JP7252033B2 - 遠心鋳造機及びその遠心鋳造機におけるブラッキング液の塗布方法 - Google Patents

遠心鋳造機及びその遠心鋳造機におけるブラッキング液の塗布方法 Download PDF

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この発明は、遠心鋳造におけるトラフ(注湯通路)に関し、特に、S50形鋳鉄管等の内径50~100mmの小口径の鋳鉄管を遠心鋳造する鋳造機及びそのトラフへのブラッキング液の塗布方法に関するものである。
遠心鋳造は、鋳造物内部にブローホール、引け巣等の欠陥が生じ難く、材質も微密となり、機械的性質等の良好な品質の鋳造物を円滑に得ることができる。このため、水道管等に広く使用される鋳鉄管の多くは、その遠心鋳造法によって製造されている。
この遠心鋳造装置は、例えば、図6、図7に示すように、円筒状モールド(鋳型)11をローラ12により回転させるとともに、取鍋13及び三角取鍋14を介して鋳込用トラフ(樋)20に溶湯aを送り込み、そのトラフ20を介して溶湯aを前記回転するモールド11内に鋳込んで(注湯して)、遠心力により、溶湯aをモールド11内面に均一に分布させることにより、管厚の均一な円筒状溶湯層(鋳鉄管)Pを製造する。台車15はモールド11を囲むハウジング17を有して、そのハウジング17とその中のモールド11等によって遠心鋳造機Aが構成される(特許文献1段落0002、図3、特許文献2段落0012~0013、図1参照)。図中、18は受口成型用の中子であり、取鍋13及び三角取鍋14とその台14a等でもって注湯機Bが構成される。モールド11とハウジング17の間には冷却機構が適宜に備えられる。
上記トラフ20は、通常、三角取鍋14からの溶湯aを案内するシュート21と、そのシュート21を支持固定して台14aに固定のシュートケース22と、そのシュートケース22に固定されてシュート21からの溶湯aをモールド11内に導くライナー23とからなり、図7(a)→同図(b)→同図(c)に示すように、三角取鍋14からの溶湯aが、シュート21、ライナー23を通ってモールド11内に注がれて鋳込まれ、それに伴って、モールド11(遠心鋳造機A)が前後(図6、図7において左右)に移動して鋳鉄管Pが製造される。
この遠心鋳造装置において、図8に示すように、対のトラフ20a、20b(総称符号:20)を有し、図9のStep1→Step2→Step3→Step4→Step5→Step6に示すように、その対のトラフ20a、20bを遠心鋳造機A(モールド11)に交互に対応させて(同一軸上として)、対応したトラフ20(20a又は20b)からモールド11内に注湯するとともに、モールド11を台車15によりその長さ方向に移動させて鋳込むものがある。このとき、トラフ20(以下、特に記載しない限り「ライナー23」を言う)は、モールド11の一端から挿入されて他端に至る長さを有する長尺の物となる。
このような遠心鋳造装置において、トラフ20は、直接に溶湯と接することによる溶損や熱による変形が生じる。このような溶損や変形が生じたトラフ20は、モールド11内面に干渉し易く、干渉すると、円滑な注湯が行えない。特に、口径の小さい、例えば、S50形等の口径:50~100mmの鋳鉄管Pの場合、そのモールド11は、内径:67.3mm、その最小内径:54mmであり、トラフ20との片側のクリアランス(間隙)は4mmしかなく、トラフ20とモールド11内面とのクリアランスが狭く、また、溶湯aの熱のため、トラフ20が歪む等して、トラフ20がモールド11内面に干渉する恐れがある。この干渉が生じると、トラフ20の損傷、特にライナー23の損傷を招き、遠心鋳造機A(遠心鋳造装置)を停止したり、トラフ20(ライナー23)を交換したりする必要が生じる。
特開2003-311383号公報 特開2011-206844号公報
このため、従来、図9のStep2において、他方のトラフ20bがモールド11に入っている時に、一方のトラフ20aに、また、同Step5において、一方のトラフ20aがモールド11に入っている時に、他方のトラフ20bに、粒度の異なる数種類の黒鉛、ベントナイト、第一リン酸アルミニウム、糖蜜を水で溶かし混練した液などからなるブラッキング液bをそれぞれ塗布(注入)して保護(溶損や反り防止等)や冷却をするようにしている。そのブラッキング液bは、シュート21側からライナー23先端に向かって流し込んでいる。
このとき、トラフ20(ライナー23)は、通常、上記のように長尺物であって、図10(a)に示すような、先端(同図左側)側に少し傾斜した弓形と断面を呈するが、同図(b)に示すように、溶湯aが注入されると、断面上部が広がるとともにシュート21(三角取鍋14)側が上方に反りあがった状態となる。この状態で、ブラッキング液bがトラフ20に塗布(注入)されると、通常、同図(c-1)に示すように、シュート21の大きな傾斜も相俟ってブラッキング液bは円滑にトラフ20の先端に至って冷却されて鋳造(注湯)前の弓形断面(同図(a)参照)となる。
しかし、ブラッキング液bがトラフ20(シュート21側)に塗布(注入)されると、その塗布されたトラフ20(ライナー23)の内面上部20は冷やされるが、下面下部20は冷やされず、シュート21側の上部20が熱収縮して弓形が三角取鍋14側に傾き、同図(c-2)に示すように、先端が上に反った状態となる場合がある。この場合、同図矢印のようにブラッキング液bが先端側に流れない恐れが生じる。
特に、S50形鋳造管の製造用トラフ20は、他のトラフに比べて断面積が狭く(小さく)、ブラッキング液bがシュート21側に塗布(注入)されると、上記上下部20、20dの冷却温度差によって図10(c-2)に示すトラフ20の反りが生じ易い。一方、S50形のモールド(金型)11は、上記のように、内径:67.3mm、その最小内径:54mmであり、トラフ20との片側のクリアランスは4mmしかない。このため、その反りが生じた状態で、トラフ20が鋳造機(モールド11)内に挿入されると、トラフ20がモールド11と接触して傷付き、またトラフ20がモールド11の回転に巻き込まれて、モールド11やトラフ20の損傷が起き、鋳造ができない状態に陥る。
従来では、図9に示すように、Step2とStep5において、対のトラフ20の一方のみ(20a又は20b)にブラッキング液bを一度だけ塗布しているだけであり、そのStep2とStep5は、一のトラフ20a又は20bから溶湯aが排出され、他のトラフ20b又は20aがモールド11に挿入された(挿入される)状態であって、特に、S50形鋳造管の製造用トラフ20は、他のトラフに比べて断面積が狭いことから、ブラッキング液bの塗布量も少ないため、トラフ20の弓形が三角取鍋14側に傾いた状態となりやすく、ブラッキング液bが先端側に流れず、トラフ20が全長に亘って均一に冷却されない恐れが多い。このため、ブラッキング液bの塗布によりトラフ20が全長に亘って円滑に十分に冷却されず、Step5とStep2において、上記図10(c-2)に示す、トラフ20が歪む等したままで、トラフ20a又は20bがモールド11内に挿入されてその内面に干渉する恐れがある。
ところで、一回でのブラッキング液bを増量して塗布することが考えられるが、いくら大量であっても、一回の塗布(注入)では図10(c-2)で示す、トラフ20の反りが大きい場合、トラフ先端までブラッキング液bが至りにくく、至らすためには、より大量のブラッキング液bが必要であり、無駄が多い。また、人手による押さえ治具でもってトラフ20の反りを抑制しようとしても円滑に反りを抑制できず、トラフ全長に亘って均一に塗布できない。
一方、トラフ20の反りを抑制したり、トラフ20の反りを補正したりする技術が提案されている。その反りを抑制する技術は、機械的駆動の押さえローラで行っており、その抑制作用は注湯中である上に、その構造が繁雑である(特許文献1、段落0019、図1等参照)。反りを補正する技術は、注湯中のみならず、ブラッキング液bの注入(塗布)時においてもその反り補正を行っているが、適切な反り補正が行われていない(特許文献2、図1等参照)。
この発明は、以上の実状の下、トラフ20が適切な量のブラッキング液bによって全長に亘って円滑に冷却されるようにすることを第1の課題、トラフ20の反りを簡単な構造で抑制することを第2の課題とする。
上記第1の課題を達成するため、この発明は、対のトラフそれぞれにおいて、モールドから出た時と、他のトラフがモールドに入っている時にそれぞれブラッキング液を塗布するようにしたのである。前記「入っている時」には「入る時」も含む(以下、同様)。
通常、対のトラフを有する遠心鋳造装置は、その対のトラフの一方がモールドに対応するように移動する際、トラフ20内に残った溶湯aを落下(排出)するために反転(上下逆に)する動作が行われる。この動作は、前記移動時、又は上記Step1、4で行われる。そのStep1、4は、一のトラフがモールドから出た時であり、上記のように、ブラッキング液を塗布すれば、図10(c-2)で示す、トラフ20の反りが生じる場合がある。しかし、他のトラフがモールドに入っている時は、Step2、5であって、その状態は、前記ブラッキング液のトラフへの塗布によって図10(c-2)で示す、トラフ20の反りが生じていた場合でも、時間差をもったブラッキング液のトラフ20へのさらなる塗布により、その反りが抑制され、その全長にブラッキング液が至り、トラフの保護と反り抑制を確保する。このため、同量のブラッキング液を一度に塗布する場合に比べれば、その量を二分した少量(適量)のブラッキング液によってトラフ全長の円滑な冷却・保護を行うことができる。
すなわち、対のトラフそれぞれについて、モールドから出た時にブラッキング液の一部と、他のトラフがモールドに入っている時にブラッキング液の残部をそれぞれ塗布すれば、同じ量のブラッキング液によってトラフ全長の円滑な冷却・保護を行うことができる。
また、それらの塗布は、その塗布するトラフが鋳造作用に関与していない時であるから、鋳造作用に支障がでることはない。
具体的には、モールドの一端から他端に至って対のトラフを交互に挿入し、前記モール
ドをその軸心回りに回転させつつ、トラフとモールドをその長さ方向に相対的に移動させ
、そのモールド内にその中に挿入したトラフから溶湯を注入する遠心鋳造機における、前
記トラフへの変形防止用ブラッキング液の塗布方法であって、対のトラフそれぞれについて、モールドから出た時に前記変形防止用ブラッキング液の一部と、他のトラフがモールドに入っている時に変形防止用ブラッキング液の残部をそれぞれ塗布するようにした構成を採用したのである。
この構成において、上記ブラッキング液の塗布時、トラフの周りにそのトラフが通り抜けてその変形を防止する枠を設ければ、図10(c-2)で示した、トラフの弓形が三角取鍋14側に傾いた状態となることを防止できて、トラフ全長に亘ってブラッキング液を流す(塗布する)ことができる。
すなわち、このトラフ変形(反り)防止枠は、第2の課題を達成でき、モールドと、そのモールドの一端から挿入されて他端に至る長さを有するトラフとを有し、前記モールドを、その軸心回りに回転させつつ、前記トラフとモールドをその長さ方向に相対的に移動させ、そのモールド内にその中に挿入したトラフから溶湯を注入する遠心鋳造機において、前記トラフの周りに備えることができる。すなわち、対のトラフを有する遠心鋳造機に限らない。
この発明は、以上のように構成して、一のトラフにブラッキング液をそれぞれ二回流す(塗布する)ようにしたので、トラフの円滑な冷却を行うことができる。また、枠でトラフの変形を防止したので、ブラッキング液がトラフの全長に亘って円滑に塗布される。このため、S50形等の小口径の鋳造管の製造においても、トラフがモールド内面に干渉する恐れは極めて少なく、トラフが損傷して鋳造機を停止したり、トラフを交換したりする必要が生じ難い。
この発明に係る遠心鋳造機の一実施形態の概略斜視図 同実施形態の鋳造工程図 同実施形態のトラフの反り防止用枠の正面図 反り防止用枠によるトラフの反り抑制作用図 反り防止用枠によるトラフの反り抑制作用図 遠心鋳造装置の概略図 同鋳造作用説明図 同トラフと鋳造機の関係図 従来の鋳造工程図 溶湯とトラフの関係説明図であり、各図(a)~(c-1、2)において、上側は概略側面図、下側は断面図
この発明に係る遠心鋳造装置の一実施形態を図1~図5に示し、この実施形態の遠心鋳造機Aは、従来と同様に、図6に示すように、台車15上にローラ12を有し、その台車15がレール16を走行することにより、トラフ20に対しモールド11をその長さ方向に移動させて、そのモールド11内に三角取鍋14からの溶湯aをトラフ20を介して注湯する。
この遠心鋳造装置において、この実施形態はトラフ20へのブラッキング液bの塗布時期と、その際のトラフ20の反りを防止する枠30を設けた点が特徴である。
すなわち、図1に示すように、遠心鋳造機Aのハウジング17の前面に四角状枠30を取付け、図2に示すように、対のトラフ20a、20bそれぞれについて、モールド11から出た時(Step1、4)にブラッキング液bの一部と、一のトラフ20a、20bがモールド11に入っている時(Step2、5)にブラッキング液bの残部をそれぞ塗布するようにしたものである。
そのブラッキング液bの塗布は、三角取鍋14の隣りに設置の容器(図示せず)からトラフ20内にそのシュート21側からライナー23先端に向かって流すこと等によって行う。その容器の駆動は、機械的に自動で行ったり、人手で行ったりする。
枠30は、パイプ、角材、棒材などの剛性を有するものを採用し、トラフ20の反りが有効に防止できるように、実験等によってその形状は適宜に設定する。この実施形態においては、20mmφの鋼製パイプ製の四角状とし、図2のStep1、6に示す、トラフ20(ライナー23)がモールド11から出た時、図3実線又は鎖線に示すように、その上側隅(角)にトラフ20の先端が位置する。
この実施形態の遠心鋳造装置は以上の構成であり、以下に、この遠心鋳造装置によって鋳鉄管Pを製造する方法を説明する。
まず、この対のトラフ20a、20bを有する遠心鋳造装置も、その対のトラフ20a、20bの一方がモールド11に対応するように左右に移動する際、トラフ20内に残った溶湯aを落下(排出)するために反転する動作が行われる。この動作は、左右の移動時、又はStep1、4で行われる。
つぎに、図2において、Step1に示す、対のトラフ20(20a、20b)がモールド11(遠心鋳造機A)から出ている(注湯機B(三角取鍋14)側に移動(後退)して一の鋳造管Pの製造が終了した)状態において、一方のトラフ20aにブラッキング液bを塗布する。その塗布の終了後、又は塗布中において、Step2に示すように、モールド11が前進(三角取鍋14の反対側に移動)してその内に他方のトラフ20bが挿入される。この挿入時、又は挿入後、一方のトラフ20aにブラッキング液bがさらに塗布され、又は塗布されつづけて冷却される。
このとき、Step1は、トラフ20aがモールド11から出た時であり、この状態でブラッキング液bを塗布すれば、図10(b)に示すトラフ20aの状態であれば、ブラッキング液bはトラフ20aの全長に亘って流れてその反りを抑制する。しかし、ブラッキング液bの塗布により、図10(c-2)で示す、トラフ20aの反りが生じる場合がある。この場合、そのブラッキング液bの塗布は1回目であってその量は少なめであり、トラフ20aの反りも少なく、仮に、図10(c-2)で示す、トラフ20aの反りが生じていても、他のトラフ20bがモールドに入っているStep2においては、時間差をもったブラッキング液bのトラフ20aへのさらなる(2回目の)塗布により、トラフ20aの全長にブラッキング液bが至り、トラフ20aの保護と反り抑制を確保する。
他方のトラフ20bのモールド11への挿入が完了すれば、Step2からStep3に示すように、モールド11が回転しつつ後退するとともに、取鍋13及び三角取鍋14を介して他方のトラフ20bに溶湯aが送り込まれ、そのトラフ20bを介して溶湯aをモールド11内に鋳込んで(注湯して)、遠心力により、鋳鉄管Pを製造する。
Step3における鋳造管Pが製造されれば、Step4に示すように、モールド11から製造した鋳鉄管Pが脱型されるとともに、両トラフ20a、20bが右方向に移動されるとともに、他方のトラフ20bから溶湯aが排出されるとともに一方のトラフ20aをモールド11に対応させる(トラフ20aをモールド11の同一軸上とさせる)。この対のトラフ20がモールド11(鋳造機A)から出ている状態(Step4)において、トラフ20aと同様に、他方のトラフ20bにブラッキング液bを塗布する。その塗布の終了後、又は塗布中において、Step5に示すように、モールド11内に一方のトラフ20aが挿入される。この挿入時、又は挿入後、他方のトラフ20bにはブラッキング液bがさらに塗布され、又は塗布されつづけて冷却される。このブラッキング液bの2回の塗布作用によって、このトラフ20bもトラフ20aと同様にして保護と反り抑制を確保される。
一方のトラフ20aのモールド11への挿入が完了すれば、Step5からStep6に示すように、取鍋13及び三角取鍋14を介して一方のトラフ20aに溶湯aが送り込まれるとともに、モールド11が回転しつつ後退して、そのトラフ20aを介して溶湯aをモールド11内に鋳込んで、鋳鉄管Pを製造する。
Step6における鋳造管Pが製造されれば、モールド11から製造した鋳鉄管Pが脱型されるとともに、両トラフ20を左方向に移動させて、Step1に示す、一方のトラフ20aから他方のトラフ20bをモールド11に対応させる。以後、上記と同様の作用によって、鋳鉄管Pを連続鋳造する。
このように、図9に示した従来の製造過程に対し、この図2で示す実施形態は、2つのStep1、2又は4、5において、各トラフ20a、20bにブラッキング液bをそれぞれ塗布して冷却しており、ほぼ2倍の時間、ブラッキング液bを塗布してトラフ20の大きな反りを抑制している。この多くの時間、ブラッキング液bの塗布を行うため、従来と同じ量(各塗布量が半分)のブラッキング液bであっても、トラフ20の大きな反りを抑制してトラフ20の全長に亘って塗布による保護及び冷却を行うことができる。
また、図2に示すように、Step1~Step6において、トラフ20は四角状枠30に囲まれているため、図10(b)、図10(c-2)に示す反りが生じようとしても、四角状枠30に規制されてその反りが抑制される。
すなわち、Step1、Step4のトラフ20がモールドから出た時において、図4(a)に示すように、枠30はトラフ20の先端にあって、図10(b)に示す、トラフ20のシュート21側が上方に反りあがった状態が抑制される。この状態において、ブラッキング液bがトラフ20に塗布されてトラフ20の全長に亘るとともに、図4(a)から同図(b)を経て同図(c)に示すように、先端側からシュート21側に向かって枠30が移行し、図3に示す、枠30の一方の隅(実線状態)や、他方の隅(鎖線状態)等に位置して(枠30に衝突して反り上がり又は反り下がり量が制限されて)、反りが抑制される。
仮に、そのブラッキング液bが塗布されて、上記のトラフ20の内面上部20と下面下部20の冷却温度差により、図10(c-2)に示す、弓形が三角取鍋14側に傾こうとする力が働いても、Step2、Step5において、ブラッキング液bがトラフ20に塗布され、トラフ20は、Step2からStep3、Step5からStep6において、図5(a)から同図(b)を経て同図(c)に示すように、シュート21側から先端側に向かって枠30の上杆30aが移行し、同様に、図3に示す、枠30の一方の隅(実線状態)や、他方の隅(鎖線状態)等に位置して、トラフ20の内面上部20と下面下部20の冷却温度差による熱収縮が抑えられるとともに、ブラッキング液bがトラフ20全長に亘って塗布されて図10(c-2)に示す反りは抑制される。
このようにして、ブラッキング液bがトラフ20全長に亘って塗布されて、図10(b)、同(c-2)に示す反りは抑制され、トラフ20の全長に亘る均一な保護及び冷却がなされて、図10(a)に示すトラフ20の状態となる。
さらに、上記のように、対のトラフ20a、20bは、モールド11に対応するように左右に移動する際、トラフ20内に残った溶湯aを落下するために反転動作が行われる。このとき、トラフ20は左右に揺れたり、下方に垂れ下がったりするが、枠30が四角状のため(上杆30a、横杆30b、30b、下杆30cを有するため)、その横杆30bや下杆30cによって前記左右の揺れや下方への垂れ下がりが抑制される。このため、左右の横杆30b、30bの間隔、上杆30aと下杆30cの間隔は、それらの抑制作用が有効に抑制されるように、実験などによって適宜に設定する。
以上の作用によって、この実施形態の遠心鋳造機A(遠心鋳造装置)は、連続鋳造を円滑に行うことができる。
上記実施形態は、トラフ20を前後方向において固定し、モールド11をその長さ方向(軸心方向の前後方向)に台車15により移動させたが、モールド11を固定し、トラフ20を台車によりモールド11の長さ方向に移動させて、トラフ20とモールド11をその長さ方向に相対的に移動させて鋳込むようにしても良いことは勿論である。このとき、対のトラフ20a、20bをモールド11に対応させるには、トラフ20を横移動させたり、モールド11を横移動させたりすることができる。このモールド11の横移動は、上記実施形態においても採用し得て、その場合は、トラフ20の横移動は不要となる。
また、枠30は四角状としたが、上記トラフ20の左右の揺れや下方への垂れ下がりの危惧がなければ、下杆30cや横杆30bを省略することができる。横杆30bのみを省略する場合は、上下杆30a、30cを上下離してモールド11に取り付ける。
さらに、この発明は、一のトラフにブラッキング液bをそれぞれ二回流す(塗布する)ことによって、トラフの反りを少なくするようにしたので、その反りを少なくする作用で円滑な鋳造作用が得られれば、枠30は省略することもできる。
なお、上記実施形態においては、対のトラフ20a、20bを備える遠心鋳造装置であったが、四角状枠30については、一のみのトラフ20を備える遠心鋳造装置においても、同様の作用効果を得ることができる。すなわち、枠30は、対のトラフを有する遠心鋳造装置に限定されない。
また、図9に示した従来の方法においても、遠心鋳造機A(ハウジング17)に枠30を備えれば、同様の作用効果を得ることができる。
さらに、四角状枠30はモールド11に取り付け(固定し)なくても、独立してモールド11の長さ方向にモールド11又はトラフ20の動きに応じて動かすようにすることができる。このようにすれば、トラフ20の変形に応じその変形を抑制できるように枠30を動かし得る。
上記実施形態は、S50形鋳鉄管等の内径50~100mmの小口径の鋳鉄管を遠心鋳造する鋳造機及びそのトラフ20へのブラッキング液塗布方法に関するものであったが、100mm以上の大径の鋳鉄管を遠心鋳造する鋳造機(鋳造装置)においてもこの発明を採用し得ることは言うまでもない。
このように、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
11 モールド(鋳型)
12 ローラ
13 取鍋
14 三角取鍋
17 ハウジング
18 中子
20、20a、20b トラフ
21 トラフのシュート
22 同シュートケース
23 同ライナー
30 枠
a 溶湯
b ブラッキング液
A 遠心鋳造機
P 管状体(鋳鉄管)

Claims (4)

  1. モールド(11)の一端から他端に至って対のトラフ(20a、20b)を交互に挿入し、前記モールド(11)をその軸心回りに回転させつつ、前記トラフ(20a、20b)とモールド(11)をその長さ方向に相対的に移動させ、そのモールド(11)内にその中に挿入したトラフ(20a、20b)から溶湯(a)を注入する遠心鋳造機(A)における、前記トラフ(20a、20b)への変形防止用ブラッキング液(b)の塗布方法であって、
    上記対のトラフ(20a、20b)それぞれについて、上記モールド(11)から出た時に上記変形防止用ブラッキング液(b)の一部と、他のトラフ(20a、20b)がモールド(11)に入っている時に上記変形防止用ブラッキング液(b)の残部をそれぞれ塗布するようにしたブラッキング液の塗布方法。
  2. 上記ブラッキング液(b)の塗布時、上記トラフ(20)の周りにそのトラフ(20)が通り抜ける枠(30)を設け、この枠(30)は、トラフ(20)がモールド(11)から出た時、そのトラフ(20)の先端に位置してその変形を防止する請求項1に記載のブラッキング液の塗布方法。
  3. モールド(11)と、そのモールド(11)の一端から挿入されて他端に至る長さを有するトラフ(20)とを有し、前記モールド(11)を、その軸心回りに回転させつつ、前記トラフ(20)とモールド(11)をその長さ方向に相対的に移動させ、そのモールド(11)内にその中に挿入したトラフ(20)から溶湯(a)を注入する遠心鋳造機(A)において、
    上記トラフ(20)の周りにそのトラフ(20)が通り抜ける枠(30)を備え、この枠(30)は、トラフ(20)がモールド(11)から出た時、そのトラフ(20)の先端に枠(30)が位置してその変形を防止する遠心鋳造機。
  4. 上記トラフ(20)を対に有し、その対のトラフ(20a、20b)をモールド(11)に交互に挿入する遠心鋳造機(A)であって、その対のトラフ(20a、20b)の周りにそのトラフ(20)が通り抜ける四角状枠(30)を設け、この枠(30)は、その隅部がトラフ(20)がモールド(11)から出た時にトラフ(20)の先端に位置してその変形を防止する請求項3に記載の遠心鋳造機。
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