JP7256578B2 - 定温保持性組成物 - Google Patents
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Description
しかし、特許文献2には、二酸化バナジウム粒子とシリコーンゴム以外のゴムとを含む組成物が具体的にいかなる物性を示すかについて、何ら明らかにされていない。
そこで、本発明は、ゴム組成物としての成形性を保持しながらも、一定の蓄熱特性をも兼ね備えたゴム組成物を提供することを目的とする。
[1]
第15族元素を含有するゴム(X)100質量部と、
バナジウムを構成元素として含む金属酸化物(Y)10~400質量部と、
焼成酸化亜鉛(Z)10~300質量部と、
架橋剤(C)0.01~10質量部と
を含むゴム組成物。
前記金属酸化物(Y)が、V(1-X)WXO2(0≦X≦0.0650)、V(1-X)TaXO2(0≦X≦0.117)、V(1-X)NbXO2(0≦X≦0.115)、V(1-X)RuXO2(0≦X≦0.150)、V(1-X)MoXO2(0≦X≦0.161)、V(1-X)ReXO2(0≦X≦0.0964)、LiVO2、V2O3、V4O7、V6O11、からなる群より選ばれるいずれかである[1]に記載のゴム組成物。
前記第15族元素を含有するゴム(X)が、ニトリルゴムを含む[1]または[2]に記載のゴム組成物。
[1]~[3]のいずれかに記載のゴム組成物を架橋してなるゴム架橋体。
第15族元素を含有するゴム(X)100質量部と、
バナジウムを構成元素として含む金属酸化物(Y)10~400質量部と
焼成酸化亜鉛(Z)10~300質量部と、
架橋剤(C)0.01~10質量部と
を含む。
以下、本発明のゴム組成物、および、本発明のゴム組成物を構成する各構成成分について詳細に説明する。
本発明で使用する第15族元素を含有するゴムは、第15族元素を有する構成単位を含むゴムである。
ここで、第15族元素とは、周期律表で第15族(旧VB族)に属する元素をいい、窒素、リン、ヒ素、アンチモンおよびビスマスが挙げられる。本発明の典型的な態様において、第15族元素は窒素である。
ニトリルゴムとは、ニトリル基を有する構成単位、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリルに由来する構成単位を含むゴムである。ニトリルゴムの例として、アクリロニトリル・ブタジエンゴム(NBR)、アクリロニトリル・ブタジエン・イソプレンゴム(NBIR)、アクリロニトリル・イソプレンゴム(NBI)などが挙げられる。本発明においては、これらのうち、NBR、NBIR、NBIが好ましい。ニトリルゴムは、耐油性に優れているところ、一般に、ニトリル含量が高くなると耐油性が向上し、一方、ニトリル含量が少ないと耐寒性が上がる傾向にある。本発明では、物性バランスの観点から、ニトリルゴムにおけるニトリル含量が15質量%~55質量%の範囲内にあることが好ましい。
ウレタンゴムは、ウレタン結合を有するゴムであり、ジイソシアネートとポリオールとを反応させることにより得られる。
本発明のゴム組成物は、蓄熱材としての主要成分として電子相転移する物質を含み、具体的には、バナジウムを構成元素として含む金属酸化物(Y)(以下、「金属酸化物(Y)」とも呼ばれる場合がある。)を含む。
本発明のゴム組成物における金属酸化物(Y)の含有量は、ゴム(X)100質量部に対して、10~400質量部であり、好ましくは100~400質量部である。すなわち、本発明のゴム組成物における金属酸化物(Y)の含有量は、蓄熱特性が十分に得られるよう、ゴム(X)100質量部に対して、10質量部以上、好ましくは100質量部以上である。一方、コスト、混練加工性などの面から、本発明のゴム組成物における金属酸化物(Y)の含有量は、ゴム(X)100質量部に対して、400質量部以下、好ましくは、250質量部以下である。
上記金属酸化物(Y)は、通常粒径が大きい粒子の形態を有することから空隙が多い傾向にある。そこで、本発明では、上記金属酸化物(Y)の粒子間の空隙を充填することにより金属酸化物(Y)に対して効率的に熱を伝導し、上記金属酸化物(Y)が有する蓄熱特性を十分に引き出すことができるよう、焼成酸化亜鉛(Z)が併用される。
本発明のゴム組成物における焼成酸化亜鉛(Z)の含有量は、上記金属酸化物(Y)への熱伝導効果と蓄熱効果とのバランスの観点から、ゴム(X)100質量部に対して、10~300質量部であり、好ましくは100~200質量部である。すなわち、本発明のゴム組成物における焼成酸化亜鉛(Z)の含有量は、上記金属酸化物(Y)への熱伝導効果が十分に得られるよう、ゴム(X)100質量部に対して、10質量部以上、好ましくは100質量部以上である。一方、蓄熱効果を十分に得る観点からは、本発明のゴム組成物における焼成酸化亜鉛(Z)の含有量は、ゴム(X)100質量部に対して、300質量部以下、通常は250質量部以下、好ましくは、200質量部以下である。
本発明のゴム組成物を構成する架橋剤(C)は、上記第15族元素を含有するゴム(X)を架橋可能である限り特に限定されず、硫黄系化合物、過酸化物系架橋剤などゴムの分野において通常用いられる種々のものであってもよい。
ここで、架橋剤(C)としてイオウ系化合物(C1)が用いられる場合、その含有量は、前記ゴム(X)100質量部に対して0.01~5質量部であることが好ましい。
本発明のゴム組成物は、上述したゴム(X)、バナジウムを構成元素として含む金属酸化物(Y)、焼成酸化亜鉛(Z)および架橋剤(C)を含むところ、用途に合わせてさらにその他の成分を含んでいても良い。
本発明のゴム組成物は、その用途に応じて、可塑剤、具体的には、ゴムの分野において軟化剤として一般的に用いられる公知の可塑剤をさらに含んでいてもよい。
本発明で好適に用いられる可塑剤としてエステル系軟化剤などが挙げられ、その中でもジカルボン酸ジエステルがより好ましく挙げられる。このような可塑剤の具体例としては、ジオクチルフタレートなどのフタル酸エステル;ジオクチルアジペート、アジピン酸ビス[2-(2-ブトキシエトキシ)エチル]などのアジピン酸エステル;並びに、ジオクチルセバケートなどのセバシン酸エステル等が挙げられる。
ここで、上記可塑剤の含有量は、その用途により適宜選択でき、通常、ゴム(X)100質量部に対して、最大200質量部、好ましくは最大150質量部、より好ましくは最大130質量部が望ましい。
本発明のゴム組成物は、架橋体としたときの引張強度、引裂強度、耐摩耗性などの機械的性質を高めるために、補強材をさらに含んでいてもよい。
補強材の種類としては、カーボンブラック、シリカ、活性化炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、タルク、ケイ酸、クレー等が挙げられる。これらの補強材は、1種単独で、あるいは、2種以上を組み合わせて用いることができる。
ここで、カーボンブラックは、シランカップリング剤等で表面処理して使用してもよい。
補強材の種類および配合量は、その用途により適宜選択できるが、補強材の配合量は通常、ゴム(X)100質量部に対して、最大300質量部、好ましくは最大200質量部である。
本発明に係るゴム組成物には、上記ゴム(X)、上記バナジウムを構成元素として含む金属酸化物(Y)および上記架橋剤(C)のほかに、加硫促進剤をさらに含んでいてもよい。
本発明に係るゴム組成物には、上記ゴム(X)、上記バナジウムを構成元素として含む金属酸化物(Y)および上記架橋剤(C)のほかに、加硫助剤をさらに含んでいてもよい。
本発明に係るゴム組成物には、上記ゴム(X)、上記バナジウムを構成元素として含む金属酸化物(Y)および上記架橋剤(C)のほかに、加工助剤をさらに含んでいてもよい。
本発明に係るゴム組成物から製造されたゴム製品は、さらに製品寿命を長くするために、老化防止剤を含有してもよい。また、老化防止剤としては、従来公知の老化防止剤、例えばアミン系老化防止剤、フェノール系老化防止剤、イオウ系老化防止剤等が挙げられる。
本発明のゴム組成物は、上記所定質量部のゴム(X)、バナジウムを構成元素として含む金属酸化物(Y)、架橋剤(C)、焼成酸化亜鉛(Z)と、必要により配合される上記「その他の成分」とから、一般的なゴム配合物の調製方法と同様の方法によって調製することができる。
本発明のゴム組成物は、ゴム架橋体の原料として用いることができる。
本発明のゴム組成物を原料としてゴム架橋体を得る場合、ゴム組成物架橋体は、上記ゴム組成物を、通常、押出成形機、カレンダーロール、プレス、インジェクション成形機、トランスファー成形機、熱空気、ガラスビーズ流動床、UHF(極超短波電磁波)、スチーム、LCM(熱溶融塩槽)等の加熱形態の加熱槽等種々の成形法によって所望形状に予備成形し、成形と同時にまたは成形物を加硫槽内に導入して加熱処理することにより架橋して得ることができる。この加熱処理には、HAV(熱空気)、PCM(ガラスビーズ流動床)、UHF(極超短波電磁波)、スチーム、LCM(熱溶融塩槽)などの加熱形態の加熱槽を用いることができる。また、加熱(架橋)する際の温度は、一般的に150~200℃、好ましくは160~180℃である。また、成形、架橋に際しては、金型を用いてもよく、また金型を用いないでもよい。金型を用いない場合には、ゴム組成物は通常連続的に成形・架橋される。
本発明のゴム架橋体の用途としては、例えば、保温材、断熱材の補助部材、ヒートパイプ用熱伝導性充填材、熱レンズ用部材等が挙げられる。
<未加硫ゴム物性の評価>
(加硫速度)
実施例および比較例におけるゴム組成物を用いて、測定装置:MDR2000P(ALPHA TECHNOLOGIES 社製)により、温度160℃および時間10分の測定条件下で、キュアメーター試験を行い、MH、ML、TC10およびTC90を以下の通り測定した。
(引張破断点応力、引張破断点伸び)
シートの引張破断点応力、引張破断点伸びを以下の方法で測定した。
シートを打抜いてJIS K 6251(1993年)に記載されている3号形ダンベル試験片を調製し、この試験片を用いてJIS K6251第3項に規定される方法に従い、測定温度25℃、引張速度500mm/分の条件で引張り試験を行ない、伸び率が100%であるときの引張応力(100%モジュラス(M100))、引張破断点応力(TB)および引張破断点伸び(EB)を測定した。
JIS K 6253に従い、シートの硬度(タイプAデュロメータ、HA)の測定は、平滑な表面をもっている2mmのシート状ゴム成形品6枚を用いて、平らな部分を積み重ねて厚み約12mmとして行った。ただし、試験片に異物の混入したもの、気泡のあるもの、およびキズのあるものは用いなかった。また、試験片の測定面の寸法は、押針先端が試験片の端から12mm以上離れた位置で測定できる大きさとした。
JIS L1013(2010年)に従って測定した。
(熱伝導率)
試験片につき、30℃における熱拡散率、密度および比熱を測定し、下記式に基づき熱伝導率を求めた。
熱伝導率(W/m・K)=熱拡散率×密度×比熱
ここで、熱拡散率は、レーザーフラッシュ法にて、密度は、アルキメデス法にて、また、比熱は、示差走査熱量測定により、それぞれ測定した。
試料の示差走査熱量測定は、示差走査熱量計(株式会社 日立ハイテクサイエンス製 DSC7000)を用いて行い、10℃/minで100℃まで昇温した。100℃で5分間保持した後、10℃/minで0℃まで降温させた。0℃で5分間保持した後、10℃/minで100℃まで昇温した。
試験片(直径19mm、厚み12.5mm)の側面中央に、深さ10mmの熱電対差し込み穴(孔径:約0.5mm)を設け、K熱電対(PTFE被覆)の測温接点をこの穴に挿入した。K熱電対と穴との隙間には、熱伝導グリース(サンハヤト製;熱伝導率:0.84[W/m・K])を充填した。一方、このK熱電対の補償接点側は、補償導線を介して温度データロガーと接続した。このK熱電対は、試験片温度測定用熱電対として機能する。
下記実施例及び比較例において、ニトリル・ブタジエンゴム(NBR)(日本ゼオン株式会社製Nipol1042)をゴム(X)として用いた。
なお、Nipol1042を「NBR」とも記す。
第一段階として、BB-2型バンバリーミキサー(神戸製鋼所製)を用いて、100質量部のNBRを30秒間素練りし、次いでこれに、Smartec(登録商標) HS35(商品名;高純度化学研究所製) 150質量部、焼成亜鉛華 150質量部、加硫助剤として「酸化亜鉛2種」(商品名;堺化学工業株式会社製) 5質量部、加工助剤としてステアリン酸 1質量部、および、可塑剤としてRS-107(商品名;ADEKA社製;アジピン酸ビス[2-(2-ブトキシエトキシ)エチル]) 10質量部を加え、140℃で2分間混練した。その後、ラムを上昇させ掃除を行ない、さらに、1分間混練を行ない、約150℃で排出し、第一段階の配合物を得た。
得られたゴム組成物の未架橋ゴム物性を、上記「未加硫ゴム物性の評価」に基づいて、測定した。
評価結果を表1に示す。
Smartec(登録商標) HS35(商品名;高純度化学研究所製) 150質量部および焼成亜鉛華 150質量部に代えて、Smartec(登録商標) HS35(商品名;高純度化学研究所製) 300質量部を用いたことを除き、実施例1と同様に行った。評価結果を表1および図1,2に示す。
Smartec(登録商標) HS35(商品名;高純度化学研究所製) 150質量部および焼成亜鉛華 150質量部に代えて、Smartec(登録商標) HS10(商品名;高純度化学研究所製) 300質量部とを用いたことを除き、実施例1と同様に行った。評価結果を表1および図1,2に示す。
Smartec(登録商標) HS35および焼成亜鉛華を配合しなかったことを除き、実施例1と同様に行った。評価結果を表1および図1,2に示す。
Smartec(登録商標) HS35(商品名;高純度化学研究所製) 150質量部および焼成亜鉛華 150質量部に代えて、焼成亜鉛華 300質量部を用いたことを除き、実施例1と同様に行った。評価結果を表1および図1,2に示す。
Smartec(登録商標) HS35(商品名;高純度化学研究所製) 150質量部および焼成亜鉛華 150質量部に代えて、ホワイトンSB(商品名;白石カルシウム社製;重質炭酸カルシウム) 300質量部を用いたことを除き、実施例1と同様に行った。評価結果を表1および図1,2に示す。
Claims (4)
- 第15族元素を含有するゴム(X)100質量部と、
バナジウムを構成元素として含む金属酸化物(Y)100~250質量部と、
焼成酸化亜鉛(Z)100~200質量部と、
架橋剤(C)0.01~10質量部と
を含むゴム組成物。 - 前記金属酸化物(Y)が、V(1-X)WXO2(0≦X≦0.0650)、V(1-X)TaXO2(0≦X≦0.117)、V(1-X)NbXO2(0≦X≦0.115)、V(1-X)RuXO2(0≦X≦0.150)、V(1-X)MoXO2(0≦X≦0.161)、V(1-X)ReXO2(0≦X≦0.0964)、LiVO2、V2O3、V4O7、V6O11、からなる群より選ばれるいずれかである請求項1に記載のゴム組成物。
- 前記第15族元素を含有するゴム(X)が、ニトリルゴムを含む請求項1または2に記載のゴム組成物。
- 請求項1~3のいずれか1項に記載のゴム組成物を架橋してなるゴム架橋体。
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