JP7246373B2 - 被覆層を有するプラスチックレンズの製造方法 - Google Patents
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Description
即ち、本発明は、プラスチックレンズの一方の表面に、a)フォトクロミック化合物、b)ラジカル重合性単量体およびc)光重合開始剤を少なくとも含んでなる光硬化性コーティング組成物からなる未硬化被覆層を形成し、次いで該未硬化被覆層が形成されたプラスチックレンズに、該未硬化被覆層の外表面の上方より、350nm以上450nm未満の範囲に発光ピーク波長を有し、且つ、当該範囲外における発光強度の小さいLEDにより、該未硬化被覆層の外表面における照射強度が発光ピーク波長において250mW/cm 2 以上である光を照射して該未硬化被覆層を硬化させることを特徴とする、硬化被覆層を有するプラスチックレンズの製造方法である。
1)前記LEDの発光ピークの半値幅が30nm未満であること。
2)前記LEDにより照射される光の、LED照射装置からの射出角が120度以下であること。
3)前記LEDの照射表面における光の照射強度が発光ピーク波長において2W/cm2以上であること。
4)前記未硬化被覆層が形成されたプラスチックレンズの未硬化被覆層の外表面における光の照射強度が発光ピーク波長において250mW/cm2以上1000mW/cm 2 以下であること。
5)前記プラスチックレンズが凸状の外表面形状を有するレンズでありそして前記未硬化被覆層が上記外表面上に形成されたプラスチックレンズの該未硬化被覆層の外表面において、光の最大照射強度に対する最小照射強度の割合が70%以上であること。
6)前記未硬化被覆層が形成されたプラスチックレンズの未硬化被覆層の外表面において、光の積算光量の最大値が2J/cm2以上50J/cm2未満であること。
7)前記未硬化被覆層の硬化を該被覆層の表面温度が100℃以下となるようにして行うこと。
8)前記プラスチックレンズが、中心部分の厚さが2mm未満であり且つ周縁部分が中心部より厚いプラスチックレンズであること。
さらに、従来の光源を用いる場合と比較して、フォトクロミック化合物を少なからず分解してしまう350nm未満の紫外線を含まないため発色濃度が高く、さらに過剰の光を照射する必要がないため退色速度も速いなど、フォトクロミック特性の点においても優れている。
本発明の被覆層を有するプラスチックレンズの製造方法において、使用されるプラスチックレンズとしては、特に限定されず、一般的に使用されているプラスチックレンズが使用できる。特に、中心部分の厚さが2mm未満であり、周縁部分が中心部より厚い形状のプラスチックレンズが、本発明の効果が高度に達成される点で特に好ましい。汎用の眼鏡用プラスチックレンズにおける近眼矯正用の凹メニスカスレンズは、マイナス度数が大きくなるにつれて中心部分に対する周縁部分の厚みが徐々に大きくなっていくので、このような条件を満たすものが多い。このようなプラスチックレンズは、中心部分が薄いために、物理的な変形や、熱による変形を受けやすい傾向があるが、本発明の被覆層を有するプラスチックレンズの製造方法は、かかるプラスチックレンズに適用するのに特に効果的である。さらに、本発明の製造方法で対象とするプラスチックレンズの形状は、平坦でも、或いはレンズ表面側が凸となるような曲面のいずれであってもよい。
本発明の被覆層を有するプラスチックレンズの製造方法において、前記第一工程で使用する光硬化性組成物は所謂光硬化性コーティング剤であり、必須成分として(a)フォトクロミック化合物、(b)ラジカル重合性単量体、及び(c)光重合開始剤を含む。
400nmにおけるモル吸光係数(L/(mol・cm))、及び350~450nmの範囲の平均モル吸光係数(L/(mol・cm));フォトクロミック化合物のトルエン溶液(濃度2.0×10-4mol/L)を調製し、セル長1cmの石英セル中、23℃、暗所で1時間静止した後、紫外可視分光光度計により300~800nmの範囲で吸収スペクトラムを測定した。得られた吸光度データより、400nmにおけるモル吸光係数を計算した。また、350~450nmの範囲においてモル吸光係数を1nm単位で計算し、その積算値をデータ数である101で除することにより350~450nmの範囲における平均モル吸光係数を算出した。
中でも、得られる被覆層が、特に優れたフォトクロミック特性を有し、高い硬度となるためには、以下のモノマーを使用することが好ましい。
具体的には、前記高硬度モノマーとしては、分子内に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有するモノマーを使用することが好ましい。
また、低硬度モノマーとしては、分子内に2個の(メタ)アクリロイル基を有し、
分子量が100~700の範囲の炭化水素鎖、
分子量が100~2500の範囲であり、ビスフェノール骨格を有してもよいポリエチレンオキサイド鎖、及び
分子量が100~3000の範囲であり、ビスフェノール骨格を有してもよいポリプロピレンオキサイド鎖
から選ばれる長鎖を介して、前記2個の(メタ)アクリロイル基が結合されてなるモノマーを使用することが好ましい。
その他、該「フォトクロミック化合物を含む光硬化性コーティング剤」には、コーティング層とプラスチックレンズとの密着性を向上させるためにトリエタノールアミン等のアミン化合物を配合してもよい。アミン化合物を使用する場合、特に制限されるものではない。中でも、「フォトクロミック化合物を含む光硬化性コーティング剤」には、前記モノマーの合計質量(全ラジカル重合性単量体の合計質量)を100質量部としたとき、アミン化合物を0.1~10質量部配合することが好ましく、さらには、アミン化合物を0.5~5質量部配合することが好ましい。
さらに、被覆層とプラスチックレンズとの密着性を向上させるために、例えばウレタンプライマーからなる層を被覆層とプラスチックレンズとの間に形成してもよい。
ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、4,4’-ジクロロベンゾフェノンなどのベンゾイン系光重合開始剤;
2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン(IRGACURE 651「登録商標」)などのベンジルケタール系光重合開始剤;
1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(IRGACURE 184「登録商標」)、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン(IRGACURE 1173「登録商標」)、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン(IRGACURE 2959「登録商標」)、2-ヒロドキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル}-2-メチルプロパン-1-オン(IRGACURE 127「登録商標」)などのα-ヒドロキシアセトフェノン系光重合開始剤;
2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン(IRGACURE 907「登録商標」)、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノン-1(IRGACURE 369E「登録商標」)、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン(IRGACURE 379EG「登録商標」)などのα-アミノアセトフェノン系光重合開始剤;
ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル-2,4,4-トリメチル-ペンチルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6―トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド(IRGACURE 819「登録商標」)、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニル-フォスフィンオキサイド(IRGACURE TPO「登録商標」)などのアシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤;
1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-,2-(O-ベンゾイルオキシム)(IRGACURE OXE 01「登録商標」)、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)(IRUGACURE OXE 02「登録商標」)などのオキシムエステル系光重合開始剤;
2-イソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン系光重合開始剤;
ビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)-ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)フェニル)チタニウム(IRGACURE 784「登録商標」)などのチタノセン系光重合開始剤;
等を挙げることができる。これらの中でも、上記波長のLEDにより照射される光を吸収して分解されやすく、効率的に未硬化被覆層を硬化することが可能であるという観点から、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤を用いることが好ましい。これらの光重合開始剤は、単独で用いても、或いは複数の光重合開始剤を組み合わせて用いても良い。例えば、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤とそれ以外の光重合開始剤を組み合わせて用いても良い。上記光重合開始剤は、全ラジカル重合性単量体100質量部に対して0.001~5質量部の範囲で用いるのが好ましい。
前述のとおり、本発明の被覆層を有するプラスチックレンズの製造方法における基本的な製造プロセスは、プラスチックレンズの一方の表面上に光硬化性組成物からなる未硬化被覆層を形成する第一工程、及びプラスチックレンズに、未硬化被覆層の外表面の上方から350nm以上450nm未満の範囲に発光ピーク波長を有するLEDで光を照射することにより該未硬化被覆層を硬化させる第二工程を含む。以下第一工程について説明する。
本発明の被覆層を有するプラスチックレンズの製造方法において、前記第一工程において、原料プラスチックレンズ基材の表面に光硬化性のコーティング剤からなる未硬化被覆層を形成するためには基材表面に光硬化性のコーティング剤を塗布すればよく、塗布方法としては、例えばスピンコーティング、スプレーコーティング、ディップコーティング、ディップ-スピンコーティング等の公知の塗布する方法が適用できる。
第二工程は、未硬化被覆層を形成したプラスチックレンズの未硬化被覆層の外表面の上方から350nm以上450nm未満の範囲に発光ピーク波長を有するLEDにより光を照射することにより該未硬化被覆層を硬化させる工程である。なお、当該工程において重合阻害を起こすことなく十分に硬化させるために、酸素濃度が10000ppm以下、特に1000ppm以下である雰囲気下で光照射するのが好適である。たとえば、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガスで装置内(雰囲気)を十分に置換してから光照射するのが好適である。不活性ガスとしては、コストの観点から窒素を使用するのが最も好ましい。まず最初にLEDについて説明する。
LEDとは、Light Emitting Diodeの略で、一方向に電圧を加えたときに発光する半導体の素子であり、発光ダイオードと呼ばれることもある。本発明の被覆層を有するプラスチックレンズの製造方法では、光源として350nm以上450nm未満の範囲に発光ピーク波長を有するLEDが使用される。
また、LEDの発光ピークの半値幅としては、あまり大きな場合は効果を損ねるため、30nm未満、さらに20nm未満とすることが好ましい。半値幅は狭ければ狭いほど効果的であるが、LEDの現状の工業的生産を考えると、半値幅の下限は5nmである。
ここで前記照射強度は、発光ピーク波長で測定された値である。
上記第二工程における未硬化被覆層が形成されたプラスチックレンズ表面へのLEDによる光の照射条件としては、該未硬化被覆層が硬化するに十分な条件であれば良く、未硬化被覆層を構成する光硬化性のコーティング剤の種類、未硬化被覆層の厚さ、プラスチックレンズの形状、大きさ等を勘案して適宜決定すれば良い。硬化時間、硬化時におけるプラスチックレンズ表面の温度上昇を抑制するという観点から、前記未硬化被覆層が形成されたプラスチックレンズ表面における光の照射強度を100mW/cm2以上、特に250mW/cm2以上とすることが好ましい。なお、この照射強度は、プラスチックレンズ表面における最小となる照射強度(最小照射強度)の値を指す。例えば、上に凸のレンズの凸側の外表面から光を照射する場合には、レンズ中心部の表面における照射強度が高くなるが、レンズ端部の照射強度は低くなる。この場合、レンズ端部の表面における照射強度が100mW/cm2以上、特に250mW/cm2以上となることが好ましい。
また、プラスチックレンズ表面における光の照射強度の上限値は、特に制限されるものではないが、1000mW/cm2である。
ここで前記照射強度は、発光ピーク波長で測定された値である。
以上のことから、プラスチックレンズの変形抑制効果、及び高性能な被覆層形成という観点から、「光照射後のレンズ温度」は、50~70℃であることが好ましく、50~65℃が特に好ましい。
なお、照射強度を変化させる場合には、光を照射している間は、「光照射後のレンズ温度」が100℃以下となるようにすることが好ましく、50~70℃とすることがより好ましく、50~65℃とすることがさらに好ましい。
本発明の被覆層を有するプラスチックレンズの製造方法により得られる被覆層(コーティング層)を有するプラスチックレンズは、そのまま光学材料として使用することが可能であるが、得られた被覆層の上に更にハードコート層を形成するのが好ましい。ハードコート層を形成することにより、プラスチックレンズの耐擦傷性を向上させることができる。
チオウレタン樹脂製のプラスチックレンズ(中心厚1mm、周縁厚7mm、直径75mm、ベースカーブ4.00、中心部と端部のレンズ高さの差0.5cm)を60℃の10%アルカリ水溶液へ5分間浸漬することにより、前処理を行なった。前処理後、純水にて洗浄し、引き続き乾燥処理を施した。
a)フォトクロミック化合物
・下記式で示されるフォトクロミック化合物(400nmにおけるモル吸光係数3230 L/(mol・cm)、350~450nmの範囲の平均モル吸光係数3720 L/(mol・cm)) 2.5質量部
3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する高硬度モノマー
・トリメチロールプロパントリメタクリレート 15質量部
・ポリエステルオリゴマーヘキサアクリレート(ダイセルユーシービー社製、EB-1830) 10質量部
2個の(メタ)アクリロイル基を有し、長鎖を介して該(メタ)アクリロイル基が結合されてなる低硬度モノマー
・平均分子量532のポリエチレングリコールジアクリレート(主鎖の平均分子量406) 15質量部
・平均分子量776の2,2-ビス(4-アクリロイルオキシポリエチレングリコールフェニル)プロパン(主鎖の平均分子量650) 50質量部
単官能モノマー
・グリシジルメタクリレート 10質量部
・γ-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン 7質量部
・IRGACURE819(「登録商標」;BASF社製):ビス(2,4,6―トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド 0.3質量部
その他添加剤
・N-メチルジエタノールアミン 3質量部
・ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート 5質量部
以上の各成分を十分に混合することにより、光硬化性コーティング剤1とした。なお、上記配合量は、実数値であり、b)ラジカル重合性単量体の合計量を100質量部として、各成分の配合量を換算し直した数値ではない。
(D-1)最大吸収波長(λmax):得られたレンズに、浜松ホトニクス製のキセノンランプL-2480(300W)SHL-100をエアロマスフィルター(コーニング社製)を介して20℃±1℃、フォトクロミックコート層表面でのビーム強度365nm=2.4mW/cm2,245nm=24μW/cm2で120秒間照射して発色させ、このときの最大吸収波長を(株)大塚電子工業製の分光光度計(瞬間マルチチャンネルフォトディテクターMCPD1000)により求めた。なお、該最大吸収波長は、発色時の色調に関係する。
実施例1と同様に未硬化被覆層を形成した後、該レンズの未硬化被覆層が形成された面(凸面側)を上面にして、上方4cmに設置したLED装置(NobleCure Altair150(「登録商標」;ピーク波長が385nmのもの)、HERAEUS社製、発光ピークの半値幅10nm、射出角60度、照射強度3.3W/cm2)より窒素ガス雰囲気中で40秒間光を照射し、未硬化被覆層を硬化させた。
実施例1と同様に未硬化被覆層を形成した後、該レンズの未硬化被覆層が形成された面(凸面側)を上面にして、上方14cmに設置したLED装置(Senary UV4003(ピーク波長が365nmのもの)、HERAEUS社製、発光ピークの半値幅13nm、射出角60度、照射強度を7W/cm2に調整)より窒素ガス雰囲気中で40秒間光を照射し、未硬化被覆層を硬化させた。
実施例1と同様に未硬化被覆層を形成した後、該レンズの未硬化被覆層が形成された面(凸面側)を上面にして、上方14cmに設置したLED装置(Senary UV4003(ピーク波長が385nmのもの)、HERAEUS社製、発光ピークの半値幅10nm、射出角60度、照射強度を6W/cm2に調整)より窒素ガス雰囲気中で40秒間光を照射し、未硬化被覆層を硬化させた。
この時、未硬化被覆層が形成されたプラスチックレンズの表面における光の照射強度を紫外線積算光量計H12684-385(浜松ホトニクス社製)で測定したところ、LEDの照射面より最も近い位置において300mW/cm2であり、最も遠い位置において285mW/cm2であった。また、積算光量の最大値を超小型UVラジオメーター マイクロキュア(「登録商標」;HERAEUS社製)で測定したところ6J/cm2であった。これら照射条件等を表1に示した。
このレンズの光照射直後の表面温度は40℃であった。その後レンズをさらに110℃で1時間ポストキュアした。
得られた被覆層を有するプラスチックレンズを試料とし、膜硬度、熱変形の有無、及び被覆層とプラスチックレンズとの密着性、及びフォトクロミック特性(退色半減期)について調べた。その結果を表2に示した。
実施例1と同様に未硬化被覆層を形成した後、該レンズの未硬化被覆層が形成された面(凸面側)を上面にして、上方20cmに設置した無電極UVランプシステムDバルブ(発光ピーク波長は主に380nm付近だが、発光波長は200~600nm、Senary社製)より窒素ガス雰囲気中で40秒間光を照射し、未硬化被覆層を硬化させた。
実施例1と同様に未硬化被覆層を形成した後、該レンズの未硬化被覆層が形成された面(凸面側)を上面にして、上方20cmに設置した無電極UVランプシステムDバルブ(発光ピーク波長は主に380nm付近だが、発光波長は200~600nm、Senary社製)より窒素ガス雰囲気中で32秒間光を照射し、未硬化被覆層を硬化させた。
この時、未硬化被覆層が形成されたプラスチックレンズの表面における光の照射強度は、無電極UVランプシステムDバルブの照射面より最も近い位置において250mW/cm2であり、最も遠い位置において238mW/cm2であった。また、積算光量の最大値を超小型UVラジオメーター マイクロキュア(「登録商標」;HERAEUS社製)で測定したところ8J/cm2であった。これら照射条件等を表1に示した。
このレンズの光照射直後の表面温度は95℃であった。その後レンズをさらに110℃で1時間ポストキュアした。
得られた被覆層を有するプラスチックレンズを試料とし、膜硬度、熱変形の有無、及び被覆層とプラスチックレンズとの密着性、及びフォトクロミック特性(退色半減期)について調べた。その結果を表2に示した。
〔光硬化性コーティング剤2〕
a)フォトクロミック化合物
下記式で示されるフォトクロミック化合物(400nmにおけるモル吸光係数6130 L/(mol・cm)、350~450nmの範囲の平均モル吸光係数4050 L/(mol・cm)) 2.5質量部
3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する高硬度モノマー
・トリメチロールプロパントリメタクリレート 15質量部
・ポリエステルオリゴマーヘキサアクリレート(ダイセルユーシービー社製、EB-1830) 10質量部
2個の(メタ)アクリロイル基を有し、長鎖を介して該(メタ)アクリロイル基が結合されてなる低硬度モノマー
・平均分子量532のポリエチレングリコールジアクリレート(主鎖の平均分子量406) 15質量部
・平均分子量776の2,2-ビス(4-アクリロイルオキシポリエチレングリコールフェニル)プロパン(主鎖の平均分子量650) 50質量部
単官能モノマー
・グリシジルメタクリレート 10質量部
・γ-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン 7質量部
・IRGACURE819(「登録商標」;BASF社製):ビス(2,4,6―トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド 0.3質量部
その他添加剤
・N-メチルジエタノールアミン 3質量部
・ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート 5質量部
以上の各成分を十分に混合して光硬化性コーティング剤2とした。なお、上記配合量は、実数値であり、b)ラジカル重合性単量体の合計量を100質量部として、各成分の配合量を換算し直した数値ではない。
この時、未硬化被覆層が形成されたプラスチックレンズの表面における光の照射強度を紫外線積算光量計H12684-385(浜松ホトニクス社製)で測定したところ、LEDの照射面より最も近い位置において400mW/cm2であり、最も遠い位置において380mW/cm2であった。また、積算光量の最大値を超小型UVラジオメーター マイクロキュア(「登録商標」;HERAEUS社製)で測定したところ8J/cm2であった。これら照射条件等を表3に示した。
このレンズの光照射直後の表面温度は55℃であった。その後レンズをさらに110℃で1時間ポストキュアした。
得られた被覆層を有するプラスチックレンズを試料とし、膜硬度、熱変形の有無、及び被覆層とプラスチックレンズとの密着性、及びフォトクロミック特性(退色半減期)について調べた。その結果を表4に示した。
〔光硬化性コーティング剤3〕
a)フォトクロミック化合物
実施例5で使用したものと同じフォトクロミック化合物(400nmにおけるモル吸光係数6130 L/(mol・cm)、350~450nmの範囲の平均モル吸光係数4050 L/(mol・cm)) 2.5質量部
3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する高硬度モノマー
・トリメチロールプロパントリメタクリレート 40質量部
2個の(メタ)アクリロイル基を有し、長鎖を介して該(メタ)アクリロイル基が結合されてなる低硬度モノマー
・平均分子量770のポリエチレングリコールジメタクリレート(主鎖の平均分子量616) 53質量部
単官能モノマー
・グリシジルメタクリレート 1質量部
・γ-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン 6質量部
・IRGACURE819(「登録商標」;BASF社製):ビス(2,4,6―トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド 0.3質量部
その他添加剤
・ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート 5質量部
以上の各成分を十分に混合して光硬化性コーティング剤3とした。なお、上記配合量は、実数値であり、b)ラジカル重合性単量体の合計量を100質量部として、各成分の配合量を換算し直した数値ではない(ただし、実施例6は、ラジカル重合性単量体の合計量が100質量部となっている。)。
この時、未硬化被覆層が形成されたプラスチックレンズの表面における光の照射強度を紫外線積算光量計H12684-385(浜松ホトニクス社製)で測定したところ、LEDの照射面より最も近い位置において400mW/cm2であり、最も遠い位置において380mW/cm2であった。また、積算光量の最大値を超小型UVラジオメーター マイクロキュア(「登録商標」;HERAEUS社製)で測定したところ8J/cm2であった。これら照射条件等を表3に示した。
このレンズの光照射直後の表面温度は55℃であった。その後レンズをさらに110℃で1時間ポストキュアした。
得られた被覆層を有するプラスチックレンズを試料とし、膜硬度、熱変形の有無、及び被覆層とプラスチックレンズとの密着性、及びフォトクロミック特性(退色半減期)について調べた。その結果を表4に示した。
該光硬化性コーティング剤3を用いて実施例1と同様に未硬化被覆層を形成した後、該レンズの未硬化被覆層が形成された面(凸面側)を上面にして、上方14cmに設置したLED装置(Senary 改良品(ピーク波長が385nmと405nmのもの)、HERAEUS社製、発光ピークの半値幅それぞれ10nm、射出角60度、照射強度を385nmと405nmにおいてそれぞれ3.5W/cm2に調整)より窒素ガス雰囲気中で40秒間光を照射し、未硬化被覆層を硬化させた。
この時、未硬化被覆層が形成されたプラスチックレンズの表面における光の照射強度を紫外線積算光量計H12684-385、およびH12684-405(浜松ホトニクス社製)で測定したところ、385nm、405nmともにLEDの照射面より最も近い位置において300mW/cm2であり、最も遠い位置において285mW/cm2であった。また、積算光量の最大値を超小型UVラジオメーター マイクロキュア(「登録商標」;HERAEUS社製)で測定したところ7J/cm2であった。これら照射条件等を表3に示した。
このレンズの光照射直後の表面温度は50℃であった。その後レンズをさらに110℃で1時間ポストキュアした。
得られた被覆層を有するプラスチックレンズを試料とし、膜硬度、熱変形の有無、及び被覆層とプラスチックレンズとの密着性、及びフォトクロミック特性(退色半減期)について調べた。その結果を表4に示した。
Claims (8)
- 凸状の外表面形状を有し、中心部分の厚さが2mm未満であり且つ周縁部分が中心部より厚いプラスチックレンズの外表面に、
a)フォトクロミック化合物、
b)ラジカル重合性単量体、および
c)光重合開始剤
を少なくとも含んでなる光硬化性コーティング組成物からなる未硬化被覆層を形成し、次いで該未硬化被覆層が形成されたプラスチックレンズに、該未硬化被覆層の外表面の上方より、350nm以上450nm未満の範囲に発光ピーク波長を有するLEDにより、該未硬化被覆層の外表面における照射強度が発光ピークにおいて250mW/cm2以上である光を、光の最大照射強度に対する最小照射強度の割合が70%以上となるように、前記外表面との距離が3cm以上14cm以下となる位置から照射して該未硬化被覆層を硬化させることを特徴とする、硬化被覆層を有するプラスチックレンズの製造方法。 - 前記LEDの発光ピークの半値幅が30nm未満である、請求項1に記載の製造方法。
- 前記LEDにより照射される光の、LED照射装置からの射出角が120度以下である請求項1に記載の製造方法。
- 前記LEDの照射表面における光の照射強度が、発光ピーク波長において2W/cm2以上である請求項1に記載の製造方法。
- 前記未硬化被覆層が形成されたプラスチックレンズの未硬化被覆層の外表面における光の照射強度が発光ピーク波長において350mW/cm2以上1000mW/cm2以下である請求項1に記載の製造方法。
- 前記光の最大照射強度に対する最小照射強度の割合が95%以上である、請求項1に記載の製造方法。
- 前記未硬化被覆層が形成されたプラスチックレンズの未硬化被覆層の外表面において、光の積算光量の最大値が、2J/cm2以上50J/cm2未満である請求項1に記載の製造方法。
- 前記未硬化被覆層の硬化を、該被覆層の表面温度が100℃以下となるようにして行う請求項1記載のプラスチックレンズの製造方法。
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