JP5500080B2 - 油脂の乾式分別法 - Google Patents

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Description

この発明は、SUS(SUS:2−不飽和、1,3−ジ飽和型グリセリド、S:炭素数16〜22の飽和脂肪酸、U:炭素数18の不飽和脂肪酸)含有油脂の乾式分別法に関するものである。
シア脂、サル脂、アランブラキア脂、パーム油及びハイオレイックひまわり油のようなトリグリセリドの2位がオレイン酸に富む油脂の1,3位に選択的に飽和脂肪酸を導入して得たエステル交換反応油などは、StOSt、POSt、POP(St:ステアリン酸、O:オレイン酸、P:パルミチン酸)などのSUS(対称型トリグリセリド)を多く含有する。これらのSUS含有油脂から、カカオ脂に近似のチョコレート用油脂、ココアバター代用脂が種々製造されている。
上記の油脂はそのままチョコレート用やクリーム、マーガリン用などの製菓用に使用することも可能であるが、チョコレート用として高いスナップ性、耐熱保型性、冷感のある口溶け性を有する高品質のココアバター代用脂とするべく、ヘキサンやアセトンを用いた溶剤分別によって、SUSをその結晶画分に濃縮することが広く行われてきた。
溶剤分別は、結晶画分と液体画分の分画性能は極めて良好であるが、溶剤を使用しているため、その取扱には安全衛生上、十分な注意が必要であり、設備も大掛かりになるうえに、溶剤を除去するためにコスト高となる問題がある。
そのため、最近ではより簡便で安全性も高い乾式分別法が検討されるようになってきている。
乾式分別法は、一般的には溶剤を用いず加熱によって完全に液化された原料油脂を晶析槽内で攪拌しながら冷却し、結晶を析出させた後、圧搾及び又はロ過によって結晶画分とロ液(未固化の低融点画分)に分画する方法であり、ラウリン系油脂やパーム油の分別に利用されているにすぎない。すなわち、従来の攪拌晶析法では、SUS含有量が30重量%以上の油脂からさらにSUS含有量に富む画分を分画しようとすると、結晶量が多すぎるとともに微細な結晶が全体に析出するために、全体が増粘又は固化して、その後の圧搾ロ過工程へポンプ輸送出来ず、結晶画分とロ液に分離することが困難であった。特に、StOStを多く含有するシア脂やサル脂などではその傾向が顕著で、攪拌晶析は困難であった。
そのため、より高収率でSUS含有量の高い結晶画分を得る乾式分別法として、静置晶析法が提案されている。特許文献1には、原料油脂の凝固点温度より3〜10℃高い温度で、β、βプライムの安定結晶シードを添加してある程度結晶化後にペースト状の結晶スラリーを圧搾袋へ移し換えて、さらに静置晶析後、それを積み上げプレスにて加圧、圧搾する方法が示されているが、晶析に長時間要するうえに多大な手数と労力を必要とする問題があった。
特許文献2は、完全溶解した原料油脂を静置下で急冷固化し不安定結晶を析出させた後、安定型結晶の融点の1〜15℃低い温度で静置し粒状の安定結晶を析出させてから、結晶塊を機械的にスラリー状としてフィルタープレスで分離する方法であるが、急冷固化するための冷却装置、安定結晶化するための保管庫、結晶塊をスラリー化する装置など工程が複雑であるとともにやはり安定結晶化に長時間要する問題があった。
本出願人による特許文献3は、完全溶解した原料油脂を予備冷却後に多段配置したトレイに分注してから空冷で静置晶析し、晶析終了後に機械的に結晶を解砕しスラリー化して圧搾ロ過器で分離する方法であるが、結晶へのロ液抱き込みの問題がありSUS含有油脂の分別には分別精度がやや不十分であった。
特許文献4は、本出願人により特許文献3の方法を改良した方法で、完全溶解した原料油脂をトレイにて空冷で静置晶析後に、機械的に解砕しスラリー化して圧搾ロ過し、圧搾ケーキに溶解調温した原料油脂を添加混合後に再度圧搾ロ過してSUS含有量の高い画分を得る方法である。分別精度の高い方法ではあるが、工程がやや複雑であるのと空冷設備が長大で設備費用がやや大きい問題があった。
なお、結晶量の多い油脂を攪拌しながら晶析する攪拌晶析法として、特許文献5のような向流式乾式分別法が提案されている。該方法は、少なくとも2段階の乾式分別結晶化処理を含む方法で、第2オレインフラクションを第1オレインフラクションに再循環して、結晶量を低減して攪拌晶析における結晶量を許容範囲とするものであるが、工程が複雑で制御が難しいものであるとともに、適用出来る油脂がパーム油、パーム核油、牛脂、バター脂肪、魚油及びそれらの混合物、またはそれらの油脂の部分硬化油、エステル交換油に限定されており、StOStを多く含有する油脂への適用は困難であった。
特開昭60−101197号公報 特開2005−60523号公報 特公平7−98956号公報 再公表特許WO2005−63952号公報 特許2600010号公報
本発明は、SUS含有油脂の乾式分別法において、SUSに富む結晶画分を高収率でより簡便に得る、油脂の乾式分別法の提供を課題とする。
本出願人は先に静置晶析法による分別精度の高い乾式分別法の開発に成功したが、引き続き生産設備費と生産コストの低減に努力して来た。かかる状況の中から、攪拌晶析法における結晶スラリーの増粘の問題の解消法、結晶へのロ液抱き込み量の低減法などを鋭意研究した結果、攪拌晶析法でも簡便に高収率でSUSに富む結晶画分を得る方法を見出し、本発明の完成に至った。
即ち、本発明の第1は、SUS含有量が30重量%以上であるSUS含有油脂を原料として、攪拌晶析と圧搾ロ過による乾式分別で結晶画分側にSUSを濃縮せしめ、ロ液画分に残存するSUSは次段の攪拌晶析と圧搾ロ過による乾式分別で結晶画分側に濃縮する、多段分取によるSUS含有量が60重量%以上であるSUSに富む油脂の分別法である。
(SUS:2−不飽和、1,3−ジ飽和型グリセリド、S:炭素数16〜22の飽和脂肪酸、U:炭素数18の不飽和脂肪酸)
第2は、圧搾ロ過に供する結晶スラリーの結晶量が固体脂含有量として10〜20重量%である第1記載の分別法である。
第3は、SUSが実質的にStOStである第1または第2記載の分別法である。
(St:ステアリン酸、O:オレイン酸)
第4は、StOSt含有油脂が、シア脂、サル脂、アランブラキア脂、またはトリグリセリドの2位がオレイン酸に富む油脂の1,3位に選択的にステアリン酸を導入して得たエステル交換反応油のいずれか1種以上である第3記載の分別法である。
SUS含有油脂の乾式分別法において、攪拌晶析時の結晶スラリーの増粘の問題を解消し、かつ結晶へのロ液抱き込み量の低減を可能としたことにより、チョコレート用油脂などに有用なSUSに富む結晶画分を、低コストで簡便に得ることが出来る。
以下、本発明の乾式分別法について詳細に説明する。
この発明でいうSUSとは、トリグリセリドの2位に炭素数18の不飽和脂肪酸、1,3位に炭素数16〜22の飽和脂肪酸が結合したものである。攪拌晶析とは、加熱により液化した原料油脂を、冷却開始から晶析完了まで終始攪拌しながら結晶化を行う晶析の方法である。また、圧搾ロ過とは、晶析した結晶スラリーに圧力をかけながらロ過して固液分離する方法で、圧搾されたケーキ側が結晶画分、ロ液側がロ液画分である。
この発明による乾式分別法は典型的には以下の手順で行うことが出来る。
1)原料油脂を45℃以上、好ましくは50℃〜70℃に加熱して、完全に液化する。
2)液化した油脂を攪拌装置及び冷媒による冷却装置が付いた晶析槽内で、攪拌しながら冷却し、晶析を行う。このときの冷媒温度は、晶析後にポンプ輸送可能な流動性のある結晶スラリーとなるよう適宜設定する。
3)晶析終了後に、結晶スラリーを圧搾ロ過器にポンプ輸送する。
4)圧搾ロ過しSUSが濃縮された結晶画分とロ液画分に分離する。
5)ロ液画分に残存するSUSを濃縮、分離するために、得られたロ液画分を1)〜4)の操作を繰り返して、SUSが濃縮された2段目結晶画分と2段目ロ液画分に分離する。
6)必要であれば、さらに2段目ロ液画分を1)〜4)の操作を繰り返して、SUSが濃縮された3段目結晶画分と3段目ロ液画分に分離する。
かくしてSUSに富む油脂が多段で分取され、それらは混合使用することもできる。
結晶量の多いSUS含有油脂を1段だけの攪拌晶析で結晶化すると、結晶量が多すぎて結晶スラリーが増粘または固化して、その後の固液分離が困難になる。本発明の多段分取によれば、結晶スラリーの結晶量をポンプ輸送可能な流動性のあるものに制御出来るため、従来からパーム油などの攪拌晶析による乾式分別に使われている公知の晶析缶などが好適に利用出来る。
晶析工程での攪拌速度は、冷却開始から油温が晶析最下点温度に低下するまでは特に制限が無いが、比較的速い方が冷却効率を高めて冷却時間も短縮出来るので有利である。油温が晶析最下点温度まで低下してから晶析スラリーの圧搾ロ過前まではロ液成分の残液率(抱き込み)の低い分離効率の高い結晶を得るために、結晶が沈降しない範囲での低速攪拌が好ましい。なお、晶析最下点温度とは晶析工程中に油温が最も低くなった温度で、通常は使用冷媒温度付近になる。
本発明の圧搾ロ過に供する結晶スラリーの好ましい結晶量は、固体脂含有量として10〜20重量%、好ましくは10〜15重量%である。10重量%未満であると圧搾ロ過での分離性は良好であるが、結晶画分の分別収率が低く効率的でない。20重量%を超えると、結晶スラリーの粘度が高くなり圧搾ロ過工程へのポンプ輸送が困難になるとともに、圧搾ロ過工程での結晶へのロ液成分の残液率(抱き込み)が高くなり分別精度が低下するので好ましくない。なお、固体脂含有量の測定は、BRUKER社製固体脂測定装置などによるNMR―パルスで簡便に測定出来、工程管理も容易である。
また、上記の結晶量を圧搾ロ過終了まで晶析装置内で維持するために、原料油脂の1段目の攪拌晶析後に冷媒温度を晶析時の冷媒温度より2〜4℃高い温度に昇温して低速攪拌しながら保持するのが好ましい。この操作を行わないか2℃未満の昇温であると、結晶スラリー保持中に結晶析出がさらに進行し、結晶スラリーの粘度上昇または固化が起こるため好ましくない。4℃を超えて昇温すると、結晶の部分溶解が起こるとともに圧搾ロ過性の低下も生じるためやはり好ましくない。なお2段目以降の攪拌晶析後では、冷媒温度の昇温は特に必須でなく、昇温しなくても結晶スラリー保持中のさらなる結晶析出の進行はほとんど起こらない。
結晶画分とロ液画分の分離には、フィルタープレスやメンブランフィルターなどの圧搾ロ過の方法を用いるのが好ましい。特に、SUS含有量の高い画分を得るには、最大圧力30Kg/cmのような高圧圧搾により結晶画分へのロ液残液率を低下させるのが望ましい。また、ロ液残液率の低下のために、圧搾後の結晶ケーキの厚みを出来るだけ薄くするのが有利で、当該厚みを25mm以下さらに望ましくは15mm以下にするのが好ましい。
なお、ロ液残液率の算出法として、下記の式を利用すると簡便に算出出来、算出された残液率で工程管理しても分別精度管理に何ら支障がない。
残液率%=結晶画分のSUU含有量/ロ液画分のSUU含有量×100
(S:炭素数16〜22の飽和脂肪酸、U:炭素数18の不飽和脂肪酸)
なお、攪拌晶析と圧搾ロ過の操作を3回以上繰り返すことも可能であるが、晶析設備や圧搾ロ過設備の稼動効率の点から、4回以上の繰り返しは実用的ではない。
本発明における攪拌晶析において、冷却して油温が晶析最下点温度に低下途中または低下して間もない時点でSUS安定結晶フレークを1〜50ppm添加することにより、晶析時間を大幅に短縮することが出来る。低下途中とは、油温が概ね最下点温度〜最下点温度+5℃の範囲になった時点のことである。特に、2段目以降の攪拌晶析において、晶析時間の短縮効果が大きい。SUS安定結晶フレークは、SUS含有量60重量%以上、好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは80重量%以上の油脂をオンレーターやコンビネーターなどの急速冷却混練機で結晶化し、必要によっては安定結晶になるまでエージングしたブロック状の油脂をフレーク状または粉末状にしたものが好適に使用出来る。望ましくは、分別原料油脂から得られたSUS含有量60重量%以上の油脂の安定結晶フレークの使用が好ましい。
SUS安定結晶フレークの添加量が1ppm未満であると、晶析時間が長くなりすぎる傾向にある。逆に、50ppmを超えると所望の結晶量、粘度を晶析終了〜圧搾ロ過まで保持出来ず、結晶スラリーの増粘により圧搾ロ過作業が困難となる。
本発明における1段目の乾式分別で得られたSUSに富む結晶画分は、必要に応じて、昇温・一部溶解して高融点部を除去した画分にすることも出来る。分別原料油脂の組成によっては、結晶画分はSUS含有量が高まるのと併せて三飽和トリグリセリドや二飽和ジグリセリドなどの高融点成分含有量も高くなり、この高融点成分を除去しないままココアバター代用脂にするとチョコレートのテンパリング性作業性を低下(テンパリング中の増粘)やチョコレートの口溶けの低下が生じることがある。かかる問題を未然に防ぐため、結晶画分の圧搾ケーキを加熱昇温して結晶中のSUS成分の融点以下の油脂成分を溶解し、高融点成分だけを未溶解成分として残存させ、フィルタープレスなどでロ別するなどの方法で、高融点成分の大部分が除去されたSUSに富む画分を得ることが出来る。
本発明の分別法は、SUS含有量が30重量%以上のSUS含有油脂に好適に利用出来る。また、本発明により得られるSUSに富む油脂のSUS含有量は60重量%以上であることが好ましい。SUS含有量が60%未満であると、ココアバター代用脂としては使用可能であってもチョコレートのスナップ性や耐熱保型性が低下する問題があり好ましくない。ココアバターに匹敵するスナップ性や耐熱保型性を持つココアバター代用脂とするには、SUS含有量は60重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上、最も好ましくは80重量%とするのが望ましい。
本発明の分別法は、SUSが実質的にStOSt(St:ステアリン酸、O:オレイン酸)からなるSUS含有油脂からStOStに富む油脂の分別に好適に利用出来る。StOSt含有油脂の1段だけの攪拌晶析による乾式分別では、結晶量の増加とともに結晶スラリーの増粘や固化が発生する傾向が強く、結晶画分とロ液画分の分離が困難になる。本発明の晶析と圧搾ロ過を多段に分けてSUSを分取することにより、StOStに富む油脂の効率的な分別が可能となる。
本発明におけるStOSt含有油脂は、シア脂、サル脂、アランブラキア脂肪、またはトリグリセリドの2位がオレイン酸に富む油脂の1,3位に選択的にステアリン酸を導入して得たエステル交換反応油のいずれか1種以上であり、本発明はこれらの油脂の分別に好適に利用することが出来る。トリグリセリドの2位がオレイン酸に富む油脂の1,3位に選択的に飽和脂肪酸を導入して得たエステル交換反応油とは、ハイオレイックひまわり油、ハイオレイック菜種油、茶実油、オリーブ油、パーム油軟質部、またはこれらの油脂の1,3位に選択的にステアリン酸を導入して得たエステル交換油の分別低融点部の1種以上の油脂とステアリン酸またはその低級アルコールエステル、例えばエチルエステル、を基質として、1,3位特異性リパーゼを用いてエステル交換した油脂である。

以下本発明を実施例により具体的に説明する。
<トリグリセリドの2位がオレイン酸に富む油脂の1,3位に選択的にステアリン酸を導入して得たエステル交換反応油の調製>
ステアリン酸エチルとアルゼンチン産のハイオレイックひまわり油に1,3位特異性を有するリパーゼを触媒としてエステル交換を行い、その後エチルエステルを蒸留除去しエステル交換油Aを得た。このエステル交換油はStOSt含有量40.3%であった。
実施例1
<1段目の分別>
エステル交換油A 75Kgを60℃に加熱し完全に液化して、冷媒ジャケット付きの直径600mm、高さ500mmの晶析槽に入れ、31℃の冷媒を冷媒ジャケットに循環しながら攪拌冷却した。攪拌羽根は幅590mm、高さ260mmのパドル型を用い、油温が60℃から晶析最下点温度の31℃に低下するまでの攪拌速度を40rpmで冷却し、31℃に低下後に攪拌速度を10rpmに減速し、その後19時間保持して晶析を終了した。
その後、冷媒温度を34℃に昇温して結晶スラリーを保持しながら圧搾ロ過機にポンプ移入した。圧搾は2.0Kg/cm/minで15分で30Kg/cmまで昇圧し、さらに同圧で15分間保持して圧搾ロ過した。圧搾した結晶画分として、StOSt含有量68.3%に濃縮されたAF1を分別収率30.5%で得た。結晶画分へのロ液残液率は30%以下と分離精度良好であった。なお、ロ液画分AL1に残存するStOSt含有量は28.1%であった。
<2段目の分別>
1段目の乾式分別の方法で得たロ液画分AL1 75Kgを60℃に加熱し完全に液化して、冷媒ジャケット付きの直径600mm、高さ500mmの晶析槽に入れ、26℃の冷媒を冷媒ジャケットに循環しながら攪拌冷却した。攪拌羽根は幅590mm、高さ260mmのパドル型を用い、油温が60℃から晶析最下点温度の26℃に低下するまでの攪拌速度を40rpmで冷却し、26℃に低下後に攪拌速度を10rpmに減速し、48時間保持して晶析を終了した。
その後、結晶スラリーを圧搾ロ過機にポンプ移入した。圧搾は2.0Kg/cm/minで15分で30Kg/cmまで昇圧し、さらに同圧で15分間保持して圧搾ロ過した。結晶画分としてStOSt含有量65.8%に濃縮されたAF2を分別収率28.7%で得た。この分別収率は対分別原料で19.5%に相当する。なお、ロ液画分AL2に残存するStOSt含有量は13.4%であった。
実施例2
実施例1の2段目の分別において、油温が60℃から晶析最下点温度の26℃に低下するまでの攪拌速度を40rpmで冷却し、26℃に低下後に攪拌速度を10rpmに減速した。その直後にStOStの安定結晶フレーク(不二製油株式会社製 メラノSS400のケース充填品の表面を薄く削ってフレーク状とした)を対分別原料油脂10ppm添加し、26時間保持して晶析を終了した。
その後、結晶スラリーを圧搾ロ過機にポンプ移入した。圧搾は2.0Kg/cm/minで15分で30Kg/cmまで昇圧し、さらに同圧で15分間保持して圧搾ロ過した。結晶画分としてStOSt含有量63.3%に濃縮されたAF2を分別収率28.1%で得た。この分別収率は対分別原料で19.9%に相当する。なお、ロ液画分AL2に残存するStOSt含有量は13.6%であった。
比較例1
実施例1で用いたエステル交換油Aを1段だけの攪拌晶析で分別する目的で、実施例1の1段目分別の冷媒温度を26℃に変えて、その他の条件は実施例1同条件で攪拌晶析を行った。晶析途上の結晶スラリーのSFCが10%程度までは良好な流動性であったが、さらに結晶化が進行したSFC15%程度でほとんど流動性が無くなり、その後の圧搾ロ過に供することが出来るような結晶スラリーは得られなかった。
比較例2
実施例1の1段目の分別において、晶析を終了した後で、冷媒温度を34℃に昇温することなく31℃のままで結晶スラリーを保持した。晶析終了直後の結晶スラリーのSFCは15.4%で流動性良好であったが、その後の圧搾ロ過機にポンプ移入中の晶析装置内でさらに結晶化が進行し晶析終了後1時間でSFC24.5%と急速に増粘し、圧搾ロ過機へのポンプ輸送が出来なくなり、結晶画分とロ液画分の分離が困難になった。ロ液画分が得られなったため、2段目の分別に供することが出来なった。
実施例1、2、比較例1、2のテスト結果を表―1に示す。
なお、以後のテスト結果では以下の測定値である。
SFC:結晶スラリーの固体脂含有量%
SFC測定方法:結晶スラリー 3±0.3gを長さ180mm,直径10mmの試験管に採取して、可及的速やかにBRUKER社製SFC測定装置 「minispec pc120 SFC測定装置」プローブに挿入し、結晶スラリーSFCをNMR−パルスで測定した。
StOSt含量、StOO含量:高速液体クロマトグラフィー測定値
%は全て重量%である。
表−1
Figure 0005500080
*SFC15.0%で激しく増粘
**SFC15.4%で流動性良好であったが、圧搾ロ過待ち1時間後に24.2%に急速に増粘

晶析温度:晶析最下点温度
晶析時間:冷却開始〜晶析終了までの時間
残液率%:結晶画分のStOO含有量/ロ液画分のStOO含有量×100
実施例1では、StOSt含有量がそれぞれ68.3%、65.8%とStOStに富む結晶画分を分別原料から30.5%、19.9%の収率で得た。StOStに富む油脂合計として50.4%の高収率であった。実施例2でも同様に、StOStに富む油脂合計として50.0%の高収率であった。一方、比較例1のように1段の分別で結晶量をSFC24.2%と高くすると、結晶スラリーの急速な増粘が起こり、結晶画分とロ液画分の分離が出来なかった。
実施例3
実施例1で得た1段目分別の結晶画分AF1を粗砕した後、全量を溶解槽に入れた。溶解槽は、W380mm×L380mm×H400mmのステンレス槽の内部に加熱コイルを備えたもので、コイル内部に一定温度の温水を循環出来る構造のものを使用した。結晶画分が43.0℃になるまで昇温させてから、攪拌しながら一定時間(約120分)保持を行い、フィルタープレスにて圧搾ロ過し、固液分離を行い、高融点のグリセリドが濃縮された結晶側を除去した液体側AF1Lを91.5%の収率で得た。
表−2にそのグリセリド組成を示す。

表−2 グリセリド組成(%)
Figure 0005500080

得られたAF1Lと実施例1で得たAF2を混合してStOSt含有量67.0%のStOStに富む油脂を得た。この油脂のエステル交換油Aに対する分別収率47.4%であった。
参考例1
エステル交換油Aをノルマルヘキサンを用いて溶剤分別し、StOSt含有量67.2%の分別中融点画分を55.2%の収率で得た。分別条件は高融点画分を溶剤中油分30%にて15℃、30分間保持後ロ別して除去し、さらにロ液画分を−7℃、10分間保持後ロ別し得られた結晶部を元のロ液画分に含有されていた油脂の3倍重量当量の溶剤で洗浄して再度ロ別して、その結晶画分として中融点画分を得た。
参考例2
エステル交換油Aを50℃以上に加熱して完全に液化後、23℃で静置固化させ、結晶を解砕しスラリー化して圧搾ロ過により固液分離した。得られた結晶画分に対し、50℃以上に加熱し完全に液化後に40℃に調温した1.5倍重量当量のエステル交換油Aを混合し、30分間静置し、35℃室温にてフィルタープレスを用いて圧搾ロ過した。得られたStOStに富む結晶画分を実施例3と同様の操作で加熱溶融して、さらに固液分離を行い、高融点のグリセリドが濃縮された結晶側を除去したStOSt含有量67.0%の液体側を得た。
表−3に実施例3、参考例1,2で得られたStOStに富む油脂のグリセリド組成、表−4にSFCを示す。

表−3
Figure 0005500080

表−4 SFC
(急冷固化後、26.7℃、40時間安定化後測定)%
Figure 0005500080

実施例3の2段の攪拌晶析法によるStOStに富む油脂は、従来の参考例1の溶剤分別法や参考例2の静置晶析法で得られるStOStに富む油脂とほぼ近似するグリセリド組成を示し、SFCも同様にシャープな融解性状を示す高品質のココアバター代用脂であった。
本発明は、SUS含有油脂からチョコレートに好適に用いられるココアバター代用脂を得る、油脂の乾式分別法に関するものである。

Claims (4)

  1. SUS含有量が30重量%以上であるSUS含有油脂を原料として、攪拌晶析と圧搾ロ過による乾式分別で結晶画分側にSUSを濃縮せしめ、ロ液画分に残存するSUSは次段の攪拌晶析と圧搾ロ過による乾式分別で結晶画分側に濃縮する、多段分取によるSUS含有量が60重量%以上であるSUSに富む油脂の分別法。
    (SUS:2−不飽和、1,3−ジ飽和型、S:炭素数16〜22の飽和脂肪酸、U:炭素数18の不飽和脂肪酸)
  2. 圧搾ロ過に供する結晶スラリーの結晶量が固体脂含有量として10〜20重量%である請求項1記載の分別法。
  3. SUSが実質的にStOStである請求項1または2記載の分別法。
    (St:ステアリン酸、O:オレイン酸)
  4. StOSt含有油脂が、シア脂、サル脂、アランブラキア脂、またはトリグリセリドの2位がオレイン酸に富む油脂の1,3位に選択的にステアリン酸を導入して得たエステル交換反応油のいずれか1種以上である請求項3記載の分別法。
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