JP2007057126A - 冷蔵庫 - Google Patents
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Abstract
【課題】天面に配置した圧縮機から流出するオイルの圧縮機への戻りを補償するものである。
【解決手段】断熱箱体1と、断熱箱体1に備えられた圧縮機11と凝縮器65と減圧器と蒸発器9とを順に備えて一連の冷媒流路を形成した冷凍サイクルと、圧縮機11は内部低圧型で封入されるオイルとを有し、蒸発器9は圧縮機11よりも下方に設けられたインバータ冷蔵庫であり、圧縮機11の起動時にオイル戻りの補償制御を備えたものであり、圧縮機11内で圧縮機摺動部へのオイル供給を確保し、圧縮機の信頼性を高めることができるものである。
【選択図】図1
【解決手段】断熱箱体1と、断熱箱体1に備えられた圧縮機11と凝縮器65と減圧器と蒸発器9とを順に備えて一連の冷媒流路を形成した冷凍サイクルと、圧縮機11は内部低圧型で封入されるオイルとを有し、蒸発器9は圧縮機11よりも下方に設けられたインバータ冷蔵庫であり、圧縮機11の起動時にオイル戻りの補償制御を備えたものであり、圧縮機11内で圧縮機摺動部へのオイル供給を確保し、圧縮機の信頼性を高めることができるものである。
【選択図】図1
Description
圧縮機より下方に蒸発器を備えた冷蔵庫において、冷凍サイクルの信頼性を向上した冷蔵庫に関するものである。
近年、冷蔵庫は地球環境保護の観点から更なる省エネルギー化が進むとともに、その使用性や収納性の向上が求められている。
従来のこの種の冷蔵庫は、機械室を形成する圧縮機等を、使い勝手の悪い冷蔵庫本体の天面や、もしくは冷蔵庫本体の背面上部に設置するという方法がとられていた(例えば、特許文献1参照)。
図8は、特許文献1に記載された従来の冷蔵庫の構成を示すものである。
冷蔵庫本体1は、上から冷蔵室2、野菜室3、冷凍室4という構成からなり、冷蔵室2は回転扉5を有し、野菜室3は野菜室引出扉6、冷凍室4は冷凍室引出扉7を有している。この構成において、庫内ファン8と蒸発器9等からなる冷却ユニット10を、最下段の貯蔵室として収納部を形成する冷凍室4の開口部の高さ寸法と概ね同じ高さとして冷凍室4の背面後部に設置し、圧縮機11を、使い勝手の良くない冷蔵室2の天面、もしくは、冷蔵庫本体1の背面上部に設けた凹み部12に設置している。
圧縮機11の収納体積分が冷蔵室2と野菜室3を区画する区画壁の下側から上側に移動したことにより、各貯蔵室の内容積を一定とすると必然的に冷蔵室2と野菜室3の区画壁の位置を下方に下げることができ、野菜室3内の収納物の取り出しが容易となる。
特開平11−183014号公報
しかしながら、上記従来の構成では、圧縮機を冷蔵庫本体の天面に、蒸発器を冷蔵庫本体の底面近傍に配設することにより、圧縮機へと接続される吸入配管(図示せず)と蒸発器が圧縮機より下方に配置されることになる。したがって、圧縮機にオイルが戻りにくいといった問題があった。
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、圧縮機を蒸発器より上方に配設した冷凍サイクルを有する冷蔵庫において、圧縮機へのオイル戻り性を向上し信頼性を高めることを目的とする。
上記従来の課題を解決するために、本発明の冷蔵庫は、断熱箱体と、前記断熱箱体に備えられた圧縮機と凝縮器と減圧器と蒸発器とを順につなぎ一連の冷媒流路を形成した冷凍サイクルと、前記圧縮機内部に封入されたオイルとを有し、前記蒸発器は前記圧縮機よりも下方に設けられ、前記圧縮機のオイル戻り補償制御を備えたものである。
これにより、冷凍サイクル内に滞留したオイルを強制的に圧縮機に戻し、圧縮機のオイル不足を抑えることができる。
本発明の冷蔵庫は、圧縮機を蒸発器より上方に配設した冷凍サイクルを有するものにおいて、圧縮機のオイル戻り補償制御を備えたことにより、冷凍サイクル内に滞留したオイルを強制的に圧縮機に戻し、圧縮機のオイル不足を抑え、圧縮機の信頼性を高めることができる。
請求項1に記載の発明は、断熱箱体と、前記断熱箱体に備えられた圧縮機と凝縮器と減圧器と蒸発器とを順につなぎ一連の冷媒流路を形成した冷凍サイクルと、前記圧縮機内部に封入されたオイルとを有し、前記蒸発器は前記圧縮機よりも下方に設けられ、前記圧縮機のオイル戻り補償制御を備えたものであり、冷凍サイクル内に滞留したオイルを強制的に圧縮機に戻し、圧縮機のオイル不足を抑え、圧縮機の信頼性を高めることができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記オイル戻り補償制御は、圧縮機の起動時に強制的に通常よりも高い回転数で運転するものであり、起動時の冷媒の流速を高めることで冷凍サイクル内に滞留したオイルを強制的に圧縮機に戻すことができ、低コストで圧縮機の信頼性を高めることができる。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、外気温検知手段が所定値より低いときにのみ、圧縮機の起動時に強制的に通常よりも高い回転数で運転するものであり、通常、外気温度の低いときには圧縮機は低回転で運転するため圧縮機へのオイル戻り性は低下するが、本発明により、さらに圧縮機の信頼性を高めることができる。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、外気温検知手段は、温度センサーで判定するものであり、外気温を正確に把握することができるため、各外気温度における最適な圧縮機の回転数を選定でき、効率的に冷凍サイクル内のオイルを再び圧縮機に戻すことができる。また、圧縮機の回転数を最適化できるため実消費電力量の低減も図ることができる。
請求項5に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、外気温検知手段は、圧縮機の運転率で判定するものであり、圧縮機の回転数と時間で運転率及び外気温度を算出することで、各外気温度においてオイル戻しのための必要流速を算出し、最適な圧縮機の回転数を選択することで外気温センサー及びセンサーによる外気温判別にまつわるコストを不要とし、コスト低減を図ることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における冷蔵庫の概略断面図を示すものであり、図2は同実施の形態における冷蔵庫の概略背面図を示しており、図3は同実施の形態における冷蔵庫の概略部品展開図を示しており、図4は同実施の形態における冷蔵庫に搭載する圧縮機の概略断面図を示しており、図5は同実施の形態における冷蔵庫の運搬状態の概略断面図を示しており、図6は同実施の形態における冷蔵庫運搬時の圧縮機の概略断面図を示しており、図7は同実施の形態における外気温度を圧縮機の運転率と回転数から算出する制御フローを示している。なお、従来技術と同一構成については同一符号を付す。
図1は本発明の実施の形態1における冷蔵庫の概略断面図を示すものであり、図2は同実施の形態における冷蔵庫の概略背面図を示しており、図3は同実施の形態における冷蔵庫の概略部品展開図を示しており、図4は同実施の形態における冷蔵庫に搭載する圧縮機の概略断面図を示しており、図5は同実施の形態における冷蔵庫の運搬状態の概略断面図を示しており、図6は同実施の形態における冷蔵庫運搬時の圧縮機の概略断面図を示しており、図7は同実施の形態における外気温度を圧縮機の運転率と回転数から算出する制御フローを示している。なお、従来技術と同一構成については同一符号を付す。
図1から図3において断熱箱体1はABSなどの樹脂体を真空成型した内箱13とプリコート鋼板などの金属材料を用いた外箱14とで構成された空間に発泡充填する断熱体15を注入してなる断熱壁を備えている。断熱体15はたとえば硬質ウレタンフォームやフェノールフォームやスチレンフォームなどが用いられる。発泡材としてはハイドロカーボン系のシクロペンタンを用いると、温暖化防止の観点でさらによい。
断熱箱体1は複数の断熱区画に区分されており上部を回転扉式、下部を引出し式とする構成をとってある。上から冷蔵室2、並べて設けた引出し式の切替室16および製氷室17と、引出し式の野菜室3と引出し式の冷凍室4となっている。各断熱区画にはそれぞれ断熱扉がガスケット18を介して設けられている。上から冷蔵室回転扉5、切替室引出し扉19、製氷室引出し扉20、野菜室引出し扉6、冷凍室引出し扉7である。
冷蔵室回転扉5には扉ポケット21が収納スペースとして設けられており、庫内には複数の収納棚22が設けられてある。また冷蔵室2の最下部には貯蔵ケース23が設けてある。
また、断熱箱体1の外箱14は、天面奥部が切りかかれた鋼板をU曲げしたシェル24と底面パネル25と背面パネル26と天面後方を窪ませた凹み部27を構成する機械室パネル28とをシール性を確保して組み付けられて構成されている。機械室パネル28は鋼板の絞り加工により成型されており、加工性の向上のためにコーナー部はR形状がとられている。このR形状により発泡充填する断熱体15の分岐もしくは合流部の流路が確保されて流動性が良化され、充填不足によるボイドの発生などを防止できる。
なお、機械室パネル28は圧縮機11の配置部が最も深く、左右端に向かうに従って絞りが浅い形状とすることでも発泡充填する断熱体15の分岐もしくは合流部の流路が確保されて流動性が良化される。
さらになお、機械室パネル28は絞り加工としたので発泡充填のためのシール部が少なくてすむので工数的に有利であるし、また、板金加工により同様の形状を構成するならば絞り金型費用が少なくて済むうえに、絞りしわのない仕上げと寸法精度を上げることが可能である。
また、機械室パネル28は複数の空気抜き穴(図示せず)が各面に設けられており、外観および内観を阻害することなく残留空気によるボイドの発生や変形を防止することができる。
また、底面パネル25と背面パネル26には指先を引っ掛けることが可能な窪みからなる取っ手が設けられている。底面取っ手29は底面前方から中央にかけての位置で、前方から指先をかけられるよう二箇所に所定の間隔を置いて設けられている。背面取っ手30は背面パネル26の最上部のなるべく高い場所で上向きに指先をかけられるよう二箇所に所定の間隔を置いて設けられている。
また、内箱13は外箱14より一回り小さく、背面奥部が内側に凹んだ構成となっており、外箱14の中に組み入れることで断熱体15が発泡充填される空間が断熱箱体1に形成される。したがって、機械室パネル28の左右部も断熱体15が発泡充填されて断熱壁が構成され、強度確保される。さらに底面取っ手29や背面取っ手30も発泡充填された断熱体15により強度が確保される。
また、冷凍サイクルは凹み部27に弾性支持して配設した圧縮機11と、圧縮機11の近傍に設けた機械室ファン31と、シェル24の天面や凹み部27や底面パネル25下部やシェル24の側面などに設けた凝縮器(図示せず)と、減圧器であるキャピラリ32と、水分除去を行うドライヤ(図示せず)と、野菜室3と冷凍室4の背面で冷却ファン8を近傍に配置して設けた蒸発器9と、吸入配管33とを環状に接続して構成されている。
凹み部27はビスなどで固定された天面カバー34が設けられており、凹み部27に設けられた圧縮機11や凝縮器(図示せず)や機械室ファンやドライヤや配管などを収納してある。
キャピラリ32と吸入配管33は、おおむね同等の長さの銅管であり、端部を残して熱交換可能にはんだ付けされている。キャピラリ32は減圧のため内部流動抵抗が大きい細径の銅管が用いられており、その内径は0.6ミリから1.0ミリ程度で長さとともに調節して減圧量を設計する。吸入配管33は圧力損失を低減するために大径の銅管が用いられており、その内径は6.35ミリから7.94ミリ程度で設計されている。また熱交換部35の長さを確保するために、蛇行させてコンパクトにまとめて、冷蔵室2の背面に蛇行部がくるようにして、内箱13と背面パネル26との中間に配置され断熱体15に埋設される。キャピラリ32と吸入配管33は、一方の端部を内箱13の野菜室3後方位置から突き出し蒸発器9と接続されており、他方の端部を機械室パネル28の淵に設けた切欠部(図示せず)から上方に突き出してドライヤ(図示せず)や凝縮器および圧縮機11と各々接続されている。
なお、比較的温度の高い野菜室3の後方から配管を庫内に出し入れするので、配管出し入れによる侵入する熱量の増加影響が小さく手済み省エネに効果がある。また、吸入配管33は、略垂直方向に配設されて機械室パネル28の背面端部から断熱体15内に埋設されている。
次に、圧縮機11内部の構造について説明する。
図4において、2ミリから4ミリの厚手の鋼板を深絞り成形してなる鉢形状の下シェル38と逆鉢形状の上シェル39を組み合わせて重なりあった部分であるシェル接合部40aの周囲を溶接接続した密閉構造の圧縮機シェル40の内部に弾性体41で弾性支持された回転駆動部42と圧縮部43とを備え、圧縮機シェル40内部に端部を開放した吸入配管33と、吐出配管44で冷凍サイクルを構成する他の機器と接続されており、所定量の冷凍機油であるオイル45と冷媒(図示せず)が封入されている。また、下シェル38の下方部には断熱箱体1との弾性支持するための支持部46が取り付けられている。なお、支持部46は弾性支持部材の厚みを確保するための逃がしが一段の段差により設けられている。
回転駆動部42はモーター47と軸受け部48からなり、モーター47は電圧印加されて永久磁石との間に回転力を発生させる中空円柱状電磁コイルを有するステーター49と、ステーター49内部の中空部にあって微小隙間で相対させた永久磁石を有するローター50とからなり、軸受け部48は端部に偏芯シャフト51を備え、内部を両端開放中空とし、周囲に螺旋状の溝(図示せず)と内部連通する噴出穴を設けたシャフト52と、シャフト52を回転自在に保持する軸受け53で構成される。
圧縮部43は、先端にバルブ機構(図示せず)を備えたシリンダヘッド54を設けたシリンダ55と、ピストン56と、ピストン56と偏芯シャフト51とに揺動自在に取り付け回転動作を直線往復動作に変換するロッド57とで構成されている。圧縮された冷媒が直接圧縮機シェル40外部へと吐出されるようにシリンダヘッド54には吐出配管44がバルブ機構を介して接続されており、また吸入部はバルブ機構を介して圧縮機シェル40内部に開放されている。特に消音のために、吸入経路はシリンダヘッド54と機械室シェル40の吸入ガス経路間に消音マフラー(図示せず)が配設されている。なお、吸入配管33は圧縮機シェル40の内壁面に対して開口端が面一となるように配置されており、圧縮機11の小型化を行っている。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作、作用を説明する。
まず各断熱区画の温度設定と冷却方式について説明する。冷蔵室2は冷蔵保存のために凍らない温度を下限に通常1〜5℃で設定されている。また、貯蔵ケース23は肉魚などの保鮮性向上のため比較的低めの温度、たとえば−3〜1℃で設定される。
切替室16はユーザーの設定により温度設定を変更可能であり、冷凍室温度帯から冷蔵、野菜室温度帯まで所定の温度設定にすることができる。また、製氷室17は独立の氷保存室であり、自動製氷装置(図示せず)を備えて、氷を自動的に作製、貯留するものである。氷を保存するために冷凍温度帯であるが、氷の保存が目的であるために冷凍温度帯よりも比較的高い−18℃〜−10℃の冷凍温度で設定されることも可能である。
野菜室3は冷蔵室2と同等もしくは若干高い温度設定の2℃〜7℃とすることが多い。凍らない程度で低温にするほど葉野菜の鮮度を長期間維持することが可能である。冷凍室4は冷凍保存のために通常−22〜−18℃で設定されているが、冷凍保存状態の向上のために、たとえば−30や−25℃の低温で設定されることもある。各室は異なる温度設定を効率的に維持するために断熱壁によって区分されているが、低コストでかつ断熱性能を向上させる方法として断熱体15で一体に発泡充填することが可能である。発泡スチロールのような断熱部材を用いるのに比べて約2倍の断熱性能とすることができ、仕切りの薄型化による収納容積の拡大などができる。
次に冷凍サイクルの動作について説明する。庫内の設定された温度に応じて温度センサー(図示せず)および制御基板からの信号により冷却運転が開始および停止される。冷却運転の指示により圧縮機11内部では回転駆動部42のモーター47にターミナル(図示せず)から電線を通して電圧印加される。
モーター47が動作するとステーター49の電磁コイルが励磁して永久磁石を有するローター50との間に回転力を発生させる。ローター50の回転により、軸受部48ではローター50に固定されたシャフト52が同期回転し、偏芯シャフト51も偏芯回転する。偏芯シャフト51の回転により揺動自在に設けられたロッド57を通して、ピストン56はシリンダ55内を往復動作する。
これにより圧縮部43で冷媒ガスの圧縮動作が行われる。つまり、ピストン56がシリンダ55から最も離れた位置に移動するときに、シリンダ55内の圧力が低下し、シリンダヘッド54に設けられた吸入部のバルブ機構(図示せず)が開放となり、圧縮機シェル40内の冷媒ガスが消音マフラー(図示せず)を経由してシリンダ55内に吸入される。次にピストン56がシリンダ55と最も近づく位置に移動するときに、吸入された冷媒ガスが圧縮されて高温高圧の冷媒ガスとなってシリンダヘッド54の吐出部からバルブ機構を介して吐出される。吐出された冷媒ガスはシリンダヘッド54に直接接続された吐出配管44を通して圧縮機シェル40外へと送られる。
このように圧縮機シェル40内は低圧の冷媒ガスが存在する内部低圧型の構成となっており、吸入配管から戻ってくる冷媒ガスは圧縮機シェル40内へと放出されている。圧縮機11の軸受部48や圧縮部43に存在する摺動部58はオイル45により潤滑性を確保されている。さらにオイル45と冷媒ガスは相溶性のある組合せを選定してあり、オゾン破壊係数の低いR134aとエステルオイルの組合せや、特に地球温暖化係数も低く環境保護に良いハイドロカーボン系の冷媒であるHC600aと鉱油の組合せなどがある。
また、オイル45は圧縮機シェル40内に封入されており、下部に貯留されて所定のオイル面高さを確保するように封入量が決められている。摺動部58へのオイル45の供給はシャフト52の回転による遠心力でシャフト52の中空内部を伝わり行われる。シャフト52の下端がオイル45に完全につけられており、ここからシャフト52内部をさかのぼるオイル45が摺動部58の各部位に相対する位置に設けられた噴出穴(図示せず)から吹付けられている。さらに、シャフト52周囲の螺旋溝により摺動部58へのオイル45の供給を十分にいきわたらせることができる。
以上のような圧縮機11の動作により吐出された高温高圧の冷媒は、凝縮器(図示せず)にて放熱して凝縮液化し、キャピラリ32で減圧されて低温低圧の液冷媒となり蒸発器9に至る。冷却ファン8の動作により、庫内の空気と熱交換されて蒸発器9内の冷媒は蒸発気化され、熱交換された低温の冷気をダンパ(図示せず)などで分配することで各室の冷却が行われる。
蒸発器9を出た冷媒は吸入配管33を経て圧縮機11へと吸い込まれる。このとき吸入配管33はキャピラリ32と熱交換可能にはんだ付けされて断熱体15に埋設されているので、周囲に熱が逃げることなく低温の吸入配管33から高温のキャピラリ32へと伝熱する。キャピラリ32は冷媒の減圧過程において冷却されるので比エンタルピが低下し冷凍効果が増加する。吸入配管33は冷媒温度が上昇し出口部で周囲温度とほぼ同等以上とすることができる。吸入配管33の冷媒温度が上昇するので圧縮機11に吸入される過程における熱損失は小さくて済み効率が向上する。冷凍温度を生成する冷凍サイクルは蒸発器9での冷媒温度が−20度以下の非常に低温であるために、特に熱損失を低減する効果は大きいものとなる。
また、キャピラリ32は比較的高温であるために低温部位に配置すると吸入配管33との熱交換以外に放熱が生じ、冷凍サイクルの熱損失が生じるとともに庫内への熱負荷となり省エネ性を低下させてしまうが、庫内温度の高い冷蔵室2の背面にキャピラリ32と吸入配管33を配置したので熱損失や庫内への熱負荷が大きく増加することなく、省エネ性の確保が可能である。特に熱交換部35の長さを十分に確保し、かつ冷蔵室2の背面で蛇行させてコンパクトに収納するので省エネ化と吸入配管33の十分な温度上昇が得られ、加えて、蛇行部は昇り勾配を設け機構のない構成としてあるので、液冷媒や冷凍機油が滞留することがなく、圧力損失などの性能影響を引き起こすことがない。
以上のような動作を行う冷蔵庫の運搬や移設時においては、図5に示すように底面パネル25及び背面パネル26に設けた底面取っ手29と背面取っ手30を使って4人など複数人数で運搬するようにしてある。
冷蔵庫の重量は内容積の大型化や高機能化に伴う付加部品の増加や省エネ化のための密度の大きい真空断熱材使用量の増加などに伴いずいぶんと増加してきており、また冷蔵庫の外寸も高さは1800ミリ近くあるものが主流となり、幅や奥行も600ミリから750ミリ程あり、運搬の工夫は非常に重要なものとなってきている。
客先までの冷蔵庫配送時には必ずといってよいほど横倒しでの運搬形態が必要となっており、そのため底面と背面上部に取っ手が設けてある。また、配送時だけでなく、引越しや模様替えなど、冷蔵庫は電源投入直前に横倒しして運搬されることが多い。
これらの取っ手構成により、冷蔵庫は扉面を上方に向けての運搬可能となり、運搬中に扉が不意に開放されて運搬者にとって不安全となったり、庫内部品や収納物が落下するなどの問題を防止することができる。
このとき天面の凹み部27に設けられている圧縮機11の内部は、図6に示すように、圧縮機シェル40内に開放された吸入配管33の開口端がオイル45中に没してしまうこととなり、吸入配管33から逆流流出となり、圧縮機の起動時にはオイルが配管内及び冷却システム内に滞留することになる。しかしながら、例えば圧縮機の起動時に一時的に通常よりも高回転で圧縮機を運転するというオイル戻りの補償制御を搭載することで、冷却システム内に滞留するオイルを瞬時に圧縮機に戻すことができる。
このことから圧縮機シェル40内のオイル45が所定量確保されて摺動部58への給油不足を防止できるので、圧縮機11の損傷等の危険性をさらに低減できる信頼性の高い冷蔵庫を提供できる。
なお、外気温の低いときには、圧縮機の回転数が低い回転数で運転するため、外気音の低い時には、オイル戻り補償制御を、起動直後の回転数を強制的に高回転とする事で、冷却システム内に滞留するオイルを瞬時に圧縮機に戻すことができる。圧縮機の運転率及び回転数の低い、低外気時のみにオイル戻り補償制御を搭載することで、実消費電力量の低減を図ることができる。
また、外気温度の判別にセンサーを用いることで、オイル戻り制御の外気温度のしきい値を正確に把握できるため、各外気温における必要流速から、最適な圧縮機の回転数を選択できるため実消費電力量の低減を図るができる。
また、外気温度判別のセンサーの変わりに、圧縮機の運転率と回転数の関係からから、外気温を算出することで、各外気温における必要流速を計算し、最適な圧縮機の回転数を選択することで、センサー及びセンサーによる外気温判別にまつわるコストを削減できる。
この場合、図7に示すように、圧縮機回転数Rnと運転時間Tnとの関係式から外気温度ATを算出する。算出されたATを各外気温として割り当てられたしきい値と比較し、外気温を決定する。そして、外気温に応じた条件で、圧縮機の回転数を決められた時間内のみ上昇させる。
以上のように、本発明に係る冷蔵庫は、圧縮機を蒸発器より上方に配設した冷凍サイクルを有する場合に圧縮機外に流出したオイルを再び圧縮機に戻すことができるため、圧縮機内の冷凍機油が不足するといった不具合を防止でき、家庭用冷蔵庫のみならず業務用冷蔵庫、自動販売機、その他の冷却機器を備えた貯蔵庫の冷凍サイクル構成として有用である。
1 断熱箱体
9 蒸発器
11 圧縮機
45 オイル
9 蒸発器
11 圧縮機
45 オイル
Claims (5)
- 断熱箱体と、前記断熱箱体に備えられた圧縮機と凝縮器と減圧器と蒸発器とを順につなぎ一連の冷媒流路を形成した冷凍サイクルと、前記圧縮機内部に封入されたオイルとを有し、前記蒸発器は前記圧縮機よりも下方に設けられ、前記圧縮機のオイル戻り補償制御を備えたことを特徴とする冷蔵庫。
- 前記オイル戻り補償制御は、圧縮機の起動時に強制的に通常よりも高い回転数で運転することを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
- 外気温検知手段が所定値より低いときは、圧縮機の起動時に強制的に通常よりも高い回転数で運転することを特徴とする請求項2に記載の冷蔵庫。
- 外気温検知手段は、温度センサーで判定することを特徴とする請求項3に記載の冷蔵庫。
- 外気温検知手段は、圧縮機の運転率で判定することを特徴とする請求項3に記載の冷蔵庫。
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- 2005-08-23 JP JP2005240634A patent/JP2007057126A/ja active Pending
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