JP7252592B2 - 包装材 - Google Patents
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Description
例えば、下記特許文献1には、吸臭剤を含有する吸着層の上に、最外層となるバリア層が順に積層されたPTPブリスター用フィルムであって、吸臭剤として疎水性ゼオライトを含有する吸着層は、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン及びポリプロピレンからなる群から選択した少なくとも1種類の樹脂を有する主吸着層と、主吸着層の両面に低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン及びポリプロピレンからなる群から選択した少なくとも1種類の樹脂を有する副吸着層とを有する3層構成からなり、バリア層は、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル及びポリテトラフルオロエチレンからなる群から選択された少なくとも1つの化合物を含有していることを特徴とするPTPブリスター用フィルムが開示され、臭い成分を吸着する機能を備えたものとしてある。このような構成のPTPブリスター用フィルムにおいて、バリア層にポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)フィルムを用いることもよく知られている。
本発明者は鋭意研究した結果、従来とは相違する物質を用いても、臭気吸着能を有する包装材になることを見出して本発明を成し得た。
包装材1は、巻き回したロール状や1枚からなる枚葉状にすることができる。
臭気吸着層2に用いるポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン樹脂(PE)、ポリプロピレン樹脂(PP)などを用いることができる。
スメクタイトとは、層状ケイ酸塩鉱物を主成分とし、膨潤性の粘土鉱物の総称であり、その結晶構造から、水を吸収するとふくらむ性質をもち、またイオン交換性が高いものである。スメクタイトは、モンモリロナイト、サポナイト、スチーブンサイト、ソーコナイト、ヘクトライトなどを含むものである。
有機合成ヘクトライトとして、例えば、珪酸リチウム・ナトリウム・マグネシウム(化学式(Mg2.67Li0.33)(Si4O10)(OH)2)とトリオクチルメチルアンモニウム(化学式[(C8H17)3(CH3)N]0.33)の混合物を用いることができる。この混合物の具体例としては、製品名「スメクトン-STN」(クニミネ工業株式会社)を挙げることができる。
臭気吸着層2は、ポリオレフィン樹脂にスメクタイトを混練し、単層構成として形成することができる。スメクタイトは層中に均一に分散させることが好ましい。
保護層3は、臭気吸着層2の表裏の片面側又は両面側に設けることができる。また保護層3は設けなくてもよいが、設ける場合は、臭気吸着層2に直接設けても他の層を介在させて設けてもよい。
保護層3に用いるポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン樹脂(PE)、ポリプロピレン樹脂(PP)などを用いることができる。
ポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン樹脂(PE)、ポリプロピレン樹脂(PP)などを用いることができる。
ポリエステル樹脂(PES)としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)などを用いることができる。
基材層4の全体厚みは、100μm~350μm、特に150μm~300μmにするのが好ましい。
アルミニウム箔としては、硬質又は軟質のアルミニウム箔を用いることができ、また、一方の面が光沢面(鏡面)、他方の面が艶消面(マット面)になっているタイプ、両面とも光沢面(鏡面)になっているタイプ、両面とも艶消面(マット面)になっているタイプのいずれも用いることができる。
アルミニウム箔ラミネート品は、例えば、アルミニウム箔の片面又は両面にポリスチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂などの合成樹脂シートを積層したものを用いることができる。
バリア層5の全体厚みは、10μm~30μm、特に15μm~25μmにするのが好ましい。
臭いを発する医薬品としては、例えば、オルメサルタンメドキソミル、オルメサルタンメドキソミル、2-アミノ-5-イソブチル-4-{2-[5-(N,N'-ビス((S)-1-エトキシカルボニル)エチル)ホスホンアミド]フラニル}チアゾール、L-システイン、DL-メチオニン、ブシラミン、メチルチオニンスルホニウムクロライド、塩酸エチルシステイン、塩酸バカンピシリン、セフロキシムアキセチル、トシル酸スルタミシリン、ジクロフェナミド、塩酸ラニチジン、ファモチジン、ニザチジン等の含硫黄化合物、ピンドロール、バルプロ酸ナトリウム、塩酸トドララジン、塩酸トルペリゾン、トリメタジオン、サラゾスルファピリジン、フルルビプロフェンなどを含有する製剤の他、漢方薬、生薬などを挙げることができる。
製剤としては、例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、トローチ剤、坐剤、貼付剤などを挙げることができる。
特に、包装材1から形成した包装体で臭いを発する医薬品を包装すれば、服用時に不快感を抑制してアドヒアランスの向上を図ることができる。
また、ブリスターパックの蓋材に印刷を施し、医薬品を収納した底材に封着するためヒートシールする際に、印刷インキに含まれる樹脂からホルムアルデヒドが発生し、収納した医薬品の効能などに悪影響を及ぼすことがある。例えば、ホルムアルデヒドがカプセル剤皮不溶化の原因となることが知られ、ある薬品に対しては分解反応を促進し類縁物質を惹起することが知られている。また、整腸生菌の力価を低下させるなど内用医薬品の安定性に対して重大な影響を及ぼすケースもある。
包装材1は、ホルムアルデヒドなどの臭気も吸着できるため、これらの問題を解決するのに極めて有力である。
以下に示す実施例1の包装材を作製し、臭気吸着試験を行った。
実施例1の包装材を以下のように作製した。
臭気吸着層として、ポリエチレン樹脂100質量部に対し、珪酸リチウム・ナトリウム・マグネシウムとトリオクチルメチルアンモニウムの混合物である有機合成ヘクトライト(クニミネ工業(株)製「スメクトンSTN」)が80質量部になるように配合したものから形成した。
保護層は、ポリエチレン樹脂から形成した。
バリア層は、ポリ塩化ビニリデン樹脂から形成した。
基材層は、ポリ塩化ビニル樹脂から形成した。
まず、保護層/吸着層/保護層の2種3層になるように、多層インフレーションによりフィルムAを作製した。各保護層の厚みは20μmであり、吸着層の厚みは50μmである。
次に、バリア層/基材層の2種2層からなるPTP用底材(厚み175μm、三菱ケミカル社製)をフィルムBとした。このバリア層の厚みは25μmであり、この基材層の厚みは150μmである。
参考例1として、2種2層からなるPTP用底材(厚み175μm、三菱ケミカル社製)を用いた(上記フィルムB)。この底材には錠剤を納めることができるポケット部が、横2列×縦5列の計10箇所設けてある。
参考例2として、上記特許文献2(特許第5241503号公報)の実施例1として示されたシートを作製し、このシートからPTP用底材を作製した。このシートの積層構成は、PVC(200μm)/PE(10μm)/ゼオライトを含有するPE(60μm)/PE(10μm)である。この底材には錠剤を納めることができるポケット部が、横2列×縦5列の計10箇所設けた。
実施例1、参考例1の底材及び参考例2の底材を用いて、以下の試験を行った。
まず、実施例1の底材に、オルメサルタンメドキソミルを含有する錠剤を10個納め、アルミニウムラミネートPET(ペットニウム)から形成された袋に入れて密封した。
次に、参考例1の底材にオルメサルタンメドキソミルを含有する錠剤を10個納め、これをアルミニウムラミネートPET(ペットニウム)から形成された袋に入れて密封した。
最後に、参考例2の底材にオルメサルタンメドキソミルを含有する錠剤を10個納め、これをアルミニウムラミネートPET(ペットニウム)から形成された袋に入れて密封した。
各パネラーに、各日に点数を評価してもらった。その平均点を以下の表2に示す。「Ave.」は、14日、30日、60日の平均を示す。
患者が許容できる臭いの範疇(合格ライン)を、「極僅かな臭い」までの2点(四捨五入で2.4点までを含む)とした。
実施例1は、各試料とも合格ライン以下であり、十分な吸着性能を示した。
参考例1は、各試料とも合格ラインを大きく超え、吸着性能がほとんどなかった。
なお、参考例2は、ゼオライトを含む層を備えたものであり、良好な吸着性能を示した。
実施例1は有意差がなく、このことは実施例1が十分な吸着性能を有することを示す。
参考例1は各試料ともP<0.05であった。
以下の実施例2、比較例1及び参考例3の包装材を作製し、ホルムアルデヒド吸着試験を行った。
ポリエチレン樹脂100質量部に対し、珪酸リチウム・ナトリウム・マグネシウムとトリオクチルメチルアンモニウムの混合物である有機合成ヘクトライト(クニミネ工業(株)製「スメクトンSTN」)が100質量部になるように配合したものを、ダイから押し出し、厚さ200μmのシート状に形成した。これを14cm×14cm角に切り出したものを試験片として用いた。
ポリエチレン樹脂を、ダイから押し出し、厚さ200μmのシート状に形成した。これを14cm×14cm角に切り出したものを試験片として用いた。
ビニルアルコール系ポリマーフィルム製のバッグ(ジーエルサイエンス社製「スマートバッグPA」容量1L)に、ホルムアルデヒドガスを初期濃度40ppmになるように封入したものを4つ準備した。
1つには何も封入せずそのまま放置した(参考例3)。
残りの3つのバッグには、それぞれ実施例2、比較例1及び参考例3の試験片を封入して放置した。
120時間後(5日後)と336時間後(2週間後)に各バッグのホルムアルデヒド濃度を測定した。ホルムアルデヒドの濃度は、ガステック社製「ホルムアルデヒド 91L」を用い、各バッグから100mL採取して測定した。その結果を下記表4に示す。なお、減少率(%)は、参考例3に対するホルムアルデヒドガスの減少率を示す。
ポリエチレン樹脂に有機合成ヘクトライトを含有した実施例2は、何も封入しなかった参考例3と比較して120時間後で81%、336時間後で79%のホルムアルデヒドが減少していた。
これに対し、ポリエチレン樹脂の比較例1は、336時間後で2%のホルムアルデヒドが減少していた。
Claims (10)
- ポリオレフィン樹脂と臭気吸着剤として珪酸リチウム・ナトリウム・マグネシウム及びトリオクチルメチルアンモニウムの混合物からなる有機合成ヘクトライトとを含む臭気吸着層を備えた包装材。
- 前記臭気がホルムアルデヒドである請求項1に記載の包装材。
- 前記臭気吸着層上に印刷層を備えた請求項1又は2に記載の包装材。
- 前記臭気吸着層の両面側にオレフィン樹脂からなる保護層を備えた請求項1~3のいずれかに記載の包装材。
- 前記包装材を包装体とした場合の最外層に、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)層、ポリオレフィン樹脂層、ポリアミド樹脂(PA)層、ポリエステル樹脂(PES)層のいずれかの1層以上からなる基材層を備えた請求項1~4のいずれかに記載の包装材。
- 前記臭気吸着層と前記基材層との間に、アルミニウム箔層、金属蒸着層、シリカ蒸着層、ポリ塩化ビニリデン樹脂(PVDC)層、エチレン・ビニルアルコール共重合樹脂(EVOH)層のいずれかの1層以上からなるバリア層を備えた請求項5に記載の包装材。
- 請求項1~6のいずれかに記載の包装材から形成してなる包装袋。
- 少なくとも1つのブリスターパックを封入してある請求項7に記載の包装袋。
- 吸湿剤を封入してある請求項7又は8に記載の包装袋。
- 請求項1又は2に記載の包装材から形成してなる底材に、印刷層を有する蓋材をヒートシールしてあるブリスターパック。
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