JP7255413B2 - 樹脂用洗浄剤組成物 - Google Patents
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Description
しかしながら、この洗浄剤組成物では、洗浄主成分として有機溶剤が配合されていることから使用環境が限られてしまうおそれや、アルカリ性が強い洗浄剤であることから繰り返し使用する場合に使用者に肌荒れを生じさせるおそれがあった。
しかしながら、この洗浄剤組成物では、洗浄効果が十分とは言えない場合や、シリコーンポリマーを含む洗浄剤であることから、洗浄後に化合物が残存することが敬遠される半導体などの電子材料分野などにおいて、かかる洗浄剤組成物の使用が制限されてしまう場合があった。
さらに、上記の課題は、固体表面に余剰に付着した、シリコーン接着剤などの硬化性接着剤を洗浄する場合のみならず、液状レジストやドライフィルムレジストなどのコーティング樹脂の剥離洗浄、炭化水素樹脂などの洗浄についても生じることがある。
このように、使用環境の制限や使用者への影響が少ない洗浄剤であって、固体表面に付着した樹脂を洗浄により簡便に除去でき、液性が中性またはそれに近い水系洗浄剤が求められている。
「樹脂」には、例えば、硬化性樹脂、接着剤、粘着剤および炭化水素樹脂などが含まれる。
硬化性樹脂には、加熱または光照射により硬化するコーティング樹脂が含まれ、例えば、エポキシ樹脂,フェノール樹脂,不飽和ポリエステル樹脂,ユリア樹脂,メラミン樹脂,ジアリルフタレート樹脂,ケイ素樹脂,ビニルエステル樹脂,ポリイミド,ポリウレタンなどの熱硬化性樹脂、変性アクリレート樹脂などの光硬化性樹脂が含まれる。
接着剤には、例えば、シリコーン系接着剤、変成シリコーン系接着剤、アクリル樹脂系接着剤、アクリル樹脂嫌気性接着剤、アクリル樹脂エマルジョン接着剤、α-オレフィン系接着剤、ウレタン樹脂系接着剤、ウレタン樹脂溶剤系接着剤、ウレタン樹脂エマルジョン接着剤、エーテル系セルロース、エチレン-酢酸ビニル樹脂エマルジョン接着剤、エチレン-酢酸ビニル樹脂ホットメルト接着剤、エポキシ樹脂系接着剤、エポキシ樹脂エマルジョン接着剤、塩化ビニル樹脂溶剤系接着剤、クロロプレンゴム系接着剤、酢酸ビニル樹脂エマルジョン接着剤、シアノアクリレート系接着剤、水性高分子-イソシアネート系接着剤、スチレン-ブタジエンゴム溶液系接着剤、スチレン-ブタジエンゴム系ラテックス接着剤、ニトリルゴム系接着剤、ニトロセルロース接着剤、反応性ホットメルト接着剤、フェノール樹脂系接着剤、ポリアミド樹脂ホットメルト接着剤、ポリイミド系接着剤、ポリウレタン樹脂ホットメルト接着剤、ポリオレフィン樹脂ホットメルト接着剤、ポリ酢酸ビニル樹脂溶液系接着剤、ポリスチレン樹脂溶剤系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤、ポリビニルピロリドン樹脂系接着剤、ポリビニルブチラール樹脂系接着剤、ポリベンズイミダソール接着剤、ポリメタクリレート樹脂溶液系接着剤、メラミン樹脂系接着剤、ユリア樹脂系接着剤、レゾルシノール系接着剤などが含まれる。これら硬化性接着剤は硬化前の状態において洗浄、除去される。
粘着剤には、例えば、シリコーン系粘着剤、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤などが含まれる。
炭化水素樹脂には、高粘度の油性材料等が含まれており、例えば、芳香族系炭化水素、パラフィン系炭化水素、ナフテン系炭化水素などが含まれる。なお、炭化水素樹脂のうち硬化性樹脂や接着剤、粘着剤に相当するものは、本明細書に記載の炭化水素樹脂から除外される。
本発明の効果が顕著となる観点から「樹脂」として好ましいものは、例えば、本明細書に記載のSUS板洗浄試験において水のみを用いて超音波洗浄したときの除去率が60%以下、特に50%以下、さらに40%以下となるものである。
なお、上記SUS板洗浄試験における超音波洗浄とは、一般的に約20~100kHzの超音波を用いた洗浄方法を示す。
本発明の樹脂用洗浄剤組成物(以下「本発明の組成物」ともいう。)は、下記の化合物(A)、化合物(B)、キレート剤(C)および水溶性アルコール(D)を少なくとも含有する。まず化合物(A)について説明する。
本発明で用いられる化合物(A)は、下記の式(1)で示されるアルキルスルホコハク酸およびその塩である。本発明において、式(1)に包含される複数の化合物(A)のうち1種を単独で、または2種以上を併せて用いることができる。
炭素数8~12の分岐アルキル基を構成する分岐鎖としては、炭素数が1~3の炭化水素基が好ましく、洗浄性および低泡性の観点から、メチル分岐およびエチル分岐がより好ましく、エチル分岐が特に好ましい。
具体的なR1およびR1’としては、例えば、2-エチルヘキシル基、イソノニル基、3,5,5-トリメチルヘキシル基、イソデシル基、3,5,5-トリエチルヘキシル基などが挙げられ、2-エチルヘキシル基および3,5,5-トリメチルヘキシル基が好ましく、2-エチルヘキシル基がより好ましい。
本発明で用いられる化合物(B)は、下記の式(2)で示されるアルキル硫酸エステル塩である。本発明において、式(2)に包含される複数の化合物(B)のうち1種を単独で、または2種以上を併せて用いることができる。
具体的なR2としては、例えば、2-エチルヘキシル基、イソノニル基、3,5,5-トリメチルヘキシル基などが挙げられ、2-エチルヘキシル基および3,5,5-トリメチルヘキシル基が好ましく、2-エチルヘキシル基がより好ましい。
本発明で用いられるキレート剤(C)は、有機酸およびその塩であり、例えば、アミノカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、ヒドロキシホスホスルホン酸およびこれらの塩から選ばれる1種または2種以上の化合物が挙げられる。
ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、リンゴ酸、クエン酸等が挙げられる。
ヒドロキシホスホン酸としては、例えば、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸(HEDP)等が挙げられる。
これら有機酸の塩としては、アルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩等が挙げられる。アミン塩としては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等が挙げられる。好ましくはアルカリ金属塩であり、より好ましくはナトリウム塩およびカリウム塩である。
キレート剤(C)としては、ヒドロキシカルボン酸塩およびその塩が好ましく、クエン酸およびその塩がより好ましく、クエン酸塩がさらに好ましい。また、クエン酸塩を用いる場合は、クエン酸と併用することによって、キレート剤としてのみならずpH調整剤として用いることができる。
本発明で用いられる水溶性アルコール(D)とは分子内に水酸基を少なくとも1個有する水溶性の化合物であり、水溶性アルコールの価数は1価および2価が好ましい。ここで水溶性とは、25℃にて水に任意の割合で溶解するものをいう。水溶性アルコールの炭素数は2~20が好ましく、4~12がより好ましく、5~10が特に好ましい。
特に、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノールが好ましく、洗浄効果に優れる面から、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノールがさらに好ましい。
本発明において、水溶性アルコール(D)は1種を単独で、または2種以上を併せて用いることができる。
本発明の組成物における水の含有量は、好ましくは40~80質量%であり、より好ましくは45~65質量%であり、特に好ましくは45~55質量%である。
また、本発明の組成物は液性が中性または中性付近であり、pH=5.0~9.0であることが好ましく、より好ましくはpH=6.0~8.0、特に好ましくはpH=7.0~8.0である 本発明の組成物の液性を中性または中性付近に調整する方法としては、例えば、水の含有量を調節する方法、pH調整剤を用いる方法が挙げられる。なお、上述のとおり、本発明で用いるキレート剤(C)がpH調整剤として機能することもある。
表1に示す化合物(A)、表2に示す化合物(B)、表3に示すキレート剤(C)、表4に示す水溶性アルコール(D)を用いて、実施例(表5)および比較例(表6)の樹脂用洗浄剤組成物(原液)を通常の方法により調製した。いずれの組成物においても水を用いて全量を100質量%に調整した。
なお、表1中の記号は式(1)における記号を表し、表2中の記号は式(2)における記号を表す。
a)希釈液の調製
100mlビーカー中にて、各洗浄剤組成物(原液)を10g秤量し、20gの水で3倍に希釈し、スターラーチップを用いて25℃で10分間撹拌した。得られた希釈液を用いて下記の洗浄試験を行なった。
本試験では、樹脂として脱水縮合硬化型のシリコーン接着剤をSUS316板(縦×横×厚さ=50×15×1.5mm)に塗布したものに対する洗浄試験を実施した。
50mLスクリュー管中で上記のシリコーン接着剤を片面に塗布したSUS板を上記希釈液30gに対して浸漬し、30秒間常温(25℃)で超音波洗浄した。その後、液から取り出した際のSUS板に付着した樹脂の落ち具合について、シリコーン接着剤の除去率により評価した。
除去率の算出法および判定方法は以下のとおりである。
なお、希釈液に代えて水のみで上記条件にて超音波洗浄を行ったときの除去率は30%であった。
○:除去率が95%以上である。
×:除去率が95%未満である。
本試験では、樹脂として炭化水素樹脂をSUS316板(縦×横×厚さ=50×15×1.5mm)に塗布したものに対する洗浄試験を実施した。
50mLスクリュー管中で炭化水素樹脂「パールリーム(登録商標)24:日油(株)製」(動粘度:800mm2/s(99℃))を片面に塗布したSUS板を上記希釈液30gに対して浸漬し、10分間常温(25℃)で超音波洗浄した。その後、液から取り出した際のSUS板に付着した樹脂の落ち具合について、炭化水素樹脂の除去率により評価した。
除去率の算出法および判定方法は以下のとおりである。
なお、希釈液に代えて水のみで上記条件にて超音波洗浄を行ったときの除去率は40%であった。
◎:除去率が95%以上であり、かつ炭化水素樹脂が浮遊した。
○:除去率が95%以上である。
×:除去率が95%未満である。
本試験では、樹脂としてウレタン樹脂を含有するコーティング材をSUS316板(縦×横×厚さ=50×15×1.5mm)に塗布したものに対する洗浄試験を実施した。
50mLスクリュー管中でコーティング材「ウレタンフィニッシャー:東邦産業(株)製」を片面に塗布したSUS板を上記希釈液30gに対して浸漬し、10分間常温(25℃)で超音波洗浄した。その後、液から取り出した際のSUS板に付着した樹脂の落ち具合について、コーティング材の除去率により評価した。
除去率の算出法および判定方法は上記シリコーン接着剤洗浄試験と同じである。
なお、希釈液に代えて水のみで上記条件にて超音波洗浄を行ったときの除去率は20%であった。
各洗浄剤組成物(原液)のpHをpHメーター(LAQUA F-72:株式会社堀場製作所製)を用いて測定した。なお、測定温度は25℃とし、25℃の恒温槽中にて各洗浄剤組成物(原液)を攪拌しながら測定した。
各洗浄剤組成物(原液)を100ml蓋付きメスシリンダーに30ml量りとった。その後、蓋をして10秒間激しく上下に振とうした後に静置した。静置して30秒後の泡体積より、低泡性を評価した。低泡性は下記の評価基準に従い評価を行った。
◎:振とう1分後の泡体積が50mL以下であり、かつ3分後の泡体積が2mL以下である。
○:振とう1分後の泡体積が50mL以下であり、かつ3分後の泡体積が3mL以下である。
×:振とう1分後の泡体積が50mLより多い、または3分後の泡体積が3mLより多い。
各洗浄剤組成物(原液)を50mlスクリュー管に30ml入れて、-5℃および25℃の恒温槽にそれぞれ1週間静置して外観を確認し、評価を行った。原液の安定性の評価は、下記の評価基準に従い行った。
○:どちらの温度においても均一かつ透明である。
×:少なくとも一方の温度において薬液(原液)にて析出もしくは分層する。
各洗浄剤組成物(原液)を水で10倍に希釈した希釈液を50mlスクリュー管に30ml入れて、5℃および25℃の恒温槽にそれぞれ1週間静置して外観を確認し、評価を行った。水で希釈後の安定性の評価は、下記の評価基準に従い行った。
○:どちらの温度においても均一かつ透明である。
×:少なくとも一方の温度において析出もしくは分層する。
実施例1~12の組成物については、薬液(原液)のpHが中性でありながら、塗布したシリコーン接着剤、炭化水素樹脂およびコーティング材に対する洗浄力が高く、さらには高い低泡性を有することが明らかとなった。また、原液および希釈液における安定性も高いことが確認された。
比較例1は化合物(A)の含有量が5質量%未満であるため、洗浄効果が良好ではない。
比較例2は化合物(A)の含有量が12質量%よりも多いため、低泡性および希釈液の安定性がともに良好ではない。
比較例3は化合物(A)のR1が分岐アルキルでないため、洗浄効果、低泡性が良好ではない。
比較例4は化合物(B)の含有量が3質量%未満であるため、洗浄効果、低泡性が良好ではない。
比較例5は化合物(B)の含有量が10質量%よりも多いため、低泡性が良好ではない。
比較例6は化合物(B)のR2が分岐アルキルでないため、洗浄効果、低泡性が良好ではない。
比較例7はキレート剤(C)を含有しないため、洗浄効果が良好ではない。
比較例8は水溶性アルコール(D)を含有しないため、洗浄効果や原液の安定性が良好ではない。
Claims (1)
- 式(1)で示される化合物(A)、式(2)で示される化合物(B)、キレート剤(C)および水溶性アルコール(D)を含有し、化合物(A)の含有量が5~12質量%、化合物(B)の含有量が3~10質量%、キレート剤(C)の含有量が3~8質量%、水溶性アルコール(D)の含有量が10~30質量%である樹脂用洗浄剤組成物。
R1-OCOCH2(SO3M1)CHCOO-R1’ ・・・(1)
(式中R1およびR1’は各々独立して炭素数8~12の分岐アルキル基である。M1は水素原子、アルカリ金属原子または4級アンモニウム化合物である。)
R2O-SO3M2 ・・・(2)
(式中R2は炭素数8~9の分岐アルキル基である。M2は水素原子、アルカリ金属原子または4級アンモニウム化合物である。)
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