本発明の請求項1に記載の発明は、密閉容器内に、固定子と回転子とからなる電動要素と、前記電動要素によって駆動される圧縮要素とを収納し、前記密閉容器には圧縮機の脚が固着されるとともに前記圧縮機の脚は圧縮機の設置面に対して弾性部材を介して弾性支持され、前記圧縮要素と前記電動要素とからなる機械部は、密閉容器に対して支持部材を介して弾性的に支持されているのものであって、前記圧縮要素は圧縮室と前記圧縮室内で往復動するピストンと主軸部と偏芯部とを有したシャフトとを備えた往復動型であり、前記主軸部に固着された前記回転子と、前記主軸部を軸支する軸受部を有し、前記回転子の前記圧縮要素側には回転子凹部を有するとともに、前記軸受部を前記回転子凹部内に延在し、前記電動要素を複数の回転数で運転されるインバータの電動機とし、前記電動要素の前記回転子には永久磁石を用いることで、前記機械部の高さを低減し、かつ密閉容器の下容器に前記密閉容器の外周よりも曲率の小さい凹または凸で形成されたコブ部を備えたものである。
これによって、圧縮機を収納する機械室の高さを低減することができ、庫内の収納スペースが広くなり収納性も大幅に向上することが出来る。
また、これによって、圧縮機を小型化したことに伴って、平面部に近いような平らな曲面があると、その部分は剛性が弱くなり、騒音や振動による影響を受けやすくなる場合であっても、コブ部によって、コブ部周辺の剛性を向上させることができ、振動や騒音を低減した圧縮機を提供することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、コブ部は、密閉容器に備えられた圧縮機の脚と前記密閉容器との接続部分の近傍に備えられた脚コブ部を有するものである。
これによって、圧縮機と脚の接続部分近傍の剛性を向上させることが可能となる為、密閉容器から脚を介して伝播する振動、騒音を低減することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、コブ部は支持部材の下端面と密閉容器との接続部分の近傍に備えられた支持コブ部を有するものである。
これによって、支持部の下端部近傍の剛性を向上させることが可能となるので、圧縮機から密閉容器へ伝播する振動、騒音を低減することができる。
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、圧縮機の脚の密閉容器への固着面が脚コブ部に備えられたものである。
これによって、コブ部に直接圧縮機の脚の固着面を備えることによって、圧縮機と脚の接続部分の剛性を向上させることが可能となる為、脚コブ部によって圧縮機の振動伝達経路における振動低減を図ることが可能となり、冷蔵庫への振動伝達を低減できる。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、圧縮機の上下方向の重心と、圧縮機の脚と弾性部材との当接面との距離が、圧縮機の上下方向の重心と支持部材の下端面との距離よりも短くしたものである。
これによって、圧縮機の振動の振幅は、重心付近が最も小さく重心から離れるにつれて振動が大きくなるような重心まわりに圧縮機全体が振動することから、機械部を支持する支持部材の下面の振動よりも、より重心に近い脚と前記弾性部材との当接面の振動の振幅が小さくなるので、さらに、冷蔵庫への振動伝達を低減できることとなり、不快な振動や、振動に起因する騒音発生の無い高品位の圧縮機を提供することできる。
請求項6に記載の発明は、請求項4または5に記載の発明において、下容器に固着した脚と弾性部材との当接面は、前記支持部材の下端面よりも上方に位置するものである。
これによって、圧縮機の振動は振動発生源である機械部より下方に向かって支持部材を経て伝達した後、方向が上方へと変化し脚部を介して弾性部材へと伝達する。よって、振動の伝達経路が複雑になるので振動は伝達経路内でより減衰され、さらに支持部材から圧縮機の脚と弾性部材との当接面までの距離を長くとることができるので、特に周波数の高い領域の振動伝達が減衰され、脚と前記弾性部材との当接面の振動の振幅が小さくなるので、さらに、冷蔵庫への振動伝達を低減できることとなり、不快な振動や、振動に起因する騒音発生の無い高品位の冷蔵庫を提供することできる。
また、圧縮機の振動の振幅は、重心付近が最も小さく重心から離れるにつれて振動が大きくなるような重心まわりに圧縮機全体が振動することから、機械部を支持する支持部材の下面の振動よりも、より重心に近い脚と前記弾性部材との当接面の振動の振幅が小さくなるので、さらに、冷蔵庫への振動伝達を低減できることとなり、不快な振動や、振動に起因する騒音発生の無い高品位の圧縮機を提供することできる。
請求項7に記載の発明は、請求項4から6のいずれか一項に記載の発明において、弾性部材の高さを圧縮機の設置面と下容器の最下部との距離よりも大きくしたものである。
これによって、冷蔵庫の庫内への出張りとなり、意匠性、収納性を損なう、圧縮機を収納する凹部の高さを小さくした上で、圧縮機からの振動伝達を低減するために効果的な弾性部材の高さを高くすることが出来、振動をより減衰させることができるので、不快な振動や、振動に起因する騒音発生を低減することで高品位の冷蔵庫を提供することできる。
請求項8に記載の発明は、請求項1から7のいずれか一項に記載の発明において、電動要素は、固定子を構成する固定子鉄心の複数の突極部絶縁体を介して巻線を巻回した突極集中巻型である。
これによって、巻線が離れたスロット間に渡ることが無く、一つ一つの突極部に集中して密に巻かれるので巻線がスロット間を渡ることによる巻線の盛り上がりが無くなって、圧縮機の電動要素の高さをさらに低減することが出来、圧縮機全体の高さもさらに低くすることが出来、圧縮機を設置する凹部の高さを小さく出来るので、冷蔵庫の下段の収納性を向上するとともに、凹部の庫内の収納スペース側への出張り(凸部)を小さくして見栄えを良くし、庫内の収納スペースが広くなり収納性も大幅に向上することが出来る。
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の発明において、圧縮要素は圧縮室を備えたシリンダブロックを有し、前記シリンダブロックは電動要素への取り付け面を形成する脚部を備え、前記シリンダブロックの脚部は前記突極集中巻型の固定子鉄心に取り付けられることでブロック脚部の長さを短くしたものである。
これによって、突極集中巻を用いた電動機では、巻線が固定子鉄心からはみ出す高さであるコイルエンド高さを、インダクション電動機の巻線のコイルエンド高さのよりも大幅に低くすることができるので、圧縮要素のシリンダブロックの脚部の長さを大幅に低減することができ、圧縮機の重心をより下方へ下げることができる。
請求項10に記載の発明は、請求項1から9のいずれか一項に記載の発明において、回転子に収納された永久磁石は、希土類の永久磁石からなるものである。
これによって、希土類磁石は、一般的に用いられているフェライト磁石より、磁束密度が約4倍程度大きいため、磁石の高さを低くしても同等以上の磁束が得られることとなって圧縮機の電動要素の高さをさらに低減することが出来、圧縮機全体の高さもさらに低くすることが出来、圧縮機を設置する凹部の高さを小さく出来るので、冷蔵庫の下段の収納性を向上するとともに、凹部の庫内の収納スペース側への出張り(凸部)を小さくして見栄えを良くし、庫内の収納スペースが広くなり収納性も大幅に向上することが出来る。
請求項11に記載の発明は、請求項1から10のいずれか一項に記載の発明において、密閉容器の下端部から密閉容器の頂部までの高さを144mm以下としたものである。
これによって、機械室の高さ方向に制限のあるタイプの冷蔵庫においても、低振動、低騒音を実現した上で搭載できる圧縮機を提供することができる。
請求項12に記載の冷凍装置は、請求項1から11のいずれか一項に記載の圧縮機と凝縮器と減圧器と蒸発器とを順に備えて一連の冷媒流路を形成した冷凍サイクルを有したものである。
これによって、高さ方向の小型化を実現した上で、圧縮機の信頼性を確保し、さらに騒音、振動を低減した圧縮機を搭載するので、冷凍装置の機械室高さを大幅に低減下上で、騒音、振動が低く信頼性の高い冷凍装置を提供することができる。
以下、本発明による圧縮機の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態の圧縮機の縦断面図、図2は、本実施の形態の圧縮機の水平断面図、図3は、本実施の形態1における冷蔵庫の圧縮機のインダクション電動機とインバータ電動機の比較図、図4は、同実施の形態における冷蔵庫の圧縮機の突極集中巻固定子の平面図である。図5は、同実施の形態における冷蔵庫の圧縮機の脚部分の斜視図である。
図において、厚さ2から4mmの圧延鋼板を深絞り成形により形成してなるすり鉢状の下容器101と逆すり鉢状の上容器102を係合し、係合部分を全周溶接接合して密閉容器103が形成され、密閉容器103の内部には、炭化水素のR600aからなる冷媒104と底部にR600aと相溶性の大きい鉱油からなる冷凍機油105が貯留されている。密閉容器103の下側には、脚106が固着されており、脚106に係止された弾性部材107を介して、冷蔵庫の凹部27に設けたピン108に、弾性部材107の孔109を遊嵌させることで位置を固定している。
また、脚106は密閉容器103内に支持部材である支持部113aとスプリング114を介して弾性支持されるともに、圧縮機11の上下方向の重心Aと、圧縮機の脚106と弾性部材107との当接面106aとの距離Bが、圧縮機11の上下方向の重心Aと支持部材の下端面113bとの距離Cよりも短くなるように構成している。
本実施の形態のように、圧縮機の高さ方向の重心Aが、圧縮機の脚106と弾性部材107との当接面106aよりも上方にあるものにおいては、圧縮機の内部における支持部材の下端面113bよりも圧縮機の脚106と弾性部材107との当接面106aの方が上方に位置している。
また、弾性部材107の高さを、圧縮機の凹部への設置面Dと圧縮機の最下端部Eとの距離Fよりも大きくしている。
脚106は密閉容器に固着する固着面106bと上方に立ち上がる曲げ部106cと、弾性部材を係止する弾性部材配置下面106dを有しており、固着面106bと曲げ部106cと弾性部材配置下面106dのうちの少なくとも2箇所にまたいで延在するリブ106eを設けている。
電動要素110は、回転子111と突極集中巻の固定子112よりなる。圧縮要素113は電動要素110の上方に構築され、電動要素110によって駆動される。
電動要素110と圧縮要素113は、ともに密閉容器103に収納され、下容器101の底部と固定子112の下端に支持部材である支持部113aとスプリング114とを介して弾性支持されている。
この固定子112の下端に備えられた支持部113aとスプリング114とが機械部を弾性支持する支持部材である。
下容器101の一部を構成するターミナル115は、密閉容器103の内外で電気(図示せず)を連絡するもので、リード線116を通して電動要素110に電気を供給する。また密閉容器103には、冷凍システムの吐出配管31に接続する為の吐出チューブ120と吸入配管33に接続する為の吸入チューブ121と、冷凍システムに冷媒104を封入後、システムを閉空間にするための封止チューブ122が設けられている。
圧縮要素113の運転により、冷媒104は、吸入配管33と吸入チューブ121を通って、密閉容器103の内部に吸込まれ、吐出チューブ120から吐出配管31へと吐出される。
この吐出配管31は圧縮要素113と密閉容器の吐出チューブ120とを弾性的に接続している。
次に、圧縮要素113の詳細を以下に説明する。
シャフト130は、回転子111を圧入や焼嵌めにより固定した主軸部131と、主軸部131に対して偏芯して形成された偏芯部132を有する。シリンダブロック133は、略円筒形の圧縮室134を有するとともに、シャフト130の主軸部131を軸支する為の軸受部135を有し、電動要素110の上方に形成されている。
この時、回転子111の圧縮要素側には回転子凹部111aが形成されており、この回転子凹部111a内に軸受部135が延出している。
ピストン136は、圧縮室134に遊嵌され、連結手段137でシャフト130の偏芯部132に連結され、シャフト130の回転運動をピストン136の往復運動に変換し、ピストン136が圧縮室134の空間を拡大、縮小することで密閉容器103内の冷媒104を吸入マフラー140の吸入口141から吸込み、シリンダヘッド142の内部に設けられたバルブ(図示せず)を介して、シリンダブロック133に形成された吐出マフラー143と吐出管144、吐出チューブ120を通って密閉容器103の外部の吐出配管31に吐出する。
高圧配管である吐出管144は、内径1.5mmから3.0mmの鋼管で、L字やU字曲げを使って柔軟性を持つように形成されており、圧縮要素113と密閉容器103の吐出チューブ120とは弾性をもって接続されている。
次に電動要素110の詳細を以下に説明する。
回転子111は、0.2mmから0.5mmの珪素鋼板を積み重ねた本体部150と本体部150に設けた永久磁石151を収納する孔152と永久磁石151を挿入した後に孔152を塞ぐ端板153よりなり、かしめピン154により一体に固着されている。
そして、固定子112は、0.2mmから0.5mmの珪素鋼板を積み重ねた固定子鉄心161と0.3mmから1mmの絶縁被覆を施した銅線である巻線162からなる。固定子鉄心161は、所定間隔において突極部171が円環状に形成されており、突極部171に巻線162が巻かれている突極集中巻型である。各巻線間は、連絡線172で一本に接続されている。
次にインバーター電動機とインダクション電動機を比較して説明する。
説明を判りやすくする為に、図6において、中心線を境に、左側にインダクション電動機の断面と、右側にインバーター電動機の断面を比較して示している。それぞれの電動機は、ほぼ同一の最大冷凍能力を有する圧縮機に用いられているものである。インバーター電動機の固定子112の固定子鉄心161の高さL1は、インダクション電動機の固定子180の固定子鉄心181の高さH1よりも大幅に低くなっている。また、インバーター電動機の回転子111の高さL4もインダクション電動機の回転子182の高さH4よりも低くなっている。さらに、突極集中巻を用いたインバーター電動機では、巻線162が固定子鉄心161からはみ出す高さであるコイルエンド高さ、L2、L3が、インダクション電動機の巻線183のコイルエンド高さのH2、H3よりも大幅に低くなっている。さらに、永久磁石151を希土類磁石を用いることによって、永久磁石151の高さL5、インバーター電動機の固定子鉄心161の高さL1と回転子111の高さL4をさらに低くすることが出来る。
次に圧縮機11の動作について説明する。
圧縮機11に通電がなされると、ターミナル115、リード線116を通って電動要素110の固定子112に電気が供給され、固定子112が発生する回転磁界により回転子111が回転する。回転子111の回転により、回転子に連結されたシャフト130の偏芯部132がシャフト130の軸心より偏芯した回転運動を行う。シャフト130の偏芯運動は、偏芯部132に連結された連結手段137によって往復運動に変換され、連結手段137の他端に連結されたピストン136の往復運動となり、ピストン136は、圧縮室134内の容積を変化させながら冷媒104の吸入圧縮を行う。
ピストン136が、圧縮室134内で一往復中に吸入、吐出する容積を気筒容積と云い、気筒容積の大小で冷却する能力が変化する。
以上のような動作を行う弾性部材107と脚106によって支持された圧縮機11は、冷蔵庫の背面に形成された凹部である機械室(図示せず)に搭載されており、凹部の深さ(高さ)は、圧縮機11の高さで決定されてくる。
一方、冷蔵庫の庫内には、凹部に対応した凸部が出張ってくる。凸部が大きいと収納性が悪くなる為に、圧縮機11の高さを低くする技術が必要になる。
圧縮機11の高さについて具体的に説明する。圧縮機11は、下容器101、上容器102に2から4mmの鋼板を使っており、あわせて約7mmである。下容器101と上容器102は、それぞれ上下方向に曲率を持たせた形状をしている。これは冷蔵庫が設置された居住空間を快適にするために、騒音の低い仕様が望まれるためで、容器に曲率をもたせることにより、容器の剛性、固有値が上がり、共振による騒音が抑制される。曲率は、半径でおよそR100mmからR150mmであり、この曲率を得るために、片側でおよそ13mm強が必要である。
次に、密閉容器103の底には、冷凍機油105が貯留されている。冷凍機油105は、圧縮機11の様々な条件での運転を保証するために、およそ200から250ml封入されており、高さでは、約20mmを占める。さらに、冷凍機油105と電動要素110が接触すると異常な入力増加となるため、接触しないための空間距離として約9mmが必要となる。
家庭用の冷蔵庫に搭載される圧縮機11は、小型化と同時に圧縮機11の騒音も小さく抑えることがより重要なため、密閉容器103の剛性の向上が重要であり、信頼性向上の観点から、冷凍機油105の確保も重要である。これらのことから、板厚の7mm、曲率による13mm、曲率とオイルによる20mm、空間距離確保に必要な9mmを合わせて49mmが必要であり、この寸法を小さくすることは、特性上適切でない。
従って、圧縮機11の高さは電動要素110と圧縮要素113により概ね決まってくる。圧縮要素113は、気筒容積を小さくすることにより、ピストン136や連結手段137、シャフト130、軸受部135をコンパクトにすることが出来るが、例えば従来一般的であったR134aを用いた場合には、R600aを用いた場合と比較して、同じ冷凍能力を得るのに気筒容積が1/2程度まで小さくすることが可能となる。
このように、小型化の観点から見ると不利となるR134aを用いた場合と比べて相対的に気筒容積を大きくしたR600a用の圧縮機ではあるが、同等の冷凍能力を確保するために圧縮機の気筒容積を約2倍程度にまで大きくすることができ、これにより冷媒の体積流量が増大し、圧縮機運転時の配管内の流速が増加するので、圧縮機運転時の配管内を流れる冷媒の体積流量を増大させることにより、冷凍機油が立ち上がり配管を上昇するのに十分な流速を確保でき、蒸発器から圧縮機への冷凍機油の戻り量を大きくすることで圧縮機の信頼性を向上することができる。
また、冷凍機油として鉱油を使用することにより、従来のR134aとエステル油との組み合わせと比較して冷媒の冷凍機油に対する溶解度が大きくなる。
このように、R600a冷媒と相溶性の大きい冷凍機油である鉱油を使用することにより、従来のR134aとエステル油との組み合わせと比較して冷媒の冷凍機油に対する溶解度が大きくなるので、除霜時においてもサーモサイフォン効果を利用して冷媒とともに蒸発器から圧縮機への冷凍機油の戻り量大きくすることでさらに圧縮機の信頼性を向上することができる。
次に電動要素110は、図6の中心線より左側に示すように、インダクション電動機では、固定子180や回転子182の積厚H1及びH4が大きくないと圧縮機11の運転に必要なトルクが発生しない。これに対して、回転子111に永久磁石151を用いたインバーター電動機を用いることにより、回転トルクの発生に必要な励磁電流が必要でなくなるため固定子112の積厚L1や回転子111の積厚L4は低くすることが出来、電動要素110をコンパクトにすることが出来る。より詳しく説明すると、インダクション電動機は、回転子側(2次側)に電流を流さなければならず、この励磁電流を得るために、高い積厚が必要であるが、インバーター電動機は、2次側に磁石があるため、トルクを発生するための励磁電流が不要となり、積厚を低くすることが出来るのである。
さらに、電動要素110の固定子112の巻線162が、固定子鉄心161からはみ出す寸法は、分布巻における巻線183のはみ出し寸法H2、H3と比較すると、突極集中巻においては、巻線が離れたスロット間に渡ることが無く、一つ一つの突極部に集中して密に巻かれるので巻線がスロット間を渡ることによる巻線の盛り上がりが無くなるためL2、L3に示すように大幅に小さくなり、固定子112の全高がさがり、電動要素110をさらにコンパクトにすることが出来る。
このように固定子の鉄心から巻線のはみ出し寸法が少なくなったことにより、電動要素110が小型化されることに加え、圧縮要素であるシリンダブロック133を突極集中巻型の固定子鉄心161に取り付けられる為の脚部133aの高さ寸法を大幅に短くすることができ、圧縮要素の小型化も同時に図ることが可能となる。
またさらに、インバーター電動機の永久磁石151に希土類の磁石を用いると、一般的なフェライト磁石に対して、磁束密度が約4倍、エネルギー積で約10倍を有するなど磁気特性がすぐれ、小さくても十分な特性を得ることが出来る。従って、永久磁石151の高さL5や固定子L1の高さをさらに低くすることが出来、電動要素110をさらにコンパクトにすることが出来る。
また、本実施の形態においては、回転子111の圧縮要素113側には回転子凹部111aが形成されており、この回転子凹部111a内に軸受部135が延出しているので、本発明によると軸受部135の長さを短くすることがなく電動要素110と圧縮要素113とを高さ方向の投影面において重ねあわせて配置することで、電動要素110と圧縮要素113を含めた機械部全体の高さを大きく低減することができ、圧縮機の信頼性を低下させることなく圧縮機の高さをより低減することができる。
より具体的に説明すると、発明者の設計では、インダクション電動機では、固定子180の積厚が42mm、巻線183のコイルエンド高さH2、H3が25mm、回転子182の高さH4が65mmであるのに対し、インバーター電動機では、固定子112の積厚L1が26mm、同じく希土類磁石を用いた場合は、さらに低くL1が16mm、固定子112の巻線162のコイルエンド高さL2、L3は、突極集中巻を用いるとL2、L3が9mmとなる。また、回転子111の積厚は、35mm、希土類磁石を用いると20mmまで小さくすることが出来、インダクション電動機による圧縮機と比較すると、最大で58mm小さくすることが出来ている。
さらに、上記のように回転子111の圧縮要素113側には回転子凹部111aが回転子の高さ方向の半分以上の深さで形成されており、この回転子凹部111a内に軸受部135が延出しているので、回転子111の積厚を35mm、希土類磁石を用いると20mmまで小さくした上で、さらに軸受部135の延出代である10mm程度まで機械部の高さを小さくすることができるので、合計で25mm程度機械部全体の高さを低減することができる。
このように軸受部135の延出代を長くすることにより、全高を上げることなくシャフト130と軸受部135との摺動長を長くすることが出来、シャフト130に加わる圧縮荷重を小さくすることが出来るので、圧縮機の信頼性を向上することが出来る。
ところが、軸受部135の延出代を長くしていくと、回転子凹部111aの深さが大きくなるため、回転子111のシャフト130への固着代が短くなってしまう。
特に本実施の形態のように圧縮要素113が上部にあり、その下部に電動要素110が位置しているような配置の圧縮機においては、下部の電動要素110に備えられている回転子はシャフトとの間の固着力のみによって保持されている為、例えばインダクション電動機のように回転子の内部を電流が流れることで磁力を得るタイプの電動機を用いた場合には、運転時の回転子111の発熱が大きくなり、熱膨張によりシャフト130から回転子111が抜け落ちてしまうといった可能性があるため、回転子111のシャフト130への固着代を大幅に短くすることは信頼性の問題上できないが、発明者の検討によると、永久磁石151を用いた場合には、回転子111の内部を電流が流れずに永久磁石で磁力を得ている為に、発熱が大幅に小さくなっており、さらにインダクション電動機と比較して、高さが低くなることで重量が軽くなっているので、固着代を大幅に短くすることができる。例えば、固着代を回転子全高に対する20%以下である6mm程度にまで小さくしても固着力が十分あり、運転時の発熱や、輸送などによる振動や衝撃等で、回転子111がシャフト130から脱落してしまうようなことも無く、シャフト130と軸受部135の摺動長を長くとることによる信頼性の向上と、回転子111とシャフト130の固着力の確保を両立した上で、圧縮要素113と電動要素110からなる機械部全体の高さを低減することが出来る。
また、回転子111の固着代が短くなることにより、シャフト130の内部に設けた(図示せず)給油機構による給油能力を向上することが出来る。これは、軸受部135とシャフト130の摺動する最下端と、冷凍機油105との距離がシャフト130の給油のためのスパイラル溝まで冷凍機油105をあげる揚程であり、この揚程が大幅に短くなるためである。これによって、シャフト130と軸受部135との間の摺動部や、シャフト130を介して圧縮要素113の摺動部等への給油能力が向上することで、信頼性の向上が図れる。
特にこういった給油能力の向上は、本実施の形態のようなインバーター電動機の搭載によって圧縮機11をより低回転で運転する場合には、回転数の減少に比例して、シャフトの遠心力を用いて給油を行う際の給油能力の低下が問題となるが、このように給油能力を向上させることで、圧縮機11をより低回転で運転する場合であっても摺動部への冷凍機油105の安定供給を可能とする。
このように、回転子111の脱落防止と給油信頼性の向上を両立しながら、高さ方向の小型化を図るためには、全高35mmの回転子111に永久磁石を用いた上で、50HZの回転数において回転子111とシャフト130との固着代を変化させて給油量の確認実験を行った結果、回転子111とシャフト130との固着代が回転子全高の80%の場合と比較して、50%とした場合には、給油量が3%程度向上し給油量向上に対する一定の効果が得られ始め、さらに30%とした場合には給油量が5%程度向上し、15%の場合には、給油量が8%程度まで向上した。
さらに、インバーター圧縮機による低回転時における給油信頼性の向上を確認する為、20HZでの給油量の確認実験を行った結果、回転子111とシャフト130との固着代が回転子全高の80%の場合と比較して、50%とした場合には、給油量が5%程度向上し給油量向上に対する一定の効果が得られ始め、さらに30%とした場合には給油量が10%程度向上し、15%の場合には、給油量が15%程度まで向上した。
このように、軸受けを回転子内へ延出することで、給油のためのスパイラル溝まで冷凍機油105をあげる揚程を短くすることとなり、給油信頼性の向上が得られ、通常回転、低回転時共に50%以下とすることで、効果が得られ始め、望ましくは30%以下とすることで一定の効果代が得られる。また、さらに固着代を短くし、15%程度まで小さくなるとより一層効果が強まる一方で、回転子保持の信頼性の面で影響が出はじめるケースがあり、採用に際しては十分な確認が必要である為、固着代は極力15%を下回らないことが望ましく、10%以下とすると、回転子保持の信頼性が大幅に低下する為避けるべきである。
特に、低回転時においては、給油のためのスパイラル溝まで冷凍機油105をあげる揚程を短くすることが給油量の向上に対して非常に効果が大きい。近年では、冷蔵庫の省エネ化が進んでおり、省エネ化に効果を奏する低回転による圧縮機の運転が主流となりつつある。ただし、この低回転時においては、どうしても給油量が低下する為に、給油量の向上に対して圧縮機内部の給油構造において様々な工夫がなされている中で、本実施の形態のように固着代の短縮による給油量の向上という着眼点は圧縮機の全高の低減および重心を下げる効果に加えて、さらに低回転時の給油量向上効果も得られるといった複数の有益な効果を奏する技術である。
以上のように圧縮機11の全高がより低くなるように、圧縮機11の電動要素110を少なくとも商用電源周波数より高い周波数を含む複数の回転数で運転されるインバーター駆動の電動機とし、電動要素110の回転子111に永久磁石151を用いることで圧縮機11を小さく出来、圧縮機11を設置する機械室である凹部27の高さを小さく出来るので、凹部27の庫内の収納スペース側への凸部30bの出張りを小さくして見栄えを良くし、庫内の収納スペースが広くなり収納性も大幅に向上することが出来る。
また、圧縮機11の固定子112を構成する固定子鉄心161の複数の突極部171に絶縁体を介して巻線162を巻回した突極集中巻型とすることや永久磁石151に希土類磁石を用いることによりさらに圧縮機11を小さく出来る。
一方、本実施の形態の圧縮機11は、特に、圧縮要素113は圧縮室134と圧縮室134内で往復動するピストン136を備えた往復動型を採用しており、密閉容器103に対して圧縮要素113と電動要素110とがスプリング114を介して弾性的に支持されている。
上述のように、圧縮要素113と電動要素110との支持構造部以外の要素で圧縮機11の高さ低減を図ることにより、ロータリ圧縮機等と比較して低振動化を図りやすいものの、構造上、高さ寸法の大きさで圧縮機上部配置型の冷蔵庫には適用上の制限があった往復動型圧縮機であっても圧縮機全体の高さを低くすることが出来、特に圧縮機11を上部に配置する場合には、大きな課題となる振動を低減することが可能となるので、箱本体1に振動が伝達する懸念のある圧縮機上部配置型の冷蔵庫でも、使用者の不快感を取り除きながら圧縮機11を設置する凹部27の高さを小さくして冷蔵庫の収納性を向上した使い勝手のよい冷蔵庫を提供することができる。
また、往復動型圧縮機は内部低圧型であって、電動要素110は密閉容器103内の下方に配設されるとともに密閉容器103に対して支持部材である支持部113aとスプリング114を介して弾性的に支持されており、圧縮要素113は電動要素110の上部に配設されるとともに密閉容器103に対して弾性的な形状からなる高圧配管である吐出管144を介して接続されているものであり、圧縮機の振動源である圧縮要素113を密閉容器103内の支持部材に対して電動要素部110を介して配置する為、圧縮要素113を直接的に弾性支持する場合と比べて弾性支持部からの距離をより遠くすることができ、また圧縮要素113で発生した振動は剛性が高い電動要素110の固定子を通過する際に減衰された上で圧縮機の支持部材から圧縮機の外部へ伝達する為、圧縮機の振動を低減することができる。
また、圧縮要素113内の高圧配管である吐出管144は弾性的な形状からなることで、圧縮要素113の振動は吐出管144によって減衰された上で圧縮機の外部へ伝達する為、圧縮機の振動をさらに低減することができる。
また、脚106は密閉容器103内に支持部材である支持部113aとスプリング114を介して弾性支持されるとともに、圧縮機の上下方向の重心Aと、圧縮機の脚106と弾性部材107との当接面106aとの距離Bが、圧縮機の上下方向の重心Aと支持部材の下端面113bとの距離Cよりも短くしており、これによって、圧縮機の振動の振幅は、重心A付近が最も小さく重心から離れるにつれて振動が大きくなるような重心まわりに圧縮機全体が振動することから、機械部を支持する支持部材の下面より重心に近い脚106と弾性部材107との当接面の振動の振幅が小さくなるので、さらに、冷蔵庫への振動伝達を低減できる。
また、回転子111に永久磁石151を用い、回転子111の高さを低くすることや、固定子112を突極集中巻型とすることで固定子112の高さを低くすること電動要素110全体の重心を低くすることができる。
また固定子112が分布巻の場合にはシリンダブロック133の固定子112への取り付け部から上方に巻線がはみ出していた為に、シリンダブロック133の脚部の寸法を巻線のはみ出し寸法以上にとる必要があったが、固定子112を突極集中巻型とすることで、シリンダブロック133の固定子112への取り付け部であるシリンダブロック133の脚部を短くすることが可能となり、圧縮要素の重心についても低くすることができる。
さらに、シリンダブロック133の軸受部135の回転子凹部111aへの延出代を長くすることで、シリンダブロック133をより下に下げ重心を低くすることができる。
このように、圧縮機内部の機械部の重心Aをより低くした上で、圧縮機の外部である密閉容器103に備えられた脚106と弾性部材107との当接面106をより上方に位置させることによって、重心Aと脚106と弾性部材107との当接面との距離Bがさらに小さくなり、圧縮機から冷蔵庫への振動伝達をさらに低減できる。
このことは、例えば圧縮機を上部に配置するタイプの冷蔵庫のような極力圧縮機の全高の小型化が要求される一方で、低振動、低騒音の両立が必須となる対象においては特に重要な点であり、圧縮機を小型化する為の要素は種々考えられる中で、内部構成面では、回転子111に永久磁石151を用いることで、シャフト130による回転子111の保持効果を維持しながら、軸受部135をより回転子内に延出させて内部高さの低減を図り、外部構成面では脚106の弾性部材107への載置面を立ち上げて、冷蔵庫への設置状態においても全高の小型化を図ることができ、低重心で支持安定性の高い低振動型小型圧縮機を実現できる。
また、本実施の形態によると圧縮機の脚と弾性部材との当接面106aは支持部材の下端面113bよりも上方に位置しているものであり、これによって、圧縮機の振動は振動発生源である機械部より下方に向かって支持部材を経て伝達した後、方向が上方へと変化し脚106を介して弾性部材107へと伝達する。よって、振動の伝達経路が複雑になるので振動は伝達経路内でより減衰され、さらに支持部材から圧縮機の脚106と弾性部材107との当接面106aまでの距離を長くとることができるので、特に周波数の高い領域の振動伝達が減衰され、脚106と弾性部材107との当接面106aの振動の振幅が小さくなるので、さらに、冷蔵庫への振動伝達を低減できることとなり、不快な振動や、振動に起因する騒音発生の無い高品位の冷蔵庫を提供することできる。
また、脚106は密閉容器103に固着する固着面106bと上方に立ち上がる曲げ部106cと、弾性部材を係止する弾性部材配置下面106dを有するものであり、これによって、脚は接合等の作業性の良い密閉容器103の下部の固着面106bに位置し、弾性部材を配置する面はより重心に近い弾性部材配置下面にすることが、曲げ部を簡単な脚の曲げにより形成することで出来、製造が非常に容易である。
また、脚106の密閉容器103に固着する固着面106bは、下容器101の支持部材113aの固着面である下端面113bよりも下側にあり、圧縮機の振動源である圧縮要素113の振動は、電動要素110を介して、さらに支持部材113aにより支持されたスプリング114も介して、密閉容器103の中でも、加振源からは最も離れた部位にある支持部材113aの固着面に伝達されるので、振動は大幅に減衰されている。
さらに、脚106は、固着面から略水平方向に伸びた後、曲げ部106cの形成により鉛直上方に立ち上がり、もう一度、略水平方向に曲がった後、弾性部材配置下面106dが形成されるので、弾性部材107との当接面106aまでは、振動の伝達経路が複雑かつ長くなり、振動伝達が減衰される。さらに、弾性部材107は、弾性部材配置下面106dがより圧縮機の上下方向の重心Aに近い部位にあるとともに、弾性部材107の長さも十分に取れるので、弾性部材107でも振動が十分に減衰でき、冷蔵庫への振動伝達を十分に低減出来ることとなり、不快な振動や振動に起因する騒音発生の無い、高品位な冷蔵庫を提供することが出来る。
本実施の形態では、この鉛直方向の立ち上がり高さを24mmとした。これは圧縮機の全高に対する16%程度である。
また、この鉛直方向の立ち上がり高さについては、支持部113aの下端面113bよりも上方であるとしたが、支持部113aに係合されるスプリング114の下端部は支持部113aに対して嵌合されている為、密閉容器に対して弾性を有さずに固定されている為、より望ましくは密閉容器に対して弾性を有するスプリングの下端部より上方であることが望ましい。
また、鉛直方向の立ち上がり高さが高くなるにつれて、立ち上がり部分の距離が長くなる為、立ち上がり部分における高い剛性を得るのが難しくなり、特に冷蔵庫の扉開閉等によって外部から水平方向の衝撃力がかかった場合には、脚106と弾性部材107との当接面106aを中心にして上下方向が前後にねじれるような振動現象が生じるため、脚106の立ち上がり部分周辺への応力集中が生じ、信頼性が低下する可能性がある為、外部衝撃力を考慮すると、圧縮機の全高に対して30%以下程度とするのが圧縮機の信頼性上望ましいと考えられる。
また、曲げ部106cの形成により、脚106の密閉容器103への固着面から、弾性部材107を配置する弾性部材配置下面までの距離を長くとることが可能となり、固着面106bからの振動伝達の距離が長くなるので、特に周波数の高い領域の伝達が減衰され、より冷蔵庫への振動伝達をすくなくすることが出来る。従って、製造が容易で、冷蔵庫への振動伝達を低減できることとなり、不快な振動や、振動に起因する騒音発生の無い高品位の冷蔵庫を提供することが低コストで達成できることとなる。
さらに脚106に曲げ部106cと弾性部材配置下面106dにまたいで延在するリブ106eを設けたことで、脚106の剛性が高くなり、脚106自体が持つ固有値が上がるとともに、脚106自体が振動しにくくなるので、密閉容器103の固着面から脚を経て弾性部材、冷蔵庫本体への振動伝達をより減少することが出来る。また、リブの形成は、製造の容易なプレスにより可能であり、脚の強度が高くなるので、冷蔵庫の輸送衝撃により、脚が変形してしまうといった別課題も改善することが出来る。
従って、製造が容易で、冷蔵庫への振動伝達を低減できることとなり、不快な振動や、振動に起因する騒音発生の無い高品位の冷蔵庫を提供することが低コストで達成できることとなる。
以上のように、圧縮機11の高さ方向の小型化要素としては、大きく区別して電動要素110により対応する観点と圧縮要素113により対応する観点があるが、これらの両要素を共に採用するか、いずれかの要素に留めるかは高さ低減の要求値と他の特性や品質上の観点とのバランスで選択すればよい。
たとえば、比較的高精度の耐久信頼性が要求されず騒音,振動の大きな要因にはなりにくい電動要素110に纏わる高さ低減要素を主体として構成する方法は、圧縮機11を上部配置する構成においては騒音,振動への影響を抑えながら小型化を図れる面で有利な点がある。
一方、圧縮要素113のコンパクト化により目的を達成しようとする場合は、低コスト化による小型化実現の期待もでき、コストパフォーマンス的に有利な点がある。
また、上述のように圧縮機11を冷蔵庫の箱本体1の上部に配置して、使用者の耳に近い位置となる以上、従来の冷蔵庫に増して騒音や振動に対する配慮が必要であり、圧縮機11の高さ低減による小型化が、冷蔵庫としての騒音,振動に影響を及ぼさないような小型化要素の組み合わせが肝要であり、電動要素110,圧縮要素113を支持する構造や密閉容器103を支持する構造に騒音,振動を抑制方向としながら高さ低減を図る工夫を取り入れたり、騒音,振動に悪影響の生じる単なる高さ低減の設計を敢えて組み入れない配慮も有効である。
(実施の形態2)
図6は、本発明の実施の形態2における冷蔵庫の圧縮機の概略断面図である。
図7は、本発明の実施の形態2における冷蔵庫の圧縮機の概略断面図である。
また、実施の形態1と共通する構成や作用効果については逐一述べないが、本実施の形態に適用して不合理が生じる事項でない限り、同様の内容が含まれているとするものである。
図において、圧縮要素209は、シャフト210の偏芯部210aを挟んで同軸上に主軸部210bと副軸部210cと主軸部210bを軸支する軸受部である主軸受220と副軸部210cを軸支する副軸受221を有したものである。
また、偏芯部210aには、連結部材230を介して圧縮室231内を往復動するピストン232が備えられている。
また、図より密閉容器250は上容器251と下容器252とを備えており、下容器252に固着した複数の脚260は弾性部材270を介して凹部に設置するものであって、凹部の圧縮機設置面280には窪み281を設けるとともに、窪み281に弾性部材270を配設することで、弾性部材270の高さを圧縮機設置面280と圧縮機の最下部290との距離よりも大きくなるように圧縮機を搭載している。また、弾性部材270の下側を窪み281内で嵌め込み固定してある。
以上のような構成の圧縮機について、以下動作、作用を説明する。
圧縮機が運転中は圧縮室231にて冷媒を高圧力まで圧縮する為、この圧縮荷重がピストン232および連結部材230を介して偏芯部210aに伝達する。
このようなシャフト210の偏芯部が受ける圧縮荷重がシャフト210全体に伝達したわむことで、シャフトの主軸部210bと主軸受220との間の摺動部には大きな面圧がかかる。
この面圧はシャフト210の主軸部210bと主軸受220との摺動長さが短くなればなる程大きくなるが、本実施の形態においては、シャフト210の主軸部210bと主軸受220に加えて、シャフト210の副軸部210cとそれを軸支する副軸受221の2箇所でシャフト210を軸支している為、振動源であるピストン232を両側から支えることができ、よりシャフトのたわみを防止し、シャフト210の摺動面の信頼性を向上させることができる。
また、従来に比べて主軸受220の摺動長を短くしても、副軸受221の摺動長で補完することでシャフト210全体の摺動長を確保することができるので、圧縮機の信頼性を低下させることなく圧縮機の高さをより低減することができる。
よって、往復動型圧縮機において、高さを低減する際の大きな課題の一つであったシャフト210を軸支する軸受長の確保に対して、本発明によると往復運動を行うピストン232を備えた偏芯部210aを挟んで両側に主軸受220と副軸受221とがあることで、振動源であるピストン232を両側から支えることができ、よりシャフト210のたわみを防止し、シャフトの摺動面の信頼性を向上させることができるので、従来に比べて主軸受の摺動長が短くしても圧縮機の信頼性を確保することができるので、圧縮機の信頼性を低下させることなく圧縮機の高さをより低減することができる。
なお、本実施の形態では副軸受221は偏芯部210aを挟んで主軸受220と反対側に備えたが、回転子240を挟んで主軸部210bと同軸上に副軸部を設けても、同様にシャフト210を軸支する軸受長を確保することができ、従来に比べて主軸受の摺動長が短くしても圧縮機の信頼性を確保することができるので、圧縮機の信頼性を低下させることなく圧縮機の高さをより低減することができる。
また、凹部に設置するものであって、凹部の圧縮機設置面280には窪み281を設けるとともに、窪み281に弾性部材270を配設することで、弾性部材270の高さを圧縮機設置面280と圧縮機の最下部290との距離よりも大きくなることによって、冷蔵庫への圧縮機からの振動を伝達するために効果的な弾性部材270の高さを高くすることが出来る。一方、設置面の肉厚は、冷蔵庫の庫内への凸部の大きさを決める因子であるが、冷蔵庫の冷却特性を得るためと圧縮機を支える構造体として、ある程度の厚みは必要であるが、窪みの形成により、弾性部材の高さを高くすることによる振動伝達の低減と、設置面の肉厚の確保による冷却特性の確保と圧縮機を支える構造体としての強度の確保を両立することが出来るので圧縮機からの振動を伝達するために効果的な弾性部材の高さを高くすることで、不快な振動や、振動に起因する騒音発生を大幅に軽減することが出来るとともに、冷蔵庫の断熱性の確保による特性の維持や、構造体の強度を確保することによる耐輸送性の維持も出来、高品位の冷蔵庫を提供することできる。
このように圧縮機を支える外部支持構造として窪みの形成により弾性部材の高さを高くすることで振動低減を図ることで、圧縮機の高さをより低減した上で圧縮機の信頼性を低下させることなく、さらに圧縮機に起因する不快な振動や、振動に起因する騒音発生を大幅に軽減することができ、冷蔵庫の天面に圧縮機を搭載するタイプの冷蔵庫の庫内への凸部の大きさ低減することができる。
また、弾性部材の下側を嵌め込み固定したことで、弾性部材を余分な部品を加えずに位置固定をすることが出来、圧縮機の位置ずれが無くなり、弾性部材の支持面の変化による振動伝達変化も軽減でき、弾性部材の冷蔵庫設置面での不快な振動や振動に起因する騒音発生を大幅に軽減した高品位の冷蔵庫を、安価にしかも耐輸送性も向上しながら提供することが出来る。
(実施の形態3)
図8は本発明の実施の形態3における圧縮機の概略断面図である。図9は本発明の実施の形態3における圧縮機の密閉容器の概略斜視図である。図10は本発明の実施の形態3における圧縮機の密閉容器の概略平面図である。図11は本実施の形態における圧縮機の概略断面図である。
また、実施の形態1および2と共通する構成や作用効果については逐一述べないが、本実施の形態に適用して不合理が生じる事項でない限り、同様の内容が含まれているとするものであり、本実施の形態では実施の形態1および2で説明した圧縮機の密閉容器に関する説明を行う。
図において、密閉容器403の下部には複数のコブ部410を備えている。
複数のコブ部410は、主に密閉容器の内部から外部へと凸形状となっている凸状コブ部と、密閉容器403の外部から内部側へと凹形状となっている凹形状となっている凹状コブ部411とがある。
凸状コブ部としては、密閉容器403に備えられた圧縮機の脚406と密閉容器403との接続部分420の近傍に脚コブ部410aを備えている。この脚コブ部410aによって接続部分420の周辺が密閉容器の外周の曲率よりも明らかに小さな曲率で形成されている凸状コブ部である。
また、密閉容器内部の電動要素と圧縮要素からなる機械部を支持する支持部材413は支持部材である支持部413aと弾性部材からなるスプリング414とからなり、支持部413の下端面に位置する密閉容器近傍に支持コブ部410bが備えられている。この支持コブ部410bは支持部の鉛直下方の周辺が密閉容器の外周の曲率よりも明らかに小さな曲率で形成されている凸状コブ部である。
また、密閉容器403と脚406およびスプリング414の下方側の支持部413aとはスポット溶接により固着されており、すなわち凸状コブ部に脚406および支持部413の下端部が溶接されている。
また、密閉容器には密閉容器の外周よりも内側に凹んでいる凹状コブ部411が形成されており、密閉容器の外周の曲率よりも明らかに小さな曲率で形成されており、支持コブ部410bに連続して形成されている。
以上のような構成の圧縮機について、以下動作、作用を説明する。
本実施の形態のように、密閉容器403の特に下部において複数のコブ部410を備えることで、圧縮機の高さ方向を小型化する目的で密閉容器の上面や下面に例えば圧縮機の中心からほぼ球状のような曲面を設けることが難しくなり、密閉容器の上面や下面が平面に近いような曲面となる傾向がある。
このように密閉容器403の形状において平面部に近いような平らな曲面があると、その部分は剛性が弱くなり、騒音や振動による影響を受けやすくなる。
よって、本実施の形態では、振動発生源である機械部と密閉容器との支持部413の下端面に位置する密閉容器近傍に支持コブ部410bが備えられていることで、機械部の振動がスプリング414を介して密閉容器に伝播する際に支持部413aの下端部と密閉容器403との固着面である接続部分420を中心にしてその近傍に小さな曲率のである支持コブ部410bを備えることで、支持部の下端部近傍の剛性を向上させることが可能となるので、圧縮機から密閉容器へ伝播する振動、騒音を低減することができる。
さらに、密閉容器403と脚のように特に密閉容器の下面側の圧縮機の外部支持である圧縮機の脚406と密閉容器403との接続部分420の近傍に脚コブ部410aを備えることで、接続部分420近傍の剛性を向上させることが可能となる為、密閉容器から脚406を介して冷蔵庫本体へと伝播する振動、騒音を低減することができる。
このように圧縮機の内部側と外部側の支持部の近傍にコブ状の凸部を備えることで、圧縮機の全高を低くするために密閉容器の下面側が平面に近いような大きな曲率の曲面となる場合においても、密閉容器の特に振動伝達経路における剛性を向上させた圧縮機を用いることで、より振動、騒音を低減した冷蔵庫を提供することができる。
さらに、本実施の形態では、支持コブ部410bに連続して密閉容器の内側に凹んでいる凹状コブ部411が形成されており、このように曲率の小さな凹凸を複雑な形状で連続的に形成することで、コブ部の剛性をより向上させるという効果を奏する。
また、本実施の形態のような特に密閉容器403の振動伝達経路を中心に小さな曲率を有したコブ部を備えることに加え、実施の形態1で説明したような圧縮機の脚と弾性部材との当接面106aが支持部材の下端面113bよりも上方に位置しているようなタイプのものを用いると、これによって、圧縮機の振動は振動発生源である機械部より下方に向かって支持部材を経て伝達した後、方向が上方へと変化し脚106を介して弾性部材107へと伝達する際の伝達経路の剛性をより高め伝達経路を複雑にすることができるので、冷蔵庫の振動をより低減することができる。
また、さらに、弾性部材107は、弾性部材配置下面106dがより圧縮機の上下方向の重心Aに近い部位にあるので、圧縮機の振動の振幅は、重心A付近が最も小さく重心から離れるにつれて振動が大きくなるような重心まわりに圧縮機全体が振動することから、機械部を支持する支持部材の下面より重心に近い脚106と弾性部材107との当接面の振動の振幅が小さくなるので、さらに、冷蔵庫への振動伝達を低減できる。
また、本実施の形態のような特に密閉容器403の振動伝達経路を中心に小さな曲率を有したコブ部を備えることに加え、実施の形態2で説明したような凹部の圧縮機設置面280には窪み281を設けるとともに、窪み281に弾性部材270を配設することで、弾性部材270の高さを圧縮機設置面280と圧縮機の最下部290との距離よりも大きくなるように圧縮機を搭載した場合は、機械部から圧縮機の脚部への振動伝達を低減する効果に加え、さらに弾性部材を大きくとることができ、より冷蔵庫の振動、騒音を低減することができる。
また、本実施の形態のような特に密閉容器403の振動伝達経路を中心に小さな曲率を有したコブ部を備えることに加え、図11に示したようにコブ部に脚部の固着面456a備える場合においては、実施の形態1で説明したような固着面から上方へ立ち上がる曲がり部を有していない場合であっても、脚部の密閉容器への固着部をコブ部にすると、コブ部によって圧縮機の振動伝達経路における振動低減を図ることが可能であるので、必ずしも密閉容器との固着部から上方へと立ち上がる曲げ部を備えない場合においても、圧縮機の脚456と弾性部材457の当接部458をより圧縮機の上下方向の重心Aに近い部位配置することができるので、圧縮機の振動の振幅は、重心A付近が最も小さく重心から離れるにつれて振動が大きくなるような重心まわりに圧縮機全体が振動することから、機械部を支持する支持部材の下面より重心に近い脚456と弾性部材457との当接面458の振動の振幅が小さくなるので、さらに、冷蔵庫への振動伝達を低減できる。
従って、製造が容易で、冷蔵庫への振動伝達を低減できる圧縮機を提供することが可能となり、不快な振動や、振動に起因する騒音発生の無い高品位の冷蔵庫を提供することが低コストで達成できることとなる。
(実施の形態4)
図12は、本発明の実施の形態4における冷蔵庫の概略断面図、図13は、同実施の形態における冷蔵庫の概略背面図、図14は、同実施の形態における冷蔵庫の概略部品展開図、図15は、同実施の形態における冷蔵庫の圧縮機の縦断面図、図16は、同実施の形態における冷蔵庫の圧縮機の水平断面図、図17は、同実施の形態における冷蔵庫の圧縮機のインダクション電動機とインバーター電動機の比較図、図18は、同実施の形態における冷蔵庫の圧縮機の突極集中巻固定子の平面図である。図19は、同実施の形態における冷蔵庫の圧縮機の脚部分の斜視図である。
以下図に基づいて本発明の実施の形態について説明する。なお、背景技術と同一構成については同一符号を付して詳細な説明を省略する。
図において、箱本体1は、ABSなどの樹脂体を真空成形した内箱13とプリコート鋼板などの金属材料を用いた外箱14とで構成された空間に発泡充填する断熱体15を注入してなる断熱壁を備えている。断熱体15は、例えば硬質ウレタンフォームやフェノールフォームやスチレンフォームなどが用いられる。また、発泡材としては、ハイドロカーボン系のシクロペンタンを用いると、温暖化防止の観点でさらに良い。
箱本体1は複数の断熱区画に区分されており、前面には、扉15aがある。扉15aは、上部を回転扉式、下部を引出式とする構成をとってある。断熱区画された貯蔵室15bは、上から冷蔵室2、並べて設けた引出式の切替室16および製氷室17と引出式の野菜室3と引出式の冷凍室4となっている。各断熱区画には、それぞれ断熱性を有した扉15aが、ガスケット18を介して設けられている。上から冷蔵室回転扉5、切替室引出扉19、製氷室引出扉20、野菜室引出扉6、冷凍室引出扉7である。
冷蔵室回転扉5には、扉ポケット21が収納スペースとして設けられており、庫内には複数の収納棚22が設けられている。
次に箱本体1の詳細を説明する。箱本体1の外箱14は、天面23の奥側を切り取ったU字曲げした外殻パネル24と底面パネル25と背面パネル26と凹部27を形成する機械室パネル28とをシール性を確保して組み立てることで構成されている。組み立てられた箱本体1は、天面23と背面28aに渡る部分に凹部27が形成されている。凹部27は、庫内の最上段棚29と内箱13で区画された最上段収納スペース29a及び第2段棚30と最上段棚29で区画された第2段棚収納スペース30a側に凸部30bとして出張っている。また、より好ましくは凸部30bの室内側底壁面30cと最上段棚29の棚底部30dを略同一水平面としている。
また、底面パネル25と背面パネル26には、指先を引っ掛けることが可能な窪みからなる取っ手が設けられている。
また、内箱13は、外箱14より一回り小さく、背面奥部が内側に窪んだ構成となっており、外箱14の中に組み入れることで断熱体15が発泡充填される空間が箱本体1に形成される。したがって機械室パネル28の左右部も断熱体15が発泡充填されて断熱壁が形成され、強度も確保されることになる。
次に冷凍サイクルについて説明する。冷凍サイクルは、凹部27の設置面28bに配設した圧縮機11と圧縮機11に接続された吐出配管31と外殻パネル24の天面23や側面、凹部27や底面パネル25に設けた凝縮器(図示せず)と、減圧器であるキャピラリー32と水分除去を行うドライヤー(図示せず)と、野菜室3と冷凍室4の背面で庫内ファン8を近傍に配置した蒸発器9と、吸入配管33を環状に接続して構成されている。
凹部27には、ビスなどで固定された天面カバー34が設けられており、凹部27に設けられた圧縮機11や機械室ファン34a、凝縮器(図示せず)、ドライヤー(図示せず)、吐出配管31、吸入配管33の一部などを収納している。天面カバー34の上部は、天面23と略同一平面としており、圧縮機11の頂部34bは天面23より低い位置にある。
キャピラリー32と吸入配管33は、概ね同等の長さの銅管であり、端部を残して、熱交管可能にはんだ付けされている。キャピラリー32は、減圧の為、内部流動抵抗が大きい細径の鋼管が用いられており、その内径は、0.6ミリから1.0ミリ程度で長さとともに調節して減圧量を設計する。吸入配管33は、圧力損失を低減する為に大径の銅管が用いられており、その内径は、6ミリから8ミリ程度である。又、キャピラリー32と吸入配管33は、熱交換器部35の長さを確保するために、冷蔵庫2の背面を蛇行させることでコンパクトにまとめて、内箱13と背面パネル26との間にある断熱体15に埋設されている。キャピラリー32と吸入配管33は、一方の端部を内箱13の野菜室3後方付近から突き出して蒸発器9と接続されており、他方の端部を機械室パネル28の設置面28bの縁に設けた切欠部から上方に突き出して、ドライヤー(図示せず)や凝縮器(図示せず)、圧縮機11と各々接続されている。
また、吸入配管33と吐出配管31には、圧縮機11との接続部の近傍に、接続の柔軟性を持たせる為のUターン部36が設けられており、凹部27に収納されている。さらに組立て作業性やサービス性を向上させることを狙いに、配管の密集度を軽減し、後方から配管接続部を目視できるようにするために、配管接続部は、圧縮機11の背面側に面して圧縮機11の左右に振り分けて配置されている。
次に、圧縮機11の詳細について説明する。
図において、厚さ2から4mmの圧延鋼板を深絞り成形により形成してなるすり鉢状の下容器101と逆すり鉢状の上容器102を係合し、係合部分を全周溶接接合して密閉容器103が形成され、密閉容器103の内部には、冷媒104と底部に冷凍機油105が貯留されている。密閉容器103の下側には、脚106が固着されており、脚106に係止された弾性部材107を介して、冷蔵庫の凹部27に設けたピン108に、弾性部材107の孔109を遊嵌させることで位置を固定している。
また、脚106は密閉容器103内に支持部材である支持部113aとスプリング114を介して弾性支持されるともに、圧縮機11の上下方向の重心Aと、圧縮機の脚106と弾性部材107との当接面106aとの距離Bが、圧縮機11の上下方向の重心Aと支持部材の下端面113bとの距離Cよりも短くなるように構成している。
本実施の形態のように、圧縮機の高さ方向の重心Aが、圧縮機の脚106と弾性部材107との当接面106aよりも上方にあるものにおいては、圧縮機の内部における支持部材の下端面113bよりも圧縮機の脚106と弾性部材107との当接面106aの方が上方に位置している。
また、弾性部材107の高さを、圧縮機の凹部への設置面Dと圧縮機の最下端部Eとの距離Fよりも大きくしている。
脚106は密閉容器に固着する固着面106bと上方に立ち上がる曲げ部106cと、弾性部材を係止する弾性部材配置下面106dを有しており、固着面106bと曲げ部106cと弾性部材配置下面106dのうちの少なくとも2箇所にまたいで延在するリブ106eを設けている。
電動要素110は、回転子111と突極集中巻の固定子112よりなる。圧縮要素113は電動要素110の上方に構築され、電動要素110によって駆動される。
電動要素110と圧縮要素113は、ともに密閉容器103に収納され、下容器101の底部と固定子112の下端に支持部材である支持部113aとスプリング114とを介して弾性支持されている。
この固定子112の下端に備えられた支持部113aとスプリング114とが機械部を弾性支持する支持部材である。
下容器101の一部を構成するターミナル115は、密閉容器103の内外で電気(図示せず)を連絡するもので、リード線116を通して電動要素110に電気を供給する。また密閉容器103には、冷凍システムの吐出配管31に接続する為の吐出チューブ120と吸入配管33に接続する為の吸入チューブ121と、冷凍システムに冷媒104を封入後、システムを閉空間にするための封止チューブ122が設けられている。
圧縮要素113の運転により、冷媒104は、吸入配管33と吸入チューブ121を通って、密閉容器103の内部に吸込まれ、吐出チューブ120から吐出配管31へと吐出される。
この吐出配管31は圧縮要素113と密閉容器の吐出チューブ120とを弾性的に接続している。
次に、圧縮要素113の詳細を以下に説明する。
シャフト130は、回転子111を圧入や焼嵌めにより固定した主軸部131と、主軸部131に対して偏芯して形成された偏芯部132を有する。シリンダブロック133は、略円筒形の圧縮室134を有するとともに、シャフト130の主軸部131を軸支する為の軸受部135を有し、電動要素110の上方に形成されている。
この時、回転子111の圧縮要素側には回転子凹部111aが形成されており、この回転子凹部111a内に軸受部135が延出している。
ピストン136は、圧縮室134に遊嵌され、連結手段137でシャフト130の偏芯部132に連結され、シャフト130の回転運動をピストン136の往復運動に変換し、ピストン136が圧縮室134の空間を拡大、縮小することで密閉容器103内の冷媒104を吸入マフラー140の吸入口141から吸込み、シリンダヘッド142の内部に設けられたバルブ(図示せず)を介して、シリンダブロック133に形成された吐出マフラー143と吐出管144、吐出チューブ120を通って密閉容器103の外部の吐出配管31に吐出する。
高圧配管である吐出管144は、内径1.5mmから3.0mmの鋼管で、L字やU字曲げを使って柔軟性を持つように形成されており、圧縮要素113と密閉容器103の吐出チューブ120とは弾性をもって接続されている。
次に電動要素110の詳細を以下に説明する。
回転子111は、0.2mmから0.5mmの珪素鋼板を積み重ねた本体部150と本体部150に設けた永久磁石151を収納する孔152と永久磁石151を挿入した後に孔152を塞ぐ端板153よりなり、かしめピン154により一体に固着されている。
そして、固定子112は、0.2mmから0.5mmの珪素鋼板を積み重ねた固定子鉄心161と0.3mmから1mmの絶縁被覆を施した銅線である巻線162からなる。固定子鉄心161は、所定間隔において突極部171が円環状に形成されており、突極部171に巻線162が巻かれており(突極集中巻と称する)、各巻線間は、連絡線172で一本に接続されている。
次にインバーター電動機とインダクション電動機を比較して説明する。
説明を判りやすくする為に、図において、中心線を境に、左側にインダクション電動機の断面と、右側にインバーター電動機の断面を比較して示している。それぞれの電動機は、ほぼ同一の最大冷凍能力を有する圧縮機に用いられているものである。インバーター電動機の固定子112の固定子鉄心161の高さL1は、インダクション電動機の固定子180の固定子鉄心181の高さH1よりも大幅に低くなっている。また、インバーター電動機の回転子111の高さL4もインダクション電動機の回転子182の高さH4よりも低くなっている。さらに、突極集中巻を用いたインバーター電動機では、巻線162が固定子鉄心161からはみ出す高さであるコイルエンド高さ、L2、L3が、インダクション電動機の巻線183のコイルエンド高さのH2、H3よりも大幅に低くなっている。さらに、永久磁石151を希土類磁石を用いることによって、永久磁石151の高さL5、インバーター電動機の固定子鉄心161の高さL1と回転子111の高さL4をさらに低くすることが出来る。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作、作用を説明する。
まず各断熱区画の温度設定について説明する。冷蔵室2は、冷蔵保存の為に凍らない温度を下限に通常1〜5℃で設定されている。切替室16は、ユーザーの設定により、温度設定の変更が可能であり、冷凍室温度帯から冷蔵、野菜室温度帯まで所望する温度帯に設定することが出来る。また製氷室17は、独立の氷保存室であり、−18〜−10℃の比較的高い温度で設定されている。
野菜室3は、冷蔵室2と同等もしくは若干高い温度設定の2〜7℃にすることが多い。冷凍室4は、冷凍保存のために通常−22〜−18℃で設定されているが、保存状態の向上のために、さらに低い例えば−30迄の低温で設定されることもある。
各室は、異なる温度設定を効率よく維持する為に、断熱壁によって区分されているが断熱壁は、断熱体15を、内箱13と外箱14の間に発泡充填することにより形成される。断熱体15は、十分な断熱性能を有するとともに、箱本体1の強度を確保する。
次に冷凍サイクルの動作について説明する。庫内の設定された温度に応じて温度センサー(図示せず)および制御基板(図示せず)からの信号により冷却運転が開始および停止される。冷却運転開始の指示によって圧縮機11は高温高圧の冷媒104を吐出する。吐出された冷媒104は、吐出配管31を通って凝縮器(図示せず)にて放熱して凝縮液化し、キャピラリー32で減圧され低温低圧の液冷媒となり、蒸発器9に至り、蒸発器9内の冷媒は蒸発気化され、熱交換された低温の冷気をダンパ(図示せず)で分配することで各室の冷却が行われる。
次に圧縮機11の動作について説明する。
圧縮機11に通電がなされると、ターミナル115、リード線116を通って電動要素110の固定子112に電気が供給され、固定子112が発生する回転磁界により回転子111が回転する。回転子111の回転により、回転子に連結されたシャフト130の偏芯部132がシャフト130の軸心より偏芯した回転運動を行う。シャフト130の偏芯運動は、偏芯部132に連結された連結手段137によって往復運動に変換され、連結手段137の他端に連結されたピストン136の往復運動となり、ピストン136は、圧縮室134内の容積を変化させながら冷媒104の吸入圧縮を行う。
ピストン136が、圧縮室134内で一往復中に吸入、吐出する容積を気筒容積と云い、気筒容積の大小で冷却する能力が変化する。
以上のような動作を行う冷蔵庫において、弾性部材107と脚106によって支持された圧縮機11は、冷蔵庫の天面23と背面28aに渡って形成された凹部27に搭載されているのであるが、凹部の深さ(高さ)は、少なくとも圧縮機11の下容器101の底部と設置面28bの最小隙間と、圧縮機11の高さと、上容器102と天面カバー34との最小隙間と、天面カバー34の厚みが必要である。圧縮機11と設置面28bや天面カバー34との接触を回避する為に最小隙間が必要であり、天面カバー34は強度面から最小肉厚が決まるとすると、凹部の深さ(高さ)は、圧縮機11の高さで決定されてくる。
一方、冷蔵庫の庫内には、凹部27により、凸部30bが出張ってくる。凸部30bが大きいと収納性が悪くなるとともに、冷蔵室回転扉5を開けて冷蔵室2の庫内を見たときに、凸部30bの出張りで見栄えが悪くなる。従って、圧縮機11の高さを低くする技術が必要になる。
圧縮機11の高さについて具体的に説明する。圧縮機11は、下容器101、上容器102に2から4mmの鋼板を使っており、あわせて約7mmである。下容器101と上容器102は、それぞれ上下方向に曲率を持たせた形状をしている。これは冷蔵庫が設置された居住空間を快適にするために、騒音の低い仕様が望まれるためで、容器に曲率をもたせることにより、容器の剛性、固有値が上がり、共振による騒音が抑制される。曲率は、半径でおよそR100mmからR150mmであり、この曲率を得るために、片側でおよそ13mm強が必要である。
次に、密閉容器103の底には、冷凍機油105が貯留されている。冷凍機油105は、圧縮機11の様々な条件での運転を保証するために、およそ200から250ml封入されており、高さでは、約20mmを占める。さらに、冷凍機油105と電動要素110が接触すると異常な入力増加となるため、接触しないための空間距離として約9mmが必要となる。
圧縮機11を冷蔵庫の天面23に積載した冷蔵庫では、圧縮機11がユーザーの耳の位置に近づくことから、圧縮機11の騒音も小さく抑えることがより重要なため、密閉容器103の剛性の向上が重要であり、信頼性向上の観点から、冷凍機油105の確保も重要である。これらのことから、板厚の7mm、曲率による13mm、曲率とオイルによる20mm、空間距離確保に必要な9mmを合わせて49mmが必要であり、この寸法を小さくすることは、特性上適切でない。
従って、圧縮機11の高さは電動要素110と圧縮要素113により概ね決まってくる。圧縮要素113は、気筒容積を小さくすることにより、ピストン136や連結手段137、シャフト130、軸受部135をコンパクトにすることが出来るが、気筒容積が小さくなると冷凍能力が小さくなる。本実施の形態では、小さい気筒容積で大きい能力を得るために、商用電源周波数(日本国内においては、50Hzまたは60Hz)よりも高い回転数で運転することで圧縮要素113をコンパクトにしている。より具体的には、気筒容積で約30%小さくてすむため、ピストン136の径が小さくて済み、シャフト130に作用する荷重も小さくなるので、シャフトの荷重を支える軸受部135の長さも短くすることが出来、電動要素110を圧縮要素113に近づけて構成することが可能となる。インバーターによる高回転をうまく利用することにより、発明者の設計では、5から10mmコンパクトにすることが出来ている。
なお、インバーター方式による電動要素110の複数の回転数の設定は、必ずしも日本国内における商用電源周波数(50Hzまたは60Hz)よりも高い周波数に相当する回転数を含んでいることを要件としない。
すなわち、複数定める周波数の上限を商用電源周波数(日本国内に限らず)を上回らない設定の組み合わせとして省エネルギー効果や静音効果を期待し、小型化に関しては、上述のインバーター化による電動要素110の厚み低減効果によって対応し、圧縮要素113の気筒容積のコンパクト化は敢えて採用しない組み合わせもある。
次に電動要素110は、図6の中心線より左側に示すように、インダクション電動機では、固定子180や回転子182の積厚H1及びH4が大きくないと圧縮機11の運転に必要なトルクが発生しない。これに対して、回転子111に永久磁石151を用いたインバーター電動機を用いることにより、回転トルクの発生に必要な励磁電流が必要でなくなるため固定子112の積厚L1や回転子111の積厚L4は低くすることが出来、電動要素110をコンパクトにすることが出来る。より詳しく説明すると、インダクション電動機は、回転子側(2次側)に電流を流さなければならず、この励磁電流を得るために、高い積厚が必要であるが、インバーター電動機は、2次側に磁石があるため、トルクを発生するための励磁電流が不要となり、積厚を低くすることが出来るのである。
さらに、電動要素110の固定子112の巻線162が、固定子鉄心161からはみ出す寸法は、分布巻における巻線183のはみ出し寸法H2、H3と比較すると、突極集中巻においては、巻線が離れたスロット間に渡ることが無く、一つ一つの突極部に集中して密に巻かれるので巻線がスロット間を渡ることによる巻線の盛り上がりが無くなるためL2、L3に示すように大幅に小さくなり、固定子112の全高がさがり、電動要素110をさらにコンパクトにすることが出来る。
またさらに、インバーター電動機の永久磁石151に希土類の磁石を用いると、一般的なフェライト磁石に対して、磁束密度が約4倍、エネルギー積で約10倍を有するなど磁気特性がすぐれ、小さくても十分な特性を得ることが出来る。従って、永久磁石151の高さL5や固定子L1の高さをさらに低くすることが出来、電動要素110をさらにコンパクトにすることが出来る。
また、本実施の形態においては、回転子111の圧縮要素113側には回転子凹部111aが形成されており、この回転子凹部111a内に軸受部135が延出しているので、本発明によると軸受部135の長さを短くすることがなく電動要素110と圧縮要素113とを高さ方向の投影面において重ねあわせて配置することで、電動要素110と圧縮要素113を含めた機械部全体の高さを大きく低減することができ、圧縮機の信頼性を低下させることなく圧縮機の高さをより低減することができる。
より具体的に説明すると、発明者の設計では、インダクション電動機では、固定子180の積厚が42mm、巻線183のコイルエンド高さH2、H3が25mm、回転子182の高さH4が65mmであるのに対し、インバーター電動機では、固定子112の積厚L1が26mm、同じく希土類磁石を用いた場合は、さらに低くL1が16mm、固定子112の巻線162のコイルエンド高さL2、L3は、突極集中巻を用いるとL2、L3が9mmとなる。また、回転子111の積厚は、35mm、希土類磁石を用いると20mmまで小さくすることが出来、インダクション電動機による圧縮機と比較すると、最大で58mm小さくすることが出来ている。
さらに、上記のように回転子111の圧縮要素113側には回転子凹部111aが回転子の高さ方向の半分以上の深さで形成されており、この回転子凹部111a内に軸受部135が延出しているので、回転子111の積厚を35mm、希土類磁石を用いると20mmまで小さくした上で、さらに軸受部135の延出代である10mm程度まで機械部の高さを小さくすることができるので、合計で25mm程度機械部全体の高さを低減することができる。
このように軸受部135の延出代を長くすることにより、全高を上げることなくシャフト130と軸受部135との摺動長を長くすることが出来、シャフト130に加わる圧縮荷重を小さくすることが出来るので、圧縮機の信頼性を向上することが出来る。
ところが、延出代を長くしていくと、回転子凹部111aの深さが大きくなるため、回転子111のシャフト130への固着代が短くなってしまう。
特に本実施の形態のように圧縮要素113が上部にあり、その下部に電動要素110が位置しているような配置の圧縮機においては、下部の電動要素110に備えられている回転子はシャフトとの間の固着力のみによって保持されている為、例えばインダクション電動機のように回転子の内部を電流が流れることで磁力を得るタイプの電動機を用いた場合には、運転時の回転子111の発熱が大きくなり、熱膨張によりシャフト130から回転子111が抜け落ちてしまうといった可能性があるため、回転子111のシャフト130への固着代を大幅に短くすることは信頼性の問題上できないが、発明者の検討によると、永久磁石151を用いた場合には、回転子111の内部を電流が流れずに永久磁石で磁力を得ている為に、発熱が大幅に小さくなっており、さらにインダクション電動機と比較して、高さが低くなることで重量が軽くなっているので、固着代を大幅に短くすることができる。例えば、固着代を回転子全高に対する20%以下である6mm程度にまで小さくしても固着力が十分あり、運転時の発熱や、輸送などによる振動や衝撃等で、回転子111がシャフト130から脱落してしまうようなことも無く、シャフト130と軸受部135の摺動長を長くとることによる信頼性の向上と、回転子111とシャフト130の固着力の確保を両立した上で、圧縮要素113と電動要素110からなる機械部全体の高さを低減することが出来る。
また、回転子111の固着代が短くなることにより、シャフト130の内部に設けた(図示せず)給油機構による給油能力を向上することが出来る。これは、軸受部135とシャフト130の摺動する最下端と、冷凍機油105との距離がシャフト130の給油のためのスパイラル溝まで冷凍機油105をあげる揚程であり、この揚程が大幅に短くなるためである。これによって、シャフト130と軸受部135との間の摺動部や、シャフト130を介して圧縮要素113の摺動部等への給油能力が向上することで、信頼性の向上が図れる。
特にこういった給油能力の向上は、本実施の形態のようなインバーター電動機の搭載によって圧縮機11をより低回転で運転する場合には、回転数の減少に比例して、シャフトの遠心力を用いて給油を行う際の給油能力の低下が問題となるが、このように給油能力を向上させることで、圧縮機11をより低回転で運転する場合であっても摺動部への冷凍機油105の安定供給を可能とする。
このように、回転子111の脱落防止と給油信頼性の向上を両立しながら、高さ方向の小型化を図るためには、回転子111に永久磁石を用いた上で、50HZの回転数において回転子111とシャフト130との固着代を変化させて給油量の確認実験を行った結果、回転子111とシャフト130との固着代が回転子全高の80%の場合と比較して、50%とした場合には、給油量が3%程度向上し給油量向上に対する一定の効果が得られ始め、さらに30%とした場合には給油量が5%程度向上し、15%の場合には、給油量が8%程度まで向上した。
さらに、インバータ圧縮機による低回転時における給油信頼性の向上を確認する為、20HZでの給油量の確認実験を行った結果、回転子111とシャフト130との固着代が回転子全高の80%の場合と比較して、50%とした場合には、給油量が5%程度向上し給油量向上に対する一定の効果が得られ始め、さらに30%とした場合には給油量が10%程度向上し、15%の場合には、給油量が15%程度まで向上した。
このように、軸受けを回転子内へ延出することで、給油のためのスパイラル溝まで冷凍機油105をあげる揚程を短くすることとなり、給油信頼性の向上が得られ、通常回転、低回転時共に50%以下とすることで、効果が得られ始め、望ましくは30%以下とすることで一定の効果代が得られる。また、さらに固着代を短くし、15%程度まで小さくなるとより一層効果が強まる一方で、回転子保持の信頼性の面で影響が出はじめるケースがあり、採用に際しては十分な確認が必要である為、固着代は極力15%を下回らないことが望ましく、10%以下とすると、回転子保持の信頼性が大幅に低下する為避けるべきである。
特に、低回転時においては、給油のためのスパイラル溝まで冷凍機油105をあげる揚程を短くすることが給油量の向上に対して非常に効果が大きい。近年では、冷蔵庫の省エネ化が進んでおり、省エネ化に効果を奏する低回転による圧縮機の運転が主流となりつつある。ただし、この低回転時においては、どうしても給油量が低下する為に、給油量の向上に対して圧縮機内部の給油構造において様々な工夫がなされている中で、本実施の形態のように固着代の短縮による給油量の向上という着眼点は圧縮機の全高の低減および重心を下げる効果に加えて、さらに低回転時の給油量向上効果も得られるといった複数の有益な効果を奏する技術である。
以上のように圧縮機11の頂部が箱本体1の天面23より低くなるように、圧縮機11の電動要素110を少なくとも商用電源周波数より高い周波数を含む複数の回転数で運転されるインバーター駆動の電動機とし、電動要素110の回転子111に永久磁石151を用いることで圧縮機11を小さく出来、圧縮機11を設置する凹部27の高さを小さく出来るので、冷蔵庫の下段の収納性を向上するとともに、凹部27の庫内の収納スペース側への凸部30bの出張りを小さくして見栄えを良くし、庫内の収納スペースが広くなり収納性も大幅に向上することが出来る。
また、圧縮機11の固定子112を構成する固定子鉄心161の複数の突極部171に絶縁体を介して巻線162を巻回した突極集中巻型とすることや永久磁石151に希土類磁石を用いることによりさらに圧縮機11を小さく出来、圧縮機11を設置する凹部27の高さを小さく出来るので、冷蔵庫の下段の収納性を向上するとともに、凹部27の庫内の収納スペース側への凸部30bの出張りを小さくして見栄えを良くし、庫内の収納スペースが広くなり収納性も大幅に向上することが出来る。
一方、本実施の形態の圧縮機11は、特に、圧縮要素113は圧縮室134と圧縮室134内で往復動するピストン136を備えた往復動型を採用しており、密閉容器103に対して圧縮要素113と電動要素110とがスプリング114を介して弾性的に支持されている。
上述のように、圧縮要素113と電動要素110との支持構造部以外の要素で圧縮機11の高さ低減を図ることにより、ロータリ圧縮機等と比較して低振動化を図りやすいものの、構造上、高さ寸法の大きさで圧縮機上部配置型の冷蔵庫には適用上の制限があった往復動型圧縮機であっても圧縮機全体の高さを低くすることが出来、圧縮機11を上部に配置する際に大きな課題となる振動を低減することが可能となるので、箱本体1に振動が伝達する懸念のある圧縮機上部配置型の冷蔵庫でも、使用者の不快感を取り除きながら圧縮機11を設置する凹部27の高さを小さくして冷蔵庫の下段の収納性を向上した使い勝手のよい冷蔵庫を提供することができる。
また、往復動型圧縮機は内部低圧型であって、電動要素110は密閉容器103内の下方に配設されるとともに密閉容器103に対して支持部材である支持部113aとスプリング114を介して弾性的に支持されており、圧縮要素113は電動要素110の上部に配設されるとともに密閉容器103に対して弾性的な形状からなる高圧配管である吐出管144を介して接続されているものであり、圧縮機の振動源である圧縮要素113を密閉容器103内の支持部材に対して電動要素部110を介して配置する為、圧縮要素113を直接的に弾性支持する場合と比べて弾性支持部からの距離をより遠くすることができ、また圧縮要素113で発生した振動は剛性が高い電動要素110の固定子を通過する際に減衰された上で圧縮機の支持部材から圧縮機の外部へ伝達する為、圧縮機の振動を低減することができる。
また、圧縮要素113内の高圧配管である吐出管144は弾性的な形状からなることで、圧縮要素113の振動は吐出管144によって減衰された上で圧縮機の外部へ伝達する為、圧縮機の振動をさらに低減することができる。
また、脚106は密閉容器103内に支持部材である支持部113aとスプリング114を介して弾性支持されるとともに、圧縮機の上下方向の重心Aと、圧縮機の脚106と弾性部材107との当接面106aとの距離Bが、圧縮機の上下方向の重心Aと支持部材の下端面113bとの距離Cよりも短くしており、これによって、圧縮機の振動の振幅は、重心A付近が最も小さく重心から離れるにつれて振動が大きくなるような重心まわりに圧縮機全体が振動することから、機械部を支持する支持部材の下面より重心に近い脚106と弾性部材107との当接面の振動の振幅が小さくなるので、さらに、冷蔵庫への振動伝達を低減できる。
また、回転子111に永久磁石151を用い、回転子111の高さを低くすることや、固定子112を突極集中巻型とすることで固定子112の高さを低くすること電動要素110全体の重心を低くすることができる。
また固定子112が分布巻の場合にはシリンダブロック133の固定子112への取り付け部から上方に巻線がはみ出していた為に、シリンダブロック133の脚部の寸法を巻線のはみ出し寸法以上にとる必要があったが、固定子112を突極集中巻型とすることで、シリンダブロック133の固定子112への取り付け部であるシリンダブロック133の脚部を短くすることが可能となり、圧縮要素の重心についても低くすることができる。
さらに、シリンダブロック133の軸受部135の回転子凹部111aへの延出代を長くすることで、シリンダブロック133をより下に下げ重心を低くすることができる。
このように、圧縮機内部の機械部の重心Aをより低くした上で、圧縮機の外部である密閉容器103に備えられた脚106と弾性部材107との当接面106をより上方に位置させることによって、重心Aと脚106と弾性部材107との当接面との距離Bがさらに小さくなり、圧縮機から冷蔵庫への振動伝達をさらに低減できる。
このことは、圧縮機を上部に配置するタイプの冷蔵庫においては、極力圧縮機の全高の小型化が要求される一方で、低振動、低騒音の両立が必須となる対象においては特に重要な点であり、圧縮機を小型化する為の要素は種々考えられる中で、内部構成面では、回転子111に永久磁石151を用いることで、シャフト130による回転子111の保持効果を維持しながら、軸受部135をより回転子内に延出させて内部高さの低減を図り、外部構成面では脚106の弾性部材107への載置面を立ち上げて、冷蔵庫への設置状態においても全高の小型化を図ることができ、低重心で支持安定性の高い低振動型小型圧縮機を実現できる。
また、本実施の形態によると圧縮機の脚と弾性部材との当接面106aは支持部材の下端面113bよりも上方に位置しているものであり、これによって、圧縮機の振動は振動発生源である機械部より下方に向かって支持部材を経て伝達した後、方向が上方へと変化し脚106を介して弾性部材107へと伝達する。よって、振動の伝達経路が複雑になるので振動は伝達経路内でより減衰され、さらに支持部材から圧縮機の脚106と弾性部材107との当接面106aまでの距離を長くとることができるので、特に周波数の高い領域の振動伝達が減衰され、脚106と弾性部材107との当接面106aの振動の振幅が小さくなるので、さらに、冷蔵庫への振動伝達を低減できることとなり、不快な振動や、振動に起因する騒音発生の無い高品位の冷蔵庫を提供することできる。
また、脚106は密閉容器103に固着する固着面106bと上方に立ち上がる曲げ部106cと、弾性部材を係止する弾性部材配置下面106dを有するものであり、これによって、脚は接合等の作業性の良い密閉容器103の下部の固着面106bに位置し、弾性部材を配置する面はより重心に近い弾性部材配置下面にすることが、曲げ部を簡単な脚の曲げにより形成することで出来、製造が非常に容易である。
また、脚106の密閉容器103に固着する固着面106bは、下容器101の支持部材113aの固着面である下端面113bよりも下側にあり、圧縮機の振動源である圧縮要素113の振動は、電動要素110を介して、さらに支持部材113aにより支持されたスプリング114も介して、密閉容器103の中でも、加振源からは最も離れた部位にある支持部材113aの固着面に伝達されるので、振動は大幅に減衰されている。
さらに、脚106は、固着面から略水平方向に伸びた後、曲げ部106cの形成により鉛直上方に立ち上がり、もう一度、略水平方向に曲がった後、弾性部材配置下面106dが形成されるので、弾性部材107との当接面106aまでは、振動の伝達経路が複雑かつ長くなり、振動伝達が減衰される。さらに、弾性部材107は、弾性部材配置下面106dがより圧縮機の上下方向の重心Aに近い部位にあるとともに、弾性部材107の長さも十分に取れるので、弾性部材107でも振動が十分に減衰でき、冷蔵庫への振動伝達を十分に低減出来ることとなり、不快な振動や振動に起因する騒音発生の無い、高品位な冷蔵庫を提供することが出来る。
また、曲げ部106cの形成により、脚106の密閉容器103への固着面から、弾性部材107を配置する弾性部材配置下面までの距離を長くとることが可能となり、固着面106bからの振動伝達の距離が長くなるので、特に周波数の高い領域の伝達が減衰され、より冷蔵庫への振動伝達をすくなくすることが出来る。従って、製造が容易で、冷蔵庫への振動伝達を低減できることとなり、不快な振動や、振動に起因する騒音発生の無い高品位の冷蔵庫を提供することが低コストで達成できることとなる。
さらに脚106に曲げ部106cと弾性部材配置下面106dにまたいで延在するリブ106eを設けたことで、脚106の剛性が高くなり、脚106自体が持つ固有値が上がるとともに、脚106自体が振動しにくくなるので、密閉容器103の固着面から脚を経て弾性部材、冷蔵庫本体への振動伝達をより減少することが出来る。また、リブの形成は、製造の容易なプレスにより可能であり、脚の強度が高くなるので、冷蔵庫の輸送衝撃により、脚が変形してしまうといった別課題も改善することが出来る。
従って、製造が容易で、冷蔵庫への振動伝達を低減できることとなり、不快な振動や、振動に起因する騒音発生の無い高品位の冷蔵庫を提供することが低コストで達成できることとなる。
以上のように、圧縮機11の高さ方向の小型化要素としては、大きく区別して電動要素110により対応する観点と圧縮要素113により対応する観点があるが、これらの両要素を共に採用するか、いずれかの要素に留めるかは高さ低減の要求値と他の特性や品質上の観点とのバランスで選択すればよい。
たとえば、比較的高精度の耐久信頼性が要求されず騒音,振動の大きな要因にはなりにくい電動要素110に纏わる高さ低減要素を主体として構成する方法は、圧縮機11を上部配置する構成においては騒音,振動への影響を抑えながら小型化を図れる面で有利な点がある。
一方、圧縮要素113のコンパクト化により目的を達成しようとする場合は、低コスト化による小型化実現の期待もでき、コストパフォーマンス的に有利な点がある。
また、上述のように圧縮機11を冷蔵庫の箱本体1の上部に配置して、使用者の耳に近い位置となる以上、従来の冷蔵庫に増して騒音や振動に対する配慮が必要であり、圧縮機11の高さ低減による小型化が、冷蔵庫としての騒音,振動に影響を及ぼさないような小型化要素の組み合わせが肝要であり、電動要素110,圧縮要素113を支持する構造や密閉容器103を支持する構造に騒音,振動を抑制方向としながら高さ低減を図る工夫を取り入れたり、騒音,振動に悪影響の生じる単なる高さ低減の設計を敢えて組み入れない配慮も有効である。
次に、冷蔵庫の最上段収納スペース29aと第2段収納スペース30aに着目すると、最上段収納スペース29aの奥は手が届きにくい場所であり、凸部30bで最上段収納スペース29の奥側が塞がれても使い勝手としては、奥行きが浅くなり、手の届く範囲に食品等の収納物があるので、消費期限を過ぎて置き忘れてしまうことを防止でき、使い勝手は逆に良くなる。一方、凸部30bが第2段収納スペース30a側に出張ってくると冷蔵室回転扉5を開けた時に凸部30bが目立ち、見栄えが悪くなるとともに、第2段収納スペース30aの奥に食品等を収納または取り出す際、途中で食品等がつかえて出し入れがしづらくなるような不便があるが、最上段収納スペース29aの棚底部30dと、凹部27の室内側底壁面である凸部30bの水平面とを、略同一水平面とすることによって、外観的にほぼ連続的につながって凸部30bの出張りを感じなくなり見栄えがよい状態で、圧縮機11も所定の凹部27内に収容することができる。
また、凸部30bの出張りを感じなくなり見栄えが良くなるとともに、第2段収納スペース30aの間口の高さより低い食品等の収納物は、奥までスムーズに出し入れが出来、不便が無くなる。
より具体的に寸法を見ると、最上段収納スペース29aの棚底部30d迄の天面23からの距離は、天面23と庫内との断熱壁厚を25mm、最上段収納スペース29aの高さを140mm(庫内最上部なので、高さ123mm,直径66mmの350ml缶飲料の規格品を斜めに倒して引き出すことまでを考慮して取り出せる寸法を定めた場合が140mmとなる)とし、棚板厚みを10mmで設計すると、175mmとなる。凹部27の圧縮機11の設置面28bの厚みを20mm、圧縮機11と設置面28bの隙間及び天面カバー34内面との隙間を各3mm、天面カバー34の厚みを2mmとして、最上段収納スペース29aの棚底部30dと、凹部27の室内側底壁面30cを、略同一水平面とすると、凹部27内に収容可能な圧縮機11の最大高さは147mmである。
これに対して、より具体的に圧縮機11の寸法を見ると、密閉容器103の下容器101と上容器102の厚みの合計が7mm、上容器102の曲率を得るための高さが14mm、シリンダブロック133の圧縮室134のある上部分が39mm、軸受部135のある側の固定子112取り付け面までの寸法が20mm、固定子112の高さが26mm、固定子112の下端から回転子111の下端までの寸法が9mm、回転子111の下端から冷凍機油105までの距離が9mm、冷凍機油105の高さが20mmで、これらを合計すると、144mmであり、本実施の形態における前述の凹部27内の高さスペースに収容することが出来ている。
このように、従来標準的な容量の冷蔵庫におけるこの種の圧縮機の高さ寸法が概ね190mm以上であることから、大きな高さ寸法の小型化が図れる。特に、商用電源より高い周波数を含む複数の回転数で運転される回転子111に永久磁石151を用いたインバーター電動機を用いることにより、圧縮機11の圧縮要素113や電動要素110を適切な寸法で構成することが出来て、密閉容器103の騒音を良好に保つための剛性を保ちながら、圧縮機11を所定の凹部27内に収容することができ、凹部27の室内側底壁面である凸部30bの水平面とを、略同一水平面とすることによって、外観的にほぼ連続的につながって凸部30bの出張りを感じなくなり見栄えのよい冷蔵庫を提供できる。
さらに、高さ方向の小型化要素を電動要素110の改良を主体として取り入れることによって、圧縮要素113の仕様変更に伴う騒音,振動面の信頼性確保の課題が軽減されるので、特に、圧縮機11を冷蔵庫上部に配置して騒音,振動が懸念される形態の冷蔵庫に対しては騒音,振動の課題を解決しながら高さの小型化を図れる有効な手段となり得る。
なお、本実施の形態では箱本体1の地上高、すなわち天面23の床面からの高さを1800mm以下としている。この高さは標準的な身長の日本人女性が上方に手を伸ばして届く範囲の最大高さより設定している。
天面23の床面からの高さが1800mmより高くなれば、圧縮機11の高さ寸法を大きくコンパクト化しなくても凹部27内に収容することが容易になってくるが、反面冷蔵庫上部の使い勝手は一層悪くなり、冷蔵庫全体としての収納効率と使い勝手を両立させにくくなる。
本実施の形態では天面23の床面からの高さを1800mm以下に抑えることで、まず庫内の使い勝手に配慮し、ついでこの高さ範囲で圧縮機11の高さ寸法を極力コンパクト化することで、庫内側の有効スペースの侵害を抑えるメリットが最大限に生かせ、収納効率を最大限に高めることができるものである。
(実施の形態5)
図20は、本発明の実施の形態5における冷蔵庫の概略断面図である。
なお、実施の形態4と同一構成については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
また、実施の形態4と共通する構成や作用効果については逐一述べないが、本実施の形態に適用して不合理が生じる事項でない限り、同様の内容が含まれているとするものである。
図において、箱本体1の天面200の直下には、凹部27に連通する通風ダクト201を設け、通風ダクト201の下面202より高く、天面200より低い位置に圧縮機11の頂部203がくるように圧縮機11を凹部27の設置面28bに設置している。通風ダクト201の上部には、凝縮器204が配置されており、凝縮器204は、吐出配管31に連通している。通風ダクト201の天面200は、凹部27の天面カバー34の上の面と略同一水平面、あるいは一体に構成している。また、通風ダクト201は、取入口205から空気を吸込み、凝縮器204、圧縮機11を設置した凹部27を通って、天面カバー34の排出口206から排気している。
以上のような構成において、圧縮機11の頂部が箱本体1の天面200より低く、通風ダクト201の下面202よりも高い位置に配置されるので、圧縮機11を収容する凹部27の庫内側への出張り代、すなわち凸部30bの突出代が小さくなり庫内スペースをより有効に活用できる。
また、通風ダクト201の高さと凹部27の高さを併せた高さ範囲内に圧縮機11の高さが収まるように設計すればよいので、たとえば大型の冷蔵庫などで、実施の形態1による小型化の要素は種々盛り込んでも、さらに、冷凍能力的に比較的サイズの大きい圧縮機を採用せざるを得ない場合においては、設計の自由度を広げることができ、大型の冷蔵庫においても圧縮機11を天面後方に納めた収納性の高い冷蔵庫を提供することが容易になる。
一方、圧縮機11の冷却に必要な通風ダクト201は、冷蔵庫の庫内で手が届きにくい天面200に配置されるので、天面200の近傍を収納用途以外に有効利用できる。また、圧縮機11の頂部203が箱本体1の天面200より低く、通風ダクト201の下面202よりも高い位置に配置されるので、圧縮機11の頂部が、通風ダクト201の通風方向の投影面内に配置されることになって、圧縮機11で最も温度が高い頂部203が効率よく冷却され、圧縮機11の特性、信頼性も向上する。またさらに、凝縮器204を通風ダクト201の内部に構成することによって、凝縮器204の放熱効果が高まり、システムの効率を向上することが出来る。
次に、冷蔵庫の最上段収納スペース29aと第2段収納スペース30aに着目すると、最上段収納スペース29aの奥は手が届きにくい場所であり、凸部30bで最上段収納スペース29aの奥側が塞がれても使い勝手としては、奥行きが浅くなり、手の届く範囲に食品等の収納物がくるので、消費期限を過ぎて置き忘れてしまうことを防止でき、使い勝手は逆に良くなる。一方、凸部30bが第2段収納スペース30a側に出張ってくると冷蔵室回転扉5を開けた時に凸部30bが目立ち、見栄えが悪くなるとともに、第2段収納スペース30aの奥に食品等を収納するまたは取り出す際に、途中で食品等がつかえて出し入れがしづらくなるような不便があるが、最上段収納スペース29aの棚底部30dと、凹部27の室内側底壁面で30cを、略同一水平面とすることによって、外観的にほぼ連続的につながって凸部30bの出張りを感じなくなり見栄えがよい状態で、圧縮機も所定の凹部27内に収容することができる。
なお、この略同一水平面とは、凹部27の室内側底壁面30cと、最上段収納スペース29aの棚底部30dとを略同一水平面とする場合や、凹部27の室内側底壁面30cと、最上段収納スペース29aの空間下端部である棚の上側とを略同一水平面とする場合があり、凹部27の室内側底壁面30cの付近に最上段収納スペース29aを形成する棚を位置させることによって外観的にほぼ連続的につながって凸部30bの出張りを感じなくなり見栄えがよい状態で、圧縮機も所定の凹部27内に収容することができるという効果が得られる。
また、第2段収納スペース30aの間口の高さより低い食品等の収納物は、奥までスムーズに出し入れが出来、不便が無くなる。
そしてさらに、最上段収納スペース29aは高い位置にあり、収納しづらいため、出来るだけ収納部の高さを低くするために、350ml缶飲料の規格品(高さ123mm)が収納可能な最小高さにすると最上段収納スペース29aの収納部高さは上部に隙間2mmをみて125mmに設定することが最も効率的に庫内を利用できることとなる。
図に示す冷蔵庫において、より具体的に寸法を見ると、最上段収納スペース29aの棚底部30dから通風ダクト201を含めた天面200及び天面カバー34の上面迄の距離は、通風ダクト201を形成する天面200の板厚を2mmとし、通風ダクト201の内寸高さを18mm、通風ダクト201の下面202と庫内との断熱壁厚を25mm、最上段収納スペース29aの高さを350mlの缶飲料規格品が入る最小の高さの125mmとし、棚板厚みを10mmで設計すると、180mmとなる。凹部27の圧縮機11の設置面28bの厚みを20mm、圧縮機11と設置面28bの隙間及び天面カバー34内面との隙間を各3mm、天面カバー34の厚みを2mmとして、最上段収納スペース29aの棚底部30dと、凹部27の室内側底壁面30cを、略同一水平面とすると、凹部27と通風ダクト201を併せた高さ内に収容可能な圧縮機11の最大高さは152mmであり、実施の形態1で示した高さ寸法144mmの圧縮機11を用いると収容設計することが十分に出来、冷蔵庫の大型化に対応して圧縮機サイズを大型化する要請にも応えやすい構成となる。
また、実施の形態1で示した高さ寸法144mmの圧縮機11を用いた上で、弾性部材の高さが20mm以上とった場合でも、圧縮機の脚部を上方に立ち上げることで、上容器の頂部までの高さが155mm以下とすることができ、これによって、機械室の高さ方向に制限のあるタイプの冷蔵庫においても、低振動、低騒音を実現した上で搭載できる圧縮機を提供することができ、さらに弾性部材の高さを十分にとることができるのでより低騒音の圧縮機を実現することができる。
すなわち、圧縮機11の庫内側に食い込んだ収容スペースと最上段の収納スペースとの外観上の調和を図り、通常使い勝手が悪いことから、比較的収納場所として空いている最上段収納スペース29aのうち特に使い勝手の悪い後方スペースを圧縮機収容凹部27にあて、比較的使いやすい前方スペースに、冷蔵庫に収納される食品の中で、一度に複数個収納されることが多い缶飲料を、縦に並べて収納することが出来るので、冷蔵室全体の収納数も多くなり、最上段収納スペース29aも有効に活用できることになる。
以上のように、凹部27に連通する通風ダクト201が箱本体1の天面200となるように設け、圧縮機11の頂部203が箱本体1の天面200より低く、通風ダクト201の下面202よりも高くなるようにすることによって、圧縮機11等の冷却に必要な通風ダクト201が、手が届きにくく使い勝手の悪い天面200の近傍に配置されるので、天面200の近傍を収納用途以外に有効利用でき、庫内の収納性も向上する。また、圧縮機11の頂部203が箱本体1の天面200より低く、通風ダクト201の下面202よりも高い位置に配置されるので、圧縮機11で最も温度が高い頂部203が効率よく冷却され、圧縮機11の特性、信頼性も向上する。
(実施の形態6)
図21は、本発明の実施の形態6における冷蔵庫の概略図を示すものであり、図22は同実施の形態における冷媒と冷凍機油の溶解度曲線図である。
冷蔵庫本体601には、比較的高温の区画である冷蔵室602が上方部に、比較的低温の区画である冷凍室604が下方部に配設されており、所謂ボトムフリーザーの形態を有している。冷蔵室602および冷凍室604は例えばウレタンのような断熱材で周囲と断熱して構成されている。また、食品等の収納物の出し入れは図示しない断熱ドアを介して行われる。
冷蔵室602は冷蔵保存のために通常1〜5℃で設定されているが、保鮮性向上のため若干低めの温度、例えば−3〜0℃で設定されることもあり、収納物によって、使用者が自由に上記のような温度設定を切り替えることを可能としている場合もある。また、ワインや根野菜等の保鮮のために、例えば10℃前後の若干高めの温度設定とする場合もある。
冷凍室4は冷凍保存のために通常−22〜−18℃で設定されているが、保鮮性向上のためより低温の温度、例えば−30〜−25℃で設定されることもある。
冷蔵庫本体601の上面に機械室11が構成されており、機械室611の底面は第一の天面部613と、冷蔵庫外箱の背面614側の第一の天面部613より低い位置に設けた第二の天面部615とで段差状に構成されている。凝縮器616は第一の天面部613の上方空間部に、圧縮機612は第二の天面部615の上方空間部に配設されており、凝縮器616と圧縮機612とを覆う樹脂製のカバーである機械室カバー617がビス等で冷蔵庫本体1に固定されている。
ここで、蒸発器609は冷凍室604の後方に配置されているので、圧縮機612と蒸発器609の高さ方向の関係は、冷蔵庫本体601の天面の一部に圧縮機612が配置され下部近傍の一部に蒸発器609が配置される関係となり、蒸発器609から圧縮機612への冷凍サイクル内での冷媒の帰還経路は高さ方向に相当な立ち上がり距離を有する関係となっている。
冷凍サイクル618は、圧縮機612と凝縮器616と減圧器であるキャピラリー619と蒸発器609とを順に備えた一連の冷媒流路から形成されている。
この圧縮機612はピストンがシリンダ内を往復動することで冷媒の圧縮を行う往復動型圧縮機である。
また、機械室611の区画は第一の天面部613と第二の天面部615と機械室カバー617とで構成されている。
なお、冷蔵庫本体601には、三方弁や切替弁を用いる冷凍サイクル618の場合は、それらの機能部品が機械室611内に配設されている場合もある。
また、本実施の形態では冷凍サイクル18を構成する減圧器をキャピラリー619としたが、パルスモーターで駆動する冷媒の流量を自由に制御できる電子膨張弁としてある場合もある。
以上のように構成された冷蔵庫において、以下その動作、作用を説明する。
圧縮機612の動作により吐出された高温高圧の冷媒は、凝縮器616にて冷蔵庫本体601の上方の空気と熱交換して放熱するとともに凝縮液化し、キャピラリー619に至る。その後、キャピラリー619でサクションライン620と熱交換しながら減圧されて蒸発器9に至る。
冷却用ファン(図示せず)の作用により、蒸発器609内の冷媒の蒸発作用により比較的低温となった冷気は冷蔵室602と冷凍室604に流入し、それぞれの部屋の冷却が行われる。蒸発器609内で、庫内の空気と熱交換した冷媒はその後サクションライン620を通り、冷凍機油とともに圧縮機612へと吸い込まれる。
このように冷凍サイクル618を、圧縮機612を蒸発器609より上方に配設する構成とする時、特に、本実施の形態のように圧縮機612が冷蔵庫本体1の天面の一部に配置され、蒸発器が冷蔵庫本体601の下部近傍に配置されて、蒸発器609から圧縮機612への冷媒の帰還経路の立ち上がり距離が大となる場合には、圧縮機612から冷媒とともに冷凍サイクル618内に吐出され蒸発器609内の特に図示しないアキュームレーターに滞留する冷凍機油を、いかにサクションライン620を通じて圧縮機612へ戻すかが圧縮機612の信頼性にかかわる重要なポイントとなる。
また、立ち上げ配管内の冷凍機油の戻り特性に関しては、冷凍機油の粘度の影響も考えられるが、配管内の冷媒の流速がより大きく依存するということが広く知られている。
しかしながら、冷媒の流速を確保するために圧縮機612の気筒容積を大きくしたり、圧縮機612の回転数を上げたりして、冷凍能力を増大することによって冷媒の流速を確保しようとすると蒸発器609の蒸発温度低下を招き、圧縮機612の圧縮比が大きくなり消費電力量が増大するので、これらの手段で解決することは困難であった。
そこで、本実施の形態では冷凍サイクル618の冷媒として炭化水素系冷媒である例えばイソブタンを使用している。
(表1)にイソブタンと、従来の代替フロン冷媒である例えばR134aとの−30℃の飽和液における物性値を示す。
(表1)に示すように、イソブタンの単位体積当たりの冷凍能力が520.8kJであるのに対して、従来の代替フロン冷媒であるR134aの単位体積当たりの冷凍能力は971.6kJとなり、イソブタンはR134aと比較すると単位体積当たりの冷凍能力が約1/2である。よって、圧縮機612の冷凍能力を従来のR134aと同等とするために、圧縮機12の気筒容積は約2倍程度にまで大きくなり、圧縮機612の単位時間当たりのピストン押しのけ量も同様に約2倍程度まで増大する。すなわち、冷媒の単位時間当たりの体積流量が増大するので、圧縮機612運転時の配管内の流速が2倍程度まで増加する。
また、自然冷媒であるCO2の単位体積当たりの冷凍能力は11258.5kJとなり、イソブタンはCO2と比較すると単位体積当たりの冷凍能力が約1/20である。よって、圧縮機12の冷凍能力をCO2と同等とするために、圧縮機612の気筒容積は約20倍程度にまで大きくなり、圧縮機612の単位時間当たりのピストン押しのけ量も同様に約20倍程度まで増大する。すなわち、冷媒の単位時間当たりの体積流量が増大するので、圧縮機12運転時の配管内の流速が20倍程度まで増加する。
これにより、圧縮機612を蒸発器609の上方に配設した場合においても、蒸発器609内に滞留した冷凍機油を速やかに圧縮機612へ戻すことが可能となり、圧縮機612内の冷凍機油不足による、圧縮機612の損傷等の危険性を低減できる。
また、蒸発器609内に滞留した冷媒は、除霜用ヒーター(図示せず)の作用により蒸発器609の除霜を行う際にも、冷媒のサーモサイフォン効果により冷媒とともに圧縮機612へと戻される。しかしながら、圧縮機612を蒸発器609の上方に配設し、立ち上げ配管であるサクションライン620の全長が長くなる場合は特に、冷凍機油への冷媒の溶解度が小さいと冷媒とともに圧縮機612へと運ばれる冷凍機油の戻り量が減少するといった課題もあった。
そこで、冷凍サイクル618の冷凍機油としてはイソブタンと相溶性がいい鉱油を使用している。
図22は、従来の例えばR134aとエステル油を組み合わせた場合と、本実施の形態のイソブタンと鉱油を組み合わせた場合との溶解度曲線を比較したものである。横軸は蒸発器609内の冷媒の温度(蒸発温度)であり、縦軸は冷凍機油に溶け込む冷媒の溶解度(質量%)である。これによれば蒸発器609内の蒸発温度の上昇に伴っていずれの場合も溶解度は大きくなるが、その差は蒸発温度が高くなるほど広がることがわかる。通常蒸発器609の除霜は、蒸発器609に付着した霜の融解後、安全を見越して蒸発器609が約10℃となるまで行われる。そこで、蒸発器609の温度が10℃であるポイントで比較すると、イソブタンと鉱油を組み合わせた場合の溶解度はR134aとエステル油を組み合わせた従来の場合と比較して約50%程度まで大きくなる。
これにより、圧縮機612を蒸発器609の上方に配設し、立ち上げ配管であるサクションライン620の全長が長くなる場合でも、除霜時に冷媒のサーモサイフォン効果を利用して冷媒とともに蒸発器609から圧縮機612へ戻る冷凍機油の戻り量を増加できる。
なお、圧縮機が内部高圧型場合は密閉容器の内部空間に散霧している冷凍機油が吐出冷媒と共に圧縮機外へ吐出される為、本実施の形態の圧縮機612は内部低圧型とし、これによって、圧縮機612から冷凍サイクル618内へ吐出される冷凍機油の量を押さえることができるので、冷凍機油の戻り性に関わる冷媒配管中の冷凍機油の滞留絶対量を低減でき、圧縮機612内の冷凍機油不足による、圧縮機612の損傷等の危険性をさらに低減でき、さらに冷媒配管中の滞留冷凍機油による蒸発器609や凝縮器616などの熱交換器の効率低下を抑制することもできる。
また、冷蔵庫本体601を構成する例えばウレタンの熱伝導率低減や、真空断熱材の適用等により冷蔵庫本体601の断熱性能が向上し、圧縮機612を低能力化する必要性が生じた場合でも、上述のように、イソブタンと鉱油と内部低圧型圧縮機612の組み合わせにより、圧縮機612内に必要な冷凍機油を確保することが容易となる。
また、本実施の形態においては、圧縮機としてピストンがシリンダ内を往復動することで冷媒の圧縮を行う往復動型圧縮機を用いている為、回転式圧縮機と比較してピストンとシリンダ間のクリアランスを比較的高い精度で管理することが可能である。よって、ピストンとシリンダ間をシールする為に冷凍機油を多量に用いなくても充分なシール性を確保することができ、シリンダを経由して吐出される冷媒と共に吐出される冷凍機油の量も低減することができるので、圧縮機から吐出される冷凍機油の量を低減でき、圧縮機12内の冷凍機油不足による、圧縮機12の損傷等の危険性をさらに低減できる。
なお、イソブタンと鉱油と内部低圧型圧縮機の組み合わせによる上述の効果により、圧縮機612を蒸発器609の上方に配設した場合の、圧縮機612と蒸発器609の距離を遠ざけても、例えば本実施の形態のように圧縮機612が冷蔵庫本体601の天面の一部に配置され、蒸発器が冷蔵庫本体601の下部近傍に配置されて、蒸発器609から圧縮機612への冷媒の帰還経路の立ち上がり距離が大となる場合にも冷蔵庫の信頼性を充分に確保することが可能となる。
これにより、冷蔵庫本体601に温度体の異なる複数の貯蔵室を設けた場合に、蒸発器609を最上段の貯蔵室以外の貯蔵室に設けることが可能となり、圧縮機612の運転時に高温となる圧縮機612や凝縮器616等から蒸発器609を遠ざけることにより、高温部からの排熱影響による蒸発器609の冷却ロスを低減でき、蒸発器609の冷凍能力を最大限に利用できるので消費電力量を低減できる。
(実施の形態7)
図23は、本発明の実施の形態7における冷蔵庫の概略断面図を示すものであり、図24は同実施の形態における冷蔵庫の概略背面図を示しており、図25は同実施の形態における冷蔵庫の概略部品展開図を示しており、図26は同実施の形態における冷蔵庫の吸入配管要部概略斜視図を示しており、図27は同実施の形態における冷蔵庫に搭載する圧縮機の概略断面図を示しており、図28は同実施の形態における冷蔵庫の運搬状態の概略断面図を示しており、図29は同実施の形態における冷蔵庫運搬時の圧縮機の概略断面図を示している。
図において断熱箱体701はABSなどの樹脂体を真空成型した内箱713とプリコート鋼板などの金属材料を用いた外箱714とで構成された空間に発泡充填する断熱体715を注入してなる断熱壁を備えている。断熱体715はたとえば硬質ウレタンフォームやフェノールフォームやスチレンフォームなどが用いられる。発泡材としてはハイドロカーボン系のシクロペンタンを用いると、温暖化防止の観点でさらによい。
断熱箱体701は複数の断熱区画に区分されており上部を回転扉式、下部を引出し式とする構成をとってある。上から冷蔵室702、並べて設けた引出し式の切替室716および製氷室717と、引出し式の野菜室703と引出し式の冷凍室704となっている。各断熱区画にはそれぞれ断熱扉がガスケット718を介して設けられている。上から冷蔵室回転扉705、切替室引出し扉719、製氷室引出し扉720、野菜室引出し扉706、冷凍室引出し扉707である。
冷蔵室回転扉705には扉ポケット721が収納スペースとして設けられており、庫内には複数の収納棚722が設けられてある。また冷蔵室702の最下部には貯蔵ケース723が設けてある。
また、断熱箱体701の外箱714は、天面奥部が切りかかれた鋼板をU曲げしたシェル724と底面パネル725と背面パネル726と天面後方を窪ませた凹み部727を構成する機械室パネル728とをシール性を確保して組み付けられて構成されている。機械室パネル728は鋼板の絞り加工により成型されており、加工性の向上のためにコーナー部はR形状がとられている。このR形状により発泡充填する断熱体715の分岐もしくは合流部の流路が確保されて流動性が良化され、充填不足によるボイドの発生などを防止できる。
なお、機械室パネル728は圧縮機711の配置部が最も深く、左右端に向かうに従って絞りが浅い形状とすることでも発泡充填する断熱体715の分岐もしくは合流部の流路が確保されて流動性が良化される。
さらになお、機械室パネル728は絞り加工としたので発泡充填のためのシール部が少なくてすむので工数的に有利であるし、また、板金加工により同様の形状を構成するならば絞り金型費用が少なくて済むうえに、絞りしわのない仕上げと寸法精度を上げることが可能である。
また、機械室パネル728は複数の空気抜き穴(図示せず)が各面に設けられており、外観および内観を阻害することなく残留空気によるボイドの発生や変形を防止することができる。
また、底面パネル725と背面パネル726には指先を引っ掛けることが可能な窪みからなる取っ手が設けられている。底面取っ手729は底面前方から中央にかけての位置で、前方から指先をかけられるよう二箇所に所定の間隔を置いて設けられている。背面取っ手730は背面パネル726の最上部のなるべく高い場所で上向きに指先をかけられるよう二箇所に所定の間隔を置いて設けられている。
また、内箱713は外箱714より一回り小さく、背面奥部が内側に凹んだ構成となっており、外箱714の中に組み入れることで断熱体715が発泡充填される空間が断熱箱体701に形成される。したがって、機械室パネル728の左右部も断熱体715が発泡充填されて断熱壁が構成され、強度確保される。さらに底面取っ手729や背面取っ手730も発泡充填された断熱体715により強度が確保される。
また、冷凍サイクルは凹み部27に弾性支持して配設した圧縮機711と、圧縮機711の近傍に設けた機械室ファン731と、シェル724の天面や凹み部727や底面パネル725下部やシェル724の側面などに設けた凝縮器(図示せず)と、減圧器であるキャピラリ732と、水分除去を行うドライヤ(図示せず)と、野菜室703と冷凍室704の背面で冷却ファン708を近傍に配置して設けた蒸発器709と、吸入配管733とを環状に接続して構成されている。
凹み部727はビスなどで固定された天面カバー734が設けられており、凹み部727に設けられた圧縮機711や凝縮器(図示せず)や機械室ファンやドライヤや配管などを収納してある。
キャピラリ732と吸入配管733は、おおむね同等の長さの銅管であり、端部を残して熱交換可能にはんだ付けされている。キャピラリ732は減圧のため内部流動抵抗が大きい細径の銅管が用いられており、その内径は0.6ミリから1.0ミリ程度で長さとともに調節して減圧量を設計する。吸入配管733は圧力損失を低減するために大径の銅管が用いられており、その内径は6.35ミリから7.94ミリ程度で設計されている。また熱交換部735の長さを確保するために、蛇行させてコンパクトにまとめて、冷蔵室702の背面に蛇行部がくるようにして、内箱713と背面パネル726との中間に配置され断熱体715に埋設される。キャピラリ732と吸入配管733は、一方の端部を内箱713の野菜室703後方位置から突き出し蒸発器709と接続されており、他方の端部を機械室パネル728の淵に設けた切欠部(図示せず)から上方に突き出してドライヤ(図示せず)や凝縮器および圧縮機711と各々接続されている。
なお、比較的温度の高い野菜室703の後方から配管を庫内に出し入れするので、配管出し入れによる侵入する熱量の増加影響が小さく手済み省エネに効果がある。
また、吸入配管733はオイル流出防止トラップ736が圧縮機711との接続部近傍に設けられており、凹み部727に収納されている。組立て作業性やサービス作業性を向上させることを狙いに、配管の密集度を軽減し、後方から配管接続部を目視できるようにするために、圧縮機11の配管接続部は背面側に面して圧縮機の左右に振り分けて配置されている。
吸入配管733は、圧縮機711の背面側下方部から側方に若干の上り勾配を設けて直進させた後、略垂直方向に圧縮機711の垂直方向中心線より高くかつ圧縮機711の高さより低い位置まで立ち上がり部を設ける。凹み部727を最小とし、冷蔵室庫内へのでっぱりを最小とするために圧縮機711の小型化と圧縮機周辺壁面との空間はできるだけ小さくすることが必要であり、上下方向に関しては圧縮機711の高さ以下に配管高さを設定することで配管の壁面接触防止を図ることができる。
さらに吸入配管733は垂直方向立ち上げ後、断熱箱体701の前方向に向って設けられた配管U曲げ部737で構成されたオイル流出防止トラップ736を設けてあり、配管U曲げ先端は圧縮機の平面方向中心線よりも断熱箱体の前方側に位置してある。圧縮機711は天面に向って曲率をもつ形状となっているために、圧縮機711の上方で配管曲げ部737を構成するとスペース的に余裕があり、配管収納空間を余分に取らず小型化が可能である。また、配管U曲げ部737を設けることで配管の弾性を持たせることができ、圧縮機711からの振動伝播を吸収し、配管固定部における応力集中を防ぎ配管破損の危険性を軽減できる。
吸入配管733はU曲げ後、略垂直方向に曲げられて機械室パネル728の背面端部から断熱体715内に埋設されている。
また、圧縮機711内部の構造について説明する。
図25において、2ミリから4ミリの厚手の鋼板を深絞り成形してなる鉢形状の下シェル738と逆鉢形状の上シェル739を組み合わせて重なりあった部分であるシェル接合部740aの周囲を溶接接続した密閉構造の圧縮機シェル740の内部に弾性体741で弾性支持された回転駆動部742と圧縮部743とを備え、圧縮機シェル740内部に端部を開放した吸入配管733と、吐出配管744で冷凍サイクルを構成する他の機器と接続されており、所定量のオイル745と冷媒(図示せず)が封入されている。また、下シェル738の下方部には断熱箱体701との弾性支持するための支持部746が取り付けられている。なお、支持部746は弾性支持部材の厚みを確保するための逃がしが一段の段差により設けられている。
回転駆動部742はモーター747と軸受け部748からなり、モーター747は電圧印加されて永久磁石との間に回転力を発生させる中空円柱状電磁コイルを有するステーター749と、ステーター749内部の中空部にあって微小隙間で相対させた永久磁石を有するローター750とからなり、軸受け部748は端部に偏芯シャフト751を備え、内部を両端開放中空とし、周囲に螺旋状の溝(図示せず)と内部連通する噴出穴を設けたシャフト752と、シャフト752を回転自在に保持する軸受け753で構成される。
圧縮部743は、先端にバルブ機構(図示せず)を備えたシリンダヘッド754を設けたシリンダ755と、ピストン756と、ピストン756と偏芯シャフト751とに揺動自在に取り付け回転動作を直線往復動作に変換するロッド757とで構成されている。圧縮された冷媒が直接圧縮機シェル740外部へと吐出されるようにシリンダヘッド754には吐出配管744がバルブ機構を介して接続されており、また吸入部はバルブ機構を介して圧縮機シェル740内部に開放されている。特に消音のために、吸入経路はシリンダヘッド754と機械室シェル740の吸入ガス経路間に消音マフラー(図示せず)が配設されている。
なお、吸入配管733は圧縮機シェル740の内壁面に対して開口端が面一となるように配置されており、圧縮機711の小型化を行っている。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作、作用を説明する。
まず各断熱区画の温度設定と冷却方式について説明する。冷蔵室702は冷蔵保存のために凍らない温度を下限に通常1〜5℃で設定されている。また、貯蔵ケース723は肉魚などの保鮮性向上のため比較的低めの温度、たとえば−3〜1℃で設定される。
切替室716はユーザーの設定により温度設定を変更可能であり、冷凍室温度帯から冷蔵、野菜室温度帯まで所定の温度設定にすることができる。また、製氷室717は独立の氷保存室であり、自動製氷装置(図示せず)を備えて、氷を自動的に作製、貯留するものである。氷を保存するために冷凍温度帯であるが、氷の保存が目的であるために冷凍温度帯よりも比較的高い−18℃〜−10℃の冷凍温度で設定されることも可能である。
野菜室703は冷蔵室702と同等もしくは若干高い温度設定の2℃〜7℃とすることが多い。凍らない程度で低温にするほど葉野菜の鮮度を長期間維持することが可能である。
冷凍室704は冷凍保存のために通常−22〜−18℃で設定されているが、冷凍保存状態の向上のために、たとえば−30や−25℃の低温で設定されることもある。
各室は異なる温度設定を効率的に維持するために断熱壁によって区分されているが、低コストでかつ断熱性能を向上させる方法として断熱体15で一体に発泡充填することが可能である。発泡スチロールのような断熱部材を用いるのに比べて約2倍の断熱性能とすることができ、仕切りの薄型化による収納容積の拡大などができる。
次に冷凍サイクルの動作について説明する。庫内の設定された温度に応じて温度センサ(図示せず)および制御基板からの信号により冷却運転が開始および停止される。冷却運転の指示により圧縮機11内部では回転駆動部742のモーター747にターミナル(図示せず)から電線を通して電圧印加される。
モーター747が動作するとステーター749の電磁コイルが励磁して永久磁石を有するローター750との間に回転力を発生させる。ローター750の回転により、軸受部748ではローター750に固定されたシャフト752が同期回転し、偏芯シャフト751も偏芯回転する。偏芯シャフト751の回転により揺動自在に設けられたロッド757を通して、ピストン756はシリンダ755内を往復動作する。
これにより圧縮部743で冷媒ガスの圧縮動作が行われる。つまり、ピストン756がシリンダ755から最も離れた位置に移動するときに、シリンダ755内の圧力が低下し、シリンダヘッド754に設けられた吸入部のバルブ機構(図示せず)が開放となり、圧縮機シェル740内の冷媒ガスが消音マフラー(図示せず)を経由してシリンダ755内に吸入される。次にピストン756がシリンダ755と最も近づく位置に移動するときに、吸入された冷媒ガスが圧縮されて高温高圧の冷媒ガスとなってシリンダヘッド754の吐出部からバルブ機構を介して吐出される。吐出された冷媒ガスはシリンダヘッド754に直接接続された吐出配管744を通して圧縮機シェル740外へと送られる。
このように圧縮機シェル740内は低圧の冷媒ガスが存在する内部低圧型の構成となっており、吸入配管から戻ってくる冷媒ガスは圧縮機シェル740内へと放出されている。
圧縮機711の軸受部748や圧縮部743に存在する摺動部758はオイル745により潤滑性を確保されている。さらにオイル745と冷媒ガスは相溶性のある組合せを選定してあり、オゾン破壊係数の低いR134aとエステルオイルの組合せや、特に地球温暖化係数も低く環境保護に良いハイドロカーボン系の冷媒であるHC600aと鉱油の組合せなどがある。
また、オイル745は圧縮機シェル740内に封入されており、下部に貯留されて所定のオイル面高さを確保するように封入量が決められている。摺動部758へのオイル745の供給はシャフト752の回転による遠心力でシャフト752の中空内部を伝わり行われる。シャフト752の下端がオイル745に完全につけられており、ここからシャフト52内部をさかのぼるオイル745が摺動部758の各部位に相対する位置に設けられた噴出穴(図示せず)から吹付けられている。さらに、シャフト752周囲の螺旋溝により摺動部758へのオイル745の供給を十分にいきわたらせることができる。
以上のような圧縮機711の動作により吐出された高温高圧の冷媒は、凝縮器(図示せず)にて放熱して凝縮液化し、キャピラリ732で減圧されて低温低圧の液冷媒となり蒸発器709に至る。
冷却ファン708の動作により、庫内の空気と熱交換されて蒸発器709内の冷媒は蒸発気化され、熱交換された低温の冷気をダンパ(図示せず)などで分配することで各室の冷却が行われる。
蒸発器709を出た冷媒は吸入配管733を経て圧縮機711へと吸い込まれる。このとき吸入配管733はキャピラリ732と熱交換可能にはんだ付けされて断熱体715に埋設されているので、周囲に熱が逃げることなく低温の吸入配管733から高温のキャピラリ732へと伝熱する。キャピラリ732は冷媒の減圧過程において冷却されるので比エンタルピが低下し冷凍効果が増加する。吸入配管733は冷媒温度が上昇し出口部で周囲温度とほぼ同等以上とすることができる。吸入配管733の冷媒温度が上昇するので圧縮機711に吸入される過程における熱損失は小さくて済み効率が向上する。冷凍温度を生成する冷凍サイクルは蒸発器709での冷媒温度が−20度以下の非常に低温であるために、特に熱損失を低減する効果は大きいものとなる。
また、キャピラリ732は比較的高温であるために低温部位に配置すると吸入配管733との熱交換以外に放熱が生じ、冷凍サイクルの熱損失が生じるとともに庫内への熱負荷となり省エネ性を低下させてしまうが、庫内温度の高い冷蔵室702の背面にキャピラリ732と吸入配管733を配置したので熱損失や庫内への熱負荷が大きく増加することなく、省エネ性の確保が可能である。特に熱交換部735の長さを十分に確保し、かつ冷蔵室2の背面で蛇行させてコンパクトに収納するので省エネ化と吸入配管733の十分な温度上昇が得られ、加えて、蛇行部は昇り勾配を設けトラップのない構成としてあるので、液冷媒や冷凍機オイルが滞留することがなく、圧力損失などの性能影響を引き起こすことがない。
以上のような動作を行う冷蔵庫の運搬や移設時においては、図26に示すように底面パネル725及び背面パネル726に設けた底面取っ手729と背面取っ手730を使って4人など複数人数で運搬するようにしてある。
冷蔵庫の重量は内容積の大型化や高機能化に伴う付加部品の増加や省エネ化のための密度の大きい真空断熱材使用量の増加などに伴いずいぶんと増加してきており、また冷蔵庫の外寸も高さは1800ミリ近くあるものが主流となり、幅や奥行も600ミリから750ミリ程あり、運搬の工夫は非常に重要なものとなってきている。
客先までの冷蔵庫配送時には必ずといってよいほど横倒しでの運搬形態が必要となっており、そのため底面と背面上部に取っ手が設けてある。また、配送時だけでなく、引越しや模様替えなど、冷蔵庫は電源投入直前に横倒しして運搬されることが多い。
これらの取っ手構成により、冷蔵庫は扉面を上方に向けての運搬可能となり、運搬中に扉が不意に開放されて運搬者にとって不安全となり、庫内部品や収納物が落下するなどの問題を防止することができる。
このとき天面の凹み部727に設けられている圧縮機711の内部は、図27に示すように、圧縮機シェル740内に開放された吸入配管733の開口端がオイル745中に没してしまうこととなり、吸入配管733から逆流流出が可能な状態となるが、配管U曲げ部737からなるオイル流出防止トラップ736が、運搬時のオイル745の滞留面に対して、上方に立ち上がり構成されているのでオイル745が吸入配管733内と蒸発器709内に流出することがない。運搬後の再設置時にはオイル流出防止トラップ736内のオイル745は圧縮機シェル740内へと重力で戻り、吸入配管733内をオイル745で閉塞した状態のままにすることがない。
このことから圧縮機シェル740内のオイル745が所定量確保されて摺動部758への給油不足や、特に圧縮機711のイニシャル始動となる電源投入時において摺動部758への給油不足を防止できるので、圧縮機711の損傷等の危険性をさらに低減できる信頼性の高い冷蔵庫を提供できる。
なお、凹み部727の庫内でっぱりを最小限とするために、凝縮器を薄型とし天面に配置してもよいし、箱型の構成として凹み部727に圧縮機711と機械室ファン731とを順番に並列配置して、上下方向の内容積を確保してもよいし、また凝縮器はフィンチューブタイプやワイヤーチューブタイプやスパイラルフィンチューブタイプなど外表面積を拡大させ放熱能力を増加させると、凝縮器の小型化や能力増加による省エネ化などで効果がある。
また凝縮器は強制空冷タイプだけでなく、外箱723の内側に熱伝達よく貼り付けられた銅配管で構成される自然空冷タイプであってもよいし、各室断熱扉体間の仕切りに配設して防滴防止を行うための銅配管を組み合わせてもよい。
なお、冷媒にはHCのR600aを用いると、さらに冷媒ガスの比容積が大きく、体積流量が増加するので熱交換部の流速も増加し、伝熱促進となり吸入配管733の温度上昇とキャピラリ732の冷却による冷凍効果の増加に対し効果が向上するとともに、冷媒との相溶性が大きく、ガス流速も大きいのでオイル745の循環性が良好となり信頼性確保の面で有利である。
またなお、電動三方弁や電動膨張弁などの流路制御手段を用いて、区画構成や温度設定の構成に応じた複数の蒸発器を使い分けたり、複数のキャピラリを切り替えたり、減圧量を制御したり、圧縮機711の停止中にガスカットなどして更なる省エネ化を図ることができる。特に流路制御手段を断熱箱体701の天面にある凹み部727に設けることで庫内への熱負荷を低減することができ、さらに省エネ効果がある。
またなお、冷蔵庫運搬用の背面取っ手730は強度が確保しやすい凹み部727の下方に設けたが、同位置で制御基板を中央にその両側に背面取っ手730を設けるならば、スペース効率よく配置でき内容積拡大の効果がある。また天面カバー734の上方左右に振り分けて背面取っ手730を設けると圧縮機711の設置空間を逃げて取っ手形状が構成できるのでスペース効率がよく、さらにもち運びにおいても、断熱箱体701のコーナー部を握ることとなるので持ちやすい効果がある。底面取っ手729においても底面前方端に設けることで、コーナー部を握ることとなり持ちやすさを向上させることができる。
なお、断熱箱体701の凹み部727は左右壁面を断熱体715で構成したが、シェル724だけで側面を構成すると、圧縮機711の放熱性が向上し、さらに凹み部727に配置する部品スペースが大きくとることができる。
なお、本実施の形態では、圧縮機711は断熱箱体701の天面後方にある凹み部727に備えることとしたが、断熱箱体701の天面部に凹部等を設けずにほぼ平面状の天面部に圧縮機711を備えた場合でも、蒸発器709が圧縮機711より下方にあるタイプの冷蔵庫においては同様に、冷蔵庫の運搬等によって横倒しをした時に、圧縮機711下方に配置された吸入配管733および蒸発器709などにオイルが流出するのを防止するので、圧縮機711内のオイル量を確保しオイル面高さを大幅に減少させることを防止でき、圧縮機711の摺動部へのオイル供給を確保し、圧縮機711の損傷等の危険性を低減できる。
(実施の形態8)
図30は本発明の実施の形態8における冷蔵庫に搭載する圧縮機の概略断面図であり、図31は本発明の実施の形態8における冷蔵庫に搭載する圧縮機の内部を上部から見た図である。
図において、圧縮機100内部で吸入配管800は下シェル801の圧縮機内部に延出しないようにシェル内部とほぼ同一面に配設されており、吸入マフラー802の吸入口802aと近接して対向するように配設されている。
吸入配管800のシェル内開口部がシェル内面とほぼ同一面に配設されている理由は、構造面に関してはシェル内の内部構成部品に対しての吸入配管800の物理的緩衝を防いで小型化を図るためである。
また、回転子803aと固定子803bとを有している電動要素803は、下シェル801に弾性部材を有した支持部805を介して弾性支持されており、電動要素803の上部には圧縮要素804が配置されている。
また、圧縮機100と凝縮器(図示せず)と減圧器(図示せず)と蒸発器(図示せず)とを順に備えて一連の冷媒流路を形成した冷凍サイクルには冷媒としてR600aが封入されており、圧縮機100内部にはR600aに対して相互溶解性の大きい鉱油を原料としたオイル810が封入されている。
このように、電動要素803が下部に配置されるタイプの圧縮機100においては、圧縮機100の運転に伴って回転を行う電動要素803の回転子803aがオイル810と緩衝しないように支持部805の高さや取り付け位置を配慮した上で配置をされている。
また、圧縮要素804には上シェル(図示せず)または下シェル801と一定の隙間を有した当たり部820が形成されている。
次に、圧縮機100の詳細を以下に説明する。
シャフト840は、回転子803aを圧入や焼嵌めにより固定した主軸部841と、主軸部841に対して偏芯して形成された偏芯部842を有する。シリンダブロック850は、略円筒形の圧縮室851を有するとともに、シャフト840の主軸部841を軸支する為の軸受部843を有し、電動要素803の上方に形成されている。
この時、回転子803aの圧縮要素804側には回転子凹部803cが形成されており、この回転子凹部803c内に軸受部843が延出していることで圧縮要素804を電動要素803の回転子の高さ範囲内に嵌挿することで小型化を実現している。
ピストン860は、圧縮室851に遊嵌され、連結手段861でシャフト840の偏芯部841に連結され、シャフト840の回転運動をピストン860の往復運動に変換し、ピストン860が圧縮室851の空間を拡大、縮小することでシェル内の冷媒を吸入マフラー802の吸入口802aから吸込み、シリンダヘッド852の内部に設けられたバルブ(図示せず)を介して、シリンダブロック850に形成された吐出マフラー853と吐出管854、吐出チューブ870を通ってシェルの外部の吐出配管831に吐出する。
高圧配管である吐出管854は、内径1.5mmから3.0mmの鋼管で、L字やU字曲げを使って柔軟性を持つように形成されており、圧縮要素804とシェルの吐出チューブ870とは弾性をもって接続されている。
また、電動要素803は回転子803aに永久磁石を用いたインバーター電動機を用いている。従来一般的であったインダクション電動機では、固定子803bや回転子803aの積厚が大きくないと圧縮機100の運転に必要なトルクが発生しないが、回転子803aに永久磁石を用いたインバーター電動機を用いることにより、回転トルクの発生に必要な励磁電流が必要でなくなるため固定子803bの積厚や回転子803aの積厚は低くすることが出来、電動要素803をコンパクトにすることが出来る。
次に圧縮機100の動作について説明する。
圧縮機に通電がなされると、ターミナル880、リード線881を通って電動要素803の固定子803bに電流が流れ、固定子803bが発生する回転磁界により回転子803aが回転する。回転子803aの回転により、回転子に連結されたシャフト840の偏芯部842がシャフト840の軸心より偏芯した回転運動を行う。シャフト840の偏芯運動は、偏芯部842に連結された連結手段861によって往復運動に変換され、連結手段861の他端に連結されたピストン860の往復運動となり、ピストン860は、圧縮室851内の容積を変化させながら冷媒の吸入圧縮を行う。
ピストン860が、圧縮室851内で一往復中に吸入、吐出する容積を気筒容積と云い、気筒容積の大小で冷却する能力が変化する。
次に圧縮機を停止した状態で冷蔵庫が運搬等により傾いた場合について説明する。
長時間において圧縮機100が運転されない状態であると、R600aは液化して液冷媒890となって、液化したR600aよりも比重の重い鉱油であるオイル810の上部に貯留される。このように冷媒が液化した状態で液冷媒がオイルの上部に貯留される汎用の冷媒としてはCO2冷媒と、エステル油やエーテル油の組み合わせでも同様となる。これに対して、例えば従来冷媒として一般的に用いられていたR134aとエステル油の場合ではオイルと液冷媒の上下関係は逆となり、液冷媒が下部に貯留され、その上部にエステル油が貯留される。
本実施の形態のように、液冷媒890がオイル810の上部に貯留されるタイプの冷媒とオイルの組み合わせを用いた圧縮機100においては、圧縮機100を傾けると下シェル801の内壁面とほぼ同一面に開口されている吸入配管800に下部に貯留されているオイル810が達すると、シェルの外へと容易に流出することで、シェル内部のオイル810が減少し油面高さが減少してしまう。
このように油面高さが低下すると、圧縮要素804の摺動部に供給されるオイル量が減少し、摺動部の摩耗等が発生する可能性があり、信頼性が低下してしまうおそれがあった。
この課題に対して本発明においては、単位体積当たりの冷凍能力がR134aに比べて約1/2程度、CO2に比べて約1/20程度まで小さい冷媒であるR600aを用いている。これによって、R134aやCO2と同等の冷凍能力を得る為に、気筒容積をR134aに比べて約2倍、CO2に比べて20倍程度まで大きくするので、圧縮機のピストン押しのけ量もこの気筒容積の増加に比例して増大する。すなわち、冷媒の単位時間当たりの体積流量が増大するので、冷凍システム内を冷媒が通過する際の配管内の流速がR134aに比べて約2倍、CO2に比べて約20倍程度にまで増大するので、冷凍システム内に滞留しているオイル810を圧縮機100内部へ速やかに戻すことが可能となり、シェル内のオイル量不足を防止することができる。
また、このような冷蔵庫の運搬等による冷凍機油面の低下については、圧縮機の電源を入れた直後から10分間程度のうちの少なくとも半分である5分間以上においては、圧縮機の回転数を商用電源周波数より高い回転数で駆動するようなインバーター装置を用いると、高回転によって圧縮機のピストン押しのけ量が増大することで、冷凍システム内を冷媒が通過する際の配管内の流速がより増大するので、冷凍システム内に滞留しているオイル810を圧縮機100内部へより速やかに戻すことができ、シェル内のオイル量不足を防止することができる。
また、本実施の形態の圧縮機100では圧縮機の高さ方向の小型化を実現しており、従来の一般的な小型圧縮機の全高190〜200mmに対して、本実施の形態の圧縮機100は145mm程度まで高さ方向における小型化を図っている。
このような圧縮機の全高に対する小型化を行うにあたっては、信頼性の低下を避ける為、圧縮機の内部に封入するオイル量の油面高さについては一般的な従来の小型圧縮機と同等の30mm程度を確保した為に、従来の圧縮機の全高に対するオイル油面高さが12〜13%程度であったのに対して、本実施の形態の小型圧縮機においては圧縮機の全高に対するオイル油面高さが17%程度まで増大しており、圧縮機が傾いた場合のオイル流出がより大きな課題となっていた。
この課題に対して、本実施の形態の圧縮機100は小型化を実現するにあたって、圧縮要素804および電動要素803の高さを低減することで、圧縮機を小型化している。
すなわち、圧縮要素804および電動要素803からなる機械部を弾性的に支持する支持部805の部分を高さ低減の要素として取り込まず、圧縮要素804および電動要素803の機械部すなわち内部構成部品で高さ低減を図ることで、オイル810が機械部の電動要素803と緩衝せず、かつ油面高さの変動が生じにくい配慮をしている。
このように、冷蔵庫本体の上部に圧縮機100を配置する形態において、大きな課題となる圧縮機100の高さ方向の小型化に関して、小型化を図る要素や観点の中でも、特に、オイル流出を促進する方向でない、換言すればオイル流出抑制に関わる信頼性維持のための特有の上述の小型化要素の組み合わせ構成を採用している。
また、オイル810の油面の最上部から吸入配管800の開口部までの高さについては従来の圧縮機と同等以上の寸法関係を確保することによってもオイル810の流出を抑制することができる。例えば、吸入配管800のシェルへの開口位置はシェル内の最大高さに対して1/2高さより上部に位置していることで、圧縮機100が傾いた場合のオイル流出を防止する効果を大きくすることができる。
また、本実施の形態においては圧縮要素804には上シェル(図示せず)または下シェル801と一定の隙間を有した当たり部820が形成されているので、圧縮機が傾いた際には当たり部820と上シェルもしくは下シェル801とが当接することで、大きな圧縮要素804および電動要素803からなる機械部は大きく傾斜することがない。したがって、傾斜側に移動したオイルの容積を機械部が圧迫することを防ぎ、空間部を確保できるので、オイル808が吸入配管より流出しやすくなるのを防止できる。
(実施の形態9)
図32は、本発明の実施の形態9における冷蔵庫に搭載する圧縮機の概略断面図を示している。
圧縮機900内部で吸入配管906はシェルの内部に延出しており、吸入マフラー939に弾性部材であるスプリング906aを介して接合されたダイレクトサクションタイプであり、吸入マフラー939の内部空間経路を経てシリンダ936内へと通じている。また、吸入配管906のシェル内部側は上方に向かった曲げ部を有しており、シェル内には上方に向かって開口するとともに、弾性部材であるスプリング906aと連結している。
また吸入マフラー939はシリンダヘッド935へと経路がつながっており、シリンダ936やシリンダヘッド935と同方向に配置される。さらに吸入配管906も吸入マフラー939と接続するために同方向に配置されている。吐出配管907は圧力脈動の低減のため配管の弾性を高めるように所定の配管長さをとってシリンダヘッドと反対側で下シェルと取り付けてある。吸入配管906と吐出配管907を反対側で構成することでより小型の圧縮機900の構成が可能となる。
以上のようなダイレクトサクションの構成により、圧縮機900が傾斜した場合でもシリンダ936の隙間やシリンダヘッド935のバルブ隙間や、吸入マフラー939に設けられたオイル908戻し穴(図示せず)など微小空間を通してしか、オイル908の逆流流出が発生しない。
なお、吸入配管906と吸入マフラー939との接合は密着巻きされたスプリングで構成すると、圧縮振動の伝達低減となる上に、オイル908も粘性によりスプリング隙間からの流出が低減できるので、オイル908の逆流を低減することが可能である。
なお、吸入配管906と吸入マフラー939とを接続する弾性部材として、本実施の形態ではスプリングを用いたが、ゴム等の弾性的な樹脂を用いても良い。