以下、本実施形態の冷蔵庫について図面を参照して説明する。なお、以下では、図1および図2に示す方向を基準にして説明する。
図1は、本実施形態の冷蔵庫を側方から見たときの縦断面図である。
図1に示すように、冷蔵庫1の箱体(冷蔵庫本体、断熱箱体)10は、上方から冷蔵室2、左右に併設された製氷室3と上段冷凍室4、下段冷凍室5、野菜室6の順番で貯蔵室を有している。また、冷蔵庫1は、冷蔵室2の前面開口を開閉する回転式の冷蔵室ドア2aを備えている。また、冷蔵庫1は、製氷室3、上段冷凍室4、下段冷凍室5、野菜室6の前面開口をそれぞれ開閉する引き出し式の製氷室ドア3a、上段冷凍室ドア4a、下段冷凍室ドア5a、野菜室ドア6aを備えている。以下では、製氷室3、上段冷凍室4、下段冷凍室5は、まとめて冷凍室7と呼ぶ。
冷凍室7は、基本的に庫内を冷凍温度帯(0℃未満)とし、例えば平均的に-18℃程度にした貯蔵室である。冷蔵室2および野菜室6は、庫内を冷蔵温度帯(0℃以上)とし、例えば、冷蔵室2は平均的に4℃程度、野菜室6は平均的に7℃程度にした貯蔵室である。
冷蔵室2と、上段冷凍室4および製氷室3とは、断熱仕切壁28によって隔てられている。下段冷凍室5と野菜室6とは、断熱仕切壁29によって隔てられている。また、製氷室3、上段冷凍室4、および下段冷凍室5の各貯蔵室の前面側には、製氷室ドア3a、上段冷凍室ドア4a、下段冷凍室ドア5aの隙間から冷凍室7内の空気が庫外へ漏れないように、また庫外の空気が各貯蔵室に侵入しないように断熱仕切壁30が設けられている。
冷蔵庫1の箱体10は、鋼板製の外箱10aと合成樹脂製の内箱10bとの間に断熱材R(例えば発泡ウレタン)を充填して構成されることで、冷蔵庫1の庫外と庫内は隔てられている。なお、断熱材Rは、硬質ウレタンフォームからなる発泡断熱材を注入、発泡することによって構成される。
また、箱体10には、断熱材Rに加えて複数の真空断熱材25が、外箱10aと内箱10bとの間に実装されている。すなわち、真空断熱材25は、箱体10の背面側、天井側(不図示)、左側面側(不図示)、右側面側(不図示)、底面側(不図示)に設けられる。
冷凍室7は、上段冷凍室ドア4aと一体に引き出される容器4b、下段冷凍室ドア5aと一体に引き出される容器5b、野菜室ドア6aと一体に引き出される野菜室容器6bを備えている。
また、冷蔵室2の背部には、冷蔵室側蒸発器14a(蒸発器)が冷蔵室側蒸発器室8aに設けられている。冷蔵室側蒸発器14aと熱交換して低温になった空気は、冷蔵室側蒸発器14aの上方に設けた冷蔵室側ファン9aによって、冷蔵室ダクト11、冷蔵室吐出口11aを介して冷蔵室2に送風され、冷蔵室2内を冷却する。冷蔵室2に送風された空気は、冷蔵室戻り口15aから冷蔵室側蒸発器室8aに戻り、再び冷蔵室側蒸発器14aによって冷却される。
また、冷蔵室2の最下段には、室内温度が0℃に保たれるチルド室2bが設けられている。このチルド室2bの上部には、チルド室2bの上方全体を覆うように棚部材2cが設けられている。この棚部材2cは、内箱10bや冷蔵室ダクト11等にねじ固定され、ユーザが勝手に取り外すことができないようになっている。また、冷蔵室2には、高さ位置を変えることが可能な複数の棚部材2dが設けられている。
また、冷凍室7の背部には、冷凍室側蒸発器14b(蒸発器)が冷凍室側蒸発器室8bに設けられている。冷凍室側蒸発器14bと熱交換して低温になった空気は、冷凍室側蒸発器14bの上方に設けた冷凍室側ファン9bにより、冷凍室風路12、冷凍室吐出口12aを介して冷凍室7に送風し、冷凍室7内を冷却する。冷凍室7に送風された空気は冷凍室戻り口17から冷凍室側蒸発器室8bに戻り、再び冷凍室側蒸発器14bにより冷却される。
本実施形態の冷蔵庫1では、野菜室6も冷凍室側蒸発器14bで低温にした空気で冷却する。冷凍室側蒸発器14bで低温になった冷凍室側蒸発器室8bの空気は、冷凍室側ファン9bによって野菜室風路(図示せず)、野菜室ダンパ(図示せず)を介して野菜室6に送風し、野菜室6内を冷却する。野菜室6が低温の場合は、野菜室ダンパを閉じることで野菜室6の冷却を抑える。なお、野菜室6に送風された空気は断熱仕切壁29の下部前方に設けた野菜室側の冷気戻り部18aから野菜室冷気戻りダクト18を介して冷凍室側蒸発器室8bの下部に戻る。
冷蔵室2、冷凍室7、野菜室6の庫内背面側には、それぞれ冷蔵室温度センサ41、冷凍室温度センサ42、野菜室温度センサ43が設けられている。冷蔵室側蒸発器14aの上部には冷蔵室側蒸発器温度センサ40a、冷凍室側蒸発器14bの上部には冷凍室側蒸発器温度センサ40bが設けられている。これらセンサ41,42,43,40a,40b(以下、まとめてセンサ類40と称する)は、冷蔵室2、冷凍室7、野菜室6、冷蔵室側蒸発器14aおよび冷凍室側蒸発器14bの温度を検知する。その他のセンサとして、各ドア2a,3a,4a,5a,6aの開閉状態をそれぞれ検知するドアセンサ(図示せず)が設けられている。
図2は、図1のII-II線で切断したときの概略断面図である。
図2に示すように、冷凍室側蒸発器室8bの下部には、冷凍室側蒸発器14bを加熱する除霜ヒータ21が設けられている。この除霜ヒータ21は、例えば50W~200Wの電気ヒータであり、本実施形態では150Wのラジアントヒータが用いられている。冷凍室側蒸発器14bの除霜時に発生した除霜水(融解水)は、冷凍室側蒸発器室8bの下部に設けたトイ23bに落下し、排水口22b、冷凍用排水管27bを介して圧縮機24の上部に設けた蒸発皿33に排出される。
また、冷蔵室側蒸発器14aの除霜時に発生した除霜水は、冷蔵室側蒸発器室8aの下部に設けたトイ23aに落下し、排水口22a、冷蔵用排水管27aを介して圧縮機24の上部に設けた蒸発皿33に排出される。
トイ23aには、トイ23aでの除霜水が凍結した際に除霜水を融解させるトイヒータ101が設けられている。冷蔵用排水管27aには、排水管上部ヒータ102および排水管下部ヒータ103が設けられている。また、トイ23aの最終集水部には残水の有無を検知するためのトイ温度センサ45が断熱仕切壁28の内部に埋設されている。なお、トイヒータ101、排水管上部ヒータ102、排水管下部ヒータ103は、例えば消費電力20W以下の、除霜ヒータ21よりも消費電力が低い電気ヒータである。本実施形態では、トイヒータ101が6W、排水管上部ヒータ102が3W、排水管下部ヒータ103が1Wのヒータとしている。
冷蔵庫1は、パワー系基板91(高電圧系基板)と制御基板110(低電圧系基板)とを備えて構成されている。パワー系基板91と制御基板110は、それぞれCPU、ROMやRAM等のメモリ、インターフェース回路等を搭載している。つまり、冷蔵庫1は、パワー系基板91と制御基板110とを一つにまとめた基板ではなく、2つの基板に分割し、パワー系基板91を機械室39に配置し、制御基板110を冷蔵室2(機械室39の外部)に配置したものである。パワー系基板91は商用電源から電力供給を受けており高電圧な部分を含む。制御基板110は、商用電源やパワー系基板91からは絶縁されており、少なくとも商用電源より低電圧の部分から成る。制御基板110は、例えば直圧12V以下の部分から成ることができる。
パワー系基板91と制御基板110とは、コード(電線、ハーネス)92aによって接続されている。また、パワー系基板91は、商用電源と電源コード(電源線)92bを介して接続される。
外箱10aの左側の側板10a1には、機械室39と連通する吸込口10a2が形成されている。外箱10aの右側の側板10a3には、機械室39と連通する排出口10a4が形成されている。
また、冷蔵室2内の温度は、冷凍室7内と比べて外気温との差が小さいため、冷蔵室2の断熱壁(発泡断熱材)の厚さは、冷凍室7の断熱壁(発泡断熱材)よりも薄く形成されている。
図3は、本実施形態の冷蔵庫の背面を示す斜視図である。
図3に示すように、箱体10の背面下部には、機械室39を覆う機械室カバー90が設けられている。この機械室カバー90は、板金をプレス加工等することによって形成され、略四角板状に構成されている。
また、機械室カバー90は、機械室39の背面側に開口する横長四角形状の領域全体を覆うことができる形状を有している。また、機械室カバー90は、箱体10の背面にねじ固定されている。
また、機械室カバー90は、左右両側を除く部分が箱体10の背板10sと平行な(側板10a1と直交する)板部90aと、この板部90aの左右両側において板部90aに対して傾斜して延びる傾斜板部90b,90cと、を有している。傾斜板部90bは、左端に向けて箱体10に近づくように形成されている。傾斜板部90cは、右端に向けて箱体10に近づくように形成されている。また、傾斜板部90cには、横長のスリット状の孔90c1が複数形成され、排出口10aと同様の排出口として機能している。このように傾斜板部90b,90cが設けられているのは、仮に冷蔵庫1が壁に接するような状態(べた付けされた状態)で据え付けられたとしても、壁との間に隙間が形成されるので、その隙間を排熱の通路にすることができるからである。
また、スリット状の孔90c1は、後述する基板収納ケース80と機械室カバー90の正面視(冷蔵庫の背面視)で重なる位置には設けられていない。これにより、基板収納ケース80の内部に孔90c1を介して塵埃が侵入することを抑制できる。なお、本実施形態では、前述のとおり基板収納ケース80と重なる位置にスリット状の孔を設けていないが、この構成に限らない。仮に基板収納ケース80と重なる位置にスリット状の孔が設けられている場合、隙間S(図14参照)が小さくても、ファン19の作用により基板収納ケース80と機械室カバー90との間に空気の流れを生じさせることができ、パワー系基板91の冷却効率を向上できる。
図4は、本実施形態の機械室を示す背面図である。なお、図4は、機械室カバー90を取り外した状態である。
図4に示すように、機械室39には、圧縮機24、ファン(送風機)19、ドライヤ51、減圧弁62、パワー系基板収納ケース(以下、基板収納ケースとする)80などが設けられている。
圧縮機24の上部には、蒸発皿33が設けられている。ファン19は、圧縮機24の風の流れの上流側に配置されている。ドライヤ51は、冷凍サイクル中の水分を除去するものであり、圧縮機24の上方に設けられている。減圧弁62は、圧縮機24の下流側に設けられている。
基板収納ケース80は、パワー系基板91(図2参照)を収納するものであり、ファン26の上流側に配置されている。また、基板収納ケース80は、パワー系基板91にアクセスするための蓋82が設けられている。この蓋82は、略四角形状を呈し、背面側を向いて取り付けられている。また、基板収納ケース80及び蓋82は樹脂製で、難燃性が好ましい。
図5は、図4に示す機械室から基板収納ケースを取り外した状態を示す背面図である。なお、図5は、機械室39の内部を見やすくするため、機械室39の底に設けられた機械室底板70(図4参照)を取り外した状態を示している。
図5に示すように、機械室39には、ファン19の上流側に、圧縮機24から吐出された冷媒を凝縮するコンデンサ61(凝縮器)が、冷蔵庫1の背面視で面状の(例えば略矩形状の)基板収納ケース80の前方に設けられている。このコンデンサ61は、フィンチューブ式の熱交換器であり、圧縮機24に向けて冷媒配管61aが延びている。また、圧縮機24からもコンデンサ61に向けて冷媒配管24aが延びている。冷媒配管61aと冷媒配管24aとは、ろう付けや溶接等による接続部P(図4参照)を介して接続されている。
この接続部Pは、コンデンサ61に近いところで形成されると基板収納ケース80の直前方に位置することになる。この場合、接続部Pを機械室カバー90を外しても黙視できない。この点に鑑みて本実施形態では、後方(背面)からの投影上で接続部Pと基板収納ケース80とが重ならないようにしている(図4参照)。このような位置に接続部Pを設けることで、接続部Pが基板収納ケース80に隠れることがなくなり、メンテナンス時において機械室カバー90を取り外した後に目視容易となるから、接続部Pからの冷媒漏れの確認検査が容易になる。接続部Pを複数有する場合、好ましくは全部が基板収納ケース80と重ならない位置であるが、少なくとも一部が重ならない位置であれば一定の効果を奏する。
図6は、機械室の内部構造を示す斜視図である。なお、図6では、圧縮機24、ファン19、基板収納ケース80のみを示している。
図6に示すように、圧縮機24には、ブラケット24c,24cが固定されている。このブラケット24cには、ゴム製の弾性部材24bがそれぞれ2ヶ所に取り付けられている。この弾性部材24bによって、圧縮機24が機械室底板70上において弾性支持されている。
ファン19は、羽根車19aと、この羽根車19aを回転自在に支持するケーシング19bと、を備えて構成されている。また、ファン19は、ケーシング19bと機械室39との隙間を塞ぐ閉塞部材19cを有している。この閉塞部材19cによって、ケーシング19bの外側を風が通過し難くなっている。
基板収納ケース80は、パワー系基板91(図7参照)等を収容するケース本体81と、このケース本体81の背面に設けられる蓋体82と、を有して構成されている。
ケース本体81は、背面側が略矩形状の開口を有するように構成されている(図10参照)。
蓋体82は、機械室カバー90(図3参照)の板部90a(図3参照)に沿った形状の板面部82aと、傾斜板部90b(図3参照)に沿った形状の傾斜面部82bと、を有している。また、蓋体82は、右端にケース本体81に向けて直交する方向に曲げ形成された曲げ板部82cを有している。この曲げ板部82cには、四角状に貫通して形成された係止孔82dが曲げ板部82cに沿って複数形成されている。
図7は、基板収納ケースの内部を示す平面図である。なお、図7は、基板収納ケース80から蓋体82を取り外した状態である。
図7に示すように、パワー系基板91は、四角形状のプリント配線基板に電気電子部品およびコネクタが実装されたものであり、主に、圧縮機24(図2参照)、除霜ヒータ21(図2参照)などの高電圧で動作する部品を制御する基板である。
ケース本体81は、パワー系基板91が収納される基板収納部83と、パワー系基板91に接続されたコード92が収納されるコード収納部84と、を有している。基板収納部83とコード収納部84とは、切欠部85を介して連通している。また、コード収納部84には、コード92を後方(紙面垂直方向奥側)に通す切欠部84aが形成されている。また、切欠部84aよりも下方に形成された凹状のアース線案内部84uを介して、ケース本体81からアース線が引き出される。
図8は、図7の状態からパワー系基板を取り除いた状態を示す平面図である。なお、図8では、コード92aおよび電源コード92bの図示を省略している(図9ないし図13も同様)。
図8に示すように、ケース本体81は、高周波のノイズを低減するためのリアクタ93を収納するリアクタ収納部86を有している。このリアクタ収納部86には、リアクタ93を固定する固定部材86aが設けられている。
また、ケース本体81は、底板83aの上下左右から立ち上がる側板83b,83c,83d,83eを有し、パワー系基板91(図7参照)を取り囲むように構成されている。側板83dの外面には、蓋体82(図6参照)を係止する爪83d1が複数形成されている。
コード収納部84は、基板収納部83に隣接して形成され、上下方向に長く形成されている。また、コード収納部84には、コード92aを収納した後に閉じることができるコード抑え蓋84dが開閉可能に設けられている。このコード抑え蓋84dには、コード92aがケース本体81から飛び出さないようにするためのガイド84cが形成されている。また、コード抑え蓋84dの外面には、蓋体82(図6参照)を係止するための爪84d1が複数形成されている。
また、ケース本体81の側板83cの下面には、機械室底板70(図6参照)に形成された孔(不図示)に挿入される位置決め部87aが下方に向けて突出して形成されている。また、ケース本体81の側板83bの上面には、ケース本体81を機械室39にねじ固定するための固定部87bが上方に向けて突出して形成されている。
また、ケース本体81の側板83bの上面には、コード92aの内の電源コード92b(図6参照)を保持する電源コード保持部88a,88aが形成されている。この電源コード保持部88aは、側板83bと一体に形成され、電源コード92b(図6参照)を側板83bの外面に接するようにガイドするものである。また、側板83bには、電源コード92b(図6参照)が電源コード保持部88aから外れるのを防止する電源コード保持部88b,88bが形成されている。
また、ケース本体81の側板83bの上面には、電源コード92bをケース本体81から離れる方向に案内する電源コード案内部89が形成されている。この電源コード案内部89は、側板83bから上方に延出する延出部89aと、電源コード92bを保持する保持部89bと、を備えて構成されている。また、保持部89bと背板10sとの間には弾性を有するシール材(図示せず)が設けられている。これにより、水滴が電源コード92bを伝って基板収納部83の内部に浸入することを抑制するとともに、塵埃の侵入を抑制することができる。
また、背板10sの左右両端には、冷蔵庫1の手前側に向かって傾斜(若しくは凹状)する傾斜状部10s1,10s2が形成されている(図3,4参照)。電源コード案内部89の少なくとも一部は、傾斜状部10s1に重なって位置しており、仮に冷蔵庫1の背板10sが壁に接するような状態で据え付けられたとしても、壁との間に隙間が形成されるので、電源コード92bが損傷すること抑制することができる。
図27は、機械室カバー90を取り付けた状態の冷蔵庫1の背面及び右側面の斜視図である。電源コード案内部89の保持部89bの少なくとも一部は、図27に示すように、機械室カバー90の角部近傍に設けられた切欠部90aよりも外側で、機械室カバー90の正面視(冷蔵庫の背面視)で重ならないように位置している。これにより、電源コード92b(破線)が金属製の機械室カバー90の端面に接触し難くでき、電源コード92bの損傷を抑制することができる。また、電源コード案内部89には、切欠部90aを覆うようにフランジ部89cが形成されており、ユーザやサービスマンが切欠部90aに触れ難くしている。
図9は、図7のIX-IX線断面図である。
図9に示すように、リアクタ収納部86は、基板収納部83に対して前方に突出するように形成されている。リアクタ93は、パワー系基板91を基板収納部83に収納したときに、リアクタ93の全体が隠れるように構成されている。
切欠部85は、基板収納部83の側板83eに、U字状に切り欠かれ、凹面が後方を向くように形成されている。また、切欠部85は、側板83eの上部、換言すると、リアクタ収納部86と同じ高さ位置に形成されている。
図10は、蓋体を取り外した基板収納ケースを示す斜視図である。なお、図10では、コード92aおよび電源コード92bの図示を省略している。
図10に示すように、コード抑え蓋84dは、四角板状に形成され、ケース本体81に開閉可能(回動可能)に構成されている。なお、図10は、コード抑え蓋84dを開いた状態である。このようにコード抑え蓋84dを設けることで、コード92aをコード収納部84に収納し易くなり、また、収納したコード92aおよび電源コード92bの飛び出しを防止できる。
また、コード抑え蓋84dには、該コード抑え蓋84dを閉じたときに、ケース本体81側にコード抑え蓋84dを係止させるガイド84cが形成されている。このガイド84cは、コード抑え蓋84dを閉じたときに、側板83eに形成された係止孔83e1に係止されるようになっている。
また、コード収納部84は、切欠部84aの前方に、コード92aおよび電源コード92bを上方に折り返して収納する収納部84t(図7参照)が形成されている。仮に、電源コード92bを伝って水滴がコード収納部84の内部に浸入した場合でも、電源コード92bを上方に折り返した(コードトラップ構造)ことにより、基板収納ケース83の内部に水滴が浸入することは抑制できる。また、コード収納部84の内部に浸入した水滴を外部に排出するために、収納部84tよりも下方に排水孔84uが設けられている。
図11は、図10の状態からコード抑え蓋を閉じた状態を示す斜視図である。
図11に示すように、ケース本体81は、コード収納部84の上部に、コード92aおよび電源コード92bが引き出される開口84sが形成されている。この開口84sは、ファン19(図6参照)の上流近傍に位置、換言すると空気の吸込側に位置している。また、本実施形態では、コード収納部84や開口84s等が、ケース本体81における送風機19側の位置に形成されているが、左右反転した位置(図14に示す吸気口10a2側)に形成してもよい。
コード抑え蓋84dの外面には、蓋体82を係止する爪84d1が形成されている。この爪84d1は、蓋体82(図6参照)の曲げ部82c(図6参照)に形成された係止孔82d(図6参照)が挿入されることで、蓋体82がケース本体81に係止されるように構成されている。
また、機械室底板70には、ケース本体81のファン19(図6参照)側と対向する位置に、複数のスリット状の孔95aで構成された通気板材95が固定されている。吸気口10a2から吸気された空気は、通気板材95の孔95a、ファン19を通って、圧縮機24に吹き付けられるようになっている。
図12は、図6のXII方向矢視図である。
図12に示すように、蓋体82の他端(左端)は、ケース本体81側に曲げ形成される曲げ部82eが形成されている。この曲げ部82eには、ケース本体81に形成された爪83d1が係止される係止孔82fが形成されている。
また、蓋体82には、ファン19側にリブ82p、82qが突出して形成されている。これらリブ82p,82qは、上下方向に延びて形成されている。また、蓋体82には、ファン19とは反対側にリブ82rが形成されている。このリブ82rも、上下方向に延びて形成されている。
図13は、図12のXIII方向矢視図である。
図13に示すように、基板収納ケース80とコンデンサ61は、冷蔵庫1の側面視において互いに重ならない位置に配置されている。すなわち、基板収納ケース80のリアクタ収納部86より下側にコンデンサ61が位置している。
また、リアクタ収納部86と、下流側に位置するファン19とは、側面視において互いに重なる位置に配置されている。これにより、ファン19の風をリアクタ収納部86に当てることができ、発熱部品であるリアクタ93を間接的に冷却することができる。
図14は、図3のXIV-XIV線で切断したときの概略断面図である。
図14に示すように、機械室39の背面に機械室カバー90を取り付けると、基板収納ケース80の蓋体82に形成されたリブ82p,82qが、機械室カバー90の内壁面90a1に当接または近接する。また、蓋体82に形成されたリブ82rが、機械室カバー90の傾斜板部90bの内壁面90b1に当接または近接する。これにより、機械室カバー90と基板収納ケース80との間に隙間Sが形成される。
ところで、基板収納ケース80が傾斜面部82bを備えていない基板収納ケース200である場合、図14において二点鎖線で示す形状となり、基板収納ケース200が機械室カバー90の点P1の位置から内側に配置することになる。このため、基板収納ケース80が圧縮機24に近づいた状態で配置される。これになり、基板収納ケース80内のパワー系基板91が圧縮機24から発生する熱の影響を受け易くなり、またパワー系基板91の冷却性が損なわれる。そこで、本実施形態では、基板収納ケース80の形状を、機械室カバー90の傾斜板部90bに沿う形状である傾斜面部82bにしたので、基板収納ケース80を圧縮機24から遠ざけることができ、パワー系基板91が圧縮機24の熱によって影響を受けにくくなる。また、基板収納ケース80と機械室カバー90との間の隙間Sを小さくすることができるため、基板収納ケース80の後方投影面上に位置するコンデンサ61の前後方向の寸法を大きくでき、コンデンサ61の放熱性能を向上することができる。
図15は、パワー系基板収納ケースの変形例を示す斜視図である。なお、前記した基板収納ケース80と同様の構成については同一の符号を付して重複した説明を省略する。
図15に示すように、基板収納ケース(パワー系基板収納ケース)80Aは、ケース本体81と蓋体82とが一体に形成されたものである。ケース本体81の側板83dの先端縁部と、蓋体82の一辺82eとを、折り曲げ自在に構成することで、ケース本体81に対して蓋体82を開閉できるようになっている。
このように、ケース本体81と蓋体82とを一体に成型することで、蓋体82を閉じたときのシール不良のリスクを低減することが可能になる。また、前記のようにケース本体81と蓋体82とを一体にすることで、一辺のみシール代を不要にできるので、基板収納ケース80Aを小型化することができる。
図16は、冷蔵室を示す正面図である。なお、図16は、冷蔵室ドア2a(図1参照)を取り外した状態を示している。
図16に示すように、冷蔵室2は、最下段にチルド室2bと製氷用の給水タンク2eが左右方向に並設されている。なお、図示していないが、冷蔵室2には、給水タンク2eの後方に、製氷室3(図1参照)に給水するためのポンプが設けられている。また、冷蔵室2は、チルド室2bと給水タンク2eの上部に、棚部材2cが設けられている。この棚部材2cは、内箱10b若しくは冷蔵室ダクト11にねじ固定されており、容易に取り外すことができないようになっている。
また、給水タンク2eの後方には給水ポンプ(図示せず)が配されている。この給水ポンプのコード(電線)及びコネクタ(結線部)は、コード収納部122内に収納されており、ねじ固定された棚部材2cを取り外さないとコード収納部122の内部にアクセスできないようになっている。従って、サービス作業時、ねじ固定された化粧板2fを取り外した後、制御基板収納ケース120の蓋124(図19参照)を取り外すことで制御基板110にアクセスが可能となる。更に、ねじ固定された棚部材2cを取り外すことでコード収納部122にアクセスが可能となる。具体的には、例えば、コード収納部122の蓋自体が棚部材2cであったり、蓋を棚部材2cが覆っている構造にすることができる。
また、冷蔵室2は、棚部材2c、2dの奥側に、所定の幅で上下方向に延びる冷蔵室ダクト11が設けられている。この冷蔵室ダクト11の上面および左右側面には、冷気の冷蔵室吐出口11a(図1参照)が形成されている。
図17は、冷蔵室を正面から見た透視図である。なお、図17は、図16に示す冷蔵室ダクト11、棚部材2c,2d、チルド室2bのトレイ、給水タンク2eを含む製氷ユニット、化粧板2f(図16参照)を取り除いた状態を示している。また、図17では、制御基板110に接続されるコード(電線)の図示を省略している(図24および図25も同様)。
図17に示すように、冷蔵室2には、制御基板110(マスター基板、低電力系基板)を収納する制御基板収納ケース120が設けられている。換言すると、制御基板収納ケース120は、冷蔵室ダクト11と前後方向において重ならない位置に設けられている。
制御基板110は、庫内灯(不図示)、温度センサ40a,40b,41,42,43、ダンパ(不図示)、ファン9a,9b,19など低電力で動作する部品に電力を供給する基板である。また、制御基板110は、各センサ(不図示)、操作パネル(不図示)からの信号を受けて、各種の制御を行う庫内制御マイコン110aを備えている。このように、制御基板110は、各種センサからの信号を受けて、冷蔵庫1(箱体10の設けられている部材)を統括的に制御するものである。
図18は、冷蔵庫の構成を示すブロック図である。
図18に示すように、パワー系基板91は、高電圧系の圧縮機24および除霜ヒータ21などを動作させるものであり、圧縮機24に搭載される圧縮機モータ24M、ヒータ素子21Sと、電線(コード)を介して接続されている。圧縮機モータ24Mは、ノイズフィルタ回路91a、コンバータ回路(AC→DC)91b、インバータ回路91cを介して商用電源と接続されている。また、ノイズフィルタ回路91aとコンバータ回路91bとの間には、リアクタ93が接続されている。インバータ回路91cおよびコンバータ回路91bは、圧縮機制御マイコン91dによって、制御基板110の庫内制御マイコン110aからの指示を受けて制御される。
また、除霜ヒータ21は、ノイズフィルタ回路91a、ヒータ回路91eを介して商用電源と接続されている。ヒータ回路91eは、ヒータマイコン91fによって制御基板110の庫内制御マイコン110aからの指示を受けて制御される。
また、コンバータ回路91bは、高圧の直流を低圧の直流に変換するスイッチング電源回路91gと接続されている。高圧の直流電力は、インバータ回路91cに供給される。低圧の直流電力は、圧縮機制御マイコン91dに供給される。
また、低圧の直流電力は、コード92aを介して制御基板110のDC/DC変換回路110bと接続される。DC/DC変換回路110bでは、さらに低圧(例えば12V→5V)の直流に変換する。
庫内制御マイコン110aは、モータドライバ110cを介してモータ110Mと接続されている。モータ110Mは、各種ファン9a,9b,19、ダンパ(不図示)、弁(不図示)などのモータである。これらのモータ110Mには、例えば、12Vの電力が供給される。
また、庫内制御マイコン110aは、操作パネル110Pと接続されている。この操作パネル110Pは、例えば、冷蔵室2内に設置され、庫内の温度や強弱を調整するものである。また、庫内制御マイコン110aは、EEPROM110dを介してサービス用端子110Tと接続されている。EEPROM110dには、過去のログ(運転状況)が記録される。サービスマンは、故障時やメンテナンス時にサービス用端子110Tと接続することで、EEPROM110dに記録された過去の運転状況を確認できるようになっている。
また、庫内制御マイコン110aは、各温度センサによって構成されるセンサ類40と接続されている。また、庫内制御マイコン110aは、センサ類40から取得した温度情報に基づいて、圧縮機モータ24M、除霜ヒータ21を適宜制御する。また、庫内制御マイコン110aは、各ドアスイッチと接続されている。また、庫内制御マイコン110aは、ドアスイッチの開閉信号に基づいて、圧縮機モータ24M、図示しないブザーを適宜制御する。
このように、制御基板110は、センサ類40などの情報を取得して、パワー系基板91に接続された圧縮機24や除霜ヒータ21、また操作パネル110Pからの操作情報やドアSWからの情報を取得して、庫内の高電圧系および定電圧系の各機器を制御するものである。一方、パワー系基板91は、圧縮機制御マイコン91dやヒータマイコン91fを備えるものではあるが、冷蔵庫1の運転全体を制御するものではない。
図19は、制御基板収納ケースを示す斜視図、図20は、制御基板収納ケースのコード収納部の蓋を開いた状態を示す斜視図、図21は、図20を背面側から見たときの斜視図である。なお、図20ないし図21では、制御基板110の図示を省略している。
図19に示すように、制御基板収納ケース120は、前面が解放した基板収納部121を有している。また、制御基板収納ケース120は、基板収納部121の下側に制御基板110と接続されるコードが収納されるコード収納部122を有している。
基板収納部121の上部には、制御基板収納ケース120を内箱10b(図17参照)にねじ固定するための固定部121aが形成されている。また、基板収納部121には、蓋124を係止する係止爪121bが左右両側の複数個所に形成されている。また、仮に蓋124の表面に水滴が垂れてきた場合、蓋124の下部に形成された傾斜部124aにより、水滴は基板収納部121の外側に案内することができ、コード収納部122に浸入することを抑制することができる。また、蓋124の裏面には、コード収納部120と対向して接する箇所に弾性を有するシール部材(図示せず)が設けられている。これにより、密閉性を向上してコード収納部120内への水滴の浸入を抑制することができる。
図20に示すように、コード収納部122は、開閉可能な蓋122aを備えている。この蓋122aは、下端縁部を軸として折れ曲がることで回動するようになっている。
また、コード収納部122は、蓋122aを係止する爪122bが形成されている。蓋122aには、爪122bによって係止される係止孔122cが形成されている。
また、コード収納部122には、コードをコード収納部122内に抑えておくためのガイド部材122dが設けられている。
また、制御基板収納ケース120は、基板収納部121とコード収納部122とを連通させる連通部123が形成されている。この連通部123は、左右方向の中央に位置し、凹部が前方を向くように構成されている。
図21に示すように、基板収納部121の背面には、1本または複数本(本実施形態では4本)のリブ121cが形成されている。このリブ121cは、左端から右端まで延びて形成され、かつ、左側から右側に向けて下るように傾斜している。また、各リブ121cは、上下方向に等間隔に配置されている。
また、基板収納部121の背面には、リブ121cの右端に、上下方向に延びるリブ121dが形成されている。このリブ121dは、最下端に位置するリブ121cの下端からコード収納部122の下端まで延びて形成されている。
また、コード収納部122の背面には、前方と連通する開口122eが形成されている。この開口122eから、パワー系基板91(図7参照)から延びるコード92aがコード収納部122内に取り込まれるようになっている。
図22は、コード引込部材を前側から見たときの斜視図、図23は、コード引込部材を後側から見たときの斜視図である。
図22に示すように、コード引込部材125は、制御基板収納ケース120を内箱10bに保持させるとともにコード92aを制御基板収納ケース120内に引き込む部材である。また、コード引込部材125は、四角板状のベース板125aと、このベース板125aから前方に突出して、コード収納部122の開口122eに嵌合する四角筒状の嵌合部125bと、を有して構成されている。
また、嵌合部125bの上部には、連通部123(図20参照)が挿入される切欠部125cが凹状に切り欠かれて形成されている。また、嵌合部125bの下部には、コード収納部122に形成された爪(不図示)に係止される係止孔125dが形成されている。
図23に示すように、ベース板125aには、複数のコード引込孔125e,125fが形成されている。これらコード引込孔125e,125fは、左右方向に延びる長孔によって形成され、互いに上下に離間して形成されている。また、コード引込孔125e,125fは、ベース板125aから前方に突出して筒状に形成されている。
図24は、冷蔵室を背面から見たときの透視図である。なお、図24では、冷蔵室側蒸発器14aの図示を省略している。
図24に示すように、箱体10のウレタン内には、蒸発器14a,14bを通過して圧縮機24に吸込まれる前の低温冷媒が流れる冷媒管130が埋設されている。この冷媒管130は、冷蔵室2(図17参照)の下部の高さ位置において、冷媒が合流する合流部130aを有している。この合流部130aでは、冷蔵室側蒸発器14a(図2参照)から圧縮機24(図2参照)に戻る冷媒と、冷凍室側蒸発器14b(図2参照)から圧縮機24(図2参照)に戻る冷媒とが合流する。合流部130aには、圧縮機24に戻る冷媒管130bが接続されている。この冷媒管130bは、冷蔵室2の背面側のウレタン内において幅方向の中央を上方に向けて延び、上部において下向きに折り返し、制御基板収納ケース120の外側を通って、機械室39の圧縮機24まで延びている。
制御基板収納ケース120は、ウレタン充填側から取り付けられたコード引込部材125によって、内箱10b内に保持されている。また、基板収納部121の背面に形成されたリブ121c(図21参照)の先端には、水を透過しない材料で形成されたシール材140が取り付けられている。このシール材140は、4つのリブ121cの先端すべてが当接するように所定の幅を持って形成されている。
冷蔵室2内のコードは、冷蔵室2内(庫内側)を通って、制御基板収納ケース120に引き込まれ、制御基板110(図17参照)と接続される。機械室39のコード29aは、一旦、外箱10aと内箱10bとの間のウレタン内を通り、コード引込孔125e,125fを通して、制御基板収納ケース120内の制御基板110と接続される。また、野菜室6および冷凍室7のコードは、適宜束ねられて、ウレタン内を通り、コード引込孔125e,125fを通して、制御基板収納ケース120内の制御基板110と接続される。
図25は、図17のXXIV-XXIV線断面図である。
図25に示すように、制御基板収納ケース120は、下部の開口122eに、コード引込部材125の嵌合部125bが嵌合することで、内箱10bに保持される。このとき、コード引込部材125は、内箱10bに形成された嵌合孔10dに、嵌合部125bがウレタン側(冷蔵室2とは反対側)から挿入されることで、ベース板125aの周縁部が内箱10bの嵌合孔10dの周縁部に突き当たる。これにより、コード引込部材125の嵌合部125bが庫内に所定量突出した状態になる。また、嵌合部125bをコード収納部122に挿入すると、連通部123が、嵌合部125bに形成された切欠部125c内に位置する。
また、制御基板収納ケース120は、上端の固定部121aにねじ127が挿通され、内箱10bに設けられたボス126にねじ込まれることで、内箱10bに固定される。なお、ボス126は、コード引込部材125と同様に、ベース板126aと一体に形成されている。ボス126は、内箱10bを貫通して、ベース板126aが内箱10bの内壁面に当接することで内箱10bに取り付けられるようになっている。
これにより、内箱10bに制御基板収納ケース120が位置決め固定される。この場合、基板収納部121と内箱10bとの間に空間S1が形成され、この空間S1が断熱層(空気層)として構成される。空間S1の厚みが7mm以下、好ましくは5mm以下であると対流が生じにくく、好適な断熱層として機能する。これにより、真空断熱材を配しにくい、厚さが小さい領域に制御基板収納ケース120を設けても断熱性を確保できる。図24に例示したように、制御基板収納ケース120近傍には低温となる冷媒管130が這わされているから、例えば内箱10b等を解した固体伝熱で制御基板収納ケース120が冷やされてしまう虞がある。本実施形態では内箱10bから空気断熱層である空間S1を挟んで基板収納部121が配されているため、制御基板110等の冷却と、これによる露付きを抑制できる。
また、内箱10bに制御基板収納ケース120が固定されることで、リブ121cの先端と内箱10bとの間にシール材140が挟み込まれた状態になる。
ところで、冷媒管130(図24参照)には、冷蔵室側蒸発器14a(図2参照)や冷凍室側蒸発器14b(図2参照)を通過した冷えた冷媒が流れている。冷媒管130も冷えているので、冷えた熱が内箱10bを通して庫内に伝わると、庫内で結露水が発生する。このような結露水が内箱10bを伝って、制御基板収納ケース120内に到達しないようにする必要がある。そこで、基板収納部121にリブ121cを形成して、基板収納部121を内箱10bから浮かせた状態にすることで、基板収納部121内に結露水が浸入するのを抑制できる。
また、基板収納部121にリブ121cを形成し、シール材140を介して内箱10bに当接させることで、制御基板収納ケース120の上方から結露水が内箱10bを伝って落下したとしても、結露水がリブ121cに当たり、そしてリブ121cの傾斜面に沿って流れ、制御基板収納ケース120から外れた位置(冷蔵室側蒸発器14a)で落下させることができる。
また、基板収納部121と内箱10bとの間に空間(隙間)S1を形成することで、空間S1を空気断熱層とすることができるので、基板収納部121内が結露するのを抑制することができる。
図26は、図17のXXVI-XXVI線で切断したときの概略断面図である。
図26に示すように、内箱10bの角部は、斜めにカットされた傾斜面10b1を有し、角部のウレタンの充填量を増やしている。これにより、ウレタンの層が薄くなった場合でも、箱体10の強度が低下するのを抑えることができる。しかし、このような傾斜面10b1が形成されると、制御基板収納ケース120を二点鎖線で示すような位置にしか配置することができない。そこで、本実施形態では、制御基板収納ケース120が配置される領域の傾斜面10b1を、平面視において略三角形状の切欠凹部10b2を形成することで、制御基板収納ケース120を実線で示す位置に配置することができる。このように、制御基板収納ケース120の位置を外側に移動できることで、冷蔵室ダクト11の幅Wを広げることができ、冷蔵室2の広い領域に冷気を送ることが可能になる。
以上説明したように、本実施形態の冷蔵庫1は、冷蔵室2、野菜室6、冷凍室7を有する箱体10と、箱体の背面に形成される機械室39と、機械室39に配置される圧縮機24およびファン19と、箱体10を制御する基板と、を備える。この基板は、機械室39に配置されて圧縮機24に電力を供給するパワー系基板91と、冷蔵室2に配置されて箱体10を制御する制御基板110と、を備える。パワー系基板91は、ファン19の上流側に配置され、圧縮機24は、ファン19の下流側に配置される。これによれば、パワー系基板91と制御基板110とに分けて配置することで、パワー系基板91を機械室39に配置したとしても、圧縮機24を冷却する風路を確保することができる。その結果、機械室39を拡大することなく、圧縮機24を効率的に冷却することが可能になる。
また、本実施形態は、機械室39の外部は、当該機械室39の上方に配置される冷蔵室2(貯蔵室)である。これによれば、制御基板110を冷凍室7に配置する場合よりも、凍結の発生を防止でき、また結露の発生を抑制できる。
また、また、本実施形態では、機械室39にパワー系基板91、冷蔵室2に制御基板110を配置する。これにより、従来のように箱体10(冷蔵庫本体)の天井面に単一の基板(パワー系基板+制御基板)を配置していた場合よりも、必要なコード(電線)の長さの総延長を短くすることができる。
また、本実施形態は、箱体10は、機械室39の一方の側面に吸込口10a2、機械室39の他方の側面に排出口10a4を備える。これによれば、風路が直線的に形成されるので、風路が曲がって形成される場合よりも、圧縮機24を効率的に冷却することができる。
また、本実施形態は、パワー系基板91を収納するパワー系基板収納ケース80を備え、パワー系基板収納ケース80は、パワー系基板91と接続されるコード92および電源コード92bが引き出される開口84sを備える。パワー系基板収納ケース80は、ファン19が配置されている側に開口84sが位置している。これによれば、開口84sがファン19の吸い込み側に位置するので塵埃が開口84sに入り難くなる。
また、本実施形態は、機械室39の背面を覆うとともに端部に当該機械室39側に向けて傾斜する傾斜板部90bを有する機械室カバー90を備える。基板収納ケース80は、背面側に開口81aを有するケース本体81と、ケース本体81を開閉する蓋体82と、を備える。蓋体82は、傾斜板部90bに沿ってされる傾斜面部82bを有する。これによれば、基板収納ケース80を、機械室39の端部に寄せて配置することができ、パワー系基板91を圧縮機24から離して配置することができる。その結果、基板収納ケース80内のパワー系基板91の冷却性を高めることができる。
また、本実施形態は、電源コード92bは、基板収納ケース80に固定されている。ところで、従来のように電源コードを冷蔵庫本体(箱体10)の板金に固定した場合、基板と固定部との位置ずれによって、固定部から基板までの電源コードの長さにばらつきが生じるおそれがある。これに対して、電源コード92bを基板収納ケース80に固定することで、固定部(電源コード保持部88a、電源コード保持部88b)から制御基板110までの電源コード92bの長さを一定に保つことができる。また、本実施形態では、基板収納ケース80を取り外すだけで、電源コード92bも取り外すことができ、作業性を向上できる。
また、本実施形態は、制御基板110を収容する制御基板収納ケース120を備え、制御基板収納ケース120は、図17等に例示するように、冷蔵室2に固定された棚部材2cの後側に配置されるとともに制御基板110が棚部材2cより上側に位置している。これによれば、棚部材2cを固定するねじ等を取り外さずに、ねじ等により固定された化粧板2fを取り外すことで、制御基板収納ケース120の蓋124を取り外すことができて制御基板110にアクセス可能なため、制御基板110へのアクセス性を向上できる。そして、制御基板収納ケース120の下部に設けられたコード収納部122は固定式の棚部材2cを取り外すことでアクセスが可能となるため、メンテナンス者以外のアクセスを抑制できる。
また、本実施形態は、制御基板収納ケース120は、箱体10の内箱10bから離間して配置されている。これによれば、内箱10bの表面を伝って流れてきた結露水が制御基板収納ケース120に浸入するのを抑制できる。
また、本実施形態は、制御基板収納ケース120は、内箱10bに対向する面に、幅方向に延び且つ傾斜するリブ121cが形成されている。これによれば、リブ121cに接触した結露水を制御基板収納ケース120から外れた位置に逃がすことができる。
また、本実施形態は、リブ121cは、冷蔵室側蒸発器14aの側に向けて下るように傾斜している。これによれば、リブ121cから落下した結露水を、冷蔵室側蒸発器14aのトイを利用して排出することができる。
また、本実施形態は、リブ121cの先端は、シール材140を介して内箱10bに当接している。これによれば、リブ121cと内箱10bとの隙間から落ちることなく、結露水を制御基板収納ケース120から外れた位置に逃がすことができる。
また、本実施形態は、リブ121cは、複数を並べて配置することによって構成されている。制御基板収納ケース120が内箱10bに面で接することがないので、制御基板収納ケース120内が結露するのを抑えることができる。
また、本実施形態は、機械室39において圧縮機24から延びる圧縮機側配管24aとコンデンサ61から延びるコンデンサ側配管61aとを接続する接続部Pを備える。接続部Pは、後方からの投影面上においてパワー系基板収納ケース80と重ならない位置に設けられている。これによれば、接続部Pへのアクセス性が向上し、接続部Pにおける確認が容易になる。
以上、本実施形態について図面を参照しながら説明したが、本実施形態は前記の内容に何ら限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。前記した実施形態では、制御基板110を冷蔵室2に設けた場合を例に挙げて説明したが、機械室39の外部として、冷凍室7に配置する構成であってもよい。
また、前記した実施形態では、冷蔵室側蒸発器14aを備えた冷蔵庫1を例に挙げて説明したが、冷蔵室側蒸発器14aを備えず、単一の蒸発器を冷凍室7の背面側に設けた冷蔵庫であってもよい。
本実施形態では、パワー系基板91を機械室39に配し、制御基板110を冷蔵室2に配している。パワー系基板91は、高電圧系の圧縮機24等と配線(パワー配線)によって電気的に接続するため、圧縮機24等の近傍となる機械室に配されている。また、制御基板110は、低電圧系のセンサ類40や庫内灯等と配線(制御配線)によって電気的に接続する。ところで、本実施形態のように基板を2つ利用することで制御基板110の位置を比較的自由にできたため、機械室39に制御基板を配するよりも制御配線の配線長の総和LCを短くした。具体的には、制御基板110を配した冷蔵室2に多くのセンサ類40や庫内灯を配し、機械室39に近い貯蔵室である野菜室6や下段冷凍室5のセンサ類40や庫内灯の個数を抑え、また、野菜室6や下段冷凍室5にセンサ類40や庫内灯を配する場合は、比較的上側に設けるようにした。これにより、制御配線が本実施形態の制御基板110ではなくパワー系基板に接続したと仮定したとき、すなわち、基板が唯一つである場合の制御配線の配線長の和をLC2としたとき、不等式LC<LC2を満たすようにした。このLC,LC2は、各センサ類や庫内灯と各基板とを直線で結んだときの長さとして簡易的には解釈することができるし、また、各センサ類や庫内灯から各基板に向かって、内箱と外箱との間を通る経路のうち、略最短の長さとして解釈することもできる。
本願は、次の技術的思想を包含する。
(付記1)
複数の貯蔵室を有する冷蔵庫本体と、
前記冷蔵庫本体の背面側に設けられる機械室と、
前記機械室の内部に配置される圧縮機および送風機と、
前記機械室に配置されて前記圧縮機に電力を供給するパワー系基板と、
前記パワー系基板を収納するパワー系基板収納ケースと、を備え、
前記パワー系基板は、前記送風機の上流側に配置され、
前記パワー系基板収納ケースは、前記パワー系基板と接続される電線が引き出される電線用開口を備え、
前記パワー系基板収納ケースは、前記送風機が配置されている側に前記電線用開口が位置していることを特徴とする冷蔵庫。
付記1によれば、電線用開口は、パワー系基板収納ケースの下流側かつ送風機の上流側に位置することになる。送風機によって強制循環する空気は雰囲気中のものであるから塵埃や水滴等を含み得るところ、この流れはパワー系基板収納ケースの上流側から下流側に向けて流れる。すると、電線用開口は空気流を取り込みにくい位置になるため、パワー系基板収納ケースに塵埃等が吸い込まれることを抑制できる。
(付記2)
貯蔵室と、
冷蔵庫本体の背面側に設けられる機械室と、
前記圧縮機に電力を供給するパワー系基板と、を備え、
前記貯蔵室は、
前記パワー系基板から絶縁された制御基板と、
前記制御基板を収容する制御基板収納ケースと、
固定式棚と、
コードを収納するコード収納部と、を備え、
前記固定式棚を取り外して前記コード収納部内の前記コードにアクセス可能となり、
前記固定式棚を取り外さずに前記制御基板収納ケース内の前記制御基板にアクセス可能であることを特徴とする冷蔵庫。
付記2によれば、サービス作業時に制御基板へのアクセスが容易になるとともに、ユーザが誤って制御基板及びコード収納部にアクセスしてしまうことを抑制できる。
(付記3)
貯蔵室を有する冷蔵庫本体と、
前記冷蔵庫本体の背面側に設けられる機械室と、
前記貯蔵室に配置された制御基板と、
前記制御基板を収容する基板収納部を有する制御基板収納ケースと、を備え、
前記制御基板収納ケースは、前記冷蔵庫本体の内箱から空気断熱層を挟んで離間して配置されていることを特徴とする冷蔵庫。
付記3によれば、近年厚みが減少して真空断熱材等の設置厚みを確保しにくい冷蔵庫本体であっても、空気断熱層によって断熱性を確保できる。
(付記4)
貯蔵室を有する冷蔵庫本体と、
前記冷蔵庫本体の背面側に設けられる機械室と、
前記機械室の内部に配置される圧縮機及びコンデンサと、
前記圧縮機に電力を供給するパワー系基板と、
前記機械室において前記圧縮機から延びる圧縮機側配管及び前記コンデンサから延びるコンデンサ側配管を接続する少なくとも1つの配管接続部と、を備え、
当該冷蔵庫の背面視で、
前記コンデンサは、前記パワー系基板の背後に在り、
前記配管接続部の少なくとも1つ又は全部は、前記パワー系基板収納ケースと重ならない位置に設けられていることを特徴とする冷蔵庫。
付記4によれば、ろう付けや溶接による配管接続部から漏れが生じていないかの確認を行いやすくできる。
(付記5)
貯蔵室を有する冷蔵庫本体と、
前記冷蔵庫本体の背面側に設けられる機械室と、
前記機械室に配置されて前記圧縮機に電力を供給するパワー系基板と、
前記貯蔵室に配置された制御基板と、
前記パワー系基板に電気的に接続する1つ以上の部品又は部材と、該パワー系基板と該部品又は該部材それぞれとを接続するパワー配線と、
前記制御基板に電気的に接続する1つ以上の部品又は部材と、該制御基板と該部品又は該部材それぞれとを接続する制御配線と、を有し、
前記制御配線それぞれの配線長の和をLCとし、
前記制御配線のそれぞれを、前記制御基板ではなく前記パワー系基板に接続したと仮定したときの前記制御配線それぞれの配線長の和をLC2としたとき、
不等式LC<LC2を満たすことを特徴とする冷蔵庫。
付記5によれば、基板と各部品又は部材とを接続する配線長の総和を短くできる。