JP7244627B2 - フィルム用樹脂組成物、フィルム製造方法及びフィルム - Google Patents

フィルム用樹脂組成物、フィルム製造方法及びフィルム Download PDF

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Description

本発明は、フィルム用樹脂組成物、フィルム製造方法及びフィルムに関する。
ポリアリレート又はポリイミドからなる樹脂は、高分子の主鎖中に芳香族環及び/又はイミド環を有することで、高いガラス転移点による耐熱性又は優れた機械強度を有する。このような特性を生かし、無機ガラスの代替として、モバイルディスプレイ材料のフレキシブル基板、カバーフィルム、又は光学補償フィルム等の用途検討がされている。光学用途では高い透明性及び平滑性が必要であり、樹脂を溶液製膜加工することが望ましい。
これらの樹脂は、ガラス転移点が高くなること、並びに高分子主鎖中の芳香族環及び/又はイミド環の比率が大きくなることによる環構造の相互作用の影響のため、溶解可能な溶剤が、高沸点のDMF(dimethylformamide)、DMAC(Dimethylacetamide)、又は塩素系溶剤等に限定される。このうち、溶液製膜加工をする場合は、溶剤の乾燥及び生産性の観点から、沸点が低いメチレンクロライド等が適する。
溶液製膜加工によりポリアリレートで形成されるフィルム(以下、ポリアリレートフィルムと称する)を製造する方法は、例えば特許文献1に記載されている。特許文献1では、溶に塩化メチレンを使用し、特定の低級脂肪族アルコールを少量含んだポリアリレート系樹脂組成物を用いることにより、流延フィルムの支持基板からの剥離性が良好となることが開示されている。
特開平8-302162号公報
上記従来の技術によるフィルムの製造方法においても、溶液製膜加工の際、溶として沸点が低いメチレンクロライドを利用している。特に、樹脂のメチレンクロライドへの溶解性を高めるために、樹脂に親水性基を付与する等の樹脂設計を行った場合は、溶液製膜装置の流延ダイの樹脂の吐出口である金属リップに樹脂が付着して固まり、取れにくくなる、金属の支持体(ベルト)から製造したフィルムを剥離させる工程にて、必要な荷重が非常に高くなる、又は樹脂とメチレンクロライドとの親和性が高くなり、製膜後のフィルムにおいて乾燥が遅くなる等の問題が発生しやすかった。この問題への対策として、アルコール添加がなされることがあった。しかし、アルコール添加により、さらに溶の乾燥が遅くなる、又はフィルムの貼り付き性が悪化する場合があった。
本発明は、上記実情に鑑み、ヘーズ及び/又は平滑性が良好なフィルムを、乾燥の促進性、支持体の剥離性、及びフィルム同士の貼り付き性を改善し、設備のトラブル発生を抑えて製造できるフィルム用樹脂組成物、フィルム製造方法及びフィルムを提供することを目的とする。
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、フィルム用樹脂組成物であって、主鎖に芳香族環及び/又はイミド環を有する樹脂であり、ガラス転移点が170℃以上であり、かつ、メチレンクロライドに対して質量パーセント濃度で10%以上溶解する樹脂と、カルボキシル残基を有し、かつ、炭素数が3以上5以下の範囲内のアルコール残基を有するクエン酸エステルと、メチレンクロライドと、炭素数が1以上3以下の範囲内の1価アルコールと、を有する。1価アルコールを、メチレンクロライドと1価アルコールとを含む全溶剤に対して、質量割合で、0.5%以上10%以下の範囲内で有し、クエン酸エステルを、樹脂100質量部に対して、0.01質量部以上10質量部以下の範囲内で有する。
樹脂は、ポリアリレート又はポリイミドであることが好ましい。
クエン酸エステルは、カルボキシル残基量が、0.2以上2.9以下の範囲内であることが好ましい。
クエン酸エステルは、クエン酸イソプロピル、クエン酸ブチル、及びクエン酸ペンチルからなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
表面被覆率が0.005以上0.120以下の範囲内で、トリメチルシリル基により修飾されているシリカを含むことが好ましい。
また、本発明は、フィルムの製造方法であって、上記に記載のフィルム用樹脂組成物からなるドープを、金属製の支持体に流延することにより流延膜を形成する流延工程と、流延膜を支持体から剥がすことによりフィルムを形成する剥離工程と、フィルムを乾燥する乾燥工程と、を有する。
流延工程は、走行する支持体にドープを連続的に流延し、剥離工程は、流延膜を支持体から連続的に剥がすことが好ましい。
メチレンクロライドに1価アルコールを添加する溶剤調製工程を有することが好ましい。
流延工程は、樹脂及びクエン酸エステルを含有する第1液と樹脂及びシリカを含有する第2液とをドープとして用い、支持体に接する状態に第1液で形成された第1層と、第1層に重なる状態に第2液で形成された第2層とを備える流延膜を形成することが好ましい。
シリカは、表面被覆率が0.005以上0.120以下の範囲内であり、かつ、トリメチルシリル基により修飾されていることが好ましい。
また、本発明は、フィルムであって、主鎖に芳香族環及び/又はイミド環を有する樹脂であり、ガラス転移点が170℃以上であり、メチレンクロライドに対して質量パーセント濃度で10%以上溶解する樹脂と、カルボキシル残基を有し、かつ、炭素数が3以上5以下の範囲内のアルコール残基を有するクエン酸エステルと、炭素数が1以上3以下の範囲内の1価アルコールと、を有する。
フィルムの少なくとも片面において、表面から0.2μm以上20μm以下の範囲内に、表面被覆率が0.005以上0.120以下の範囲内で、トリメチルシリル基により修飾されているシリカを有することが好ましい。
乾燥後の厚みが、10μm以上60μm以下の範囲内であることが好ましい。
本発明によれば、ヘーズ及び/又は平滑性が良好なフィルムを、乾燥の促進性、支持体の剥離性、及びフィルム同士の貼り付き性を改善し、設備へのトラブルの発生を抑えて製造できるフィルム用樹脂組成物、フィルム製造方法及びフィルムを提供することができる。
フィルム製造設備の一例の概略図である。 フィルムの断面概略図である。 フィルム製造設備の別の例の概略図である。 流延工程の説明図である。
本発明のフィルム用樹脂組成物(以下、樹脂組成物と称する)は、主鎖に芳香族環及び/又はイミド環を有する樹脂と、クエン酸エステルと、メチレンクロライドと、炭素数が1以上3以下の範囲内の1価アルコールとを有する。クエン酸エステルは、添加物であり、メチレンクロライド及び1価アルコールは、溶である。
主鎖に芳香族環及び/又はイミド環を有する樹脂(以下、樹脂と称する)は、主鎖にこれらの環を有し、機械強度又は耐熱性等が優れる、いわゆるエンジニアリングプラスチックであることが好ましい。具体的には、例えば、ポリフェニレンエーテル(PPE、Polyphenylene ether)、ポリアリレート(PAR、Polyarylate)、ポリサルフォン(PSF、Polysulfone)、ポリエーテルサルフォン(PES、Polyether sulfone)、ポリフェニレンサルファイド(PPS、Polyphenylene sulfide)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK、Polyether ether ketone)、ポリイミド(PI、Polyimide)、又はポリエーテルイミド(PEI、Polyetherimide)等が挙げられる。中でも、光学用途に用いる場合は、透明性に優れるため、ポリアリレート又はポリイミドが好ましい。
本発明において用いられるポリアリレート及びポリイミドについて説明する。ポリアリレートは、非晶ポリアリレートであり、具体的には、芳香族に直接結合したヒドロキシル基を有するジヒドロキシル化合物と、芳香族に直接結合したカルボン酸基を有するジカルボン酸化合物との重縮合物から主としてなるポリマーである。このようなジヒドロキシル化合物、又はジカルボン酸化合物は、メチレンクロライド溶解性若しくは樹脂のガラス転移点、又はフィルムとした際の物性若しくは透明性の観点から選択することができる。
このようなポリアリレートであればいずれも用いることができるが、広く使用されているビスフェノール残基及び芳香族ジカルボン酸残基を含むポリアリレートを好ましく用いることができる。より好ましくは、ビスフェノールA(2,2-ビス(4-ヒドロキシルフェニル)プロパン)とテレフタル酸及び/又はイソフタル酸を含むポリアリレートである。本発明のポリアリレートにおいては、ジヒドロキシ化合物成分及び/又はジカルボン酸化合物成分を2種類以上含む共重合体であることが、メチレンクロライド溶解性の点からより好ましい。ジヒドロキシ化合物成分及び/又はジカルボン酸成分の芳香族部分に、炭化水素基、極性基、又はハロゲン基等の置換基を有することも好ましい。
本発明に用いられるポリアリレートの分子量は、重量平均分子量で10000以上700000以下の範囲内が好ましく、15000以上500000以下の範囲内がより好ましい。分子量が10000以下であると、フィルムの強度を得られないおそれがあり、また、ポリアリレートにおいて親水性となりやすい分子末端の比率が高くなるため、樹脂の金属付着性が高まるおそれがある。一方、分子量が700000以上であると、メチレンクロライドへの溶解が困難となるおそれがある。なお、本明細書において、重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC、Gel Permeation Chromatography)分析により測定した値である。
以上のようなポリアリレートとして、具体的には、フィルムとした際の物性の点等により、ユニチカ(株)製のUポリマー(登録商標)U-100又はユニファイナ―(登録商標)M-2000H若しくはM-2040等を好ましく用いることができる。なお、ポリアリレートは、2種以上の混合物を用いても良い。
ポリイミドは、イミド結合を持つポリマーであり、特に、ポリマーの主鎖の繰返し単位中にイミド結合を有するイミド環を含むポリマーである。ポリイミドは、ジアミン化合物と酸無水物化合物とから形成されることが好ましい。ポリイミドとしては、芳香族ポリイミド、又は脂環族ポリイミド等を用いることができ、これらは酸無水物化合物とジアミン化合物とが連結された部分の化学構造が、芳香族又は脂環族である化合物を用いることにより適宜選択できる。芳香族、脂環族、又はそれらの結合部等を、フッ素、炭化水素、ハロゲン、又は親水性基等で置換することもできる。酸無水物化合物及びジアミン化合物は、メチレンクロライド溶解性若しくは樹脂のガラス転移点、又はフィルムとした際の物性若しくは透明性の観点から選択することができる。これらのうち脂環族ポリイミド又はフッ素置換ポリイミドは、メチレンクロライド溶解性又はフィルム透明性等の点から好ましい。
本発明に用いられるポリイミドは、樹脂の状態でイミド化されている樹脂であることが好ましい。ポリイミドのフィルム形成方法としては、酸無水化合物とジアミン化合物とが反応したポリアミック酸をフィルム化して熱によりイミド化する方法があるが、この方法では高熱処理が必要で生産工程負荷が大きい、ポリアミック酸の親水性成分多く樹脂の金属付着性が高い、又は熱処理後に不溶化や着色が起きやすく光学用途のフィルム加工が困難である等のおそれがある。樹脂の状態でイミド化され、メチレンクロライドへの溶解性を有するポリイミド樹脂を用いることにより、溶液流延可能で透明で平滑なフィルムを得ることができるため好ましい。
本発明に用いられるポリイミド樹脂の分子量は、重量平均分子量で10000以上700000以下の範囲内が好ましく、50000以上500000以下の範囲内がより好ましい。分子量が10000以下であると、フィルムの強度が得られないおそれがあり、またポリイミド樹脂において親水性となりやすい分子末端の比率が高くなるため、樹脂の金属付着性が高まるおそれがある。分子量が700000以上であると、メチレンクロライドへの溶解が困難となるおそれがある。
本発明においてこのようなポリイミドであればいずれも用いることができるが、例えば、無水ピロメリット酸(PMDA、Pyromellitic Dianhydride)と4,4′-ジアミノジフェニルエーテル(ODA、4,4′-Oxydianiline)とから合成されるポリイミド、又は4,4′-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物(6FDA、4,4′-(Hexafluoroisopropylidene)diphthalic Anhydride)と2,2′-ビス(トリフルオロメチル)-4,4′-ジアミノ-ジフェニル(TFMB又はTFDB、2,2′-bis(trifluoromethyl)-[1,1′-biphenyl]-4,4′-diamine)とから合成されるポリイミド等が挙げられる。より具体的には、フィルムの物性の点等により、上記の6FDA/TFMBからなるポリイミドを好ましく用いることができる。また、市販品としては、三菱瓦斯化学(株)製ネオプリム(登録商標)又は河村産業(株)製KPI-MX300F等が好ましくあげられる。なお、ポリイミドは、2種以上の混合物を用いても良い。
樹脂のガラス転移点は、170℃以上である。好ましくは、190℃以上であり、より好ましくは200℃以上である。170℃以上であると、フィルムとしての耐熱性が高く線熱膨張係数が低いため、無機ガラスの代替としてのフレキシブル基板又はカバーフィルム用途で有用である。溶液製膜において樹脂の溶液を後述する支持体上に流延した際、その樹脂溶液は乾燥過程で樹脂濃度が上がり、樹脂のガラス転移点が高いことで樹脂溶液の濃度がわずかに上昇したところで樹脂の分子運動性が低下し、その後の樹脂溶液からの溶剤の拡散性が低下しやすくなるが、本発明の樹脂組成物により樹脂溶液の乾燥過程において溶剤の拡散性を高め乾燥促進でき、又乾燥の遅れでフィルム表面の微細凹凸が低下することを抑えフィルム同士の貼り付き防止効果が大きいからである。このような乾燥促進効果は特に流延した樹脂溶液の空気側表面で大きく、またフィルム同士の貼り付き防止効果として後述のマット剤が含まれる場合に特に大きい。なお、本明細書において、ガラス転移点(Tg)は、日本工業規格JIS K 7121:2012に準拠して、(株)日立ハイテクサイエンス製 TMA7100を用いて、熱機械分析(TMA、Thermo mechanical analysis)により求めた値である。
メチレンクロライドに対して質量パーセント濃度で10%以上溶解する樹脂が好ましく用いられる。15%以上溶解する樹脂がより好ましく用いられ、20%以上溶解する樹脂がさらに好ましく用いられる。少なくとも樹脂を10%溶解すると、溶液製膜において平滑なフィルムを得ることができるからである。
樹脂は、1種を用いてもよいし、2種以上を使用しても良い。2種以上を使用する場合は、例えば、分子量の異なる同種の樹脂、又は共重合組成の異なる同種の樹脂を、溶液の溶解性若しくは乾燥性、又はフィルムの物理特性若しくは透明性の観点から適宜選択して使用することができる。
樹脂組成物は、後述するドープとなるが、ドープ全体における樹脂の質量割合は、樹脂の濃度が15%以上30%以下の範囲内であることが好ましく、本例では20%にしている。また、樹脂組成物における樹脂の質量割合は、樹脂組成物100質量部に対して、8質量部以上50質量部以下の範囲内で有することが好ましい。より好ましくは、10質量部以上30質量部以下、さらに好ましくは、15質量部以上25質量部以下の範囲内である。8質量部以上であると、本発明の溶液流延において溶剤の乾燥をしやすく、50質量部以下であると、溶液流延したフィルムの平滑性が良好である。
メチレンクロライドは、溶剤として用いる。溶剤としては、樹脂を溶解するものであれば特に限定されないが、塩素を分子内に含む溶剤(以下、塩素系溶剤と称する)が好ましい。使用できる塩素系溶剤としては、例えば、メチレンクロライド、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、又は1,1,2,2-テトラクロロエタンが挙げられ、本例ではメチレンクロライドを用いている。塩素系溶剤の場合、中でもメチレンクロライドの場合には、他の溶剤成分を併用することなく、単独で溶剤として使用することができ、本例でもメチレンクロライドのみを溶剤として用いている。溶剤に塩素系溶剤であるメチレンクロライドを用いているから、樹脂は、室温下であっても、ドープとするのに十分な質量割合で溶剤に溶解する。樹脂の溶解性がよいから、透明性に優れたフィルムが得られる。
メチレンクロライドに、炭素数が1以上3以下の範囲内の1価アルコールを添加する。このような1価アルコールとしては、メタノール、エタノール、又は1-プロパノール等を用いることができる。好ましくは、メタノールを用いる。1価アルコールを添加することにより、特に、溶液製膜法によりフィルムを作成する場合において、樹脂組成物からなるドープが流延ダイの金属リップに付着し固まった場合に、極端に取れにくく、フィルムにおいてスジが発生する等の面状故障の原因になるとの固着の問題、又はドープを流延する金属の支持体(ベルト)から、フィルムを剥離させる工程にて必要な荷重が非常に高くなるとの剥取りの問題が改善される。
メチレンクロライドへの1価アルコールの混合割合は、メチレンクロライドと1価アルコールとを含む全溶剤に対して、質量割合で、0.5%以上10%以下の範囲内であることが好ましい。より好ましくは、1%以上5%以下、さらに好ましくは、1%以上3%以下である。この範囲内であることにより、溶液流延したフィルムの透明性が良好である。本発明において、溶剤として添加した1価アルコールは、フィルム中の残留溶剤量として測定することができる。
次に、クエン酸エステルについて説明する。本発明で用いるクエン酸エステルは、以下の一般式(1)で示される。式(1)において、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素(H)又は炭素数が3以上5以下の範囲内の炭化水素基であり、Rは、水素(H)、カルボニル基、又はアセチル基である。本発明のクエン酸エステルは、Rが水素(H)である成分を少なくとも含む。
Figure 0007244627000001
このようなクエン酸エステルは、例えば、クエン酸の部分エステル化反応、又はクエン酸の3置換エステルの部分加水分解反応により得られる。R及びRは、クエン酸の部分エステル化反応、又はクエン酸の3置換エステルの部分加水分解反応において用いられた化合物の残基である。したがって、R及びRは、アルコール残基を少なくとも含む。したがって、本発明のクエン酸エステルは、カルボキシル残基及びアルコール残基を含む。
これらのクエン酸エステルの反応において、カルボキシル残基の数は必ずしも1個、2個、又は3個でなくてもよく、上記の部分エステル化又は部分加水分解により、クエン酸のカルボキシル残基を備えていればよい。カルボキシル残基の数は、用いる添加物の全体の平均値として、0.2以上2.9以下の範囲内が好ましく、より好ましくは0.3以上2.0以下の範囲内、特に好ましくは0.5以上1.5以下の範囲内である。クエン酸エステルのカルボキシル残基の数(量)は、例えば、日本工業規格JIS K0070‐1992による化学製品の酸価測定法により酸価を求め、その酸価の測定値mg(KOH)/g(化学製品)より、添加物のカルボキシル残基量に換算する、といった方法等により求めることができる。
以上のように、クエン酸エステルは、詳細には、種々の化合物の混合物となる。主な化合物としては、以下のようなものが挙げられる。例えば、R、R、及びRは、少なくとも1つがカルボン酸基を形成し、かつ、R、R、及びRは、少なくとも1つは炭素数が3以上5以下の範囲内の炭化水素基である。
より具体的には、式(1)において、R、R、及びRは、それぞれ独立して、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、n-ペンチル基、sec-ペンチル基、又はイソペンチル基であり、イソプロピル基、sec-ペンチル基、又はn-ブチル基が更に好ましく、イソプロピル基が特に好ましい。なお、本明細書において、化合物については慣用名も使用し、n-はnormally、及びsec-はsecondaryを表す。
クエン酸エステルの例としては、式(1)において、R及びRが水素(H)、R及びRがイソプロピル基である、クエン酸イソプロピル、R及びRが水素(H)、R及びRがn-ブチル基である、クエン酸ブチル、R及びRが水素(H)、R及びRがsec-ペンチル基である、クエン酸sec-ペンチル等が挙げられる。これらのなかでも、以下の式(2)に示すクエン酸イソプロピルが好ましい。
Figure 0007244627000002
クエン酸エステルが有するカルボキシル残基の数は、少なくとも1つであり、少なくとも1つであることにより、製造されたフィルムが、支持体からの剥離性および金属リップへの付着性が良好である。これは、クエン酸エステルのカルボキシル残基が、例えば後述のようにSUS(Steel Use Stainless、ステンレス鋼)製の支持体を使用してフィルムを製造する場合において、支持体の表面の酸化皮膜に存在するヒドロキシル基と樹脂との相互作用を断つ又は弱める作用をもっているからと推定される。
クエン酸エステルが有する炭素数3から5のアルコール残基は少なくとも1つであり、少なくとも1つであることにより、乾燥が促進され平滑なフィルムが得られる。炭素数3から5のアルコール残基により流延膜及びフィルムの乾燥をよりはやめるため、例えば周囲の気流、又は風の影響で膜面及びフィルム面に発生する凹凸がより抑制される。
クエン酸エステルは、1種を用いてもよいし、2種以上を混合して用いても良い。2種以上を混合する場合は、クエン酸エステルの加水分解により混合物とされたクエン酸エステルを用いることが、混合した際のフィルムの透明性を保ちつつ支持体からの剥離性及び乾燥の促進性が付与できるため好ましい。また、クエン酸エステルは、市販されているものを使用してもよい。市販されているものとしては、東京化成(株)社製の、くえん酸イソプロピル(混合物)(Isopropyl Citrate(mixture))等を使用することができる。
クエン酸エステルの質量割合は、樹脂100質量部に対して、0.01質量部以上10質量部以下の範囲内であることが好ましく、本例でもこの範囲内にしている。クエン酸エステルの質量割合が0.01質量部以上であることにより、0.01質量部未満である場合に比べて、支持体からの剥離性が良好でより平滑なフィルム面のフィルムとなる。クエン酸エステルの質量割合が10質量部以下であることにより、10質量部を超える場合に比べて、白濁がより抑えられ、ヘーズ(曇り度)が良好で透明なフィルムとなる。クエン酸エステルの質量割合は、0.05質量部以上5質量部以下の範囲内であることがより好ましい。フィルムにおけるクエン酸エステルの質量割合は、フィルム用樹脂組成物(後述のドープ21(図1参照))におけるクエン酸エステルの質量割合と概ね同じになる。
上記のように、添加剤としてクエン酸エステルを使用することにより、添加剤によるヘーズの低下を抑えながら、アルコールを添加した場合であっても、乾燥が促進され、フィルム同士の貼り付き性が改善される。
樹脂組成物には、メチレンクロライドと1価アルコールとからなる溶剤に、樹脂とクエン酸エステルとを添加する他に、可塑剤、紫外線吸収剤、微粒子、又は劣化防止剤等の各種添加剤が含まれていてもよい。また、剥離性を向上する公知の剥離促進剤(剥離低減剤等とも呼ばれる)を添加剤として含んでいてもよい。
添加剤としては、微粒子であるマット剤を添加することが好ましい。マット剤は、フィルムの表面の滑り性を向上させるための添加剤である。マット剤として機能する一例はシリカ(SiO2)の微粒子である。なお、マット剤は、後述の支持体からの剥離性の向上にも寄与する。
シリカの微粒子は、TMS(trimethylsilyl)基により表面改質(修飾)された微粒子が好ましい。表面改質は、疎水化処理であり、通常行われているように、シリカ微粒子をHMDS(hexamethyldisilazane、ヘキサメチルジシラザン)、又はTMCS(Trimethylsilyl chlorid、トリメチルクロロシラン)等により処理する。これにより、シリカの表面のシラノール基がトリメチルシリル化され、疎水基が導入されるため疎水化処理となる。シリカにおけるトリメチルシリル基の表面被覆率は、0.005以上0.120以下の範囲内であることが好ましい。より好ましくは、0.008以上0.050以下の範囲内であり、さらに好ましくは、0.012以上0.030以下の範囲内である。表面被覆率が0.005以上0.120以下の範囲内であることにより、表面の散乱が抑制され透明性を確保でき、かつ、フィルム同士が接着することが抑制できるため好ましい。
なお、表面被覆率は、微粒子中の炭素含有率を比表面積で除して求める。すなわち、表面被覆率は、微粒子の炭素含有率をRC、比表面積をSとするときに、RC/Sで求める。炭素含有率RCは、燃焼法による元素分析(例えば、(株)パーキンエルマージャパン製等の全自動元素分析装置)で求められる。比表面積Sは、BET法(Brunauer、Emmett、及びTellerによる吸着理論方法)に従い測定する。シリカの微粒子は、比表面積として20m2/g以上400m2/g以下の範囲内であることが好ましく、50m2/g以上300m2/g以下の範囲内がより好ましく、70m2/g以上150m2/g以下の範囲内であることが特に好ましい。この範囲であることにより、シリカ微粒子の粒子径として透明性を確保でき、フィルム同士の接着を抑制できるため好ましい。
次にフィルムの製造方法について説明する。フィルムの製造方法は、流延工程と、剥離工程と、乾燥工程とを有する。流延工程では、フィルム用樹脂組成物からなるドープを、金属製の支持体に流延することにより流延膜を形成する。剥離工程では、流延膜を支持体から剥がすことによりフィルムを形成する。乾燥工程では、フィルムを乾燥する。
図1に示すフィルム製造設備20は、フィルム10を製造する設備の一例であり、この例を用いてフィルムの製造方法について説明する。フィルム製造設備20は、ドープ調製装置22と、フィルム製造装置23とを備える。ドープ調製装置22は、フィルム用樹脂組成物であるドープ21を調製するためのものである。ドープ調製装置22は、ミキシングタンク26と、ポンプ27と、フィルタ28と、貯留タンク31と、ポンプ32とを備え、これらが上流側からこの順に配管33によって接続している。
ミキシングタンク26は、ドープ21の原材料である樹脂11とクエン酸エステル12と溶剤15とを混合することにより、溶剤15に樹脂11及びクエン酸エステル12を溶解するためのものである。まず、ミキシングタンク26内で、メチレンクロライドと1価アルコールであるメタノールとを混合することにより溶剤15を調製する(溶剤調製工程)。溶剤15が入っているミキシングタンク26に、樹脂11及びクエン酸エステル12を添加する。
ミキシングタンク26に供給する樹脂11は、本例では粉体であるが、樹脂11の態様は粉体に限定されず、例えば、フレーク状、又はペレット状等でもよい。ミキシングタンク26には、案内されてきた樹脂11とクエン酸エステル12と溶剤15との混合物を攪拌する攪拌機構(図示無し)を備えており、これにより溶解を促進している。本例の攪拌機構は、ミキシングタンク内に収容された攪拌羽と、攪拌羽を回転駆動する駆動部とである。ただし攪拌機構は、樹脂11とクエン酸エステル12と溶剤15との混合物を攪拌する機構であれば、特に限定されない。樹脂11とクエン酸エステル12とは、ミキシングタンク26において溶剤15と混合されることにより溶剤15に溶解し、ドープ21がつくられる。クエン酸エステル12は、溶剤15に対する溶解性に優れ、また、樹脂11が溶剤15に溶解した溶液との相溶性も優れるから、透明性に優れたフィルム10が得られる。
本発明のミキシングタンクに供給する樹脂11は、供給する前に加熱乾燥し樹脂の含水率を低減することも好ましい。本発明の樹脂は吸湿する場合があり、ポリアリレートでは、樹脂の含水率が樹脂全体に対して1%以上2%以下の範囲内、ポリイミドでは、含水率が2%以上4%以下の範囲内程度となる場合がある。樹脂11の含水率が高いまま溶液とすると、溶液が白濁する、又はフィルムの透明性が悪化する場合があり、また、樹脂の含水率の変動により、樹脂濃度の変動、流延時の乾燥、又は剥ぎ取り性が変動する場合がある。本発明の樹脂11の加熱乾燥は、加熱温度として100℃以上180℃以下の範囲内が好ましく、120℃以上160℃以下の範囲内がより好ましい。加熱時間としては、5分以上240分以下の範囲内が好ましく、20分以上180分以下の範囲内がより好ましい。加熱乾燥後の樹脂の含水率は1%以下とすることが好ましく、0.7%以下とすることがより好ましい。
ミキシングタンク26は、内部の温度を調節する温調機構(図示無し)を備えていてもよい。本例のミキシングタンク26も温調機構を備えており、室温(概ね25℃以上30以下の範囲内)に上記混合物の温度を保持している。用いる樹脂11とクエン酸エステル12と溶剤15との種類によっては、温調機構により上記混合物の温度が調節されるから、溶解が促進し、変質及び/又は発泡が抑えられる。例えば、溶剤15としてメチレンクロライドを用いる場合には、常圧下においては39℃以下にすることが好ましく、これにより発泡が抑えられる。溶剤15としてメチレンクロライドを用いる場合において、ミキシングタンク26での温度は、15℃以上39℃以下の範囲内がより好ましく、15℃以上37℃以下の範囲内がさらに好ましく、25℃以上35℃以下の範囲内が特に好ましい。ただし、用いる樹脂11とクエン酸エステル12と溶剤15との種類によっては、温度調節しなくても溶解する場合もあり、その場合には温調機構を設けなくてもよい。
前述の各種添加剤をフィルム10に含有させる場合には、ミキシングタンク26にこれらの添加剤を案内してもよい。このように、ミキシングタンク26が混合するドープ21の原材料は、樹脂11とクエン酸エステル12と溶剤15とに限定されない。
原材料によっては不純物が混入している場合もあるし、又はミキシングタンク26の攪拌で溶解せずに不溶解物として残っている場合もある。そこで、本例では、ドープ21をポンプ27によりミキシングタンク26からフィルタ28に送り、このフィルタ28によってこれらの異物を除去している。フィルタ28としては、孔径が20μmのろ紙(東洋濾紙(株)製63LS)を用いているが、孔径と材質とはこの例に限定されず、フィルム10の用途、又は樹脂11とクエン酸エステル12と溶剤15との種類等に応じて決定すればよい。フィルタ28として用いるろ紙の孔径は、5μm以上100μm以下の範囲内が好ましく、10μm以上50μm以下の範囲内がより好ましく、10μm以上25μm以下の範囲内がさらに好ましい。
他のフィルタとしては、金属フィルタが挙げられ、金属フィルタの孔径は3μm以上15μm以下の範囲内が好ましく、3μm以上10μm以下の範囲内がより好ましく、3μm以上5μm以下の範囲内がさらに好ましい。このような孔径をもつ金属フィルタを使用する場合には、フィルタ28の下流に金属フィルタを配し、2段階でろ過してもよい。このような段階的ろ過は、光学フィルムを製造する場合に特に有効である。
ポンプ27とフィルタ28との間に、加熱器(図示無し)を設け、この加熱器により、ミキシングタンク26で溶解しなかった未溶解分の溶解を促進してもよい。また、用いる樹脂11の種類によっては、溶剤15に溶解しにくい場合があるから、このような場合にも加熱器を用いてよい。例えば、溶剤15としてメチレンクロライドを用いる場合において、加熱器でのドープ21の温度は、40℃以上120℃以下の範囲内がより好ましく、45℃以上90℃以下の範囲内がさらに好ましく、60℃以上90℃以下の範囲内が特に好ましい。
フィルタ28でのろ過を経たドープ21は貯留タンク31へ案内され、流延に供されるまでの間、この貯留タンク31に貯留される。貯留タンク31は攪拌機構(図示無し)を備えることが好ましく、本例でも、ミキシングタンク26の攪拌機構と同様の構成の攪拌機構を備える。この攪拌機構により、ドープ21の均一性が、流延に供されるまでの間、より確実に保持される。この例では、貯留タンク31の個数を1つとしているが、複数にしてもよい。複数にする場合には、複数の貯留タンク31を直列接続にしてもよいし、並列接続にしてもよい。
ミキシングタンク26と、フィルタ28と、貯留タンク31とは、それぞれ、内部を遮光する遮光部材が設けられていることが好ましく、本例でも設けている。例えば、ミキシングタンク26には、上記混合物を収容するタンク本体部が遮光機能をもつ素材から形成され、かつ、タンク本体部の上部には、同様に遮光機能をもつ遮光部材としての蓋が設けられている。このような遮光部材により、樹脂11としてポリアリレートを使用する場合には、ポリアリレートのフリース転移が抑えられる。ポリアリレートのフリース転移をより抑制するために、フィルム製造設備20を構成するすべての装置及び部材に、遮光機構をもたせることが好ましい。また、原材料であるポリアリレートをミキシングタンク26に供するまでの保存の間も、フリース転移を抑制するために、遮光袋又は遮光缶等、遮光機能をもつ容器に入れることが好ましい。前述の紫外線吸収剤は、フリース転移を抑制する機能をもつから、添加剤として使用することが好ましい。
配管33の下流端は、フィルム製造装置23の流延ダイ36に接続しており、貯留タンク31のドープ21は、ポンプ32により流延ダイ36へ送られる。単層構造のフィルム10を製造する場合において、流延に供するドープ21は、質量パーセント濃度で、樹脂11の濃度が15%以上30%以下の範囲内であることが好ましく、本例では20%にしている。15%以上とすることにより、15%未満の場合に比べて、流延ダイ36から出るドープの粘度(圧損(圧力損失)に対応する)が確保されやすい。また、30%以下とすることにより、30%よりも大きい場合に比べて、溶剤15がメチレンクロライドである場合には、樹脂11が溶剤15に、より確実に溶解し、ドープ21の白濁がより確実に防がれる。
フィルム10を製造する場合には、樹脂11がポリアリレートの場合は、ポリアリレートの濃度は、質量パーセント濃度で、15%以上25%以下の範囲内であることがより好ましく、15%以上23%以下の範囲内であることがさらに好ましい。なお、ドープ21は、ポリアリレートの濃度が8%以上15%未満の範囲内であっても、例えばギーサ(好ましくはG型ギーサ)を用いることにより流延することができる。樹脂11がポリイミドの場合は、ポリイミドの濃度は、質量パーセント濃度で、20%以上30%以下の範囲内であることがより好ましい。
樹脂11の濃度は、ミキシングタンク26に供給する溶剤15と樹脂11との各供給量を調整することにより、調整することができる。なお、ドープ21の樹脂11の濃度は、質量パーセント濃度であり、樹脂11と溶剤15との質量和に対する樹脂11の質量割合である。すなわち、溶剤15の質量をM15とし、樹脂の質量をM11とするときに、{M11/(M15+M11)}×100で算出している。
ドープ21に対するクエン酸エステル12の質量パーセント濃度は、0.1%以上10%以下の範囲内であることが好ましく、本例でもこの範囲内にしている。ドープ21におけるクエン酸エステル12の質量パーセント濃度は、0.5%以上5.0%以下の範囲内であることがより好ましい。
フィルム製造装置23は、ドープ21からフィルム10を製造する。流延ユニット37と、テンタ38と、ローラ乾燥機41と、スリッタ42と、巻取機43とを、上流側から順に備える。流延ユニット37は、環状に形成された支持体としてのベルト46と、ベルト46を支持した状態で長手方向へ走行させる1対のローラ47と、流延ダイ36と、剥取ローラ48とを備える。1対のローラ47の少なくとも一方は駆動機構(図示無し)により周方向に回転し、この回転により、1対のローラ47に巻き掛けられたベルト46は長手方向へ循環走行する。流延ダイ36は、この例では1対のローラ47の一方の上方に配しているが、1対のローラ47の一方と他方との間のベルト46の上方に配してもよい。
流延ダイ36は、供給されてきたドープ21を、ベルト46に対向する吐出口36aから連続的に吐出する吐出部である。走行中のベルト46にドープ21を連続的に吐出することにより、ドープ21はベルト46上で流延され、ベルト46上に流延膜51が連続的に形成される(流延工程)。図1においては、ドープ21がベルト46に接触することにより流延膜51が形成され始める位置(以下、流延位置と称する)に、符号PCを付す。ベルト46の素材は特に限定されないが、金属が好ましく、本例では前述したSUSとしている。
1対のローラ47は、周面温度を調節する温度コントローラ(図示せず)を備える。周面温度を調節したローラ47により、ベルト46を介して流延膜51は温度を調整される。流延膜51を加熱することにより乾燥を促進し、この乾燥により固める(ゲル化する)いわゆる乾燥ゲル化方式の場合には、ローラ47の周面温度は、例えば10℃以上30℃以下の範囲内にする。また、流延膜51を冷却することにより固めるいわゆる冷却ゲル化方式の場合には、ローラ47の周面温度を-15℃以上5℃以下の範囲内にする。こうしたゲル化により流延膜51は搬送可能な程度に固まる。
なお、支持体として、ベルト46の代わりに、ドラム(図示せず)を用いてもよい。この場合には、ドラムに駆動機構を設け、ドラムを周方向に回転させることにより、周面上に流延膜51を形成する。この場合には、ドラムの周面が、走行する支持体の表面として機能する。ドラムの素材は特に限定されないが、金属が好ましく、金属としてはSUS、特にハードクロムめっきされたSUSが好ましい。ドラムを支持体として用いる場合には、ドラムは、周面温度を調節する温度コントローラ(図示せず)を備えるものとし、ドラムの周面温度を調節することにより、流延膜51の温度を調整するとよい。乾燥ゲル化方式の場合には、支持体としてベルト46を用いることが好ましく、冷却ゲル化方式の場合には、支持体としてドラムを用いることが好ましい。
流延ダイ36からベルト46に至るドープ21、いわゆるビードに関して、ベルト46の走行方向における上流には、減圧チャンバ(図示無し)が設けられてもよく、本例でも設けてある。この減圧チャンバは、吐出したドープ21の上流側エリアの雰囲気を吸引し、この吸引によりこのエリアを減圧する。また、ベルト46に対向する位置に、流延膜51の乾燥を促進するための送風機(図示無し)を設けてもよい。
流延膜51を、テンタ38への搬送が可能な程度にまでベルト46上で固くした後に、溶剤を含む状態でベルト46から連続的に剥がす。これによりフィルム10が形成される(剥離工程)。剥取ローラ48は、流延膜51をベルト46から連続的に剥ぎ取るためのものである。剥取ローラ48は、ベルト46から剥がすことにより形成されたフィルム10を例えば下方から支持し、流延膜51がベルト46から剥がれる剥取位置PPを一定に保持する。剥ぎ取る手法は、フィルム10を下流側へ引っ張る手法、あるいは、剥取ローラ48を周方向に回転させる手法等のいずれでもよい。
ドープ21には1価アルコールとクエン酸エステル12を含有させているから、ベルト46に形成された流延膜51にもクエン酸エステル12が含まれている。そして、クエン酸エステル12はカルボキシル残基を有している。そのため、ベルト46の表面のヒドロキシル基と樹脂11との相互作用に対する前述の推定作用から、流延膜51はベルト46からの剥離荷重が小さく抑えられ、その結果、流延膜51はなめらか(スムーズ)にベルト46から連続的に剥がれる。そのため、フィルム面の平滑性に優れたフィルム10が得られる。フィルム面が平滑であるから、光学特性に厳しい要請がある光学フィルムにも用いることができるフィルム10が得られる。また、本例のクエン酸エステル12がもつカルボキシル残基の数が2つである場合、1つの場合に比べて剥離荷重がより小さく抑えられる。
クエン酸エステル12の質量割合は、ドープ21と流延膜51とにおいてほぼ等しい。したがって、流延膜51においても、クエン酸エステル12の質量割合が、樹脂11を100重量部とした場合に0.01質量部以上10質量部以下の範囲内となっている。0.01質量部以上になっていることにより、0.01質量部未満である場合に比べて、より確実に、ベルト46からの剥離荷重が小さく抑えられる。また、10質量部以下であることにより、10質量部を超えた場合に比べて、白濁がより抑えられた透明なフィルム10となる。
ベルト46からの剥ぎ取りは、乾燥ゲル化方式の場合には、例えば、流延膜51の溶剤含有率が10質量%以上100質量%以下の範囲にある間に行われる。なお、本明細書においては、溶剤含有率(単位;%)は乾量基準の値であり、具体的には、溶剤15の質量をM15、フィルム10の質量をM10とするときに、{M15/(M10-M15)}×100で求める百分率である。冷却ゲル化方式の場合の剥ぎ取りは、例えば、流延膜51の溶剤含有率が100質量%以上300質量%以下の範囲にある間に行われる。
流延膜51は1価アルコールとクエン酸エステル12を含有しており、クエン酸エステル12はカルボン酸基と炭化水素基とを備えるから、乾燥がはやめられ、剥ぎ取りまでに要する時間が短くなる。この乾燥促進作用は、流延膜51の厚み方向においてベルト46に近いほど顕著な作用として現れる。そのため、この乾燥促進作用と、ベルト46の表面のヒドロキシル基と樹脂11との相互作用に対する前述の推定作用とが相まって、ベルト46からの流延膜51の剥離荷重がより小さく抑えられる。また、乾燥促進作用により、ベルト46の走行速度をより大きくすることができるから、フィルム10の製造効率も向上する。さらにまた、乾燥促進作用により、ベルト46をより短くすることができるから、流延ユニット37の小型化も図れる。
以上のように流延ユニット37は、ドープ21からフィルム10を形成する。ベルト46は流延位置PCと剥取位置PPとを循環して走行することで、ドープ21の流延と流延膜51の剥ぎ取りとが繰り返し行われる。
流延ユニット37とテンタ38との間の搬送路には、フィルム10の乾燥をすすめるための送風機(図示無し)を配してもよい。剥ぎ取られて形成されたフィルム10は、テンタ38に案内される。テンタ38は、長尺のフィルム10の側部を把持するクリップ52と、1対のレール(図示無し)及びチェーン(図示無し)とを備える。クリップ52の代わりに、複数のピン(図示無し)が台の上面に起立した姿勢で配され、フィルム10の側部に個々のピンを突き刺すことによりフィルム10を保持するピンプレート(図示無し)を用いてもよい。
レールはフィルム10の搬送路の側部に設置され、1対のレールは離間して配される。チェーンは、原動スプロケット及び従動スプロケット(図示無し)に掛け渡され、レールに沿って移動自在に取り付けられている。クリップ52は、チェーンに所定の間隔で取り付けられており、原動スプロケットの回転により、クリップ52はレールに沿って循環移動する。クリップ52は、テンタ38の入口近傍で、案内されてきたフィルム10の保持を開始し、出口に向かって移動し、出口近傍で保持を解除する。保持を解除したクリップ52は再び入口近傍に移動し、新たに案内されてきたフィルム10を保持する。このように、クリップ52は、フィルム10の各側部を把持した状態で長手方向に搬送する。
レールの軌道を変化させることにより、クリップ52の走行路を変えることができる。これにより、搬送中のフィルム10を、長手方向と交差する方向(例えば幅方向)に延伸することもできる。
テンタ38には、フィルム10の搬送路の上方に送風機53が設けられている。送風機53の下面には、乾燥気体を流出する流出口(図示無し)が形成されており、通過するフィルム10に向けて乾燥気体(例えば空気)を吹き出す。送風機53からの乾燥気体の温度は、40℃以上200℃以下の範囲内が好ましい。なお、同様の構造を有する送風機を、フィルム10の搬送路の下方に設けてもよい。このようにテンタ38には送風機53があるから、テンタ38を通過する間もフィルム10は乾燥を進められる(第1の乾燥工程)。ただし、テンタ38を設けない場合もある。
ローラ乾燥機41は、複数のローラ41aと空調機(図示無し)とを備える。複数のローラ41aはフィルム10を周面で支持する。フィルム10はローラ41aに巻き掛けられて搬送される。空調機は、ローラ乾燥機41の内部の温度や湿度等を調節する。ローラ乾燥機41の内部の温度は、80℃以上160℃以下の範囲内が好ましい。ローラ乾燥機41の内部の湿度は、相対湿度で0%以上50%以下の範囲内が好ましい。このローラ乾燥機41を通過する間もフィルム10は乾燥を進められる(第2の乾燥工程)。
流延膜51はクエン酸エステル12を含有しているから、形成されたフィルム10もクエン酸エステル12を含有する。そのため、フィルム10も流延膜51と同様に、クエン酸エステル12によって乾燥が促進するから、テンタ38及びローラ乾燥機41での乾燥がよりはやくすすみ、フィルム10の製造効率が向上する。
スリッタ42は、フィルム10の各側端部を切除するためのものである。この切除により、フィルム10は、例えば目的とする製品幅にされる。なお、スリッタ42と同様の構成のスリッタを、他の位置に配してもよい。例えば、流延ユニット37とテンタ38との間、及び/又は、テンタ38とローラ乾燥機41との間等である。流延ユニット37とテンタ38との間に配する場合には、流延ユニット37からテンタ38へ向かうフィルム10の側端部を、テンタ38に導入される直前に切除することにより、例えばクリップ52による把持がより確実になる。また、テンタ38とローラ乾燥機との間に配する場合には、クリップ52による把持跡を切除することにより、ローラ41aによる搬送がより安定する。切除された側端部は、クラッシャ(図示無し)に案内され、クラッシャによりチップ状に細かくされ、新たなドープ21の原材料として用いてもよい。なお、前述のフリース転移を抑制するために、切除された側端部は、新たなドープ21の原材料として使用に供されるまでの間、遮光することが好ましい。
巻取機43は、フィルム10をロール状に巻き取るためのものである。巻取機43はモータ(図示無し)を備え、巻取機43には、巻き芯54がセットされる。巻き芯54がモータにより回転することにより、フィルム10が巻き芯54に巻き取られる。
巻き取られたフィルム10は、フィルム用樹脂組成物からなるドープ21から製造され、上記のような樹脂、クエン酸エステル及び1価アルコールを含有する。したがって、上記のようなクエン酸エステルを含有するため、前述の推定作用から、フィルム同士が張り付きにくく、貼り付き性が良好である。また、上記のようなクエン酸エステルを含有するため、フィルム自体のヘーズも良好である。
クエン酸エステル12とクエン酸エステル12以外の各種添加剤とは、前述のように、ミキシングタンク26で樹脂11等と混合する手法に限定されない。例えば、これらの添加剤の少なくとも一部を案内する添加用の配管(図示無し)を、配管33に合流する状態に接続し、配管33において添加してもよい。その場合には、周知の静止型混合器(例えば、スルーザミキサ等)を配管33に設けることにより混合してもよい。
フィルムは単層構造に限定されず、複層構造でもよい。例えば、図2に示すように、本発明を実施したフィルム60のいくつかは、3層構造のフィルムである。複層構造の場合の層の数は、3層に限定されず、2層又は4層以上でもよい。フィルム60は、フィルム本体61として厚み方向D1の内部に位置する内層と、フィルム60の一方のフィルム面(以下、第1フィルム面と称する)60aを成す第1外層62と、フィルム60の他方のフィルム面(以下、第2フィルム面と称する)60bを成す第2外層63とを備える。第1外層62はフィルム本体61の一方の表面61aに設けられ、第2外層63はフィルム本体61の他方の表面61bに設けられている。なお、第1フィルム面60aは、後述の製造方法において、ベルト46から剥がされたフィルム面である。複層構造が2層構造である場合のフィルム(図示無し)は、第2外層63が無く、フィルム本体61と第1外層62とから構成される。複層構造が4層以上の層構造である場合には、例えばフィルム本体61が複層に形成される。
フィルム60の厚みT60は、本例では5μm以上100μm以下の範囲内としてあるが、この範囲に限定されず、100μmよりも厚い場合もあるし、5μmよりも薄い場合もある。光学フィルムとして用いる場合の厚みT60は10μm以上60μm以下の範囲内が好ましく、例えば、モバイルディスプレイのカバーフィルム用途では、厚みT60は10μm以上50μm以下、イヤホン等の振動板として用いる場合の厚みT60は5μm以上15μm以下の範囲内が好ましい。なお、3層以外の複層構造、すなわち、層数が2層又は4層以上の複層構造のフィルムの厚みについては、厚みT60と同様である。なお、図2において、厚みは厚み方向D1の厚みである。
フィルム本体61の厚みT61は、第1外層62の厚みT62及び第2外層63の厚みT63と比べて、大きくしている。厚みT61は、3μm以上92μm以下の範囲内とすることが好ましい。厚みT62は、1μm以上4μm以下の範囲内が好ましく、作用を発現する範囲内においてできるだけ小さい方が好ましい。厚みT63は、1μm以上4μm以下の範囲内が好ましく、作用を発現する範囲内においてできるだけ小さい方が好ましい。
フィルム60もフィルム10と同様に、樹脂11とクエン酸エステル12とを備える。具体的には以下である。フィルム本体61は、樹脂11で形成されている。フィルム本体61は、樹脂11の他に、例えば、紫外線吸収剤及び/又は劣化防止剤等を含有していてもよい。
第1外層62は、樹脂11とクエン酸エステル12とを含有している。第1外層62において、クエン酸エステル12の質量が樹脂11の質量に対して0.1%以上10%以下の範囲内となっていることが好ましく、この例でもこの範囲内としている。第1外層62は、樹脂11とクエン酸エステル12との他に、例えば、マット剤、劣化防止剤及び/又は紫外線吸収剤等を含有していてもよい。また、剥離性を向上する公知の剥離促進剤を添加剤として含んでいてもよい。
第2外層63は、樹脂11で形成されている。第2外層63は、樹脂11の他に、例えば、マット剤、劣化防止剤、及び/又は紫外線吸収剤等を含有していてもよく、本例でも上記したシリカからなるマット剤68(図3参照)を含有している。
フィルム60を長尺に製造する場合には、第1外層62と第2外層63との少なくともいずれか一方がマット剤68を含有することが好ましい。少なくともいずれか一方がマット剤68を含有する場合には、含有する層において、マット剤68の質量割合が樹脂11の質量に対して、0.020%以上5.0%以下の範囲内であることが好ましい。0.020%以上であることにより、0.020%未満である場合に比べて、より確実にフィルム60同士の滑り性が発現する。5.0%以下であることにより、5.0%を超えた場合に比べて、より透明なフィルム60が得られる。マット剤68の質量割合とは、樹脂11に対するマット剤68の質量割合である。すなわち、マット剤68の質量割合(単位は%)は、マット剤68の質量をM68とするときに、(M68/M11)×100で求めている。また、光学フィルムとして用いる場合には、フィルム60全体での樹脂の質量に対して、フィルム60全体でのマット剤68の質量が0.10%以上2.0%以下の範囲内であることが好ましい。
マット剤68により、フィルムの少なくとも片面において、表面から0.2μm以上20μm以下の範囲内に、上記したシリカを有するフィルムとなる。表面から上記した範囲内の位置にマット剤68が存在する理由は、クエン酸エステルが、フィルムの乾燥の促進性を付与する効果により、マット剤が、添加される外層からフィルム全層へ拡散することを抑制し、マット剤を有する表面において乾燥初期に表面からの溶剤乾燥が促進され、樹脂濃度が高い表面層を形成することで、その後乾燥する過程でのマット剤の層内への沈降により凸部が低くなることを抑制できるためである。上記範囲内の位置にマット剤68が存在するため、フィルムの滑り性を確保できるという利点がある。
この例ではクエン酸エステル12を、第1外層62、第2外層63及びフィルム本体61のすべてに含有させているが、クエン酸エステル12は、第1外層62、フィルム本体61及び第2外層63のうち、少なくともいずれか1つに含有させてもよく、いずれか2つに含有させてもよい。クエン酸エステル12を、第1外層62と、フィルム本体61及び/又は第2外層63とに含有させる場合には、フィルム本体61と第2外層63とにおけるクエン酸エステル12の質量の和がフィルム本体61と第2外層63とにおける樹脂11の質量の和に対して0.1%以上10%以下の範囲内であることが好ましい。
図3に示すフィルム製造設備70は、フィルム60を製造する設備の一例であり、ドープ調製装置72と、フィルム製造装置73とを備える。なお、図3において、図2と同じ装置及び部材については、図2と同じ符号を付し、説明を略す。
ドープ調製装置72は、流延に供するドープ(以下、流延ドープと称する)75(図4参照)を調製するためのものである。ドープ調製装置72は、配管33が、ポンプ32の下流において、3つの配管(以下、分岐配管と称する)33a、33b及び33cに分岐しており、各分岐配管33a、33b及び33cがフィルム製造装置73の流延ダイ76に接続している以外は、ドープ調製装置22と同様に構成されている。
ミキシングタンク26には、フィルム本体61と第1外層62と第2外層63とを構成する樹脂11と、溶剤15とが案内される。樹脂11と溶剤15とはミキシングタンク26により混合され、樹脂11が溶剤15に溶解する。これにより、流延ドープ75の基剤としてのドープ(以下、基剤ドープと称する)78がつくられる。基剤ドープ78は、樹脂11の濃度が、15%以上30%以下の範囲内であることが好ましい。基剤ドープ78の樹脂の濃度は、ドープ21の樹脂の濃度と同様に、樹脂11と溶剤15との質量和に対する樹脂の質量割合である。すなわち、{M11/(M11+M15)}×100で算出している。
基剤ドープ78は、ドープ21の場合と同様に、フィルタ28と貯留タンク31とを経て、配管33が分岐配管33a、33b及び33cに分岐する分岐位置PSに達する。基剤ドープ78は、分岐位置PSにおいて流れが分かれ、分岐配管33a、33b及び33cのそれぞれへ案内され、第1外層62(図2参照)を形成する第1液81(図4参照)と、フィルム本体61(図2参照)を形成する第2液82(図4参照)と、第2外層63(図2参照)を形成する第3液83(図4参照)とのそれぞれに用いられる。
分岐配管33aには、第1添加剤を添加するための添加配管80aが接続しており、この例の第1添加剤はクエン酸エステル12である。添加配管80aにより分岐配管33a内を流れる基剤ドープ78にクエン酸エステル12が供給されることにより、第1液81(図4参照)がつくられる。クエン酸エステル12は、溶剤15に溶解した状態の溶液として、分岐配管33aへ供給されることが好ましい。クエン酸エステル12の供給流量は、分岐配管33aを流れる基剤ドープ78の流量と基剤ドープ78における樹脂11の濃度とに応じて設定する。これにより、クエン酸エステル12の質量割合が、第1外層62と同じである第1液81をつくる。第1外層62に、クエン酸エステル12以外の添加剤を含有させる場合には、その添加剤を含有した第1液81をつくればよいから、クエン酸エステル12の添加と同様の手法により、基剤ドープ78にその添加剤を添加すればよい。
分岐配管33aには、溶剤15を添加するための添加配管81aが接続しており、この添加配管81aには開度を調整するバルブ(図示無し)が設けてある。溶剤15は、メチレンクロライドとメタノールとを予め混合したものである(溶剤調工程)。溶剤調工程については、前述したのと同様である。溶剤15の添加は、第1液81における樹脂11の濃度を下げる場合に行われる。したがって、第1液81における樹脂11の濃度を下げる調節が不要な場合には、バルブは閉状態(開度がゼロ)とし、溶剤15は添加しない。溶剤15の添加流量は、バルブの開度調整により調節され、分岐配管33aを流れる第1液81の流量及び樹脂11の濃度に応じて設定する。これにより、樹脂11の濃度が第1外層62と同じである第1液81をつくる。なお、この例では添加配管81aを分岐配管33aにおける添加配管80aの接続位置よりも下流に接続させている。ただし添加配管81aの接続位置はこの例に限定されない。例えば、添加配管81aを添加配管80aに接続させてもよい。
分岐配管33bを流れる基剤ドープ78は、流延ダイ76へ案内され、第2液82(図4参照)として流延に供される。すなわち、分岐配管33bから流延ダイ76へ流れる基剤ドープ78は流延ドープ75として用いている。
分岐配管33cには、第2添加剤を添加するための添加配管80bが接続しており、この例の第2添加剤はマット剤68である。添加配管80bにより分岐配管33c内を流れる基剤ドープ78にマット剤68が供給されることにより、第3液83(図4参照)がつくられる。マット剤68は、溶剤15に分散した状態の分散液として、分岐配管33cへ供給されることが好ましい。マット剤68の供給流量は、分岐配管33cを流れる基剤ドープ78の流量と基剤ドープ78における樹脂11の濃度とに応じて設定する。これにより、マット剤68の質量割合が、第2外層63と同じである第3液83をつくる。第2外層63に、マット剤68以外の添加剤を含有させる場合には、その添加剤を含有した第3液83をつくればよいから、マット剤68の添加と同様の手法により、基剤ドープ78にその添加剤を添加すればよい。
分岐配管33には、溶剤15を添加するための添加配管81bが接続しており、この添加配管81bには開度を調整するバルブ(図示無し)が設けてある。溶剤15の添加は、第3液83における樹脂11の濃度を下げる場合に行われる。したがって、第3液83における樹脂11の濃度を下げる調節が不要な場合には、バルブは閉状態(開度がゼロ)とし、溶剤15は添加しない。溶剤15の添加流量は、バルブの開度調整により調節され、分岐配管33を流れる第3液83の流量及び樹脂11の濃度に応じて設定する。これにより、樹脂11の濃度が第2外層63と同じである第3液83をつくる。なお、この例では添加配管81bを分岐配管33における添加配管80bの接続位置よりも下流に接続させている。ただし添加配管81bの接続位置はこの例に限定されない。例えば、添加配管81bを添加配管80bに接続させてもよい。
フィルム製造装置73は、流延ユニット37の代わりに流延ユニット85を備える以外は、フィルム製造装置23と同様に構成されている。流延ユニット85は、流延ダイ36の代わりに、周知の共流延用の流延ダイ76を備える以外は、流延ユニット37と同様に構成されている。流延ダイ76は、第1液81、第2液82、及び第3液83が独立して流れる第1流路、第2流路、及び第3流路(図示無し)と、これら第1流路~第3流路が合流する合流部(図示無し)と、合流部から吐出口76aに続いて形成された第4流路(図示無し)とを備える。流延ダイ76は、ベルト46の走行方向において上流側から順に、第1流路と第2流路と第3流路とが形成されている。分岐配管33aは第1流路に、分岐配管33bは第2流路に、分岐配管33cは第3流路に接続する。これにより、流延ユニット85は、3層構造の流延膜86を形成する(流延工程)。第1液81~第3液83により形成される流延膜86の詳細は、別の図面を用いて後述する。
流延膜86は、流延膜51と同様にベルト46から剥がされることによりフィルム60を形成する(剥離工程)。形成されたフィルム60は、テンタ38と、ローラ乾燥機41とにより乾燥し(乾燥工程)、スリッタ42により各側端部を切除された後に、巻取機43により巻き芯54にロール状に巻き取られる。
流延工程では、図4に示すように、第1液81と第2液82と第3液83とが流延ドープ75として用いられる。ベルト46上において、第1液81の上に第2液82が重なり、第2液82の上に第3液83が重なる状態に、第1液81~第3液83が流延される。これにより、第1液81で形成された第1層86aと、第2液82で形成された第2層86bと、第3液83で形成された第3層86cとを備える流延膜86が形成される。形成する第1層86a、第2層86b、及び第3層86cのそれぞれの厚みは、第1液81~第3液83のそれぞれにおける樹脂11の濃度と、目的とする第1外層62とフィルム本体61と第2外層63との各厚みとに応じて設定する。なお、図4において、ベルトの走行方向は、ベルトの走行方向D2の方向である。
第1液81と第3液83とのそれぞれにおける樹脂11の濃度は、第2液82における樹脂11の濃度よりも低いことが好ましい。これにより、第1液81及び第3液83が第2液82よりも高くなるから、第2液82の流れが第1液81と第3液83との流れによって封じ込まれる(カプセル化効果)。このカプセル化効果は、流延膜86の膜面及びフィルム60のフィルム面の平滑性の向上に寄与する。第2液82の樹脂11の濃度は、15%以上30%以下であることが好ましい。第1液81と第3液83とのそれぞれにおける樹脂11の濃度は、第2液82の樹脂11の濃度よりも低く、かつ、12%以上28%以下の範囲内であることが好ましい。第1液81と第3液83とのそれぞれにおける樹脂11の濃度は、13%以上25%以下の範囲内であることがより好ましく、15%以上22%以下の範囲内であることがさらに好ましい。
この例でも、第1層86aがクエン酸エステル12を含有しているから、流延膜86のベルト46からの剥離荷重が小さく抑えられ、平滑なフィルム60が得られる。また、クエン酸エステル12の含有により、流延膜86及びフィルム60の乾燥が促進される。
フィルム製造設備20又は70により、フィルム10又はフィルム60を製造し、実施例1~実施例19とした。ポリアリレートは、ユニチカ(株)製のUポリマー(登録商標)U-100を使用した。ポリイミドは、以下に記載したポリイミドを使用した。実施例1~実施例11は、フィルム製造設備20を用いて、樹脂11としてポリアリレートを使用し、単層構造のフィルム10を製造した。実施例12及び実施例14は、フィルム製造設備70を用いて、樹脂11としてポリアリレートを使用し、2層構造のフィルム60を製造した。実施例13は、フィルム製造設備70を用いて、樹脂11としてポリアリレートを使用し、3層構造のフィルム60を製造した。実施例15~実施例18は、フィルム製造設備10を用いて、樹脂11としてポリイミドを使用し、単層構造のフィルム10を製造した。実施例19は、フィルム製造設備70を用いて、樹脂11としてポリイミドを使用し、2層構造のフィルム60を製造した。使用した樹脂の種類は、表1「樹脂」の「種類」欄に示した。
なお、2層構造のフィルム60は、第1外層62と本体61とで構成した(図2参照)。また、3層構造のフィルム60は、第1外層62と本体61と第2外層63とで構成した(図2参照)。各実施例における各層の構成及び厚みは、表1の「層構成」の「厚み」欄に、フィルム60(図2参照)の第1外層62、本体61、第2外層63の順に、「第1/本体/第2」欄に示した。単層構造のフィルムの場合は、「-」と記載した。
また、2層構造又は3層構造のフィルム60は、フィルム製造設備70において、クエン酸エステル、ミキシングタンク26に添加することにより製造した。したがって、フィルム製造設備70において、基剤ドープ78に代えて、ドープ21を使用した。また、分岐配管33a~分岐配管33cを用い、ドープ21を材料として本体61を製造し、以下に記載するように別途調製した第3液83を材料として第1外層62及び/又は第2外層63を製造した。
ポリイミドは、次のように製造したものを使用した。窒素雰囲気下、溶トラップ及びフィルタを取り付けた真空ポンプが接続された反応容器に、1gのイソキノリンを投入した。次に、反応容器にγ-ブチロラクトン375g、及び2,2′-ビス(トリフルオロメチル)-4,4′-ジアミノジフェニル(TFMB、2,2′-Bis(trifluoromethyl)benzidine)104gを投入し、撹拌して溶解させた。さらに、4,4′-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物(6FDA、4,4′-(Hexafluoroisopropylidene)diphthalic anhydride)145gを反応容器に加えた後、混合物を撹拌しつつオイルバスで昇温を開始した。80℃で6時間加熱撹拌した。その後、外温を190℃まで加熱して、イミド化に伴って発生する水をトルエンとともに共沸留去した。6時間加熱、還流及び撹拌を続けたところ、水の発生は認められなくなった。引き続きトルエンを留去しながら7時間加熱し、さらにトルエン留去後にメタノールを投入して再沈殿した。得られたポリイミドワニス中のポリイミドについて、GPC測定を行ったところ、重量平均分子量は360,000であった。また、ポリイミドのフッ素原子含有量は31.3質量%であった。Tgは335℃であった。
クエン酸エステル12として用いた化合物の種類は表1の「添加剤」の「種類」欄に示す。添加剤を加えないものは、表1の上記欄に「なし」と記載した。クエン酸エステルは、以下の化合物に水を加えた部分加水分解反応によりカルボキシル残基量を表1のように調整して作成した化合物(混合物)を用いた。クエン酸イソプロピルは、式(2)に記載したものを使用した。クエン酸ブチルは、東京化成工業社のクエン酸トリブチルを用いた。クエン酸ペンチルは、クエン酸とsec-ペンチルアルコールのエステル化反応により合成した。メチレンクロライドは、(株)トクヤマ社製のメチレンクロライド、メタノールは、三菱瓦斯化学(株)社のメタノールを使用した。
フィルム製造設備20又は70に供するポリアリレートを含むドープ21は、次のように作成した。まず、ポリアリレートを加熱装置に入れ、140℃で2時間加熱し、脱水のための樹脂乾燥を実施した。これにより、ポリアリレート全体を基準として、加熱前の水分が0.18%であったものが、0.04%となった。次に、ミキシングタンク26内で、メチレンクロライド128.3kgとメタノール2.6kgとを混合し、溶剤15を作成した。溶剤中のメタノール比率(質量割合)は2%であり、容量は100Lであった。上記の溶剤全体に対するメタノールの比率は、「溶」の「メタノール比率」欄に示した。溶剤15を撹拌し、クエン酸エステル150gを添加した。その後、ポリアリレート29.9kgを25分かけて投入した。これを撹拌し、ポリアリレートを溶解させた。これをドープ21として、フィルム製造設備20又は70に供した。ポリアリレートを含むドープ21の溶剤を除く各成分の質量割合は以下のとおりであった。ポリアリレートを100質量部とした場合のクエン酸エステルの質量割合は、表1の「添加剤」の「添加量」欄に記載した。ドープ21中のポリアリレートの質量割合は18.6%であった。
ポリアリレートを含むドープ21
ポリアリレート 100.0質量部
クエン酸イソプロピル 0.50質量部
マット剤として用いた化合物の種類は表1の「マット剤」の「種類」欄に示す。マット剤は、TMSによる疎水化処理がされたシリカを使用した。「R972」は、日本アエロジル株式会社のAEROSIL(登録商標)R972であり、表面被覆率は0.008、比表面積は130m2/gであった。「NX90S」は、日本アエロジル株式会社製のAEROSIL(登録商標)NX90Sであり、表面被覆率は0.016、比表面積は90m2/gであった。
マット剤68を含むドープである第3液は、次のように作成した。ポリアリレートを含むドープ21に、マット剤を添加し、100Lとなったものを60分撹拌した。その後、100Lをアトライター(日本コークス工業(株)製アトライター15S)で直径3mmのチタニアボールにより60分、180rpmにて分散した。第3液の各成分の質量割合は以下のとおりであった。なお、この例ではマット剤量がポリアリレートに対して1.3質量部である場合を示している。各実施例において使用した、樹脂に対するマット剤の量は、表1の「マット剤」の「量」欄に示した。
ポリアリレートを含む第3液
ポリアリレートを含むドープ21 100.0質量部
マット剤 0.240質量部
フィルム製造設備20又は70に供するポリイミドを含むドープ21は、ポリアリレートを含むドープ21と同様に作成した。まず、ポリイミドを加熱装置に入れ、140℃で2時間加熱し、脱水のための樹脂乾燥を実施した。これにより、ポリイミド全体を基準として、加熱前の水分が0.30%であったものが、0.04%となった。次に、ミキシングタンク26内で、メチレンクロライド126.5kgとメタノール3.9kgとを混合し、溶剤15を作成した。溶剤中のメタノール比率は3%であり、容量は100Lであった。溶剤15を撹拌し、クエン酸エステル164gを添加した。その後、ポリイミド32.7kgを25分かけて投入した。ドープ21中のポリイミド樹脂濃度は20.0%であった。また、マット剤を含む第3液も、ポリアリレートを含む第3液と同様に作成した。すなわち、ポリアリレートをポリイミドに変えた以外は、上記と同様にして作成した。ポリイミドを含むドープ21及び第3液の各成分の質量割合は以下のとおりであった。ポリイミドについても、表1に、「樹脂」、「添加剤」、「マット剤」、「溶」、及び「層構成」について、ポリアリレートの場合と同様に示した。
ポリイミドを含むドープ21
ポリイミド 100.0質量部
クエン酸イソプロピル 0.5質量部
ポリイミドを含む第3液
ポリイミドを含むドープ21 100.0質量部
マット剤 0.260質量部
流延工程、剥離工程及び乾燥工程における詳細は次のとおりであった。流延ダイ及び金属リップ(ダイリップ)は、SUS316L等からなるものを使用した。ドープ21又は第3液を、それぞれフィルタ28に通した。まず、30μmのフィルタを通し、次に10μmのフィルタを通した。流延ダイから1450cc/分でドープ21又は第3液を送液した。ベルト46は、5m/分で運転した。したがって、流延速度は5m/分であった。ベルト46は、SUS製の金属バンドであった。フィルム製造設備20により、金属バンド上で乾燥をすすめた。剥離工程において、剥離した後、乾燥工程にて、乾燥を進めた。最初50℃にて乾燥し、その後140℃で10~15分乾燥した。巻取りは、FRP(Fiber-Reinforced Plastics)製の巻き芯に、フィルムの幅800mm、フィルムの長さ500mにて、フィルムを巻き取った。
[実施例1]~[実施例11]
実施例1~実施例11は、フィルム製造設備10を用いて、樹脂11としてポリアリレートを使用し、単層構造のフィルム10を製造した。流延ドープ75として、マット剤を含まずポリアリレートを含むドープ21と、ドープ21にマット剤を含む第3液とを使用した。
[実施例12]~[実施例14]
実施例12~実施例14は、フィルム製造設備70を用いて、樹脂11としてポリアリレートを使用し、2層又は3層構造のフィルム60を製造した。実施例12及び実施例14は2層構造、実施例13は3層構造のフィルム60であった。流延ドープ75として、マット剤を含まずポリアリレートを含むドープ21と、ドープ21にマット剤を含む第3液とを使用した。
[実施例15]~[実施例18]
実施例15~実施例18は、フィルム製造設備10を用いて、樹脂11としてポリイミドを使用し、単層構造のフィルム10を製造した。流延ドープ75として、ポリイミドとマット剤とを含む第3液を使用した。
[実施例19]
実施例19は、フィルム製造設備70を用いて、樹脂11としてポリイミドを使用し、3層構造のフィルム60を製造した。流延ドープ75として、マット剤を含まずポリイミドを含むドープ21と、ドープ21にマット剤を含む第3液とを使用した。
製造されたフィルムの物性について、表1に記載した。表1において、「製膜」の「厚み」欄に、製造されたフィルムの総厚みを記載し、「層構成」の「厚み」欄に、第1外層62/本体61/第2外層63(図2参照)の順に、それぞれの厚みを記載した。第1外層62が支持体に接している側である。
金属リップへのドープ21又は第3液の付着性と、流延膜の剥離荷重と、乾燥の促進性と、フィルム10又はフィルム60の白濁の程度、フィルムに残留するメチレンクロライドの量、フィルム同士の貼り付き性及び巻取り性につき、下記の方法及び基準で評価した。各評価結果は表1に示す。
1.リップの樹脂付着性
流延ダイの金属リップ先端から、ドープ21又は第3液を吐出した。吐出した液は受け容器で受けた。吐出を10分連続して行い、金属リップのドープ吐出する部分としていない部分の境界(吐出液端部)の付着物を目視で観察し、以下の基準で評価した。A,Bは合格、Cは不合格である。
A;付着物が観察されない
B;付着物が形成するが吐出中に取れる。
C;付着物があり吐出中に取れない。
2.剥離荷重
貯留タンク31に貯留されたドープ21から評価用のサンプルを採取した。サンプルにおけるポリアリレート又はポリイミドからなる樹脂11の質量は、溶剤15と樹脂11との質量の和に対して、20%であった。20℃に温度を調整した支持体に、サンプルを流延することにより流延膜を形成した。用いた支持体は、SUS製であった。流延膜の厚みは、乾燥することにより得られるフィルムサンプルの厚みが、各実施例で製造したフィルム10の厚みと同じになるように、設定した。形成した流延膜を、室温下に2分静置した。この静置によって流延膜は流延直後と比べて乾燥していたものの、完全には乾燥していなかった。この静置直後に、流延膜に対して、2cm幅で、カッタを用いて、切断線を13本入れた。切断線により形成した2cm幅の12個の切断片のうちのひとつ(第1の切断片)において、切断片の長手方向における一端部をクリップで把持した。支持体の表面と切断片とのなす角が45°となるように、クリップによって切断片の上記一端部を2cm/秒の速度で引き上げた。この引き上げに要した荷重を、ロードセル(ミネベアミツミ(株)社微小荷重小型引張圧縮型UTA-200GR)で測り、第1の切断片の剥離荷重(第1の剥離荷重)とした。その後、残りの11個の切断片について、順次、同様に、剥離荷重を求め、第2の剥離荷重~第12の剥離荷重とした。なお、第1の剥離荷重~第12の剥離荷重を求める時間間隔は、できるだけ等しくなるようにし、最終である第12の剥離荷重の測定が流延膜の形成から概ね30分経過時となるようにした。これら12個の測定結果である第1の剥離荷重から第12の剥離荷重のうち、最も大きい値を、流延膜の剥離荷重とした。
3.乾燥の促進性
上記の剥離荷重の評価における方法と同様に、ドープ21のサンプルを採取し、流延膜を形成した。サンプルにおける樹脂11の質量は、溶剤15と樹脂11との質量の和に対して、20%であった。また、流延膜の厚みも、上記の剥離荷重の評価における方法と同様に、設定した。形成した流延膜において、室温下に静置し、5分経過時における溶剤含有率を前述の算出式により求め、下記の基準により、乾燥の促進性として評価した。AとBとは合格であり、Cは不合格である。
A;溶剤含有率が0%以上40%以下の範囲内であった。
B;溶剤含有率が41%以上80%以下の範囲内であった。
C;溶剤含有率が81%以上150%以下の範囲内であった。
4.ヘーズ
得られたフィルム10のヘーズを、白濁の程度として評価した。ヘーズは、日本工業規格JIS K 7136に基づき、日本電色工業(株)製のヘーズメータNDH 7000で求めた。ヘーズ10%以下は合格であり、ヘーズ10%以上は不合格である。ヘーズ5%以下はフィルムの白濁の程度として良好である。
5.フィルムに残留するメチレンクロライドの量
測定用試料としてフィルム片をクロロホルムに約0.9%になるよう溶解し、測定用試料中のメチレンクロライド量をガスクロマトグラフィー測定により検量線法で測定した。装置はガスクロマトグラフィー((株)島津製作所製))GC-2014を用い、分離カラムはGLサイエンス製INTER CAP1(長さ30m、内径0.32mm)を用いた。測定条件は、測定用試料を注入量0.1μLで行い、カラム温度60℃、オーブン温度プログラムは60℃から測定をスタートし、5分で120℃まで、次の5分で160℃まで昇温するステップとした。測定用試料中のメチレンクロライド量/測定用試料中のフィルム片濃度を百分率で求め、測定結果を、フィルムに残留するメチレンクロライドの残量として、表1の「メチレンクロライド残量」欄に記載した。
6.貼り付き性
得られたフィルム10又はフィルム60に対し、貼り付きが低減される度合いを次のようにして評価した。まず、各フィルムを7cm×7cmの正方形にカットしたものを3枚重ねた。次に、各フィルムを3枚重ねた状態で温度25℃、湿度50%の条件下で24時間調湿した後、3枚重ねたまま温度40℃,湿度20%の環境下に置いた。そして、3枚重ねた各フィルムの上に15kgのおもりを乗せて24時間放置した後、フィルムの接触面積に対するフィルム10の貼付面積の割合S(単位;%)を求めた。求めた貼付面積の割合Sを以下のA~Dの4段階で評価した。評価結果がA、B又はCにおさまれば、実用上許容の範囲内のフィルムであるため、合格とした。評価結果がDは不合格とした。
A:20%未満
B:20%以上35%未満
C:35%以上45%未満
D:45%以上
7.巻取り性
得られたフィルム10又はフィルム60に対し、巻取装置を用いてロール状に巻き取ることにより、巻き取り性を評価した。ここで、巻き取り性の評価とは、ベコ(フィルムの変形)、しわ等の故障が発生しない度合いの評価である。巻き取った際のフィルムロールにおけるベコ又はしわ故障の発生の度合いにより、巻き取り性を以下のA~Dの4段階で評価した。Dは不合格である。
A:ベコやしわが発生しなかった。
B:ベコやしわが発生した。
C:ベコやしわが強く発生した。
D:ベコやしわがフィルム全体に強く発生し、全長巻きとれなかった。
Figure 0007244627000003
[比較例1]~[比較例7]
表1に示す樹脂組成物を用い、単層構造のフィルムを作成し、比較例1~比較例7とした。添加剤について、比較例5のクエン酸トリエチルは、ユングブンツラワー・ジャパン(株)製CITROFOL(登録商標)AI(クエン酸トリエチル)を使用した。比較例6では炭素数が16であるクエン酸モノグリセライドとして、理研ビタミン株式会社のポエム(登録商標)K-37V、比較例7では炭素数が8であるクエン酸アセチル(2-エチルヘキシル)として、ユングブンツラワー・ジャパン(株)製CITROFOL(登録商標)AHIIを使用した。添加剤等を使用しなかった場合(比較例1~4)は、表1の各欄に「-」と記載した。用いたポリアリレートを含め、その他の条件等は実施例1から11と同様であった。
[比較例8]~[比較例9]
表1に示す樹脂組成物を用い、単層構造のフィルムを作成し、比較例8~比較例9とした。添加剤は使用しなかったため、表1の「添加剤」の「種類」の欄には「なし」と、「カルボキシル残基量」と「添加量」の欄に「-」と記載した。用いたポリイミドを含め、その他の条件等は実施例15から18と同様であった。
比較例においても実施例と同様に、金属リップへのドープ21の付着性と、流延膜の剥離荷重と、乾燥の促進性と、フィルム10又はフィルム60の白濁の程度、フィルムに残留するメチレンクロライドの量、フィルム同士の貼り付き性及び巻取り性につき、下記の方法及び基準で評価した。各評価結果は表1に示す。
10,60 フィルム
11 樹脂
12 クエン酸エステル
15 溶剤
20,70 フィルム製造設備
21 ドープ
22,72 ドープ調製装置
23,73 フィルム製造装置
26 ミキシングタンク
27,32 ポンプ
28 フィルタ
31 貯留タンク
33 配管
33a~33c 分岐配管
36,76 流延ダイ
36a,76a 吐出口
37,85 流延ユニット
38 テンタ
41 ローラ乾燥機
41a ローラ
42 スリッタ
43 巻取機
46 ベルト
47 ローラ
48 剥取ローラ
51,86 流延膜
52 クリップ
53 送風機
54 巻き芯
60a 第1フィルム面
60b 第2フィルム面
61 フィルム本体
61a フィルム本体の一方の表面
61b フィルム本体の他方の表面
62 第1外層
63 第2外層
68 マット剤
75 流延ドープ
78 基剤ドープ
80a,80b,81a,81b 添加配管
81 第1液
82 第2液
83 第3液
86a 第1層
86b 第2層
86c 第3層
D1 厚み方向
D2 ベルトの走行方向
PC 流延位置
PP 剥取位置
PS 分岐位置

Claims (14)

  1. 主鎖に芳香族環及び/又はイミド環を有する樹脂であって、ガラス転移点が170℃以上であり、かつ、メチレンクロライドに対して質量パーセント濃度で10%以上溶解する樹脂と、
    カルボキシル残基を有し、かつ、炭素数が3以上5以下の範囲内のアルコール残基を有するクエン酸エステルと、
    メチレンクロライドと、
    炭素数が1以上3以下の範囲内の1価アルコールと、
    を有し、
    前記1価アルコールを、前記メチレンクロライドと前記1価アルコールとを含む全溶剤に対して、質量割合で、0.5%以上10%以下の範囲内で有し、
    前記クエン酸エステルを、前記樹脂100質量部に対して、0.01質量部以上10質量部以下の範囲内で有するフィルム用樹脂組成物。
  2. 前記樹脂は、ポリアリレート又はポリイミドである請求項1に記載のフィルム用樹脂組成物。
  3. 前記クエン酸エステルは、カルボキシル残基量が、0.2以上2.9以下の範囲内である請求項1又は2に記載のフィルム用樹脂組成物。
  4. 前記クエン酸エステルは、クエン酸イソプロピル、クエン酸ブチル、及びクエン酸ペンチルからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む請求項1ないし3のいずれか1項に記載のフィルム用樹脂組成物。
  5. 表面被覆率が0.005以上0.120以下の範囲内で、トリメチルシリル基により修飾されているシリカを含む請求項1ないし4のいずれか1項に記載のフィルム用樹脂組成物。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項に記載のフィルム用樹脂組成物からなるドープを、金属製の支持体に流延することにより流延膜を形成する流延工程と、
    前記流延膜を前記支持体から剥がすことによりフィルムを形成する剥離工程と、
    前記フィルムを乾燥する乾燥工程と、
    を有するフィルムの製造方法。
  7. 前記流延工程は、走行する前記支持体に前記ドープを連続的に流延し、
    前記剥離工程は、前記流延膜を前記支持体から連続的に剥がす請求項6に記載のフィルムの製造方法。
  8. 前記メチレンクロライドに前記1価アルコールを添加する溶剤調製工程を有する請求項6又は7に記載のフィルムの製造方法。
  9. 前記流延工程は、
    前記樹脂及び前記クエン酸エステルを含有する第1液と前記樹脂とシリカとを含有する第2液とを前記ドープとして用い、
    前記支持体に接する状態に前記第1液で形成された第1層と、前記第1層に重なる状態に前記第2液で形成された第2層とを備える流延膜を形成する請求項6ないし8のいずれか1項に記載のフィルムの製造方法。
  10. 前記シリカは、表面被覆率が0.005以上0.120以下の範囲内であり、かつ、トリメチルシリル基により修飾されている請求項9に記載のフィルムの製造方法。
  11. 主鎖に芳香族環及び/又はイミド環を有する樹脂であって、ガラス転移点が170℃以上であり、メチレンクロライドに対して質量パーセント濃度で10%以上溶解する樹脂と、
    カルボキシル残基を有し、かつ、炭素数が3以上5以下の範囲内のアルコール残基を有するクエン酸エステルと、
    炭素数が1以上3以下の範囲内の1価アルコールと、
    を有するフィルム。
  12. 前記樹脂は、ポリアリレート又はポリイミドである請求項11に記載のフィルム。
  13. フィルムの少なくとも片面において、表面から0.2μm以上20μm以下の範囲内に、表面被覆率が0.005以上0.120以下の範囲内で、トリメチルシリル基により修飾されているシリカを有する請求項11又は12に記載のフィルム。
  14. 乾燥後の厚みが、10μm以上60μm以下の範囲内である請求項11ないし13のいずれか1項に記載のフィルム。
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