JP7238950B1 - 餃子の羽根形成剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】焼きムラの発生が抑えられ、焼き色が均一についた羽根を餃子に形成し得る、餃子の羽根形成剤等の提供。【解決手段】(A1)ショ糖脂肪酸エステル及び脂肪酸モノグリセリドからなる群より選択される少なくとも一種の乳化剤、(A2)デンプン類及び/又は穀物粉、(A3)油脂、並びに水を含有し、水中油型に乳化しているA液と、水を含有するB液とが少なくとも組み合わせられている、餃子の羽根形成剤。【選択図】なし

Description

本発明は、餃子の羽根形成剤に関する。また、本発明は、羽根つき餃子の製造方法及び羽根つき餃子を得るための冷凍食品にも関する。
餃子は、消費者に人気の高い惣菜の一つであり、その調理方法としては、フライパンや餃子焼き機等を用いて加熱(蒸し焼き等)し、焼き餃子とするのが一般的である。焼き餃子は、焼き面やその周辺部に「羽根」(「バリ」等とも称される)が形成されているもの(羽根つき餃子)が好まれ、そのような羽根つき餃子の製造方法に関して、羽根の素(バッター液等)を餃子の焼き面となる面に予め付着させて当該餃子を加熱調理することにより、焼き餃子に羽根を形成すること等が従来提案されている(特許文献1~21)。
特開2020-074688号公報 特開2010-239884号公報 特開2009-165388号公報 特開2005-348699号公報 国際公開第2020/004632号 国際公開第2020/174873号 特開2020-048437号公報 特開2018-148928号公報 国際公開第2019/021348 特開2019-041634号公報 特開2019-041633号公報 特開2016-039833号公報 国際公開第2014/007387号 特開2013-226129号公報 特開2012-178989号公報 特開2011-097876号公報 特開2010-057392号公報 特開2007-319160号公報 特開平06-245740号公報 国際公開第2021/141101号 特開2006-296428号公報
羽根つき餃子は、羽根における焼きムラの発生が抑えられ、羽根に焼き色が均一についていることが求められる。特許文献1には、焼き色が均一についた羽根を餃子に形成するために、分散性を付与した油脂組成物と原料粉溶液を混合した乳化バッター液及び水の二層を餃子に付着させること等が提案されている。しかし、特許文献1で提案された方法による羽根つき餃子は、フライパン等を用いて加熱調理する際に、羽根の焼きムラが発生するという問題があるため、羽根における焼きムラの発生を効果的に抑えることができる方法が求められていた。
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、焼きムラの発生が抑えられ、焼き色が均一についた羽根を餃子に形成する方法、及び当該方法を実施するために好適に用いられる餃子の羽根形成剤等を提供することにある。
本発明者らは、上述の課題を解決するべく鋭意検討した結果、特定の乳化剤(ショ糖脂肪酸エステル及び脂肪酸モノグリセリドからなる群より選択される少なくとも一種の乳化剤)、デンプン類及び/又は穀物粉、油脂、並びに水を含有し、水中油型に乳化している液が凍結した層と、水を含有する液が凍結した層とが表面に形成された冷凍餃子は、羽根における焼きムラの発生が抑えられた羽根つき餃子を得ることができることを見出し、さらに研究を重ねることによって、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1](A1)ショ糖脂肪酸エステル及び脂肪酸モノグリセリドからなる群より選択される少なくとも一種の乳化剤、(A2)デンプン類及び/又は穀物粉、(A3)油脂、並びに水を含有し、水中油型に乳化しているA液と、
水を含有するB液と
が少なくとも組み合わせられている、餃子の羽根形成剤。
[2]ショ糖脂肪酸エステルのHLBが、0~17である、[1]記載の剤。
[3]前記A液における(A3)油脂の含有量と(A1)乳化剤の含有量との重量比(A3:A1)が、91:9~98:2である、[1]又は[2]記載の剤。
[4](A3)油脂が、菜種油及び大豆油からなる群より選択される少なくとも一つである、[1]~[3]のいずれか一つに記載の剤。
[5]前記A液における(A1)乳化剤の含有量が、A液に対して0.2~1.8重量%である、[1]~[4]のいずれか一つに記載の剤。
[6]前記A液における(A2)デンプン類及び/又は穀物粉の含有量が、A液に対して5~45重量%である、[1]~[5]のいずれか一つに記載の剤。
[7]前記A液における(A3)油脂の含有量が、A液に対して15~25重量%である、[1]~[6]のいずれか一つに記載の剤。
[8]冷凍餃子と、
(A1)ショ糖脂肪酸エステル及び脂肪酸モノグリセリドからなる群より選択される少なくとも一種の乳化剤、(A2)デンプン類及び/又は穀物粉、(A3)油脂、並びに水を含有し、水中油型に乳化している液が凍結したA層と、
水を含有する液が凍結したB層と
を含む、冷凍食品。
[9]冷凍餃子、前記B層及び前記A層が、この順序で積層されている、[8]記載の冷凍食品。
[10]ショ糖脂肪酸エステルのHLBが、0~17である、[8]又は[9]記載の冷凍食品。
[11]前記液における(A3)油脂の含有量と(A1)乳化剤の含有量との重量比(A3:A1)が、91:9~98:2である、[8]~[10]のいずれか一つに記載の冷凍食品。
[12](A3)油脂が、菜種油及び大豆油からなる群より選択される少なくとも一つである、[8]~[11]のいずれか一つに記載の冷凍食品。
[13]前記液における(A1)乳化剤の含有量が、当該液に対して0.2~1.8重量%である、[8]~[12]のいずれか一つに記載の冷凍食品。
[14]前記液における(A2)デンプン類及び/又は穀物粉の含有量が、当該液に対して5~45重量%である、[8]~[13]のいずれか一つに記載の冷凍食品。
[15]前記液における(A3)油脂の含有量が、当該液に対して15~25重量%である、[8]~[14]のいずれか一つに記載の冷凍食品。
[16][8]~[15]のいずれか一つに記載の冷凍食品を加熱調理することを含む、羽根つき餃子の製造方法。
[17](A1)ショ糖脂肪酸エステル及び脂肪酸モノグリセリドからなる群より選択される少なくとも一種の乳化剤、(A2)デンプン類及び/又は穀物粉、(A3)油脂、並びに水を含有し、水中油型に乳化している液からなるA層と、
水を含有する液からなるB層と
を餃子の表面に形成すること、及び当該餃子を加熱調理することを含む、羽根つき餃子の製造方法。
[18]ショ糖脂肪酸エステルのHLBが、0~17である、[17]記載の製造方法。
[19]前記液における(A3)油脂の含有量と(A1)乳化剤の含有量との重量比(A3:A1)が、91:9~98:2である、[17]又は[18]記載の製造方法。
[20](A3)油脂が、菜種油及び大豆油からなる群より選択される少なくとも一つである、[17]~[19]のいずれか一つに記載の製造方法。
[21]前記液における(A1)乳化剤の含有量が、当該液に対して0.2~1.8重量%である、[17]~[20]のいずれか一つに記載の製造方法。
[22]前記液における(A2)デンプン類及び/又は穀物粉の含有量が、当該液に対して5~45重量%である、[17]~[21]のいずれか一つに記載の製造方法。
[23]前記液における(A3)油脂の含有量が、当該液に対して15~25重量%である、[17]~[22]のいずれか一つに記載の製造方法。
[24]冷凍餃子の表面に、
(A1)ショ糖脂肪酸エステル及び脂肪酸モノグリセリドからなる群より選択される少なくとも一種の乳化剤、(A2)デンプン類及び/又は穀物粉、(A3)油脂、並びに水を含有し、水中油型に乳化している液が凍結したA層と、
水を含有する液が凍結したB層と
を形成することを含む、
冷凍餃子、前記A層及び前記B層を含む冷凍食品の製造方法。
[25]冷凍食品に含まれる冷凍餃子、前記B層及び前記A層が、この順序で積層されている、[24]記載の製造方法。
[26]ショ糖脂肪酸エステルのHLBが、0~17である、[24]又は[25]記載の製造方法。
[27]前記液における(A3)油脂の含有量と(A1)乳化剤の含有量との重量比(A3:A1)が、91:9~98:2である、[24]~[26]のいずれか一つに記載の製造方法。
[28](A3)油脂が、菜種油及び大豆油からなる群より選択される少なくとも一つである、[24]~[27]のいずれか一つに記載の製造方法。
[29]前記液における(A1)乳化剤の含有量が、当該液に対して0.2~1.8重量%である、[24]~[28]のいずれか一つに記載の製造方法。
[30]前記液における(A2)デンプン類及び/又は穀物粉の含有量が、当該液に対して5~45重量%である、[24]~[29]のいずれか一つに記載の製造方法。
[31]前記液における(A3)油脂の含有量が、当該液に対して15~25重量%である、[24]~[30]のいずれか一つに記載の製造方法。
本発明によれば、焼きムラの発生が抑えられ、焼き色が均一についた羽根を餃子に形成できる、餃子の羽根形成剤が提供される。
また、本発明によれば、羽根つき餃子の製造方法も提供される。本発明の製造方法は、羽根における焼きムラの発生が抑えられた羽根つき餃子を得ることができる。
また、本発明によれば、羽根における焼きムラの発生が抑えられた羽根つき餃子を得ることができる冷凍食品も提供される。
本発明の剤によりA層(すなわち、(A1)ショ糖脂肪酸エステル及び脂肪酸モノグリセリドからなる群より選択される少なくとも一種の乳化剤、(A2)デンプン類及び/又は穀物粉、(A3)油脂、並びに水を含有し、水中油型に乳化している液からなる層)と、B層(すなわち、水を含有する液からなる層)とが、表面に形成された餃子を示す概念図である。 本発明の剤によりA層(すなわち、(A1)ショ糖脂肪酸エステル及び脂肪酸モノグリセリドからなる群より選択される少なくとも一種の乳化剤、(A2)デンプン類及び/又は穀物粉、(A3)油脂、並びに水を含有し、水中油型に乳化している液が凍結した層)と、B層(すなわち、水を含有する液が凍結した層)とが、表面に形成された冷凍餃子を示す概念図である。 本発明の剤を使用して、冷凍餃子の表面に、A層(すなわち、(A1)ショ糖脂肪酸エステル及び脂肪酸モノグリセリドからなる群より選択される少なくとも一種の乳化剤、(A2)デンプン類及び/又は穀物粉、(A3)油脂、並びに水を含有し、水中油型に乳化している液が凍結した層)及びB層(すなわち、水を含有する液が凍結した層)を形成する方法の一態様を説明するための概念図である。 本発明の剤を使用して、冷凍餃子の表面に、A層(すなわち、(A1)ショ糖脂肪酸エステル及び脂肪酸モノグリセリドからなる群より選択される少なくとも一種の乳化剤、(A2)デンプン類及び/又は穀物粉、(A3)油脂、並びに水を含有し、水中油型に乳化している液が凍結した層)及びB層(すなわち、水を含有する液が凍結した層)を形成する方法の一態様を説明するための概念図である。 本発明の剤を使用して、冷凍餃子の表面に、A層(すなわち、(A1)ショ糖脂肪酸エステル及び脂肪酸モノグリセリドからなる群より選択される少なくとも一種の乳化剤、(A2)デンプン類及び/又は穀物粉、(A3)油脂、並びに水を含有し、水中油型に乳化している液が凍結した層)及びB層(すなわち、水を含有する液が凍結した層)を形成する方法の一態様を説明するための概念図である。 本発明の剤を使用して、冷凍餃子の表面に、A層(すなわち、(A1)ショ糖脂肪酸エステル及び脂肪酸モノグリセリドからなる群より選択される少なくとも一種の乳化剤、(A2)デンプン類及び/又は穀物粉、(A3)油脂、並びに水を含有し、水中油型に乳化している液が凍結した層)及びB層(すなわち、水を含有する液が凍結した層)を形成する方法の一態様を説明するための概念図である。 本発明の剤を使用して、冷凍餃子の表面に、A層(すなわち、(A1)ショ糖脂肪酸エステル及び脂肪酸モノグリセリドからなる群より選択される少なくとも一種の乳化剤、(A2)デンプン類及び/又は穀物粉、(A3)油脂、並びに水を含有し、水中油型に乳化している液が凍結した層)及びB層(すなわち、水を含有する液が凍結した層)を形成する方法の一態様を説明するための概念図である。
本発明の餃子の羽根形成剤(本明細書中、単に「本発明の剤」と称する場合がある)は、(A1)ショ糖脂肪酸エステル及び脂肪酸モノグリセリドからなる群より選択される少なくとも一種の乳化剤、(A2)デンプン類及び/又は穀物粉、(A3)油脂、並びに水を含有し、水中油型に乳化しているA液と、水を含有するB液とが少なくとも組み合わせられているものである。
本発明において「餃子の羽根形成剤」とは、餃子の表面(例、焼き面となる面等)に付着させて加熱(例、蒸し、焼き等)することにより羽根を形成し得る食品材料をいい、いわゆる餃子の羽根の素である。
本発明における「餃子」は、その形状、製造方法等に制限されることなく、一般に餃子と称されるものを広く包含し得るが、典型的には、中具(挽肉、野菜、調味料等の混合物)と、当該中具を包む外皮(小麦粉等に水を加えて捏ねて得られる生地を薄く延ばしたもの)とを少なくとも有する食品をいう。餃子1個当たりの重量は特に制限されないが、通常10~45g程度である。一般に加熱調理される前の餃子を「生餃子」と称し、加熱調理後の喫食に適した状態の餃子を「焼き餃子」、「加熱済み餃子」と称する場合があるが、本明細書における「餃子」はこれらの総称であり、特に断りのない限りこれらの両方又はいずれか一方を意味する。
本発明において餃子の「羽根」とは、餃子の焼き面やその周辺部に形成される、薄膜状のパリパリとした食感を有する部分をいい、一般に「バリ」等とも称される。ここで餃子の「焼き面」とは、餃子の表面のうち、加熱によって焼き色が付与されるように、焼き器(例、フライパン、餃子焼き機、鉄板、ホットプレート等)に接するか、又は焼き器に近接して配置されて加熱された面をいう。
以下において、本発明の剤の構成要素の一つである「A液」について説明する。
A液は、下記(A1)~(A3)及び水を含有する。
(A1)ショ糖脂肪酸エステル及び脂肪酸モノグリセリドからなる群より選択される少なくとも一種の乳化剤
(A2)デンプン類及び/又は穀物粉
(A3)油脂
本明細書中、「ショ糖脂肪酸エステル及び脂肪酸モノグリセリドからなる群より選択される少なくとも一種の乳化剤」を、便宜上「成分A1」と称する場合があり、「デンプン類及び/又は穀物粉」を、便宜上「成分A2」と称する場合があり、「油脂」を便宜上、「成分A3」と称する場合がある。
本発明において成分A1として用いられる「ショ糖脂肪酸エステル」は、ショ糖に脂肪酸がエステル結合した化合物である。本発明において、ショ糖脂肪酸エステルの構成脂肪酸は、飽和脂肪酸であってよく、又は不飽和脂肪酸であってもよい。また、ショ糖脂肪酸エステルの構成脂肪酸は、直鎖であってよく、又は分岐鎖であってもよい。ショ糖脂肪酸エステルの構成脂肪酸の炭素原子数は特に制限されないが、好ましくは12~24であり、より好ましくは14~22であり、特に好ましくは16~20である。ショ糖脂肪酸エステルの構成脂肪酸の具体例としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ベヘン酸、エルカ酸等が挙げられる。
本発明において用いられるショ糖脂肪酸エステルとしては、例えば、ショ糖ラウリン酸エステル、ショ糖ミリスチン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖オレイン酸エステル、ショ糖リノール酸エステル、ショ糖リノレン酸エステル、ショ糖ベヘン酸エステル、ショ糖エルカ酸エステル等が挙げられる。これらのショ糖脂肪酸エステルは一種単独で用いてよく、又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明において用いられるショ糖脂肪酸エステルのHLBは、好ましくは0~17であり、羽根における焼きムラの発生がより効果的に抑えられ得ることから、より好ましくは4~16である。
本発明において「HLB」は、親水親油バランス(hydrophile-lipophile balance)を表し、W.C.Griffinによって提唱された計算式(W.C.Griffin,J.Soc.Cosmetic Chemists,1,311(1949)参照)に従って求められるものをいう。
本発明において用いられるショ糖脂肪酸エステルの製造方法は特に制限されず、自体公知の方法又はそれに準ずる方法によって製造したものを用いてよい。ショ糖脂肪酸エステルは、市販品を用いてもよい。
本発明において成分A1として用いられる「脂肪酸モノグリセリド」は、グリセリン1分子に脂肪酸1分子がエステル結合した化合物である。本発明において、脂肪酸モノグリセリドの構成脂肪酸は、飽和脂肪酸であってよく、又は不飽和脂肪酸であってもよい。また、脂肪酸モノグリセリドの構成脂肪酸は、直鎖であってよく、又は分岐鎖であってもよい。脂肪酸モノグリセリドの構成脂肪酸の炭素原子数は特に制限されないが、好ましくは12~24であり、より好ましくは14~22であり、特に好ましくは16~20である。脂肪酸モノグリセリドの構成脂肪酸の具体例としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ベヘン酸、エルカ酸等が挙げられる。
本発明において用いられる脂肪酸モノグリセリドとしては、例えば、ラウリン酸モノグリセリド、ミリスチン酸モノグリセリド、パルミチン酸モノグリセリド、ステアリン酸モノグリセリド、オレイン酸モノグリセリド、リノール酸モノグリセリド、リノレン酸モノグリセリド、ベヘン酸モノグリセリド、エルカ酸モノグリセリド等が挙げられる。これらの脂肪酸モノグリセリドは一種単独で用いてよく、又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明において用いられる脂肪酸モノグリセリドのHLBは、好ましくは3~7であり、より好ましくは3~4である。
本発明において用いられる脂肪酸モノグリセリドの製造方法は特に制限されず、自体公知の方法又はそれに準ずる方法によって製造したものを用いてよい。脂肪酸モノグリセリドは、市販品を用いてもよい。
A液における成分A1(すなわち、ショ糖脂肪酸エステル及び脂肪酸モノグリセリドからなる群より選択される少なくとも一種の乳化剤)の含有量は、羽根における焼きムラの発生が効果的に抑えられ得ることから、A液に対して、好ましくは0.2重量%以上であり、より好ましくは0.25重量%以上であり、特に好ましくは0.3重量%以上である。また、A液における成分A1の含有量は、羽根における焼きムラの発生が効果的に抑えられ得ることから、A液に対して、好ましくは1.8重量%以下であり、より好ましくは1.5重量%以下であり、特に好ましくは0.8重量%以下である。
本発明において成分A2として用いられる「デンプン類」は、生デンプン及び加工デンプンの総称であり、換言するとデンプン類は、生デンプン及び加工デンプンからなる群より選択される少なくとも一つである。ここで「生デンプン」とは、物理的処理、化学的処理及び酵素的処理をいずれも施されていない未変性のデンプンをいい、具体例としては、ウルチ米デンプン、モチ米デンプン、小麦デンプン、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、タピオカデンプン、サゴヤシデンプン、緑豆デンプン、馬鈴薯デンプン、サツマイモデンプン等が挙げられるがこれらに制限されない。また「加工デンプン」とは、物理的処理、化学的処理及び酵素的処理からなる群より選択される少なくとも一つの加工処理を施されたデンプンをいい、化学的処理を施されたデンプンとしては、例えば、アセチル化アジピン酸架橋デンプン、アセチル化リン酸架橋デンプン、アセチル化酸化デンプン、オクテニルコハク酸デンプンナトリウム、酢酸デンプン、酸化デンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン、リン酸モノエステル化リン酸架橋デンプン、リン酸化デンプン、リン酸架橋デンプン等が挙げられ、物理的処理(酸処理、アルカリ処理、漂白処理等の加水分解程度の簡単な化学的処理を含む)を施されたデンプンとしては、例えば、α化デンプン、湿熱処理デンプン、油脂加工デンプン、酸処理デンプン、アルカリ処理デンプン、漂白デンプン等が挙げられ、酵素的処理を施されたデンプンとしては、例えば、酵素処理デンプン等が挙げられる。加工デンプンは、物理的処理、化学的処理及び酵素的処理からなる群より選択される一つの加工処理を施されたものであってよく、あるいは、物理的処理、化学的処理及び酵素的処理からなる群より選択される二つ以上の加工処理を施されたものであってもよい。加工デンプンの原料として用いられるデンプンは特に制限されず、例えば、ウルチ米デンプン、モチ米デンプン、小麦デンプン、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、タピオカデンプン、サゴヤシデンプン、緑豆デンプン、馬鈴薯デンプン、サツマイモデンプン等が挙げられる。デンプン類は一種単独で用いてよく、又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明において成分A2として用いられる「穀物粉」は、穀物を製粉、粉砕等して得られる、粉状乃至粒状の食品原料をいい、具体例としては、小麦粉、米粉、トウモロコシ粉、大麦粉、そば粉、馬鈴薯粉、大豆粉、小豆粉、ひえ粉、栗粉、キビ粉等が挙げられるがこれらに制限されない。これらの穀物粉は一種単独で用いてよく、又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明において用いられるデンプン類、穀物粉の製造方法は特に制限されず、自体公知の方法又はそれに準ずる方法によって製造したものを用いてよい。例えば、穀物粉は、穀物を、製粉、粉砕等して粉状乃至粒状とすること等により製造し得る。デンプン類及び穀物粉は、市販品を用いてもよい。
A液における成分A2(すなわち、デンプン類及び/又は穀物粉)の含有量は、羽根の食感の観点から、A液に対して、好ましくは5重量%以上であり、より好ましくは10重量%以上であり、特に好ましくは15重量%以上である。また、A液における成分A2の含有量は、羽根の食感の観点から、A液に対して、好ましくは45重量%以下であり、より好ましくは35重量%以下であり、特に好ましくは25重量%以下である。
本発明において成分A3として用いられる「油脂」とは、アシルグリセロール(トリグリセリド、ジグリセリド、モノグリセリド等)を主成分とする物質をいい、一般に常温で流動性を有するものを「油」、流動性を有しないものを「脂肪」と呼ぶ場合があるが、それらの両方を包含する概念である。本発明において用いられる「油脂」は、食用のもの(食用油脂)であれば特に制限されないが、例えば、菜種油(キャノーラ油を含む)、大豆油、コーン油、ごま油、米油、米糠油、米胚芽油、べに花油、ヤシ油、パーム油、パーム核油、ひまわり油、えごま油、アマニ油、オリーブ油、グレープシード油、綿実油等の食用植物油脂;牛脂、豚脂、鶏脂、羊脂、鯨油等の食用動物油脂等が挙げられる。また、上述の油脂をエステル交換したエステル交換油、上述の油脂に水素添加した硬化油等も用いることができる。本発明において用いられる油脂は精製されたもの(例、サラダ油等)であってよい。これらの油脂は、一種を単独で用いてよく、又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。
成分A3(すなわち、油脂)は、好ましくは食用植物油脂であり、羽根における焼きムラの発生がより効果的に抑えられ得ることから、より好ましくは菜種油、大豆油である。
A液における成分A3(すなわち、油脂)の含有量は、羽根における焼きムラの発生が効果的に抑えられ得ることから、A液に対して、好ましくは15重量%以上であり、より好ましくは17.5重量%以上であり、特に好ましくは18.5重量%以上である。また、A液における成分A3の含有量は、羽根における焼きムラの発生が効果的に抑えられ得ることから、A液に対して、好ましくは25重量%以下であり、より好ましくは20重量%以下であり、特に好ましくは19.1重量%以下である。
A液における成分A3(すなわち、油脂)の含有量と成分A1(すなわち、ショ糖脂肪酸エステル及び脂肪酸モノグリセリドからなる群より選択される少なくとも一種の乳化剤)の含有量との重量比(A3:A1、両者の合計を100とする)は、羽根における焼きムラの発生が効果的に抑えられ得ることから、好ましくは91:9~98:2であり、より好ましくは92:8~98:2であり、特に好ましくは96:4~98:2である。
A液に含有される水としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の精製水、水道水、アルカリ電解水等が挙げられるが、これらに制限されず、食品製造用水として適合するものを用い得る。
A液における水の含有量は、羽根の大きさ、餃子の外皮の食感及び餃子の昇温の観点から、A液に対して、好ましくは30重量%以上であり、より好ましくは40重量%以上であり、特に好ましくは50重量%以上である。また、A液における水の含有量は、羽根の大きさの観点から、A液に対して、好ましくは75重量%以下であり、より好ましくは70重量%以下であり、特に好ましくは65重量%以下である。
A液は、成分A1~A3及び水のみからなるものであってよいが、成分A1~A3及び水に加えて、これら以外の成分(本明細書中、「その他の成分」と称する場合がある)を含有してもよい。その他の成分は、本発明の目的を損なわない限り特に制限されないが、例えば、成分A1以外の乳化剤、調味料、香辛料、塩類、アミノ酸類、タンパク質類、ガム類、セルロース類、乳化補助剤、膨張剤等が挙げられる。
A液は、水中油型に乳化していることが好ましい。本発明において「水中油型に乳化している」とは、水相を外相(連続相)とし、油相を内相(分散相)とする乳化構造(水相中に油滴粒子が均一分散した乳化構造)を有することを意味する。
A液の調製方法は特に制限されず、自体公知の手法又はそれに準ずる手法を、適宜組み合わせて行い得る。一態様として、A液の調製は、成分A2(すなわち、デンプン類及び/又は穀物粉)及び水を、回転式の乳化機(例、ホモミキサー、コロイドミル、ホバートミキサー、スティックミキサー、ディスパーミキサー、ホモジナイザー等)等で撹拌して混合し、これに成分A1(すなわち、ショ糖脂肪酸エステル及び脂肪酸モノグリセリドからなる群より選択される少なくとも一種の乳化剤)及び成分A3(すなわち、油脂)を加えて、更に撹拌すること等によって行い得る。他の一態様として、A液の調製は、成分A1、成分A2及び水を、回転式の乳化機等で撹拌して混合し、これに成分A3を加えて、更に撹拌すること等によっても行い得る。撹拌条件は、A液が水中油型に乳化しさえすれば特に制限されず、撹拌に使用する乳化機の種類等に応じて適宜設定してよい。
以下において、本発明の剤の構成要素の一つである「B液」について説明する。
B液は、水を含有する。B液に含有される水としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の精製水、水道水、アルカリ電解水等が挙げられるが、これらに制限されず、食品製造用水として適合するものを用い得る。
B液は、水のみからなるものであってよいが、本発明の目的を損なわない限り、水に加えて、水以外の成分(例、デンプン類、穀物粉、調味料、香辛料、塩類、アミノ酸類、タンパク質類、ガム類、セルロース類、膨張剤等)を含有してもよい。
B液における水の含有量は、B液に対して、好ましくは80~100重量%であり、より好ましくは90~100重量%であり、特に好ましくは95~100重量%である。
B液は、油脂を実質的に含有しないものであってよい。本発明において、B液が油脂を「実質的に含有しない」とは、(1)B液が油脂を全く含有しない場合、及び(2)B液が油脂を、B液の物性に影響しない極少量(例えば、B液に対して1重量%以下)で含有する場合のいずれかを意味する。
B液の調製方法は特に制限されず、自体公知の手法又はそれに準ずる手法を、適宜組み合わせて行い得る。一態様として、B液が水のみからなる場合は、水をそのままB液として用いればよい。他の一態様として、B液が水に加えて、水以外の成分を含有する場合、B液の調製は、水及びそれ以外の成分を混合すること等によって行い得る。
本発明の剤は、少なくともA液及びB液が組み合わせられているものである。本発明において、A液及びB液が「組み合わせられている」とは、A液及びB液が区別され得る状態、具体的には、A液及びB液が別個に容器(袋、パウチを含む)に収容されている状態で、一組みとなっていることを意味する。したがって、本発明の剤は、A液とB液とが混合されて単一の液体となった状態で提供(譲渡、販売、流通等)されるものを包含しない。
本発明の剤において、A液及びB液は、それぞれ一つの容器(袋、パウチを含む)に収容されていてよく、又は二つ以上の容器に収容されていてもよい。A液及びB液を収容する容器は、収容されているA液とB液とが混ざり合わなければ、容器同士が連結するものであってよい。容器に収容されたA液が、使用時に水中油型に乳化していない場合は、乳化処理(撹拌等)を適宜施してよい。本発明の剤は、A液及びB液が原料の状態で別個に容器に収容され、A液及びB液が使用時に調製されるものであってもよい。本発明の剤においてA液及びB液を収容する容器には、食品又は食品原料等を収容するために通常使用されるものを制限なく使用でき、材質、形状等は特に限定されない。
本発明の剤は、A液及びB液のみが組み合わせられているものであってよいが、本発明の剤は、本発明の目的を損なわない限り、A液及びB液に加えて、その他の食品素材が組み合わせられていてよい。
本発明の剤は、餃子の表面(好ましくは、焼き面となる面)に、(A1)ショ糖脂肪酸エステル及び脂肪酸モノグリセリドからなる群より選択される少なくとも一種の乳化剤、(A2)デンプン類及び/又は穀物粉、(A3)油脂、並びに水を含有し、水中油型に乳化している液からなる層(A層)と、水を含有する液からなる層(B層)とを形成するために使用され得る。
本発明の剤が使用される餃子は、羽根が形成され得るものであれば特に制限されない。例えば、餃子の中具の原材料、調製方法等は、自体公知のもの又はそれに準ずるものから適宜選択してよい。また、餃子の中具を包む外皮の形状、原材料、調製方法等も、自体公知のもの又はそれに準ずるものから適宜選択してよい。餃子のサイズ、形状等も特に制限されない。本発明の剤が使用される餃子は、餃子に慣用の処理(例えば、中具の野菜等に含まれる酵素を失活させる処理等)が適宜施されていてよい。本発明の剤が使用される餃子は、冷凍されて凍結しているもの(すなわち、冷凍餃子)であってもよく、本発明の剤は、冷凍餃子の表面(好ましくは、焼き面となる面)に、(A1)ショ糖脂肪酸エステル及び脂肪酸モノグリセリドからなる群より選択される少なくとも一種の乳化剤、(A2)デンプン類及び/又は穀物粉、(A3)油脂、並びに水を含有し、水中油型に乳化している液が凍結した層(A層)と、水を含有する液が凍結した層(B層)とを形成するためにも使用され得る。
本発明の剤を使用して餃子の表面(好ましくは、焼き面となる面)に形成される「(A1)ショ糖脂肪酸エステル及び脂肪酸モノグリセリドからなる群より選択される少なくとも一種の乳化剤、(A2)デンプン類及び/又は穀物粉、(A3)油脂、並びに水を含有し、水中油型に乳化している液からなる層」(A層)及び「水を含有する液からなる層」(B層)の態様は特に制限されないが、本発明の剤は、「餃子」と「(A1)ショ糖脂肪酸エステル及び脂肪酸モノグリセリドからなる群より選択される少なくとも一種の乳化剤、(A2)デンプン類及び/又は穀物粉、(A3)油脂、並びに水を含有し、水中油型に乳化している液からなる層」(A層)と「水を含有する液からなる層」(B層)とが、一態様として、図1(a)に示されるように、餃子、A層、B層の順序で積層されるように使用されてよく、他の一態様として、図1(b)に示されるように、餃子、B層、A層の順序で積層されるように使用されてもよい。尚、図1(a)及び(b)は概念図であるから、餃子、A層及びB層のサイズ、形状、縮尺等が実際とは異なる場合があり、また、A層及びB層は、図1(a)及び(b)に示されるように完全に区分されるものに限定されず、A層とB層の境界付近に成分が混ざり合う部分があってよい。このことは図2~7も同様である。
本発明の剤を使用して冷凍餃子の表面(好ましくは、焼き面となる面)に形成される「(A1)ショ糖脂肪酸エステル及び脂肪酸モノグリセリドからなる群より選択される少なくとも一種の乳化剤、(A2)デンプン類及び/又は穀物粉、(A3)油脂、並びに水を含有し、水中油型に乳化している液が凍結した層」(A層)及び「水を含有する液が凍結した層」(B層)の態様は特に制限されないが、本発明の剤は、「冷凍餃子」と「(A1)ショ糖脂肪酸エステル及び脂肪酸モノグリセリドからなる群より選択される少なくとも一種の乳化剤、(A2)デンプン類及び/又は穀物粉、(A3)油脂、並びに水を含有し、水中油型に乳化している液が凍結した層」(A層)と「水を含有する液が凍結した層」(B層)とが、一態様として、図2(a)に示されるように、冷凍餃子、A層、B層の順序で積層されるように使用されてよく、他の一態様として、図2(b)に示されるように、冷凍餃子、B層、A層の順序で積層されるように使用されてもよい。
本発明の剤を使用して、餃子又は冷凍餃子の表面(好ましくは、焼き面となる面)に、前記A層及びB層、あるいは前記A層及びB層を形成する方法は特に制限されず、自体公知の方法(例えば、特開2020-74688号公報に記載の方法、特開2006-296428号公報に記載の方法等)又はそれに準ずる方法によって行い得る。
例えば、餃子(加熱調理される前の生餃子)の表面(好ましくは、焼き面となる面)に、本発明の剤のA液及びB液のいずれか一方を加えて、必要に応じて加熱処理(例、蒸気加熱等)及び/又は凍結処理を施し、その後に、A液及びB液の残りの一方を加えて、必要に応じて加熱処理(例、蒸気加熱等)及び/又は凍結処理を施すことを含む方法等によって、前記A層及びB層、あるいは前記A層及びB層を形成し得る。
一態様として、冷凍餃子、B層、A層の順序で積層される場合(図2(b))を例に挙げると、下記(i)~(v)の方法等によって、冷凍餃子の表面にA層及びB層を形成し得る。
(i)餃子(加熱調理される前の生餃子)を、トレイ等の容器(図3(a))に設置して、そこに本発明の剤のA液及びB液を順に加え(図3(b)、(c))、その後に、加熱処理(例、蒸気加熱等)及び凍結処理を施す。
(ii)トレイ等の容器に本発明の剤のA液及びB液を順に充填し(図4(a)、(b))、その上に餃子(加熱調理される前の生餃子)を設置して(図4(c))、その後に、加熱処理(例、蒸気加熱等)及び凍結処理を施す。
(iii)餃子(加熱調理される前の生餃子)を、内部底面に凹部を有する容器(図5(a))の当該凹部に設置した後(図5(b))、本発明の剤のB液を加えて(図5(c))、蒸気加熱及び凍結処理を施し、次いでA液を加えて(図5(d))、凍結処理を施す。
(iv)餃子(加熱調理される前の生餃子)、本発明の剤のA液、本発明の剤のB液に、それぞれ個別に蒸気加熱及び凍結処理を施し、得られた各凍結物(冷凍餃子、A層、B層、図6(a))を冷凍餃子、B層、A層の順序になるように配置(図6(b))して圧着する。
(v)餃子(加熱調理される前の生餃子)を、トレイ等の容器(図7(a))に設置して、そこに本発明の剤のB液を順に加え(図7(b))、その後に、加熱処理(例、蒸気加熱等)及び凍結処理を施して、B層が表面に形成された冷凍餃子を得る(図7(c))。次いで、本発明の剤のA液に個別に蒸気加熱及び凍結処理を施して得られたA層を、前記冷凍餃子の表面に形成されたB層に圧着する(図7(d))。
本発明の剤を使用して餃子又は冷凍餃子の表面(好ましくは、焼き面となる面)に前記A層及びB層、あるいは前記A層及びB層を形成する際に、餃子に加熱処理(例、蒸気加熱等)を施す場合、加熱条件(例、加熱時間、加熱温度等)は特に制限されず、餃子の大きさ等に応じて適宜設定し得る。
本発明の剤を、冷凍餃子の表面(好ましくは、焼き面となる面)に前記A層及びB層を形成するために使用する場合、餃子の凍結方法は特に制限されず、自体公知の方法又はそれに準ずる方法で行い得る。凍結条件(例、凍結温度等)も特に制限されず、餃子の大きさ等に応じて適宜設定し得る。
本発明の剤の使用量は、本発明の剤が使用される餃子や形成される羽根の大きさ等に応じて適宜調整すればよく、特に制限されない。例えば、本発明の剤は、A液が、餃子100重量部当たり、6~29重量部(好ましくは14~25重量部)となり、B液が、餃子100重量部当たり、3~26重量部(好ましくは11~23重量部)となるように使用され得る。
本発明の剤により前記A層(すなわち、(A1)ショ糖脂肪酸エステル及び脂肪酸モノグリセリドからなる群より選択される少なくとも一種の乳化剤、(A2)デンプン類及び/又は穀物粉、(A3)油脂、並びに水を含有し、水中油型に乳化している液からなる層)と、前記B層(すなわち、水を含有する液からなる層)とが、表面(好ましくは、焼き面となる面)に形成された餃子)を加熱調理する方法は、加熱調理後の餃子(焼き餃子)の表面(焼き面)及びその周辺部に羽根が形成されれば特に制限されず、例えば、餃子の表面(好ましくは、焼き面となる面)がA層及びB層を介して焼き器(例、フライパン、餃子焼き機、鉄板、ホットプレート等)に接するように、餃子を焼き器に載置して、餃子が喫食に適した状態になるまで加熱調理(例、蒸し、焼き、蒸し焼き等)すること等によって行い得る。本発明の剤により前記A層と前記B層とが表面に形成された餃子は、焼き器(例、フライパン、餃子焼き機、鉄板、ホットプレート等)を用いて加熱調理する際に、当該焼き器を動かしたり、加熱機器(例、コンロ、IHヒーター等)の火力の偏りを適宜調整したりしなくても、焼きムラの発生が抑えられた羽根が表面(焼き面)及びその周辺部に形成されるため、当該餃子を加熱調理する方法は、餃子を焼き器を用いて加熱調理する際に焼き器を動かしても動かさなくてもよいが、焼き器を動かさないことが好ましい。また、本発明の剤によりA層とB層とが表面に形成された餃子を焼き器で加熱調理する際、当該焼き器には油を引かないことが好ましく、水(本発明の剤に含まれるものを除く)を加えないことが好ましい。
本発明の剤により前記A層(すなわち、(A1)ショ糖脂肪酸エステル及び脂肪酸モノグリセリドからなる群より選択される少なくとも一種の乳化剤、(A2)デンプン類及び/又は穀物粉、(A3)油脂、並びに水を含有し、水中油型に乳化している液が凍結した層)と、前記B層(すなわち、水を含有する液が凍結した層)とが、表面(好ましくは、焼き面となる面)に形成された冷凍餃子を加熱調理する方法は、加熱調理後の餃子(焼き餃子)の表面(好ましくは、焼き面)及びその周辺部に羽根が形成される方法であれば特に制限されず、上述の本発明の剤によりA層とB層とが表面に形成された餃子を加熱調理する方法と同様に行い得る。
本発明の剤により前記A層及び前記B層、あるいは前記A層及びB層が表面に形成された餃子及び冷凍餃子は、焼き器(例、フライパン、餃子焼き機、鉄板、ホットプレート等)を用いて加熱調理する際に、焼きムラの発生が抑えられた羽根が表面(焼き面)及びその周辺部に形成され、羽根における焼きムラの発生が抑えられた羽根つき餃子を得ることができる。
本発明において、羽根つき餃子の羽根における「焼きムラ」とは、羽根に焼き色がついていない部分(白抜け)や黒く焦げた部分等がまだらに生じている状態をいう。焼きムラの有無や程度は、例えば、専門パネルの目視による官能評価等によって評価し得る。
本発明は冷凍食品も提供する。本発明の冷凍食品は、冷凍餃子と、(A1)ショ糖脂肪酸エステル及び脂肪酸モノグリセリドからなる群より選択される少なくとも一種の乳化剤、(A2)デンプン類及び/又は穀物粉、(A3)油脂、並びに水を含有し、水中油型に乳化している液が凍結したA層と、水を含有する液が凍結したB層とを含むものである。
本発明の冷凍食品に含まれるA層(すなわち、(A1)ショ糖脂肪酸エステル及び脂肪酸モノグリセリドからなる群より選択される少なくとも一種の乳化剤、(A2)デンプン類及び/又は穀物粉、(A3)油脂、並びに水を含有し、水中油型に乳化している液が凍結した層)及びB層(すなわち、水を含有する液が凍結した層)は、本発明の冷凍食品に含まれる冷凍餃子の表面(好ましくは、焼き面となる面)に形成される。A層及びB層の形成態様は特に制限されないが、本発明の冷凍食品は、一態様として、図2(a)に示されるように、冷凍餃子、A層及びB層の順序で積層されていてよく、あるいは、図2(b)に示されるように、冷凍餃子、B層及びA層の順序で積層されていてもよい。
本発明において用いられる冷凍餃子(凍結状態の餃子)は特に制限されず、例えば、上述の本発明の剤が使用される餃子を、自体公知の方法又はそれに準ずる方法で凍結したものを使用できる。
冷凍餃子の表面(好ましくは、焼き面となる面)に、A層(すなわち、(A1)ショ糖脂肪酸エステル及び脂肪酸モノグリセリドからなる群より選択される少なくとも一種の乳化剤、(A2)デンプン類及び/又は穀物粉、(A3)油脂、並びに水を含有し、水中油型に乳化している液が凍結した層)及びB層(すなわち、水を含有する液が凍結した層)を形成する方法は特に制限されず、「(A1)ショ糖脂肪酸エステル及び脂肪酸モノグリセリドからなる群より選択される少なくとも一種の乳化剤、(A2)デンプン類及び/又は穀物粉、(A3)油脂、並びに水を含有し、水中油型に乳化している液」と「水を含有する液」とを用いて、自体公知の方法又はそれに準ずる方法で行い得る。例えば、上述の本発明の剤を用いて冷凍餃子の表面にA層及びB層を形成する方法と同様の方法等によって行い得る。「(A1)ショ糖脂肪酸エステル及び脂肪酸モノグリセリドからなる群より選択される少なくとも一種の乳化剤、(A2)デンプン類及び/又は穀物粉、(A3)油脂、並びに水を含有し、水中油型に乳化している液」及び「水を含有する液」は、それぞれ上述の本発明の剤のA液及びB液と同様に調製できる。
本発明の冷凍食品は、焼き器(例、フライパン、餃子焼き機、鉄板、ホットプレート等)を用いて、喫食に適した状態になるまで加熱調理(蒸し、焼き、蒸し焼き等)することによって、羽根つき餃子を得ることができる。したがって本発明によれば、本発明の冷凍食品を加熱調理することを含む、羽根つき餃子の製造方法も提供される。本発明の冷凍食品を加熱調理する方法は、上述の本発明の剤によりA層とB層とが表面に形成された冷凍餃子を加熱調理する方法と同様に行い得る。
本発明の冷凍食品は、焼き器(例、フライパン、餃子焼き機、鉄板、ホットプレート等)を用いて加熱調理する際に、焼きムラの発生が抑えられた羽根が表面(焼き面)及びその周辺部に形成され、羽根における焼きムラの発生が抑えられた羽根つき餃子を得ることができる。
本発明は、羽根つき餃子の製造方法(本明細書中、単に「本発明の製造方法」と称する場合がある)も提供する。本発明の製造方法は、(A1)ショ糖脂肪酸エステル及び脂肪酸モノグリセリドからなる群より選択される少なくとも一種の乳化剤、(A2)デンプン類及び/又は穀物粉、(A3)油脂、並びに水を含有し、水中油型に乳化している液からなるA層と、水を含有する液からなるB層とを餃子の表面に形成すること、及び当該餃子を加熱調理することを含むものである。
本発明の製造方法において、餃子の表面(好ましくは、焼き面となる面)に、A層(すなわち、(A1)ショ糖脂肪酸エステル及び脂肪酸モノグリセリドからなる群より選択される少なくとも一種の乳化剤、(A2)デンプン類及び/又は穀物粉、(A3)油脂、並びに水を含有し、水中油型に乳化している液からなる層)及びB層(すなわち、水を含有する液からなる層)を形成する方法は特に制限されず、「(A1)ショ糖脂肪酸エステル及び脂肪酸モノグリセリドからなる群より選択される少なくとも一種の乳化剤、(A2)デンプン類及び/又は穀物粉、(A3)油脂、並びに水を含有し、水中油型に乳化している液」と「水を含有する液」とを用いて、自体公知の方法又はそれに準ずる方法で行い得る。例えば、「(A1)ショ糖脂肪酸エステル及び脂肪酸モノグリセリドからなる群より選択される少なくとも一種の乳化剤、(A2)デンプン類及び/又は穀物粉、(A3)油脂、並びに水を含有し、水中油型に乳化している液」を焼き器に引き、その上から「水を含有する液」を加え、その直後に餃子をそれらの上に(焼き面となる面が接するように)設置して加熱調理すること等によって行い得る。「(A1)ショ糖脂肪酸エステル及び脂肪酸モノグリセリドからなる群より選択される少なくとも一種の乳化剤、(A2)デンプン類及び/又は穀物粉、(A3)油脂、並びに水を含有し、水中油型に乳化している液」及び「水を含有する液」は、それぞれ上述の本発明の剤のA液及びB液と同様に調製できる。
本発明の製造方法において、餃子を加熱調理する方法は、上述の本発明の剤によりA層とB層とが表面に形成された餃子を加熱調理する方法と同様に行い得る。
本発明の製造方法によれば、餃子を焼き器(例、フライパン、餃子焼き機、鉄板、ホットプレート等)を用いて加熱調理する際に、焼きムラの発生が抑えられた羽根が表面(焼き面)及びその周辺部に形成され、羽根における焼きムラの発生が抑えられた羽根つき餃子を得ることができる。
以下の実施例において本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
尚、以下の実施例において用いられた原料は、特にことわりのない限り、いずれも食品用として市販されているものである。
<生餃子の作製>
下記の試験区1~4において用いた生餃子(加熱調理前の餃子)は、いずれも下記の通り作製した。
挽肉(豚挽肉及び鶏挽肉を合わせたもの)260g、野菜(キャベツ、たまねぎ、ニラ、ニンニクをそれぞれみじん切りにし、合わせたもの)550g、卵白25g、ごま油20g、酒10g、香辛料及び調味料32g(香辛料及び調味料の合計量)を混合し、中具を調製した。得られた中具12gを、市販の餃子の皮(1枚:5g)で包み、生餃子を作製した(生餃子1個の重量:17g)。
<試験区1>
(実施例1及び比較例3のバッター液の調製)
下表1に示す原料のうち、水、デンプン、小麦粉及び下表2に示す乳化剤を、下表1に示す配合割合で混合し、ハンディーフードプロセッサー(スイスESGE社製、製品名:バーミックス ガストロ 300)を用いて撹拌(撹拌条件:17500rpm、3分間)した後、菜種油(株式会社J-オイルミルズ製、製品名:キャノーラ油)を、下表1に示す配合割合で加えて、再び撹拌(撹拌条件:17500rpm、5分間)して乳化させ、水中油型に乳化しているバッター液を、それぞれ調製した。
(実施例2、3、比較例1、2、4~6のバッター液の調製)
下表1に示す原料のうち、水、デンプン及び小麦粉を、下表1に示す配合割合で混合し、ハンディーフードプロセッサー(スイスESGE社製、製品名:バーミックス ガストロ 300)を用いて撹拌(撹拌条件:17500rpm、3分間)した後、菜種油(株式会社J-オイルミルズ製、製品名:キャノーラ油)及び下表2に示す乳化剤を、下表1に示す配合割合で加えて、再び撹拌(撹拌条件:17500rpm、5分間)して乳化させ、水中油型に乳化しているバッター液を、それぞれ調製した。
Figure 0007238950000001
Figure 0007238950000002
(実施例1~3及び比較例1~6の冷凍餃子の作製)
実施例1~3及び比較例1~6のバッター液(A液)、並びに水(B液)を用いて、乳化剤、デンプン、小麦粉、菜種油及び水を含有し、水中油型に乳化している液が凍結した層と、水が凍結した層とが、焼き面となる面に付着している冷凍餃子を、それぞれ作製した。
実施例1~3及び比較例1~6の冷凍餃子の作製はトレイを使用して行い、具体的には、まずトレイに生餃子を設置した後、そこに実施例1~3及び比較例1~6の各バッター液を、生餃子1個当たり3.4g充填し、次いで、当該トレイに水を、生餃子1個当たり3.0g充填した。その後、当該トレイを、スチームコンベクションオーブンにて98℃で9分間加熱し、25℃で10分間放冷してから冷凍庫(庫内温度:-30℃)にて急速凍結することにより、実施例1~3及び比較例1~6の冷凍餃子をそれぞれ得た。実施例1~3及び比較例1~6の冷凍餃子は、いずれも「冷凍餃子」と「乳化剤、デンプン、小麦粉、菜種油及び水を含有し、水中油型に乳化している液が凍結した層」(A層)と「水が凍結した層」(B層)とが、冷凍餃子、B層、A層の順序で積層されるものであった。
(官能評価)
実施例1~3及び比較例1~6の冷凍餃子をそれぞれ12個ずつ、A層及びB層が形成された面(焼き面となる面)を下にしてフライパン(直径:26cm)に並べて蓋を被せ、その後、フライパンを動かすことなく中火で5分間蒸し焼きして、羽根つき餃子(羽根を有する焼き餃子)を作製した。得られた各羽根つき餃子の羽根全体の焼きムラの有無、程度を、専門パネル5名で目視により確認し、下記の基準に基づき評価を行った。
[焼きムラの評価基準]
◎:焼きムラがない。
〇:わずかな焼きムラがある。
△:焼きムラがある。
×:濃淡差の大きい焼きムラがある。
結果を下表3に示す。
Figure 0007238950000003
表3に示される結果から明らかなように、バッター液(A液)の乳化剤として、ショ糖ステアリン酸エステル又はステアリン酸モノグリセリドが用いられた実施例1~3の冷凍餃子は、羽根における焼きムラの発生が抑えられた羽根つき餃子が得られた。中でも、ショ糖ステアリン酸エステルが用いられた実施例1及び2の冷凍餃子は、羽根における焼きムラがなく、特に好ましいものであった。
一方、バッター液(A液)の乳化剤として、ジグリセリンモノオレエート、ジグリセリンモノステアレート、デカグリセリンモノラウレート、大豆レシチン、ソルビタンステアレート、プロピレングリコール又はモノステアレートが用いられた比較例1~6の冷凍餃子は、いずれも濃淡差の大きい焼きムラが発生した。
<試験区2>
(実施例4~6のバッター液の調製)
原料の配合割合を下表4に示すように変更したこと以外は、試験区1の実施例1のバッター液と同様の手順で、水中油型に乳化しているバッター液を、それぞれ調製した。
Figure 0007238950000004
(実施例4~6の冷凍餃子の作製)
実施例4~6のバッター液(A液)、並びに水(B液)を用いて、試験区1と同様の手順で、乳化剤、デンプン、小麦粉、菜種油及び水を含有し、水中油型に乳化している液が凍結した層と、水が凍結した層とが、焼き面となる面に付着している冷凍餃子を、それぞれ作製した。実施例4~6の冷凍餃子は、いずれも「冷凍餃子」と「乳化剤、デンプン、小麦粉、菜種油及び水を含有し、水中油型に乳化している液が凍結した層」(A層)と「水が凍結した層」(B層)とが、冷凍餃子、B層、A層の順序で積層されるものであった。
(官能評価)
実施例4~6の冷凍餃子をそれぞれ12個ずつ、A層及びB層が形成された面(焼き面となる面)を下にしてフライパン(直径:26cm)に並べて蓋を被せ、その後、フライパンを動かすことなく中火で5分間蒸し焼きして、羽根つき餃子を作製した。得られた各羽根つき餃子の羽根全体の焼きムラの有無、程度を、専門パネル5名で目視により確認し、試験区1と同様の基準に基づき評価を行った。
結果を下表5に示す。尚、試験区1の実施例1の評価結果も併記した。
Figure 0007238950000005
表5に示される結果から明らかなように、バッター液(A液)における油脂の含有量と乳化剤の含有量の重量比が93:7~98:2である実施例1及び4~6の冷凍餃子は、羽根における焼きムラの発生が抑えられた羽根つき餃子が得られた。中でも、油脂の含有量と乳化剤の含有量の重量比が97:3又は98:2である実施例1及び6の冷凍餃子は、羽根における焼きムラがなく、特に好ましいものであった。
<試験区3>
(実施例7のバッター液の調製)
菜種油(株式会社J-オイルミルズ製、製品名:キャノーラ油)に代えて、大豆油(株式会社J-オイルミルズ製、製品名:大豆白絞油)を使用したこと以外は、試験区1の実施例1のバッター液と同様の手順で、水中油型に乳化しているバッター液を調製した。
(実施例7の冷凍餃子の作製)
実施例7のバッター液(A液)、並びに水(B液)を用いて、試験区1と同様の手順で、乳化剤、デンプン、小麦粉、菜種油及び水を含有し、水中油型に乳化している液が凍結した層と、水が凍結した層とが、焼き面となる面に付着している冷凍餃子を作製した。実施例7の冷凍餃子は、「冷凍餃子」と「乳化剤、デンプン、小麦粉、菜種油及び水を含有し、水中油型に乳化している液が凍結した層」(A層)と「水が凍結した層」(B層)とが、冷凍餃子、B層、A層の順序で積層されるものであった。
(官能評価)
実施例7の冷凍餃子12個を、A層及びB層が形成された面(焼き面となる面)を下にしてフライパン(直径:26cm)に並べて蓋を被せ、その後、フライパンを動かすことなく中火で5分間蒸し焼きして、羽根つき餃子を作製した。得られた羽根つき餃子の羽根全体の焼きムラの有無、程度を、専門パネル5名で目視により確認し、試験区1と同様の基準に基づき評価を行った。
結果を下表6に示す。尚、試験区1の実施例1の評価結果も併記した。
Figure 0007238950000006
表6に示される結果から明らかなように、バッター液(A液)の油脂として、菜種油又は大豆油が用いられた実施例1及び7の冷凍餃子は、羽根における焼きムラの発生が抑えられた羽根つき餃子が得られた。
<試験区4>
(実施例8~10のバッター液の調製)
乳化剤として、HLBが7であるショ糖ステアリン酸エステル(三菱ケミカル株式会社製、製品名:S-770)に代えて、下表7に示すHLBが0~5であるショ糖ステアリン酸エステル(いずれも三菱ケミカル株式会社製)を使用したこと以外は、試験区1の実施例2のバッター液と同様の手順で、水中油型に乳化しているバッター液を、それぞれ調製した。
(実施例8~10の冷凍餃子の作製)
実施例8~10のバッター液(A液)、並びに水(B液)を用いて、試験区1と同様の手順で、乳化剤、デンプン、小麦粉、菜種油及び水を含有し、水中油型に乳化している液が凍結した層と、水が凍結した層とが、焼き面となる面に付着している冷凍餃子を、それぞれ作製した。実施例8~10の冷凍餃子は、いずれも「冷凍餃子」と「乳化剤、デンプン、小麦粉、菜種油及び水を含有し、水中油型に乳化している液が凍結した層」(A層)と「水が凍結した層」(B層)とが、冷凍餃子、B層、A層の順序で積層されるものであった。
(官能評価)
実施例8~10の冷凍餃子をそれぞれ12個ずつ、A層及びB層が形成された面(焼き面となる面)を下にしてフライパン(直径:26cm)に並べて蓋を被せ、その後、フライパンを動かすことなく中火で5分間蒸し焼きして、羽根つき餃子を作製した。得られた各羽根つき餃子の羽根全体の焼きムラの有無、程度を、専門パネル5名で目視により確認し、試験区1と同様の基準に基づき評価を行った。
結果を下表7に示す。尚、試験区1の実施例1及び2の評価結果も併記した。
Figure 0007238950000007
表7に示される結果から明らかなように、バッター液(A液)の乳化剤(ショ糖ステアリン酸エステル)のHLBが0~15である実施例1、2及び8~10の冷凍餃子は、羽根における焼きムラの発生が抑えられた羽根つき餃子が得られた。中でも、乳化剤(ショ糖ステアリン酸エステル)のHLBが5~15である実施例1、2及び10の冷凍餃子は、羽根における焼きムラがなく、特に好ましいものであった。
試験区1~4の結果から、(A1)ショ糖脂肪酸エステル及び脂肪酸モノグリセリドからなる群より選択される少なくとも一種の乳化剤、(A2)デンプン類及び/又は穀物粉、(A3)油脂、並びに水を含有し、水中油型に乳化している液が凍結した層と、水を含有する液が凍結した層とが表面に形成された冷凍餃子は、羽根における焼きムラの発生が抑えられた羽根つき餃子を得ることができることが示唆された。
本発明によれば、焼きムラの発生が抑えられ、焼き色が均一についた羽根を餃子に形成できる、餃子の羽根形成剤が提供される。
また、本発明によれば、羽根つき餃子の製造方法も提供される。本発明の製造方法は、羽根における焼きムラの発生が抑えられた羽根つき餃子を得ることができる。
また、本発明によれば、羽根における焼きムラの発生が抑えられた羽根つき餃子を得ることができる冷凍食品も提供される。
1 餃子
2 A層
3 B層
4 冷凍餃子
5 A
6 B
7 容器
8 A液
9 B液
10 内部底面に凹部を有する容器

Claims (31)

  1. (A1)ショ糖脂肪酸エステル及び脂肪酸モノグリセリドからなる群より選択される少なくとも一種の乳化剤、(A2)デンプン類及び/又は穀物粉、(A3)油脂、並びに水を含有し、水中油型に乳化しているA液と、
    水を含有するB液(ただし、当該B液は前記A液と同一でない)
    別個に容器に収容されている状態で少なくとも組み合わせられている、餃子の羽根形成剤。
  2. ショ糖脂肪酸エステルのHLBが、0~17である、請求項1記載の剤。
  3. 前記A液における(A3)油脂の含有量と(A1)乳化剤の含有量との重量比(A3:A1)が、91:9~98:2である、請求項1又は2記載の剤。
  4. (A3)油脂が、菜種油及び大豆油からなる群より選択される少なくとも一つである、請求項1~3のいずれか一項に記載の剤。
  5. 前記A液における(A1)乳化剤の含有量が、A液に対して0.2~1.8重量%である、請求項1~4のいずれか一項に記載の剤。
  6. 前記A液における(A2)デンプン類及び/又は穀物粉の含有量が、A液に対して5~45重量%である、請求項1~5のいずれか一項に記載の剤。
  7. 前記A液における(A3)油脂の含有量が、A液に対して15~25重量%である、請求項1~6のいずれか一項に記載の剤。
  8. 冷凍餃子と、
    (A1)ショ糖脂肪酸エステル及び脂肪酸モノグリセリドからなる群より選択される少なくとも一種の乳化剤、(A2)デンプン類及び/又は穀物粉、(A3)油脂、並びに水を含有し、水中油型に乳化している液が凍結したA層と、
    水を含有する液が凍結したB(ただし、当該B 層は前記A 層と同一でない)
    を含む、冷凍食品。
  9. 冷凍餃子、前記B層及び前記A層が、この順序で積層されている、請求項8記載の冷凍食品。
  10. ショ糖脂肪酸エステルのHLBが、0~17である、請求項8又は9記載の冷凍食品。
  11. 前記液における(A3)油脂の含有量と(A1)乳化剤の含有量との重量比(A3:A1)が、91:9~98:2である、請求項8~10のいずれか一項に記載の冷凍食品。
  12. (A3)油脂が、菜種油及び大豆油からなる群より選択される少なくとも一つである、請求項8~11のいずれか一項に記載の冷凍食品。
  13. 前記液における(A1)乳化剤の含有量が、当該液に対して0.2~1.8重量%である、請求項8~12のいずれか一項に記載の冷凍食品。
  14. 前記液における(A2)デンプン類及び/又は穀物粉の含有量が、当該液に対して5~45重量%である、請求項8~13のいずれか一項に記載の冷凍食品。
  15. 前記液における(A3)油脂の含有量が、当該液に対して15~25重量%である、請求項8~14のいずれか一項に記載の冷凍食品。
  16. 請求項8~15のいずれか一項に記載の冷凍食品を加熱調理することを含む、羽根つき餃子の製造方法。
  17. (A1)ショ糖脂肪酸エステル及び脂肪酸モノグリセリドからなる群より選択される少なくとも一種の乳化剤、(A2)デンプン類及び/又は穀物粉、(A3)油脂、並びに水を含有し、水中油型に乳化している液からなるA層と、
    水を含有する液からなるB層(ただし、当該B層は前記A層と同一でない)
    を餃子の表面に形成すること、及び当該餃子を加熱調理することを含む、羽根つき餃子の製造方法。
  18. ショ糖脂肪酸エステルのHLBが、0~17である、請求項17記載の製造方法。
  19. 前記液における(A3)油脂の含有量と(A1)乳化剤の含有量との重量比(A3:A1)が、91:9~98:2である、請求項17又は18記載の製造方法。
  20. (A3)油脂が、菜種油及び大豆油からなる群より選択される少なくとも一つである、請求項17~19のいずれか一項に記載の製造方法。
  21. 前記液における(A1)乳化剤の含有量が、当該液に対して0.2~1.8重量%である、請求項17~20のいずれか一項に記載の製造方法。
  22. 前記液における(A2)デンプン類及び/又は穀物粉の含有量が、当該液に対して5~45重量%である、請求項17~21のいずれか一項に記載の製造方法。
  23. 前記液における(A3)油脂の含有量が、当該液に対して15~25重量%である、請求項17~22のいずれか一項に記載の製造方法。
  24. 冷凍餃子の表面に、
    (A1)ショ糖脂肪酸エステル及び脂肪酸モノグリセリドからなる群より選択される少なくとも一種の乳化剤、(A2)デンプン類及び/又は穀物粉、(A3)油脂、並びに水を含有し、水中油型に乳化している液が凍結したA層と、
    水を含有する液が凍結したB(ただし、当該B 層は前記A 層と同一でない)
    を形成することを含む、
    冷凍餃子、前記A層及び前記B層を含む冷凍食品の製造方法。
  25. 冷凍食品に含まれる冷凍餃子、前記B層及び前記A層が、この順序で積層されている、請求項24記載の製造方法。
  26. ショ糖脂肪酸エステルのHLBが、0~17である、請求項24又は25記載の製造方法。
  27. 前記液における(A3)油脂の含有量と(A1)乳化剤の含有量との重量比(A3:A1)が、91:9~98:2である、請求項24~26のいずれか一項に記載の製造方法。
  28. (A3)油脂が、菜種油及び大豆油からなる群より選択される少なくとも一つである、請求項24~27のいずれか一項に記載の製造方法。
  29. 前記液における(A1)乳化剤の含有量が、当該液に対して0.2~1.8重量%である、請求項24~28のいずれか一項に記載の製造方法。
  30. 前記液における(A2)デンプン類及び/又は穀物粉の含有量が、当該液に対して5~45重量%である、請求項24~29のいずれか一項に記載の製造方法。
  31. 前記液における(A3)油脂の含有量が、当該液に対して15~25重量%である、請求項24~30のいずれか一項に記載の製造方法。
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