以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、ステップ、ステップの順序等は、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、より好ましい形態を構成する任意の構成要素として説明される。なお、同一の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
図1は、実施の形態に係る通信監視システム10の構成を示すブロック図である。図2は、図1の通信監視システム10における、受信装置12、検知装置14、記憶装置16、制御装置18、および出力装置20の構成を示すブロック図である。図3は、イベント記録期間の一例を示す図である。図1から図3を参照して、通信監視システム10の構成について説明する。
図1に示すように、通信監視システム10は、受信装置12と、検知装置14と、記憶装置16と、制御装置18と、出力装置20とを備えている。通信監視システム10は、1以上の通信機器1a,1b,1c,1d,1eを備える無線通信ネットワークにおける通信を監視するシステムである。
受信装置12は、電波情報受信部22と、通信制御部24とを有し、無線通信ネットワークにおける電波の状態を示す電波情報を受信する。この実施の形態では、受信装置12が、受信部に相当する。
電波情報受信部22は、無線通信ネットワークにおける電波の状態を示す電波情報を取得する。具体的には、電波情報受信部22は、各時刻における電波情報を逐次受信して逐次取得する。なお、電波情報受信部22は、各時刻における電波情報を、逐次取得するのではなく、所定のタイミングでまとめて取得してもよい。
電波は、無線パケットデータ(無線信号)を含む。具体的には、電波は、無線パケットデータと、無線パケットデータを含まない電波とを含む。
電波情報は、無線パケットデータの状態を示す情報、および無線パケットデータを含まない電波の状態を示す情報を含む。つまり、電波情報は、無線通信ネットワークにおける無線環境を示す無線環境データを含む。具体的には、電波情報は、電波強度、無線パケットデータの内容、無線パケットデータの送信元、無線パケットデータの宛先、無線パケットデータの送信時刻、無線パケットデータの受信時刻、および無線パケットデータの大きさ等を示す情報を含む。たとえば、無線パケットデータは、IEEE802.11a/b/g/n/acの規格の無線パケットデータである。また、電波情報は、スペクトラルデータ、およびスペクトラルデータの受信時刻を含む。スペクトラルデータは、無線信号における各周波数成分の信号強度を一定時間間隔で記録したデータであり、無線信号における各周波数成分の信号強度を示す情報である。
たとえば、電波情報受信部22は、1以上の無線モジュールによって実現される。
通信制御部24は、検知装置14および記憶装置16等と通信を行う。具体的には、通信制御部24は、電波情報受信部22が受信した電波情報を、検知装置14および記憶装置16等に送信する。たとえば、通信制御部24は、プロセッサ等によって実現される。
検知装置14は、イベント検知部26と、イベント記憶部28と、イベント学習部30と、通信制御部32とを有し、無線通信ネットワークにおいて所定のイベントが発生したか否かを監視する。この実施の形態では、検知装置14が、検知部に相当する。
イベント検知部26は、無線通信ネットワークにおける電波の状態を示す電波情報に基づいて、所定のイベントが発生したか否かを検知する。イベント検知部26は、受信装置12等から、当該電波情報を取得する。この実施の形態では、相互に異なる複数の所定のイベントが予め設定されている。複数の所定のイベントは、無線通信ネットワークにおける電波の状態が異常な状態であることを示すイベントを含む。ここで、無線通信ネットワークにおける電波の状態が異常な状態とは、所定のイベントが発生している状態である。所定のイベントは、ユーザ等によって予め設定されている。具体的には、所定のイベントとは、予めユーザが所定の設定ツール(図示せず)を用いて当該検知装置14のイベント記憶部28に記憶させる、無線通信ネットワークにおける通信の状態が異常であることを示す状態(すなわちイベント発生状態)である。より具体的には、設定されるイベントの内容は、例えば、所定の時間(例えば10秒間)、ある通信機器(例えば通信機器1a)から電波情報を取得できない旨である。また、所定のイベントは、イベント学習部30によって自動的に生成されてもよい。所定のイベントの内容を含むイベント情報は、イベント記憶部28に記憶されている。イベント検知部26は、取得した電波情報と、イベント記憶部28に記憶されているイベント情報とに基づいて、所定のイベントが発生したか否かを検知する。
イベント学習部30は、電波情報に基づいて、所定のイベントを生成する。具体的には、イベント学習部30は、電波情報に基づいて、無線通信ネットワークの通常の状態における通信特性を学習し、無線通信ネットワークにおける電波の正常な状態を学習する。そして、イベント学習部30は、学習結果に基づいて、当該電波の状態が異常な状態であることを示すイベントを、所定のイベントとして生成する。
具体的には、たとえば、イベント学習部30は、ユーザによって指定された通信機器(たとえば、通信機器1a)の無線通信状況を含む電波情報を取得する。イベント学習部30は、取得した電波情報を用いて、当該通信機器の正常な状態における単位時間当たりの無線信号送信回数を長期間に亘って記憶する。イベント学習部30は、記憶結果から、当該通信機器の正常な状態における単位時間当たりの無線信号送信回数の期待値を統計的に算出する。イベント学習部30は、「ユーザによって指定された通信機器の単位時間当たりの無線信号送信回数が、期待値を下回る無線信号送信回数になる」ことを内容とするイベントを、無線通信ネットワークにおける電波の状態が異常な状態であることを示すイベントとして生成する。イベント学習部30は、生成したイベントのイベント情報(すなわちこの例では、ユーザによって指定された通信機器の、単位時間当たりの、期待値を下回る無線信号送信回数)をイベント記憶部28に記憶させる。
通信制御部32は、受信装置12、記憶装置16、および制御装置18等と通信を行う。具体的には、通信制御部32は、イベント検知部26が所定のイベントを検知したことを制御装置18に通知する。
たとえば、イベント検知部26、イベント学習部30、および通信制御部32は、プロセッサ等によって実現され、イベント記憶部28は、メモリ等によって実現される。
記憶装置16は、一時記憶部34と、記憶部36とを有し、受信装置12が受信した電波情報を記憶する。たとえば、記憶装置16は、NAS(Network Attached Storage)等のストレージ装置によって実現される。
一時記憶部34は、受信装置12が受信した電波情報を、受信装置12から取得し、一時的に記憶する一時記憶領域である。一時記憶部34に記憶された電波情報は、予め定められた一時記憶期間が経過した場合、および/または制御装置18等からの削除指示があった場合等に削除される。たとえば、受信装置12が電波情報を受信した時刻から一時記憶期間が経過した場合、当該電波情報が削除される。
記憶部36は、イベント検知部26が所定のイベントを検知した場合、一時記憶部34に記憶されている電波情報のうち、当該所定のイベントが発生した時刻を含む記憶期間(以下、イベント記録期間という)における電波情報を記憶する記憶領域である(図3参照)。記憶部36に記憶されている電波情報は、一時記憶期間が経過した場合であっても削除されない。たとえば、イベント記録期間が所定のイベントが発生した時刻の前後1時間である場合、所定のイベントが発生した時刻の前後1時間において受信装置12で受信された電波情報が、記憶部36に記憶される。たとえば、イベント記録期間は、複数の所定のイベント毎に異なる。
制御装置18は、受信装置12、検知装置14、記憶装置16、および出力装置20と通信し、これらを制御する。たとえば、制御装置18は、プロセッサ等によって実現される。制御装置18は、ユーザによる操作を受け付ける操作受付部37を有している。この実施の形態では、制御装置18が、制御部に相当する。
操作受付部37は、出力装置20によって形成される電波の状態を設定するためのユーザによる設定操作を受け付ける。
たとえば、電波の状態は、無線パケットデータの送信間隔、無線パケットデータの宛先、無線パケットデータの送信(信号)強度、送信するべき無線フレーム、無線フレームの内容、およびQoS(Quality of Service)を含む。
たとえば、設定操作は、記憶部36に記憶されている電波情報を編集するための操作である。形成される電波の状態が所望の状態になるように、予め記憶部36に記憶されている電波情報を編集し、編集後の電波情報を出力装置20に送信することによって、編集後の電波情報に基づいて所望の状態の電波を形成させることができる。このように、設定操作は、電波情報を編集する操作であり、これによって、出力装置20によって形成される電波の状態を設定できる。これによって、たとえば、実際の状態よりも不利な状態の電波を出力装置20に形成させ、形成させた電波を用いて、1以上の通信機器1a~1eを動作させることができる。
操作受付部37は、出力装置20が形成した電波を出力装置20に出力させるためのユーザによる出力操作をさらに受け付ける。これによって、ユーザは、所望のタイミングで、出力装置20に電波を出力させることができる。
たとえば、操作受付部37は、制御装置18が備えるハードウェアボタンまたはタッチパネル等(図示せず)によって実現される。
また、操作受付部37は、ネットワークを介して制御装置18に向けて行うユーザによる出力操作を受け付けて、出力装置20に電波を出力させてもよい。
出力装置20は、無線信号送信部38と、電波出力部40と、電波整形部42と、通信制御部44とを有し、記憶部36に記憶されている電波情報に基づいて電波を形成し、形成した電波を監視対象の無線通信ネットワークに向けて出力する。この実施の形態では、出力装置20が、形成部および出力部に相当する。たとえば、出力装置20は、シグナルジェネレータおよび1以上の無線モジュール等によって実現される。
無線信号送信部38は、記憶部36に記憶されている電波情報に基づいて、電波を形成し、形成した電波を出力する。具体的には、無線信号送信部38は、記憶部36に記憶されている電波情報に基づいて、当該電波情報が示す電波の状態と同一の状態の電波を形成し、形成した電波を出力する。無線信号送信部38によって形成される電波は、無線パケットデータを含む電波である。たとえば、無線信号送信部38は、1以上の無線モジュール等によって実現される。
電波出力部40は、記憶部36に記憶されている電波情報に基づいて、電波を形成し、形成した電波を出力する。具体的には、電波出力部40は、記憶部36に記憶されている電波情報に基づいて、当該電波情報が示す電波の状態と同一の状態の電波を形成し、形成した電波を出力する。電波出力部40によって形成される電波は、無線パケットデータを含まない電波(例えば、スペクトラムデータ)である。
なお、制御装置18が設定操作を受け付けた場合、無線信号送信部38および電波出力部40は、記憶部36に記憶されている電波情報と設定操作とに基づいて電波を形成する。具体的には、制御装置18が設定操作を受け付けた場合、電波出力部40は、記憶部36から取得した電波情報を当該設定操作に基づいて編集し、編集した電波情報が示す電波の状態と同一の状態の電波を形成し、形成した電波を出力する。たとえば、電波出力部40は、1以上の無線モジュールまたはシグナルジェネレータ等によって実現される。
電波整形部42は、制御装置18が設定操作を受け付けた場合、記憶部36に記憶されている電波情報と設定操作とに基づいて電波を形成する。電波整形部42によって形成される電波は、無線パケットデータを含み、また、無線パケットデータを含まないスペクトラムデータをも含み得る電波である。具体的には、制御装置18が設定操作を受け付けた場合、電波整形部42は、記憶部36から取得した電波情報を当該設定操作の設定情報に基づいて編集し、編集した電波情報が示す電波の状態と同一の状態の電波を形成し、形成した電波を出力する。たとえば、電波整形部42は、1以上の無線モジュール等によって実現される。
たとえば、ユーザは、制御装置18(たとえば、操作PC)から出力装置20に対して、通信ソフトウェアを用いて接続する。ユーザは、操作PCのコマンドラインユーザインターフェースで接続先の出力装置20に電波形成の指示を出すと共に、記憶部36に記憶されている電波情報のうち、出力装置20による電波の形成に用いる電波情報を選択する。具体的には、出力装置20による電波の形成に用いる電波情報は、たとえば、記憶部36に記憶されている電波情報のうち、ある特定の日時に記憶された電波情報(たとえば、2020年1月1日12時から5分間など)を指定できる。出力装置20は、ユーザによって選択された電波情報に基づいて、電波を形成する。
また、ユーザは、コマンドラインユーザインターフェースを用いて、出力装置20によって形成される電波の状態を設定できる。たとえば、ユーザは、無線パケットデータの送信間隔(例えば、100μs)を設定できる。この場合、出力装置20は、ユーザによって設定された送信間隔で無線パケットデータが送信されるように電波を形成する。当該電波を受信した通信機器(たとえば、通信機器1a)は、ユーザによって設定された送信間隔で無線パケットデータを送信する。その他、ユーザは、たとえば、無線パケットデータの送信先(具体的には送信先装置を識別する識別子など)を自由に設定できる。
なお、コマンドラインユーザインターフェースを用いる場合について説明したが、たとえば、Webページ形式による編集画面を出力装置20に実装し、その編集画面から電波情報(無線パケットデータ等)の編集操作を行ってもよい。また、編集内容を反映したデータ(電波情報)を編集後データとして記憶装置16に記憶し、その編集後データを用いて出力装置20に電波を形成させ、形成させた電波を用いて1以上の通信機器1a~1eの動作を再現するようにしてもよい。
また、ユーザが直接、出力装置20にアクセスして上記操作を行ってもよいし、ユーザが制御装置18を経由して(制御装置18で各操作を集中させるようにして)、上記操作を行ってもよい。
以上、通信監視システム10の構成について説明した。
図4は、図1の通信監視システム10の記憶動作の一例を示すシーケンス図である。図4を参照して、通信監視システム10の記憶動作の一例について説明する。
まず、受信装置12は、電波情報を受信する(受信ステップ)(ステップS1)。具体的には、受信装置12は、無線通信ネットワーク内に存在している1以上の通信機器1a~1eのそれぞれ等から電波情報を受信する。なお、受信装置12は、電波情報を逐次受信するか、または所定のタイミングでまとめて取得する。
受信装置12は、電波情報を受信すると、受信した電波情報を記憶装置16に送信する(ステップS2)。具体的には、受信装置12は、電波情報を受信する度に、受信した電波情報を記憶装置16に送信する。
記憶装置16は、受信装置12から電波情報を取得した場合、取得した電波情報を一時記憶部34に記憶する(ステップS3)。具体的には、記憶装置16は、電波情報を取得する度に、取得した電波情報を一時記憶部34に記憶する。
検知装置14は、記憶装置16が取得した電波情報に対し、所定のイベントが発生しているか否かを監視しており、所定のイベントが発生したことを検知した場合(検知ステップ)(ステップS4)、所定のイベントが発生したことを検知したことを制御装置18に通知する(ステップS5)。
たとえば、所定のイベントとして、「10秒間に、監視対象の無線通信ネットワーク内に存在する通信機器1aを送信元とした無線信号を、受信装置12が受信しない」というイベント1が予め設定されているとする。この場合、検知装置14は、受信装置12から電波情報をリアルタイムで取得し、取得した電波情報に基づいて、10秒間に、監視対象の無線通信ネットワーク内に存在する通信機器1aを送信元とした無線信号を、受信装置12が受信したか否かを判定する。検知装置14は、10秒間に、監視対象の無線通信ネットワーク内に存在する通信機器1aを送信元とした無線信号を、受信装置12が受信していなければ、イベント1が発生したことを検知する。
また、たとえば、所定のイベントとして、「Error(たとえば、切断通知またはFCS(Frame Check Sequence)エラー)データを含んだ無線パケットデータが監視対象の無線通信ネットワークに流れる」というイベント2が予め設定されている。この場合、検知装置14は、受信装置12から電波情報をリアルタイムで取得する。検知装置14は、受信装置12から、無線通信ネットワーク内を流れる無線パケットデータを取得し、取得した無線パケットデータにErrorデータが含まれているか否かを判定する。検知装置14は、取得した無線パケットデータにErrorデータが含まれていれば、イベント2が発生したことを検知する。
また、たとえば、所定のイベントとして、「毎日15:00から16:00の間において、単位時間当たりに通信機器1aから送信される無線パケットデータの総バイト数が、1MBを下回る」というイベント3が予め設定されている。この場合、検知装置14は、受信装置12から電波情報をリアルタイムで取得し、毎日15:00から16:00の間に、単位時間当たりに通信機器1aから送信される無線パケットデータの総バイト数を算出し続け、算出した総バイト数が1MBを下回っているか否かを判定する。検知装置14は、算出した総バイト数が1MBを下回っていれば、イベント3が発生したことを検知する。
また、たとえば、検知装置14は、所定のイベントを自ら生成し、生成した所定のイベントが発生しているか否かも監視し、生成した所定のイベントが発生したことを検知した場合、制御装置18に通知する。
制御装置18は、検知装置14から所定のイベントが発生したことを示す通知を受信すると、電波情報の記憶指示を記憶装置16に送信する(ステップS6)。なお、記憶指示は、イベント記録期間をどれぐらいの期間にするか、および/または1以上の通信機器1a~1eのうちのいずれの通信機器についての電波情報を記憶部36に記憶するかという記憶条件を含む。
記憶装置16は、記憶指示を受信した場合、記憶指示に基づいて、一時保管部34に記憶されている電波情報を記憶部36に記憶する(記憶ステップ)(ステップS7)。上述したように、たとえば、記憶指示は、イベント記録期間をどれぐらいの期間にするかという記憶条件を含む。たとえば、イベント記録期間が、所定のイベントが発生した時刻の1時間前から当該時刻の1時間後までの期間である場合、記憶装置16は、一時保管部34に記憶されている電波情報のうち、検知装置14によって検知された所定のイベントが発生した時刻の1時間前から当該時刻の1時間後までの間に受信装置12で受信された電波情報を、記憶部36に記憶する。このように、記憶部36は、一時保管部34に記憶されている電波情報のうちイベント記録期間において受信装置12で受信された電波情報を記憶する。
記憶装置16は、一時保管部34に記憶されている電波情報のうち、一時記憶期間が経過した電波情報を削除する(ステップS8)。
以上、通信監視システム10の記憶動作の一例について説明した。
図5は、図1の通信監視システム10の出力動作の一例を示すシーケンス図である。図5を参照して、通信監視システム10の出力動作の一例について説明する。
制御装置18は、ユーザによる出力操作および設定操作を受け付けた場合(ステップS11)、出力装置20に電波情報を出力させるための出力指示を、出力装置20に送信する(ステップS12)。なお、制御装置18は、出力操作および設定操作のうちの出力操作のみを受け付けた場合についても、出力指示を出力装置20に送信する。
記憶部36に、複数の所定のイベント(たとえば、イベント1~3)に関する複数の電波情報が記憶されている場合、ユーザは、出力操作によって、複数の電波情報のうちのいずれの電波情報に基づいて電波を出力させるか、つまり、複数の所定のイベントのうちのいずれの所定のイベントについての動作を再現させるかを選択する。出力指示は、ユーザによって選択された電波情報がどれであるかを示す情報を含む。
制御装置18は、ユーザによる出力操作および設定操作を受け付けた場合(ステップS11)、電波情報の受信を停止させるための停止指示を、受信装置12に送信する(ステップS13)。なお、制御装置18は、出力操作および設定操作のうちの出力操作のみを受け付けた場合についても、停止指示を受信装置12に送信する。受信装置12は、制御装置18から停止指示を受信した場合、電波情報の受信を停止する。つまり、受信装置12は、制御装置18から停止指示を受信した場合、電波情報を受信しない。なお、たとえば、受信装置12は、電波情報の受信を停止した後、制御装置18等から電波情報の受信を開始する開始指示を受信した場合、電波情報の受信を開始する。
なお、制御装置18は、ユーザによる出力操作および設定操作を受け付けた場合(ステップS11)、電波情報の受信を停止させるための停止指示を、受信装置12に送信する(ステップS13)ことを省略してもよい。つまり、受信装置12は、ユーザによる出力操作および設定操作の受け付けにかかわらず、電波情報の受信を継続してもよい。このようにすることで、出力装置20によって形成した電波を用いて通信機器1a~1eを動作させている状態における電波情報を取得できる。
出力装置20は、制御装置18から出力指示を受信した場合、出力指示に基づいて、電波情報を記憶装置16に要求する(ステップS14)。具体的には、記憶部36に記憶されている複数の電波情報のうちユーザによって選択された電波情報を要求する。
記憶装置16は、出力装置20から電波情報の要求を受けた場合、要求された電波情報を送信する(ステップS15)。具体的には、記憶装置16は、記憶部36に記憶されている複数の電波情報のうち、要求された電波情報を送信する。
出力装置20は、出力指示と記憶装置16から受信した電波情報とに基づいて、電波を形成する(形成ステップ)(ステップS16)。
具体的には、制御装置18が設定操作を受け付けていない場合、出力装置20は、記憶装置16から取得した電波情報を用いて、当該電波情報が取得されたイベント記録期間における電波を再現し、再現した電波つまり当該イベント記録期間における電波と同一の電波を形成する。
制御装置18が設定操作を受け付けた場合、出力装置20は、記憶装置16から取得した電波情報を用いて、ユーザによって設定された状態の電波を形成する。たとえば、ユーザが無線パケットデータの送信間隔を設定した場合、出力装置20は、ユーザによって設定された送信間隔で無線パケットデータを送信させるように電波を形成する。つまり、この場合、編集後の電波情報に基づいて形成される電波は、無線パケットデータの送信間隔が編集前の電波情報に基づいて形成される電波とは異なり、その他の状態については当該電波と同様である。
出力装置20は、電波を形成すると、形成した電波を無線通信ネットワークに向けて出力する(出力ステップ)(ステップS17)。具体的には、出力装置20は、形成した電波に含まれる無線パケットデータを、1以上の通信機器1a~1eのうち動作を行わせる通信機器に送信する。また、たとえば、出力装置20は、形成した電波のうち無線パケットデータを含まない電波を、無線通信ネットワークに向けて発信する。1以上の通信機器1a~1eのうち、出力装置20から電波を受信した通信機器は、当該電波に基づいて動作する。
以上、通信監視システム10の出力動作の一例について説明した。
通信監視システム10によれば、記憶部36は、受信装置12が受信した電波情報のうち、所定のイベントが発生した時刻を含むイベント記録期間における電波情報を記憶する。また、出力装置20は、記憶部36に記憶されている電波情報に基づいて電波を形成する。出力装置20が形成した電波を受信した1以上の通信機器1a~1eは、当該電波に基づいて動作を行う。このように、記憶部36はイベント記録期間以外の期間における電波情報を記憶する必要がないので、記憶する情報量が増加することを抑制しつつ、所定のイベントの発生に関係する通信機器の動作を再現できる。
また、出力装置20で形成した電波を出力することができるので、1以上の通信機器1a~1eを、当該電波に基づいて容易に動作させることができる。
また、所定のイベントは、無線通信ネットワークにおける電波の状態が異常な状態であることを示すイベントであるので、無線通信ネットワークにおける電波の状態が異常な状態であることを示すイベントの発生に関係する通信機器1a~1eの動作を再現できる。
また、検知装置14は、電波情報に基づいて無線通信ネットワークにおける電波の正常な状態を学習し、学習した結果に基づいて当該電波の状態が異常な状態であることを示すイベントを生成するので、検知装置14によって、無線通信ネットワークにおける電波の状態が異常な状態であることを示すイベントを自動的に生成できる。
また、出力装置20によって形成される電波の状態を設定するためのユーザによる設定操作を受け付ける制御装置18をさらに備え、出力装置20は、制御装置18が設定操作を受け付けた場合、記憶部36に記憶されている電波情報と設定操作とに基づいて電波を形成するので、出力装置20によって形成される電波の状態を、ユーザが設定することができ、ユーザの所望の状態の電波を出力装置20に形成させることができる。
また、制御装置18は、出力装置20が形成した電波を出力装置20に出力させるための出力操作をさらに受け付け、受信装置12は、制御装置18が出力操作を受け付けた場合、電波情報を受信しないので、出力装置20が形成した電波を出力して、1以上の通信機器1a~1eを動作させる場合に、不要な電波情報を受信することを抑制できる。これにより、出力装置20が形成した電波は、ユーザの所望の状態の電波となり、より精度よくユーザの所望の状態の電波を出力でき、イベント発生直前後の電波の状態をユーザは正確に知ることができる。
また、相互に異なる複数の所定のイベントが設定されており、イベント記録期間は、複数の所定のイベント毎に異なっているので、イベント記録期間が短くてもよい所定のイベントについては、イベント記録期間を短くすることによって、記憶部36に記憶される電波情報の情報量を少なくすることができる。
(他の実施の形態)
上述した実施の形態では、通信監視システム10が、受信装置12、検知装置14、記憶装置16、制御装置18、および出力装置20を備えている場合、つまり、通信監視システム10が、複数の装置によって実現される場合について説明したが、これに限定されない。たとえば、通信監視システムは、1つの装置によって実現されてもよい。具体的には、たとえば、通信監視システムは、1つの装置の筐体内に、受信部、検知部、記憶部、制御部、および出力部を備えることによって実現されてもよい。
上述した実施の形態では、通信監視システム10が、5個の通信機器1a~1eを備えている場合について説明したが、これに限定されない。通信監視システムは、1以上の通信機器を備えていればよい。
上述した実施の形態の通信監視システム10では、無線通信ネットワークにおける電波の状態を監視する例で説明したが、これに限定されない。たとえば、他の実施の形態において、通信監視システム10は、1以上の通信機器を備える通信ネットワーク(たとえば、有線通信ネットワーク)における通信を監視してもよい。具体的には、通信監視システム10は、通信ネットワークのパケットデータ等を含む信号を監視し、所定のイベントが発生したか否か検知してもよい。たとえば、信号は、電気信号および/または光信号を含み、通信ネットワークにおける信号は、通信ネットワーク内のケーブルを流れる電気信号、および/または通信ネットワーク内のケーブルを流れる光信号を含む。また、たとえば、信号は、電波の信号を含む。以下、信号の状態を示す情報を総称して信号情報という。
このような場合、例えば、受信装置12は、通信ネットワークにおける信号の状態を示す信号情報を受信し、検知装置14は、信号情報に基づいて、所定のイベントが発生したか否かを検知する。具体的には、イベント検知部26は、イベント検知対象の通信ネットワーク内で通信されるパケットデータの情報を含む信号情報に基づいて、所定のイベントが発生したか否かを検知する。イベント検知部26は、イベント検知対象の通信ネットワーク内に存在するハブ等から、当該パケットデータの情報を含む信号情報を取得する。記憶部36は、所定のイベントが発生したことを検知装置14が検知した場合、受信装置12が受信した信号情報のうち、当該所定のイベントが発生した時刻を含むイベント記録期間における信号情報を記憶する。出力装置20は、記憶部36に記憶されている信号情報に基づいて信号を形成する。出力装置20が形成した信号を1以上の通信機器に送信することによって、当該1以上の通信機器を動作させることができる。また、他の実施の形態では、相互に異なる複数の所定のイベントが予め設定されていてもよい。
同様に、イベント記憶部28およびイベント学習部30もパケットデータの情報を含む信号情報に基づいて、上述した実施の形態の各機能部と同様に動作する。
上述した実施の形態では、所定のイベントが、無線通信ネットワークにおける電波の状態が異常な状態であることを示すイベントを含む場合について説明したが、たとえば、所定のイベントは、無線通信ネットワークにおける電波の状態が正常な状態であることを示すイベントを含んでいてもよい。
なお、通信監視システムを構成する各装置は、互いに1つの装置内に構成されてもよい。例えば、受信装置および出力装置が1つの装置内に備わっていてもよい。また、通信監視システムは、互いの装置(例えば受信装置など)がさまざまな組み合わせ(例えば、受信装置、検知装置、および出力装置などの装置、と記憶装置および制御装置などの装置など)で構成される複数の装置によって、構成されてもよい。つまり、たとえば、通信監視システムは、2つの装置を有しており、2つの装置のうちの一方の装置内には、受信装置、検知装置、および出力装置が構成されており、2つの装置のうちの他方の装置内には、記憶装置および制御装置が構成されており、当該2つの装置が互いに通信し合うことによって、通信監視システムが実現(構築)されてもよい。なお、通信監視システムは、2つの装置ではなく、互いに通信可能な3つ(4つ)の装置を有していてもよく、受信装置、検知装置、出力装置、記憶装置、および制御装置のそれぞれが、当該3つ(4つ)の装置のうちのいずれかの装置内に備えられることによって、通信監視システムが実現(構築)されてもよい。
なお、本発明は、システムとして実現できるだけでなく、そのシステムを構成する処理手段をステップとする方法として実現したり、それらステップをコンピュータに実行させるプログラムとして実現したり、そのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体として実現したり、そのプログラムを示す情報、データ又は信号として実現したりすることもできる。そして、それらプログラム、情報、データ及び信号は、インターネット等の通信ネットワークを介して配信してもよい。
以上、本発明の通信監視システム等について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。