以下に添付図面を参照して、本発明に係る自動販売機の好適な実施の形態について詳細に説明する。
図1および図2は、本発明の実施の形態である自動販売機を示す。ここで例示する自動販売機は、商品として箱入り商品等の定形な商品や袋入り商品等の不定形な商品を収納して販売する汎用の自動販売機である。なお、以下の説明において「前面」および「左右」とは自動販売機の接客面側から見た場合を指している。
図1および図2に示すようにこの自動販売機は、外箱を形成する本体キャビネット1を備えている。本体キャビネット1は、図1の(b)に示すように、平面視矩形の基台1aと、鋼板製の天板1b,左右側板1c,背板1d(図2参照)とにより前面が開口した直方状に形成されている。本体キャビネット1の内部は、仕切部材2を挟んで左方側が商品収納本体部3、右方側が課金部収納部4として形成されている。
商品収納本体部3は前面が開口した直方状の形態をなしている。商品収納本体部3内には商品収納庫31と機械室32とが上下に区画されて設けられている。商品収納庫31は、ウレタンフォームからなる断熱部材よりなる上壁311,底壁312,背壁313、左側壁314(図2参照)および右側壁としての仕切部材2によって前面が開口した六面体をなし、この六面体の開口した前面を閉塞する前面扉5により囲繞された断熱構造の室である。
前面扉5は商品収納本体部3の前面開口を閉塞するのに十分な大きさを有しており、左端側の上下両端に上下方向に突出する態様で設けたヒンジ軸が本体キャビネット1の左側前方上縁部および基台1aの左側前方縁部に設けたヒンジ機構により保持されることにより揺動可能である。また、前面扉5の前面には大きく開口した窓51が形成され、この窓51に複数層の透明なガラスからなる面板52が嵌め込まれ、複数層の面板52により断熱機能を備えたるガラス製扉(断熱性扉)として形成されている。さらに、前面扉5には面板52の下部に商品取出口53が形成されている。この商品取出口53には上端を軸支されて垂下するフラッパ53aが設けられている。フラッパ53aは断熱材料を貼着するなどにより断熱性を有するものである。
本体キャビネット1内の課金部収納部4は硬貨識別装置や紙幣識別装置、自動販売機の主制御装置、電源ボックス、漏電遮断器等の構成部品などを格納する室であり、常温庫として形成されている。課金部収納部4の前面開口は、本体キャビネット1の前方右側縁部に設けたヒンジ機構(不図示)により開閉自在に取付けられた前面扉40により閉塞されている。前面扉40は右端側の上下両端に上下方向に突出する態様で設けたヒンジ軸が本体キャビネット1の右側前方上縁部および基台1aの右側前方縁部に設けたヒンジ機構により保持されることにより揺動可能である。前面扉5および前面扉40はそれぞれのヒンジ機構が本体キャビネット1の左側および右側に設けられていることにより観音開き式の扉を構成する。前面扉40の前面には硬貨投入口41、紙幣挿入口42、返却レバー43、表示器44、硬貨返却口45、テンキーおよび決定キーなどからなる商品選択部46、電子マネー搭載の記録媒体(ICカード,携帯電話等)のアンテナ部47、キーロック装置48が設けられている。表示器44は商品選択部46から入力された入力情報,販売中,投入金額,釣銭切れ,紙幣中止などの各種情報を表示するものである。キーロック装置48は、前面扉40および前面扉5を閉じた状態にロックするものであり、観音開き式の前面扉5を閉じた状態で前面扉40を閉じることにより両者を閉じた状態にロックするものである。
断熱構造の商品収納庫31内には、図2に示すように、商品収納ラック6、冷却ユニット7、商品搬送装置8、背面ダクト9および上面ダクト10が設置してある。
商品収納ラック6は、上下方向に複数段(図示の例では5個)配設されている。各商品収納ラック6には、前後方向に整列して収納された商品を顧客の選択に応じて払い出す商品払出機構が敷設され、この実施の形態では商品搬出機構としてスパイラル機構63が設けられている。スパイラル機構63は前後方向に延在する螺旋状に巻かれたスパイラル61および前記スパイラル61に伝動連結されるとともに前記スパイラル61を回転駆動する駆動モーターを内蔵する駆動ユニット62を備えてなる。スパイラル機構63は駆動ユニット62によりスパイラル61を回転駆動することにより螺旋ピッチ間に保持した商品を後方側から前方側に向けて順次搬送して払い出すものであり、同一品目の商品を収納する商品コラムとして形成されている。商品収納ラック6にはスパイラル機構63により形成される商品コラムが左右方向に複数画成されている。なお、各スパイラル機構63の前端には商品コラムの番号を示す数字が表記された表示板(不図示)が設けられているものである。
冷却ユニット7は商品収納庫31に設置された複数段の商品収納ラック6の下部に配置されている。冷却ユニット7は蒸発器71と庫内ファン72とを備えている。冷却ユニット7は、庫内ファン72の駆動によって蒸発器71により冷却した商品収納庫31内の空気を、背面ダクト9から商品収納庫31の庫内を介して循環させることにより商品収納ラック6に収納した商品を冷却するものである。また、冷却ユニット7の庫内ファン72は商品収納ラック6に収納した商品の冷却に加えて、後述する背面ダクト9および上面ダクト10を介して商品収納庫31の前方寄りの位置にエアカーテンを形成するものである。
商品収納庫31と底壁312を介して区画された機械室32には前記冷却ユニット7の蒸発器71と冷凍サイクルを形成する冷凍機のコンデンシングユニット320が配設されている。冷凍機のコンデンシングユニット320は、圧縮機321,凝縮器322,庫外ファン323,膨張弁(不図示)などからなり、圧縮機321と凝縮器322との間が冷媒配管により接続されるとともに凝縮器322と商品収納庫31に配された冷却ユニット7の蒸発器71との間が膨張弁を介して冷媒配管により接続されている。
商品搬送装置8は、上下方向に複数段配設された商品収納ラック6の前方域に設けてあり、図3に示すように、Y軸搬送部81と、搬送バケット82とを備えて構成してある。搬送バケット82は左右側壁を形成する左右側板821,821(図3では右側の側板821は隠れて見えない)と底壁を形成する底板822と備え、底板822は横断面が下方に凸の湾曲状に形成されている。また、左右側板821には、商品収納ラック6の商品コラムから底板822に払い出された商品を検知する商品検知スイッチ(光電センサ)の投光素子を内蔵した投光モジュール823および受光素子を内蔵した受光モジュール824が対向して配置されており、これらの投光モジュール823および受光モジュール824を保護するカバー部材825,825が設けられている。
Y軸搬送部81は、搬送バケット82をY軸方向、すなわち上下方向に沿って移動させるものである。このY軸搬送部81は、前記搬送バケット82を、販売待機時に上下方向に複数段の商品収納ラック6から外れた下方位置である商品取出口53の背後であって機械室32の前方域の待機位置(図2参照)に移動させ、商品販売時に商品を払い出す商品コラムが含まれる商品収納ラック6の段に臨む位置に移動させる一方、商品受容後に前記待機位置に移動させるY軸モジュールを備えている。
Y軸モジュールは、商品収納庫31内の前端部に取付金具8110を介して設置される左右の枠部材811,811と、枠部材811,811に軸支された連結軸812aにより連結されてなる左右の駆動プーリー812,812(図2参照:図2では左側の駆動プーリー812が見えている)に巻き掛けられ、一端に前記搬送バケット82の左右側板821,821が接続される一方、他端にバランスウエイト814,814が接続されたタイミングベルト813,813と、前記駆動プーリー812,812を、歯車減速機構を介して駆動する駆動モーターを内蔵した駆動ユニット815とからなる。なお、バランスウエイト814はカバー部材8111に覆われており、図3では点線で示している。
タイミングベルト813,813は歯付きベルトとして形成され、このタイミングベルト813,813が巻き掛けられた駆動プーリー812,812も歯付きプーリーとして形成されている。タイミングベルト813,813の他端に接続されたバランスウエイト814,814はタイミングベルト813,813の一端に懸架される搬送バケット82側の重量とのバランスをとるものであり、搬送バケット82側の重量に対して僅かに軽い重量に定められている。
搬送バケット82は左右の枠部材811,811の内側に凸となる態様で配設された上下方向に延在する2つの軌条からなるガイドレール(不図示)に沿って上下方向に移動するように構成されている。この場合、搬送バケット82の左右側板821,821には、後方側に2組の上下一対のローラー(不図示)がそれぞれ取付けられている。2組の上下一対のローラーは前記2条のガイドレールの間に位置して2組の上下一対のそれぞれのローラーが2条のガイドレールに当接する態様で配置される。これにより前記搬送バケット82は円滑に昇降するものである。なお、前記搬送バケット82の左右側板821,821に設けた2組の上下一対のローラーと枠部材811,811の内側に凸となる態様で配設された2条のガイドレールとの関係と同様に、バランスウエイト814,814にも複数のローラーが設けられ、これらの複数のローラーに対応するガイドレールが左右の枠部材811,811の内側に凸となる態様で設けられているものである。
なお、この実施の形態では搬送バケット82の販売待機時が、図2に示すように商品取出口53の背後であって機械室32の前方域に定められていることから、商品収納庫31が商品取出口53に連通している。このため、待機位置にある搬送バケット82を囲う態様で上面および前面が開口した箱形断熱部材315(図2では塗り潰して示している)を設けるとともに商品取出口53の周囲および商品取出口53を開閉するフラッパ53aも断熱性を備えて構成されている。
さて、背面ダクト9および上面ダクト10を図4に示し、図4の(a)は連携した背面ダクト9と上面ダクト10とを斜め上方から見た斜視図、図4の(b)は背面ダクト9と上面ダクト10との連携箇所を斜め下方から見た拡大斜視図ある。
背面ダクト9は前記商品収納庫31の背壁313に上下方向に沿って配設されるものである。上面ダクト10は背面ダクト9の上部流出口に連通するとともに商品収納庫31の上壁311に沿って前後方向の通風路を形成するものである。この上面ダクト10の前端には前記背面ダクト9と上面ダクト10とを介して導かれた空気を下向きに導いてエアカーテンを形成するエアガイド20が配設されている。
背面ダクト9を図5に示し、図5の(a)は背面ダクト9の斜視図、図5の(b)はその分解図である。背面ダクト9は、隔壁板91と左右2枚の断熱部材92,92との組立体になる。隔壁板91は平板状の板金製になり、前方域の商品収納庫31の庫内と、後方域、すなわち本体キャビネット1の背壁313との間に形成される通風路とに仕切るものである。隔壁板91の下部には下部流入口911が切り欠きにより形成され、この下部流入口911と上縁との間に設けられた複数の吹出口91aが商品収納ラック6の段に応じて設けられている。隔壁板91の左右側縁には切り起こしにより当接片912,912が形成され、当該当接片912,912の切り起こしにより隔壁板91の左右側縁の上下両端部に載置片913,913がそれぞれ形成されている。左右2枚の断熱部材92,92は隔壁板91と本体キャビネット1の背壁313との間に通風路となる空間を画成するものであって、ウレタンフォームの断熱材により長尺の矩形形状の形成されている。
背面ダクト9は、隔壁板91の当接片912,912に左右2枚の断熱部材92,92の内壁面を密着させる態様で配置することにより隔壁板91の左右側縁の上下両端部に形成された載置片913,913が断熱部材92,92の前面に載置される。この場合、隔壁板91の左右側縁の上下両端部に形成された載置片913,913の背面側に両面テープが貼着されているものであり、この両面テープによって断熱部材92,92と隔壁板91とが一体となって背面ダクト9としてモジュール化される。このようにモジュール化された背面ダクト9は断熱部材92,92の背面に貼着した両面テープによって本体キャビネット1の背壁313に取付けられる。背面ダクト9を本体キャビネット1の背壁313に沿うように配設した状態で隔壁板91と左右2枚の断熱部材92,92と本体キャビネット1の背壁313とにより囲まれた空間が通風路として形成され、隔壁板91に上縁の部位が上部流出口914として形成される。なお、隔壁板91の下部流入口911の縁部に配設されたスペーサー915は、冷却ユニット7の蒸発器71と庫内ファン72とを覆う風洞(不図示)と隔壁板91との間の隙間を埋めるものである。
図6は上面ダクト10とエアガイド20との組立体を示し、図6の(a)は上面ダクト10にエアガイド20を組付けた組立体の斜視図、図6の(b)は上面ダクト10からエアガイド20を取り外した分解図である。また、上面ダクト10の分解図を図7に示し、エアガイド20の分解図を図8に示す。
前記上面ダクト10は、図6にも示すように、隔壁板11と閉塞板12,12とからなり、隔壁板11に複数(この実施の形態では4個)の通風路形成部材13が固着されている。隔壁板11は平板状の板金製になり、下方域の商品収納庫31の庫内と、上方域、すなわち本体キャビネット1の上壁311との間に形成される通風路とに仕切るものである。隔壁板11は矩形形状の隔壁部111と、この隔壁部111の左右両端から直角に折り曲げられた左右側壁112,112と、左右側壁112,112の自由端を外側方向に直角に折り曲げて形成された鍔部113,113とからなり、隔壁部111の後端には下り傾斜の連結部114(図4の(b)も参照)が設けられている。連結部114の端縁には鉛直方向に折り曲げられて形成された連結片114a(図4の(b)に点線で示している)が設けられている。閉塞板12,12は背面ダクト9と上面ダクト10との連携箇所に生じる空隙を閉塞するものであり、空隙の形状に応じて適宜に形成されている。
上面ダクト10は、鍔部113,113が本体キャビネット1の上壁311に沿って前後方向を向く態様で商品収納庫31内に挿入し、上面ダクト10を前傾姿勢となるように傾けた状態で連結部114の端縁に設けた連結片114aを背面ダクト9の上部流出口914に差し込んだ後、上面ダクト10を水平姿勢に戻すと前記連結片114aが背面ダクト9の隔壁板91の背面に平行となるので、当該連結片114aを背面ダクト9の隔壁板91の背面に重ね合わせたうえで両者をねじ止めする。そして、上面ダクト10の鍔部113,113を本体キャビネット1の上壁311にねじ止めする。そして、上面ダクト10の左右側壁112,112の後端部に閉塞板12,12をねじ止めする。この閉塞板12,12は背面ダクト9の上部流出口914と上面ダクト10の左右側壁112,112の後縁との間に生じる空隙を閉塞して循環空気の流出を防止するものである。これにより上面ダクト10の隔壁部111と本体キャビネット1の上壁311との間に、背面ダクト9の上部流出口914に連通するとともに商品収納庫31の上壁311に沿って前後方向の通風路が形成される。なお、本体キャビネット1の上壁311には、上面ダクト10の鍔部113,113をねじ止めするために平板状の取付金具(不図示)が貼着されているものである。
上面ダクト10の隔壁板11に固着された通風路形成部材13は上面ダクト10内の通風路を左右方向に複数に区分するものであり、前後方向に長尺であって縦断面がL字状の折り曲げられた鋼板製になる。通風路形成部材13は、この実施の形態では上面ダクト1内の通風路の中央を挟んで左右に対の第1の通風路形成部材131L,131Rおよび第2の通風路形成部材132L,132Rからなり、第1の通風路形成部材131L,131Rおよび第2の通風路形成部材132L,132Rは後端側の左右幅に対して前端側の左右幅が拡開される態様で上面ダクト10の隔壁板11に固着される。このように、後端の左右幅に対して前端の左右幅が拡開されてなる第1の通風路形成部材131L,131Rおよび第2の通風路形成部材132L,132Rにより、上面ダクト10内の通風路の幅方向の流速は、中央領域における流速に対して左右領域における流速が早くなるようにコントロールされる。
エアガイド20は、図8に示すように、整流体21と支持体22とからなる。整流体21は、循環する空気を下向きに案内してエアカーテンを形成するものであり、ハニカム構造を有する合成樹脂製になる。整流体21は、ハニカム状の細孔が上下方向に向いた左右方向に長尺のものであって、前後面が平行で、かつ、水平の底面に対して上面が後方に向けて下り傾斜に斜めカットされた傾斜面21aとして形成され、整流体21の前面の高さt1が後面の高さt0よりも大きいものである。前記整流体21の前面の高さt1と後面の高さt0との差は上面ダクト10の左右側壁112,112の高さよりも小さく形成され、この整流体21の傾斜面21aが前記上面ダクト10の通風路の出口に面するように構成されている。
支持体22は整流体21を格納した状態で上面ダクト10の前端に設置されるものであり、図9に示すように、薄板鋼板製の第1支持部材23および第2支持部材24からなる。第1支持部材23は左右方向に長尺であって整流体21の後面の高さt0と略同一の大きさ(高さ寸法)の基部231を備えている。第1支持部材23には基部231の下縁から前方に向けて複数(この実施の形態では左右両側と中央の3個)のアーム232が分散して設けられ、各アーム232の自由端にはフック232aが形成されている。また、第1支持部材23には基部231の上縁から後方に向けて折り曲げて形成された鍔部233が設けられている。第2支持部材24は左右方向に長尺であって整流体21の前面の高さt1よりも大きい(高い寸法)基部241を備えている。基部241の左右両端は後方に向けて折り曲げることにより左右側壁242,242が形成され、左右側壁242,242の上端寄りには後方に向けて突出する係合片242a,242aが設けられている。また、第2支持部材24には基部241の上縁から前方に向けて折り曲げて形成された鍔部243が設けられている。
第1支持部材23は鍔部233を、図11に示すように、上面ダクト10の隔壁板11を構成する隔壁部111の前方側上面に載置して重ね合わせた状態でねじ止めすることにより上面ダクト10に固着され、第2支持部材24は左右側壁242,242の係合片242a,242aを上面ダクト10の左右側壁112,112の外側に重ね合わせた状態でねじ止めすることにより上面ダクト10に固着される。この場合、第2支持部材24の基部241の下縁は第1支持部材23の各アーム232に載置される態様でその先端に設けたフック232aに係止される。このように、第1および第2支持部材23,24を上面ダクト10に固着した状態の支持体22を図10に示す。図10は支持体22を後方側斜め上方から見た斜視図である。この図10から分かるように、支持体22には、第1支持部材23の基部231と第2支持部材24の基部241と第2支持部材24の左右側壁242,242により囲まれた空間が形成され、この空間に整流体21が格納される。この場合、整流体21は、図11に示すように、傾斜面21aが後方を向く態様、つまり、上面ダクト10の通風路の出口に面する態様で配置される。なお、整流体21については、第1支持部材23を上面ダクト10に取り付けた状態で第1支持部材23の各アーム232の上に載置することにより組付けられるものであり、その後、第2支持部材24の左右側壁242,242の係合片242a,242aを上面ダクト10に固着することによりエアガイド20が上面ダクト10に一体的に取付けられる。また、第2支持部材24の鍔部243は、上面ダクト10の鍔部113,113と同様に、本体キャビネット1の上壁311に貼着された取付金具(不図示)にねじ止めされる。
以上のような構成を有する自動販売機では、課金部収納部4に配設された自動販売機の主制御装置が、投入貨幣の金銭処理或いは決済処理、商品冷却運転、商品選択に伴う商品販売制御処理などの自動販売機全体の処理を司る。
かかる構成の自動販売機における商品冷却運転時、冷凍機のコンデンシングユニット320の圧縮機321,庫外ファン323および冷却ユニット7の庫内ファン72が駆動される。圧縮機321の駆動により圧縮された冷媒は冷媒管路を通じて凝縮器322に至り、凝縮器322で放熱して膨張弁(不図示)に至る。膨張弁に至った冷媒は、断熱膨張して蒸発器71に至り、蒸発器71で蒸発した後に圧縮機321に吸引されて冷凍サイクルを循環する。一方、商品収容庫31の庫内の空気は、庫内ファン72の駆動により蒸発器71の周囲を通過し、蒸発器71を通過中の冷媒と熱交換して冷却される。冷却された空気は、冷却ユニット7の風洞を介して背面ダクト9の下部流入口911に流入して背面ダクト9の通風路を上昇した後、背面ダクト9の上部流出口914から上面ダクト10内に至る。なお、背面ダクト9の通風路を上昇する冷却された空気は隔壁板91に設けられた複数の吹出口91aより商品収納庫31内に吹き出される。吹出口91aより吹き出された空気は、商品収納庫31内を通過して再び蒸発器71の周囲を通過するように循環して商品収納ラック6に収納された商品を冷却する。
背面ダクト9から上面ダクト10に至った空気は、上面ダクト10の通風路を通過する過程において通風路形成部材13により左右方向に複数に区分されてエアガイド20の整流体21に至る。エアガイド20の整流体21に至った空気は前記整流体21により下向きに案内されて庫内ファン72に吸引されて循環する。エアガイド20の整流体21により下向きに案内される空気は、前面扉(断熱性扉)5から離隔したエアカーテンを形成する。この前面扉(断熱性扉)5から離隔したエアカーテンによって前面扉(断熱性扉)5からの外気熱の侵入が抑制される。
ここで、上面ダクト10内にはその通風路を左右方向に複数に区分する通風路形成部材13が配設され、この通風路形成部材13を構成する第1の通風路形成部材131L,131Rおよび第2の通風路形成部材132L,132Rが、後端側の左右幅に対して前端側の左右幅が拡開される態様で配設されているので、上面ダクト10内の通風路の幅方向の流速は、中央領域における流速に対して左右領域における流速が早くなるようにコントロールされており、エアガイド20の整流体21により下向きに案内される空気により形成されるエアカーテンも中央領域における流速に対して左右領域における流速が早くなるようにコントロールされている。これにより、前面扉(断熱性扉)5の中央領域からの外気熱の侵入を抑制しつつ外気熱侵入量が最大となる前面扉(断熱性扉)5と左側壁314(図2参照)および右側壁としての仕切部材2とにより画成される商品収納庫31の前方側隅部領域からの外気熱の侵入を効果的に抑制することが可能となる。従って、前面扉(断熱性扉)5と左側壁314(図2参照)および右側壁としての仕切部材2とにより画成される商品収納庫31の前方側隅部近傍の商品温度が商品収納庫31の中央領域における商品温度に近似して商品収納庫31内全域の商品温度の差を所望の温度範囲内とすることができるものである。
前述したように、本発明の請求項1に係る自動販売機によれば、断熱部材よりなるとともに前面が開口した六面体およびこの六面体の開口した前面を断熱性扉(前面扉5)により閉塞してなる断熱部材により囲繞された断熱構造の商品収納庫31と、この商品収納庫31内に収容された商品収納ラック6および前記商品収納ラック6に収納された商品を冷却する蒸発器71,庫内ファン72を有する冷却ユニット7と、前記商品収納庫31の背面に上下方向に沿って配設され、かつ、下部流入口911と上部流出口914との間に設けられた複数の吹出口91aを有する背面ダクト9と、この背面ダクト9の上部流出口914に連通するとともに商品収納庫31の上壁311に沿って前後方向の通風路を形成する上面ダクト10と、この上面ダクト10の前端に配設されるとともに前記背面ダクト9と上面ダクト10とを介して導かれた空気を下向きに導いてエアカーテンを形成するエアガイド20と、を備えた自動販売機において、前記上面ダクト10内の通風路を左右方向に複数に区分して当該上面ダクト10内の通風路の左右方向の流速を中央領域における流速に対して左右領域における流速が早くなるようにする態様で上面ダクト10内に左右に対として配設されるとともに後端側の左右幅に対して前端側の左右幅が拡開されてなる通風路形成部材13を備え、前記エアガイド20は、断熱性扉(前面扉5)から離隔したエアカーテンを形成する態様で上面ダクト10の前端に配設されてなることにより、エアカーテンの幅方向の流速を、中央領域における流速に対して左右領域における流速が早くなるようにコントロールし、断熱性扉(前面扉5)の中央領域からの外気熱の侵入を抑制しつつ外気熱侵入量が最大となる断熱性扉(前面扉5)と左右側壁(左側壁314および右側壁としての仕切部材2)とにより画成される商品収納庫31の前方側隅部領域からの外気熱の侵入をも効果的に抑制し、断熱性扉(前面扉5)と左右側壁(左側壁314および右側壁としての仕切部材2)とにより画成される商品収納庫31の前方側隅部近傍の商品温度が商品収納庫の中央領域における商品温度に近似して商品収納庫内全域の商品温度の差を所望の温度範囲内とすることができるという効果を奏するものである。さらに、断熱性扉(前面扉5)から離隔したエアカーテンにより商品収納庫31内の冷気が断熱性扉(前面扉5)に直接接触することがないことから断熱性扉(前面扉5)の内壁に結露が生じることを防止することができ、断熱性扉(前面扉5)が内部を透視可能なガラス製扉である場合に透視効果を損なうことがないという効果をも有する。
なお、前述した実施の形態では、商品収納庫31の前面開口を閉塞する断熱性扉として複数層の透明なガラスからなる面板52が嵌め込まれたガラス製扉(断熱性扉)からなる前面扉5について説明したが、特許文献1に記載された発明のように商品収納庫31の前面開口を閉塞する断熱内扉であるものにも適用できるものである。従って、本発明にかかる自動販売機は実施の形態に示したものに限定されるものではない。