JP7251867B1 - 容器、及び細胞輸送装置 - Google Patents

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Abstract

底壁及び側壁を備える細胞観察用の容器であって、前記底壁に観察面が形成され、前記観察面に基準線及び前記基準線の近傍において特定領域を示す指示部が表示される、容器。

Description

本発明は、容器、及び細胞輸送装置に関する。本願は、2021年7月27日に、日本に出願された特願2021-122553号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
細胞培養には、様々な培養容器が使用されている。培養容器の一例として、特許文献1や特許文献2には一般に「Tフラスコ」の名称で知られる形状の容器が記載されている。
培養容器内の細胞の数や状態の経時変化を顕微鏡下で観察することにより、細胞培養の様子を確認することができる。経時変化を観察するためには同一領域を異なるタイミングで観察する必要があるが、一回観察した後に一旦顕微鏡の視野を移動させた場合や顕微鏡の観察ステージから培養容器を取り外した場合には、次の観察で前回観察した領域を再び特定することは容易ではない。
同一視野の顕微鏡観察を行う方法として、培養容器の観察領域の周囲にマジックインキ等で印を付ける方法、穴の小さい多穴プレートを用いて培養を行う方法、底面に碁盤の目のような格子模様を有する培養容器を使用する方法等がある。
特許第2683732号公報 特許第6572240号公報
しかしながら、これらの方法には、マジックインキが細胞に接触すると細胞への悪影響が懸念される点、容器底壁の裏面にマジックインキで印を付けた場合には観察面と裏面の印とが焦点深度内に収まらない点、多穴プレートにおいて観察対象の穴を特定するのは容易でない点、周期的な格子模様において観察領域を特定するのは容易でない点といった課題が存在する。
また、高価な顕微鏡には、ステージ駆動機構や画像認識技術等を利用して前回の観察領域と同じ領域を特定できるものも存在するが、そのような技術が採用されていない簡便な構成の顕微鏡を使用する場合、同一視野内の細胞観察を行うことは容易ではない。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、簡便な構成で容易に同一視野内の細胞観察を行うことができる容器、培養細胞の製造方法、及び細胞輸送装置を提供する。
本発明は以下の態様を含む。
[1]底壁及び側壁を備える細胞観察用の容器であって、前記底壁に観察面が形成され、前記観察面に基準線及び前記基準線の近傍において特定領域を示す指示部が表示される、容器。
[2]前記特定領域は、同一視野内の細胞の経時変化を観察するための観察対象領域である、[1]に記載の容器。
[3]前記基準線及び前記指示部は、前記観察面に直交する方向において前記観察面を基準として細胞観察用の顕微鏡の対物レンズの焦点深度内に位置する、[1]又は[2]に記載の容器。
[4]前記指示部は、前記特定領域を取り囲む枠線である、[1]~[3]のいずれか1つに記載の容器。
[5]前記基準線は、一方向に沿って前記観察面の一側から他側へ延在する線である、[1]~[4]のいずれか1つに記載の容器。
[6]前記指示部は、前記基準線の一端部に配置された第1領域を示す第1指示部、前記基準線の中央部に配置された第2領域を示す第2指示部、及び前記第1領域と前記第2領域との間に配置された第3領域を示す第3指示部を含む、[5]に記載の容器。
[7]前記基準線及び前記指示部のうち少なくとも一方は、前記底壁に形成された凹部である、[1]~[6]のいずれか1つに記載の容器。
[8]前記基準線及び前記指示部のうち少なくとも一方は、前記底壁上又は前記底壁下に配置された膜部材に形成されている、[1]~[6]のいずれか1つに記載の容器。
[9]前記膜部材は、一方の面に前記基準線及び前記指示部のうち少なくとも一方を有し、前記一方の面が前記底壁に向くように前記底壁上又は前記底壁下に配置される、[8]に記載の容器。
[10]前記特定領域の面積は、5mm以下である、[1]~[9]のいずれか1つに記載の容器。
[11][1]~[10]のいずれか1つに記載の容器に細胞及び培養液を入れる工程と、前記容器内で前記細胞を培養する工程と、を含む、培養細胞の製造方法。
[12]第1の培養皿と第2の培養皿とを有する細胞輸送装置であって、前記第1の培養皿は、底壁を備え、前記第2の培養皿は、底面に多孔質膜を備え、前記第2の培養皿は、前記第1の培養皿と前記多孔質膜とに囲まれた隙間を有した状態で、前記第1の培養皿の上部に装着され、前記第1の培養皿の前記底壁に観察面が形成され、前記観察面に基準線及び前記基準線の近傍において特定領域を示す指示部が表示される、細胞輸送装置。
[13]前記多孔質膜は、滅菌フィルタである、[12]に記載の細胞輸送装置。
[14]前記第1の培養皿の前記底壁は、前記基準線及び前記指示部が形成された膜部材である、[12]又は[13]に記載の細胞輸送装置。
[15]天面、底面、及び側面を備えた、細胞観察用の円柱状容器であって、
多孔質膜を少なくとも天面に備え、底面に観察面が形成され、前記観察面に基準線及び前記基準線の近傍において特定領域を示す指示部が表示される、容器。
[16]前記多孔質膜は、滅菌フィルタである、[15]に記載の細胞輸送装置。
[17]前記底面は、前記基準線及び前記指示部が形成された膜部材である、[15]又は[16]に記載の細胞輸送装置。
本発明によれば、簡便な構成で容易に同一視野内の細胞観察を行うことができる容器、培養細胞の製造方法、及び細胞輸送装置を提供することができる。
本実施形態の容器の斜視図である。 本実施形態の容器の上面図である。 図2の線A-Aに沿った本実施形態の容器の断面図である。 図2の線A-Aに沿った別の実施形態の容器の断面図である。 別の実施形態の容器の上面図である。 (a)本実施形態の細胞輸送装置の斜視図である。(b)本実施形態の細胞輸送装置の側面図である。(c)本実施形態の細胞輸送装置の側面図である。(d)第1の培養皿の側面図である。(e)第1の培養皿の上面図である。(f)図6(e)の線B-Bに沿った第1の培養皿の断面図である。(g)第2の培養皿の側面図である。(h)第2の培養皿の上面図である。 (a)~(d)本実施形態の細胞輸送装置による細胞輸送方法を示す断面図である。 本実施形態の容器の一例の構造を説明する斜視図である。 実施例1において「端」の近傍を撮影した顕微鏡写真である。 実施例1において「間」の近傍を撮影した顕微鏡写真である。 実施例1において「中心」の近傍を撮影した顕微鏡写真である。 実施例2においての「端」の近傍を撮影した顕微鏡写真である。 実施例2において「間」の近傍を撮影した顕微鏡写真である。 実施例2において「中心」の近傍を撮影した顕微鏡写真である。 実施例3において「端」の近傍を撮影した顕微鏡写真である。 実施例3において「間」の近傍を撮影した顕微鏡写真である。 実施例3において「中心」の近傍を撮影した顕微鏡写真である。 実施例4において播種前の各培養皿、培養液のみを入れた各培養皿の「端」、「間」、「中心」の近傍を撮影した顕微鏡写真である。 実施例4において播種前の各培養皿、培養液のみを入れた各培養皿の「端」、「間」、「中心」の近傍を撮影した顕微鏡写真である。 実施例4において0日目(培養2時間目)、1日目、2日目、4日目、7日目、及び10日目の1枚目の培養皿Aの「端」、「間」、「中心」の近傍を撮影した顕微鏡写真である。 実施例4において0日目(培養2時間目)、1日目、2日目、4日目、7日目、及び10日目の1枚目の培養皿Aの「端」、「間」、「中心」の近傍を撮影した顕微鏡写真である。 実施例4において0日目(培養2時間目)、1日目、2日目、4日目、7日目、及び10日目の1枚目の培養皿Bの「端」、「間」、「中心」の近傍を撮影した顕微鏡写真である。 実施例4において0日目(培養2時間目)、1日目、2日目、4日目、7日目、及び10日目の1枚目の培養皿Bの「端」、「間」、「中心」の近傍を撮影した顕微鏡写真である。 実施例4において0日目(培養2時間目)、1日目、2日目、4日目、7日目、及び10日目の1枚目の培養皿Cの「端」、「間」、「中心」の近傍を撮影した顕微鏡写真である。 実施例4において0日目(培養2時間目)、1日目、2日目、4日目、7日目、及び10日目の1枚目の培養皿Cの「端」、「間」、「中心」の近傍を撮影した顕微鏡写真である。 実施例4において0日目(培養2時間目)、1日目、2日目、4日目、7日目、及び10日目の1枚目の培養皿Aの「端」、「間」、「中心」の細胞の計測方法を示すとともに計測値を記入した図である。 実施例4において0日目(培養2時間目)、1日目、2日目、4日目、7日目、及び10日目の1枚目の培養皿Aの「端」、「間」、「中心」の細胞の計測方法を示すとともに計測値を記入した図である。 実施例4において0日目(培養2時間目)、1日目、2日目、4日目、7日目、及び10日目の1枚目の培養皿Bの「端」、「間」、「中心」の細胞の計測方法を示すとともに計測値を記入した図である。 実施例4において0日目(培養2時間目)、1日目、2日目、4日目、7日目、及び10日目の1枚目の培養皿Bの「端」、「間」、「中心」の細胞の計測方法を示すとともに計測値を記入した図である。 実施例4において0日目(培養2時間目)、1日目、2日目、4日目、7日目、及び10日目の1枚目の培養皿Cの「端」、「間」、「中心」の細胞の計測方法を示すとともに計測値を記入した図である。 実施例4において0日目(培養2時間目)、1日目、2日目、4日目、7日目、及び10日目の1枚目の培養皿Cの「端」、「間」、「中心」の細胞の計測方法を示すとともに計測値を記入した図である。 実施例4において培養皿A~Cの「端」、「間」、「中心」における直径1mmの円形線跡中の細胞数の計測結果と「端」、「間」、「中心」の平均細胞数である。 実施例4において培養皿A~Cの「端」、「間」、「中心」における1cm当たりの細胞数と「端」、「間」、「中心」の1cm当たりの平均細胞数である。 実施例4において培養皿A~Cの「端」、「間」、「中心」における1cm当たりの細胞数と「端」、「間」、「中心」の1cm当たりの平均細胞数のグラフである。 実施例4において培養皿A~Cの「端」、「間」、「中心」の細胞数を平均した1cm当たりの細胞数と培養皿A~Cの1cm当たりの平均細胞数である。 実施例4において培養皿A~Cの「端」、「間」、「中心」の細胞数を平均した1cm当たりの細胞数と培養皿A~Cの1cm当たりの平均細胞数のグラフである。
以下、場合により図面を参照しつつ、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一又は対応する符号を付し、重複する説明は省略する。なお、各図における寸法比は、説明のため誇張している部分があり、必ずしも実際の寸法比とは一致しない。
[容器]
1実施形態において、本発明は、底壁及び側壁を備える細胞観察用の容器であって、前記底壁に観察面が形成され、前記観察面に基準線及び前記基準線の近傍において特定領域を示す指示部が表示される、容器を提供する。
図1は、本実施形態の容器1の斜視図である。図2は、本実施形態の容器1の上面図である。図3は、図2の線A-Aに沿った本実施形態の容器1の断面図である。
図1に示すように、容器1は、本体10及びキャップ20を備える。本体10は、培養細胞Cや培養液Mを収容する収容部12と、収容部12に細胞Cや培養液M(図3参照。)を供給するための供給口を有するネック部14と、を有する。キャップ20は、ネック部14の供給口に取り付けられることにより本体10を密封する。
図1及び図2に示すように、本体10の収容部12は横幅が略一定であり、ネック部14の横幅はキャップ20が設けられた先端に近づくほど小さくなる。ネック部14は、先端に向かって上方に傾いている。
本体10は、底壁30、側壁32、及び頂壁34を有する。底壁30及び頂壁34は、上面視で略同じ形状を有し、図2に示すように、収容部12に対応する長方形とネック部14に対応する台形とが結合した形状を有する。側壁32は、底壁30と頂壁34とを高さ方向に接続する。図1に示すように、側壁32は、底壁30及び頂壁34の形状に沿って、6つの面を有する。
本体10は、少なくとも部分的に、可視光に対して透明又は半透明な材料からなる。好ましくは、頂壁34は、本体10の内部が上方から視認できるように、可視光に対して透明な材料からなる。好ましくは、本体10の全体が、可視光に対して透明な材料からなる。
本体10の材質としては、ソーダ石灰ガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、バイコール(登録商標)ガラス、石英ガラス等のガラス材料;ウレタンゴム、ニトリルゴム、シリコーンゴム、シリコーン樹脂(例えば、ポリジメチルシロキサン)、フッ素ゴム、アクリルゴム、イソプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、クロロプレンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ポリイソブチレンゴム等のエラストマー材料;ポリ(塩化ビニル)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(酢酸ビニル-共-無水マレイン酸)、ポリ(ジメチルシロキサン)モノメタクリレート、環状オレフィンポリマー、フルオロカーボンポリマー、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンイミン、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリマーを含むプラスチック;ポリ(酢酸ビニル-共-無水マレイン酸)、ポリ(スチレン-共-無水マレイン酸)、ポリ(エチレン-共-アクリル酸)、又はこれらの誘導体等のコポリマー等が挙げられ、プラスチックが好ましく、特に透明なプラスチックが好ましい。また、かかるプラスチックはシリコンコートが施されていてもよい。
容器1の製造方法としては、圧縮成形法、射出成形法、押出成形法等が挙げられるが、これらに限定されない。
ネック部14を通して収容部12に供給された細胞Cは、図3に示すように、収容部12において培養液M中で培養される。収容部12内の細胞Cは、頂壁34を通して上方から観察することができる。底壁30の上面には、観察面Sが形成される。すなわち、顕微鏡の焦点を観察面S(ここでは底壁30の上面)又はその近傍に合わせて、観察面S上の細胞Cを観察することができる。
図1~図3に示すように、底壁30には、観察面S上の細胞Cの観察を補助する基準線40及び指示部42が形成される。
例えば、基準線40は、一方向に沿って観察面Sの一側から他側へ延在する線である。ここで、本明細書における「線」には、実線だけでなく点線や破線等の全体として線状の構成と認識可能な抽象的な「線」も含まれる。「線」の太さも特に限定されない。
本実施形態では、基準線40は、本体10の長手方向に沿って底壁30の上面の一端(ネック部14の先端)から他端(収容部12の末端)まで延在する直線である。例えば、基準線40は、底壁30の上面の面積(すなわち、容器1の底面積)を二等分する線である。例えば、底壁30の上面は、基準線40を基準として線対称な形状を有する。なお、基準線40は上記例に限定されず、2以上の線分に分断された線であってもよく、任意の形状の曲線であってもよく、互いに平行又は非平行である2本以上の線を含んでもよく、メッシュ状に配置された複数の直線を含んでもよく、その他の任意の形態であってよい。基準線40の数は特に限定されず、例えば、1本、2本、3本、又は4本以上である。
指示部42は、観察面S上で基準線40の近傍に位置する特定領域を示す。ここで「AがBの近傍に位置する」とは、一般的な光学顕微鏡を用いた細胞観察において、通常の倍率の顕微鏡視野内にA及びBの両方が少なくとも部分的に含まれ得ることを意味し、AとBとが互いに接する場合や交わる場合等、共通部分を有する場合を含む。したがって、「基準線の近傍に位置する特定領域」と言う場合、基準線から離間した特定領域だけでなく、基準線上に位置する特定領域も含まれる。
例えば、指示部42は、特定領域を取り囲む枠線である。図1及び図2の例では、指示部42は、第1指示部42a、第2指示部42b、第3指示部42c、第4指示部42d、及び第5指示部42eを含む。第1指示部42a、第2指示部42b、及び第3指示部42cは、正方形の枠線であり、第4指示部42d及び第5指示部42eは、円形の枠線である。第1指示部42aは、基準線40の一端部に配置された第1領域を示し、第2指示部42bは、基準線40の中央部に配置された第2領域を示し、第3指示部42cは、第1領域と第2領域との間に配置された第3領域を示す。このように、少なくとも観察面Sの端部、中心部、及びその中間部の3点に観察対象の特定領域を設定することにより、観察面S上の細胞の分布を概観的に把握することができる。
指示部42の形状は特に限定されない。例えば、指示部42は、特定領域を取り囲む円形、楕円形、多角形その他の任意の閉曲線形状を有することができる。また、特定領域を示すことができれば、指示部42は必ずしも閉曲線形状でなくてもよい。例えば、指示部42は、特定領域が正方形である場合には4つの頂点を示す点であってもよく、点線や破線等であってもよく、特定領域の形状の窪みであってもよく、その他の任意の形態であってよい。
指示部42によって特定される観察面S上の特定領域は、同一視野内の細胞Cの経時変化を観察するための観察対象領域である。指示部42が設けられていない場合には、収容部12内の細胞Cを複数回観察する場合において、前回の観察時の視野を容易に特定できないため、同一視野内の細胞Cの経時変化を観察することが困難である。これに対し、本実施形態に係る容器1を使用した場合、毎回、所定の指示部42によって特定される同じ特定領域を観察することによって、同一視野内の細胞Cの経時変化を観察することができる。また、指示部42が基準線40の近傍に配置されているので、まず基準線40を見つけ、基準線40に沿って視野を移動させることにより、所望の指示部42を容易に発見することができる。
指示部42は、各特定領域を識別するための識別部を有してもよい。識別部は、数字、文字、記号等の任意の識別符号を含む。識別部は、特定領域の位置を示す部分(枠線等)に隣接してもよく、特定領域の位置を示す部分と一体であってもよい。例えば、指示部42の各々が実線、点線、破線等の異なる種類の枠線である場合には、特定領域の位置を示す部分が識別部としても機能する。
図3に示すように、基準線40及び指示部42は、底壁30に形成された凹部である。例えば、基準線40及び指示部42は、底壁30の上面又は下面に溝部として形成される。基準線40及び指示部42に相当する凹部は、物理的手法や化学的手法等の任意の方法で形成され得る。例えば、基準線40及び指示部42は、底壁30の上面又は下面に対してナイフ、パンチ、針等の任意の手段で力を加えることにより、ケガキ線のような刻印として形成され得る。例えば、指示部42は、指示部42に対応する先端形状を有するパンチ状のブレードによって形成され得る。このような基準線40及び指示部42は、一般的な市販の培養容器に極めて容易に形成することができるので、簡便である。あるいは、基準線40及び指示部42は、感光性材料から形成された底壁30に対して光を照射して照射部分を変形又は変性させることにより形成されてもよい。また、底壁30を含む本体10の成形時に、底壁30が基準線40及び指示部42に相当する凹部を有するように成形されてもよい。なお、逆に基準線40及び指示部42が底壁30の上面に凸部として形成されてもよい。例えば、本体10の成形時に、底壁30が基準線40及び指示部42に相当する凸部を有するように成形されてもよい。
なお、底壁30に形成される基準線40及び指示部42は、上記例に限定されず、任意の方法により底壁30の一部に形成された視認可能な任意の特徴部であってよい。例えば、基準線40及び指示部42は、底壁30に対する光照射等によって底壁30の一部を変色させることにより、変色部として形成されてもよい。基準線40及び指示部42は、底壁30の上面又は下面に印刷されてもよく、ペンや鉛筆等で描画されてもよいが、細胞毒性を有する成分が収容部12内の細胞Cに接触しないことが望ましい。例えば、基準線40及び指示部42が、底壁30の上面に描画され、その上に保護膜が形成されてもよい。また、細長い棒状部材やメッシュ部材等の別の部材を底壁30の上面に配置し、この別の部材の一部又は全部(例えば棒状部材の全体やメッシュ部材の一部)を基準線40や指示部42として利用してもよい。また、底壁を有しない筒状の容器を用意して、容器の底に基準線40及び指示部42が形成された板部材や膜部材を底壁として取り付けてもよい。なお、本明細書において「底壁」は厚さを問わず、肉厚の壁であってもよく、薄膜であってもよい。
図4は、図2の線A-Aに沿った別の実施形態の容器1の断面図である。本実施形態では、基準線40及び指示部42は、底壁30上に配置された膜部材50に形成されている。膜部材50は、一方の面50aに基準線40及び指示部42のうち少なくとも一方を有し、一方の面50aが底壁30に向くように底壁30上に配置される。例えば、基準線40及び指示部42は、膜部材50の下面50aに印刷されてもよく、ペンや鉛筆等で描画されてもよい。基準線40及び指示部42が印刷又は描画された下面50aが底壁30を向くように配置すると、印刷又は描画された成分が収容部12内の細胞Cに接触しない点で好ましい。
なお、膜部材50に形成される基準線40及び指示部42は上記例に限定されない。例えば、基準線40及び指示部42は、膜部材50に形成された凹部、凸部、折り目、切れ目、ミシン目、穿孔、開口、変色部等、視認可能な任意の特徴部であってよい。
膜部材50の材質は、本体10と同じ材質であっても異なる材質であってもよい。例えば、ポリスチレン、ポリホスファゼン、ポリ(ビニルアルコール)、ポリアミド(例えば、ナイロン等)、ポリエステルアミド、ポリ(アミノ酸)、ポリ無水物、ポリスルホン、ポリカーボネート、ポリアクリレート(アクリル樹脂)、ポリアルキレン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリアクリルアミド、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリエチレングリコール等)、ポリアルキレンオキシド(例えば、ポリエチレンオキシド等)、ポリアルキレンテレフタレート(例えば、ポリエチレンテレフタレート等)、ポリオルトエステル、ポリビニルエーテル、ポリビニルエステル、ポリビニルハライド(例えば、ポリ(塩化ビニル)等)、フルオロカーボンポリマー(例えば、ポリテトラフルオロエチレン等)、環状オレフィンポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリエステル、ポリシロキサン、ポリウレタン、ポリヒドロキシ酸(例えば、ポリラクチド、ポリグリコリド等)、ポリ(ヒドロキシ酪酸)、ポリ(ヒドロキシ吉草酸)、ポリ[ラクチド-co-(ε-カプロラクトン)]、ポリ[グリコリド-co-(ε-カプロラクトン)]等)、ポリ(ヒドロキシアルカノエート)、及びこれらのコポリマー等が挙げられ、これらに限定されない。
ポリアクリレート(アクリル樹脂)としてより具体的には、例えば、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(メタクリル酸エチル)、ポリ(メタクリル酸ブチル)、ポリ(メタクリル酸イソブチル)、ポリ(メタクリル酸ヘキシル)、ポリ(メタクリル酸イソデシル)、ポリ(メタクリル酸ラウリル)、ポリ(メタクリル酸フェニル)、ポリ(アクリル酸メチル)、ポリ(アクリル酸イソプロピル)、ポリ(アクリル酸イソブチル)、ポリ(アクリル酸オクタデシル)等が挙げられる。
中でも、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル等の透明なプラスチック材料が好ましい。例えば、膜部材50は、市販のラップ等のフィルムであってよい。
本実施形態における膜部材50は、上記に例示された材料のうち1種類から構成されていてもよく、2種類以上から構成されていてもよい。また、膜部材50の材料は、上記例に限定されず、上記以外の合成高分子化合物の他、天然高分子化合物で構成されていてもよく、天然高分子化合物及び合成高分子化合物の両方から構成されていてもよい。
膜部材50は、任意の方法により底壁30上に配置され得る。例えば、膜部材50は、ファンデルワールス力、静電気力、減圧吸着作用等によって底壁30の上面に張り付いてもよく、任意の接着剤により底壁30の上面又は側壁32の内面に貼り付けられてもよい。
基準線40及び指示部42は、観察面Sに直交する方向において観察面Sを基準として細胞観察用の顕微鏡の対物レンズの焦点深度内に位置する。例えば、図3に示すように、基準線40及び指示部42が底壁30の上面に凹部として形成される場合には、観察面S(すなわち底壁30の上面)からの凹部の深さは、好ましくは対物レンズの焦点深度以内である。基準線40及び指示部42が底壁30の上面に凸部として形成される場合には、観察面S(すなわち底壁30の上面)からの凸部の高さは、好ましくは対物レンズの焦点深度以内である。図4に示すように、基準線40及び指示部42が底壁30上に配置された膜部材50に形成される場合には、観察面Sから膜部材50の下面50aに印刷又は描画された基準線40及び指示部42までの距離は、好ましくは対物レンズの焦点深度以内である。
底壁30の下面に基準線40及び指示部42が形成される場合には、観察面Sと基準線40及び指示部42とがともに対物レンズの焦点深度内に含まれるように、底壁30の厚さは十分に薄いことが好ましい。
対物レンズの焦点深度Dは、一般に以下のBerekの式で求められる。ここで、nはサンプルと対物レンズとの間の媒質の屈折率、ωは観察者の眼の分解能、Mは対物レンズ及び接眼レンズの総合倍率、NAは対物レンズの開口数、λは光の波長である。
D=n×[(250000×ω)/(M・NA)+λ/2NA](μm)
上記式によれば、n=1、ω=0.0014、λ=0.55μm(可視光)、NA=0.90とすると、総合倍率M=5倍の場合には焦点深度D=78μm、総合倍率M=10倍の場合には焦点深度D=39μm、総合倍率M=20倍の場合には焦点深度D=20μm、総合倍率M=50倍の場合には焦点深度D=8.1μm、総合倍率M=100倍の場合には焦点深度D=4μmである。
例えば、観察面Sに直交する方向における観察面Sと基準線40及び指示部42との距離は、100μm以下、90μm以下、80μm以下、70μm以下、60μm以下、50μm以下、40μm以下、30μm以下、20μm以下、又は10μm以下である。この場合、基準線40及び指示部42と観察対象の細胞Cとがともに対物レンズの焦点深度内に含まれ得る点で好ましい。図3に示す例において、基準線40及び指示部42を形成する凹部の深さは、例えば、100μm以下、90μm以下、80μm以下、70μm以下、60μm以下、50μm以下、40μm以下、30μm以下、20μm以下、又は10μm以下である。図4に示す例において、基準線40及び指示部42が形成された膜部材50の厚さは、例えば、100μm以下、90μm以下、80μm以下、70μm以下、60μm以下、50μm以下、40μm以下、30μm以下、20μm以下、又は10μm以下である。
指示部42によって示される特定領域の大きさは、特定領域の全体が顕微鏡で観察できるように、かつ特定領域に含まれる細胞Cの数が多すぎないように設定されることが好ましい。例えば、特定領域の面積は、5mm以下、4mm以下、3mm以下、2mm以下、1mm以下、0.5mm以下、0.3mm以下、0.2mm以下、又は0.1mm以下である。例えば、特定領域は、1mm四方、0.5mm四方、又は0.25mm四方の正方形である。あるいは、特定領域は、直径1mm、直径0.5mm、又は直径0.25mmの円である。特定領域が、0.25mm四方の正方形である場合、血球計算盤として機能する。
上記例では、基準線40及び指示部42がともに同一の方法で形成されているが、基準線40及び指示部42は、異なる方法で形成されてもよい。指示部42が複数の指示部を含む場合には、1以上の指示部は、同一の手法で形成されてもよく、異なる方法で形成されてもよい。
図5は、別の実施形態の容器2の上面図である。図5に示すように、容器2は、上面が開放された丸形の培養皿である。容器2は、本体60を備える。本体60は、円形の底壁70と、底壁70の周縁から上方に延在する側壁72と、を備える。なお、容器2は、多角形や楕円形等の他の形状の培養皿であってもよい。
底壁70に観察面Sが形成され、観察面Sに基準線80及び基準線80の近傍において、特定領域を示す指示部82が表示される。指示部82は、第1領域を示す正方形の枠線である第1指示部82a、第2領域を示す正方形の枠線である第2指示部82b、第3領域を示す正方形の枠線である第3指示部82c、第4領域を示す円形の枠線である第4指示部82d、及び第5領域を示す円形の枠線である第5指示部82eを含む。基準線80及び指示部82の配置構成や形成方法は、基準線40及び指示部42と同様である。
容器の形態は、上記例に限定されない。例えば、容器は、バイアル、ディッシュ、ボトル、フラスコ等の任意の形状の培養容器であってもよく、多数のウェルが形成された多穴プレートであってもよい。各種容器において、培養細胞Cが位置する観察面Sに基準線80及び特定領域を示す指示部82が表示される。
[細胞観察システム]
1実施形態において、本発明は、対物レンズを有する顕微鏡と、前記顕微鏡により観察される細胞を収容する、底壁及び側壁を備える細胞観察用の容器と、を備える細胞観察システムであって、前記底壁に前記顕微鏡のための観察面が形成され、前記観察面に基準線及び前記基準線の近傍において特定領域を示す指示部が表示され、前記基準線及び前記指示部は、前記観察面に直交する方向において前記観察面を基準として前記対物レンズの焦点深度内に位置する、細胞観察システムを提供する。
顕微鏡は、任意の種類の顕微鏡であってよく、例えば光学顕微鏡、蛍光顕微鏡、位相差顕微鏡等である。対物レンズは、任意の形態のレンズであってよい。
[容器の製造方法]
1実施形態において、本発明は、底壁及び側壁を備える細胞観察用の容器を用意する工程と、前記底壁上に基準線及び前記基準線の近傍において特定領域を示す指示部を形成する工程と、を含む容器の製造方法を提供する。
基準線及び指示部を形成する工程は、任意の方法により実行可能であり、例えば上述した種々の方法により実行可能である。例えば、基準線及び指示部は、物理的手法や化学的手法により、容器の底壁の上面に凹部、凸部等の変形部として、又は変色部等の変性部として形成され得る。あるいは、基準線及び指示部は、例えば容器の底壁への印刷や描画等により、視認可能な材料が容器の底壁に添加されてもよい。また、基準線及び指示部は、膜部材(図4参照)、棒状部材、メッシュ部材等、容器とは別の部材によって形成されてもよい。
[容器の使用方法]
1実施形態において、本発明は、上述の容器の使用方法であって、前記容器内に観察対象の細胞を供給する工程1と、顕微鏡下で前記基準線を特定する工程2と、顕微鏡下で前記基準線に沿って所定の指示部を探索する工程3と、顕微鏡下で前記所定の指示部を特定する工程4と、前記特定された指示部により示される前記特定領域に含まれる細胞を顕微鏡下で観察する工程5と、をこの順に含む、容器の使用方法を提供する。
<工程1>
観察対象の細胞Cを、培養液Mとともに、容器の供給口から収容部内に供給する。必要に応じて、容器内で細胞Cの培養が行われる。
<工程2>
次いで、細胞Cを含む容器を顕微鏡のステージ上に配置する。収容部内を顕微鏡で観察する。まず、観察面Sに表示された基準線を特定する。図1及び図2に示すように、基準線が観察面Sの一側から他側へ延在していることにより、基準線の特定は顕微鏡下であっても比較的容易である。
<工程3>
顕微鏡下で基準線を発見した後、基準線に沿ってステージ又はステージ上の容器自体を一方向に移動させる。指示部は基準線の近傍に配置されているので、上記操作によって所望の特定領域を示す指示部を探索することができる。
<工程4>
次いで、観察対象とする特定領域に対応する指示部を顕微鏡下で特定する。例えば、各指示部により示された複数の特定領域のうち、細胞Cの数、配置、状態等に基づき、細胞Cの観察に適した特定領域を選定することができる。好ましくは、選定した特定領域の全体が顕微鏡の視野に含まれるようにステージ又はステージ上の容器の位置や顕微鏡の倍率を調節する。
<工程5>
次いで、特定した指示部により示される特定領域に含まれる細胞Cを顕微鏡下で観察する。例えば、特定領域に含まれる細胞像や細胞数を検査する。一定時間の経過後、再び同じ特定領域を観察し、細胞像や細胞数の経時変化を調べることができる。ここで、最初の観察後に容器が一旦顕微鏡のステージから回収されたり、ステージ上の容器の位置が変更されたりすることがある。しかしながら、そのような場合でも、再び工程2~工程4を実行することにより、工程4で特定した指示部を発見し、前回の観察と同じ特定領域を観察することができる。
培養細胞Cが容器に保存されて輸送される場合においても、ユーザが輸送前後で細胞Cを観察してサンプルの同一性を確認する際に、基準線及び指示部を利用することによって、同一視野の細胞Cの比較観察を容易に行うことができる。このように輸送前後で特定領域内の細胞数の計測や細胞形態の観察を行うことにより、輸送される細胞Cの品質を保証することができる。
上記の各工程は、ユーザによって実行されてもよく、少なくとも部分的にコンピュータ制御によって実行されてもよい。
[細胞輸送装置]
次いで、上記の技術的思想を応用した細胞輸送装置100について、図6及び図7を参照して説明する。細胞輸送装置100は、「容器」の一形態でもある。
1実施形態において、本発明は、第1の培養皿と第2の培養皿とを有する細胞輸送装置であって、前記第1の培養皿は、底壁を備え、前記第2の培養皿は、底面に多孔質膜を備え、前記第2の培養皿は、前記第1の培養皿と前記多孔質膜とに囲まれた隙間を有した状態で、前記第1の培養皿の上部に装着され、前記第1の培養皿の前記底壁に観察面が形成され、前記観察面に基準線及び前記基準線の近傍において特定領域を示す指示部が表示される、細胞輸送装置を提供する。
本明細書において、「多孔質膜」とは、細孔を多数有する膜を意味し、空隙を有する膜、細孔と空隙とを有する膜も包含する。多孔質膜が気相中で液密性を有し、液相中で半透性を有する半透膜であってもよい。多孔質膜としては、例えば、濾紙、半透膜(例えば、限外濾過膜等)、不織布、ガーゼ様メッシュ、各種メンブレンフィルタ等が挙げられ、これらに限定されない。
多孔質膜の細孔の大きさとしては、例えば0.01μm以上1,500μm以下であればよく、例えば0.01μm以上1.0μm以下であればよく、例えば0.01μm以上0.45μm以下があればよい。
第2の培養皿の多孔質膜としては、例えば、滅菌フィルタが挙げられる。滅菌フィルタとしては、第2の培養皿に混入した細菌が第1の培養皿の培養空間へ透過しない程度の孔を有する膜であればよく、特別な限定はない。
図6(a)~(b)は、本実施形態の細胞輸送装置100の一例の構造を説明する模式図である。図6(a)は、本実施形態の細胞輸送装置100の斜視図であり、図6(b)は、図6(a)の側面図である。
図6(b)~(c)に示すように、細胞輸送装置100において、第2の培養皿120が、隙間130の高さを調節可能な状態で、第1の培養皿110の上部に装着されている。好ましくは、図1(b)に示すように、第2の培養皿120の上部に形成されたフランジの下面が第1の培養皿110の側壁の上端面に密着した状態(すなわち、第1の培養皿110に対する第2の培養皿120の高さ方向の位置を最も低くした状態)において、一定の高さの隙間130が形成される。図6(c)は、細胞輸送装置100において、第2の培養皿120が、最も下方に位置する状態から、第2の培養皿120が第1の培養皿110から引き上げられた状態へ変化させたときの側面図である。図6(c)に示すように、第2の培養皿120が第1の培養皿110から引き上げられることにより、隙間130の高さが増加する。隙間130は、第1の培養皿110の底面及び内側面と第2の培養皿120の底面とに囲まれて画成される。隙間130の高さは、第1の培養皿110と第2の培養皿120との距離を調節することにより調節可能であり、例えば0cm~1cmが好ましく、0cm~0.5cmがより好ましい。隙間130の高さは、細胞輸送装置100の用途に応じて、例えば、封入する細胞の体積に応じて調節可能である。
図6(d)は、第1の培養皿110の側面図である。図6(d)において、第1の培養皿110は、内周面に雌ねじが切られており、雌ねじ構造を有している。図6(e)は、第1の培養皿110の上面図である。図6(e)において、第1の培養皿110は、底面に「底壁」として膜部材112を有している。膜部材112には、上述の容器1、2と同様に、基準線114及び指示部116が形成されている。すなわち、第1の培養皿110の底壁は、基準線114及び指示部116が形成された膜部材112である。図6(f)は、図6(e)の線B-Bに沿った第1の培養皿110の断面図である。図3に示す容器1と同様に、基準線114及び指示部116は、膜部材112の上面に凹部として形成されている。
図6(g)は、第2の培養皿120の側面図である。図6(g)において、第2の培養皿120は、外周面に雄ねじが切られており、雄ねじ構造を有している。図6(h)は、第2の培養皿120の上面図である。図6(h)において、第2の培養皿120は、底面に滅菌フィルタ122を有している。
本実施形態では、隙間130は、第1の培養皿110の側壁の内側面、第1の培養皿110の底面の膜部材112、及び第2の培養皿120の底面の滅菌フィルタ122によって囲まれて画成される。隙間130は、第1の培養皿110の培養空間として利用可能である。好ましくは、隙間130は、滅菌フィルタ122を除いて細胞輸送装置100の外部から密閉され、滅菌フィルタ122を通じてのみ外部(例えば第2の培養皿120の内部空間)と連通することができる。
第1の培養皿110と第2の培養皿120の間に生じる隙間の高さを調節する手段として、雄ねじ構造の根元にシリコンO-リング、金属ワッシャー、又は環状ナイロン膜等を装着した後に雌ねじと螺着してもよい。
第1の培養皿110と第2の培養皿120との間は、高さを調節可能な隙間130を有した状態で装着されていればよく、あるいは、一定の高さの隙間130を有した状態で装着されるように底面までの雄ねじ距離を短くした第2の培養皿120を用いて装着されていればよく、係合又は嵌合により装着されていることが好ましい。本実施形態においては、第1の培養皿110の雄ねじと第2の培養皿120の雌ねじとの締め切った状態において、一定の高さを有する隙間130が形成されることが好ましい。
図6(a)及び図6(b)では、第1の培養皿110と第2の培養皿120が、螺着により装着されているが、装着機構は問わず、テーパー構造を介して装着されていてもよい。
細胞輸送装置100は、第1の蓋140(図7(a)、図7(c)、及び図7(d)参照)及び第2の蓋150(図7(b)参照)をさらに備える。
第1の蓋140は、第1の培養皿110又は第2の培養皿120の上面を被覆することができる。第1の蓋140は培養皿110、120の上面を覆うことができれば特に限定されず、任意の構成であってよい。第1の蓋140は、必ずしも培養皿110、120の上面を密封できなくてもよい。例えば、図7(a)及び図7(c)に示すように、第1の蓋140は、培養皿110、120に装着された場合に、培養皿110、120の上端部の外側面と第1の蓋140の内側面との間に隙間が形成されるような大きさであってよい。第1の蓋140を通して細胞Cを顕微鏡で観察する観点から、第1の蓋140は、透明又は半透明な材料で構成されることが好ましい。
第2の蓋150は、第2の培養皿120の上面を被覆及び密封することができる。第2の蓋150は第2の培養皿120の上面を密封することができれば特に限定されず、任意の構成であってよい。例えば、図7(b)に示すように、第2の蓋150は、第2の培養皿120に装着された場合に、第2の培養皿120の上端部の外側面と第1の蓋140の内側面とが緊密に接触するような大きさであってよい。第2の蓋150は、透明又は半透明な材料で構成されてもよく、不透明な材料で構成されてもよい。
第1の培養皿110及び第2の培養皿120の外径は、略同一が好ましい。外径は、6mm~150mmが好ましく、10mm~100mmがより好ましく、14mm~60mmがさらに好ましい。第1の培養皿110の内径は、2mm~146mmが好ましく、6mm~96mmがより好ましく、10mm~56mmがさらに好ましい。第2の培養皿120の内径は、1mm~140mmが好ましく、2mm~90mmがより好ましく、3mm~50mmがさらに好ましい。
また、細胞輸送装置100の高さは、0.5cm~10cmが好ましく、1cm~5cmがより好ましい。
第1の培養皿110の膜部材112としては、例えば、プラスチック製の膜が挙げられる。
図6に示す例では、基準線114及び指示部116が膜部材112の上面に凹部として形成されているが、基準線114及び指示部116のうち少なくとも一方が膜部材112の下面に形成されてもよい。ただし、容器1、2と同様に、観察面S(本実施形態では膜部材112の上面)と基準線114及び指示部116との距離は、顕微鏡の対物レンズの焦点深度以下であることが好ましい。
基準線114及び指示部116は、上記例に限定されず、任意の方法で形成されてよい。例えば、基準線114及び指示部116は、膜部材112に印刷又はペンや鉛筆で描画されてもよい。この場合、培養細胞への悪影響を抑制する観点から、基準線114及び指示部116は、膜部材112の下面に形成されるのが好ましい。
膜部材112は、第1の培養皿110と一体に形成されてもよい。あるいは、第1の培養皿110は、膜部材112に代えて肉厚の底壁を備えてもよい。この場合、第1の培養皿110の底壁の構成は、容器2の底壁と同様であってよい。
膜部材112の材質としては、例えば、膜部材50の材料として上述した各材料が挙げられる。
中でも、ポリスチレン、ポリヒドロキシ酸(例えば、ポリラクチド、ポリグリコリド等)、ポリエチレンテレフタレート、ポリ(ヒドロキシ酪酸)、ポリ(ヒドロキシ吉草酸)、ポリ[ラクチド-co-(ε-カプロラクトン)]、ポリ[グリコリド-co-(ε-カプロラクトン)]等)、ポリ(ヒドロキシアルカノエート)、ポリオルトエステル、又はこれらのコポリマーが好ましい。
本実施形態における膜部材112は、上記に例示された材料のうち1種類から構成されていてもよく、2種類以上から構成されていてもよい。また、膜部材112の材料は、上記例に限定されず、上記以外の合成高分子化合物の他、天然高分子化合物で構成されていてもよく、天然高分子化合物及び合成高分子化合物の両方から構成されていてもよい。
本実施形態における膜部材112の厚さは特に制限されないが、1μm~1000μmが好ましく、1μm~500μmがより好ましく、5μm~300μmがさらに好ましく、10μm~200μmが特に好ましい。
本実施形態における滅菌フィルタ122の細孔の大きさとしては、細菌の大きさを考慮して、例えば0.01μm~1.0μmが好ましく、例えば0.01μm~0.5μmが好ましく、例えば0.01μm~0.2μmが好ましく、例えば0.01μm~0.1μmが好ましい。
本実施形態における滅菌フィルタ122の厚さは特に制限されないが、1μm~1000μmが好ましく、1μm~500μmがより好ましく、5μm~300μmがさらに好ましく、10μm~200μmが特に好ましい。
滅菌フィルタ122以外の細胞輸送装置100の材質としては、容器1の材料として上述した各材料が挙げられ、プラスチックが好ましい。
細胞輸送装置100の色としては、特に限定されないが、各種顕微鏡を用いて細胞を観察する等の観点から透明色および不透明(遮光)色を適宜選択することが好ましい。また、細胞輸送装置100には、培養する個々の細胞を識別するための工夫(例えば、着色、印字等)が施されていてもよい。
滅菌フィルタ122以外の細胞輸送装置100の製造方法としては、圧縮成形法、射出成形法、押出成形法等が挙げられるが、これらに限定されない。
第1の培養皿110と膜部材112の材質が同じ場合には、両者が一体化したものとして捉えてもよい。例えば、第1の培養皿110と膜部材112の材質がPET等プラスチック樹脂である場合、別途PET等プラスチック膜を張らずとも、本発明の範囲内に含まれる。
[培養皿の製造方法]
第1の培養皿110は、任意の方法で製造することができる。例えば、第1の培養皿110は、圧縮成形法、射出成形法、押出成形法等の任意の方法で膜部材112以外の部分を形成し、別途任意の方法で膜部材112を製造し、膜部材112を膜部材112以外の部分に結合することにより製造される。あるいは、第1の培養皿110は膜部材112を含めて一体成型されてもよい。
第2の培養皿120は、任意の方法で製造することができる。例えば、第2の培養皿120は、圧縮成形法、射出成形法、押出成形法等の任意の方法で滅菌フィルタ122以外の部分を形成し、別途任意の方法で滅菌フィルタ122を製造し、滅菌フィルタ122を滅菌フィルタ122以外の部分に結合することにより製造される。あるいは、第2の培養皿120は滅菌フィルタ122を含めて一体成型されてもよい。
[細胞輸送装置の使用方法]
本実施形態の細胞輸送装置100は、細胞の培養、細胞の輸送等に使用することができる。細胞輸送装置100は、容器として又は細胞培養装置として利用可能である。
[細胞輸送装置による細胞の輸送方法]
本実施形態の細胞の輸送方法は、上述の細胞輸送装置100を用いる方法である。本実施形態の輸送方法によれば、細胞を安全かつ確実に容易に輸送することができ、輸送される細胞の品質を保証することができ、培養細胞へのコンタミネーションのリスクの高い酵母、カビおよび細菌などの微生物(一般的な大きさ:約0.5μm~5μm)のコンタミネーションを防止することができ、長期間の輸送にも対応することができる。
本実施形態の輸送方法について、図7(a)~(d)を参照して、以下に詳細に説明する。
図7(a)~(d)は、本実施形態の細胞輸送装置100による細胞輸送方法を示す断面図である。
まず、細胞Cを懸濁した培養液Mを準備する。次いで、上述の第1の培養皿110内に細胞Cを懸濁した培養液Mを注入する。次いで、図7(a)に示すように、第1の培養皿110の上面を第1の蓋140で被覆し、第1の培養皿110内で細胞Cの培養を行う。
次いで、細胞Cを輸送する前に、第1の蓋140を通して、第1の培養皿110内の細胞Cを顕微鏡で観察する。上述の[容器の使用方法]と同様にして、基準線114に沿って指示部116を探索することにより、観察対象とする特定領域を顕微鏡下で選定し、その特定領域に対応する指示部116を特定することができる。特定領域に含まれる細胞Cを顕微鏡下で観察し、例えば、特定領域に含まれる細胞像や細胞数を検査する。
次いで、図7(b)に示すように、第1の蓋140を取り外して第2の培養皿120を第1の培養皿110に装着する。好ましくは、第2の培養皿120の上部に形成されたフランジの下面が第1の培養皿110の側壁の上端面と密着するまで、第1の培養皿110の雌ねじと第2の培養皿120の雄ねじとを締め切る。第1の培養皿110内の培養液Mは、滅菌フィルタ122を通って第2の培養皿120の内部に進入する。細胞Cは滅菌フィルタ122の小さい穴を通れないので、引き続き第1の培養皿110内に位置する。次いで、第2の培養皿120に培養液Mをさらに注入し、第2の培養皿120の上端まで培養液Mで満たす。次いで、第2の蓋150で第2の培養皿120を密封する。これにより、培養皿110、120の内部の培養空間が完全に培養液Mで満たされるので、培養空間内に気泡が存在せず、輸送中に細胞輸送装置100に加わる振動等の細胞Cへの影響が抑制される。また、細胞Cが存在する第1の培養皿110の培養空間と、第2の培養皿120の培養空間とが滅菌フィルタ122で仕切られているので、万一第2の蓋150の装着操作中等に細菌その他の微生物のコンタミネーションが第2の培養皿120内に混入した場合でも、細胞Cが存在する第1の培養皿110の培養空間へのコンタミネーションは防止される。
次いで、図7(b)の状態で細胞輸送装置100を輸送する。輸送方法は非凍結輸送で行われる。また、細胞輸送装置100の輸送は、内部の培養液Mの漏れを防ぐ観点から、図2(b)に示すように、ねじを締め切って第1の培養皿110と第2の培養皿120とを密封した状態で行われるのが好ましい。輸送後は、図7(c)に示すように、密封用の第2の蓋150を取り外し、培養液Mの約半量を除去した後、第1の蓋140を第2の培養皿120に装着する。この操作を行う際にも、滅菌フィルタ122により、細胞Cが存在する第1の培養皿110内の培養空間へのコンタミネーションが防止される。
次いで、第1の蓋140を通して、第1の培養皿110内の細胞Cを顕微鏡で観察する。基準線114に沿って輸送前に特定した指示部116を探索することにより、所望の指示部116を容易に発見することができるので、輸送前に観察した特定領域と同一の領域を特定し、観察することができる。すなわち、輸送前後における同一視野での細胞観察を容易に行うことができる。特定領域に含まれる細胞Cを顕微鏡下で観察し、例えば、特定領域に含まれる細胞像や細胞数を検査する。これにより、輸送前後における同一の特定領域における細胞像や細胞数を容易に比較することができる。
その後、図7(c)に示すような状態で細胞Cの培養を行ってもよく、第2の培養皿120を第1の培養皿110から取り外した図7(d)に示すような状態で細胞Cの培養を行ってもよい。
輸送時の温度としては、例えば4℃以上37℃以下であってもよく、18℃以上37℃以下であってもよい。
輸送時間としては、細胞Cの種類、細胞数等により適宜選択することができ、例えば1時間以上14日以下であってもよく、例えば12時間以上7日以下であってもよく、例えば1日以上3日以下であってもよい。
[容器]
1実施形態において、本発明は、天面、底面、及び側面を備えた、細胞観察用の円柱状容器であって、多孔質膜を少なくとも天面に備え、底面に観察面が形成され、前記観察面に基準線及び前記基準線の近傍において特定領域を示す指示部が表示される、容器を提供する。
図8は、本実施形態の容器の一例の構造を説明する斜視図である。
図8に示す様に、本実施形態の容器200は、天面203、底面201、及び側面202を備えた、細胞観察用の円柱状容器である。本実施形態においては、底面201はプラスチック膜からなり、天面203は、多孔質膜からなる。好ましくは、多孔質膜は側面202から脱着可能である。多孔質膜としては、例えば、滅菌フィルタが挙げられる。滅菌フィルタとしては、細菌が容器内へ透過しない程度の孔を有する膜であればよく、特別な限定はない。
本実施形態において、底面201に観察面が形成され、前記観察面に基準線及び前記基準線の近傍において特定領域を示す指示部が表示される。図3に示す容器1と同様に、底面は、前記基準線及び前記指示部が形成された膜部材であり、基準線及び指示部は、底面の上面に凹部として形成されている。
基準線及び指示部は、上記例に限定されず、任意の方法で形成されてよい。例えば、基準線及び指示部は、底面に印刷又はペンや鉛筆で描画されてもよい。この場合、培養細胞への悪影響を抑制する観点から、基準線及び指示部は、底面の下面に形成されるのが好ましい。
本実施形態の容器200の内径は、1mm以上60mm以下であることが好ましく、3mm以上35mm以下であることがより好ましく、5mm以上26mm以下であることがさらに好ましい。
また、本実施形態の容器200の外径は、3mm以上68mm以下であることが好ましく、5mm以上43mm以下であることがより好ましく、7mm以上34mm以下であることがさらに好ましい。
また、本実施形態の容器200の厚み(円柱の高さ)は、5μm以上であって、50μm以上15mm以下であることが好ましく、100μm以上10mm以下であることがより好ましく、200μm以上2.5mm以下であることがさらに好ましい。
なお、「円柱の高さ」は、容器200の天面の外側の縁部から、底面の外側の縁部までの距離を意味する。
本実施形態の容器200の内部容積は、培養液に懸濁した多細胞を注入でき、細胞の活性をアッセイする試験等のインビトロ試験系で用いられる多細胞構造体を構築することができる程度のスモールスケールであればよい。具体的には、例えば、10mL以下であることが好ましく、10μL以上5mL以下であることがより好ましく、15μL以上2mL以下であることがさらに好ましく、20μL以上1mL以下であることが特に好ましい。
内部容積が上記上限値以下であることにより、十分に酸素及び培養液の栄養分が供給され、細胞を効率よく長期間に渡り培養することができる。また、内部容積が上記下限値以上であることにより、インビトロ試験系で用いるのに十分な細胞数及び細胞密度の細胞を得ることができる。
本実施形態の容器200は、ピンセット等で容易に取り扱うことができる。
細胞を輸送する際には、細胞が封入された容器200を、培養液を含む開閉可能な密封容器に封入し、運搬することができる。運搬方法における密封容器は、開閉可能なものであればよく、特別な限定はない。密封容器としては、例えば、スクリューキャップ付のコニカルチューブ、スクリューキャップ付の細胞培養用フラスコ等が挙げられ、これらに限定されない。本実施形態の容器200によれば、輸送前後における同一の特定領域における細胞像や細胞数を容易に比較することができる。
以下、図9~図35を参照して実施例1~4について説明する。本実施例は、発明を限定するものではない。
[実施例1]
60mm×15mmの細胞培養用ディッシュ(Falcon(登録商標)、製品番号353002、コーニング社製)を用意し、このφ60mmディッシュの下に目盛りが付いた紙を置いた。次いで、ステンレス鋼製の片刃トリミング用カミソリ(Cat No.T586、38mm×19mm×0.23(厚さ)mm、GEM社製)をディッシュの底面の一端に上からあてがい、カミソリをディッシュの底面に押し当てながら、目盛りを基準にして、ディッシュの底面の略中心を通るようにしてディッシュの底面の一端から他端へ、上からなぞるようにカミソリを移動させた。
次いで、カミソリで付けた線跡(図5の基準線80に相当)を目盛りに合わせ、ディッシュの一端から約3mmのところに、φ1mm生検トレパン(REF:BPP-10F、LOT:19D49、円内面積:0.00785cm、カイ インダストリーズ株式会社製)を押し当てた。このとき、トレパンの円形の刃は回転させず、ディッシュの底面に押し当てたまま、力を1~2周させた。形成する円は、できるだけカミソリの基準線に接するか又は近接するようにした。次いで、目盛りに沿って、ディッシュの一端から約13mm及び約25mmのところにも、同様にして円形の跡を付けた。以下、端から約3mmのところの円形線跡を「端」(図5の第1指示部82aに相当)、約13mmのところの円形線跡を「間」(図5の第3指示部82cに相当)、約25mmのところの円形線跡を「中心」(図5の第2指示部82bに相当)と呼ぶ。
このようにして、φ60mm細胞培養ディッシュにカミソリで基準線を付け、トレパンで指示部の円形枠線を付けたものを用意し、培養基材とした。
上記培養基材を使用して、正常ヒト真皮由来線維芽細胞(NHDFs細胞)を1×10cells/cmで播種し、5mLの培養液中で培養した。播種前(基準線及び円形枠線を付けた後)、培養液のみを入れた段階、播種から2時間後、1日後、4日後、及び7日後の各タイミングで、各サンプルについてディッシュの「端」、「間」、及び「中心」の3点の近傍を観察した。
図9は、実施例1において、播種前、培養液のみを入れた段階、及び播種から2時間後の「端」の近傍を撮影した顕微鏡写真である。図10は、実施例1において上記3つのタイミングで「間」の近傍を撮影した顕微鏡写真である。図11は、実施例1において上記3つのタイミングで「中心」の近傍を撮影した位相差顕微鏡写真である。対物レンズ4倍、10倍、20倍の3種類の倍率による顕微鏡写真を示す(図9の右側は、それぞれの対物レンズで全長1.00mmの目盛りを撮影した位相差顕微鏡写真である)。播種前の写真を「播種前」、培養液のみの写真を「培養液のみ」、播種から2時間後の写真を「播種2時間後」と記載した。円形の線跡によって観察対象の領域を一意に特定でき、細胞像や細胞数を調べることができることが確認された。
播種から2時間後の円形枠線内の細胞数は、「端」で30cells、「間」で44cells、「中心」で81cellsであった。これらの平均値51.7cellsは、播種密度及び円の面積から計算した理論値78.5cellsから大きく外れていないので、細胞が適切に播種培養されていると考えられる。
[実施例2]
播種密度を0.5×10cells/cmとした点を除き、実施例1と同様にして細胞培養及び観察を行った。
図12は、実施例2において、播種前、培養液のみを入れた段階、及び播種から2時間後の「端」の近傍を撮影した顕微鏡写真である。図13は、実施例2において上記3つのタイミングで「間」の近傍を撮影した顕微鏡写真である。図14は、実施例2において上記3つのタイミングで「中心」の近傍を撮影した顕微鏡写真である。4倍、10倍、20倍の3種類の倍率による顕微鏡写真を示す。円形の線跡によって観察対象の領域を一意に特定でき、細胞像や細胞数を調べることができることが確認された。
播種から2時間後の円形枠線内の細胞数は、「端」で32cells、「間」で31cells、「中心」で90cellsであった。これらの平均値51.0cellsは、播種密度及び円の面積から計算した理論値39.25cellsから大きく外れていないので、細胞が適切に播種培養されていると考えられる。
[実施例3]
播種密度を0.1×10cells/cmとした点を除き、実施例1と同様にして細胞培養及び観察を行った。
図15は、実施例3において、播種前、培養液のみを入れた段階、及び播種から2時間後の「端」の近傍を撮影した顕微鏡写真である。図16は、実施例3において上記3つのタイミングで「間」の近傍を撮影した顕微鏡写真である。図17は、実施例3において上記3つのタイミングで「中心」の近傍を撮影した顕微鏡写真である。4倍、10倍、20倍の3種類の倍率による顕微鏡写真を示す。円形の線跡によって観察対象の領域を一意に特定でき、細胞像や細胞数を調べることができることが確認された。
播種から2時間後の円形枠線内の細胞数は、「端」で1cells、「間」で5cells、「中心」で18cellsであった。これらの平均値8.0cellsは、播種密度及び円の面積から計算した理論値7.85cellsから大きく外れていないので、細胞が適切に播種培養されていると考えられる。
[実施例4]
カミソリで付けた線跡を目盛りに合わせ、ディッシュの一端から約5.5mm、約15mm、及び約25mmのところに円形の跡を付けた以外は、実施例1と同様にして細胞培養及び観察を行った。以下、端から約5.5mmのところの円形線跡を「端」、約15mmのところの円形線跡を「間」、約25mmのところの円形線跡を「中心」と呼ぶ。
初期播種密度1.0×10cells/cmの培養皿3枚について、各培養皿の「端」、「間」、「中心」付近を、0日目(培養2時間目)、1日目、2日目、4日目、7日目、及び10日目に位相差顕微鏡で同一視野を観察することで、細胞像と細胞数の経時変化を解析した。
1枚目の培養皿Aから順番に1(端)、2(間)、3(中心)と番号を付した。同様に培養皿の2枚目Bに4(端)、5(間)、6(中心)、及び3枚目Cに7(端)、8(間)、9(中心)と番号を付した。
図18及び図19は、播種前の各培養皿、培養液のみを入れた各培養皿の「端」、「間」、「中心」の近傍を撮影した顕微鏡写真である。図20及び図21は、0日目(培養2時間目)、1日目、2日目、4日目、7日目、及び10日目の1枚目の培養皿Aの「端」、「間」、「中心」の近傍を撮影した顕微鏡写真である。図22及び図23は、0日目(培養2時間目)、1日目、2日目、4日目、7日目、及び10日目の2枚目の培養皿Bの「端」、「間」、「中心」の近傍を撮影した顕微鏡写真である。図24及び図25は、0日目(培養2時間目)、1日目、2日目、4日目、7日目、及び10日目の3枚目の培養皿Cの「端」、「間」、「中心」の近傍を撮影した顕微鏡写真である。図26及び図27は、0日目(培養2時間目)、1日目、2日目、4日目、7日目、及び10日目の1枚目の培養皿Aの「端」、「間」、「中心」の細胞の計測方法を示すとともに計測値を記入した図である。図28及び図29は、0日目(培養2時間目)、1日目、2日目、4日目、7日目、及び10日目の2枚目の培養皿Bの「端」、「間」、「中心」の細胞の計測方法を示すとともに計測値を記入した図である。図30及び図31は、0日目(培養2時間目)、1日目、2日目、4日目、7日目、及び10日目の3枚目の培養皿Cの「端」、「間」、「中心」の細胞の計測方法を示すとともに計測値を記入した図である。
図32は、培養皿A~Cの「端」、「間」、「中心」における直径1mmの円形線跡中の細胞数の計測結果と「端」、「間」、「中心」の平均細胞数である。図33は、培養皿A~Cの「端」、「間」、「中心」における1cm当たりの細胞数と「端」、「間」、「中心」の1cm当たりの平均細胞数である。図34は、培養皿A~Cの「端」、「間」、「中心」における1cm当たりの細胞数と「端」、「間」、「中心」の1cm当たりの平均細胞数のグラフである。図35は、培養皿A~Cの「端」、「間」、「中心」の細胞数を平均した1cm当たりの細胞数と培養皿A~Cの1cm当たりの平均細胞数である。図36は、培養皿A~Cの「端」、「間」、「中心」の細胞数を平均した1cm当たりの細胞数と培養皿A~Cの1cm当たりの平均細胞数のグラフである。
結果として、播種した細胞は、いずれの培養皿でも「端」、「間」、「中心」の順に多く存在することが分かった。また、培養2時間目の平均細胞数は1.25 x10cells/cmであり、大半は球状形態を呈する細胞であったが、培養1日目の平均細胞数は1.12 x10cells/cmであり、大半は紡錘形態を呈する細胞であった。
その後、培養2日目より、いずれの培養皿のいずれの部域でも紡錘形態を呈する細胞が経時的に増殖したが、各日とも細胞は、「端」、「間」、「中心」の順に多く存在し、いずれの培養皿でも間の細胞密度は培養皿のほぼ平均であった。
以上の結果は、実際に播種した細胞数は理論値から大きく外れていないが、複数の培養皿を用いて位相差顕微鏡の観察像を比較する際には、「端」は端同士、「中心」は中心同士など同じ部域で実施することが重要であること、また、培養皿の平均細胞密度は、「端」と「中心」の間に相当する部域の細胞密度が反映していることが示唆された。
本発明によれば、簡便な構成で容易に同一視野内の細胞観察を行うことができる容器、培養細胞の製造方法、及び細胞輸送装置を提供することができる。このような同一視野の顕微鏡観察を容易に行える底面を備えた培養容器は、既存の培養容器への適用が可能であるため、公益性が期待できる。また、輸送前後の細胞数及び細胞形態を容易に確認できる培養容器は、iPS細胞をはじめ品質保証が重要な様々な細胞の輸送に貢献すると考えられるので、再生医療、創薬、及び動物実験代替法等の分野での利用が期待できる。
1、2…容器、10、60…本体、12…収容部、14…ネック部、20…キャップ、30、70…底壁、32、72…側壁、34…頂壁、40、80…基準線、42、82…指示部、50…膜部材、100…細胞輸送装置、110…第1の培養皿、112…膜部材、114…基準線、116…指示部、120…第2の培養皿、122…滅菌フィルタ、130…隙間、140…第1の蓋、150…第2の蓋、S…観察面、C…細胞、M…培養液。

Claims (12)

  1. 底壁及び側壁を備える細胞観察用の容器であって、
    前記底壁観察面が形成され、前記観察面に一本の基準線及び前記基準線の近傍において特定領域を示す指示部が表示され、前記指示部は、前記特定領域を取り囲む枠線であり、前記基準線は、一方向に沿って前記観察面の一側から他側へ延在する線であり、前記基準線及び前記指示部のうち少なくとも一方は、前記底壁に形成された凹部である、容器。
  2. 前記特定領域は、同一視野内の細胞の経時変化を観察するための観察対象領域である、請求項1に記載の容器。
  3. 前記基準線及び前記指示部は、前記観察面に直交する方向において前記観察面を基準として細胞観察用の顕微鏡の対物レンズの焦点深度内に位置する、請求項1又は2に記載の容器。
  4. 前記指示部は、前記基準線の一端部に配置された第1領域を示す第1指示部、前記基準線の中央部に配置された第2領域を示す第2指示部、及び前記第1領域と前記第2領域との間に配置された第3領域を示す第3指示部を含む、請求項1記載の容器。
  5. 前記基準線及び前記指示部のうち少なくとも一方は、前記底壁上又は前記底壁下に配置された膜部材に形成されている、請求項1記載の容器。
  6. 前記膜部材は、一方の面に前記基準線及び前記指示部のうち少なくとも一方を有し、前記一方の面が前記底壁に向くように前記底壁上又は前記底壁下に配置される、請求項5に記載の容器。
  7. 第1の培養皿と第2の培養皿とを有する細胞輸送装置であって、
    前記第1の培養皿は、底壁を備え、
    前記第2の培養皿は、底面に多孔質膜を備え、
    前記第2の培養皿は、前記第1の培養皿と前記多孔質膜とに囲まれた隙間を有した状態で、前記第1の培養皿の上部に装着され、
    前記第1の培養皿の前記底壁に観察面が形成され、前記観察面に一本の基準線及び前記基準線の近傍において特定領域を示す指示部が表示され、前記指示部は、前記特定領域を取り囲む枠線であり、前記基準線は、一方向に沿って前記観察面の一側から他側へ延在する線であり、前記基準線及び前記指示部のうち少なくとも一方は、前記底壁に形成された凹部である、細胞輸送装置。
  8. 前記多孔質膜は、滅菌フィルタである、請求項7に記載の細胞輸送装置。
  9. 前記第1の培養皿の前記底壁は、前記基準線及び前記指示部が形成された膜部材である、請求項7又は8に記載の細胞輸送装置。
  10. 天面、底面、及び側面を備えた、細胞観察用の円柱状容器であって、
    脱着可能な多孔質膜を少なくとも天面に備え、底面に観察面が形成され、前記観察面に一本の基準線及び前記基準線の近傍において特定領域を示す指示部が表示され、前記指示部は、前記特定領域を取り囲む枠線であり、前記基準線は、一方向に沿って前記観察面の一側から他側へ延在する線であり、前記基準線及び前記指示部のうち少なくとも一方は、前記底に形成された凹部である、容器。
  11. 前記膜は、滅菌フィルタである、請求項10に記載の容器。
  12. 前記底面は、前記基準線及び前記指示部が形成された膜部材である、請求項10又は11に記載の容器。
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