JP7244346B2 - 乗員の乗降検知システムおよび乗員の乗降検知方法 - Google Patents

乗員の乗降検知システムおよび乗員の乗降検知方法 Download PDF

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Description

本発明は、専用のカメラやセンサーを使用せずに、車両内の各座席における乗員の有無および乗降の検知を可能とする乗員の乗降検知システムおよび乗員の乗降検知方法に関する。
自動運転車およびコネクテッドカーでは安全性の確保やビッグデータを活用するために、乗員の乗降をタイムリーに把握する必要がある。しかしながら、各座席の乗員の有無の確認および車両の各ドアの開閉の検知のために、専用のカメラやセンサーを装備することは車両の製造原価の増加につながる。
例えば、非特許文献1では、乗員センサーとして、感圧フィルム、電界センサー、赤外線センサーが紹介されている。
また、現行車両に標準的に装備されていて、ドアが開いていると計器盤に表示がされるものとしてのドア開閉センサーが知られている。
「自動車用乗員検知センサー」:古河電工時報 平成12年7月 第106号(www.furukawa.co.jp/jiho/fj106/fj106_12.pdf)
しかし、乗員検知のための専用センサー、専用システムの導入は車両単価の上昇を招くという問題がある。
また、現在市販されている自動車には、完全にドアが閉まっているか否かを検知するセンサーが装備されているが、人が乗降する程度の開度までドアが開いるのかまでは検知しない構成となっているので、乗員の乗降および搭乗の検知を確実に行えない場合がある。
そこで、本発明はこのような課題を解決する手段を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は次のような構成を採用する。
すなわち、請求項1に係る乗員の乗降検知システムの発明は、
UWB(Ultra Wide Band)無線を利用して車両内通信を行う通信システムにおける乗員の乗降検知システムであって、
UWB無線の無線信号を送信する無線端末と、
前記無線端末から送信された前記無線信号を受信する他の無線端末と、を含み、
前記他の無線端末は、前記無線信号の受信電力値および前記無線信号の遅延スプレッド値を演算する算出部と、
前記受信電力値および前記遅延スプレッド値に基づいて、車両に対する乗員の乗降状態を判定する判定部を含むことを特徴とする。
上記構成によれば、専用のデバイスやセンサーを用いずに、自動車等の車両に具備されているUWB車内無線通信システムを利用するために、車両の製造原価を上昇させずに各座席の乗員の有無および乗降の検知が可能となる。また、狭帯域無線ではなく、UWB無線を用いるために、安定的に乗員の有無および乗降の検知の判定が可能となる。
上記課題を解決するために、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の乗員の乗降検知システムにおいて、前記判定部は、前記乗員が前記車両に搭乗しておらず、前記車両のすべてのドアが閉まった状態における前記無線信号の受信電力値および前記無線信号の遅延スプレッド値をそれぞれレファレンス受信電力値およびレファレンス遅延スプレッド値として、前記車両に対する前記乗員の前記乗降状態を判定することを特徴とする。
上記構成によれば、自動車の工場出荷時、ディーラーでの点検時といったようなタイミングでレファレンス受信電力値およびレファレンス遅延スプレッド値を設定および校正することが可能となる。または単に車内が無人の状態で車両が駐車しているときに自動的にレファレンス受信電力値およびレファレンス遅延スプレッド値を測定し、記録することも可能となる。
上記課題を解決するために、請求項3に係る発明は、請求項1または2に記載の乗員の乗降検知システムにおいて、前記乗員の前記乗降状態は、前記乗員の前記車両における搭乗状態および非搭乗状態、前記乗員の前記車両に対する乗降車動作、および、前記乗員の前記車両のドアの開閉動作を含み、前記判定部はそれぞれの状態および動作を前記無線信号の受信電力値および前記無線信号の遅延スプレッド値の組み合わせに基づいて区別して判定することを特徴とする。
上記構成によれば、乗員の有無および乗降動作によってUWBの受信電力および遅延スプレッドが安定的に変動することを利用して、乗員検知および乗降動作の判定が可能となる。
上記課題を解決するために、請求項4に係る発明は、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の乗員の乗降検知システムにおいて、前記受信電力値および前記遅延スプレッド値の履歴情報から、前記乗降車動作における前記乗員の前記車両に対する乗車動作および降車動作、ならびに、前記乗員の前記車両のドアの開閉動作における前記乗員の前記車両のドアを開ける動作および前記ドアを閉める動作を区別して前記判定部が判定することを特徴とする。
上記構成によれば、無線端末による受信電力値およびレファレンス遅延スプレッド値の履歴情報を用いて、車両内に乗員がいるか否か、および、乗員の乗降動作を判定するので、乗員の有無および乗降動作に関する判定の正確性を向上することが可能になる。
上記課題を解決するために、請求項5に係る発明は、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の乗員の乗降検知システムにおいて、前記受信電力値および前記遅延スプレッド値の直前の履歴情報によって前記乗員の前記車両における前記搭乗状態または前記非搭乗状態が判定される場合に、前記乗員の前記車両のドアの開閉動作が続いて判定される場合には、前記車両のドアの開閉動作は前記乗員の前記車両のドアを開ける動作であると前記判定部が判定することを特徴とする。
上記構成によれば、無線端末による受信電力値およびレファレンス遅延スプレッド値の履歴情報を用いて、車両のドアの開閉動作がドアを開ける動作であることを判定するので、車両のドアの開閉動作に関する判定の正確性を向上することが可能になる。
上記課題を解決するために、請求項6に係る発明は、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の乗員の乗降検知システムにおいて、前記受信電力値および前記遅延スプレッド値の複数の履歴情報によって、前記乗員の前記車両のドアを閉める動作が、前記乗員の乗車時であるか、前記乗員の降車時であるかを、前記判定部が判定することを特徴とする。
上記構成によれば、無線端末による受信電力値およびレファレンス遅延スプレッド値の履歴情報を用いて、車両のドアを閉める動作が乗降時か降車時かを判定するので、車両のドアを閉める動作に関する判定の正確性を向上することが可能になる。
上記課題を解決するために、請求項7に係る発明は、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の乗員の乗降検知システムにおいて、前記UWB無線の前記無線信号を送信する前記無線端末と、前記無線信号を受信する前記他の無線端末とは、前記乗員が前記車両に搭乗した状態で、前記乗員を挟んで少なくとも一部の見通し波が伝搬するように配置されることを特徴とする。
上記構成によれば、乗員の有無および乗降動作によってUWBの受信電力および遅延スプレッドが安定的に変動することを利用して、乗員検知および乗降動作の判定が可能となる。
上記課題を解決するために、請求項8に係る発明は、請求項7に記載の乗員の乗降検知システムにおいて、前記UWB無線の前記無線信号を送信する前記無線端末は前記車両のドアに配置され、前記無線信号を受信する前記他の無線端末は前記車両内の前記乗員の前方に配置され、または、前記UWB無線の無線信号を送信する前記無線端末は前記車両内の前記乗員の前方に配置され、前記無線信号を受信する前記他の無線端末は前記車両の前記ドアに配置されることを特徴とする。
上記構成によれば、電波伝搬の可逆性により、乗員の有無および乗降動作によってUWBの受信電力および遅延スプレッドが安定的に変動することを利用して、乗員検知および乗降動作の判定が可能となる。
上記課題を解決するために、請求項9に係る発明は、請求項7に記載の乗員の乗降検知システムにおいて、前記UWB無線の前記無線信号を送信する前記無線端末は前記車両のドアに配置され、前記無線信号を受信する前記他の無線端末は前記車両内の前記乗員の上方に配置され、または、前記UWB無線の無線信号を送信する前記無線端末は前記車両内の前記乗員の上方に配置され、前記無線信号を受信する前記他の無線端末は前記車両の前記ドアに配置されることを特徴とする。
上記構成によれば、電波伝搬の可逆性により、乗員の有無および乗降動作によってUWBの受信電力および遅延スプレッドが安定的に変動することを利用して、乗員検知および乗降動作の判定が可能となる。
上記課題を解決するために、請求項10に係る乗員の乗降検知方法の発明は、UWB(Ultra Wide Band)無線を利用して車両内通信を行う通信システムにおける乗員の乗降検知方法であって、無線端末がUWB無線の無線信号を送信するステップと、前記無線端末から送信された前記無線信号を他の無線端末が受信するステップと、を含み、前記他の無線端末の算出部が、前記無線信号の受信電力値および前記無線信号の遅延スプレッド値を演算するステップと、前記他の無線端末の判定部が前記受信電力値および前記遅延スプレッド値に基づいて車両に対する乗員の乗降状態を判定するステップを含むことを特徴とする。
上記構成によれば、専用のデバイスやセンサーを用いずに、自動車等の車両に具備されているUWB車内無線通信システムを利用するために、車両の製造原価を上昇させずに各座席の乗員の有無および乗降の検知が可能となる。また、狭帯域無線ではなく、UWB無線を用いるために、安定的に乗員の有無および乗降の検知の判定が可能となる。
本発明によれば、専用のデバイスやセンサーを用いずに、自動車等の車両に具備されているUWB車内無線通信システムを利用するために、車両の製造原価を上昇させずに各座席の乗員の有無および乗降の検知が可能となる。また、狭帯域無線ではなく、UWB無線を用いるために、安定的に乗員の有無および乗降の検知の判定が可能となる。
UWB無線による車両内の無線端末の配置例を示す図である。 無線端末100と無線端末200との間のUWB無線および単一周波数無線の受信電力の変動を示す模式図である。 無線端末100と無線端末200との間のUWB無線および単一周波数無線の遅延スプレッドの変動を示す模式図である。 (A)車両の外部に乗員が位置する状態を示す図である。(B)乗員が車両のドアを開ける動作を示す図である。(C)乗員が車両のドアを開けて乗車する動作を示す図である。(D)乗車した乗員が車両のドアを閉める動作を示す図である。(E)乗員が車両のドアを閉めて搭乗している状態を示す図である。 無線端末500の構成の一例を示すブロック図である。 乗員の乗降検知システムの動作の一例を説明するための図である。 乗員の乗降検知システムにおける乗員の動作を判定する基準の一例を説明するための図である。 乗員の乗降検知システムにおける乗員の動作を、履歴を考慮して判定する基準の一例を説明するための図である。 乗員の乗降検知システムにおける乗員の動作を、履歴を考慮して判定する基準の一例を説明するための図である。 UWB無線による車両内の無線端末のその他の配置例を示す図である。
本実施形態では車内無線通信システムを利用するが、単一周波数の受信電力の変動は大きいことから、狭帯域無線による車内無線通信システムを用いて乗降検知をする場合、受信電力が大きく変動し乗降判断の確実性の担保が難しい。そこで、本実施形態に係わる車内無線通信システムではUWB(Ultra Wide Band)を利用して、乗降判断の確実性の担保を図っている。そこで、最初にUWB無線及び電波伝搬の知識について説明する。
(UWB無線の概要)
最初に、UWBについて説明する。UWBは、無線LAN(Local Area Network)、Bluetooth(登録商標)などの狭帯域無線とは異なる超広帯域無線である。米連邦通信委員会(FCC:Federal Communications Commission)の定義によると、UWBは、比帯域幅が20%以上若しくは帯域幅が500MHz以上の無線周波数を指す。比帯域幅ηは以下の式(1)で与えられる。
Figure 0007244346000001
実際に電波を空間に放射する際には、電波に関する法律の下でUWBによる無線通信ネットワークが運用される。
例えば、米国ではFCCにより3.1GHz~10.6GHzの周波数帯について、UWBとしての利用が認可されている。さらにその周波数範囲で、実効等方放射電力(EIRP:effective isotropically radiated power)が-41.25dBm/MHz以下であることを要する。欧州では欧州電気通信標準化機構(ETSI(エッツィ、欧州電気通信標準化機構):European Telecommunications Standards Institute)により3.1~4.8GHzおよび6.0~9.0GHzでの利用が認められている。さらにその周波数範囲で、EIRPが、-41.25dBm/MHz以下であることを要する。日本では、電波の放射は電波法により規制を受けるが、利用可能なUWB無線の具体的な仕様については一般社団法人電波産業会(ARIB:Association of Radio Industries and Businesses)による規格で定められている。それによると、日本では3.4GHz~4.8GHzおよび7.25GHz~10.25GHzでのUWB無線の利用が認められている。さらにその周波数範囲で、EIRPが、-41.25dBm/MHz以下であることを要する。
本実施形態においてUWBは、各国の法令等で定められた周波数範囲のUWB無線に限られない。本実施形態に係るUWBは、無線LAN、Bluetoothなどの狭帯域無線に対する超広帯域無線と、それに準じた広さを有する帯域幅の無線周波数を対象とする。より具体的には、UWBは、車などの金属導体の筐体内において、直接波または反射波で機器間の通信を行うことが可能な無線周波数である。
無線LANやBluetooth、その他の狭帯域無線を自動車内の無線通信に用いた場合には、金属導体である自動車のボディによる多重反射波の干渉現象により電波強度の著しい落ち込みが発生する場合がある。そして、電波強度の著しい落ち込みが発生する場所に無線端末が設遣されていた場合には、通信品質が劣化し、または、無線通信が不可能となる場合がある。参考文献として、矢崎総業株式会社による2012年電子情報通信学会通信ソサイエティ大会での発表の予稿(予稿番号B-5-111、標題「自動車内における電波伝搬特性の無線通信への影響」)が一例として挙げられる。
そこで、非常に広い無線周波数成分を含み、非常に広い無線周波数成分による周波数ダイバーシティ効果により電波強度の空間的な変動が少なく、電波強度の著しい落ち込みが発生しにくいUWB無線を自動車内の無線通信に適用する。参考文献として、東京電機大学小林岳彦による2010年電子情報通信学会基礎・境界ソサイエティ大会での発表の予稿(予稿番号AS-1-1、標題「電波伝搬および既存システムへの干渉の立場から見たUWB車内通信への期待」)、矢崎総業株式会社による2017年電子情報通信学会A・P研究会での発表の予稿(予稿番号AP2017-135、標題「乗用車室内UWB電波伝搬特性の実測と解析」)、矢崎総業株式会社による2018年電子情報通信学会総合大会での発表の予稿(予稿番号b_01_002、標題「車室内におけるUWB電波伝搬特性変動の測定」)が挙げられる。
(電波の遮蔽及び回折)
次に、本実施形態に関わる電波伝搬の原理について説明をする。送信アンテナと受信アンテナの両位置の2点間を結ぶ直線上に遮蔽物が無い場合には、電波の経路はその直線であり、効率的に電波の受信が可能である。電波の経路は第1フレネルゾーンと呼ばれ、その半径は式(2)で表される。λは電波の波長、d1およびd2はそれぞれ送受信間の直線上における送信位置からの距離及び受信位置からの距離である。式(2)より、電波の経路は実際には直線では無く、回転楕円体上の空間となる。第1フレネルゾーンの一部が遮蔽されても、直線的な電波の経路はある程度確保され、また、第1フレネルゾーンの全てが遮蔽されると、直線的な電波の経路はほとんど無くなる。ここでは直線的な電波の経路を伝搬する電波を見通し波と呼ぶことにする。
Figure 0007244346000002
送受信間にある遮蔽物により、直線的な電波の経路が無い場合は、遮蔽物体端での電波の回折により、電波が送信位置から見て遮蔽物の裏側へ回り込み、受信位置に電波が到達する。ここでは、回折により伝搬する電波を回折波と呼ぶことにする。
(乗員の影響)
人体は電波の反射体及び吸収体としてふるまう。
(乗員の乗降検知に使用される無線通信システムの概要)
本実施形態は、極めて広い帯域の無線周波数を用いたUWB(Ultra Wide Band:超広帯域)無線通信を車内通信に適用した場合に、各座席の乗員の乗降の判断を高い確率で行う構成を有する。具体的には、自動車内に設置されたUWB無線端末間の通信における電波の受信電力と遅延スプレッドの2つのパラメータの変化によって、各座席の乗員の乗降について確度を高めて判断する構成を有する。
例えば、図2よりUWBの受信電力はドアの開度及び乗員の動きとの相関があり、乗降動作の判断の確実性が担保可能であるので、車内UWB無線通信システムを利用することが可能である。また、図3に示すようにUWBの遅延スプレッドと乗員の動きとの相関も用いることで、乗降動作判断の確実性が増す。このように、UWBの受信電力及び遅延スプレッドが乗員の動きに対して安定しているという新しい知見を用いて確度の高い乗降検知を行う。
(無線端末の設置位置の例)
図1にUWB無線による無線端末の設置位置の例を示す。図1の車両の図ではルーフ及びピラーを省賂し、車両を上から透視した態様を示している。乗員10の搭乗する車室内(キャビン)はファイヤーウォール30、ドア(60、70、80、90)、ルーフ(図示せず)、トランク50およびフロアといった金属導体ボディで囲まれている。したがって、車室内は電波の多重反射環境となっている。
本実施形態では、図1に示すように無線端末100をインスツルメントパネルの中央付近に配置し、無線端末200を右前席ドア60の運転席ドアスイッチパネルに配置する。乗員10は車両の運転席に搭乗する場合を想定している。
無線端末100と無線端末200は同時に、または、通信の必要が生じたタイミングで通信を行っている。
無線端末100と無線端末200の間の第1フレネルゾーンの一部はハンドル及び乗員10の腕で遮蔽されているが、基本的には見通し波の少なくとも一部が確保されている。本実施形態では無線端末100と無線端末200の間に見通し波が確保されていることを要する。
なお、車室内は電波の多重反射波環境となるため、効率的に電波を受信するために各無線端末のアンテナの利得は広い指向性、または、無指向性であることが好ましい。しかし、本実施形態では各無線端末のアンテナは指向性アンテナであっても、本実施形態の効果が得られるため、無指向性であるか否かは問わない。
(各無線端末位置での電波の受信電力の変動)
図2に、無線端末200を送信端末とし、無線端末100を受信端末とした場合のUWB(7.25GHz~10.25GHz)および単一周波数(8.75GHz CW)における受信電力の変動を示す。UWBの受信信号電力の計算時間は受信信号の絶対値の最大ピーク位置の時刻を含む30ナノ秒間であり、単一周波数の受信信号電力の計算時間も30ナノ秒間としている。
また、図2の0~12秒の間(T20)は乗員10が搭乗していないレファレンスデータであり、12秒以降の受信電力はレファレンスデータを基準(=0dB)としたときの相対値である。なお、12秒以降の受信電力の振れ幅はUWBでは約8.6dB、単一周波数では約19.4dBとなっている。
図2の12秒~36秒(T21、T22およびT23)では乗員10が運転席ドアを開け、運転席へ乗り込み、ドアを閉じる一連の動作を行っている。36秒以降(T24)では、乗員10は静止(リラックス)した状態である。
図2から分かるように、UWBでは乗員10およびドアの動作と受信電力の変動に相関があるが、単一周波数では相関が低いことが分かる。これは、UWBではその周波数ダイバーシティ効果により受信電力の変動が安定的であることに起因する。
UWBにおける乗員10の動作および右前席ドア60の状態に対応した無線端末100の受信電力の変化の様子を以下に詳述する。
図2におけるT20(0~12秒)は、図4(A)に対応し、乗員10が車両に非搭乗で、車両の外部に佇んでいる状態である。
図2におけるT21(12秒~18秒)は、図4(B)に対応し、乗員10が車両の右前席ドア60を閉まった状態から開けた状態に操作する間を示す。右前席ドア60を開ける動作の最中は受信端末である無線端末100の受信電力は右前席ドア60の開度に応じて低下する。
図2におけるT22(18秒~30秒)は、図4(C)に対応し、乗員10が車両の右前席ドア60を開けた状態で車両に乗車する動作の間を示す。乗車動作中は受信端末である無線端末100の受信電力は低い値を維持する。
図2におけるT23(30秒~36秒)は、図4(D)に対応し、乗員10が車両に搭乗した状態で右前席ドア60を開けた状態から閉めた状態に操作する間を示す。右前席ドア60を閉める動作の最中は受信端末である無線端末100の受信電力は右前席ドア60の閉度に応じて上昇し、ドアを開ける前の水準まで戻る。
図2におけるT24(36秒~50秒)は、図4(E)に対応し、右前席ドア60が閉められた状態で乗員10が車両に搭乗している状態を示す。乗員10が搭乗中は、図2の0~12秒の間(T20)で乗員10が搭乗していないレファレンスデータと同程度の値を維持する。
上述したように、図2よりUWBの受信電力はドアの開度及び乗員の動きとの相関があり、乗降動作の判断の確実性が担保可能である。
(各無線端末位置での受信電波の遅延スプレッドの変動)
図3に、無線端末200を送信端末とし、無線端末100を受信端末とした場合のUWB(7.25~10.25GHz)における受信電波の遅延スプレッドの変動を示す。
図3の0~12秒の間(T30)は乗員10が搭乗していない状態であり、12秒~36秒(T31、T32およびT33)では乗員10が運転席ドアを開け、運転席へ乗り込み、ドアを閉じる一連の動作を行っている。36秒以降(T34)では、乗員10は静止(リラックス)した状態である。すなわち、図3における時間T30、T31、T32、T33およびT34は、図2における時間T20、T21、T22、T23およびT24にそれぞれ対応し、それぞれの時間帯における乗員10の動作および右前席ドア60の状態は同じである。
図3から分かるように、UWBでは乗員10およびドアの動作と受信電波の遅延スプレッドの変動に相関がある。すなわち、ドアを開ける動作の間は、遅延スプレッドは低下し、乗車動作中は、遅延スプレッドは上昇する。そしてドアを閉める動作の間は、遅延スプレッドは低下し、乗員10が搭乗中は低下した遅延スプレッド値を維持する。
次に、UWBにおける乗員10の動作および右前席ドア60の状態に対応した無線端末100の受信電波の遅延スプレッドの変化の様子を以下に詳述する。
図3におけるT30(0~12秒)は、図4(A)に対応し、乗員10が車両に非搭乗で、車両の外部に佇んでいる状態である。この場合の遅延スプレッドは約7.5ns~約8.0nsで安定している。
図3におけるT31(12秒~18秒)は、図4(B)に対応し、乗員10が車両の右前席ドア60を閉まった状態から開けた状態に操作する間を示す。右前席ドア60を開ける動作の最中は受信端末である無線端末100の遅延スプレッドは右前席ドア60の開度に応じて低下する。
図3におけるT31の間のドアを開ける動作の間は、送信端末である無線端末200の位置が車室外となり、遅延波(直線的な経路以外の経路で伝搬してくる反射波および回折波)が少ない位置となる。また、ドアを開けたことにより電波がより車外へ放射されやくすくなり、遅延波数そのものも減少する。そのためドアを開ける動作の間は、遅延スプレッドが低下する。
図3におけるT32(18秒~30秒)は、図4(C)に対応し、乗員10が車両の右前席ドア60を開けた状態で車両に乗車する動作の間を示す。乗車動作中は受信端末である無線端末100の遅延スプレッドは上昇する。
図3におけるT32の乗員10の乗車動作中は、受信端末である無線端末100が送信端末である無線端末200から最も遠い位置となる。そのために、直線的な経路による電波の伝搬成分の強さが弱まる。また、第1フレネルゾーンの一部がハンドルで遮蔽され、やはり直線的な経路での伝搬成分の強さが弱まる。乗車動作中は、ドアを開ける動作の間の説明にあるように遅延波数は少なくなり遅延スプレッドを低下させるが、直線的な経路での伝搬成分が弱くなることのほうの影響が大きいので、結果的に遅延スプレッドは上昇する。
図3におけるT33(30秒~36秒)は、図4(D)に対応し、乗員10が車両に搭乗した状態で右前席ドア60を開けた状態から閉めた状態に操作する間を示す。右前席ドア60を閉める動作の最中は、遅延スプレッドが低下する。
図3におけるT34(36秒~50秒)は、図4(E)に対応し、右前席ドア60が閉められた状態で乗員10が車両に搭乗している状態を示す。乗員10が搭乗中は、乗員10は電波の反射体であるため、乗員10が搭乗した状態では電波が車外へ放射されやすくなり、遅延波数が減少する。このため乗員搭乗状態は乗員非搭乗状態(図3のT30の期間)よりも遅延スプレッドが低下する。
上述したように、図3から分かるように、UWBでは乗員10およびドアの動作と受信電波の遅延スプレッドの変動に相関がある。
(車内UWB無線通信の乗員検知への応用)
上記の(各無線端末位置での電波の受信電力および遅延スプレッドの変動)で説明したように、乗降動作においてUWBの受信電力および遅延スプレッドが安定的に変動することを利用して、乗員の乗降の検知が可能である。専用のデバイスやセンサーを利用せずに、車内UWB無線通信システムを利用し、断続的またはタイムリーな乗降検知結果をビッグデータ解析や自動運転に利用することが可能となる。
これに対して、専用のデバイスやセンサーを用いて乗員を検知する場に合は、自動車の製造原価が上昇してしまう。また、図2より、単一周波数の受信電力の変動は非常に大きいことがわかる。したがって、狭帯域無線による車内無線通信システムを利用して乗降検知をする場合には、乗員の動きにより受信電力が大きく変動するので、乗降を判断する場合の確実性の担保が難しいことがわかる。
すなわち、電波の受信電力および遅延スプレッドによる乗員の乗降判断のシステムに車内UWB無線通信システムを利用することにより、乗員の乗降動作を判断する確実性を高めることが可能である。このように、本実施形態では、UWBの受信電力および遅延スプレッドが乗員の動きに対しても非常に安定しているという新しい知見を用いて確実性の高い乗員の乗降検知を行う。
(無線端末の構成)
一例として、無線端末500の構成を図5に示す。ただし、無線端末100、無線端末200、無線端末300および無線端末400も無線端末500と同一の構成を有する。
無線端末500はアンテナ570、スイッチ580、無線信号送信部510、無線信号受信部520、インターフェース部560、および、乗降検知特有の機能に関わる部分である算出部530、記録部540、判定部550を含んで構成される。アンテナ570、スイッチ580、無線信号送信部510、無線信号受信部520、および、インターフェース部560は、UWB無線通信システムと乗員の乗降検知システムの両方で使用される部分となる。
アンテナ570は図5では送受信共通となっているが、送信アンテナ、受信アンテナをそれぞれ具備する構成としても構わない。スイッチ580は、送信タイミングおよび受信タイミングに合わせてアンテナ570を切り替える。
無線信号送信部510は、スイッチ580およびアンテナ570を介して送信される無線信号を処理する機能を有する。また、無線信号受信部520は、スイッチ580およびアンテナ570を介して受信される無線信号を処理する機能を有する。
算出部530は受信された無線信号から無線信号の受信電力と遅延スプレッドを算出する機能を有する。
受信電力は、例えば包絡線検波をし、横軸を時間とし縦軸を包絡線強度とした場合の包絡線のピークから一定時間を積分区間とする面積を受信電力とする方法がある。この場合の積分時間は図2では遅延波成分が受信電力の計算結果に影響しなくなる30nsとした。したがって、30ns以降の遅延波を計算範囲に入れても受信電力の計算結果は殆ど変らない。なお、受信電力の検出方法は少なくとも有効な遅延波成分が考慮されていることを要する。
遅延スプレッドは少なくとも有効な遅延波成分が十分に考慮された時間範囲で計算されることを要する。当該時間範囲は乗員の乗降検知システムにおいて有効な遅延波成分が十分に考慮された時間範囲で任意の値に設定することができる。
なお、受信電力及び遅延スプレッドを判定するために必要な基準となるレファレンス電力及びレファレンス遅延スプレッドは、車室内に乗員10が搭乗していない静的な状態のものとするのが好ましい。一例として、自動車の工場出荷時、ディーラーでの点検時といったようなタイミングで設定および校正される。若しくは単に車内が無人の状態で車両が駐車しているときに自動的に測定し、記録されてもよい。
記録部540は、算出部530で算出された無線信号の受信電力と遅延スプレッドを記録する機能を有する。
判定部550は、記録部540に記録された無線信号の受信電力と遅延スプレッドの状態または時間変化に基づいて、乗員10の乗降状態を判定する。判定の詳細については、後述する。
なお、車内UWB無線通信システムは乗員10の乗降検知とは関係のない車内のデータ通信を目的とするものであるため、無線端末500はその本来のデータ通信に必要な機能を備えている。しかし、図5ではアンテナ570、スイッチ580、無線信号送信部510、無線信号受信部520を除きそれらを省略している。
また、無線端末500のインターフェース部560は車両側のシステムと接続され、本来のデータ通信に係る情報や本実施形態により得られた乗降検知に係る情報のやりとりを行う。インターフェース部560については有線(メタル線、光ファイバ等)であるか無線であるかは問わない。
本実施形態では、車両が駐車中である場合のように車内の通信システムが殆どスリープしている状態であっても、乗員の乗降検知システムは起動していることが好ましい。例えば、無線端末は通信データではない乗降検知のための専用信号(電波)を送信することが可能である。図1の構成例では無線端末200から無線端末200に、または、無線端末100から無線端末200に専用信号(電波)を送信することが可能である。
また、車内の通信システムのトラヒックが多い状況では、無線端末200から無線端末100または無線端末100から無線端末200への通信データを伝送している電波を用いて受信電力及び遅延スプレッドを算出する。トラヒックが多い状況とは、例えばエンジンスタートにより車両の通信システムが起動している状況や、電気自動車における起動スイッチがオンの状況がある。さらに、無線端末100と無線端末200との間で通信がされていないタイミングでは乗降検知のための専用信号(電波)を定期的に送信する構成とすることもできる。以上のように乗員10の乗降をいつでも検知できるように無線端末100と無線端末200との間で無線信号のやりとりを常時行っている。
(乗降検知のフローの一例)
図6は、乗員の乗降検知システムにおいてドライバーの乗降を検知するフローを模式化した図の一例である。図6では、無線端末100が無線端末200から送信されるUWB無線信号の受信電力および遅延スプレッドを算出し、ドライバーの乗降状態を判定する。
図6では、時間の経過に伴って(a)乗員が非搭乗でドアがクローズ、(b)ドアを開閉中、(c)乗員が運転席に乗り込む動作の最中(若しくは運転席から降りる動作の最中)、(d)乗員が搭乗していてドアがクローズされているという4つの状態に判定される。なお、(b)の状態では乗員が車内か車外にいるかまでは判定しない。しかし、履歴情報を用いれば上記(b)の乗員が車外にいてドアを開けている最中なのかそれとも運転席に着座した後でドアを閉めようとしているのかを区別することが可能である。詳細については後述する。
図6の(a)は図2のT20および図3のT30の期間に対応し、(b)はT21およびT31、または、T23およびT33の期間に対応し、(c)はT22およびT32の期間に対応し、(d)はT24およびT34の期間に対応する。なお、乗員10が降車する時は図6において乗員動作の順序が前後逆になるだけであり、図7の判定基準を同様に使用することができる。
乗員の動作ならびに受信電力および遅延スプレッドの時間変動は、前述した無線端末位置での電波の受信電力および遅延スプレッドの変動(図2および図3を参照)で説明したとおりである。図6に示すように無線端末200からは定期的に無線信号が送信されている。当該無線信号は上述したように通信データまたは乗降検知の専用信号のいずれかである。または、乗員の乗降検知システムでは通信データおよび乗降検知の専用信号を併用してもよい。さらに、無線端末200から送信される無線信号は定期的でなくともよい。無線端末100は算出部530において、受信した無線信号の受信電力および遅延スプレッドを算出する。算出された無線信号の受信電力および遅延スプレッドは記録部540に記録される。
一例として、記録部540に記録される受信電力および遅延スプレッドは、レファレンス受信電力およびレファレンス遅延スプレッドとの比較に基づいて記録される。詳細については以下に説明する(図7も参照)。
例えば、算出部530で算定された無線信号の受信電力が(レファレンス受信電力-1dB)以上である場合には、受信電力が大きいという情報「大」が記録部540に記録される。また、算出部530で算出された無線信号の受信電力が(レファレンス受信電力-3dB)以下である場合には、受信電力が小さいという情報「小」が記録部540に記録される。さらに、算出部530で算出された無線信号の受信電力が(レファレンス受信電力-1dB)と(レファレンス受信電力-3dB)の間にある場合には、受信電力が中程度であるという情報「中」が記録部540に記録される。これらの判定条件は図7の受信電力の欄にも記載されている。図7の判定基準は図2および図3の場合の値を最適化した判定基準である。
さらに、レファレンス受信電力に対する情報「大」、「中」および「小」を判定する受信電力の範囲は図2および図3の試験を車両毎に実施し、乗降検知システムで任意の値に設定できる。情報「大」、「中」および「小」を判定する受信電力の範囲は、車両の工場出荷時、または、ディーラーでの点検時といったようなタイミングで設定および校正されることができる。
なお、一例として、レファレンス受信電力に対する情報「大」、「中」および「小」は任意のビットパターンで表現され、当該ビットパターンと情報「大」、「中」および「小」との対応関係および当該ビットパターンが記録部540に記録される。
また、例えば、算出部530で算出された無線信号の遅延スプレッドが(レファレンス遅延スプレッドの変動の上限値)以上である場合には、遅延スプレッドが大きいという情報「大」が記録部540に記録される。また、算出部530で算出された無線信号の遅延スプレッドが(レファレンス遅延スプレッドの変動の下限値)以下である場合には、遅延スプレッドが小さいという情報「小」が記録部540に記録される。さらに、算出部530で算出された無線信号の受信電力が(レファレンス遅延スプレッドの変動の範囲内)にある場合には、遅延スプレッドが中程度であるという情報「中」が記録部540に記録される。これらの判定条件は図7の遅延スプレッドの欄にも記載されている。図7の判定基準は図2および図3の場合の値を最適化した判定基準である。
レファレンス遅延スプレッドに対する情報「大」、「中」および「小」を判定する遅延スプレッドの範囲は図2および図3の試験を車両毎に実施し、乗降検知システムで任意の値に設定できる。情報「大」、「中」および「小」を判定する遅延スプレッドの範囲は、車両の工場出荷時、または、ディーラーでの点検時といったようなタイミングで設定および校正されることができる。
一例として、情報「大」、「中」および「小」は2ビットの信号によってあらかじめ対応付けられて記録部540に記録されることができる。
なお、記録部540には現時刻より一定時間を遡った期間の受信電力および遅延スプレッドの履歴が残されている。一定時間は、乗降の検知システムにおいて任意の値に設定することができる。そして、判定部550は、例えば上述した図7に示す判定基準にしたがって現在の乗降の状態を判定する。
(履歴を考慮した乗降検知のフローの一例)
図8および図9は、履歴を考慮した判定によって、乗車時の動作なのか降車時の動作なのかを区別するフローの一例を詳細に説明する模式図である。
図8では乗員10が乗車しようとしてドアを開けている最中なのか、降車しようとしてドアを開けている最中なのかを区別するフローを示している。
図8の上欄において、直前の受信電力が「大」であり、直前の遅延スプレッドが「中」である場合には、図7から乗員10が非搭乗でドアがクローズされている状態、すなわち乗員10が車両の外に佇んでいる状態を示している。そして、図8の上欄において、次の状態において受信電力が「中」であり、遅延スプレッドが「小」である場合には、図7から乗員10が車両のドアを開閉している状態を示している。したがって、図8の上欄において、乗員が車両のドアを開閉している状態(受信電力が「中」であり、遅延スプレッドが「小」である場合)は、乗員10が車両に乗車しようとしてドアを開けている状態であることが判定部550で判定されることができる。
図8の下欄において、直前の受信電力が「大」であり、直前の遅延スプレッドが「小」である場合には、図7からドアクローズ状態で乗員10が車両に搭乗している状態を示している。そして、図8の下欄において、次の状態において受信電力が「中」であり、遅延スプレッドが「小」である場合には、図6から乗員10が車両のドアを開閉している状態を示している。したがって、図8の下欄において、乗員10が車両のドアを開閉している状態(受信電力が「中」であり、遅延スプレッドが「小」である場合)は、乗員10が車両から降車しようとしてドアを開けている状態であることが判定部550で判定される。
以上のように、受信電力及び遅延スプレッドの現在値及び直前の履歴値より乗車におけるどの段階の動作なのか、もしくは降車におけるどの動作の段階なのかを定部550で判定することが可能になる。
図9では4つの状態から現在の状態を判定しており、乗車において運転席に座った直後にドアを閉めている最中なのか、降車において運転席から外に出ている状態でドアを閉めている最中なのかを区別することが可能になる。
図9の上欄において、3つ前の状態で受信電力が「大」であり、遅延スプレッドが「中」である場合には、図7から乗員が車両の外に佇んでいる状態を示している。図9の上欄において、2つ前の状態で受信電力が「中」であり、遅延スプレッドが「小」である場合には、図7から乗員がドアを開閉動作中である状態を示している。この場合には、図8の上欄から乗員10が車両に乗車しようとしてドアを開ける動作中である状態を示している。図9の上欄において、1つ前の状態で受信電力が「小」であり、遅延スプレッドが「大」である場合には、図7から乗員が車両の乗車動作中である状態を示している。図9の上欄において、現在の状態で受信電力が「中」であり、遅延スプレッドが「小」である場合には、図7から乗員がドアを開閉動作中である状態を示している。すなわち、乗員10の乗車において運転席に座った直後にドアを閉めている最中であることを判定部550が判定する。
図9の下欄において、3つ前の状態で受信電力が「大」であり、遅延スプレッドが「小」である場合には、図7から乗員が車両の中に搭乗中である状態を示している。図9の下欄において、2つ前の状態で受信電力が「中」であり、遅延スプレッドが「小」である場合には、図7から乗員がドアを開閉動作中である状態を示している。この場合には、図8の下欄から乗員10が車両から降車しようとしてドアを開ける動作中である状態を示している。図9の下欄において、1つ前の状態で受信電力が「小」であり、遅延スプレッドが「大」である場合には、図7から乗員が車両の降車動作中である状態を示している。図9の下欄において、現在の状態で受信電力が「中」であり、遅延スプレッドが「小」である場合には、図7から乗員がドアを開閉動作中である状態を示している。すなわち、乗員10の乗車において乗員10が降車した直後にドアを閉めている最中であることを判定部550が判定する。
以上のように、受信電力及び遅延スプレッドの現在値及び履歴値より乗車におけるどの段階の動作なのか、若しくは降車におけるどの動作の段階なのかを判定する。こうして得られた乗降情報は自動運転やビッグデータ活用に用いられる。
(変形例1)
上述した実施形態においては、右前席ドア60に配置した無線端末200を無線信号の送信端末として説明した。しかし、インスツルメントパネル側に設置した無線端末100を送信端末とし、無線端末200を受信端末としても乗員10の乗降検知をすることが可能になる。これは、電波伝搬の可逆性により送受信を入れ替えても図2および図3の結果が同一となるからである。なお、例えば、自動運転やビッグデータを扱うための中心的な役割を担うCPUや記憶デバイスがインスツルメントパネル付近にある場合は、無線端末200で判定した結果を無線端末100へ本実施形態のリンクを用いて無線送信する構成も可能である。
(変形例2)
上記実施形態では、運転席のドライバーを検知するために、右前席ドア60に配置した無線端末200を使用したが、左前席ドア80に配置した無線端末500(配置については図示せず)を使用することによって、助手席乗員の乗降検知システムを実現できる。すなわち、無線端末100と無線端末500との間でUWB無線通信を行うことで、助手席の乗員の乗降を検知することができる。この場合にも、無線端末100が送信端末である場合は無線端末500が受信端末となり、無線端末500が送信端末である場合は無線端末100が受信端末となる。また、無線端末100と無線端末500との間で通信がされていないタイミングでは乗降検知のための専用信号(電波)を定期的に送信する構成とすることもできる。
(変形例3)
乗員の有無および乗降による受信信号電力および遅延スプレッドの変動が安定的に観測できる位置にUWB無線端末を配置することによって、自動車車内の後席の乗員検知を行うことも可能である。例えば、車両の後席の乗降検知は、図10に示すように無線端末300を後席座面の頭上のルーフ(図示せず)に設置し、無線端末400を右後席ドア70に設置することによって実行することができる。無線端末300と無線端末400の間の第1フレネルゾーンの一部が人体で遮蔽されてもよいが、原則的には見通し状態であることを要する。
また、本実施形態の乗員の乗降検知システムにおいて動作する場合には、無線端末300が送信端末として機能する場合には無線端末400は受信端末として機能する。また、無線端末300が受信端末として機能する場合には無線端末400は送信端末として機能する。
また、乗員の有無による受信信号電力の変動が安定的に観測できる位置にUWB無線端末を配置することによって、ミニバンタイプ、ワゴンタイプ等の自動車車内の3列目以降の乗員検知および乗降検知を行うことも可能である。乗員の有無による受信信号電力の変動が安定的に観測できるか否かは、あらかじめ車内で電波伝搬測定を行うことによって判定することができる。
(変形例4)
上記実施形態では、乗員検知する車両に自動車を例によって説明した。しかし、乗員の乗降検知システムが適用できる車両は自動車に限られるわけではない。例えば、バス、鉄道、航空機、宇宙船、船舶、潜水艇の内部空間において、UWB無線を使用した無線端末を適切に配置することによって、乗員の乗降検知専用のデバイスまたはセンサーを用いずに、座席毎の人体検知および乗降検知を実現することが可能である。すなわち、UWB無線の実行中に受信電力および遅延スプレッド値の値をあらかじめ定められたレファレンス値と比較することによって、座席毎の人体検知および乗降検知を実現することが可能である。
実施形態につき、図面を参照しつつ詳細に説明したが、以上の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、上記に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、上記に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
本発明は、専用のカメラやセンサーを使用せずに、車両内の各座席における乗員の有無および乗降の検知を可能とする乗員検知システムおよび乗員検知方法に用いて、極めて有用である。
10・・・乗員
20・・・エンジンルーム
30・・・ファイヤーウォール
40・・・センターコンソール
50・・・トランク
60・・・右前席ドア
70・・・右後席ドア
80・・・左前席ドア
90・・・左後席ドア
100、200、300、400、500・・・無線端末
510・・・無線信号送信部
520・・・無線信号受信部
530・・・算出部
540・・・記録部
550・・・判定部
560・・・外部インターフェース
570・・・アンテナ
580・・・スイッチ

Claims (10)

  1. UWB(Ultra Wide Band)無線を利用して車両内通信を行う通信システムにおける乗員の乗降検知システムであって、
    UWB無線の無線信号を送信する無線端末と、
    前記無線端末から送信された前記無線信号を受信する他の無線端末と、を含み、
    前記他の無線端末は、前記無線信号の受信電力値および前記無線信号の遅延スプレッド値を演算する算出部と、
    前記受信電力値および前記遅延スプレッド値に基づいて、車両に対する乗員の乗降状態を判定する判定部を含むことを特徴とする乗員の乗降検知システム。
  2. 前記判定部は、前記乗員が前記車両に搭乗しておらず、前記車両のすべてのドアが閉まった状態における前記無線信号の受信電力値および前記無線信号の遅延スプレッド値をそれぞれレファレンス受信電力値およびレファレンス遅延スプレッド値として、前記車両に対する前記乗員の前記乗降状態を判定することを特徴とする請求項1に記載の乗員の乗降検知システム。
  3. 前記乗員の前記乗降状態は、前記乗員の前記車両における搭乗状態および非搭乗状態、前記乗員の前記車両に対する乗降車動作、および、前記乗員の前記車両のドアの開閉動作を含み、前記判定部はそれぞれの状態および動作を前記無線信号の受信電力値および前記無線信号の遅延スプレッド値の組み合わせに基づいて区別して判定することを特徴とする請求項1または2に記載の乗員の乗降検知システム。
  4. 前記受信電力値および前記遅延スプレッド値の履歴情報から、乗降車動作における前記乗員の前記車両に対する乗車動作および降車動作、ならびに、前記乗員の前記車両のドアの開閉動作における前記乗員の前記車両のドアを開ける動作および前記ドアを閉める動作を区別して前記判定部が判定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の乗員の乗降検知システム。
  5. 前記受信電力値および前記遅延スプレッド値の直前の履歴情報によって前記乗員の前記車両における搭乗状態または非搭乗状態が判定される場合に、前記乗員の前記車両のドアの開閉動作が続いて判定される場合には、前記車両のドアの開閉動作は前記乗員の前記車両のドアを開ける動作であると前記判定部が判定することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の乗員の乗降検知システム。
  6. 前記受信電力値および前記遅延スプレッド値の複数の履歴情報によって、前記乗員の前記車両のドアを閉める動作が、前記乗員の乗車時であるか、前記乗員の降車時であるかを、前記判定部が判定することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の乗員の乗降検知システム。
  7. 前記UWB無線の前記無線信号を送信する前記無線端末と、前記無線信号を受信する前記他の無線端末とは、前記乗員が前記車両に搭乗した状態で、前記乗員を挟んで少なくとも一部の見通し波が伝搬するように配置されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の乗員の乗降検知システム。
  8. 前記UWB無線の前記無線信号を送信する前記無線端末は前記車両のドアに配置され、前記無線信号を受信する前記他の無線端末は前記車両内の前記乗員の前方に配置され、または、前記UWB無線の無線信号を送信する前記無線端末は前記車両内の前記乗員の前方に配置され、前記無線信号を受信する前記他の無線端末は前記車両の前記ドアに配置されることを特徴とする請求項7に記載の乗員の乗降検知システム。
  9. 前記UWB無線の前記無線信号を送信する前記無線端末は前記車両のドアに配置され、前記無線信号を受信する前記他の無線端末は前記車両内の前記乗員の上方に配置され、または、前記UWB無線の無線信号を送信する前記無線端末は前記車両内の前記乗員の上方に配置され、前記無線信号を受信する前記他の無線端末は前記車両の前記ドアに配置されることを特徴とする請求項7に記載の乗員の乗降検知システム。
  10. UWB(Ultra Wide Band)無線を利用して車両内通信を行う通信システムにおける乗員の乗降検知方法であって、
    無線端末がUWB無線の無線信号を送信するステップと、
    前記無線端末から送信された前記無線信号を他の無線端末が受信するステップと、を含み、
    前記他の無線端末の算出部が、前記無線信号の受信電力値および前記無線信号の遅延スプレッド値を演算するステップと、
    前記他の無線端末の判定部が前記受信電力値および前記遅延スプレッド値に基づいて車両に対する乗員の乗降状態を判定するステップを含むことを特徴とする乗員の乗降検知方法。
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