JP6221838B2 - 印刷装置、印刷用データ生成装置およびその方法、ならびに印刷用データ生成プログラム - Google Patents

印刷装置、印刷用データ生成装置およびその方法、ならびに印刷用データ生成プログラム Download PDF

Info

Publication number
JP6221838B2
JP6221838B2 JP2014041098A JP2014041098A JP6221838B2 JP 6221838 B2 JP6221838 B2 JP 6221838B2 JP 2014041098 A JP2014041098 A JP 2014041098A JP 2014041098 A JP2014041098 A JP 2014041098A JP 6221838 B2 JP6221838 B2 JP 6221838B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
data
value
threshold value
error diffusion
gradation
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014041098A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015167307A (ja
JP2015167307A5 (ja
Inventor
明生 山▲崎▼
明生 山▲崎▼
角谷 繁明
繁明 角谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seiko Epson Corp filed Critical Seiko Epson Corp
Priority to JP2014041098A priority Critical patent/JP6221838B2/ja
Publication of JP2015167307A publication Critical patent/JP2015167307A/ja
Publication of JP2015167307A5 publication Critical patent/JP2015167307A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6221838B2 publication Critical patent/JP6221838B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、画像データを用いて印刷する技術および印刷用データを生成する技術に関する。
多階調の画像データを、階調数の少ないドットデータにより印刷するハーフトーン処理としては、階調数変換をした場合の濃度誤差を周辺の画素に配分する誤差拡散法や、分散性のよい閾値配置がなされたディザマスクを用いてドットデータを生成する組織的ディザ法などが知られている。ブルーノイズ特性を付与されたディザマスクを用いたり、ベイヤー型ディザマスクを用いたりする場合、ドット配置の分散性は良好なものとなり、階調変化が比較的小さいデータが2次元的な広がりを持っている画像の再現性に優れる。また、こうした組織的ディザ法は、ディザマスクにおける閾値の配置に特定の特性を与えることで、ドットの形成を制御できるという利点がある。
例えば、下記特許文献1に示す手法は、双方向印字を行なう場合の往動時のドット形成の判断に用いるディザマスクと、復動時のドット形成の判断に用いるディザマスクとを独立に作成する。それぞれのディザマスクにブルーノイズ特性を付与することで、双方印字位置のドット形成位置のズレに対して画質低下の少ない印刷を可能としている。
こうしたディザ法と誤差拡散法との利点を共に生かす技術を、出願人は、提案している(下記特許文献2参照)。この技術では、着目している画素の階調値をまずディザマスクを構成する閾値と比較し、その比較結果によって、誤差拡散法に用いる閾値を異ならせ、かつその閾値を着目画素の階調値により変化させる。
特開2007−15359号公報 特開2011ー66594号公報 特許第3360391公報
かかる手法は、生成させるドットデータに、誤差拡散法とディザ法のそれぞれの特長が反映される度合いを、コントロールすることができる優れたものであり、その応用範囲は広い。出願人は、この手法を更に改良し、階調値によらず、特異なテクスチャが生じることがなく、印刷された画像の品質を一層高めることができた。本発明の手法を用いれば、画像データの特定の階調値で、誤差拡散法の影響による特異なテクスチャの発生という課題を解決することができる。また、従来の画像処理や印刷においては、装置の小型化や、低コスト化、省資源化、製造の容易化、使い勝手の向上等が望まれてもいた。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本発明の一実施形態として、所定の画像を表す画像データの印刷を行う印刷装置が提供される。この印刷装置は、前記画像データを入力する入力部と、前記画像データに基づいて、ドットの形成の有無を表すドットデータを生成するハーフトーン処理部と、前記生成されたドットデータを用いて、前記画像の印刷を行う印刷部とを備える。前記ハーフトーン処理部は、複数の閾値の1つと、前記入力された画像データの階調値であるデータ階調値とを比較する比較部と、前記データ階調値を、誤差拡散法におけるドット形成の有無の判断に用いる閾値である誤差拡散法用閾値と比較することにより、前記ドットデータを生成する誤差拡散部とを備えて良い。ここで、誤差拡散法用閾値は、前記比較部の比較結果が、前記データ階調値が前記閾値以上の場合には、前記データ階調値が前記閾値未満である場合に設定される高位閾値より小さな低位閾値に設定される。前記低位閾値は、前記データ階調値に応じて定められ、かつ所定の階調範囲で下に凸の特異部を有してよい。
この印刷装置では、低位閾値を、前記データ階調値に応じて定め、かつ所定の階調範囲で下に凸の特異部を有するものとすることにより、誤差拡散法により特定の階調で特異なテクスチャが発生することを抑制できる。
(2)こうした印刷装置において、前記高位閾値を、前記データ階調値に応じて定め、かつ前記所定の階調範囲で上に凸の特異部を有するものとしてよい。こうすれば、特異なテクスチャの発生を更に抑制することができる。
(3)前記複数の閾値は、組織的ディザ法に用いるディザマスクとして用意されてよい。こうすれば、ディザ法による影響を強めた場合に、組織的ディザ法よるドットデータの生成に近い特性のドットデータを得ることができる。
(4)前記ディザマスクは、ブルーノイズ特性を有するものとしてよい。こうすれば、ディザ法による影響の下で生成されるドットデータにブルーノイズ特性に近い特性を付与することができる。
(5)前記低位閾値は、前記データ階調値が、予め定めた値以下では、前記データ階調値の最小値未満の値に設定されてよい。こうすれば、低位閾値を用いて誤差拡散法によるドット形成の有無を判断すると、必ずドットが形成されることになり、ドットデータの特性をディザ法による特性に一致させることができる。
(6)前記ハーフトーン処理部は、前記データ階調値が、前記所定の値を含む所定の範囲において、前記データ階調値が前記閾値以上の場合には、前記誤差拡散部による処理に代えて、前記比較部の比較結果に基づいて、前記ドットデータを生成するものとして良い。こうすれば、誤差拡散処理の一部を省略でき、処理の負担を軽減することができる。
(7)前記特異部は、前記データ階調値の最大階調数に対して整数比の関係となる階調値を少なくとも1つ含むものとしてよい。誤差拡散法による特異なテクスチャは、データ階調値の最大階調数に対して整数比の関係となる階調値の付近で生じやすいことが知られているからである。
(8)本発明は、所定の画像を表す画像データの印刷用データを生成する印刷用データ生成装置として実施することができる。かかる印刷用データ生成装置は、前記画像データを入力する入力部と、前記画像データに基づいて、ドットの形成の有無を表すドットデータを生成するハーフトーン処理部と、を備えて良い。前記ハーフトーン処理部は、複数の閾値の1つと、前記入力された画像データの階調値であるデータ階調値とを比較する比較部と、前記データ階調値を、誤差拡散法におけるドット形成の有無の判断に用いる閾値である誤差拡散法用閾値と比較することにより、前記ドットデータを生成する誤差拡散部とを備えて良い。前記誤差拡散法用閾値は、前記比較部の比較結果が、前記データ階調値が前記閾値以上の場合には、前記データ階調値が前記閾値未満である場合に設定される高位閾値より小さな低位閾値に設定されて良い。低位閾値は、前記データ階調値に応じて定められ、かつ所定の階調範囲で下に凸の特異部を有してよい。
かかる印刷用データ生成装置では、低位閾値を、前記データ階調値に応じて定め、かつ所定の階調範囲で下に凸の特異部を有するものとすることにより、誤差拡散法により特定の階調で特異なテクスチャが発生することを抑制するデータを生成することができる。
(9)本発明は、この他、方法やプログラムとしても実施可能である。例えば、所定の画像を表す画像データの印刷用データを生成する方法としても実施できる。この方法は、前記画像データを入力し、複数の閾値の1つと、前記入力された画像データの階調値であるデータ階調値とを比較し、前記比較により、前記データ階調値が前記閾値未満の場合には、誤差拡散法におけるドット形成の有無の判断に用いる閾値である誤差拡散法用閾値を、前記データ階調値が前記閾値未満である場合に設定される高位閾値より小さな低位閾値に設定し、該設定した前記誤差拡散法用閾値を用いて、前記誤差拡散法により、前記ドット形成の有無を表すドットデータを生成して良い。ここで、低位閾値は、前記データ階調値に応じて定められ、かつ所定の階調範囲で下に凸の特異部を有するものとしてよい。かかる印刷用データの生成方法によっても、前述の印刷装置と同様の作用効果を奏することができる。
(10)また、所定の画像を表す画像データの印刷用データを生成するための印刷用データ生成プログラムとして実施することもできる。このプログラムは、前記画像データを入力する機能と、複数の閾値の1つと、前記入力された画像データの階調値であるデータ階調値とを比較する機能と、前記比較により、前記データ階調値が前記閾値以上の場合には、誤差拡散法におけるドット形成の有無の判断に用いる閾値である誤差拡散法用閾値を、前記データ階調値が前記閾値未満である場合に設定される高位閾値より小さな低位閾値に設定する機能と、該設定した前記誤差拡散法用閾値を用いて、前記誤差拡散法により、前記ドットの形成の有無を表すドットデータを生成する機能と、をコンピューターに実現させて良い。ここで、低位閾値は、前記データ階調値に応じて定められ、かつ所定の階調範囲で下に凸の特異部を有するものとしてよい。かかるプログラムをコンピュータに実行させた場合、上記方法と同様の作用効果を得ることができる。
本発明は、印刷装置や画像データ生成装置以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、印刷装置の製造方法や印刷装置の制御方法、その制御方法を実現するコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した一時的でない記録媒体等の形態で実現することができる。
実施例の画像処理装置を示す概略構成図。 プリンター20における印刷処理の流れを示すフローチャート。 第1実施形態におけるハーフトーン処理を例示するフローチャート。 実施態様で用いるディザマスク61を例示する説明図。 実施態様で用いるディザマスク61が備えるノイズ特性を例示する説明図。 第1実施形態における高域側閾値THe_Hおよび低域側閾値THe_Lと注目画素データDnとの関係を示すグラフ。 誤差拡散範囲と重み付けを例示する説明図。 第1実施形態により生成されたドットデータの粒状性を示すグラフ。 比較例における高位閾値THe_と低位閾値THe_Lの一例を示すグラフ。 比較例におけるドットデータの粒状性を示すグラフ。 第2実施形態におけるハーフトーン処理を例示するフローチャート。
A.第1実施形態:
本発明の第1実施形態について説明する。
A−1.装置構成:
図1は、本発明の印刷装置の第1実施形態としてのプリンター20の概略構成図である。プリンター20は、いわゆるラインプリンターであり、後述する4色のインクを用いるインクジェットプリンターである。図示するように、プリンター20は、紙送りモータ74によって紙送りローラ75を駆動して印刷媒体Pを搬送する機構と、印刷媒体Pに対向する位置に設けられた印刷ヘッド90を駆動してインクの吐出及びドット形成を行なう機構と、を備える。更にプリンター20は、これらの紙送りモータ74、印刷ヘッド90及び操作パネル99との間で、信号のやり取りを司る制御ユニット30を備える。本実施形態では、紙送りローラ75は、プラテンを兼ねているが、プラテンは紙送りローラと別体としても良い。この場合には、表面が平らな平プラテンとしても良い。また、紙送りローラ75は、印刷ヘッド90の上流・下流にそれぞれ設けても良い。
印刷ヘッド90には、カラーインクとして、シアンインクC、マゼンタインクM、イエロインクY、ブラックインクKを吐出可能な多数のノズルNzが、印刷媒体Pの幅方向に亘っても受けられている。これら複数のノズルの1つ1つには、アクチュエータとしての図示しないピエゾ素子が設けられている。ピエゾ素子は、ドットデータに対応したデータ信号DDと、駆動信号DSとにより、駆動される。なお、ノズルNzからのインクを吐出させるアクチュエータとしては、ピエゾ素子に限らず、インクの突沸を利用して吐出を行なうヒータタイプのものや、レーザを用いたものなど、種々の構成を採用することができる。もとより、インクドットの形成は、インクジェットに限らず、インクリボンを用いた熱転写や熱昇華型、感光ドラムに潜像を形成する方式、あるいは印刷用のヘッドを印刷媒体の幅方向に往復動させつつノズルからインクを吐出するシリアルプリンターなど、種々の方式を採用可能である。
この印刷ヘッド90には、各色インクをそれぞれ収容したカラーインク用のインクカートリッジ82〜85から、インクの供給管92ないし95を介して、各色インクが供給される。なお、インク色としては、上述したCMYKに加えて、ライトシアンインクLc、ライトマゼンタインクLmなどを用いるものとしてもよい。もとより赤、青、緑などの特色インクを用いることや、ゴールド、パールホワイト、などのいわゆるメタリックインクを用いるものとしても良い。更には、白黒印刷用のインクシステムを備えたもののであっても良い。
制御ユニット30は、CPU40や、ROM51、RAM52、EEPROM60を備え、これらがバスで相互に接続された構成を備える。制御ユニット30は、ROM51やEEPROM60に記憶されたプログラムをRAM52に展開し、実行することにより、プリンター20の動作全般を制御するほか、入力部41、ハーフトーン処理部42、印刷部46としても機能する。ハーフトーン処理部42の機能は、比較部43、誤差拡散部44としての機能を含んでいる。
印刷部46は、印刷ヘッド90を駆動するための回路であり、ドットデータに対応した信号DDと、複数のピエゾ素子を一度に駆動するための駆動信号DSとを、印刷ヘッド90に出力する。ピエゾ素子は、CMYKの色毎にグループ化されており、図示しないラッチに保持されるドットデータに対応する信号DDと、所定のタイミングで出力される駆動信号DSとにより、グループ毎に駆動される。信号DDがオン(ドットデータが値1)の場合に、駆動信号DSが与えられると、ピエゾ素子は伸長し、図示しないインク室内のインクを加圧して、ノズルNzからインク滴を吐出させるのである。なお、本実施形態のプリンター20では、ラインプリンターであることから、各色ノズルは、印刷媒体Pの送り方向に所定ピッチずつずれて配置されている。また、同色のインク用のノズルも、印刷媒体幅方向の解像度を高くするために、一つおきに印刷媒体送り方向にずれた、いわゆる千鳥配列とされている。したがって、印刷媒体Pの送り方向における同じ位置にドットを形成する場合のノズルの駆動タイミングは、それぞれ異なっている。このため、後述するように、形成しようとする画像の階調データを処理して得られたドットデータを、ノズル配置に合わせたものとする並び替え処理を行なっている。こうした印刷部の処理を含む各機能部の処理の詳細については、図2、図3のフローチャートを参照して、後述する。
EEPROM60には、ディザマスク61と、誤差拡散閾値テーブル62とが記憶されている。ディザマスク61は、後述するハーフトーン処理において用いるものであり、図4に一部を例示するように、横(x:印刷媒体幅方向)256×縦(y:印刷媒体送り方向)64の大きさを有する。このディザマスク61は、複数の閾値THn_dが配列されたものである。この閾値THn_dは、本実施形態では、1〜255までの値をとる。各閾値THn_dは、この閾値との比較により形成されるドットの空間周波数が、いわゆるブルーノイズ特性となるように配置されている。
図5は、こうしたディザマスク61が備えるノイズ特性を例示する説明図である。図には、ブルーノイズ特性およびグリーンノイズ特性を有するディザマスクの各画素に設定されている閾値の空間周波数特性を概念的に例示した。ディザマスクにおけるブルーノイズ特性は、1周期の長さが2画素付近の高い周波数領域に最も大きな周波数成分を有するものとなっている。これは、高周波領域において感度が低いという人間の視覚特性を考慮して、高周波領域に最も大きな周波数成分が発生するように閾値の格納位置が調整されていることを意味する。こうしたブルーノイズ特性を備えたディザマスクを用いてドットを発生させると、ドットの分散性に優れた画像が得られる。
図5には、さらに、グリーンノイズ特性を破線の曲線として例示している。図示されているように、グリーンノイズ特性は、ブルーノイズ特性よりやや低周波側に最も大きな周波数成分を有するもので、画素サイズが十分に小さければグリーンノイズ特性でも粒状感の感じられない良好な画像が得られる。ディザマスク61は、こうしたブルーノイズ特性やグリーンノイズ特性などの所定の空間周波数特性を有するものとされている。
更に、本実施形態においては、ディザマスク61は、次のドット形成特性を有している。すなわち、双方向印刷におけるキャリッジ80の往動で形成されるドット群のドットパターンと、復動で形成されるドット群のドットパターンと、これらを併せた全体のドット群のドットパターンいずれもが、ブルーノイズ特性に近い特性を有している。かかる技術は、例えば、特許文献1や特開2007−15359号公報に記載されている。なお、ディザマスク61の大きさや特性は任意であり、本実施例以外の大きさや特性のものを採用することができる。例えば、組織的ディザ法を実現するために64×32以上の大きさを持つものとしても良いし、網点に近い特性を実現するドット集中型のディザマスクであっても良い。
EEPROM60に記憶された誤差拡散閾値テーブル62は、誤差拡散法におけるドットのON/OFFの判断に用いる高位閾値および低位閾値が記憶されたテーブルである。これらの閾値の役割については、後で詳述する。
制御ユニット30には、メモリカードスロット98が接続されており、メモリカードスロット98に挿入したメモリカードMCから画像データORGを読み込んで入力することができる。本実施例においては、メモリカードMCから入力する画像データORGは、レッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)の3色の色成分からなるデータである。
以上のようなハードウェア構成を有するプリンター20は、紙送りモータ74を駆動することによって、印刷媒体Pをその送り方向に移動させつつ、印刷ヘッド90を駆動して、各色インクドットを、印刷媒体P上の形成する。制御ユニット30は、印刷媒体Pの紙送りに合わせて、印刷データに基づいて適切なタイミングでノズルを駆動することにより、印刷媒体P上の適切な位置に適切な色のインクドットを形成する。こうすることによって、プリンター20は、印刷媒体P上にメモリカードMCから入力したカラー画像を印刷することが可能となっている。
A−2.印刷処理:
プリンター20における印刷処理について説明する。図2は、プリンター20における印刷処理の流れを示すフローチャートである。ここでの印刷処理は、ユーザが操作パネル99等を用いて、メモリカードMCに記憶された所定の画像の印刷指示操作を行なうことで開始される。印刷処理を開始すると、CPU40は、まず、入力部41の処理として、メモリカードスロット98を介してメモリカードMCから印刷対象であるRGB形式の画像データORGを読み込んで入力する(ステップS110)。
画像データORGを入力すると、CPU40は、EEPROM60に記憶されたルックアップテーブル(図示せず)を参照して、画像データORGについて、RGB形式をCMYKLcLm形式に色変換する(ステップS120)。
色変換処理を行なうと、CPU40は、ハーフトーン処理部42の処理として、画像データを各色のドットのON/OFFを画素毎に定めたドットデータに変換するハーフトーン処理を行なう(ステップS130)。ここでのハーフトーン処理の詳細については後述する。なお、本明細書では、「ハーフトーン処理」は、ドットのON/OFFの2値化処理に限らず、大小ドットや大中小ドットなどのON/OFFなど、多値化処理を含んだ階調数変換(低減)処理一般を意味している。また、ステップS130に供する画像データは、解像度変換処理やスムージング処理などの画像処理が施されたものであってもよい。
ハーフトーン処理を行なうと、CPU40は、プリンター20のノズル配置や紙送り量などに合わせて、印刷ヘッド90の各ノズルを同時に駆動するドットパターンデータに並び替える並び替え処理を行なう(ステップS150)。並び替え処理は、上述したように、ハーフトーン処理(ステップS130)により得られたドットデータを、印刷ヘッド90におけるノズルNzの配置に合わせて並び替える処理である。並び替え処理を(ステップS150)を行なった後、CPU40は、印刷部46の処理として、印刷ヘッド90、モータ74等を駆動して、印刷を実行する(ステップS160)。
A−3.ハーフトーン処理の詳細:
上述したハーフトーン処理(ステップS130)の詳細について図3を用いて説明する。図示するように、この処理が開始されると、CPU40は、まず、ステップS120で色変換処理が行なわれた画像データについて、注目画素位置の座標データn(x,y)と、注目画素データDnとを取得する(ステップS131)。注目画素位置は、画像の原点(左上)からスタートし、以下の処理が繰り返される毎に、主走査方向(x方向)に1画素ずつ移動する。注目画素位置が画像の主走査方向右端に至ると、副走査方向(y方向)に1つ移動し、再度x方向左端から主走査方向に移動する。以下の説明では、注目画素位置の座標データをn(x,y)として表すものとするが、注目画素位置を示す添え字として用いるときは、直接(x,y)として表記する。
注目画素位置の座標データn(x,y)と注目画素データDnとを取得すると、CPU40は、比較部43の処理として、仮ディザ処理を行なう(ステップS132)。ここでの仮ディザ処理とは、注目画素データDnの階調値と、EEPROM60に記憶されたディザマスク61を構成する複数の閾値のうちの、注目画素の座標(x,y)に対応する閾値THn_dの値との大小関係を比較する処理である。この処理は、形式的には、通常行なわれるディザ法によるドットのON/OFF判断の処理と同一の処理である。通常のディザ法では、注目画素データDnの階調値が閾値THn_dの値以上である場合には、ドットをONにすると判断し、注目画素データDnの階調値が閾値THn_dの値未満である場合には、ドットをOFFにすると判断する。これに対して、本実施例の仮ディザ処理は、後述する誤差拡散法によってドットのON/OFFを決定するための前処理、具体的には、誤差拡散法の閾値を決定するための処理である点が相違している。
仮ディザ処理の結果、注目画素データDnの階調値が閾値THn_dの値以上であれば(ステップS132:YES)、誤差拡散法に用いる閾値THeを低位閾値THe_Lに設定する(ステップS133)。一方、注目画素データDnの階調値が閾値THn_dの値未満であれば(ステップS132:NO)、誤差拡散法に用いる閾値THeを高位閾値THe_Hに設定する(ステップS134)。このように、本実施例においては、誤差拡散法に用いる閾値THe(以下、単に閾値THeとも呼ぶ)を仮ディザ処理の結果に基づいて変化させる構成としている。かかる閾値THeの設定は、EEPROM60に記憶された誤差拡散閾値テーブル62を参照して行なわれる。
誤差拡散閾値テーブル62の一例をグラフとして図6に示す。図示するように、誤差拡散閾値テーブル62では、注目画素データDn(ここでは0〜255)と、低位閾値THe_L及び高位閾値THe_Hとが、それぞれ対応付けられている。図6に示す例では、低位閾値THe_Lは、高位閾値THe_Hより小さな値に設定されており、階調値51および170を極小値としてその前後の所定の階調範囲で下に凸の関係を備える。この下に凸の部分が、特異部に相当する。他方、高位閾値THe_Hは、注目画素データDnの階調値に応じて全体としては増加する特性を有するものの、階調値51および170を極大値としてその前後の所定の階調範囲で上に凸の関係を備える。低位閾値THe_Lと高位閾値THe_Hとが、図6に示す特性を有する意義については、比較例との比較を通して、後で説明する。
CPU40は、誤差拡散閾値テーブル62を参照して、高位閾値THe_Hまたは低位閾値THe_Lを取得し、ステップS133またはS134での設定に用いている。本実施例では、誤差拡散閾値テーブル62を参照することにより、階調値に応じた高位閾値THe_H及び低位閾値THe_Lを設定する構成としたが、関数により求めてもよい。
上述した図3のステップS133またはS134において、誤差拡散閾値テーブル62を参照して閾値THeを設定すると、CPU40は、注目画素データDnの階調値に、別途用意した誤差バッファに記憶された拡散誤差Ednを加算する(ステップS135)。拡散誤差Ednは、後述するステップS139において算出されるものであり、その内容は後述する。
注目画素データDnの階調値に拡散誤差Ednを加算すると、CPU40は、拡散誤差Ednを加算した注目画素データDnの階調値(以下、補正データとも呼ぶ)と、ステップS133またはステップS134で設定した閾値THeとを比較する(ステップS136)。その結果、補正データ(Dn+Edn)が閾値THe以上であれば(ステップS136:YES)、注目画素のドットデータをON(ドットを形成する)に決定する(ステップS137)。他方、拡散誤差Ednを加算した注目画素データDnの階調値が閾値THe未満であれば(ステップS136:NO)、注目画素のドットデータをOFF(ドットを形成しない)に決定する(ステップS138)。
ドットのON/OFFを決定すると、CPU40は、2値化誤差Enと拡散誤差Ednとを算出する(ステップS139)。2値化誤差Enとは、補正データとドットのON/OFF結果実現される階調値RSLT(ここでは値255または0)との差分である。数式で表せば、次式(1)として表される。
En={Dn(x,y)+Edn(x,y)}−RSLT(255 or 0) … (1)
一般にドットが形成されなければ2値化誤差Enは正の値になり、ドットが形成されれば2値化誤差は負の値となる。
この結果、以下に説明する誤差拡散の処理により、2値化の処理によってドットが形成されればその周辺の画素ではドットが形成されにくくなり、ドットが形成されなければその周辺の画素ではドットが形成されやすくなる。誤差拡散は、以下の式(2)により拡散誤差Ednを求めて、着目画素において発生した誤差を周辺の画素の配分する処理である。配分された誤差は累積され、上記ステップS135において注目画素データDnの階調値に加算される。本実施形態では、図7に(A)として示したように、2値化誤差Enを、ドットのON/OFFが未決定の周辺画素である4つの画素配分している。即ち、注目画素の右隣の画素に対して7/16、左下の画素に対して3/16、下の画素に対して5/16、右下の画素に対して1/16の割合で、拡散誤差Ednとして配分するものとした。こうして算出された拡散誤差Ednは、RAM52に用意された誤差バッファに格納される。
Edn(x+1,Y )=Edn(x+1,y )+En×(7/16)
Edn(x−1,Y+1)=Edn(x−1,y+1)+En×(3/16)
Edn(x ,Y+1)=Edn(x ,y+1)+En×(5/16)
Edn(x+1,Y+1)=Edn(x+1,y+1)+En×(1/16)
… (2)
かかるステップS135〜S139の処理は、誤差拡散法によるハーフトーン処理であり、誤差拡散部44の処理として実行される。誤差拡散法については、周知の技術であるため、詳細な説明は省略するが、各画像データの量子化誤差を周囲の画像データに所定の配分比率で加算しながら、各画像データと所定の閾値とを比較して各画像データを量子化する手法である。上述の例では、ステップS135〜S139は、ドットのON/OFFのみを決定する2値化処理としたが、大ドット及び小ドットのON/OFFを決定するなど、多値化処理を行なってもよい。
2値化誤差En及び拡散誤差Ednを算出すると、CPU40は、全画素についての上記の処理が完了したかを判断し(ステップS140)、全画素についての処理が終了するまで、注目画素位置(x,y)をインクリメントしつつ、上記ステップS131〜S139の処理を繰り返す。こうして、ステップS130のハーフトーン処理は終了する。
A−4.第1実施形態の効果:
かかるハーフトーン処理を実施する効果について、以下に説明する。上述したように、ステップS132〜S134の処理においては、注目画素データDnの階調値が閾値THn_dの値以上であれば、誤差拡散法に用いる閾値THeは、低位閾値THe_Lに設定される。他方、注目画素データDnの階調値が閾値THn_dの値未満であれば、閾値THeは、高位閾値THe_Hに設定される。
この結果、誤差拡散法によるドットデータの生成結果は、ディザマスク61を用いた判定結果が強く反映されたものになることが了解される。特に、高位閾値THe_H、低位閾値THe_Lが図6のように定められているので、ドットの形成は次のように行なわれる。
(1)仮ディザの判定により、高位閾値THe_Hまたは低位閾値THe_Lが誤差拡散用の閾値THeとして設定された場合には、図3、ステップS136での判断は、大部分、仮ディザでの判断(ステップS132)と同じものとなるから、仮ディザの判定結果と強い相関を持ってドットが形成されることになる。つまりドットデータは、ディザマスクの特性を持ったものとなる。
(2)誤差拡散法により周辺の画素におけるドット形成の結果(拡散誤差Edn)が着目画素の画素データに加算されているから、ステップS132における仮ディザの判定結果と、ステップS136での誤差拡散法での判定結果とは必ずしも一致せず、幾分かは誤差拡散法により、ドットが形成されなかったり、形成されたりして、元の画像の濃度に、形成される画像の濃度を一致させるような修正が行なわれる。このため、ディザマスクの特性が反映したドット形成(1)を基本としつつ、適宜、誤差拡散法によるドット形成の修正が行なわれることになる。
(3)更に、第1実施形態では、図6に示したように、低位閾値THe_Lは、階調値51,170をそれぞれ極小値とする下に凸の形状となるような特性が付与されている。つまり、階調値51,170の付近では、低位閾値THe_Lが、全体の特性に対して低い値とされ、上記(1)(2)によるドット形成の割合からみれば、この階調値の近傍では、仮ディザの判定結果が「YES」となったときには、誤差拡散の影響を考慮しても、一層ドットが形成され易いものとなっている。なお、低位閾値THe_Lのこうした特性に合わせて、高位閾値THe_Hには逆の特性が付与されているから、仮ディザの判定結果が「NO」となったときには、誤差拡散の影響を考慮しても、一層ドットが形成されにくいものとなっている。
第1実施形態においては、図6に示した特性の低位閾値THe_Lおよび高位閾値THe_Hを用いることで、図8に示したように、印刷使用とする画像の広い階調範囲に亘って、粒状性に優れた画質の印刷を行なうことができる。図8は、印刷ヘッド90のノズルピッチにずれがある場合とずれがない場合(精密にアライメントされた場合)とにおける粒状性をプロットしたグラフである。図示するように、第1実施形態では、ずれがある場合もない場合も、広い階調範囲に亘って、粒状性が十分に抑制されていることが分かる。
これに対して、図9は、低位閾値THe_Lおよび高位閾値THe_Hを階調値51,170付近の極値を持たないように設定した例を示している。この低位閾値THe_Lおよび高位閾値THe_Hを用いて、図3に示したハーフトーン処理を実施すると、その場合に得られた画像の粒状性は、図10に示したものとなった。図10に示した例では、印刷ヘッド90のノズルの配置にずれがあると、画像の階調値が51および170の近傍で、粒状性が大きく悪化していた。そこでこの点を更に詳しく調べてみると、階調値51および170の近傍では、特異なドットパターンが発生し、粒状性が悪化していることが分かった。特異なドットパータンとは、階調値51もしはく階調値170の均一な画像を印刷したとき、濃度誤差(Edn)によるドットの発生にある程度の規則性が生まれるために生じるパターンである。
こうした特異なドットパターンは、図10に示した例のように、階調値の最大値(画像データを8ビットで表現しているので、ここでは階調値255)の整数分の1、あるいは単純な整数比の階調付近で発生しやすいことが経験的に知られている。図10に示した例では、
51=255/5
170=255×(2/3)
である。もとより、こうした特異なパターンが発生する階調値は、この例に限らず、画像データの取り得る階調範囲や、誤差拡散範囲やその割合(図7参照)、低位閾値THe_Lおよび高位閾値THe_Hの特性などによって異なる。したがって、プリンター20にまず所定の設定を行なって各階調値のペタパターンの印刷を行ない、その粒状性を測定し、特異なパターンの発生により粒状性が圧壊している特異点が見い出された場合、その階調値またはその近傍の階調値を境地とするように、低位閾値THe_Lおよび高位閾値THe_Hを修正すれば良い。
こうして図6に示したような低位閾値THe_Lおよび高位閾値THe_Hを決定して、画像の印刷を行なえば、特異なドットパターンの発生を抑制することができる。このとき、図3に示したハーフトーン処理は、処理している対象が線図や文字であるか写真画像のような自然画像であるかといった判断は一切していない。仮に線図の領域からそのまま自然画像の領域に移行したり、自然画像の中に線画や文字が存在したりしても、同じハーフトーン処理(図3)を実施する。その結果、線画や文字の領域でも自然画像の領域でも、特異なドットパターンの発生のない、高画質の画像を形成することができる。
また、本実施形態では、誤差拡散法の際に用いる閾値(高位閾値THe_H)として、図6に示すように、着目画素データの階調値に応じて増加する値を用いているため、特許文献3に記載されているように、尾引などの現象を生じることがない。更に、図7に示した誤差拡散範囲を、着目画素データの階調値に応じて切り替える処理を行なえば、更に画質の向上が期待できる。拡散範囲を切替ながら誤差拡散を行なう手法は、公知の技術であるため、詳しい説明は省略するが、入力階調値と2値化結果の組み合わせに応じて誤差拡散範囲を切り替えると、種々の効果を奏する。例えば、低階調値でドットONになった時のみ広い範囲に誤差拡散すれば、低階調領域の粒状性を改善し、ドットの非所望な連続、いわゆるワームの発生を抑制することができる。
A−5.変形例:
第1実施形態では、高位閾値THe_Hと低位閾値THe_Lとを図6に示したように設定したが、両者の設定値はこれに限られないことは勿論である。低位閾値THe_Lは、もっと小さな値に設定しても良く、場合によっては、画素データが取り得る階調範囲の最小値より更に小さな値としても良い。また下に凸の特性を持つ領域は、1つの場合もあれば、3つ以上の場合もあり得る。同様に、高位閾値THe_Hにおいて上に凸の特性を持つ領域が、1つの場合、あるいは3つ以上となる場合もあり得る。なお、低位閾値THe_Lおよび高位閾値THe_Hの下上に凸の特性を持つ階調値範囲は、通常は対応しているが、必ずしも同一の階調範囲にする必要はなく、完全にずれていても差し支えない。
第1実施形態では、誤差拡散による誤差の拡散範囲は、図7に示したように、着目画素の周辺4画素としたが、これより広いまたは狭い範囲としても差し支えない。また、注目画素の階調値に応じて、拡散の判定を変更するものとしても良い。例えば、階調値が小さいほど、広い範囲に拡散するものとすることも、低階調域での粒状性を改善する上で好適である。また、図7(B)に示したように、誤差拡散する差異の重み付けの総和を値1以下とすることも望ましい。図7(B)に示した例では、着目画素で生じた濃度誤差は、周辺の4つの画素に6/16,2/16,4/16,1/16の割合で拡散され、その総和は、生じた誤差の13/16とされている。この結果、誤差拡散により生じた濃度誤差が周辺の画素に与える影響が緩和されることになる。
B.第2実施形態:
次に本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態のプリンター20は、第1実施形態と同一のハードウェア構成を備え、同一の印刷処理(図2)を実行する。第2実施形態のプリンター20が第1実施形態と異なるのは、そのハーフトーン処理である。第2実施形態のプリンター20が実行するハーフトーン処理を図11に示した。第2実施形態のプリンター20が実行するハーフトーン処理は、第1実施形態と比べて、以下に説明するステップS431,S432のみ異なり、他のステップS433ないしS440は、第1実施形態のステップS133ないしS140と同一である。
第2実施形態では、ハーフトーン処理を開始すると、まずCPU40は、注目画素位置の座標データn(x,y)と、注目画素データDnとを取得し、注目画素データDnの階調値に所定の係数αdr(0<αdr≦1)を乗算した値Dn′を求める処理を行なう(ステップS431)。こうして算出されたデータは、注目画素データDnの階調値に関連する階調値であることから、関連データDn’(Dn’=Dn×αdr)ともいう。本実施例では、係数α=0.9とした。
関連データDn’を算出すると、CPU40は、比較部43の処理として、仮ディザ処理を行なう(ステップS432)。図3に示したステップS132の仮ディザ処理との違いは、注目画素データDnの階調値と、ディザマスク61の閾値THn_dとを比較する代わりに、関連データDn’と閾値THn_dとを比較する点である。
その結果、関連データDn’が閾値THn_dの値以上であれば(ステップS432:YES)、誤差拡散法に用いる閾値THeを低位閾値THe_Lに設定する(ステップS433)。一方、関連データDn’が閾値THn_dの値未満であれば(ステップS432:NO)、誤差拡散法に用いる閾値THeを高位閾値THe_Hに設定する(ステップS434)。このとき設定され。高位閾値THe_Hと低位閾値THe_Lは、第1実施形態の図6に例示したものと同一の閾値を用いる。また、以降の誤差拡散法の処理(ステップS435〜S439)は、第1実施例と同様であるため、説明を省略する。なお、誤差拡散法のドットのON/OFF判断は、関連データDn’ではなく、注目画素データDnの階調値を用いて行なう。
本実施形態では、係数αdr=0.9としているので、仮ディザの判断によりドットを発生すると判断する割合が、第1実施形態等で説明した通常の判断の90%に抑えられる。この結果、不足する10%は誤差拡散法での判断(ステップS436)で発生させることになる。このようにすれば、ディザによる判断で発生させるドットと、それを補完する形で誤差拡散法による判断で発生させるドットとの比率を、任意に設定することができる。しかも、低位閾値THe_Lおよび高位閾値THe_Hは、図6に示したように、所定の階調範囲で、下上に凸の特性を有しているので、特定の階調範囲で特異なドットパターンを発生することがない。このため、第1実施形態で示したように、線画や文字、あるいは自然画像を高位品質で印刷することができる。
第2実施形態では、係数αdrは、0から1.0の間で任意に設定できるので、ディザによる判断で発生するドットと誤差拡散法による判断で発生するドットとの合計を適正に設定することが可能である。例えば、係数αdr=1とすると、第1実施形態と同一となるが、ディザによる判断で発生するドットにプラスする形で誤差拡散法によるドットが発生する。従って、この場合には、本来の画像の濃度と比べると、若干多めにドットが形成される場合がある。これに対して、第2実施例のように、係数αdrを0.9のように、1.0より若干小さな値にすると、仮ディザの判断により発生するドットがやや少なくなっているので、足りない分を必要十分なだけ誤差拡散法による判断で発生させることができる。トータルで発生するドットにより表現される階調を、元の画像の階調に、より一致させることが可能となる。
更に、この係数αdrを、着目画素データDnの関数にすれば、画像の階調値に応じて、ディザにより発生されるドットの割合を任意の比率に設定することも可能である。係数αdrのデフォルト値を1としておき、ドットの発生が割合が高いと判断される階調値があれば、着目画素データのその階調付近で、係数αdrを、少し小さくすれば、ドット発生の割合をより均一にすることができる。なお、階調値に応じて係数αdrを変化させる場合には、漸増・漸減させて、ドット発生の割合が滑らかに変化するようにすれば、一層好ましい。
C.変形例:
C−1.変形例1:
以上の実施形態では、ディザマスクとして、誤差拡散と特性が似ているブルーノイズマスクを用いたが、ベイヤー型ディザなどの、規則パターンを持つドット分散型の組織的ディザを用いてもよい。この場合は、「線が消失する場合がある。」というベイヤー型ディザ最大の課題が解決できる。また、網点ディザや、グリーンノイズマスクなどのドット集中型ディザを用いても、網点ピッチで線がとぎれとぎれになる、などの問題が解消できて有用である。2次元的な広がりを持つ通常部はベイヤーや網点、グリーンノイズマスクなどのディザパターンでありながら、細線部では誤差拡散法が働いて、細線が消失したり分断されたりせずに再現できるハーフトーンが実現できるからである。
C−2.変形例2:
第2実施形態において、着目画素データDnに乗算する係数αdrを、着目画素データDnの関数にする際、ルックアップテーブルを参照して、係数αdrを求めるものとしても良い。こうすれば、係数αdrを自由に設定することができる。画像の階調値に応じて変えるだけでなく、画像の種類(線画か自然画像か等)を判断して変更するようにしても良い。インク色毎に、係数αdrを設定するものとしても良い。こうすれば、カラー印刷において、インク毎に、ディザにより発生するドットと誤差拡散により発生するドットとの比率を変更することができる。更に、インク滴が大中小など複数種類発生できるプリンターにおいて、階調値から各種類のドットの発生率をルックアップテーブルなどにより求めてからハーフトーン処理する構成を採用した場合、ドットの種類毎に、係数αdrを設定するものとしても良い。
C−3.変形例3:
誤差拡散法の適用に際して、誤差拡散範囲を、着目画素データDnによって適宜変更するだけでなく、例えば仮ディザの判断結果によって変更しても良い。あるいは、ドットが形成されるとされた場合の結果値RSLTを、仮ディザの判断結果によって変更するものとしても良い。仮ディザの判断結果によって、ドットONと判断された場合に、ドットが形成される場合の結果値RSLTを255より大きな値にすれば、配分される拡散誤差が大きくなり、周辺でのドットの発生が抑制され、トータルでのドット数が過剰になることを防ぐことができる。
C−4.変形例4:
上記実施形態では、特定の階調範囲に関して、少なくとも低位閾値THe_Lに下に凸の特性を持たせたが、これに加えて、この特定の階調範囲において、誤差拡散用階調値THeまたは画素データDnににノイズを加えても良い。ノイズを加えることにより、特定のドットバターンを生じにくくさせることができるからである。なお、このノイズの大きさを、低位閾値THe_Lの下に凸の特性に合わせて、階調値に依存した値とし、低位閾値THe_Lを図9に例示したように、下に凸の特性を有しない特性としても良い。このような特性のノイズを加えることは、所定の階調範囲において、低位閾値THe_Lに下に凸の特性を付与することと略等価だからである。
C−5.変形例5:
上記実施形態では、印刷装置として、ラインプリンタータイプのインクジェットプリンター20を用いたが、他の形式のプリンター、例えば印刷ヘッドが印刷媒体の幅方向に移動しながらドットを形成するシリアルプリンター、レーザープリンターのようなページプリンターなどとして実現しても良い。また、カラープリンターに限られず、モノクロ印刷の用プリンターとして実現しても良い。更に、インクジェットタイプに限られず、熱昇華型プリンターやドットインパクト型など、種々のタイプのプリンターにも適用可能である。インクジェットプリンターにあっては、インクの吐出をピエゾなどの電歪素子によるものの他、ヒーターを用いたインクの突沸によるもの(いわゆるバブルジェット(登録商標)方式)なども採用可能である。
また、画像処理のみを行なう画像処理装置に適用することも差し支えない。図3、図11などに例示したハーフトーン処理は、コンピューターで実行される専用のアプリケーションプログラムとして実現しても良いし、RiPなど専用の装置において実施しても良い。あるいは、コンピュータとプリンターとを接続して用いるものとし、プリンタードライバ内で画像処理の一部または全部を実行するものとして良い。更には、ネットワーク上に、こうした画像処理を行なう専用のサーバを置き、他のコンピューターやプリンターからの要求に応じて、画像データを処理する形態で運用しても差し支えない。
本発明は、上述の実施形態や実施例、変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、実施例、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行なうことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
20…プリンター
30…制御ユニット
40…CPU
41…入力部
42…ハーフトーン処理部
43…比較部
44…誤差拡散部
46…印刷部
51…ROM
52…RAM
60…EEPROM
61…ディザマスク
62…誤差拡散閾値テーブル
74…紙送りモータ
75…プラテン
82〜85…インクカートリッジ
90…印刷ヘッド
92〜95…供給管
98…メモリカードスロット
99…操作パネル
P…印刷媒体
MC…メモリカード

Claims (10)

  1. 所定の画像を表す画像データの印刷を行う印刷装置であって、
    前記画像データを入力する入力部と、
    前記画像データに基づいて、ドットの形成の有無を表すドットデータを生成するハーフトーン処理部と、
    前記生成されたドットデータを用いて、前記画像の印刷を行う印刷部と
    を備え、
    前記ハーフトーン処理部は、
    複数の閾値の1つと、前記入力された画像データの階調値であるデータ階調値とを比較する比較部と、
    前記データ階調値を、誤差拡散法におけるドット形成の有無の判断に用いる閾値である誤差拡散法用閾値と比較することにより、前記ドットデータを生成する誤差拡散部と
    を備え、
    前記誤差拡散法用閾値は、前記比較部の比較結果が、前記データ階調値が前記閾値以上の場合には、前記データ階調値が前記閾値未満である場合に設定される高位閾値より小さな低位閾値に設定され、
    前記低位閾値は、前記データ階調値に応じて定められ、かつ所定の階調範囲で下に凸の特異部を有する
    印刷装置。
  2. 前記高位閾値は、前記データ階調値に応じて定められ、かつ前記所定の階調範囲で上に凸の特異部を有する請求項1記載の印刷装置。
  3. 前記複数の閾値は、組織的ディザ法に用いるディザマスクとして用意される請求項1または請求項2に記載の印刷装置。
  4. 前記ディザマスクは、ブルーノイズ特性を有する請求項3に記載の印刷装置。
  5. 前記特異部は、前記データ階調値の取り得る階調範囲において、複数箇所存在する請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の印刷装置。
  6. 前記低位閾値は、前記データ階調値が、予め定めた値以下では、前記データ階調値の最小値未満の値に設定された請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の印刷装置。
  7. 前記特異部は、前記データ階調値の最大階調数に対して整数比の関係となる階調値を少なくとも1つ含む請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の印刷装置。
  8. 所定の画像を表す画像データの印刷用データを生成する印刷用データ生成装置であって、
    前記画像データを入力する入力部と、
    前記画像データに基づいて、ドットの形成の有無を表すドットデータを生成するハーフトーン処理部と、
    を備え、
    前記ハーフトーン処理部は、
    複数の閾値の1つと、前記入力された画像データの階調値であるデータ階調値とを比較する比較部と、
    前記データ階調値を、誤差拡散法におけるドット形成の有無の判断に用いる閾値である誤差拡散法用閾値と比較することにより、前記ドットデータを生成する誤差拡散部と
    を備え、
    前記誤差拡散法用閾値は、前記比較部の比較結果が、前記データ階調値が前記閾値以上の場合には、前記データ階調値が前記閾値未満である場合に設定される高位閾値より小さな低位閾値に設定され、
    前記低位閾値は、前記データ階調値に応じて定められ、かつ所定の階調範囲で下に凸の特異部を有する
    印刷用データ生成装置。
  9. 所定の画像を表す画像データの印刷用データを生成する方法であって、
    前記画像データを入力し、
    複数の閾値の1つと、前記入力された画像データの階調値であるデータ階調値とを比較し、
    前記比較により、前記データ階調値が前記閾値以上の場合には、誤差拡散法におけるドット形成の有無の判断に用いる閾値である誤差拡散法用閾値を、前記データ階調値が前記閾値未満である場合に設定される高位閾値より小さな低位閾値に設定し、
    該設定した前記誤差拡散法用閾値を用いて、前記誤差拡散法により、前記ドット形成の有無を表すドットデータを生成し、
    前記低位閾値は、前記データ階調値に応じて定められ、かつ所定の階調範囲で下に凸の特異部を有する
    印刷用データの生成方法。
  10. 所定の画像を表す画像データの印刷用データを生成するための印刷用データ生成プログラムであって、
    前記画像データを入力する機能と、
    複数の閾値の1つと、前記入力された画像データの階調値であるデータ階調値とを比較する機能と、
    前記比較により、前記データ階調値が前記閾値以上の場合には、誤差拡散法におけるドット形成の有無の判断に用いる閾値である誤差拡散法用閾値を、前記データ階調値が前記閾値未満である場合に設定される高位閾値より小さな低位閾値に設定する機能と、
    該設定した前記誤差拡散法用閾値を用いて、前記誤差拡散法により、前記ドット形成の有無を表すドットデータを生成する機能と、
    をコンピューターに実現させ、
    前記低位閾値は、前記データ階調値に応じて定められ、かつ所定の階調範囲で下に凸の特異部を有する
    印刷用データ生成プログラム。
JP2014041098A 2014-03-04 2014-03-04 印刷装置、印刷用データ生成装置およびその方法、ならびに印刷用データ生成プログラム Active JP6221838B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014041098A JP6221838B2 (ja) 2014-03-04 2014-03-04 印刷装置、印刷用データ生成装置およびその方法、ならびに印刷用データ生成プログラム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014041098A JP6221838B2 (ja) 2014-03-04 2014-03-04 印刷装置、印刷用データ生成装置およびその方法、ならびに印刷用データ生成プログラム

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2015167307A JP2015167307A (ja) 2015-09-24
JP2015167307A5 JP2015167307A5 (ja) 2017-03-16
JP6221838B2 true JP6221838B2 (ja) 2017-11-01

Family

ID=54258004

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014041098A Active JP6221838B2 (ja) 2014-03-04 2014-03-04 印刷装置、印刷用データ生成装置およびその方法、ならびに印刷用データ生成プログラム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6221838B2 (ja)

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4097114B2 (ja) * 2000-12-12 2008-06-11 株式会社リコー 画像処理装置、画像処理方法及び記録媒体
JP5428696B2 (ja) * 2009-09-16 2014-02-26 セイコーエプソン株式会社 印刷装置、印刷用データ生成装置、印刷方法及びそのプログラム

Also Published As

Publication number Publication date
JP2015167307A (ja) 2015-09-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20080259361A1 (en) High quality halftone process
US11531854B2 (en) Image processing apparatus, image processing method and storage medium
JP6587552B2 (ja) 画像処理装置および画像処理方法
JP6256108B2 (ja) 印刷装置、印刷用データ生成装置およびその方法、ならびに印刷用データ生成プログラム
US8363251B2 (en) Image forming apparatus, print data generation method and computer program for forming an image with halftone processing that uses constraint data
US8253974B2 (en) Image forming apparatus, image processing apparatus, and control method therefor
JP5505048B2 (ja) 印刷装置、印刷方法、印刷データ生成プログラム
JP5053903B2 (ja) 画像処理装置およびその方法
JP5994919B2 (ja) 印刷装置、印刷方法、および、コンピュータープログラム
JP6175914B2 (ja) 印刷装置、印刷方法、および画像処理装置
US8976416B2 (en) Image processing apparatus and method thereof
JP6175915B2 (ja) 印刷装置、印刷方法、プログラム、および画像処理装置
US20160173724A1 (en) Printing apparatus, printing method, program, and image processing apparatus
JP5521337B2 (ja) 印刷装置、印刷方法、コンピュータープログラムおよび記録媒体
US20120062636A1 (en) Image processing apparatus and image processing method
US10798266B2 (en) Image processing apparatus, printing apparatus, and image processing method for performing halftone processing on divided images
JP6221838B2 (ja) 印刷装置、印刷用データ生成装置およびその方法、ならびに印刷用データ生成プログラム
JP7242272B2 (ja) ディザマトリクスの生成装置、生成方法、当該ディザマトリクスを用いた画像処理装置、画像処理方法、及びプログラム
JP5979261B2 (ja) 印刷装置、および印刷方法
JP5171321B2 (ja) 画像処理装置および画像処理方法
JP7159789B2 (ja) 記録制御装置、記録装置および記録制御方法
JP2010017975A (ja) 画像形成装置、その制御手段及びコンピュータプログラム
JP2006205717A (ja) 印刷装置、印刷プログラム、印刷方法、および画像処理装置、画像処理プログラム、画像処理方法、並びに前記プログラムを記録した記録媒体
JP2016163080A (ja) 印刷装置、印刷方法、画像処理装置、コンピュータープログラム
JP2020192784A (ja) 画像処理装置、印刷方法および印刷装置

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170207

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170207

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170831

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170905

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170918

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6221838

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150