JPH08217991A - 放射線硬化性材料 - Google Patents

放射線硬化性材料

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JPH08217991A
JPH08217991A JP1603595A JP1603595A JPH08217991A JP H08217991 A JPH08217991 A JP H08217991A JP 1603595 A JP1603595 A JP 1603595A JP 1603595 A JP1603595 A JP 1603595A JP H08217991 A JPH08217991 A JP H08217991A
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monomer
radiation
curable material
metal oxide
film
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JP1603595A
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Inventor
Sana Fujii
さな 藤井
Norihiro Kasai
紀宏 笠井
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3M Co
Original Assignee
Minnesota Mining and Manufacturing Co
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 紫外線等の放射線により硬化可能な、表面硬
度、成形性、透明性等に優れた、光学材料に最適な材料
を提供する。 【構成】 放射線硬化性材料を、有機珪素化合物、金属
酸化物及び放射線硬化可能なモノマーを含んでなるよう
に、構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、放射線硬化性材料に関
し、さらに詳しく述べると、紫外線等の放射線により硬
化可能で、高屈折率を有するとともに、成形性、透明
性、表面硬度等にすぐれた放射線硬化性材料に関する。
本発明はまた、このような放射線硬化性材料から形成さ
れた光学フィルムに関する。本発明による材料及びフィ
ルムは、その多くのすぐれた特性のために、光学材料そ
のものとして、また、各種の光デバイス(液晶デバイス
等を含む)などにおいて有利に用いることができる。
【0002】
【従来の技術】近年、いろいろな種類の透明プラスチッ
ク材料がフィルム、その他の形態で提供されている。例
えば、特公平3−2459号公報は、平均粒子径が1〜
300mμの微粒子状無機物と、有機シラン化合物及び
/又はその加水分解物から得られた樹脂を少なくとも含
有しているビヒクルとからなる透明材料であって、微粒
子状無機物を5〜80重量%で含有することを特徴とす
る透明材料を開示する。この透明材料は、機械的特性に
加えて透明性が良好であるので、光学用途において利用
することができる。しかし、この材料は、その硬化が有
機シラン化合物の加熱による脱水縮合等に依存している
ので、反応が遅くて、硬化の完結までに数時間ないし数
十時間を要するという欠点がある。また、加熱硬化の前
後における収縮率の変化が顕著であり、フィルム形成性
にも乏しいので、被覆材を厚膜化することが困難であ
る。さらに、フィルム形成性に乏しいので、材料中で使
用する微粒子状無機物の量が最高80重量%に制限さ
れ、したがって、耐スクラッチ性等の向上に限界を生じ
ていた。さらにまた、この材料では成形工程に先がけて
溶媒乾燥等の工程が必須であり、収縮率が大きいため、
複雑かつ精密な形状の成形物を製造することが困難であ
る。また、この材料では、その硬化物の屈折率を高める
ことは企図されていない。
【0003】特開昭62−95130号公報は、紫外線
等の照射、加熱あるいは触媒の使用により硬化可能なモ
ノマー中に酸化物ゾルが分散された組成物を開示する
が、有機珪素化合物を含んでいないため、酸化物ゾルの
分散性が悪く、酸化物ゾルの添加量が狭く制限された
り、表面硬度が低かったり、さらには透明性に欠ける等
の問題があった。また、この材料でも、その硬化物の屈
折率を高めることは企図されていない。
【0004】特開平2−11665号公報は、アクリル
酸又はメタクリル酸のプロトン性基置換エステル又はア
ミド中に、直径が100μmのコロイド状二酸化珪素粒
子を分散して含んでなり、耐摩耗性と耐候性を有する放
射線硬化可能なコーティング組成物を開示しているが、
有機珪素化合物を含まない点で、上記特開昭62−95
130号公報に記載の発明と同じ問題点を有する。ま
た、この発明でも、その組成物の硬化物の屈折率を高め
ることは企図されていない。
【0005】特開昭57−74369号公報は、多官能
性アクリル系カルボン酸エステルモノマー又はそのプレ
ポリマーと、粉末状無機充填剤及び上記モノマーまたは
そのプレポリマーの重合を可能にする重合開始剤を必須
成分として含有する被覆用組成物を開示している。この
被覆用組成物では、上記粉末状無機充填剤として、屈折
率が1.40〜1.60、好適には1.42〜1.58
であるシリカゾル等を使用することが開示されているも
のの、その硬化物の屈折率を、光学材料等に用いるため
に十分に高くすることはできない。また、この組成物は
有機珪素化合物を含まないので、上記充填剤の分散性、
充填剤の添加量の制限等の問題点を有する。
【0006】米国特許第4,455,205号明細書
は、次のような組成を有する、実質的に無溶剤のUV硬
化性オルガノポリシロキサンハードコート組成物を開示
する。 コロイド状シリカ…1〜60重量% γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランの加
水分解により得られた有機珪素化合物…1〜50重量% アクリレートモノマーの混合物…25〜90重量% (この混合物は、ヘキサンジオールジアクリレートと、
トリメチロールプロパントリアクリレートからなる) α,α−ジエトキシアセトフェノン…0.1〜5重量% レゾルシノールモノベンゾエート…有効量 この組成物では、有機珪素化合物の添加による酸化物ゾ
ル(コロイド状シリカ)の分散性の問題は解決されてい
るが、その硬化物の屈折率を高くすることは企図されて
いない。
【0007】また、特開昭56−99236号公報及び
特開平4−213338号公報では、比較的屈折率の高
い金属酸化物を含んでなる熱硬化型の組成物が開示され
ているが、熱硬化型であるため、上記特公平3−245
9号公報の発明と同じ問題点を有する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
したような従来の技術の問題点を解消して、硬化が迅速
で、光学材料としても有用なレベルの高屈折率を有する
放射線硬化性材料を提供することにある。本発明の放射
線硬化性材料は、硬化が迅速で、フィルム形成性が良好
であるため、厚膜化や複雑な形状の成形物の提供も可能
であり、また、透明性、表面硬度(耐スクラッチ性)に
もすぐれている。
【0009】さらに、本発明は、このような材料を使用
した、広い用途に有利に使用することのできる光学物品
を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記した目的は、本発明
によれば、有機珪素化合物、金属酸化物及び放射線硬化
可能なモノマーを含んでなることを特徴とする放射線硬
化性材料によって達成することができる。また、本発明
によれば、この本発明の放射線硬化性材料から形成され
た光学フィルムが提供される。
【0011】本発明による放射線硬化性材料は、上記し
たように、有機珪素化合物、金属酸化物、及び放射線硬
化可能なモノマーを必須の構成成分として含有する。第
1の構成成分である有機珪素化合物は、これに組み合わ
せて用いられる金属酸化物の放射線硬化可能なモノマー
中における分散性を著しく向上させる働きがあり、した
がって、高い透明性及び表面硬度を確保するとともに、
フィルムに成形する時、得られる成形物の強度を高める
ことができる。
【0012】本発明の実施において用いることのできる
有機珪素化合物は、好ましくは、次式により表わされる
有機シラン化合物及びその加水分解生成物である。 Si(R)x (OR)y 又は Si(R)x (Cl)y 上式において、Rは、Si−C結合を介して珪素と結合
した有機基であって、1〜10個の炭素原子を有するア
ルキル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール
基及びアルケニル基からなる群から選ばれる置換基及び
/又はエポキシ基、(メタ)アクリロイルオキシ基、メ
ルカプト基、アミノ基及びシアノ基からなる群から選ば
れる置換基を有し、そしてxとyの合計は4である。
【0013】適当な有機珪素化合物の例は、以下のもの
に限定されるものではないけれども、ビニルトリクロル
シラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキ
シシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラ
ン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリ
メトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキ
シシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシ
シラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラ
ン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキ
シシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメト
キシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチル
ジエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピル
トリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミ
ノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエ
チル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β
(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラ
ン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミ
ノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−ア
ミノプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピル
トリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメト
キシシラン等の有機珪素カップリング剤、メチルトリク
ロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチルジクロロ
シラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロ
シラン、ジフェニルジクロロシラン、メチルトリメトキ
シシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメ
トキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルト
リエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニ
ルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、
デシルトリメトキシシラン等の表面改質剤、その他を包
含する。これらの有機珪素化合物は、単独で使用して
も、2種類以上を任意に組み合わせて使用してもよい。
【0014】有機珪素化合物は、それを放射線硬化性材
料中に配合する場合、金属酸化物100重量部に対して
5〜75重量部の量で使用するのが好適である。これ
は、5重量部未満の有機珪素化合物では、金属酸化物の
モノマー中における分散性を向上させることができず、
フィルムの表面硬度も低下するからである。また、75
重量部を上回る有機珪素化合物では、フィルムの強度の
低下のほか、光学的性質の低下、コストの増加などの問
題を避けることができない。有機珪素化合物は、さらに
好ましくは、金属酸化物100重量部に対して8〜60
重量部、最も好ましくは20〜40重量部の量で用いら
れる。なお、有機珪素化合物は、以下に詳述するよう
に、好ましくは金属酸化物を表面処理する形で用いられ
る。
【0015】本発明の実施において、必要に応じて、こ
の有機珪素化合物に加えて、テトラアルコキシシラン化
合物、例えばメチルシリケート、エチルシリケート、n
−プロピルシリケート、i−プロピルシリケート、n−
ブチルシリケート、sec−ブチルシリケートおよびt
−ブチルシリケートなどを使用してもよい。また、必要
に応じて、同様な特性を有する有機チタン化合物、有機
アルミニウム化合物なども、単独もしくは組み合わせ
て、上記有機珪素化合物に併用してもよい。適当な有機
チタン化合物の例としては、イソプロピルトリイソステ
アリルチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタ
ネート、イソプロピルジアクリルイソステアロイルチタ
ネート、イソプロピルジメタアクリルイソステアロイル
チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネー
ト等の表面改質剤があげられる。また、適当な有機アル
ミニウム化合物の例としては、アセトアルコキシアルミ
ニウムジイソプロピレート等の表面改質剤があげられ
る。
【0016】有機珪素化合物等は、これに組み合わせて
用いられる放射線硬化可能なモノマーの種類により選択
するのが好適である。例えば、混合するモノマーがアク
リル基を有するようなモノマーである場合、アクリル基
を有するような有機珪素化合物等を使用した時に、最終
的に生成される材料の強度を大きくすることができるの
で、好適である。また、混合するモノマーがエポキシ基
を有するような化合物の場合、エポキシ基やビニルエー
テル基を有する有機珪素化合物等を使用することが望ま
しい。このような有機珪素化合物等を使用することによ
って放射線硬化性モノマーへの分散性が増す上、硬化後
の材料の強度、硬度を増す効果がある。
【0017】第2の構成成分である金属酸化物は、1.
6を超える屈折率を有し、放射線硬化性材料からのフィ
ルム等の硬化物の屈折率を高めることを第1の目的とし
て含有される。また、かかる金属酸化物は、上記硬化物
の耐熱性、表面硬度(耐スクラッチ性)を高める効果も
同時に備えている。かかる金属酸化物として好適には、
五酸化アンチモンがある。五酸化アンチモンは、高屈折
率(約1.67)を有するとともに、表面硬度、分散
性、透明性、そして難燃性が高いからである。また、五
酸化アンチモンと、二酸化珪素(シリカ)、酸化錫、酸
化ニオブ、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ベリリ
ウム等の他の金属酸化物の1種もしくは2種類以上を併
用することもできる。例えば、高い表面硬度を得るため
には、五酸化アンチモンに二酸化珪素を添加することが
好適であり、五酸化アンチモン100重量部に対して5
〜100重量部の量で添加することが好適である。二酸
化珪素の添加量は、それが5重量部未満では硬度向上の
効果に乏しく、また、100重量部超では屈折率が低下
する恐れがある。また、上記五酸化アンチモンは、液相
法で合成されたものが好適である。かかる液相法で合成
された五酸化アンチモンは、放射線硬化可能なモノマー
中における安定な分散が容易であるからである。
【0018】二酸化珪素に代えて、他の金属酸化物を五
酸化アンチモンに併用することも推奨される。例えば、
酸化ジルコニウムは硬度及び屈折率の向上に、酸化錫は
屈折率の向上に、酸化ニオブは屈折率の向上に、酸化ア
ルミニウムは硬度及び屈折率の向上に、酸化チタンは硬
度及び屈折率の向上に、酸化ベリリウムは硬度の向上
に、それぞれ寄与することができる。
【0019】金属酸化物は、本発明の放射線硬化性材料
において、いろいろな形態で、好ましくは粒子状又はゾ
ル状で、使用することができる。粒子状の金属酸化物
は、有機溶媒を使用する必要がないという点で、環境保
全等のメリットがある。かかる粒子状金属酸化物の粒径
は、電子顕微鏡で常法に従って測定して、好ましくは1
〜300nmである。1nm未満の粒径では、粒子の生成及
び取扱いが困難であり、また、300nm超の粒径では、
粒子の分散性や透明性が低下するおそれがある。
【0020】ゾル状の金属酸化物は、選らばれた金属酸
化物を水又は有機溶媒、例えばメチルエチルケトン(M
EK)、メタノール、エタノール、トルエンなどに添加
することによって調製することができる。ここで、ゾル
の固形分は、ゾルの安定性の面から、10〜50%であ
るのが好ましい。ゾル状の金属酸化物を使用することの
メリットとしては、モノマーに対する分散性が良いこ
と、カップリング処理が効果的であること、などがあげ
られる。
【0021】金属酸化物は、それを放射線硬化性材料中
に配合する場合、放射線硬化可能なモノマー100重量
部に対して40〜9900重量部の量で使用するのが好
適である。金属酸化物の使用量が40重量部未満である
と、表面硬度及び耐熱性の向上が十分でなく、また、9
900重量部超では、力学的脆化の傾向に原因してフィ
ルム形成性の低下のおそれがある。なお、本発明では、
最高で9900重量部の多量の金属酸化物の使用が可能
であるけれども、これは、ゾルから調製することによる
ものである。金属酸化物は、さらに好ましくは50〜5
000重量部で、最も好ましくは300〜900重量部
で、用いられる。
【0022】金属酸化物は、有機珪素化合物との親和力
が高いので、これに有機珪素化合物を添加し、混合する
だけで、本発明における所期の分散効果等を得ることが
できる。しかし、金属酸化物は、好ましくは、それを有
機珪素化合物で表面処理して、該有機化合物の被覆を有
する形で使用することができる。金属酸化物に予め有機
珪素化合物の被覆を施しておくこの方法は、有機珪素化
合物の添加量を少なくすることが可能となるばかりか、
有機珪素化合物を多量に添加したとしても、それらの化
合物が金属化合物の周囲に均一かつ有効に存在すること
になり、有機珪素化合物によるフィルム強度の低下の問
題を回避できるようになる。
【0023】金属化合物の周囲における有機珪素化合物
の被覆の形成は、好ましくは、有機珪素化合物を適当な
溶媒に溶解した後、得られた溶液に金属酸化物の粒子を
添加し、撹拌することを含む処理によって行うことがで
きる。金属酸化物は、上記したように、乾式の粒子の形
で用いることもできるが、予め溶媒に安定に分散させた
ゾルの形のものを用いることが、反応効率の面から望ま
しい。
【0024】有機珪素化合物の被覆を形成するための処
理温度は、特に規定されるものではない。しかし、処理
温度が高くなりすぎると、有機珪素化合物によっては副
反応や劣化を生じさせるため、200℃程度以下が望ま
しい。一般的に処理温度が低くなると、処理時間を長く
することが必要となるので、40℃以上の処理温度が望
ましい。
【0025】第3の構成成分である放射線硬化可能なモ
ノマーは、上記した第1及び第2の成分を含む組成物に
対してフィルム形成性を付与する働きを有する。放射線
硬化可能なモノマーは、特に制限されるものではない。
本発明の実施において好ましい1つのタイプのモノマー
は、ラジカル硬化可能で、速硬化性で、紫外線硬化が簡
易に可能な点で、その分子内に少なくとも1個のアクリ
ロイル基又はメタアクリロイル基を有するモノマーであ
る。また、本発明の実施において好ましいもう1つのタ
イプのモノマーは、カチオン硬化(光硬化)可能であっ
て、酸素雰囲気下でも硬化可能な点で、その分子内に少
なくとも1個のエポキシ基又はビニルエーテル基を有す
るモノマーである。
【0026】放射線硬化可能なモノマーは、単独で使用
しても、あるいは2種類以上のモノマーを混合して使用
してもよい。本発明の実施において適当な放射線硬化可
能なモノマーは、特に屈折率が高く、耐熱性が良好で、
悪臭もない点で、フェニル基ならびにアクリロイル基又
はメタアクリロイル基を有するモノマー、例えば、(メ
タ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェノキ
シエチル、トリブロモ(メタ)アクリル酸ベンジル、ト
リブロモ(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メ
タ)アクリル酸ビフェニルエトキシ、(メタ)アクリル
酸ビフェニルエポキシ、(メタ)アクリル酸ナフチルエ
トキシ、(メタ)アクリル酸フルオレンエポキシ、ジ
(メタ)アクリル酸ビスフェノールA、テトラブロモジ
(メタ)アクリル酸ビスフェノールA、エトキシ変性ジ
(メタ)アクリル酸ビスフェノールA、テトラブロモエ
トキシ変性ジ(メタ)アクリル酸ビスフェノールA、ジ
(メタ)アクリル酸ビスフェノールAエポキシ、エトキ
シ変性ジ(メタ)アクリル酸ビスフェノールAエポキ
シ、テトラブロモジ(メタ)アクリル酸ビスフェノール
Aエポキシ、テトラブロモエトキシ変性ジ(メタ)アク
リル酸ビスフェノールAエポキシ等である。
【0027】また、エポキシ基又はビニルエーテル基を
有する化合物としては、例えば、ビスフェノールAジグ
リシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエー
テル、テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエー
テル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、フタル酸
ジグリシジルエステル、クレゾールノボラックポリグリ
シジルエーテル、フェノールノボラックポリグリシジル
エーテル等があげられる。
【0028】本発明において使用するモノマーは、高沸
点のモノマー、具体的には50℃以上の沸点を有するモ
ノマーが好適である。これは、金属酸化物の分散を考慮
して、また、一般に放射線硬化可能なモノマーは水溶性
でないためにそのモノマーの溶解性を考慮して、有機溶
媒を使用することが好適であり、また、したがって、使
用するモノマーは、後の工程における有機溶媒の蒸発除
去工程(加熱工程)に耐え得るものでなければならない
からである。さらには、一般的に使用される溶媒である
メチルエチルケトンの沸点である80℃以上の沸点を有
するモノマーが最適である。
【0029】また、本発明で使用するモノマーは、得ら
れる硬化物の透明性を向上させるため、金属酸化物の屈
折率に近い屈折率を有するモノマーが好適である。本発
明において用いられる金属酸化物は、1.6を超える屈
折率を有しており、好ましくは1.62〜1.90の範
囲、特に好ましくは1.65〜1.75の範囲である。
したがって、上記モノマーの屈折率とかかる金属酸化物
の屈折率との差が0.15以下であるモノマーを選択し
て使用するのが好適である。かかるモノマーとしては、
具体的には、芳香環、ハロゲン原子(フッ素を除く)、
硫黄原子等を含むモノマーを使用するのが好適である。
【0030】さらにまた、本発明で使用するモノマー
は、複雑な形状を有する被着体に対応可能であり、フィ
ルム形成性が良好であることを考慮して、室温で液状で
あるのが好適である。液状モノマーの粘度は、好ましく
は1〜10000cps (25℃で)、さらに好ましくは
5〜8000cps 、最も好ましくは10〜5000cps
である。なお、固体状モノマーであっても、他のモノマ
ー等に溶解し得るものならば、使用可能である。
【0031】本発明の放射線硬化性材料は、上記した主
たる3構成成分に加えて、放射線硬化可能なモノマーの
ための光重合開始剤を含有するかもしくは、その光重合
開始剤を、モノマー硬化の前の任意の段階で、放射線硬
化性材料に添加することができる。放射線硬化性材料中
に予め光重合開始剤を添加しておくことは、特に紫外線
等の放射線の照射による硬化の場合、硬化時間の短縮及
び低エネルギーでの硬化を可能とするため、望ましい。
光重合開始剤の例としては、ラジカル重合開始剤とし
て、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾイ
ン−n−プロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエ
ーテル、ベンジル、ベンゾフェノン、p−メチルベンゾ
フェノン、ジアセチル、エオシン、チオニン、ミヒラー
ケトン、アセトフェノン、2−クロロチオキサントン、
アンスラキノン、クロロアンスラキノン、2−メチルア
ンスラキノン、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、p
−イソプロピル−α−ヒドロキシイソブチルフェノン、
α,α′−ジクロル−4−フェノキシアセトフェノン、
1−ヒドロキシ−1−シクロヘキシルアセトフェノン、
2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、メ
チルベンゾインフォルメイト、2−メチル−1−〔4−
(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロペ
ン、ジクロルチオキサントン、ジイソプロピルチオキサ
ントン、フェニルジスルフィド−2−ニトロソフルオレ
ン、ブチロイン、アニソインエチルエーテル、アゾビス
イソブチロニトリル、テトラメチルチウラムジスルフィ
ド等をあげることができる。また、カチオン重合開始剤
として、トリフェニルスルホニウム六フッ化アンチモン
酸塩等の硫黄系開始剤、ジフェニルヨードニウム六フッ
化アンチモン酸塩等のヨウ素系開始剤に代表されるオニ
ウム塩があげられる。これらの光重合開始剤の1種類ま
たは2種類以上を組み合わせて用いることができる。光
重合開始剤の量は、上記金属酸化物及び/モノマーの合
計量100重量部に対して、通常0.1〜5重量部程度
とすることが好ましい。0.1重量部よりも少ない場合
は重合開始の効率が小さくなり、また、5重量部より多
い場合は経済的でない上、未反応のものが得られる材料
の物性を低下し、好ましくない。更に、前記光重合開始
剤による硬化反応を促進させる目的で光重合促進剤を前
記開始剤に併用することができ、その代表例として、ト
リエチルアミン、トリエタノールアミン、2−ジメチル
アミノエタノール等の第3級アミン類、トリフェニルフ
ォスフィンで代表されるアルキルフォスフィン類、β−
チオグリコールで代表されるチオール類等をあげること
ができる。
【0032】モノマーの硬化に用いられる放射線は、好
ましくは紫外線である。ここで、紫外線照射の照射源と
しては、例えば水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水
銀ランプ、キセノンランプ、カーボンアーク、メタルハ
ライドランプ、太陽光線等をあげることができる。紫外
線を照射する時の雰囲気は、空気又は不活性気体である
ことが好ましい。紫外線の照射強度は、0.1〜100
mW/cm2 が好ましく、照射量は100〜20,000mJ
/cm2 が好ましい。
【0033】また、電子線(EB)の照射によってモノ
マーを硬化させることもできる。電子線照射によりモノ
マーを硬化させる場合に用いる電子線の加速器として
は、例えば、コッククロフト型、コッククロフトワルト
ン型、共振変圧器型、変圧器型、絶縁コア変圧器型、ダ
イナミトロン型、リニアフィラメント型、ブロードビー
ム型、エリアビーム型、カソード電子型、高周波型等の
加速器が挙げられる。電子線照射の加速電圧は、100
〜500kVが好ましく、照射量は10〜1000kG
yが好ましい。
【0034】本発明の放射線硬化性材料は、上記した構
成成分に加えて、この技術分野に一般的に用いられてい
る添加剤、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、増粘剤
などを含有することができる。次に、本発明による放射
線硬化性材料の調製方法について説明する。本発明の放
射線硬化性材料は、いろいろな手順に従って調製するこ
とができる。好ましい一例を示すと、次の通りである: 1.ゾル状金属酸化物の調製 2.有機珪素化合物(カップリング剤)の添加 3.撹拌によるカップリング処理(室温又は加熱下) 4.放射線硬化可能なモノマー及び光重合開始剤の添加
(光重合開始剤は、この工程の前又はその後に添加して
もよい) 5.ゾル化に使用した溶媒の除去 6.放射線硬化性材料の回収 また、別の好ましい方法によれば、次のようにして本発
明の放射線硬化性材料を調製することができる。
【0035】1.粉末状金属酸化物の調製 2.有機珪素化合物(カップリング剤)、放射線硬化可
能なモノマー及び必要 に応じて溶媒の添加 3.撹拌によるカップリング処理(室温又は加熱下) 4.溶媒の除去 5.放射線硬化性材料の回収 次に、本発明による放射線硬化性材料を用いた光学製品
等について説明する。すなわち、本発明の放射線硬化性
材料は、常用の成形方法を使用して、複雑形状を含めた
いろいろな形状を有する物品、特に光学製品、例えば光
学フィルムに成形することができる。特に、本発明の放
射線硬化性材料は、表面に微細な凹凸を有し、光再帰性
や光屈折性を示す、表面微細形状がピラミッド形状又は
規則的な球形のフィルム、断面が鋸歯状のプリズムフィ
ルム、あるいは断面が鋸歯状のプリズムが同心円状に配
列されたフレネルレンズ等の光学フィルムの原材料又は
一般的光学フィルムの表面保護材料として使用可能であ
る。例えば、本発明のプリズムフィルムの具体的な構造
としては、表面に、1〜500μm程度の凹凸を有する
断面鋸歯形状を有し、かかる頂角としては、光再帰性や
光屈折性を考慮して、60〜120°が好適である。な
お、プリズムフィルムとしては、米国スリーエム(株)
製のSOLF,TRAF,BEF−90,BEF−10
0等(いずれも商品名)がある。また、フレネルレンズ
としては、米国スリーエム(株)から市販されているバ
ンガード(商品名)やOHP用フレネルレンズ等がある
が、これらのものに本発明の材料は使用可能である。す
なわち、本発明の放射線硬化性材料を使用することによ
り、従来の光学材料の欠点である表面硬度(耐スクラッ
チ性)を改良し、従来のプラスチック材料に必須とされ
た保護層を不要とすることが可能である。
【0036】また、本発明の放射線硬化性材料を用いて
調製された光学フィルムは、背面に機械的保護や製造容
易等の観点から、一般的光学材料である、PET,PM
MA,PC等の厚さ20〜200μm程度の平滑フィル
ムを積層した構造であっても良い。その際に、PETフ
ィルムは、透明性、機械的性能に優れている点で好適で
あり、PMMAフィルムは、透明性、耐光性に優れてい
る点で好適であり、PCは、透明性、耐熱性、機械的性
能に優れている点で好適である。さらに、PETフィル
ム等と本発明の放射線硬化性材料の積層部位に、密着性
を向上させるため、アクリル樹脂、カップリング剤を積
層したり、コロナ放電処理等の表面処理を施すのも好適
である。
【0037】本発明による光学フィルムの製造の手順
は、特にプリズムフィルムの製造を参照して2つの好ま
しい例を示すと、次の通りである:製造手順1 1.微細構造を有する金属板の上に放射線硬化性材料の
積層 2.放射線硬化性材料の上にコロナ放電処理PETフィ
ルムの積層 3.PETフィルム側からの紫外線照射(硬化処理) 4.転写された微細構造を有するプリズムフィルムの取
り出し製造手順2 1.微細構造を有する金属板の上に放射線硬化性材料の
積層 2.放射線硬化性材料の上に予め形成された微細構造を
有するプリズムフィルムを、金属板の微細構造と重なる
よう位置決めして、積層 3.プリズムフィルム側からの紫外線照射(硬化処理) 4.両面に微細構造を有するプリズムフィルムの取り出
【0038】
【作用】本発明による放射線硬化性材料は、それに含ま
れる有機珪素化合物が、金属酸化物のモノマー中におけ
る分散性を著しく向上させるとともに、高い表面硬度、
透明性及びフィルム強度をもたらし、金属酸化物が、高
い表面硬度、耐熱性及び屈折率をもたらし、また、放射
線硬化可能なモノマーが、フィルム形成性が良好で、迅
速かつ簡易に硬化可能であるので、これらのすぐれた特
性の相乗効果により、特性にすぐれた光学フィルムをは
じめとした各種の光学物品、その他の物品の製造に有利
に使用することができる。
【0039】
【実施例】以下、本発明をいくつかの実施例によって詳
細に説明する。なお、本発明は、これらの実施例によっ
て限定されるものではないことを理解されたい。例中の
「部」は、特に断りのある場合を除いて「重量部」を表
す。例1 本例では、金属酸化物を有機珪素化合物で表面処理する
ことについて説明する。
【0040】金属酸化物として五酸化アンチモン微粒子
(粒径:5〜50nm)(日産化学社製、サンエポック
EFR−6N)を、また、有機珪素化合物としてシラン
カップリング剤(日本ユニカー社製、γ−メタクリロイ
ルオキシプロピルトリメトキシシラン)を、それぞれ用
意した。1部の五酸化アンチモン微粒子に2部のイソプ
ロピルアルコールを添加し、そして次にシランカップリ
ング剤を下記の第1表に記載の量(五酸化アンチモン1
00重量部に対して、それぞれ、0,5,10,25及
び40重量部)で添加した。得られたサンプルを室温で
30分間撹拌した後、80℃のオーブン中に1時間放置
してイソプロピルアルコールを蒸発除去した。さらに続
けて、サンプルを窒素雰囲気下に150℃で30分間乾
燥させた。完全に乾燥させた後のサンプルの比表面積を
表面積測定装置(BET:Brunauer−Emme
tt−Teller)を用いて測定したところ、次の第
1表に記載しかつ添付の図1にプロットするような結果
が得られた。
【0041】 第 1 表 シランカップリング剤(重量部) 比表面積(m2 /g) 0 51.50 5 46.90 10 30.91 25 19.88 40 17.47 ──────────────────────────── 上記第1表及び図1の結果から理解されるように、シラ
ンカップリング剤の量がほぼ30重量部の時、五酸化ア
ンチモン粒子の表面被覆を飽和状態とすることができ
る。例2 本例では、本発明の放射線硬化性材料の調製及びそれを
用いた光学フィルムの製造について説明する。
【0042】10部の五酸化アンチモンゾル(日産化学
社製、サンコロイドAME130;メチルエチルケトン
中に分散;固形分約30%)に0.75部のシランカッ
プリング剤(日本ユニカー社製、γ−メタクリロイルオ
キシプロピルトリメトキシシラン)を添加し、室温で1
時間撹拌した。得られた混合物に2部のテトラブロモビ
スフェノールAエポキシジアクリレート(ダイセルUC
B社製、以下“TBA”と記す)及びフェノキシエチル
アクリレート(大阪有機化学社製、以下“PEA”と記
す)の3/2混合物及び0.02部の光重合開始剤ダロ
キュア1173(商品名)(チバ−ガイギー社製、以下
“D1173”と記す)を添加して均一な溶液とした。
次いで、ロータリエバポレータ上で、得られた溶液から
メチルエチルケトンを蒸発除去した。得られた混合物を
厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PE
T)フィルム間にはさみ、ナイフコータを用いて膜厚が
200μmになるように制御した後、高圧水銀ランプ
(ウシオ社製、UVL−N)からの紫外線を積分照射強
度900mJ/cm2 で照射した。紫外線照射の結果、硬化
フィルムが得られた。得られたフィルムを3cm×4cmの
サイズに切り出した後、80℃のオーブン中で約30分
間乾燥した。
【0043】得られたフィルムサンプルのヘイズ値を日
本電飾社製のヘイズメータにより測定したところ、1.
82%であった。次いで、このフィルムサンプルの表面
硬度(耐スクラッチ性)を図2に略示するサンドテスト
装置を用いて測定した。フィルムサンプルを45°傾け
て配置し、上方の漏斗2から100gの石英砂3(和光
純薬社製)を一定速度で落下させた。フィルムサンプル
に付着した石英砂を水洗で洗い流し、乾燥した後、前記
と同様な手法で再びヘイズ値の測定を行った。ヘイズ値
は22.51%であり、フィルム表面は満足し得る硬
度、すなわち、耐スクラッチ性を有することを示した。例3〜例9 本例では、五酸化アンチモンの添加量のフィルムの表面
硬度(ヘイズ値)に及ぼす影響について説明する。な
お、例3は、五酸化アンチモンを添加していない比較例
である。
【0044】前記例2に記載の手法を繰り返したけれど
も、本例では、下記の第2表に示すように五酸化アンチ
モン固形分の割合をいろいろに変更しかつ石英砂重量を
100g及び200gとした。なお、表中の「Sb2
5 (重量部)」は、使用した紫外線硬化性モノマーを1
00重量部とした時のSb2 5 の重量部を表してい
る。また、シランカップリング剤は五酸化アンチモン固
形分の30重量%で、光重合開始剤D1173は混合物
全体の0.5重量%で、それぞれ使用した。カップリン
グ条件は、室温で16時間であった。得られた結果を下
記の第2表に示す。
【0045】本例では、ヘイズ値の測定に加えて、フィ
ルムサンプルの20℃における屈折率も測定した。屈折
率の測定のため、アタゴ製作所製のアッベ屈折計を使用
した。得られた結果を次の第2表に示す。 第 2 表 Sb2 5 屈折率 ヘイズ値(%)(下記重量の石英砂で) (重量部) 20 0 g 100 g 200 g 3(比較例) 0 1.590 0.66 71.13 80.53 4 25 1.591 1.02 57.32 70.07 5 67 1.590 1.61 42.13 58.63 6 150 1.594 1.81 37.04 47.87 7 230 1.595 1.56 38.75 48.75 8 400 1.596 2.07 38.97 48.33 9 900 1.597 2.03 41.16 50.58 ───────────────────────────────────例10〜例14 本例では、シランカップリング剤の添加量のフィルム表
面硬度(ヘイズ値)に及ぼす影響について説明する。な
お、例10は、シランカップリング剤を添加していない
比較例である。
【0046】前記例2及び例3〜例9に記載の手法を繰
り返したけれども、本例では、下記の第3表に示すよう
にシランカップリング剤の割合をいろいろに変更した。
なお、カップリング剤の割合(添加量)は、酸化アンチ
モン100重量部に対するカップリング剤の重量部で示
してある。また、酸化アンチモン固形分の割合は、使用
した紫外線硬化性モノマーを100重量部として400
重量部であり、また、カップリング条件は室温で16時
間であった。得られた結果を次の第3表に示す。
【0047】 第 3 表 カップリング剤 屈折率 ヘイズ値(%)(下記重量の石英砂で) (重量部) 20 0 g 100 g 200 g 10(比較例) 0 − 不可* 不可* 不可* 11 10 1.614 2.10 23.61 58.40 12 20 1.604 1.85 26.17 59.33 13 30 1.601 2.14 25.73 52.59 14 40 1.591 3.54 24.82 48.29 ─────────────────────────────────── 不可* …凝集のため、測定不可例15〜例21 本例では、カップリング反応の条件のフィルム表面硬度
(ヘイズ値)に及ぼす影響について説明する。
【0048】前記例2及び例3〜例9に記載の手法を繰
り返したけれども、本例では、20部の五酸化アンチモ
ンゾルに1.87部のシランカップリング剤を添加し、
下記の第4表に示すようにカップリング条件をいろいろ
に変更して撹拌した。撹拌の完了後、1.22部の水を
添加し、室温で2時間撹拌した。得られた混合物に1.
56部のTBA/PEA(3/2)混合物及び0.02
部の光重合開始剤D1173を添加して均一な溶液とし
た。得られた結果を次の第4表に示す。
【0049】 第 4 表 カップリング 屈折率 ヘイズ値(%)(下記重量の石英砂で) 条件 20 0 g 100 g 200 g 15 室温、4時間 1.594 5.16 51.15 67.39 16 室温、24時間 1.594 3.21 46.21 53.59 17 室温、 100時間 1.592 4.68 40.32 51.56 18 80℃* 、2時間 1.593 5.78 51.56 62.65 19 80℃、4時間 1.596 6.34 45.70 53.26 20 80℃、16時間 1.597 5.86 41.98 50.20 21 80℃、30時間 1.597 4.38 36.47 43.78 ─────────────────────────────────── 80℃* …ゾルの溶媒であるMEKの還流条件下例22〜例24 (比較例) 本例では、比較のため、通常のプラスチックフィルム及
び無機ガラスの表面硬度(ヘイズ値)について説明す
る。
【0050】前記例3〜例9に記載の手法を繰り返した
けれども、本例では、比較のため、ヘイズ値測定のため
のサンプルとして、ポリエチレンテレフタレート(PE
T)フィルム(東レ社製、ルミラーT60)(例2
2)、ポリカーボネート(PC)フィルム(バイエル社
製、マクロホール)(例24)及び市販の無機珪素ガラ
ス(例25)を使用した。得られた結果を、前記例3
(比較例)の結果ともども、次の第5表に示す。
【0051】 第 5 表 ヘイズ値(%)(下記重量の石英砂で) フィルム 0 g 100 g 200 g 3(比較例) TBA/PEA フィルム* 0.66 71.13 80.53 22(比較例) PETフィルム 1.66 79.04 79.06 23(比較例) PCフィルム 0.90 69.35 72.59 24(比較例) 無機ガラス 0.24 17.54 26.65 ─────────────────────────────────── TBA/PEAフィルム* … TBA/PEA/D1173をUV硬化したフィルム 上記の結果から、従来のフィルムはいずれも先に例示し
た本発明の硬化フィルムに比較して顕著に劣る表面硬度
(耐スクラッチ性)を有すること、また、本発明のフィ
ルムの表面硬度は無機ガラスのそれにより近いことが判
る。例25〜例30 本例では、二酸化珪素(シリカ)及び五酸化アンチモン
の添加量をいろいろに変更した光学フィルムの製造につ
いて説明する。
【0052】250gの市販のシリカゾル(日産化学工
業社製、固形分20%、粒径10〜15nm)に12.
5gのシランカップリング剤(前記例2に同じ)を添加
し、50℃で30分間撹拌した。得られた混合物に50
gのアクリロイルモルフォリン(興人社製)を添加し、
次いで減圧下に水を蒸発除去した。上記のようにして調
製したサンプルを五酸化アンチモンゾル(前記例2に同
じ)と、SiO2 及びSb2 5 の比が下記の第6表に
記載のようになるように調整して混合した。
【0053】 第 6 表 SiO2 (重量%) Sb2 5 (重量%) 25 5 95 26 10 90 27 25 75 28 50 50 29 70 30 30 90 10 ──────────────────────────── 得られた混合物を前記例2に記載のようにPETフィル
ム間にはさみ、紫外線照射により硬化させたところ、い
ずれの場合にも満足し得る透明な硬化アクリルフィルム
が得られた。なお、ここで、シリカの添加量が増加する
につれて表面硬度(耐スクラッチ性)も向上することが
確認された。例31 本例では、プリズムフィルムの製造について説明する。
【0054】頂角が90°で、ピッチが50μm及び高
さが25μmの連続した微細鋸歯構造を片面に有する金
属板を用意した。この金属板の微細構造保有面に前記例
2で調製した放射線硬化性材料を膜厚30μmで積層
し、スクイズ処理によって余分な材料を取り除き、その
上にさらに厚さ100μmのコロナ放電処理PETフィ
ルムを積層し、前記例2に記載のようにしてPETフィ
ルム側から紫外線を照射した。放射線硬化性材料の硬化
後、金属板の微細構造に対応する鋸歯状断面を有するプ
リズムフィルムを金属板から取り出した。
【0055】得られたプリズムフィルムを、下記のよう
にして表面硬度(耐スクラッチ性)及び輝度上昇(B
E;Brightness Enhancement)
に関して評価した。 表面硬度(耐スクラッチ性)の評価:本例では、前記し
た例のようにヘイズ値(%)によらないで、但し、前記
サンドテストの前後の、透過光量の変化割合から、表面
硬度を評価した。
【0056】 なお、プリズムフィルムは、光を全反射することが企図
されているので、透過光量が少ないものほど良好であ
る。すなわち、図3に示すように、プリズムフィルム1
0に対して入射する光Aがあった場合、それらの入射光
Aは反射光Bとして全反射することが望ましい。しか
し、実際には、入射光Aの一部分が、プリズムフィルム
表面の小さなスクラッチ傷などに原因して透過光Cとし
て透過可能である。また、透過光量に関しては、サンド
テストの前後の変化が少なければ少ないほど、耐スクラ
ッチ性(表面硬度)が良好であることになる。 輝度上昇(BE)の評価:プリズムフィルムの性能を、
プリズムフィルム未使用時の輝度とプリズムフィルム使
用時の輝度の比率BEより評価した。
【0057】 なお、輝度計として、ミノルタ株式会社製のLS−11
0を使用し、また、光源として、以下に説明する図4に
示すバックパネル(2W蛍光灯を2本内蔵)を使用し
た。その際、被測定フィルムは、図4の10の位置に配
置し、輝度計との距離は1mとした。比率BEが大きけ
れば大きいほど、良好なプリズムフィルムであると判断
される。
【0058】得られた評価結果を次の第7表に示す。な
お、参考のため、市販のポリカーボネートフィルム(前
記例23参照)の評価結果を併記する。 第 7 表 フィルム 耐スクラッチ性 BE ポリカーボネートフィルム(従来品) 2.73 1.30 プリズムフィルム(本発明品) 1.50 1.26 ─────────────────────────────────── 上記の結果から、本発明品は、従来品に比較して耐スク
ラッチ性が顕著にすぐれており、BEにおいても孫色の
ないことが判る。例32 本例では、プリズムフィルムを使用した液晶デバイス用
バックライトパネルの製造について説明する。
【0059】前記例31で製造したプリズムフィルムを
使用して、参考のために展開して示す図4のバックライ
トパネルを製造した。図示のパネル16は、両側面に光
源11を有するエッジ式バックライトパネルであり、下
方から順に、白色の紙からなる反射シート12、アクリ
ル樹脂製の導光体13、拡散板14、そしてプリズムフ
ィルム10を有している。光源11のそれぞれには、内
面にアルミニウムを蒸着したリフレクタ15が取り付け
られている。
【0060】このバックライトパネルは、液晶デバイス
において使用したところ、光源として大型のものを使用
しなくても満足すべき明るさが得られ、見やすさの向上
が視認された。また、小さな光源で済むので、消費電力
節約のメリットも得られた。
【0061】
【発明の効果】本発明によると、高い表面硬度(耐スク
ラッチ性)と透明性に優れた放射線硬化性材料を得るこ
とができる。また、この材料は、硬化が迅速で、フィル
ム形成性に優れているため、厚膜化や複雑、精密な形状
の成形物の提供も可能である。
【0062】さらには、高屈折率なため、光学フィルム
を初めとする各種の光学製品に有利に使用することがで
きる。その他、高い耐熱性、難燃性を有する材料として
の、広い応用も可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】シランカップリング剤の量と比表面積の関係を
プロットしたグラフである。
【図2】表面硬度の評価に用いられるサンドテスト装置
の略示図である。
【図3】プリズムフィルムの挙動を示した略示図であ
る。
【図4】プリズムフィルムを使用したバックライトパネ
ルの好ましい一例を示した略示展開図である。
【符号の説明】
1…光学フィルム 10…プリズムフィルム 16…バックライトパネル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G02B 1/00 G02B 1/00

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機珪素化合物、1.6を超える屈折率
    を有する金属酸化物及び放射線硬化可能なモノマーを含
    んでなることを特徴とする放射線硬化性材料。
  2. 【請求項2】 前記金属酸化物が五酸化アンチモンを含
    むことを特徴とする請求項1に記載の放射線硬化性材
    料。
  3. 【請求項3】 前記金属酸化物が前記有機珪素化合物で
    表面処理を施されたものであることを特徴とする請求項
    1又は2に記載の放射線硬化性材料。
  4. 【請求項4】 前記有機珪素化合物が前記金属酸化物1
    00重量部に対して5〜75重量部の範囲で含まれるこ
    とを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の放
    射線硬化性材料。
  5. 【請求項5】 前記金属酸化物が前記放射線硬化可能な
    モノマー100重量部に対して40〜9900重量部の
    範囲で含まれることを特徴とする請求項1〜4のいずれ
    か1項に記載の放射線硬化性材料。
  6. 【請求項6】 前記放射線硬化可能なモノマーが、その
    分子内に少なくとも1個のアクリロイル基又はメタアク
    リロイル基を有するモノマーであることを特徴とする請
    求項1〜5のいずれか1項に記載の放射線硬化性材料。
  7. 【請求項7】 前記放射線硬化可能なモノマーが、その
    分子内に少なくとも1個のエポキシ基又はビニルエーテ
    ル基を有するモノマーであることを特徴とする請求項1
    〜5のいずれか1項に記載の放射線硬化性材料。
  8. 【請求項8】 前記金属酸化物と前記放射線硬化可能な
    モノマーとの屈折率の差が0.15以下であることを特
    徴とする請求項1又は2に記載の放射線硬化性材料。
  9. 【請求項9】 前記放射線硬化性材料が二酸化珪素をさ
    らに含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項
    に記載の放射線硬化性材料。
  10. 【請求項10】 請求項1〜9のいずれか1項に記載の
    放射線硬化性材料から形成されていることを特徴とする
    光学フィルム。
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