以下に添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。また、本実施形態において、放射性物質含有物は、放射性物質を含有する各種物体が含まれる。具体的には、原子力施設から排出された放射性廃棄物、飛散した放射性物質が付着した放射性廃棄物、放射性物質を含有する燃料等が含まれる。
図1は、本実施形態の燃焼システムの一例である石炭ガス化複合発電システムの概略構成図である。図2は、石炭ガス化複合発電システムの制御装置を模式的に示すブロック図である。
本実施形態の石炭ガス化複合発電システム(IGCC:Integrated Coal Gasification Combined Cycle)は、燃焼システムの一例であり、空気を酸化剤としてガス化装置で石炭ガスを生成する空気燃焼方式を採用し、ガス精製装置で精製した後の石炭ガスを燃料ガスとしてガスタービン設備に供給して発電を行っている。即ち、石炭ガス化複合発電システムは、空気燃焼方式(空気吹き)の発電システムである。なお、本実施形態では、空気吹きの発電システムとして説明するが、空気吹きの発電システムは一例であり、空気吹きに限定されない。
本実施形態において、図1に示すように、石炭ガス化複合発電システム10は、給炭装置(燃料供給装置)11と、放射性物質含有物供給装置12と、混合装置13と、ガス化炉14と、チャー回収装置15と、ガス精製装置16と、ガスタービン設備17と、蒸気タービン設備18と、発電機19と、排熱回収ボイラ(HRSG:Heat Recovery Steam Generator)20と、スラグ回収装置21と、線量計測ユニット22と、制御装置23と、を有する。
給炭装置11は、混合装置13に石炭を粉砕した微粉炭を供給する。給炭装置11は、石炭供給源24と、粉砕機25と、を有する。石炭供給源24は、石炭を貯留するバンカとバンカに貯留された石炭を搬送する搬送機構とを有する。搬送機構は、空気搬送する機構やコンベヤ等である。粉砕機25は、石炭供給源24から供給された石炭を粉砕し、微粉炭とする。給炭装置11は、石炭を粉砕した微粉炭を混合装置13に供給する。なお、給炭装置11は、石炭(原炭)を乾燥させる乾燥装置を有していてもよいし、粉砕機25を複数段有していてもよい。
放射性物質含有物供給装置12は、放射性物質含有物供給源26と、粉砕機27と、開閉弁28と、を有する。放射性物質含有物供給装置12は、放射性物質含有物供給源26は、放射性物質含有物を貯留するバンカとバンカに貯留された放射性物質含有物を搬送する搬送機構とを有する。搬送機構は、コンベヤや空気搬送する機構等である。放射性物質含有物を搬送する機構は、外部と遮断された閉じられた空間で放射性物質含有物を搬送する機構とすることが好ましい。放射性物質含有物を搬送する機構は、放射性物質含有物を搬送する経路の搬入口、搬出口以外で、外部と連通している部分に放射性物質含有物が漏れることを抑制するフィルタ等を設けることが好ましい。粉砕機27は、放射性物質含有物供給源26から供給された放射性物質含有物を粉砕する。開閉弁28は、粉砕機27と混合装置13との間の放射性物質含有物が搬送される配管に設けられている。開閉弁28は、開閉を切り換えることで、混合装置13に放射性物質含有物を供給する状態と、供給を停止する状態とを切り換える。放射性物質含有物供給装置12は、粉砕した放射性物質含有物を混合装置13に供給する。また、本実施形態放射性物質含有物供給装置12は、粉砕機27で放射性物質含有物を粉砕したが、放射性物質含有物供給源26から供給される放射性物質含有物が微粉炭と同様の細かい粒子であれば、粉砕しなくてもよい。
混合装置13は、給炭装置11から供給された微粉炭と、放射性物質含有物供給装置12から供給された放射性物質含有物と、を一時的に貯留しガス化炉14に供給する。混合装置13は、供給ホッパ31a,31bと給炭ライン32a,32bとを有する。供給ホッパ31a,31bは、粉砕機25で粉砕された微粉炭と、粉砕機27で粉砕された放射性物質含有物が供給される。供給ホッパ31a、31bは、供給された微粉炭と粉砕された放射性物質含有物を混合しつつ貯留する。供給ホッパ31a、31bは、微粉炭と放射性物質含有物とが供給され、微粉炭と放射性物質含有物とを排出する際に、微粉炭と放射性物質含有物とが移動することで混合されるが、微粉炭と射性物質含有物とを混合するための撹拌機構を備えていてもよい。給炭ライン32a,32bは、供給ホッパ31a、31bから排出された微粉炭と放射性物質含有物とをガス化炉14に供給する。具体的には、ガス化炉14に向けた方向に窒素が流れている第1窒素供給ライン43に供給ホッパ31a、31bから排出された微粉炭と放射性物質含有物を供給することで、窒素とともに微粉炭と放射性物質含有物をガス化炉14に供給する。なお、本実施形態の混合装置13は、2組の供給ホッパ31a,31bと給炭ライン32a,32bを設けたが1つでもよい。
ガス化炉14は、混合装置13を介して給炭装置11から微粉炭(燃料)が供給され、混合装置13を介して放射性物質含有物供給装置12から放射性物質含有物が供給される。また、ガス化炉14は、チャー回収装置15で回収されたチャー(石炭の未燃分)が戻されて供給される。ガス化炉14は、各部の制御によって、微粉炭、放射性物質含有物、チャーが供給される状態と供給されない状態とが切り換え可能となっている。
ガス化炉14は、ガスタービン設備17(圧縮機61)から圧縮空気供給ライン41が接続されており、このガスタービン設備17で圧縮された圧縮空気が供給可能となっている。空気分離装置42は、大気中の空気から窒素と酸素を分離生成するものであり、第1窒素供給ライン43がガス化炉14に接続されている。また、第1窒素供給ライン43は、上述したように給炭ライン32a,32bが接続されている。また、第2窒素供給ライン45もガス化炉14に接続され、この第2窒素供給ライン45にチャー回収装置15からのチャー戻しライン46が接続されている。更に、酸素供給ライン47は、圧縮空気供給ライン41に接続されている。この場合、窒素は、石炭やチャーの搬送用ガスとして利用され、酸素は、酸化剤として利用される。
ガス化炉14は、例えば、2段2室噴流床形式のガス化炉を有し、内部に供給された石炭、チャー、空気(酸素)、またはガス化剤としての水蒸気を燃焼・ガス化すると共に、二酸化炭素を主成分とする可燃性ガス(生成ガス、石炭ガス)が発生し、この可燃性ガスをガス化剤としてガス化反応が起こる。また、ガス化炉14は、ガス化反応で生じる高温の雰囲気で石炭とともに供給される放射性物質含有物を溶融させる。放射性物質含有物は、溶融されることで、一部がガス化し、一部がスラグ化する。また、放射性物質含有物から生成されるスラグは、生成時に石炭に含まれる成分によりガラス固化される。なお、ガス化炉14には、微粉炭の混入した異物を除去する異物除去装置や、ガス化炉14の熱を回収する熱交換器等が設けられている。ガス化炉14は、噴流床ガス化炉に限らず、流動床ガス化炉や固定床ガス化炉としてもよい。そして、このガス化炉14は、チャー回収装置15に向けて可燃性ガスのガス生成ライン49が設けられており、チャーを含む可燃性ガスが排出可能となっている。この場合、ガス生成ライン49にガス冷却器を設けることで、可燃性ガスを所定温度まで冷却してからチャー回収装置15に供給するとよい。
チャー回収装置15は、集塵装置51と供給ホッパ52と上述したチャー戻しライン46とを有している。この場合、集塵装置51は、1つまたは複数のバグフィルタやサイクロンにより構成され、ガス化炉14で生成された可燃性ガスに含有するチャーを分離することができる。集塵装置51は、チャーとともに可燃性ガスに含まれる粒子状の放射性物質を分離する。そして、チャーと粒子状の放射性物質が分離された可燃性ガスは、ガス排出ライン53を通してガス精製装置16に送られる。供給ホッパ52は、集塵装置51で可燃性ガスから分離されたチャーと粒子状の放射性物質を貯留するものである。なお、集塵装置51と供給ホッパ52との間にビンを配置し、このビンに複数の供給ホッパ52を接続するように構成してもよい。そして、供給ホッパ52からのチャー戻しライン46が第2窒素供給ライン45に接続されている。チャー回収装置15は、ガス化炉14から排出された可燃性ガスからチャー(収支分)及び粒子状の放射性物質を分離し、ガス化炉14に再度供給する。つまり、チャー回収装置15は、ガス化炉14との間で、粒子分を循環させる循環機構となる。
ガス精製装置16は、チャー回収装置15によりチャーが分離された可燃性ガスに対して、硫黄化合物や窒素化合物などの不純物を取り除くことで、ガス精製を行うものである。そして、ガス精製装置16は、可燃性ガスを精製して燃料ガスを製造し、これをガスタービン設備17に供給する。なお、このガス精製装置16では、チャーが分離された可燃性ガス中にはまだ硫黄分(H2S)が含まれているため、アミン吸収液によって除去することで、硫黄分を最終的には石膏として回収し、有効利用する。
ガスタービン設備17は、圧縮機61、燃焼器62、タービン63を有しており、圧縮機61とタービン63は、回転軸64により連結されている。燃焼器62は、圧縮機61から圧縮空気供給ライン65が接続されると共に、ガス精製装置16から燃料ガス供給ライン66が接続され、タービン63に燃焼ガス供給ライン67が接続されている。また、ガスタービン設備17は、圧縮機61からガス化炉14に延びる圧縮空気供給ライン41が設けられており、中途部に昇圧機68が設けられている。従って、燃焼器62では、圧縮機61から供給された圧縮空気とガス精製装置16から供給された燃料ガスとを混合して燃焼し、タービン63にて、発生した燃焼ガスにより回転軸64を回転することで発電機19を駆動することができる。
蒸気タービン設備18は、ガスタービン設備17における回転軸64に連結されるタービン69を有しており、発電機19は、この回転軸64の基端部に連結されている。排熱回収ボイラ20は、ガスタービン設備17(タービン63)からの排ガスライン70に設けられており、空気と高温の排ガスとの間で熱交換を行うことで、蒸気を生成するものである。そのため、排熱回収ボイラ20は、蒸気タービン設備18のタービン69との間に蒸気供給ライン71が設けられると共に、蒸気回収ライン72が設けられ、蒸気回収ライン72に復水器73が設けられている。従って、蒸気タービン設備18では、排熱回収ボイラ20から供給された蒸気によりタービン69が駆動し、回転軸64を回転することで発電機19を駆動することができる。
そして、排熱回収ボイラ20で熱が回収された排ガスは、ガス浄化装置74により有害物質を除去され、浄化された排ガスは、煙突75から大気へ放出される。
スラグ回収装置21は、ガス化炉14で生成されたスラグを回収する。スラグ回収装置21は、スラグ排出ライン34と、スラグ貯蔵装置35a、35bと、高濃度スラグ貯蔵装置36と、を有する。スラグ排出ライン34は、ガス化炉14と接続され、ガス化炉14から排出されたスラグが流れる。スラグ排出ライン34は、スラグ貯蔵装置35a、35bと、高濃度スラグ貯蔵装置36と接続している。
スラグ貯蔵装置35a、35bは、埋め立て等の処理に使用できるスラグを貯留する。具体的には、体積当たりの線量が設定した基準以下のスラグを貯留する。スラグ貯蔵装置35aは、分岐スラグライン90aと、貯蔵ホッパ91aと、開閉弁92aと、を有する。分岐スラグライン90aは、スラグ排出ライン34に接続され、スラグ排出ライン34からスラグが供給される。貯蔵ホッパ91aは、分岐スラグライン90aから供給されたスラグを貯留する。開閉弁92aは、分岐スラグライン90aに設けられている。開閉弁92aは、開閉を切り換えることで、貯蔵ホッパにスラグを供給する状態と、供給を停止する状態とを切り換える。スラグ貯蔵装置35bは、スラグ貯蔵装置35aと同様の構造であり、分岐スラグライン90bと、貯蔵ホッパ91bと、開閉弁92bと、を有する。
高濃度スラグ貯蔵装置36は、再処理が必要なスラグを貯留する。具体的には、体積当たりの線量が設定した基準を超えるスラグを貯留する。高濃度スラグ貯蔵装置36は、分岐スラグライン94と、再処理用ホッパ95と、開閉弁96と、を有する。分岐スラグライン94は、スラグ排出ライン34に接続され、スラグ排出ライン34からスラグが供給される。再処理用ホッパ95は、分岐スラグライン94から供給されたスラグを貯留する。開閉弁96は、分岐スラグライン94に設けられている。開閉弁96は、開閉を切り換えることで、貯蔵ホッパにスラグを供給する状態と、供給を停止する状態とを切り換える。
スラグ回収装置21は、スラグ貯蔵装置35a、35bと、高濃度スラグ貯蔵装置36と、を有し、運転状態によって、具体的にはスラグの放射線量に応じて、開閉弁92a、92b、96を切り換え、スラグを貯留するホッパを切り換える。これにより、スラグ回収装置21は、処理可能なスラグを好適に貯留することができる。なお、貯留するホッパの切り換え処理については後述する。
線量計測ユニット22は、石炭ガス化複合発電システム10の各部の放射線量を計測する。線量計測ユニット22は、第1放射線モニタ80と、第2放射線モニタ82と、第3放射線モニタ84と、第4放射線モニタ86と、第5放射線モニタ88と、を有する。第1放射線モニタ80と、第2放射線モニタ82と、第3放射線モニタ84と、第4放射線モニタ86と、第5放射線モニタ88と、は、いずれも測定位置における放射線量を計測する。
第1放射線モニタ80は、放射性物質含有物供給装置12の粉砕機27よりも下流側で混合装置13よりも上流側の放射性物質含有物の通過経路に設けられている。第1放射線モニタ80は、混合装置13を流れる物質(主に放射性物質含有物)の放射線量を計測する。第1放射線モニタ80は、ガス化炉14に投入する前の放射性物質含有物の放射線量を計測する。第1放射線モニタ80は、放射線量に加え、放射性物質含有物に含まれる放射性物質の成分分析、つまり、どの種類の放射性物質がどの割合で含まれるかを計測する計測機器を用いてもよい。
次に、第2放射線モニタ82と、第3放射線モニタ84と、第4放射線モニタ86と、第5放射線モニタ88と、は、ガス化炉14よりも下流側の計測点の放射線量を計測する。第2放射線モニタ82は、スラグ回収装置21のスラグ排出ライン34に設けられている。第2放射線モニタ82は、スラグ排出ライン34を流れる物質、つまり主にスラグの放射線量を計測する。第3放射線モニタ84は、チャー回収装置15のチャー戻しライン46に設けられている。第3放射線モニタ84は、チャー戻しライン46を流れる物質、つまり主に集塵装置51でチャーとともに捕集された粒子状の放射性物質の放射線量を計測する。第4放射線モニタ86は、チャー回収装置15でチャーが分離された可燃性ガスが流れるガス排出ライン53に設けられている。第4放射線モニタ86は、ガス排出ライン53を流れる物質、つまり主に可燃性ガスとともに流れる集塵装置51で捕集されなかった放射性物質の放射線量を計測する。第5放射線モニタ88は、煙突75に設けられている。第5放射線モニタ88は、外部に排出される空気に含まれる放射性物質の放射線量を計測する。
制御装置23は、石炭ガス化複合発電システム10の動作を制御する。制御装置23は、演算部38と、記憶部39とを有する。制御装置23としては、パーソナルコンピュータ等を用いることができる。制御装置23は、キーボード、マウス、タッチパネル等の利用者からの情報や指示の入力を受け付ける入力部、液晶パネルや有機EL(Organic Electro−Luminescence)パネル等の表示装置や、プリンタ、音声を出力するスピーカ等の各種情報を出力して、オペレータ等の利用者に情報を報知する出力部、所定の通信プロトコルに基づいて、他の装置との間での情報の送受信を制御する通信部、CD−ROM等の記憶媒体に記憶されたプログラムやデータを読み取る媒体読取部等をさらに備えていてもよい。
演算部38は、演算手段であるCPU(Central Processing Unit)と、記憶手段であるメモリとを備え、これらのハードウェア資源を用いてプログラムを実行することによって各種の機能を実現する。具体的には、演算部38は、記憶部39に記憶されているプログラムを読み出してメモリに展開し、メモリに展開されたプログラムに含まれる命令をCPUに実行させる。そして、演算部38は、CPUによる命令の実行結果に応じて、メモリ及び記憶部39に対してデータの読み書きを行ったり、各部の動作を制御したりする。
記憶部39は、磁気記憶装置や半導体記憶装置等の不揮発性を有する記憶装置からなり、各種のプログラムやデータを記憶する。記憶部39に記憶されるプログラムには、運転を制御する制御プログラム39aが含まれる。記憶部39に記憶されるデータには、運転時の各種条件が記憶される条件テーブル39bと、が含まれる。条件テーブル39bには、線量計測ユニット22の計測結果に基づいて、放射性物質含有物供給装置12による放射性物質含有物の供給動作を制御する各種条件や、スラグ回収装置21の動作を制御する条件を含む。
なお、記憶部39が記憶することとしているプログラム及びデータの一部または全ては、制御装置23がネットワークを介して通信可能な他の装置に記憶され、必要に応じて制御装置23にダウンロードされることとしてもよい。また、図2において記憶部39が記憶することとしているプログラム及びデータの一部または全ては、記憶媒体に記憶され、必要に応じて媒体読取部によって読み取られることとしてもよい。
制御装置23は、図2に示すように、制御プログラム(燃焼制御プログラム)39aを演算部38に実行させることにより、線量計測ユニット22の計測結果に基づいて、石炭供給源24、放射性物質含有物供給源26、開閉弁28、92a、92b、96の動作を制御する機能を実現する。制御プログラム(燃焼制御プログラム)39aを実行することで実現できる機能については、後述する。
次に、石炭ガス化複合発電システム10の作動について説明する。石炭ガス化複合発電システム10は、給炭装置11から混合装置13に微粉炭が供給され、放射性物質含有物供給装置12から混合装置13に放射性物質含有物が供給される。
混合装置13に供給された微粉炭と放射性物質含有物は第1窒素供給ライン43を通してガス化炉14に供給される。また、後述するチャー回収装置15で回収されたチャーが、空気分離装置42から供給される窒素により第2窒素供給ライン45を通してガス化炉14に供給される。更に、後述するガスタービン設備17から抽気された圧縮空気が昇圧機68で昇圧された後、空気分離装置42から供給される酸素と共に圧縮空気供給ライン41を通してガス化炉14に供給される。
ガス化炉14では、供給された微粉炭及びチャーが圧縮空気(酸素)により燃焼し、微粉炭及びチャーがガス化することで、二酸化炭素を主成分とする可燃性ガス(石炭ガス)を生成することができる。そして、この可燃性ガスは、ガス化炉14からガス生成ライン49を通して排出され、チャー回収装置15に送られる。
このチャー回収装置15にて、可燃性ガスは、まず、集塵装置51に供給されることで、ここで可燃性ガスからこのガスに含有するチャーが分離される。そして、チャーが分離された可燃性ガスは、ガス排出ライン53を通してガス精製装置16に送られる。一方、可燃性ガスから分離した微粒チャーは、供給ホッパ52に堆積され、チャー戻しライン46を通してガス化炉14に戻されてリサイクルされる。
チャー回収装置15によりチャーが分離された可燃性ガスは、ガス精製装置16にて、硫黄化合物や窒素化合物などの不純物が取り除かれてガス精製され、燃料ガスが製造される。そして、ガスタービン設備17では、圧縮機61が圧縮空気を生成して燃焼器62に供給すると、この燃焼器62は、圧縮機61から供給される圧縮空気と、ガス精製装置16から供給される燃料ガスとを混合し、燃焼することで燃焼ガスを生成し、この燃焼ガスによりタービン63を駆動することで、回転軸64を介して発電機19を駆動し、発電を行うことができる。
そして、ガスタービン設備17におけるタービン63から排出された排気ガスは、排熱回収ボイラ20にて、空気と熱交換を行うことで蒸気を生成し、この生成した蒸気を蒸気タービン設備18に供給する。蒸気タービン設備18では、排熱回収ボイラ20から供給された蒸気によりタービン69を駆動することで、回転軸64を介して発電機19を駆動し、発電を行うことができる。
その後、ガス浄化装置74では、排熱回収ボイラ20から排出された排気ガスの有害物質が除去され、浄化された排ガスが煙突75から大気へ放出される。
石炭ガス化複合発電システム10は、以上のように、燃料である石炭とともに放射性物質含有物をガス化炉14に供給することで、放射性物質含有物を燃焼させることができる。燃料とともにガス化炉に投入することで、放射性物質を燃料から生成されるスラグとともにスラグ化することができる。これにより、燃料成分と放射性物質とが混合し、放射性物質濃度を低減できる。また、本実施形態では、放射性物質をガラス固化してスラグにすることができる。これにより、放射性物質を、ガラス中に封入することで、適切に放射性物質を処理することができる。
また、石炭ガス化複合発電システム10は、チャーとともに粒子分の放射性物質を循環させることができ、また、燃焼しガス化した放射性物質も、循環中に温度が低下し、チャー等の循環粒子に付着し、循環させることで、放射性物質の処理時に放射性物質が外部に漏れることを抑制することができる。
また、石炭ガス化複合発電システム10は、各部で放射線量を検出することで、運転状態を正確に把握することができる。また、石炭ガス化複合発電システム10は、検出した放射線量に基づいて、供給する放射性物質含有物の供給を管理することでより安全に放射性物質含有物を処理することができる。
以下、図3から図7を用いて、石炭ガス化複合発電システム10のガス化炉14の周辺の動作、具体的には、燃料と放射性物質含有物の供給動作およびスラグの回収動作について詳細に説明する。
図3は、ガス化炉の運転開始時の動作の一例を示すフローチャートである。制御装置23は、運転開始の指令を検出したら、図3の処理を行う。制御装置23は、燃料の供給を開始する(ステップS12)。つまり、制御装置23は、給炭装置11から混合装置13に微粉炭を供給し、混合装置13からガス化炉14に微粉炭を供給する。また、制御装置23は、放射性物質含有物供給装置12から混合装置13に放射性物質含有物を供給しない。制御装置23は、ガス化炉14に燃料である微粉炭のみを供給し、ガス化炉14で燃料のみを燃焼、ガス化させる。
制御装置23は、ガス化炉14で燃料のみの燃焼、ガス化を開始したら、一定時間経過したかを判定する(ステップS14)。一定時間は、予め条件テーブル39bに記憶されている設定された時間である。また、一定時間は、入口燃料のスラグ換算量と出口のスラグ量が一定となる定常状態となる時間であることが、好ましい。制御装置23は、一定時間経過していない(ステップS14でNo)と判定した場合、ステップS14に戻る。制御装置23は、一定時間経過した(ステップS14でYes)と判定した場合、混合装置13に供給する放射性物質含有物の線量を計測する(ステップS16)。つまり、制御装置23は、第1放射線モニタ80で計測した放射線量を取得する。
制御装置23は、線量を検出したら、検出した線量が基準値(閾値)以下であるかを判定する(ステップS18)。ここで、基準値は、放射性物質含有物供給装置12から混合装置13に供給し、ガス化炉14で燃焼させる放射性物質含有物が、燃料可能な放射性物質含有物であるかを判定する基準の値である。なお、本実施形態の燃焼システムの石炭ガス化複合発電システム10は、戻しラインを有し、物質が循環する循環系であるため、循環系に放射性物質が濃縮する可能性がある。このため、基準値は、濃縮を考慮した値とすることが好ましい。濃縮量は、放射性物質投入時の入口出口の放射性物質量を事前に把握することで、あるいは、モニタリングすることで、把握できる。後述する基準値も同様に循環を考慮した値とすることが好ましい。
制御装置23は、検出した線量が基準値より高い(ステップS18でNo)と判定した場合、ステップS16に戻る。制御装置23は、検出した線量が基準値以下となるまで、ステップS18の処理を繰り返す。つまり、制御装置23は、検出した線量が基準値より高い場合は、燃料のみを燃焼する状態を維持する。また、石炭ガス化複合発電システム10は、検出した線量が基準値より高い場合、放射性物質含有物供給装置12を交換するようにしてもよい。
制御装置23は、検出した線量が基準値以下(ステップS18でYes)と判定した場合、混合装置13への放射性物質含有物の供給を開始する(ステップS20)。制御装置23は、放射性物質含有物供給装置12から混合装置13に放射性物質含有物を供給し、混合装置13からガス化炉14に放射性物質含有物を供給する。これにより、石炭ガス化複合発電システム10は、ガス化炉14での放射性物質含有物の燃焼、放射性物質のスラグ化を開始する。
石炭ガス化複合発電システム10は、運転開始時は、燃料である石炭のみを供給し、放射性物質含有物を供給しないことで、石炭ガス化複合発電システム10の経路内に初期層として、放射性物質を備えない燃料由来付着物(チャー、灰など)で満たすことができる。これにより、炉壁表面層への放射性物質由来の付着物の付着を抑制できる。
また、放射性物質含有物供給装置12から供給される放射性物質含有物の線量が高い場合、放射性物質含有物を投入しないことで、石炭ガス化複合発電システム10を安定して運転することができる。
図4は、ガス化炉の運転時の動作の一例を示すフローチャートである。制御装置23は、燃料とともに放射性物質含有物をガス化炉に供給している場合に、図4の処理を繰り返し実行する。制御装置23は、計測点の放射線量を計測する(ステップS32)。ここで、計測点は、第2放射線モニタ82で計測する位置、第3放射線モニタ84で計測する位置、第4放射線モニタ86で計測する位置、第5放射線モニタ88で計測する位置の少なくとも1つである。つまり、計測点は、燃料及び放射性物質含有物の流れ方向において、ガス化炉14よりも下流側となる位置である。
制御装置23は、計測点で放射線量を計測したら、放射線量が第1基準値以下であるかを判定する(ステップS34)。第1基準値は、予め設定されている値である。また、複数の測定点を有する場合、第1基準値は、測定点のそれぞれに対して設定されている。制御装置23は、放射線量が第1基準値以下である(ステップS34でYes)と判定した場合、混合装置13に供給する放射性物質含有物を増加させる(ステップS36)。
制御装置23は、放射線量が第1基準値より高い(ステップS34でNo)と判定した場合、放射線量が第2基準値以上であるかを判定する(ステップS38)。第2基準値は、第1基準値よりも高い値であり、予め設定されている値である。また、複数の測定点を有する場合、第2基準値は、測定点のそれぞれに対して設定されている。制御装置23は、放射線量が第2基準値以上である(ステップS38でYes)と判定した場合、混合装置13に供給する放射性物質含有物を減少させる(ステップS40)。
制御装置23は、放射線量が第2基準値未満である(ステップS38でNo)と判定した場合、つまり、放射線量が第1基準値より高く第2基準値未満である場合、供給量を変更せず、処理を終了する。制御装置23は、決定した供給量に基づいて、放射性物質含有物供給装置12から供給する放射性物質含有物を供給し、ガス化炉14に放射性物質含有物を供給する。
石炭ガス化複合発電システム10は、計測点、つまり、ガス化炉よりも下流側の各位置の放射線量をモニタリングし、その結果に基づいて、放射性物質含有物の供給量を制御することにより、経路内の放射線量を基準値以下にしつつ、かつ、より多くの放射性物質含有物を処理することができる。つまり効率よくかつ安全に放射性物質含有物を処理することができる。
石炭ガス化複合発電システム10は、計測点として、第2放射線モニタ82を用いることで、スラグの線量を適正に制御することができる。石炭ガス化複合発電システム10は、計測点として、第3放射線モニタ84を用いることで、循環する経路の線量を管理することができる。また、循環しており、濃縮された位置での線量を計測することができ、分解能を高くすることができる。また、第3放射線モニタ84の計測結果からチャー回収装置15よりも下流側の可燃性ガスの放射線量を推定することができる。石炭ガス化複合発電システム10は、計測点として、第4放射線モニタ86を用いることで、排出される可燃性ガスの線量を制御することができ、線量が高いガスが排出されることを抑制することできる。石炭ガス化複合発電システム10は、計測点として、第5放射線モニタ88を用いることで、排出される排ガスの線量を制御することができ、線量が高いガスが排出されることを抑制することできる。
線量計測ユニット22は、第1放射線モニタ80と、第2放射線モニタ82と、第3放射線モニタ84と、第4放射線モニタ86と、第5放射線モニタ88と、の全てを設けることが好ましい。特に、放射性物質含有物の投入量を好適に制御できるため、第1放射線モニタ80を設けることが好ましい。また、排出される物質(スラグ、可燃性ガス)の線量を計測するため、第2放射線モニタ82と、第4放射線モニタ86と、第5放射線モニタ88とも設けることが好ましい。
図5は、ガス化炉の運転時の動作の一例を示すフローチャートである。図5は、放射性物質含有物供給装置12から混合装置13に供給する放射性物質含有物の量を決定し、決定した量の放射性物質含有物を供給する処理の一例である。制御装置23は、燃料とともに放射性物質含有物をガス化炉に供給している場合に、図5の処理を繰り返し実行する。制御装置23は、図4の処理で決定する放射性物質の増加量を図5に示す処理で行っても、図4の処理とは別の処理として行ってもよい。
制御装置23は、計測点の放射線量に基づいて、供給する放射性物質の線量の総量を決定する(ステップS42)。制御装置23は、線量の総量を決定したら、決定した放射性物質の線量の総量と、放射性物質含有物の放射線量の計測結果、つまり、第1放射線モニタ80の計測結果とに基づいて、供給する放射性物質含有物の供給量を決定する(ステップS44)。制御装置23は、放射性物質含有物供給装置12から供給する放射性物質含有物の放射性物質の総量が、決定した供給する放射性物質の線量の総量となる放射性物質含有物の量を決定し、決定した量を供給する放射性物質含有物の供給量とする。制御装置23は、混合装置13に供給している放射性物質含有物の線量を加味して、ガス化炉14に供給する放射性物質の線量の総量が所定の量となるように放射性物質含有物の供給量を決定してもよい。
制御装置23は、供給する放射性物質含有物の供給量を決定したら、決定した量の放射性物質含有物を供給する(ステップS46)。
石炭ガス化複合発電システム10は、図5に示すように、放射性物質含有物の放射線量を加味して、供給量を調整することで、経路内の放射線量をより高い精度で調整することができる。また、この場合、第2放射線モニタ82は、放射性物質の割合も算出し、その割合に基づいて、供給量を調整することが好ましい。これにより、放射性物質の種類によって、異なるガス化炉内での挙動、スラグとなるかガス化するかをより高い精度で予測することができ、経路内の放射線量をより高い精度で調整することができる。また、事前に放射性物質の種類によってのガス化炉内での挙動、スラグ側に移行するか、ガス側に移行するかを、要素試験で把握することで、より高い精度で予測することができ、経路内の放射線量をより高い精度で調整することができる。
図6は、ガス化炉の運転時の動作の一例を示すフローチャートである。制御装置23は、燃料とともに放射性物質含有物をガス化炉に供給している場合に、図6の処理を繰り返し実行する。制御装置23は、図4の処理、図5の処理と並行して図6の処理を実行する。制御装置23は、図4の処理、図5の処理と別に図6の処理を実行してもよい。
制御装置23は、計測点の放射線量を計測する(ステップS52)。ここで、計測点は、第2放射線モニタ82で計測する位置である。制御装置23は、ガス化炉14からスラグ回収装置21のスラグ排出ライン34に供給されるスラグの放射線量を計測する。
制御装置23は、計測点で放射線量を計測したら、放射線量が基準値以下であるかを判定する(ステップS54)。基準値は、予め設定されている値であり、例えば、廃棄物として埋め立てできる基準の放射線量に基づいて設定した値である。制御装置23は、放射線量が基準値以上である(ステップS54でYes)と判定した場合、スラグ回収装置21のスラグを供給するホッパを再処理用ホッパに設定する(ステップS56)。制御装置23は、開閉弁92a、92bを閉じて、開閉弁96を開き、スラグ排出ライン34のスラグが再処理用ホッパ95に供給される状態とする。
制御装置23は、放射線量が基準値未満(ステップS54でNo)、つまり基準値より低いと判定した場合、スラグ回収装置21のスラグを供給するホッパを貯蔵ホッパに設定する(ステップS58)。制御装置23は、開閉弁92a、92bの1つを開いて、1つを閉じて、開閉弁96を閉じて、スラグ排出ライン34のスラグが貯蔵ホッパ91a、91bのいずれかに供給される状態とする。
石炭ガス化複合発電システム10は、スラグの放射線量を検出し、スラグの放射線量が高い場合、スラグを再処理用ホッパ95にスラグを排出し、基準を満たすスラグを貯蔵ホッパ91a、91bに排出することで、埋め立て等の次の処理ができない放射性物質を含有するスラグが大量に発生することを抑制することができる。これにより、放射性物質含有物を効率よく処理することができる。
また、本実施形態では、スラグを供給するホッパを再処理用ホッパ95か、貯蔵ホッパ91a、91bかで切り換えたが、第2放射線モニタ82の計測結果とスラグの排出量との統計に基づいて、開閉弁92a、92bの開閉を切り換え、貯蔵ホッパ91a、91bに許容値のスラグが貯留されるようにしてもよい。つまり、放射線量が低いスラグが多く排出されている場合は、放射線量が高いスラグが排出された場合でも同じホッパに排出するようにしてもよい。この場合、供給する放射性物質含有物の量を制御することで、生成されるスラグの放射線量を調整することができ、貯蔵ホッパに許容値のスラグを貯留することができる。
図7は、ガス化炉の運転停止時の動作の一例を示すフローチャートである。制御装置23は、給炭装置11から混合装置13に微粉炭を供給し、放射性物質含有物供給装置12から混合装置13に放射性物質含有物を供給している状態で、運転停止の指令を検出したら、図7の処理を行う。
制御装置23は、混合装置13への放射性物質含有物の供給を停止する(ステップS72)。制御装置23は、放射性物質含有物供給装置12から混合装置13に放射性物質含有物を供給し、かつ、給炭装置11から混合装置13に微粉炭を供給している状態から、放射性物質含有物供給装置12から混合装置13への放射性物質含有物の供給を停止し、給炭装置11から混合装置13に微粉炭を供給している状態に切り換える。これにより、混合装置13には、微粉炭のみが供給され、混合装置13内の放射性物質の濃度が徐々に低下する状態となる。
制御装置23は、混合装置13への放射性物質含有物の供給を停止したら、計測点の放射線量を計測する(ステップS74)。計測点は、第2放射線モニタ82で計測する位置、第3放射線モニタ84で計測する位置、第4放射線モニタ86で計測する位置、第5放射線モニタ88で計測する位置の少なくとも1つである。
制御装置23は、線量を検出したら、検出した線量が基準値以下であるかを判定する(ステップS76)。ここで、基準値は、予め設定した値である。基準値は、測定点または経路内に作業員が立ち入ることができると判定できる値である。
制御装置23は、検出した線量が基準値より高い(ステップS76でNo)と判定した場合、ステップS74に戻る。制御装置23は、検出した線量が基準値以下となるまで、ステップS74、S76の処理を繰り返す。つまり、制御装置23は、検出した線量が基準値より高い場合は、燃料のみを混合装置13に新たに供給し、混合装置13から供給された物質をガス化炉14で燃焼する状態を維持する。
制御装置23は、検出した線量が基準値以下(ステップS76でYes)と判定した場合、プラントの運転停止動作を開始する(ステップS78)。プラントの運転停止動作は、石炭ガス化複合発電システム10の運転を停止する際に実行する各種処理である。
本実施形態の石炭ガス化複合発電システム10は、停止時に、混合装置13への放射性物質含有物の供給を停止し、ガス化炉14に供給される物質の放射線量を下げ、燃料専焼運転をした後、停止処理を行うことで、炉壁表面の放射性廃棄物由来付着物を燃料由来付着物に入れ替えることができ、経路内の放射線量を低減することができる。これにより、点検時に作業員に与える影響や、交換部品の汚染を抑制することができる。
また、放射性物質含有物は、放射性廃棄物に限定されず、放射性物質を含有する種々の物質に用いることができる。
また、本実施形態の石炭ガス化複合発電システム10は、放射性物質含有物を混合装置13に供給し、燃料と混合した後、ガス化炉14に供給したが、これに限定されない。石炭ガス化複合発電システム10は、燃料(微粉炭)と放射性物質含有物とを別々の経路でガス化炉14に供給してもよい。
ここで、上記実施形態では、燃焼システムを石炭ガス化複合発電システム10とした場合を説明したが、これに限定されない。燃焼システムは、投入された物質の一部を変換ガスとし、一部をスラグとする変換炉と、変換炉に燃料を供給する燃料供給装置と、変換炉に放射性物質を含有する放射性物質含有物を供給する放射性物質含有物供給装置と、変換炉で生成されたスラグを回収するスラグ回収装置と、変換炉から排出される変換ガスに含まれる粒子成分を分離する分離機及び分離した粒子分を変換炉に変換する戻しラインを有する循環装置と、循環装置で粒子が分離された変換ガスが通過する排出部と、排出部を通過した変換ガスを排出する煙突と、を有する構造であればよい。
図8は、本実施形態の燃焼システムの他の例である溶融システムの概略構成図である。図9は、石炭ガス化複合発電システムの制御装置を模式的に示すブロック図である。溶融システム100は、変換炉を溶融炉114とし、循環装置をフライアッシュ回収装置118としている。溶融システム100は、燃料供給装置111と、放射性物質含有物供給装置112と、混合装置113と、溶融炉114と、熱交換器116と、フライアッシュ回収装置118と、熱交換器119と、煙突120と、スラグ回収装置121と、線量計測ユニット122と、制御装置123と、を有する。
燃料供給装置111は、混合装置113に燃料、例えば石炭を粉砕した微粉炭を供給する。燃料供給装置111は、燃料供給源124と、粉砕機125と、を有する。燃料供給源124、粉砕機125は、石炭供給源24と、粉砕機25と同様である。
放射性物質含有物供給装置112は、放射性物質含有物供給源126と、粉砕機127と、開閉弁128と、を有する。放射性物質含有物供給源126と、粉砕機127、開閉弁128の構成は、放射性物質含有物供給源26と、粉砕機27、開閉弁28と同様である。
混合装置113は、燃料供給装置111から供給された燃料と、放射性物質含有物供給装置112から供給された放射性物質含有物と、を一時的に貯留し溶融炉114に供給する。混合装置113の構造も混合装置13と同様である。混合装置113は、供給ホッパ131と給炭ライン132とを有する。
溶融炉114は、混合装置113を介して燃料供給装置111から燃料が供給可能であり、混合装置113を介して放射性物質含有物供給装置112から放射性物質含有物が供給される。また、溶融炉は、フライアッシュ回収装置118で回収されたフライアッシュ(未燃分を含む灰)が戻されて供給される。溶融炉114は、各部の制御によって、燃料、放射性物質含有物、フライアッシュが供給される状態と供給されない状態とが切り換え可能となっている。
溶融炉114は、供給された燃料を燃焼させて、炉内に高温の雰囲気を形成し、放射性物質含有物を溶融させる。溶融炉114は、燃焼を燃焼することで生成される排ガスを排出する。また、溶融炉114は、放射性物質含有物を溶融させることで、一部がガス化し、一部がスラグ化する。また、燃料が石炭である場合、放射性物質含有物から生成されるスラグは、生成時に石炭に含まれる成分によりガラス固化される。
熱交換器116は、溶融炉114から排出された排ガスが流れる経路上に配置され、排ガスと熱交換を行い、排ガスの熱を回収する。熱交換器116は、タービン等、熱エネルギを他のエネルギに変換する機器に接続されている。
フライアッシュ回収装置118は、熱交換器116が通過した排ガスが流れる経路上に配置されている。集塵装置140と戻しライン142と送風ポンプ144とを有している。集塵装置140は、1つまたは複数のバグフィルタやサイクロンにより構成され、溶融炉114で生成された排ガスに含有するフライアッシュを分離することができる。集塵装置140は、フライアッシュとともに排ガスに含まれる粒子状の放射性物質を分離する。排ガスから分離されたフライアッシュと粒子状の放射性物質は戻しライン142に送られる。また、フライアッシュと粒子状の放射性物質が分離された排ガスは、熱交換器119に送られる。戻しライン142は、集塵装置140と給炭ライン132に接続されている。送風ファン144は、戻しライン142に接続され、集塵装置140から給炭ライン132に向けた流れを形成する。フライアッシュ回収装置116は、溶融炉114から排出された排ガスからフライアッシュ及び粒子状の放射性物質を分離し、溶融炉114に再度供給する。つまり、フライアッシュ回収装置115は、溶融炉114との間で、粒子分を循環させる循環機構となる。
熱交換器119は、フライアッシュ回収装置118でフライアッシュが分離された排ガスが流れる経路に配置されている。熱交換器119は、排ガスと熱交換を行い、排ガスの熱を回収する。熱交換器116は、タービン等、熱エネルギを他のエネルギに変換する機器に接続されている。煙突120は、熱交換器119を通過した排ガスの経路に配置されており、排ガスを大気に排出する。
スラグ回収装置121は、溶融炉114で生成されたスラグを回収する。スラグ回収装置121は、スラグ排出ライン134と、スラグ貯蔵装置135a、135bと、高濃度スラグ貯蔵装置136と、を有する。スラグ排出ライン134と、スラグ貯蔵装置135a、135bと、高濃度スラグ貯蔵装置136とは、スラグ排出ライン34と、スラグ貯蔵装置35a、35bと、高濃度スラグ貯蔵装置36と同様の構造である。
スラグ貯蔵装置135aは、分岐スラグライン190aと、貯蔵ホッパ191aと、開閉弁192aと、を有する。スラグ貯蔵装置135bは、分岐スラグライン190bと、貯蔵ホッパ191bと、開閉弁192bと、を有する。高濃度スラグ貯蔵装置136は、分岐スラグライン194aと、再処理用ホッパ195と、開閉弁196と、を有する。
スラグ回収装置121は、スラグ貯蔵装置135a、135bと、高濃度スラグ貯蔵装置136と、を有し、運転状態によって、具体的にはスラグの放射線量に応じて、開閉弁192a、192b、194を切り換え、スラグを貯留するホッパを切り換える。これにより、スラグ回収装置121は、処理可能なスラグを好適に貯留することができる。
線量計測ユニット122は、燃焼システム100の各部の放射線量を計測する。線量計測ユニット122は、第1放射線モニタ180と、第2放射線モニタ182と、第3放射線モニタ184と、第4放射線モニタ186と、第5放射線モニタ188と、を有する。第1放射線モニタ180と、第2放射線モニタ182と、第3放射線モニタ184と、第4放射線モニタ186と、第5放射線モニタ188と、は、いずれも測定位置における放射線量を計測する。線量計測ユニット122は、第1放射線モニタ180と、第2放射線モニタ182と、第3放射線モニタ184と、第4放射線モニタ186と、第5放射線モニタ188と、は、それぞれ第1放射線モニタ80と、第2放射線モニタ82と、第3放射線モニタ84と、第4放射線モニタ86と、第5放射線モニタ88とに対応する位置に配置されている。
第1放射線モニタ180は、放射性物質含有物供給装置112の粉砕機127よりも下流側で混合装置113よりも上流側の放射性物質含有物の通過経路に設けられている。第1放射線モニタ180は、混合装置113を流れる物質(主に放射性物質含有物)の放射線量を計測する。第1放射線モニタ180は、溶融炉114に投入する前の放射性物質含有物の放射線量を計測する。
次に、第2放射線モニタ182と、第3放射線モニタ184と、第4放射線モニタ186と、第5放射線モニタ188と、は、溶融炉114よりも下流側の計測点の放射線量を計測する。第2放射線モニタ182は、スラグ回収装置121のスラグ排出ライン134に設けられている。第2放射線モニタ182は、スラグ排出ライン134を流れる物質、つまり主にスラグの放射線量を計測する。第3放射線モニタ184は、フライアッシュ回収装置118の戻しライン142に設けられている。第3放射線モニタ84は、戻しライン142を流れる物質、つまり主に集塵装置140でフライアッシュとともに捕集された粒子状の放射性物質の放射線量を計測する。第4放射線モニタ186は、フライアッシュ回収装置118でフライアッシュが分離された排ガスが流れる管路、具体的に集塵装置140と熱交換器119との間に設けられている。第4放射線モニタ186は、フライアッシュが分離された排ガスが流れる管路を流れる物質、つまり主に排ガスとともに流れる集塵装置140で捕集されなかった放射性物質の放射線量を計測する。第5放射線モニタ188は、煙突120に設けられている。第5放射線モニタ188は、外部に排出される空気に含まれる放射性物質の放射線量を計測する。
制御装置123は、溶融システム100の動作を制御する。制御装置123は、制御装置23と同様の構成であり、演算部138と、記憶部139とを有する。制御装置123は、入力部、出力部、通信部、媒体読取部等をさらに備えていてもよい。記憶部139は、運転を制御する制御プログラム139aと、条件テーブル139bと、が含まれる。
制御装置123は、図9に示すように、制御プログラム(燃焼制御プログラム)139aを演算部138に実行させることにより、制御部23と同様に線量計測ユニット122の計測結果に基づいて、燃料供給源124、放射性物質含有物供給源126、開閉弁128、192a、192b、196の動作を制御する機能を実現する。
溶融システム100は、溶融炉114で供給された燃料を燃焼させ、放射性物質含有物を溶融させ、排ガスに含まれるフライアッシュをフライアッシュ回収装置118で回収して循環させる。このように、ガス化ではなく溶融させ、回収する物質がチャーではなく、フライアッシュの場合も、放射性物質含有物を変換炉である溶融炉で燃焼させ、粒子分をフライアッシュ回収装置118で循環させることで、石炭ガス化複合発電システム10と同様に、放射性物質の飛散を抑制しつつ、効率的に放射性物質を減容化することができる。
また、上述した実施形態では、燃料として石炭を使用したが、高品位炭や低品位炭であっても適用可能である。燃焼システムは、燃料として、石炭を用いることで、放射性物質をガラス固化させたスラグとすることができる。これにより、放射性物質を飛散しにくくすることができ、安定な状態でスラグにすることができる。また、燃料が石炭以外の場合でも放射性物質がスラグに付着することで、飛灰になりにくくすることができる。
また、燃焼としては、石炭に限らず、再生可能な生物由来の有機性資源として使用されるバイオマスであってもよく、例えば、間伐材、廃材木、流木、草類、廃棄物、汚泥、タイヤ及びこれらを原料としたリサイクル燃料(ペレットやチップ)などを使用することも可能である。また、固形の燃料にも限定されず、重油、軽油、バイオエタノール等の液体燃料、LNG、シェールガス等の気体燃料を用いることもできる。