JP2023088137A - シャフト炉式ガス化溶融システムにおける下水汚泥固形燃料の供給設備及び供給方法 - Google Patents
シャフト炉式ガス化溶融システムにおける下水汚泥固形燃料の供給設備及び供給方法 Download PDFInfo
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- Gasification And Melting Of Waste (AREA)
Abstract
Description
特許法第30条第2項適用申請有り ・第42回全国都市清掃研究・事例発表会講演論文集、第50~52頁、公益社団法人全国都市清掃会議、2020年(令和2年)12月15日発行 ・第32回廃棄物資源循環学会研究発表会、岡山コンベンションセンター、2021年(令和3年)10月26日開催
本発明は、シャフト炉式ガス化溶融システムにおける下水汚泥固形燃料の供給設備及び供給方法に関する。
シャフト炉式ガス化溶融システムでは、シャフト炉式のガス化溶融炉の炉頂部からコークス・石灰石とともに廃棄物が投入される。廃棄物は乾燥・予熱帯で水分が蒸発された後、可燃分が熱分解・ガス化される。コークスはガス化溶融炉の下部に設置された羽口(送風ノズル)から供給される空気及び酸素により燃焼され、高温の溶融帯を形成し灰分は完全に溶融される。溶融物はガス化溶融炉の底部出湯口から水槽に排出・急冷され粒状のスラグとメタルとなり磁選機で分離回収後有効利用される。
一方、ガス化溶融炉内で発生した、ガス化ガスあるいは熱分解ガスとも呼ばれる可燃性ガスは、除じん器にてダストの一部が除去されたのち、除じん器を通過した可燃性ダストとともに後段の二次燃焼室に導入され完全燃焼される。二次燃焼室で発生した燃焼排ガスは後段のボイラに導入され熱回収される。
このように、ガス化溶融炉と二次燃焼室を分離し個別に制御することで、完全溶融と完全燃焼の両立を達成できる点がシャフト炉式ガス化溶融システムの大きな特徴である。
一方、ガス化溶融炉内で発生した、ガス化ガスあるいは熱分解ガスとも呼ばれる可燃性ガスは、除じん器にてダストの一部が除去されたのち、除じん器を通過した可燃性ダストとともに後段の二次燃焼室に導入され完全燃焼される。二次燃焼室で発生した燃焼排ガスは後段のボイラに導入され熱回収される。
このように、ガス化溶融炉と二次燃焼室を分離し個別に制御することで、完全溶融と完全燃焼の両立を達成できる点がシャフト炉式ガス化溶融システムの大きな特徴である。
ところが、ガス化溶融炉において廃棄物を溶融処理する場合、廃棄物の性状変動及びガス化溶融炉の炉況変動により、ガス化溶融炉から発生する可燃性ガス量が変動し、後段の二次燃焼室での燃焼負荷変動を誘発し、主蒸気流量の変動及び発電量の変動を引き起こすなどの問題がある。また、このような現象が起きた場合、コークスの使用量や追い炊き燃料使用量が増加し、CO2排出量が増大するといった問題がある。
このような問題に対処するため特許文献1には、ガス化溶融炉から発生する可燃性ダストを捕集し一次貯留したのち、後段の二次燃焼室に吹き込むことで二次燃焼室での燃焼負荷及びボイラでの主蒸気流量を安定化させ、ひいては発電量を安定化させる技術が開示されている。
一方、特許文献2には、バイオマスの一種である木材チップをガス化溶融炉に投入する技術が開示されている。近年、CO2排出量削減の要求がますます高まっていることから、シャフト炉式ガス化溶融システムにおいてもバイオマスの利用拡大が望まれている。
本発明が解決しようとする課題は、シャフト炉式ガス化溶融システムにおいてバイオマスの利用拡大を図り、CO2排出量の削減に寄与することにある。
上記課題を解決するため本発明者らは、バイオマスとして下水汚泥固形燃料に着目した。下水汚泥固形燃料は、下水汚泥を主原料として、炭化、乾燥などによって固形化した燃料であり、JIS規格も制定されている。下水処理場で発生する下水汚泥は、質・量ともに安定しており、集約型である、需要地である都市で発生しているといったメリットを有する。また、下水汚泥固形燃料の性状は、一般的に大きさ(最大粒子径)が数十mm程度未満の粒状で取扱い性に優れ、総発熱量は14~19MJ/kg程度と高くしかも安定しているといったメリットも有する。
このようなことから本発明者らは、バイオマスとして下水汚泥固形燃料に着目し、シャフト炉式ガス化溶融システムにおいて下水汚泥固形燃料を利用するため試験及び検討を重ねた。その結果、下水汚泥固形燃料の利用方法の一つとして、微粉状に粉砕した下水汚泥固形燃料を二次燃焼室に吹き込むことが有効であるとの知見を得た。
このようなことから本発明者らは、バイオマスとして下水汚泥固形燃料に着目し、シャフト炉式ガス化溶融システムにおいて下水汚泥固形燃料を利用するため試験及び検討を重ねた。その結果、下水汚泥固形燃料の利用方法の一つとして、微粉状に粉砕した下水汚泥固形燃料を二次燃焼室に吹き込むことが有効であるとの知見を得た。
すなわち、本発明の一観点によれば、廃棄物を乾燥、ガス化、燃焼及び溶融するシャフト炉式のガス化溶融炉と、当該ガス化溶融炉内で発生した可燃性ガス及び当該ガスに随伴する可燃性ダストを燃焼させる二次燃焼室と、当該二次燃焼室の後段に設置されたボイラとを有するシャフト炉式ガス化溶融システムにおいて、微粉状に粉砕した下水汚泥固形燃料を二次燃焼室に吹き込むための系統を備える、下水汚泥固形燃料の供給設備が提供される。
本発明の他の観点によれば、廃棄物を乾燥、ガス化、燃焼及び溶融するシャフト炉式のガス化溶融炉と、当該ガス化溶融炉内で発生した可燃性ガス及び当該ガスに随伴する可燃性ダストを燃焼させる二次燃焼室と、当該二次燃焼室の後段に設置されたボイラとを有するシャフト炉式ガス化溶融システムにおいて、微粉状に粉砕した下水汚泥固形燃料を二次燃焼室に吹き込むことを特徴とする下水汚泥固形燃料の供給方法が提供される。
本発明によれば、シャフト炉式ガス化溶融システムにおいてバイオマスの利用拡大を図ることができ、CO2排出量の削減に寄与することができる。
図1に、本発明の一実施形態である下水汚泥固形燃料の供給設備を適用したシャフト炉式ガス化溶融システムを概念的に示している。
上述の通りシャフト炉式ガス化溶融システムでは、シャフト炉式のガス化溶融炉Aの炉頂部からコークス・石灰石とともに廃棄物が投入される。廃棄物は乾燥・予熱帯で水分が蒸発された後、可燃分が熱分解・ガス化される。コークスはガス化溶融炉の下部に設置された羽口(送風ノズル)A1から供給される空気及び酸素により燃焼され、高温の溶融帯を形成し灰分は完全に溶融される。溶融物はガス化溶融炉の底部出湯口から水槽に排出・急冷され粒状のスラグとメタルとなり磁選機で分離回収後有効利用される。
一方、ガス化溶融炉内で発生した可燃性ガスは、図示しない除じん器にてダストの一部が除去されたのち、除じん器を通過した可燃性ダストとともに後段の二次燃焼室Bに導入され完全燃焼される。二次燃焼室Bで発生した燃焼排ガスは後段のボイラに導入され熱回収される。
なお、以下の説明では「廃棄物」を「ごみ」と表記する。
上述の通りシャフト炉式ガス化溶融システムでは、シャフト炉式のガス化溶融炉Aの炉頂部からコークス・石灰石とともに廃棄物が投入される。廃棄物は乾燥・予熱帯で水分が蒸発された後、可燃分が熱分解・ガス化される。コークスはガス化溶融炉の下部に設置された羽口(送風ノズル)A1から供給される空気及び酸素により燃焼され、高温の溶融帯を形成し灰分は完全に溶融される。溶融物はガス化溶融炉の底部出湯口から水槽に排出・急冷され粒状のスラグとメタルとなり磁選機で分離回収後有効利用される。
一方、ガス化溶融炉内で発生した可燃性ガスは、図示しない除じん器にてダストの一部が除去されたのち、除じん器を通過した可燃性ダストとともに後段の二次燃焼室Bに導入され完全燃焼される。二次燃焼室Bで発生した燃焼排ガスは後段のボイラに導入され熱回収される。
なお、以下の説明では「廃棄物」を「ごみ」と表記する。
本実施形態では、このようなシャフト炉式ガス化溶融システムにおいてバイオマスの利用拡大を図り、CO2排出量の削減に寄与することを主目的として、微粉状に粉砕した下水汚泥固形燃料を二次燃焼室Bに吹き込むための系統(以下「第一の系統」という。)1を備えるとともに、下水汚泥固形燃料をガス化溶融炉Aに投入するための系統(以下「第二の系統」という。)2を備えている。
ここで、「下水汚泥固形燃料」とは、JIS Z 7312:2014の規定を満たす燃料であり、以下の説明では「汚泥燃料」と表記する。
ここで、「下水汚泥固形燃料」とは、JIS Z 7312:2014の規定を満たす燃料であり、以下の説明では「汚泥燃料」と表記する。
本実施形態において汚泥燃料は、搬送中の粉じんや臭気飛散を防止するため、図1に示しているようにジェットパック車3で汚泥燃料の供給設備に搬入される。搬入された汚泥燃料は、受入ブロワ4によって貯留ホッパ5へ気流搬送され、貯留ホッパ5内に貯留される。貯留ホッパ5内の汚泥燃料は、上述の第一の系統1と第二の系統2との二系統に分かれて、二次燃焼室B、ガス化溶融炉Aへ導入される。
本実施形態において第一の系統1は、汚泥燃料を粉砕可能な粉砕機11を備えている。すなわち本実施形態では、貯留ホッパ5底部の第一の定量切出装置51から第一の系統1へ切り出された汚泥燃料が、図示しない搬送コンベヤで粉砕機11へ搬送され、この粉砕機11で粉砕された微粉状の汚泥燃料が、粉砕ホッパ12、粉砕物貯留ホッパ13及び粉砕物吹込ホッパ14を経由し、吹込ブロワ15によって二次燃焼室Bに吹き込まれる。このように本実施形態では、微粉状に粉砕した汚泥燃料を二次燃焼室Bに吹き込むための第一の系統1を備えることから、シャフト炉式ガス化溶融システムにおいて、汚泥燃料すなわちバイオマスの利用拡大を図ることができ、CO2排出量の削減に寄与することができる。
また、本実施形態では、粉砕物吹込ホッパ14の底部に定量切出装置141が設けられており、この定量切出装置141による汚泥燃料の切出量を制御することにより、二次燃焼室Bへの汚泥燃料の吹込量を制御することができるようになっている。具体的に本実施形態では、ボイラでの主蒸気流量及び二次燃焼室温度の少なくとも一方の状況に応じ、二次燃焼室Bへの汚泥燃料の吹込量を制御する。より具体的には、例えばボイラでの主蒸気流量が規定量より少ない場合には二次燃焼室Bへの汚泥燃料の吹込量を増やし、逆に多い場合には二次燃焼室Bへの汚泥燃料の吹込量を減らす。また例えば、二次燃焼室温度が規定温度より低い場合には二次燃焼室Bへの汚泥燃料の吹込量を増やし、逆に高い場合には二次燃焼室Bへの汚泥燃料の吹込量を減らす。このように、ボイラでの主蒸気流量及び二次燃焼室温度の少なくとも一方の状況に応じ、二次燃焼室Bへの汚泥燃料の吹込量を制御する機構を備えることで、二次燃焼室Bでの燃焼負荷変動を抑えることができ、その結果、主蒸気流量の変動及び発電量の変動を抑えることができる。これにより、コークスの使用量や追い炊き燃料使用量を減らすことができる。
一方、第二の系統2では、貯留ホッパ5底部の第二の定量切出装置52から切り出された汚泥燃料が、搬送ブロワ21によって投入ホッパ22へ気流搬送され、この投入ホッパ22からガス化溶融炉Aへ投入される。このように本実施形態では、上述の第一の系統1に加え、汚泥燃料をガス化溶融炉Aに投入するための第二の系統2を備えることから、シャフト炉式ガス化溶融システムにおいて、汚泥燃料すなわちバイオマスの更なる利用拡大を図ることができ、CO2排出量の更なる削減に寄与することができる。
また、本実施形態では、投入ホッパ22の底部に定量切出装置221が設けられており、この定量切出装置221による汚泥燃料の切出量を制御することにより、ガス化溶融炉Aへの汚泥燃料の投入量を制御することができるようになっている。具体的に本実施形態では、ガス化溶融炉Aの炉頂ガス温度及び炉内差圧の状況に応じ、ガス化溶融炉Aへの汚泥燃料の投入量を制御する。これは、ガス化溶融炉Aの操業において炉頂部から投入されるごみ質、特にごみカロリーの変動により、炉内のごみ充填層の通気抵抗が低い部分でガスが吹き抜けて特定の経路に偏って上方へ流通するという吹抜け現象が発生することを抑制するためである。すなわち吹抜け現象が発生すると、炉下部でコークス及び熱分解残渣が空気及び酸素により燃焼して生じる高温の燃焼ガス(熱風)が高温のままごみと熱交換することなく、一気に炉頂側に流れ去るので、炉内熱交換効率の大幅な低下を招き、ガス化溶融炉から発生する可燃性ガス量が大きく変動(減少)するからである。この吹抜け現象に関し、図2を参照しつつ更に詳しく説明する。
図2に示すように、ガス化溶融炉Aの炉頂部からごみを供給して充填層を形成し、炉下部から充填層に熱風を供給して熱交換することでごみの乾燥、熱分解を行う。このとき、表1に示すようにごみカロリーが低い(ごみ中水分が多い)ほど、炉頂ガス温度Tが高く、炉内差圧ΔP=P2-P1が低くなる。これは、炉下部からの熱風がごみと熱交換せずに炉頂部へ吹き抜けているためである。
一方、表2に示すように汚泥燃料の投入比を増やすほど、汚泥燃料がごみの充填層の隙間を埋めることで炉内差圧ΔPが高まり、熱風とごみの熱交換が促進されるため、炉頂ガス温度Tも低下する。
このように、ごみカロリーの変動に応じ、汚泥燃料の投入比を増減することで、ごみ質変動に起因して起きる吹抜け現象をコントロールすることができる。言い換えると、ガス化溶融炉Aの炉頂ガス温度T及び炉内差圧ΔPの状況に応じ、ガス化溶融炉Aへの汚泥燃料の投入量を制御することで、吹抜け現象の発生を抑制することができる。具体的には、例えばガス化溶融炉Aの炉頂ガス温度Tが規定温度より高い場合にはガス化溶融炉Aへの汚泥燃料の投入量を増やし、逆に低い場合にはガス化溶融炉Aへの汚泥燃料の投入量を減らす。また例えば、ガス化溶融炉Aの炉内差圧ΔPが規定値より低い場合にはガス化溶融炉Aへの汚泥燃料の投入量を増やし、逆に高い場合にはガス化溶融炉Aへの汚泥燃料の投入量を減らす。このように、ガス化溶融炉Aの炉頂ガス温度及び炉内差圧の状況に応じ、ガス化溶融炉Aへの汚泥燃料の投入量を制御する機構を備えることで、ガス化溶融炉Aにおける吹抜け現象の発生を抑えることができ、その結果、ガス化溶融炉Aから発生する可燃性ガス量の変動(減少)を抑えることができる。これにより、コークスの使用量や追い炊き燃料使用量を減らすことができる。
次に本発明で使用する汚泥燃料について説明する。
汚泥燃料は上述の通りJIS Z 7312:2014の規定を満たす燃料である。同JIS規格では全水分の質量分率(%)について20以下である旨規定されているから、本発明でも全水分の質量分率(%)が20以下である汚泥燃料を使用する。全水分の質量分率(%)は、汚泥燃料の取扱い性あるいは発熱量の観点から10以下であることが好ましい。
汚泥燃料は上述の通りJIS Z 7312:2014の規定を満たす燃料である。同JIS規格では全水分の質量分率(%)について20以下である旨規定されているから、本発明でも全水分の質量分率(%)が20以下である汚泥燃料を使用する。全水分の質量分率(%)は、汚泥燃料の取扱い性あるいは発熱量の観点から10以下であることが好ましい。
一方、同JIS規格では汚泥燃料の大きさについての規定はなく、本発明でも汚泥燃料の大きさは特に限定されないものの、取扱い性等を考慮して最大粒子径が31.5mm未満である粒状の汚泥燃料を使用することが好ましく、より好ましくは粒子径が1.0mm以上5.6mm未満である粒状の汚泥燃料を使用する。
ここで、汚泥燃料の粒子径は、JIS Z 8801-1:2019の「5.1 ふるい網の目開き及び線径」の表1のふるいを通過するか否かで判定する。例えば最大粒子径が31.5mm未満である汚泥燃料とは、公称目開き寸法が31.5mmのふるいを通過する汚泥燃料である。また、粒子径が1.0mm以上5.6mm未満である汚泥燃料とは、公称目開き寸法が5.6mmのふるいを通過し、かつ公称目開き寸法が1.0mmのふるいを通過しない汚泥燃料である。
ここで、汚泥燃料の粒子径は、JIS Z 8801-1:2019の「5.1 ふるい網の目開き及び線径」の表1のふるいを通過するか否かで判定する。例えば最大粒子径が31.5mm未満である汚泥燃料とは、公称目開き寸法が31.5mmのふるいを通過する汚泥燃料である。また、粒子径が1.0mm以上5.6mm未満である汚泥燃料とは、公称目開き寸法が5.6mmのふるいを通過し、かつ公称目開き寸法が1.0mmのふるいを通過しない汚泥燃料である。
粒子径が1.0mm以上5.6mm未満である汚泥燃料は、例えば、二軸ミキサと乾燥ドラムによる造粒乾燥方式であるジェイコンビシステム(「ジェイコンビ」は登録商標。以下同じ。)によって製造することができる。ジェイコンビシステムにより製造された汚泥燃料は造粒乾燥物に相当し、石炭に比べ揮発分が非常に高く、燃焼速度が速いという特徴を有する。また、灰分は石炭と同等であり、発熱量あたりの灰の発生量は低温炭化物に比べ少ないという特徴も有する。
本実施形態において第二の系統2では受け入れた汚泥燃料をそのまま使用するが、第一の系統1では微粉状に粉砕した汚泥燃料を使用する。二次燃焼室Bでの燃焼性を高めるためである。そして、二次燃焼室Bでの燃焼性を高める観点から、第一の系統1では平均粒子径が750μm以下となるように粉砕した汚泥燃料を二次燃焼室Bに吹き込むことが好ましく、より好ましくは、平均粒子径が200μm以下となるように粉砕した汚泥燃料を二次燃焼室Bに吹き込む。すなわち、本実施形態において粉砕機11は、汚泥燃料を平均粒子径が750μm以下となるように粉砕可能であることが好ましく、平均粒子径が200μm以下となるように粉砕可能であることがより好ましい。
ここで、平均粒子径とは、JIS Z 8819-2の5.2(15)式で定義される重み付き体積平均粒子径(体積平均径)である。
ここで、平均粒子径とは、JIS Z 8819-2の5.2(15)式で定義される重み付き体積平均粒子径(体積平均径)である。
図3に、汚泥燃料の粒子径と燃焼性の関係を把握するため、ドロップチューブ式の小型管状炉を用いて燃焼試験を行った結果を示している。なお、燃焼試験において小型管状炉の酸素濃度は8%、温度は1000℃とした。
図3において、「ジェイコンビ 150~250μm」とは、上述のジェイコンビシステムにより製造した汚泥燃料を粉砕し、上述のJIS Z 8801-1:2019に規定のふるいで粒子径150μm以上250μm未満にふるい分けしたもので、その平均粒子径は200μm程度である。「ジェイコンビ 500~1000μm」とは、上述のジェイコンビシステムにより製造した汚泥燃料を粉砕し、上述のJIS Z 8801-1:2019に規定のふるいで粒子径500μm以上1000μm未満にふるい分けしたもので、その平均粒子径は750μm程度である。「チャー」とはガス化溶融炉で発生した可燃性ダストである。図3にはこれら三種の燃料(サンプル)の燃焼試験結果をプロットするとともに、「ジェイコンビ 500~1000μm」の燃焼試験結果について重力による落下速度を考慮して補正した燃焼試験結果を「ジェイコンビ 500~1000μm(重力考慮)」としてプロットしている。
ここで、重力考慮・落下速度考慮について補足すると、燃焼試験ではサンプルを小型管状炉上部から落下させ、高さZ1から高さZ2まで落下したサンプルの未燃炭素率の比較から未燃率を算出し、小型管状炉に常時流す空気の流速とサンプルの落下距離から滞留時間を算出するため、重力によるサンプルの加速を考慮すると、実際の小型管状炉での滞留時間はこの燃焼試験結果より短くなると考えられる。そこで図3には、重量が大きいほど重力による加速の影響大きくなるため、粒子径の大きい「ジェイコンビ 500~1000μm」について重力による落下速度を考慮して補正した燃焼試験結果を「ジェイコンビ 500~1000μm(重力考慮)」としてプロットしている。
図3において、「ジェイコンビ 150~250μm」とは、上述のジェイコンビシステムにより製造した汚泥燃料を粉砕し、上述のJIS Z 8801-1:2019に規定のふるいで粒子径150μm以上250μm未満にふるい分けしたもので、その平均粒子径は200μm程度である。「ジェイコンビ 500~1000μm」とは、上述のジェイコンビシステムにより製造した汚泥燃料を粉砕し、上述のJIS Z 8801-1:2019に規定のふるいで粒子径500μm以上1000μm未満にふるい分けしたもので、その平均粒子径は750μm程度である。「チャー」とはガス化溶融炉で発生した可燃性ダストである。図3にはこれら三種の燃料(サンプル)の燃焼試験結果をプロットするとともに、「ジェイコンビ 500~1000μm」の燃焼試験結果について重力による落下速度を考慮して補正した燃焼試験結果を「ジェイコンビ 500~1000μm(重力考慮)」としてプロットしている。
ここで、重力考慮・落下速度考慮について補足すると、燃焼試験ではサンプルを小型管状炉上部から落下させ、高さZ1から高さZ2まで落下したサンプルの未燃炭素率の比較から未燃率を算出し、小型管状炉に常時流す空気の流速とサンプルの落下距離から滞留時間を算出するため、重力によるサンプルの加速を考慮すると、実際の小型管状炉での滞留時間はこの燃焼試験結果より短くなると考えられる。そこで図3には、重量が大きいほど重力による加速の影響大きくなるため、粒子径の大きい「ジェイコンビ 500~1000μm」について重力による落下速度を考慮して補正した燃焼試験結果を「ジェイコンビ 500~1000μm(重力考慮)」としてプロットしている。
図3に示すように「ジェイコンビ 500~1000μm(重力考慮)」は、すでに技術確立され二次燃焼室への吹込が実用化されている「チャー」より燃焼性がよいことから、二次燃焼室での燃え切り性に問題はないといえる。このことから上述の通り、本実施形態において第一の系統1では平均粒子径が750μm以下となるように粉砕した汚泥燃料を二次燃焼室Bに吹き込むことが好ましいといえる。また図3より、「ジェイコンビ 150~250μm」は「ジェイコンビ 500~1000μm(重力考慮)」より更に燃焼性がよいことから、本実施形態において第一の系統1では平均粒子径が200μm以下となるように粉砕した汚泥燃料を二次燃焼室Bに吹き込むことがより好ましいといえる。
なお、本実施形態では第一の系統1に加え第二の系統2を備えているが、第二の系統2は省略可能である。第一の系統1のみでも、シャフト炉式ガス化溶融システムにおいてバイオマスの利用拡大を図りCO2排出量の削減に寄与するという課題を解決することはできる。ただし、汚泥燃料を製造する燃料化施設との受入計画の調整をスムーズに行うためには、毎日の汚泥燃料の受入量をその日中に全量使用できる設備とする必要がある。その場合、本実施形態のように一つの系統だけではなく、バッファ機能としてもう一つの系統を備えることが好ましい。また、第一の系統1と第二の系統2の二系統を設ける場合、本実施形態のように一つの貯留ホッパ5から二系統に分岐させることが、設備構成の簡略化、省スペース化等の観点から好ましい。
また、本実施形態では第一の系統1内に粉砕機11を設けたが、第一の系統1外に粉砕機を設け、その粉砕機で予め微粉状に粉砕した汚泥燃料を第一の系統1に供給するようにしてもよい。ただし、本実施形態のように一つの貯留ホッパ5から二系統に分岐させるためには、第一の系統1内に粉砕機11を設けることが好ましい。
また、本実施形態では第一の系統1内に粉砕機11を設けたが、第一の系統1外に粉砕機を設け、その粉砕機で予め微粉状に粉砕した汚泥燃料を第一の系統1に供給するようにしてもよい。ただし、本実施形態のように一つの貯留ホッパ5から二系統に分岐させるためには、第一の系統1内に粉砕機11を設けることが好ましい。
図1に示した設備構成の供給設備を適用したシャフト炉式ガス化溶融システムにおいて、汚泥燃料の使用有無に分けて操業データを取得した。汚泥燃料としては、上述のジェイコンビシステムにより製造した、粒子径が1.0mm以上5.6mm未満である粒状の汚泥燃料を使用した。そして、第一の系統1では粉砕機11によって平均粒子径が200μm以下となるように粉砕した。表3に操業データを示し、確認された効果について以下に述べる。なお、操業データを取得したシャフト炉式ガス化溶融システムは、一炉あたりガス化溶融能力330t/日を二系列有している。
<コークス使用量>
汚泥燃料の使用量を増やすほど、コークス使用比を低減できることが確認された。上述のように、ガス化溶融炉内の熱風の整流化効果により、充填層における熱風とごみの熱交換効率が高まり、より効率的にごみの乾燥・熱分解が可能となるとともに、汚泥燃料に含まれる固定炭素が熱源として機能する。これらの効果により炉下部で発熱するコークスの熱量が低減できたと考えられる。図4Aに示すように、汚泥燃料1kgあたり約0.10kgのコークス削減効果が得られた。
汚泥燃料の使用量を増やすほど、コークス使用比を低減できることが確認された。上述のように、ガス化溶融炉内の熱風の整流化効果により、充填層における熱風とごみの熱交換効率が高まり、より効率的にごみの乾燥・熱分解が可能となるとともに、汚泥燃料に含まれる固定炭素が熱源として機能する。これらの効果により炉下部で発熱するコークスの熱量が低減できたと考えられる。図4Aに示すように、汚泥燃料1kgあたり約0.10kgのコークス削減効果が得られた。
<都市ガス使用量>
都市ガスは、二次燃焼室の種火及びごみ質変動時の熱量補填(追い炊き燃料)としてバーナー燃料に使用されている。上述のように、微粉状に粉砕された汚泥燃料は燃焼性が高く、瞬時の熱量補填として活用でき、汚泥燃料の使用量を増やすほど都市ガスの使用量も低減できる。図4Bに示すように、汚泥燃料1kgあたり約0.011Nm3の都市ガス削減効果が得られた。
都市ガスは、二次燃焼室の種火及びごみ質変動時の熱量補填(追い炊き燃料)としてバーナー燃料に使用されている。上述のように、微粉状に粉砕された汚泥燃料は燃焼性が高く、瞬時の熱量補填として活用でき、汚泥燃料の使用量を増やすほど都市ガスの使用量も低減できる。図4Bに示すように、汚泥燃料1kgあたり約0.011Nm3の都市ガス削減効果が得られた。
<発電量>
ガス化溶融炉及び二次燃焼室に投入された汚泥燃料は燃焼し、ボイラ及び蒸気タービンでエネルギーとして回収される。図4Cに示すように、汚泥燃料1kgあたり約1.28kWhの発電量向上効果が得られた。
ガス化溶融炉及び二次燃焼室に投入された汚泥燃料は燃焼し、ボイラ及び蒸気タービンでエネルギーとして回収される。図4Cに示すように、汚泥燃料1kgあたり約1.28kWhの発電量向上効果が得られた。
<排ガス組成>
表1の下部に示すように、煙突の排ガス組成は、汚泥燃料を投入しても十分に規制値を下回ることが確認できた。
表1の下部に示すように、煙突の排ガス組成は、汚泥燃料を投入しても十分に規制値を下回ることが確認できた。
<汚泥燃料によるCO2排出量削減効果>
上述の実績をもとに汚泥燃料によるCO2排出量削減効果を算出し、その結果を表4に示している。
汚泥燃料の使用1tあたりのCO2排出削減量は、コークス使用量削減効果で-0.317t、都市ガス使用量削減効果で-0.0246t、発電量向上効果で-0.767tと試算され、合計で-1.11tとなった。汚泥燃料使用比50kg/ごみtの場合、ごみ1t焼却あたりのCO2排出削減量は-55.4kgと試算された。なお、今回は発電量の増分実績からCO2排出削減量を試算したが、主蒸気発生量の増分実績をもとに熱利用まで含めた汚泥燃料の使用1tあたりのCO2排出削減量を試算すると、-1.4t程度まで向上することも可能と見込まれる。
上述の実績をもとに汚泥燃料によるCO2排出量削減効果を算出し、その結果を表4に示している。
汚泥燃料の使用1tあたりのCO2排出削減量は、コークス使用量削減効果で-0.317t、都市ガス使用量削減効果で-0.0246t、発電量向上効果で-0.767tと試算され、合計で-1.11tとなった。汚泥燃料使用比50kg/ごみtの場合、ごみ1t焼却あたりのCO2排出削減量は-55.4kgと試算された。なお、今回は発電量の増分実績からCO2排出削減量を試算したが、主蒸気発生量の増分実績をもとに熱利用まで含めた汚泥燃料の使用1tあたりのCO2排出削減量を試算すると、-1.4t程度まで向上することも可能と見込まれる。
A ガス化溶融炉
A1 羽口
B 二次燃焼室
1 第一の系統
11 粉砕機
12 粉砕ホッパ
13 粉砕物貯留ホッパ
14 粉砕物吹込ホッパ
141 定量切出装置
15 吹込ブロワ
2 第二の系統
21 搬送ブロワ
22 投入ホッパ
221 定量切出装置
3 ジェットパック車
4 受入ブロワ
5 貯留ホッパ
51 第一の定量切出装置
52 第二の定量切出装置
A1 羽口
B 二次燃焼室
1 第一の系統
11 粉砕機
12 粉砕ホッパ
13 粉砕物貯留ホッパ
14 粉砕物吹込ホッパ
141 定量切出装置
15 吹込ブロワ
2 第二の系統
21 搬送ブロワ
22 投入ホッパ
221 定量切出装置
3 ジェットパック車
4 受入ブロワ
5 貯留ホッパ
51 第一の定量切出装置
52 第二の定量切出装置
Claims (12)
- 廃棄物を乾燥、ガス化、燃焼及び溶融するシャフト炉式のガス化溶融炉と、当該ガス化溶融炉内で発生した可燃性ガス及び当該ガスに随伴する可燃性ダストを燃焼させる二次燃焼室と、当該二次燃焼室の後段に設置されたボイラとを有するシャフト炉式ガス化溶融システムにおいて、微粉状に粉砕した下水汚泥固形燃料を二次燃焼室に吹き込むための系統(以下「第一の系統」という。)を備える、下水汚泥固形燃料の供給設備。
- 第一の系統では、平均粒子径が750μm以下となるように粉砕した下水汚泥固形燃料を二次燃焼室に吹き込む、請求項1に記載の下水汚泥固形燃料の供給設備。
- 第一の系統では、平均粒子径が200μm以下となるように粉砕した下水汚泥固形燃料を二次燃焼室に吹き込む、請求項1に記載の下水汚泥固形燃料の供給設備。
- 第一の系統は、下水汚泥固形燃料を粉砕可能な粉砕機を備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の下水汚泥固形燃料の供給設備。
- 下水汚泥固形燃料をガス化溶融炉に投入するための系統(以下「第二の系統」という。)を更に備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の下水汚泥固形燃料の供給設備。
- 第二の系統では、最大粒子径が31.5mm未満である粒状の下水汚泥固形燃料をガス化溶融炉に投入する、請求項5に記載の下水汚泥固形燃料の供給設備。
- 第二の系統では、粒子径が1.0mm以上5.6mm未満である粒状の下水汚泥固形燃料をガス化溶融炉に投入する、請求項6に記載の下水汚泥固形燃料の供給設備。
- 第二の系統では、全水分の質量分率(%)が10以下である下水汚泥固形燃料をガス化溶融炉に投入する、請求項5から7のいずれか一項に記載の下水汚泥固形燃料の供給設備。
- ガス化溶融炉の炉頂ガス温度及び炉内差圧の状況に応じ、ガス化溶融炉への下水汚泥固形燃料の投入量を制御する機構を備える、請求項5から8のいずれか一項に記載の下水汚泥固形燃料の供給設備。
- ボイラでの主蒸気流量及び二次燃焼室温度の少なくとも一方の状況に応じ、二次燃焼室への下水汚泥固形燃料の吹込量を制御する機構を備える、請求項1から9のいずれか一項に記載の下水汚泥固形燃料の供給設備。
- 廃棄物を乾燥、ガス化、燃焼及び溶融するシャフト炉式のガス化溶融炉と、当該ガス化溶融炉内で発生した可燃性ガス及び当該ガスに随伴する可燃性ダストを燃焼させる二次燃焼室と、当該二次燃焼室の後段に設置されたボイラとを有するシャフト炉式ガス化溶融システムにおいて、微粉状に粉砕した下水汚泥固形燃料を二次燃焼室に吹き込むことを特徴とする下水汚泥固形燃料の供給方法。
- 廃棄物を乾燥、ガス化、燃焼及び溶融するシャフト炉式のガス化溶融炉と、当該ガス化溶融炉内で発生した可燃性ガス及び当該ガスに随伴する可燃性ダストを燃焼させる二次燃焼室と、当該二次燃焼室の後段に設置されたボイラとを有するシャフト炉式ガス化溶融システムにおいて、下水汚泥固形燃料をガス化溶融炉に投入するとともに、微粉状に粉砕した下水汚泥固形燃料を二次燃焼室に吹き込むことを特徴とする下水汚泥固形燃料の供給方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2021202812A JP2023088137A (ja) | 2021-12-14 | 2021-12-14 | シャフト炉式ガス化溶融システムにおける下水汚泥固形燃料の供給設備及び供給方法 |
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2021
- 2021-12-14 JP JP2021202812A patent/JP2023088137A/ja active Pending
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