JP7242272B2 - ディザマトリクスの生成装置、生成方法、当該ディザマトリクスを用いた画像処理装置、画像処理方法、及びプログラム - Google Patents
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図2は、画像処理部107及び画像形成部108の内部構成を示したブロック図である。まず画像形成部108から説明する。画像形成部108は、ヘッド駆動部211と記録ヘッド212を有する。記録ヘッド212は、インクを吐出可能なノズル(記録素子)を複数配列したノズル列で構成される。本実施形態の記録ヘッド212の場合、CMYKの各インクに対応した4つのノズル列を備える。図5は、記録ヘッド212を構成するノズル列の説明図である。例えば1200dpiの出力解像度を持つプリンタ100の場合、1インチ当たり1200個のノズルが並ぶことになる。このようなノズル列が、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4種類のインクそれぞれについて存在する。本実施形態の記録ヘッド212は、ノズル列に平行な方向(ノズル並び方向、y方向)に、描画領域の全範囲をカバーする長尺のいわゆるフルライン型の記録ヘッドであるものとする。ヘッド駆動部211は、画像処理部107から入力されたハーフトーン画像データに基づいて、記録ヘッド212を制御するための駆動信号を生成する。記録ヘッド212は、駆動信号に基づき、y方向と交差するノズル列に垂直な方向(用紙搬送方向、x方向)に相対移動しつつ用紙上にドットを生成することにより、画像形成を行う。
一般的なディザ処理では、入力画像データにおける各画素値が一様ではない場合、ディザマトリクスに対応する処理対象領域に含まれる各画素の濃度パターンと、ディザマトリクスにおける閾値パターンとが干渉し、所望の出力結果が得られないことがある。一例を挙げて説明する。例えば、周辺画素よりも大きい画素値を持つ画素については、周辺画素よりも高い確率で、ドットをオンにする2値データ(出力値“1”)に変換した方が良いと言える。しかしながら、ディザマトリクスの閾値の方が画素値よりも大きい場合は、周辺画素よりも大きい画素値を持つ画素であっても、ドットをオフにする2値データ(出力値“0”)に変換されることになる。その結果、入力画像データの解像度や画像特徴が失われてしまう場合がある。特に、スジムラ補正を施した後の画像データにおける画素値はノズル毎に変動するため、出力結果における劣化が目立ちやすい。一方、入力画像データにおける各画素値が一様(すなわち、処理対象領域に含まれる各画素の階調値が一様)である場合、ディザマトリクス内の閾値パターンに基づいてドットが配置される。ディザマトリクスは、ディザ処理の結果得られるドットができるだけ分散し、粒状性がよくなるように設計されているため、処理対象領域内の画素値は均一化され、粒状性の良好な出力結果を得ることができる。しかしながら、スジムラ補正を施した後の画像において処理対象領域に含まれる各画素の画素値を均一化してしまうと、スジムラ補正を抑制するように決定したノズル毎の出力値が適切に再現されなくなり、スジムラ補正の効果が低減してしまう。
図13は、本実施形態に係る、量子化処理部203’の内部構成を示すブロック図である。本実施形態の量子化処理部203’は、画素値取得部601、閾値取得部602、合計ドット数導出部603、ドット分配順決定部604、目標ドット数導出部1301、合計ドット数変更部1302、出力ドット決定部605’を有する。図14のフローチャートを参照して、各部の動作を説明する。なお、以下の説明において記号「S」はステップを表す。
一般的なディザマトリクスは、均一な階調の画像データをディザ処理した結果においてドットができるだけ分散し粒状性が良くなるように、すなわち、ドット分散性が等方的となるように、閾値が配置されている。そのため、均一な階調の画像データに対しては、粒状性の良好な出力結果を得ることができる。このような一般的なディザマトリクスを、ノズル列に平行なy方向において画素値が一様ではない画像データに対して適用すると、狙った粒状性が得られなかった。これは、ディザマトリクスを構成する複数の閾値のうちオンドットになりやすい小さい閾値が、同一ノズルについて特定の領域に偏ると、当該ノズルについてのドット配置に偏り(ドットの疎密)が発生するためである。特に、スジムラ補正が施された後の画像データのように、ノズル毎に平均階調値が異なる画像データをディザ処理した場合、ノズル単位でのドットの疎密が顕在化し、粒状性を劣化させてしまう。
続いて、x方向のドット分散性を、その他の方向のドット分散性よりも高くなるように閾値配置を調整した改良型ディザマトリクスの作成方法について説明する。図16は、改良型ディザマトリクスの作成に用いる一般的なコンピュータ(情報処理装置)のハードウェア構成の一例を示す図である。図16に示す情報処理装置1600は、CPU1601、ROM1602、RAM1603、HDD1604及びネットワークI/F1605を有する。CPU1601は、プラグラム等に従って情報処理装置1600全体の動作を制御する。RAM1603は、CPU1601の主メモリ、ワークエリア等の一時記憶領域として用いられる。HDD1604は、各種プログラムを記憶する大容量記憶部である。本実施形態に係る改良型ディザマトリクスの作成は、HDD1604等に格納された対応する制御プログラムをRAM1603に展開し、CPU1601がこれを実行することで実現される。ネットワークI/F1605は、情報処理装置1600をLAN等のネットワークに接続するインターフェースである。情報処理装置1600は、ネットワークI/F1605を用いて、LAN上のプリンタ100に対してディザマトリクスのデータを提供する。図17は、情報処理装置1600における、改良型ディザマトリクスの作成を実現するソフトウェア構成を示すブロック図である。図17に示すとおり、ドットパターン生成部1701、フィルタ部1702、ドット配置部1703が協働することにより、改良型ディザマトリクスが作成される。なお、図17に示す要素の一部又は全部をハードウェア(回路)で実現してもよい。
S1807では、ディザ処理の対象となる入力画像データの画素値のレンジに応じて、ディザマトリクスの閾値のレンジが調整される。本ステップまで処理が進んだ段階で、ディザマトリクスM(x,y)には、1~gMAXまで(本実施形態の場合は1~65536)の値が格納されている。ディザ処理を行う際の入力画像の信号値が例えば8ビットで表される場合は、画素値のレンジが0~255であるため、1~65536までの閾値が格納されたディザマトリクスを使用しても、適切な量子化結果を得ることができない。そこで、本ステップにおいて、想定される入力画像の信号値のビット数に合うように、ディザマトリクスM(x,y)の値のレンジを調整する。例えば、ディザマトリクスの値のレンジをthMINからthMAXに変更したい場合は、レンジ調整後のディザマトリクスの値は、a×M(x,y)+bの整数部となる。ただし、a=(thMAX-thMIN)÷(gMAX-gMIN)、b=thMIN-a×gMINである。なお、レンジ調整の方法は上述の方法に限らず、公知の方法を用いればよい。
続いて、S1802のフィルタ処理で使用するフィルタ係数fについて説明する。このフィルタ係数fは、二次元配列であり、本実施形態ではドットパターンd(g)と同じサイズとする。すなわち、x方向のフィルタサイズをSfx、y方向のフィルタサイズをSfyとしたとき、Sfx=Sfy=256とする。ドットからの距離rが下記の式(1)で表されるとき、本実施形態のフィルタ係数fは下記の式(2)で表される。
本実施形態に係る改良型ディザマトリクスを用いて、実施形態1又は2で説明したディザ処理を行った場合の効果を説明する。前述した2つの実施形態におけるディザ処理では、スジムラ補正が施された後の画像データにおける画素値がノズル列に垂直なx方向に均一化されるように量子化されるので、x方向において望ましい出力結果を得ることができる。さらに、本実施形態の改良型ディザマトリクスを用いることで、ノズル列に平行なy方向に画素値の変動があったとしても、粒状性の良好なドット配置を実現することが可能となる。つまり、入力画像データの各画素値におけるx方向の変動に対しては、実施形態1及び2のディザ処理手法によって画素値が均一化されるように量子化することで、入力画像データが表す濃度パターンとディザマトリクスにおける閾値パターンとの干渉を抑制する。一方で、入力画像データの各画素値におけるy方向の変動に対しては、改良型ディザマトリクスを用いることで、上述の干渉を抑制する。これにより、入力画像データにおける濃度パターンの変動に関わらず、ノズル毎のスジムラ補正の精度を維持しつつ、粒状性の良好な高品質なハーフトーン画像データを得ることができる。また、入力画像データにおける濃度パターンの変動に依存しないため、入力画像データの特徴に応じてディザマトリクスを切り替える等の処理が不要になるというメリットもある。したがって、スジムラ補正の強弱に関わらず、入力画像全体に同一のディザマトリクスを用いてディザ処理することが可能となる。
なお上述の実施形態では、フルライン型の記録ヘッドについて説明したが、シリアル型の記録ヘッドであってもよい。シリアル型の場合には、記録媒体上における同じ領域に記録ヘッドを用いて複数回記録走査することにより画像を形成する。この時、1回の記録走査において、フルライン型と同様にスジムラが生じる場合がある。そのため上述の実施形態と同様に、ノズルごと補正処理を実行する場合に、1ノズルに対応する1次元領域ごとに、量子化処理を実行することにより、同様の効果を奏することができる。また、x方向とy方向は必ずしも垂直に交差していなければならないというわけではなく、用紙搬送方向がノズル並び方向に対して凡そ垂直であればよい。例えば、ノズル列が用紙搬送方向に対して一定の傾きを持っていてもよいし、シリアル型の記録ヘッドを構成する各ノズル列が波型に連結されていてもよい。
108 画像形成部
202 補正処理部
203 量子化処理部
Claims (10)
- 複数の記録素子が第一方向に配列された記録素子列を有する記録ヘッドに、前記第一方向と交差する第二方向に記録媒体を相対移動させることにより前記記録媒体上の所定領域に画像形成するために使用される画像データを処理する画像処理装置において、
前記画像形成の際に前記記録素子間のばらつきにより発生し得るムラを打ち消すように、前記画像データにおける画素値を補正する補正手段と、
前記補正後の画像データに、前記所定領域の画素にそれぞれ対応する複数の閾値からなるディザマトリクスを用いて量子化処理を行う量子化手段と、
を備え、
前記量子化手段は、前記補正後の画像データにおいて前記所定領域に含まれ前記第二方向に並ぶ1画素幅の1次元領域を構成する複数画素の画素値の平均値と、前記ディザマトリクスにおける前記複数の閾値との比較処理の結果に基づいて、前記所定領域におけるドット配置を決定する
ことを特徴とする画像処理装置。 - 前記量子化手段は、
前記比較処理によって得られたドットパターンに含まれるオンドットの数に基づき、前記複数画素におけるオンドットの合計数を導出する合計ドット数導出手段と、
前記複数画素におけるオンドットの分配順を決定する分配順決定手段と、
前記合計数と前記分配順とに基づいて、前記複数画素においてオンドットとする画素を決定する出力ドット決定手段と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。 - 前記所定領域は、前記複数画素が、前記第一方向に連続して複数並んだ2次元領域であり、
前記量子化手段は、
前記比較処理によって得られたドットパターンに含まれるオンドットの数に基づき、前記複数画素におけるオンドットの合計数を導出する合計ドット数導出手段と、
前記2次元領域におけるオンドットの目標数を導出する目標ドット数導出手段と、
前記複数画素におけるオンドットの分配順を決定する分配順決定手段と、
前記2次元領域を構成する複数の前記複数画素における前記合計数の総計が、前記目標数と一致するように、前記合計数を変更する変更手段と、
前記変更後の合計数と前記分配順とに基づいて、前記2次元領域を構成する複数の前記複数画素においてオンドットとする画素を決定する出力ドット決定手段と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。 - 前記分配順決定手段は、前記各画素についての評価値が高い画素から順に、ドットを配置すべき優先順位の高い画素として決定することを特徴とする請求項2又は3に記載の画像処理装置。
- 前記評価値は、前記複数画素の各画素の画素値と、当該各画素に対応する前記ディザマトリクス内の閾値との差分であることを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
- 前記評価値は、前記複数画素の各画素に対応する前記ディザマトリクス内の閾値であることを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
- 前記複数画素は、インクを吐出する1つのノズルに対応することを特徴とする請求項2乃至6のいずれか1項に記載の画像処理装置。
- 前記ディザマトリクスは、均一な階調を持つ前記画像データに対して前記量子化処理を行って得られたドットパターンにおける、前記第一方向の空間周波数成分の低周波成分が、前記第二方向の空間周波数成分の低周波成分と比較して抑圧されているディザマトリクスであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像処理装置。
- 複数の記録素子が第一方向に配列された記録素子列を有する記録ヘッドに、前記第一方向と交差する第二方向に記録媒体を相対移動させることにより前記記録媒体上の所定領域に画像形成するために使用される画像データを処理する画像処理方法において、
前記画像形成の際に前記記録素子間のばらつきにより発生し得るムラを打ち消すように、前記画像データにおける画素値を補正する補正ステップと、
前記補正後の画像データに、前記所定領域の画素にそれぞれ対応する複数の閾値からなるディザマトリクスを用いて量子化処理を行う量子化ステップと、
を含み、
前記量子化ステップでは、前記補正後の画像データにおいて前記所定領域に含まれ前記第二方向に並ぶ1画素幅の1次元領域を構成する複数画素の画素値の平均値と、前記ディザマトリクスにおける前記複数の閾値との比較処理の結果に基づいて、前記所定領域におけるドット配置を決定する
ことを特徴とする画像処理方法。 - コンピュータを、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の画像処理装置として機能させるためのプログラム。
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