JP7253335B2 - 研磨用組成物、その製造方法および研磨用組成物を用いた研磨方法 - Google Patents

研磨用組成物、その製造方法および研磨用組成物を用いた研磨方法 Download PDF

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本発明は、研磨用組成物、その製造方法および研磨用組成物を用いた研磨方法に関する。
従来、金属や半金属、非金属、その酸化物等の材料表面に対して研磨用組成物を用いた精密研磨が行われている。例えば、半導体製品の構成要素等として用いられるシリコンウェーハの表面は、一般に、ラッピング工程とポリシング工程(精密研磨工程)とを経て高品位の鏡面に仕上げられる。上記ポリシング工程は、典型的には、予備ポリシング工程(予備研磨工程)とファイナルポリシング工程(最終研磨工程)とを含む。上記予備ポリシング工程は、典型的には粗研磨工程(一次研磨工程)および中間研磨工程(二次研磨工程)を含んでいる。
シリコンウェーハには、識別等の目的で、該シリコンウェーハの表面や裏面にレーザー光を照射することによって、バーコード、数字、記号等のマーク(ハードレーザーマーク)が付されることがある。このようなハードレーザーマークの付与は、一般に、シリコンウェーハのラッピング工程を終えた後、ポリシング工程を開始する前に行われる。
通常、ハードレーザーマークを付すためのレーザー光の照射によって、ハードレーザーマーク周縁には変質層が生じる。変質層が生じた状況で一次研磨等の予備研磨を施すと、変質層が研磨されにくいことによりハードレーザーマークの周縁に隆起が生じてシリコンウェーハの平坦性が低下する場合がある。例えば、特許文献1では、砥粒と、弱酸塩と、第四級アンモニウム化合物を含む研磨用組成物が開示されており、当該研磨用組成物により、pH変動を抑制し研磨能率を維持することができ、ハードレーザーマーク周縁の隆起を解消することが記載されている。
特開2015-233031号公報
しかしながら、上記変質層部分はレーザー光のエネルギーによりポリシリコン等に変質し、硬くなっていることが多く、特許文献1のような研磨用組成物では上記隆起を効果的に解消することがまだ不十分であったため、さらなる品質向上が求められていた。また同時に表面粗さの低減も求められていた。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、ハードレーザーマーク周縁の隆起を解消する性能に優れ、さらに表面粗さが低減できる研磨用組成物を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、前記研磨用組成物の製造方法を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、前記研磨用組成物を用いて、ハードレーザーマークの付されたシリコンウェーハを研磨する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、ベンゼン環の構造単位を含む界面活性剤を研磨用組成物に含ませることにより、上記課題が解決されうることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、砥粒と、界面活性剤と、塩基性化合物と、水と、を含み、前記界面活性剤は、ベンゼン環の構造単位を含むことを特徴とするシリコンウェーハ研磨用組成物に関する。
さらに、本発明は、前記研磨用組成物の製造方法、および前記研磨用組成物を用いてハードレーザーマークの付されたシリコンウェーハを研磨する方法にも関する。
本発明によれば、ハードレーザーマーク周縁の隆起を解消する性能に優れ、さらに表面粗さが低減できる研磨用組成物が提供される。
さらに、本発明によれば、前記研磨用組成物の製造方法が提供される。
さらに、本発明によれば、および前記研磨用組成物を用いてハードレーザーマークの付されたシリコンウェーハを研磨する方法が提供される。
本発明の研磨用組成物は、砥粒と、界面活性剤と、塩基性化合物と、水と、を含み、前記界面活性剤は、ベンゼン環の構造単位を含む。
本発明の研磨用組成物によれば、ハードレーザーマーク周縁の隆起を効果的に解消することができる。なお、本明細書においてハードレーザーマーク周縁の隆起を解消するとは、シリコンウェーハのハードレーザーマーク周縁の基準面(基準平面)から上記隆起の最高点までの高さを小さくすることをいう。シリコンウェーハのハードレーザーマーク周縁の隆起の高さは、例えば、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
このような効果が得られるメカニズムは、以下の通りであると考えられる。ただし、下記メカニズムはあくまで推測であり、これによって本発明の範囲が限定されるものではない。
シリコンウェーハにハードレーザーマークを付すために、レーザー光の照射処理を行うため、ハードレーザーマーク周縁の単結晶シリコン部には変質層が生じ、硬くなっていることが多い。そのため、従来の研磨用組成物を用いてシリコンウェーハを研磨する際に、ハードレーザーマーク周縁の変質部分は、それ以外のウェーハ部分に比べて、エッチングまたは砥粒による機械的研磨がされにくくなり、研磨レートが低くなる。結果として、ハードレーザーマーク周縁は隆起が解消されないままである。一方、本発明の研磨用組成物を用いてシリコンウェーハを研磨する際には、前述のような問題が解消される。具体的な理由としては、本発明に記載のベンゼン環の構造単位を含む界面活性剤を添加すると、当該界面活性剤が隆起部以外のシリコンウェーハの表面に好適に作用し、シリコンウェーハのエッチングレートまたは砥粒による機械的研磨レートが当該界面活性剤を含まない場合に比べて抑えられる。これにより、変質部分とそれ以外のウェーハ部分の研磨レートの差が小さくなると考えられる。
したがって、本発明の研磨用組成物を用いて研磨することにより、ハードレーザーマーク周縁の変質部分と、それ以外の部分とは近い研磨レートで研磨されて、部分的な隆起が解消され得る。
以下、本発明の実施の形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。本発明は、以下の実施の形態のみには限定されない。
また、本明細書において、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20~25℃)/相対湿度40~50%RHの条件で行う。本明細書において、範囲を示す「X~Y」は「X以上Y以下」を意味する。
本発明の研磨用組成物は、砥粒と、界面活性剤と、塩基性化合物と、水と、を含み、前記界面活性剤は、ベンゼン環の構造単位を含む。以下、本発明の研磨用組成物の各構成を説明する。
<砥粒>
本発明の研磨用組成物は、砥粒を含む。研磨用組成物中に含まれる砥粒は、シリコンウェーハを機械的に研磨する作用を有する。
使用される砥粒は、無機粒子、有機粒子、および有機無機複合粒子のいずれであってもよい。無機粒子の具体例としては、例えば、シリカ、アルミナ、セリア、チタニア等の金属酸化物からなる粒子、窒化ケイ素粒子、炭化ケイ素粒子、窒化ホウ素粒子が挙げられる。有機粒子の具体例としては、例えば、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)粒子が挙げられる。該砥粒は、単独でもまたは2種以上混合して用いてもよい。また、該砥粒は、市販品を用いてもよいし合成品を用いてもよい。
ここに開示される技術において特に好ましい砥粒として、シリカ粒子が挙げられる。ここに開示される技術は、例えば、上記砥粒が実質的にシリカ粒子からなる態様で好ましく実施され得る。ここで「実質的に」とは、砥粒を構成する粒子の95重量%以上(好ましくは98重量%以上、より好ましくは99重量%以上であり、100重量%であってもよい。)がシリカ粒子であることをいう。
シリカ粒子の具体例としては、コロイダルシリカ、フュームドシリカ、沈降シリカ等が挙げられる。シリカ粒子は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。シリコンウェーハ表面にスクラッチを生じにくく、かつ良好な研磨性能(表面粗さを低下させる性能や隆起解消性等)を発揮し得ることから、コロイダルシリカが特に好ましい。コロイダルシリカとしては、例えば、イオン交換法により水ガラス(珪酸Na)を原料として作製されたコロイダルシリカや、アルコキシド法コロイダルシリカを好ましく採用することができる。ここでアルコキシド法コロイダルシリカとは、アルコキシシランの加水分解縮合反応により製造されたコロイダルシリカである。コロイダルシリカは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
シリカ粒子を構成するシリカの真比重は、1.5以上であることが好ましく、より好ましくは1.6以上、さらに好ましくは1.7以上である。シリカの真比重の増大により、研磨レートは高くなる傾向にある。かかる観点から、真比重が2.0以上(例えば2.1以上)のシリカ粒子が特に好ましい。シリカの真比重の上限は特に限定されないが、典型的には2.3以下、例えば2.2以下である。シリカの真比重としては、置換液としてエタノールを用いた液体置換法による測定値を採用し得る。
砥粒の平均一次粒子径は特に限定されず、例えば10nm~200nm程度の範囲から適宜選択し得る。隆起解消性向上の観点から、砥粒の平均一次粒子径の下限は、20nm以上であることが好ましく、30nm以上であることがより好ましい。いくつかの態様において、平均一次粒子径は、40nm以上であってよく、45nm超でもよく、50nm超でもよい。また、スクラッチの発生防止の観点から、砥粒の平均一次粒子径の上限は、150nm以下であることが好ましく、120nm以下であることがより好ましく、100nm以下であることがさらに好ましい。いくつかの態様において、平均一次粒子径は、75nm以下でもよく、60nm以下でもよい。このような範囲であれば、研磨用組成物によるシリコンウェーハの研磨レートはより向上し、また、研磨用組成物を用いて研磨した後のシリコンウェーハの表面に欠陥が生じるのをより抑えることができる。
この明細書において、砥粒の平均一次粒子径とは、BET法により測定される比表面積(BET値)から、平均一次粒子径(nm)=6000/(真密度(g/cm)×BET値(m/g))の式により算出される粒子径をいう。例えばシリカ粒子の場合、平均一次粒子径(nm)=2727/BET値(m/g)により平均一次粒子径を算出することができる。比表面積の測定は、例えば、マイクロメリテックス社製の表面積測定装置、商品名「Flow Sorb II 2300」を用いて行うことができる。
砥粒の形状(外形)は、球形であってもよく、非球形であってもよい。非球形をなす粒子の具体例としては、ピーナッツ形状すなわち落花生の殻の形状、繭型形状、金平糖形状等のような突起付き形状、ラグビーボール形状等が挙げられる。
砥粒の平均アスペクト比は特に限定されない。砥粒の平均アスペクト比は、原理的に1.0以上であり、1.05以上、1.1以上とすることができる。平均アスペクト比の増大により、隆起解消性は概して向上する傾向にある。また、砥粒の平均アスペクト比は、スクラッチ低減や研磨の安定性向上等の観点から、好ましくは3.0以下であり、より好ましくは2.0以下である。いくつかの態様において、砥粒の平均アスペクト比は、例えば1.5以下であってよく、1.4以下でもよく、1.3以下でもよい。
この明細書において、砥粒を構成する各粒子のアスペクト比は、走査型電子顕微鏡(SEM)による当該粒子の画像に外接する最小の長方形の長辺の長さを同じ長方形の短辺の長さで除することにより求めることができる。砥粒の平均アスペクト比およびアスペクト比の標準偏差は、走査型電子顕微鏡の視野範囲内にある複数の粒子のアスペクト比の平均値および標準偏差であり、これらは一般的な画像解析ソフトウエアを用いて求めることができる。
いくつかの態様において、砥粒としては、円換算径が50nm以上でかつアスペクト比が1.2以上である粒子の体積割合が50%以上であるものを採用することができる。上記体積割合は、60%以上とすることもできる。上記体積割合の値が50%以上である場合、さらに言えば60%以上である場合には、隆起の解消に特に有効なサイズおよびアスペクト比の粒子が砥粒中に比較的多く含まれることが理由で、砥粒の機械的作用による隆起解消性をより向上させることができる。
いくつかの態様において、砥粒の平均円換算径は、例えば25nm以上であってよく、40nm以上でもよく、55nm以上でもよく、70nm以上でもよい。また、砥粒の平均円換算径は、例えば300nm以下であってよく、200nm以下でもよく、150nm以下でもよく、100nm以下でもよい。ここに開示される研磨用組成物は、このような平均円換算径を有する砥粒を用いて好適に実施され得る。
この明細書において、粒子の円換算径とは、走査型電子顕微鏡による当該粒子の画像の面積を計測し、それと同じ面積の円の直径を求めることにより得られる値をいう。砥粒を構成する粒子の平均円換算径および円換算径の標準偏差は、走査型電子顕微鏡の視野範囲内にある複数の粒子の円換算径の平均値および標準偏差であり、これらも一般的な画像解析ソフトウエアを用いて求めることができる。
ここに開示される研磨用組成物における砥粒の含有量は特に制限されない。後述するように、そのまま研磨液としてシリコンウェーハの研磨に用いられる研磨用組成物(典型的にはスラリー状の研磨液であり、ワーキングスラリーまたは研磨スラリーと称されることもある。)の場合、当該研磨用組成物に対して砥粒の含有量は、0.01質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることがより好ましく、0.1質量%以上であることがさらに好ましい。砥粒の含有量の増大によって、より高い隆起解消性が得られる傾向にある。いくつかの態様において、砥粒の含有量は、0.2重量%以上でもよく、0.5重量%以上でもよく、0.6重量%以上でもよく、0.8重量%以上でもよく、1.0重量%以上でもよく、1.2重量%以上でもよい。また、スクラッチ防止等の観点から、砥粒の含有量は、通常は10質量%以下が適当であり、5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましく、2質量%以下が特に好ましい。砥粒の含有量を少なくすることは、経済性の観点からも好ましい。ここに開示される研磨用組成物は、このような低い砥粒含有量においても、実用上充分な隆起解消性を発揮するものとなり得る。
また、希釈して研磨に用いられる研磨用組成物(すなわち濃縮液)の場合、砥粒の含有量は、保存安定性や濾過性等の観点から、通常は、50質量%以下であることが適当であり、40質量%以下であることがより好ましい。また、濃縮液とすることの利点を活かす観点から、砥粒の含有量は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上である。
<界面活性剤>
ここに開示される研磨用組成物は、界面活性剤を含む。ここでいう界面活性剤とは、1分子中に少なくとも一つ以上の親水部位(典型的には親水基)と一つ以上の疎水部位(典型的には疎水基)とを有する化合物をいう。ここに開示される研磨用組成物は、界面活性剤として、ベンゼン環の構造単位を含む。本発明に使用できる界面活性剤は、ベンゼン環の構造単位を含むため、シリコンウェーハ表面に好適に作用すると考えられる。これにより、シリコンウェーハの研磨レートを低下させ、ハードレーザーマーク周縁の変質部分との研磨レートの差を減少し隆起を解消できると考えられる。
ここに開示される技術における界面活性剤としては、特に限定されないが、分子内に炭素原子数6~20の直鎖状または分枝状のアルキル基を含む界面活性剤が好ましく用いられる。より好ましくは、界面活性剤は、分子内に炭素原子数6~19(例えば、炭素原子数6~18)の直鎖状または分枝状のアルキル基を含む界面活性剤であり、特に好ましくは、界面活性剤は、分子内に炭素原子数7~17(例えば、炭素原子数12)の直鎖状または分枝状のアルキル基を含む界面活性剤である。アルキル基の炭素原子数が上記範囲である界面活性剤によると、隆起解消性がより向上しやすい。
ここに開示される技術に用いられる界面活性剤の具体例としては、アルキルベンゼンスルホン酸またはその塩が挙げられる。アルキルベンゼンスルホン酸としては、直鎖状アルキルベンゼンスルホン酸であってもよく、分岐状アルキルベンゼンスルホン酸であってもよい。アルキルベンゼンスルホン酸の非限定的な例としては、ドデシルベンゼンスルホン酸が挙げられる。アルキルベンゼンスルホン酸の塩としては、アルカリ金属塩であってもよく、アンモニウム塩であってもよい。アルキルベンゼンスルホン酸の塩の非限定的な例としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸カリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウムが挙げられる。
好ましい一態様において、上記界面活性剤として、ドデシルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましく用いられ得る。
ここに開示される技術における界面活性剤は、上述のような化合物のいずれか1種であってもよく、2種以上の混合物であってもよい。
上記研磨用組成物における界面活性剤の含有量(複数種類の界面活性剤を含有する場合にはそれらの合計量)は特に限定されず、使用目的や使用態様等に応じて所望の効果が得られるように適宜設定することができる。そのまま研磨液としてシリコンウェーハの研磨に用いられる研磨用組成物の場合、当該研磨用組成物に対して界面活性剤の含有量は、0.00005質量%以上であることが好ましく、0.0001質量%以上であることがより好ましい。例えば、0.0005重量%以上としてもよく、0.0008重量%以上としてもよい。界面活性剤の含有量の増大によって、より高い隆起解消性が得られる傾向にある。また、界面活性剤の含有量は、通常は0.05質量%以下が適当であり、0.01質量%以下がより好ましい。例えば、0.005重量%以下としてもよく、0.0015重量%以下としてもよく、0.0012重量%以下としてもよい。研磨用組成物中の界面活性剤の含有量が少なくなるにつれて、研磨レートの低下が抑制される。
また、希釈して研磨に用いられる研磨用組成物(すなわち濃縮液)の場合、界面活性剤の含有量は、保存安定性や濾過性等の観点から、通常は、0.5質量%以下であることが適当であり、0.2質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以下であることがさらに好ましい。また、濃縮液とすることの利点を活かす観点から、界面活性剤の含有量は、好ましくは0.0001質量%以上、より好ましくは0.0002質量%以上、さらに好ましくは0.0005重量%以上である。
特に限定されるものではないが、ここに開示される研磨用組成物における界面活性剤の含有量は、砥粒100重量部に対して0.0035重量部以上とすることができ、隆起解消効果をよりよく発揮する観点から0.0075重量部以上としてもよく、好ましくは0.035重量部以上であり、より好ましくは0.06重量部以上である。また、研磨用組成物における界面活性剤の含有量は、砥粒100重量部に対して3.5重量部以下とすることができ、研磨効率等の観点から0.75重量部以下としてもよく、好ましくは0.35重量部以下であり、より好ましくは0.1重量部以下(例えば0.09重量部以下)である。
<塩基性化合物>
ここに開示される研磨用組成物は、塩基性化合物を含む。ここで塩基性化合物とは、研磨用組成物に添加されることによって該組成物のpHを上昇させる機能を有する化合物を指す。塩基性化合物は、研磨対象となる面を化学的に研磨する働きをし、研磨レートの向上に寄与し得る。また、塩基性化合物は、研磨用組成物の分散安定性の向上に役立ち得る。
塩基性化合物としては、窒素を含む有機または無機の塩基性化合物、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物等を用いることができる。例えば、アルカリ金属の水酸化物、水酸化第四級アンモニウムまたはその塩、アンモニア、アミン等が挙げられる。中でも、研磨レート向上等の観点から、塩基性化合物としては、アルカリ金属の水酸化物、水酸化第四級アンモニウムまたはその塩であることが好ましく、水酸化第四級アンモニウムまたはその塩であることがより好ましい。アルカリ金属の水酸化物の具体例としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等が挙げられる。水酸化第四級アンモニウムまたはその塩の具体例としては、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム等が挙げられる。アミンの具体例としては、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、N-(β-アミノエチル)エタノールアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、無水ピペラジン、ピペラジン六水和物、1-(2-アミノエチル)ピペラジン、N-メチルピペラジン、グアニジン、イミダゾールやトリアゾール等のアゾール類等が挙げられる。
研磨レート向上等の観点から好ましい塩基性化合物として、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウムが挙げられる。なかでも好ましいものとして、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化テトラメチルアンモニウムおよび水酸化テトラエチルアンモニウムが例示される。より好ましいものとして水酸化テトラメチルアンモニウムが挙げられる。このような塩基性化合物は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
そのまま研磨液としてシリコンウェーハの研磨に用いられる研磨用組成物の場合、当該研磨用組成物に対して塩基性化合物の含有量は、研磨レートの促進の観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.03質量%以上、さらに好ましくは0.05質量%以上である。塩基性化合物の含有量の増加によって、安定性も向上し得る。上記塩基性化合物の含有量の上限は、1質量%以下とすることが適当であり、表面品質等の観点から、好ましくは0.5重量%以下であり、より好ましくは0.1重量%以下である。また、2種以上を組み合わせて用いる場合は、前記含有量は2種以上の塩基性化合物の合計含有量を指す。
また、希釈して研磨に用いられる研磨用組成物(すなわち濃縮液)の場合、塩基性化合物の含有量は、保存安定性や濾過性等の観点から、通常は、10質量%以下であることが適当であり、5質量%以下であることがより好ましい。また、濃縮液とすることの利点を活かす観点から、塩基性化合物の含有量は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは0.9質量%以上である。
<弱酸塩>
ここに開示される研磨用組成物には、必要に応じて弱酸塩を含有させることができる。弱酸塩としては、塩基性化合物との組合せで、緩衝作用を発揮し得るものが好ましい。このような緩衝作用が発揮されるように構成された研磨用組成物は、研磨中における研磨用組成物のpH変動が少なく、研磨能率の維持性に優れたものとなり得るため、隆起解消性の向上と研磨レートの維持とをより好適に両立することができる。
弱酸塩の具体例としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、オルト珪酸ナトリウム、オルト珪酸カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、プロピオン酸ナトリウム、プロピオン酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸水素カルシウム、酢酸カルシウム、プロピオン酸カルシウム、酢酸マグネシウム、プロピオン酸マグネシウム、プロピオン酸亜鉛、酢酸マンガン、酢酸コバルト等が挙げられる。アニオン成分が炭酸イオンまたは炭酸水素イオンである弱酸塩が好ましく、アニオン成分が炭酸イオンである弱酸塩が特に好ましい。また、カチオン成分としては、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属イオンが好適である。弱酸塩は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
シリコンウェーハの研磨に適したpH域において良好な緩衝作用を示す研磨用組成物を得る観点から、酸解離定数(pKa)値の少なくとも一つが8.0~11.8(例えば、8.0~11.5)の範囲にある弱酸塩が有利である。好適例として、炭酸塩、炭酸水素塩、ホウ酸塩、リン酸塩およびフェノール塩が挙げられる。特に好ましい弱酸塩として、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウムおよび炭酸水素カリウムが挙げられる。なかでも炭酸カリウム(KCO)が好ましい。pKaの値としては、公知資料に記載された25℃における酸解離定数の値を採用することができる。
弱酸塩の含有量は、特に限定するものではないが、研磨用組成物の全重量に対して、例えば0.001重量%以上であってよく、0.005重量%以上でもよく、0.01重量%以上でもよく、0.03重量%以上でもよい。また、より高い隆起解消性を得やすくする観点から、いくつかの態様において、上記合計含有量は、例えば5重量%以下であってよく、2重量%以下でもよく、1重量%以下でもよく、0.5重量%以下でもよく、0.1重量%以下でもよい。これらの含有量は、例えば、シリコンウェーハに供給される研磨液(ワーキングスラリー)における含有量に好ましく適用され得る。
また、希釈して研磨に用いられる研磨用組成物(すなわち濃縮液)の場合、弱酸塩の含有量は、保存安定性や濾過性等の観点から、通常は、10重量%以下であることが適当であり、5重量%以下であることがより好ましい。また、濃縮液とすることの利点を活かす観点から、弱酸塩の含有量は、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.5重量%以上、さらに好ましくは0.9重量%以上である。
<水>
ここに開示される研磨用組成物は、各成分を分散または溶解するために分散媒として水を含む。水は、洗浄対象物の汚染や他の成分の作用を阻害するという観点から、不純物をできる限り含有しないことが好ましい。このような水としては、例えば、遷移金属イオンの合計含有量が100ppb以下である水が好ましい。ここで、水の純度は、例えば、イオン交換樹脂を用いる不純物イオンの除去、フィルタによる異物の除去、蒸留等の操作によって高めることができる。具体的には、水としては、例えば、脱イオン水(イオン交換水)、純水、超純水、蒸留水などを用いることが好ましい。
分散媒は、各成分の分散または溶解のために、水と有機溶媒との混合溶媒であってもよい。この場合、用いられる有機溶媒としては、水と混和する有機溶媒であるアセトン、アセトニトリル、エタノール、メタノール、イソプロパノール、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール等が挙げられる。また、これらの有機溶媒を水と混合せずに用いて、各成分を分散または溶解した後に、水と混合してもよい。これら有機溶媒は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。
<その他の成分>
ここに開示される研磨用組成物は、本発明の効果が著しく妨げられない範囲で、キレート剤、水溶性高分子、酸、防腐剤、防カビ剤等の、研磨用組成物(典型的には、シリコンウェーハのポリシング工程に用いられる研磨用組成物)に用いられ得る公知の添加剤を、必要に応じてさらに含有してもよい。
研磨用組成物に必要であれば含まれうるキレート剤としては、アミノカルボン酸系キレート剤および有機ホスホン酸系キレート剤が挙げられる。アミノカルボン酸系キレート剤の例には、エチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸アンモニウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、トリエチレンテトラミン六酢酸およびトリエチレンテトラミン六酢酸ナトリウムが含まれる。有機ホスホン酸系キレート剤の例には、2-アミノエチルホスホン酸、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、エタン-1,1-ジホスホン酸、エタン-1,1,2-トリホスホン酸、エタン-1-ヒドロキシ-1,1-ジホスホン酸、エタン-1-ヒドロキシ-1,1,2-トリホスホン酸、エタン-1,2-ジカルボキシ-1,2-ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸、2-ホスホノブタン-1,2-ジカルボン酸、1-ホスホノブタン-2,3,4-トリカルボン酸およびα-メチルホスホノコハク酸が含まれる。これらのうち有機ホスホン酸系キレート剤がより好ましい。なかでも好ましいものとして、エチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)およびジエチレントリアミン五酢酸が挙げられる。特に好ましいキレート剤として、エチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホン酸)およびジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)が挙げられる。キレート剤は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
そのまま研磨液としてシリコンウェーハの研磨に用いられる研磨用組成物の場合、当該研磨用組成物に対してキレート剤の含有量は、好ましくは0.0001質量%以上、より好ましくは0.001質量%以上、さらに好ましくは0.005質量%以上である。上記キレート剤の含有量の上限は、1質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがより好ましく、0.3質量%以下であることがさらに好ましく、0.15質量%以下であることが特に好ましい。
また、希釈して研磨に用いられる研磨用組成物(すなわち濃縮液)の場合、キレート剤の含有量は、保存安定性や濾過性等の観点から、通常は、5質量%以下であることが適当であり、3質量%以下であることがより好ましく、1.5質量%以下であることが特に好ましい。また、濃縮液とすることの利点を活かす観点から、キレート剤の含有量は、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、さらに好ましくは0.05質量%以上である。
上記水溶性高分子の例としては、セルロース誘導体、デンプン誘導体、オキシアルキレン単位を含むポリマー、窒素原子を含有するポリマー、ビニルアルコール系ポリマー等が挙げられる。具体例としては、ヒドロキシエチルセルロース、プルラン、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとのランダム共重合体やブロック共重合体、ポリビニルアルコール、ポリイソプレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、ポリイソアミレンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸塩、ポリアクリル酸塩、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレングリコール、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルカプロラクタム、ポリビニルピペリジン等が挙げられる。水溶性高分子は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。ここに開示される研磨用組成物は、水溶性高分子を実質的に含まない態様、すなわち、少なくとも意図的には水溶性高分子を含有させない態様でも好ましく実施され得る。
上記酸の例としては、塩酸、リン酸、硫酸、ホスホン酸、硝酸、ホスフィン酸、ホウ酸等の無機酸;酢酸、イタコン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、マレイン酸、グリコール酸、マロン酸、メタンスルホン酸、ギ酸、リンゴ酸、グルコン酸、アラニン、グリシン、乳酸、hydroxyethylidene diphosphonic acid(HEDP)、nitrilotris[methylene phosphonic acid](NTMP)、phosphonobutane tricarboxylic acid(PBTC)等の有機酸;等が挙げられる。酸は、該酸の塩の形態で用いられてもよい。上記酸の塩は、例えば、ナトリウム塩やカリウム塩等のアルカリ金属塩や、アンモニウム塩等であり得る。
研磨用組成物に必要であれば含まれうる防腐剤および防カビ剤としては、例えば、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンや5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン等のイソチアゾリン系防腐剤、パラオキシ安息香酸エステル類、およびフェノキシエタノール等が挙げられる。これら防腐剤および防カビ剤は、単独でもまたは2種以上混合して用いてもよい。
ここに開示される研磨用組成物は、酸化剤を実質的に含まないことが好ましい。研磨用組成物中に酸化剤が含まれていると、当該組成物が供給されることでシリコンウェーハの表面が酸化されて酸化膜が生じ、これにより研磨レートが低下してしまうことがあり得るためである。ここで、研磨用組成物が酸化剤を実質的に含有しないとは、少なくとも意図的には酸化剤を配合しないことをいい、原料や製法等に由来して微量の酸化剤が不可避的に含まれることは許容され得る。上記微量とは、研磨用組成物における酸化剤のモル濃度が0.0005モル/L以下(好ましくは0.0001モル/L以下、より好ましくは0.00001モル/L以下、特に好ましくは0.000001モル/L以下)であることをいう。好ましい一態様に係る研磨用組成物は、酸化剤を含有しない。ここに開示される研磨用組成物は、例えば、過酸化水素、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムおよびジクロロイソシアヌル酸ナトリウムをいずれも含有しない態様で好ましく実施され得る。
<研磨用組成物>
ここに開示される研磨用組成物は、典型的には該研磨用組成物を含む研磨液の形態でシリコンウェーハに供給されて、そのシリコンウェーハの研磨に用いられる。ここに開示される研磨用組成物は、例えば、希釈(典型的には、水により希釈)して研磨液として使用されるものであってもよく、そのまま研磨液として使用されるものであってもよい。すなわち、ここに開示される技術における研磨用組成物の概念には、シリコンウェーハに供給されて該シリコンウェーハの研磨に用いられる研磨用組成物(ワーキングスラリー)と、希釈して研磨に用いられる濃縮液(ワーキングスラリーの原液)との双方が包含される。上記濃縮液の濃縮倍率は、例えば、体積基準で2倍~100倍程度とすることができ、通常は5倍~50倍程度が適当である。
そのまま研磨液としてシリコンウェーハの研磨に用いられる研磨用組成物の場合、研磨用組成物のpHは、典型的には8.0以上であり、好ましくは8.5以上、より好ましくは9.0以上、さらに好ましくは9.5以上、特に好ましくは10.0以上、例えば10.5以上である。研磨液のpHが高くなると隆起解消性が向上する傾向にある。一方、砥粒の溶解を防ぎ、該砥粒による機械的な研磨作用の低下を抑制する観点から、研磨液のpHは、12.0以下であることが適当であり、11.8以下であることが好ましく、11.5以下であることがさらに好ましい。
また、希釈して研磨に用いられる研磨用組成物(すなわち濃縮液)の場合、研磨用組成物のpHは、典型的には9.5以上であり、好ましくは10.0以上、より好ましくは10.2以上であり、例えば10.5以上である。また、研磨用組成物のpHは、12.0以下であることが適当であり、11.5以下であることが好ましい。
なお、研磨用組成物のpHは、pHメーター(例えば、堀場製作所製のガラス電極式水素イオン濃度指示計(型番F-23))を使用し、標準緩衝液(フタル酸塩pH緩衝液 pH:4.01(25℃)、中性リン酸塩pH緩衝液 pH:6.86(25℃)、炭酸塩pH緩衝液 pH:10.01(25℃))を用いて3点校正した後で、ガラス電極を研磨用組成物に入れて、2分以上経過して安定した後の値を測定することにより把握することができる。
<研磨用組成物の製造方法>
本発明において、さらに、前記研磨用組成物を製造する、製造方法を提供する。ここに開示される研磨用組成物の製造方法は特に限定されない。例えば、砥粒、界面活性剤、塩基性化合物および必要に応じて他の添加剤を、水中で攪拌混合することにより得ることができる。すなわち、ここに開示される研磨用組成物の一製造方法は、砥粒と、界面活性剤と、塩基性化合物とを、水中で攪拌混合する工程を含み、前記界面活性剤は、ベンゼン環の構造単位を含む、研磨用組成物の製造方法である。混合する際の温度は特に制限されないが、10~40℃が好ましく、溶解速度を上げるために加熱してもよい。また、混合時間も、均一混合できれば特に制限されない。撹拌装置としては、例えば、翼式攪拌機、超音波分散機、ホモミキサー等の周知の混合装置が用いられる。これらの成分を混合する態様は特に限定されず、例えば全成分を一度に混合してもよく、適宜設定した順序で混合してもよい。
<研磨方法>
ここに開示される研磨用組成物は、例えば以下の操作を含む態様で、シリコンウェーハの研磨に使用することができる。
すなわち、ここに開示される研磨用組成物を含むワーキングスラリーを用意する。次いで、その研磨用組成物をシリコンウェーハに供給し、常法により研磨する。例えば、一般的な研磨装置にシリコンウェーハをセットし、該研磨装置の研磨パッドを通じて該シリコンウェーハの表面(研磨対象面)に研磨用組成物を供給する。典型的には、上記研磨用組成物を連続的に供給しつつ、シリコンウェーハの表面に研磨パッドを押しつけて両者を相対的に移動(例えば回転移動)させる。かかる研磨工程を経てシリコンウェーハの研磨が完了する。
上記研磨工程で使用される研磨パッドは特に限定されない。例えば、発泡ポリウレタンタイプ、不織布タイプ、スウェードタイプ、砥粒を含むもの、砥粒を含まないもの等のいずれを用いてもよい。また、上記研磨装置としては、シリコンウェーハの両面を同時に研磨する両面研磨装置を用いてもよく、シリコンウェーハの片面のみを研磨する片面研磨装置を用いてもよい。
上記研磨用組成物は、いったん研磨に使用したら使い捨てにする態様(いわゆる「かけ流し」)で使用されてもよいし、循環して繰り返し使用されてもよい。研磨用組成物を循環使用する方法の一例として、研磨装置から排出される使用済みの研磨用組成物をタンク内に回収し、回収した研磨用組成物を再度研磨装置に供給する方法が挙げられる。研磨用組成物を循環使用する場合には、かけ流しで使用する場合に比べて、廃液として処理される使用済みの研磨用組成物の量が減ることにより環境負荷を低減できる。また、研磨用組成物の使用量が減ることによりコストを抑えることができる。ここに開示される研磨用組成物を循環使用する場合、その使用中の研磨用組成物に、任意のタイミングで新たな成分、使用により減少した成分または増加させることが望ましい成分を添加してもよい。
<用途>
ここに開示される研磨用組成物は、ハードレーザーマーク周縁の隆起を解消する性能(隆起解消性)に優れる。かかる特長を活かして、上記研磨用組成物は、ハードレーザーマークの付されたシリコンウェーハの研磨に好ましく適用することができる。すなわち、本発明の一実施形態においては、ここに開示される研磨用組成物を使用してハードレーザーマークの付されたシリコンウェーハを研磨する方法が提供される。また、シリコンウェーハとしては、シリコン単結晶基板であることが好ましい。すなわち、ここに開示される研磨用組成物は、ハードレーザーマークの付されたシリコンウェーハを研磨する研磨用組成物として好適である。ハードレーザーマーク周縁の隆起は、ポリシング工程の初期に解消しておくことが望ましい。このため、ここに開示される研磨用組成物は、ハードレーザーマーク付与後の予備研磨工程、すなわちポリシング工程における最初の研磨工程(一次研磨工程)あるいはその次の中間研磨工程(二次研磨工程)において特に好ましく使用され得る。上記最初のポリシング工程は、典型的には、シリコンウェーハの両面を同時に研磨する両面研磨工程として実施される。ここに開示される研磨用組成物は、このような両面研磨工程において好ましく使用され得る。
よって、本発明はまた、砥粒と、界面活性剤と、塩基性化合物と、水と、を含む研磨用組成物を用いて、ハードレーザーマークの付されたシリコンウェーハの平坦性を向上する方法を提供する。なお、前記界面活性剤は、ベンゼン環の構造単位を含む。
ここに開示される研磨用組成物は、また、ハードレーザーマークを有しないシリコンウェーハの研磨にも使用され得る。例えば、ハードレーザーマークの有無に拘らず、ラッピングを終えたシリコンウェーハの予備ポリシングに好ましく適用することができる。
本発明を、以下の実施例および比較例を用いてさらに詳細に説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。なお、特記しない限り、「%」および「部」は、それぞれ、「質量%」および「質量部」を意味する。また、下記実施例において、特記しない限り、操作は室温(25℃)/相対湿度40~50%RHの条件下で行われた。
<研磨用組成物の調製>
(界面活性剤1~4)
以下の実施例および比較例において用いた界面活性剤は、以下の通りである:
界面活性剤1:直鎖状アルキル(炭素原子数12)ベンゼンスルホン酸
界面活性剤2:分岐状アルキル(炭素原子数7~17)ベンゼンスルホン酸
界面活性剤3:ステアリルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムパラトルエンスルホネート
界面活性剤4:ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン誘導体
(実施例1)
コロイダルシリカの含有量が1.4質量%、炭酸カリウム(KCO)の含有量が0.04質量%、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)の含有量が0.07質量%、界面活性剤1の含有量が0.001質量%になるように、上記各成分およびイオン交換水を、室温25℃程度で約30分間攪拌混合することにより、実施例1に係る研磨用組成物を調製した。上記コロイダルシリカは、平均一次粒子径が55nmであり、SEM観察による平均円換算径が93nmであり、円換算径の標準偏差が38.5であり、平均アスペクト比が1.3であり、アスペクト比の標準偏差が0.320であり、円換算径50nm以上かつアスペクト比1.2以上の粒子の体積割合が77%であり、円換算径が1~300nmである粒子の体積含有率が100%であった。また、実施例1に係る研磨用組成物のpHは10.4であった。
(実施例2、比較例1~2)
界面活性剤の種類または含有量を表1に記載のように変えたこと以外は、実施例1に係る研磨用組成物と同様な方法で、実施例2、および比較例1~2を調製した。
(比較例3)
界面活性剤を用いなかったこと以外は、実施例1に係る研磨用組成物と同様な方法で、比較例3に係る研磨用組成物を調製した。
(実施例3)
コロイダルシリカの含有量が0.8質量%、炭酸カリウム(KCO)の含有量が0.03質量%、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)の含有量が0.04質量%、界面活性剤1の含有量が0.001質量%になるように、上記各成分およびイオン交換水を、室温25℃程度で約30分間攪拌混合することにより、実施例3に係る研磨用組成物を調製した。上記コロイダルシリカは、平均一次粒子径が55nmであり、SEM観察による平均円換算径が93nmであり、円換算径の標準偏差が38.5であり、平均アスペクト比が1.3であり、アスペクト比の標準偏差が0.320であり、円換算径50nm以上かつアスペクト比1.2以上の粒子の体積割合が77%であり、円換算径が1~300nmである粒子の体積含有率が100%であった。また、実施例1に係る研磨用組成物のpHは10.4であった。
(比較例4)
界面活性剤を用いなかったこと以外は、実施例3に係る研磨用組成物と同様な方法で、比較例4に係る研磨用組成物を調製した。
<シリコンウェーハの研磨>
各例に係る研磨用組成物を研磨液(ワーキングスラリー)として使用して、シリコンウェーハ(試験片)の表面を下記の条件で研磨した。試験片としては、ラッピングおよびエッチングを終えた直径100mmの市販シリコン単結晶ウェーハ(伝導型:P型、結晶方位:<100>、厚み:525μm、抵抗率:0.1Ω・cm以上100Ω・cm未満)を使用した。本ウェーハには、SEMI M1(T7)規格に基づくハードレーザーマークが研磨面に刻印されている。
(研磨条件)
研磨装置:日本エンギス社製 片面研磨装置、型式「EJ-380IN」
研磨圧力:12kPa
研磨液供給レート:100ml/min(かけ流し使用)
定盤回転数:50rpm
ヘッド回転数:40rpm
研磨取り代:4μm
研磨パッド:ニッタハース社製、商品名「SUBA800」
研磨環境の温度:25℃
研磨時間:20分
<隆起解消性評価>
研磨後のシリコンウェーハについて、触針式表面粗さ形状測定機(SURFCOM 1500DX、株式会社東京精密製)を用いて隆起解消性を評価した。具体的には、シリコンウェーハのハードレーザーマークを含むサイトの表面形状を測定し、ハードレーザーマーク周辺の基準面から隆起の最高点までの高さを計測した。隆起高さが大きいほど、隆起解消性が悪いとの評価結果になる。以上の測定により得られた結果を表1に示した。隆起高さが1.00μm未満の場合を合格とし、1.00μm以上の場合を不合格とした。
<表面粗さRa>
研磨後のシリコンウェーハについて、非接触表面形状測定機(NewView 5032、Zygo社製)を用いて表面粗さRa(算術平均表面粗さ)を計測した。得られた結果を、表1の「表面粗さRa」の欄に示す。Raが0.60nm未満の場合を合格とし、0.60nm以上の場合を不合格とした。
Figure 0007253335000001
表1に示されるように、実施例1~3における本発明の研磨用組成物によれば、いずれも良好な隆起解消性を示し、表面粗さRaを低く抑えることができた。ベンゼン環の構造単位を有する界面活性剤を含む研磨用組成物のうち、直鎖状アルキルベンゼンスルホン酸を用いた実施例によると、より高い隆起解消性が得られた。
一方、ベンゼン環の構造単位を有する界面活性剤を添加してない比較例3、4では、実施例に比べて隆起解消性に劣るものであった。また、比較例1、2では、ベンゼン環の構造単位を有する界面活性剤の代わりに他の界面活性剤を添加したが、実施例に比べて隆起解消性が低く、表面粗さRaも低く抑えることはできなかった。これは、ベンゼン環の構造単位を有する界面活性剤を含まない場合に、シリコンウェーハの研磨レートがハードレーザーマーク周縁の変質部分の研磨レートよりも高く、実施例の研磨用組成物に比べて両者の高さの差が広がったためと考えられる。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。

Claims (10)

  1. 砥粒と、界面活性剤と、塩基性化合物と、水と、を含み、前記界面活性剤は、ベンゼン環の構造単位を含み、前記砥粒は、円換算径が50nm以上でかつアスペクト比が1.2以上である粒子の体積割合が50%以上である、ハードレーザーマークの付されたシリコンウェーハ研磨用組成物。
  2. 前記界面活性剤は、炭素原子数7~17の直鎖状または分枝状のアルキル基を含む、請求項1に記載の研磨用組成物。
  3. 前記界面活性剤の含有量は、前記砥粒100重量部に対して、0.0035重量部以上3.5重量部以下である、請求項1または2に記載の研磨用組成物。
  4. 前記界面活性剤は、アルキルベンゼンスルホン酸またはその塩を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の研磨用組成物。
  5. 前記塩基性化合物として、水酸化第四級アンモニウムまたはその塩を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の研磨用組成物。
  6. 前記砥粒はシリカ粒子である、請求項1~5のいずれか1項に記載の研磨用組成物。
  7. さらに弱酸塩を含む、請求項1~6のいずれか項に記載の研磨用組成物。
  8. 前記弱酸塩は炭酸カリウムである、請求項7に記載の研磨用組成物。
  9. 砥粒と、界面活性剤と、塩基性化合物とを、水中で攪拌混合する工程を含み、前記界面活性剤は、ベンゼン環の構造単位を含み、前記砥粒は、円換算径が50nm以上でかつアスペクト比が1.2以上である粒子の体積割合が50%以上である、ハードレーザーマークの付されたシリコンウェーハ研磨用組成物の製造方法。
  10. 請求項1~8のいずれか1項に記載の研磨用組成物を用いて、ハードレーザーマークの付されたシリコンウェーハを研磨する方法。
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