JP7255758B2 - 油脂の晶析方法 - Google Patents

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    • C11B7/00Separation of mixtures of fats or fatty oils into their constituents, e.g. saturated oils from unsaturated oils

Description

本発明は、SUS(SUS:2-不飽和、1,3-ジ飽和型グリセリド、S:炭素数16~22の飽和脂肪酸、U:炭素数18の不飽和脂肪酸)型トリグリセリドを含有する油脂の晶析方法に関するものである。
シア脂、サル脂、アランブラキア脂、パーム油及びハイオレイックひまわり油の1,3位に選択的に飽和脂肪酸を導入して得たエステル交換反応油などは、StOSt、POSt、POP(St:ステアリン酸、O:オレイン酸、P:パルミチン酸)などのSUS(対称型トリグリセリド)を多く含有する。これらのSUS含有油脂から、カカオ脂に近似のチョコレート用油脂、ココアバター代用脂が種々製造されている。
前記した油脂はそのままチョコレート用やクリーム、マーガリン用などの製菓用に使用することも可能であるが、チョコレート用として高いスナップ性、耐熱保型性、冷感のある口溶け性を有する高品質のココアバター代用脂とするべく、SUSをその結晶画分に濃縮することが広く行われてきた。
より高収率でSUS含有量の高い結晶画分を得る乾式分別法として、静置晶析法が提案されている。特許文献1には、原料油脂の凝固点温度より3~10℃高い温度で、β、βプライムの安定結晶シードを添加してある程度結晶化後にペースト状の結晶スラリーを圧搾袋へ移し換えて、さらに静置晶析後、それを積み上げプレスにて加圧、圧搾する方法が示されているが、晶析に長時間要するうえに多大な手数と労力を必要とする問題があった。
特許文献2は、完全溶解した原料油脂を静置下で急冷固化し不安定結晶を析出させた後、安定型結晶の融点の1~15℃低い温度で静置し粒状の安定結晶を析出させてから、結晶塊を機械的にスラリー状としてフィルタープレスで分離する方法であるが、急冷固化するための冷却装置、安定結晶化するための保管庫、結晶塊をスラリー化する装置など工程が複雑であるとともにやはり安定結晶化に長時間要する問題があった。
本出願人による特許文献3は、完全溶解した原料油脂を予備冷却後に多段配置したトレイに分注してから空冷で静置晶析し、晶析終了後に機械的に結晶を解砕しスラリー化して圧搾ロ過器で分離する方法であるが、結晶へのロ液抱き込みの問題がありSUS含有油脂の分別には分別精度がやや不十分であった。
特許文献4は、本出願人により特許文献3の方法を改良した方法で、完全溶解した原料油脂をトレイにて空冷で静置晶析後に、機械的に解砕しスラリー化して圧搾ロ過し、圧搾ケーキに溶解調温した原料油脂を添加混合後に再度圧搾ロ過してSUS含有量の高い画分を得る方法である。工程が複雑であるのと空冷設備が長大で設備費用面の問題があった。
なお、結晶量の多い油脂を攪拌しながら晶析する攪拌晶析法として、特許文献5のような向流式乾式分別法が提案されている。該方法は、少なくとも2段階の乾式分別結晶化処理を含む方法で、第2オレインフラクションを第1オレインフラクションに再循環して、結晶量を低減して攪拌晶析における結晶量を許容範囲とするものであるが、工程が複雑で制御が難しいものであるとともに、適用出来る油脂がパーム油、パーム核油、牛脂、バター脂肪、魚油及びそれらの混合物、またはそれらの油脂の部分硬化油、エステル交換油に限定されており、StOStを多く含有する油脂への適用は困難であった。
特許文献6は、攪拌晶析法でも簡便に高収率でSUSに富む結晶画分を得る方法であって、より詳しくは、攪拌晶析を多段的に行なう晶析方法であった。
特開昭60-101197号公報 特開2005-60523号公報 特開平2-14290号公報 国際公開第2005/063952号 特開平3-41195 号公報 国際公開第2010/089973号
特許文献6の方法は、晶析工程及びろ過工程が複数回必要であり、工程が煩雑であった。
本発明は、SUS型トリグリセリドを含有する油脂の分別工程において、結晶画分を簡便に高収率で得ることができる、油脂の晶析方法を提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、原料油脂を融点以上の温度で保持する晶析準備工程と、得られた油脂を冷却し結晶を析出させる晶析工程を組み合わせることで、簡便に高収率でSUS型トリグリセリドに富む結晶画分を得る方法を見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、
(1) SUS型トリグリセリド(S:炭素数16~18の飽和脂肪酸、U:炭素数18の一価不飽和脂肪酸)を含む原料油脂を溶解した後に冷却し、融点以上~(融点+10℃)以下の温度で保持する晶析準備工程を有し、得られた油脂を冷却し結晶を析出させる晶析工程を有する、油脂の晶析方法、
(2) 晶析準備工程を0.5時間以上30時間以下で行なう、(1)の油脂の晶析方法、
(3) 晶析準備工程を容器内で攪拌させて行い、晶析工程を容器内で静置させて行なう、(1)または(2)の油脂の晶析方法、
(4) 原料油脂として、シア脂を使用する、(1)または(2)の油脂の晶析方法、
(5) 原料油脂として、シア脂を使用する、(3)の油脂の晶析方法、
(6) (1)または(2)の油脂の晶析方法で得られた結晶スラリーの結晶型がβ型である、油脂の晶析方法、
(7) (3)の油脂の晶析方法で得られた結晶スラリーの結晶型がβ型である、油脂の晶析方法、
(8) (4)の油脂の晶析方法で得られた結晶スラリーの結晶型がβ型である、油脂の晶析方法、
(9) (5)の油脂の晶析方法で得られた結晶スラリーの結晶型がβ型である、油脂の晶析方法、
(10) (1)または(2)の油脂の晶析方法で得られた結晶スラリーから、StOSt(St:ステアリン酸、O:オレイン酸)含有量40質量%~70質量%の結晶部を得る、油脂の分別方法、
(11) (3)の油脂の晶析方法で得られた結晶スラリーから、StOSt(St:ステアリン酸、O:オレイン酸)含有量40質量%~70質量%の結晶部を得る、油脂の分別方法、
(12) (4)または(5)の油脂の晶析方法で得られた結晶スラリーから、StOSt(St:ステアリン酸、O:オレイン酸)含有量40質量%~70質量%の結晶部を得る、油脂の分別方法、
(13) (6)~(9)のいずれかの油脂の晶析方法で得られた結晶スラリーから、StOSt(St:ステアリン酸、O:オレイン酸)含有量40質量%~70質量%の結晶部を得る、油脂の分別方法、である。
本発明により、簡便に高収率でSUS型トリグリセリドに富む結晶画分を得ることができる。
好ましい態様として、StOSt含有油脂の乾式分別では、結晶量の増加とともに結晶スラリーの増粘や固化が発生する傾向が強く、結晶画分とロ液画分の分離が困難になる場合があるが、本発明により、StOStを含有する油脂の効率的な分別が可能となる。
本発明の原料油脂には、SUS型トリグリセリド(S:炭素数16~18の飽和脂肪酸、U:炭素数18の一価不飽和脂肪酸)を含む油脂を使用する。SUS濃度には限定されないが、20質量%以上50質量%以下の範囲内で、本発明の原料油脂として使用することが好ましい。20質量%以上40質量%以下がより好ましい
SUS型トリグリセリドを含む油脂として、StOSt含有油脂(St:ステアリン酸、O:オレイン酸)と、POP含有油脂(P:パルミチン酸、O:オレイン酸)を例示することができる。
StOSt含有油脂を例示すると、シア脂、サル脂、アランブラキア脂、またはトリグリセリドの2位がオレイン酸に富む油脂の1,3位に選択的にステアリン酸を導入して得たエステル交換反応油、POP含有油脂を例示すると、パーム油、パーム分別油を含むパーム系油脂が、原料油脂として本発明の晶析方法に供することができる。
SUSとしてStOStを主成分として含む原料油脂がより好ましい。本発明では、脱色脱臭の有無を問わず原料油脂として使用することができる。
より好ましい態様として、StOStを主成分として含む原料油脂として、シア脂を使用することが好ましい。
使用するシア脂の生産方法は、特に限定することなく使用することができる。脱色脱臭を施さない脱ガム処理したシア脂を原料油脂として使用することがより好ましい。
本発明では、原料油脂を溶解した後に、晶析準備工程に供する。好ましくは、(融点+20℃)以上、より好ましくは、(融点+20℃)以上~(融点+50℃)以下、さらに好ましくは、(融点+20℃)以上~(融点+40℃)以下、さらにより好ましくは、(融点+20℃)以上~(融点+35℃)以下に加温して溶解することが好ましい。
なお、本発明における融点は、DSCの吸熱ピークから算出して得られる数値である。測定方法を例示すると、試料油脂をアルミ製の容器に3~7mg程度採取し、60℃で完全に融解した状態の試料油脂を-5℃/分の冷却速度で15℃まで冷却し、その後試料油脂を+5℃/分の昇温速度で融解状態まで加熱し、加熱により吸熱が完全になくなったベースラインと最後の吸熱からベースラインへ回帰する立ち上がりのラインとの交点の温度を融点とする。
本発明の油脂の晶析方法は、前記溶解した原料油脂を、融点以上~(融点+10℃)以下の温度で保持する晶析準備工程を有する。好ましくは、融点以上~(融点+5℃)以下の温度で冷却保持することが好ましい。
本発明では、晶析準備工程の後に、得られた油脂を冷却し結晶を析出させる晶析工程を有する。晶析工程により、結晶スラリーが得られる。
晶析工程の保持温度は、(融点-20℃)以上~融点以下が好ましい、より好ましくは、(融点-15℃)以上~融点以下、さらに好ましくは、(融点-10℃)以上~融点以下で保持することが好ましい。
本発明では、晶析準備工程を、0.5時間以上30時間以下で行うことが好ましい、より好ましくは、0.5時間以上25時間以下、さらに好ましくは、0.5時間以上20時間以下である。
晶析工程は、5時間以上30時間以下で行うことが好ましい、より好ましくは、10時間以上25時間以下である。
本発明の好ましい態様は、晶析準備工程を容器内で攪拌させて行い、晶析工程を容器内で静置させて行なう。
晶析準備工程に利用できる製造装置を例示すると、撹拌装置及び冷却装置が設置された晶析機が挙げられる。特に、撹拌翼は壁面への結晶付着を気にする必要もなく、かきとり式に限らない。また、冷却方法は公知の方法を使用することができ、冷却は容器内で冷却しても良いし、容器外で、熱交換器にて冷却した油脂を使用しても良い。容器内で冷却する場合、ジャケット型、コイル型に限定はない。
晶析工程に利用できる製造装置を例示すると、風冷式トレイ晶析機が挙げられる。また、実験例では示していないが、水冷式静置晶析機(特許US7258846)を使用しても良い。
本発明の晶析方法の好ましい態様は、晶析準備工程の後に、結晶が析出していない状態であることが好ましい。結晶が析出していない状態とは、結晶量が、固体脂含有量として2%未満、好ましくは1.5%以下である。なお、固体脂含有量の測定は、BRUKER社製固体脂測定装置などによるNMR―パルスで簡便に測定出来る。
好ましい態様として、本発明の油脂の晶析方法で得られた結晶スラリーは、X線回折により測定した結晶型はβ型である。推測ではあるが、結晶型をβ型に整えることで、圧搾性が良好で、結晶画分とロ液画分を効率よく分画することができる。
本明細書において、結晶形はX線回折により測定し、判別することができる。具体的には、油脂結晶の短面間隔を2θ:17~26度の範囲で測定し、4.5~4.7Åの面間隔に対応する回折ピークが検出され、かつ4.1~4.3Åおよび3.8~3.9Åの面間隔に対応する強い回折ピークが検出されない場合、油脂結晶はβ型結晶を含むと判断する。また4.1~4.3Åおよび3.8~3.9Åの面間隔に対応する強い回折ピークが検出され、かつ4.5~4.7Åの面間隔に対応する回折ピークが検出されない場合、油脂結晶はβプライム型結晶を含むと判断する。
本発明の油脂の晶析方法で得られた結晶スラリーを、圧搾ロ過することで、SUS型のトリグリセリドを含む結晶部を得ることができる。好ましくは、脱色脱臭を施さない脱ガム処理したシア脂を使用することで、StOSt含有量40質量%~70質量%、より好ましくは45質量%~60質量%の結晶部を、40質量%~60質量%の収率で得ることができる。
圧搾ロ過工程を例示する。
・本発明の晶析方法により得られた結晶スラリーを圧搾ロ過器にポンプ輸送する。
・圧搾ロ過し結晶画分とロ液画分に分離することで、SUS型のトリグリセリドを含む結晶部が分取される。なお、圧搾ロ過とは、結晶スラリーに圧力をかけながらロ過して固液分離する方法で、圧搾されたケーキ側が結晶画分、ロ液側がロ液画分である。
圧搾ロ過には、フィルタープレスやメンブランフィルターなどの方法を用いるのが好ましい。特に、SUS含有量の高い画分を得るには、最大圧力30Kg/cm2のような高圧圧搾により結晶画分へのロ液残液率を低下させるのが好ましい。また、ロ液残液率の低下のために、圧搾後の結晶ケーキの厚みを出来るだけ薄くするのが有利で、当該厚みを25mm以下さらに望ましくは15mm以下にするのが好ましい。
なお、ロ液残液率の算出法として、下記の式を利用すると簡便に算出出来、算出された残液率で工程管理しても分別精度管理に何ら支障がない。
残液率%=結晶画分のSUU含有量/ロ液画分のSUU含有量×100
(S:炭素数16~22の飽和脂肪酸、U:炭素数18の不飽和脂肪酸)
以下に本発明の実施例を示し、本発明をより詳細に説明する。なお、例中、%及び部はいずれも質量基準を意味する。
・固体脂含有量は、BRUKER社製固体脂測定装置を用いて分析した。
・結晶型は、下記の条件で回析した。
X線回折装置RIGAKU Mini FlexII(株式会社リガク社製、最大定格出力450W、定格電圧30kV、定格電流15mA)を用い、スキャンモード2θ/θ連動、開始角2.5°、終了角30.0°、測定速度4°/分の条件で試料油脂のX線回折像を測定した。得られたX線回折像を解析して、晶析後の油脂の、βプライム型結晶、β型結晶の存在を確認した。
実施例、比較例において、下記の分析値を有する、脱色脱臭を施さない脱ガム処理したシア脂を原料油脂として使用した。トリグリセリド組成を表1に示す。
ヨウ素価:58.0
過酸化物価:3.12
酸価:8.58
不ケン化物等:3.33質量%
融点(DSC法):26℃
Figure 0007255758000001
(実施例1)
原料油脂を60℃に加熱し完全に溶解して、冷媒ジャケット付きの直径200mm、高さ300mmの晶析槽に入れ、33℃の冷媒を冷媒ジャケットに循環しながら攪拌冷却した。攪拌羽根は幅100mm、高さ100mmのパドル型を用い、油温が60℃から31℃(融点+5℃)に低下するまでの攪拌速度を30rpmで冷却し、その後1時間保持した。晶析準備工程後の油脂の固体脂含有量は、0.1%以下であった。晶析準備工程後の油脂を縦220mm、横130mmのステンレス製トレイに高さ30mmまで充填し、21℃のインキュベーターに入れ、16時間冷却保持(晶析工程)した。この時の油温は22℃であった。
晶析工程後に得られた結晶スラリーを、X線回折により測定した結晶型はβ型であった。
その後、結晶スラリーを、室温30℃で圧搾を行った。圧搾は2.0Kg/cm2/minで15分で30Kg/cm2まで昇圧し、さらに同圧で15分間保持して圧搾ロ過した。圧搾した結晶画分として、StOSt含有量51.0質量%、ヨウ素価44.0の結晶画分を分別収率48.0%で得た。
濾液画分は、StOSt含有量12.1質量%であった。
(実施例2)
原料油脂を60℃に加熱し完全に溶解して、冷媒ジャケット付きの直径200mm、高さ300mmの晶析槽に入れ、33℃の冷媒を冷媒ジャケットに循環しながら攪拌冷却した。攪拌羽根は幅100mm、高さ100mmのパドル型を用い、油温が60℃から31℃(融点+5℃)に低下するまでの攪拌速度を30rpmで冷却し、その後1時間保持した。晶析準備工程後の油脂の固体脂含有量は、0.1%以下であった。晶析準備工程後の油脂を縦530mm、横330mmのステンレス製トレイに高さ30mmまで充填し、21℃のインキュベーターに入れ、16時間冷却保持(晶析工程)した。この時の油温は22℃であった。
晶析工程後に得られた結晶スラリーを、X線回折により測定した結晶型はβ型であった。
その後、結晶スラリーを、室温30℃で圧搾を行った。圧搾は2.0Kg/cm2/minで15分で30Kg/cm2まで昇圧し、さらに同圧で15分間保持して圧搾ロ過した。圧搾した結晶画分として、StOSt含有量51.0質量%、ヨウ素価44.0の結晶画分を分別収率47.0%で得た。
(実施例3)
原料油脂を60℃に加熱し完全に溶解して、冷媒ジャケット付きの直径200mm、高さ300mmの晶析槽に入れ、33℃の冷媒を冷媒ジャケットに循環しながら攪拌冷却した。攪拌羽根は幅100mm、高さ100mmのパドル型を用い、油温が60℃から31℃(融点+5℃)に低下するまでの攪拌速度を30rpmで冷却し、その後1時間保持した。晶析準備工程後の油脂の固体脂含有量は、0.1%以下であった。晶析準備工程後の油脂を縦220mm、横130mmのステンレス製トレイに高さ30mmまで充填し、21℃のインキュベーターに入れ、17時間冷却保持(晶析工程)した。この時の油温は21℃であった。晶析工程後に得られた結晶スラリーを、X線回折により測定した結晶型はβ型であった。
その後、結晶スラリーを、室温30℃で圧搾を行った。圧搾は2.0Kg/cm2/minで15分で30Kg/cm2まで昇圧し、さらに同圧で15分間保持して圧搾ロ過した。圧搾した結晶画分として、StOSt含有量48.0質量%、ヨウ素価47.0の結晶画分を分別収率45.0%で得た。
濾液画分は、StOSt含有量17.6質量%であった。
(比較例1)
原料油脂を60℃に加熱し完全に溶解して、冷媒ジャケット付きの直径200mm、高さ300mmの晶析槽に入れ、60℃の温水を冷媒ジャケットに循環しながら攪拌した。攪拌羽根は幅100mm、高さ100mmのパドル型を用い均一に撹拌後、油温が60℃の油脂を縦220mm、横130mmのステンレス製トレイに高さ30mmまで充填し、21℃のインキュベーターに入れ、18時間冷却保持した。この時の油温は21℃であった。
この結晶スラリーをサンプリングして、X線回折により測定した結晶型はβプライム型であった。
その後、結晶スラリーを、室温30℃で圧搾を行った。圧搾は2.0Kg/cm2/minで15分で30Kg/cm2まで昇圧し、さらに同圧で15分間保持して圧搾ロ過した。圧搾した際、ロ過漏れを起こし、上手く固液分離が出来なかった。
(比較例2)
原料油脂を60℃に加熱し完全に溶解して、冷媒ジャケット付きの直径200mm、高さ300mmの晶析槽に入れ、33℃の冷媒を冷媒ジャケットに循環しながら攪拌冷却した。攪拌羽根は幅100mm、高さ100mmのパドル型を用い、油温が60℃から25℃(融点-1℃)に低下するまでの攪拌速度を30rpmで冷却し、その後3時間保持した。晶析準備工程後の油脂の固体脂含有量は2%であった。晶析準備工程後の油脂を縦220mm、横130mmのステンレス製トレイに高さ30mmまで充填し、21℃のインキュベーターに入れ、16時間冷却保持(晶析工程)した。この時の油温は21℃であった。
晶析工程後に得られた結晶スラリーを、X線回折により測定し結晶型はβプライム型であった。
その後、結晶スラリーを、室温30℃で圧搾を行った。圧搾は2.0Kg/cm2/minで15分で30Kg/cm2まで昇圧し、さらに同圧で15分間保持して圧搾ロ過した。圧搾した際、ロ過漏れを起こし、上手く固液分離が出来なかった。
(結果考察)
・本発明の油脂の晶析方法による、実施例1~実施例3では、StOSt含有量45質量%~55質量%の結晶部を、45%~50%の収率で得ることができた。
・晶析準備工程において、晶析温度が60℃(融点+34℃)であった比較例1は、晶析不良、固液分離が出来なかった。
・晶析準備工程において、晶析温度が25℃(融点-1℃)であった比較例2は、晶析不良、固液分離が出来なかった。
本発明により、簡便に高収率でSUS型トリグリセリドに富む結晶画分を得ることができる。

Claims (6)

  1. SUS型トリグリセリド(S:炭素数16~18の飽和脂肪酸、U:炭素数18の一価不飽和脂肪酸)を含む原料油脂を溶解した後に冷却し、融点以上~(融点+10℃)以下の温度で保持する晶析準備工程を有し、晶析準備工程後の固体脂含有量が2%未満であって、得られた油脂を冷却し結晶を析出させる晶析工程を有する、油脂の晶析方法。
  2. 晶析準備工程を0.5時間以上30時間以下で行なう、請求項1に記載の油脂の晶析方法。
  3. 晶析準備工程を容器内で攪拌させて行い、晶析工程を容器内で静置させて行なう、請求項1又は請求項2に記載の油脂の晶析方法。
  4. 原料油脂として、シア脂を使用する、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の油脂の晶析方法。
  5. 請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の油脂の晶析方法で得られた結晶スラリーの結晶型がβ型である、油脂の晶析方法。
  6. 請求項1~請求項5のいずれか1項に油脂の晶析方法で得られた結晶スラリーから、StOSt(St:ステアリン酸、O:オレイン酸)含有量40質量%~70質量%の結晶部を得る、油脂の分別方法。
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