請求項1に記載の発明は、外箱と内箱と発泡充填された断熱体から構成される断熱箱体を備え、前記断熱箱体の背面下部に部品収納スペースを設け、前記部品収納スペースの側面部が前記断熱体で充填されたことを特徴とする。
これによって、前記断熱体が前記断熱箱体の側面上部から下部まで発泡充填されるので側壁面の構造強度を向上させることができる。
また、前記断熱箱体の側面を一様に発泡充填させることができるので、発泡充填加工時に側面に温度や圧力の大きな分布を生じさせることがなく、側面の平面度を阻害させることがないので、外観品位を変形の少ない高品位なものとすることができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、部品収納スペースの下部に断熱体が発泡充填されたことを特徴とするので、断熱箱体底面を全面一体の発泡断熱体で構成できるので、構造強度が大きく異なる部位を作らないので応力集中により構造強度が低下することを防止できる。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、部品収納スペースの側面部の発泡充填された断熱体厚みが前記部品収納スペースの上部及び奥部の断熱体厚みよりも薄く構成されたことを特徴とするので、比較的断熱体体積の小さい前記部品収納部の側面よりも、比較的断熱体体積の大きい前記部品収納スペース上部及び奥部の発泡充填流路が確保されるので発泡充填性が向上する。これによって、ボイドなどの発生を防止して高品質の断熱体を成形することができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の発明において、部品収納スペースの左右両側面部の発泡充填された断熱体下部に移動用のキャスターを配置したことを特徴とするので、キャスターの保持強度を確保することで構造強度を向上可能である。
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の発明において、部品収納スペースには内箱内部と連通した排水経路と前記排水経路の下方に位置する除霜水受け皿と除霜水蒸発手段とを備えたことを特徴とするので、前記部品収納スペースの断熱性を向上させて温度低下を防止し、除霜水の水温を上昇させて蒸発を促進することができるので、除霜水蒸発の効率化と小型化を可能とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載の発明において、部品収納スペースの側面に真空断熱材の一部を配設したことを特徴とするので、より断熱性を向上させること、及び複数の静音化材料を複層させることで広い周波数範囲で静音化を実現すること、及び比較的高密度の真空断熱材を貼り付けることで構造強度を補強することが可能となる。
請求項7に記載の発明は、請求項1から6のいずれか一項に記載の発明において、冷蔵庫の冷凍サイクルを形成する圧縮機を断熱箱体上部に備えたものであり、断熱箱体の構造強度が高いレベルで必要となるので、発泡断熱体を厚く構成して内容積を減少させたり、外箱の鋼板板厚を増加して、コストアップや重量アップとなるのを防止することができ、より効果が大きいものとなる。
請求項8に記載の発明は、請求項1から7のいずれか一項に記載の発明において、部品収納スペースの側面に真空断熱材の一部を配設したものであり、長方形の真空断熱材を側面いっぱいに貼り付けることができ、省エネ性を向上させることが可能であり、もしくは発泡断熱体を薄肉化して内容積を拡大することが可能である。さらに、側面に真空断熱材貼り付け部と発泡断熱体との境を断熱箱体の端部にすることができるので収縮差などによる変形が生じても目立たなくすることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における冷蔵庫の概略断面図、図2は冷蔵庫の概略背面図、図3は冷蔵庫の要部概略平面図を示すものである。なお、背景技術と同一構成については同一符号を付す。
図1から図3において、断熱箱体101は金属材料で構成された外箱102内に所定の空間を形成するようABSなどの樹脂体を真空成型した内箱103を取り付け、発泡断熱体104を空間内に注入してある。発泡断熱体104はたとえば硬質ウレタンフォームやフェノールフォームやスチレンフォームなどが用いられる。発泡材としてはハイドロカーボン系のシクロペンタンを用いると、温暖化防止の観点で特によい。
断熱箱体101は5つの断熱区画に区分されており、各断熱区画に少なくともひとつの断熱扉106がガスケット107を介して開閉自在に設けられ、収納品の出し入れに利用される。断熱扉106は上部断熱区画の扉を回転扉式、下部断熱区画の扉を引出し式とする構成をとってある。
断熱区画は最上部から冷蔵室108、並べて設けた引出し式の切替室109と製氷室110、引出し式の野菜室111、最下部に引出し式の冷凍室112となっている。
冷蔵室108には、断熱扉106に扉ポケット113が収納スペースとして設けられており、庫内には複数の収納棚114が設けられてある。また庫内最下部には貯蔵ケース115が設けてある。
切替室109はユーザーの設定により温度設定が変更可能な貯蔵室であり、冷凍温度から冷蔵、野菜温度まで所定の温度設定とすることができる。また、製氷室110は独立の氷保存室であり、自動製氷装置(図示せず)を備えて、氷を自動的に作製、貯留するものである。氷を保存するために冷凍温度の設定であるが、氷の保存が目的であるために冷凍温度よりも比較的高い冷凍温度設定も可能である。
冷蔵室108は冷蔵保存用途のために食品が凍らない温度を下限に通常1〜5℃で設定されている。また、貯蔵ケース115は肉魚などの保鮮性向上のため冷蔵室108の中でも比較的低めの温度、たとえば−3〜1℃で設定される場合がある。野菜室111は凍らない低温にするほど葉野菜の鮮度を長期間維持することが可能であるが、いわゆる低温障害が発生する野菜もあることから、冷蔵室108と同等もしくは若干高い温度設定の2℃〜7℃とすることが多い。
冷凍室112は食品の冷凍保存のために冷凍温度に設定されており、より低温のほうが食品保存性が向上するが消費電力量は増加するので、通常−22〜−18℃で設定されている。特に冷凍保存状態の向上や、急速凍結のために、たとえば−30℃から−25℃の低温で設定されることもある。
以上の各断熱区画の温度設定を維持するために、断熱箱体101には蒸気圧縮式冷凍サイクルを備えている。
冷凍サイクルは断熱箱体101の天面後方部を窪ませた上部凹み部121に配設した圧縮機122と凝縮器(図示せず)と減圧器であるキャピラリ(図示せず)と庫内背面に設けられた蒸発器123とを環状に接続し、内部に冷媒(図示せず)と冷凍機油(図示せず)を封入して構成されている。
また庫内背面には蒸発器123のほかに、蒸発器上方に設けられた冷却ファン124と冷気を各断熱区画に供給する冷却ダクト125と冷気供給を制御するダンパー126と蒸発器123の除霜手段であるラジアントヒーター127とが庫内と断熱されて配置されている。
蒸発器123は薄型のフィンコイル式熱交換器が用いられ、奥行き寸法は配管が2段構成で50ミリから72ミリが通常使用される。高さ方向は奥行き寸法より大きく、概ね3から8倍の200から400ミリとされることが多い。また、冷却ファン124は薄型のBOXファンタイプが用いられ、薄型の蒸発器123の上方に奥行き方向で略同一となるように配置され、ラジアントヒーター127はニクロム線などのヒーター素線を内部に配設したガラス管からなり、蒸発器123の下方に奥行き方向で突出しないよう、幅方向と並行に設置されている。また、ラジアントヒーター127には除霜滴下水の水かかり防止用ヒーターカバー128が上方近傍に蒸発器123奥行き方向で突出しないように配設されており、下方部には除霜水を受けて庫外排出するための排水経路であるドレンパン129が配設されている。
また、断熱箱体101は背面下方部を窪ませた部品収納スペースである下部凹み部130を設けてあり、下部凹み部130は蒸発器123や風路を含む庫内に配置した冷凍サイクル部品の奥行き寸法と略一致するよう庫内への出っ張りを規制しているので、引出し式の庫内収納ケースがシンプルな四角形で構成でき庫内空間容積に対して効率的に容量を確保できる。
さらに、下部凹み部130は側面部131が発泡断熱体104で構成され、下方を底部材132で、背面をカバー部材133で閉空間を構成してある。また、上部凹み部121も下部凹み部130と同様に発泡断熱体104が両側面に充填されている。
下部凹み部130内には、蒸発器123の除霜時に発生する除霜水をドレンパン129を経由して集水する蒸発皿134が設けられており、蒸発皿134にはメンテナンスフリーで除霜水を自動蒸発させるために除霜水加熱手段である浸漬パイプ135が配設されている。
凝縮器(図示せず)は冷却ファンを用いて強制空冷してもよいし、外箱102の内側に熱伝導よく貼り付けられた自然空冷タイプであってもよいし、各室断熱扉体間の仕切りに配設して防滴防止を行うための高圧配管を組み合わせてもよい。
また、電動三方弁などの流路制御手段を用いて、区画構成や温度設定の構成に応じた複数の蒸発器を使い分けたり、複数のキャピラリを切替たり、圧縮機122の停止中にガスカットなどしてもよい。この電動三方弁などは部品収納スペースである下部凹み部130内に収納され、動作音が外部に漏洩しにくいよう配慮することができる。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作、作用を説明する。
まず、冷凍サイクルの動作について説明する。庫内の設定された温度に応じて制御手段(図示なし)からの信号により冷凍サイクルが動作して冷却運転が行われる。圧縮機122の動作により吐出された高温高圧の冷媒は、凝縮器(図示なし)にて放熱して凝縮液化し、キャピラリ(図示なし)で減圧されて低温低圧の液冷媒となり蒸発器123に至る。
冷却ファン124の動作により、庫内の空気が強制循環させられ、蒸発器123を通過することで熱交換し、空気が冷却され、蒸発器123内の冷媒は蒸発気化する。低温の空気は冷却風路125により各室に導入され、冷却風路125内に設けられたダンパー126で風量配分を調節する。
蒸発器123内で蒸発気化した後、冷媒は圧縮機122へと吸い込まれる。このようにサイクル運転を繰り返すことで庫内の冷却が行われる。
サイクル運転を繰り返していくと、蒸発器124で庫内の空気が冷却される際に着霜が進んでいく。着霜の元となる水分は断熱扉106の開閉による外気流入や投入食品の水分や製氷皿の水分などから供給されており、庫内容量が大きくなると着霜量も多くなる。
蒸発器124の着霜が進むと、通過空気に対して風路抵抗が大きくなるために冷却ファン124の風量が低下して冷却性能が低下するために、定期的な除霜を実施することが一般的である。
除霜は制御手段(図示せず)により、所定のタイミングで冷凍サイクルの動作を停止し、除霜手段であるラジアントヒーター127に通電を行い、蒸発器124に付着した霜を加熱融解する。融解した霜は除霜水となってドレンパン129に滴下する。このときヒーターカバー128でラジアントヒーター127には直接除霜水がかかることがないので、除霜水の急激な蒸発音が発生することを防止できる。
ドレンパン129は中央部に向かって傾斜が設けてあり、滴下した除霜水が中央に集まるようになっている。さらに、ドレンパンの中央部は庫外への排水管が一体で形成されており、これを伝って蒸発皿134へと除霜水が排出される。排出された除霜水は、少なくとも2回以上の除霜水を貯留可能な容量(1L以上)を確保した蒸発皿134に貯留される。
たとえばサーミスタなどを蒸発器123に取り付け、検知温度が所定の温度以上となることで判別する除霜終了検知手段(図示しない)により、除霜が終了したことを判定すると、制御手段(図示せず)により、再び冷凍サイクルの動作が行われる。冷凍サイクルが動作すると、蒸発皿134に設けられた浸漬パイプ135は冷凍サイクルの高圧配管を用いてあるので、周囲温度よりも比較的高い温度となって除霜水を加熱する。
除霜水は霜の融解により発生し、一部氷水の状態でドレンパン129に集水されているので、比較的低温の水温であり、これを加熱することで、水面外気へと蒸発が促進されていく。
特に、下部凹み部130の側面部131は発泡断熱体104が構成されているので、蒸発皿134を保温性が高く加熱手段である浸漬パイプ135による加熱量を有効に水温上昇に利用できるので、蒸発皿134での除霜水蒸発能力が向上する。
また、同等の除霜水蒸発能力であるならば、浸漬パイプ135の投入量を削減でき、より低コストな構成とすることができる。
なお、浸漬パイプ135を利用すると冷凍サイクルの凝縮能力向上につながり省エネ性に有利であるが、加熱手段としてヒーターを蒸発皿134内に直接配置したり、蒸発皿周囲に貼り付け間接的に配置したりしても同様の効果が得られる上に、配管溶接作業がなく信頼性を必要とする特殊作業を削減でき、工数削減となる。また、蒸発皿134周囲に間接的にヒーターを貼り付けることで、水に直接接触しないので防錆処理や防水処理コストを軽減できる。このとき蒸発皿134は熱伝導性の高い、たとえばアルミなどの金属で構成すると、一層の加熱効果を得ることができる。
また、断熱箱体101の構造強度を主として支える発泡断熱体104が側面全面に一様に充填されているので、局部的な応力集中が生じることがなく、側面変形や波打ちの生じない高位な外観品位を提供でき、構造強度も向上させることができるので断熱扉106のズレなどが生じることを抑制できる。
また、発泡断熱体104で構造強度を十分に確保するので、外箱102に利用する鋼板はより薄肉化が可能となり、通常よく利用されている0.5ミリから0.45ミリの肉圧を0.4ミリから0.35ミリを使用し、低コストの構成が可能となる。
また、基本の発泡断熱体104厚みを減少させ、内容積を増加させたものは耐荷重がより必要になるにも関わらず、基本的な強度は低下する方向であり、より効果が大きいものとなる。
さらにまた、断熱箱体101の天面後方部の凹み部121に、比較的重量物である圧縮機122や凝縮器(図示せず)や冷媒配管を収納することで、従来冷蔵庫下部の引き出し収納容積を削減していたスペースを有効利用する冷蔵庫においては、断熱箱体101の構造強度が高いレベルで必要となり、発泡断熱体104を厚く構成して内容積を減少させたり、外箱102の鋼板板厚を増加して、コストアップや重量アップとなるのを防止することができ、より効果が大きいものとなる。
さらに、床に対してキャスター136などで移動可能に支持されている冷蔵庫は、各支持点に80キロから100キロを超すような本体重量が集中する。キャスター136は剛性の高い発泡断熱体104で構成された側面部131下方に配置してあり、キャスター136の保持強度が十分に確保することができるので、たとえば断熱扉106の開閉動作により断熱箱体101に衝撃荷重がかかる場合など、キャスター136支持部への応力集中を軽減できる。
特に、冷蔵室108の断熱扉106は扉ポケット113が設けられ収納可能となっていることから、収納品により扉重量が増加することで開閉衝撃力が大きくなり、構造強度の向上は重要である。
更にまた上部凹み部121と下部凹み部130の両側面を発泡断熱体104で構成してあるので、前記断熱箱体の側面上部から下部まで全て発泡充填されるので、さらに側壁面の構造強度を向上させることができる。またさらに、発泡充填加工時に側面鋼板に温度や圧力の大きな分布を生じさせることがなく、側面の平面度を阻害させることがないので、外観を変形の少ない高品位なものとすることができる。
なお、上部及び下部凹み部121、130の側面の発泡断熱体104は充填性を向上させるために、外観に現れない面に複数の空気抜き穴(図示せず)を設けることで断熱体を一様に充填でき薄肉鋼板を用いた外箱102の外観品位を一層向上可能である。
またなお、蒸気圧縮式冷凍サイクルを用いた例で説明を行ったが、たとえば、スターリングサイクルや磁気冷凍サイクルなどで発生させた低温部をヒートパイプで庫内へと熱搬送させるものなど、蒸発器123が低温となり着霜が生じ、除霜水が発生するものであれば同様の効果を得ることができる。
また、除霜水蒸発に大きな発熱が期待できる圧縮機122などのモーターや高圧部を上部に配置し、蒸発皿134を下部に配置したレイアウトにおいては、特に効果がある。
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施の形態2における冷蔵庫の要部概略断面図を示すものである。なお、背景技術と同一構成については同一符号を付す。
図4において、断熱箱体101は背面下方部を窪ませた部品収納スペースである下部凹み部130を設けてあり、下部凹み部130は蒸発器123や風路を含む庫内に配置した冷凍サイクル部品の奥行き寸法と略一致するよう庫内への出っ張りを規制しているので、引出し式の庫内収納ケースがシンプルな四角形で構成でき庫内空間容積に対して効率的に容量を確保できる。
さらに、下部凹み部130は側面部131と底面部137とが外箱102との間に発泡断熱体104が構成され、背面をカバー部材133で閉空間を構成してある。
下部凹み部130内には、蒸発器123の除霜時に発生する除霜水をドレンパン129を経由して集水する蒸発皿134が設けられており、蒸発皿134にはメンテナンスフリーで除霜水を自動蒸発させるために除霜水加熱手段である浸漬パイプ135が配設されている。
以上の構成により、除霜時に発生した除霜水をメンテナンスフリーで自動蒸発させるために、除霜後の冷凍サイクル動作時に、蒸発皿134に設けられた浸漬パイプ135が発熱して除霜水の蒸発を促進する。
特に、蒸発皿134の周囲を背面カバー部材133を除き発泡断熱体104で構成されているので、蒸発皿134の保温性が高く加熱手段である浸漬パイプ135による加熱量を有効に水温上昇に利用できるので、蒸発皿134での除霜水蒸発能力がさらに向上する。
また、同等の除霜水蒸発能力であるならば、浸漬パイプ135の投入量を削減でき、より低コストな構成とすることができる。
なお、背面カバー部材133はサービス面からビスなどで固定し、取り外し可能な構成としてあるが、発泡樹脂などの断熱性の高い部材を貼り付けることで、完全に蒸発皿134の周囲を密閉化できるので、さらに加熱効率を向上させることができる。
また、断熱箱体101は部品収納スペースである下部凹み部130の側面部131だけでなく底面部137も発泡断熱体104が充填されているので、局部的な応力集中が生じることがなく、側面変形や波打ちの生じない高位な外観品位を提供でき、構造強度も向上させることができるので断熱扉106のズレなどが生じることを抑制できる。
また、発泡断熱体104で底面部137の構造強度を十分に確保するので、外箱102の底部に利用する鋼板はより薄肉化が可能となり、発泡断熱体104を構成しない場合に用いられる1ミリから1.6ミリの鋼板から0.3ミリ程度を使用し、低コストの構成が可能となる。
また、基本の発泡断熱体104厚みを減少させ、内容積を向上させたものは内容積が増えて耐荷重がより必要になるにも関わらず、基本的な強度は低下する方向であり、より効果が大きいものとなる。
さらにまた、断熱箱体101の天面後方部の凹み部121に、比較的重量物である圧縮機122や凝縮器(図示せず)や冷媒配管を収納することで、従来冷蔵庫下部の引き出し収納容積を削減していたスペースを有効利用する冷蔵庫においては、断熱箱体101の構造強度が高いレベルで必要となり、発泡断熱体104を厚く構成して内容積を減少させたり、外箱102の鋼板板厚を増加して、コストアップや重量アップとなるのを防止することができ、より効果が大きいものとなる。
さらに、たとえば断熱扉106の開閉動作により断熱箱体101に衝撃荷重がかかる場合など、下部凹み部130の周囲発泡断熱体クランク形状部などへの応力集中を軽減できる。
特に、冷蔵室108の断熱扉106は扉ポケット113が設けられ収納可能となっていることから、収納品により扉重量が増加することで開閉衝撃力が大きくなり、構造強度の向上は重要である。
(実施の形態3)
図5は、本発明の実施の形態3における冷蔵庫の概略断面図、図6は冷蔵庫の概略背面図を示すものである。なお、背景技術と同一構成については同一符号を付す。
図5と図6において、断熱箱体101は外箱102と内箱103と、発泡断熱体を空間内に注入してなる発泡断熱体104で構成されている。
断熱箱体101は5つの断熱区画に区分されており、各断熱区画に少なくともひとつの断熱扉106がガスケット107を介して密閉されるよう設けられ、収納品の出し入れに利用される。断熱扉106は上部断熱区画の扉を回転扉式、下部断熱区画の扉を引出し式とする構成をとってある。
断熱区画は最上部から冷蔵室108、並べて設けた引出し式の切替室109と製氷室110、引出し式の野菜室111、最下部に引出し式の冷凍室112となっている。
冷蔵室108の庫内には複数の収納棚114が設けられてあり、庫内最下部には貯蔵ケース115が設けてある。
切替室109はユーザーの設定により温度設定が変更可能な貯蔵室であり、冷凍温度から冷蔵、野菜温度まで所定の温度設定とすることができる。また、製氷室110は独立の氷保存室であり、自動製氷装置(図示せず)を備えて、氷を自動的に作製、貯留するものである。氷を保存するための冷凍温度の設定であるが、氷の保存が目的であるために冷凍温度よりも比較的高い冷凍温度設定も可能である。
冷蔵室108は冷蔵保存用途のために食品が凍らない温度を下限に通常1〜5℃で設定されている。また、貯蔵ケース115は肉魚などの保鮮性向上のため冷蔵室108の中でも比較的低めの温度、たとえば−3〜1℃で設定される場合がある。野菜室111は凍らない低温にするほど葉野菜の鮮度を長期間維持することが可能であるが、いわゆる低温障害が発生する野菜もあることから、冷蔵室108と同等もしくは若干高い温度設定の2℃〜7℃とすることが多い。
冷凍室112は食品の冷凍保存のために冷凍温度に設定されており、より低温のほうが食品保存性が向上するが消費電力は増加するので、通常−22〜−18℃で設定されている。特に冷凍保存状態の向上や、急速凍結のために、たとえば−30℃から−25℃の低温で設定されることもある。
以上の各断熱区画の温度設定を維持するために、断熱箱体101には蒸気圧縮式冷凍サイクルを備えている。
冷凍サイクルは断熱箱体101の天面後方部を窪ませた上部凹み部121に配設した圧縮機122と凝縮器(図示せず)と減圧器であるキャピラリ(図示せず)と庫内背面に設けられた蒸発器123とを環状に接続し、内部に冷媒(図示せず)と冷凍機油(図示せず)を封入して構成されている。
また、蒸発器123と、蒸発器123上方に設けられた冷却ファン124と冷気を各断熱区画に供給する冷却ダクト125と冷気供給を制御するダンパー126と蒸発器123の除霜手段であるラジアントヒーター127とが、庫内と断熱されて、断熱箱体101の最下段の断熱区画である冷凍室112の上部断熱バリア138より上に配置されている。また、冷却ファン124は薄型のBOXファンタイプが用いられ、ラジアントヒーター127はニクロム線などのヒーター素線を内部に配設したガラス管からなり、蒸発器123の下方に奥行き方向で突出しないよう、幅方向と並行に設置されている。また、ラジアントヒーター127には除霜滴下水の水かかり防止用ヒーターカバー128が上方近傍に蒸発器123奥行き方向で突出しないように配設されており、下方部には除霜水を受けて庫外排出するための排水経路であるドレンパン129が備えてある。
また、断熱箱体101の背面を窪ませた部品収納スペースである背面凹み部139が断熱バリア138の上部に設けられており、さらに背面凹み部139は蒸発器123や風路を含む庫内に配置した冷凍サイクル部品の下方にあり、かつ奥行き寸法と略一致するよう庫内への出っ張りを規制しているので、引出し式の庫内収納ケースがシンプルな四角形で構成でき庫内空間容積に対して効率的に容量を確保できる。
背面凹み部139は外箱102の背面に設けた角穴に、樹脂などで成形されたケース部材141嵌め込むことで構成する凹みであって、内箱103も同様に凹ませることで発泡断熱体104の充填経路を確保してある。さらにカバー部材133で閉空間を構成してある。
背面凹み部139内には、蒸発器123の除霜時に発生する除霜水をドレンパン129を経由して集水する蒸発皿134が設けられており、蒸発皿134にはメンテナンスフリーで除霜水を自動蒸発させるために除霜水加熱手段である浸漬パイプ135が配設されている。
以上のように構成された冷蔵庫により、最下部に部品収納スペースである背面凹み部139を下部に設けないので、最下部の冷凍室112を発泡断熱体104を除いた最大の内容積とすることができる。
また、部品収納スペースを最下部の冷凍室112のさらに下方に配置して冷凍室112の奥行きを確保する場合は、部品収納スペースの容積だけ冷凍室112を底上げする必要がある。引出して使用する収納室は間口高さが高くなると、収納品の出し入れが困難になってくる問題があり、高さ方向で無効なスペースを設けることは大きな設計制限となる。
またさらに、蒸発器123から除霜水を排出する排水経路を最下部の冷凍室112の背面に配置することがなく最小の寸法にできるので、低コストとなる上に、排水経路の凍結防止にヒーターを用いて電気代の増加となることもない。
さらに、上記排水経路だけでなく、冷凍サイクル部品や電線などを冷凍室112の背面発泡断熱体104中に埋設することがないので、発泡断熱体104の無効容積を最小にできる。
またさらに、構造体としても底面全体を発泡断熱体104で構成できるので構造強度を向上させることができる。
また、断熱箱体101の側面は構造強度を主として支える断熱材104が一様に充填されているので、局部的な応力集中が生じることがなく、側面変形や波打ちの生じない高位な外観品位を提供でき、構造強度も向上させることができるので断熱扉106のズレなどが生じることを抑制できる。
また、発泡断熱体104で構造強度を十分に確保するので、外箱102に利用する鋼板はより薄肉化が可能となり、通常よく利用されている0.5ミリから0.45ミリの肉圧を0.4ミリから0.35ミリを使用し、低コストの構成が可能となる。
また、冷凍サイクル運転を繰り返していくと、蒸発器124で庫内の空気が冷却される際に着霜が進んでいく。蒸発器124の着霜が進むと、通過空気に対して風路抵抗が大きくなるために冷却ファン124の風量が低下して冷却性能が低下するので、定期的な除霜を実施することが一般的である。除霜は所定のタイミングで冷凍サイクルの動作を停止し、除霜手段であるラジアントヒーター127に通電を行い、蒸発器124に付着した霜を加熱融解して行われる。融解した霜は除霜水となってドレンパン129に滴下し、庫外の蒸発皿134へと排出される。
除霜終了後、再び冷凍サイクルの動作が行われ、蒸発皿134に設けられた浸漬パイプ135が周囲温度よりも比較的高い温度となって除霜水を加熱するので、除霜水の蒸発が促進されていく。
特に、背面凹み部139の周囲は発泡断熱体104が構成されているので、蒸発皿134を保温性が高く加熱手段である浸漬パイプ135による加熱量を有効に水温上昇に利用できるので、蒸発皿134での除霜水蒸発能力が向上する。
また、同等の除霜水蒸発能力であるならば、浸漬パイプ135の投入量を削減でき、より低コストな構成とすることができる。
(実施の形態4)
図7は、本発明の実施の形態4における冷蔵庫の要部概略平面図を示すものである。なお、背景技術と同一構成については同一符号を付す。
図7において、断熱箱体101の背面下方部を窪ませた部品収納スペースである下部凹み部130を設けてあり、下部凹み部130は蒸発器123や風路を含む庫内に配置した冷凍サイクル部品の奥行き寸法と略一致するよう庫内への出っ張りを規制しているので、引出し式の庫内収納ケースがシンプルな四角形で構成でき庫内空間容積に対して効率的に容量を確保できる。
さらに、下部凹み部130は側面部131が発泡断熱体104aであり、この空間が冷凍室112背面の発泡断熱体104bや下部凹み部130の上下発泡断熱体(図示せず)と比べて薄くしてあるので、比較的断熱体体積の小さい下部凹み部130側面よりも、体積の大きい上下及び奥部の発泡充填流路が確保されるので発泡充填性が向上し、ボイドなどの発生を防止して高品質の断熱体を成形することができる。
(実施の形態5)
図8は、本発明の実施の形態5における冷蔵庫の概略断面図を示すものである。なお、背景技術と同一構成については同一符号を付す。
図8において、発泡断熱体104中には真空断熱材142が埋設されており、外箱102側にホットメルトなどの接着部材(図示せず)を用いて密着貼付けされている。真空断熱材142は発泡断熱体104内に配設するために薄い平面形状のものが必要となる。また、接着部材は接着部に空気が混入しないように真空断熱材142表面に全面塗布されている。真空断熱材142は、硬質ウレタンフォームなどの発泡断熱体104と比べて5倍〜20倍の断熱性能を有しており、断熱箱体101の断熱性能を飛躍的に向上させるものである。
さらに、断熱箱体101の側面に設けた真空断熱材142は、上部凹み部121と下部凹み部130の側面に渡って貼り付けてあるので、長方形の真空断熱材142を側面いっぱいに貼り付けることができ、省エネ性を向上させることが可能であり、もしくは発泡断熱体104を薄肉化して内容積を拡大することが可能である。さらに、側面に真空断熱材142貼り付け部と発泡断熱体104との境を断熱箱体101の端部にすることができるので収縮差などによる変形が生じても目立たなくすることができる。