以下、本発明における実施の形態である自動販売機を図面に基づいて説明する。
(実施の形態1)
先ず図1および図2を用いて自動販売機の全体構造を説明する。図において、1は前面が開口した本体キャビネットである。前記本体キャビネット1は鋼板製の外箱の内側、すなわち、上壁,左右側壁,背壁および底壁1aにウレタンフォームからなる断熱ボードを配設して断熱筐体として構成されている。前記本体キャビネット1の断熱ボードで囲まれた商品収納庫内は断熱仕切板11により左右方向に複数、この実施の形態では3つの商品収納室12,13,14に区画されている。左右の商品収納室12,14には従来より良く知られている湾曲したセグメントを上下方向に連接したセグメント列を前後に対向配置して蛇行した商品通路を構成してなるサーペンタイン式商品収納ラック121,141がそれぞれ左右2列ずつ収設されている。中央の商品収納室13には本発明により提供される後述するスラント式の商品収納ラック20がそれぞれ収設されている。前記商品収納ラック121,141,20の下部には前下がりに傾斜し、かつ、無数の穴が形成されたシュート2が配置されている。前記シュート2の下部には、それぞれの商品収納室12,13,14を冷却もしくは加熱して商品収納ラック121,141,20に収容した商品をコールド・ホット状態に保存する冷却ユニット若しくは冷却/加熱ユニットが配設されている。また、前記本体キャビネット1の底壁1aの下部は機械室として形成され、この機械室には前記冷却/加熱ユニットの冷却ユニットと冷凍サイクルを構成する圧縮機3(図2参照)、凝縮器4、膨張機構(図では隠れて見えない)および凝縮器4に送風する庫外ファン5が配設されている。前記冷却ユニットのみが配設された商品収納室はコールド専用室、冷却/加熱ユニットが配設された商品収納室はホット/コールド兼用室とされ、図に示す例では商品収納室12がコールド専用室、商品収納室13,14がホット/コールド兼用室とされ、この場合コールド専用室である商品収納室12の庫内下部には機械室の圧縮機3,凝縮器4で圧縮,凝縮された冷媒が循環される蒸発器6、庫内ファン7が冷却ユニットとして設置されており、ホット/コールド兼用室である商品収納室13,14の庫内下部には前記蒸発器6、庫内ファン7に加えて商品加熱用のヒーター8が加熱ユニットとして設置されている。そして、各商品収納室12,13,14の背面には循環用ダクト9が冷却ユニット若しくは冷却/加熱ユニットと連通して配備され、前記循環用ダクト9の上端9aは商品収納庫の略中段位置に開口している。なお、図1において122,142は商品収納ラック121,141を固定する固定金具である。
前記本体キャビネット1の前面に開閉自在に装着された外扉10(図1参照)の前面には良く知られているようにディスプレイ台に載置された商品見本のディスプレイ室が形成され、このディスプレイ室の前面を覆う透明板には各商品見本に対応して設けられた商品選択ボタンを備えた商品選択ボタンユニットが配設されるとともに商品取出口10aに加えて硬貨投入口、紙幣投入口、釣銭返却口、返却レバー、シリンダー錠付きのハンドルロック装置などが組付けられている。前記本体キャビネット1における商品収納庫の前面を閉塞する内扉15は、この例では上下に分割されており、下部側の内扉15には各商品収納室12,13,14のシュート2と対峙する位置に搬出扉15aにより常時閉塞された商品搬出口が設けられている。前記商品搬出口の搬出扉15aは上端を軸支されて常時商品搬出口を閉塞して冷気若しくは暖気の流出を防止しており、シュート2を介して送出される商品により押し開かれるように形成されている。
さて、前記スラント式の商品収納ラック20の構成について図3を用いて説明する。図に示すように、左右一対の上部支持フレーム材21,21および下部支持フレーム部材22,22には前方および中央付近にそれぞれ一対の縦フレーム材23,23がねじにより固着されている。前記上部支持フレーム材21,21と、下部支持フレーム部材22,22と、前方および中央付近に設けたそれぞれ一対の縦フレーム材23,23が商品収納ラックを構築するフレーム材を構成する。前方の縦フレーム材23,23間には上下方向に複数の梁部材24が固着され、中央付近の縦フレーム材23,23の上端にも梁部材24が固着されている。上部支持フレーム材21,21および下部支持フレーム部材22,22の後方側(図2から理解できるように奥行き側であり、以下後方を奥行きともいう)は背板25と側面板26により閉塞されている。この閉塞された垂直方向に延在する空間は商品が落下する商品通路および冷気若しくは暖気の循環通路として形成されている。また、背板25の上部側には通風孔25aが形成されている。前記背板25および両側板26の下方には上方に開放したコ字状の送出部材27が後方側ほど高く前方に向かうにしたがって下方に傾斜するように取付けられている。つまり、送出部材27は、図2に示すように垂直の商品通路をシュート2および内扉15の商品搬出口を介して外扉10の商品取出口10aに連繋させるものである。そして、送出部材27の前端部にはクッション28が貼着されており、このクッション28は送出部材27とシュータ2との間の隙間を塞ぐ遮蔽部材として構成されている。なお、商品収納ラック20の各部材は厚板鋼板により形成されており、この商品収納ラック20は本体キャビネット1(図1参照)の商品収納庫の天井に敷設した本体側フック金具50,55(図11参照)に上部支持フレーム材21,21を直接、または取付部材(アダプター部材)を介して取付けられる。この取付けについては後述する図11にて説明する。
前記上部支持フレーム材21,21および下部支持フレーム部材22,22に固着された前後の縦フレーム部材23,23には傾斜した商品支持ユニット30が装着されている。この商品支持ユニット30の装着については後述するが、その装着のために後方側の縦フレーム部材23には上下方向に4つの切欠231が形成されている。前記縦フレーム部材23,23に装着される商品支持ユニット30の構成を図4に示す。図に示すように、商品支持ユニット30は左右一対の挟持部材31、この挟持部材31を連結する前後の連結部材32,33、後方の連結部材33の上に設置された商品搬出機構34および外側に向かって突出するように左右一対の挟持部材31に固着された取付金具35,35とからなる。
前記左右一対の挟持部材31は一方の面に潤滑塗膜が施された薄板の塗膜鋼板(以下、単に薄板鋼板ともいう)によりL字状に形成された長尺の部材からなり、それぞれ所定の間隙tをおいて対向配置されている。前記間隙tを形成する左右一対の挟持部材31,31の脚端部は一方の面(塗膜面)が外側となるように折り曲げによりダブルホールド(参照符合36を付している)されており、間隙tを形成する脚端部の上下両面が塗膜面(すななち、潤滑性が良好な面)となっている。前記左右一対の挟持部材31,31によりパウチ商品を吊下げ支持するのであるが、パウチ商品の装填については後述することとする。前記連結部材32,33は間隙tを残して左右一対の挟持部材31,31を囲繞するように枠体として構成されている。前記左右一対の挟持部材31,31は前記連結部材32,33にそれぞれねじにより強固に固着され、これにより左右一対の挟持部材31,31のそれぞれの脚端部の間に間隙tが一定に保たれている。前方側の連結部材32には正面視T字形の取付片321が一体に形成されている。この取付片321は図3に示した商品収納ラック20の梁部材24に係合するものであり、その上端は鉤状に折り曲げられ、かつ、脚片中央付近にはねじ孔322が形成されている。前記取付金具35は厚板鋼板により断面ハット形に形成され、それぞれの鍔部が挟持部材31にねじ止めされている。取付金具35の頭部には段付ねじ351が螺着されており、この段付ねじ351が図2に示した商品収納ラック20における中央付近の縦フレーム材23,23に係合するものである。前記商品搬出機構34はベース341とカバー342とからなる箱体の内部に搬出機構が組み込まれたものであり、その搬出機構を図5に示す。
図5は前記商品搬出機構34のカバー342を取り外した状態の斜め上方から見た斜視図である。図において、40は駆動源としてのソレノイドであり、このソレノイド40のプランジャー41にはストッパ部材42が連結されている。ストッパ部材42はプランジャー41の移動方向に平行な長孔43,43に段付ねじ421,421が遊嵌されており、プランジャー41の移動方向にスライド自在に配設されるとともに復帰ばね44が装着されている。また、前記ストッパ部材42の後端部には下方に延在する第1のストッパ45および第2のストッパ46が形成されている。なお、第2のストッパ46はベース341および左右の挟持部材31,31を連結する連結部材33に設けた開口(不図示)を貫通して下方に延在している。また、第2のストッパ46には図4に示したように先端に折り曲げにより後方側に向かって傾斜した押圧片462を備えた係止部材461が係止されている。
前記第1のストッパ45は一対の挟持部材31,31の後端部に位置し、第2のストッパ46は第1のストッパ45から所定距離だけ前方側に離れた位置に配置されている。そして、販売待機状態(ソレノイド40の非励磁状態)では第1のストッパ45が一対の挟持部材31,31により形成された間隙tに臨んで位置しており、第2ストッパ46が前記間隙tから左右方向にずれた位置に退避しており、ソレノイド40が励磁された販売時には第1のストッパ45が前記間隙tから退避し、第2のストッパ46が前記間隙tに臨むように移動するものである。なお、47はマイクロスイッチからなる商品検知スイッチ(売切れスイッチ)であり、マイクロスイッチの操作レバー471(図4参照)が一対の挟持部材31,31により形成される間隙tに臨むように配設されている。また、48はソレノイド40および商品検知スイッチ47に電源を供給する電源線と、商品検知スイッチ47からの検知信号を伝達する信号線が接続されたソケットであり、商品支持ユニット30に取付けられたコネクタに装着されるものである。
前述したように構成された商品支持ユニット30は次のようにして商品収納ラック20に装着される。今、図3に示した上下方向に4段のうちの最上段の位置の空き領域に商品支持ユニット30を装着する場合を例に説明すると、商品収納ラック20を構成する前方の縦フレーム材23,23の間から商品支持ユニット30を挿入する。この場合、左右の取付金具35,35が鉛直線上に並ぶように商品支持ユニット30を倒した状態で挿入する。これは前記左右の取付金具35,35が水平線上に位置する姿勢で商品支持ユニット30を縦フレーム材23,23の間に挿入すると前記取付金具35,35が左右の縦フレーム材23,23に当接することから、これを避けるためである。そして、商品支持ユニット30の取付金具35,35が前方の縦フレーム材23,23の間を通過した段階で商品支持ユニット30を元の姿勢に戻しつつ商品支持ユニット30を後方に移動させる。次いで、商品支持ユニット30の取付金具35,35に螺合された段付ねじ351,351を商品収納ラック20を構成する中央付近の縦フレーム材23,23に形成したそれぞれの切欠231に係合させる。この状態で商品支持ユニット30の前方側の連結部材32に形成されたT字形の取付片321を梁部材24に係合させてねじ止めする。このようにして商品収納ラック20に装着された商品支持ユニット30は前方側(商品投入側)が高く、後方側(商品搬出機構34側)が低くなるように傾斜した状態となる。
ここで、商品収納ラック20を構築する上部支持フレーム材21,21および下部支持フレーム部材22,22に取付けられた背板25および左右の側面板26,26により閉塞された空間は商品が落下する商品通路として形成されているとともに庫内空気の循環通路を構成している。このため、図2に示した前記蒸発器6、庫内ファン7からなる冷却ユニット若しくは前記蒸発器6、庫内ファン7,商品加熱用のヒーター8からなる加熱ユニットからの送風A(白抜き鎖線で示す)は縦フレーム材23,23に上下複数段架設されたそれぞれの商品支持ユニット30内を通過した後、矢印Bのように背板25に形成した通風穴25a(図3参照)を介して庫内背面に配設した循環用ダクト9の上端開口(矢印C)に導かれて冷却ユニット若しくは加熱ユニットに戻り、上下複数段の商品支持ユニット30に吊下げ支持された商品(パウチ商品)を均等に冷却若しくは加熱する。この場合、送出部材27の前端部とシュータ2との間に組立誤差などによって隙間が形成されたとしてもクッション(遮蔽部材)28により当該隙間が塞がれていることから前記送風Aが前記隙間を介して循環用ダクト9の上端開口に導かれる、すなわち、短絡通路が形成されることがないので、冷却若しくは加熱性能を良好に維持できる。なお、図2に破線で示したように商品収納ラック20の背後にクッション(遮蔽部材)28Aを設けることもできる。このクッション28Aは背板25の背面に貼着されてなり、庫内の左右幅に一致する幅を有するものであり、商品収納ラック20と庫内の左右壁との間に隙間がある場合にも送風Aが当該隙間を介して循環用ダクト9の上端開口に導かれるような短絡通路が形成されるのを防止し、冷気若しくは暖気が漏れなく鎖線で示す矢印A,B,Cの経路を通って循環するようにすることができる。
前記商品支持ユニット30に装填されるパウチ商品を図6に示す。図6(a)に示すようにパウチ商品100は可撓性袋状容器102に硬質の合成樹脂からなる注出口部としてのスパウト104を固着し、当該スパウト104にキャップ106を装着してなる。前記スパウト104にはフランジ105が形成されており、図6の(a)の例ではフランジ105が1個のパウチ商品100、(b)の例ではフランジ105が2個のパウチ商品200を示している。前記可撓性袋状容器102内にはスパウト104からゼリー状の飲食物が注入されており、可撓性袋状容器102が軟弱であることから起立させることが困難なものである。なお、107はスパウト104に設けられた接合フランジである。
上記のとおり容器形態が軟弱なパウチ商品は起立させることが困難なものであることからこの実施の形態においては前述した商品支持ユニット30に吊下げ支持するようにしたものであり、次に前記商品支持ユニット30へのパウチ商品の装填(補充)について図7を用いて説明する。図ではパウチ商品100を装填する場合を示し、前記商品支持ユニット30の前方から白抜き実線矢印で表すようにパウチ商品100を装填する。すなわち、前記商品支持ユニット30の左右一対の挟持部材31,31の間に形成された間隙tにスパウト104を挿入し、当該スパウト104に形成されたフランジ105を左右一対の結部材31,31に引っ掛ける。ここで、前記左右一対の挟持部材31,31の間に形成された間隙tはパウチ商品100のスパウト104の幅より大きくフランジ105の長さよりも短い所定の寸法に定められている。前記商品支持ユニット30の左右一対の挟持部材31,31にフランジ105を引っ掛けて吊下げられたパウチ商品100はフランジ105が左右一対の挟持部材31上を滑動して自重により後方に移動する。前記商品支持ユニット30の後方に移動したパウチ商品100は商品搬出機構34の第1のストッパ45(図4、図5参照)により係止され、当該位置に停止した状態で吊下げ支持される。次に装填されたパウチ商品100は第1のストッパ45により係止された商品に当接して停止する。このようにして前記商品支持ユニット30にパウチ商品100を補充して収容した状態を図8に示し、パウチ商品100は重力により略鉛直線に沿った姿勢で商品支持ユニット30に吊下げ支持される。
ここで、パウチ商品100は前記商品支持ユニット30の左右一対の挟持部材31,31における間隙tにスパウト104を挿入してフランジ105を引っ掛けて収容されるのであるが、パウチ商品100には図6に示したように、フランジ105以外にもキャップ106の下部が引っ掛け部として存在する。このため、パウチ商品100を商品支持ユニット30に装填する際、キャップ106(の下端)を前記商品支持ユニット30の左右一対の挟持部材31,31に引っ掛けるように誤装填されるおそれがある。このような誤装填があるとキャップ106の下端が左右一対の挟持部材31,31の間隙tの間に嵌り込んで商品詰まりを生じたり、最悪の場合には脱落してしまうことがある。この問題の解決策として、フランジ105と接合フランジ107との間の厚み寸法taに対してキャップ106とフランジ105の間の厚み寸法tbは小さく形成(ta>tb)されていることを利用し、左右一対の挟持部材31,31を構成する鋼板の厚さを厚くしてキャップ106の下端を引っ掛けることができないようにすることが考えられる。しかしながら、左右一対の挟持部材31に厚板鋼板を利用すると重量が増加するとともにコストが上昇する。そこで、この実施の形態では薄板鋼板を用いたとしても誤装填を防止することを可能とするため、間隙tをおいて対向配置された挟持部材31,31の脚端部を折り曲げてダブルホールドして厚み規制部材36としている。このように薄板鋼板をダブルホールドすることによってフランジ105の下部を引っ掛けることを許容し、キャップ106の下部を引っ掛けることが困難となるので、引っ掛け部分を間違って装填するような誤装填が防止される。
なお、図6の(b)に示したフランジ105が2個のパウチ商品200においても、下側のフランジ105を引っ掛けて装填せねばならないところ、上側のフランジ105が引っ掛け部として存在していることから上側のフランジ105を引っ掛けるような誤装填のおそれがある。しかしながら、下部のフランジ105と接合フランジ107との間の寸法tcに対して2個のフランジ105の間の寸法tdが小さく形成(tc>td)されていることから、左右一対の挟持部材31,31の脚端部を折り曲げてダブルホールドすることにより誤装填を防止することができる。
また、パウチ商品100はフランジ105を商品支持ユニット30の左右一対の挟持部材31,31の上に乗せ自重により滑らせるように構成されていることから、前記フランジ105と前記商品支持ユニット30の左右一対の挟持部材31,31の脚端部との摩擦抵抗が小さいことが望まれる。この要求に対しても間隙tをおいて対向配置された左右一対の挟持部材31,31の脚端部を折り曲げてダブルホールドしたこの実施の形態の商品収納ラックは有利である。すなわち、一般的に用いられる鋼板は切削加工を容易にするために一方の面に潤滑性の塗膜がコーティングされた塗膜鋼板であるから、この塗膜鋼板の一方の面(潤滑性の塗膜がコーティングされた面)が外側となるようにダブルホールド(図4等に参照符合36を付した部分)することによって、間隙tを形成する左右一対の挟持部材31,31の脚端部の上下両面が潤滑性の良好な面(摩擦抵抗が小さい面)となる。このため、パウチ商品100のフランジ105と左右一対の挟持部材31,31の脚端部との摩擦抵抗を小さくすることができる。更に、商品支持ユニット30の傾斜角度を大きくすることによりパウチ商品100の自重による滑りが良くなる一方、前記商品支持ユニット30の傾斜角度を大きくするとパウチ商品100自体は重力によって略鉛直線に沿った姿勢を維持し続けるので、図9に示すように左右一対の挟持部材31,31の脚端部の上下両面にパウチ商品100のフランジ105と接合フランジ107が同時に当接するようになる。この場合、左右一対の挟持部材31,31の脚端部にダブルホールドを施していないとパウチ商品100のフランジ105または接合フランジ107のいずれか一方と挟持部材31,31との脚端部との摩擦抵抗が大きくなる。一方、塗膜鋼板の一方の面(潤滑性の塗膜がコーティングされた面)が外側となるようにダブルホールドしたこの実施の形態の挟持部材31,31においては当該挟持部材31,31の脚端部の上下両面にパウチ商品100のフランジ105と接合フランジ107が同時に当接したとしても両者の摩擦抵抗を小さくすることができる。したがって、パウチ商品100の自重による滑りをよくするために前記商品支持ユニット30の傾斜角度を大きくすることができ、商品支持ユニット30へのパウチ商品の収容をスムーズに行うことができる。なお、挟持部材31,31を構成する塗膜鋼板としてダブルホールドするために薄板であることが望ましく、薄板の塗膜鋼板を用いた場合には重量の軽減化に寄与するものである。
更に、図6に示したようなパウチ商品においては中身飲食物が異なるもの、或いは可撓性袋状容器102に充填された飲食物の内容量の相違によってフランジ105の幅寸法L1,L2(例えば、L1<L2)が異なっている。特に、可撓性袋状容器102に充填された飲食物が同一で内容量の異なるパウチ商品においては外形が類似していることから誤って装填されるおそれがある。そこで、この実施の形態では図7に示したように、左右一対の挟持部材31,31の脚端部に近接して植設された一対の幅規制部材37を設けている。この一対の幅規制部材37の間の幅寸法L0はパウチ商品のフランジ105の幅寸法L1,L2(図6参照)に対してL1<L0<L2(但し、L1<L2である場合)と定められている。したがって、フランジ105の寸法がL0以下のパウチ商品については左右一対の挟持部材31,31の間に挿入して装填することを許容し、フランジ105の寸法がL0以上のパウチ商品については幅規制部材37により装填が阻止され、これにより種類の異なるパウチ商品の誤装填が防止される。なお、図7では幅規制部材37として専用の部材を植設したものについて説明したが、左右一対の挟持部材31,31と、この挟持部材31,31を連結する連結部材32とを固着するねじを利用することもでき、この場合には部品点数を削減することができる。
次に、本発明の実施の形態である自動販売機における商品収納室12,13,14の冷却・加熱動作について図2を用いて説明する。まず、商品収納室13,14(ホット/コールド兼用室)をコールド室として使用する場合にはヒーター8をオフし、圧縮機3,凝縮器4で圧縮,凝縮された冷媒を蒸発器6に送り、蒸発器6で熱交換した冷気を庫内ファン7でシュータ2の下側から庫内に吹き出して商品収納ラック20,141内の商品を冷却し、循環用ダクト9を介して蒸発器6に戻すところの一点鎖線で示す矢印A,B,Cの経路を通って循環する冷気循環を行う。一方、商品収納室13,14をホット室として使用する場合は前記蒸発器6への冷媒を停止させてヒーター8をオンにし、上記と同様に暖気の循環を行って商品を加熱する。前記商品収納室13,14のホット/コールド室への切り替えは季節の変わり目などに行われる。なお、コールド専用室である商品収納室12は常時、蒸発器6で熱交換した冷気を庫内ファン7でシュータ2の下側から庫内に吹き出して商品収納ラック121内の商品を冷却し、循環用ダクト9を介して蒸発器6に戻すところの一点鎖線で示す矢印A,B,Cの経路を通って循環する冷気循環が行われている。なお、商品収納ラック20が収納された商品収納室13をホット/コールド兼用室としているが、これはパウチ商品としてホット商品として販売する商品が出現した場合に備えたものである。
次に、本発明の実施の形態である自動販売機における販売動作について説明する。図10は商品搬出機構34の動作時における第1のストッパ45,第2のストッパ46の動作を示すものであり、商品搬出機構34の全体構成を示す図5をも参照しながら販売動作について説明する。
販売待機状態においてはソレノイド40が非励磁状態にあり、第1のストッパ45が左右一対の挟持部材31,31の間の間隙tの位置に突出して販売順位一番の商品(以下、販売商品ともいう)を係止しており、販売商品と販売順位二番の商品(以下、次販売商品ともいう)との間に位置する第2のストッパ46が左右一対の挟持部材31,31の間の間隙tの位置から退避している。この状態においてマイクロスイッチからなる商品検知スイッチ(売切れスイッチ)47の操作レバー471が販売商品に当接して商品検知信号を出力している。いま、外扉10(図1参照)に設けられた商品選択ボタンが操作されると不図示の制御部から対応する商品払出機構34(ソレノイド40)に所定時間幅の励磁信号が供給される。前記ソレノイド40が励磁されると図5に示したプランジャー41を介してストッパ部材42が左右方向(図5では右方向)に移動する。これにより第1のストッパ45および第2のストッパ46が図10において左方向に移動し、第1のストッパ45が間隙tから退避し、第2のストッパ46が間隙tに突出する。前記第1のストッパ45の間隙tからの退避により販売商品は第1のストッパ45による係止が解かれる。これと同時に第2のストッパ46が間隙tに突出するように移動する過程において当該第のストッパ46に設けた係止部材461の押圧片462が販売商品を押圧して販売商品を商品支持ユニット30から排出させた後、第2のストッパ46が間隙tに突出する。販売商品が搬出されると次販売商品以降の商品は支えを失うので順次商品支持ユニット30の後端部に向かって滑動して間隙tに突出した第2のストッパ46に係止されて一旦保持される。
前記ソレノイド40への励磁信号が遮断されるとプランジャー41が復帰ばね44により元の位置(図5の状態)に復帰して第1のストッパ45が間隙tの位置に突出し、第2のストッパ46が間隙tから退避する。前記第2のストッパ46が間隙tから退避すると第2のストッパ46に保持されていた次販売商品以降の商品は商品支持ユニット30の搬出端部に向かって滑動し、間隙tに突出した第1のストッパ45に係止されて販売待機状態となる。なお、前記商品搬出機構34により搬出されて商品支持ユニット30の後端部から落下する商品は図2に示す商品収納ラック20の送出部材27を介してシュート2に送出される。
さて、図1には本発明に係る商品収納ラック20をサーペンタイン式商品収納ラック121,141と並設した自動販売機を示している。これは、自動販売機で多種多様の商品(缶入り飲料などに代表される容器が硬質である商品やパウチ商品で代表される容器が比較的軟弱である商品)を販売可能としたものであるが、多種多様の商品を販売可能とするにあたり既設の自動販売機に対して構成を大幅に変更したのでは既設の自動販売機を新規の自動販売機と置き換えねばならない。そこで、この実施の形態においてはパウチ商品を収容可能な商品収納ラック20をサーペンタイン式商品収納ラックと互換性を持たせて(サーペンタイン式商品収納ラックを搭載した)既設の自動販売機にも本発明に係る商品収納ラック20を搭載可能としたものである。以下、公知のサーペンタイン式商品収納ラックと互換性を持たせるようにした商品収納ラック20について説明する。
図11は公知のサーペンタイン式商品収納ラックと互換性を持たせるようにした商品収納ラック20を示す。公知のサーペンタイン式商品収納ラックを自動販売機の商品収納庫に配設する方法として次の二種類の方式があり、次にその方式について説明する。
先ず、第1の方式は図11の(a)に示すように自動販売機の天井面に前後方向に延在する本体側フック金具50が敷設され、この本体側フック金具50に商品収納ラック121,141を引っ掛ける引っ掛け方式であり、第2の方式は図11の(b)に示すように自動販売機の天井面に左右方向に延在する本体側フック金具55が敷設され、この本体側フック金具55に商品収納ラック121,141を固着する固着方式である。前記引っ掛け方式は例えば特開2005−122596号公報にも記載されているとおり、商品収納ラック121,141を構成する左右一対のラック側板の上端に前記本体側フック金具50のフック501に係合するラック側フックを設け、当該ラック側フックを前記本体側フック金具50のフック501に係合させたものであり、この引っ掛け方式では本体側フック金具50をガイドとして商品収納ラック121,141をスライドさせることにより庫内に格納、または庫内から引出すことができる。一方、固着方式は例えば特開平9−288768号公報にも記載されているとおり、商品収納ラック121,141を構成する左右一対のラック側板にラック側フック金具を架設し、このラック側フック金具を前記本体側フック金具55のフック551に係合させて両者をねじ止めしたものである。
前述したとおり公知のサーペンタイン式商品収納ラック121,141は図11に示した本体側フック金具50,55を用いて商品収納庫内に配設されている。そこで発明者等は、前記本体側フック金具50,55に本発明に係る商品収納ラック20を装着可能とすればサーペンタイン式商品収納ラック121,141との互換性を持たせることを突き止め、商品収納ラック20を前記本体側フック金具50,55に装着するアダプター部材の開発に至った。
さて、図11には商品収納ラック20を前記本体側フック金具50,55に装着するアダプター部材を示している。なお、図11に示した商品収納ラック20は図3にて説明したように組立られたものであるのから、ここでは重複する説明は省略する。図11の(a)は前述した引っ掛け方式に採用されたアダプター部材51を示しており、アダプター部材51は左右一対のラック固定金具52、およびラック側フック金具53からなる。前記左右一対のラック固定金具52は断面Z字状に形成された厚板鋼板からなり、その一端が商品収納ラック20を構成する左右一対の上部支持フレーム材21,21にねじにより固着されるとともに他端がラック側フック金具53に固着されている。前記ラック側フック金具53は厚板鋼板により下面が開放した箱形に形成されるとともに左右両端に本体側フック金具50のフック501に係合するラック側フック54が形成されてなる。前記商品収納ラック20には予め二組のアダプター部材51が上部支持フレーム材21,21に固着されてなる。前記商品収納ラック20を商品収納庫内に配設する際、まず、後方側のアダプター部材51におけるラック側フック金具53のラック側フック54を本体側フック金具50のフック501に対峙させて両者が係合するように押し込んでスライドさせ、同様に前方側にアダプター部材51のラック側フック金具53のフック54を本体側フック金具50のフック501に係合させてスライドさせて組み付ける。
図11の(b)は前述した固着方式に採用されたアダプター部材56を示しており、アダプター部材56はラック側フック金具57からなる。ラック側フック金具57は厚板鋼板の平板からなり、その下端に商品収納ラック20を構成する左右一対の上部支持フレーム材21,21の下面に潜り込んでねじ止めされる固定アーム58、および上端に本体側フック金具55のフック551に係合するラック側フック59が形成されている。前記商品収納ラック20には予め二組のアダプター部材56が上部支持フレーム材21,21に固着されてなる。前記商品収納ラック20を商品収納庫内に配設する際、それぞれのアダプター部材56におけるラック側フック59を本体側フック金具55のフック551に対峙させて両者を係合させる。次いで、アダプター部材56と本体側フック金具50をねじ止めして組み付ける。図11に示したようにアダプター部材51,56を設けたことによりパウチ商品を収容する商品収納ラック20を公知のサーペンタイン式商品収納ラック121,141に対して互換性を持たせることができ、既設の自動販売機のサーペンタイン式商品収納ラックと交換することができる。
なお、この実施の形態においては、前述したように本発明に係る商品収納ラック20をサーペンタイン式商品収納ラックと構造上の互換性を持たせ、既設の自動販売機のサーペンタイン式商品収納ラックと交換することができるうえに電気的にも互換性を持たせている。すなわち、サーペンタイン式商品収納ラックの商品搬出機構においては販売商品を係止する下ストッパと次販売商品を係止する上ストッパとをソレノイドにより駆動することによって前記下ストッパおよび上ストッパを商品通路に交互に突出させている。このことに鑑み、本発明に係る商品収納ラック20においても商品搬出機構34の駆動源としてソレノイド40を用い、このソレノイド40によりストッパ部材42を駆動して販売商品を係止する第1のストッパ45および次販売商品を係止する第2のストッパ46が左右一対の挟持部材31の隙間tに交互に出没するように構成したものである。また、商品収納ラック20に装填された商品を検出する商品検知スイッチ47(図4,図5参照)を備えており、この商品検知スイッチ47から商品の売切れ検知信号を出力するように構成されている。このような商品搬出機構34および商品検知スイッチ47を用いることによりサーペンタイン式商品収納ラックの商品搬出機構に供給される電源や制御信号により商品搬出機構34が商品搬出動作を実行し、商品検知スイッチ47が自動販売機の制御部に売切れ信号を送出する。つまり、サーペンタイン式商品収納ラックを搭載した既設の自動販売機の制御プログラムを何ら変更することなく本発明に係る商品収納ラック20をサーペンタイン式商品収納ラックと交換して配線接続を行うことによって直ちに自動販売機を稼動させることができるものである。
次に、図12は本発明の実施の形態である自動販売機の変形例を示す。図12において図1乃至図11に示す実施の形態と同一のものには同一の符号を付してその説明は省略する。
図12では図1乃至図11に示した実施の形態の自動販売機に対して背板25の背面に補助ダクト29を設けた点が異なる。この補助ダクト29はその(b)に示すように平面断面がコ字形に形成され、上部側に背板25の通風穴25a(図3参照)に連通する開口29aを有し、閉塞された下面側には循環用ダクト9が嵌め込まれる嵌合溝29bを有する。この補助ダクト29はその開口29aが背板25の通風穴25aに一致するように重ね合わせて背板25に固着されており、商品収納ラック20を庫内に装着する際、補助ダクト29の嵌合溝29bに循環用ダクト9を嵌合させてなる。この変形例によれば、補助ダクト29によって循環用ダクト9の上端開口が覆われているので、商品収納ラック20と庫内の左右壁との間に隙間が形成されている場合にも、当該隙間から冷気若しくは暖気が循環用ダクト9の上端開口に導かれるのを防止することができる。したがって、冷却/加熱ユニットから送風された冷気若しくは暖気を漏れなく矢印A,B,Cの経路を経由した後循環用ダクト9を介して冷却/加熱ユニットに戻るように循環させることができる。なお、循環用ダクト9は上端が開口したものについて説明したが、その上端が閉塞されるとともに循環用ダクト9の底面(庫内側の面)に吸込み口を開口してなるものに補助ダクト39を適用する場合には、前記ダクト9の底面に開口した吸込み口を補助ダクト29により覆うようにすればよい。
(実施の形態2)
図13および図14は本発明の実施の形態2における自動販売機の要部側面断面図、および商品収納ラックの一部分解斜視図であり、実施の形態1と同一の部材若しくは同一の機能を有するものには同一の符号を付してその説明を省略する。なお、この実施の形態2における自動販売機が実施の形態1の自動販売機と異なる点は主に庫内を循環する冷気若しくは暖気の循環通路を規制する部材の構成であるが、スラント式商品収納ラックについても若干の構造の相違があるので、先ずスラント式商品収納ラックの相違点を説明した後に冷気若しくは暖気の循環通路を規制する部材の構造について説明する。
図に示すように、この実施の形態2におけるスラント式商品収納ラック20における前方および中央付近に配設されたそれぞれ一対の縦フレーム材23,23のうち、中央付近の縦フレーム材23,23は上端に対して下端が前方に位置するように傾斜して配設されている。以下の説明では中央付近の縦フレーム材23,23を後方の縦フレーム材23,23という。これらの前方および後方の縦フレーム材23,23に4段の商品支持ユニット30が架設されており、この4段の商品支持ユニット30は下段側ほど奥行き寸法が短く形成され、下段側の商品支持ユニット30の商品搬出機構34が手前に位置するように構成されている。これは上段側の商品支持ユニット30から搬出された商品が落下する途中において下段側の商品支持ユニット30の商品搬出機構34に接触して落下姿勢が乱れるのを防止するためである。
また、背板25と側面板26とにより囲まれた商品搬出通路の下部領域には後端が前記背板25に臨むとともに前端が前記背板25から離隔して後端に対して前端が低く傾斜した商品案内部材27が配設され、この商品案内部材27の前端には、鉛直方向に延在する係止面271が設けられている。前記商品案内部材27の係止面271にシュータ2Aの後端部に形成された爪2Bが挿入される係止溝272が形成されている。前記シュータ2Aは無数の穴が穿孔された平板面から上方に突出する複数のリブ2Dが当該シュータ2Aの長手方向に延在して形成されてなり、その後端部の爪2Bを商品案内部材27の係止溝272に挿入することにより図13に示すように商品収納ラック20に係止固定される。また、前記シュータ2Aの前端にはねじの挿通孔2Cが設けられ、本体キャビネット1の底壁1aの前縁に配設される化粧枠(不図示)を取付けるための取付金具にねじにより固着される。このようにシュータ2Aの後端側を前記スラント式商品収納ラック20に着脱自在に係止した場合、前記シュータ2Aを取外すことによって、シュータ2Aの下部背面に配設された冷却/加熱ユニットの保守・点検作業を容易に行うことができる。
さらに、スラント式商品収納ラック20を構築する左右一対の上部支持フレーム材21,21に跨って前後一対のラック側フック金具561,561が固着され、このラック側フック金具561,561の上端側にはフック部が形成されている。このラック側フック金具561,561は図11(実施の形態1)に記載したアダプター部材56に相当するものである。前記ラック側フック金具561,561は図13に示した本体キャビネット1の商品収納庫の天井に左右方向に敷設した本体側フック金具55のフックに係合させて両者をねじにより固着することによりスラント式商品収納ラック20が商品収納庫に収納設置されるように構成されている。
さて、図において280はクッションであり、このクッション280が実施の形態1に係る自動販売機と異なっている。前記クッション280は、図14に示すように、スラント式商品収納ラック20を構築する左右一対の下部支持フレーム部材22,22の外面および前方の縦フレーム材23,23間に固着された上下方向に複数の梁部材24のうちの下段の梁部材24の前面に貼着されている。なお、図13では商品収納ラック20の構造を分かり易くするためにクッション280は点線で示している。前記左右一対の下部支持フレーム部材22,22の外面に貼着されたクッション280は、商品収納庫内を左右方向に仕切る断熱仕切板11(図1参照)とスラント式商品収納ラック20との間の隙間を塞ぎ、また、前記下段の梁部材24の前面に貼着されたクッション280は上下に分割された内扉15(図1参照)のうち、下部側の内扉15とスラント式商品収納ラック20との間の隙間を塞ぐものであり、冷却/加熱ユニットから送風された冷気若しくは暖気がそれぞれの隙間を通って迂回するのを防止する遮蔽部材として構成されている。
この実施の形態2における自動販売機によれば、前記下段の梁部材24の前面に貼着され、スラント式商品収納ラック20と内扉15との間の隙間を塞ぐクッション280を配設したことにより次記の効果を有する。すなわち、冷却/加熱ユニットから送風された冷気若しくは暖気、特に冷気が内扉15に直接衝突した後内扉15に沿って上昇した場合には冷気の風速が早くて熱伝達率が高いために内扉15の庫内側と庫外側との温度差が大きくなることから内扉15の庫外側に結露が生じ、時には内扉15の前面に配設された商品見本を展示する中扉(不図示)の表面に結露が生じて見栄えを損なうおそれがある。かかる点、前記クッション280を具備することによって内扉15の庫内側に接して上昇する冷気の風速を抑えて庫内側と庫外側の温度差を小さくすることができるので、内扉15の庫外側に結露が生じるのを抑制することが可能となる。
また、前記左右一対の下部支持フレーム部材22,22の外面に貼着され、スラント式商品収納ラック20と断熱仕切板11(図1参照)との間の隙間を塞ぐクッション280を具備したことにより、冷却/加熱ユニットから送風された冷気若しくは暖気がスラント式商品収納ラック20と断熱仕切板11(図1参照)と間の隙間から側面板26および背板25により囲まれた循環通路の外側を経由して循環用ダクト9の上端開口9aに導かれる、つまり、冷却/加熱ユニットから送風された冷気若しくは暖気がスラント式商品収納ラック20の外側を迂回するのを規制することが可能となるので、冷却/加熱ユニットから送風された冷気若しくは暖気を漏れなくスラント式商品収納ラック20の内部を経由した後循環用ダクト9を介して冷却/加熱ユニットに戻るように循環させることができ、冷却若しくは加熱性能を良好な状態に維持することが可能となる。
(実施の形態3)
図15は本発明の実施の形態3における自動販売機におけるスラント式商品収納ラックの概略構成を示す斜視図である。この実施の形態3の自動販売機におけるスラント式商品収納ラックの構造は実施の形態2の自動販売機におけるスラント式商品収納ラックの構造と同一であり、実施の形態2と同一の部材若しくは同一の機能を有するものには同一の符号を付してその説明を省略する。
図15に示した実施の形態3の自動販売機が実施の形態1の自動販売機と異なる点はスラント式商品収納ラック20の前面に遮蔽扉80を設けた点である。前記遮蔽扉80はスラント式商品収納ラック20を構築する前方の(左右一対の)縦フレーム材23,23に跨るように配設され、左右一対の縦フレーム材23,23のいずれか一方、図の場合には正面視左側の縦フレーム材23にヒンジ結合されて開閉可能であり、また、遮蔽扉80の自由端側には右側の縦フレーム材23に設けた係合突起231と係合する係合溝81が形成されている。なお、前記遮蔽扉80は図に示すようにスラント式商品収納ラック20に架設された上下4段の商品支持ユニット30に対応して配設されている。前記遮蔽扉80は常時は係合溝81を縦フレーム材23の係合突起231に係合させて閉じた状態にあり、商品支持ユニット30に商品を補充する際に商品支持ユニット30の前方を開放するように開けられる。
この実施の形態3における自動販売機によれば、スラント式商品収納ラック20を構築する縦フレーム材23,23の前方に開閉可能な遮蔽扉80を具備してなることにより、スラント式商品収納ラック20内を循環する冷気若しくは暖気が商品支持ユニット30に吊下げ収容された商品に当たって前方に逸れる、つまり、スラント式商品収納ラック20内からスラント式商品収納ラック20と内扉15との間の隙間に逃げて迂回するのを規制している。したがって、冷却/加熱ユニットから送風された冷気若しくは暖気を、スラント式商品収納ラック20内を通して良好に循環させることができ、冷却若しくは加熱性能を良好な状態に維持することができる。なお、図15では遮蔽扉80を商品支持ユニット30に対応して上下方向に分割して配設した例を示しているが、上下方向に分割することなく一枚の遮蔽扉とすることもできるものである。
(実施の形態4)
図16は本発明の実施の形態4の自動販売機を示し、(a)はスラント式商品収納ラックの概略構成を示す要部斜視図、(b)はシュータ2Aの斜視図である。この実施の形態4の自動販売機におけるスラント式商品収納ラックの構造は実施の形態2の自動販売機におけるスラント式商品収納ラックの構造と同一であり、実施の形態2と同一の部材若しくは同一の機能を有するものには同一の符号を付してその説明を省略する。なお、実施の形態4の自動販売機にあってはスラント式商品収納ラックの構造自体は実施の形態1のスラント式商品収納ラックの構造であっても良いものである。
図16に示した実施の形態4の自動販売機が実施の形態2の自動販売機と異なる点は冷却/加熱ユニットの風胴60に当該冷却/加熱ユニットから前方に向けて送風される冷気若しくは暖気が逸れて迂回するのを規制する風ガイド61を設けた点である。前記風胴60は良く知られているように、図13(もしくは図2)に示したところの庫内下部に設置された蒸発器6、庫内ファン7、ヒーター8を囲繞する箱体からなり、凝縮器6および庫内ファン7,ヒーター8の外形に合わせた2つの箱体を組み合わせた態様で形成されている(図13,図2では風胴を取り外した状態を示している)。前記風胴60の前面および後面は開放されており、前記風胴60の前面下部には冷却/加熱ユニットから前方に向けて送風された冷気若しくは暖気を上方に向かうように方向転換させるU字状の転向板62が設置されている。風胴60の後面に設置されたスペーサダクト600は風胴60と循環用ダクト9を連通させるものである。このスペーサダクト600は、図13に示したように、本体キャビネット1の機械室に配設された凝縮器4と庫内の冷却/加熱ユニットの蒸発器6との間を接続する冷媒配管が本体キャビネット1の底壁1aの前面を介して引き回すように構成されていることから、本体キャビネット1の奥行寸法が異なる機種ごとに冷媒配管の長さが異なる冷却/加熱ユニットを用意せねばならないところ、冷却/加熱ユニットの標準化、すなわち、冷却/加熱ユニットを奥行寸法の短い機種に適したもの(冷媒配管の長さ)として標準化を図り、奥行寸法の長い機種に対しては風胴60と循環用ダクト9との間の隙間を埋めるものである。なお、90はヒーター8の過昇温を防止するためのサーモスタットであり、91は庫内の温度を検出する温度センサである。
さて、風胴60の左右側壁には、その側壁に沿って前記転向板62の左右側方を覆うように三角形状の風ガイド61が固着されている。また、図14と対比すると分かるように、シュータ2Aの前方領域には通気用の穴は穿孔されておらず、冷却/加熱ユニットから送風された冷気若しくは暖気が内扉15に直接接するのを規制している。
この実施の形態4における自動販売機によれば、冷却/加熱ユニットから送風された冷気若しくは暖気は転向板62により上方に向かうように方向転換された後、シュータ2Aに穿孔された無数の穴を介してスラント式商品収納ラック20内に通風される。このように、転向板62および前方領域には通気用の穴が穿孔されていないシュータ2Aによって冷却/加熱ユニットから送風された冷気若しくは暖気が内扉15に直接接することが規制される。ここで、転向板62は冷却/加熱ユニットから送風された冷気若しくは暖気を上方に向かうように方向転換させるものであるが、冷却/加熱ユニットから送風された冷気若しくは暖気の抵抗となる。このため、転向板62に衝突した冷気若しくは暖気の殆んどは上方に向かう気流となるが、一部が左右側方に逸れることとなる。かかる点、この実施の形態4においては風ガイド61が設けられていることにより転向板62に衝突して左右に逸れようとする気流は風ガイド61に規制されて上方に向かう気流となるので、冷却/加熱ユニットから送風された冷気若しくは暖気を効率よくスラント式商品収納ラック20内に良好に循環させることができ、冷却若しくは加熱性能を良好な状態に維持することができる。
なお、この実施の形態においては風ガイド61を三角形に形成して一辺が転向板62の傾斜に沿うように配設することにより材料費の節減を図っているが、風ガイド61の形状は三角形状に限らず、四角形状であっても良いものである。
前述したとおり本発明によれば、本体キャビネット1の庫内下部に前下がりに傾斜したシュート2および冷却/加熱ユニットが配設され、上端が庫内の略中段位置まで延在するとともに庫内に連通する開口を有し、かつ、下端が冷却/加熱ユニットに連通する循環用ダクト9が庫内背面に配設された自動販売機であって、上下左右のフレーム材21,22,23により商品収納ラックの枠体を構築し、左右のフレーム材23,23に上下方向に複数段架設され、前記商品(パウチ商品100,200)の引っ掛け部(フランジ105)を支持し、かつ、前方側(商品投入側)に対して後方側が低くなるよう傾斜して前記商品をその自重により滑らせて吊下げ収容するとともに後端部に商品搬出機構34を有する商品支持ユニット30を設けてなるスラント式商品収納ラック20を備えた自動販売機において、スラント式商品収納ラック20に架設された商品支持ユニット30から搬出された商品が落下する商品通路を取り囲むように左右一対の側面板26,26および背板25を商品収納ラックを構築するフレーム材22,22に固着して設け、当該側面板26,26および背板25により囲まれた空間を冷気若しくは暖気の循環通路として形成したことにより、サーペンタイン式商品収納ラックに代えて容器形態が軟弱なパウチ商品100,200を収納するスラント式商品収納ラック20を搭載した場合、冷却/加熱ユニットから送風された冷気若しくは暖気を前記側面板26,26および背板25により囲まれた循環通路により庫内下部から庫内上部まで通風させることができるので、スラント式商品収納ラック20に上下複数段架設された商品支持ユニット30に釣下げ支持されたパウチ商100,200品を略均等に冷却若しくは加温することができる。
なお、前述した実施の形態においては飲み口部分に引っ掛け部を有し、容器形態が軟弱なパウチ商品について説明したが、これに限るものではない。例えば、容器形態が硬質であっても起立させることが困難な商品や横倒し姿勢で転動させることが困難であり、かつ、飲み口部分に引っ掛け部を有する商品や容器形状が異形であって飲み口部分にキャップなどが装着された商品にも本発明に係る商品収納ラックを適用することができるものであり、実施の形態に限定されるものではない。