JP2015131909A - 熱可塑性エラストマー - Google Patents

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鏡太 室田
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和臣 持舘
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Tomohisa Tasaka
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Abstract

【課題】良好な成形加工性・柔軟性・熱伝導性・耐熱性・耐油性を有する熱可塑性エラストマーを提供する。【解決手段】(A)アクリルゴム、(B)ポリプロピレン樹脂、(C)熱伝導性フィラー、(D)相容化剤、(E)架橋剤を含む熱可塑性エラストマー。(A)は、(a1)短鎖アクリル酸アルキルエステルと、(a2)長鎖アクリル酸アルキルエステルと、(a3)アリルメタクリレートとを共重合してなり、(B)は、プロピレンホモ重合体からなり、(D)は、(d1)エチレンプロピレンブロック共重合体又はエチレンプロピレンランダム共重合体であるポリプロピレンと、(d2)特定構造の化合物及びビニル単量体と、(d3)ビニルモノマー型有機過酸化物とからなり、(d4)重合開始剤を用いて得られた成分(d2)及び(d3)からなる共重合体が成分(d1)に含浸しているポリプロピレン含浸体である。【選択図】なし

Description

本発明は、電気・電子機器に搭載された電子部品の放熱用部材として用いられる、熱伝導性を有する熱可塑性エラストマーに関する。
コンピューター等に代表される各種電気・電子機器には、稼動に伴い熱を発生する電子部品(発熱部品)が搭載されているが、近年の高集積化・高性能化に伴いその発熱量も増大する傾向にある。しかし、各種電子部品は熱によって機能障害が生じやすい精密部品であるため、これを搭載した電気・電子機器の製品寿命や安全性の低下等の問題が顕在化しており、電子部品冷却の重要性が高まっている。そのため、トランジスタ、ダイオード、集積回路(IC)などの半導体をはじめ、各種のヒーター、温度センサなどの電子部品の放熱・伝熱スペーサーとして、従来からゴム弾性を有する熱伝導性材料が使用されている。このような熱伝導性材料として、例えばシリコーンゴムに熱伝導性フィラーを配合したものが知られている。
しかしながら、シリコーンゴムは低分子シロキサンの揮発による接点不良の問題があった。そこで、低分子シロキサンの揮発がない非シリコーン系の熱伝導性材料として、下記特許文献1の熱可塑性エラストマーが提案されている。特許文献1の熱可塑性エラストマーは、(A)共役ジエンに由来する二重結合の水素添加率が80%以上であり、且つ重量平均分子量が50,000〜700,000である水添ジエン系共重合体100質量部に対して、(B)軟化剤、可塑剤、及び液状重合体からなる群より選択される少なくとも一種の液状成分を5〜1000質量部含有し、さらに(C)熱伝導性フィラーを含有する。ここでの成分(A)は、第一の共役ジエン化合物に由来する構成単位を含む重合体ブロック(i)と、第二の共役ジエン化合物に由来する構成単位を含む重合体ブロック(ii)とを有し、(i)−(ii)−(i)で表される構造を有するブロック共重合体を水素添加してなり、重合体ブロック(i)が、ビニル結合含量が25%未満の重合体ブロックであり、重合体ブロック(ii)が、ビニル結合含量が40%以上の重合体ブロックであり、ブロック共重合体が、重合体ブロック(i)及び重合体ブロック(ii)の合計に対して、重合体ブロック(i)の含有割合が5〜90質量%とされている。
一方、電気・電子機器の放熱対策用ではないが、本出願人も、自動車用のパッキン、シール材、ホース等の材料として好適に用いられる、耐熱性の高い熱可塑性エラストマーとして、下記特許文献2を提案している。特許文献2の熱可塑性エラストマーは、(A)アクリル酸アルキルエステル及びアクリル酸アルコキシアルキルエステルの少なくとも1種を主成分とし、エポキシ基含有単量体が0.5〜15質量%含まれた単量体混合物を共重合してなるアクリルゴム50〜85質量部と、(B)熱可塑性ポリエステル樹脂15〜50質量部と、(C)エチレン及び極性単量体から形成されるオレフィン系重合体セグメントと、少なくともアクリル酸アルキルエステルを含むビニル系単量体から形成されるビニル系共重合体セグメントとからなり、一方のセグメントが他方のセグメントにより形成されるマトリックス相中に分散相を形成しているグラフト共重合体又はその前駆体を、成分(A)+(B)の合計100質量部に対して1〜35質量部と、(D)成分(A)100質量部に対して0.05〜5質量部の架橋剤とを含有する。
特開2011−236365号公報 特開2007−45885号公報
特許文献1の熱可塑性エラストマーは、液状成分(B)を多量に含有していることで柔軟性が高いが、水添ジエン系共重合体(A)を使用しているので、エラストマー自体の融点は低くなる。そのため、耐熱性には限界があり、発熱量が年々増大する傾向にある電子部品の放熱対策においては信頼性に欠ける。
一方、特許文献2の熱可塑性エラストマーは、優れた耐熱性を有することで特許文献1のような問題は生じないが、架橋剤を比較的多量に含んでいる。この場合、一般的な使用条件であれば特に問題は生じないが、高温に連続して長時間曝されるような雰囲気下では、硬化劣化が促進される。自動車用のパッキンやシール材等であればこのような雰囲気下に曝されることは少ないが、長時間連続して使用されることもある電気・電子機器においては問題となる。また、特許文献2の熱可塑性エラストマーは熱伝導性フィラーを含有していないので、電子部品の放熱対策用のエラストマーとして直接使用できるものでもない。そのためには熱伝導性フィラーの添加が必要であるが、架橋剤が多量に含まれていると、熱伝導性フィラーの添加によって成形加工性や柔軟性が低下してしまう。
そこで、本発明は上記課題を解決するものであって、その目的は、良好な成形加工性・柔軟性・熱伝導性を有すると共に、耐油性・耐熱性にも優れる熱可塑性エラストマーを得ることができる熱可塑性エラストマーを提供することにある。
そのための手段として、本発明は、(A)アクリルゴムと、(B)ポリプロピレン樹脂と、(C)熱伝導性フィラーと、(D)相容化剤と、(E)成分(A)を架橋する架橋剤とを含み、前記成分(A)が前記成分(E)で動的架橋されている熱可塑性エラストマーである。前記成分(A)は、(a1)アルキル基が炭素数1〜3の短鎖アクリル酸アルキルエステルと、(a2)アルキル基が炭素数4〜22の長鎖アクリル酸アルキルエステルと、(a3)アリルメタクリレートとを共重合してなる。前記成分(B)は、プロピレンホモ重合体からなる。前記成分(C)は、新モース硬度が1〜8である。前記成分(D)は、(d1)エチレンプロピレンブロック共重合体又はエチレンプロピレンランダム共重合体であるポリプロピレンと、(d2)下記一般式(1)で表される化合物、下記一般式(2)で表される化合物及びビニル単量体と、(d3)ビニルモノマー型有機過酸化物とからなり、(d4)重合開始剤を用いて得られた成分(d2)及び(d3)からなる共重合体が成分(d1)に含浸しているポリプロピレン含浸体である。
Figure 2015131909

(式中、Rは水素又はメチル基であり、aは1〜22の整数である。)
Figure 2015131909

(式中、Rは水素又はメチル基であり、bは1〜3の整数、cは1〜8の整数である。)
そのうえで、前記(A)成分を30〜85質量部、前記(B)成分を15〜70質量部、前記成分(C)を前記成分(A)+(B)の合計100質量部に対して20〜900質量部、前記成分(D)を前記成分(A)+(B)の合計100質量部に対して1〜20質量部、前記成分(E)を前記成分(A)100質量部に対して0.05〜5質量部、含有し、前記成分(A)を構成する各成分の比が、成分(A)100質量部に対して、成分(a1)が25〜75質量部、成分(a2)が25〜75質量部、成分(a3)が0.1〜2質量部であり、前記成分(D)を構成する各成分の比が、成分(D)100質量部に対して、成分(d1)が50〜85質量部、成分(d2)が15〜50質量部、成分(d3)が0.5〜1.5質量部、成分(d4)が0.1〜0.5質量部であることを特徴とする。
なお、本発明において数値範囲を示す「○○〜××」とは、その下限の数値(○○)及び上限の数値(××)も含む意味である。すなわち、正確に記載すれば「○○以上××以下」となる。また、本発明において「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」と「メタクリル」との双方を含む意味である。
また、「新モース硬度」とは、鉱物に対する硬さの尺度の1つであり、モース硬度という硬さの異なる10種類の標準鉱物で固体表面をひっかいた際、傷の有無により1〜10の数値で表した硬さの尺度を、15段階に修正したものである。すなわち、新モース硬度とは、硬さの異なる15種類の標準鉱物で固体表面をひっかいた際、傷の有無により1〜15の数値で表した硬さの尺度である。新モース硬度は、修正モース硬度、新モース硬さと同意である。標準物質とは新モース硬度1は滑石、新モース硬度2は石膏、新モース硬度3は方解石、新モース硬度4は蛍石、新モース硬度5は燐灰石、新モース硬度6は正長石、新モース硬度7は溶融石英、新モース硬度8は水晶、新モース硬度9はトパーズ、新モース硬度10は柘榴石、新モース硬度11は溶融ジルコニア、新モース硬度12は溶融アルミナ、新モース硬度13は炭化ケイ素、新モース硬度14は炭化ホウ素、新モース硬度15はダイヤモンドである。例えば、新モース硬度8とは水晶でひっかいても傷がつかず、トパーズでひっかくと傷がつく硬さである(日本化学会編 標準科学用語辞典参照)。
本発明によれば、特定の(A)アクリルゴムを使用し、かつ(C)熱伝導性フィラーを含有することで、混練時の混練力と成形加工性に優れており、且つ高い耐熱性を発揮することができる。また、(C)熱伝導性フィラーを含有することで良好な熱伝導性を有し、電子部品の放熱用部材の材料として好適に使用することができる。また、特定の(B)ポリプロピレン樹脂を用いることによって優れた耐油性を発揮することができる。また、特定の(A)アクリルゴム、(B)ポリプロピレン樹脂、(D)相容化剤を含有することによって、良好な成形加工性を実現することができる。すなわち、本発明によれば、特許文献1に記載の熱伝導性エラストマーと同等の良好な成形加工性及び柔軟性を維持しながら、さらに、優れた耐熱性・耐油性・熱伝導性を有する熱可塑性エラストマーを得ることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。本発明の熱可塑性エラストマーは、トランジスタ、ダイオード、集積回路(IC)、ヒーター、温度センサなどの電子部品の放熱・伝熱スペーサー等として使用される熱伝導性を有する熱可塑性エラストマーであって、(A)アクリルゴムと、(B)ポリプロピレン樹脂と、(C)熱伝導性フィラーと、(D)相容化剤と、(E)成分(A)を架橋する架橋剤とを含有する。
〔(A)アクリルゴム〕
アクリルゴムは、主として熱可塑性エラストマーの柔軟性(弾力性)や耐熱性を発現する成分である。当該アクリルゴムは、(a1)アルキル基が炭素数1〜3の短鎖アクリル酸アルキルエステルと、(a2)アルキル基が炭素数4〜22の長鎖アクリル酸アルキルエステルと、(a3)アリルメタクリレートとを共重合してなる。また、アクリル酸アルコキシアクリルエステル及びアクリロニトリルを含有すると、熱可塑性エラストマーの耐油性が向上するため、含有することが好ましい。
(a1)アルキル基が炭素数1〜3の短鎖アクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピルが挙げられる。(a1)短鎖アクリル酸エステルは、1種又は2種以上を併用しても良い。(a2)アルキル基が炭素数4〜22の長鎖アクリル酸アルキルエステルとしては、例えばアクリル酸ブチル、アクリル酸ペンチルなどが挙げられ、アルキル基は直鎖であっても分岐していてもよい。また、長鎖アクリル酸アルキルエステルは、1種または2種以上を併用しても良い。
本発明のアクリルゴムは、アクリルゴム100質量部に対して、成分(a1)が25〜75質量部、成分(a2)が25〜75質量部、成分(a3)が0.1〜2質量部である。成分(a1)が25質量部未満では、エラストマーの伸びが低下する傾向にある。一方、成分(a1)が75質量部を超えると、相対的に成分(a2)の含有量が低下して、硬度が高くなりエラストマーの柔軟性が落ちて、成形性が悪くなる傾向がある。
アクリルゴムの含有量は、熱可塑性エラストマー中30〜85質量部、好ましくは40〜80質量部とする。アクリルゴムの含有量が30質量部未満では、熱可塑性エラストマーの柔軟性が低下する傾向にある。一方、アクリルゴムの含有量が85質量部を超えると、相対的に(B)ポリプロピレン樹脂の含有量が低下して熱可塑性エラストマーの成形加工性が低下する。
〔(B)ポリプロピレン樹脂〕
ポリプロピレン樹脂は、熱可塑性エラストマーの成形加工性及び耐油性を向上させる成分である。ポリプロピレン樹脂は、プロピレンホモ重合体であり、エチレン−プロピレン共重合体は物性や耐油性が低下するため好ましくない。
ポリプロピレン樹脂の含有量は、熱可塑性エラストマー中15〜70質量部、好ましくは20〜60質量部である。ポリプロピレン樹脂の含有量が15質量部未満では、熱可塑性エラストマーの成形加工性が低下する傾向にある。一方、ポリプロピレン樹脂の含有量が70質量部を超えると、熱可塑性エラストマーの柔軟性が低下する傾向にある。なお、成分(A)と成分(B)とは、熱可塑性エラストマー中、成分(A)+(B)の合計含有量が100質量部となるような相対割合で配合することが好ましい。
〔(C)熱伝導性フィラー〕
熱伝導性フィラーとしては、熱可塑性エラストマーの物性のみに着目すれば、熱伝導性に優れるフィラーであれば特に限定されず、従来から公知のカーボン系材料、金属系材料、セラミック系材料、シリカ系材料、及びこれらの複合材料を使用し得るが、新モース硬度が1〜8のものを使用する。新モース硬度が高すぎると、熱可塑性エラストマー組成物を調製する過程で使用する混練機が熱伝導性フィラーによって攻撃されて磨耗する。混練機が熱伝導性フィラーによって磨耗すると、当該磨耗粉が不純物として含有されることで熱可塑性エラストマーの物性が低下する危険性もある。
新モース硬度が1〜8の熱伝導性フィラーとしては、例えば酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、窒化ホウ素、酸化亜鉛、水酸化マグネシウム、炭素繊維、シリカ等が挙げられる。これらは、それぞれ単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
熱伝導性フィラーの形状は特に限定されず、球状、針状、繊維状、鱗片状、樹枝状、平板状、不定形状等とすることができる。また、熱伝導性フィラーの平均粒子径は、0.1〜500μm程度とすればよい。熱伝導性フィラーの平均粒子径が小さ過ぎると、熱可塑性エラストマーの粘度が増大して成形加工性が低下する危険性がある。一方、熱伝導性フィラーの平均粒子径が大き過ぎると、熱可塑性エラストマーの意匠性が低下する可能性がある。
また、熱伝導性フィラーは、成分(A)アクリルゴムと、成分(B)ポリプロピレン樹脂との濡れ性を向上して均一分散させるため、表面処理されていることが好ましい。熱伝導性フィラーの表面処理剤としては、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸金属塩、硬化油、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤等が挙げられる。脂肪酸としては、例えばステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、リノール酸、ラウリン酸、カプリル酸、ベヘニン酸、モンタン酸、ヒマシ油、亜麻仁油等を挙げることができる。
脂肪酸エステルとしては、例えばラウリン酸メチル、ミスチリン酸メチル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、オレイン酸メチル、エルカ酸メチル、ベヘニン酸メチル、ラウリン酸ブチル、ステアリン酸ブチル、ミスチリン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、ヤシ脂肪酸オクチルエステル、ステアリン酸オクチル、特殊牛脂脂肪酸オクチルエステル、ラウリン酸ラウリル、ステアリン酸ステアリル、長鎖脂肪酸高級アルコールエステル、ベヘニン酸ベヘニル、ミスチリン酸セチル等のモノエステル;ネオペンチルポリオール長鎖脂肪酸エステル、ネオペンチルポリオール長鎖脂肪酸エステルの部分エステル化物;ネオペンチルポリオール脂肪酸エステル、ネオペンチルポリオール中鎖脂肪酸エステル、ネオペンチルポリオールC9鎖脂肪酸エステル、ジペンタエリスリトール長鎖脂肪酸エステル、コンプレックス中鎖脂肪酸エステル等の特殊脂肪酸エステルなどを挙げることができる。
脂肪酸金属塩としては、例えばステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、リノール酸、ラウリン酸、カプリル酸、ベヘニン酸、モンタン酸等の金属塩であり、金属としては、Na、K、Al、Ca、Mg、Zn、Ba、Co、Sn、Ti、Fe等を挙げることができる。硬化油としては、例えば牛脂硬化油、ヒマシ硬化油等を挙げることができる。
シランカップリング剤としては、例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリアセトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシラン、メチルトリエトキシラン、ヘキサメチルジシラザン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、N−〔β−(N−ビニルベンザルアミノ)エチル〕−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン・塩酸塩等を挙げることができる。
チタネートカップリング剤のとしては、例えばイソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル・アミノエチル)チタネート、ジイソプロピルビス(ジオクチルホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート等を挙げることができる。
熱伝導性フィラーの含有量は、(A)アクリルゴムと(B)ポリプロピレン樹脂の合計((A)+(B))100質量部に対して、20〜900質量部、好ましくは100〜600質量部、より好ましくは200〜400質量部とする。熱伝導性フィラーの含有量が成分(A)+(B)100質量部に対して20質量部未満では、熱伝導性が不足して電子部品の放熱用部材としての機能が低下する。一方、熱伝導性フィラーの含有量が成分(A)+(B)100質量部に対して900質量部を超えると、柔軟性が低下する。
〔(D)相容化剤(ポリプロピレン含浸体)〕
相容化剤としてのポリプロピレン含浸体は、(A)アクリルゴムと(B)ポリプロピレン樹脂の双方に対して相容性(親和性)を示し、成分(A)の機能及び成分(B)の機能を十分に発揮させるとともに、相乗的作用を発現させる成分である。この相容化剤により、熱可塑性エラストマーの柔軟性を維持しながら、良好な成形加工性を付与することができる。
本発明において使用する相容化剤は、(d1)エチレンプロピレンブロック共重合体又はエチレンプロピレンランダム共重合体であるポリプロピレンと、(d2)下記一般式(1)で表される化合物、下記一般式(2)で表される化合物及びビニル単量体と、(d3)ビニルモノマー型有機過酸化物とからなり、(d4)重合開始剤を用いて得られた成分(d2)及び(d3)からなる共重合体が成分(d1)に含浸しているポリプロピレン含浸体である。
Figure 2015131909

(式中、Rは水素又はメチル基であり、aは1〜22の整数である。)
Figure 2015131909

(式中、Rは水素又はメチル基であり、bは1〜3の整数、cは1〜8の整数である。)
相容化剤の主鎖を構成する(d1)はエチレン−プロピレン共重合体であれば、ブロック共重合体でもランダム共重合体であってもよい。しかし、ポリプロピレンホモ重合体の場合、成分(d2)及び(d3)からなる共重合体が含浸しないため好ましくない。(d1)は、(D)相容化剤100質量部に対して50〜85質量部である。(d1)が50質量部未満であると、含浸が十分に起こらず、重合がうまくできない傾向があり、85質量部を超えるとエラストマーの相容性が低下する傾向がある。
相容化剤の側鎖を構成する(d2)は、上記一般式(1)で表されるアクリル酸アルキルエステルと、上記一般式(2)で表されるアクリル酸アルコキシアルキルエステルと、ビニル系単量体とからなる。アクリル酸アルキルエステルとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘプチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、ノニルアクリレート等が上げられる。一方、アクリル酸アルコキシアルキルエステルとしては、アクリル酸メトキシメチル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸メトキシプロピル、アクリル酸エトキシメチル、アクリル酸エトキシエチル、アクリル酸エトキシプロピル、アクリル酸エトキシブチル等が挙げられる。ビニル単量体としては、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類やビニル芳香族類が挙げられる。ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類の例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。ビニル芳香族類の例としては、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、イソプロピルスチレン、クロルスチレン、α−メチルスチレン、α−エチルスチレン等が挙げられる(d2)は、(D)相容化剤100質量部に対して15〜50質量部である。(d2)が25質量部未満であると、エラストマーの相容性が低下する傾向があり、50質量部を超えると含浸が十分に起こらず、重合がうまくできない傾向がある。
(d3)ビニルモノマー型有機過酸化物としては、エチレン性不飽和基と過酸化物結合を有する単量体が挙げられる。ビニルモノマー型有機過酸化物としては、t−ブチルペルオキシアクリロイロキシエチルカーボネート、t−ブチルペルオキシメタクリロイロキシエチルカーボネート、t−ブチルペルオキシアリルカーボネート、t−ブチルペルオキシメタクリルカーボネート等が挙げられ、特に、t−ブチルペルオキシメタクリロイロキシエチルカーボネートが好ましい。(d3)は、(D)相容化剤100質量部に対して0.5〜1.5質量部である。(d3)が0.5質量部未満であると、グラフト化がうまくいかず、エラストマーの相容性が低下する傾向があり、1.5質量部を超えるとゲル化してしまい、相容性が低下してしまう傾向がある。
(d4)重合開始剤は特に限定されるものでなく、ナトリウムパーサルフェート、カリウムパーサルフェート、アンモニウムパーサルフェート、アセチルパーオキサイド、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,3,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、tert−ブチルパーオキシマレイン酸、2,2−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2−アゾビス[2−(N−フェニルアミジノ)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2−アゾビス[2−{N−(4−ヒドロキシフェニル)アミジノ}プロパン]ジヒドロクロライド、2,2−アゾビス[2−(N−ベンジルアミジノ)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2−アゾビス[2−{N−(2−ヒドロキシエチル)アミジノ}プロパン]ジヒドロクロライド、2,2−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2−アゾビス[2−(4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−1,3−ジアジピン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2−アゾビス[2−(3,4,5,6−テトラヒドロピリジミン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2−アゾビス[2−{1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イムダゾリン−2−イル}プロパン]ジヒドロクロライド、2,2−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド]、2,2−アゾビス[2−メチル−N−{1、1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル}プロピオンアミド]、4,4−アゾビス(4−シアノバレリック酸)、2,2−アゾビス[2−(ヒドロキシメチル)プロピオニトリル]等が挙げられる。
(d4)は、(D)相容化剤100質量部に対して0.1〜0.5である。0.1質量部未満では、重合開始性能が低下し、0.5質量部を超えると重合安定性が低下する。
ポリプロピレン含浸体は、ビニルモノマー(d2)とビニルモノマー型有機過酸化物(d3)の共重合体がポリプロピレン(d1)に含浸されて構成されている。重合開始剤(d4)は、含浸体中のビニルモノマー(d2)とビニルモノマー型有機過酸化物(d3)の重合を開始させる重合開始剤である。
グラフト共重合体(相容化剤)の含有量は、(A)アクリルゴムと(B)ポリプロピレン樹脂との合計((A)+(B))100質量部に対して1〜20質量部、好ましくは3〜10質量部とする。グラフト共重合体の含有量が成分(A)+(B)100質量部に対して1質量部未満では、相容化剤として十分な機能を発現できない。一方、グラフト共重合体の含有量が成分(A)+(B)100質量部に対して20質量部を超えると、耐熱性、成形加工性が低下する。
〔(E)架橋剤〕
架橋剤は、(A)アクリルゴムを架橋するために添加されるものであって、アクリルゴムのアリルメタクリレートに由来する炭素−炭素二重結合同士を共有結合することによりアクリルゴムを架橋する機能を有する有機過酸化物である。架橋剤としては、例えばケトンパーオキサイド類、パーオキシケタール類、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド類、ジアシルパーオキサイド類、パーオキシジカーボネート類、パーオキシエステルが挙げられる。これらの中でも、パーオキシケタール類、ジアルキルパーオキサイド類、ジアシルパーオキサイド類が好ましい。特に、2、5‐ジメチル‐2、5‐ジ(t‐ブチルペルオキシ)ヘキサンが好ましい。
架橋剤の含有量は、できるだけ少ないことが好ましい。架橋剤の含有量が多いと、耐熱性、成形加工成、柔軟性等が低下する。具体的には、アクリルゴム100質量部中の架橋剤の含有量は0.05〜5質量部、好ましくは0.1〜1質量部である。
〔その他の添加剤〕
熱可塑性エラストマーには、上記の成分(A)〜(E)以外にも、本発明の効果を阻害しない範囲で種々の添加剤を添加することができる。具体的には、フェノール系、アミン系、リン系、硫黄系等の老化防止剤、ヒンダードアミンのような紫外線安定剤、ステアリン酸等の加工助剤、二酸化チタン等の顔料、カーボンブラック、ホワイトカーボン、クレー、タルク等の補強剤又は充填剤、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ハロゲン系、リン系等の難燃剤、フタル酸エステル系、トリメリット酸エステル系、ポリエステル系等の可塑剤が挙げられ、可塑剤としては、特にフタル酸エステル系が好ましい。さらに他の熱可塑性樹脂や熱可塑性エラストマーやゴムなども添加することができる。他の熱可塑性樹脂の具体例としては、例えば、ポリエチレン系樹脂、スチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリアリレート系樹脂等が挙げられる。熱可塑性エラストマーの具体例としては、例えば、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー等が挙げられ、特にオレフィン系熱可塑性エラストマーが好ましい。ゴムの具体例としては、例えば、ブタジエンゴム、ブタジエン−スチレンゴム、ブタジエン−アクリロニトリルゴム、グロロプレンゴム、ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム、ウレタンゴム、ケイ素ゴム、フッ素ゴム、アクリルゴム等が挙げられる。添加剤の配合量は、熱可塑性エラストマー100質量部に対してそれぞれ20質量部以下であることが好ましい。
〔熱可塑性エラストマーの製造方法〕
熱可塑性エラストマーは、上記各成分を含む熱可塑性エラストマー組成物において、基本的には(A)アクリルゴムを(E)架橋剤によって動的架橋を行うことによって製造される。動的架橋を行う装置としては、バンバリーミキサー、ブラベンダーミキサー、加圧ニーダー、単軸押出機、二軸押出機、ロール等を使用することができる。動的架橋は、混練による高剪断の下でアクリルゴムのアリルメタクリレートに由来する炭素−炭素二重結合同士を架橋することを意味する。通常、こうして動的に架橋されたアクリルゴムは、ポリプロピレン樹脂のマトリックス相に微分散される。このような相構造を形成することにより、アクリルゴムが架橋されているにも関わらず、エラストマーは熱可塑性を有する。従って、熱可塑性エラストマーは、押出成形法、射出成形法、ブロー成形法、圧縮成形法等、公知の熱可塑性樹脂の成形方法により所定形状に成形加工することができる。
溶融混練は、(B)ポリプロピレン樹脂の融点より高く、(A)アクリルゴムの分解開始温度より低い温度、具体的には160〜350℃、好ましくは170〜300℃、より好ましくは180〜250℃で行えばよい。
<(A)アクリルゴムの製造>
(アクリルゴムA−1)
攪拌機、温度計、冷却器、滴下装置、窒素ガス導入管のついたフラスコにイオン交換水2300質量部、ナトリウムドデシルサルフェート20質量部を仕込んだ後、窒素ガスを吹き込みながら撹拌下に70℃まで昇温した。その後、重合開始剤としてカリウムパーサルフェート5質量部を添加した。そこへ、70℃の温度条件を維持しながら、単量体混合物(エチルアクリレート500質量部、ブチルアクリレート500質量部アリルメタクリレート5質量部)1005質量部を3時間かけて滴下した後、更に3時間重合を行うことにより乳化液を得た。この乳化液を、同重量の1%塩化カルシウム水溶液に滴下して塩析を行った。析出した化合物を水洗後、80℃、24時間乾燥することで、アクリルゴムを得た。
(アクリルゴムA−2〜A−7,A’−1〜A’−4)
単量体(a1)、(a2)として表1に示す成分を表1に示す量で使用した以外は、アクリルゴムA−1と同様にアクリルゴムを製造した。
Figure 2015131909

なお、表1中の略称は以下のとおりである。
EA:エチルアクリレート
MA:メチルアクリレート
PA:プロピルアクリレート
BA:ブチルアクリレート
LA:ラウリルアクリレート
AMA:アリルメタクリレート
MEA:メトキシエチルアクリレート
AN:アクリロニトリル
<(D)相容化剤(グラフト共重合体)の製造>
(相容化剤D−1)
水200質量部、ポリビニルアルコール0.15質量部、エチレン−プロピレン共重合体700質量部を、窒素置換したステンレス製オートクレーブに仕込み、撹拌、分散させた。そこへビニルモノマー型有機過酸化物として、tert−ブチルパーオキシメタクリロイロキシエチルカーボネート9質量部、側鎖用の単量体として、ブチルアクリレート100質量部及びメタクリル酸2−ヒドロキシプロピル100質量部およびスチレン100質量部をオートクレーブ中に投入し、60〜65℃に昇温することにより、ビニルモノマー型有機過酸化物、単量体をエチレン-プロピレン共重合体に含浸させた(含浸時間2時間)。次いでラジカル重合開始剤として、ベンゾイルパーオキサイド2質量部投入し、80〜85℃に昇温し、エチレン−プロピレン共重合体内にて重合を行い、相容化剤前駆体を得た(反応時間5時間)。この相容化剤前駆体を1軸押出機にて180℃で押し出すことで、グラフト化反応を行い、相容化剤を得た。
(相容化剤D−2〜D−3)
主鎖用のエチレン−アクリル酸エチル共重合体として表2に示す成分に変更した以外は、相容化剤D−1と同様に相容化剤を製造した。
Figure 2015131909

なお、表2中の略称は以下のとおりである。
PPa:ポリプロピレンa(エチレン−プロピレンブロック共重合体)
PPb:ポリプロピレンb(エチレン−プロピレンランダム共重合体)
PPc:ポリプロピレンc(プロピレンホモ重合体)
BA:ブチルアクリレート
HPMA:メタクリル酸−2−ヒドロキシプロピル
St:スチレン
t−B:t−ブチルペルオキシメタクリロリロキシエチルカーボネート
BP:ベンゾイルパーオキサイド
(実施例1)
<エラストマー製造>
(A)アクリルゴム(A−1)750質量部、(B)ポリプロピレン250質量部、(C)酸化マグネシウム4475質量部、(D)相容化剤(D−1)45質量部を190℃に加熱した加圧型ニーダーに仕込み、32rpmで溶融混練し、すべての材料が溶融するまで混練した(混練時間15分)。その後(E)2、5‐ジメチル‐2、5‐ジ(t‐ブチルペルオキシ)ヘキサンを15質量部投入し、熱可塑性エラストマー組成物を得た。熱可塑性エラストマー組成物を190℃に加熱した加圧型ニーダーでさらに混練することで、動的架橋を行い、熱可塑性エラストマーを得た(混練時間5分)。熱可塑性エラストマーをニーダールーダーに供給し、造粒をおこない熱可塑性エラストマー組成物を得た。
<試験用サンプル作成>
最後に、造粒した熱可塑性エラストマーを230℃に加熱した射出成形機(日精樹脂工業(株)製、ES600)に供給し、30mm×150mm×2mmのプレートを作成した。
(実施例2〜16、参考例1〜4、比較例1〜16)
各種成分を、表3,4,5に示す組成で使用した以外は、実施例1と同様にして各実施例・参考例・比較例の熱可塑性エラストマーを製造した。
Figure 2015131909
Figure 2015131909
Figure 2015131909
得られた各実施例・参考例・比較例のプレートに関して、各種物性を測定評価した。各物性の測定・評価方法は次の通りである。
(耐油性試験)
JIS K6258に準じ、No.3油に150℃×70時間浸漬した後の重量変化率(%)を測定した。
150℃×70時間浸漬後の重量変化率:−25〜+25%(この範囲外だと耐油性不足)
(耐熱試験)
JIS K 6257に準じ、試験片(3号ダンベル)を高温槽にて150℃×500時間静置後、JIS K 6251に準じ、試験速度500mm/minにて伸び(%)を測定し、耐熱試験前の伸び(%)と耐熱試験後の伸び(%)より、耐熱試験後の保持率を求めた。
160℃×500時間後の伸び保持率(%):75%以上(それ未満だと、耐久性不足)
(引張試験)
JIS K 6251に準じ、試験速度500mm/minにて引張強度(MPa)、及び伸び(%)を測定した。
引張強度(MPa):1MPa以上、伸び(%):100以上(それ未満だと、成形性不足)
(柔軟性)
JIS K 6253に準じ、タイプAディロメータ試験機で硬度(Sh A)を測定した。
硬度ShA:90以下(それを超えると、柔軟性不足)
(熱特性)
JIS K 7123に準じ比熱を測定し、JIS K 7112に準じ比重を測定し、JISR 1611に準じ熱拡散率を測定し、次式により熱伝導率(W/m・K)を求めた
熱伝導率=比熱×比重×熱拡散率
(製造性)
製造時、ニーダールーダー、及び射出成形機が磨耗していないかを目視にて確認した。○:磨耗なし、×:磨耗あり
(成形加工性評価)
射出成形後の外観を目視にて確認した。
○:良好、×:不良
表3の結果から、実施例1〜16の熱可塑性エラストマーは組成物良好な成形加工性・柔軟性・熱伝導性を有すると共に、耐熱性・耐油性にも優れる熱可塑性エラストマーを得ることができることが確認された。
表4の結果から、参考例1はポリオレフィンエラストマーを充填することで、引っ張り特性が向上したが、耐油性が若干低下した。参考例2は、可塑剤を充填することで、耐油性が向上し、かつ硬度が低下したが、引っ張り特性が低下した。参考例3はポリオレフィンエラストマーおよび可塑剤を充填することで、引っ張り特性や耐油性を維持したまま、硬度が低下した。参考例4は、難燃剤を充填することで、引っ張り特性は低下したが、難燃性を付与することができた。
これに対し表5の結果から、比較例1は、(A)アクリルゴムが短鎖アクリル酸アルキルエステルを含んでいないため伸びが悪かった。比較例2は、(A)アクリルゴムが長鎖アクリル酸アルキルエステルを含んでいないため伸びと成形外観が悪かった。比較例3、4は、(A)アクリルゴムがアリルアクリレートを含んでいないため、耐熱性、引張強度、伸びが悪かった。比較例5は、(B)ポリプロピレン樹脂がエチレン−プロピレンブロック共重合体であるため耐油性が悪かった。比較例6は、(B)ポリプロピレン樹脂がエチレン−プロピレンランダム共重合体であるため耐油性が悪かった。比較例7、10は、(A)アクリルゴムが過多で(B)ポリプロピレン樹脂が過少であるため、引張強度が低く、成形加工性が悪かった。比較例8、9は、(A)アクリルゴムが過少で(B)ポリプロピレン樹脂が過多であるため、伸びが悪かった。比較例11は、(E)架橋剤が過多であるため、耐熱性、引張強度、伸びが悪かった。比較例12は、(E)架橋剤が過少であるため、引張強度、伸びが悪かった。比較例13は、(D)相容化剤を含まないため、引張強度、伸び、成形加工性が悪かった。比較例14は、(C)熱伝導性フィラーが過多であるため、伸び、製造性、成形加工性が悪かった。比較例15は、(C)熱伝導性フィラーの新モース硬度が高いため、製造性、成形加工性が悪かった。比較例16は、(C)熱伝導性フィラーを含まないため、熱伝導率が悪かった。

Claims (1)

  1. (A)アクリルゴムと、(B)ポリプロピレン樹脂と、(C)熱伝導性フィラーと、(D)相容化剤と、(E)成分(A)を架橋する架橋剤とを含み、前記成分(A)が前記成分(E)で動的架橋されている熱可塑性エラストマーであって、
    前記成分(A)は、(a1)アルキル基が炭素数1〜3の短鎖アクリル酸アルキルエステルと、(a2)アルキル基が炭素数4〜22の長鎖アクリル酸アルキルエステルと、(a3)アリルメタクリレートとを共重合してなり、
    前記成分(B)は、プロピレンホモ重合体からなり、
    前記成分(C)は、新モース硬度が1〜8であり、
    前記成分(D)は、(d1)エチレンプロピレンブロック共重合体又はエチレンプロピレンランダム共重合体であるポリプロピレンと、(d2)下記一般式(1)で表される化合物、下記一般式(2)で表される化合物及びビニル単量体と、(d3)ビニルモノマー型有機過酸化物とからなり、(d4)重合開始剤を用いて得られた成分(d2)及び(d3)からなる共重合体が成分(d1)に含浸しているポリプロピレン含浸体であり、
    前記(A)成分を30〜85質量部、
    前記(B)成分を15〜70質量部、
    前記成分(C)を前記成分(A)+(B)の合計100質量部に対して20〜900質量部、
    前記成分(D)を前記成分(A)+(B)の合計100質量部に対して1〜20質量部、
    前記成分(E)を前記成分(A)100質量部に対して0.05〜5質量部、
    含有し、
    前記成分(A)を構成する各成分の比が、成分(A)100質量部に対して、成分(a1)が25〜75質量部、成分(a2)が25〜75質量部、成分(a3)が0.1〜2質量部であり、
    前記成分(D)を構成する各成分の比が、成分(D)100質量部に対して、成分(d1)が50〜85質量部、成分(d2)が15〜50質量部、成分(d3)が0.5〜1.5質量部、成分(d4)が0.1〜0.5質量部であることを特徴とする、熱可塑性エラストマー組成物。
    Figure 2015131909

    (式中、Rは水素又はメチル基であり、aは1〜22の整数である。)
    Figure 2015131909

    (式中、Rは水素又はメチル基であり、bは1〜3の整数、cは1〜8の整数である。)
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN111574797A (zh) * 2020-04-16 2020-08-25 道恩高材(北京)科技有限公司 一种耐油耐高温丙烯酸酯橡胶/聚丙烯热塑性硫化胶及其制备方法
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US11598325B2 (en) 2017-08-22 2023-03-07 Lg Chem, Ltd. Method for determining dispensing apparatus for heat-dissipating material

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