JP6773011B2 - シリコン単結晶のbmd評価方法およびシリコン単結晶の製造方法 - Google Patents
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特許文献1には、シリコン単結晶の引き上げ過程において、検出される単結晶の直径と引上速度の目標値に基づいて、引上速度の操作をする制限するスパンおよびヒータ温度の設定値を演算し、引上速度をスパン内で操作するとともに、ヒータ温度を設定値に操作して単結晶の直径を制御する際に、引上速度の実績値から算出される移動平均の揺らぎを制御する技術が開示されている。
このため、次工程となるエピタキシャル成長膜形成工程に、BMDストリエーションが発生したインゴットブロックを送った場合、エピタキシャル成長膜形成後にしかBMD欠陥が生じているか否かことを判定できないため、多数の不良品を発生させてしまうという課題がある。
具体的には、前記BMDストリエーション異常であると判定する手順は、前記シリコン単結晶の結晶長さが5mm以上、15mm以下の移動平均データを算出し、算出された移動平均データのうち、実績値から100mm前までの実績値における引上速度の変動幅が0.02mm/minを超える場合に、BMDストリエーション異常であると判定する。
結晶長さが15mmを超える場合、平均化されすぎてしまい、急峻な移動平均データの変動を捕捉することができない。
そして、算出された移動平均データのうち、実績値から100mm前までの実績値における引上速度の変動幅が0.02mm/minを超える移動平均データを、BMDストリエーション異常であると判定することにより、当該部分のシリコン単結晶を除外することができるので、次工程であるエピタキシャル膜成長工程において、不良品が発生することを抑制できる。
BMDストリエーション異常は、石英ルツボ内のシリコン融液の液面が石英ルツボのR部近傍に達したときに、メルト対流の変動に伴う酸素濃度が変動することにより、BMDストリエーションが局部的に発生しているものと推定される。したがって、シリコン融液面が石英ルツボのR部以降でBMDストリエーション異常であると判定する手順を実施することにより、効率的に判定を行うことができる。
この発明によれば、BMDストリエーション異常品をシリコン単結晶の引き上げ工程で除外することができるため、次工程であるエピタキシャル膜成長工程において、不良品が発生することを抑制することができる。
シリコンウェーハWは、比抵抗10mΩcm〜20mΩcmのp/p+のウェーハであり、厚さ方向断面には、図1に示すように、BMDストリエーションが発生している。
集光灯や蛍光灯によってシリコンウェーハWの断面にBMDストリエーションの発生が認められた場合、BMDストリエーション発生位置の厚さ方向断面にて深さ方向のBMD密度の最大値を最小値の計測を行う。なお、計測寸法は100μm×100μmとする。
BMD密度の最大値が106cm−2以上の場合は、BMDストリエーション異常品と判定して、当該部分以降のシリコン単結晶のインゴットブロックは、次工程であるエピタキシャル成長膜形成工程には送らない。
そこで、石英ルツボ1のR部R以降のメルト対流の変動を、引き上げ実績データから読み取り、BMDストリエーションの発生領域を検知することにより、次工程に製品を送ることを規制することとした。なお、以下のBMDストリエーションの評価方法は、シリコン単結晶の引き上げ後、次工程となるエピタキシャル成長膜形成工程の前に実施する。
シリコン単結晶の直胴部後半、シリコン融液面Sが石英ルツボ1のR部Rの近傍を通過する前から、引上速度および引き上げ直径の変動を確認する。具体的には、シリコン単結晶の固化率でいうと、固化率69%以上の範囲で引上速度および引き上げ直径の変動を確認する。
シリコン単結晶の結晶長さ1mmで移動平均を算出した場合、図4に示すように、常に異常を検知した状態となり、引上速度の急峻な変動を捕捉することができない。
一方、シリコン単結晶の結晶長さ20mmで移動平均を算出した場合、図5に示すように、平均化されすぎることにより、急峻な変動が生じても他のデータに埋没してしまい、検知することができない。
同様に、シリコン単結晶の結晶長さ15mmの移動平均を算出した場合、図7に示す点P2のように、引上速度の急峻な変動を捕捉することができ、この部分からBMDストリエーションが発生していることを検知することができる。
したがって、シリコン単結晶の引き上げ実績から、移動平均を算出するのは、シリコン単結晶の結晶長さが、5mm以上、15mm以内が好ましく、この範囲であれば、シリコン単結晶の引上速度の急峻な変動を検知することができる。
具体的には、図8に示すように、シリコン融液面Sが、石英ルツボ1のR部R以降となる固化率69%以上となる結晶領域で、実績値から100mm前までの実績値における引き上げ速度の変動幅が、0.02mm/minを超えているか否かを判定する。
シリコン単結晶の結晶長さ10mmとした場合の移動平均に基づいて、シリコン単結晶の引き上げ速度の変動幅と、シリコン単結晶中の酸素濃度変動幅の相関をとったところ、図9に示すように、比例関係が認められた。BMDストリエーションが発生しない酸素濃度のレンジは、シリコン単結晶中の酸素濃度が、1.5×1017atoms/cm3(片側0.75×1017atoms/cm3)以内となるように作り込む必要がある。したがって、シリコン単結晶の引上速度の変動幅は、図9に示すように、片側0.75×1017atoms/cm3に対応する0.02mm/min以下とする必要がある。なお、酸素濃度の測定は、ASTM F−121(1979)に規格されたインゴットプロファイラーを用いて行った。インゴットプロファイラーは、FTIR(Fourier Transform Infrared Spectroscopy)により酸素濃度を測定する装置で、シリコン単結晶インゴットの側面を結晶長手方向にスキャンすることにより、該シリコン単結晶インゴットの長手方向の酸素濃度プロファイルが得られる装置である(製造元_ナノメトリクス、型式_QS-1200シリーズ)。
一方。急変基点の−80mm以上としたのは、シリコン単結晶の過去の生産実績について、前述したシリコン単結晶のBMD評価方法により評価したところ、BMDストリエーション異常品の発生がなかったためである。
0.02mm/minを超えた急変基点が検出されない場合は、BMDストリエーションは発生していないと判定する(手順S6)。
これに対して、実績値から100mm前までの実績値における引上速度の変動幅が0.02mm/minを超えたシリコン単結晶の部分を除外した場合、次工程であるエピタキシャル成長膜形成工程において、不良品の発生率が0%に抑えられることが確認された。
Claims (4)
- チョクラルスキー法により引き上げられたシリコン単結晶のBMD(Bulk Micro Defect)を評価するシリコン単結晶のBMD評価方法であって、
引き上げられた前記シリコン単結晶の引き上げ実績データを取得する手順と、
取得された引き上げ実績データについて、BMDストリエーションが顕在化する結晶長さ範囲の引上速度移動平均処理の結晶長さを設定し、前記引上速度移動平均処理後の引上速度変動幅が、BMDストリエーションが発生する幅以上の場合に、BMDストリエーション異常であると判定する手順と、
を実施することを特徴とするシリコン単結晶のBMD評価方法。 - 請求項1に記載のシリコン単結晶のBMD評価方法において、
前記BMDストリエーション異常であると判定する手順は、
前記シリコン単結晶の結晶長さが5mm以上、15mm以下の移動平均データを算出し、算出された移動平均データのうち、実績値から100mm前までの実績値における引上速度の変動幅が0.02mm/minを超える場合に、BMDストリエーション異常であると判定することを特徴とするシリコン単結晶のBMD評価方法。 - 請求項1または請求項2に記載のシリコン単結晶のBMD評価方法において、
前記BMDストリエーション異常であると判定する手順は、前記シリコン単結晶のうち、引き上げ中のシリコン融液面が石英ルツボのR部以降に引き上げられた結晶領域で実施されることを特徴とするシリコン単結晶のBMD評価方法。 - チョクラルスキー法によりシリコン単結晶を引き上げるシリコン単結晶の製造方法であって、
前記シリコン単結晶の引き上げ後、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のシリコン単結晶の評価方法を実施する工程と、
BMDストリエーション異常であると判定されたら、BMDストリエーション異常と判定された急変基点の位置から−80mm以上、+30mm以下の前記シリコン単結晶の部分を、BMDストリエーション異常品として除外する工程と、
を実施することを特徴とするシリコン単結晶の製造方法。
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