JP4456897B2 - フォトクロミック積層体 - Google Patents
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Description
表面にラジカル重合性基が導入された無機コロイド粒子を無機金属酸化物換算で20〜40質量%で含み、さらに、多官能性ラジカル重合性単量体を含む非溶媒系の硬化性プライマー組成物を用意する工程、
透光性を有する熱可塑性樹脂からなる基材表面に、前記硬化性プライマー組成物を塗布してプライマーコーティング層を形成する工程、
前記プライマーコーティング層を半硬化させる工程、
半硬化状態のプライマーコーティング層上に、フォトクロミック化合物とラジカル重合性単量体とを含有する重合性フォトクロミック組成物を塗布する工程、
及び、
前記半硬化状態のプライマーコーティング層の完全硬化と重合性フォトクロミック組成物の重合とを行って、基材表面に架橋樹脂層を介してフォトクロミックコーティング層を形成する工程、
を含んでなることを特徴とするフォトクロミック積層体の製造方法が提供される。
前記硬化性プライマーには、ウレタンオリゴマーが5乃至60質量%含まれていること、
が好適である。
本発明では、概説すると、架橋樹脂層形成用の硬化性プライマー組成物を調製し(硬化性プライマー調製工程)、透光性の熱可塑性樹脂製基材表面に硬化性プライマー組成物からなるプライマーコーティング層を形成し(プライマーコーティング層形成工程)、プライマーコーティング層を半硬化させ(半硬化工程)、半硬化のプライマーコーティング層上にフォトクロミック組成物を塗布し(フォトクロ剤塗布工程)、次いで、最終硬化を行うこと(最終硬化工程)により、フォトクロミック積層体を製造する。以下、各工程について、順次説明する。
−硬化性プライマー調製工程−
架橋樹脂層を形成するために用いる硬化性プライマー組成物は、非溶媒系であり、有機溶媒を全く使用せずに調製される。即ち、有機溶媒を含有していない硬化性プライマー組成物を用いることにより、熱可塑性樹脂製基材の表面劣化を回避し、光学特性の低下を防止することができる。
この硬化性プライマーは、2官能或いは3官能以上の多官能ラジカル重合性単量体を含むが、この多官能性ラジカル重合性単量体としては、例えば下記式:
{H2C=C(−R’)−COO−}n−R
式中、Rは、n価の有機残基であり、
R’は、水素原子又はメチル基であり、
nは、2〜4の整数である、
で表される多官能(メタ)アクリル酸エステルが好適である。ここで、Rとして好適な基としては、n価の脂肪族炭化水素基及び炭素数6〜10の価の芳香族炭化水素基が挙げられ、これらの炭化水素基は、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、アシルオキシ基等の置換基を有していてもよい。具体的に多官能(メタ)アクリレートを例示すると、以下の化合物を挙げることができる。
ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートとトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートとの混合物(重量比30/70〜70/30)
ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレートとペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレートとの混合物(重量比30/70〜70/30)
ジチレングリコールジ(メタ)アクリレートとトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートとの混合物(重量比30/70〜70/30)
本発明において、上述した多官能ラジカル重合性単量体は、硬化性プライマー組成物中に、10〜80質量%の量で含まれているのがよい。
また、硬化性プライマー組成物には、無機コロイド粒子が配合される。かかる無機コロイド粒子は、コロイド次元の大きさを有する無機物粒子であって、硬化性プライマー組成物を硬化させることにより形成される架橋樹脂層の光透過性を低下させないものであれば特に限定されないが、透明性が高く所望の屈折率を有する架橋樹脂層が得られるという理由から、ケイ素、チタン、錫、タングステン、アンチモン、ジルコニウム等の単独若しくは複合酸化物のコロイド粒子であるのが好適であり、コロイダルシリカが最も好適に使用される。
CH2=CCH3CO2−CH2CH2−Si(OCH3)3
CH2=CCH3CO2−CH2CH2CH2−Si(OC2H5)3
CH2=CCH3CO2−CH2CH2CH2−Si(OCH3)3
CH2=CHCO2−CH2CH2CH2−Si(OC2H5)3
CH2=CCH3CO2−CH2CH2CH2CH2−Si(OC2H5)3
CH2=CCH3CO2−CH2CH2CH2CH2−Si(OCH3)3
上記のカップリング剤は、通常、表面処理される無機コロイド粒子100質量部当り、5〜50質量部、特に15〜35質量部の量で使用される。また、このようなカップリング剤による無機コロイド粒子表面の表面処理(ラジカル重合性基の導入)は、後述する半硬化工程で行われていてもよく、この場合、硬化性プライマー組成物中には、カップリング剤と無機コロイド粒子とは混合物の形で存在している。
硬化性プライマー組成物中には、上記の成分に加えて、光重合開始剤が配合される。
−プライマーコーティング層形成工程−
本発明においては、上述した硬化性プライマー組成物を、透光性の熱可塑性樹脂製基材表面に塗布し、プライマーコーティング層を形成する。
−半硬化工程−
次いで、ほこり、湿度あるいは温度をコントロールした環境下で、さらに必要に応じて、不活性気体で置換した環境下で、プライマーコーティング層を光重合により半硬化させる。半硬化の程度は、プライマーコーティング層中のモノマーの重合率が、70〜97%、好適には、80%〜95%の範囲となる程度である。ここで、半硬化工程を実施した後のプライマーコーティング層中の重合率の測定は、架橋樹脂層を有するポリカーボネートレンズを塩化メチレンに2日間浸漬し架橋樹脂層より未反応のモノマーを抽出し、次いで、抽出したモノマーを、ガスクロマトグラフィーおよび液体高速クロマトグラフィーを用いて同定および定量を行い、未反応モノマーの合計を求め、下記式より算出することにより行うことができる。
405nmの光強度で150mW/cm2以下、特に30〜130mW/cm2、さらには40〜120mW/cm2の範囲であるのが好適であり、硬化時間は特に限定されないが通常5秒〜3分の範囲である。
−フォトクロ剤塗布工程−
本発明においては、半硬化状態のプライマーコーティング層上に、重合性フォトクロミック組成物(フォトクロミック組成物)を塗布するが、フォトクロミック組成物の塗布に先立って、必要により、半硬化状態のプライマーコーティング層表面を前処理することができる。この前処理は、前述した基材表面の前処理と同様、塩基性水溶液又は酸性水溶液による化学的処理、大気圧プラズマ及び低圧プラズマ等を用いたプラズマ処理、コロナ放電処理、火炎処理、UVオゾン処理等により表面に活性基を導入し、或いは研磨剤を用いた研磨処理等の物理的エッチングによりアンカー効果を高めるものである。
100μm、特に20〜50μmとなるような厚みに塗布される。因みに、プラスチックレンズに汎用的に施用されているハードコート用コーティング剤等は、均一な薄膜を得るために溶媒等が含まれているため、その25℃における粘度は通常5cP以下であり、それにより得られるコーティング層の厚さも数μm以下である。従って、本発明で用いるフォトクロミック組成物は、このようなコーティング剤と比較すると高粘性であり、且つ得られるフォトクロミックコーティング層の厚みも非常に厚い。
−最終硬化工程−
上記のようにして半硬化状態のプライマーコーティング層上にフォトクロミック組成物を塗布した後、再び重合硬化を行い、半硬化状態のプライマーコーティング層を最終硬化させて架橋樹脂層を形成すると同時に、フォトクロミック組成物の重合硬化により、フォトクロミックコーティング層を形成させる。
(フォトクロミック積層体)
上述した方法で得られるフォトクロミック積層体は、(メタ)アクリル系樹脂やポリカーボネート系樹脂に代表される透光性の熱可塑性樹脂からなる基材表面に、架橋樹脂層を介してフォトクロミックコーティング層が形成された積層構造を有している。
ZrO2等の金属酸化物から成る薄膜の蒸着、或いは有機高分子体の塗布などによる反射防止性処理、帯電防止処理等の加工及び2次処理を施すことも勿論可能である。
実施例
以下、実施例および比較例を掲げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<重合性化合物>
MACO:アクリル化コロイダルシリカ
(米国特許4,455,205号の実施例1に記載の方法に従って、50gのt-ブタノール中の16.6gのコロイダルシリカに、1gのγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランを添加し、83℃で5分間反応させた。反応終了後、冷却し溶媒を留去することで、目的物を得た。)
U4HA:4官能ウレタンアクリレート(新中村化学製 分子量496)
UA4100:2官能ウレタンアクリレート(新中村化学製 分子量1200)
TSL8370:γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン
A−200:エチレングリコールジアクリレート(平均分子量308)
BPE10:2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシペンタエトキシフェニル)プロパン
A−400:ポリエチレングリコールジアクリレート(平均分子量532)
TMPT:トリメチロールプロパントリメタクリレート
EB1830:ポリエステルオリゴマーヘキサアクリレート(ダイセルユーシービー社製)
GMA:グリシジルメタクリレート
BMI:4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド
PFR:芳香族系イソシアネートポリエーテルポリオールウレタンオリゴマー (分子量5000)
34EN:脂肪族系イソシアネートポリエーテルポリオールウレタンオリゴマー(分子量3000)
<アミン化合物>
NMDEA:N−メチルジエタノールアミン
<光重合開始剤>
・CGI1800:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンとビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4‘−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイドの混合物(重量比3:1)
<熱重合開始剤>
・パーブチルIB:t−ブチルパーオキシイソブチレート(日本油脂製 パーブチルIB(商品名))
実施例1
<プライマーコーティング層の形成>
レンズ基材としてポリカーボネートレンズ基材を用いた。基材の表面にGE東芝シリコーン株式会社製光硬化型ハードコート剤『UVHC1105』(コロイダルシリカ含有量:30重量%)を硬化性プライマー組成物(プライマー液)として使用し、これを、膜厚2μmになるように、MIKASA製スピンコーター1H−DX2を用いて、スピンコートした。その後、120Wのメタルハライドランプを窒素雰囲気下で2分間照射して半硬化させ、コロイダルシリカ含有量30質量%の半硬化状態のプライマーコーティング層を有するレンズ基材を作成し、得られたプライマーコーティング層の物性を、以下の方法で評価した。
<プライマーコーティング層の物性評価>
(a)重合率の評価
半硬化状態のプライマーコーティング層を有するレンズ基材を塩化メチレンに2日間浸漬し、プライマーコーティング層より未反応のモノマーを抽出した。抽出したモノマーを、ガスクロマトグラフィーおよび液体高速クロマトグラフィーを用いて同定および定量を行い、未反応モノマーの合計を求め、下記式より重合率を算出した。
(b)基材とのプライマーコーティング層の密着性の評価
プライマーコーティング層を有するレンズ基材を100℃の沸騰水に1時間浸した後、室温(20℃)の雰囲気中に30分保持し、碁盤目テープ剥離試験を行った。碁盤目テープ剥離試験は、JIS D0202-1988に準拠した。セロハンテープ(「CT24」,ニチバン(株)製)を用い、指の腹で該テープをプライマーコーティング層表面に密着させた後、剥離した。判定は100マスの内、剥離しないマス目の数で表した。即ち、プライマーコーティング層が全く剥離しない場合は、100/100であり、完全に剥離する場合は、0/100となる。
<フォトクロミックコーティング層の形成>
フォトクロミックコーティング層を作成するために、プライマーコーティング層の前処理として、ナビタス社製コロナ処理装置マルチダインを用いて表面に処理を施した。
EB1830/GMAを、それぞれ50重量部/15重量部/15重量部/10重量部/10重量部の配合割合で配合し、ラジカル重合性単量体の混合物を調製し、この混合物100重量部に対して、下記式で示される構造を持つフォトクロミック化合物(A)を2.35重量部、下記式で示される構造を持つフォトクロミック化合物(B)を0.6重量部、及び下記式で示される構造を持つフォトクロミック化合物(C)を0.4重量部加え、十分に混合した。
フォトクロミック化合物(A):
<フォトクロミックコーティング層の物性評価>
(a)外観評価
フォトクロミックコーティング層がポリカーボネートレンズ基材表面に架橋樹脂層を介して形成されたフォトクロミック積層体の外観の評価は、該レンズ基材に投影機を照射して、その投影面を観察評価した。評価基準を以下に示す。
(b)白濁度評価
投影機を用いて、目視でレンズ基材の濁りを調べた。評価基準は下記の項目に分類した。
(c)フォトクロミックコーティング層と架橋樹脂層の密着性評価
この密着性は、レンズ基材とプライマーコーティング層との密着性の評価と同様の方法により評価した。その結果、フォトクロミックコーティング層と架橋樹脂層の密着性は100/100であった。
実施例1において、プライマー液をGE東芝シリコーン株式会社製光硬化型ハードコート剤『UVHC8558』に換え、コロイダルシリカ含有量30重量%の架橋樹脂層を形成する以外は、実施例1と同様に、レンズ基材表面に架橋樹脂層を介してフォトクロミックコーティング層を形成してフォトクロミック積層体を作製した。この積層体について、実施例1と同様の物性評価を行った。
表1に示したような組成の硬化性プライマー組成物および硬化条件に変え、表2に示したような組成のフォトクロ剤に変えた以外は、実施例1と同様に、フォトクロミック積層体を作製した。この積層体について、実施例1と同様の物性評価を行った。
プライマー液として、シリカコロイダルゾルおよびアルコキシシランを含有する日本精化社製熱硬化ハードコート剤『NSC1274』(シリカ含有量50重量%)を使用し、これを、膜厚2μmで、実施例1で用いたポリカーボネートレンズ基材表面に塗布し、110℃、1時間の条件で硬化させて、コロイダルシリカ含有量が50重量%のプライマーコーティング層を形成した。次いで、実施例1と同様にしてフォトクロミックコーティング層を作成してフォトクロミック積層体を作製し、実施例1と同様に、各種物性の評価を行った。(フォトクロミックコーティング層について、外観評価は×で、密着性評価も×であった。)
硬化性プライマー組成物の組成及び半硬化条件を表1に示し、フォトクロ剤組成物の組成及び前処理条件を表2に示し、さらに、プライマーコーティング層の重合率、プライマーコーティング層及びフォトクロ層についての物性評価の結果を表3に示した。
実施例1において、プライマーコーティング層を形成せずに、直接実施例1と同様の方法でフォトクロミックコーティング層をポリカーボネートレンズ基材表面に形成してフォトクロミック積層体を作製し、フォトクロミックコーティング層(フォトクロ層)の物性評価を行い、結果を表3に示した。外観は白化し、密着性も×であった。
表1に示したような組成の硬化性プライマー組成物および硬化条件に変え、表2に示したような組成のフォトクロ剤に変えた以外は、実施例1と同様に、フォトクロミック積層体を作製した。この積層体について、実施例1と同様の物性評価を行った。
Claims (2)
- 表面にラジカル重合性基が導入された無機コロイド粒子を無機金属酸化物換算で20〜40質量%で含み、さらに、多官能性ラジカル重合性単量体を含む非溶媒系の硬化性プライマー組成物を用意する工程、
透光性を有する熱可塑性樹脂からなる基材表面に、前記硬化性プライマー組成物を塗布してプライマーコーティング層を形成する工程、
前記プライマーコーティング層を半硬化させる工程、
半硬化状態のプライマーコーティング層上に、フォトクロミック化合物とラジカル重合性単量体とを含有する重合性フォトクロミック組成物を塗布する工程、
及び、
前記半硬化状態のプライマーコーティング層の完全硬化と重合性フォトクロミック組成物の重合とを行って、基材表面に架橋樹脂層を介してフォトクロミックコーティング層を形成する工程、
を含んでなることを特徴とするフォトクロミック積層体の製造方法。 - 前記硬化性プライマーには、ウレタンオリゴマーが5乃至60質量%含まれている請求項1に記載のフォトクロミック積層体の製造方法。
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