以下、本発明における実施の形態である自動販売機を図面に基づいて説明する。
(実施の形態1)
図において、1は前面が開口した本体キャビネットである。前記本体キャビネット1は鋼板製の外箱の内側、すなわち、上壁,左右側壁,背壁および底壁1a(図2参照)にウレタンフォームからなる断熱ボードを配設して断熱筐体として構成されている。前記本体キャビネット1の断熱ボードで囲まれた商品収納庫内は断熱仕切壁11により左右方向に複数、この実施の形態では3つの商品収納室12,13,14に区画されている。左右の商品収納室12,14には、従来より良く知られている湾曲したセグメントを上下方向に連接したセグメント列を前後に対向配置して蛇行した商品収容通路(コラム)を構成してなるサーペンタイン式商品収納ラック121,141がそれぞれ左右2列ずつ収設されている。前記サーペンタイン式商品収納ラック121,141における商品収容通路(コラム)の下部にはマイクロスイッチからなる商品検知スイッチ(売切れスイッチ)を備えた商品搬出機構143(図2の(b)参照)が設けられ、前記商品搬出機構143は最下位商品(販売商品)を係止する下ストッパと下から2番目の商品(次販商品)を係止する上ストッパとをソレノイドにより駆動することによって当該前記下ストッパおよび上ストッパを商品通路に交互に突出させて商品を一個ずつ搬出するように構成されている。中央の商品収納室13には後述するスラント式の商品収納ラック20が収設されている。前記商品収納ラック121,141の下部には無数の穴が形成されるとともに前下がりに傾斜したシュータ2が配置され、スラント式商品収納ラック20の下部には図2の(a)に示すように商品収納ラック20に係止されたシュータ2Aが配置されている。前記シュータ2、2Aの下部には、それぞれの商品収納室12,13,14を冷却もしくは加熱して商品収納ラック121,141,20に収容した商品をコールド・ホット状態に保存する冷却ユニット若しくは冷却/加熱ユニットが配設されており、冷却ユニット若しくは冷却/加熱ユニットを符号60(図2の(a)参照)で示している。
また、前記本体キャビネット1の底壁1aの下部は機械室として形成され、この機械室には前記冷却/加熱ユニットの冷却ユニットと冷凍サイクルを構成する圧縮機3(図2の(a)参照)、凝縮器4、膨張機構(図では隠れて見えない)および凝縮器4に送風する庫外ファン5が配設されている。前記冷却ユニットのみが配設された商品収納室はコールド専用室、冷却/加熱ユニットが配設された商品収納室はホット/コールド兼用室とされ、図に示す例では商品収納室12がコールド専用室、商品収納室13,14がホット/コールド兼用室とされ、この場合コールド専用室である商品収納室12の庫内下部には機械室の圧縮機3,凝縮器4で圧縮,凝縮された冷媒が循環される蒸発器6、庫内ファン7が冷却ユニットとして設置されており、ホット/コールド兼用室である商品収納室13,14の庫内下部には前記蒸発器6、庫内ファン7に加えて商品加熱用のヒーター8が加熱ユニットとして設置されている。そして、各商品収納室12,13,14の背面には循環用ダクト9が冷却ユニット若しくは冷却/加熱ユニットと連通して配備され、前記循環用ダクト9の上端9aは商品収納庫の略中段位置に開口している。なお、図1において122,142は商品収納ラック121,141を固定する固定金具である。
前記本体キャビネット1の前面に開閉自在に装着された外扉10(図1参照)の前面には良く知られているようにディスプレイ台に載置された商品見本のディスプレイ室が形成され、このディスプレイ室の前面を覆う透明板には各商品見本に対応して設けられた商品選択ボタンを備えた商品選択ボタンユニットが配設されるとともに商品取出口10aに加えて硬貨投入口、紙幣投入口、釣銭返却口、返却レバー、シリンダー錠付きのハンドルロック装置などが組付けられている。前記本体キャビネット1における商品収納庫の前面を閉塞する内扉15は、この例では上下に分割されており、下部側の内扉15には各商品収納室12,13,14のシュータ2,2Aと対峙する位置に搬出扉15aにより常時閉塞された商品搬出口が設けられている。前記商品搬出口の搬出扉15aは上端を軸支されて常時商品搬出口を閉塞して冷気若しくは暖気の流出を防止しており、シュータ2,2Aを介して送出される商品により押し開かれるように形成されている。
ここで、自動販売機のベンド配線を図1のB−B断面である図2の(b)を用いて説明する。図はサーペンタイン式商品収納ラック141の部分の右側面であるが、サーペンタイン式商品収納ラックは良く知られているので仮想線(二点鎖線)で示し、また、冷却/加熱ユニット60についてはベンド配線を理解し易くするために省略している。この実施の形態におけるサーペンタイン式商品収納ラック141は2コラムずつ前後に分割されたラックを連結して6重のコラムを有しており、それぞれのラックの前後2コラム(商品収容通路)の下部にはそれぞれの商品搬出機構143,143が背中合わせに配設されてなる。前記商品搬出機構143,143は最下位商品(販売商品)を係止する不図示の下ストッパと下から2番目の商品(次販商品)を係止する上ストッパとをソレノイド(駆動源)により駆動することによって前記下ストッパおよび上ストッパを商品収容通路に交互に突出させて商品を一個ずつ搬出するように構成されており、また、商品収容通路(コラム)に収容された商品を検知するマイクロスイッチからなる商品検知スイッチ(売切れスイッチ)が設けられている。一方、前記本体キャビネット1の機械室には自動販売機の全体を制御するマスター制御部に接続されるところの、金銭処理部,冷却制御部,販売制御部などのスレーブ制御部を内蔵する電装ボックス(不図示)が配設されており、当該電装ボックスと商品搬出機構143,143とがベンド配線VWにより接続されている。
前記ベンド配線VWは電源線,制御線からなるとともに配線接続用カプラCPにより本体側ベンド配線VW1と機構側ベンド配線VW2に分離可能である。前記本体側ベンド配線VW1は前後2コラム(2つの商品搬出機構143,143)ごとに分けられて電装ボックスが配設された機械室から庫内の側壁(断熱仕切壁11)に沿って商品搬出機構143,143の近傍位置まで引き回され、その途中位置(つまり、シュータ2を横切る位置)において庫内の側壁(断熱仕切壁11)に設けた配線カバー11A1,11A2,11A3により覆われたうえで配線接続用カプラCPを介して機構側ベンド配線VW2とそれぞれ接続されている。前記電装ボックスからは商品搬出機構143,143のソレノイドに販売信号(駆動信号)が送出される一方、商品搬出機構143,143からは電装ボックスに商品の売切れ信号が送出されるように構成されている。前記ベンド配線VWのうち、本体側ベンド配線VW1がサーペンタイン式商品収納ラックの商品搬出機構143,143と後述するスラント式商品収納ラック20の商品搬出機構に共通に用いられるものである。
次に前記スラント式の商品収納ラック20の構成について図3を用いて説明する。図に示すように、左右一対の上部支持フレーム材21,21および下部支持フレーム材22,22には前方および中央付近(以下、後方側ともいう)にそれぞれ一対の縦フレーム材23,23がねじにより固着されている。前記上部支持フレーム材21,21と、下部支持フレーム材22,22と、それぞれ一対の前後の縦フレーム材23,23が商品収納ラックを構築するフレーム材を構成し、これらの各部材は厚板鋼板により形成されている。前方の縦フレーム材23,23間には上下方向に複数の梁部材24が固着されている。上部支持フレーム材21,21および下部支持フレーム材22,22の後方側(図2から理解できるように奥行き側であり、以下後方を奥行きともいう)は背板25と左右の側面板26により閉塞されている。この閉塞された垂直方向に延在する空間は商品が落下する商品搬出通路として形成されている。また、背板25の上部側には庫内空気の通風孔(図では側面板26に隠れて見えない)が形成されている。前記商品搬出通路の下部領域には後端が前記背板25に臨むとともに前端が前記背板25から離隔して後端に対して前端が低く傾斜した商品案内部材27が配設されている。前記商品案内部材27の前端には、鉛直方向に延在する係止面271が設けられ、この係止面にシュータ2Aの後端部に形成された爪2Bが挿入される係止溝(係止手段)272が形成されている。シュータ2Aはその後端部の爪2Bを商品案内部材27の係止溝272に挿入することにより図2に示すように商品収納ラック20に係止固定されている。また、前記シュータ2Aの前端にはねじの挿通孔2Cが設けられ、本体キャビネット1の底壁1aの前縁に配設される化粧枠1b(図1参照)を取付けるための取付金具にねじにより固着されている。前記シュータ2Aは無数の穴が穿孔された平板面から上方に突出する複数のリブ2Dが当該シュータ2Aの長手方向に延在して形成されてなる。
図3に戻り、商品収納ラック20を構築する左右一対の上部支持フレーム材21,21に跨って前後一対のラック側フック金具28,28が固着され、このラック側フック金具28,28の上端側にはフック部が形成されている。このラック側フック金具28,28は、図2の(a)に示した本体キャビネット1の商品収納庫の天井に左右方向に敷設した本体側フック金具1cと対峙するように位置関係を定めて上部支持フレーム材21,21に取付けられている。前記したことから明らかなようにラック側フック金具28,28は商品収納ラック20を商品収納庫に収納設置するためのものであり、ラック側フック金具28,28のフック部を本体側フック金具1cのフックに係合させて両者をねじにより固着することにより商品収納ラック20が商品収納庫に収納設置される。なお、図3における231は不図示のラック固定金具(各商品収納室を仕切る断熱仕切壁11に着脱自在に取付けられている)にねじ止めされて商品収納ラック20を固定する固定金具である。
前記上部支持フレーム材21,21および下部支持フレーム材22,22に固着された前後の縦フレーム材23,23には商品支持ユニット30が装着されている。この商品支持ユニット30の装着については後述することとし、先ず、前記商品支持ユニット30の構成について図4を用いて説明する。図に示すように、商品支持ユニット30は左右一対のレール部材31,31、このレール部材31,31を連結する前後の連結部材32,33、および後方の連結部材33の上に設置された商品搬出機構34からなる。
前記左右一対のレール部材31,31は一方の面に潤滑塗膜が施された薄板の塗膜鋼板(以下、単に薄板鋼板ともいう)によりL字状に形成された長尺の部材からなり、それぞれ所定の間隙tをおいて対向配置されている。前記間隙tを形成する左右一対のレール部材31,31の脚端部は一方の面(塗膜面)が外側となるように折り曲げによりダブルホールド(参照符号35を付している)されており、間隙tを形成する脚端部の上下両面が塗膜面(すなわち、潤滑性が良好な面)となっている。なお、ダブルホールド35,35の前端寄りには商品支持ユニット30への商品収容限界の目印としての切欠35Aが形成されている。前記左右一対のレール部材31,31によりパウチ商品を吊下げ支持するのであるが、パウチ商品の装填(補充)については後述することとする。なお、間隙tを含むダブルホールド35,35の上部領域を商品収容通路という。
前記連結部材32,33は左右一対のレール部材31,31を囲繞するような枠体として構成され、前記左右一対のレール部材31,31にそれぞれねじにより強固に固着され、これにより左右一対のレール部材31,31のそれぞれの脚端部(ダブルホールド35,35)の間の間隙tが一定に保たれている。また、前方側の連結部材32には正面視T字状の取付片321が一体に形成されている。この取付片321は図3に示した商品収納ラック20の梁部材24に係合するものであり、その上端は鉤状に折り曲げられ、かつ、脚片中央付近にはねじ孔322が形成されている。なお、323はL字状の左右一対のレール部材31,31における脚端部を除く前面を覆うように連結部材32に一体に設けられたカバーであり、前記レール部材31,31を連結部材32に固着するところの連結部材32の内部に突出するねじの端部を覆って当該ねじの端部に手が触れるのを防止するためのものである。
一方、後方側の連結部材33は左右一対のレール部材31,31の底壁外周面に回り込むことなく、左右一対のL形のレール部材31,31を、その上面外周からそれぞれの側壁外周を囲い込み、それぞれの側壁に次に述べるように固着されている。すなわち、連結部材33は断面逆U字状に形成され、逆U字状脚片の側面部にそれぞれ前方係合爪331,331(図4の(a)参照)、後方係合爪332,332(図4の(b)参照)が設けられ、前方係合爪331,331が左右のレール部材31,31のそれぞれの側壁に穿孔された開口311,311に嵌め込んで係止される一方、後方係合爪332,332が左右のレール部材31,31のそれぞれ側壁後縁に係止されている。そして、連結部材33の逆U字状脚片を左右のレール部材31,31のそれぞれの側壁にねじにより固着することにより両者が強固に結合されている。なお、前記連結部材33には左右方向に突出する取付具333が折り曲げ加工により一体的に形成されており、この取付具333の頭部には段付ねじ334が螺着されており、この段付ねじ334を介して図3に示した商品収納ラック20における後方側の縦フレーム材23,23に装着される。なお、図4における343は商品搬出機構34のカバー342に取付けられた防護部材であり、この防護部材343は配線接続用カプラCP1の上部領域を覆って結露による水滴などから配線接続用カプラCP1を保護するものである。
前記商品支持ユニット30の後方に配設された商品搬出機構34はベース341とカバー342とからなる箱体の内部に搬出機構が組み込まれたものであり、その搬出機構を図5に示す。図5の(a)は前記商品搬出機構34のカバー342を取り外した状態の斜め上方から見た斜視図であり、図5の(b)は商品搬出機構34の主要な構成部品を分解して示す要部拡大斜視図であり、先ず商品搬出機構34の構成部品を説明したうえで個々の構成部品の詳細を説明する。
図において、40は駆動源としてのソレノイドであり、このソレノイド40のプランジャー41にはストッパ部材42が連結されている。ストッパ部材42はプランジャー41の移動方向に平行な長孔43,43に段付ねじ421,421が遊嵌されており、プランジャー41の移動方向にスライド自在に配設されるとともに復帰ばね44が装着されている。また、前記ストッパ部材42の後端部には下方に延在する第1のストッパ45および第2のストッパ46が形成されている。なお、第2のストッパ46はベース341および左右一対のレール部材31,31を連結する連結部材33に設けた開口(不図示)を貫通して下方に延在している。また、第2のストッパ46には図4の(b)に示したように先端に折り曲げにより後方側に向かって傾斜した押圧片462を備えた係止部材461が係止されている。
前記第1のストッパ45は一対の挟持部材31,31の後端部に位置し、第2のストッパ46は第1のストッパ45から所定距離だけ前方側に離れた位置に配置されている。そして、販売待機状態(ソレノイド40の非励磁状態)では第1のストッパ45が左右一対のレール部材31,31により形成された間隙t(商品収容通路)に臨んで位置しており、第2ストッパ46が前記間隙tから左右方向にずれた位置に退避しており、ソレノイド40が励磁された販売時には第1のストッパ45が前記間隙tから退避し、第2のストッパ46が前記間隙tに臨むように移動するものである。なお、47はマイクロスイッチを備えた商品検知スイッチ(売切れスイッチ)であり、商品搬出機構34の動作を説明する後述の図10に示すように、マイクロスイッチ471のアクチュエータを操作する操作レバー472がパウチ商品(販売商品)に当接するように配設されている。前記商品検知スイッチ47に電源を供給する電源線、および商品検知スイッチ47からの検知信号を伝達する信号線からなる配線471はソレノイド40への信号線401とともに商品搬出機構34のカバー342に固着された配線接続用カプラCP1に接続されている。なお、図4および図5における343はカバー342に取付けられた防護部材であり、この防護部材343は配線接続用カプラCP1の上部領域を覆って結露による水滴などから配線接続用カプラCP1を保護するものである。
前述したように構成された商品支持ユニット30の商品収納ラック20への装着を、図3を参照しつつ以下に説明する。なお、図3では商品支持ユニット30を4段に架設した場合を例示しており、最上段の商品支持ユニット30を装着する場合を代表として説明することとする。まず、商品収納ラック20を構成する前方側の縦フレーム材23,23の間から商品支持ユニット30を挿入する。この場合、左右の取付具333,333が鉛直線上に並ぶように商品支持ユニット30を横向きに倒した状態で挿入する。これは前記左右の取付具333,333が水平線上に位置する姿勢で商品支持ユニット30を縦フレーム材23,23の間に挿入すると前記取付具333,333が左右の縦フレーム材23,23に当接して挿入の妨げとなるので、これを避けるためである。そして、商品支持ユニット30の取付具333,333が前方側の縦フレーム材23,23の間を通過した段階で商品支持ユニット30を元の姿勢に戻しつつ商品支持ユニット30を後方に移動させ、商品支持ユニット30の前方の連結部材32(図4参照)に形成されたT字形の取付片321を梁部材24に係合させて仮固定する。次いで、商品支持ユニット30の取付具333,333の頭部に螺着された段付ねじ334を、商品収納ラック20を構成する後方側の縦フレーム材23,23に形成された係止溝(不図示)に挿入させて固定する。この状態で商品支持ユニット30の前方側の連結部材32に形成されたT字形の取付片321を梁部材24にねじ止めする。このようにして商品収納ラック20に装着された商品支持ユニット30は前方側(商品補充側)が高く、後方側(商品搬出機構34側)が低くなるように傾斜した状態となる。
このようにして上下4段に架設された商品支持ユニット30のそれぞれの商品搬出機構34の配線接続用カプラCP1(図4、図5参照)にはベンド配線VW(図2参照)のうちの機構側ベンド配線VW2の他端が接続される。ここでは商品支持ユニット30が上下4段、すなわち、4コラムであることから機構側ベンド配線VW2は、サーペンタイン式商品収納ラックの商品搬出機構(前後2コラムのそれぞれの商品搬出機構を背中合わせに組み付けてなる)に倣って上2段の商品支持ユニット30(2コラム)の商品搬出機構34と下2段の商品支持ユニット30(2コラム)の商品搬出機構34とにそれぞれ2コラム毎に分けたうえで後方側の縦フレーム材23,23に沿って引き回して各本体側ベンド配線VW1に接続される。この機構側ベンド配線VW2は本体側ベンド配線VW1と配線接続用カプラCPを介して接続されるものであるが、この接続作業については後述するのでここではその説明を割愛する。
さて、前後するが、前記商品支持ユニット30に装填されるパウチ商品を図6に示す。図6(a)に示すようにパウチ商品100は可撓性袋状容器102に硬質の合成樹脂からなる注出口部としてのスパウト104を固着し、当該スパウト104にキャップ106を装着してなる。前記スパウト104にはフランジ105が形成されており、図6の(a)の例ではフランジ105が1個のパウチ商品100、(b)の例ではフランジ105が2個のパウチ商品200を示している。前記可撓性袋状容器102内にはスパウト102からゼリー状の飲食物が注入されており、可撓性袋状容器102が軟弱であることから起立させることが困難なものである。なお、107はスパウト104に設けられた接合フランジである。
上記のとおり容器形態が軟弱なパウチ商品は起立させることが困難なものであることから本発明においては前述した商品支持ユニット30に吊下げ支持するようにしたものであり、次に前記商品支持ユニット30へのパウチ商品の装填(補充)について図7を用いて説明する。図ではパウチ商品100を装填する場合を示し、前記商品支持ユニット30の前方から白抜き矢印で表すようにパウチ商品100を装填する。すなわち、前記商品支持ユニット30の左右一対のレール部材31,31の間に形成された間隙tにスパウト104を挿入し、当該スパウト104に形成されたフランジ105を左右一対のレール部材31,31に引っ掛ける。ここで、前記左右一対のレール部材31,31の間に形成された間隙tはパウチ商品100のスパウト104の幅より大きくフランジ105の長さよりも短い所定の寸法に定められている。前記商品支持ユニット30の左右一対のレール部材31,31にフランジ105を引っ掛けて吊下げられたパウチ商品100はフランジ105が左右一対のレール挟持部材31,31上を滑動して自重により後方に移動する。前記商品支持ユニット30の後方に移動したパウチ商品100は商品搬出機構34の第1のストッパ45(図4、図5参照)により係止され、当該位置に停止した状態で吊下げ支持される。次に装填されたパウチ商品100は第1のストッパ45により係止された商品に当接して停止する。このようにして前記商品支持ユニット30にパウチ商品100を補充して収容した状態を図8に示し、パウチ商品100は重力により略鉛直線に沿った姿勢で商品支持ユニット30に吊下げ支持される。
ここで、パウチ商品100は前記商品支持ユニット30の左右一対のレール部材31,31における間隙tにスパウト104を挿入してフランジ105を引っ掛けて収容されるのであるが、パウチ商品100には図6に示したように、フランジ105以外にもキャップ106の下部が引っ掛け部として存在する。このため、パウチ商品100を商品支持ユニット30に装填する際、キャップ106(の下端)を前記商品支持ユニット30の左右一対のレール部材31,31に引っ掛けるように誤装填されるおそれがある。このような誤装填があるとキャップ106の下端が左右一対のレール部材31,31の間隙tの間に嵌り込んで商品詰まりを生じたり、最悪の場合には脱落してしまうことがある。この問題の解決策として、フランジ105と接合フランジ107との間の厚み寸法taに対してキャップ106とフランジ105の間の厚み寸法tbは小さく形成(ta>tb)されていることを利用し、左右一対のレール部材31,31を構成する鋼板の厚さを厚くしてキャップ106の下端を引っ掛けることができないようにすることが考えられる。しかしながら、左右一対の挟持部材31に厚板鋼板を利用すると重量が増加するとともにコストが上昇する。そこで、この実施の形態では薄板鋼板を用いたとしても誤装填を防止することを可能とするため、間隙tをおいて対向配置されたレール部材31,31の脚端部を折り曲げてダブルホールドして厚み規制部材35としている。このように薄板鋼板をダブルホールドすることによってフランジ105の下部を引っ掛けることを許容し、キャップ106の下部を引っ掛けることが困難となるので、引っ掛け部分を間違って装填するような誤装填が防止される。
なお、図6の(b)に示したフランジ105が2個のパウチ商品200においても、下側のフランジ105を引っ掛けて装填せねばならないところ、上側のフランジ105が引っ掛け部として存在していることから上側のフランジ105を引っ掛けるような誤装填のおそれがあるが、下側のフランジ105と接合フランジ107との間の寸法tcに対して2個のフランジ105の間の寸法tdが小さく形成(tc>td)されていることから、左右一対のレール部材31,31の脚端部を折り曲げてダブルホールドすることにより誤装填を防止することができる。
また、パウチ商品100はフランジ105を商品支持ユニット30の左右一対のレール部材31,31の上に乗せ自重により滑らせるように構成されていることから、前記フランジ105と前記商品支持ユニット30の左右一対のレール部材31,31の脚端部との摩擦抵抗が小さいことが望まれる。この要求に対しても間隙tをおいて対向配置された左右一対のレール部材31,31の脚端部を折り曲げてダブルホールドしたこの実施の形態の商品収納ラックは有利である。すなわち、一般的に用いられる鋼板は切削加工を容易にするために一方の面に潤滑性の塗膜がコーティングされた塗膜鋼板であるから、この塗膜鋼板の一方の面(潤滑性の塗膜がコーティングされた面)が外側となるようにダブルホールド(図4等に参照符合35を付した部分)することによって、間隙tを形成する左右一対のレール部材31,31の脚端部の上下両面が潤滑性の良好な面(摩擦抵抗が小さい面)となる。このため、パウチ商品100のフランジ105と左右一対のレール部材31,31の脚端部との摩擦抵抗を小さくすることができる。更に、商品支持ユニット30の傾斜角度を大きくすることによりパウチ商品100の自重による滑りが良くなる一方、前記商品支持ユニット30の傾斜角度を大きくするとパウチ商品100自体は重力によって略鉛直線に沿った姿勢を維持し続けるので、図9に示すように左右一対のレール部材31,31の脚端部の上下両面にパウチ商品100のフランジ105と接合フランジ107が同時に当接するようになる。この場合、左右一対のレール部材31,31の脚端部をダブルホールドしていない場合にはパウチ商品100のフランジ105または接合フランジ107のいずれか一方とレール部材31,31との脚端部との摩擦抵抗が大きくなるのであるが、塗膜鋼板の一方の面(潤滑性の塗膜がコーティングされた面)が外側となるようにダブルホールドした本発明の実施の形態のレール部材31,31においては当該レール部材31,31の脚端部の上下両面にパウチ商品100のフランジ105と接合フランジ107が同時に当接したとしても両者の摩擦抵抗を小さくすることができる。したがって、パウチ商品100の自重による滑りをよくするために前記商品支持ユニット30の傾斜角度を大きくすることができ、商品支持ユニット30へのパウチ商品の収容をスムーズに行うことができる。なお、レール部材31,31を構成する塗膜鋼板としてダブルホールドするために薄板であることが望ましく、薄板の塗膜鋼板を用いた場合には重量の軽減化に寄与するものである。
更に、図6に示したようなパウチ商品においては中身飲食物が異なるもの、或いは可撓性袋状容器102に充填された飲食物の内容量の相違によってフランジ105の幅寸法L1,L2(例えば、L1<L2)が異なっている。特に、可撓性袋状容器102に充填された飲食物が同一で内容量の異なるパウチ商品においては外形が類似していることから誤って装填されるおそれがある。そこで、この実施の形態では図7に示したように、左右一対のレール部材31,31の脚端部に近接して植設された一対の幅規制部材36を設けている。この一対の幅規制部材36の間の幅寸法L0はパウチ商品のフランジ105の幅寸法L1,L2(図7参照)に対してL1<L0<L2(但し、L1<L2である場合)と定められている。したがって、フランジ105の寸法がL0以下のパウチ商品については左右一対のレール部材31,31の間に挿入して装填することを許容し、フランジ105の寸法がL0以上のパウチ商品については幅規制部材36により装填が阻止され、これにより種類の異なるパウチ商品の誤装填が防止される。なお、図7では幅規制部材36として専用の部材を植設したものについて説明したが、左右一対のレール部材31,31と、このレール部材31,31を連結する連結部材32とを固着するねじを利用することもでき、この場合には部品点数を削減することができる。
次に、この実施の形態である自動販売機における商品収納室12,13,14の冷却・加熱動作について図2の(a)を用いて説明する。まず、商品収納室13,14(ホット/コールド兼用室)をコールド室として使用する場合にはヒーター8をオフし、圧縮機3,凝縮器4で圧縮,凝縮された冷媒を蒸発器6に送り、蒸発器6で熱交換した冷気を庫内ファン7でシュータ2の下側から庫内に吹き出して商品収納ラック20,141内の商品を冷却して循環用ダクト9を介して蒸発器6に戻すような冷気循環を行う。一方、商品収納室13,14をホット室として使用する場合は前記蒸発器6への冷媒を停止させてヒーター8をオンにし、上記と同様に暖気の循環を行って商品を加熱する。前記商品収納室13,14のホット/コールド室への切り替えは季節の変わり目などに行われる。なお、コールド専用室である商品収納室12は常時、蒸発器6で熱交換した冷気を庫内ファン7でシュータ2の下側から庫内に吹き出して商品収納ラック121内の商品を冷却して循環用ダクト9を介して蒸発器6に戻すような冷気循環が行われている。なお、商品収納ラック20が収納された商品収納室13をホット/コールド兼用室としているが、これはパウチ商品としてホット商品として販売する商品が出現した場合に備えたものである。
次に、この実施の形態である自動販売機における販売時に動作について説明する。図10は商品搬出機構34の動作時における第1のストッパ45,第2のストッパ46の動作を示すものであり、商品搬出機構34の全体構成を示す図5をも参照しながら販売動作について説明する。
販売待機状態においてはソレノイド40が非励磁状態にあり、第1のストッパ45が左右一対のレール部材31,31の間の間隙tの位置に突出して販売順位一番の商品(販売商品)を係止しており、販売商品と販売順位二番の商品(次販商品)との間に位置する第2のストッパ46が左右一対のレール部材31,31の間の間隙tの位置から退避している。この状態においてマイクロスイッチ471からなる商品検知スイッチ(売切れスイッチ)47の操作レバー472が販売商品に当接してマイクロスイッチ471のアクチュエータから離れているので、マイクロスイッチ471はオフ信号を出力している。この場合、マイクロスイッチ471のオフ信号はベンド配線VW(図2(a)参照)を介して、自動販売機の全体を制御するマスター制御部に接続されるところの金銭処理部,冷却制御部,販売制御部などのスレーブ制御部を内蔵する電装ボックスに伝送され、この電装ボックスにおいてマイクロスイッチ471の状態変化信号に基づいて売切れを判断し、マイクロスイッチ471からの信号がオフ信号の場合には「商品有り」と処理している。なお、操作レバー472は図10において時計方向に付勢されている。
いま、外扉10(図1参照)に設けられた商品選択ボタンが操作されると不図示の制御ボックスから対応する商品搬出機構34(ソレノイド40)に所定時間幅の励磁信号が供給される。前記ソレノイド40が励磁されると図5に示したプランジャー41を介してストッパ部材42が左右方向(図5では右方向)に移動する。これにより第1のストッパ45および第2のストッパ46が図10において左方向に移動し、第1のストッパ45が間隙tから退避し、第2のストッパ46が間隙tに突出する。前記第1のストッパ45の間隙tからの退避により販売商品は第1のストッパ45による係止が解かれる。これと同時に第2のストッパ46が間隙tに突出するように移動する過程において当該第のストッパ46に設けた係止部材461の押圧片462が販売商品を押圧して販売商品を商品支持ユニット30から搬出させた後、第2のストッパ46が間隙tに突出する。販売商品が搬出されると次販商品以降の商品は支えを失うので順次商品支持ユニット30の後端部に向かって滑動して間隙tに突出した第2のストッパ46に係止されて一旦保持される。なお、前記商品搬出機構34により搬出されて商品支持ユニット30の後端部から落下する商品は図2に示す商品収納ラック20の送出部材27を介してシュータ2Aに送出される。
前記ソレノイド40への励磁信号が遮断されるとプランジャー41が復帰ばね44により元の位置(図5の状態)に復帰して第1のストッパ45が間隙tの位置に突出し、第2のストッパ46が間隙tから退避する。前記第2のストッパ46が間隙tから退避すると第2のストッパ46に保持されていた次販商品以降の商品は商品支持ユニット30の搬出端部に向かって滑動し、間隙tに突出した第1のストッパ45に係止されて販売待機状態となる。
ここで、商品支持ユニット30に吊下げ支持された商品が全て搬出(売切れ)されると操作レバー472が時計方向に回動してマイクロスイッチ471のアクチュエータを押圧する。これによりマイクロスイッチ471はオン信号を継続して出力する。このマイクロスイッチ471からの信号を監視する電装ボックスはオンディレータイマーを内蔵し、前記マイクロスイッチ471から継続したオン信号を受信した場合に売切れと判断する一方、マイクロスイッチ471からの一時的なオン信号は無視するように構成されている。つまり、販売商品が搬出されると操作レバー472は時計方向に回動してマイクロスイッチ471のアクチュエータを押圧した後、次販商品に押圧されて反時計方向に回動してマイクロスイッチ471のアクチュエータから離れる動作を繰り返す。このため、販売動作の都度マイクロスイッチ471から一時的にオン信号が出力される。しかしながら、電装ボックスに内蔵したオンディレータイマーの限時時間が前記一時的なオン信号よりも長く定められていることから電装ボックスはマイクロスイッチ471から一時的なオン信号を受信した際には売切れとは判断しないように構成されている。
さて、図1には本発明に係るスラント式商品収納ラック20をサーペンタイン式商品収納ラック121,141と並設した自動販売機を示している。これは、自動販売機で多種多様の商品(缶入り飲料などに代表される容器が硬質である商品やパウチ商品で代表される容器が比較的軟弱である商品)を併売可能としたものであるが、多種多様の商品を併売可能とするにあたり既設の自動販売機に対して構成を大幅に変更したのでは新規の自動販売機と置き換えねばならない。そこで、この実施の形態においてはパウチ商品を収容可能なスラント式商品収納ラック20をサーペンタイン式商品収納ラックと構造上の互換性を持たせて(サーペンタイン式商品収納ラックを搭載した)既設の自動販売機にも本発明に係るスラント式商品収納ラック20を搭載可能としたものである。以下、公知のサーペンタイン式商品収納ラックと構造上の互換性を持たせるようにしたスラント式商品収納ラック20について説明する。
図11は公知のサーペンタイン式商品収納ラックと互換性を持たせるようにしたスラント式商品収納ラック20を示す。公知のサーペンタイン式商品収納ラックを自動販売機の商品収納庫に配設する方法として次の二種類の方式があり、まずはその方式について説明する。
先ず、第1の方式は図11の(a)に示すように自動販売機の天井面に前後方向に延在する本体側フック金具50が敷設され、この本体側フック金具50に商品収納ラック121,141を引っ掛ける引っ掛け方式であり、第2の方式は図11の(b)に示すように自動販売機の天井面に左右方向に延在する本体側フック金具55が敷設され、この本体側フック金具55に商品収納ラック121,141を固着する固着方式である。前記引っ掛け方式は例えば特開2005−122596号公報にも記載されているとおり、商品収納ラック121,141を構成する左右一対のラック側板の上端に前記本体側フック金具50のフック501に係合するラック側フックを設け、当該ラック側フックを前記本体側フック金具50のフック501に係合させたものであり、この引っ掛け方式では本体側フック金具50をガイドとして商品収納ラック121,141をスライドさせることにより庫内に格納、または庫内から引出すことができる。一方、固着方式は例えば特開平9−288768号公報にも記載されているとおり、商品収納ラック121,141を構成する左右一対のラック側板にラック側フック金具を架設し、このラック側フック金具を前記本体側フック金具55のフック551に係合させて両者をねじ止めしたものである。
前述したとおり公知のサーペンタイン式商品収納ラック121,141は図11に示した本体側フック金具50,55を用いて商品収納庫内に配設されている。そこで発明者等は、前記本体側フック金具50,55に本発明に係る商品収納ラック20を装着可能とすればサーペンタイン式商品収納ラック121,141との互換性を持たせることを突き止め、商品収納ラック20を前記本体側フック金具50,55に装着するアダプター部材の開発に至った。
さて、図11にはスラント式商品収納ラック20を前記本体側フック金具50,55に装着するアダプター部材を示している。なお、図11に示したスラント式商品収納ラック20は図3にて説明したように組立られたものであるので、ここでは重複する説明は省略する。図11の(a)は前述した引っ掛け方式に採用されたアダプター部材51を示しており、アダプター部材51は左右一対のラック固定金具52、およびラック側フック金具53からなる。前記左右一対のラック固定金具52は断面Z字状に形成された厚板鋼板からなり、その一端が商品収納ラック20を構成する左右一対の上部支持フレーム材21,21にねじにより固着されるとともに他端がラック側フック金具53に固着されている。前記ラック側フック金具53は厚板鋼板により下面が開放した箱形に形成されるとともに左右両端に本体側フック金具50のフック501に係合するラック側フック54が形成されてなる。前記スラント式商品収納ラック20には予め二組のアダプター部材51が上部支持フレーム材21,21に固着されてなる。前記スラント式商品収納ラック20を商品収納庫内に配設する際、まず、後方側のアダプター部材51におけるラック側フック金具53のラック側フック54を本体側フック金具50のフック501に対峙させて両者が係合するように押し込んでスライドさせ、同様に前方側にアダプター部材51のラック側フック金具53のフック54を本体側フック金具50のフック501に係合させてスライドさせて組み付ける。
図11の(b)は前述した固着方式に採用されたアダプター部材56を示しており、アダプター部材56はラック側フック金具57からなる。ラック側フック金具57は圧板鋼板の平板のからなり、その下端にスラント式商品収納ラック20を構成する左右一対の上部支持フレーム材21,21の下面に潜り込んでねじ止めされる固定アーム58、および上端に本体側フック金具55のフック551に係合するラック側フック59が形成されている。前記スラント式商品収納ラック20には予め二組のアダプター部材56が上部支持フレーム材21,21に固着されてなる。前記スラント式商品収納ラック20を商品収納庫内に配設する際、それぞれのアダプター部材56におけるラック側フック59を本体側フック金具55のフック551に対峙させて両者を係合させる。次いで、アダプター部材56と本体側フック金具55をねじ止めして組み付ける。図11に示したようにアダプター部材51,56を設けたことによりパウチ商品を収容するスラント式商品収納ラック20を公知のサーペンタイン式商品収納ラック121,141に対して互換性を持たせることができ、既設の自動販売機のサーペンタイン式商品収納ラックと交換することができる。
この実施の形態においては、前述したように本発明に係るスラント式商品収納ラック20をサーペンタイン式商品収納ラックと構造上の互換性を持たせ、既設の自動販売機のサーペンタイン式商品収納ラックと交換することができるうえに電気的(制御プログラム)にも互換性を持たせている。これは、サーペンタイン式商品収納ラックの商品搬出機構143(図2の(b)参照)においては販売商品を係止する下ストッパと次販売商品を係止する上ストッパとをソレノイド(駆動源)により駆動することによって前記下ストッパおよび上ストッパを商品通路に交互に突出させて商品を一個ずつ販売するように構成されていることに鑑み、本発明に係るスラント式商品収納ラック20においても商品搬出機構34の駆動源としてソレノイド40を用い、このソレノイド40によりストッパ部材42を駆動して販売商品を係止する第1のストッパ45および次販売商品を係止する第2のストッパ46が左右一対の挟持部材31の隙間tに交互に出没するように構成したものである。また、スラント式商品収納ラック20に装填された商品を検出する商品検知スイッチ47(図4,図5,図10参照)を備えており、この商品検知スイッチ47から商品の売切れ信号を出力するように構成されている。このような商品搬出機構34および商品検知スイッチ47を用いることによりサーペンタイン式商品収納ラックの商品搬出機構143に供給される信号により商品搬出機構34が商品搬出動作を実行し、商品検知スイッチ47が自動販売機の電装ボックスに売切れ信号を送出する。つまり、サーペンタイン式商品収納ラックを搭載した既設の自動販売機の制御プログラムを何ら変更することなく本発明に係るスラント式商品収納ラック20をサーペンタイン式商品収納ラックと交換して次のように配線接続を行うことによって直ちに自動販売機を稼動させることができるものである。
すなわち、図2の(a)に示したように、ベンド配線VWのうち電装ボックスに接続された本体側ベンド配線VW1は予め図示のとおりに敷設されている。ここで、図2の(b)を用いてサーペンタイン式商品収納ラック141のベンド配線VWについて説明したとおり、ベンド配線VWのうち電装ボックスに接続された本体側ベンド配線VW1は本体キャビネット1の機械室に設置された電装ボックスとサーペンタイン式商品収納ラック141の商品搬出機構143,143の近傍まで引き回して予め敷設されているので、この本体側ベンド配線VW1にスラント式商品収納ラック20の商品搬出機構34に接続された機構側ベンド配線VW2を、配線接続用カプラCPを介して接続すればベンド配線VWの接続作業が完了する。つまり、スラント式商品収納ラック20の商品搬出機構34の制御形態をサーペンタイン式商品収納ラック141(若しくは121)の商品搬出機構142の制御形態と同一としたことにより、ベンド配線VWのうち電装ボックスに接続された本体側ベンド配線VW1はサーペンタイン式商品収納ラック141(若しくは121)の商品搬出機構143およびスラント式商品収納ラック20の商品搬出機構34に共通に用いることができるものである。これにより既設の自動販売機のサーペンタイン式商品収納ラック141とスラント式商品収納ラック20とを交換する場合にもベンド配線VWの接続作業を簡単に行うことができる。また、逆にスラント式商品収納ラック20をサーペンタイン式商品収納ラックに戻す際、或いはスラント式商品収納ラック20を搭載して出荷した自動販売機におけるスラント式商品収納ラック20をサーペンタイン式商品収納ラックと交換する際にもベンド配線の接続作業を簡単に行うことができるものである。
(実施の形態2)
図12は本発明の実施の形態2における自動販売機を示し、実施の形態1と同一の部材若しくは同一の機能を有するものには同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。 図12の(a)はスラント式商品収納ラック20のシュータ2A付近の要部側面図であり、図3における左右一対のフレーム材(左右一対の上部支持フレーム材21,21、下部支持フレーム材22,22、および縦フレーム材23,23)のうち、右側のフレーム材を取り外した状態を示している。
図12において、22および23はスラント式商品収納ラック20を構築するフレーム材のうちの下部支持フレーム材および縦フレーム材であり、25および26は商品搬出通路を形成する背板および側面板、27は商品搬出通路を落下するパウチ商品をシュータ2Aに案内する商品案内部材である。11は庫内を仕切る断熱仕切壁であり、この断熱仕切壁11にベンド配線VWを構成する本体側ベンド配線VW1を覆う配線カバー11A,11B,11Cが設けられている。この実施の形態2に係る自動販売機が実施の形態1における自動販売機と異なる点はスラント式商品収納ラック20を構築するフレーム材、この実施の形態では下部支持フレーム材22にベンド配線VWを覆うカバー部材29を取付けた点であり、その他は実施の形態1と同一である。
前記カバー部材29は薄板鋼板からなり、図12の(b)に示すように、矩形形状のカバー本体29Aの上端に、下部支持フレーム材22に係合する係合爪29C,29Cを備えた取付部29B,29Bが形成されている。カバー本体29Aは凹面を形成するように折り曲げられており、下端は折り返してダブルホールドされている。このカバー部材29は下部支持フレーム材22の内側に取付部29Bを沿わせた状態で係合爪29C,29Cを下部支持フレーム材22の上端に引っ掛けたうえで取付部29Bを下部支持フレーム材22にねじにより固定される。なお、カバー本体29Aはシュータ2Aの側面に当接するように構成した場合には必ずしも凹面を形成するように折り曲げる必要はない。
ここで、カバー部材29を取付ける前の状態を示す図12の(c)から分かるように、カバー部材29が無い状態ではベンド配線VWが剥き出しとなっている。この場合、ベンド配線VWの本体側ベンド配線VW1が断熱仕切壁11に設けられた配線カバー11A〜11Cにより覆われて断熱仕切壁11に沿って配線される一方、機構側ベンド配線VW2がスラント式商品収納ラック20のフレーム材に沿って配線されており、両者を配線接続用カプラCPにより接続した際ベンド配線VWは機構側ベンド配線VW2に引き寄せられる。そうすると、配線接続用カプラCPに接続されたべンド配線VWは断熱仕切壁11よりもスラント式商品収納ラック20側に位置して垂れ下がる。このようにベンド配線VWがスラント式商品収納ラック20側に位置して垂れ下がるとベンド配線VWの配線接続用カプラCP付近がシュータ2A上に臨んでシュータ2A上を滑動するパウチ商品と接してその姿勢の乱れを惹起するおそれがある。特に、配線カバー11Bに覆われた本体側ベンド配線VW1と機構側ベンド配線VW2とを配線する配線接続用カプラCPがシュータ2Aに近接していることからこの実施の形態2においては当該配線カバー11Bに対峙する箇所に保護カバー29が取付けられている。そして、前述したように下部支持フレーム材22に取付けられたカバー部材29はカバー本体29Aの凹面がシュート2A側に位置している、つまり、ベンド配線VWをシュート2Aの領域から遠ざけてシュータ2A上に垂れ下がるのを防止している。また、カバー部材29はスラント式商品収納ラック20を構成するフレーム材に取付けられていることからスラント式商品収納ラック20に代えてサーペンタイン式商品収納ラックを搭載した際にカバー部材29がサーペンタイン式商品収納ラックに悪影響を及ぼすことがないという利点を有する。なお、配線カバー11Aに覆われた前方側のベンド配線VWを覆うようにカバー部材29を大きく形成してもよいものである。
(実施の形態3)
図13は本発明の実施の形態3における自動販売機の商品収納ラック20を示し、実施の形態1、2と同一の部材若しくは同一の機能を有するものには同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。図13の(a)はスラント式商品収納ラック20のシュータ2A付近の要部側面図であり、図3における左右一対のフレーム材(左右一対の上部支持フレーム材21,21、下部支持フレーム材22,22、および縦フレーム材23,23)のうち、右側のフレーム材を取り外した状態を示している。
図13において、22および23はスラント式商品収納ラック20を構築するフレーム材のうちの下部支持フレーム材および縦フレーム材であり、25および26は商品搬出通路を形成する背板および側面板、27は商品搬出通路を落下するパウチ商品をシュータ2Aに案内する商品案内部材である。11は庫内を仕切る断熱仕切壁であり、この断熱仕切壁11にベンド配線VWを構成する本体側ベンド配線VW1を覆う配線カバー11A,11B,11Cが設けられている。この実施の形態3に係る自動販売機が実施の形態1における自動販売機と異なる点はスラント式商品収納ラック20を構築するフレーム材、この実施の形態では下部支持フレーム材22にベンド配線VWを覆うカバー部材290を取付けた点であり、その他は実施の形態1と同一である。
前記カバー部材290は薄板鋼板からなり、図13の(b)に示すように、矩形形状のカバー本体291の上端に、下部支持フレーム材22に形成した係合穴22A,22Aに係合する係合爪292,292を備えた取付部293が形成されている。カバー本体291は左右両端に折り曲げにより形成された翼片を備えて横断面略コ字状を成している。カバー本体291の下方にはシュート支持体294が一体的に設けられ、シュート支持体294の下端には係合片295が形成されている。また、シュート支持体294は横断面コ字状に形成されてなるとともに板面の切り起しにより係合爪296が形成されている。前記カバー部材290は下部支持フレーム材22に形成した係合穴22A,22Aに係合爪292,292を嵌合させて引っ掛けるとともにシュート支持体294に形成した係合爪296を配線カバー11Bに係合させて取付けられる。なお、配線カバー11Bは断熱仕切壁11の下部領域に貼着された金属板に切り起しによりフック状に形成されたものであり、シュート支持体294の係合爪296は切り起された配線カバー11Bの背後に挿入して取付けられる。また、シュート支持体294の係合片295はシュート2Aの背面に係合するように形成されており、シュート2Aが配設された後においてはカバー部材290の上方への移動が阻止されて係合爪292,292および係合爪296の係合状態が維持されるので、カバー部材290が脱落することがない。
(実施の形態4)
図14は本発明の実施の形態4における自動販売機の商品収納ラック20を示し、実施の形態1乃至3と同一の部材若しくは同一の機能を有するものには同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。図14の(a)はスラント式商品収納ラック20のシュータ2A付近の要部側面図であり、図3における商品収納ラック20右側から見た状態を示している。
図14において、22および23はスラント式商品収納ラック20を構築するフレーム材のうちの下部支持フレーム材および縦フレーム材であり、25および26は商品搬出通路を形成する背板および側面板、27は商品搬出通路を落下するパウチ商品をシュータ2Aに案内する商品案内部材である。11は庫内を仕切る断熱仕切壁であり、この断熱仕切壁11にベンド配線VWを構成する本体側ベンド配線VW1を覆う配線カバー11A,11B,11Cが設けられている。この実施の形態4に係る自動販売機が実施の形態1における自動販売機と異なる点はスラント式商品収納ラック20のシュータ2Aにベンド配線VWを覆うカバー部材2AAを一体的に形成した点であり、その他は実施の形態1と同一である。
前記カバー部材2AAは、図14の(b)に示すように、シュータ2Aの一方の側板、図では正面視左側の側板を上方に延在させて形成され、ベンド配線VWを本体側ベンド配線VW1と機構側ベンド配線VW2に分離する配線接続用カプラCPの厚み分のスペースを確保するために階段状に折り曲げられている。
この実施の形態によれば、本体側ベンド配線VW1と機構側ベンド配線VW2とを配線接続用カプラCPにより接続したうえでシュート2Aを庫内に配設することによりベンド配線VWをカバー部材2AAで覆うことができる。
なお、前述した実施の形態においては飲み口部分に引っ掛け部を有し、容器形態が軟弱なパウチ商品について説明したが、これに限るものではない。例えば、容器形態が硬質であっても起立させることが困難な商品や横倒し姿勢で転動させることが困難であり、かつ、飲み口部分に引っ掛け部を有する商品や容器形状が異形であって飲み口部分にキャップなどが装着された商品にも本発明に係る商品収納ラックを適用することができるものであり、実施の形態に限定されるものではない。