以下、本発明の一実施の形態に係る複合処理施設について説明する。図1は、本発明の一実施の形態に係る複合処理施設の概略構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施の形態における複合処理施設1は、焼却設備2と、破砕設備3とを備えている。
焼却設備2は、第1種廃棄物を焼却するための少なくとも1つの焼却炉21を備えている。本実施の形態においては、2つの焼却炉(第1焼却炉21aおよび第2焼却炉21b)が設けられている。本実施の形態において、第1種廃棄物は、例えば可燃性ごみ等、焼却炉21において焼却処理の対象となる廃棄物を意味する。
さらに、焼却設備2は、焼却炉21において第1種廃棄物を焼却処理する際に発生する排熱によって生じた蒸気を用いて発電を行う発電機22を備えている。本実施の形態においては、1つの発電機22が設けられているが、複数の発電機が設けられていてもよい。
図2は、図1における焼却設備の一例を示す概略構成図である。図2には1つの焼却炉21のみが示されている。焼却設備2は、酸素含有ガスを用いて廃棄物を焼却するための火炉室203を有する焼却炉21と、焼却炉21から排出される焼却炉排ガスから排熱を水蒸気として回収する蒸気回収装置であるボイラ204と、を含む。焼却炉21のボイラ204とは反対側には、ホッパ205および給じん機206が配置されており、ボイラ204からは、排ガスの排気経路207が煙突208まで延びている。排気経路207には、何れも図示しないが、上流側から順に、エコノマイザー、減温塔、集塵機およびブロワが設けられている。
ホッパ205の火炉室203とは反対側には、焼却炉21に投入される第1種廃棄物を一時貯留するための貯留槽(廃棄物ピット)209が設けられている。貯留槽209の上方にはクレーン210が設けられている。ホッパ205には、貯留槽209に貯められた廃棄物がクレーン210により投入される。給じん機206は、所定のインターバル(例えば、0.5~3分間隔)で間欠的に作動することにより、ホッパ205に投入された廃棄物を焼却炉21の火炉室203内に送り込む。
焼却炉21は、火炉室203の下方に設けられたストーカを有している。ストーカは、廃棄物の搬送手段として機能する。ストーカは、給じん機206に近い側から順に乾燥ストーカ211、燃焼ストーカ212および後燃焼ストーカ213を有する。すなわち、これらのストーカ211~213は、廃棄物の移動方向に配列されている。乾燥、燃焼および後燃焼ストーカ211~213の下方には、風箱214~216がそれぞれ設けられている。さらに、焼却炉21は、火炉室203とボイラ204との間に火炉室203と連続する再燃焼室217を有する。なお、燃焼ストーカ212は、図2の例では1段であるが、2段以上設けられていてもよい。乾燥、燃焼および後燃焼ストーカ211~213は、例えば、互いに異なるインターバルで間欠的に作動する。
火炉室203では、廃棄物の熱分解および部分酸化反応により燃焼ガスが生成され、この燃焼ガスが廃棄物と共に燃焼される。再燃焼室217は、火炉室203から流出する燃焼ガスを完全燃焼させるためのものである。廃棄物の燃焼後の灰は、後燃焼ストーカ213に隣接して設けられた排出口218から排出される。
ボイラ204では、焼却炉21から排出される排ガス(排熱)によって蒸気が生成される。より詳しくは、図2に示すように、ボイラ204は、再燃焼室217の上方に配置された放射室219と、放射室219と上部同士が連通する第1煙道220と、第1煙道220と下部同士が連通する第2煙道221と、を含む。ボイラ204で排熱から生成された蒸気は、発電機22と連結されたタービン222に送られて発電に利用される。ボイラ204を通過した排ガスの大部分は、排気経路207を流れた後に、煙突208から大気中へ放出される。
焼却設備2は、焼却炉21および発電機22を含む焼却設備2の各機器2aの制御を行う第1制御装置24を備えている。第1制御装置24は、焼却設備2の中央制御室等に配置された一または複数の制御装置から構成される。第1制御装置24は、演算部、記憶部、通信部等(何れも図示せず)を備え、焼却設備2の各機器2aに設けられたセンサ等(図示せず)からの検出値が入力され、当該検出値または作業員により入力された操作指令に基づいて焼却設備2の各機器2aに制御信号を出力する。
破砕設備3は、第2種廃棄物から資源物を回収するために破砕処理および選別処理を行うための設備として構成される。破砕設備3は、第2種廃棄物を破砕するための少なくとも1つの破砕機31と、破砕機31に第2種廃棄物を供給する供給装置32とを備えている。本実施の形態において、第2種廃棄物は、例えば可燃性粗大ごみ、不燃性粗大ごみ、不燃ごみ等、破砕機31において破砕処理の対象となる廃棄物を意味する。このように、本明細書および特許請求の範囲において、第1種廃棄物および第2種廃棄物の用語は、焼却設備2に供給されるか破砕設備3に供給されるかの違いを単に区別するために用いるものである。したがって、例えば第2種廃棄物の一部に第1種廃棄物が含まれ得る。
図3は、図1における破砕設備の一例を示す概略構成図である。破砕設備3は、破砕機31として、第1破砕機31aおよび第2破砕機31bを備えている。これに合わせて、破砕設備3は、供給装置32として、第1供給装置32aおよび第2供給装置32bを備えている。すなわち、第1供給装置32aは、第1破砕機31aに、第2種廃棄物を供給するよう構成され、第2供給装置32bは、第2破砕機31bに、第1破砕機31aによって破砕された第2種廃棄物を供給するよう構成される。各供給装置32a,32bは、例えばエプロンコンベヤ等の搬送コンベヤとして構成されている。
第1供給装置32aの下流側端部は、第1破砕機31aの上部に設けられた投入口側に配置される。第1供給装置32aの上流側端部は、第2種廃棄物が集積される受入ヤード301から投入された第2種廃棄物を一時貯留し、所定の分量ずつ排出する受入ホッパ302の排出口側に配置される。第2供給装置32bの上流側端部は、第1破砕機31aの排出口側に配置される。第2供給装置32bの下流側端部は、第2破砕機31bの上部に設けられた投入口側に配置される。
第2破砕機31bの下部に設けられた排出口の下方には、搬送コンベヤ304,305が設けられる。搬送コンベヤ304,305は、第2破砕機31bで破砕された第2種廃棄物(破砕物)を選別装置306に搬送する。
第1破砕機31aは、回転刃を備え、刃の回転により第2種廃棄物を粗く破砕する。第2破砕機31bは、円筒空間内を回転する回転ハンマを備え、第1破砕機31aで破砕された第2種廃棄物を円筒空間の内壁に設けられた櫛歯状の構造体と回転ハンマとでより細かく破砕する。第2破砕機31bの回転ハンマは、第1破砕機31aの回転刃よりも高速に回転する。
なお、図示しないが、第1破砕機31aには、防爆用の送風機が設けられ、第1破砕機31a内に可燃性のガスが充満することが防止される。さらに、第2破砕機31bにも、防爆用の送風機が設けられてもよい。例えば、図3に示すような横型の破砕機においては、防爆用の送風機が設けられることがある。一方、竪型の破砕機においては、ロータの回転により破砕機の内部が自然排気されるため、防爆用の送風機は不要な場合が多い。
選別装置306は、破砕機31で破砕された第2種廃棄物(破砕物)を所定の資源物、不燃物および可燃物に選別するように構成されている。選別装置306は、破砕物を磁性の有無で選別する第1選別機307と、破砕物をその粒度差(塊の大きさ)に応じて選別する第2選別機308と、を備えている。
第1選別機307は、搬送コンベヤ305の下流端部の上方に設けられ、下方に向けて磁力を発生させるように構成されている。第1選別機307は、搬送コンベヤ305上の破砕物のうちの鉄分(破砕鉄)を磁力によって吸引し、第1シュート309を介して第1バンカ311に破砕鉄を貯留させる。鉄分を含まない残りの破砕物は、第2シュート310を介して第2選別機308に送られる。
第2選別機308は、長手方向に沿った回転軸を有するドラム(図示せず)を備え、長手方向一端部に設けられた投入口から破砕物がドラム内部に投入されるように構成されている。このドラムの円筒面には複数の孔が開口されている。複数の孔は、1または複数種類の口径を含んでいる。例えばドラムの円筒面に開口された複数の孔が2種類の口径を有する場合、ドラムの投入口に近い側の孔は口径が小さく、ドラムの投入口に遠い側(長手方向他端部に設けられた排出口に近い側)の孔は口径が大きくなっている。第2選別機308は、ドラムが回転軸回りに回転することでドラム内に投入された破砕物をふるいにかけ、破砕物の粒度(粒径)に応じて破砕物を選別する。
ドラムに設けられた小さい孔からドラム外に排出された破砕物は、不燃物として第2バンカ312に貯留される。ドラムに設けられた大きい孔からドラム外に排出された破砕物は、アルミ選別機(図示せず)で磁力を用いて破砕アルミとその他の残留物とに選別される。破砕アルミは、第3バンカ313に貯留される。何れの孔にも通らなかった残留物は、第2選別機308の長手方向他端部に設けられた排出口から排出され、排出コンベヤ314を介して焼却設備2の貯留槽209へ可燃物として送られる。同様に、アルミ選別機の残留物も、排出コンベヤ314を介して貯留槽209へ送られる。
なお、図示しないが、選別装置306の各所には選別用の送風機による風力選別が行われる。選別用の送風機は、第1選別機307および第2選別機308の各排出経路に選別用空気を送り、各選別機307,308から排出された不燃物、破砕鉄または破砕アルミ等に纏わり付いた可燃物等を吹き飛ばす。選別用の送風機の送風方向下流側にはサイクロン装置およびバグフィルタ等(何れも図示せず)が設けられ、選別用空気に含まれる可燃物等がサイクロン装置およびバグフィルタ等により除去された後、選別用空気が大気に放出される。
破砕設備3は、破砕機31および供給装置32を含む破砕設備3の各機器3aの制御を行う第2制御装置34を備えている。第2制御装置34は、破砕設備3の中央制御室等に配置された一または複数の制御装置から構成される。第2制御装置34も、第1制御装置24と同様に、演算部、記憶部、通信部等(何れも図示せず)を備え、破砕設備3の各機器3aに設けられたセンサ等(図示せず)からの検出値が入力され、当該検出値または作業員により入力された操作指令に基づいて破砕設備3の各機器3aに制御信号を出力する。
焼却設備2の発電機22で発電される電力は、第1送電ライン23を介して焼却設備2の各機器2aに送電される。さらに、焼却設備2の発電機22で発電される電力は、第1送電ライン23から分岐した第2送電ライン33を介して破砕設備3の各機器3aにも送電される。各設備2,3の各機器2a,3aは、発電機22で発電される電力を電源とすることにより稼働する。なお、図1においては、第1制御装置24、第2制御装置34、後述する、第1消費電力量計測器25、第2消費電力量計測器35、および、発電電力量計測器26が各設備2,3の各機器2a,3aの外部に存在するように示されているが、これらの機器も発電機22から供給される電力により稼働し得る。
第1および第2送電ライン23,33は、外部の商用電力系統4に接続されている外部電力ライン41に接続可能に構成されている。これにより、商用電力系統4から供給される電力(外部電力)を各設備2,3の各機器2a,3aに供給する(買電する)ことが可能である。また、複合処理施設1は、外部電力ライン41を介して発電機22で発電される電力を商用電力系統4に供給する(電力会社等に売電する)ことも可能である。
発電機22と各送電ライン23,33との間には、発電電力量計測器26が設けられる。発電電力量計測器26は、発電機22で発電される電力量である発電電力量Wgを計測する。計測された発電電力量Wgの情報は、破砕設備3の第2制御装置34へ送られる。
また、焼却設備2には、焼却設備2(の各機器2a)で消費される電力量である第1消費電力量Wc1を計測する第1消費電力量計測器25が設けられる。同様に、破砕設備3には、破砕設備3(の各機器3a)で消費される電力量である第2消費電力量Wc2を計測する第2消費電力量計測器35が設けられる。第1消費電力量Wc1および第2消費電力量Wc2の合計が複合処理施設1で消費される消費電力量Wcとなる。各消費電力量計測器25,35で計測された各消費電力量Wc1,Wc2の情報は、破砕設備3の第2制御装置34へ送られる。
なお、第1消費電力量計測器25で計測された第1消費電力量Wc1の情報および発電電力量計測器26で計測された発電電力量Wgの情報は、焼却設備2の第1制御装置24にも送られ得る。
第2制御装置34は、発電電力量Wgから消費電力量Wcを引いた余剰電力量Wsを算出する。より具体的には、第2制御装置34は、(発電電力量Wg)-{(第1消費電力量Wc1)+(第2消費電力量Wc2)}を計算する。本実施の形態において、余剰電力量Wsは、売電量に等しい。余剰電力量Wsが負の値になると、買電状態となる。第2制御装置34は、算出された余剰電力量Wsの時間的変化を監視する。
第2制御装置34は、余剰電力量Wsが所定の第1しきい値W1以下になった場合に、破砕機31に第2種廃棄物を供給する供給速度Vが遅くなるように供給装置32を制御する。以下、本明細書において、第1供給装置32aの供給速度を第1供給速度V1とし、第2供給装置32bの供給速度を第2供給速度V2とする。本実施の形態における制御対象は、第1供給装置32aの第1供給速度V1および第2供給装置32bの第2供給速度V2である。
図4は、本実施の形態における余剰電力量の時間的変化およびそれに応じて制御される供給速度の時間的変化の一例を示すグラフである。図4における上から1番目のグラフが余剰電力量Wsの時間的変化を示す(縦軸を余剰電力量Wsとし、横軸を時間tとする)グラフであり、2番目のグラフが第2供給装置32bの第2供給速度V2の時間的変化を示す(縦軸を第2供給速度V2とし、横軸を時間tとする)グラフであり、3番目のグラフが第1供給装置32aの第1供給速度V1の時間的変化を示す(縦軸を第1供給速度V1とし、横軸を時間tとする)グラフである。
本実施の形態において、第2制御装置34は、余剰電力量Wsが第1しきい値W1より大きい場合に、第2供給装置32bに対して第2供給速度V2を遅くする制御を行わない。これにより、第2供給装置32bは、第2供給速度V2として予め設定された第1速度Vaで稼働する。第1速度Vaは、例えば第2供給速度V2の定格(最大)速度等に設定される。
第2制御装置34は、余剰電力量Wsが第1しきい値W1以下になった場合に、第2供給速度V2を第1上限値Vaより低い第2速度Vbに設定し、当該第2速度Vbとなるように第2供給装置32bを制御する。第1上限値Vaは、例えば第2供給速度V2の定格(最大)速度等に設定される。
同様に、余剰電力量Wsが第1しきい値W1より小さい所定の第2しきい値W2以下になった場合に、第2制御装置34は、第2供給速度V2を第2速度Vbより低い第3速度Vcに設定し、当該第3速度Vcとなるように第2供給装置32bを制御する。さらに、余剰電力量Wsが第2しきい値W2より小さい所定の第3しきい値W3以下になった場合に、第2制御装置34は、第2供給速度V2を第3速度Vcより低い第4速度Vdに設定し、当該第4速度Vdとなるように第2供給装置32bを制御する。なお、例えば第4速度Vdを0としてもよい。この場合、第2制御装置34は、第2供給装置32bの動作を停止させる制御を行う。
図4の例においては、時刻t1において余剰電力量Wsが第1しきい値W1以下となることにより、第2供給速度V2が第1速度Vaから第2速度Vb(<Va)に設定される。また、時刻t2において余剰電力量Wsが第2しきい値W2以下となることにより、第2供給速度V2が第2速度Vbから第3速度Vc(<Vb)に設定される。
ここで、第1種廃棄物の単位量あたりの発熱量は、第1種廃棄物の状態が湿度や気温等により変化するため、季節、時間等により変化する。例えば、第1種廃棄物が焼却処理されることによる単位量あたりの発熱量は、夏季において廃棄物に含まれる水分量が多くなるため、小さくなる。また、第1種廃棄物の貯留槽9への搬入量は、その時々で変化する。
一方、焼却設備2における第1種廃棄物の焼却処理には運用上の制約がある。例えば、焼却炉21の単位時間あたりの焼却量の上下限値、貯留槽9の容量の上下限値、焼却炉21または発電機22の停止期間(メンテナンス期間)、および、焼却炉21の連続稼働期間の上限値等がある。
焼却量の上限値および貯留槽9の容量の上限値は、焼却設備2の性能上限を示す値として焼却設備2毎に予め決定されている。焼却量の下限値および貯留槽9の容量の下限値は、焼却炉21が第1種廃棄物の焼却処理を継続的に行うために最低限必要な値として焼却設備2毎に予め決定されている。焼却炉21の停止期間は、焼却炉21のメンテナンス上の制約として、例えば1年にX回、1回あたりY日停止等のように定められている。発電機22の停止期間についても同様である。焼却炉21の連続稼働期間は、焼却炉21の能力維持のために予め定められている。
複数の焼却炉21a,21bを備えた焼却設備2において、一の焼却炉21の停止期間は、他の焼却炉21の稼働期間に行われる。また、貯留槽9に貯留される第1種廃棄物の容量が少なくなると、複数の焼却炉21a,21bのうちの一部の焼却炉が停止される。したがって、図1のような2つの焼却炉21a,21bを備えた焼却設備2において、第1焼却炉21aの停止期間中は、第2焼却炉21bのみが稼働(一炉運転)することになる。同様に、第2焼却炉21bの停止期間中は、第1焼却炉21aのみが稼働する。
このような一炉運転時においては、2つの焼却炉21a,21bがともに稼働している場合に比べて、発電機22の発電量が大きく減少する。また、上記のように第1種廃棄物の状態および/または第1種廃棄物の貯留槽9への搬入量に応じて発電機22の発電量は変動し得る。
上記構成によれば、発電機22で発電される電力量(発電電力量Wg)から複合処理施設1で消費される電力量(消費電力量Wc)を引いた余剰電力量Wsが算出される。この余剰電力量Wsが所定の第1しきい値W1以下になった場合、破砕設備3の第2破砕機31bに供給される第2種廃棄物の第2供給速度V2が低減される。これにより、第2破砕機31bの処理負荷が低減するため、第2破砕機31bで消費される電力量が低下する。このように、余剰電力量Wsがある程度少なくなった場合に、複合処理施設1のうちの破砕設備3で電力変動の比較的大きい第2破砕機31bの処理負荷を自動的に低減させることにより、発電機22における発電量が変動しても、消費電力量Wcが発電電力量Wgを上回ることを抑制することができる。
特に、高速破砕機である第2破砕機31bは、衝撃破砕を行うため、第1破砕機31aに比べ、第2種廃棄物の性状、供給量等の変動に伴う処理負荷の変動(すなわち、消費電力量の変動)が比較的大きい。このため、消費電力量Wcを抑制するための制御対象として、第2供給速度V2が用いられることにより、発電電力量Wgの低下に伴って第2破砕機31bへの第2種廃棄物の供給量が低減する。これにより、第2破砕機31bの処理負荷が低減され、複合処理施設1全体の消費電力量Wcを効果的に抑制することができる。
以上のように、上記構成によれば、余剰電力量Wsが負の値になることが事前に防止されるため、不意の買電が生じることを防止することができ、発電機22で発電される電力のうちの余剰電力を安定的に売電することができる。したがって、複合処理施設1の運用コストの低減および運用の高効率化を図ることができる。
また、発電電力量Wgが低下した場合に、焼却設備2の作業員が破砕設備3の作業員に発電電力Wgが低下した旨の連絡をする必要がなくなり、破砕設備3の作業員も発電電力量Wgの低下に伴って供給装置32の供給速度を遅くする手動変更操作を行う必要がなくなる。したがって、上記構成によれば、複合処理施設1の作業員の負担を減らすことができる。そのうえ、作業員の感覚的な手動変更操作に頼ることなく、発電電力量Wgに応じた適切な供給速度の調整を自動的に行うことができる。
また、メンテナンスまたは焼却設備2で焼却する第1種廃棄物の量の変化等で複数の焼却炉21のうちの一部の焼却炉を停止させた場合でも、複合処理施設1の稼働を継続しながら発電を行うことで、消費電力量が発電電力量を上回ることを抑制することができる。したがって、複数の焼却炉21を有する複合処理施設1の柔軟な運用を行うことができる。
また、上記構成によれば、複数のしきい値W1~W3を設定し、それに応じて第2供給速度V2を変更することにより、第2破砕機31bの処理負荷を余剰電力量Wcの減少に伴って段階的に低減することができる。したがって、破砕設備3における処理能力を最大限確保しつつ消費電力量Wcが発電電力量Wgを上回ることを抑制することができる。
本実施の形態において、第2制御装置34は、余剰電力量Wsが第1しきい値W1以下になってから再び第1しきい値W1より大きくなるまでの間、第2供給速度V2を遅くする(V2=Vbとする)制御を継続する。さらに、第2制御装置34は、余剰電力量Wsが第1しきい値W1より大きくなった状態が所定の時間(遅延時間Tdの間)継続した場合に、第2供給速度V2を遅くする制御を解除する(V2=Vaとなる)。
図4の例においては、時刻t2において余剰電力量Wsが第2しきい値W2以下になった後、時刻t3において再び余剰電力量Wsが第1しきい値W1より大きくなっている。時刻t3から遅延時間Td経過後の時刻t4までの間、余剰電力量Wsが第1しきい値W1より大きい状態が継続することにより、第2供給速度V2が第3速度Vcから第1速度Vaに復帰する。
これによれば、余剰電力量Wsが第1しきい値W1以下になった後は、再び第1しきい値W1より大きい状態が所定の時間継続する(第1しきい値W1より大きくなってから遅延時間Tdが経過する)まで、第2供給速度V2が元に戻らない。発電電力量Wgが消費電力量Wcを上回る状態が安定してから第2供給速度V2を元に戻す復帰制御を行うことで、第2供給速度V2を元に戻すことによる消費電力量Wcの増大により、消費電力量Wcが発電電力量Wgを上回ってしまう状態となることを防止することができる。これにより、頻繁に第2供給速度V2が変化するのを防止することができる。
なお、余剰電力量Wsが第3しきい値W3以下になった場合に、第2供給装置32bの動作を停止させる制御が行われる場合には、第2供給装置32bの動作停止後は、余剰電力量Wsが第1しきい値W1より大きくなるか否かによらず第2供給速度V2の復帰制御を行わないようにしてもよい。この場合には、第2供給装置32bにおいて別途再起動が必要とされてもよい。
さらに、本実施の形態において、第2制御装置34は、図4に示すように、第2供給装置32bにおける第2供給速度V2の制御に追従するように、第1供給装置32aにおける第1供給速度V1を制御する。第1供給速度V1の第1速度Ve、第2速度Vfおよび第3速度Vgは、それぞれ、第2供給速度V2の第1速度Va、第2速度Vbおよび第3速度Vcに対応する。
第2供給装置32bにおける第2供給速度V2が遅くなるように制御するときに、第1供給速度V1を第1速度Veのまま維持した場合、第1破砕機31aにおける第2種廃棄物の処理量が変化しないため、第2供給装置32bに搬送される第2種廃棄物の量(単位長さ当たりの量)が増加する可能性がある。このような場合、破砕設備3によっては第2破砕機31bにおける処理負荷が増大し、過負荷の状態になるおそれがある。
これに対し、本実施の形態によれば、第2供給速度V2が遅くなるのに伴って第1供給速度V1も遅くなるため、第2供給装置32bに流れる第2種廃棄物の量(単位長さ当たりの量)を均等にすることができる。
なお、本実施の形態においては、第1供給速度V1を第2供給速度V2と同じように制御する例を示しているが、両者の制御タイミングを完全に一致させなくてもよい。例えば、一方の供給速度の変更タイミングから遅れて他方の供給速度を変更してもよい。また、例えば、第2供給速度V2に対しては上記のように複数段(第1速度Va~第4速度Vdの4段階)に段階的に遅くする制御を行う一方で、第1供給速度V1に対してはそれより少ない段数(第1速度Ve~第2速度Vfの2段階)で遅くする制御を行ってもよい。
また、本実施の形態においては、各供給装置32a,32bにおける供給速度V1,V2が、作業員の手動変更操作により変更可能に構成されている。余剰電力量Wsが第1しきい値W1より大きい場合、手動変更操作を行うことにより、供給速度V1,V2を自由に変更することができる。余剰電力量Wsが第1しきい値W1以下となった場合、手動変更操作を行うことにより、そのときに設定されている供給速度V1,V2より各速度を遅くするような供給速度V1,V2の変更操作が許容される。
すなわち、余剰電力量Wsが第1しきい値W1より大きい場合、第2供給速度V2の手動変更操作によって、第1速度Vaより大きく設定することもできるし、第1速度Va以下に設定することもできる。また、余剰電力量Wsが第1しきい値W1以下になった場合、第2供給速度V2の手動変更操作における変更可能範囲は、第2速度Vb以下に設定される。また、余剰電力量Wsが第2しきい値W2以下になった場合、第2供給速度V2の手動変更操作における変更可能範囲は、第3速度Vc以下に設定される。第1供給速度V1についても同様に設定可能である。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変更、修正が可能である。
例えば、上記実施の形態では、余剰電力量Wsに応じて第2供給速度V2自体を低減させる制御を行う態様について説明したが、これに代えて、第2供給速度V2の制御範囲を低減させる制御を行ってもよい。すなわち、第2制御装置34は、余剰電力量Wsが第1しきい値W1以下になった場合には、第2供給速度V2が許容される速度範囲の上限値または中央値を第1しきい値W1より大きい場合における速度範囲の上限値または中央値よりも小さい値に設定してもよい。また、第2制御装置34は、余剰電力量Wsに応じて速度範囲全体(上限値および下限値)を変更するように制御してもよい。
また、上記実施の形態では、余剰電力量Wsが第1しきい値W1より大きいか否かにかかわらず、第2供給速度V2の手動変更操作を許容する態様について説明したが、これに限られない。
例えば、第2制御装置34は、余剰電力量Wsが第1しきい値W1より大きい場合にのみ、第2供給速度V2の手動変更操作を許容し、余剰電力量Wsが第1しきい値W1以下になった場合には、手動変更操作を禁止してもよい。すなわち、図4の例において、時刻t1~t4までは第2供給速度V2が第1速度Vaより低い第2速度Vbまたは第3速度Vcに固定されてもよい。また、余剰電力量Wsが第1しきい値W1より大きいか否かにかかわらず手動変更操作を行うことができない態様に対しても上記実施の形態は適用可能である。
また、上記実施の形態においては、余剰電力量Wsが第1しきい値W1以下となった場合、複数のしきい値W1~W3を用いて段階的に第2供給速度V2を遅くする制御を行う態様を例示したが、これに限られない。例えば、第2制御装置34は、余剰電力量Wsが第1しきい値W1以下になった場合、余剰電力量Wsの変化に追従するように第2供給速度V2を変化させてもよい。
また、上記実施の形態においては、第2制御装置34が余剰電力量Wsを算出し、余剰電力量Wsの変化に応じて第2供給装置32bの第2供給速度V2を制御し、それに追従するように第1供給装置32aの第1供給速度V1を制御する態様を説明したが、これに限られない。例えば、第1供給速度V1および第2供給速度V2のうちの第2供給速度V2のみを制御してもよいし、第1供給速度V1のみを制御してもよい。
また、上記実施の形態においては、破砕設備3の制御装置である第2制御装置34が余剰電力量Wsの変化に対する供給速度の制御を行う制御装置として機能する態様を例示したが、焼却設備2の制御装置である第1制御装置24が上記機能を発揮してもよい。また、第1制御装置24および第2制御装置34を統括する上位の制御装置を設け、当該上位の制御装置が上記機能を発揮するように構成してもよい。
また、第1制御装置24と第2制御装置34とが協働することにより、上記機能を発揮してもよい。例えば、第1制御装置24が余剰電力量Wsを算出し、第1しきい値W1との比較を行い、余剰電力量Wsが第1しきい値W1以下である場合に、供給装置32における供給速度を遅くする制御を開始する命令を第2制御装置34に送信してもよい。第2制御装置34は、当該命令を受信することにより供給装置32における供給速度を遅くする制御を実行してもよい。
また、上記実施の形態においては、余剰電力量Wsが第1しきい値W1以下になった後は、再び第1しきい値W1より大きい状態が所定の時間継続する(第1しきい値W1より大きくなってから遅延時間Tdが経過する)まで第2供給速度V2の復帰制御を行わない態様について説明したが、これに限られず、すぐに復帰制御を行ってもよい(遅延時間Td=0としてもよい)。
また、上記実施の形態においては、余剰電力量Wsが第2しきい値W2以下になった後、余剰電力量Wsが第2しきい値W2より大きくなっても第1しきい値W1以下である限り、第2供給速度V2の復帰制御は行われない。すなわち、第3速度Vcでの制御が維持される。しかし、本態様に代えて、例えば、余剰電力量Wsが第2しきい値W2以下になった後、余剰電力量Wsが第2しきい値W2より大きくなった状態が所定の時間継続した場合には第2速度Vbでの制御に変更されてもよい。すなわち、第2供給速度V2の復帰制御が段階的に行われてもよい。
また、上記実施の形態においては、ストーカ式の焼却炉21を有する焼却設備2を例示したが、焼却炉21において廃棄物を焼却処理する際に発生する水蒸気を用いて発電を行う発電機22を備えた焼却設備2であれば、これに限られない。例えば、上記実施の形態を、流動層式の焼却炉を有する焼却設備を含む複合処理施設に適用することも可能である。
また、上記実施の形態においては、2つの焼却炉21a,21bが設けられた焼却設備2を例示したが、焼却炉の数は、これに限られない。例えば、焼却設備2は、1つの焼却炉を有していてもよいし、3つ以上の焼却炉を有していてもよい。また、3つ以上の焼却炉を有している場合において、第1種廃棄物の量に応じて第1種廃棄物の焼却に用いる焼却炉の数を変更する際には、そのうちの少なくとも1つを停止または稼働させる。また、第1種廃棄物の量に応じて稼働する焼却炉の数を段階的に変更してもよい。
また、上記実施の形態においては、破砕設備3として選別装置306を備えた設備を例示したが、破砕設備3には、選別装置306を含まず、破砕機31を用いた破砕処理を主に行う中間処理設備が含まれる。