JP7233377B2 - 熱硬化性樹脂フィルム及び第1保護膜形成用シート - Google Patents

熱硬化性樹脂フィルム及び第1保護膜形成用シート Download PDF

Info

Publication number
JP7233377B2
JP7233377B2 JP2019554312A JP2019554312A JP7233377B2 JP 7233377 B2 JP7233377 B2 JP 7233377B2 JP 2019554312 A JP2019554312 A JP 2019554312A JP 2019554312 A JP2019554312 A JP 2019554312A JP 7233377 B2 JP7233377 B2 JP 7233377B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin film
thermosetting resin
film
forming
thermosetting
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2019554312A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2019098329A1 (ja
Inventor
圭亮 四宮
明徳 佐藤
正憲 山岸
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Lintec Corp
Original Assignee
Lintec Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Lintec Corp filed Critical Lintec Corp
Publication of JPWO2019098329A1 publication Critical patent/JPWO2019098329A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7233377B2 publication Critical patent/JP7233377B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08JWORKING-UP; GENERAL PROCESSES OF COMPOUNDING; AFTER-TREATMENT NOT COVERED BY SUBCLASSES C08B, C08C, C08F, C08G or C08H
    • C08J5/00Manufacture of articles or shaped materials containing macromolecular substances
    • C08J5/18Manufacture of films or sheets
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01LSEMICONDUCTOR DEVICES NOT COVERED BY CLASS H10
    • H01L23/00Details of semiconductor or other solid state devices
    • H01L23/28Encapsulations, e.g. encapsulating layers, coatings, e.g. for protection
    • H01L23/29Encapsulations, e.g. encapsulating layers, coatings, e.g. for protection characterised by the material, e.g. carbon
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01LSEMICONDUCTOR DEVICES NOT COVERED BY CLASS H10
    • H01L23/00Details of semiconductor or other solid state devices
    • H01L23/28Encapsulations, e.g. encapsulating layers, coatings, e.g. for protection
    • H01L23/31Encapsulations, e.g. encapsulating layers, coatings, e.g. for protection characterised by the arrangement or shape
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01LSEMICONDUCTOR DEVICES NOT COVERED BY CLASS H10
    • H01L2224/00Indexing scheme for arrangements for connecting or disconnecting semiconductor or solid-state bodies and methods related thereto as covered by H01L24/00
    • H01L2224/01Means for bonding being attached to, or being formed on, the surface to be connected, e.g. chip-to-package, die-attach, "first-level" interconnects; Manufacturing methods related thereto
    • H01L2224/10Bump connectors; Manufacturing methods related thereto
    • H01L2224/11Manufacturing methods

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Condensed Matter Physics & Semiconductors (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Computer Hardware Design (AREA)
  • Microelectronics & Electronic Packaging (AREA)
  • Power Engineering (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Structures Or Materials For Encapsulating Or Coating Semiconductor Devices Or Solid State Devices (AREA)
  • Adhesive Tapes (AREA)
  • Moulds For Moulding Plastics Or The Like (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)

Description

本発明は、半導体ウエハのバンプを有する表面に貼付し、熱硬化させることによって、前記表面に第1保護膜を形成するための熱硬化性樹脂フィルム、及び前記熱硬化性樹脂フィルムを備えた第1保護膜形成用シートに関する。
本願は、2017年11月17日に日本に出願された特願2017-221986号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
従来、MPUやゲートアレー等に用いる多ピンのLSIパッケージをプリント配線基板に実装する場合には、半導体チップとして、その接続パッド部に共晶ハンダ、高温ハンダ、金等からなる凸状電極(以下、本明細書においては「バンプ」と称する)が形成されたものを用い、所謂フェースダウン方式により、それらのバンプをチップ搭載用基板上の相対応する端子部に対面、接触させ、溶融/拡散接合するフリップチップ実装方法が採用されてきた。
この実装方法で用いる半導体チップは、例えば、回路面にバンプが形成された半導体ウエハの、回路面(換言するとバンプ形成面)とは反対側の面を研削したり、ダイシングして個片化することにより得られる。このような半導体チップを得る過程においては、通常、半導体ウエハのバンプ形成面及びバンプを保護する目的で、硬化性樹脂フィルムをバンプ形成面に貼付し、このフィルムを硬化させて、バンプ形成面に保護膜(本明細書においては、以下、「第1保護膜」と称することがある。)を形成する。
硬化性樹脂フィルムは、通常、加熱により軟化した状態で、半導体ウエハのバンプ形成面に貼付される。このようにすることにより、バンプの頭頂部を含む上部は、硬化性樹脂フィルムを貫通して、硬化性樹脂フィルムから突出する。その一方で、硬化性樹脂フィルムは、半導体ウエハのバンプを覆うようにしてバンプ間に広がり、バンプ形成面に密着するとともに、バンプの表面、特にバンプ形成面の近傍部位の表面を覆って、バンプを埋め込む。この後、硬化性樹脂フィルムは、さらに硬化によって、半導体ウエハのバンプ形成面と、バンプのバンプ形成面の近傍部位の表面と、を被覆して、これらの領域を保護する保護膜となる。さらに、半導体ウエハは、半導体チップに固片化され、最終的に、バンプ形成面に保護膜を備えた半導体チップ(本明細書においては、「保護膜付き半導体チップ」と称することがある。)となる。
このような保護膜付き半導体チップは、基板上に搭載されて半導体パッケージとなり、さらにこの半導体パッケージを用いて、目的とする半導体装置が構成される。半導体パッケージ及び半導体装置が正常に機能するためには、保護膜付き半導体チップのバンプと、基板上の回路との電気的接続が阻害されないことが必要である。ところが、硬化性樹脂フィルムが、半導体ウエハのバンプ形成面に対して適切に貼付されなければ、バンプの硬化性樹脂フィルムからの突出が不十分となったり、バンプの頭頂部に硬化性樹脂フィルムの一部が残存したりしてしまう。このようにバンプの頭頂部に残存した硬化性樹脂フィルムは、他の領域の硬化性樹脂フィルムの場合と同様に硬化して、保護膜と同様の組成を有する硬化物(本明細書においては、「保護膜残留物」と称することがある)となる。すると、バンプの頭頂部は、バンプと基板上の回路との電気的接続領域であるため、保護膜残留物の量が多い場合には、保護膜付き半導体チップのバンプと、基板上の回路と、の電気的接続が阻害されてしまう。
すなわち、保護膜付き半導体チップの基板上への搭載前の段階で、保護膜付き半導体チップのバンプの頭頂部においては、保護膜残留物が存在しないか、又は保護膜残留物の量が少ないことが求められる。
このように、バンプ上部での硬化性樹脂フィルムの残存を伴わずに保護膜を形成可能とされている保護膜形成用シートとしては、シートの半導体ウエハへの貼付温度における硬化性樹脂フィルムの貯蔵剪断弾性率と緩衝層の貯蔵剪断弾性率との弾性比率が特定範囲に規定されたもの(特許文献1参照)が開示されている。
特開2015-206006号公報
特許文献1で開示されている保護膜形成用シートは、いずれもこのシートを半導体ウエハへ貼付するときの温度における、硬化性樹脂フィルムの物性を規定するものである。
しかし、熱硬化型の硬化性樹脂フィルムを熱硬化させて、半導体ウエハのバンプを有する表面に保護膜を形成する際に、一時的に溶融、液化してハジキを生じ、保護膜形成不良となることがある。
そこで、本発明は、半導体ウエハのバンプを有する表面に貼付し、熱硬化させることによって、前記表面に第1保護膜を形成するための熱硬化性樹脂フィルムであって、熱硬化性樹脂フィルムを半導体ウエハのバンプを有する表面に貼付し、熱硬化させたときに、半導体ウエハの表面のハジキを抑制できる、熱硬化性樹脂フィルムを提供することを目的とする。また、本発明は、この熱硬化性樹脂フィルムを備えた第1保護膜形成用シートを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は、半導体ウエハのバンプを有する表面に貼付し、熱硬化させることによって、前記表面に第1保護膜を形成するための熱硬化性樹脂フィルムであって、熱硬化前の前記熱硬化性樹脂フィルムを10℃/minで昇温させたとき、90℃~130℃におけるせん断粘度の最小値が500Pa・s以上である熱硬化性樹脂フィルムを提供する。
本発明の熱硬化性樹脂フィルムは、重合体成分(A)及び熱硬化性成分(B)を含有することが好ましい。
本発明の熱硬化性樹脂フィルムは、ポリビニルアセタールを含有することが好ましい。
また、本発明は、第1支持シートの一方の表面上に、請求項1に記載の熱硬化性樹脂フィルムを備えた第1保護膜形成用シートを提供する。
本発明によれば、半導体ウエハのバンプを有する表面に貼付し、熱硬化させることによって、前記表面に第1保護膜を形成するための熱硬化性樹脂フィルムであって、前記熱硬化性樹脂フィルムを半導体ウエハのバンプを有する表面に貼付し、熱硬化させたときに、半導体ウエハの表面のハジキを抑制できる、熱硬化性樹脂フィルムが提供される。また、本発明は、この熱硬化性樹脂フィルムを備えた第1保護膜形成用シートが提供される。
本発明の熱硬化性樹脂フィルム及び第1保護膜形成用シートの一実施形態を模式的に示す断面図である。 図1に示す熱硬化性樹脂フィルム及び第1保護膜形成用シートの使用方法の一例を模式的に示す断面図である。 比較例の熱硬化性樹脂フィルム及び第1保護膜形成用シートの使用方法の一例を模式的に示す断面図である。 実施例及び比較例の熱硬化性樹脂フィルムのせん断粘度の測定結果を示すグラフである。
本明細書において、「半導体ウエハの表面のハジキ」とは、熱硬化性樹脂フィルムが熱硬化する際に、一時的に溶融し、液化して、半導体ウエハの表面が露出することをいう。
また、本明細書において、「半導体ウエハの表面」とは、バンプを有する半導体ウエハの表面から、バンプ表面を除いた領域をいう。
図1は、本発明の熱硬化性樹脂フィルム及び第1保護膜形成用シートの一実施形態を模式的に示す断面図である。なお、以下の説明で用いる図は、本発明の特徴を分かり易くするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。
図1に示す第1保護膜形成用シート1は、第1支持シート101を備え、第1支持シート101の一方の表面101a上に、熱硬化性樹脂フィルム12を備えてなる。より具体的には、第1保護膜形成用シート1は、第1基材11上に緩衝層13を備え、緩衝層13上に熱硬化性樹脂フィルム12を備えてなり、第1基材11及び緩衝層13が第1支持シート101を構成している。
本発明の第1保護膜形成用シートは、図1に示すものに限定されず、本発明の効果を損なわない範囲内において、図1に示すものにおいて、一部の構成が変更、削除又は追加されたものであってもよい。
例えば、本発明の第1保護膜形成用シートは、基材とは反対側の最表層(図1に示す第1保護膜形成用シートにおいては熱硬化性樹脂フィルム12)に剥離フィルムを備えていてもよい。
次に、本発明の第1保護膜形成用シートを構成する各層について説明する。
◎熱硬化性樹脂フィルム
熱硬化性樹脂フィルムは、半導体ウエハのバンプ形成面(換言すると回路面)、及びこのバンプ形成面上に設けられたバンプを保護するために用いられるものである。
本発明の熱硬化性樹脂フィルムは、通常の樹脂フィルムと同様、加熱により軟化するが、更に加熱することにより熱硬化するものであり、熱硬化前の常温の熱硬化性樹脂フィルムよりも、熱硬化後に常温に戻したときには硬くなる性質を有する。これにより、バンプを有する表面に形成される第1保護膜が、保護膜として機能することとなる。そして、熱硬化前の前記熱硬化性樹脂フィルムを10℃/minで昇温させたときの、90℃~130℃におけるせん断粘度の最小値が500Pa・s以上であるので、半導体ウエハのバンプを有する表面に貼付し、熱硬化させる際に、溶融、液化することがなく、ハジキによる保護膜形成不良を防止することができる。
なお、本明細書において、「常温」とは、特に冷やしたり、熱したりしない温度、すなわち平常の温度を意味し、例えば、15~25℃の温度等が挙げられる。
本明細書における「せん断粘度」は、せん断粘度測定装置を用いて、直径25mm、厚さ500μm円柱形上の試料の天面に測定治具を接触させ、周波数1Hz、昇温速度10℃/minの測定条件で、室温から150℃まで1秒ごとに測定される値を意味する。
なお、本明細書における「室温」とは、室内の通常の温度を意味し、例えば、5℃~30℃の温度が挙げられる。
半導体ウエハのバンプを有する表面に第1保護膜を形成するための熱硬化性樹脂フィルムは、バンプの前記上部(バンプの頂部とその近傍領域)での熱硬化性樹脂フィルムの残存を抑制するために、加熱時のせん断粘度を所定以下に設定して、流動性を上げることが一般的であった。ところが、加熱硬化時の熱硬化性樹脂フィルムのせん断粘度が小さいと、加熱により液状となって、バンプ近傍に凝集してしまい、第1保護膜のハジキ不良を生じやすい。熱硬化系樹脂フィルムはその組成によって、最も低いせん断粘度となる温度が異なるため、硬化温度(加熱設定温度)で最も低いせん断粘度となることもあれば、それよりも低い温度で最も低いせん断粘度となることもある。ハジキは熱硬化性樹脂フィルムを加熱硬化する時に、せん断粘度が500Pa・s未満となったときに生じやすいため、加熱硬化温度領域(加熱開始温度~加熱目標温度)におけるせん断粘度の最小値が500Pa・s以上であることが要求される。
そのため、熱硬化前の前記熱硬化性樹脂フィルムを10℃/minで昇温させたときの、90℃~130℃におけるせん断粘度の最小値は、500Pa・s以上である必要があり、1000Pa・s以上であることが好ましく、2000Pa・s以上であることがより好ましく、10Pa・s以上であることがさらに好ましく、2×10Pa・s以上であることが特に好ましい。
熱硬化前の前記熱硬化性樹脂フィルムを10℃/minで昇温させたときの、90℃~130℃におけるせん断粘度の最小値は、熱硬化性樹脂フィルムを半導体ウエハのバンプを有する表面に貼付したときに、バンプの前記上部での熱硬化性樹脂フィルムの残存を抑制するために、10Pa・s以下であることが好ましく、10Pa・s以下であることがより好ましく、6×10Pa・s以下であることが特に好ましい。
熱硬化前の前記熱硬化性樹脂フィルムを10℃/minで昇温させたときの、90℃~130℃におけるせん断粘度の最小値は、500~10Pa・sであることが好ましく、1000~10Pa・sであることがより好ましく、2000~10Pa・s以下であることがさらに好ましく、10~10Pa・sであることが特に好ましく、2×10~6×10Pa・sであることが最も好ましい。
熱硬化性樹脂フィルムは、シート状又はフィルム状であり、前記条件の関係を満たす限り、その構成材料は、特に限定されない。
熱硬化性樹脂フィルムは、樹脂成分及び充填材を含有するものが好ましく、樹脂成分を含有し、充填材の含有量が熱硬化性樹脂フィルムの総質量に対して、45質量%以下であるものがより好ましく、5~45質量%であるものがさらに好ましい。
また、熱硬化性樹脂フィルムにおいて、前記樹脂成分の重量平均分子量は1000000以下であることが好ましく、例えば、800000以下、500000以下、300000以下、200000以下、100000以下及び50000以下等のいずれかであってもよい。
一方、熱硬化性樹脂フィルムにおいて、前記樹脂成分の重量平均分子量の下限値は、特に限定されず、例えば、1000以上、5000以上及び8000以上のいずれかであってもよい。
また、熱硬化性樹脂フィルムにおいて、前記樹脂成分の重量平均分子量は、例えば、1000~1000000、5000~800000、8000~500000、8000~300000、8000~200000、8000~100000、8000~50000、8000~30000等のいずれかであることが好ましい。
前記樹脂成分がこれらの各条件を満たすことにより、第1保護膜形成用シートは、バンプ上部での熱硬化性樹脂フィルムの残存を抑制する効果がより高くなる。
なお、本明細書において、重量平均分子量とは、特に断りのない限り、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により測定されるポリスチレン換算値を意味する。
熱硬化性樹脂フィルムは、樹脂成分を含有し、充填材の含有量が熱硬化性樹脂フィルムの総質量に対して、45質量%以下であり、かつ、前記樹脂成分の重量平均分子量が30000以下であるものが特に好ましく、充填材の含有量が熱硬化性樹脂フィルムの総質量に対して、5~45質量%であり、かつ、前記樹脂成分の重量平均分子量が8000~30000であるものが最も好ましい。このような条件を満たすことにより、第1保護膜形成用シートは、バンプ上部での熱硬化性樹脂フィルムの残存を抑制する効果がさらに高くなる。
前記樹脂成分及び充填材の種類は特に限定されない。
熱硬化性樹脂フィルムは、その構成材料を含有する熱硬化性樹脂フィルム形成用組成物を用いて形成できる。
好ましい熱硬化性樹脂フィルムとしては、例えば、前記樹脂成分として重合体成分(A)を含有し、さらに熱硬化性成分(B)を含有するものが挙げられる。
熱硬化性樹脂フィルムは1層(単層)のみでもよいし、2層以上の複数層でもよい。熱硬化性樹脂フィルムが、複数層である場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは特に限定されない。
熱硬化性樹脂フィルムの厚さは、1~100μmであることが好ましく、5~75μmであることがより好ましく、5~50μmであることが特に好ましい。熱硬化性樹脂フィルムの厚さが前記下限値以上であることで、保護能がより高い第1保護膜を形成できる。また、熱硬化性樹脂フィルムの厚さが前記上限値以下であることで、過剰な厚さとなることが抑制される。
ここで、「熱硬化性樹脂フィルムの厚さ」とは、熱硬化性樹脂フィルム全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる熱硬化性樹脂フィルムの厚さとは、熱硬化性樹脂フィルムを構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
なお、熱硬化性樹脂フィルムの厚さの測定方法としては、例えば、任意の5箇所において、接触式厚み計を用いて熱硬化性樹脂フィルムの厚さを測定し、測定値の平均を算出する方法等が挙げられる。以下、本明細書における「厚さ」の測定方法は、同様の方法が挙げられる。
<<熱硬化性樹脂フィルム形成用組成物>>
熱硬化性樹脂フィルムは、その構成材料を含有する熱硬化性樹脂フィルム形成用組成物を用いて形成できる。例えば、熱硬化性樹脂フィルムの形成対象面に熱硬化性樹脂フィルム形成用組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させることで、目的とする部位に熱硬化性樹脂フィルムを形成できる。熱硬化性樹脂フィルムのより具体的な形成方法は、他の層の形成方法とともに、後ほど詳細に説明する。熱硬化性樹脂フィルム形成用組成物中の、常温で気化しない成分(固形分ともいう)同士の含有量の比率は、通常、熱硬化性樹脂フィルムの前記成分同士の含有量の比率と同じとなる。
熱硬化性樹脂フィルム形成用組成物の塗工は、公知の方法で行えばよく、例えば、エアーナイフコーター、ブレードコーター、バーコーター、グラビアコーター、ロールコーター、ロールナイフコーター、カーテンコーター、ダイコーター、ナイフコーター、スクリーンコーター、マイヤーバーコーター、キスコーター等の各種コーターを用いる方法が挙げられる。
熱硬化性樹脂フィルム形成用組成物の乾燥条件は、特に限定されないが、熱硬化性樹脂フィルム形成用組成物は、後述する溶媒を含有している場合、加熱乾燥させることが好ましく、この場合、例えば、70~130℃で10秒間~5分間の条件で乾燥させることが好ましい。
<樹脂層形成用組成物>
熱硬化性樹脂フィルム形成用組成物としては、例えば、重合体成分(A)及び熱硬化性成分(B)を含有する熱硬化性樹脂フィルム形成用組成物(本明細書においては、単に「樹脂層形成用組成物」と略記することがある)等が挙げられる。
[重合体成分(A)]
重合体成分(A)は、熱硬化性樹脂フィルムに造膜性や可撓性等を付与するための重合体化合物であり、重合性化合物が重合反応して形成されたとみなせる成分である。なお、本明細書において重合反応には、重縮合反応も含まれる。
樹脂層形成用組成物及び熱硬化性樹脂フィルムが含有する重合体成分(A)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。重合体成分(A)が、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
重合体成分(A)としては、例えば、ポリビニルアセタール、アクリル系樹脂、ポリエステル、ウレタン系樹脂、アクリルウレタン樹脂、シリコーン系樹脂、ゴム系樹脂、フェノキシ樹脂、熱可塑性ポリイミド等が挙げられ、熱硬化させる過程の温度範囲である、90℃~130℃におけるせん断粘度の調整が容易であること、及び、熱硬化性樹脂フィルムを半導体ウエハのバンプを有する表面に貼付し、熱硬化させたときに、半導体ウエハの表面のハジキを抑制する効果が高くなることから、ポリビニルアセタール、アクリル系樹脂が好ましい。
重合体成分(A)における前記ポリビニルアセタールとしては、公知のものが挙げられる。
なかでも、好ましいポリビニルアセタールとしては、例えば、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール等が挙げられ、ポリビニルブチラールがより好ましい。
ポリビニルブチラールとしては、下記式(i)-1、(i)-2及び(i)-3で表される構成単位を有するものが挙げられる。熱硬化させる過程の温度範囲である、90℃~130℃におけるせん断粘度の調整が容易であることから、ポリビニルブチラールとしては、下記式(i)-1、(i)-2及び(i)-3で表される構成単位を有するものが好ましい。また、熱硬化性樹脂フィルムを半導体ウエハのバンプを有する表面に貼付し、熱硬化させたときに、半導体ウエハの表面のハジキを抑制する効果がより高くなることから、ポリビニルブチラールとしては、下記式(i)-1、(i)-2及び(i)-3で表される構成単位を有するものが好ましい。
Figure 0007233377000001
式中、l、m及びnは、それぞれの構成単位の含有割合(mol%)である。
ポリビニルアセタールの重量平均分子量(Mw)は、5000~200000であることが好ましく、8000~100000であることがより好ましく、9000~80000であることが更に好ましく、10000~50000であることが特に好ましい。ポリビニルアセタールの重量平均分子量がこのような範囲であることで、硬化前の熱硬化性樹脂フィルムを10℃/minで昇温させたとき、90℃~130℃におけるせん断粘度の最小値を500Pa・s以上に容易に調整可能となり、熱硬化性樹脂フィルムを半導体ウエハのバンプを有する表面に貼付し、熱硬化させたときに、半導体ウエハの表面のハジキを抑制する効果がより高くなる。また、バンプの前記上部(バンプの頂部とその近傍領域)での熱硬化性樹脂フィルムの残存を抑制する効果がより高くなる。
ブチラール基の構成単位の含有割合l(ブチラール化度)は、40~90mol%が好ましく、50~85mol%がより好ましく、60~76mol%が特に好ましい。
アセチル基を有する構成単位の含有割合mは、0.1~9mol%が好ましく、0.5~8mol%がより好ましく、1~7mol%が特に好ましい。
水酸基を有する構成単位の含有割合nは、10~60mol%が好ましく、10~50mol%がより好ましく、20~40mol%が特に好ましい。
ポリビニルアセタールのガラス転移温度(Tg)は、40~80℃であることが好ましく、50~70℃であることがより好ましい。ポリビニルアセタールのTgがこのような範囲であることで、熱硬化性樹脂フィルムを半導体ウエハのバンプを有する表面に貼付したときに、バンプの前記上部での熱硬化性樹脂フィルムの残存を抑制する効果がより高くなる。加えて、Tgがこのような範囲であることで、熱硬化後の第1保護膜の十分な硬さを得ることができる。
本明細書において「ガラス転移温度(Tg)」は、示差走査熱量計を用いて、試料のDSC曲線を測定し、得られたDSC曲線の変曲点の温度で表される。
ポリビニルアセタールを構成する3種以上のモノマーの比率は任意に選択できる。
重合体成分(A)における前記アクリル系樹脂としては、公知のアクリル重合体が挙げられる。
アクリル系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、10000~2000000であることが好ましく、100000~1500000であることがより好ましい。アクリル系樹脂の重量平均分子量がこの範囲であることにより、硬化前の熱硬化性樹脂フィルムを10℃/minで昇温させたとき、90℃~130℃におけるせん断粘度の最小値を500Pa・s以上に容易に調整可能となり、熱硬化性樹脂フィルムを半導体ウエハのバンプを有する表面に貼付し、熱硬化させたときに、半導体ウエハの表面のハジキを抑制する効果がより高くなる。また、形状安定性に優れ、被着体の凹凸面へ熱硬化性樹脂フィルムが追従し易くなり、被着体と熱硬化性樹脂フィルムとの間でボイド等の発生がより抑制される。
アクリル系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、-50~70℃であることが好ましく、-30~50℃であることがより好ましい。アクリル系樹脂のTgが前記下限値以上であることで、第1保護膜と第1支持シートとの接着力が抑制されて、第1支持シートの剥離性が向上する。また、アクリル系樹脂のTgが前記上限値以下であることで、熱硬化性樹脂フィルム及び第1保護膜の被着体との接着力が向上する。
アクリル系樹脂としては、例えば、1種又は2種以上の(メタ)アクリル酸エステルの重合体;(メタ)アクリル酸エステル以外に、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン及びN-メチロールアクリルアミド等から選択される1種又は2種以上のモノマーが共重合してなる共重合体等が挙げられる。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」及び「メタクリル酸」の両方を包含する概念とする。(メタ)アクリル酸と類似の用語につても同様であり、例えば、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及び「メタクリレート」の両方を包含する概念であり、「(メタ)アクリロイル基」とは、「アクリロイル基」及び「メタクリロイル基」の両方を包含する概念である。
アクリル系樹脂を構成する前記(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec-ブチル、(メタ)アクリル酸tert-ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n-オクチル、(メタ)アクリル酸n-ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル((メタ)アクリル酸ラウリルともいう)、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル((メタ)アクリル酸ミリスチルともいう)、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル((メタ)アクリル酸パルミチルともいう)、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル((メタ)アクリル酸ステアリルともいう)等の、アルキルエステルを構成するアルキル基が、炭素数が1~18の鎖状構造である(メタ)アクリル酸アルキルエステル;
(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル等の(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル;
(メタ)アクリル酸ベンジル等の(メタ)アクリル酸アラルキルエステル;
(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルエステル等の(メタ)アクリル酸シクロアルケニルエステル;
(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチルエステル等の(メタ)アクリル酸シクロアルケニルオキシアルキルエステル;
(メタ)アクリル酸イミド;
(メタ)アクリル酸グリシジル等のグリシジル基含有(メタ)アクリル酸エステル;
(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル等の水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル;
(メタ)アクリル酸N-メチルアミノエチル等の置換アミノ基含有(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。ここで、「置換アミノ基」とは、アミノ基の1個又は2個の水素原子が水素原子以外の基で置換されてなる基を意味する。
アクリル系樹脂を構成するモノマーは、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。アクリル系樹脂を構成するモノマーが、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
アクリル系樹脂は、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、アミノ基、水酸基、カルボキシ基、イソシアネート基等の他の化合物と結合可能な官能基を有していてもよい。アクリル系樹脂の前記官能基は、後述する架橋剤(F)を介して他の化合物と結合してもよいし、架橋剤(F)を介さずに他の化合物と直接結合していてもよい。アクリル系樹脂が前記官能基により他の化合物と結合することで、第1保護膜形成用シートを用いて得られたパッケージの信頼性が向上する傾向がある。
本発明においては、例えば、重合体成分(A)として、ポリビニルアセタール及びアクリル系樹脂以外の熱可塑性樹脂(以下、単に「熱可塑性樹脂」と略記することがある)を、ポリビニルアセタール及びアクリル系樹脂を用いずに単独で用いてもよいし、ポリビニルアセタール又はアクリル系樹脂と併用してもよい。前記熱可塑性樹脂を用いることで、第1保護膜の第1支持シートからの剥離性が向上し、被着体の凹凸面へ熱硬化性樹脂フィルムが追従し易くなり、被着体と熱硬化性樹脂フィルムとの間でボイド等の発生がより抑制されることがある。
前記熱可塑性樹脂の重量平均分子量は1000~100000であることが好ましく、3000~80000であることがより好ましい。
前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)は、-30~150℃であることが好ましく、-20~120℃であることがより好ましい。
前記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリウレタン、フェノキシ樹脂、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリスチレン等が挙げられる。
樹脂層形成用組成物及び熱硬化性樹脂フィルムが含有する前記熱可塑性樹脂は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。前記熱可塑性樹脂が、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
樹脂層形成用組成物において、溶媒以外の全ての成分の総含有量(樹脂層形成用組成物の固形分の総質量)に対する重合体成分(A)の含有量の割合(すなわち、熱硬化性樹脂フィルムの重合体成分(A)の含有量)は、重合体成分(A)の種類によらず、5~85質量%であることが好ましく、5~80質量%であることがより好ましく、例えば、5~70質量%、5~60質量%、5~50質量%、5~40質量%、及び5~30質量%のいずれかであってもよい。ただし、樹脂層形成用組成物におけるこれら含有量は一例である。
重合体成分(A)は、熱硬化性成分(B)にも該当する場合がある。本明細書においては、樹脂層形成用組成物が、このような重合体成分(A)及び熱硬化性成分(B)の両方に該当する成分を含有する場合、樹脂層形成用組成物は、重合体成分(A)及び熱硬化性成分(B)を含有するとみなす。
[熱硬化性成分(B)]
熱硬化性成分(B)は、熱硬化性樹脂フィルムを硬化させて、硬質の第1保護膜を形成するための成分である。
樹脂層形成用組成物及び熱硬化性樹脂フィルムが含有する熱硬化性成分(B)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。熱硬化性成分(B)が、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
熱硬化性成分(B)としては、例えば、エポキシ系熱硬化性樹脂、熱硬化性ポリイミド、ポリウレタン、不飽和ポリエステル、シリコーン樹脂等が挙げられ、エポキシ系熱硬化性樹脂が好ましい。
(エポキシ系熱硬化性樹脂)
エポキシ系熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂(B1)及び熱硬化剤(B2)からなる。
樹脂層形成用組成物及び熱硬化性樹脂フィルムが含有するエポキシ系熱硬化性樹脂は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。エポキシ系熱硬化性樹脂が、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
・エポキシ樹脂(B1)
エポキシ樹脂(B1)としては、公知のものが挙げられ、例えば、多官能系エポキシ樹脂、ビフェニル化合物、ビスフェノールAジグリシジルエーテル及びその水添物、オルソクレゾールノボラックエポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェニレン骨格型エポキシ樹脂等、2官能以上のエポキシ化合物が挙げられる。
エポキシ樹脂(B1)としては、不飽和炭化水素基を有するエポキシ樹脂を用いてもよい。不飽和炭化水素基を有するエポキシ樹脂は、不飽和炭化水素基を有しないエポキシ樹脂よりもアクリル系樹脂との相溶性が高い。そのため、不飽和炭化水素基を有するエポキシ樹脂を用いることで、第1保護膜形成用シートを用いて得られたパッケージの信頼性が向上する。
不飽和炭化水素基を有するエポキシ樹脂としては、例えば、多官能系エポキシ樹脂のエポキシ基の一部が不飽和炭化水素基を有する基に変換されてなる化合物が挙げられる。このような化合物は、例えば、エポキシ基へ(メタ)アクリル酸又はその誘導体を付加反応させることにより得られる。
また、不飽和炭化水素基を有するエポキシ樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂を構成する芳香環等に、不飽和炭化水素基を有する基が直接結合した化合物等が挙げられる。
不飽和炭化水素基は、重合性を有する不飽和基であり、その具体的な例としては、エテニル基(ビニル基ともいう)、2-プロペニル基(アリル基ともいう)、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリルアミド基等が挙げられ、アクリロイル基が好ましい。
エポキシ樹脂(B1)の重量平均分子量は、15000以下であることが好ましく、10000以下であることがより好ましく、5000以下であることが特に好ましい。エポキシ樹脂(B1)の重量平均分子量が前記上限値以下であることで、硬化前の熱硬化性樹脂フィルムを10℃/minで昇温させたとき、90℃~130℃におけるせん断粘度の最小値を500Pa・s以上に容易に調整可能となり、熱硬化性樹脂フィルムを半導体ウエハのバンプを有する表面に貼付し、熱硬化させたときに、半導体ウエハの表面のハジキを抑制する効果がより高くなる。また、バンプの頭頂部において、第1保護膜残留物の残存を抑制する効果がより高くなる。
エポキシ樹脂(B1)の重量平均分子量の下限値は、特に限定されない。ただし、熱硬化性樹脂フィルムの硬化性、並びに第1保護膜の強度及び耐熱性がより向上する点では、エポキシ樹脂(B1)の重量平均分子量は、300以上であることが好ましく、500以上であることがより好ましい。
エポキシ樹脂(B1)の重量平均分子量は、上述の好ましい下限値及び上限値を任意に組み合わせて設定される範囲内となるように、適宜調節できる。
例えば、一実施形態において、エポキシ樹脂(B1)の重量平均分子量は、好ましくは300~15000、より好ましくは300~10000、特に好ましくは300~3000である。また、一実施形態において、エポキシ樹脂(B1)の重量平均分子量は、好ましくは500~15000、より好ましくは500~10000、特に好ましくは500~3000である。ただし、これらは、エポキシ樹脂(B1)の好ましい重量平均分子量の一例である。
エポキシ樹脂(B1)のエポキシ当量は、100~1000g/eqであることが好ましく、130~800g/eqであることがより好ましい。
本明細書において、「エポキシ当量」とは、1グラム当量のエポキシ基を含むエポキシ化合物のグラム数(g/eq)を意味し、JIS K 7236:2001の方法に従って測定することができる。
エポキシ樹脂(B1)は、常温で液状であるもの(本明細書においては、単に「液状のエポキシ樹脂(B1)」と称することがある)が好ましい。常温で液状のエポキシ樹脂を使用すると、せん断粘度を調整しやすい点で好ましい。
エポキシ樹脂(B1)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。エポキシ樹脂(B1)を2種以上併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
樹脂層形成用組成物及び熱硬化性樹脂フィルムが含有する、エポキシ樹脂(B1)のうち、液状のエポキシ樹脂(B1)の割合は、エポキシ樹脂(B1)の総質量に対して、40質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、55質量%以上であることが特に好ましく、例えば、60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上及び90質量%以上のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、硬化前の熱硬化性樹脂フィルムを10℃/minで昇温させたとき、90℃~130℃におけるせん断粘度の最小値を500Pa・s以上に容易に調整可能となり、熱硬化性樹脂フィルムを半導体ウエハのバンプを有する表面に貼付し、熱硬化させたときに、半導体ウエハの表面のハジキを抑制する効果がより高くなる。また、バンプの頭頂部において、第1保護膜残留物の残存を抑制する効果がより高くなる。
前記割合の上限値は特に限定されず、前記割合は100質量%以下であればよい。
樹脂層形成用組成物及び熱硬化性樹脂フィルムが含有する、エポキシ樹脂(B1)のうち、液状のエポキシ樹脂(B1)の割合は、エポキシ樹脂(B1)の総質量に対して、40質量%以上100質量%以下が好ましく、50質量%以上100質量%以下がより好ましく、55質量%以上100質量%以下が特に好ましい。
樹脂層形成用組成物及び熱硬化性樹脂フィルムが含有する、エポキシ樹脂(B1)のうち、液状のエポキシ樹脂(B1)の割合は、エポキシ樹脂(B1)の総質量に対して、60質量%以上100質量%以下、70質量%以上100質量%以下、80質量%以上100質量%以下、90質量%以上100質量%以下のいずれかであってもよい。
・熱硬化剤(B2)
熱硬化剤(B2)は、エポキシ樹脂(B1)に対する硬化剤として機能する。
熱硬化剤(B2)としては、例えば、1分子中にエポキシ基と反応し得る官能基を2個以上有する化合物が挙げられる。前記官能基としては、例えば、フェノール性水酸基、アルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシ基、酸基が無水物化された基等が挙げられ、フェノール性水酸基、アミノ基、又は酸基が無水物化された基であることが好ましく、フェノール性水酸基又はアミノ基であることがより好ましい。
熱硬化剤(B2)のうち、フェノール性水酸基を有するフェノール系硬化剤としては、例えば、多官能フェノール樹脂、ビフェノール、ノボラック型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、アラルキル型フェノール樹脂等が挙げられる。
熱硬化剤(B2)のうち、アミノ基を有するアミン系硬化剤としては、例えば、ジシアンジアミド(本明細書においては、「DICY」と略記することがある)等が挙げられる。
熱硬化剤(B2)は、不飽和炭化水素基を有するものでもよい。
不飽和炭化水素基を有する熱硬化剤(B2)としては、例えば、フェノール樹脂の水酸基の一部が、不飽和炭化水素基を有する基で置換されてなる化合物、フェノール樹脂の芳香環に、不飽和炭化水素基を有する基が直接結合してなる化合物等が挙げられる。
熱硬化剤(B2)における前記不飽和炭化水素基は、上述の不飽和炭化水素基を有するエポキシ樹脂における不飽和炭化水素基と同様のものである。
熱硬化剤(B2)としてフェノール系硬化剤を用いる場合には、第1保護膜の第1支持シートからの剥離性が向上する点から、熱硬化剤(B2)は軟化点又はガラス転移温度が高いものが好ましい。
熱硬化剤(B2)のうち、例えば、多官能フェノール樹脂、ノボラック型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、アラルキル型フェノール樹脂等の樹脂成分の数平均分子量は、300~30000であることが好ましく、400~10000であることがより好ましく、500~3000であることが特に好ましい。
本明細書において、「数平均分子量」は、特に断らない限り、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によって測定される標準ポリスチレン換算の値で表される数平均分子量を意味する。
熱硬化剤(B2)のうち、例えば、ビフェノール、ジシアンジアミド等の非樹脂成分の分子量は、特に限定されないが、例えば、60~500であることが好ましい。
熱硬化剤(B2)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもい。熱硬化剤(B2)を2種以上併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
樹脂層形成用組成物及び熱硬化性樹脂フィルムにおいて、熱硬化剤(B2)の含有量は、エポキシ樹脂(B1)の含有量100質量部に対して、0.1~500質量部であることが好ましく、1~200質量部であることがより好ましく、例えば、1~150質量部、1~100質量部、1~75質量部、1~50質量部、及び1~30質量部のいずれかであってもよい。熱硬化剤(B2)の前記含有量が前記下限値以上であることで、熱硬化性樹脂フィルムの硬化がより進行し易くなる。また、熱硬化剤(B2)の前記含有量が前記上限値以下であることで、熱硬化性樹脂フィルムの吸湿率が低減されて、第1保護膜を用いて得られたパッケージの信頼性がより向上する。
樹脂層形成用組成物及び熱硬化性樹脂フィルムにおいて、熱硬化性成分(B)の含有量(例えば、エポキシ樹脂(B1)及び熱硬化剤(B2)の総含有量)は、重合体成分(A)の含有量100質量部に対して、50~1000質量部であることが好ましく、60~950質量部であることがより好ましく、70~900質量部であることが特に好ましい。熱硬化性成分(B)の前記含有量がこのような範囲であることで、第1保護膜と第1支持シートとの接着力が抑制されて、第1支持シートの剥離性が向上する。
[硬化促進剤(C)]
樹脂層形成用組成物及び熱硬化性樹脂フィルムは、硬化促進剤(C)を含有していてもよい。硬化促進剤(C)は、樹脂層形成用組成物の硬化速度を調整するための成分である。
好ましい硬化促進剤(C)としては、例えば、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の第3級アミン;2-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール等のイミダゾール類(1個以上の水素原子が水素原子以外の基で置換されたイミダゾール);トリブチルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン等の有機ホスフィン類(1個以上の水素原子が有機基で置換されたホスフィン);テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィンテトラフェニルボレート等のテトラフェニルボロン塩等が挙げられる。
樹脂層形成用組成物及び熱硬化性樹脂フィルムが含有する硬化促進剤(C)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。硬化促進剤(C)が、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
硬化促進剤(C)を用いる場合、樹脂層形成用組成物及び熱硬化性樹脂フィルムにおいて、硬化促進剤(C)の含有量は、熱硬化性成分(B)の含有量100質量部に対して、0.01~10質量部であることが好ましく、0.1~5質量部であることがより好ましい。硬化促進剤(C)の前記含有量が前記下限値以上であることで、硬化促進剤(C)を用いたことによる効果がより顕著に得られる。また、硬化促進剤(C)の含有量が前記上限値以下であることで、例えば、高極性の硬化促進剤(C)が、高温・高湿度条件下で熱硬化性樹脂フィルム中において被着体との接着界面側に移動して偏析することを抑制する効果が高くなり、第1保護膜形成用シートを用いて得られたパッケージの信頼性がより向上する。
[充填材(D)]
樹脂層形成用組成物及び熱硬化性樹脂フィルムは、充填材(D)を含有していてもよい。熱硬化性樹脂フィルムが充填材(D)を含有することにより、熱硬化性樹脂フィルムを硬化して得られた第1保護膜は、熱膨張係数の調整が容易となる。そして、この熱膨張係数を第1保護膜の形成対象物に対して最適化することで、第1保護膜形成用シートを用いて得られたパッケージの信頼性がより向上する。また、熱硬化性樹脂フィルムが充填材(D)を含有することにより、第1保護膜の吸湿率を低減したり、放熱性を向上させたりすることもできる。
充填材(D)は、有機充填材及び無機充填材のいずれでもよいが、無機充填材であることが好ましい。
好ましい無機充填材としては、例えば、シリカ、アルミナ、タルク、炭酸カルシウム、チタンホワイト、ベンガラ、炭化ケイ素、窒化ホウ素等の粉末;これら無機充填材を球形化したビーズ;これら無機充填材の表面改質品;これら無機充填材の単結晶繊維;ガラス繊維等が挙げられる。
これらの中でも、無機充填材は、シリカ又はアルミナであることが好ましい。
樹脂層形成用組成物及び熱硬化性樹脂フィルムが含有する充填材(D)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。充填材(D)が、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
充填材(D)の平均粒径は、1μm以下であることが好ましく、0.5μm以下であることがより好ましく、0.1μm以下であることが特に好ましい。充填材(D)の平均粒径が前記上限値以下であることで、硬化前の熱硬化性樹脂フィルムを10℃/minで昇温させたとき、90℃~130℃におけるせん断粘度の最小値を500Pa・s以上に容易に調整可能となり、熱硬化性樹脂フィルムを半導体ウエハのバンプを有する表面に貼付し、熱硬化させたときに、半導体ウエハの表面のハジキを抑制する効果がより高くなる。
また、バンプの頭頂部において、第1保護膜残留物の残存を抑制する効果がより高くなる。
なお、本明細書において「平均粒径」とは、特に断りのない限り、レーザー回折散乱法によって求められた粒度分布曲線における、積算値50%での粒径(D50)の値を意味する。
充填材(D)の平均粒径の下限値は、特に限定されない。例えば、充填材(D)の平均粒径は、充填材(D)の入手がより容易である点では、0.01μm以上であることが好ましい。
充填材(D)の平均粒径は、0.01μm以上1μm以下であることが好ましく、0.01μm以上0.5μm以下であることがより好ましく、0.01μm以上0.1μm以下であることが特に好ましい。
充填材(D)を用いる場合、樹脂層形成用組成物において、溶媒以外の全ての成分の総含有量に対する充填材(D)の含有量の割合(すなわち、熱硬化性樹脂フィルムの充填材(D)の含有量)は、3~60質量%であることが好ましく、3~55質量%であることがより好ましい。充填材(D)の含有量がこのような範囲であることで、硬化前の熱硬化性樹脂フィルムを10℃/minで昇温させたとき、90℃~130℃におけるせん断粘度の最小値を500Pa・s以上に容易に調整可能となり、熱硬化性樹脂フィルムを半導体ウエハのバンプを有する表面に貼付し、熱硬化させたときに、半導体ウエハの表面のハジキを抑制することができる。また、バンプの頭頂部において、第1保護膜残留物の残存を抑制する効果がより高くなるとともに、上記の熱膨張係数の調整がより容易となる。
[カップリング剤(E)]
樹脂層形成用組成物及び熱硬化性樹脂フィルムは、カップリング剤(E)を含有していてもよい。カップリング剤(E)として、無機化合物又は有機化合物と反応可能な官能基を有するものを用いることにより、熱硬化性樹脂フィルムの被着体に対する接着性及び密着性を向上させることができる。また、カップリング剤(E)を用いることで、熱硬化性樹脂フィルムを硬化して得られた第1保護膜は、耐熱性を損なうことなく、耐水性が向上する。
カップリング剤(E)は、重合体成分(A)、熱硬化性成分(B)等が有する官能基と反応可能な官能基を有する化合物であることが好ましく、シランカップリング剤であることがより好ましい。
好ましい前記シランカップリング剤としては、例えば、3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシジルオキシメチルジエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-(2-アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3-(2-アミノエチルアミノ)プロピルメチルジエトキシシラン、3-(フェニルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3-アニリノプロピルトリメトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、イミダゾールシラン等が挙げられる。
樹脂層形成用組成物及び熱硬化性樹脂フィルムが含有するカップリング剤(E)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。カップリング剤(E)が、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
カップリング剤(E)を用いる場合、樹脂層形成用組成物及び熱硬化性樹脂フィルムにおいて、カップリング剤(E)の含有量は、重合体成分(A)及び熱硬化性成分(B)の総含有量100質量部に対して、0.03~20質量部であることが好ましく、0.05~10質量部であることがより好ましく、0.1~5質量部であることが特に好ましい。
カップリング剤(E)の前記含有量が前記下限値以上であることで、充填材(D)の樹脂への分散性の向上や、熱硬化性樹脂フィルムの被着体との接着性の向上など、カップリング剤(E)を用いたことによる効果がより顕著に得られる。また、カップリング剤(E)の前記含有量が前記上限値以下であることで、アウトガスの発生がより抑制される。
[架橋剤(F)]
重合体成分(A)として、上述のアクリル系樹脂等の、他の化合物と結合可能なビニル基、(メタ)アクリロイル基、アミノ基、水酸基、カルボキシ基、イソシアネート基等の官能基を有するものを用いる場合、樹脂層形成用組成物及び熱硬化性樹脂フィルムは、架橋剤(F)を含有していてもよい。架橋剤(F)は、重合体成分(A)中の前記官能基を他の化合物と結合させて架橋するための成分であり、このように架橋することにより、熱硬化性樹脂フィルムの初期接着力及び凝集力を調節できる。
架橋剤(F)としては、例えば、有機多価イソシアネート化合物、有機多価イミン化合物、金属キレート系架橋剤(金属キレート構造を有する架橋剤)、アジリジン系架橋剤(アジリジニル基を有する架橋剤)等が挙げられる。
前記有機多価イソシアネート化合物としては、例えば、芳香族多価イソシアネート化合物、脂肪族多価イソシアネート化合物及び脂環族多価イソシアネート化合物(以下、これら化合物をまとめて「芳香族多価イソシアネート化合物等」と略記することがある);前記芳香族多価イソシアネート化合物等の三量体、イソシアヌレート体及びアダクト体;前記芳香族多価イソシアネート化合物等とポリオール化合物とを反応させて得られる末端イソシアネートウレタンプレポリマー等が挙げられる。前記「アダクト体」は、前記芳香族多価イソシアネート化合物、脂肪族多価イソシアネート化合物又は脂環族多価イソシアネート化合物と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン又はヒマシ油等の低分子活性水素含有化合物との反応物を意味する。前記アダクト体の例としては、後述するようなトリメチロールプロパンのキシリレンジイソシアネート付加物等が挙げられる。また、「末端イソシアネートウレタンプレポリマー」とは、先に説明したとおりである。
前記有機多価イソシアネート化合物として、より具体的には、例えば、2,4-トリレンジイソシアネート;2,6-トリレンジイソシアネート;1,3-キシリレンジイソシアネート;1,4-キシレンジイソシアネート;ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート;ジフェニルメタン-2,4’-ジイソシアネート;3-メチルジフェニルメタンジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート;ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート;ジシクロヘキシルメタン-2,4’-ジイソシアネート;トリメチロールプロパン等のポリオールのすべて又は一部の水酸基に、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート及びキシリレンジイソシアネートのいずれか1種又は2種以上が付加した化合物;リジンジイソシアネート等が挙げられる。
前記有機多価イミン化合物としては、例えば、N,N’-ジフェニルメタン-4,4’-ビス(1-アジリジンカルボキシアミド)、トリメチロールプロパン-トリ-β-アジリジニルプロピオネート、テトラメチロールメタン-トリ-β-アジリジニルプロピオネート、N,N’-トルエン-2,4-ビス(1-アジリジンカルボキシアミド)トリエチレンメラミン等が挙げられる。
架橋剤(F)として有機多価イソシアネート化合物を用いる場合、重合体成分(A)としては、水酸基含有重合体を用いることが好ましい。架橋剤(F)がイソシアネート基を有し、重合体成分(A)が水酸基を有する場合、架橋剤(F)と重合体成分(A)との反応によって、熱硬化性樹脂フィルムに架橋構造を簡便に導入できる。
樹脂層形成用組成物及び熱硬化性樹脂フィルムが含有する架橋剤(F)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。架橋剤(F)が、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
架橋剤(F)を用いる場合、樹脂層形成用組成物において、架橋剤(F)の含有量は、重合体成分(A)の含有量100質量部に対して、0.01~20質量部であることが好ましく、0.1~10質量部であることがより好ましく、0.5~5質量部であることが特に好ましい。架橋剤(F)の前記含有量が前記下限値以上であることで、架橋剤(F)を用いたことによる効果がより顕著に得られる。また、架橋剤(F)の前記含有量が前記上限値以下であることで、架橋剤(F)の過剰使用が抑制される。
[他の成分]
樹脂層形成用組成物及び熱硬化性樹脂フィルムは、本発明の効果を損なわない範囲内において、上述の重合体成分(A)、熱硬化性成分(B)、硬化促進剤(C)、充填材(D)、カップリング剤(E)及び架橋剤(F)以外の、他の成分を含有していてもよい。
前記他の成分としては、例えば、エネルギー線硬化性樹脂、光重合開始剤、着色剤、汎用添加剤等が挙げられる。前記汎用添加剤は、公知のものであり、目的に応じて任意に選択でき、特に限定されないが、好ましいものとしては、例えば、可塑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、着色剤(染料、顔料)、ゲッタリング剤等が挙げられる。
樹脂層形成用組成物及び熱硬化性樹脂フィルムが含有する前記他の成分は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。前記他の成分が、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
樹脂層形成用組成物及び熱硬化性樹脂フィルムの前記他の成分の含有量は、特に限定されず、目的に応じて適宜選択すればよい。
樹脂層形成用組成物及び熱硬化性樹脂フィルムは、重合体成分(A)及び熱硬化性成分(B)を含有し、重合体成分(A)としてポリビニルアセタールを含有し、かつエポキシ樹脂(B1)として液状のものを含有することが好ましく、これら成分以外に、さらに、硬化促進剤(C)及び充填材(D)を含有するものがより好ましい。そして、この場合の充填材(D)は、上述の平均粒径を有することが好ましい。このような樹脂層形成用組成物及び熱硬化性樹脂フィルムを用いることで、硬化前の熱硬化性樹脂フィルムを10℃/minで昇温させたとき、90℃~130℃におけるせん断粘度の最小値を500Pa・s以上に容易に調整可能となり、熱硬化性樹脂フィルムを半導体ウエハのバンプを有する表面に貼付し、熱硬化させたときに、半導体ウエハの表面のハジキを抑制することができる。また、バンプの頭頂部において、第1保護膜残留物の残存を抑制する効果がより高くなる。
樹脂層形成用組成物及び熱硬化性樹脂フィルムは、重合体成分(A)としてポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール及びアクリル系樹脂から選ばれる1種以上を含有し、かつエポキシ樹脂(B1)として液状のジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂及び液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂から選ばれる1種以上を含有することが好ましく、これら成分以外に、さらに、硬化促進剤(C)として2-フェニル-4-メチルイミダゾール及び2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾールから選ばれる1種以上、並びに充填材(D)としてシリカ及びアルミナから選ばれる1種以上を含有するものがより好ましい。
[溶媒]
樹脂層形成用組成物は、さらに溶媒を含有することが好ましい。溶媒を含有する樹脂層形成用組成物は、取り扱い性が良好となる。
前記溶媒は特に限定されないが、好ましいものとしては、例えば、トルエン、キシレン等の炭化水素;メタノール、エタノール、2-プロパノール、イソブチルアルコール(2-メチルプロパン-1-オールともいう)、1-ブタノール等のアルコール;酢酸エチル等のエステル;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン;テトラヒドロフラン等のエーテル;ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン等のアミド(アミド結合を有する化合物)等が挙げられる。
樹脂層形成用組成物が含有する前記溶媒は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。前記溶媒が、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
樹脂層形成用組成物が含有する溶媒は、樹脂層形成用組成物中の含有成分をより均一に混合できる点から、メチルエチルケトン等であることが好ましい。
樹脂層形成用組成物の溶媒の含有量は、特に限定されず、例えば、溶媒以外の成分の種類に応じて適宜選択すればよい。
<<熱硬化性樹脂フィルム形成用組成物の製造方法>>
樹脂層形成用組成物等の熱硬化性樹脂フィルム形成用組成物は、これを構成するための各成分を配合することで得られる。
各成分の配合時における添加順序は特に限定されず、2種以上の成分を同時に添加してもよい。
溶媒を用いる場合には、溶媒を溶媒以外のいずれかの配合成分と混合してこの配合成分を予め希釈しておくことで用いてもよいし、溶媒以外のいずれかの配合成分を予め希釈しておくことなく、溶媒をこれら配合成分と混合することで用いてもよい。
配合時に各成分を混合する方法は特に限定されず、撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合する方法;ミキサーを用いて混合する方法;超音波を加えて混合する方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。
各成分の添加及び混合時の温度並びに時間は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されず、適宜調節すればよいが、温度は15~30℃であることが好ましい。
◎第1支持シート
第1保護膜形成用シート1において、第1支持シート101としては、公知のものを用いることができる。例えば、第1支持シート101は、第1基材11と、第1基材11上に形成された緩衝層13と、を備えて構成されている。すなわち、第1保護膜形成用シート1は、第1基材11、緩衝層13及び熱硬化性樹脂フィルム12がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて、構成されている。
◎第1基材
第1基材は、シート状又はフィルム状であり、その構成材料としては、例えば、各種樹脂が挙げられる。
前記樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等のポリエチレン;ポリプロピレン、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン、ノルボルネン樹脂等のポリエチレン以外のポリオレフィン;エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン-ノルボルネン共重合体等のエチレン系共重合体(モノマーとしてエチレンを用いて得られた共重合体);ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂(モノマーとして塩化ビニルを用いて得られた樹脂);ポリスチレン;ポリシクロオレフィン;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレン-2,6-ナフタレンジカルボキシレート、すべての構成単位が芳香族環式基を有する全芳香族ポリエステル等のポリエステル;2種以上の前記ポリエステルの共重合体;ポリ(メタ)アクリル酸エステル;ポリウレタン;ポリウレタンアクリレート;ポリイミド;ポリアミド;ポリカーボネート;フッ素樹脂;ポリアセタール;変性ポリフェニレンオキシド;ポリフェニレンスルフィド;ポリスルホン;ポリエーテルケトン等が挙げられる。
また、前記樹脂としては、例えば、前記ポリエステルとそれ以外の樹脂との混合物等のポリマーアロイも挙げられる。前記ポリエステルとそれ以外の樹脂とのポリマーアロイは、ポリエステル以外の樹脂の量が比較的少量であるものが好ましい。
また、前記樹脂としては、例えば、ここまでに例示した前記樹脂の1種又は2種以上が架橋した架橋樹脂;ここまでに例示した前記樹脂の1種又は2種以上を用いたアイオノマー等の変性樹脂も挙げられる。
第1基材を構成する樹脂は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。第1基材を構成する樹脂が、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
第1基材は1層(単層)のみでもよいし、2層以上の複数層でもよい。第1基材が、複数層である場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは特に限定されない。
なお、本明細書においては、第1基材の場合に限らず、「複数層が互いに同一でも異なっていてもよい」とは、「すべての層が同一であってもよいし、すべての層が異なっていてもよく、一部の層のみが同一であってもよい」ことを意味する。さらに、「複数層が互いに異なる」とは、「各層の構成材料及び厚さの少なくとも一方が互いに異なる」ことを意味する。
第1基材の厚さは、5~1000μmであることが好ましく、10~500μmであることがより好ましく、15~300μmであることがさらに好ましく、20~150μmであることが特に好ましい。
ここで、「第1基材の厚さ」とは、第1基材全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる第1基材の厚さとは、第1基材を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
第1基材は、厚さの精度が高いもの、すなわち、部位によらず厚さのばらつきが抑制されたものが好ましい。上述の構成材料のうち、このような厚さの精度が高い第1基材を構成するのに使用可能な材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリエチレン以外のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、エチレン-酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。
第1基材は、前記樹脂等の主たる構成材料以外に、充填材、着色剤、帯電防止剤、酸化防止剤、有機滑剤、触媒、軟化剤(可塑剤ともいう)等の公知の各種添加剤を含有していてもよい。
第1基材は、透明であってもよいし、不透明であってもよく、目的に応じて着色されていてもよいし、他の層が蒸着されていてもよい。
前記熱硬化性樹脂フィルムがエネルギー線硬化性である場合、第1基材はエネルギー線を透過させるものが好ましい。
第1基材は、公知の方法で製造できる。例えば、樹脂を含有する第1基材は、前記樹脂を含有する樹脂組成物を成形することで製造できる。
◎剥離フィルム
前記剥離フィルムは、当該分野で公知のものでよい。
好ましい前記剥離フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂製フィルムの少なくとも一方の表面が、シリコーン処理等によって剥離処理されたもの;フィルムの少なくとも一方の表面が、ポリオレフィンで構成された剥離面となっているもの等が挙げられる。
剥離フィルムの厚さは、第1基材の厚さと同様であることが好ましい。
◎緩衝層
緩衝層13は、緩衝層13とこれに隣接する層へ加えられる力に対して、緩衝作用を有する。本実施形態では、「緩衝層と隣接する層」として、熱硬化性樹脂フィルム12を示している。
緩衝層13は、シート状又はフィルム状であり、エネルギー線硬化性であることが好ましい。エネルギー線硬化性である緩衝層13は、エネルギー線硬化させることで、後述する熱硬化性樹脂フィルム12からの剥離がより容易となる。
緩衝層13の構成材料としては、例えば、各種粘着性樹脂が挙げられる。前記粘着性樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ゴム系樹脂、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリビニルエーテル、ポリカーボネート等の粘着性樹脂が挙げられ、アクリル系樹脂が好ましい。緩衝層13がエネルギー線硬化性である場合には、その構成材料としては、エネルギー線硬化に必要な各種成分も挙げられる。
なお、本発明において、「粘着性樹脂」とは、粘着性を有する樹脂と、接着性を有する樹脂と、の両方を含む概念であり、例えば、樹脂自体が粘着性を有するものだけでなく、添加剤等の他の成分との併用により粘着性を示す樹脂や、熱又は水等のトリガーの存在によって接着性を示す樹脂等も含む。
緩衝層13は1層(単層)のみでもよいし、2層以上の複数層でもよい。緩衝層13が複数層である場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは特に限定されない。
緩衝層13の厚さは、30~500μmであることが好ましい。
ここで、「緩衝層13の厚さ」とは、緩衝層13全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる緩衝層13の厚さとは、緩衝層13を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
<<粘着性樹脂組成物>>
緩衝層13は、粘着性樹脂を含有する粘着性樹脂組成物を用いて形成できる。例えば、緩衝層13の形成対象面に粘着性樹脂組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させることで、目的とする部位に緩衝層13を形成できる。
粘着性樹脂組成物の塗工は、公知の方法で行えばよく、例えば、エアーナイフコーター、ブレードコーター、バーコーター、グラビアコーター、ロールコーター、ロールナイフコーター、カーテンコーター、ダイコーター、ナイフコーター、スクリーンコーター、マイヤーバーコーター、キスコーター等の各種コーターを用いる方法が挙げられる。
粘着性樹脂組成物の乾燥条件は、特に限定されないが、後述する溶媒を含有する粘着性樹脂組成物は、加熱乾燥させることが好ましい。溶媒を含有する粘着性樹脂組成物は、例えば、70~130℃で10秒間~5分間の条件で乾燥させることが好ましい。
緩衝層13がエネルギー線硬化性である場合、エネルギー線硬化性粘着剤を含有する粘着性樹脂組成物、すなわち、エネルギー線硬化性の粘着性樹脂組成物としては、例えば、非エネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I-1a)(以下、「粘着性樹脂(I-1a)」と略記することがある)と、エネルギー線硬化性化合物と、を含有する粘着性樹脂組成物(I-1);非エネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I-1a)の側鎖に不飽和基が導入されたエネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I-2a)(以下、「粘着性樹脂(I-2a)」と略記することがある)を含有する粘着性樹脂組成物(I-2);前記粘着性樹脂(I-2a)と、エネルギー線硬化性低分子化合物と、を含有する粘着性樹脂組成物(I-3)等が挙げられる。
粘着性樹脂組成物としては、エネルギー線硬化性の粘着性樹脂組成物以外に、非エネルギー線硬化性の粘着性樹脂組成物も挙げられる。
非エネルギー線硬化性の粘着性樹脂組成物としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ゴム系樹脂、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリビニルエーテル、ポリカーボネート、エステル系樹脂等の、非エネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I-1a)を含有する粘着性樹脂組成物(I-4)が挙げられ、アクリル系樹脂を含有するものが好ましい。
<<粘着性樹脂組成物の製造方法>>
粘着性樹脂組成物(I-1)~(I-4)等の前記粘着性樹脂組成物は、前記粘着性樹脂と、必要に応じて前記粘着性樹脂以外の成分等の、粘着性樹脂組成物を構成するための各成分を配合することで得られる。
各成分の配合時における添加順序は特に限定されず、2種以上の成分を同時に添加してもよい。
溶媒を用いる場合には、溶媒を溶媒以外のいずれかの配合成分と混合してこの配合成分を予め希釈しておくことで用いてもよいし、溶媒以外のいずれかの配合成分を予め希釈しておくことなく、溶媒をこれら配合成分と混合することで用いてもよい。
配合時に各成分を混合する方法は特に限定されず、撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合する方法;ミキサーを用いて混合する方法;超音波を加えて混合する方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。
各成分の添加及び混合時の温度並びに時間は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されず、適宜調節すればよいが、温度は15~30℃であることが好ましい。
◇第1保護膜形成用シートの製造方法
前記第1保護膜形成用シートは、上述の各層を対応する位置関係となるように順次積層することで製造できる。各層の形成方法は、先に説明したとおりである。
例えば、第1基材上に緩衝層及び熱硬化性樹脂フィルムがこの順に、これらの厚さ方向において積層されてなる第1保護膜形成用シートは、以下に示す方法で製造できる。すなわち、第1基材に対して、緩衝層形成用の粘着性樹脂組成物を押出成形することにより、第1基材上に緩衝層を積層する。また、剥離フィルムの剥離処理面上に、上述の熱硬化性樹脂フィルム形成用組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させることで、熱硬化性樹脂フィルムを積層する。そして、この剥離フィルム上の熱硬化性樹脂フィルムを第1基材上の緩衝層と貼り合わせることで、第1基材上に緩衝層、熱硬化性樹脂フィルム及び剥離フィルムがこの順に積層されてなる第1保護膜形成用シートを得る。剥離フィルムは、第1保護膜形成用シートの使用時に取り除けばよい。
上述の各層以外の他の層を備えた第1保護膜形成用シートは、上述の製造方法において、前記他の層の積層位置が適切な位置となるように、前記他の層の形成工程及び積層工程のいずれか一方又は両方を適宜追加して行うことで、製造できる。
例えば、第1基材上に、密着層、緩衝層及び熱硬化性樹脂フィルムがこの順に、これらの厚さ方向において積層されてなる第1保護膜形成用シートは、以下に示す方法で製造できる。すなわち、第1基材に対して、密着層形成用組成物及び緩衝層形成用の粘着性樹脂組成物を共押出成形することにより、第1基材上に密着層及び緩衝層をこの順に積層する。そして、上記と同じ方法で、別途、剥離フィルム上に熱硬化性樹脂フィルムを積層する。次いで、この剥離フィルム上の熱硬化性樹脂フィルムを、第1基材及び密着層上の緩衝層と貼り合わせることで、第1基材上に、密着層、緩衝層、熱硬化性樹脂フィルム及び剥離フィルムがこの順に積層されてなる第1保護膜形成用シートを得る。熱硬化性樹脂フィルム上の剥離フィルムは、第1保護膜形成用シートの使用時に取り除けばよい。
◇第1保護膜形成用シートの使用方法
本発明の第1保護膜形成用シートは、例えば、以下のように使用できる。
すなわち、まず第1保護膜形成用シートを、その熱硬化性樹脂フィルムにより半導体ウエハのバンプ形成面に貼り合わせる。このとき、熱硬化性樹脂フィルムを加熱しながら貼り合わせることで、熱硬化性樹脂フィルムを軟化させ、熱硬化性樹脂フィルムをバンプ形成面に密着させる。
次いで、必要に応じて、半導体ウエハのバンプ形成面とは反対側の面(すなわち裏面)を研削した後、この裏面に、この裏面を保護するための保護膜形成用シート(本明細書においては、「第2保護膜形成用シート」と称する)を貼付する。第2保護膜形成用シートとしては、例えば、硬化によって、半導体ウエハ及び半導体チップの裏面を保護するための第2保護膜を形成する第2保護膜形成フィルムを備えたものが挙げられ、さらにダイシングシートを備えて構成されたものであってもよい。
次いで、半導体ウエハのバンプ形成面に貼り合わせた第1保護膜形成用シートのうち、熱硬化性樹脂フィルムのみをバンプ形成面に残して、その他の層を熱硬化性樹脂フィルムから剥離させる。ここで「剥離させるその他の層」とは、例えば、図1に示す第1保護膜形成用シート1の場合には、第1基材11及び緩衝層13である。
次いで、熱硬化性樹脂フィルムを硬化させることにより、半導体ウエハのバンプ形成面に第1保護膜を形成する。
以降は、従来法と同様の方法により、半導体装置の製造までを行うことができる。すなわち、第1保護膜を備えた状態の半導体ウエハをダイシングして半導体チップを形成し、第1保護膜を備えた状態の半導体チップをピックアップする。第2保護膜形成フィルムは、その種類に応じて適切なタイミングで硬化させ、第2保護膜を形成すればよい。ピックアップした半導体チップは、配線基板にフリップチップ実装し、最終的に半導体装置を構成する。
本発明の第1保護膜形成用シートを用いることにより、このシートを半導体ウエハのバンプ形成面へ貼り合わせた段階では、バンプの少なくとも上部が熱硬化性樹脂フィルムを貫通して突出し、バンプ上部での熱硬化性樹脂フィルムの残存が抑制される。その結果、バンプの少なくとも上部が第1保護膜を貫通して突出した状態となる。このような第1保護膜及びバンプを備えた半導体チップを配線基板にフリップチップ実装したときには、半導体チップと配線基板との電気的接続が良好となる。
以下、本発明の第1保護膜形成用シートを半導体ウエハのバンプ形成面へ貼り合わせてから、第1保護膜を形成するまでの過程について、図面を参照しながらさらに詳細に説明する。
図2は、図1に示す第1保護膜形成用シート1の使用方法の一例を模式的に示す断面図である。
第1保護膜形成用シート1の使用時には、まず、図2(a)に示すように、第1保護膜形成用シート1を、その熱硬化性樹脂フィルム12が半導体ウエハ9のバンプ形成面9aに対向するように配置する。
バンプ91の高さは特に限定されないが、120~300μmであることが好ましく、150~270μmであることがより好ましく、180~240μmであることが特に好ましい。バンプ91の高さが前記下限値以上であることで、バンプ91の機能をより向上させることができる。また、バンプ91の高さが前記上限値以下であることで、バンプ91上部での熱硬化性樹脂フィルム12の残存を抑制する効果がより高くなる。
なお、本明細書において、「バンプの高さ」とは、バンプのうち、バンプ形成面から最も高い位置に存在する部位での高さを意味する。
バンプ91の幅は特に限定されないが、170~350μmであることが好ましく、200~320μmであることがより好ましく、230~290μmであることが特に好ましい。バンプ91の幅が前記下限値以上であることで、バンプ91の機能をより向上させることができる。また、バンプ91の高さが前記上限値以下であることで、バンプ91上部での熱硬化性樹脂フィルム12の残存を抑制する効果がより高くなる。
なお、本明細書において、「バンプの幅」とは、バンプ形成面に対して垂直な方向からバンプを見下ろして平面視したときに、バンプ表面上の異なる2点間を直線で結んで得られる線分の最大値を意味する。
隣り合うバンプ91間の距離は、特に限定されないが、250~800μmであることが好ましく、300~600μmであることがより好ましく、350~500μmであることが特に好ましい。前記距離が前記下限値以上であることで、バンプ91の機能をより向上させることができる。また、前記距離が前記上限値以下であることで、バンプ91上部での熱硬化性樹脂フィルム12の残存を抑制する効果がより高くなる。
なお、本明細書において、「隣り合うバンプ間の距離」とは、隣り合うバンプ同士の表面間の距離の最小値を意味する。
次いで、半導体ウエハ9上のバンプ91に熱硬化性樹脂フィルム12を接触させて、第1保護膜形成用シート1を半導体ウエハ9に押し付ける。これにより、熱硬化性樹脂フィルム12の第1面12aを、バンプ91の表面91a及び半導体ウエハ9のバンプ形成面9aに、順次圧着させる。このとき、熱硬化性樹脂フィルム12を加熱することで、熱硬化性樹脂フィルム12は軟化し、バンプ91を覆うようにしてバンプ91間に広がり、バンプ形成面9aに密着するとともに、バンプ91の表面91a、特にバンプ形成面9aの近傍部位の表面91aを覆って、バンプ91を埋め込む。
以上により、図2(b)に示すように、半導体ウエハ9のバンプ形成面9aに、第1保護膜形成用シート1の熱硬化性樹脂フィルム12を貼り合わせる。
上記のように、第1保護膜形成用シート1を半導体ウエハ9に圧着させる方法としては、各種シートを対象物に圧着させて貼付する公知の方法を適用でき、例えば、ラミネートローラーを用いる方法等が挙げられる。
半導体ウエハ9に圧着させるときの第1保護膜形成用シート1の加熱温度は、熱硬化性樹脂フィルム12の硬化が全く又は過度に進行しない程度の温度であればよく、80~100℃であることが好ましく、85~95℃であることがより好ましい。
第1保護膜形成用シート1を半導体ウエハ9に圧着させるときの圧力は、特に限定されないが、0.1~1.5MPaであることが好ましく、0.3~1MPaであることがより好ましい。
上記のように、第1保護膜形成用シート1を半導体ウエハ9に圧着させると、第1保護膜形成用シート1中の熱硬化性樹脂フィルム12及び緩衝層13は、バンプ91から圧力を加えられ、初期には、熱硬化性樹脂フィルム12の第1面12a及び緩衝層13の第1面13aが凹状に変形する。そして、このままバンプ91から圧力を加えられた熱硬化性樹脂フィルム12において、破れが生じる。最終的に、熱硬化性樹脂フィルム12の第1面12aが半導体ウエハ9のバンプ形成面9aに圧着された段階では、バンプ91の上部910が熱硬化性樹脂フィルム12を貫通して突出した状態となる。なお、この最終段階において、通常、バンプ91の上部910は、緩衝層13を貫通しない。これは、緩衝層13がバンプ91から加えられる圧力に対して、緩衝作用を有するためである。
図2(b)に示すように、第1保護膜形成用シート1を半導体ウエハ9のバンプ形成面9aに貼付した段階では、バンプ91の上部910に、熱硬化性樹脂フィルム12は全く又はほぼ残存しない。なお、本明細書において「バンプの上部に熱硬化性樹脂フィルムがほぼ残存しない」とは、特に断りのない限り、バンプの上部に熱硬化性樹脂フィルムが僅かに残存しているものの、その残存量が、このバンプを備えた半導体チップを配線基板にフリップチップ実装したときに、半導体チップと配線基板との電気的接続を妨げない程度であることを意味する。
このように、バンプ91の上部910において、熱硬化性樹脂フィルム12の残存を抑制できるのは、上記のように熱硬化性樹脂フィルム12がバンプ91から圧力を加えられ、変形したときに、熱硬化性樹脂フィルム12が特に破れ易いように設計されているからである。
第1保護膜形成用シート1を半導体ウエハ9のバンプ形成面9aに貼付した後は、さらに必要に応じて、半導体ウエハ9のバンプ形成面9aとは反対側の面(裏面)9bを研削した後、この裏面9bに第2保護膜形成用シート(図示略)を貼付する。
次いで、図2(c)に示すように、熱硬化性樹脂フィルム12から第1基材11及び緩衝層13を剥離させる。
次いで、熱硬化性樹脂フィルム12を硬化させることにより、図2(d)に示すように、バンプ形成面9aに第1保護膜12’を形成する。
本発明の熱硬化性樹脂フィルム12、及びそれを備えた第1保護膜形成用シート1を用いてバンプ形成面9aに第1保護膜12’を形成する際には、熱硬化前の熱硬化性樹脂フィルム12を10℃/minで昇温させたとき、90℃~130℃におけるせん断粘度の最小値が500Pa・s以上であるので、図3(c)及び図3(d)で示されるように、ハジキが生じて半導体ウエハの露出面9aoが現れる不良が生じるおそれがない。
本発明の一つの側面は、樹脂層形成用組成物が、重合体成分(A)として、ポリビニルブチラール(上述した式(i)-1、(i)-2及び(i)-3で表される構成単位を有するもの、含有量:樹脂層形成用組成物の固形分の総質量に対して5~85質量%、より好ましくは5~50質量%、さらに好ましくは5~20質量%)を;熱硬化性成分(B)として、エポキシ樹脂(B1)(液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量404~412g/eq、含有量:樹脂層形成用組成物の固形分の総質量に対して20~40質量%、より好ましくは25~35質量%)を、熱硬化剤(B2)(ノボラック型フェノール樹脂、含有量:樹脂層形成用組成物の固形分の総質量に対して10~20質量%、より好ましくは13~17質量%)を;硬化促進剤(C)として、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール(含有量:樹脂層形成用組成物の固形分の総質量に対して0.05~2質量%、より好ましくは0.1~1質量%)を;充填材(D)として、エポキシ基で修飾された球状シリカ(平均粒径0.05μm、含有量:樹脂層形成用組成物の固形分の総質量に対して3~60質量%、より好ましくは3~55質量%、さらに好ましくは5~10質量%)を含む(ただし、各成分の含有量の合計は、樹脂層形成用組成物の固形分の総質量に対して100質量%を超えない)。
本発明の別の側面は、樹脂層形成用組成物が、重合体成分(A)として、ポリビニルブチラール(上述した式(i)-1、(i)-2及び(i)-3で表される構成単位を有するもの、含有量:樹脂層形成用組成物の固形分の総質量に対して5~85質量%、より好ましくは5~50質量%、さらに好ましくは5~20質量%)を;熱硬化性成分(B)として、エポキシ樹脂(B1)(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、エポキシ当量254~264g/eq、含有量:樹脂層形成用組成物の固形分の総質量に対して10~30質量%、より好ましくは15~25質量%)を、熱硬化剤(B2)(ノボラック型フェノール樹脂、含有量:樹脂層形成用組成物の固形分の総質量に対して10~20質量%、より好ましくは13~17質量%)を;硬化促進剤(C)として、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール(含有量:樹脂層形成用組成物の固形分の総質量に対して0.05~2質量%、より好ましくは0.1~1質量%)を;充填材(D)として、エポキシ基で修飾された球状シリカ(平均粒径0.05μm、含有量:樹脂層形成用組成物の固形分の総質量に対して3~60質量%、より好ましくは3~55質量%、さらに好ましくは5~10質量%)を含む(ただし、各成分の含有量の合計は、樹脂層形成用組成物の固形分の総質量に対して100質量%を超えない)。
本発明のさらに別の側面は、樹脂層形成用組成物が、重合体成分(A)として、ポリビニルブチラール(上述した式(i)-1、(i)-2及び(i)-3で表される構成単位を有するもの、含有量:樹脂層形成用組成物の固形分の総質量に対して5~85質量%、より好ましくは5~50質量%、さらに好ましくは5~20質量%)を;熱硬化性成分(B)として、エポキシ樹脂(B1)(液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量404~412g/eq、含有量:樹脂層形成用組成物の固形分の総質量に対して20~40質量%、より好ましくは25~35質量%)とジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(エポキシ当量254~264g/eq、含有量:樹脂層形成用組成物の固形分の総質量に対して10~30質量%、より好ましくは15~25質量%)と)を、熱硬化剤(B2)(ノボラック型フェノール樹脂、含有量:樹脂層形成用組成物の固形分の総質量に対して10~20質量%、より好ましくは13~17質量%)を;硬化促進剤(C)として、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール(含有量:樹脂層形成用組成物の固形分の総質量に対して0.05~2質量%、より好ましくは0.1~1質量%)を;充填材(D)として、エポキシ基で修飾された球状シリカ(平均粒径0.05μm、含有量:樹脂層形成用組成物の固形分の総質量に対して3~60質量%、より好ましくは3~55質量%、さらに好ましくは5~10質量%)を含む(ただし、各成分の含有量の合計は、樹脂層形成用組成物の固形分の総質量に対して100質量%を超えない)。
本発明の一つの側面は、上記樹脂層形成用組成物を形成してなる熱硬化性樹脂フィルム(厚さ:1~100μm、より好ましくは5~75μm、特に好ましくは5~50μm)を含む。
本発明の別の側面は、第1支持シートの一方の表面上に、上記熱硬化性樹脂フィルムを備えた第1保護膜形成用シートを含む。
以下、具体的実施例により、本発明についてより詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に、何ら限定されるものではない。
熱硬化性樹脂フィルム形成用組成物の製造に用いた成分を以下に示す。
・重合体成分(A)
重合体成分(A)-1:下記式(i)-1、(i)-2及び(i)-3で表される構成単位を有するポリビニルブチラール(積水化学工業社製「エスレック(登録商標)B BL-10」、重量平均分子量25,000、ガラス転移温度59℃。式中、lは68~74mol%であり、mは1~3mol%であり、nは約28mol%である。)
重合体成分(A)-2:下記式(i)-1、(i)-2及び(i)-3で表される構成単位を有するポリビニルブチラール(積水化学工業社製「エスレック(登録商標)B BL-1」、重量平均分子量30,000、ガラス転移温度66℃。式中、lは60~66mol%であり、mは1~3mol%であり、nは約36mol%である。)
重合体成分(A)-3:下記式(i)-1、(i)-2及び(i)-3で表される構成単位を有するポリビニルブチラール(積水化学工業社製「エスレック(登録商標)SV-02」、重量平均分子量50,000、ガラス転移温度59℃。式中、nは約22mol%である。)
重合体成分(A)-4:下記式(i)-1、(i)-2及び(i)-3で表される構成単位を有するポリビニルブチラール(積水化学工業社製「エスレック(登録商標)B BM-S」、重量平均分子量66,000、ガラス転移温度60℃。式中、lは70~76mol%であり、mは4~6mol%であり、nは約22mol%である。)
Figure 0007233377000002
式中、l、m及びnは、それぞれの構成単位の含有割合(mol%)である。
・熱硬化性成分(B)
エポキシ樹脂(B1)-1:液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC社製「EPICLON(登録商標) EXA-4850-1000」、エポキシ当量404~412g/eq)
エポキシ樹脂(B1)-2:ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(DIC社製「EPICLON(登録商標) HP-7200」、エポキシ当量254~264g/eq)
熱硬化剤(B2)-1:ノボラック型フェノール樹脂(昭和電工社製「ショウノール(登録商標)BRG-556」)
・硬化促進剤(C)
硬化促進剤(C)-1:2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール(四国化成工業社製「キュアゾール(登録商標) 2PHZ」)
・充填材(D)
充填材(D)-1:エポキシ基で修飾された球状シリカ(アドマテックス社製「アドマナノ(登録商標) YA050C-MKK」、平均粒径0.05μm)
[実施例1]
<熱硬化性樹脂フィルムの製造>
(熱硬化性樹脂フィルム形成用組成物の製造)
重合体成分(A)-1、エポキシ樹脂(B1)-1、エポキシ樹脂(B1)-2、熱硬化剤(B2)-1、硬化促進剤(C)-1、及び充填材(D)-1を、これらの含有量の割合が表1に示す値となるようにメチルエチルケトンに溶解又は分散させて、23℃で撹拌することで、熱硬化性樹脂フィルム形成用組成物として、固形分濃度が55質量%である樹脂層形成用組成物を得た。なお、表1中の含有成分の欄の「-」との記載は、熱硬化性樹脂フィルム形成用組成物がその成分を含有していないことを意味する。
(熱硬化性樹脂フィルムの製造)
ポリエチレンテレフタレート製フィルムの片面がシリコーン処理により剥離処理された剥離フィルム(リンテック社製「SP-PET381031」、厚さ38μm)の前記剥離処理面に、上記で得られた熱硬化性樹脂フィルム形成用組成物を塗工し、120℃で2分加熱乾燥させることにより、厚さ30μmの熱硬化性樹脂フィルムを得た。
熱硬化性樹脂フィルムの厚さは、接触式厚み計(テクロック社製、製品名「PG-02」)を用いて測定した。
<熱硬化性樹脂フィルムの最低せん断粘度評価>
次いで、この熱硬化性樹脂フィルムを複数枚積層することにより、厚さ500μmの熱硬化性樹脂フィルムを形成した。これから直径25mm、厚さ500μmの円柱形状の評価用試料を作製し、この試料をせん断粘度測定装置に設置した。このとき、測定装置の設置箇所に前記試料を載置して、試料の上面から測定治具を押し当てることで、試料を前記設置箇所に固定して設置した。
周波数:1Hz、昇温速度・10℃/minの測定条件で、室温から150℃までのせん断粘度を1秒ごとに測定した。測定結果を図4に示す。そして、このうち90℃~130℃におけるせん断粘度の最小値を求めた。
<第1保護膜形成用シートの製造>
次いで、第1支持シートとして貼付テープ(リンテック社製「E-8510HR」)を用い、この貼付テープの貼付対象層に、上述の剥離フィルム上の熱硬化性樹脂フィルムを貼り合わせることで、第1支持シート、熱硬化性樹脂フィルム及び剥離フィルムがこの順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された、図1に示す構造を有する第1保護膜形成用シートを得た。
<ハジキ評価>
上記で得られた第1保護膜形成用シートにおいて、剥離フィルムを取り除き、これにより露出した熱硬化性樹脂フィルムの表面(露出面)を、8インチφバンプウエハのバンプ形成面に圧着させることで、半導体ウエハのバンプ形成面に第1保護膜形成用シートを貼付した。このとき、第1保護膜形成用シートの貼付は、貼付装置(ローラー式ラミネータ、リンテック社製「RAD-3510 F/12」)を用いて、テーブル温度90℃、貼付速度2mm/sec、貼付圧力0.5MPaの条件で、熱硬化性樹脂フィルムを加熱しながら行った。8インチφバンプウエハとしては、バンプの高さが210μmであり、バンプの幅が250μmであり、隣り合うバンプ間の距離が400μmである、0.4mm pich BGAの半導体ウエハ(Walts製WLPTEGM2)を用いた。
以上により、半導体ウエハのバンプ形成面に、第1保護膜形成用シートが貼付されて構成された、積層構造体(1)を得た。
その後、紫外線照射を行い、貼付テープ部を剥離してから(リンテック社製、RAD-2700)、熱硬化性樹脂フィルムが貼付されたウエハを加圧オーブン(リンテック製 RAD-9100)にて、温度:130℃、時間:2h、炉内圧力:0.5MPaの加熱条件で熱処理して、熱硬化性樹脂フィルム熱硬化させた。
熱硬化後、デジタル顕微鏡にてバンプ面を走査し、半導体ウエハの表面が見えた点を有するサンプルをハジキ評価「有り」とし、半導体ウエハの表面が見えた点のないサンプルをハジキ評価「無し」とした。
[実施例2~8、比較例1]
<熱硬化性樹脂フィルムの製造及び評価>
熱硬化性樹脂フィルム形成用組成物の製造時において、各成分の種類及び含有量の割合のいずれか一方又は両方を、表1及び表2に示すとおりとした点以外は、実施例1と同じ方法で、熱硬化性樹脂フィルム及び第1保護膜形成用シートを製造し、熱硬化性樹脂フィルムの最低せん断粘度及びハジキを評価した。結果を表1、表2及び図4に示す。
Figure 0007233377000003
Figure 0007233377000004
表1、表2に示される結果から、90℃~130℃におけるせん断粘度の最小値が500Pa・s以上である実施例1~8の熱硬化性樹脂フィルムでは、半導体ウエハに露出面9aoが現れる不良が生じておらず、ハジキが生じなかった。
本発明は、フリップチップ実装方法で使用される、接続パッド部にバンプを有する半導体チップ等の製造に利用可能である。
1・・・第1保護膜形成用シート、11・・・第1基材、11a・・・第1基材の第1面、12・・・熱硬化性樹脂フィルム、12a・・・熱硬化性樹脂フィルムの第1面、12’・・・第1保護膜、13・・・緩衝層、13a・・・緩衝層の第1面、101・・・第1支持シート、9・・・半導体ウエハ、9a・・・半導体ウエハのバンプ形成面、9ao・・・半導体ウエハの露出面、91・・・バンプ、91a・・・バンプの表面、910・・・バンプの上部

Claims (4)

  1. 半導体ウエハのバンプを有する表面に貼付し、熱硬化させることによって、前記表面に第1保護膜を形成するための熱硬化性樹脂フィルムであって、前記バンプの頭頂部を含む上部が、前記熱硬化性樹脂フィルムを貫通して、前記熱硬化性樹脂フィルムから突出するように貼付されるものであり、
    前記熱硬化性樹脂フィルムは、重合体成分(A)及び熱硬化性成分(B)を含有し、前記重合体成分(A)が、下記式(i)-1、(i)-2及び(i)-3で表される構成単位を有するポリビニルブチラールを含有し、
    熱硬化前の前記熱硬化性樹脂フィルムを10℃/minで昇温させたとき、90℃~130℃におけるせん断粘度の最小値が500Pa・s以上である熱硬化性樹脂フィルム。
    Figure 0007233377000005
  2. 前記ポリビニルブチラールの重量平均分子量(Mw)が、5000~200000である、請求項1に記載の熱硬化性樹脂フィルム。
  3. 式(i)-1、(i)-2及び(i)-3中、式(i)-1で表される構成単位の含有割合が40~90mol%であり、式(i)-2で表される構成単位の含有割合が0.1~9mol%であり、式(i)-3で表される構成単位の含有割合が10~60mol%である、請求項1又は2に記載の熱硬化性樹脂フィルム。
  4. 第1支持シートの一方の表面上に、請求項1~3のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂フィルムを備えた第1保護膜形成用シート。
JP2019554312A 2017-11-17 2018-11-16 熱硬化性樹脂フィルム及び第1保護膜形成用シート Active JP7233377B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017221986 2017-11-17
JP2017221986 2017-11-17
PCT/JP2018/042489 WO2019098329A1 (ja) 2017-11-17 2018-11-16 熱硬化性樹脂フィルム及び第1保護膜形成用シート

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2019098329A1 JPWO2019098329A1 (ja) 2020-12-24
JP7233377B2 true JP7233377B2 (ja) 2023-03-06

Family

ID=66540303

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019554312A Active JP7233377B2 (ja) 2017-11-17 2018-11-16 熱硬化性樹脂フィルム及び第1保護膜形成用シート

Country Status (3)

Country Link
JP (1) JP7233377B2 (ja)
TW (1) TWI783082B (ja)
WO (1) WO2019098329A1 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20220122641A (ko) * 2019-12-27 2022-09-02 린텍 가부시키가이샤 반도체 칩의 제조 방법
WO2021132679A1 (ja) * 2019-12-27 2021-07-01 リンテック株式会社 硬化性樹脂フィルム、複合シート、及び半導体チップの製造方法
KR20220147084A (ko) * 2020-02-27 2022-11-02 린텍 가부시키가이샤 보호막 형성용 시트, 보호막이 형성된 칩의 제조 방법, 및 적층물
KR102485700B1 (ko) * 2020-12-23 2023-01-06 주식회사 두산 반도체 패키지용 언더필 필름 및 이를 이용하는 반도체 패키지의 제조방법
CN116686067A (zh) * 2020-12-25 2023-09-01 琳得科株式会社 半导体芯片的制造方法

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015131969A (ja) 2015-04-06 2015-07-23 日立化成株式会社 半導体封止充てん用エポキシ樹脂組成物
WO2017078039A1 (ja) 2015-11-04 2017-05-11 リンテック株式会社 熱硬化性樹脂フィルム、第1保護膜形成用シート及び第1保護膜の形成方法
JP2017092461A (ja) 2015-11-04 2017-05-25 リンテック株式会社 熱硬化性樹脂フィルム及び第1保護膜形成用シート
JP2017188306A (ja) 2016-04-05 2017-10-12 リンテック株式会社 回路部材接続用シートおよび半導体装置の製造方法
JP2018093120A (ja) 2016-12-06 2018-06-14 住友ベークライト株式会社 樹脂シート

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015131969A (ja) 2015-04-06 2015-07-23 日立化成株式会社 半導体封止充てん用エポキシ樹脂組成物
WO2017078039A1 (ja) 2015-11-04 2017-05-11 リンテック株式会社 熱硬化性樹脂フィルム、第1保護膜形成用シート及び第1保護膜の形成方法
JP2017092461A (ja) 2015-11-04 2017-05-25 リンテック株式会社 熱硬化性樹脂フィルム及び第1保護膜形成用シート
JP2017188306A (ja) 2016-04-05 2017-10-12 リンテック株式会社 回路部材接続用シートおよび半導体装置の製造方法
JP2018093120A (ja) 2016-12-06 2018-06-14 住友ベークライト株式会社 樹脂シート

Also Published As

Publication number Publication date
WO2019098329A1 (ja) 2019-05-23
TWI783082B (zh) 2022-11-11
TW201936732A (zh) 2019-09-16
JPWO2019098329A1 (ja) 2020-12-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7233377B2 (ja) 熱硬化性樹脂フィルム及び第1保護膜形成用シート
WO2014148642A1 (ja) 保護膜形成用フィルムおよび保護膜形成用複合シート
TWI641494B (zh) 第一保護膜形成用片、第一保護膜形成方法以及半導體晶片的製造方法
WO2021172431A1 (ja) 樹脂フィルム、複合シート、及び半導体装置の製造方法
JP6344811B1 (ja) 第1保護膜形成用シート
JP7461298B2 (ja) 半導体装置の製造方法
JPWO2019182001A1 (ja) フィルム状接着剤及び半導体加工用シート
JP7176072B2 (ja) キット及び半導体チップの製造方法
JP6438181B1 (ja) 半導体装置及びその製造方法
JP6774301B2 (ja) 熱硬化性樹脂フィルム及び第1保護膜形成用シート
WO2017078053A1 (ja) 熱硬化性樹脂フィルムと第2保護膜形成フィルムのキット、熱硬化性樹脂フィルム、第1保護膜形成用シート及び半導体ウエハ用第1保護膜の形成方法
JP7033237B2 (ja) キット及び半導体チップの製造方法
JP7267259B2 (ja) 半導体チップの製造方法
JP7323734B1 (ja) 第1保護膜形成用シート、半導体装置の製造方法、及びシートの使用
TWI834820B (zh) 熱硬化性樹脂膜以及第1保護膜形成用片
TWI833912B (zh) 熱硬化性樹脂膜以及第1保護膜形成用片
TWI822962B (zh) 具第1保護膜之工件加工物的製造方法
WO2020196156A1 (ja) フィルム状接着剤及び半導体加工用シート
JP2016113562A (ja) ダイ接着用接着剤
JP2023102566A (ja) 第1保護膜形成用シート、半導体装置の製造方法、及びシートの使用
JP2022153305A (ja) ダイシングダイボンディングシート及び半導体装置の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210830

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220802

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220928

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230124

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230221

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7233377

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150