JP7256053B2 - Co2高含有氷を含有する洗浄剤 - Google Patents
Co2高含有氷を含有する洗浄剤 Download PDFInfo
- Publication number
- JP7256053B2 JP7256053B2 JP2019061227A JP2019061227A JP7256053B2 JP 7256053 B2 JP7256053 B2 JP 7256053B2 JP 2019061227 A JP2019061227 A JP 2019061227A JP 2019061227 A JP2019061227 A JP 2019061227A JP 7256053 B2 JP7256053 B2 JP 7256053B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- hydrate
- weight
- cleaning
- ice
- present
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Detergent Compositions (AREA)
Description
CO2含有率が3重量%以上の氷(好ましくはCO2ハイドレート)を水等の液体に添加して融解させると、UFB発生装置を必要とせずに、液体中にウルトラファインバブルを発生させることができること。
CO2ハイドレートの中でも圧密化CO2ハイドレートを用いると、液体中に発生させることができるUFBの濃度(個/mL)を顕著に高めることができること。
CO2含有率が3重量%以上の氷(好ましくはCO2ハイドレート)をそのまま融解させると、かかる氷を水等の液体に添加して融解させた場合よりも非常に高い濃度でUFBを含有する液体を得ることができること。
CO2ハイドレート液中のUFB濃度(億個/mL)が高くなるほど、そのCO2ハイドレート液の表面張力が低下すること。
CO2ハイドレート液は、高い油脂洗浄効果を有していること。
CO2ハイドレート液中のUFB濃度(億個/mL)が高くなるほど、そのCO2ハイドレート液の油脂洗浄効果が高くなること。
CO2ハイドレートと界面活性剤を併用すると、油脂洗浄効果について相乗効果が得られること。
CO2ハイドレート液中のUFB濃度(億個/mL)が高くなるほど、そのCO2ハイドレート液のタンパク質洗浄効果が高くなること。
(1)CO2含有率が3重量%以上の氷を含有することを特徴とする洗浄剤;
(2)CO2含有率が3重量%以上の氷が、CO2ハイドレートである上記(1)に記載の洗浄剤;
(3)CO2含有率が3重量%以上の氷が、最大長が3mm以上の大きさで、かつCO2含有率が3重量%以上の氷である上記(1)又は(2)に記載の洗浄剤;
(4)CO2含有率が3重量%以上の氷が、以下の測定法P1で測定した場合のウルトラファインバブルの濃度が5百万個/mL以上となるように、ウルトラファインバブルを水の中に発生させることができる氷であることを特徴とする上記(1)~(3)のいずれかに記載の洗浄剤;
(測定法P1)
水に、CO2含有率が3重量%以上である氷を300mg/mL添加して調製した溶液中のウルトラファインバブルの濃度(個/mL)を、レーザー回折・散乱法又はナノトラッキング法で測定する;
(5)CO2含有率が3重量%以上の氷が、圧密化CO2ハイドレートであることを特徴とする上記(1)~(4)のいずれかに記載の洗浄剤;
(6)CO2含有率が3重量%以上の氷を融解させる工程を含む、洗浄用液体組成物の製造方法;
(7)CO2含有率が3重量%以上の氷を融解させる工程が、CO2含有率が3重量%以上の氷を他の液体に接触させることによって融解させる工程、又は、CO2含有率が3重量%以上の氷を他の液体に接触させずに融解させる工程である、上記(6)に記載の洗浄用液体組成物の製造方法;又は、
(8)200ppm以上の炭酸を含み、かつ、5百万個/mL以上のウルトラファインバブルを含有する洗浄用液体組成物;
に関する。
[1]CO2含有率が3重量%以上の氷を含有することを特徴とする洗浄剤(以下、「本発明の洗浄剤」とも表示する。);や、
[2]CO2含有率が3重量%以上の氷を融解させる工程を含む、洗浄用液体組成物の製造方法(以下、「本発明の製造方法」とも表示する。);や、
[3]200ppm以上の炭酸を含み、かつ、5百万個/mL以上のウルトラファインバブルを含有する洗浄用液体組成物(以下、「本発明の洗浄用液体組成物」とも表示する。);
などの態様を含んでいる。
なお、本発明の洗浄剤は固体であるが、ウルトラファインバブルを高濃度で含む液体の状態(洗浄用液体組成物)となったときに洗浄効果を発揮する。本明細書において、本発明の洗浄剤は、本発明の洗浄用物質又は洗浄用固体組成物と言い換えることもできる。
本発明におけるCO2含有率が3重量%以上の氷(CO2高含有氷)は、CO2ハイドレートではないCO2高含有氷であってもよいが、より高い洗浄効果を得る観点から、CO2ハイドレートであることが好ましく、圧密化CO2ハイドレートであることがより好ましい。CO2ハイドレートは、水分子の結晶体の空寸に二酸化炭素分子を閉じ込めた固体の包接化合物である。CO2ハイドレートは、通常、氷状の結晶体であり、例えば標準気圧条件下で、かつ、氷が融解するような温度条件下に置くと、融解しながらCO2を放出する。また、本発明におけるCO2高含有氷として、CO2ハイドレートを用いずに、CO2ハイドレートではないCO2高含有氷を用いてもよいし、CO2ハイドレートではないCO2高含有氷を用いずに、CO2ハイドレートを用いてもよいし、CO2ハイドレートではないCO2高含有氷と、CO2ハイドレートを併用してもよい。また、CO2ハイドレートとして、圧密化CO2ハイドレートを用いずに、圧密化していないCO2ハイドレートを用いてもよいし、圧密化していないCO2ハイドレートを用いずに、圧密化CO2ハイドレートを用いてもよいし、圧密化していないCO2ハイドレートと圧密化CO2ハイドレートを併用してもよい。
(測定法P1)
水に、CO2含有率が3重量%以上である氷を300mg/mL添加して調製した溶液中のウルトラファインバブルの濃度(個/mL)を、レーザー回折・散乱法(好ましくは定量レーザー回折・散乱法)又はナノトラッキング法で測定する。
式(1)
(CO2含有率)=(融解前のサンプル重量-融解後のサンプル重量)/融解前のサンプル重量)
式(2)
CO2ハイドレート率(%)={(融解前のサンプル重量-融解後のサンプル重量)+(融解前のサンプル重量-融解後のサンプル重量)÷44×5.75×18}×100÷融解前のサンプル重量
式(2)を以下に説明する。(融解前のサンプル重量-融解後のサンプル重量)は、包蔵されるCO2ガス重量となる。CO2ガスをハイドレートとして包接するために必要な水量は、理論水和数5.75、CO2の分子量44、水の分子量18を用いて算出し、それ以外の水は、ハイドレートを構成しない付着水とみなしている。
CO2ハイドレート生成条件を充たす条件下で原料水中にCO2を吹き込みながら原料水を攪拌する気液攪拌方式や、CO2ハイドレート生成条件を充たす条件下でCO2中に原料水をスプレーする水スプレー方式等の常法を用いることができる。これらの方式で生成されるCO2ハイドレートは、通常、CO2ハイドレートの微粒子が、未反応の水と混合しているスラリー状である。かかるスラリーについて脱水処理及び圧縮処理を行うことにより、圧密化CO2ハイドレートを製造することができる。CO2ハイドレート粒子と水を含むスラリーの脱水処理及び圧縮処理は、例えば、スラリーの脱水処理を行った後、CO2ハイドレート粒子の圧縮処理を行うなど、脱水処理と圧縮処理を別々に順次行ってもよいし、あるいは、スラリー中の水が排出され得る状況下でスラリーを圧縮処理するなどして、脱水処理と圧縮処理を同時に行ってもよいが、より高い洗浄効果を有するCO2ハイドレートを得る観点から、脱水処理と圧縮処理を同時に行うことが好ましく、中でも、CO2ハイドレート生成条件下で脱水処理と圧縮処理を同時に行うことがより好ましい。CO2ハイドレート粒子の圧縮処理や、スラリーの圧縮処理は、市販の圧密成形機等を用いて行うことができる。圧縮処理の際の圧力としては、例えば0.1~100Mpa、0.8~100Mpa、1~100Mpa、1~50Mpa、1~30Mpa、1~15Mpa、1~10Mpa、2.5~10Mpaなどを挙げることができる。なお、前述のスラリーについて、十分な脱水処理を行うと、CO2ハイドレート率は通常約40%となり、十分な脱水処理後に2.5MpaでCO2ハイドレート粒子の圧縮処理を行うとCO2ハイドレート率は通常約60%となるとされている。
本発明の洗浄剤は、CO2含有率が3重量%以上の氷(CO2高含有氷)を含有する限り特に制限されない。本発明の洗浄剤は、「任意成分を含有しないCO2高含有氷(好ましくはCO2ハイドレート)」、又は、「任意成分を含有するCO2高含有氷(好ましくはCO2ハイドレート)」のみからなる洗浄剤であってもよいし、これらCO2高含有氷(好ましくはCO2ハイドレート)以外に、任意成分をさらに含有していてもよい。
任意成分を用いるかどうか、及び、任意成分を用いる場合にどのような任意成分を用いるかは、本発明の洗浄剤の使用目的、使用態様に応じて当業者は適宜設定することができる。任意成分としては、界面活性剤、洗浄助剤、防腐剤、可溶化剤、乳化剤、粘度調整剤、酸化防止剤などが挙げられる。
上記の界面活性剤としては、特に制限されず、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤等を用いることができる。また、これらの界面活性剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記の洗浄助剤(以下、ビルダーともいう。)としては、特に限定されず、無機ビルダー、有機ビルダーのいずれを用いてもよい。
上記の防腐剤としては、特に限定されず、例えば、安息香酸及びその塩類、サリチル酸及びその塩類、ソルビン酸及びその塩類、デヒドロ酢酸及びその塩、パラオキシ安息香酸アルキルエステル(メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン等)をはじめとするパラオキシ安息香酸エステル、2,4,4’-トリクロロ-2’-ヒドロキシジフェニルエーテル、3,3,4’-トリクロロカルバニリド、ヘキサクロロフェン、塩化ベンザルコニウム、フェノキシエタノール、ヒノキチオール、レゾルシン、エタノール、1,3-ブチレングリコール、イソプロピルメチルフェノール、1,3-ブチレングリコール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール等の多価アルコール等が挙げられる。なお、前記塩類としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩が挙げられる。
上記の可溶化剤又は乳化剤としては、特に限定されず、例えば、ジメチルイソソルバイド、トランスクトール(transcutol)、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ヒマシ油、イソプロピルミリステート、オクチルドデカノール、イソセチルアルコール、オレイルアルコール、オレイルセチルアルコール、中鎖長の植物性脂肪酸のトリグリセリド、例えばカプリル酸トリグリセリド及びカプリン酸トリグリセリド、プロピレングリコールジカプリレート及びジカプレートの混合物であるMiglyolsR、カプリル酸及びカプリン酸トリグリセリドの混合物、Neobee M-5、ポリソルベート(polysorbate)20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80等のポリソルベート、ソルビタンラウレート、ソルビタンオレート、ソルビタンパルミテート、ソルビタンステアレート、ソルビタントリオレート、ソルビタントリステアレート等のソルビタン、グリセリルモノステアレート、ポリオキシエチレンステアレート、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、PEG-20グリセリルステアレート、セテアレス-12(ceteareth‐12)、セテアレス-20、セテアレス-30、PPG-2-セテアレス-9、オレイルアルコールのポリエチレングリコールエーテル、例えばオレス-5(oleth‐5)、オレス-10、オレス-5とオレス-10の混合物、ステアロール、例えばソヤ(soya)ステアロール、PEG-5 ソヤ ステアロール、PEG-10 ステアロール、PEG-16 ソヤ ステアロール、PEG-25 ソヤ ステアロール、ナトリウムステアリルサルフェート、PEG-40水添ヒマシ油、PEG-60水添ヒマシ油、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール等が挙げられる。これらの可溶化剤又は乳化剤は、単独で、又は2種以上を組合せて用いてもよい。
上記の粘度調整剤は、特に限定されず、例えば、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セテオステアリルアルコール、ミリスチルアルコール、キサンタンガム、マグネシウムアルミニウムシリケート様ビーガム、カルボマー、グリセリルステアレート、水添ヒマシ油、パルミチン酸セチル、ステアリン酸;合成及び半合成ワックスの組み合わせ;グリセリルステアレート、ステアリルアルコール、パルミチン酸セチル、及びココグリセリド配合物の組み合わせ;又はグリセリルヒドロキシステアレート、パルミチン酸セチル及びトリヒドロキシステアリン配合物の組み合わせ等が挙げられる。これらの粘度調整剤は、単独で、又は2種以上を組合せて用いてもよい。
上記の酸化防止剤としては、特に限定されないが、例えば、アスコルビン酸又はアスコルビン酸のリン酸エステル誘導体又はそれらの塩、ステアリン酸エステル、トコフェロール又はそれらの誘導体、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ヒドロキシチロソール、パラヒドロキシアニソール、没食子酸プロピル、セサモール、セサモリン、ゴシポール等が挙げられる。
本発明の洗浄剤は、容器に収容されていなくてもよいが、容器に収容されていることが好ましい。容器の形状や材質は特に制限されないが、容器の形状としては、略直方体状、略立方体状、略円柱形状、袋状などが挙げられ、容器の材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂;ガラス;アルミニウム等の金属;などが好ましく挙げられる。
本発明の洗浄剤としては、以下の測定法P2で測定した場合のウルトラファインバブルの濃度(個/mL)で、好ましくは5百万個/mL以上、より好ましくは1千万個/mL以上、さらに好ましくは2千万個/mL以上、より好ましくは2千5百万個/mL以上、さらに好ましくは3千万個/mL以上、より好ましくは3千5百万個/mL以上、さらに好ましくは5千万個/mL以上、より好ましくは7千5百万個/mL以上、さらに好ましくは1億個/mL以上、より好ましくは1億5千万個/mL以上、さらに好ましくは2億個/mL以上、より好ましくは2億5千万個/mL以上のウルトラファインバブルを水の中に発生させることができる洗浄剤を好適に挙げることができる。
(測定法P2)
水に、洗浄剤を、CO2含有率が3重量%以上の氷に換算して300mg/mL添加して調製した溶液中のウルトラファインバブルの濃度(個/mL)を、レーザー回折・散乱法(好ましくは定量レーザー回折・散乱法)又はナノトラッキング法で測定する。
本発明の洗浄剤は、本発明の洗浄用液体組成物の状態で洗浄効果を発揮するため、本発明の洗浄用液体組成物と洗浄対象物(好ましくは、洗浄対象物の洗浄対象箇所)を接触させることを少なくとも含む方法で使用する。本発明の洗浄剤は、本発明の洗浄剤を本発明の洗浄用液体組成物にした後、かかる本発明の洗浄用液体組成物を洗浄対象物に接触させてもよいし、本発明の洗浄剤を洗浄対象物に接触させた後、本発明の洗浄剤を本発明の洗浄用液体組成物にしてもよい。
本発明の洗浄剤の流通や保管の際の条件は以下のとおりである。
本発明の洗浄剤がCO2ハイドレート以外のCO2高含有氷を含有する場合、かかる本発明の洗浄剤は、流通や保管の際に、氷が融解しない温度及び圧力で保持することが好ましい。かかる温度及び圧力として、例えば常圧(例えば1気圧)で0℃以下の条件が挙げられる。一方、CO2ハイドレートの製法等によっては、その保存性や安定性に優れているものもある。したがって、本発明の洗浄剤がCO2高含有氷としてCO2ハイドレートを含有する場合、かかる本発明の洗浄剤は、流通や保管の際に、常温(5~35℃)、常圧(例えば1気圧)で保持してもよいが、本発明の洗浄剤をより長期間、より安定的に保つ観点から、本発明の洗浄剤は、流通や保管等の際に、「低温条件下」、又は「高圧条件下」、又は「低温条件下かつ高圧条件下」で保持することが好ましい。保持の簡便性の観点から、これらの中でも、「低温条件下」で保持することが好ましく、常圧(例えば1気圧)で「低温条件下」で保持することがより好ましい。
本発明の洗浄用液体組成物としては、200ppm以上の炭酸を含み、かつ、5百万個/mL以上のウルトラファインバブルを含有する液体組成物である限り特に制限されない。
本発明の洗浄用液体組成物は200ppm以上の炭酸を含んでいる限り特に制限されないが、好ましくは500ppm(0.05重量%)以上、より好ましくは750ppm(0.075重量%)以上、さらに好ましくは900ppm(0.09重量%)以上、より好ましくは1000ppm(0.1重量%)の炭酸を含んでいることが好ましい。炭酸の上限は特に制限されないが、例えば4000ppm(0.4重量%)以下、3000ppm(0.3重量%)以下、2000ppm(0.2重量%)以下、1500ppm(0.15重量%)以下が挙げられる。本発明の洗浄用液体組成物における炭酸濃度としてより具体的には、500~4000ppm、750~4000ppm、900~4000ppm、1000~4000ppm、500~3000ppm、750~3000ppm、900~3000ppm、1000~3000ppm、500~2000ppm、750~2000ppm、900~2000ppm、1000~2000ppm、500~1500ppm、750~1500ppm、900~1500ppm、1500~2000ppm等が挙げられる。
本発明の洗浄用液体組成物におけるウルトラファインバブルの濃度は、5百万個/mL以上である限り特に制限されないが、好ましくは1千万個/mL以上、より好ましくは2千万個/mL以上、さらに好ましくは2千5百万個/mL以上、より好ましくは3千万個/mL以上、さらに好ましくは3千5百万個/mL以上、より好ましくは5千万個/mL以上、さらに好ましくは7千5百万個/mL以上、より好ましくは1億個/mL以上、さらに好ましくは1億5千万個/mL以上、より好ましくは2億個/mL以上、さらに好ましくは2億5千万個/mL以上であることが挙げられる。また、本発明の洗浄用液体組成物におけるウルトラファインバブルの濃度の上限としては、特に制限されないが、例えば100億個/mL以下、10億個/mL以下であることが挙げられる。本発明の洗浄用液体組成物におけるウルトラファインバブルのより具体的な濃度としては、5百万~100億個/mL、5百万~10億個/mL、1千万~100億個/mL、1千万~10億個/mL、2千万~100億個/mL、2千万~10億個/mL、2千5百万~100億個/mL、2千5百万~10億個/mL、3千万~100億個/mL、3千万~10億個/mL、3千5百万~100億個/mL、3千5百万~10億個/mL、5千万~100億個/mL、5千万~10億個/mL、7千5百万~100億個/mL、7千5百万~10億個/mL、1億~100億個/mL、1億~10億個/mL、1億5千万~100億個/mL、1億5千万~10億個/mL、2億~100億個/mL、2億~10億個/mL、2億5千万~100億個/mL、2億5千万~10億個/mL等が挙げられる。なお、本明細書の本発明において、ウルトラファインバブルは好ましくは、CO2のウルトラファインバブルである。
(測定法P3)
洗浄用液体組成物中のウルトラファインバブルの濃度(個/mL)を、レーザー回折・散乱法(好ましくは定量レーザー回折・散乱法)又はナノトラッキング法で測定する。
本発明の洗浄用液体組成物の20℃での表面張力としては、特に制限されないが、より高い洗浄効果を得る観点から、水よりも低いことが好ましく、プレート法(Wilhelmy法)で73N/m以下、好ましくは70N/m以下、より好ましくは68N/m以下、さらに好ましくは65N/m以下、より好ましくは63N/m以下、さらに好ましくは60N/m以下、より好ましくは58N/m以下、さらに好ましくは55N/m以下が挙げられる。
本発明の洗浄用液体組成物の油脂洗浄効果としては、特に制限されないが、水よりも高いことが好ましく、油汚れモデル(好ましくは、牛脂、大豆油、色素及びクロロホルムを含む油汚れモデル)試験片(油汚れモデル試験スライドガラス)とリーナッツ試験機を用いた油脂洗浄効果確認試験において、油汚れモデル試験片の洗浄量(mg)が、水を用いた場合のその洗浄量(mg)の好ましくは1.5倍以上、より好ましくは2.8倍以上、さらに好ましくは3.5倍以上、より好ましくは5倍以上が挙げられる。また、本発明の洗浄用液体組成物の油脂洗浄効果の上限としては、例えば、水を用いた場合の10倍以下などが挙げられる。上記の油汚れモデル試験片とリーナッツ試験機を用いた油脂洗浄効果確認試験としては、後述の実施例の試験4における試験方法が好ましく挙げられる。
本発明の洗浄用液体組成物のタンパク質洗浄効果としては、特に制限されないが、水よりも高いことが好ましく、タンパク質汚れモデル(好ましくはムチンを含むタンパク質汚れモデル)試験片(タンパク質汚れモデル試験スライドガラス)とリーナッツ試験機を用いた洗浄効果確認試験において、タンパク質汚れモデル試験片の洗浄量(mg)が、水を用いた場合のその洗浄量(mg)の好ましくは1.3倍以上、より好ましくは1.5倍以上、さらに好ましくは1.7倍以上が挙げられる。また、本発明の洗浄用液体組成物のタンパク質洗浄効果の上限としては、例えば、水を用いた場合の3倍以下などが挙げられる。上記のタンパク質汚れモデル試験片とリーナッツ試験機を用いたタンパク質洗浄効果確認試験としては、後述の実施例の試験5における試験方法が好ましく挙げられる。
本発明の洗浄用液体組成物は、水とCO2のみからなる組成物であってもよいが、さらに、界面活性剤、洗浄助剤、防腐剤、可溶化剤、乳化剤、粘度調整剤、酸化防止剤などの任意成分を含んでいてもよい。本発明の洗浄用液体組成物が界面活性剤を含む場合、かかる界面活性剤の合計含有量としては、洗浄用液体組成物の総重量に対して、例えば0.0005~25重量%、好ましくは0.005~12重量%、より好ましくは0.025~6重量%、さらに好ましくは0.01~4重量%などが挙げられる。また、本発明の洗浄用液体組成物がビルダーを含む場合、かかるビルダーの合計含有量としては、洗浄用液体組成物の総重量に対して、例えば0.005~6重量%、好ましくは0.05~3重量%、より好ましくは0.25~1.5重量%が挙げられる。また、本発明の洗浄用液体組成物が防腐剤を含む場合、かかる防腐剤の合計含有量としては、洗浄用液体組成物の総重量に対して、例えば0.0005~5重量%などが挙げられる。また、本発明の洗浄用液体組成物が可溶化剤又は乳化剤を含む場合、かかる可溶化剤、乳化剤の合計含有量としては、洗浄用液体組成物の総重量に対して、例えば0.0005~5重量%などが挙げられる。また、本発明の洗浄用液体組成物が粘度調整剤を含む場合、かかる粘度調整剤の合計含有量としては、洗浄用液体組成物の総重量に対して、例えば0.0005~5重量%などが挙げられる。また、本発明の洗浄用液体組成物が酸化防止剤を含む場合、かかる酸化防止剤の合計含有量としては、洗浄用液体組成物の総重量に対して、例えば0.0005~5重量%などが挙げられる。
本発明の洗浄用液体組成物は、容器に収容されていなくてもよいが、容器に収容されていることが好ましい。容器の形状や材質は特に制限されないが、容器の形状としては、略直方体状、略立方体状、略円柱形状、袋状などが挙げられ、容器の材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂;ガラス;アルミニウム等の金属;などが好ましく挙げられる。
本発明の洗浄用液体組成物において、ウルトラファインバブルを含んでいる溶媒としては、CO2高含有氷(好ましくはCO2ハイドレート)をその溶媒中に含有させたときに、CO2高含有氷(好ましくはCO2ハイドレート)がウルトラファインバブルを発生させることができる溶媒が挙げられ、具体的には、(i)「親水性溶媒」、(ii)「疎水性溶媒」、(iii)「親水性溶媒と疎水性溶媒の混合溶媒」、「(i)~(iii)のいずれかの溶媒に任意の溶質を含んだ液体」等が挙げられる。本発明における「洗浄用液体組成物」が液体状である温度条件及び圧力条件は、溶媒の種類、洗浄用液体組成物の用途、洗浄用液体組成物の使用条件等によっても左右されるため一概に特定することはできないが、20℃、1気圧の条件下で液体状である洗浄用液体組成物が好ましく挙げられる。
本発明の洗浄用液体組成物は、本発明の洗浄用液体組成物が洗浄効果を発揮し得る物(洗浄対象物)の洗浄に好適に用いることができ、より具体的には、機器・装置、配管、体表面、頭皮、生体内部、衣類、食器、食品、浴槽、便器、流し台、排水溝、排水管、床、壁、義歯などの洗浄に好適に用いることができる。上記の機器・装置としては、半導体など精密機器・装置の他、体液が付着する可能性が高い医療機器・装置が好ましく挙げられる。上記の医療機器としては、内視鏡、カテーテル、人工透析機(特に人工透析液の回路)が好ましく挙げられる。上記の内視鏡としては、喉頭内視鏡、気管内支鏡、上部消化器内視鏡、小腸内視鏡、大腸内視鏡、胸腔鏡、腹腔鏡、膀胱鏡、胆道鏡、間接鏡、血管内視鏡等が挙げられる。また、本発明の洗浄用液体組成物は、界面活性剤を含んでいない態様でも十分に高い洗浄効果を有しているため、界面活性剤の使用をできるだけ避けたい場合(例えば、生体内部の洗浄など)などに、特に高い有用性を有している。なお、本発明の洗浄用液体組成物は、洗浄対象物が汚れる前に、洗浄対象物にあらかじめ接触させることにより、防汚用液体組成物としても用いることができる。したがって、本発明の洗浄剤は、防汚剤としても用いることができる。かかる防汚剤は、本発明の防汚用物質又は防汚用固体組成物と言い換えることもできる。
本発明の洗浄用液体組成物の使用方法は、特に制限されず、目的とする用途に用いられる既知の洗浄用液体組成物の使用方法と同様の使用方法を用いることができる。本発明の洗浄用液体組成物の使用方法としては、本発明の洗浄用液体組成物と洗浄対象物(好ましくは、洗浄対象物の洗浄対象箇所)を接触させることを少なくとも含む方法が挙げられ、より具体的には、本発明の洗浄用液体組成物中に洗浄対象物を浸漬する方法、本発明の洗浄用液体組成物の水流と洗浄対象物を接触させる方法(好ましくは、本発明の洗浄用液体組成物の水流中に洗浄対象物を置く方法、本発明の洗浄用液体組成物の水流を洗浄対象物に当てる方法)、本発明の洗浄用液体組成物を含む洗浄部材(ブラシ、スポンジ等)で洗浄対象物を擦る方法、及び、超音波振動を与えつつ本発明の洗浄用液体組成物と洗浄対象物を接触させる方法などが挙げられる。ただし、本発明の洗浄用液体組成物は、高い洗浄効果を有するウルトラファインバブルを高濃度で含んでいることから、洗浄部材や超音波振動を用いない場合であっても高い洗浄効果を得ることができる。
本発明の洗浄用液体組成物の製造方法(本発明の製造方法)としては、CO2含有率が3重量%以上の氷(好ましくはCO2ハイドレート)を融解させる工程を含んでいる限り特に制限されない。CO2高含有氷(好ましくはCO2ハイドレート)を融解させることにより、ウルトラファインバブルを含有する洗浄用液体組成物を製造することができる。かかる本発明の洗浄用液体組成物は、ウルトラファインバブルと溶媒を含んでいる。なお、本発明の洗浄用液体組成物には、例えば以下の(A)~(C)の液体が包含される。(A)~(C)の液体の溶媒としては、前述した溶媒が挙げられる。
(A)本発明におけるCO2高含有氷を含有するウルトラファインバブル発生剤自体が融解した液体(以下、単に「融解液」とも表示する。);
(B)該融解液以外の他の液体(以下、単に「他の液体」とも表示する。);
(C)融解液と他の液体の混合液;
(1)通常CO2ハイドレートの調製
4Lの水にCO2ガスを3MPaとなるように吹き込み、撹拌をしながら1℃でCO2ハイドレート生成反応を進行させて、CO2ハイドレート粒子が水中に懸濁しているCO2ハイドレートスラリーを得た。その後、かかるCO2ハイドレートスラリーを-20℃まで冷却して、最大長が3mm以上60mm以下の多面体形状のCO2ハイドレートを選択して回収し、以降の実験で「通常CO2ハイドレート」として用いた。かかる「通常CO2ハイドレート」のCO2含有率は13重量%であり、CO2ハイドレート率は約25%であった。
4Lの水にCO2ガスを3MPaとなるように吹き込み、撹拌をしながら1℃でCO2ハイドレート生成反応を進行させて、CO2ハイドレート粒子が水中に懸濁しているCO2ハイドレートスラリーを得た。かかるCO2ハイドレートスラリーをシリンダー式の圧密成形機へ流し込み、圧密成形機内と脱水ドレンとの差圧(約1MPa)により脱水してCO2ハイドレート粒子の結晶を濃縮した。これらのCO2ハイドレート粒子の結晶を10MPaの圧搾圧で圧縮した後、-20℃まで冷却して、圧密成形機からCO2ハイドレートの円筒状の塊を回収した後、かかる円筒状の塊を破砕した。最大長が3mm以上60mm以下の多面体形状のCO2ハイドレートを選択して回収し、以降の実験で「圧密化CO2ハイドレート」として用いた。かかる高圧圧密化CO2ハイドレートのCO2含有率は24重量%であり、CO2ハイドレート率は約60%であった。
CO2ハイドレートをそのまま融解させたCO2ハイドレート融解液や、CO2ハイドレートを水に添加して融解させたCO2ハイドレート水溶液における気泡がウルトラファインバブルであるか等を調べるために、以下の実験を行った。
前述の試験1の(2)で作製した圧密化CO2ハイドレートを容器に入れ、圧密化CO2ハイドレートがすべて融解するまで常温で静置して、CO2ハイドレート融解液を得た。なお、このCO2ハイドレート水溶液の炭酸濃度は、200ppm以上であった。
圧密化CO2ハイドレート、又は、前述の試験1の(1)で作製した通常CO2ハイドレートを、後述の表1に記載の添加量で水に添加して、CO2ハイドレート水溶液を調製した。なお、このCO2ハイドレート水溶液の炭酸濃度は、200ppm以上であった。
上記(1)のCO2ハイドレート融解液と、上記(2)のCO2ハイドレート水溶液(CO2ハイドレート融解液とCO2ハイドレート水溶液をまとめて、「CO2ハイドレート液」とも表示する。)における気泡の濃度(個数)及び粒径(μm)を、島津製作所社製「SALD-7500nano」を使用してそれぞれ測定した。
CO2ハイドレート融解液における気泡の粒径分布と発生頻度(濃度)の結果を図1に示す。図1の結果から分かるように、圧密化CO2ハイドレートをそのまま融解して得られたCO2ハイドレート融解液中の気泡は、粒径約60~300nmのウルトラファインバブルであることが示された。
界面活性剤を水に添加すると液体の表面張力が低下し、その結果、その液体の浸透力が高まるなどして、その液体の持つ洗浄力は向上することが知られている。すなわち、ある液体の表面張力は、その液体が有する洗浄力の指標の1つとして知られている。CO2ハイドレート液の表面張力が水と比較してどのようであるかを調べるために、以下の実験を行った。
上記試験2に記載の方法と同じ方法で調製したCO2ハイドレート融解液とCO2ハイドレート水溶液を表面張力計(協和界面科学株式会社製)に供して、プレート法(Wilhelmy法)にて各CO2ハイドレート液の表面張力(N/m)をそれぞれ測定した。なお、表面張力を測定するときのCO2ハイドレート液の液温は20℃とした。これらの測定結果を図2に示す。
図2の結果から分かるように、300mg/mLの通常CO2ハイドレートを含むCO2ハイドレート水溶液の表面張力は、水の表面張力より少し低いものの、有意差は認められなかった。それに対して、圧密化CO2ハイドレートを含むCO2ハイドレート水溶液の表面張力は、圧密化CO2ハイドレートの添加量に依存して有意に低下し、圧密化CO2ハイドレートをそのまま融解させたCO2ハイドレート融解液において表面張力が最も低くなった。図2の結果と、上記表1の結果を併せ考慮すると、CO2ハイドレート液中のUFB濃度(億個/mL)が高くなるほど、そのCO2ハイドレート液の表面張力が低下することが示された。また、CO2ハイドレート液は、水よりも表面張力が低く、すなわち、濡れ性が向上しているため、水よりも高い洗浄効果を有していると考えられた。
CO2ハイドレート液が実際に油脂洗浄効果を有しているかを調べるために、以下の実験を行った。
60gのクロロホルムが入ったビーカー内に10gの牛脂、10gの大豆油及び
0.1gの色素(オイルレッド)を添加して溶解して調製した汚垢液を、油汚れモデルとした。クリップでスライドガラスの端をつまみ、このスライドガラスを前述の汚垢液中に一定速度で入れた後引き上げ、スライドガラス表面上に一定の量及び厚みの汚垢を付着させた。その後、このスライドガラスをドラフトチャンバー内に1時間置いて乾燥させて、油汚れモデル試験片(以下、試験4において単に「試験片」とも表示する。)とした。
洗浄液として以下の8種類の洗浄液を調製した。なお、クリアッシュ(登録商標)(ナガセ医薬品株式会社製)とは、界面活性剤を含む、内視鏡用くもり止めである。
[1] 水;
[2] 300mg/mLの通常CO2ハイドレートを含むCO2ハイドレート水溶液;
[3] 50mg/mLの圧密化CO2ハイドレートを含むCO2ハイドレート水溶液;
[4] 100mg/mLの圧密化CO2ハイドレートを含むCO2ハイドレート水溶液;
[5] 300mg/mLの圧密化CO2ハイドレートを含むCO2ハイドレート水溶液;
[6] 0.6重量%のクリアッシュを含む水溶液;
[7] 100mg/mLの圧密化CO2ハイドレート及び0.6重量%のクリアッシュを含むCO2ハイドレート水溶液;
[8] 電解水;
図3の結果から分かるように、圧密化CO2ハイドレートの添加量に依存して油脂洗浄効果が高くなること、すなわち、CO2ハイドレート液中のUFB濃度(億個/mL)が高くなるほど、そのCO2ハイドレート液の油脂洗浄効果が高くなることが示された。また、水の洗浄力(洗浄量約3.5mg)よりも、300mg/mLの通常CO2ハイドレートを含むCO2ハイドレート水溶液の洗浄力(洗浄量約5.8mg)は高く(水の場合の約1.7倍)、300mg/mLの圧密化CO2ハイドレートを含むCO2ハイドレート水溶液の洗浄力(洗浄量約12.5mg)はそれよりもさらに高かった(水の場合の約3.6倍)。また、50mg/mLの圧密化CO2ハイドレートを含むCO2ハイドレート水溶液の洗浄効果(洗浄量約5.8mg)は、油脂洗浄効果が高いとされているクリアッシュ水溶液の洗浄効果(洗浄量約5.8mg)とほぼ同等であり、100mg/mLの圧密化CO2ハイドレートを含むCO2ハイドレート水溶液の洗浄効果(洗浄量10.5mg)は、クリアッシュ水溶液の洗浄効果(洗浄量約5.8mg)よりも顕著に高かった。さらに、100mg/mLの圧密化CO2ハイドレートと0.6重量%のクリアッシュを併用すると、それぞれ単独の場合の洗浄効果(洗浄量約10.5mg、約5.8mg)の合計(約16.3mg)よりも格段に高い洗浄効果(洗浄量20mg)が得られた。このことから、CO2ハイドレートと界面活性剤を併用すると、油脂洗浄効果について相乗効果が得られることが示された。
CO2ハイドレート液が実際にタンパク質洗浄効果を有しているかを調べるために、以下の実験を行った。
50gの水が入ったビーカー内に1gのムチンを添加して溶解して調製した汚垢液を、タンパク質汚れモデルとした。クリップでスライドガラスの端をつまみ、このスライドガラスを前述の汚垢液中に一定速度で入れた後引き上げ、スライドガラス表面上に一定の量及び厚みの汚垢を付着させた。その後、このスライドガラスをドラフトチャンバー内に1時間置いて乾燥させて、タンパク質汚れモデル試験片(以下、試験5において単に「試験片」とも表示する。)とした。
洗浄液として以下の5種類の洗浄液を調製した。なお、クリアッシュ(登録商標)(ナガセ医薬品株式会社製)とは、界面活性剤を含む、内視鏡用くもり止めである。
[1] 水;
[2] 300mg/mLの通常CO2ハイドレートを含むCO2ハイドレート水溶液;
[3] 300mg/mLの圧密化CO2ハイドレートを含むCO2ハイドレート水溶液;
[4] 0.6重量%のクリアッシュを含む水溶液;
[5] 300mg/mLの圧密化CO2ハイドレート及び0.6重量%のクリアッシュを含むCO2ハイドレート水溶液;
図4の結果から分かるように、通常CO2ハイドレートを含むCO2ハイドレート水溶液、圧密化CO2ハイドレートを含むCO2ハイドレート水溶液のいずれも、水やクリアッシュ水溶液よりも、高いタンパク質洗浄効果を有することが示された。より具体的には、300mg/mLの通常CO2ハイドレートを含むCO2ハイドレート水溶液のタンパク質洗浄効果は、水のタンパク質洗浄効果の約1.4倍であり、300mg/mLの圧密化CO2ハイドレートを含むCO2ハイドレート水溶液のタンパク質洗浄効果は、水のタンパク質洗浄効果の約1.8倍であった。これらのことから、クリアッシュを含んでいないCO2ハイドレート水溶液では、ウルトラファインバブル濃度が高くなるほど、その液体のタンパク質洗浄効果が高くなることが示された。一方、CO2ハイドレートとクリアッシュ(界面活性剤)を併用すると、CO2ハイドレートを単独で用いた場合よりも、タンパク質洗浄効果は低くなることが分かった。しかし、油脂洗浄効果は、前述したように、CO2ハイドレートと界面活性剤を併用すると顕著に高まるため、併用した液は、洗浄対象や洗浄場面に応じて使用することができる。例えば、主に油脂を洗浄することを目的とする場合は、CO2ハイドレートと界面活性剤を両方含む液で洗浄する方法や、主にタンパク質を洗浄することを目的とする場合は、CO2ハイドレートを含み、界面活性剤含まない液で洗浄する方法が挙げられ、また、油脂とタンパク質の両方を洗浄することを目的とする場合は、CO2ハイドレートと界面活性剤を両方含む液で洗浄することと、CO2ハイドレートを含み、界面活性剤含まない液で洗浄することを、この順序で又は逆の順序で行う方法が好ましく挙げられる。
Claims (7)
- 最大長が3mm以上の大きさで、かつ、CO2含有率が3重量%以上のCO 2 ハイドレートを含有することを特徴とする洗浄剤。
- CO2含有率が7重量%以上である請求項1に記載の洗浄剤。
- さらに、界面活性剤を含む、請求項1又は2に記載の洗浄剤。
- CO2含有率が3重量%以上のCO 2 ハイドレートが、以下の測定法P1で測定した場合のウルトラファインバブルの濃度が5百万個/mL以上となるように、ウルトラファインバブルを水の中に発生させることができるCO 2 ハイドレートであることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の洗浄剤。
(測定法P1)
水に、CO2含有率が3重量%以上であるCO 2 ハイドレートを300mg/mL添加して調製した溶液中のウルトラファインバブルの濃度(個/mL)を、レーザー回折・散乱法又はナノトラッキング法で測定する。 - CO2含有率が3重量%以上のCO 2 ハイドレートが、圧密化CO2ハイドレートであることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の洗浄剤。
- CO2含有率が3重量%以上の氷を融解させる工程を含む、洗浄用液体組成物の製造方法。
- CO2含有率が3重量%以上の氷を融解させる工程が、CO2含有率が3重量%以上の氷を他の液体に接触させることによって融解させる工程、又は、CO2含有率が3重量%以上の氷を他の液体に接触させずに融解させる工程である、請求項6に記載の洗浄用液体組成物の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019061227A JP7256053B2 (ja) | 2019-03-27 | 2019-03-27 | Co2高含有氷を含有する洗浄剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019061227A JP7256053B2 (ja) | 2019-03-27 | 2019-03-27 | Co2高含有氷を含有する洗浄剤 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2020158687A JP2020158687A (ja) | 2020-10-01 |
JP7256053B2 true JP7256053B2 (ja) | 2023-04-11 |
Family
ID=72641943
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2019061227A Active JP7256053B2 (ja) | 2019-03-27 | 2019-03-27 | Co2高含有氷を含有する洗浄剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7256053B2 (ja) |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006269714A (ja) | 2005-03-24 | 2006-10-05 | Dainippon Screen Mfg Co Ltd | 基板処理装置 |
JP2008086925A (ja) | 2006-10-03 | 2008-04-17 | Dainippon Screen Mfg Co Ltd | 基板処理方法および基板処理装置 |
JP2018524505A (ja) | 2015-05-29 | 2018-08-30 | ルフトハンザ・テッヒニク・アクチェンゲゼルシャフトLufthansa Technik Ag | ジェットエンジンを洗浄するための方法および装置 |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS6067077A (ja) * | 1983-09-19 | 1985-04-17 | Ishikawajima Harima Heavy Ind Co Ltd | 被研掃物の研掃方法及び装置 |
JPH01219460A (ja) * | 1988-02-26 | 1989-09-01 | Nkk Corp | 炭酸入り氷の製造方法 |
-
2019
- 2019-03-27 JP JP2019061227A patent/JP7256053B2/ja active Active
Patent Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006269714A (ja) | 2005-03-24 | 2006-10-05 | Dainippon Screen Mfg Co Ltd | 基板処理装置 |
JP2008086925A (ja) | 2006-10-03 | 2008-04-17 | Dainippon Screen Mfg Co Ltd | 基板処理方法および基板処理装置 |
JP2018524505A (ja) | 2015-05-29 | 2018-08-30 | ルフトハンザ・テッヒニク・アクチェンゲゼルシャフトLufthansa Technik Ag | ジェットエンジンを洗浄するための方法および装置 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2020158687A (ja) | 2020-10-01 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR101077400B1 (ko) | 저온 안정성의 크림형 세척 조성물 | |
KR101566535B1 (ko) | 진주광택 농축물 및 그 제조방법 | |
JP2011012034A (ja) | 洗浄剤 | |
JPS59205309A (ja) | 発泡性清浄剤組成物 | |
KR20070094845A (ko) | 표면 세척용 혼합물 및 표면 세척 방법 | |
JP5285210B2 (ja) | 入浴剤 | |
JP2006282895A (ja) | 洗浄剤組成物 | |
JP2019069921A (ja) | 洗浄料用組成物 | |
JP7256053B2 (ja) | Co2高含有氷を含有する洗浄剤 | |
TWI641392B (zh) | 清潔劑組合物及其製造方法 | |
JP2002167325A (ja) | 洗浄剤組成物 | |
JP7258011B2 (ja) | Co2高含有氷を含有するウルトラファインバブル発生剤 | |
JP2023103462A (ja) | 身体冷却剤、及び、身体用冷却液の製造方法 | |
JP2016108312A (ja) | 泡安定化剤及びそれを用いた洗浄剤 | |
KR102340849B1 (ko) | 미세기포 형성용 세정제 조성물 및 이의 제조방법 | |
JP2001064691A (ja) | 洗浄剤組成物 | |
JP5368236B2 (ja) | 温感性透明起泡洗浄剤組成物 | |
JP6530641B2 (ja) | 粉末状発泡性浴用剤 | |
EP1041961A1 (en) | Denture cleansing tablets | |
JP2008105989A (ja) | 洗浄用の化粧料 | |
JP2004250355A (ja) | 化粧料用組成物、クレンジング用のエアゾール化粧料 | |
JP7313856B2 (ja) | キセノンウルトラファインバブル発生剤 | |
JP2003193090A (ja) | 洗浄剤組成物 | |
JP2009126857A (ja) | 皮膚洗浄料 | |
JP2011121891A (ja) | 皮膚洗浄剤組成物 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712 Effective date: 20190723 |
|
A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711 Effective date: 20210609 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20220126 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20220831 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20220928 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20221121 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20230306 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20230330 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 7256053 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |