以下、添付図面を参照して、実施形態に係る情報処理装置、情報処理システムおよび情報処理方法について説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
まず、図1A~図1Eを用いて、実施形態に係る情報処理システムおよび情報処理方法の概要について説明する。図1A~図1Cは、情報処理システムの概要を示す図である。また、図1Dおよび図1Eは、情報処理方法の概要を示す図である。なお、かかる情報処理方法は、図1Aに示す情報処理装置10によって実行される。また、以下では、イベントが煽り運転である場合について説明する。
図1Aに示すように、実施形態に係る情報処理システム1は、情報処理装置10と、車両V-1,V-2,V-3…にそれぞれ搭載された車載装置100-1,100-2,100-3…とを含む。なお、以下では、車両全般を指す場合には「車両V」と、また、車載装置全般を指す場合には「車載装置100」と、それぞれ記載する。
情報処理装置10は、例えばインターネットや携帯電話回線網等のネットワークを介したクラウドサービスを提供するクラウドサーバとして構成され、データ利用者から車両Vに関する所定の車両データの収集要求を受け付けるとともに、受け付けた収集要求に基づき、各車載装置100から車両データを収集する。そして、情報処理装置10は、収集された車両データをデータ利用者へ提供する。また、情報処理装置10は、データ利用者に加えて、事前に設定された収集要求に基づいて、各車載装置100から車両データを収集することも可能である。
車載装置100は、例えばカメラ、加速度センサ、GPS(Global Positioning System)センサ、車速センサ、アクセルセンサ、ブレーキセンサ、操舵角センサといった各種センサ、記憶デバイス、マイクロコンピュータなどを有する装置である。車載装置100は、情報処理装置10が受け付けた収集要求に応じた採取指示を情報処理装置10から取得し、かかる採取指示に基づいて車両データを車両Vから採取(取得)する。
上記したカメラは、例えば車両Vの周囲を撮像して動画データを出力することができる。また、加速度センサは車両Vに作用する加速度を検出し、GPSセンサは、車両Vの位置を検出する。車速センサは、車両Vの車速を検出する。また、アクセルセンサは、アクセルペダルの操作量を検出し、ブレーキセンサは、ブレーキペダルの操作量を検出する。また、操舵角センサは、車両Vのハンドルの操舵角を検出する。なお、車載装置100としては、例えばドライブレコーダを用いることができる。
また、車載装置100は、採取した車両データを情報処理装置10へ適宜アップロードする。このようにドライブレコーダを車載装置100として兼用することによって、車両Vへ搭載する車載部品を効率化することができる。なお、兼用することなく、車載装置100とドライブレコーダとを別体で構成してもよい。
本実施形態に係る情報処理システム1では、事前に設定された収集条件を元に、情報処理装置10が車載装置100から車両データを収集し、車両データを収集した車両Vの挙動や車両Vに発生した事象などを分析することができる。
ここで、上記した収集条件には、収集のトリガとなるイベントと、イベントを検出したときに収集するデータ種別などが関連付けられる。本実施形態では、収集のトリガとなるイベントは、煽り運転である場合を例に挙げて説明する。
また、収集条件が指定される際に、情報処理装置10は、収集することとなる実データR(車両データの一例)に付加され、かかる実データRの検索や概要把握に用いられるインデックスデータとしての特性を有するタグデータTの生成用データを生成する。すなわち、タグデータTとは、実データRがメタデータ化されたメタデータである。
そして、指定された収集条件や、生成されたタグデータTの生成用データは、情報処理装置10に記憶されるとともに、データ収集の対象となる車両Vへ配信されて、車載装置100にも記憶される。
次に、各車載装置100は、各種センサの出力データを監視し、記憶している収集条件を満たすイベント(煽り運転)が発生した場合に、出力データや動画データ等の実データRを記憶デバイスに記憶する。
各車載装置100は、記憶しているタグデータTの生成用データと実データRとに基づき、当該実データRに対応するタグデータTを生成して記憶する。そして、各車載装置100は、タグデータTを情報処理装置10にアップロードし、情報処理装置10はそのタグデータTを記憶する。このとき、実データRは、情報処理装置10へはアップロードされない。つまり、図1Aに示すように、情報処理装置10は、タグデータTのみを保有した状態となる。
その後、図1Bに示すように、情報処理装置10は、収集する実データRに対応するタグデータTを指定したうえで、実データRの送信指示(言い換えると、実データRを指定する指示データ)を該当の車載装置100へ出力する。
その後、図1Cに示すように、送信指示に基づき、指定された実データRが、各車載装置100から情報処理装置10へ送信(アップロード)され、情報処理装置10に記憶される。これにより、情報処理装置10は、実データRに基づいて、さらなる解析が可能となる。
なお、車載装置100のデータ容量の観点からは、情報処理装置10にアップロードされた実データRおよびこれに対応するタグデータTは、情報処理装置10へのアップロード後に車載装置100から削除されることが好ましい。
ところで、近年では、車両に搭載された車載装置で他車両から受けた煽り運転を検知した場合に、ドライブレコーダ等で録画を開始するシステムが提案されている。しかしながら、かかる提案では、煽り運転の証拠を記録するものであり、煽り運転自体を解決するものではない。
また、車載装置側で煽り運転を検知した場合に、警察などの関係機関に通報するシステムも考えられるが、煽り運転の誤検知が発生した場合においても、関係機関へ通報されることになるので好ましくない。特に、煽り運転には、様々なパターンが存在するので、車載装置側で誤検知を抑えるのは困難であり、かといって、実際に煽り運転が発生している場合には、早急な対応(通報)が求められる。
そこで、実施形態に係る情報処理システム1では、車載装置100が煽り運転を検出した場合に、検出通知を情報処理装置10へ通知し、情報処理装置10側で検出通知の正誤を判定することとした。
そして、実施形態に係る情報処理システム1では、情報処理装置10から関係機関へ通報を行うこととした。つまり、実施形態に係る情報処理システム1では、車載装置100が煽り運転を検出した場合に、情報処理装置10側で再度検証する。
具体的には、図1Dに示すように、情報処理システム1では、車載装置100が煽り運転を検出すると(ステップS1)、車載装置100は、煽り運転の検出通知を情報処理装置10へ送信する(ステップS2)。
ここで、車載装置100は、例えば、ドライブレコーダのカメラ画像を解析することで、煽り運転を検出することが可能である。また、ここでの検出通知は、上記のタグデータTに対応する。車載装置100は、検出通知に加え、車両Vの現在地に関する情報や、車両Vの走行速度に関する情報およびカメラ画像をタグデータTとして情報処理装置10へ送信する。また、この際、車載装置100は、タグデータTに対応する実データRの採取を開始する。
情報処理装置10は、上記の検出通知を受け付けると、検出通知を含むタグデータTを蓄積するとともに(ステップS3)、第1判定を行う(ステップS4)。ここで、第1判定は、検出通知の履歴に基づいて、検出通知の正誤を判定する処理である。
例えば、検出通知の通知頻度が高い車載装置100については、通知頻度が低い車載装置100に比べて、煽り運転が誤検知である可能性が高いことが想定される。すなわち、情報処理装置10は、第1判定において、検出通知の履歴に基づいて、車載装置100が煽り運転を検出する際の信頼度を判定する。
そして、情報処理装置10は、検出通知が正しいと判定した場合に、車載装置100に代わって通報する。一方で、情報処理装置10は、ステップS4の第1判定において、判定にデータが不足している場合、不足データの送信指示を車載装置100に対して送信する(ステップS5)。
すなわち、かかる場合に、情報処理装置10は、タグデータTに対応する実データRの送信を指示することになる。車載装置100は、上記の送信指示を受信すると、送信指示によって指定された不足データを情報処理装置10へアップロードする(ステップS6)。
その後、情報処理装置10は、車載装置100から送信された不足データに基づいて、第2判定を実施する(ステップS7)。そして、情報処理装置10は、第2判定によって煽り運転が発生していると判定した場合、車載装置100に代わって通報を行う。
このように、実施形態に係る情報処理装置10は、検出通知の履歴を用いることで、検出通知の正誤を簡易的に判定することができ、不足データを用いることで、検出通知の正誤を精度よく判定することが可能となる。
したがって、実施形態に係る情報処理装置10によれば、情報処理装置10の負荷を抑制しつつ、イベントの検出の精度度を担保することが可能となる。また、実施形態に係る情報処理システム1では、煽り運転をトリガとして上記の処理を行う。これにより、実際に煽り運転が発生していると判定した場合には、早急に警察又は警備会社に通報することができる。したがって、煽り運転の誤検知を抑制しつつ、煽り運転を受けたドライバの安全性を向上させることができる。
次に、図2を用いて、実施形態に係る情報処理システム1の構成例について説明する。図2は、情報処理システム1のブロック図である。なお、図2には、関係機関200を併せて示す。関係機関200は、例えば、情報処理装置10から受けた通報を受け付ける警察署または警備会社である。
関係機関200は、情報処理装置10から通報を受け付けると通報内容等を確認することができ、煽り運転を受けた車両Vのドライバに対する通知情報を送信することができる。ここでの通知情報には、例えば、何分後に警察(パトカー)が駆けつけることができるかといった情報や、最寄りの避難場所(例えば、近くの交番など)の位置情報などといった情報が含まれる。
続いて、情報処理装置10について説明する。図2に示すように、情報処理装置10は、通信部11と、記憶部12と、制御部13とを備える。通信部11は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。通信部11は、ネットワークNと有線または無線で接続され、ネットワークNを介して、車載装置100との間で情報の送受信を行う。
記憶部12は、たとえば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現され、図2の例では、通知履歴DB12aと、収集データDB12bと、評価基準DB12cと、モデルDB12dとを備える。
通知履歴DB12aは、各車載装置100から送信された検出履歴に関するデータベースである。図3は、通知履歴DB12aの一例を示す図である。図3に示すように、通知履歴DB12aは、「識別番号」、「通知回数」、「通知履歴」、「通知頻度」および「正答率」などを互いに関連付けて記憶するデータベースである。
識別番号は、各車載装置100または車両Vを識別するための番号を示す。通知回数は、対応する車載装置100が検出通知を通知した回数を示す。通知履歴は、対応する車載装置100から実際に受け取った検出通知の通知内容を示す。
通知頻度は、対応する車載装置100から通知される検出通知の通知頻度を示す。また、正答率は、例えば、検出通知の正答率、換言すれば、車載装置100による煽り運転の検出精度を示す。
図2の説明に戻り、収集データDB12bについて説明する。収集データDB12bは、各車載装置100から収集したデータを記憶するデータベースである。図4は、収集データDB12bの一例を示す図である。
図4に示すように、収集データDB12bは、検出通知ID、識別番号、画像、位置、CAN(Controller Area Network)データなどを互いに関連付けて記憶するデータベースである。検出通知IDは、上述の検出通知を識別する識別子を示し、識別番号は、検出通知を送信した車載装置100の識別番号を示す。
画像および位置は、検出通知と共に送信された画像および煽り運転を検出した位置を示す。なお、画像は、例えば、煽り運転の検出根拠となる画像であり、1つの画像であってもよく、複数の画像であってもよい。
また、CANデータは、車両VのCANネットワークを介して車載装置100が取得するデータであり、例えば、車速センサ、舵角センサ、ブレーキセンサ、ヨーレートセンサなどのセンサ値が含まれる。
なお、図4では、タグデータTに付随するデータを示したが、不足データに対応するデータ(例えば、映像など)についても同様に収集データDB12bに記憶されることになる。
図2の説明に戻り、評価基準DB12cについて説明する。評価基準DB12cは、後述する第1判定部13bの評価基準が示されたデータを記憶するデータベースである。図5は、評価基準DB12cの一例を示すである。図5に示すように、評価基準DB12cは、「評価項目」に対して「範囲1」、「範囲2」、「範囲3」・・・に対応する評価点を記憶するデータベースである。
図5の例では、評価項目が、通知頻度、製造年、天候、鮮明度などを含む場合を示す。通知頻度は、車載装置100による検出通知の通知頻度を示す。後述するように、評価点は、加点方式であり、上述のように、通頻頻度が高いほど、検出通知の信頼度が低くなるため、評価点が低い値となる。なお、通知頻度に代えて、図3に示した正答率に基づいて、評価点を算出することにしてもよい。
製造年は、車載装置100が搭載される車両Vが製造された年を示す。例えば、製造年が古いほど、ドライブレコーダや各種センサなどの車載装備が古く、製造年が新しいほど、車載装備が新しいことが想定される。
つまり、車両Vの製造年が新しいほど、車載装置100による煽り運転の検出精度の向上が期待できるので、車両Vの製造年が新しいほど、評価点が高くなる。
天候は、車載装置100が煽り運転を検出したときの検出地点における天候を示す。例えば、雨天では、晴天時に比べて、レーダによる検出精度の低下や、画像解析による煽り運転の検出精度の低下が懸念される。
したがって、天候が悪い場合には、煽り運転の誤検知が増えるおそれがある。このた、め、天候が悪いほど、評価点が低くなる。なお、ここでの天候が悪いとは、例えば、雨量や降雪量などを示し、雨量や降雪量が多い程、天候が悪いものとする。
鮮明度は、車載装置100からタグデータTとして受け取った画像データの鮮明度を示す。鮮明度が低いほど、不鮮明である程、煽り運転が誤検知である可能性が高くなるおそれがある。このため、鮮明度が低いほど、評価点が低くなる。
また、図5に示すように、評価基準DB12cには、各評価項目に対して範囲を規定されるとともに、範囲に応じて評価点が記憶される。しかしながら、これに限定されるものではなく、評価基準DB12cには、評価点を算出するための演算式を記憶しておくことにしてもよい。この場合、評価項目毎の演算式とすることにしてもよいし、各評価項目を変数とする1つの演算式としてすることにしてもよい。
図2の説明に戻り、モデルDB12dについて説明する。モデルDB12dは、収集データDBに格納された収集データから煽り運転を検出するためのモデルを記憶するデータベースである。
モデルDB12dには、車載装置100に搭載されたモデルよりも高精度に煽り運転を検出可能なモデルであることが好ましい。例えば、画像データの画像解析に加えて、上記のCANデータを含めて煽り運転を検出するモデルがモデルDB12dに記憶される。
続いて、制御部13について説明する。制御部13は、例えば、コントローラであり、例えば、CPUやMPU等によって、記憶部12に記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部13は、例えば、ASICやFPGA等の集積回路により実現することができる。
また、図2に示すように、制御部13は、受付部13aと、第1判定部13bと、送信指示部13cと、収集部13dと、第2判定部13eと、生成部13fと、通報部13gとを備える。
受付部13aは、車両Vに搭載された車載装置100によって所定のイベントが検出された場合に、イベントの検出通知を車載装置100から受け付ける。本実施形態において、受付部13aは、車載装置100が煽り運転を検出した場合に、煽り運転の検出通知を車載装置100から受け付けることになる。
また、受付部13aは、検出通知に付随するタグデータTを受け付け、検出通知に基づいて通知履歴DB12aを更新するとともに、タグデータTに基づいて収集データDB12bを更新する。
第1判定部13bは、受付部13aによって検出通知が受け付けられた場合に、車載装置100による検出通知の通知履歴に基づいて、検出通知の正誤をを判定する。第1判定部13bは、図5に示した各評価項目ごとに評価点を算出し、算出した評価点に基づいて、検出通知の正誤を判定する。
具体的には、第1判定部13bは、通知頻度、車両の製造年、煽り運転の検出時の天候および鮮明度などの各評価項目について評価点を算出し、算出した評価点の和(以下、総合点)に基づいて、検出通知の正誤を判定する。
なお、第1判定部13bは、天候について、例えば、タグデータTの位置情報と、外部サーバから送信される天候情報とに基づいて判定することが可能である。この際、第1判定部13bは、気温に基づいて、天候の評価点を算出することにしてもよい。具体的には、路面が凍結が危惧される気温である場合、評価点を低く算出する。これは、車載装置100が路面の凍結による他車両のスリップする挙動を、煽り運転として検出したおそれがあるためである。
そして、第1判定部13bは、総合点が閾値よりも高い場合、すなわち、車載装置100による検出通知の信憑性が高い場合、検出通知が正しいと判定する。一方、第1判定部13bは、総合点が閾値よりも低い場合には、検出通知が誤った通知であると判定する。
ここで、第1判定部13bは、総合点が閾値付近である場合など、更なる判定が必要な場合に、送信指示部13cへ通知する。送信指示部13cは、第1判定部13bによる判定結果に基づいて、検出通知の正誤判定に不足する不足データの送信指示を車載装置100へ送信する。
送信指示部13cは、第1判定部13bによって算出された評価点に基づいて、車載装置100から収集する不足データの要否を判定するとともに、評価点に基づいてデータ種別を選択する。図6は、不足データの選択処理の一例を示す図である。
なお、図6では、図5に示した各評価項目をE1~E3・・・で示すとともに、各評価項目の評価点を棒グラフで示す。なお、評価項目E1は、通知頻度に対応し、評価項目E2は、製造年、評価項目E3は、天候にそれぞれ対応するものとする。
送信指示部13cは、評価点が再判定範囲R内である評価項目に基づいて、不足データの種別を選択する。再判定範囲Rは、閾値Thにマージンを持たせた範囲であり、閾値Thを基準とした上限値R1と下限値R2との間のエリアである。
閾値Thは、各評価項目の評価点を評価するための閾値であり、評価点が閾値Thよりも高い評価項目については、信頼度が高く、評価点が閾値Thよりも低い評価項目については、信頼度が欠けることを意味する。
送信指示部13cは、評価点が再判定範囲R内である評価項目に基づいて、不足データの種別を選択する。つまり、送信指示部13cは、どちらとも取れる評価項目について不足データを必要と判定し、評価点が著しく低いまたは高い評価項目については、不足データを不要と判定する。
図6に示す例では、評価項目E1は、再判定範囲Rよりも評価点が低く、評価項目E2は、再判定範囲Rよりも評価点が高い。そして、評価項目E3の評価点が再判定範囲R内である場合を示す。したがって、送信指示部13cは、評価項目E3を不足データの選択対象とし、評価項目E3に基づいて、不足データのデータ種別を選択する。なお、以下、評価点が再判定範囲Rの評価項目について再判定項目と記載する。
送信指示部13cは、再判定項目が通知頻度である場合、例えば、車両Vのドライバに関する情報を不足データとして選択する。ここで、ドライバに関する情報とは、例えば、ドライバが撮像された車内の画像であってもよいし、あるいは、ドライバの免許証などの身分証明書に関する情報であってもよい。また、ドライバに関する情報には、主に車両Vを運転するドライバに関する情報と、現在のドライバに関する情報とを含む。
また、送信指示部13cは、再判定項目が製造年である場合、例えば、車両Vのセンサの型番や、ドライブレコーダの機種(カメラの性能)に関する情報を不足データとして選択する。
また、送信指示部13cは、再判定項目が天候である場合、ワイパの動作状況に関する情報や、車両Vに搭載された雨量センサなどの情報を不足データとして選択する。
また、送信指示部13cは、再判定項目が鮮明度である場合、更なる画像データや、映像データを不足データとして選択する。その他、送信指示部13cは、データ長が不足している場合や、位置情報が未取得である場合に、かかるデータを不足データとして選択する。送信指示部13cは、データの長さを指定する場合、データの収集時刻を指定することも可能である。すなわち、いつからいつまでに記録されたデータを不足データとするかを選択することもできる。
このように、送信指示部13cは、評価点に基づいて判断が難しい評価項目についてのみ、不足データを必要と判定し、かかる評価項目について不足データのデータ種別を選択する。
つまり、車載装置100から収集する不足データを絞ることで、不足データに基づく通信負荷を抑制するとともに、不足データに基づく情報処理装置10側の判定不可を抑制することが可能となる。
この場合、送信指示部13cは、例えば、タグデータTとして送信された車両Vの走行速度に応じて、不足データのデータ長を変更することにしてもよい。例えば、送信指示部13cは、車両Vの走行速度が速いほど、データ長を長くし、車両Vの走行速度が遅いほど、データ長を短くした送信指示を生成する。
また、送信指示部13cは、後述するように、関係機関200へ通報する際に、関係機関200へ提供する補助データに関するデータが不足している場合、不足するデータの送信指示を送信することも可能である。これにより、後述する生成部13fは、補助データを効率よく生成することが可能となる。
図2に戻り、収集部13dについて説明する。収集部13dは、送信指示部13cによって送信された送信指示に対して、各車載装置100から送信される不足データを収集する。収集部13dによって収集された不足データは、収集データDB12bに格納される。
第2判定部13eは、車載装置100から送信された不足データに基づいて、検出通知の正誤を再判定する。例えば、第2判定部13eは、不足データがドライバに関する情報である場合、車両Vの運転頻度が高いドライバか否かを判定する。
すなわち、第2判定部13eは、車両Vの運転頻度が低いドライバにおいては、検出通知の履歴に基づく通知頻度が無効とし、再度、評価点の算出を行う一方、車両Vの運転頻度が高いドライバについては通知頻度に関する評価点をそのまま最終的な評価点として判定する。
また、第2判定部13eは、不足データがセンサの型番や、ドライブレコーダの機種に関する情報である場合、センサの型番や、ドライブレコーダの機種情報に基づいて、評価点の算出を行う。なお、第2判定部13eは、センサの型番や、ドライブレコーダの機種に対応する評価点のテーブルを予め保持しているものとする。
また、第2判定部13eは、不足データがワイパの動作状況や、雨量センサの情報である場合、ワイパの動作状況や、雨量センサの情報に基づいて、評価点を算出する。
また、第2判定部13eは、不足データが映像データである場合には、映像データをモデルDB12dのモデルに入力して得られるスコアに基づいて、評価点を算出する。
そして、第2判定部13eは、算出した評価点の総合点を算出し、総合点と閾値とを比較し、総合点が閾値を超える場合に、検出通知が正しいと判定する(言い換えれば、実際に煽り運転が発生していると判定する)。なお、この際、第2判定部13eは、評価項目ごとに重み付けを行って総合点を算出することにしてもよい。すなわち、例えば、モデルから得られる評価点をその他の評価項目の評価点よりも重み付けを重くすることにしてもよい。
そして、第2判定部13eは、煽り運転が発生していると判定した場合、救助の要否を判定する。例えば、第2判定部13eは、煽り運転が所定時間以上継続している場合に、救助が必要と判定する。
なお、第2判定部13eは、不足データに基づく再判定において、再度、不足データがあった場合には、送信指示部13cに対して、かかる不足データの送信指示を送信するように指示することにしてもよい。
生成部13fは、関係機関200へ提供する補助データを生成する。生成部13fは、収集データDB12bを参照し、煽り運転の状況を視覚的に把握しやすいデータへ加工することで、補助データを生成する。
この際、生成部13fは、煽り運転を行っている車両の画像データや、煽り運転の状況を示す動画、車両Vの走行経路(位置情報の履歴)、走行向き、走行速度に関する情報や、車間距離の推移などを時系列的に示すグラフなどを補助データとして生成する。
通報部13gは、第1判定部13bまたは第2判定部13eによって通報が必要と判定された場合に、関係機関200へ通報する。このとき、通報部13gは、生成部13fによって生成された補助データを併せて関係機関200へ提供する。このように、通報部13gは、補助データを提供することで、関係機関200に対して煽り運転の状況把握を容易にすることができる。
補助データを受け取った関係機関200は、煽り運転を受けている車両Vに対する提案データを情報処理装置10へ送信し、情報処理装置10は、かかる提案データを車載装置100へ送信する。上述のように、提案データには、最寄りの避難場所に関する情報、警察が駆けつけるまで所要時間、注意事項などが含まれる。
また、関係機関200は、補助データに基づいて、不足データを指定することも可能である。この場合、送信指示部13cは、関係機関200が指定したデータを不足データとする送信指示を生成し、車載装置100へ送信する。そして、収集部13dは、かかる不足データを車載装置100から収集し、収集した不足データは関係機関200へ提供される。これにより、関係機関200によって指定された不足データを迅速に提供することができる。なお、この際、収集した不足データに基づいて、次回以降のタグデータTの種別を追加することにしてもよい。
続いて、車載装置100について説明する。図2に示すように、車載装置100は、通信部101と、記憶部102と、制御部103とを備える。また、車載装置100は、各種センサ150に接続される。各種センサ150は、上述のCANデータを収集するセンサや、カメラなどが含まれる。
通信部101は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。通信部11は、ネットワークNと有線または無線で接続され、ネットワークNを介して、情報処理装置10との間で情報の送受信を行う。
記憶部102は、たとえば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現され、図2の例では、モデル情報102aと、車両情報102bと、車両データ情報102cとを記憶する。
モデル情報102aは、煽り運転を検出するためのモデルに関する情報である。車両情報102bは、車両Vに関する情報であり、例えば、上記の識別番号や、車両Vの各種センサ150の機種に関する情報などが含まれる。車両データ情報102cは、各種センサ150から入力されるデータである。車両データ情報102cには、例えば、タグデータTとタグデータTに対応する実データRが含まれる。
制御部103は、例えば、コントローラであり、例えば、CPUやMPU等によって、記憶部102に記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部103は、例えば、ASICやFPGA等の集積回路により実現することができる。
図2に示すように、制御部103は、取得部103aと、検出部103bと、採取部103cと、アップロード部103dと、通知部103eとを備える。取得部103aは、各種センサ150から実データRを取得する。
検出部103bは、実データRに基づいて、所定のイベントを検出する。本実施形態において、検出部103bは、例えば、画像データをモデル情報102aのモデルに入力し、得られるスコアに基づいて煽り運転を検出する。なお、検出部103bは、図示しない操作部から入力される操作信号に基づいて、煽り運転を検出することも可能である。すなわち、ドライバが煽り運転を受けている判断した場合に、検出部103bは、煽り運転を検出することができる。
検出部103bは、煽り運転を検出すると、煽り運転に関するタグデータTを生成し、煽り運転の検出通知とともに、情報処理装置10へ送信する。
採取部103cは、検出部103bによるイベントの検出をトリガとして、実データRの採取を開始し、タグデータTと関連付けて車両データ情報102cとして記憶部102に記憶する。なお、どのような実データRを採取するかは、任意に変更することとすればよい。
アップロード部103dは、情報処理装置10から送信される送信指示に基づいて、車両データ情報102cから対応する実データRを抽出し、抽出した実データRを不足データとして情報処理装置10へアップロードする。なお、上述のように、不足データは、実データRに限定されず、車両Vに搭載されたセンサ類の機種に関する情報や、ドライバに関する情報なども含まれる。
通知部103eは、関係機関200から情報処理装置10を介して送信される提案データをドライバへ通知する。例えば、通知部103eは、車両Vのディスプレイやスピーカを介して提案データをドライバへ通知することが可能である。
次に、図7を用いて、実施形態に係る情報処理システム1が実行する処理手順について説明する。図7は、情報処理システム1が実行する処理手順を示すフローチャートである。なお、以下に示す処理手順は、車載装置100によってイベントの検出毎に実行される。
図7に示すように、まず、車載装置100が、煽り運転を検出すると(ステップS101)、車載装置100から情報処理装置10へ煽り運転の検出通知が送信される(ステップS102)。ここで、上述のように、検出通知は、上記のタグデータTに対応し、検出通知と共に関連するタグデータTも送信されることになる。
情報処理装置10は、車載装置100から受信した検出通知に基づいて、評価点を算出し(ステップS103)、評価点に基づいて第1判定を行う(ステップS104)。続いて、情報処理装置10は、評価点に基づいて不足データの選択を行ったうえで(ステップS105)、不足データの送信指示を車載装置100へ送信する(ステップS106)。車載装置100は、送信指示に基づいて、不足データをアップロードし(ステップS107)、情報処理装置10は、不足データに基づいて、第2判定を行う(ステップS108)。
その後、情報処理装置10は、提供データを生成するとともに、提案データとともに関係機関200へ通報を行う(ステップS109)。そして、情報処理装置10は、関係機関200から提案データを取得すると(ステップS110)、かかる提案データを車載装置100へ提供し(ステップS111)、処理を終了する。
なお、ステップS104の判定において、検出通知が正しいと判定された場合、ステップS109の処理へ移行する。この際、ステップS105においては、関係機関200へ提供する提供データの生成に関する不足データを選択することになる。
上述したように、実施形態に係る情報処理装置10は、受付部13aと、第1判定部13bと、送信指示部13cと、第2判定部13eとを備える。受付部13aは、車両Vに搭載された車載装置100によって所定のイベントが検出された場合に、イベントの検出通知を車載装置100から受け付ける。第1判定部13bは、受付部13aによって検出通知が受け付けられた場合に、車載装置100から受け付けた検出通知のの履歴に基づいて、検出通知の正誤を判定する。
前記送信指示部13cは、第1判定部13bによる判定結果に基づいて、検出通知の正誤判定に不足する不足データの送信指示を車載装置100へ送信する。第2判定部13eは、車載装置100から送信された不足データに基づいて、検出通知の正誤をを再判定する。したがって、実施形態に係る情報処理装置10によれば、サーバの負荷を抑制しつつ、イベントの検出の精度を担保することができる。
ところで、上述した実施形態では、煽り運転の被害車両の車載装置100または車両Vに基づいて、検出通知の正誤を判定する場合について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、情報処理装置10は、煽り運転を行っている加害車両に基づいて、検出通知の正誤を判定することにしもよい。
この場合、例えば、被害車両の車載装置100は、煽り運転の検出通知とともに、加害車両に関する情報(例えば、ナンバープレートを撮像した画像データ)をタグデータTとして、情報処理装置10へアップロードする。
情報処理装置10は、加害車両に関する検出通知の履歴に基づいて、検出通知の正誤を判定する。加害車両に関する検出通知の頻度が多い場合、かかる加害車両が常習的に煽り運転を行っているものと推定することができる。このため、情報処理装置10は、かかる検出通知の評価点を高く算出する。
ところで、上述した実施形態では、所定のイベントが煽り運転である場合について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、どのようなイベントをトリガとするかは任意に変更することができる。イベントの具体例として、渋滞の発生や、車両Vの不良(エンジントラブルなど)が挙げられる。また、情報処理システム1は、データ利用者からイベントの設定を随時受け付けることも可能である。
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。