JP7238815B2 - 単結晶製造管理システム - Google Patents

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Description

本発明は、チョクラルスキー法(CZ法)による単結晶の製造管理に用いる単結晶製造管理システムに関し、特に単結晶の不良部位を特定するシステムに関する。
半導体デバイスの基板材料となるシリコン単結晶の多くはCZ法により製造されている。CZ法では、石英ルツボ内に多結晶シリコン原料を充填し、チャンバー内で原料を加熱してシリコン融液を生成する。次いで、石英ルツボの上方から種結晶を降下させてシリコン融液に浸漬し、種結晶及び石英ルツボを回転させながら種結晶を徐々に上昇させることにより、種結晶の下方に大きな単結晶を成長させる。CZ方によれば、大口径シリコン単結晶の製造歩留まりを高めることができる。
シリコン単結晶の製造管理に関し、例えば特許文献1には、複数の単結晶製造装置の運転状況を1カ所で集中的に管理し、さらに運転中の単結晶製造装置を遠隔制御する集中管理システムが記載されている。また特許文献2には、半導体インゴットの直径及び/又は引き上げ速度に係る操業データと目標値との差が所定の値以上となった場合に、当該所定の値以上となった位置で半導体インゴットを切断する方法が記載されている。さらに特許文献3には、単結晶を引き上げる過程で引き上げ速度の移動平均の揺らぎを管理し、移動平均の揺らぎが発生した位置で単結晶を切断することにより、効率よく結晶欠陥を検知する方法が記載されている。
特開2001-72489号公報 特開2007-99556号公報 特開2011-219319号公報
シリコン単結晶にはその品種ごとに様々な品質が求められる。例えばある品種では酸素濃度が非常に低いことが要求され、また別の品種ではOSF(Oxidation induced Stacking Fault)やL/DL(Large Dislocation Loop)などの結晶欠陥が極めて少ないことが求められる。シリコン単結晶の品種としては、大きくは鏡面研磨ウェーハ用の単結晶、エピタキシャルウェーハの基板用の単結晶、SOI(Silicon On Insulator)用の単結晶等が挙げられ、それら単結晶はさらに電気抵抗率の調整のために添加されるドーパントの種類(ボロン、リン、ヒ素、アンチモン等)によっても様々な品種に分けられる。
シリコン単結晶の品質は、仕様という形でその許容範囲が定められ、その許容範囲を外れたものは不良とされる。例えば、酸素濃度の仕様が10×1017~14×1017atoms/cm3の場合、12×1017atoms/cm3の酸素濃度の単結晶は、酸素濃度の仕様を満たすが、15×1017atoms/cm3の単結晶は酸素濃度の仕様を満たさず不良とされる。このように、仕様とは、シリコン単結晶に要求される様々な品質の許容範囲を定めたものである。このような要求に柔軟に応えるためには、要求される品質に合わせてシリコン単結晶の製造条件や加工条件を調整し、さらに製造されたシリコン単結晶の品質を精密に評価する必要があり、シリコン単結晶を効率よく検査するためのシステムの改善が求められている。
したがって、本発明の目的は、結晶品質に対する様々な要求に柔軟に応えることができ、不良部位の特定の自動化も可能な単結晶製造管理システムを提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明による単結晶製造管理システムは、チョクラルスキー法(CZ法)により単結晶を引き上げる単結晶引き上げ装置と、前記単結晶引き上げ装置が計測する前記単結晶の引き上げ速度を取得して保存するデータベースサーバと、前記データベースサーバに保存されているデータを用いて前記単結晶の品質管理を行う品質管理サーバとを備え、前記データベースサーバは、前記単結晶の引き上げ速度から移動平均区間が互いに異なる複数の移動平均引き上げ速度を計算して保存し、前記品質管理サーバは、前記単結晶の品種及び仕様に関する情報に基づいて、前記複数の移動平均引き上げ速度の中から前記単結晶の品質評価に用いる少なくとも一つの移動平均引き上げ速度を選択し、前記選択された移動平均引き上げ速度が管理範囲内に収まっているか否かを評価することを特徴とする。
本発明によれば、単結晶に求められる品質に応じて、監視すべき移動平均引き上げ速度を選択することができ、移動平均引き上げ速度から不良部位を特定することができる。したがって、単結晶インゴットをスライスする前に不良部位を特定することができ、不良部位の製品化を防止することができる。
本発明による単結晶製造管理システムは、前記単結晶の品種及び仕様に関する情報を管理する操業管理サーバをさらに備え、前記品質管理サーバは、前記操業管理サーバから提供される前記単結晶の品種及び仕様に関する情報に基づいて、前記単結晶の品質評価に用いる少なくとも一つの移動平均引き上げ速度を選択することが好ましい。これにより、単結晶の引き上げ速度の取得から当該単結晶に求められる品質の評価に用いる移動平均引き上げ速度の選択までを自動的に行うことができ、不良部位の特定の自動化も可能である。
本発明において、前記品質管理サーバは、前記選択された移動平均引き上げ速度が管理範囲から外れたときに育成された結晶部位を不良部位と判定することが好ましい。これにより、単結晶の引き上げ速度の取得から評価までを自動的に行うことができ、不良部位の特定の自動化も可能である。
本発明において、前記品質管理サーバは、前記単結晶の品種及び仕様に関する情報に基づいて、前記単結晶の品質管理項目と相関性が高い移動平均引き上げ速度を選択することが好ましい。これにより、単結晶の引き上げ速度の取得から当該単結晶に求められる品質と相関性が高い移動平均引き上げ速度の選択までを自動的に行うことができ、不良部位の特定の自動化も可能である。
本発明において、前記単結晶はシリコン単結晶であり、前記シリコン単結晶の品質管理項目は、酸素濃度、OSF及びL/DLの少なくとも一つを含むことが好ましい。この場合において、前記品質管理サーバは、前記シリコン単結晶の品質管理項目に酸素濃度が含まれる場合に、前記データベースサーバに保存されている前記複数の移動平均引き上げ速度の中から、酸素濃度と相関性が高い第1の移動平均引き上げ速度を選択することが好ましい。また、前記品質管理サーバは、前記シリコン単結晶の品質管理項目にOSFが含まれる場合に、前記データベースサーバに保存されている前記複数の移動平均引き上げ速度の中から、OSFと相関性が高い第2の移動平均引き上げ速度を選択することが好ましい。さらにまた、前記品質管理サーバは、前記シリコン単結晶中の品質管理項目にL/DLが含まれている場合に、前記データベースサーバに保存されている前記複数の移動平均引き上げ速度の中から、L/DLと相関性が高い第3の移動平均引き上げ速度を選択することが好ましい。これにより、単結晶の引き上げ速度の取得から当該単結晶に求められる品質の評価に用いる一又は複数の移動平均引き上げ速度の選択までを自動的に行うことができ、不良部位の特定の自動化も可能である。
本発明によれば、単結晶に求められる品質に応じて、監視すべき移動平均引き上げ速度を選択して評価することができ、単結晶インゴットをスライスする前に不良部位を特定することができる。したがって、インゴット切断後の単結晶ブロックの中間部に存在する不良部位の検出精度を高めることができ、不良部位が後工程又は顧客へ流出するリスクを低減することができる。
図1は、本発明の実施の形態による単結晶製造管理システムの全体的な構成を概略的に示すブロック図である。 図2は、シリコン単結晶の品質評価手順を示すフローチャートである。 図3(a)~(d)は、シリコン単結晶の品質評価方法を説明するための模式図であって、図3(a)は、シリコン単結晶の品種及び仕様について説明するための表であり、図3(b)~(d)は、移動平均引き上げ速度を用いて品種A,B,Cのシリコン単結晶の品質を評価する方法をそれぞれ説明する模式図である。 図4は、鏡面研磨ウェーハ用シリコン単結晶の移動平均引き上げ速度と酸素濃度との関係の一例を示すグラフである。 図5は、鏡面研磨ウェーハ用シリコン単結晶の移動平均引き上げ速度とOSF平均個数との関係の一例を示すグラフである。 図6は、鏡面研磨ウェーハ用シリコン単結晶の移動平均引き上げ速度とL/DL平均個数との関係の一例を示すグラフである。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態による単結晶製造管理システムの全体的な構成を概略的に示すブロック図である。
図1に示すように、単結晶製造管理システム1は、複数の単結晶引き上げ装置(CZ引上機)10と、CZ引上機10の動作を管理する操業管理サーバ20と、CZ引上機10が結晶引き上げ工程中に計測する様々な計測値を保存し管理するデータベースサーバ30と、データベースサーバ30に保存されているデータを用いてシリコン単結晶の品質管理を行う品質管理サーバ40とを備えている。
CZ引上機10は、CZ法によるシリコン単結晶の引き上げを行う周知の装置である。CZ引上機10は、チャンバー内に設置された石英ルツボと、石英ルツボを回転及び昇降自在に支持する回転支持軸と、石英ルツボ内の多結晶シリコン原料を加熱するヒーターと、石英ルツボの上方に配置された種結晶を回転及び昇降自在に支持する結晶引き上げ軸とを備えている。結晶引き上げ工程では石英ルツボ内の原料を加熱してシリコン融液を生成した後、石英ルツボの上方から種結晶を降下させてシリコン融液に浸漬し、種結晶及び石英ルツボを回転させながら種結晶を徐々に引き上げることにより、種結晶の下方に大きな単結晶を成長させることができる。
CZ引上機10は、結晶引き上げ動作を精密に制御するため、結晶引き上げ工程中に様々な計測を行っている。具体的には、石英ルツボの回転速度、ヒーターの出力レベル、単結晶の引き上げ速度などである。各種センサーによって計測されたデータはPLC(Programmable Logic Controller)に集約されて取り込まれる。
操業管理サーバ20は、CZ引上機10等と共に単結晶製造システムを構成している。操業管理サーバ20は、引き上げられる単結晶の品種や仕様に関する情報を管理しており、それらの情報はデータベースサーバ30に送られる。データベースサーバ30は、操業管理サーバ20と連携しながら、CZ引上機10が結晶引き上げ工程中に計測する様々な計測値を保存し管理するコンピュータである。データベースサーバ30は、CZ引上機10から例えば10秒間隔で出力されるシリコン単結晶の引き上げ速度の実績値(瞬時値)Vを取得して保存する。さらに、データベースサーバ30は、単結晶の引き上げ速度Vから移動平均区間が異なる複数の移動平均値(移動平均引き上げ速度)VMA1,VMA2,VMA3,・・・を計算し、それらを実績値(瞬時値)と共にデータベースに保存する。
ここで、移動平均引き上げ速度の算出方法としては、時間で平均化して移動平均速度を算出する方法と、結晶長さで平均化して移動平均速度を算出する方法の2通りがある。すなわち本実施形態による移動平均引き上げ速度は、時間の移動平均であってもよく、結晶長さの移動平均であってもよい。時間の移動平均の場合、例えば、20~300分の範囲内の複数の時間の移動平均値をデータベースに保存する。また結晶長さの移動平均の場合、例えば、10~150mmの範囲内の複数の結晶長さの移動平均値をデータベースに保存する。
品質管理サーバ40は、データベースサーバ30が保存しているシリコン単結晶の移動平均引き上げ速度のデータを用いて、当該シリコン単結晶の品質を評価する。データベースサーバ30が保存している複数の移動平均引き上げ速度VMA1,VMA2,VMA3,・・・の中から監視すべき移動平均引き上げ速度を選択するためには、生産するシリコン単結晶の品種及び仕様に関する情報が必要となる。そのため、品質管理サーバ40は操業管理サーバ20からシリコン単結晶の品種及び仕様に関する情報を取得する。品質管理サーバ40は、シリコン単結晶の移動平均引き上げ速度が管理範囲を超えたときに育成された結晶部位を不良部位と認定する。シリコン単結晶の不良部位は、後続のシリコン単結晶のブロック切断工程で除去される。
図2は、シリコン単結晶の品質評価手順を示すフローチャートである。
図2に示すように、シリコン単結晶の製造工程では、各CZ引上機10が稼働してシリコン単結晶の引き上げ工程を実施する。このとき、操業管理サーバ20からCZ引上機10にシリコン単結晶の品種及び仕様に関する情報を送り、CZ引上機10は引き上げられるシリコン単結晶が品種及び仕様を満たすように結晶引き上げ条件を設定し、設定された引き上げ条件下でシリコン単結晶を引き上げる。結晶引き上げ工程中、CZ引上機10は、シリコン結晶の引き上げ速度を計測しており(ステップS1)、計測結果はデータベースサーバ30に送られる。データベースサーバ30は、各CZ引上機10から例えば10秒間隔で送られてくるシリコン結晶の引き上げ速度(瞬時値)Vを保存すると共に、瞬時値から移動平均区間が互いに異なる一又は複数の移動平均引き上げ速度を計算して保存する(ステップS2)。
データベースサーバ30が用意する移動平均引き上げ速度は、シリコン単結晶の品質管理項目と相関性が高いすべての移動平均値であることが好ましい。具体的には、酸素濃度、OSF及びL/DLが品質管理項目である場合には、酸素濃度との相関性が高い移動平均引き上げ速度VMA1(第1の移動平均引き上げ速度)と、OSFとの相関性が高い移動平均引き上げ速度VMA2(第2の移動平均引き上げ速度)と、L/DLとの相関性が高い移動平均引き上げ速度VMA3(第3の移動平均引き上げ速度)を計算して同時に求めておくことが好ましい。あるいは、シリコン単結晶の品種及び仕様に応じて、単結晶の品種ごとに用意すべき移動平均引き上げ速度を変えてもよい。例えば、品種Aの場合には、酸素濃度を評価するための移動平均引き上げ速度VMA1だけを用意し、品種Bの場合には、OSF及びL/DLを評価するための移動平均引き上げ速度VMA2,VMA3を用意し、品種Cの場合には、移動平均引き上げ速度VMA1,VMA2,VMA3をすべて用意してもよい。
その後、品質管理サーバ40は、引き上げられたシリコン単結晶の品質を総合的に評価する。そのため、品質管理サーバ40は、操業管理サーバ20から入手したシリコン単結晶の仕様に関する情報に基づいて、シリコン単結晶に求められる品質を評価するために必要な一又は複数の移動平均引き上げ速度を選択し(ステップS3)、実際のシリコン単結晶の移動平均引き上げ速度をデータベースサーバ30から取得し、選択された移動平均引き上げ速度が管理範囲内に収まっているか否かを評価する(ステップS4)。そして、移動平均引き上げ速度が管理範囲内に収まっている場合には不良部位のないシリコン単結晶であると判断し(ステップS5)、移動平均引き上げ速度が管理範囲から外れた部位がある場合には当該部位を不良部位と判断する(ステップS6)。
図3(a)~(d)は、シリコン単結晶の品質評価方法を説明するための模式図であって、図3(a)は、シリコン単結晶の品種及び仕様について説明するための表であり、図3(b)~(d)は、移動平均引き上げ速度を用いて品種A,B,Cのシリコン単結晶の品質を評価する方法をそれぞれ説明する模式図である。図3(a)の表中の「要」は品質を評価する必要があることを、「否」は品質を評価する必要が無いことを意味している。
図3(a)に示すように、例えば品種Aのシリコン単結晶に関しては、酸素濃度が所定の規格内に収まっていることが要求されるものとする。また、品種Bのシリコン単結晶に関しては、OSF及びL/DLがそれぞれ所定の規格内に収まっていることが要求されものとし、さらに品種Cのシリコン単結晶に関しては、酸素濃度、OSF及びL/DLがそれぞれ所定の規格内に収まっていることが要求されるものとする。
図3(b)に示すように、品種Aのシリコン単結晶2の品質評価では、酸素濃度との相関性が高い移動平均引き上げ速度VMA1が選択され、データベースサーバ30に保存されている移動平均引き上げ速度VMA1の管理値外れの有無が評価される。そして、移動平均引き上げ速度VMA1が管理範囲から外れた区間中に育成された結晶部位は、酸素濃度に関して規格外の不良部位PNGと判定される。
図3(c)に示すように、品種Bのシリコン単結晶2の品質評価では、OSFとの相関性が高い移動平均引き上げ速度VMA2と、L/DLとの相関性が高い移動平均引き上げ速度VMA3が選択され、それらの移動平均引き上げ速度の管理値外れの有無が評価される。そして、移動平均引き上げ速度VMA2,VMA3が管理範囲から外れた区間中に育成された結晶部位は、OSF又はL/DLに関して規格外の不良部位PNGと判定される。
図3(d)に示すように、品種Cのシリコン単結晶2の品質評価では、移動平均引き上げ速度VMA1,VMA2,VMA3が選択され、それらの移動平均引き上げ速度の管理値外れの有無が評価される。そして、移動平均引き上げ速度VMA1,VMA2,VMA3が管理範囲から外れた区間中に育成された結晶部位は、酸素濃度、OSF又はL/DLに関して規格外の不良部位PNGと判定される。
こうして判定された不良部位PNGは、その後のブロック切断工程で切除され、良品部位だけが製品化対象とされる。一般的なシリコン単結晶の検査は、シリコン単結晶インゴットから切り出したシリコンブロック(単結晶ブロック)の両端からサンプルウェーハを切り出して検査し、サンプルウェーハが合格の場合に当該シリコンブロックを後工程に払い出すが、シリコンブロックの両端しか検査をしていないので、シリコンブロックの中間部に不良部位が残っているリスクがある。しかし、結晶品質との相関性が高い移動平均引き上げ速度の管理範囲を設けて、管理範囲を外れた場合に不良部位と判定することにより、シリコンブロックの切り出し部位と関係なく不良部位を検出することができ、不良部位が製品化されるリスクを低減することができる。
酸素濃度等の品質と相関性の高い移動平均引き上げ速度は、結晶長手方向の同一箇所における酸素濃度等の品質の評価値と複数の移動平均引き上げ速度との相関性の高さを調査して、最も相関性の高い移動平均引き上げ速度を採用することにより求めることができる。例えば、直胴部開始位置から結晶長手方向の100mm毎に、酸素濃度の評価値と結晶長さ10mm、20mm、30mm、40mm、50mm、100mm、150mmの複数の移動平均引き上げ速度との相関性をそれぞれ調査し、最も相関性の高いもの、例えば結晶長さ10mmの移動平均引き上げ速度をVMA1とする。
また、仕様を満足する移動平均引き上げ速度の範囲、すなわち管理範囲は、酸素濃度等の品質の評価値と相関性の高い移動平均引き上げ速度との関係、および操業管理サーバ20に保存されている酸素濃度等の品質に関する仕様から求めることができる。例えば、酸素濃度の評価値と相関性の高い結晶長さ10mm移動平均引き上げ速度VMA1との関係から、酸素濃度の仕様である10~14×1017atoms/cmを満足するVMA1の速度範囲、すなわち管理範囲を求めることができる。
図4は、鏡面研磨ウェーハ用シリコン単結晶の移動平均引き上げ速度と酸素濃度(atoms/cm3)との関係の一例を示すグラフであり、横軸は固化率(%)、左側縦軸は移動平均引き上げ速度(相対値)、右側縦軸は酸素濃度(相対値)をそれぞれ示している。
図4に示すように、結晶長さ10mmの移動平均引き上げ速度VMA1が破線で示す管理範囲内に収まっている場合、シリコン単結晶中の酸素濃度Oiは非常に安定しているが、10mm移動平均引き上げ速度VMA1が管理範囲から外れたとき、酸素濃度Oiは急激に低下していることが分かる。このように、結晶長さ10mmの移動平均引き上げ速度VMA1は酸素濃度との相関性が高いことから、結晶長さ10mmの移動平均引き上げ速度VMA1を評価することで、酸素濃度が規格を満たさない不良部位を特定できる。
図5は、鏡面研磨ウェーハ用シリコン単結晶の移動平均引き上げ速度とOSF平均個数(個/cm)との関係の一例を示すグラフであり、横軸は固化率(%)、左側縦軸は移動平均引き上げ速度(相対値)、右側縦軸はOSF平均個数(相対値)をそれぞれ示している。
図5に示すように、結晶長さ30mmの移動平均引き上げ速度VMA2が実線で示す管理下限値を上回っている場合、シリコン単結晶のOSF個数はほぼゼロであるが、30mm移動平均引き上げ速度VMA2が管理下限値を下回ったときにOSF個数が急激に増加していることが分かる。このように、結晶長さ30mmの移動平均引き上げ速度VMA2はOSFとの相関性が高いことから、結晶長さ30mmの移動平均引き上げ速度VMA2を評価することで、OSFが規格を満たさない不良部位を特定できる。
図6は、鏡面研磨ウェーハ用シリコン単結晶の移動平均引き上げ速度とL/DL平均個数(個/cm)との関係の一例を示すグラフであり、横軸は固化率(%)、左側縦軸は移動平均引き上げ速度(相対値)、右側縦軸はL/DL平均個数(相対値)をそれぞれ示している。
図6に示すように、結晶長さ50mmの移動平均引き上げ速度VMA3が実線で示す管理下限値を上回っている場合、シリコン単結晶のL/DL個数はほぼゼロであるが、50mm移動平均引き上げ速度VMA3が管理下限値を下回ったときにL/DL個数が急激に増加していることが分かる。このように、結晶長さ50mmの移動平均引き上げ速度VMA3はL/DLとの相関性が高いことから、結晶長さ50mmの移動平均引き上げ速度VMA3を評価することで、L/DLが規格を満たさない不良部位を特定できる。
以上説明したように、本実施形態による単結晶製造管理システム1は、CZ引上機10が計測した結晶引き上げ速度の瞬時値から複数の移動平均引き上げ速度を予め計算してデータベースサーバ30に保存する一方で、単結晶の品質評価に必要な一又は複数の移動平均引き上げ速度を予め用意しておいたデータベースサーバ30内から選択して使用することができ、シリコン単結晶に求められる品質を総合的に評価することができる。したがって、シリコン単結晶に求められる品質に応じて、監視すべき移動平均引き上げ速度を容易に選択して評価することができ、単結晶インゴットをスライスする前に不良部位を特定することができる。さらに、インゴット切断後の単結晶ブロックの中間部に存在する不良部位の検出精度を高めることができ、不良部位が後工程へ流出するリスクを低減することができる。
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変更が可能であり、それらも本発明に包含されることは言うまでもない。
例えば、上記実施形態においては、シリコン単結晶インゴットのブロック加工時に品質評価結果を利用する場合を例に挙げたが、品質管理サーバ40は、結晶引き上げ工程中にデータベースサーバ30に逐次保存される結晶引き上げ速度の移動平均値を監視し、移動平均値が管理範囲から外れたときに結晶引き上げ動作を一時中断し、不良部位のメルトバックを実施することも可能である。
また、上記実施形態においては、シリコン単結晶の品質管理項目として、酸素濃度、OSF、及びL/DLを挙げたが、本発明はこれらの品質管理項目の評価に限定されるものではなく、FPD(Flow Pattern Defect)やLSTD(Laser Scattering Tomography Defect)など、移動平均引き上げ速度との相関性がある種々の品質管理項目を対象とすることができる。
また、上記実施形態においては、シリコン単結晶を製造する場合を例に挙げたが、本発明はシリコン単結晶に限定されるものではなく、CZ法により製造され、結晶引き上げ速度が結晶品質に影響を与える種々の単結晶を対象とすることができる。
1 単結晶製造管理システム
2 シリコン単結晶
10 CZ引上機
20 操業管理サーバ
30 データベースサーバ
40 品質管理サーバ

Claims (8)

  1. チョクラルスキー法(CZ法)により単結晶を引き上げる単結晶引き上げ装置と、
    前記単結晶引き上げ装置が計測する前記単結晶の引き上げ速度を取得して保存するデータベースサーバと、
    前記データベースサーバに保存されているデータを用いて前記単結晶の品質管理を行う品質管理サーバとを備え、
    前記データベースサーバは、前記単結晶の引き上げ速度から移動平均区間が互いに異なる複数の移動平均引き上げ速度を計算して保存し、
    前記品質管理サーバは、前記単結晶の品種及び仕様に関する情報に基づいて、前記複数の移動平均引き上げ速度の中から前記単結晶の品質評価に用いる少なくとも一つの移動平均引き上げ速度を選択し、前記選択された移動平均引き上げ速度が管理範囲内に収まっているか否かを評価することを特徴とする単結晶製造管理システム。
  2. 前記単結晶の品種及び仕様に関する情報を管理する操業管理サーバをさらに備え、
    前記品質管理サーバは、前記操業管理サーバから提供される前記単結晶の品種及び仕様に関する情報に基づいて、前記単結晶の品質評価に用いる少なくとも一つの移動平均引き上げ速度を選択する、請求項1に記載の単結晶製造管理システム。
  3. 前記品質管理サーバは、前記選択された移動平均引き上げ速度が管理範囲から外れたときに育成された結晶部位を不良部位と判定する、請求項2に記載の単結晶製造管理システム。
  4. 前記品質管理サーバは、前記単結晶の品種及び仕様に関する情報に基づいて、前記単結晶の品質管理項目と相関性が高い移動平均引き上げ速度を選択する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の単結晶製造管理システム。
  5. 前記単結晶はシリコン単結晶であり、
    前記シリコン単結晶の品質管理項目は、酸素濃度、OSF及びL/DLの少なくとも一つを含む、請求項4に記載の単結晶製造管理システム。
  6. 前記品質管理サーバは、前記シリコン単結晶の品質管理項目に酸素濃度が含まれる場合に、前記データベースサーバに保存されている前記複数の移動平均引き上げ速度の中から、酸素濃度と相関性が高い第1の移動平均引き上げ速度を選択する、請求項5に記載の単結晶製造管理システム。
  7. 前記品質管理サーバは、前記シリコン単結晶の品質管理項目にOSFが含まれる場合に、前記データベースサーバに保存されている前記複数の移動平均引き上げ速度の中から、OSFと相関性が高い第2の移動平均引き上げ速度を選択する、請求項5又は6に記載の単結晶製造管理システム。
  8. 前記品質管理サーバは、前記シリコン単結晶中の品質管理項目にL/DLが含まれている場合に、前記データベースサーバに保存されている前記複数の移動平均引き上げ速度の中から、L/DLと相関性が高い第3の移動平均引き上げ速度を選択する、請求項5乃至7のいずれか一項に記載の単結晶製造管理システム。
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JP2019094241A (ja) 2017-11-27 2019-06-20 株式会社Sumco シリコン単結晶のbmd評価方法およびシリコン単結晶の製造方法

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