、ローラー貼付高さ:-200μmの条件で、第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)を加熱しながら行った。
次いで、シリコンウエハに貼付されている、バックグラインドテープ付きの前記試験片について、その外周上の異なる二点間を結ぶ線分の長さの最大値を測定し、その測定値(前記線分の長さの最大値)を用いて、図2を参照して説明した方法により、前記試験片(換言すると第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1a)及び第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1b))のはみ出し量(mm)を算出した。結果を表1に示す。
なお、はみ出し量が170mmである場合には、元の試験片からの形状変化はなく、はみ出しが起こっていないと判断した。一方、はみ出し量が170mmを超える場合には、元の試験片からの形状変化があり、はみ出しが起こっていると判断した。
3-4.バンプの上部での第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)の残存有無の確認
「3-1.第一複合シート(α1)の製造」で得られた第一複合シート(α1)から剥離フィルムを取り除き、これにより露出した第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1a)及び第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1b)の表面(露出面)を、バンプを有する、直径8インチの半導体ウエハのバンプ形成面に圧着させることで、剥離フィルムを取り除いた第一複合シート(α1)を半導体ウエハのバンプ形成面に貼付した。このとき、半導体ウエハとしては、バンプの高さが210μmであり、バンプの幅が250μmであり、バンプ間の距離が400μmであるものを用いた。また、第一複合シート(α1)の貼付は、貼付装置(ローラー式ラミネータ、リンテック社製「RAD-3510 F/12」)を用いて、テーブル温度:90℃、貼付速度:2mm/sec、貼付圧力:0.5MPa、ローラー貼付高さ:-200μmの条件で、第一複合シート(α1)を加熱しながら行った。
次いで、マルチウエハマウンター(リンテック社製「RAD-2700 F/12」)を用いて、第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1a)及び第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1b)から第一支持シート(Y1)を取り除き、第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1a)及び第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1b)を露出させた。
次いで、走査型電子顕微鏡(SEM、キーエンス社製「VE-9700」)を用いて、半導体ウエハのバンプ形成面に対して垂直な方向と60°の角度を為す方向から、半導体ウエハのバンプの表面を観察し、バンプの上部での第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1a)及び第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1b)の残渣の有無を確認した。そして、バンプ上部に残渣が存在する場合には「残渣あり」と判定し、バンプ上部に残渣が存在しない場合には「残渣なし」と判定した。結果を表1に示す。
3-5.バンプ形成面での第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)のハジキの有無の確認
バンプ形成面における半導体チップの表面における、第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1a)及び第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1b)の硬化物によるハジキの有無について、パンプが形成されていない12インチの半導体ウエハを用いて検討した。
具体的には、パンプが形成されていない12インチのシリコンウエハを用い、上述の「3-4.バンプの上部での熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)の残存有無の確認」の場合と同じ方法で、第一複合シート(α1)を貼付し、第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)から第一支持シート(Y1)を取り除いた。
次いで、半導体ウエハに貼付されている第一熱硬化性樹脂フィルムを、加圧オーブン(リンテック社製「RAD-9100」)を用いて、温度:130℃、時間:2h、炉内圧力:0.5MPaの加熱条件で加熱処理することにより、第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1a)及び第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1b)を熱硬化させた。
次いで、光学顕微鏡(キーエンス社製「VHX-1000」)を用いて、第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1a)及び第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1b)の硬化物(第1硬化樹脂膜(r1))と半導体ウエハとの積層物全体を、前記硬化物側から観察した。そして、半導体ウエハの露出を直接確認できる領域が存在する場合には「ハジキあり」と判定し、半導体ウエハの露出を直接確認できる領域が存在しない場合には「ハジキなし」と判定した。
3-5.溝部への埋め込み性の評価
(1)半導体チップ作製用ウエハの準備
半導体チップ作製用ウエハとして、分割予定ラインをハーフカットした12インチのシリコンウエハ(ウエハ厚さ750μm)を用いた。当該シリコンウエハのハーフカット部の幅(溝部の幅)は60μmであり、溝の深さは230μmである。
(2)評価方法
「3-1.第一複合シート(α1)の製造」で得られた第一複合シート(α1)から剥離フィルムを取り除き、これにより露出した第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1a)及び第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1b)の表面(露出面)を、半導体チップ作製用ウエハの表面側(ハーフカット形成面)に、以下の条件で押圧しながら貼付した。
・貼付装置:全自動貼合機(リンテック株式会社製、製品名「RAD-3510」)
・ローラー圧力:0.5MPa
・ローラー高さ:-400μm
・貼付速度:5mm/sec
・貼付温度:90℃
次いで、第一支持シート(Y1)を第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1a)及び第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1b)から剥離した後、第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1)を貼り付けた半導体チップ作製用ウエハを、130℃で4時間加熱して硬化させて第一硬化樹脂膜(r1)を形成した。そして、半導体チップ作製用ウエハをハーフカット形成面から裏面に向けて切断し、ハーフカット部の溝部への第一硬化樹脂膜(r1)の埋め込み性を、光学顕微鏡(キーエンス社製「VHX-1000」)で観察した。
埋め込み性の評価基準は以下のとおりとした。
評価S:第一硬化樹脂膜(r1)の形状にゆがみが見られず、埋め込み性が最良である。
評価A:溝部入り口近傍にて第一硬化樹脂膜(r1)の形状に若干のゆがみが見られるものの、埋め込み性は良好である。
評価B:埋め込み性は不良である。
4.キットによる半導体チップの被覆性の評価
(1)実施例1
半導体チップ作製用ウエハとして、分割予定ラインをハーフカットした12インチのシリコンウエハ(ウエハ厚さ750μm)を用いた。当該シリコンウエハのハーフカット部の幅(溝部の幅)は60μmであり、溝の深さは230μmである。
BGテープラミネーターRAD-3510F/12を使用し、第一支持シート(Y1)(BGテープ E-8510HR(リンテック社製))と厚さ45μmの第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1a)とを積層した第一複合シート(α1)の第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1a)を、テーブル温度90℃で半導体チップ作製用ウエハに貼付した後、160℃で1時間加熱して硬化させて第一硬化樹脂膜(r1)とした。次いで、ウエハ裏面を研削して、半導体チップ作製用ウエハの厚さを200μmとした。
次に、RAD-3600を使用し、剥離フィルムで挟持されたロール形状の厚み25μmの第二熱硬化性樹脂フィルム(x2-1)を半導体チップ作製用ウエハの裏面にテーブル温度70℃で貼付した。130℃で2時間加熱し、第二硬化樹脂膜(r2)とした。第二硬化樹脂膜(r2)側にDCテープD-686H(リンテック社製)を貼付し、ブレードダイサーDFG6362を使用し、ブレードダイシングにより分割予定ラインに沿ってダイシングし、チップサイズ6mm角に個片化した。チップをDCテープから剥離し、チップ観察を光学顕微鏡(キーエンス社製「VHX-1000」)で実施した。
そして、半導体チップ(6mm角、厚み200μm)の表面積に対し、保護膜(第一硬化樹脂膜(r1)、第二硬化樹脂膜(r2))によって被覆されている表面積の割合(被覆率)を計算した。
評価基準
D…被覆率0%
C…被覆率1%~49%
B…被覆率50%~99%
A…被覆率100%
(2)実施例2
第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1a)を第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1b)に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で評価を行った。
(3)実施例3
第二熱硬化性樹脂フィルム(x2-1a)を第二熱硬化性樹脂フィルム(x2-1b)に変更したこと以外は、実施例2と同様の方法で評価を行った。
(4)実施例4
第二熱硬化性樹脂フィルム(x2-1a)を第二熱硬化性樹脂フィルム(x1-1b)に変更したこと以外は、実施例2と同様の方法で評価を行った。
(5)比較例1~3
比較例1では、第二熱硬化性樹脂フィルム(x2-1a)を半導体チップ作製用ウエハの裏面にのみ貼付したこと以外は、実施例1と同様の方法で評価を行った。
比較例2では、第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1a)を第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1b)に変更し、分割予定ラインをハーフカットしていない12インチのシリコンウエハ(ウエハ厚さ750μm)の表側の面のみに第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1b)を貼付したこと以外は、実施例1と同様の方法で評価を行った。
比較例3では、第二硬化性樹脂フィルム(x2-1a)に代えて、第二硬化性樹脂フィルム(x1-1b)を使用したこと、半導体チップ作製用ウエハの裏面は保護しなかったこと以外は、実施例1と同様の方法で評価を行った。
5.第一硬化樹脂膜に対する第二硬化性樹脂フィルムの剥離力の評価
実施例1~4の第一硬化樹脂膜と第二硬化樹脂フィルムについて、以下の評価を行った。
8インチのシリコンウエハ(ウエハ厚さ730μm)に、厚さ45μmの第一硬化性樹脂フィルムをテーブル温度90℃で貼付し、130℃で4時間加熱して硬化させて、第一硬化樹脂膜付きのウエハを作製した。次いで、当該第一硬化樹脂膜付きのウエハの第一硬化樹脂膜に、剥離フィルムに挟持された厚さ25μmの第二硬化性樹脂フィルムを、片側の剥離フィルムを剥がしながらテーブル温度70℃で貼付した。第二硬化性樹脂フィルムからもう一方の剥離フィルムを剥がした後、第二硬化性樹脂フィルム上にリンテック社製PET50(A) PLシン 8LK(粘着剤層を有するPET基材)を貼付した。カッターにてPET50(A) PLシン 8LK側から第二硬化性樹脂フィルムまで切り込みを入れ、25mm幅の短冊状に試験片を形成した。
そして、温度23℃、相対湿度50%の環境下において、万能型引張試験機(株式会社オリエンテック製、型番:テンシロンRTC-1210A)を用いて、JIS Z0237:2009の剥離力の測定法に準拠して、試験片端部を第一硬化樹脂膜と第二硬化樹脂フィルムとの界面で剥離させ、剥離力を測定した。剥離角度は180°とし、剥離速度は300mm/minとした。
なお、8インチのシリコンウエハ(ウエハ厚さ730μm)に、剥離フィルムに挟持された厚さ25μmの第二硬化性樹脂フィルムを、片側の剥離フィルムを剥がしながらテーブル温度70℃で貼付し、上記と同様の方法で、シリコンウエハ(鏡面)に対する第二硬化性樹脂フィルムの剥離力を測定した。
6.第二硬化性樹脂フィルムのリワーク性評価
実施例1~4の第一硬化樹脂膜と第二硬化樹脂フィルムについて、以下の評価を行った。
8インチのシリコンウエハ(ウエハ厚さ730μm)に、厚さ45μmの第一硬化性樹脂フィルムをテーブル温度90℃で貼付し、130℃で4時間加熱して硬化させて、第一硬化樹脂膜付きのウエハを作製した。次いで、当該第一硬化樹脂膜付きのウエハの第一硬化樹脂膜に、剥離フィルムに挟持された厚さ25μmのロール状の第二硬化性樹脂フィルムを、片側の剥離フィルムを剥がしながらテーブル温度70℃で貼付した。第二硬化性樹脂フィルムからもう一方の剥離フィルムを剥がした後、第二硬化性樹脂フィルム上にリンテック社製PET50(A) PLシン 8LK(粘着剤層を有するPET基材)を貼付した。
そして、粘着剤層を有するPET基材を手で剥離することにより、第二硬化性樹脂フィルムの第一硬化樹脂膜に対するリワーク性を評価した。評価基準は以下のとおりとした。
・評価A:第一硬化樹脂膜と第二硬化性樹脂フィルムとの界面で全面剥離した。
・評価B:第一硬化樹脂膜と第二硬化性樹脂フィルムとの界面での剥離と、第二硬化性樹脂フィルムと粘着剤層を有するPET基材の粘着剤層との界面での剥離とが混在した。
・評価C:第二硬化性樹脂フィルムと粘着剤層を有するPET基材の粘着剤層との界面で全面剥離した。
7.第一硬化樹脂膜と第二硬化樹脂膜との密着性評価
8インチのシリコンウエハ(ウエハ厚さ730μm)に、厚さ45μmの第一硬化性樹脂フィルムをテーブル温度90℃で貼付し、130℃で4時間加熱して硬化させて、第一硬化樹脂膜付きのウエハを作製した。次いで、当該第一硬化樹脂膜付きのウエハの第一硬化樹脂膜に、剥離フィルムに挟持された厚さ25μmの第二硬化性樹脂フィルムを、片側の剥離フィルムを剥がしながらテーブル温度70℃で貼付した。第二硬化性樹脂フィルムからもう一方の剥離フィルムを剥がした後、130℃で2時間加熱し第二硬化性樹脂フィルムを硬化させ、第二硬化樹脂膜を形成した。第二硬化樹脂膜上にリンテック社製PET50(A) PLシン 8LKを貼付した。
そして、粘着剤層を有するPET基材を手で剥離することにより、第一硬化樹脂膜と第二硬化樹脂膜との密着性を評価した。評価基準は以下のとおりとした。
・評価A:第二硬化樹脂膜と粘着剤層を有するPET基材の粘着剤層との界面で全面剥離した(第一硬化樹脂膜と第二硬化樹脂膜との密着性が良好であり剥離できないことを意味する。)。
・評価B:第一硬化樹脂膜と第二硬化樹脂膜との界面での剥離と、第二硬化樹脂膜と粘着剤層を有するPET基材の粘着剤層との界面での剥離とが混在した。
・評価C:第一硬化樹脂膜と第二硬化樹脂膜との界面で全面剥離した(第一硬化樹脂膜と第二硬化樹脂膜が剥離しやすいことを意味する。)。
8.結果
第一熱硬化性樹脂フィルム形成用組成物(x1-1-1)の含有成分及び熱硬化性樹脂フィルムの各種評価結果を表1に示す。
また、「4.キットによる半導体チップの被覆性の評価」、「5.第一硬化樹脂膜に対する第二硬化性樹脂フィルムの剥離力の評価」及び「7.第一硬化樹脂膜と第二硬化樹脂膜との密着性評価」の結果を表2に示す。
また、「6.第二硬化性樹脂フィルムのリワーク性評価」の結果を表3に示す。
さらに、「3-5.溝部への埋め込み性の評価」の結果(図面代用写真)を図16に示す。
Figure 0007256851000003

Figure 0007256851000004
Figure 0007256851000005
表1に示す結果から、以下のことがわかる。
第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1a)を第一熱硬化性樹脂フィルム(x1-1b)はいずれも、はみ出しが見られず、バンプ上部の残渣もなく、貼付時ハジキも見られず、溝埋め込み性も良好であることがわかる。
また、表2に示す結果から、実施例1~4の場合には、半導体チップの保護性(被覆性)に優れ、第一硬化樹脂膜と第二硬化性樹脂フィルムとの密着性、第一硬化樹脂膜と第二硬化樹脂膜との密着性も良好であり、第一硬化樹脂膜と第二硬化樹脂膜との界面での剥離が起こりにくいことがわかる。したがって、半導体チップの全面保護性(被覆性)を長期に亘って良好に維持して、半導体チップの強度の向上効果を長期に亘って良好に維持することができることがわかる。
これに対し、比較例1~3では、半導体チップの保護性(被覆性)が劣るため、半導体チップの強度の向上効果が不十分である。
さらに、表3に示す結果から、実施例1~3で用いた第二硬化性樹脂フィルムは、リワーク性も良好であり、第二硬化性樹脂フィルムの貼り直し等を行いやすく、取り扱い性に優れるキットを提供できることもわかる。
10 半導体チップ作製用ウエハ
11 ウエハ
11a バンプ形成面
11b 裏面
12 バンプ
13 溝部
40 半導体チップ
x1 第一硬化性樹脂
r1 第一硬化樹脂膜
X1 層
Y1 第一支持シート
α1 第一複合シート
x2 第二硬化性樹脂
r2 第二硬化樹脂膜
X2 層
Y2 第二支持シート
α2 第二複合シート
51 基材
61 粘着剤層
71 中間層

Claims (12)

  1. バンプを備えるバンプ形成面を有する半導体チップの前記バンプ形成面及び側面の双方に保護膜としての第一硬化樹脂膜(r1)を形成するための第一硬化性樹脂フィルム(x1)と、前記半導体チップの前記バンプ形成面とは反対側の面に保護膜としての第二硬化樹脂膜(r2)を形成するための第二硬化性樹脂フィルム(x2)と、を含み、
    前記第一硬化性樹脂フィルム(x1)の層(X1)が、第一支持シート(Y1)に積層された第一複合シート(α1)として含まれ
    前記第一複合シート(α1)は、バンプを備えるバンプ形成面を有する半導体ウエハの前記バンプ形成面に、分割予定ラインとしての溝部が裏面に到達することなく形成されている半導体チップ作製用ウエハの前記バンプ形成面に、前記第一硬化性樹脂(x1)の層(X1)を貼付面として押圧して貼付することで、前記半導体チップ作製用ウエハの前記バンプ形成面を前記第一硬化性樹脂(x1)で被覆すると共に、前記半導体チップ作製用ウエハに形成されている前記溝部に前記第一硬化性樹脂(x1)を埋め込むために用いられ、
    前記第二硬化性樹脂フィルム(x2)は、前記第一複合シート(α1)を用いた後に用いられる、キット。
  2. 前記第一硬化性樹脂フィルム(x1)が、下記要件(I)を満たす、請求項1に記載のキット。
    <要件(I)>
    温度90℃、周波数1Hzの条件で、直径25mm、厚さ1mmの前記樹脂フィルムの試験片にひずみを発生させて、前記試験片の貯蔵弾性率を測定し、前記試験片のひずみが1%のときの、前記試験片の貯蔵弾性率をGc1とし、前記試験片のひずみが300%のときの、前記試験片の貯蔵弾性率をGc300としたとき、下記式(i)により算出されるX値が、19以上10,000未満である。
    X=Gc1/Gc300・・・・(i)
  3. 前記第二硬化性樹脂フィルム(x2)の層(X2)が、第二支持シート(Y2)に積層された第二複合シート(α2)として含まれる、請求項1又は2に記載のキット。
  4. 請求項1~3のいずれか1項に記載のキットの使用方法であって、
    前記キットの第一複合シート(α1)の第一硬化性樹脂フィルム(x1)を、バンプを備えるバンプ形成面を有する半導体チップの前記バンプ形成面および側面の双方に保護膜としての第一硬化樹脂膜(r1)を形成するために使用し、かつ
    前記キットの第二硬化性樹脂フィルム(x2)を、前記半導体チップの前記バンプ形成面とは反対側の面に保護膜としての第二硬化樹脂膜(r2)を形成するために使用し、
    前記第一複合シート(α1)は、バンプを備えるバンプ形成面を有する半導体ウエハの前記バンプ形成面に、分割予定ラインとしての溝部が裏面に到達することなく形成されている半導体チップ作製用ウエハの前記バンプ形成面に、前記第一硬化性樹脂(x1)の層(X1)を貼付面として押圧して貼付することで、前記半導体チップ作製用ウエハの前記バンプ形成面を前記第一硬化性樹脂(x1)で被覆すると共に、前記半導体チップ作製用ウエハに形成されている前記溝部に前記第一硬化性樹脂(x1)を埋め込むために使用し、
    前記第二硬化性樹脂フィルム(x2)は、前記第一複合シート(α1)を用いた後に使用する、使用方法。
  5. 請求項1~3のいずれか1項に記載のキットを使用する半導体チップの製造方法であって、
    下記工程(S)及び下記工程(T)を含み、
    ・工程(S):前記キットの第一複合シート(α1)の第一硬化性樹脂フィルム(x1)を用いて、バンプを備えるバンプ形成面を有する半導体チップの前記バンプ形成面および側面の双方に保護膜としての第一硬化樹脂膜(r1)を形成する工程
    ・工程(T):前記キットの第二硬化性樹脂フィルム(x2)を用いて、前記半導体チップの前記バンプ形成面とは反対側の面に保護膜としての第二硬化樹脂膜(r2)を形成する工程
    前記工程(S)は、下記工程(S1)~(S4)をこの順で含む、半導体チップの製造方法。
    ・工程(S1):バンプを備えるバンプ形成面を有する半導体ウエハの前記バンプ形成面に、分割予定ラインとしての溝部が裏面に到達することなく形成されている半導体チップ作製用ウエハを準備する工程
    ・工程(S2):前記半導体チップ作製用ウエハの前記バンプ形成面に、前記キットの前記第一複合シート(α1)を、前記第一硬化性樹脂(x1)の層(X1)を貼付面として押圧して貼付し、前記半導体チップ作製用ウエハの前記バンプ形成面を前記第一硬化性樹脂(x1)で被覆すると共に、前記半導体チップ作製用ウエハに形成されている前記溝部に前記第一硬化性樹脂(x1)を埋め込む工程
    ・工程(S3):前記第一硬化性樹脂(x1)を硬化させて、第一硬化樹脂膜(r1)付き半導体チップ作製用ウエハを得る工程
    ・工程(S4):前記第一硬化樹脂膜(r1)付き半導体チップ作製用ウエハを前記分割予定ラインに沿って個片化する工程
    さらに、前記工程(S)は、前記工程(S2)の後で且つ前記工程(S3)の前、前記工程(S3)の後で且つ前記工程(S4)の前、又は前記工程(S4)において、下記工程(S-BG)を含む、半導体チップの製造方法。
    ・工程(S-BG):前記半導体チップ作製用ウエハの前記裏面を研削する工程
  6. 前記工程(S-BG)を、前記工程(S2)の後で且つ前記工程(S3)の前に含み、
    前記工程(S-BG)は、前記第一複合シート(α1)を貼付した状態で前記半導体チップ作製用ウエハの前記裏面を研削した後に、前記第一複合シート(α1)から前記第一支持シート(Y1)を剥離することにより実施され、
    前記工程(S4)は、前記第一硬化樹脂膜(r1)付き半導体チップ作製用ウエハの前記第一硬化樹脂膜(r1)のうち前記溝部に形成されている部分を、前記分割予定ラインに沿って切断することにより実施される、請求項に記載の半導体チップの製造方法。
  7. 前記工程(S-BG)を、前記工程(S3)の後で且つ前記工程(S4)の前に含み、
    前記工程(S3)を、前記第一複合シート(α1)から前記第一支持シート(Y1)を剥離することなく実施し、
    前記工程(S-BG)は、前記第一複合シート(α1)を貼付した状態で前記半導体チップ作製用ウエハの前記裏面を研削した後に、前記第一複合シート(α1)から前記第一支持シート(Y1)を剥離することにより実施され、
    前記工程(S4)は、前記第一硬化樹脂膜(r1)付き半導体チップ作製用ウエハの前記第一硬化樹脂膜(r1)のうち前記溝部に形成されている部分を、前記分割予定ラインに沿って切断することにより実施される、請求項に記載の半導体チップの製造方法。
  8. 前記工程(S-BG)を、前記工程(S3)の後で且つ前記工程(S4)の前に含み、
    前記工程(S2)の後で且つ前記工程(S3)の前に、前記第一複合シート(α1)から前記第一支持シート(Y1)を剥離し、
    前記工程(S-BG)は、前記第一硬化樹脂膜(r1)付き半導体チップ作製用ウエハの前記第一硬化樹脂膜(r1)の表面にバックグラインドシート(b-BG)を貼付し、前記バックグラインドシート(b-BG)を貼付した状態で前記半導体チップ作製用ウエハの前記裏面を研削した後、前記第一硬化樹脂膜(r1)付き半導体チップ作製用ウエハから前記バックグラインドシート(b-BG)を剥離することにより実施され、
    前記工程(S4)は、前記第一硬化樹脂膜(r1)付き半導体チップ作製用ウエハの前記第一硬化樹脂膜(r1)のうち前記溝部に形成されている部分を、前記分割予定ラインに沿って切断することにより実施される、請求項に記載の半導体チップの製造方法。
  9. 前記工程(S-BG)を、前記工程(S4)において含み、
    前記工程(S2)の後で且つ前記工程(S3)の前に、前記第一複合シート(α1)から前記第一支持シート(Y1)を剥離し、
    前記工程(S4)は、前記第一硬化樹脂膜(r1)付き半導体チップ作製用ウエハの前記第一硬化樹脂膜(r1)のうち前記溝部に形成されている部分に、前記分割予定ラインに沿って切り込みを入れるか、又は前記分割予定ラインに沿って改質領域を形成した後、前記工程(S-BG)として、前記第一硬化樹脂膜(r1)付き半導体チップ作製用ウエハの前記第一硬化樹脂膜(r1)の表面にバックグラインドシート(b-BG)を貼付して、前記バックグラインドシート(b-BG)を貼付した状態で前記半導体チップ作製用ウエハの前記裏面を研削することにより実施される、請求項に記載の半導体チップの製造方法。
  10. 請求項6~8のいずれか1項に記載の半導体チップの製造方法において、
    前記工程(T)は、下記工程(T1-1)及び下記工程(T1-2)をこの順で含み、
    ・工程(T1-1):前記工程(S-BG)の後で且つ前記工程(S4)の前において、前記半導体チップ作製用ウエハの前記裏面に、前記キットの前記第二硬化性樹脂(x2)を貼付する工程
    ・工程(T1-2):前記工程(S4)の前または後において、前記第二硬化性樹脂(x2)を硬化させて、前記第二硬化樹脂膜(r2)を形成する工程
    前記工程(S4)において、前記第一硬化樹脂膜(r1)付き半導体チップ作製用ウエハの前記第一硬化樹脂膜(r1)のうち前記溝部に形成されている部分を、前記分割予定ラインに沿って切断する際、前記第二硬化性樹脂(x2)又は前記第二硬化樹脂膜(r2)も一括して切断する、半導体チップの製造方法。
  11. 請求項に記載の半導体チップの製造方法において、
    前記工程(T)は、下記工程(T2-1)及び下記工程(T2-2)をこの順で含み、
    ・工程(T2-1):前記工程(S-BG)の後で且つ前記工程(S4)の後において、前記バックグラインドシート(b-BG)を貼付した状態のまま、前記半導体チップ作製用ウエハの前記裏面に、前記キットの前記第二硬化性樹脂(x2)を貼付する工程
    ・工程(T2-2):前記第二硬化性樹脂(x2)を硬化して、前記第二硬化樹脂膜(r2)を形成する工程
    さらに、前記工程(T)は、前記工程(T2-2)の前又は後において、下記工程(T2-3)を含む、製造方法。
    ・工程(T2-3):カーフに沿って前記第二硬化性樹脂層(x2)又は前記第二硬化樹脂膜(r2)を分割する工程
  12. 前記工程(T)は、前記半導体チップ作製用ウエハの前記裏面に、第二支持シート(Y2)と前記第二硬化性樹脂(x2)の層(X2)とが積層された積層構造を有する第二複合シート(α2)を、前記層(X2)を貼付面として押圧して貼付することで実施される、請求項5~11のいずれか1項に記載の半導体チップの製造方法。
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