JP7240700B2 - ミネラルを造粒粉末に均一に分散する方法 - Google Patents
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Description
代表的なミネラル元素である鉄、銅及び亜鉛は、生体内での存在量が微量(体重1 g当たり1μg~100μg程度)である微量金属元素に含まれるが、必須性が認められており、生体内では主にタンパク質との結合体として酸化還元反応などに関与している。
これらの元素は、摂取量が不足することによって貧血、皮膚障害、骨形成異常などを引き起こすため、これらが不足する場合には、これらを主成分とするサプリメント又は製剤の摂取によって不足分を補うことが行われている。例えば、鉄欠乏性貧血及び鉄不応性・銅欠乏性貧血については、それぞれ鉄剤、銅添加流動食の摂取による治療効果が報告されている。また、亜鉛欠乏時にみられる皮膚障害、創傷治癒遅延及び味覚障害については、亜鉛サプリメント又は製剤の摂取による治療効果が報告されている。
これらは、混合法又は造粒法によって調製された粉末又は顆粒から製造される。例えば、散剤や顆粒剤の場合は、上記粉末や顆粒をそのまま用いることもできる。一方、錠剤やカプセル剤は、上記方法により調製された粉末や顆粒に対して、さらに適宜徐放成分を添加して打錠する、徐放膜で被覆する等の、放出抑制を目的とした剤形処理を施すことによって製造される。
一方、造粒法は、粉末又は顆粒を加工することで成形性を高める方法であり、乾式顆粒圧縮法及び湿式顆粒圧縮法に大別される。
乾式顆粒圧縮法には、ローラコンパクタを用いた圧縮・破壊造粒法などがあり、湿式顆粒圧縮法には、撹拌造粒法、転動造粒法、押し出し造粒法、流動層造粒法、噴霧造粒法などがある。これらの方法は、調製した粉末・顆粒の粒子径及び形状(球状)を均一化できるという特徴があり、なかでも、試料処理速度及び微粒子化という点では噴霧造粒法が最も優れている。
代表的な噴霧造粒法である噴霧乾燥法(スプレー乾燥法)は、一般に水、有機溶媒又はそれらの混合液を溶媒とする液体原料、又は、該液体原料に賦形剤として働く粉末(以下、基材粉末と呼ぶ)を混合して得られた混合液(溶液又は懸濁液)をスプレー噴霧し、噴霧液滴を熱風乾燥することによって生成した粉末を捕集する方法である。前記基材粉末としては、例えば、でんぷん、セルロースなどが用いられる。現在、噴霧乾燥法は、製剤、電池・電子部品材料、成形加工材料及び食品の製造において、乾燥、微粒子化、非晶質化、凝集化又はマイクロカプセル化の用途で用いられている。
しかしながら、特許文献1は、セラミック原料粉末以外の粉末を用いた場合について全く記載しておらず、マグネシウム及びマンガン以外のミネラル元素(鉄、銅、亜鉛など)の分散状態について言及していない。特許文献2~5は、特定の元素を含む原料粉末を適宜バインダー粉末とともに混合した水分散液又はスラリーを噴霧乾燥し、適宜加圧成型後に焼成することによって、目的とする複合金属酸化物焼結体が得られることを開示しているが、前記噴霧乾燥によって得られた造粒粉末における元素の分散状態については全く言及していない。
具体的には、本発明者らは、基材粉末である可溶性でんぷん粉末の水分散液に各種ミネラル成分金属の無機塩溶液を混合・撹拌し、これにさらにカルボキシル基を有する各種キレート剤を添加・撹拌することにより混合液を得、これを噴霧乾燥することにより得られた複数個の造粒粉末について、各種ミネラル成分の含有量の相対標準偏差(RSD)を調べたところ、キレート剤としてクエン酸塩を用いた場合は、鉄、銅、及び亜鉛について、キレート剤を用いない場合に比べてRSDが大幅に減少し、銅及び亜鉛については、システイン塩、及びヒスチジン塩においてもRSDが減少し、銅については、リンゴ酸塩、及び酒石酸塩を用いた場合においてもRSDが大幅に減少すること、また、それ以外のミネラル成分についても、用いるキレート剤の種類に応じてRSDが変化し、多くのミネラル成分について、適切なキレート剤を用いることでRSDを減少させることができることを見出した。
本発明者らは、さらに、基材粉末、ミネラル成分、及びキレート剤を水溶媒に添加、混合・撹拌して混合液を作成する際の手順を変更し、当該手順の変更が造粒後の粉末におけるミネラル成分の分散状況に与える影響を検討した。
本発明は、本発明者らによるこれらの知見に基づいてなされたものである。
したがって、上記効果は、噴霧乾燥により造粒された造粒粉末に限らず、同様の混合溶液を用いて行う造粒方法、例えば、噴霧造粒法によるマイクロカプセル化法(例えば、上記混合液を固定液とし、これに膜材液の噴霧液滴を滴下する手法、あるいは、上記混合液を芯材液とし、膜材液で包み込みながら噴霧する手法)によって得られるマイクロカプセル化された造粒粉末をはじめ、その他の湿式造粒法(撹拌造粒法、転動造粒法、押し出し造粒法、流動層造粒法など)による造粒粉末においても、同様の混合溶液を用いる限り、同様に得られることが、合理的に予測される。
〈1〉造粒の基材粉末とミネラル元素の無機塩又は無機酸塩とキレート剤とを水溶媒に添加し、混合・撹拌して得られた混合液を原料溶液として用いて造粒を行うことにより、ミネラル含量が均一な造粒粉末を得ることを特徴とする、造粒粉末へのミネラル分散方法。
〈2〉造粒の基材粉末を水溶媒に分散させて水分散液とする第一工程、第一工程終了後の水分散液にミネラル元素の無機塩又は無機酸塩を混合し、前記基材粉末並びに無機塩又は無機酸塩が均一分散した混合液とする第二工程、第二工程終了後の混合液にキレート剤を添加し、弱酸性~弱アルカリ性条件にて撹拌する第三工程、第三工程終了後の混合液を原料溶液として用いて造粒を行うことにより、ミネラル含量が均一な造粒粉末を得る第四工程を有することを特徴とする、〈1〉に記載の造粒粉末へのミネラル分散方法。
〈3〉造粒の基材粉末を水溶媒に分散させて水分散液とする第一工程、第一工程終了後の水分散液にミネラル元素の無機塩又は無機酸塩、及びキレート剤を添加し、弱酸性~弱アルカリ性条件にて撹拌する第二工程、第二工程終了後の混合液を原料溶液として用いて造粒を行うことにより、ミネラル含量が均一な造粒粉末を得る第三工程を有することを特徴とする、〈1〉に記載の造粒粉末へのミネラル分散方法。
〈4〉キレート剤が、金属イオンの配位子として働くカルボキシル基が一つ以上ある有機酸塩又はアミノ酸塩であることを特徴とする、〈1〉~〈3〉のいずれかに記載の方法。
〈5〉ミネラル元素が鉄、銅、及び/又は亜鉛であり、キレート剤がクエン酸塩であることを特徴とする、〈1〉~〈3〉のいずれかに記載の方法。
〈6〉ミネラル元素が銅、及び/又は亜鉛であり、キレート剤がシステイン塩、又はヒスチジン塩であることを特徴とする、〈1〉~〈3〉のいずれかに記載の方法。
〈7〉ミネラル元素が銅であり、キレート剤がリンゴ酸塩、又は酒石酸塩であることを特徴とする、〈1〉~〈3〉のいずれかに記載の方法。
〈8〉噴霧乾燥法により造粒を行うことを特徴とする、〈1〉~〈7〉のいずれかに記載の方法。
これにより、微小量のミネラル成分を均一に含む当該造粒粉末からなる、あるいはこれを所定量用いて錠剤、カプセル剤等に加工された、サプリメントないし製剤を規定量摂取することで、微小な規定量のミネラル成分を適確かつ容易に摂取することができる。
本発明者らは、後述する実施例に示すとおり、造粒の原料溶液となる上記混合液の作成手順が相違する、いくつかの態様について、本発明の効果を確認している。
以下、本発明の造粒粉末へのミネラル分散方法を、その具体的態様ごとに詳細に説明する。
第一工程は、造粒の基材粉末を水溶媒に分散させて水分散液とする工程である。
前記基材粉末としては、例えば、でんぷん、可溶性でんぷん、糖類(麦芽糖、乳糖など)、糖アルコール(還元麦芽糖、ソルビトールなど)、セルロース又はその誘導体が使用できるが、可溶性でんぷんが好適である。前記可溶性デンプンは、α-グルコースの重合体であるでんぷんから重合度を落として可溶化したものであり、市販試薬の可溶性でんぷん(溶性でんぷん又はでんぷん(溶性)とも呼ばれる)が使用できる。
前記基材粉末の添加濃度としては、終濃度4質量%程度が好ましい。なお、第一工程においては、前記基材粉末が前記水分散液中で均一分散していなくても問題はない。
前記ミネラル元素としては、鉄、銅、亜鉛などの微量金属元素が好適である。前記無機塩又は無機酸塩としては、水溶液中で前記微量金属元素のイオン(一価~三価のカチオン又はオキソアニオン)を生成する無機金属塩が好適である。
前記無機塩又は無機酸塩の添加濃度としては、元素としての終濃度が10μg/L~670μg/L程度が好ましい。
前記基材粉末並びに無機塩又は無機酸塩を均一分散させるための撹拌には、マグネチックスターラーが使用できる。
前記キレート剤としては、金属イオンの配位子として働くカルボキシル基(COOH基)が一つ以上ある有機酸塩又はアミノ酸塩が好適である。具体的には、食品添加物として使用可能な可食有機酸塩であるクエン酸塩、リンゴ酸塩及び酒石酸塩、並びに、可食アミノ酸塩であるシステイン塩及びヒスチジン塩が使用でき、より好ましくはクエン酸塩である。
添加濃度としては、終濃度0.8質量%程度が好ましい。前記キレート剤添加後の混合液のpHとしては、3.0以上、9.0以下が好ましく、該pH条件での混合液の撹拌時間としては、1時間程度が好ましい。
造粒法としては、例えば噴霧乾燥法を用いることができる。噴霧乾燥に用いる噴霧乾燥機としては、水分蒸発能力0.5kg/h~1.0kg/h及び試料処理速度100mL/h~600mL/hを有するラボスケールの噴霧乾燥機が好適である。また、スプレー噴霧用ノズルとしては、ノズル孔径0.7mm及び供給ガス流量200L/h~1000L/hを有する2流体ノズルが好適である。前記噴霧乾燥の際の乾燥塔温度としては、入口温度190℃、出口温度90℃~100℃が好ましい。また、得られる造粒粉末の平均粒子径としては、2μm~25μmが好ましい。ここで平均粒子径は、例えば、エアロトラックLDSA-SPR(日機装株式会社製)などのレーザー回折式粒子径分布測定装置によって測定できる。
なお、かかる噴霧乾燥によって得られる造粒粉末は、噴霧乾燥過程で非晶質化されているため、前記基材粉末と比べて水への溶解性に優れる。
この態様の第一工程は、上記第一の態様と同じく、造粒の基材粉末を水溶媒に分散させて水分散液とする工程である。
用いる基材粉末の種類、添加濃度等は、第一の態様と同様である。
この態様の第二工程は、第一工程終了後の水分散液にミネラル元素の無機塩又は無機酸塩、及びキレート剤を添加し、弱酸性~弱アルカリ性条件にて撹拌する工程である。
用いるミネラル元素の無機塩又は無機酸塩の種類及び添加量、並びに、キレート剤の種類および添加量は、第一の態様と同様である。
ミネラル元素の無機塩又は無機酸塩、及びキレート剤は、第一工程終了後の水分散液に同時に添加してもよく、逐次的に添加してもよい。逐次的に添加する場合、第一の態様のようにミネラル元素の無機塩又は無機酸塩を添加した時点で水分散液を混合し、基材粉末並びに無機塩又は無機酸塩が均一分散した混合液とすることなく、直ちに、キレート剤を添加する。
前記キレート剤添加後の混合液のpHとしては、3.0以上、9.0以下が好ましく、該pH条件での混合液の撹拌時間としては、1時間程度が好ましい。
この態様の第三工程は、第二工程終了後の混合液を原料溶液として用いて造粒し、ミネラル含量が均一な造粒粉末を得る工程である。
造粒方法は、第一の態様と同様である。
後述する実施例3に示すとおり、第二の態様によれば、第一の態様と比べて少ない工程で、第一の態様にほぼ匹敵するミネラルの分散効果を得ることができる。
これらの態様によるミネラルの分散効果は、一部のミネラル成分を除いて第一の態様よりも劣るものの、多くのミネラル成分において、キレート剤を用いない場合と比べて優れた分散効果が得られる。
噴霧乾燥時に基材粉末となる可溶性でんぷん粉末(10g)を終濃度が4質量%になるよう水溶媒(約230mL)に分散させ、水分散液とした。
これに、塩化ナトリウム溶液、炭酸カルシウム溶液及び二クロム酸カリウム溶液、並びに、マグネシウム、マンガン、鉄、銅、亜鉛及びセレンの硝酸塩溶液(いずれもJCSS対応金属標準液:関東化学株式会社製)の混合希釈液を添加し、それぞれの元素としての終濃度がナトリウム100μg/L、マグネシウム540μg/L、カルシウム45μg/L、クロム20μg/L、マンガン500μg/L、鉄10μg/L、銅160μg/L、亜鉛670μg/L、セレン20μg/Lとした後、固形浮遊物が視認できなくなるまで撹拌した。
これに、キレート剤としてクエン酸三ナトリウム二水和物粉末(2g)を終濃度が0.8質量%になるよう添加し、pHを6.9とした後、水溶媒により250mLに定容し、1時間撹拌した。
得られた混合液は、撹拌した状態で、日本ビュッヒ株式会社製の噴霧乾燥機(製品名:B290)によって噴霧乾燥した。その際、混合液のスプレー噴霧には2流体ノズル(ノズル孔径0.7mm)を使用し、噴霧液滴の乾燥には水溶媒用ガラス乾燥塔を使用した。また、造粒粉末の回収には接線流入型サイクロン式捕集容器を使用した。噴霧乾燥条件は、入口温度190℃、出口温度92℃~98℃、送液量10mL/min、除湿装置通過後の空気流量35m3/h、噴霧ガス(窒素)流量600L/hとした。得られた造粒粉末(7.8g~8.5g)は、出発粉末(可溶性でんぷん粉末及びクエン酸塩粉末)からの回収率が65質量%~70質量%、平均粒子径が15.3μm(水分散時)、残留水分量が6.8質量%であった。
得られた造粒粉末から5個の副試料、各0.5gを分取し、マイクロ波試料分解装置を用いた高温加圧酸分解による溶液化を行った後、誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP-MS)を用いて各元素濃度を定量し、造粒粉末における元素分布の均一性を評価した。
その結果、表1に示すとおり、5個の副試料間での元素濃度のRSDはナトリウム0.70%、マグネシウム0.20%、カルシウム1.1%、クロム0.78%、マンガン0.69%、鉄3.6%、銅1.1%、亜鉛0.79%、セレン0.95%であった。当該RSD値のうち、マグネシウム、鉄、銅、及び亜鉛の値は、前記クエン酸塩の添加なしで噴霧乾燥した場合よりも小さい値であり、クエン酸塩を用いない場合のRSD値と比べて、マグネシウム濃度で3.8分の1、鉄濃度で1.9分の1、銅濃度で2.6分の1、亜鉛濃度で2.8分の1の値に相当する。
このことから、クエン酸塩を用いることにより、得られた造粒粉末は、上記特定のミネラル成分について、ミネラル含量の均一性が向上したといえる。
第三工程で添加するキレート剤として、クエン酸三ナトリウム二水和物の代わりにL(-)-リンゴ酸ナトリウム、(+)-酒石酸ナトリウム、L-システイン塩酸塩一水和物又はL-ヒスチジン塩酸塩一水和物を用いた以外は実施例1と同様に、造粒用の原料混合液を調製し、噴霧乾燥法により造粒を行った。
得られた造粒粉末(7.7g~8.2g)は、出発粉末(可溶性でんぷん粉末及び有機酸塩粉末又はアミノ酸塩粉末)からの回収率が64質量%~68質量%、平均粒子径が14.0μm~17.6μm(水分散時)、残留水分量が7.3質量%~7.8質量%であった。
得られた造粒粉末から3個の副試料、各0.5gを分取し、マイクロ波試料分解装置を用いた高温加圧酸分解による溶液化を行った後、ICP-MSを用いて各元素濃度を定量し、造粒粉末における元素分布の均一性を評価した。
その結果、表2に示すとおり、3個の副試料間での元素濃度のRSDは、用いた有機酸塩又はアミノ酸塩に応じて、ナトリウム0.14%~2.7%、マグネシウム0.25%~1.7%、カルシウム0.27%~1.6%、クロム0.20%~2.0%、マンガン0.80%~2.5%、鉄7.2%~10.8%、銅0.07%~2.1%、亜鉛1.2%~11.3%、セレン0.68%~1.7%の範囲で変化した。
当該RSD値のうち、以下の有機酸塩又はアミノ酸塩を用いた場合の以下のミネラル成分濃度については、当該有機酸塩又はアミノ酸塩粉末の添加なしで噴霧乾燥した場合と比べて、より小さい値となった:すなわち、リンゴ酸を用いた場合のRSD値は、用いない場合のRSD値と比べて、マグネシウム濃度で3分の1、銅濃度で17分の1の値に相当し、酒石酸を用いた場合、ナトリウム濃度で4.9分の1、マグネシウム濃度で2.2分の1、カルシウム濃度で2.9分の1、銅濃度で41分の1の値に相当し、システイン塩酸塩を用いた場合、銅濃度で2.1分の1、亜鉛濃度で1.8分の1の値に相当し、ヒスチジン塩酸塩を用いた場合、銅濃度で1.4分の1、亜鉛濃度で1.7分の1の値に相当する。
このことから、これらの有機酸塩又はアミノ酸塩を用いることにより、得られた造粒粉末は、上記特定のミネラル成分について、ミネラル含量の均一性が向上したといえる。
造粒用の原料混合液を作成する手順を変えた以外は実施例1と同様に、造粒用の原料混合液を調製し、噴霧乾燥法により造粒を行った。変更した手順を、実施例1における手順とともに、以下に示す。
これらの手順により調製した原料混合液を噴霧乾燥することにより得られた各造粒粉末から5個の副試料、各0.5gを分取し、マイクロ波試料分解装置を用いた高温加圧酸分解による溶液化を行った後、ICP-MSを用いて各元素濃度を定量し、造粒粉末における元素分布の均一性を評価した。
その結果を、実施例1の結果と併せて、表4に示す。表4に示すとおり、5個の副試料間での元素濃度のRSDは、造粒用の混合液を作成する手順に応じて、ナトリウム0.68%~4.7%、マグネシウム0.20 %~0.77%、カルシウム0.64%~1.9%、マンガン0.69%~1.5%、鉄3.6%~11.6%、銅0.57%~1.4%、亜鉛0.79%~1.5%の範囲で変化した。
当該RSD値のうち、以下の混合液作成手順を用いた場合の以下のミネラル成分濃度のRSD値については、実施例1の混合液作成手順を用いた場合と匹敵する値、あるいは、より小さい値となった:すなわち、検討パターン(1)の手順で混合液を作成した場合の鉄、銅、および亜鉛の濃度のRSD値は、実施例1の混合液作成手順を用いた場合のRSD値と比べて、鉄濃度で0.97分の1、銅濃度で1.0分の1、亜鉛濃度で0.72分の1であり、実施例1の混合液作成手順を用いた場合とほぼ匹敵した。また、検討パターン(2)の手順で混合液を作成した場合の銅、検討パターン(3)の手順で混合液を作成した場合のカルシウム、並びに、検討パターン(4)の手順で混合液を作成した場合のカルシウム、および銅の濃度のRSD値は、実施例1の混合液作成手順を用いた場合のRSD値と比べて、それぞれ1.7分の1、1.6分の1、1.7分の1、および1.9分の1であった。
これらのことから、上記手順で混合液を作成することにより、得られた造粒粉末は、上記特定のミネラル成分について、実施例1と匹敵し、あるいは、それを上回り、ミネラル含量の均一性が向上したといえる。
また、上記RSD値のうち、以下の混合液作成手順を用いた場合の以下のミネラル成分濃度のRSD値については、実施例1の混合液作成手順においてクエン酸塩を用いなかった場合より小さい値となった:検討パターン(1)の手順で混合液を作成した場合の鉄、銅、および亜鉛、検討パターン(2)の手順で混合液を作成した場合のマグネシウム、銅、および亜鉛、検討パターン(3)の手順で混合液を作成した場合のマグネシウム、カルシウム、銅、および亜鉛、並びに、検討パターン(4)の手順で混合液を作成した場合のマグネシウム、カルシウム、銅、および亜鉛。
これらのことから、上記手順で混合液を作成することにより、得られた造粒粉末は、上記特定のミネラル成分について、実施例1の混合液作成手順においてクエン酸塩を用いなかった場合よりも、ミネラル含量の均一性が向上したといえる。
Claims (6)
- 造粒の基材粉末である可溶性でんぷん粉末と、ミネラル元素であるナトリウムの無機塩又は無機酸塩と、キレート剤である酒石酸塩とを水溶媒に添加し、混合・撹拌して得られた混合液を原料溶液として用いて噴霧乾燥法により造粒を行うことにより、ミネラル含量が均一な造粒粉末を得ることを特徴とする、造粒粉末へのミネラル分散方法。
- 造粒の基材粉末である可溶性でんぷん粉末と、ミネラル元素であるカルシウムの無機塩又は無機酸塩と、キレート剤である酒石酸塩とを水溶媒に添加し、混合・撹拌して得られた混合液を原料溶液として用いて噴霧乾燥法により造粒を行うことにより、ミネラル含量が均一な造粒粉末を得ることを特徴とする、造粒粉末へのミネラル分散方法。
- 造粒の基材粉末である可溶性でんぷん粉末と、ミネラル元素である銅の無機塩又は無機酸塩と、キレート剤であるリンゴ酸塩とを水溶媒に添加し、混合・撹拌して得られた混合液を原料溶液として用いて噴霧乾燥法により造粒を行うことにより、ミネラル含量が均一な造粒粉末を得ることを特徴とする、造粒粉末へのミネラル分散方法。
- 造粒の基材粉末である可溶性でんぷん粉末と、ミネラル元素である銅の無機塩又は無機酸塩と、キレート剤である酒石酸塩とを水溶媒に添加し、混合・撹拌して得られた混合液を原料溶液として用いて噴霧乾燥法により造粒を行うことにより、ミネラル含量が均一な造粒粉末を得ることを特徴とする、造粒粉末へのミネラル分散方法。
- 前記可溶性でんぷん粉末を水溶媒に分散させて水分散液とする第一工程、第一工程終了後の水分散液に前記ミネラル元素の無機塩又は無機酸塩を混合し、前記可溶性でんぷん粉末並びに前記無機塩又は無機酸塩が均一分散した混合液とする第二工程、第二工程終了後の混合液に前記キレート剤を添加し、弱酸性~弱アルカリ性条件にて撹拌する第三工程、第三工程終了後の混合液を原料溶液として用いて噴霧乾燥法により造粒を行うことにより、ミネラル含量が均一な造粒粉末を得る第四工程を有することを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の造粒粉末へのミネラル分散方法。
- 前記可溶性でんぷん粉末を水溶媒に分散させて水分散液とする第一工程、第一工程終了後の水分散液に前記ミネラル元素の無機塩又は無機酸塩、及び前記キレート剤を添加し、弱酸性~弱アルカリ性条件にて撹拌する第二工程、第二工程終了後の混合液を原料溶液として用いて噴霧乾燥法により造粒を行うことにより、ミネラル含量が均一な造粒粉末を得る第三工程を有することを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の造粒粉末へのミネラル分散方法。
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