以下、本発明の実施の形態の自動販売機を添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1に示すように本発明に係る自動販売機は、前面が開口した断熱筐体として構成された本体キャビネット1と、本体キャビネット1の前面に開閉可能に支持された片開き式の外扉2と、外扉2と本体キャビネット1の前面との間に配設された断熱内扉3とを備えている。本体キャビネット1は、図3に示すように、鋼板製の外箱の内側である上壁1a,背壁1b,左右側壁1cおよび底壁1dにウレタンフォームからなる断熱材を配設して断熱筐体として構成されている。この本体キャビネット1の断熱材で囲まれた庫内が商品収納庫として構成され、本体キャビネット1の下部が機械室8として構成されている。商品収納庫内はウレタンフォームからなる断熱材により構成された断熱仕切板11により左右方向に複数の商品収納室12,13,14に区画されている。前記各商品収納室12,13,14には、この例ではサーペンタイン方式と呼ばれる蛇行した商品収納通路43(図2、図3参照)を有する商品収納ラック4がそれぞれ収設されている。この実施の形態では、商品収納室12に左右2基の商品収納ラック4,4が収納設置され、商品収納室13に1基の商品収納ラック4が収設され、商品収納室14に左右2基の商品収納ラック4,4が収納設置されている。
前記商品収納ラック4は、図2に示すように、平板状の薄板鋼板からなる左右一対のラック側板41,41、このラック側板41,41に上下方向に半ピッチずらして向かい合わせに架設した前後一対の湾曲状レールセグメント列42の間に画成された前後複数列(図では5列)の蛇行状の商品収納通路(商品コラム)43、本体キャビネット1の前面開口に形成された商品投入口SL(図1参照)と2列目以降の商品収納通路43の上端入口とを連係するトップトレイ44、前記それぞれの商品収納通路43の下端出口に配設された商品搬出装置45、この商品搬出装置45と商品収納通路43を挟んで対向配置された出口調整板46(図3、図4も参照)、および左右一対のラック側板41,41の下端部の前面側に配設された固定部材47(図2、図4参照)とからなる。前記固定部材47は左右一対のラック側板41,41に跨がる態様でラック側板41,41に固着されている。前記商品収納ラック4は、この例では、図2に示すように、前後方向に2列の商品収納通路43を備えた前段側の商品収納ラック4a、および前後方向に3列の商品収納通路43を備えた後段側の商品収納ラック4bからなるものであり、各商品収納ラック4a,4bのそれぞれのラック側板41,41の上端に架設されたラック側フック金具40,40を商品収納庫の天井に敷設された本体側フック金具(不図示)に係止固定することにより商品収納庫に吊下げて支持される。斯様に商品収納庫内に吊下げて支持されるとともに下端部の前面側に固定部材47が設けられた商品収納ラック4の下端部は、前記固定部材47に対峙する態様で商品収納室の前面を横切るとともに隣接する断熱仕切板11,11若しくは本体キャビネット1の左右側壁1c,1cとの左右側壁1c,1cに隣接する断熱仕切板11に左右両端が係止されて横架されるともに前記固定部材47とねじS(図8参照)で締結されるラック固定金具10により固定されることにより前後若しくは左右への揺れ止めが図られている。
商品収納ラック4の下部には、前下がりの姿勢に傾斜して配されるとともにその板面に複数の通気孔5aが穿孔された商品搬出シュータ5が配設され、商品搬出シュータ5の背後の空間に商品収納ラック4に収納した商品を冷却若しくは加熱してコールド若しくはホット状態に保存する冷却/加熱ユニット6(図3参照)が配設されている。冷却/加熱ユニット6は、図3に示すように、蒸発器6aとヒータ6bと庫内ファン6cとが、前方側から庫内ファン6c,ヒータ6b,蒸発器6aの順に前後方向に並置されている。蒸発器6a,ヒータ6b,庫内ファン6cは、それぞれを囲繞して保護する風洞(不図示)内に配されている。前記冷却/加熱ユニット6の蒸発器6aと冷凍サイクルを形成する冷凍機コンデンシングユニット9(図3参照)が本体キャビネット1の下部の機械室8に配設されている。冷凍機コンデンシングユニット9は、図3に示すように、圧縮機9a,凝縮器9b,庫外ファン9c,膨張弁(不図示)などからなり、商品収納庫外に配された凝縮器9bと商品収納庫内に配された蒸発器6aとが膨張弁を介して冷媒配管により接続されている。
前記商品収納ラック4と、商品搬出シュータ5と、冷却/加熱ユニット6とが上下の順に配備された商品収納庫の前面は開閉可能な断熱内扉3によって閉塞されている。この断熱内扉3は上下方向に上部側内扉3aと下部側内扉3bとに分割されている。上部側内扉3aは幅方向一端側(正面視左端側)がヒンジ機構(不図示)を介して開閉自在に外扉2の背面に配設されて外扉2の開閉に応じて商品収納庫の前面を閉塞・開放する。下部側内扉3bは幅方向一端側(正面視左端側)がヒンジ機構(不図示)を介して本体キャビネット1に開閉自在に配設されている。下部側内扉3bには各商品収納室12,13,14の商品収納ラック4から払い出された商品を送出する商品搬出シュート5と対峙する位置に搬出扉31を有する3個の商品搬出口30(図3も参照)がそれぞれ設けられている。前記搬出扉31は上端両側を軸支されて垂下するとともに自重により商品搬出口30を閉塞して冷気若しくは暖気の流出を防止しており、商品搬出シュート5を介して搬出される商品により押し開かれ、当該商品を外扉2の商品取出口2aに送出するように形成されている。
ここで、搬出扉31を有する3個の商品搬出口30は外扉2の商品取出口2aに対応して下部側内扉3bの中央部に集合するように配置されている。このため、2基の商品収納ラック4,4が収納設置された左右の商品収納室12,14に配設された商品搬出シュート5の前方寄りには、左右2基の商品収納ラック4,4のうちの外側の商品収納ラック4から搬出された商品をそれぞれの商品搬出口30に寄せるための傾斜した補助シュート板5b(図1参照)が設けられている。図1では商品収納室14に配設された補助シュート板5bが見える一方、商品収納室12に配設された商品搬出シュートおよび補助シュート板は下部側内扉3bに隠れて見えないが、商品収納室12の補助シュート板は商品搬出シュートの左端側に設けられているものである。補助シュート板5bは後方側が商品搬出シュータ5の外側端部(商品収納室14の場合は右端部、商品収納室12の場合には左端部)に位置し、前端側が商品搬出口30に近接する位置して商品が転動する商品搬出シュート5の転動面を後方側から前方側に向かうに従って狭め、かつ、その傾斜角度が商品搬出シュータ5の板面(転動面)から外側(商品収納室14の場合は右端側、商品収納室12の場合には左端側)に向かうに従って漸増する態様で配設されている。
なお、外扉2の前面には商品見本を展示するディスプレイ室、商品選択ボタン、硬貨投入口、紙幣挿入口、返却レバー、硬貨返却口、商品取出口2aなどの商品の販売に必要なものが配備されるとともに外扉2を閉止状態にロックするハンドルロックなどが設けられている。
図4は、図1に示した商品収納室12に収納された左右2基の商品収納ラック4,4の下部側を示し、各商品収納ラック4,4の下端部の前面側には左右一対のラック側板41,41に跨って固定部材47が固着されている。なお、図4では、図2に示した前段側の商品収納ラック4a、後段側の商品収納ラック4bのうち、前段側の商品収納ラック4aについてのみ記載しており、後段側の商品収納ラック4bについては省略している。前段側の商品収納ラック4aは、図2,図3に示したように、前後に2列の商品収納通路43、43を備え、各商品収納通路43,43の下端出口には、各商品収納通路43,43の臨む態様で背中合わせに抱き合せて配設された商品搬出装置45,45、この商品搬出装置45,45とそれぞれの商品収納通路43を挟んで対向配置された出口調整板46,46を備えている。左右のラック側板41,41には、前記商品搬出装置45,45を配設するための左右方向に延在するピンP1,P2が架設されている。また、左右のラック側板41,41には、出口調整板46,46の左右両端の上段,中段,下段から左右方向に突出する軸(不図示)が挿通される設定溝41a,41b,41cが穿設されている。前記設定溝41a,41b,41cは出口調整板46,46に設けた上段,中段,下段の軸を案内し、出口調整板46,46を前後に移動させることにより商品搬出装置45,45との間の商品収納通路幅を狭い幅から広い幅まで可変に設定するためのものである。なお、450は商品搬出装置45,45に取付けられた配線ガイドであり、商品搬出装置45,45に搭載された電装品(ソレノイド、モータ、売切れスイッチなど)の配線をガイドするものである。
さて、図4に示すように、左右2基の商品収納ラック4,4の下端部の前面側には左右のラック側板41,41に跨って固定部材47が固着されている。固定部材47は厚板鋼板製になる基板471の上部を折り返してダブルホールドするとともに基板面にビードを施すことにより機械的強度を確保している。基板471の左右方向の幅は左右のラック側板41,41の間の寸法より僅かに小さい値に定められている。基板471の下部には、基板471の板面との間にトンネル状の空間gを形成する態様で横断面略C字状に折り曲げてねじ螺合部472が形成されている。ねじ螺合部472の前面にはねじSのねじ穴472aが設けられている。基板471の左右両端には、外方に突出する係合片473,473と、この係合片473,473の上下に折り曲げ係止片474,475がそれぞれ形成されている。係合片473,473はそれぞれ左右のラック側板41,41に形成した係合孔(不図示)に嵌め込まれる。また、折り曲げ係止片474,475は左右のラック側板41,41に形成した係止孔(不図示)に挿入したうえでラック側板41から外側に突出した部分を折り曲げられる。ねじ螺合部472が前面に臨む態様で左右のラック側板41,41に固着された固定部材47のねじ穴472aにはラック固定金具10を介してねじSが捻じ込まれる。この場合、ねじSの長さは、ラック固定金具10を固定部材47に固定した際にねじSの先端がねじ螺合部472に形成した基板471の板面との間の空間gに収まる長さに定められている。したがって、基板471の板面に直接ねじ穴を設けた場合にはねじSの先端が商品収納通路43に露出するのに対し、この実施の形態ではねじSの先端が商品収納通路43に露出することがないものである。
商品収納庫内に吊下げて支持された商品収納ラック4の振れ止め防止用のラック固定金具10を図5,図6に示す。なお、図5,図6は、図4に示した左右2基の商品収納ラック4,4(図1の商品収納室12に収納されたもの)に対応するラック固定金具10を示したものである。
図5に示すようにラック固定金具10は横長帯状の平板をプレス加工により打ち抜いた後に適宜に折り曲げて形成した厚板鋼板製になる。ラック固定金具10は前記固定部材47のねじ螺合部472の前面に対峙する横長の本体101と、本体101の下部から後方側に屈曲した屈曲部102を介して下方へ延びる軸受形成部103と、軸受形成部103の左右両端から後方へ向けて延在するとともに先端に上向きのフック104aを有する係合片104とからなる。左右の係合片104,104の基端側の上縁と本体101の左右両端との間は連結部105,105を介して連結されている。連結部105,105および左右の係合片104,104は展開状態で本体101および軸受形成部103の左右端部から外方に延びている。この展開状態において、左右の係合片104,104を後方に折り曲げると同時に連結部105,105における本体101との連結箇所を後方に折り曲げることにより、左右の係合片104,104の基端側の上縁と本体101の左右両端との間が連結部105,105により連結される。連結部105,105は左右の係合片104,104が本体101の板面に対して直角の角度を保つように機能する。
前記本体101の板面にはねじSが挿通されるねじ挿通穴101a,101aが設けられている。ねじ挿通穴101a,101aは上下方向に延在する長穴として形成され、商品収納庫内に吊下げて支持される商品収納ラック4の取付け誤差や寸法誤差を吸収するように構成されている。このラック固定金具10は左右の係合片104,104を、隣接する断熱仕切板11,11若しくは本体キャビネット1の左右側壁1c,1cとこの左右側壁1c,1cに隣接する断熱仕切板11,11に設けた金属製の保護部材40(図7参照)に一体に形成された係止部材42に係止させることにより取付けられるものであるが、これについては保護部材40の説明とともに後述する。
前記ラック固定金具10にはフラッパー20が設けられている。このフラッパー20は商品収納ラック4の商品搬出装置45から搬出された商品の落下速度を減速し、当該商品が商品搬出シュータ5に着地した際の落下衝撃を緩和するものである。前記フラッパー20は商品落下通路に出没する態様でラック固定金具10の軸受形成部103に上下方向に揺動自在に軸支され、捻りコイルばね30により常時商品落下通路に突出した姿勢に付勢されるとともに商品により商品落下通路から退避する際に商品の落下速度を減速するとともに姿勢を水平状態に矯正するものである。この捻りコイルばね30により付勢されたフラッパー20が請求項5のダンパーを構成する。前記フラッパー20は左右2基の商品収納ラック4,4に対応してラック固定金具10に取り付けられる。この場合、左右2枚のフラッパー20,20は同一の構成であるので、以下の説明では一方(正面視左側であって、図5では左側、図6では右側)のフラッパー20について説明し、他方のフラッパー20については説明を割愛する。
フラッパー20は、一枚の平板を加工した鋼板製になり、図5の(c)および図6に示すように、当接部21、支持部22,23を有している。当接部21は、商品搬出装置45から搬出された商品と当接する部分であり、略矩形の当接面を有している。当接面には複数の通気孔21aが形成してあり、冷却/加熱ユニット6の庫内ファン6cにより商品収納室内を循環する循環気流が遮蔽されるのを抑制するとともに商品が当接した際の騒音を小さくする機能を有する。支持部22,23は、当接部21から延在しており、両者の中央部を切り欠くことにより二股に分かれている。また、支持部22,23の自由端は支持部22,23の幅よりも広幅に形成されるとともに円筒状に折り曲げることにより、第1軸部221と第2軸部231とが形成されている。
第1軸部221は、フラッパー20の支持部22から外側に突出する軸端部221aと、支持部22,23の中央部の切り欠き部に延在する態様で支持部22から内側に突出する軸端部221bを有している。第1軸部221の軸端部221aは、支持部22の外側縁を切り欠くことにより長く形成されている。そして、第1軸部221の軸端部221aの長さX1は、第1軸部221の軸端部221bの長さX2よりも長くなるように形成している。第2軸部231は、第2軸部231から外側に突出する軸端部231aと、支持部22,23の中央部の切り欠き部に延在する態様で支持部23から内側に突出する軸端部231bを有している。軸端部231aの長さは軸端部231bの長さよりも長く形成されているが、同一であってもよいものである。なお、図5の(c)において、「X3」は支持部22の幅の長さ、「X4」は軸端部221aの端部と軸端部221bの端部の間の長さ、「X5」は支持部22の外側縁(軸端部221aの基端部)から支持部23における軸端部231aの端部までの長さ、「X0」は支持部22における軸端部221aの端部と支持部23における軸端部231aの端部までの間の長さである。これらの長さは、後述するラック固定金具10の軸受形成部103の下端に形成した第1軸受部1031と第2軸受部1032との関係により決定される。この関係については後述する。
フラッパー20における支持部22,23の中央部の切り欠き部には捻りコイルばね30が配される。この捻りコイルばね30は、圧縮した状態で第1軸部221の軸端部221bと第2軸部231の軸端部231bとの間に配し、その左右両端を第1軸部221の軸端部221bの先端と第2軸部231の軸端部231bの先端に対峙させた後に圧縮状態を解くことにより第1軸部221の軸端部221bと第2軸部231の軸端部231bとに支持されるものである。
前記フラッパー20を揺動自在に軸支するため、図6に示すように、ラック固定金具10の軸受形成部103の下端には円筒状に折り曲げることにより第1軸受部1031と第2軸受部1032とが形成されている。第1軸受部1031は左右に分かれた正面視右側の軸受部1031a(図6の場合、左側の軸受部)と正面視左側の軸受部1031b(図6の場合、右側の軸受部)とからなる。第1軸受部1031の軸受部1031aはフラッパー20の第1軸部221の軸端部221aを支持するものであり、第1軸受部1031の軸受部1031bはフラッパー20の第1軸部221の軸端部221bを支持するものである。第2軸受部1032はフフラッパー20の第2軸部231の軸端部231bを支持するものである。第1軸受部1031を構成する右側軸受部1031aと左側軸受部1031bおよび第2軸受部1032は同一の軸心となるように形成されている。なお、図6の「Y1」は第1軸受部1031の軸受部1031aと軸受部1031bとの間の間隔(長さ)、「Y2」は第1軸受部1031における軸受部1031bと第2軸受部1032との間の間隔(長さ)、「Y3」は第1軸受部1031の軸受部1031aと第2軸受部1032との間の間隔(長さ)、「Y4」は第1軸受部1031の軸受部1031bの間隔(長さ)である。
ここで、ラック固定金具10の軸受形成部103の下端に形成した第1軸受部1031とフラッパー20の第1軸部221とは次のような関係となるように定められている。すなわち、第1軸受部1031の軸受部1031aと軸受部1031bとの間の間隔(長さY1)と、フラッパー20の支持部22の幅(長さX3:図5の(c)参照)に第1軸部221の軸端部221bの長さX2を加えた長さ(X3+X2)、および軸端部221aの端部と軸端部221bの端部の間の長さX4との関係が、「(X3+X2)<Y1<X4」となるように定められている。また、第1軸受部1031の軸受部1031bの間の間隔(長さY4)と第1軸部221の軸端部221bの長さX2との関係が、「Y4<X2」となるように定められている。そして、ラック固定金具10の第1軸受部1031と第2軸受部1032とフラッパー20の第1軸部221と第2軸部231との関係については、第1軸受部1031における軸受部1031aと第2軸受部1032との間の間隔(長さY3)とフラッパー20における支持部22の外側縁(軸端部221aの基端部)から支持部23における軸端部231aの端部までの長さX5、および支持部22における軸端部221aの端部と支持部23における軸端部231aの端部までの間の長さX0との関係が、「X5<Y3<X0」となるように定められている。なお、第1軸受部1031における軸受部1031bと第2軸受部1032との間の間隔(長さY2)は、フラッパー20の支持部23と第1軸部221の軸端部221bと第2軸部231の軸端部231bとに支持された捻りコイルばね30を受容可能で捻りコイルばね30より僅かに大きい長さに定められている。
次にラック固定金具10に対するフラッパー20の取付手順について図6を参照しつつ説明する。
まず、フラッパー20をラック固定金具10に取り付ける。この時、フラッパー20には捻りコイルばね30は装着されていない。ラック固定金具10の軸受形成部103の下方からフラッパー20の第1軸部221と第2軸部231をラック固定金具10の第1軸受部1031と第2軸受部1032に接近させる。そして、フラッパー20の第1軸部221の軸端部221a側が高く、第2軸部231の軸端部231a側が低くなるようにフラッパー20を傾けた状態とする。この状態でフラッパー20を左方向に少しずらした後、第1軸部221の軸端部221aをラック固定金具10の第1軸受部1031における軸受部1031aに挿入する。この時、軸受部1031aの軸心に対して軸端部221aの軸心が傾いているが、軸受部1031aの幅が狭くされているので、軸端部221aを軸受部1031aに挿通させることができる。支持部22の外側縁が軸受部1031aに当接するまで軸端部221aを軸受部1031aに挿通(つまり、軸端部221aの基端まで軸受部1031aに挿通)した後、フラッパー20の傾きを戻す。この場合、前述した「(X3+X2)<Y1」および「X5<Y3」の関係により、フラッパー20の傾きを戻してもフラッパー20の第1軸部221の軸端部221bと第2軸部231の軸端部231bとがそれぞれラック固定金具10の第1軸受部1031(軸受部1031b)と第2軸受部1032とに干渉することがない。このように、フラッパー20の傾きを戻したうえでフラッパー20を左方向にスライド移動させてフラッパー20の第1軸部221の軸端部221bと第2軸部231の軸端部231bとをそれぞれラック固定金具10の第1軸受部1031(軸受部1031b)と第2軸受部1032に挿入する。そうすると、前述した「Y3<X0」の関係によりフラッパー20は第1軸部221と第2軸部231がラック固定金具10の第1軸受部1031と第2軸受部1032に揺動自在に軸支される。
次に、ラック固定金具10に揺動自在に軸支されたフラッパー20における支持部22,23の間に捻りコイルばね30を装着する。まず、捻りコイルばね30の一方の腕部31側をフラッパー20における第1軸部221の軸端部221bに挿通する。この時、捻りコイルばね30は他方の腕部32がフラッパー20の当接部21の裏面に当接し、一方の腕部31がラック固定金具10の軸受形成部103の下端に当接するように捻り付勢力を付与している。引き続いて捻りコイルばね30の一方の腕部31側をフラッパー20における第1軸部221の軸端部221bに深く挿通すると捻りコイルばね30の一方の腕部31がラック固定金具10の軸受形成部103の下端を摺動して軸受形成部103に設けた係止溝1030に係合する。次いで、捻りコイルばね30を圧縮させて捻りコイルばね30の他方の腕部32側をフラッパー20における第2軸部231の軸端部231aに対峙させる。この状態で捻りコイルばね30の圧縮を開放して他方の腕部32側を軸端部231aに挿通させる。
このように、腕部31がラック固定金具10に係止されるとともに腕部32がフラッパー20の当接部21の裏面に係止される態様でフラッパー20における支持部22,23の間に装着された捻りコイルばね30は、フラッパー20に商品落下通路に突出する方向の付勢力を付与する。また、フラッパー20における支持部22,23の間に装着された捻りコイルばね30は、ラック固定金具10の第1軸受部1031における軸受部1031bと第2軸受部1032の庇部1033よりも僅かに小さい長さに定められているので、フラッパー20のラック固定金具10への取付手順と逆の手順となる態様でフラッパー20が図6において左方向に移動するのを阻止する。従って、フラッパー20はラック固定金具10の第1軸受部1031と第2軸受部1032に揺動自在に軸支された状態が維持されるので、ラック固定金具10から脱落することがない。なお、捻りコイルばね30により商品落下通路に突出する方向の付勢力を付与されたフラッパー20は、フラッパー20における支持部22,23がラック固定金具10の軸受形成部103の下端に設けた左右の庇部1033に当接することにより商品落下通路への突出姿勢が規制され、ラック固定金具10の横長の本体101に対してやや下り姿勢の待機状態に維持されるものである。
次に、図7は前記ラック固定金具10をそれぞれの商品収納室12,13,14の前面に横架するための保護部材70を示す。図7の(a)は保護部材70が取付けられた断熱仕切板11を前方斜め上方から見た斜視図、図7の(b)は断熱仕切板11に取付けられる金属製の保護部材70の斜視図である。
断熱仕切板11は商品収納庫内を左右方向に複数の商品収納室12,13,14(図1参照)に区画するものであり、断熱材としてのウレタンフォーム(断熱ボード)からなる基材110と、この基材110を補強するために上端および下端に取付けた板金製の上側補強部材111および下側補強部材112と、基材110の前面に取付けられたガスケット113および前記基材110の下部領域を覆う板金製の保護部材70とからなる。前記ガスケット113は本体キャビネット1の商品収納庫を閉塞する断熱内扉3の内壁に当接して断熱仕切板11により左右に仕切られた商品収納室間の熱リークを防止するものである。なお、断熱仕切板11の上端,下端,後端にはクッションCが貼着されている。
前記基材110の下部領域を覆う板金製の保護部材70は商品搬出シュータ5,冷却/加熱ユニット6の取付け時、若しくは保守点検の際の商品搬出シュータ5,冷却/加熱ユニット6の着脱時に商品搬出シュータ5,冷却/加熱ユニット6が断熱仕切板11の基材110に衝突して破損するのを防止するものである。この保護部材70は下部側を下端補強部材112にねじ止めして固定される一方、保護部材70の上部側は両面テープにより基材110に貼着される。
前記保護部材70には3列の配線カバー71が切り起こしにより形成されている。配線カバー71は商品収納ラック4に背中合わせに抱き合せて配設された商品搬出装置45,45に搭載された電装品(ソレノイド、モータ、売切れスイッチなど)の配線を挟持(保持)して断熱仕切板11に沿うようにしてガイドするものである。商品搬出装置45,45に搭載された電装品の配線は商品搬出装置45,45の下部に取付けられた配線ガイド450(図4参照)によりそれぞれの商品収納室12〜14の正面視左側の壁面(図7の断熱仕切板11の場合には正面視右側の側面)に引き出されて垂下するが、垂下する配線が商品落下通路に出っ張ると商品搬出装置45,45から搬出されて落下する商品に接触して商品の姿勢を乱すおそれがある。そのため、配線カバー71は前記配線を挟持(保持)して断熱仕切板11に沿うようにしてガイドする機能を有する。この配線カバー71は前縁側が保護部材70から商品収納室側に立ち上がるとともに自由端が奥行き方向に延在して配線カバー71との間が開放するように折り曲げて形成されている。配線カバー71はその自由端が奥に向かうにしたがって保護部材70の面に接近する、すなわち、配線カバー71と保護部材70の面との間の隙間が奥に向かうにしたがって狭まるように形成されている。また、配線カバー71の周縁はバリ取りを施して配線が傷付くのを防止している。
前記商品搬出装置45,45に搭載された電装品の配線を配線カバー71に通す作業は、前記配線を配線カバー71の奥側に位置させたうえで保護部材70の面に沿って前方側に移動させて配線カバー71の開放端から配線カバー71の内部に潜り込ませる。この場合、配線カバー71の開放端の隙間が狭められているので、配線を配線カバー71の内部に潜り込ませる際に自由端に当接する。しかしながら、配線カバー71が可撓性を有することから配線を前方側に移動させると配線カバー71の自由端が拡がるように撓んで配線は配線カバー71の内部に潜り込む。なお、配線カバー71に配線を通す際、配線カバー71の自由端を手で広げて配線を通すこともできるものである。
保護部材70の前端にはラック固定金具10の左右の係合片104,104のうちの左側の係合片104を係止する係止部材72が設けられている。この係止部材72は上下の脚部721,722を有し、保護部材70の板面との間に貫通孔720を形成する態様で保護部材70に一体に形成されたブリッジ状をなしている。貫通孔720はラック固定金具10における左側の係合片104のフック104aが貫通可能な大きさに形成されている。係止部材72の後方側に形成した切欠き730において、貫通孔720に臨む後縁730aは、図7において、背面側に凹ませている。切欠き730の後縁730aと貫通孔720の後方側の保護部材70とが同一平面とした場合、前記係合片104のフック104aを係止部材72の貫通孔720に挿通させる際にフック104aの後縁が保護部材70の後縁730aに当接してフック104aの通過を阻害するおそれがあるためである。そのため、貫通孔720に臨む後縁730aを保護部材70に対して図7においては背面側に凹ませることにより、ラック固定金具10の係合片104のフック104aを係止部材72の貫通孔720に挿通させる際にフック104aの後縁が保護部材70の後縁730aに干渉するおそれがないためフック104aをスムーズに貫通孔720に挿通させることができる。
なお、図7の断熱仕切板11の図示とは反対側の側面(正面視左側の側面)にも保護部材70´が備えられているものである。この場合、保護部材70´は係止部材72を備える一方、配線カバー71は備えられていない。また、本体キャビネットの右側壁1cにも保護部材70´が設けられ、本体キャビネットの左側壁1cには保護部材70が設けられているものである。
ラック固定金具10の取付作業は、ラック固定金具10の左右の係合片104,104におけるフック104a,104aを左右の保護部材70,70´に設けた係止部材72,72の貫通孔720,720に挿入して貫通させる。この状態でラック固定金具10の本体101は商品収納ラック4の下端部の前面側に設けた固定部材47と前後方向に重なることなく固定部材47の下方に位置している。その後、ラック固定金具10を上方に向けてスライドさせると左右のフック104a,104aが左右の係止部材72,72の上側脚部721,721と前後方向に重なり、ラック固定金具10の左右の係合片104,104が係止部材72,72に係止される。この状態を図8に示している。なお、図8では保護部材70に設けた係止部材72とラック固定金具10の係合片104との関係を分かり易くするため、商品収納ラック4については省略している。
前述したように、ラック固定金具10を上方に向けてスライドさせて左右の係合片104,104を係止部材72,72に係止させた状態でラック固定金具10の本体101が商品収納ラック4の下端部の前面側に設けた固定部材47と前後方向に重なり、本体101の板面に形成されたねじ挿通穴101a,101aが固定部材47のねじ螺合部472に設けたねじ穴472aに対峙するので、本体101のねじ挿通穴101a,101aを介して固定部材47のねじ穴472aにねじSを捻じ込んで両者を締結する。この場合、ねじ挿通穴101a,101aは上下方向に延在する長穴として形成されているので、商品収納庫内に吊下げて支持される商品収納ラック4の取付け誤差や寸法誤差を吸収してラック固定金具10と固定部材47とのねじSによる締結を確実なものとすることができる。
斯様にそれぞれの商品収納室12,13,14の前面を横切るように横架されたラック固定金具10に揺動自在に軸支されたフラッパー20は商品収納ラック4の最前列の商品収納通路43の下端出口に配設された商品搬出装置45の下方の商品落下通路に突出している。そして、最前列の商品収納通路43の下端出口に配設された商品搬出装置45から商品が搬出されるとフラッパー20は当該商品の重量により商品落下通路から退避する方向に揺動する。このような揺動過程でフラッパー20は商品の落下速度を減速する。さらに、前述した揺動動作によりフラッパー20は、フラッパー20が存在しない場合に商品が商品搬出シュート5に着地する位置よりもやや後方側の位置に着地させる。これにより商品が商品搬出シュート5に着地した際の落下衝撃を緩和し、商品が炭酸飲料である場合のフォーミングを抑制する。
ここで、図3に示すように前後方向に複数列の商品収納通路43を備えた商品収納ラック4は、商品搬出シュータ5の傾斜角度に合せて前段側の商品収納通路43の商品搬出装置45が後段側の商品収納通路43の商品搬出装置45よりも下方に位置する態様で段々に構成され、前段側の商品収納通路43の商品搬出装置45から商品搬出シュータ5までの距離を縮めるように工夫されている。しかしながら、最前列の商品収納通路43の商品搬出装置45から商品搬出シュータ5までの距離は、後段側の商品収納通路43の商品搬出装置45から商品搬出シュート5までの距離に対して長くなるのが通常である。従って、それぞれの商品収納室12,13,14の前面を横切るように横架されたラック固定金具10に揺動自在に軸支されたフラッパー20は商品収納ラック4の最前列の商品収納通路43の下端出口に配設された商品搬出装置45から搬出された商品が商品搬出シュータ5に着地した際の落下衝撃を緩和するうえで有効に作用する。
また、複数基の商品収納ラック4が収納設置された左右の商品収納室12,14の商品搬出シュート5の前方寄りには商品収納ラック4から搬出された商品をそれぞれの商品搬出口に寄せるための傾斜した補助シュート板5bが設けられているのは図1の説明で述べたとおりである。図1に示す場合、商品収納室14に配設された商品搬出シュータ5の補助シュート板5bは左右2基の商品収納ラック4,4のうちの外側の商品収納ラック4の前方側の商品収納通路43の真下に位置している。特に、左右2基の商品収納ラック4,4のうちの外側の商品収納ラック4の最前列の商品収納通路43にあってはその真下に補助シュート板5bが存在する。このため、前記フラッパー20が設けられていない場合、前記外側の商品収納ラック4の最前列の商品収納通路43の商品搬出装置45から搬出された商品は傾斜した補助シュート板5bに着地することになる。この場合、補助シュート板5bが外側に向かって傾斜角度が漸増するように傾斜していることから横倒し姿勢の商品は補助シュート板5bに着地する際、横倒し姿勢の一端側(外方を向く一端側)が先に補助シュート板5bに着地した後、横倒し姿勢の他端側(内方を向く一端側)が補助シュート板5bに着地する。そうすると補助シュート板5bに着地した商品には横倒し姿勢から起立姿勢となるような回転力が作用して補助シュート板5bに着地した商品は横倒し姿勢から起立姿勢となる。このように起立姿勢の商品が商品搬出口に到達すると搬出扉31との間で商品詰りを惹起するおそれがある。これは、商品搬出扉31が上端側を軸支されて商品(自重)により押し開かれるように構成されているため、横倒し姿勢の商品の場合には商品搬出扉31の下部側に商品が当接するので商品搬出扉31が容易に開く一方、起立した商品の上端側が商品搬出扉31の上部側(軸支側)に当接した場合には当該当接点から軸支点までの距離が短いので商品搬出扉31が開かずに商品詰りとなることがある。その一方、前記フラッパー20を有する場合には、フラッパー20により商品搬出装置45から搬出された商品を外側の商品収納ラック4の最前列の商品収納通路43の真下よりも後方側の位置に着地させることから前記商品が補助シュート板5bと商品搬出シュータ5とに跨って着地するようになる。このように、補助シュート板5bと商品搬出シュータ5とに跨って着地すると商品が着地した際の傾斜角度が小さくなるので、商品に作用するところの横倒し姿勢から起立姿勢となるような回転力が抑制されて商品が起立することがない。従って、フラッパー20を設けることにより商品搬出装置45から搬出された商品が商品搬出シュート5に着地した際に横倒し姿勢から起立姿勢となって商品詰りを惹起することを防止することができる。
なお、図7では、ラック固定金具10の左右の係合片104,104を係止する係止部材72,72を保護部材70に一体に設けたものについて説明したが、図9に示すように、係止部材72を保護部材70から分離してもよいものである。すなわち、図9はラック固定金具10の左右の係合片104,104を係止する係止部材72の変形例を示し、図9において図7と同一のものには同一の符号を付して重複する説明を割愛する。
図9において、再び板金製の保護部材70を示し、この保護部材70には3列の配線カバー71が切り起こしにより形成されている。ここで、図9に示す符号74は、ラック固定金具10の左右の係合片104,104のうちの左側の係合片104を係止する係止部材72が設けられた係止金具である。係止金具74は矩形平板状の板金製になり、この係止金具74の前方側に係止部材72が設けられている。係止部材72は上下の脚部721,722を有し、係止金具74の板面との間に貫通孔720を形成する態様で係止金具74に一体に形成されたブリッジ状をなしている。貫通孔720はラック固定金具10における左側の係合片104のフック104aが貫通可能な大きさに形成されている。係止金具74は保護部材70に溶接により固着されている。この図9に示す変形例によれば、係止金具74に係止部材72を形成して保護部材70に固着したことにより、保護部材70の前後方向の長さを短くして材料費を安くすることが可能となる。
前述したように、この実施の形態の自動販売機によれば、前面が開口した断熱筐体からなる本体キャビネット1と、この本体キャビネット1の商品収納庫を左右方向に複数の商品収納室12,13,14に区画する断熱仕切板11と、前記商品収納庫内に吊下げて支持されるとともに下端部の前面側に固定部材47が設けられた商品収納ラック4と、前記商品収納ラック4の固定部材47に対峙する態様で商品収納室12,13,14の前面を横切るとともに隣接する断熱仕切板11若しくは本体キャビネット1の左右側壁1c,1cとこの左右側壁1c,1cに隣接する断熱仕切板11とに左右両端が係止されて横架され、前記商品収納ラック4の固定部材47とねじで締結されるラック固定金具10とを備えた自動販売機において、前記断熱仕切板11および本体キャビネット1の左右側壁1c、1cを構成する断熱材の下部領域を覆う金属製の保護部材70にラック固定金具10の左右両端を係止する係止部材72を設けたことにより、もともと断熱仕切板11および本体キャビネット1の左右側壁1c、1cを構成する断熱材を保護するために設けられていた保護部材70にラック固定金具10の左右両端を係止することができるので、新たな部材を追加することなくラック固定金具10を隣接する断熱仕切板11若しくは本体キャビネットの左右側壁1c、1cとこの左右側壁1c、1cに隣接する断熱仕切板11とに横架することができるという利点を有する。
なお、前述した実施の形態では商品収納ラックとして上下方向に蛇行した商品収納通路を備えた所謂サーペンタインラックについて説明したが、本体キャビネットの庫内に複数の商品を横倒し姿勢で前後方向に一列に整列して収納する商品収納通路(商品コラムともいう)を有し、商品搬出装置が配される商品収納通路の商品搬出口が低くなるように所定の勾配をもって傾斜して構築された商品収納棚が上下方向に複数段配設されたスラントラックと称される商品収納ラックにも適用できるものである。従って、本発明は実施の形態に限定されるものではない。