JP7250533B2 - 弾性波装置 - Google Patents

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本発明は、弾性波装置に関する。
従来、弾性波装置は、例えば、携帯電話などの通信機器におけるバンドパスフィルタとして使用されている。特許文献1に記載の弾性波装置では、同一の圧電基板において周波数特性が互いに異なる2つの弾性表面波素子が構成されている。圧電基板上には、各弾性表面波素子におけるIDT(Inter Digital Transducer)電極を覆う絶縁膜が形成されており、その膜厚を互いに異ならせることで弾性波装置の周波数特性が調整されている。
特開2000-341068号公報
弾性波装置は、製造バラツキにより周波数特性にバラツキが生じる。特許文献1のように、1つの圧電基板上に複数の弾性表面波素子を備える場合には、弾性表面波素子間で周波数のバラツキ方が異なる。そのため個々の弾性表面波素子毎に周波数調整をする必要があった。
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、その目的は、製造バラツキによる周波数変動を抑制した、ロバスト性の高い弾性波装置を提供することにある。
本開示の一実施形態に係る弾性波装置は、圧電層と、前記圧電層上に位置する第1フィルタおよび第2フィルタと、を有する。前記第1のフィルタは、第1の通過帯域を備える。前記第2のフィルタは、前記第1の通過帯域とは異なる第2の通過帯域を備える。前記第1のフィルタおよび前記第2のフィルタは、複数の電極指を備え、弾性波を励振するIDT電極を複数備えている。前記第1の通過帯域の中心周波数は前記第2の通過帯域の中心周波数よりも高く、前記第1のフィルタにおける複数の前記IDT電極のデューティの平均値は、前記第2のフィルタにおける複数の前記IDT電極のデューティの平均値よりも小さい。また、前記複数の電極指の繰り返し間隔の2倍を波長λと定義すると、前記圧電層の厚さは、複数の前記IDT電極の波長λの中の最小値未満の厚みであり、前記第1のフィルタにおける複数の前記IDT電極のデューティの平均値と前記第2のフィルタにおける複数の前記IDT電極のデューティの平均値の差は0.20以上である。また、本開示の一実施形態に係る弾性波装置は、圧電層と、前記圧電層上に位置する第1の通過帯域を備える第1のフィルタと、前記圧電層上に位置する、前記第1の通過帯域とは異なる第2の通過帯域を備える第2のフィルタと、前記圧電層の前記第1のフィルタおよび前記第2のフィルタが位置する側と反対側の面に、直接接合された支持基板と、を有し、前記第1のフィルタおよび前記第2のフィルタは、複数の電極指を備え、弾性波を励振するIDT電極を複数備えており、前記第1の通過帯域の中心周波数は前記第2の通過帯域の中心周波数よりも高く、前記第1のフィルタにおける複数の前記IDT電極のデューティの平均値は、前記第2のフィルタにおける複数の前記IDT電極のデューティの平均値よりも小さく、前記複数の電極指の繰り返し間隔の2倍を波長λと定義すると、前記圧電層の厚さは、複数の前記IDT電極の波長λの中の最小値未満の厚みであり、前記第1のフィルタにおける複数の前記IDT電極のデューティの平均値と前記第2のフィルタにおける複数の前記IDT電極のデューティの平均値の差は0.15以上である。
上記構成によれば、ロバスト性の高い弾性波装置を提供することができる。
本開示にかかる弾性波装置の模式図である。 本開示にかかる弾性波装置の平面図である。 図3におけるIDT電極の構成を示す平面図である。 本開示にかかる弾性波装置の要部拡大断面図である。 図5(a),図5(b)はそれぞれ、圧電層の厚さに対する共振子の共振周波数frの変化の様子を示す線図である。 図6(a),図6(b)はそれぞれ、圧電層の厚さに対する共振子の共振周波数frの変化の様子を示す線図である。 本開示の他の実施形態に係る弾性波装置の要部拡大断面図である。 圧電層の厚さと周波数との相関を示す線図である。 圧電層の厚さと周波数との相関を示す線図である。
以下、本開示の弾性波装置の一例を図面を用いて詳細に説明する。
なお、本明細書に記載する各実施形態は例示的なものであり、異なる実施形態および変形例間において部分的に置換や組合せることができる。
図1は、本開示の実施形態に係る弾性波装置1の模式図である。
弾性波装置1は、第1ポートP1~第5ポートP5と、第1ポートP1と、第2ポートP2~第5ポートP5との間に位置する第1のフィルタF1~第4のフィルタF4と、を備える。言い換えると、第1のフィルタF1~第4のフィルタF4は第1ポートP1に共通に接続されるとともに、互いに並列接続されている。すなわち、弾性波装置1は、第1ポートP1をアンテナポートとして用いることでマルチプレクサ(クワッドプレクサ)を構成している。第1のフィルタF1~第4のフィルタF4は、それぞれ、第1の通過帯域B1~第4の通過帯域B4を有し、それぞれの通過帯域は互いに異なる。
本実施形態の例では、第1のフィルタF1と第3のフィルタF3とは同一バンドの送信フィルタおよび受信フィルタである。同様に、第2のフィルタF2と第4のフィルタF4とも同一フィルタの送信フィルタおよび受信フィルタである。第1のフィルタF1と第2のフィルタF2とが送信フィルタである。
第1の通過帯域B1~第4の通過帯域B4の中心周波数f1~f4を低周波数側から並べると、f2,f4,f1,f3の順となる。
図1中において、同一チップで構成されるフィルタを破線で囲っている。すなわち、弾
性波装置1において、第1のフィルタF1と第2のフィルタF2とは同一のチップに構成されている。そして、第3のフィルタF3,第4のフィルタF4はそれぞれ個別のチップで構成されている。言い換えると、第1のフィルタF1と第2のフィルタF2とは一体的に形成されている。
図2~図4を用いて、第1のフィルタF1と第2のフィルタF2との具体的構成を示す。図2は、第1のフィルタF1および第2のフィルタF2の電極構造を示す平面図である。図2において、図3に示すIDT電極19で構成される共振子は矩形状で示している。図3は、図2において矩形で示す弾性波共振子を構成する共振子の構造を示す平面図であり、図4は、第1のフィルタF1,第2のフィルタF2の一部を模式的に抽出した模式的断面図である。
図2に示すように、弾性波装置1は圧電層7と圧電層7上に位置する導電層9とを備える。導電層9は、パターニングされて、後述するパッド8や、各フィルタを構成する共振子15や、配線として機能する。導電層9は例えば、Alを主成分とする金属からなる。
第1のフィルタF1と第2のフィルタF2とは同一の圧電層7上に位置する。圧電層7は、ニオブ酸リチウム(LiNbO,LN)やタンタル酸リチウム(LiTaO,LT)の単結晶、水晶、圧電セラミックス等からなる。その厚さについては後述する波長λを基準として1λ未満とする。詳しくは後述する。
圧電層7上には複数のパッド8が外周に沿って配置されている。パッド8AはポートP1(アンテナ)に電気的に接続され、パッド8TはポートP2,P3にそれぞれ電気的に接続され、パッド8Gは基準電位に接続される。そして、第1フィルタF1は、複数の直列共振子S11~S12と複数の並列共振子P11~P12とがラダー型に接続されたラダー型フィルタをなしている。同様に第2フィルタF2は、複数の直列共振子S21~S23と複数の並列共振子P21~P22とがラダー型に接続されたラダー型フィルタをなしている。なお、ラダー型フィルタを構成する直列共振子,並列共振子の数、その形状はこの例に限定されず、所望のフィルタ特性に合せて適宜設計すればよい。第3のフィルタF3,第4のフィルタF4の構成は特に限定されない。例えば縦結合型フィルタや、縦結合型フィルタとラダー型フィルタとを組み合わせたフィルタ等、所望の特性に合わせて自由に選択可能である。
図3は、共振子15(図2における直列共振子S11~S12,S21~S23,並列共振子P11~P12,P21~P22)の構造を示す要部平面図である。
共振子15は、いわゆる1ポート弾性波共振子として構成されており、概念的かつ模式的に示す端子17Aおよび17Bの一方から所定の周波数の電気信号が入力されると共振を生じ、その共振を生じた信号を端子17Aおよび17Bの他方から出力可能である。
共振子15は、例えば、IDT電極19と、IDT電極19の両側に位置する1対の反射器21とを含んでいる。
IDT電極19は、1対の櫛歯電極23を含んでいる。なお、視認性を良くするために、一方の櫛歯電極23にはハッチングを付している。各櫛歯電極23は、例えば、バスバー25と、バスバー25から互いに並列に延びる複数の電極指27と、複数の電極指27間においてバスバー25から突出するダミー電極29とを含んでいる。1対の櫛歯電極23は、複数の電極指27が互いに噛み合うように(交差するように)配置されている。
各電極指27は、例えば、概ね一定の幅で弾性波の伝搬方向に直交する方向に直線状に延びる長尺状に形成されている。各櫛歯電極23において、複数の電極指27は、弾性波の伝搬方向に配列されている。また、一方の櫛歯電極23の複数の電極指27と他方の櫛歯電極23の複数の電極指27とは、基本的には交互に配列されている。
複数の電極指27のピッチp(例えば互いに隣り合う2本の電極指27の中心間距離)は、IDT電極19内において基本的に一定である。なお、IDT電極19の一部に、他の大部分よりもピッチpが狭くなる狭ピッチ部、または他の大部分よりもピッチpが広くなる広ピッチ部が設けられてもよい。
なお、以下において、ピッチpという場合、特に断りがない限りは、上記のような狭ピッチ部または広ピッチ部のような特異な部分を除いた部分(複数の電極指27の大部分)のピッチをいうものとする。また、特異な部分を除いた大部分の複数の電極指27においても、ピッチが変化しているような場合においては、大部分の複数の電極指27のピッチの平均値をピッチpの値として用いてよい。そいて、このピッチpの2倍の値を波長λとする。
ダミー電極29は、例えば、概ね一定の幅で弾性波の伝搬方向に直交する方向に突出している。一方の櫛歯電極23のダミー電極29の先端は、他方の櫛歯電極23の電極指27の先端とギャップを介して対向している。なお、IDT電極19は、ダミー電極29を含まないものであってもよい。
1対の反射器21は、弾性波の伝搬方向において複数のIDT電極19の両側に位置している。反射器21は、互いに対向する1対のバスバー31と、1対のバスバー31間において延びる複数のストリップ電極33とを含んでいる。
そして図4に示すように、圧電層7の上面は、導電層9の上から、SiOやSi等からなる絶縁層35によって覆われていてもよい。図4において、絶縁層35の厚さは、第1フィルタF1を構成する導電層9の直上と、第2フィルタF2を構成する導電層9の直上とで略同一となっている。同様に、導電層9の厚さは、第1フィルタF1を構成する部分と、第2フィルタF2を構成する部分とで略同一となっている。ここで、略同一とは、例えば、厚さの差が導電層9の全体厚さの5%以下であることを言う。
また、図4に示すように、圧電層7の下面側には中間層5と支持基板3とが位置していてもよい。支持基板3は、例えば、絶縁材料であり、絶縁材料は、例えば、樹脂またはセラミックである。なお、支持基板3は、圧電層7等に比較して熱膨張係数が低い材料によって構成されていてもよい。この場合、例えば、温度変化によって弾性波装置1の周波数特性が変化してしまうおそれを低減することができる。このような材料としては、例えば、シリコン等の半導体、サファイア等の単結晶および酸化アルミニウム質焼結体等のセラミックを挙げることができる。なお、支持基板3は、互いに異なる材料からなる複数の層が積層されて構成されていてもよい。支持基板3の厚さは、例えば、圧電層7よりも厚い。
中間層5は、絶縁材料からなり、例えば酸化シリコンからなる。この場合には、支持基板3と圧電層7とを接合する接合材として機能するとともに、絶縁抵抗が高いことから電気的なロスを抑制することもできる。さらに、圧電層7を構成する材料よりも低音速の材料で中間層7を構成することで、圧電層7の厚み変化に対するロバスト性を高めることができる。
このような中間層5の厚みは例えば0.5λ以下としてもよい。
なお、この例では支持基板3としてシリコンを用いた場合を例に説明する。シリコンは圧電層7を構成する材料に比べ高音速である。
図2~図4に示した構成は、適宜にパッケージされてよい。パッケージは、例えば、不図示の基板上に隙間を介して圧電層7の上面を対向させるように図示の構成を実装し、その上から樹脂封止するものであってもよいし、圧電層7上に箱型のカバーを設けるウェハレベルパッケージ型のものであってもよい。
<IDT電極のピッチおよびデューティについて>
ここで、図4を用いて、第1のフィルタF1と第2のフィルタF2とのIDT電極19のピッチpとデューティdとについて説明する。第1のフィルタF1のピッチをp1,電極指幅をw1,デューティをd1とし、第2のフィルタF2のピッチをp2,電極指幅をw2,デューティをd2とする。なお、ここでp1,d1はそれぞれ、第1のフィルタF1の通過帯域B1を構成する共振子15の平均値を示すものとする。p2、d2についても同様である。デューティはピッチに対する電極指幅の比率を示すものである。
前述の通り、第1のフィルタF1の中心周波数f1は第2のフィルタF2の中心周波数f2よりも高い。すなわちf1>f2である。この場合に、本実施形態の弾性波装置1において、d1<d2となるように導電層9をパターニングしている。この例では導電層9,絶縁層35の厚みは略同一としているため、p1<p2のときにd1<d2としている。このような構成とすることで、圧電層7の厚さがばらついたときであっても、f1とf2との相対的な周波数変動を抑制することができる。以下、そのメカニズムと効果について詳述する。
図5に、圧電層7の厚さに対する共振子の共振周波数frの変化の様子を示す。共振子のモデルは図2~図4に示す構成とし、中間層5の厚みを0.3μmとした。
図5(a)はフィルタF1を構成する共振子(p1=0.988μm)に関するfrの変化を示し、図5(b)はフィルタF2を構成する共振子(p2=1.076μm)に関するfrの変化を示す。図5からも明らかなように、圧電層7の厚さが小さくなるにつれてfrが大きく変化する。具体的には圧電層7の厚みが1λ未満となると、圧電層7厚さとfrとの間に相関がでてくることが確認されている。さらに、frが高い程、圧電層7の厚さが変動したときのfrの変化量が大きくなっている。すなわち、周波数が高い程、圧電層7の厚みに対するfrの傾きが大きくなっている。
圧電層7の厚みを0.8μmの場合を例に検証すると、図5(a)に示す例では圧電層7が±0.1μm変動するとfrが±8.71MHz変動する。これに対して、図5(b)に示す例では圧電層7が±0.1μm変動するとfrが±8.00MHz変動する。
このことは、ある圧電層7の厚みにおいて、所望のf1、f2となるように設計した場合、圧電層7の厚さの変動(ばらつき)により、f1の変動とf2の変動とが異なることを示す。さらに言い換えると、f1-f2の値を相対周波数fとすると、圧電層7の厚さが変動したときにfが変化することを示す。圧電層7が薄くなればfは小さくなり、厚くなればfは大きくなる。圧電層7の厚さが変動してもfが一定であれば、同一チップ内で全体的に絶縁層35の厚さを変化させるなどして一様な調整で所望の周波数特性を得ることができる。しかしながら、fが変化する場合には、フィルタ毎の個別の調整が必要となり、所望の周波数特性を得られないか、得るために煩雑な調整が必要となり生産性が著しく低下する虞がある。
そこで、発明者はfを一定とする手段を検討し、Dutyに対する圧電層7の厚さとfrの変化量とに相関があることを見出した。図6(a),図6(b)に、デューティを異ならせたときの圧電層7の厚さに対する共振子の共振周波数frの変化の様子を示す。なお、図6(a),図6(b)のそれぞれにおいて、ピッチはそれぞれの固定値としている。図6(a)はフィルタF1を構成する共振子に関するfrの変化を示し、図6(b)はフィルタF2を構成する共振子に関するfrの変化を示す。いずれもデユーティは0.35~0.65まで変化させた。
図6から明らかなように、デューティを大きくすると圧電層7の厚みに対する周波数変化(fr変化)の傾きが大きくなっていることが分かる。なお、このような、デューティと圧電層7の厚さと周波数fr変化の関係は、圧電層7の厚さが1λ未満の領域に入って初めて発現する効果である。
以上から、圧電層7の厚みに対する周波数変化が大きい周波数帯のフィルタ(この例では第1のフィルタF1)においては圧電層7の厚みに対する周波数変化が小さいデューティとし、圧電層7の厚みに対する周波数変化が小さい周波数帯のフィルタ(この例では第2のフィルタF2)においては圧電層7の厚みに対する周波数変化が大きいデューティとすることで、fの変化を低減することができる。
圧電層7の厚みが0.8μmの場合について具体的に検討する。圧電層7の厚さが±0.1μm変動したときの周波数の変化量は以下の通りである。以下、デューティ/フィルタF1の周波数変動量/フィルタF2の周波数変動量として示す。
0.35/±8.19MHz/±7.28MHz
0.40/±8.19MHz/±7.53MHz
0.45/±8.45MHz/±7.76MHz
0.50/±8.71MHz/±8.00MHz
0.55/±8.45MHz/±8.00MHz
0.60/±8.71MHz/±8.25MHz
0.65/±8.71MHz/±8.25MHz
以上より、d1を0.40とし、d2を0.60とすれば、圧電層7の厚さを0.8μm±0.1μmとしたときにf±0.12MHzとなる。これはデューティを考慮しない場合に対して(例えば、d1,d2ともに0.5とした場合はf±1.42MHzであるのに対して)大幅にfの変動を抑制できることを示している。
また、実際には電極指のピッチ,デューティ,圧電基板厚みをマトリックス状に変化させてシミュレーションを行なった。その結果、p1がp2の0.92倍であれば、d1はd2-0.3~d2-0.1とすればよいことが分かった。
なお、このようなデューティの調整は、第1の通過帯域B1と第2の通過帯域B2との中心周波数差が大きい場合に特に有用である。中心周波数差が大きいとは、例えば150MHz以上の場合を指す。上記シミュレーションの場合には中心周波数差は約200MHzである。
また、弾性波装置1によれば、2つの送信フィルタを同じ圧電層7上に位置させることができる。すなわち、2つの送信フィルタを同一チップとすることができる。これにより、電力が大きい送信フィルタのチップの熱容量を大きくすることができるので耐電力性が向上する。
なお、圧電層7の厚さは、第1のフィルタF1を構成する共振子15、第2のフィルタF2を構成する共振子15の両方の波長λよりも小さいものとする。すなわち、第1のフィルタF1を構成する共振子15の波長λよりも小さくしている。言い換えると、波長λの最小値よりも小さくしていることとなる。
(他の実施形態)
上述の例では、図4に示すように、支持基板3,中間層5,圧電層7の構造体を用いた場合を例に説明したが、中間層5はなくてもよい。すなわち、支持基板3と圧電層7とは直接的に接合されていても、間接的に接合されていてもよい。
図7に、本実施形態に係る弾性波装置1Aの図4に相当する図を示す。図7に示すように、弾性波装置1Aは、支持基板3と圧電層7とが直接接合されている点で弾性波装置1と異なる。
この場合には、圧電層7の厚みに対するfrの変化の様子が弾性波装置1と逆転する。すなわち、圧電層7の厚みは薄い程frは高周波数側にシフトし、周波数が高い共振子(フィルタ)ほど、圧電層7の厚みに対するfrの変化量が小さくなり、デューティが小さい程周波数変化が大きくなる。この様子を図8(a),図8(b)に示す。図8(a),図8(b)は図5(a),図5(b)に相当する図である。
このように、圧電層7の厚みに対するfrの変化の様子は逆転するが、全ての傾向が逆転するため、f1>f2の場合にd1<d2とする構成からは変化しない。すなわち、圧電層7の厚みに対する周波数変化が大きい周波数帯のフィルタ(この例では第2のフィルタF2)においては圧電層7の厚みに対する周波数変化が小さいデューティとし、圧電層
7の厚みに対する周波数変化が小さい周波数帯のフィルタ(この例では第1のフィルタF1)においては圧電層7の厚みに対する周波数変化が大きいデューティとすることで、fの変化を低減することができる。
圧電層7の厚みが0.8μmの場合について具体的に検討する。圧電層7の厚さが±0.1μm変動したときの周波数の変化量は以下の通りである。以下、デューティ/フィルタF1の周波数変動量/フィルタF2の周波数変動量として示す。
0.35/±2.11MHz/±3.15MHz
0.40/±1.85MHz/±2.91MHz
0.45/±1.58MHz/±2.43MHz
0.50/±1.32MHz/±2.43MHz
0.55/±1.32MHz/±1.94MHz
0.60/±1.32MHz/±1.94MHz
0.65/±1.32MHz/±1.94MHz
以上より、d1を0.40とし、d2を0.55とすれば、圧電層7の厚さを0.8μm±0.1μmとしたときにf±0.18MHzとなる。これはデューティを考慮しない場合に対して(例えば、d1,d2ともに0.5とした場合はf±2.22MHzであるのに対して)大幅にfの変動を低減できることを示している。
(変形例)
弾性波装置1において中間層5の厚みを0.1λ以上としてもよい。図9に、λ=2μmとしたときの中間層5の厚みを異ならせたときの圧電層7の厚さとfrとの相関とを示す。図9において、横軸は圧電層の厚さ(単位:μm)、縦軸は周波数(単位:MHz)である。
図9において、中間層の厚さが0.02μm以下(0.01λ以下)となると圧電層の厚さを薄くするにつれてfrが高周波数側にシフトし、0.05μm以上(0.025λ以上)となると、圧電層の厚さを薄くするにつれてfrが低周波数側にシフトする様子が確認できる。
そして、図9からも明らかなように、中間層5の厚さが厚くなるほどfrの変化量が大きくなっている。すなわち、中間層5の厚さが0.1λ以上の場合には、fの変動を低減すべくd1、d2を調整してもよい。
また、図9からも明らかなように、圧電層7の厚さが薄くなるほどfrの変化量が大きくなっている。具体的には、0.5λ以下の場合には、特にfの変動を低減すべくd1、d2を調整してもよい。
(変形例)
弾性波装置1,1Aにおいて、中間層5を備える構成と、支持基板3と圧電層7とが直接接合される構成について例示したが、この限りではない。
圧電層7の厚さが1λ未満となると、厚さが薄くなるにつれfrが変化するようになる。ここで、frが高周波数側にシフトするか、低周波数側にシフトするかは、圧電層7の下側に位置する構造による。すなわち、図9からも推察されるように、圧電層7よりも低音速の材料が支配的な場合(例えば中間層5が酸化ケイ素からなり、一定の厚みを備える場合)には、frは低周波数側にシフトし、圧電層7よりも高音速の材料が支配的な場合(例えばシリコンからなる支持基板3が直接接合する場合や、空気と接する場合)には、frは高周波数側にシフトする。
そして、両ケースともに、f1>f2の場合にd1<d2とすることでfの変動を低減できる。このため、圧電層7の厚みが1λ未満であれば、圧電層7の下側に位置する構造によらずfの変動を低減できる。すなわち、支持基板3と圧電層7との間に圧電層7からの弾性波を反射する多層膜を介在させてもよい。多層膜は、圧電層7に比べ音速の速い材料からなる層と遅い材料からなる層を交互に積層させたものとしてもよい。中間層5と支持基板3との間、中間層3と圧電層7との間、多層膜の層間、等に介在層を含んでいてもよい。
(変形例)
上述の例では、第1のフィルタF1を構成する全ての共振子のデューティの平均値d1を、第2のフィルタF2を構成する全ての共振子のデューティの平均値d2よりも小さくしたが、第1のフィルタF1を構成する全ての共振子のデューティが第1のフィルタF1を構成する全ての共振子のデューティよりも小さくしてもよい。
(変形例)
上述の例では、マルチプレクサを構成するうちの2つのフィルタ(F1,F2)についてデューティを調整した例を説明したがこの限りではない。3以上のフィルタについて同様に同一圧電層7上に位置させて同様に周波数の高いフィルタほどデューティが小さくなるようにデューティを調整してもよい。マルチプレクサが5以上のフィルタを備えていてもよい。また、マルチプレクサを構成するフィルタのうち、通過帯域が最も高周波数のフィルタと最も低周波数のフィルタとにおいてデューティを調整してもよい。その場合にはマルチプレクサ全体のfの変動を低減することができる。
また、弾性波装置はマルチプレクサに限定されずDualフィルタ等であってもよい。
また、上述の例では2つのフィルタ(F1,F2)共にラダー型フィルタの場合を例に説明したが、縦結合型フィルタや、縦結合型フィルタとラダー型フィルタとの組み合わせであってもよい。さらに、上述の例では2つのフィルタ(F1,F2)共に送信フィルタとした例を説明したが、送信フィルタと受信フィルタとしてもよい。
1:弾性波装置、7:圧電層、19:IDT電極、27:電極指、F1:第1のフィルタ、F2:第2のフィルタ

Claims (7)

  1. 圧電層と、
    前記圧電層上に位置する第1の通過帯域を備える第1のフィルタと、
    前記圧電層上に位置する、前記第1の通過帯域とは異なる第2の通過帯域を備える第2のフィルタと、
    を有し、
    前記第1のフィルタおよび前記第2のフィルタは、複数の電極指を備え、弾性波を励振するIDT電極を複数備えており、前記第1の通過帯域の中心周波数は前記第2の通過帯域の中心周波数よりも高く、前記第1のフィルタにおける複数の前記IDT電極のデューティの平均値は、前記第2のフィルタにおける複数の前記IDT電極のデューティの平均値よりも小さく、
    前記複数の電極指の繰り返し間隔の2倍を波長λと定義すると、前記圧電層の厚さは、複数の前記IDT電極の波長λの中の最小値未満の厚みであり、
    前記第1のフィルタにおける複数の前記IDT電極のデューティの平均値と前記第2のフィルタにおける複数の前記IDT電極のデューティの平均値の差は0.20以上であり、
    前記第1のフィルタにおける複数の前記IDT電極のデューティの全てが、前記第2のフィルタにおける複数の前記IDT電極のデューティの全てよりも小さい、
    弾性波装置。
  2. 圧電層と、
    前記圧電層上に位置する第1の通過帯域を備える第1のフィルタと、
    前記圧電層上に位置する、前記第1の通過帯域とは異なる第2の通過帯域を備える第2のフィルタと、
    前記圧電層の前記第1のフィルタおよび前記第2のフィルタが位置する側と反対側の面に、直接接合された支持基板と、
    を有し、
    前記第1のフィルタおよび前記第2のフィルタは、複数の電極指を備え、弾性波を励振するIDT電極を複数備えており、前記第1の通過帯域の中心周波数は前記第2の通過帯域の中心周波数よりも高く、前記第1のフィルタにおける複数の前記IDT電極のデューティの平均値は、前記第2のフィルタにおける複数の前記IDT電極のデューティの平均値よりも小さく、
    前記複数の電極指の繰り返し間隔の2倍を波長λと定義すると、前記圧電層の厚さは、複数の前記IDT電極の波長λの中の最小値未満の厚みであり、
    前記第1のフィルタにおける複数の前記IDT電極のデューティの平均値と前記第2のフィルタにおける複数の前記IDT電極のデューティの平均値の差は0.15以上であり、
    前記第1のフィルタにおける複数の前記IDT電極のデューティの全てが、前記第2のフィルタにおける複数の前記IDT電極のデューティの全てよりも小さい、
    弾性波装置。
  3. 前記第1のフィルタにおける複数の前記IDT電極および前記第2のフィルタにおける複数の前記IDT電極を覆う絶縁層をさらに備え、
    前記絶縁層の厚さは、前記第1のフィルタにおける複数の前記IDT電極の直上と、前記第2のフィルタにおける複数の前記IDT電極の直上とで略同一であり、
    前記第1のフィルタにおける複数の前記IDT電極および前記第2のフィルタにおける複数の前記IDT電極の厚さは、略同一である、請求項1または2に記載の弾性波装置。
  4. 前記圧電層の前記第1のフィルタおよび前記第2のフィルタが位置する側と反対側の面に、直接または間接的に接合された支持基板を備える、請求項に記載の弾性波装置。
  5. 前記支持基板はシリコンからなり、
    前記圧電層と前記支持基板との間に酸化シリコンからなる中間層が位置する、請求項に記載の弾性波装置。
  6. 前記圧電層上に位置し、前記第1の通過帯域の中心周波数と前記第2の通過帯域の中心周波数との間の中心周波数である第3の通過帯域を有する第3のフィルタをさらに備える、請求項1乃至のいずれかに記載の弾性波装置。
  7. 前記第1のフィルタおよび前記第2のフィルタはいずれも送信フィルタである、請求項1乃至のいずれかに記載の弾性波装置。
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